説明

遊技機

【課題】
遊技球の排出路を通過する遊技球の動きに連動して所定時間に限り開閉役物を開状態とすることによって遊技性を向上させた遊技機を提供する。
【解決手段】
この遊技機は、透明部材により形成されて背後が透視可能な透明遊技盤と、透明遊技盤上に設けられ閉状態と開状態とに可動する複数の開閉役物と、透明遊技盤を通して視認されるように当該透明遊技盤の背面側に配設され、所定の演出画像を表示する表示手段と、透明遊技盤と表示手段との間に形成され第1の開閉役物に入球した遊技球を排出する遊技球排出路と、この遊技球排出路内での遊技球の挙動により、第2の開閉役物を所定時間開状態とする連動手段と、遊技球排出路内での遊技球の挙動及び第2の開閉役物の開動作を表示手段に演出表示させる演出表示制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は遊技機に関し、特に遊技盤上に遊技球を発射させ、遊技球の挙動によって利益を得ることができるようにした弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一つとして弾球遊技機があり、この弾球遊技機を代表するものとしてパチンコ遊技機が知られている。パチンコ遊技機は、遊技球を遊技盤上に発射して所定の入賞口に入球させ、入賞に応じて払い出される入賞球をより多く獲得することを目的として遊技するものであり、前記遊技盤上には、遊技球の流下方向を変化させる障害釘や風車などの遊技部材が設けられている。
【0003】
また、前記入賞口には、遊技球が入球し難い閉状態と遊技球が入球しやすい開状態とに可動する開閉役物(所謂「チューリップ式役物」)が適宜設けられている。
【0004】
この開閉役物は、通常、入賞口の両側に遊技球略1個幅の間隔をあけて回動自在に設けられた1組の可動片により構成されている。
【0005】
そして、開閉役物は、この1組の可動片がともに平行して起立している状態が閉状態であり、1組の可動片がともに入賞口の外側へ扇状に回動して逆ハの字状になっている状態が開状態である。
【0006】
そのため、閉状態では、遊技球が平行して起立している可動片の間の位置を通過して入球することになるため、比較的に遊技球が開閉役物へ入球し難い状態となっている。
【0007】
一方、開状態では、可動片が逆ハの字状になっているため、遊技球が多少入球口からずれた位置に流下してきた場合であっても、この可動片に誘導されて開閉役物に入球するので比較的に遊技球が開閉役物に入球しやすい状態となっている。
【0008】
そのため、遊技者は、このように遊技球が入球しやすい状態と遊技球が入球しにくい状態とに状態を移行する開閉役物には関心が高く注目している。
【0009】
そして、この開閉役物には、閉状態のときに遊技球が入球すると開状態となり、開状態のときに遊技球が入球すると閉状態になるように動作するものや、遊技球が所定の入賞口に入球したことに連動して、この入賞口とは別の開閉役物が閉状態から開状態になるものなどがある。
【0010】
また、この開閉役物の動作原理に関しても、開閉役物の可動片を遊技球の運動エネルギにより機械的に開動させるものや、可動片を駆動するソレノイドを励磁して電気的に可動片を開動させるものなどがある。
【0011】
このような開閉役物を有するパチンコ遊技機に関して、開閉役物の開状態と閉状態とによって入球する遊技球を区別することができ、遊技盤上の遊技状況を遊技者に正確に把握させることができるように構成した遊技機が提案されている(例えば特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開2001−300044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上記従来のパチンコ遊技機に設けた開閉役物は、閉状態のときに遊技球が入球すると、次に遊技球が入球するまでの間、開状態を保持するだけのものや、遊技球が所定の入賞口に入球したことに連動して、この入賞口とは別の開閉役物が閉状態から開状態なるだけのものであったため、その動作は遊技性に乏しいものであった。
【0013】
また、この開閉役物を動作させる機械的又は電気的な駆動機構は、遊技者にとって興味深い構成部材であるが、これらの駆動機構を遊技者に視覚的に認識させることができるようなパチンコ遊技機は、未だ開発に至っていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで、請求項1に係る本発明では、発射された遊技球を上部側から下部側へ流下案内可能とし一部又は全部が透明部材により形成されて背後が透視可能な透明遊技盤と、透明遊技盤上に設けられ遊技球が入球し難い閉状態と遊技球が入球しやすい開状態とに可動する複数の開閉役物と、透明遊技盤を通して視認されるように当該透明遊技盤の背面側に配設され、透明遊技盤に演出表示可能領域を形成するとともに、この演出表示可能領域内において所定の演出画像を表示する表示手段と、透明遊技盤と表示手段との間に形成され第1の開閉役物に入球した遊技球を排出する遊技球排出路と、この遊技球排出路内での遊技球の挙動により、第2の開閉役物を所定時間開状態とする連動手段と、遊技球排出路内での遊技球の挙動及び第2の開閉役物の開動作を表示手段に演出表示させる演出表示制御手段とを有する遊技機を提供することとした。
【0015】
また、請求項2に係る本発明では、請求項1に記載の遊技機において、連動手段は、一部又は全部を透明部材により形成した前記遊技球排出路に、第2の開閉役物を開動させる開動手段と、第2の開閉役物を閉動させる閉動手段とを設けることを特徴とする。
【0016】
また、請求項3に係る本発明では、請求項1又は請求項2に記載の遊技機において、連動手段は、遊技球排出路の上手側に設けた開動手段と、遊技球排出路の下手側に設けた閉動手段とを有することとした。
【0017】
また、請求項4に係る本発明では、請求項1〜請求項3に記載の遊技機において、遊技球排出路は、途中で複数の経路に分岐させた複数の分岐排出路を有し、複数の分岐排出路のそれぞれに連動手段及び連動手段により開状態とする第2の開閉役物を対応させて配設したことを特徴とする。
【0018】
また、請求項5に係る本発明では、請求項4に記載の遊技機において、複数の分岐排出路における開動手段と閉動手段との間の経路長を異ならせることによって、各第2の開閉役物が開状態となる時間を異ならせたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、遊技球排出路に設けた連動手段により、この遊技球排出路を通過する遊技球の動きに連動して所定時間に限り開閉役物を開状態としておくことができる。
【0020】
そのため、遊技者は、この限られた所定時間中に開閉役物に遊技球を入球させようと考えるようになり、自然に遊技意欲を駆り立てられるようになる。
【0021】
さらに、遊技球が遊技球排出路を通過したことと、この遊技球の通過に連動して所定時間開状態となる開閉役物の動作及びその駆動機構とを表示手段を用いて効果的に演出表示することができるので、この遊技機における演出の多様性を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る遊技機は、発射された遊技球を上部側から下部側へ流下案内可能とし一部又は全部が透明部材により形成されて背後が透視可能な透明遊技盤と、透明遊技盤上に設けられ遊技球が入球し難い閉状態と遊技球が入球しやすい開状態とに可動する複数の開閉役物と、透明遊技盤を通して視認されるように当該透明遊技盤の背面側に配設され、透明遊技盤に演出表示可能領域を形成するとともに、この演出表示可能領域内において所定の演出画像を表示する表示手段と、透明遊技盤と表示手段との間に形成され第1の開閉役物に入球した遊技球を排出する遊技球排出路と、この遊技球排出路内での遊技球の挙動により、第2の開閉役物を所定時間開状態とする連動手段と、遊技球排出路内での遊技球の挙動及び第2の開閉役物の開動作を表示手段に演出表示させる演出表示制御手段とを備えている。
【0023】
そのため、遊技者は、遊技球排出路に遊技球が入球してから所定時間のみ開状態となっている開閉役物に、何とかして遊技球を入球させようと考えるようになり、自然に遊技意欲を駆り立てられるようになる。
【0024】
