説明

遊技機用梱包機

【課題】遊技機を四方封止状態に梱包するに当たり、装置の大型化を招くことなく梱包作業の効率を改善すると共に、見栄えよく梱包し、機械の故障等を防止する。
【解決手段】パチンコ機用梱包機1は、コンベア装置10、L字形溶着・溶断装置20、ガイド部材30、チェーン式押圧装置40及びフィルム回収装置50を備える。L字形溶着・溶断装置20は、水平腕21と垂直腕22とからなるL字形で、フィルム材2の上端を溶着する第1溶着部23と下方に伸びる第2溶着部24によるL字形の溶着部と、第1溶着部23の上方の外側溶断部25と第2溶着部24の後方の後方溶断部26によるL字形の溶断部とを備える。また、後方溶断部26の後方に第3溶着部27も備えている。L字形溶着・溶断装置20は、第1溶着部,第2溶着部,第3溶着部,後方切断部及び外側切断部を同時に作動させ得る装置として構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機の製造工程で使用し、完成した遊技機を袋材に入れて封止する遊技機の梱包装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機の製造過程には、完成した遊技機に、傷がついたり埃が侵入したりするのを防止するために、フィルム等で梱包する工程が組み込まれている。この梱包工程においては、専用の機械(以下、「梱包機」という。)が使用される。
【0003】
こうした梱包機として、遊技機が受ステージに到達すると、受ステージ上方のドライブローラー対より垂れ下がった筒状の封袋材料の下端の未封止開口部を、チャック部で四方より把持して四角形断面に開き、ヒーターでチャック部より上方の封袋材料の所定位置を溶着すると同時に、カッターで当該溶着部分より上方を切断して、封袋材料より三方の封止された封筒のような封袋を切り離し形成した後に、封袋の未封止開口部を開き状態で把持したチャック部が下降して、封袋を受ステージ上の遊技機に上方より被せる様にしたものが知られている(特許文献1)。
【0004】
しかし、特許文献1の梱包機では、三方封止の袋を遊技機に上方から被せる都合上、遊技機下端では、袋が開口したままとなっており、四方を封止した状態に梱包することはできていなかった。
【0005】
そこで、保持台に遊技機を載置し、その上方から筒状シートを下端を開いた状態で供給すると共に保持台を上昇して遊技機を筒状シートの中に収容し、上昇位置にある遊技機の側面をシートごと把持した後に保持台を降下させ、遊技機を収容した状態で垂れ下がったシートの下端を溶着し、保持台を上昇させて遊技機を保持し、上昇位置での把持を解除して保持台を下降させつつシートを送り出し、遊技機の上側でシートを溶着すると共に切断することによって、四方が封止された状態まで自動的に梱包する装置が提案されている(特許文献2)。
【0006】
また、遊技機に被せる梱包材として二つ折りの長尺フィルムを使用し、2枚の三角定規を対向配置した様な構成のガイド手段を用いてフィルム材を分離して遊技機の上から被せ得る状態にすると共にその供給方向を遊技機の搬送方向と同じ向きに方向転換し、遊技機の搬送速度にあわせてフィルム材を供給し、底部封止手段の加熱ローラの間にフィルム材の下縁部分を挿通して溶着し、底部封止手段よりも送り方向前方側に配置されている封止・切断手段で、先行するパチンコ機を挿入したフィルム材の後縁側の封止工程と、続行するパチンコ機を挿入したフィルム材の前縁側の封止工程と、フィルム材の切断工程とを同時に行う梱包機が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平10−1104(要約,図1)
【特許文献2】特開2002−119658(0066〜0084、図19)
【特許文献3】特開2002−177492(0009〜0020、図1,2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これら特許文献2,3の梱包機によれば、特許文献1では達成できなかった四方封止の状態に遊技機を梱包する工程を自動化することができる。
【0008】
しかし、特許文献2の梱包機では、下端封止工程と上端封止・切断工程の2段階の溶着工程を必要とし、特許文献3の梱包機でも、下端封止工程と側縁封止・切断工程の2段階の溶着工程が必要となり、梱包機による梱包作業の効率が悪いという問題がある。また、これら特許文献2,3の梱包機では、封止装置の配置等の問題から装置の大型化を招くという問題もある。
【0009】