しかも、この開閉役物の開動作及び、遊技球排出路における遊技球の通過を表示装置を用いて演出表示することができるので、遊技中の演出を多様化させることができ、遊技性を向上させることができる。
【0025】
さらに、遊技盤を透明部材により形成した透明遊技盤としたことによって、これまで遊技盤によって遮られていたために視認することができなかった遊技球排出路や連動手段などといった遊技機の内部構成部材やこの内部構成部材の動作などを遊技者が視認きるようにしている。
【0026】
また、連動手段は、一部又は全部を透明部材により形成した前記遊技球排出路に、第2の開閉役物を開動させる開動手段と、第2の開閉役物を閉動させる閉動手段とを設けるようにしている。
【0027】
すなわち、第1の開閉役物と連通した遊技球排出路の所定位置に、この遊技球排出路に入球した遊技球の通過により動作して第2の開閉役物を開動させる開動手段を設け、さらに、この開動手段に公知の技術により構成したタイマを設けておく。
【0028】
そして、この開動手段が第2の開閉役物を開動させた直後にタイマをスタートさせ、所定時間が経過してタイマがストップすると同時に、開動手段が第2の開閉役物を開動させた時とは逆の動作を行うことによって前記閉動動手段として機能して第2の開閉役物を閉動させるようにする。
【0029】
つまり、開動手段と閉動手段との両方の機能を有する連動手段を設けるようにするものである。
【0030】
こうすることによって、遊技者は、これまで視認することができなかった遊技球排出路内部の遊技球の動きに興味を抱くだけでなく、この遊技球の通過にともなって動作する連動手段の動作及び、所定時間のみ開状態となる第2の開閉役物の状態に意識を集中させるようになり、自然に遊技に夢中になる。
【0031】
また、連動手段は、第1の開閉役物に連通した遊技球排出路の上手側の所定位置に開動手段を設けるとともに、同遊技球排出路の下手側の所定位置に閉動手段を設けることによって構成することもできる。
【0032】
このように連動手段を構成することによって、この第2の開閉役物は、遊技球が遊技球排出路に入球して開動手段を動作させた後、この遊技球排出路を流下して閉動手段を動作させるまでの限られた時間のみ開状態となる。
【0033】
これにより、遊技者は、この遊技球排出路の内部において、上記した開動手段と閉動手段との間を流下する遊技球を視認することによって、第2の開閉役物が開状態となっている時間を視覚的に認識することができる。
【0034】
そのため、遊技者は、この第2の開閉役物近傍に一層関心を持ち注目しながら遊技を行うようになり、遊技意欲が増大する。
【0035】
また、遊技球排出路は、途中で複数の経路に分岐させた複数の分岐排出路を有し、複数の分岐排出路のそれぞれに連動手段及び連動手段により開状態とする第2の開閉役物を対応させて配設するようにしている。
【0036】
そのため、遊技球排出路を透明遊技盤の中央位置から左右両方向に分岐させた複数本の分岐排出路を設けることができ、この各分岐排出路のそれぞれに連動手段及び、この連動手段により開状態とする第2の開閉役物を設けることができる。
【0037】
このように分岐排出路を設けたことによって、遊技者は、透明遊技盤の全域に注目しながら遊技を行うようになるので、この遊技機の遊技性を向上させることができる。
【0038】
すなわち、一般的な遊技機において遊技者は、通常、遊技球が遊技盤の周縁部に散乱することによって始動口や入賞口に遊技球が入球しなくなることを避けるために、遊技盤の中央より左側の領域だけに遊技球を流下させるようにしているので、遊技盤の中央より右側の領域に関しては特別意識することがなかったが、このように、透明遊技盤の両側付近に分岐排出路及び連動手段及び第2の開閉役物を設けたことによって、遊技盤の中央より右側の領域についても興味を抱いて注意を払いながら遊技をするようになる。
【0039】
このようにして、この遊技機の遊技性を向上させることができる。
【0040】
さらに、複数の分岐排出路における開動手段と閉動手段との間の経路長を異ならせることによって、各第2の開閉役物が開状態となる時間がそれぞれ異なるようにしている。
【0041】
これにより、透明遊技盤の中央より右側の領域に設ける開動手段と閉動手段との間の経路長を透明遊技盤の中央よりも左側に設ける開動手段と閉動手段との間の経路長よりも長く設定することによって、遊技者は、通常、遊技している期間は上記のように透明遊技盤の中央よりも左側の領域に意識を集中させ、第2の開閉役物の開放時間が長くなる右側の分岐排出路を遊技球が通過している期間には、透明遊技盤の中央よりも右側の領域に意識を集中して遊技することとなるため、遊技盤上で遊技者を楽しませる遊技領域を透明遊技盤のほぼ全域に拡張させることができ、この遊技機の遊技性が向上する。
【0042】
このように、本発明に係る遊技機は、第1の開閉役物と第2の開閉役物との関連性を遊技者に視覚的に確実に認識させることができるため、遊技者は、第1の開閉役物付近を通過する遊技球の挙動、第1の開閉役物に遊技球が入球した後の遊技球排出路における連動手段の動作、この連動手段の動作に従って開閉動作する第2の開閉役物の動作など、透明遊技盤を通して効果的に視認可能となった様々な現象によって遊技意欲を駆り立てられるとともに、第1の開閉役物と第2の開閉役物との動作に関連性を持たせたことによる遊技の面白さを十分に堪能することができるようになり、この遊技機での遊技に一層熱中するようになる。
【0043】
さらに、この遊技球排出路内での遊技球の挙動及び連動手段の動作を強調するような演出画像を表示手段上に表示させるようにしているため、遊技球の挙動及び連動手段の動作を単なる機械的な動作として遊技者に視認させるだけでなく、遊技中の演出として視認させることができるので、この遊技機の演出の幅を拡張させることができる。
【0044】
この遊技機に設ける連動手段は、上記のように、開動手段と閉動手段との両方の機能を有する駆動機構とタイマとによって構成することもでき、その他にも、比較的単純なリンク機構を用いて構成することもできる。
【0045】
しかも、このような比較的単純なリンク機構により構成した場合には、電源などを要せずメンテナンス性にも優れた遊技機を提供することができる。
【0046】
透明遊技盤は、その一部又は全部が無色透明のアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂等の合成樹脂製の透明部材で構成され、その前側に配置されたガラス板などの透明保護板との間に遊技球が流下する遊技領域を形成する。透明遊技盤の表面側には流下する遊技球を散乱させるための障害釘や風車状に回転する部材やその入球口を開閉する可動片を備えた開閉役物などが複数植設されている。なお、透明遊技盤の背面と表示手段との間に遊技球の通る遊技球排出路をはじめとする各種流路を設けることができる。
【0047】
表示手段は、液晶パネルやCRT、プラズマディスプレイ、ELなどの表示装置からなり、透明遊技盤の背後に遊技球を排出するための所定間隔を有して配設されるものであり、この表示手段に各種の演出画像を表示することにより透明遊技盤上のほぼ全域が演出表示可能領域となるようにしている。
【0048】
また、この演出可能領域内には、上記したように第2の開閉役物の動作、連動手段の動作、遊技球排出路における遊技球の挙動などに関連した演出画像を表示できるとともに、その略中央位置などにパチンコ遊技機における可変表示ゲームなどを表示させることもできる。この演出表示可能領域に表示される画像は、透明遊技盤及びその前面に配置された透明保護板を介して、遊技者に視認されるようになっている。なお、演出表示可能領域の画像は、遊技機の全体の動作を制御する制御部にロードされた遊技プログラムによって、所定のパターンが選択されて表示される。表示手段は、この制御部を介して演出表示可能領域の所定位置に複数の表示領域を設定でき、各遊技盤上の遊技球可動域及び遊技球非可動域を含む背面全域をほぼカバーするように配置することもできる。また、その大きさや形状などが異なったり、あるいは同形となったりする複数の液晶パネルを各透明遊技盤の背後の所定位置にその前面側から視認されるように配置して、各液晶パネルをそれぞれ個別の表示領域に対応させることもできる。
【0049】
第1の開閉役物は、遊技球の入球口を拡縮するための左右に回動する可動片を備え、これによって入球率を制御するための入賞口などであり、透明遊技盤に植設されて遊技領域に配置される。
【0050】