また、特許文献3の梱包機では、下端封止工程における溶着の際に、フィルムの両端がずれることを考慮して寸法を余分にとった状態でフィルム材を供給する必要がある。このため、特許文献3の梱包機では、遊技機の下側の部分に余分にはみ出した余白部分が形成され、見栄えが悪くなると共に、当該余白の部分が梱包機に絡まって機械の故障につながったり、あるいは、折角封止したのにひっかかりによってフィルムが破れたりするおそれがある。
【0010】
そこで、本願は、遊技機を四方封止状態に梱包するに当たり、装置の大型化を招くことなく梱包作業の効率を改善することを第1の目的とし、さらに、見栄えよく梱包することができ、機械の故障等が生じるおそれをなくすことを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記第1の目的を達成するためになされた本発明の遊技機用梱包機は、二つ折りにした長尺状のフィルム材を遊技機の搬送方向に搬送しつつ遊技機ごとに四方封止状態に溶着する梱包機において、以下の構成を採用したことを特徴とする。
(1−1)遊技機を取り巻いた状態の前記二つ折りの長尺フィルムの折り目と反対側の端部を折り目とほぼ平行に線状に溶着する第1溶着部と、該長尺フィルムの送り方向に対してほぼ直交する方向に線状に溶着する第2溶着部とを、該第2溶着部が前記第1溶着部に対して送り方向後方に位置する様に配置し、両溶着部によってL字形溶着部を形成する様に構成したL字形溶着装置を備えていること。
(1−2)前記L字形溶着装置は、前記第2溶着部の送り方向後方の位置において前記長尺フィルムを該第2溶着部による溶着線とほぼ平行に切断して送り方向前方部分を切り離す後方切断部をも備えていること。
(1−3)前記L字形溶着装置は、前記後方切断部よりも送り方向後方の位置において該後方断部による切断線とほぼ平行に溶着する第3溶着部をも備えていること。
(1−4)前記L字形溶着装置は、前記第1溶着部,第2溶着部,第3溶着部及び後方切断部を同時に作動させ得る装置として構成されていること。
【0012】
かかる構成からなる遊技機用梱包機によれば、(1−4)の構成によって、長尺フィルムをL字形に溶着すると同時に後方切断部による切り離し動作と、次の遊技機用の送り方向前端封止動作とを同時に実行することができる。従って、梱包の作業効率を向上することができる。また、かかる動作を可能にするに当たり、(1−1)〜(1−3)の構成からなるL字形溶着装置を採用したので、梱包機の送り方向の部品配置をコンパクトなものとすることができ、装置の大型化を招くことがない。
【0013】
また、第1の目的を達成すると共に、第2の目的をも達成する遊技機用梱包機は、二つ折りにした長尺状のフィルム材を遊技機の搬送方向に搬送しつつ遊技機ごとに四方封止状態に溶着する梱包機において、以下の構成を採用したことを特徴とする。
(2−1)遊技機を取り巻いた状態の前記二つ折りの長尺フィルムの折り目と反対側の端部を折り目とほぼ平行に線状に溶着する第1溶着部と、該長尺フィルムの送り方向に対してほぼ直交する方向に線状に溶着する第2溶着部とを、該第2溶着部が前記第1溶着部に対して送り方向後方に位置する様に配置し、両溶着部によってL字形溶着部を形成する様に構成したL字形溶着装置を備えていること。
(2−2)前記L字形溶着装置は、前記第2溶着部の送り方向後方の位置において前記長尺フィルムを該第2溶着部による溶着線とほぼ平行に切断する後方切断部と、前記第1溶着部の外側位置において前記長尺フィルムを該第1溶着部による溶着線とほぼ平行に切断する外側切断部とを、該外側切断部と前記後方切断部とが接触又は交差する様に配置することによって、前記第1溶着部及び前記第2溶着部によって形成されるL字形の溶着線の外側にL字形切断線を形成して前記長尺フィルムの送り方向前方部分をを切り離すL字形切断部をも備えていること。
(2−3)前記L字形溶着装置は、前記後方切断部よりも送り方向後方の位置において該後方切断部による切断線とほぼ平行に溶着する第3溶着部をも備えていること。
(2−4)前記L字形溶着装置は、前記第1溶着部,第2溶着部,第3溶着部,後方切断部及び外側切断部を同時に作動させ得る装置として構成されていること。
【0014】
かかる構成からなる遊技機用梱包機によれば、(2−4)の構成によって、長尺フィルムをL字形に溶着すると同時にL字形切断部による切り離し動作と、次の遊技機用の送り方向前端封止動作とを同時に実行することができる。従って、梱包の作業効率を向上することができる。また、かかる動作を可能にするに当たり、(2−1)〜(2−3)の構成からなるL字形溶着装置を採用したので、梱包機の送り方向の部品配置をコンパクトなものとすることができ、装置の大型化を招くことがない。さらに、切断部をL字形切断部としたので、溶着線の外側に余白のフィルムを大きく残すことがなく、見栄えのよい梱包が可能となる。そして、この見栄えのよい梱包は、梱包した遊技機を送り方向前方に搬送等する際に、余白部分が梱包機にひっかかって機械の動作不良を引き起こしたり、あるいはフィルムを破ってしまうという問題も生じない。
【0015】
ここで、L字形溶着装置は、水平部と垂直部とを備えるものであり、水平部と垂直部は一体化されていてもよいし、別体で構成されていてもよい。なお、「L字形」とは、水平部と垂直部によって形成される形状をいい、「L字を左右反転させた形」、「L字を逆立ちさせた形」なども含む。
【0016】
この(2−1)〜(2−4)の構成を備えた遊技機用梱包機においては、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(3−1)前記L字形切断部によって前記長尺フィルムを切り離す際に生じる余白部分のフィルム材を回収するフィルム回収手段を備えたこと。
【0017】
かかる構成をも採用することにより、見栄え良く、かつ動作不良や梱包不良を来すことなく梱包作業を実行するだけでなく、切断動作の際に発生する余白部分が切断位置に堆積して残ったりするのを防止することができる。従って、大量の遊技機の梱包を実行しても、余白の絡まりによる機械の故障等を生じることがない。
【0018】
これら本発明の遊技機用梱包機は、さらに、以下の構成をも備える様にするとよい。
(4−1)前記遊技機及び前記長尺フィルムを同期して送る同期送り手段を備えていること。
(4−2)前記第3溶着部の直後位置に最初の遊技機が位置し、かつ、前記長尺フィルムの先端が少なくとも前記第3溶着部を越える位置となる様に前記遊技機及び前記長尺フィルムの送り動作を実行して一旦停止した状態で前記L字形溶着装置を作動させ、その後、前の遊技機が前記L字形溶着装置の前記第2溶着部の直前位置となり、かつ、次の遊技機が前記第3溶着部の直後位置となって停止する様に前記同期送り手段を作動させた後に前記L字形溶着装置を作動させる動作を実行し、最後の遊技機を前記第2溶着部の直前位置に停止させて前記L字形溶着装置を作動させる動作制御手段を備えていること。
【0019】
(4−1)及び(4−2)の構成を備えることにより、最初の遊技機の前端側の封止を実行した後、最後の遊技機の後端側の封止を実行するまでの間、一連の動作によって次々と遊技機の梱包を完了することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、遊技機を四方封止状態に梱包するに当たり、装置の大型化を招くことなく梱包作業の効率を向上することができる。また、見栄えのよい梱包状態を実現し、かつ、機械の故障等の発生を的確に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を具体化したパチンコ機用の梱包機1の実施形態を説明する。
【0022】
実施形態のパチンコ機用梱包機1は、二つ折りにした長尺状のフィルム材2をパチンコ機Pの搬送方向に搬送しつつパチンコ機Pごとに四方封止状態に溶着するものであって、以下の構成を備えている。
【0023】
パチンコ機用梱包機1は、図1に示す様に、パチンコ機Pを搬送するためのコンベア装置10と、フィルム材2をパチンコ機Pを一台ずつ包み込んだ状態に封止すると共に、パチンコ機Pごとに切り離すためのL字形溶着・溶断装置20と、二つ折りで供給される長尺状フィルム材2を分離し、両側縁2a,2bを上方に持ち上げた状態に開くためのガイド部材30と、ガイド部材30によって開かれたフィルム材2を前方へ送るチェーン式押圧装置40と、L字形溶着・溶断装置20によって溶断された余白部分を巻き取って回収するフィルム回収装置50とを備えている。なお、以下、搬送方向との関係から、図1において、左側を前方、右側を後方とよぶ。
【0024】
コンベア装置10は、図1に示す様に、後方の第1ローラコンベア11と、前方の第2ローラコンベア12とを備えている。いずれも駆動装置によって駆動されるローラを備え、パチンコ機Pを正面をコンベアの側方に向けた起立状態で載置し、起立状体のまま前方へと搬送することができるものである。また、後方に位置する第1ローラコンベア11と前方に位置する第2ローラコンベア12との間はパチンコ機Pの左右幅よりも十分に小さな間隔をあけて設置される。
【0025】