また、この第1の開閉役物は、その入球口に遊技球が入球することによってその入球口の近傍に設けられたトリガー部材が回動され、可動片が閉状態から開状態に移行する。そして、この回動されるトリガー部材のアーム部には軸受部が設けられ、連動される第2の開閉役物の軸受部とロッド部材を介して互いの軸受部が回動可能に連結されている。この場合、双方の開閉役物における可動片の動きが例えば、開放状態−閉止状態、閉止状態−開放状態、あるいは開放状態−開放状態、閉止状態−閉止状態などのように連携するようにしている。第1及び第2の開閉役物の入球口には遊技球を下方に排出させる遊技球排出路が連結配置されている。
【0051】
遊技球排出路は例えば、プラスチックやガラスなどの透明部材からなるチューブ材により直管状や曲がりくねった曲管状などに形成され、その上流側に第2の開閉役物を閉状態から開状態にするための開動手段が設けられており、下流側に第2の開閉役物を開状態から閉状態にするための閉動手段が設けられている。
【0052】
連動手段は、いくつかのロッド状などに形成された連結ロッドをその回動軸となる関節(ジョイント)を介して連結して構成した周知の4節リンク機構やスライダを用いたスライダクランク機構、カムを介在させたカム機構などのものを適宜適用して、これに連結された所定の入賞口や第1の開閉役物や遊技球排出路に設けられ遊技球により駆動される複数の遊技球駆動部などの動作に連動して、第2の開閉役物や遊技球排出路に設けられて遊技球と当接する係止部材などを駆動させることができる。
【0053】
演出表示制御手段は、遊技球排出路の背後位置における表示手段上でこの遊技球排出路を移動する遊技球の動きや、その周囲の連動手段の動きを演出表示するために設けられ、開閉役物や連動手段の動きを監視するセンサなどによりその動作状態などを検知して遊技球排出路の背後やその周囲の演出表示可能領域上に所定の演出画像の表示を行わせる機能を有している。
【0054】
また、演出表示制御手段は、この遊技機の表示手段を制御するコンピュータのサブCPUなどの制御部にその機能が担われている。なお、この機能をメインCPUで担わせるようにしてもよい。このようなセンサを備えた演出表示制御手段によって、遊技領域のいずれの開閉役物が動作したのかを遊技者に的確に報知させることもできる。
【0055】
本実施の形態に係る遊技機は以上説明したように、遊技球排出路の内部を通過する遊技球の動きに連動して、開閉役物を所定時間に限り開状態とする開動手段及び閉動手段を備えた連動手段を設け、これにより、開閉役物の動作に遊技性を持たせることによって遊技者の遊技意欲を増大させるようにしている。さらに、遊技球排出路を通過する遊技球の動き及び又は遊技球排出路や開閉役物に設けられた開動手段や閉動手段などの連動手段の動きに関する演出画像を演出表示可能領域上で所定のタイミングで演出表示することによって、遊技者にこの演出表示を効果的に視認できるようにして、遊技への興趣を高めさせるとともに、この遊技機での遊技における演出の多様性を拡大させることができる。
【0056】
(パチンコ遊技機の構成)
以下、本発明の実施形態に係る遊技機の一例であるパチンコ遊技機を図面に基づいてより具体的に説明する。図1は本実施形態のパチンコ遊技機10の正面図であり、図2は同パチンコ遊技機10における透明遊技盤14周りの分解斜視図であり、図3は同パチンコ遊技機10の連動手段Xの配置形態を示す模式図である。
【0057】
図1又は図2に示すようにパチンコ遊技機10は、遊技場に設けられる図示しない遊技機設置基台に当該パチンコ遊技機10を固定するための外枠11と、同外枠11内に配設された本体枠12と、同本体枠12に着脱自在に取付けられた後述する透明遊技盤14及びその他図示しない各種部品と、本体枠12に一側が枢着されて開閉自在とした前枠16と、さらに透明遊技盤14を通して視認されるように当該透明遊技盤14の背面側に位置して本体枠12の裏側に着脱自在に取付けられた表示手段としての液晶表示装置32とを備えている。
【0058】
また、図2に示すように、パチンコ遊技機10は、その前部に覆設される透明保護板14aと、その一部又は全部が透明部材で形成された透明遊技盤14を有して構成される。
そして、この透明遊技盤14を通して液晶表示装置32に表示される各種画像を視認可能とすることにより、この透明遊技盤14上に演出表示可能領域Aを形成している。透明保護板14aはガラス板などからなり、透明遊技盤14の前側に所定間隔を有して覆設されて、透明遊技盤14との間に遊技球が流下する遊技領域が形成される。
【0059】
さらに、パチンコ遊技機10の本体枠12の上部にはスピーカ46R,46Lが取付けられるとともに、下部右側には発射ハンドル26が取付けられている。すなわち、本パチンコ遊技機10で遊技を行う遊技者は、前記発射ハンドル26等の操作ができるように当該パチンコ遊技機10の前方側に位置することとなり、前記透明遊技盤14と対向状態となる。また、発射ハンドル26の裏側には、ソレノイドなどからなる弾球装置を備える発射装置130(図5を参照)が設けられ、さらに、この発射ハンドル26の周縁部には、タッチセンサ(図示せず)が設けられており、このタッチセンサが触接されたときに、発射ハンドル26が遊技者により握持されたと検知される。そして、発射ハンドル26が遊技者によって握持され、かつ時計回り方向へ回動操作されたときには、その回動角度に応じて発射装置130に電力が供給されて遊技球が透明遊技盤14に順次発射される。なお、発射ハンドル26に設けられるタッチセンサは、遊技者が発射ハンドル26を握持したと判別できるものであればよく、光学的に検知するものや、熱により検知するもの等、センサの種類を問わない。
【0060】
なお、図1における21は本体枠12の前面下部に取付けられた受皿ユニットであり、上皿20及び下皿22が形成され、前記前枠16の下側に位置するように配設されている。前記上皿20に貯留された遊技球が発射装置130に供給されるようになっており、上皿20の容量を越えた遊技球が下皿22に供給されるようになっている。46'は前記スピーカ46R,46Lのカバーであり、前記前枠16の上部に形成されている。132は演出表示や報知などに用いられる各種ランプである。
【0061】
透明遊技盤14は、アクリル樹脂を用いた透明部材により形成されて全体が透過性を有しており、その前面には円弧状のガイドレール30a,30bを設け、このガイドレール30a,30bに囲まれた内側を遊技球可動域15aとし、その外側部分に遊技球非可動域15bを設定している。前記発射ハンドル26の操作により発射された遊技球は、ガイドレール30aにより案内されて遊技球可動域15a内を流下する。また、透明遊技盤14上には、複数の障害釘を打ち込んでおり、遊技球が遊技球可動域15aを上部から下部へ流下する際の流下方向を複雑に変化させるようにしている。なお、障害釘を打ち込むような構成とせず、透明遊技盤14に樹脂製又は金属製の棒状体を透明遊技盤14の前方向に突設する構成としてもよい。なお、障害釘などの付加的構成については各図面で省略している。
【0062】
また、透明遊技盤14には、それぞれ図示しない遊技球が入球すると入賞となる複数の一般入賞口5、前記可変表示ゲームが開始される契機となる特定入賞口としての始動口6、及び可変表示ゲームで当選した後に移行する遊技者にとって有利な遊技状態である大当たり遊技状態において所定時間開放可能とした大入賞口8、さらには前記一般入賞口5、可変表示ゲーム開始の契機となる始動口6、大入賞口8に入球しなかった遊技球が排出されるアウト口7が配設され、透明遊技盤14の裏面に配置された液晶表示装置32にはこれら入賞口に対応して図示しない開口部がそれぞれ形成されている。この開口部を介して入球した遊技球は、液晶表示装置32の背面側を抜けて回収されて所定の払い出し処理などがなされる。
【0063】
前記大入賞口8には、開閉自在なシャッタ40が設けられており、前記大当たり遊技状態においては、このシャッタ40が遊技球を受け入れやすい開放状態となる。また、この大入賞口8内には、Vカウントセンサ102(図5参照)を有する、Vゾーンと呼ぶ特定領域(図示せず)と、カウントセンサ104(図5参照)を有する一般領域(図示せず)とが設けられており、それらの領域を遊技球が所定個数(例えば10個)通過するか、又は、所定時間(例えば30秒)が経過するまで前記シャッタ40が開放状態に駆動される。つまり、開放状態において大入賞口8への所定数の遊技球の入賞又は所定時間の経過のいずれかの条件が成立すると、大入賞口8を、遊技球の入球を遮断する閉鎖状態にする。続いて、開放状態から閉鎖状態となったシャッタ40は、開放状態において大入賞口8に受け入れられた遊技球がVカウントセンサ102を通過したことを条件に、再度開放状態に駆動され、この動作を所定回数(例えば16回)繰り返し行った後、大当たり遊技状態が終了するようにしている。