L字形溶着・溶断装置20は、図1,図2に示す様に、上部の水平腕21と、この水平腕21の後端から下方に伸びる垂直腕22とから一体化されたL字形の枠体を、ローラコンベア12の側方に対面して一対配置したものである。このL字形溶着・溶断装置20は、水平腕21に沿って、パチンコ機Pを取り巻いた状態のフィルム材2の上端を線状に溶着する第1溶着部23を備えると共に、この第1溶着部23の後端から垂直腕22に沿って下方に伸びる第2溶着部24をも備え、これら第1,第2溶着部23,24により構成されるL字形の溶着部を備えたものとなっている。また、L字形溶着・溶断装置20は、この第1溶着部23の上方に、第1溶着部23とほぼ平行に伸びる外側溶断部25を備えると共に、第2溶着部24の後方に、第2溶着部24とほぼ平行に伸びる後方溶断部26をも備え、これら外側溶断部25及び後方溶断部26により形成されるL字形の溶断部をも備えたものとなっている。さらに、垂直腕22には、後方溶断部26の後方において後方溶断部26と平行に伸びる第3溶着部27をも備えている。
【0026】
ガイド部材30は、図1に示す様に、第1ローラコンベア11の両側に対向して設置される二枚の分離プレート31,32によって構成されている。この分離プレート31,32は直角三角形状のスチールプレートによって構成され、その垂辺31a,32aが前方に向き、斜辺31b,32bは後方に向く様に、底辺31c,32cを下向きにして設置されている。
【0027】
チェーン式押圧装置40は、図1に示す様に、ガイド部材30によって開かれたフィルム材2を、その上端を挟んで、ガイド部材30からL字形溶着・溶断装置20まで前方へ送るためのものである。このチェーン式押圧装置40は、L字形溶着・溶断装置20の水平腕21よりも上方に位置する様に、ガイド部材30の前方直近位置からL字形溶着・溶断装置20の前端付近までに渡る様に設置されている。また、チェーン式押圧装置40は、ローラコンベア11,12の幅方向に対面している一対のチェーン駆動装置41,42と、これらチェーン駆動装置41,42をローラコンベア11,12の幅方向に移動させるエアシリンダ43,44とを備えている。このチェーン駆動装置41,42は、エアシリンダ43,44を伸長させてフィルム材2の上端を挟んで若干上方へ引っ張り上げた後、ローラコンベア11,12の搬送速度と同期してフィルム材2に対して前方への移動力を与える様に構成されている。
【0028】
フィルム回収装置50は、図1に示す様に、チェーン式押圧装置40よりも前方に、チェーン式押圧装置40とほぼ同じ高さに設置された巻き取り装置によって構成されている。
【0029】
長尺状フィルム材2は、図3に示す様に、折り目2cを搬送方向後方に向けた水平状態で、ガイド部材30の後方直近位置に対し、第1ローラコンベア11の下を通る様に、第1ローラコンベア11の側方から供給される。第1ローラコンベア11の下方に供給されたフィルム材2は、上方に折り返されると共に、両側縁2a,2bを、それぞれローラコンベア11の外側からローラコンベア11を包み込む様に持ち上げられる。そして、持ち上げられた両側縁2a,2bは、それぞれ、ガイド部材30の分離プレート31,32の外側から内側へと掛けられる。
【0030】
ここで、フィルムロール(図示略)に巻き取られている状態のフィルム材2の折り方を山折りとして、このガイド部材30によって分離される状態を説明する。ガイド部材30によって分離されたフィルム材2は、図3に示す様に、山折りの外面4を内面とし、内面5を外面とする谷折り状となる様に、両側縁2a,2bを上方に持ち上げた状態に分離して開かれる。
【0031】
なお、この様にフィルム材2をセットするためのフィルム材2の折り方を示すと図4の様になる。図中の点線は谷折り線であり、一点鎖線は山折り線である。
【0032】
こうして開かれたフィルム材2は、第1ローラコンベア11の前端まで、その下方を通っている。従って、第1ローラコンベア11の上を搬送されるパチンコ機Pが直に載った状態にはなっていない。
【0033】
ガイド部材30によって開かれたフィルム材2は、図5(A)に示す様に、チェーン式押圧装置40によって上端を軽く挟まれた状態で前方へ送られる。また、フィルム材2は、図5(C)に示す様に、第1ローラコンベア11から前方へ送り出される際に、第2ローラコンベア12の載置面の上に出る様にセットされている。従って、第2ローラコンベア12の位置では、コンベア上を搬送されるパチンコ機Pがフィルム材2の上に直に載った状態となり、フィルム材2には、第2ローラコンベア12による前方への移動力も付与されることになる。チェーン式押圧装置40におけるチェーン駆動装置41,42の駆動速度を第1,第2ローラコンベア11,12の移動速度と同期させると共に、第2コンベア12上ではパチンコ機Pが直にフィルム材2に載った状態とすることにより、パチンコ機P及びフィルム材2を同期して送る同期送り手段が構成されている。
【0034】
次に、本実施形態のパチンコ機用梱包機1の動作方法について説明する。動作制御を実行する制御装置60は、図6に示す様に、第1,第2ローラコンベア11,12を駆動するコンベアモータ13,14と、L字形溶着・溶断装置20にフィルム挟持・開放動作を実行させるエアシリンダ28と、L字形溶着・溶断装置20の第1溶着部23,第2溶着部24,外側溶断部25,後方溶断部26及び第3溶着部27のヒータを駆動・停止する加熱装置29と、チェーン駆動装置41,42を接近・離間させるエアシリンダ43,44と、チェーン駆動装置41,42を回転・停止させるチェーンモータ45,46と、フィルム回収装置50の巻き取り軸を回転させる巻き取りモータ51とへ、制御信号を送出すると共に、これらモータ13,14等のエンコーダ信号や、シリンダ28等のストローク信号を入力する様に構成されている。
【0035】
この制御装置60により、本実施形態のパチンコ機用梱包機1は、図7,図8に示す様な制御動作を実行する。
【0036】
まず、コンベアモータ13,14によるパチンコ機送り動作と、エアシリンダ43,44によるフィルム挟持動作と、チェーンモータ45,46によるフィルム送り動作を開始する(S10)。このパチンコ機送り動作とフィルム送り動作は、速度を同期させている。また、フィルム挟持動作は、フィルム材2をやや内側に押圧する程度とし、完全に挟持してはいない。これは、フィルム材2は軽いものであることから、わずかにチェーンに触れれば送り速度を与えることができるのと、逆に、完全に挟持するよりも、フィルム送り速度をパチンコ機送り速度に同期させるのに適するからである。
【0037】
こうして最初のパチンコ機P1とフィルム材2の送り動作を、第3溶着部27の直後位置に最初のパチンコ機P1が位置し、かつ、フィルム材2の先端が少なくとも第3溶着部27を越える位置となるまで実行した後に、一旦停止させる(S20)。この間の動作は、作業者のマニュアル操作によって実行してもよいし、センサ等の信号を用いて自動で実行してもよい。
【0038】
次に、チェーン駆動装置40のエアシリンダ43,44をさらに挟持方向に動作させて、フィルム材2を完全に挟持する(S30)。このとき、フィルム材2の上にはパチンコ機Pが載っているから、フィルム材2の下端は浮き上がることができない。よって、この挟持動作により、フィルム材2が上方に引き上げられる。
【0039】
続いて、エアシリンダ28を駆動してL字形溶着・溶断装置20による挟持動作を実行すると共に、加熱装置29に対して前端封止動作を指令する(S40)。これにより、L字形溶着・溶断装置20の第3溶着部27が作動し、フィルム材2は、その前端が封止された状態となる。
【0040】
次に、加熱装置29の通電を停止すると共に、エアシリンダ28を開放動させる(S50)。また、チェーン駆動装置40のエアシリンダ43,44をS10におけるフィルム挟持動作の位置に復帰させると共に(S60)、コンベアモータ13,14によるパチンコ機送り動作と、チェーンモータ45,46によるフィルム送り動作を再開する(S70)。ここでも、パチンコ機送り動作とフィルム送り動作を同期させる。
【0041】
そして、先頭のパチンコ機P1がL字形溶着・溶断装置20の第2溶着部24の直前位置となり、かつ、2台目のパチンコ機P2が第3溶着部27の直後位置となったところで送り動作を停止する(S80)。そして、S30と同様に、フィルム材2の完全挟持を実行し(S90)、フィルム材2を上方に引き上げることで、上部に溶着スペースを確保する。
【0042】
続いて、エアシリンダ28を駆動して挟持動作を実行すると共に、加熱装置29に対して全てのヒータの同時通電制御を指令する(S100)。これにより、L字形溶着・溶断装置20の第1溶着部23,第2溶着部24,外側溶断部25,後方溶断部26及び第3溶着部27が同時に作動し、先頭のパチンコ機P1を包み込んでいる部分の上部及び後方を封止及び切り離しがなされると共に、次のパチンコ機P2の前端の封止が実行される。
【0043】
次に、加熱装置29の通電を停止すると共に、エアシリンダ28を開放動させ(S1100)、チェーン駆動装置40のエアシリンダ43,44をS10におけるフィルム挟持動作の位置に復帰させる(S120)。ここで、切り離しによって発生したフィルムの余白部分をフィルム回収装置50の巻き取り軸に巻き付ける(S130)。この作業は、作業者がマニュアルで実行する。
【0044】