【0064】
さらに、透明遊技盤14には、入賞した遊技球の通路としての遊技球排出路R(図3、4参照)がその裏面側に設けられており、前記一般入賞口5、始動口6及び大入賞口8に入球した遊技球は当該遊技球排出路Rを通って回収される。
【0065】
そして、このパチンコ遊技機10では、透明部材により形成した透明遊技盤14の裏面にこの遊技球排出路Rを設けているため、この遊技球排出路Rを通過する遊技球は、透明遊技盤14を通して遊技者から視認することが可能となり、遊技者は、これまでに見たことのないパチンコ遊技機10の内部での遊技球の動作を見ながら遊技を楽しむことができる。
【0066】
なお、液晶表示装置32は、透明遊技盤14から分離して本体枠12に取付けられているため、透明遊技盤14に液晶表示装置32の重量が掛からず、作業者がパチンコ遊技機10をメンテナンスするときなどに労力を軽減することができ、さらに透明遊技盤14の取替えなども自由に行うことができる。
【0067】
このように、パチンコ遊技機10は、透明遊技盤14と、この透明遊技盤14から透視可能に配設された液晶表示装置32により、透明遊技盤14の略全域が演出表示可能領域として形成されている。これによって、遊技球を発射して入賞による賞球の獲得を目指すパチンコ遊技を従来通りに楽しみながら、遊技に応じた多彩な演出表示を透明遊技盤14の遊技球非可動域15bに対応するいたる個所で表示可能とし、遊技情報などを順次表示させる演出効果によって遊技の興趣の向上を図ることもできる。
【0068】
また、従来では、液晶表示装置32のサイズを大きくすると、遊技球可動域15a及び遊技球非可動域15bのサイズが相対的に小さくなり、遊技球の挙動の変化が乏しくなってパチンコ遊技の興趣を削ぐおそれがあったが、本パチンコ遊技機10の構成により、各表示領域を拡大変動させて多様な演出を実行可能としながら演出表示可能領域Aも十分広く確保することができる。
【0069】
特に、本実施の形態に係るパチンコ遊技機10は、図3の模式図に示すように透明遊技盤14に、遊技球が入球し難い閉状態と遊技球が入球しやすい開状態とに可動する第1の開閉役物(以下、「開閉役物Y1」という。)と、第2の開閉役物(以下、「開閉役物Y2」という。)と、開閉役物Y1の入球口Pに連通して遊技球を流下案内するための透明遊技盤14の裏面に設けられた遊技球排出路Rとを備えている。
【0070】
この遊技球排出路Rは、流路内を移動する遊技球の降下速度を調整するための複数の湾曲部を備えて全体がジグザグ状に形成されるものであり、この遊技球排出路Rに設ける湾曲部の個数やレイアウトを変更することによって遊技球排出路Rの形状は適宜変更することができるようにしている。
【0071】
また、この遊技球排出路Rには、その上流側と下流側に所定距離をおいて遊技球により駆動され開閉役物Y2を閉状態から開状態にする開動手段としての上側トグル動作部Uと、開閉役物Y2を開状態から閉状態にする閉動手段としての下側トグル動作部Dが配置されている。この上側トグル動作部U及び下側トグル動作部Dはリンク機構を介して互いに連結され、開閉役物Y2が所定の開閉動作ができるように配置されている。例えば、上側トグル動作部Uは固定回転軸Kを有して回転するアーム状の突起Sa,Sbを有した回転部材Sを備え、リンク機構はこの回転部材Sのアーム状の突起Sa、Sbで当接されて上下に回動されるアームTaを備えた上側回動部材Tとこの上側回動部材Tの一端にジョイント節点Jを介して連結され下側トグル動作部Dが他方のジョイント節点Jを介して連結されるロッド部材Hを備えている。
【0072】
下側トグル動作部Dは、ロッド部材Hの他方のジョイント節点Jを介して連結され、固定回転軸Kを中心に回動する下側回動部材T'を備えており、この下側回動部材T'は、遊技球排出路R側に突出したアームTbを備えている。
【0073】
また、前記上側トグル動作部Uや下側トグル動作部Dの動きを図示しないセンサを用いて検知することによって遊技球排出路R内を流下する遊技球の動きに対応した所定の演出画像を表示手段の演出表示可能領域A上に所定のタイミングで表示させることができる。
【0074】
なお、上側トグル動作部Uと下側トグル動作部D間をリンクなどで連結せず、それぞれ独立して作動するようにしてもよく、この場合、それぞれの動作を取得するセンサが設けられる。このようなセンサとしては例えばリミットスイッチを用いた機械接触式のものや、発光ダイオードなどを光源としてこれを受光素子で検知する光検知式、可動片の磁気を検知する磁気検知式などのセンサが適用でき、このリンク機構の動作に応じて表示手段上に所定の演出画像などを表示できる。
【0075】
また、上側トグル動作部Uと下側トグル動作部Dとの間は、以上のような周知のリンク機構を介して連結され、例えば、透明遊技盤14に配置された各開閉役物Y1、Y2や、開閉役物Y1、Y2に連設された遊技球排出路Rに設けられ、遊技球により駆動される回動部材T、T'などを互いに固定回転軸Kやジョイント節点Jなどを有したリンクによりその2以上を連結して構成され、機械的に一方の開閉役物Y1が遊技球の運動エネルギで作動されることによって他方の開閉役物Y2などを開閉できるようにしている。
【0076】
このように、本実施の形態では、上側トグル動作部Uと、下側トグル動作部Dと、固定回転軸Kと、回転部材Sと、上側回動部材Tと、下側回動部材T'と、ジョイント節点Jと、ロッド部材Hとによって連動手段Xを構成している。
【0077】
そして、この連動手段Xは、透明遊技盤14に配設された一方の開閉役物Y1が開状態へ移行するのに連動して他の開閉役物Y2を機械的に開動させるように各部材に連結された回動部材T、T'やロッド部材Hを有するリンクや、アクチュエータなどを備えた機械系を介して構成することができる。
【0078】
以下に、このように構成した連動手段Xの動作についてさらに具体的に説明する。
【0079】
まず、図3中の上側に設けた一方の開閉役物Y1の入球口Pから遊技球が入球すると、この一方の開閉役物Y1が開状態となる。
【0080】
その後、入球口Pから入球した遊技球が遊技球排出路Rを流下すると、この遊技球が回転部材Sの一方のアーム状の突起Saを下側へ向けて回動させる、これにともなって他方のアーム状の突起Sbが上側回動部材TのアームTaを上側へ向けて回動させる。このとき、一旦回動した回転部材Sは、アーム状の突起Saに取付けたばねにより初期状態に戻るようにしている。
【0081】
そして、上側回動部材TのアームTaが上側へ向けて回動したことにより、この上側回動部材Tに連結されたロッド部材Hが下側へスライドし、これにより、このロッド部材Hに接続された他方の開閉役物Y2の可動片58が回動して他方の開閉役物Y2が開状態となる。
【0082】
その後、遊技球が遊技球排出路Rの内部を流下して下側回動部材T'のアームTbと当接する位置に到達するまでの所定時間、この他方の開閉役物Y2は開状態を維持する。
【0083】
そして、遊技球排出路Rの内部を流下してきた遊技球が下側回動部材T'のアームTbと当接する位置に到達すると、この遊技球が下側回動部材T'のアームTbを下側へ向けて回動させる。
【0084】
この下側回動部材T'のアームTbの回動によりロッド部材Hが上側へスライドし、これにより、このロッド部材Hに接続された他方の開閉役物Y2の可動片58が回動して他方の開閉役物Y2が閉状態となる。
【0085】
このように、この連動手段Xは、一方の開閉役物Y1に遊技球が入球したことを契機として他方の開閉役物Y2が閉状態から開状態に移行させ、所定時間が経過した後に、開状態から閉状態に移行させるように動作する。
【0086】
また、ここで連動手段Xは、一方の開閉役物Y1が閉状態から開状態に移行するのとほぼ同時に他方の開閉役物Y2を閉状態から開状態に移行させるように動作しているが、一方の開閉役物Y1が開状態であるときに、この一方の開閉役物Y1に遊技球が入球すると、一方の開閉役物Y1が開状態から閉状態に移行するのとほぼ同時に、他方の開閉役物Y2を閉状態から開状態に移行させ所定時間が経過した後に、この他方の開閉役物Y2を開状態から閉状態に移行させるように動作するようにも構成している。