こうして、余白部分の回収の準備が整ったら、コンベアモータ13,14によるパチンコ機送り動作と、チェーンモータ45,46によるフィルム送り動作を再開すると共に(S140)、巻き取りモータ51によるフィルム回収動作を開始する(S150)。なお、パチンコ機送り動作、フィルム送り動作及びフィルム回収動作は、その速度を同期させる。
【0045】
そして、2台目のパチンコ機P2がL字形溶着・溶断装置20の第2溶着部24の直前位置となり、かつ、3台目のパチンコ機P3が第3溶着部27の直後位置となったところで送り動作及び回収動作を停止する(S160)。そして、S30と同様に、フィルム材2の完全挟持を実行し(S170)、続いて、S100と同様に、エアシリンダ28を駆動して挟持動作を実行すると共に、加熱装置29に対して同時通電制御を指令する(S180)。これにより、2台目パチンコ機P2を包み込んでいる部分の上部及び後方を封止及び切り離しがなされると共に、3台目のパチンコ機P3の前端の封止が実行される。
【0046】
次に、加熱装置29の通電を停止すると共に、エアシリンダ28を開放動させ(S190)、チェーン駆動装置40のエアシリンダ43,44をS10におけるフィルム挟持動作の位置に復帰させる(S200)。
【0047】
以下、最後のパチンコ機Pxになるまで、S140以下の制御処理を繰り返し実行する(S210:NO)。そして、最後のパチンコ機Pxになったら(S210:YES)、当該パチンコ機Pxが第2溶着部24の直前位置に来たところで送り動作及び回収動作を停止し(S220)、S30と同様に、フィルム材2の完全挟持を実行し(S230)、エアシリンダ28を駆動して挟持動作を実行すると共に、加熱装置29に対して、後端封止及び切り離しを指令する(S240)。これにより、第3溶着部27以外の各ヒータが通電されて、最後のパチンコ機Pxを包み込んでいる部分の上部及び後方を封止及び切り離しがなされる。後は、最後のパチンコ機Pxを取り出し位置へ移動する等の後処理を実行する(S250)。
【0048】
余白部分の回収準備が済んだ後の動作(S140以下の動作)は、センサ信号等に基づいて自動で実行することができる。
【0049】
本実施形態によれば、パチンコ機Pを四方封止状態に梱包するに当たり、長尺状のフィルム材2をL字形に溶着すると同時に切り離し動作と、次のパチンコ機用の前端封止動作とを同時に実行することができる。従って、梱包の作業効率を向上することができる。また、かかる動作を可能にするに当たり、L字形溶着・溶断装置20を採用したので、梱包機1の送り方向の部品配置をコンパクトなものとすることができ、装置の大型化を招くことがない。さらに、切断部をL字形切断部としたので、溶着線の外側に余白のフィルムを大きく残すことがなく、見栄えのよい梱包が可能となる。そして、この見栄えのよい梱包は、梱包したパチンコ機を搬送等する際に、余白部分が梱包機1にひっかかって機械の動作不良を引き起こしたり、あるいは梱包したフィルムを破ってしまうという問題も生じない。
【0050】
また、フィルム回収装置50を備えたので、上述の如く、見栄え良く、かつ動作不良や梱包不良を来すことなく梱包作業を実行するだけでなく、切断動作の際に発生する余白部分が切断位置に堆積して残ったりするのを防止することができる。また、余白部分の絡まりによる機械の故障も生じない。
【0051】
さらに、制御装置60による制御動作を上述の通り構成したので、最初のパチンコ機P1の前端側の封止を実行した後、最後のパチンコ機Pxの後端側の封止を実行するまでの間、一連の動作が次々と実行され、パチンコ機の梱包を迅速に実行することができる。
【0052】
また、本実施形態では、フィルム材2を上部が開いた状態にセットし、梱包状態で荷重の加わる下部を連続部分としているので、包装が破れにくい。また、フィルム材2を第2コンベア12の位置ではコンベアローラ上に持ち上げているので、パチンコ機Pとコンベアローラの間にフィルム材2が挟まれ、フィルム材2をパチンコ機Pと速度を同期させて送る際に有利な構成となっている。従って、封止動作前の送り動作においてフィルム材2に無理な力が加わって破れるということもない。この作用・効果はまた、チェーン式押圧装置40によってフィルム材2の上部に対しても送り動作を実行することにより、一層確実なものとなっている。特に、フィルム材2の上部に対する送り動作は、完全な挟持ではなく、軽い挟持で実行されることから、フィルム材2とパチンコ機Pの送り速度の同期をより一層確実にしている。
【0053】
また、この様なフィルム材2で下から包み込む様にしてパチンコ機Pを包装するに当たり、本実施形態で採用したフィルム供給方法によれば、フィルム材2を確実にパチンコ機Pを包み込む様に開くことができる。
【0054】
以上、発明を実施するための最良の形態としての一実施形態を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0055】
例えば、図9に示す様に、L字形溶着・溶断装置20として、水平腕21を第2ローラコンベア12の下方に配置し、垂直腕22を水平腕21の後端から上方に伸びる様に構成したものを採用し、ガイド部材30も上下反対に設置し、さらに、二つ折りのフィルム材を上方から供給するための供給装置71をガイド部材30の近傍に設置し、ガイド部材30に対して上方から二つ折りのフィルム材を供給すると共にガイド部材30でフィルム材を開き、ガイド部材の直前から溶着・溶断装置20の前端まで伸びる2条のチェーン搬送レール72,72を用いて上方で開いた状態に渡し掛け、フィルム材2を両端を下に垂らすと共に、第2ローラコンベア12の隙間73を設けたローラの当該隙間73の間にフィルム材2の両端2a,2bを挟み込んだ状態にセットしてパチンコ機Pに上から被せる様に覆って梱包する様にも構成できる。この場合、作業開始時に、図9(B)に示す様に、ガイド部材30で開いたフィルム材2を、チェーン搬送レール72,72に掛け渡すと共に、下方に垂れた両側縁2a,2bを、第2ローラコンベア12の隙間73に挿入するセッティング作業を実施する。その後、ローラコンベアを駆動してパチンコ機Pを送ると、第1ローラコンベア11から第2ローラコンベア12に乗り移る際に、パチンコ機Pがフィルム材2の空間75の中に入り込む。こうして先頭のパチンコ機Pをフィルム材2の間に入り込ませた後、実施の形態のS30以下の処理を実行する。この様な構成においても、遊技機を四方封止状態に梱包するに当たり、装置の大型化を招くことなく梱包作業の効率を改善すること、見栄えよく梱包すること、機械の故障等が生じるおそれをなくすことという本願の第1,第2の目的を達成することができる。
【0056】
さらに、図10に示す様に、実施形態において、L字形溶着・溶断装置20として、垂直腕22をフィルム材2の高さ一杯まであるものにし、実施形態と同様の第1溶断部23を水平腕21に沿って備えると共に、垂直腕22には、第2溶着部24,後方溶断部26及び第3溶着部27をフィルム材2の高さ方向一杯までをカバーできるものを備え、その一方、外側溶断部25は備えないものとして構成してもよい。この場合、フィルム回収装置50も不要とする。かかる構成であっても、フィルム材2をL字形に溶着すると同時に後方溶断部26による切り離し動作と、次のパチンコ機用の前端封止動作とを同時に実行することができ、梱包の作業効率を向上することができる。また、かかる動作を可能にするに当たり、L字形溶着・溶断装置20を採用したので、梱包機1の送り方向の部品配置をコンパクトなものとすることができ、装置の大型化を招くことがないという本願の第1の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態のパチンコ機用梱包機を示し、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図2】実施形態におけるL字形溶着・溶断装置を示し、(A)は背面図、(B)は水平腕の断面図、(C)は垂直腕の断面図である。
【図3】実施形態におけるフィルム材のセット方法を示し、(A)は斜視図、(B)左側面図である。
【図4】実施形態におけるフィルム材の折り方を示す説明図である。
【図5】実施形態におけるフィルム材の送り方法を示し、(A),(B)は左側面図、(C)は正面図である。
【図6】実施形態における制御系統のブロック図である。
【図7】実施形態における動作制御のフローチャートである。
【図8】実施形態における動作制御の様子を示す模式図である。
【図9】第1の変形例を示し、(A)は正面図、(B)は左側面図である。
【図10】第2の変形例におけるL字形溶着・溶断装置を示し、(A)は背面図、(B)は水平腕の断面図、(C)は垂直腕の断面図である。
【符号の説明】
【0058】

1・・・パチンコ機用梱包機
2・・・フィルム材
2a,2b・・・フィルム材の側縁
10・・・コンベア装置
11・・・第1ローラコンベア
12・・・第2ローラコンベア
13,14・・・コンベアモータ
20・・・L字形溶着・溶断装置
21・・・水平腕
22・・・垂直腕
23・・・第1溶着部
24・・・第2溶着部
25・・・外側溶断部
26・・・後方溶断部
27・・・第3溶着部
28・・・エアシリンダ
29・・・加熱装置
30・・・ガイド部材
31,32・・・分離プレート
31a,32a・・・垂辺
31b,32b・・・斜辺
31c,32c・・・底辺
40・・・チェーン式押圧装置
41,42・・・チェーン駆動装置