【0087】
なお、トグル動作部U、Dやこれに連結する各種リンク部材、開閉役物Y1、Y2にはその作動を検知するための図示しないセンサが設けられており、このセンサ信号を取得して演出表示制御手段によって当該遊技球排出路Rやここを移動する遊技球及びその周囲を演出表示可能領域A上で演出表示するようにして、遊技者の興味を透明遊技盤上に引きつけるようにしている。
【0088】
また、このトグル動作部U、Dには、複数のロッド部材Hを固定回転軸Kを介して連結して構成した4節リンク機構や、スライダを用いたスライダクランク機構、カムを介在させたカム機構などのものが適宜連結され、これによって他方の開閉役物Y2の開閉動作がなされる。
【0089】
表示手段となる液晶表示装置32は、透明遊技盤14の全部又は一部に背面側から重なるように配設されていればよく、液晶表示装置32を透明遊技盤14の略全体に重なるように配設している。すなわち、透明遊技盤14上に形成される遊技球可動域15aと遊技球非可動域15bとに重なるように配設している。このように、液晶表示装置32を、透明遊技盤14の略全体に重なるように配設して透明遊技盤14から透視可能とすることにより、透明遊技盤14上の遊技球可動域15aと遊技球非可動域15bとを含むように演出表示可能領域Aが略矩形状の表示領域を有して形成されることになる。そして、パチンコ遊技機10の動作を管理する制御部に従属する演出表示制御手段を介して、動作状態にある開閉役物の周囲に対応する演出表示可能領域A上に、動作中の開閉役物Y1、Y2、連動手段X、連動手段Xを動作させる遊技球の挙動などに関連した演出画像を表示させることができる。
【0090】
図4は本実施形態のパチンコ遊技機10における演出表示の状態を示す模式図であり、一部又は全部が透明部材で形成された透明遊技盤14と、この透明遊技盤14上に形成される演出表示可能領域Aと、この演出表示可能領域Aに演出画像を表示させる液晶表示装置32とを模式的に示している。
【0091】
図示するように、透明遊技盤14の背後に設けられた遊技球の遊技球排出路Rは複数(本実施例では左右の分岐排出路(左分岐排出路Raと右分岐排出路Rb))に分岐して形成され、各分岐排出路Ra、Rbの上流側に上側トグル動作部Uを設けるとともに、各分岐排出路Ra、Rbの下流側に下側トグル動作部Dが配設されている。各上側トグル動作部Uと下側トグル動作部Dとはロッド部材Hで連結されており、この各上側トグル動作部Uと下側トグル動作部Dとロッド部材Hとによって連動手段Xを構成している。
【0092】
さらに、各ロッド部材Hには、左右の開閉役物Y2、Y3の可動片58が連結されており、左右の各分岐排出路Ra、Rbを通過する遊技球の動きによる連動手段Xの動作にともなって左右の開閉役物Y2、Y3が開閉動作するように構成している。
【0093】
特に、ここでは、右分岐排出路Rbにおける上側トグル動作部Uと下側トグル動作部Dとの間の経路長が、左分岐排出路Raにおける上側トグル動作部Uと下側トグル動作部Dとの間の経路長よりも長くなるように構成している。
【0094】
これにより、遊技球が右分岐排出路Raの上側トグル動作部Uから下側トグル動作部Dまでを流下する時間の方が左分岐排出路Rbの上側トグル動作部Uから下側トグル動作部Dまでを流下する時間より長くなり、右側の開閉役物Y3の方が左側の開閉役物Y2よりも長い時間開状態を保持するようにしている。
【0095】
遊技球排出路R上部の左分岐排出路Raと右分岐排出路Rbとの合流部には開閉役物Y1に入球した遊技球を左右の流路に振り分けるための流路切替部Vが配置され、この流路切替部Vは図示しない他の開閉役物などに連動手段Xを介して接続されて駆動されるようにしている。なお、このような流路切替部Vを合流部に設けることなく、落下してくる遊技球をその合流部の逆Y字状などの形状によってランダムに振り分けられるようにしてもよい。
【0096】
ここでは左右の連動手段Xが作動したのをセンサにより検知し、そのセンサ検知信号に基づいて、制御部の演出表示制御手段が液晶表示装置32の該当する遊技球が流下する左分岐排出路Ra、右分岐排出路Rbの周囲に、連動手段X特有の演出画像Gを表示することによって、機械的に動作する連動手段Xのメカニズムを際立たせるような演出表示するようにしている。
【0097】
すなわち、連動手段Xの動作状態をセンサで検知することにより、演出表示制御手段が分岐排出路Ra、Rbや左右の開閉役物Y2、Y3や連動手段Xの周囲を際立たせるような演出画像Gを液晶表示装置32に表示させるようにしている。
【0098】
これによって、透明遊技盤14の全領域を用いて効果的な演出表示を行うことができる他、図4に示すように、遊技球が移動して連動手段Xが動作している右分岐排出路Rbの周囲だけを強調するように効果的な演出表示することもできる。
【0099】
なお、演出画像Gは、可変表示ゲームの保留された保留球数などの遊技履歴や遊技条件に応じて規則的あるいはランダムにその演出パターンを相互に変更してパチンコゲームの多様な演出効果を付加することも可能である。パチンコ遊技機10の制御部のメモリには透明遊技盤14上の開閉役物やその遊技球排出路などの配置パターンが予め記憶されていて、センサなどからの信号に基づいて、所定位置の開閉役物Y1、Y2、Y3の周囲などに所定の動画像や静止画像などを含む演出画像Gを表示できるようにしている。
(パチンコ遊技機の電気的構成)
図5は本実施形態に係るパチンコ遊技機10の制御回路を示すブロック図である。図示するように、パチンコ遊技機10全体の各種動作及び各種の処理を制御する主制御回路60は、メインCPU66、メインROM(読み出し専用メモリ)68、メインRAM(読み書き可能メモリ)70を備えている。
【0100】
メインCPU66には、メインROM68、メインRAM70等が接続されており、このメインROM68に記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する機能を有する。そして、このメインCPU66は液晶表示装置32上に各種演出画像を表示するための制御機能をはじめとして、後述する各種の手段としても機能する。
【0101】
メインROM68には、メインCPU66によりパチンコ遊技機10の動作を制御するためのプログラムが記憶されており、たとえば、液晶表示装置32上で、遊技機の1つであるスロットマシンのように、図柄などからなる識別情報を変動表示するとともに、特定の組合せで停止表示されると、遊技者に有利な遊技状態に移行させる、所謂「可変表示ゲーム」を行う際に、大当たりとはずれとを決定する乱数抽選プログラムや、この乱数抽選プログラムを実行する際に参照される大当り判定テーブルや、演出を選択する際に参照される演出条件選択テーブルなどの各種のテーブルが記憶されている。
【0102】
なお、本実施形態においては、プログラム、テーブル等を記憶する媒体としてメインROM68を用いるように構成したが、これに限らず、制御手段を備えたコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体であれば別態様であってもよく、例えば、ハードディスク装置、CD−ROM及びDVD−ROM、ROMカートリッジ等の記憶媒体に記録されていてもよい。また、これらのプログラムは、予め記録されているものでなくとも、電源投入後にこれらのプログラムをダウンロードしてメインRAM70等に記録されるものでもよい。さらに、プログラムの各々が別々の記憶媒体に記録されていてもよい。また、本実施形態においてはメインCPU66、メインROM68及びメインRAM70を別々に設けたが、これらが一体となっているワンチップマイコンを使用してもよい。
【0103】
メインRAM70は、メインCPU66の一時記憶領域として種々のデータを記憶する機能を有する。メインRAM70に記憶されるデータの具体例としては、以下のようなものがある。メインRAM70には、制御状態フラグ、特定領域通過フラグ、高確率フラグ、大当り判定用乱数カウンタ、大当り図柄決定用乱数カウンタ、はずれ図柄決定用乱数カウンタ、演出条件選択用乱数カウンタ、大入賞口開放回数カウンタ、大入賞口入賞カウンタ、待ち時間タイマ、大入賞口開放時間タイマ、可変表示ゲーム、可変表示ゲームにおける保留個数に関係するそれぞれのデータに対応した変数、また、後述する副制御回路200にコマンドを供給するためのデータ、変数等が位置付けられている。
【0104】
制御状態フラグは、可変表示ゲームの制御状態を示すものである。特定領域通過フラグは、遊技球が特定領域を通過したか否かを判断するためのものである。高確率フラグは、大当たり遊技状態に移行する確率を相対的に高めるか否かを示すものである。
【0105】
大当り判定用乱数カウンタは、可変表示ゲームの大当りを判定するためのものである。大当り図柄決定用乱数カウンタは、可変表示ゲームで大当りを判定した場合に、停止表示される大当たりに係る識別情報としての図柄(以下「特別図柄」という)を決定するためのものである。はずれ図柄決定用乱数カウンタは、大当りではない場合に停止表示する識別情報を決定するためのものである。演出条件選択用乱数カウンタは、識別情報の変動表示パターンを決定するためのものである。これらのカウンタは、メインCPU66により順次"1"増加するように記憶更新されており、所定のタイミングで各カウンタから乱数値を抽出することにより、メインCPU66の各種の機能を実行することとなる。
【0106】
待ち時間タイマは、主制御回路60と副制御回路200とにおいて実行される処理の同期を取るためのものである。また、大入賞口開放時間タイマは、シャッタ40を駆動させ、大入賞口8を開放する時間を計測するためのものである。なお、本実施形態におけるタイマは、メインRAM70において、所定の周期で、その所定の周期だけ減算されるように記憶更新されるが、これに限らず、CPU等自体がタイマを備えていてもよい。
【0107】
大入賞口開放回数カウンタは、大当たり遊技状態における大入賞口8の開放回数を示すものである。また、大入賞口入賞カウンタは、1ラウンド中に大入賞口8に入賞し、Vカウントセンサ102又はカウントセンサ104を通過した遊技球の数を示すものである。さらには、可変表示ゲームにおける保留個数を示すデータは、始動口6へ遊技球が入賞したが、識別情報の変動表示が実行できないときに、当該変動表示を保留するが、その保留されている識別情報の変動回数を示すものである。さらには、普通図柄ゲームにおける保留個数を示すデータは、球通過検出ゲートに遊技球が通過したが、普通図柄の変動表示が実行できないときに、当該変動表示を保留するが、その保留されている普通図柄の変動回数を示すものである。また、メインRAM70には、特別図柄記憶領域、普通図柄記憶領域が位置付けられ、記憶されている。
【0108】
なお、本実施形態においては、メインCPU66の一時記憶領域としてメインRAM70を用いているが、これに限らず、読み書き可能な記憶媒体であればよい。
【0109】
また、この主制御回路60は、所定の周波数のクロックパルスを生成するリセット用クロックパルス発生回路62、電源投入時においてリセット信号を生成する初期リセット回路64、後述する副制御回路200に対してコマンドを供給するためのシリアル通信用IC72を備えている。また、これらのリセット用クロックパルス発生回路62、初期リセット回路64、シリアル通信用IC72は、メインCPU66に接続されている。
【0110】
なお、このリセット用クロックパルス発生回路62は、後述するシステムタイマ割込処理を実行するために、所定の周期(例えば2ミリ秒)毎にクロックパルスを発生する。なお、このシリアル通信用IC72は、各種のコマンドを副制御回路200(副制御回路200に含まれる各種の手段)へ送信する送信手段に相当する。
【0111】
また、主制御回路60には、各種の装置が接続されており、例えば図5に示すように、Vカウントセンサ102、カウントセンサ104、一般入賞球センサ106、通過球センサ114、排出路監視センサ115、始動入賞球センサ116、大入賞口ソレノイド120、シーソーソレノイド122、バックアップクリアスイッチ124が接続されている。
【0112】
ここで、前記Vカウントセンサ102は、大入賞口8におけるVゾーン内に設けられている。このVカウントセンサ102は、大入賞口8におけるVゾーンを遊技球が通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0113】
カウントセンサ104は、大入賞口8におけるVゾーンとは異なる一般入球ゾーンに設けられている。このカウントセンサ104は、大入賞口8における一般入球ゾーンを遊技球が通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0114】
一般入賞球センサ106は、一般入賞口5に設けられている。この一般入賞球センサ106は、各一般入賞口5を遊技球が通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0115】
通過球センサ114は、球通過検出ゲート55にそれぞれ設けられている。この通過球センサ114は、球通過検出ゲート55を遊技球が通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0116】
特に、排出路監視センサ115は、連動手段Xや開閉役物Y1、Y2、Y3の動作状態を検知するための磁気センサや光学センサ、機械可動式センサなどであり、連動手段Xや開閉役物Y1、Y2、Y3の可動片58の動作に応じてその動作信号を主制御回路60内部のメインCPU66に送信するものである。
【0117】
そして、この動作信号を受信するとメインCPU66は、図4に示すように、液晶表示装置32に遊技球排出路Rを含む所定箇所を強調演出する演出画像を表示させるためのコマンドを後述する副制御回路200に送信して、副制御回路200により所定の演出画像を透明遊技盤14を介して遊技者が視認できるようにしている。
【0118】
このように、本実施の形態において排出路監視センサ115とメインCPU66と副制御回路200とは、遊技球排出路R、この遊技球排出路R内部における遊技球の動き、連動手段X、開閉役物Y1、Y2、Y3に関連した演出画像を液晶表示装置32を用いて透明遊技盤14上の演出表示可能領域Aに表示させる演出表示制御手段としても機能している。
【0119】
始動入賞球センサ116は始動口6に設けられている。この始動入賞球センサ116は、始動口6に遊技球が入賞した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0120】
大入賞口ソレノイド120は、大入賞口8を開閉するシャッタ40(図1を参照)に接続されており、メインCPU66から供給される駆動信号に応じて、シャッタ40を駆動させ、大入賞口8を開放状態又は閉鎖状態とする。
【0121】
シーソーソレノイド122は、板形状でシャッタ40の内側に設けられている図示しないシーソーに接続されており、メインCPU66から供給される駆動信号に応じて、シーソーを変位させ、そのシーソーの傾斜を変更する。このシーソーが傾斜された結果、遊技球が前記Vゾーンを通過しやすくなるように、又は前記一般入球ゾーンを通過しやすくなるように切り替えることとなる。
【0122】
バックアップクリアスイッチ124は、パチンコ遊技機10に内蔵されており、電断時等におけるバックアップデータを遊技場の管理者の操作に応じてクリアする機能を有するものである。また、主制御回路60には、払出・発射制御回路126が接続されている。この払出・発射制御回路126には、賞球となる遊技球の払出を行う払出装置128、遊技球の発射を行う発射装置130、カードユニット150が接続されている。
【0123】
この払出・発射制御回路126は、主制御回路60から供給される賞球制御コマンド、カードユニット150から供給される貸し球制御信号を受け取り、払出装置128に対して所定の信号を送信することにより、払出装置128に遊技球を払い出させる。また、払出・発射制御回路126は、発射装置130に対して発射信号を供給することにより、遊技球を発射させる制御を行う。また、前記発射装置130には、上述した発射用ソレノイド(あるいは発射用モータ)、タッチセンサ等の遊技球を発射させるための装置が備えられている。
【0124】