43,44・・・エアシリンダ
45,46・・・チェーンモータ
50・・・フィルム回収装置
51・・・巻き取りモータ
60・・・制御装置
P,P1,P2,Px・・・パチンコ機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つ折りにした長尺状のフィルム材を遊技機の搬送方向に搬送しつつ遊技機ごとに四方封止状態に溶着する梱包機において、以下の構成を採用したことを特徴とする遊技機用梱包機。
(1−1)遊技機を取り巻いた状態の前記二つ折りの長尺フィルムの折り目と反対側の端部を折り目とほぼ平行に線状に溶着する第1溶着部と、該長尺フィルムの送り方向に対してほぼ直交する方向に線状に溶着する第2溶着部とを、該第2溶着部が前記第1溶着部に対して送り方向後方に位置する様に配置し、両溶着部によってL字形溶着部を形成する様に構成したL字形溶着装置を備えていること。
(1−2)前記L字形溶着装置は、前記第2溶着部の送り方向後方の位置において前記長尺フィルムを該第2溶着部による溶着線とほぼ平行に切断して送り方向前方部分を切り離す後方切断部をも備えていること。
(1−3)前記L字形溶着装置は、前記後方切断部よりも送り方向後方の位置において該後方切断部による切断線とほぼ平行に溶着する第3溶着部をも備えていること。
(1−4)前記L字形溶着装置は、前記第1溶着部,第2溶着部,第3溶着部及び後方切断部を同時に作動させ得る装置として構成されていること。
【請求項2】
二つ折りにした長尺状のフィルム材を遊技機の搬送方向に搬送しつつ遊技機ごとに四方封止状態に溶着する梱包機において、以下の構成を採用したことを特徴とする遊技機用梱包機。
(2−1)遊技機を取り巻いた状態の前記二つ折りの長尺フィルムの折り目と反対側の端部を折り目とほぼ平行に線状に溶着する第1溶着部と、該長尺フィルムの送り方向に対してほぼ直交する方向に線状に溶着する第2溶着部とを、該第2溶着部が前記第1溶着部に対して送り方向後方に位置する様に配置し、両溶着部によってL字形溶着部を形成する様に構成したL字形溶着装置を備えていること。
(2−2)前記L字形溶着装置は、前記第2溶着部の送り方向後方の位置において前記長尺フィルムを該第2溶着部による溶着線とほぼ平行に切断する後方切断部と、前記第1溶着部の外側位置において前記長尺フィルムを該第1溶着部による溶着線とほぼ平行に切断する外側切断部とを、該外側切断部と前記後方断部とが接触又は交差する様に配置することによって、前記第1溶着部及び前記第2溶着部によって形成されるL字形の溶着線の外側にL字形切断線を形成して前記長尺フィルムの送り方向前方部分をを切り離すL字形切断部をも備えていること。
(2−3)前記L字形溶着装置は、前記後方切断部よりも送り方向後方の位置において該後方切断部による切断線とほぼ平行に溶着する第3溶着部をも備えていること。
(2−4)前記L字形溶着装置は、前記第1溶着部,第2溶着部,第3溶着部,後方切断部及び外側切断部を同時に作動させ得る装置として構成されていること。
【請求項3】
さらに、以下の構成をも備えたことを特徴とする請求項2記載の遊技機用梱包機。
(3−1)前記L字形切断部によって前記長尺フィルムを切り離す際に生じる余白部分のフィルム材を回収するフィルム回収手段を備えたこと。
【請求項4】
さらに、以下の構成をも備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の遊技機用梱包機。
(4−1)前記遊技機及び前記長尺フィルムを同期して送る同期送り手段を備えていること。
(4−2)前記第3溶着部の直後位置に最初の遊技機が位置し、かつ、前記長尺フィルムの先端が少なくとも前記第3溶着部を越える位置となる様に前記遊技機及び前記長尺フィルムの送り動作を実行して一旦停止した状態で前記L字形溶着装置を作動させ、その後、前の遊技機が前記L字形溶着装置の前記第2溶着部の直前位置となり、かつ、次の遊技機が前記第3溶着部の直後位置となって停止する様に前記同期送り手段を作動させた後に前記L字形溶着装置を作動させる動作を実行し、最後の遊技機を前記第2溶着部の直前位置に停止させて前記L字形溶着装置を作動させる動作制御手段を備えていること。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−137483(P2007−137483A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−334789(P2005−334789)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】