また、シリアル通信用IC72には、副制御回路200が接続されている。この副制御回路200は、主制御回路60から供給される各種のコマンドに応じて、液晶表示装置32における表示制御、スピーカ46から発生させる音声に関する制御、各種ランプ132の制御等を行うものであり、さらには、演出表示可能領域Aにおける中央表示領域や周辺表示領域の位置を切り換えて制御する演出表示制御手段としても機能する。なお、本実施形態においては、主制御回路60から副制御回路200に対してコマンドを供給するとともに、副制御回路200から主制御回路60に対して信号を供給できないように構成している。
【0125】
副制御回路200は、様々な演出画像を表示手段に表示する制御を行う演出表示制御手段としての機能を有するサブCPU206、記憶手段としてのプログラムROM208、ワークRAM210、液晶表示装置32における表示制御を行うための表示制御回路250、スピーカ46R,46Lから発生させる音声に関する制御を行う音声制御回路230、各種ランプ132の制御を行うランプ制御回路240から構成されており、主制御回路60からの指令コマンドに応じて遊技の進行に応じた演出を実行する。
【0126】
サブCPU206には、プログラムROM208、ワークRAM210等が接続されており、このプログラムROM208に記憶されたプログラムに基づいて、各種の処理を実行する機能を有する。
【0127】
また、サブCPU206は、主制御回路60から供給される各種のコマンドに従って、副制御回路200の制御を行うものであるが、本実施の形態では、特に、遊技球排出路R、この遊技球排出路R内部における遊技球の動き、連動手段X、開閉役物Y1、Y2、Y3に関連した演出画像を液晶表示装置32を用いて透明遊技盤14上の演出表示可能領域Aに表示させる制御を行う演出表示制御手段をはじめ、後述する各種の手段として機能することとなる。
【0128】
プログラムROM208には、サブCPU206によりパチンコ遊技機10の遊技演出を制御するためのプログラムが記憶されており、演出表示に関する決定を行うための設定条件を規定した各種のテーブルデータも記憶されている。
【0129】
さらに、プログラムROM208には、演出表示の進行に関する条件を規定する複数種類の演出プログラムが記憶されている。この演出プログラムで制御される副制御回路200による演出表示は、識別情報の変動表示及び停止表示を含む可変表示ゲームの進行に応じて実行される。
【0130】
なお、本実施形態に係る副制御回路200において、プログラム、テーブル等を記憶する記憶手段としてプログラムROM208を用いるように構成したが、これに限らず、制御手段を備えたコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体であれば別態様であってもよく、例えば、ハードディスク装置、CD−ROM及びDVD−ROM、ROMカートリッジ等の記憶媒体に記録されていてもよい。もちろん、記憶手段としてメインROM68を用いてもよい。また、これらのプログラムは、予め記録されているものでなくとも、電源投入後にこれらのプログラムをダウンロードし、ワークRAM210等に記録されるものでもよい。更にまた、プログラムの各々が別々の記憶媒体に記録されていてもよい。
【0131】
さらに、本実施形態において、メインCPU66及びメインROM68を含む主制御回路60と、サブCPU206及びプログラムROM208を含む副制御回路200とを別々に構成したが、メインCPU66及びメインROM68を含む主制御回路60のみで構成してもよく、この場合には、上述したプログラムROM208に記憶されているプログラムをメインROM68に記憶させ、メインCPU66により実行されるように構成してもよい。もちろん、サブCPU206及びプログラムROM208を含む副制御回路200のみで構成するようにしてもよく、この場合には、上述したメインROM68に記憶されているプログラムをプログラムROM208に記憶させ、サブCPU206により実行されるように構成してもよい。ワークRAM210は、サブCPU206の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。例えば、演出パターンを選択するための演出表示選択用乱数カウンタ等、各種の変数等が位置付けられている。なお、本実施形態においては、サブCPU206の一時記憶領域としてワークRAM210を用いているが、これに限らず、読み書き可能な記憶媒体であればよい。
【0132】
表示制御回路250は、表示制御手段としての画像データプロセッサ(以下、VDPと称する。)212、各種の画像データを記憶する画像データROM216、画像データを画像信号として変換するD/Aコンバータ218、電源投入時においてリセット信号を生成する初期リセット回路220から構成されている。上述したVDP212は、サブCPU206、画像データが記憶されている画像データROM216、画像データを画像信号に変換するD/Aコンバータ218、初期リセット回路220と接続されている。
【0133】
このVDP212は、いわゆるスプライト回路、スクリーン回路、及びパレット回路等の回路を含み、液晶表示装置32に画像を表示させるための種々の処理を行うことができる装置である。つまり、VDP212は、液晶表示装置32に対する表示制御を行う。また、VDP212には、液晶表示装置32の演出表示可能領域Aに画像を表示するためのバッファとしての記憶媒体(例えば、ビデオRAM)を備えている。この記憶媒体の所定の記憶領域に画像データを記憶することによって、所定のタイミングで液晶表示装置32に所定の画像が表示されることとなる。画像データROM216には、識別情報を示す識別情報画像データ、背景画像データ、演出画像データ、さらには、遊技球排出路R、この遊技球排出路R内部における遊技球の動き、連動手段X、開閉役物Y1、Y2、Y3に関連した演出画像データ等の各種の画像データが別個に記憶されている。
【0134】
また、VDP212は、サブCPU206から供給される画像表示命令に応じて、画像データROM216から、識別情報を示す識別情報画像データ、普通図柄を示す普通図柄画像データ、背景画像データ、演出画像データ等、各種の画像データを読み出し、液晶表示装置32に表示させる画像データを生成する。特に、本実施形態では、特定の開閉役物Y1に遊技球が入球したことを契機として、遊技球排出路R、この遊技球排出路R内部における遊技球の動き、連動手段X、開閉役物Y1、Y2、Y3に関連した演出画像のデータを読み出し、液晶表示装置32に表示させるこの画像データを再生するようにしてもよい。
【0135】
さらに、このVDP212は、生成した画像データを、後方に位置する画像データから順に重ね合わせてバッファに記憶し、所定のタイミングでD/Aコンバータ218に供給する。このD/Aコンバータ218は、画像データを画像信号として変換し、この画像信号を液晶表示装置32に供給することにより、液晶表示装置32の各表示領域に画像を表示させる。
【0136】
また、音声制御回路230は、音声に関する制御を行う音源IC232、各種の音声データを記憶する音声データROM234、音声信号を増幅するための増幅器236(以下、AMPと称する。)から構成されている。この音源IC232は、サブCPU206、初期リセット回路220、音声データROM234、AMP236と接続されている。この音源IC232は、スピーカ46から発生させる音声の制御を行う。
【0137】
サブCPU206は、演出パターンを選択し、音声データROM234に記憶されている複数の音声データから一つの音声データを選択する。その後、サブCPU206は、選択された音声データを音声データROM234から読み出し、音源IC232に供給する。音声データを受け取った音源IC232は、その音声データを所定の音声信号に変換し、その音声信号をAMP236に供給する。AMP236は、音声信号を増幅させ、スピーカ46(46L及び46R)から音声を発生させる。ランプ制御回路240は、ランプ制御信号を供給するためのドライブ回路242、複数種類のランプ装飾パターン等が記憶されている装飾データROM244から構成されている。
【0138】
特に、本実施の形態におけるサブCPU206は、音声データROM234から連動手段Xの動作に関連した音声データを読出して音源IC232に供給し、この音声データを音源IC232により再生させるようにすることもできる。
【0139】
(排出路演出表示制御ルーチンの説明)
以上のように構成されたパチンコ遊技機10は、メインROM68に格納されている遊技プログラムに基づいて動作するものであり、特に、本発明の要部である遊技球排出路R内での遊技球の挙動及び連動手段Xの動作に関連した演出画像の表示を行う処理に関しても、この遊技プログラムに基づいて行われるものである。
【0140】
以下に、遊技球排出路R内での遊技球の挙動及び連動手段Xの動作に関連した演出画像の表示を行う処理である排出路演出表示制御ルーチンについて、そのフローチャート(図6)を参照しながら以下に説明する。
【0141】
排出路演出表示制御ルーチンは、透明遊技盤14の裏面側に配設された遊技球排出路R内を遊技球が移動したことや遊技球排出路R近傍の構成部材の動作を、排出路監視センサ115により検知した場合に、演出表示制御手段が、この遊技球排出路Rやその周辺の背後位置を強調するように、液晶表示装置32を用いて透明遊技盤14上に形成した演出表示可能領域A上で演出表示させる画像処理のルーチンである。
【0142】
すなわち、メインCPU66が、遊技球駆動部であるトグル動作部U、Dや開閉役物Y1、Y2、Y3などを相互に連結した連動手段Xの動きや、遊技球排出路R内部での遊技球の動きを排出路監視センサ115によって検知したことを示すセンサ信号を受信した場合に、サブCPU206がメインCPU66からの指令を受けて、この遊技球排出路R近傍の構成部材の動作を強調するような演出画像を液晶表示装置32を用いて効果的に表示させるようにしたものである。
【0143】
なお、排出路演出表示制御ルーチンのプログラムは、メインROM68やプログラムROM208などに記憶させておき、このプログラムをメインCPU66が読み出して実行することにより上記した演出表示を行うことができる。
【0144】
図6に示すように、排出路演出表示制御ルーチンにおける最初のステップS1において、メインCPU66は、パチンコ遊技機10の透明遊技盤14に設けられた排出路監視センサ115から遊技球駆動部であるトグル動作部U、Dや開閉役物Y1、Y2、Y3などを相互に連結する連動手段Xの状態、又は、遊技球排出路R内部の状態を示すセンサ信号を受信する。
【0145】
そして、このセンサ信号に基づいて、遊技球排出路Rに遊技球が入球したか否かを判定する。
【0146】
ここで、遊技球排出路Rに遊技球が入球したと判断した場合は、処理をステップS2へ移し、遊技球排出路Rに遊技球が入球していないと判断した場合は、処理をステップS3へ移す。
【0147】
ステップS1において、遊技球排出路Rに遊技球が入球したと判断した場合に、メインCPU66は、サブCPU206に対して連動手段Xが動作している側の遊技球排出路R近傍を強調する演出を行わせるための指令コマンドを送信する。
【0148】
サブCPU206は、この指令コマンドを受信すると、この指令コマンドに従って演出表示を行う表示領域を設定するとともに、この表示領域に表示する演出画像のデータを画像データROM216から読出して処理をステップS4へ移す(ステップS2)。
【0149】
ステップS4においてサブCPU206は、前記設定された表示領域にステップS2で画像データROM216から読出した画像データに対してVDP212とD/Aコンバータ218とを用いて所定の信号処理を行い、液晶表示装置32に図4に示す演出画像Gを表示させる表示領域演出処理を行い、その後、メインプログラムのルーチンにリターンされる。なお、前記ステップS1に続くステップS3では、必要に応じて演出表示可能領域Aの周辺表示領域や中央表示領域に識別情報群などの変動表示させる通常表示処理がなされる。
【0150】
このように、排出路演出表示制御ルーチンに基づいた処理を行うことによって、遊技球が遊技球排出路Rに入球したタイミングで開閉役物Y1、Y2、Y3の動作、連動手段Xの動作、遊技球排出路R内部における遊技球の動きなどを強調した演出表示を行うことができる。
【0151】
なお、本発明の実施形態は具体例を例示したに過ぎず、これによって本発明を限定するものではない。すなわち、透明遊技盤14や表示手段などの具体的構成や識別図柄などを含む演出画像の形態は、適用される遊技機の形態に応じて適宜変更することができる。また、本実施の形態の変容例では透明遊技盤14上に配置される開閉役物Y1、Y2、Y3をそれぞれ連動手段Xを介して連結された左右2系列のものとしたが、この開閉役物Y1、Y2、Y3を単系列としたり3以上の系列のものとしてもよい。具体的な連動手段Xの構成部材や開閉役物Y1、Y2、Y3の形態その配置、開閉役物Y1、Y2、Y3の作動時における演出パターンなどは以上説明した構成のものに限定されるものではなく、必要に応じて異なるデザインのものに設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本実施形態に係る遊技機の一例であるパチンコ遊技機の正面図である。
【図2】同パチンコ遊技機における遊技盤周りの分解斜視図である。
【図3】同パチンコ遊技機の連動手段の配置形態を示す模式図である。
【図4】同パチンコ遊技機における演出表示の状態を示す模式図である。
【図5】同パチンコ遊技機の主制御回路及び副制御回路を示すブロック図である。
【図6】同パチンコ遊技機の排出路演出表示制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
【0153】
10 パチンコ遊技機(遊技機)
14 透明遊技盤
32 液晶表示装置(表示手段)
58 可動片
115 排出路監視センサ
A 演出表示可能領域
Y1、Y2、Y3 開閉役物
R 遊技球排出路
Ra 左分岐排出路
Rb 右分岐排出路
G 演出画像
U 上側トグル動作部
D 下側トグル動作部
K 固定回転軸
S 回転部材
T 上側回動部材
T' 下側回動部材
H ロッド部材
X 連動手段
V 流路切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射された遊技球を上部側から下部側へ流下案内可能とし一部又は全部が透明部材により形成されて背後が透視可能な透明遊技盤と、
前記透明遊技盤上に設けられ遊技球が入球し難い閉状態と遊技球が入球しやすい開状態とに可動する複数の開閉役物と、
前記透明遊技盤を通して視認されるように当該透明遊技盤の背面側に配設され、前記透明遊技盤に演出表示可能領域を形成するとともに、この演出表示可能領域内において所定の演出画像を表示する表示手段と、
前記透明遊技盤と前記表示手段との間に形成され第1の開閉役物に入球した遊技球を排出する遊技球排出路と、
この遊技球排出路内での遊技球の挙動により、第2の開閉役物を所定時間開状態とする連動手段と、
前記遊技球排出路内での遊技球の挙動及び前記第2の開閉役物の開動作を前記表示手段に演出表示させる演出表示制御手段とを有することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記連動手段は、一部又は全部を透明部材により形成した前記遊技球排出路に、前記第2の開閉役物を開動させる開動手段と、前記第2の開閉役物を閉動させる閉動手段とを設けたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記連動手段は、前記遊技球排出路の上手側に設けた前記開動手段と、前記遊技球排出路の下手側に設けた前記閉動手段とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記遊技球排出路は、途中で複数の経路に分岐させた複数の分岐排出路を有し、前記複数の分岐排出路のそれぞれに前記連動手段及び前記連動手段により開状態とする前記第2の開閉役物を対応させて配設したことを特徴とする請求項1〜請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記複数の分岐排出路における前記開動手段と前記閉動手段との間の経路長を異ならせることによって、各前記第2の開閉役物が開状態となる時間を異ならせたことを特徴とする請求項4に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−26279(P2006−26279A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212955(P2004−212955)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】