説明

遊技機

【課題】「アウト口よりも右斜め上方に配設される大入賞装置」を備える遊技機において、遊技者に無用なストレスを与える可能性を低くすること
【解決手段】遊技領域11の最下部に遊技球を排出するアウト口を設けられた遊技盤10と、遊技領域11のうちでアウト口の右斜め上方に配設され、大入賞口(右大入賞口35a)及びその開閉を行う開閉部材(開閉板35b)を具備する大入賞装置(右大入賞装置35)と、を備える。大入賞口の真下に、大入賞口に入賞しない遊技球を受け入れる受入部98と、受入部98に受け入れられた遊技球を流下させる樋98Tと、表示装置(右下表示装置60)とを一体化してなる盤面装飾体90を設ける。樋93Tを流下する遊技球を遊技領域11外に排出する排出口30Yを盤面装飾体90で覆われる部位に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、いわゆるセブン機、羽根物、権利物又はアレンジボール等の弾球式の遊技機に対して適用することができる。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機は、外枠と、本体枠(中枠)と、この本体枠に保持された遊技盤と、遊技盤の盤面(前面部)を覆う透明板(ガラス板)を具備する前面枠と、を備える。また、この種の遊技機では、遊技盤の盤面において外側レールと内側レールとが略円形若しくは略楕円形に取り囲んで構成される遊技領域に、各種の入賞装置(大入賞装置、始動入賞装置、その他の入賞装置等)、通過ゲート、演出表示装置、障害釘等が配設され、遊技領域の最下部には遊技球を遊技領域外(遊技盤裏面側)に排出するためのアウト口が設けられている。
【0003】
発射装置で打ち出され、遊技領域の左上部の球入口から遊技領域に進入する遊技球は、この遊技領域を流下する。そして、この流下する遊技球が、何れかの入賞装置に入賞する場合には、所定数の遊技球が払い出され、何れの入賞装置にも入賞せずに遊技領域の最下部に到達した場合には、盤面前方に開口するアウト口を通じて遊技盤の後方に排出される。
【0004】
この種の遊技機では、遊技領域に打ち出された遊技球が始動入賞装置に入賞することに起因して、大当りか否かの判定(つまり、当否判定)が行われる。かかる場合、可変表示装置において、特別図柄を用いた演出表示(変動表示)を所定時間に渡って行った後、当否判定の結果を示す停止図柄が一定時間(例えば、0.6秒)に渡って停止表示される。そして、この当否判定の結果が「大当り」である旨の停止図柄(大当り図柄)が可変表示装置に停止表示されると、遊技機は大当り遊技(特別遊技)を開始し、「大入賞装置を構成する開閉部材」の開放動作を行って、閉鎖状態にある大入賞装置を開放状態に変化させ、「大入賞装置を構成する大入賞口」への遊技球の入賞が可能となる。この後、大入賞口に所定個数の遊技球が入賞するか、所定時間が経過することにより、一旦、開閉部材の閉鎖動作を行い、大入賞装置を閉鎖状態とし、開閉部材に施される「1回の単位駆動」を完了する。この「開閉部材の単位駆動」が、所定の回数(所謂、「ラウンド数」)だけ繰り返されると、この遊技機は大当り遊技を終了する。
【0005】
この種の遊技機の中には、遊技領域の右側の領域(遊技領域のうちで、アウト口よりも右斜め上方に位置する右側領域)に大入賞装置(以下、この配設位置の大入賞装置を「右アタッカー」という。)を配設したものがある(特許文献1を参照)。例えば、(a)遊技領域の中央最下部寄りに、大入賞装置(以下、この配設位置の大入賞装置を「中アタッカー」という。)を配設するとともに、遊技領域の右側の領域に、「右アタッカー」を配設した遊技機や、(b)遊技領域に「中アタッカー」を配設せずに、遊技領域の右側の領域に、「右アタッカー」を配設した遊技機等が従来より用いられている。これらの遊技機においては、「右アタッカーを開閉する大当り遊技」を開始すると、通常、遊技者は、「球入口から遊技領域に進入する遊技球」が右側領域を流下するように発射装置を操作することになる。以下の説明において、「右側領域を遊技球が流下するように、発射装置を操作すること」を「右打ち」と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−340895号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の「右アタッカーを備える遊技機」では、前述のように、何れの入賞装置にも入賞しなかった遊技球は、一律に、遊技領域の最下部のアウト口を通じて遊技領域外に排出される。このため、「右アタッカーを開閉する大当り遊技」を開始し、遊技者が右打ちを行った場合においても、「右アタッカーに入賞しない遊技球」は、そのまま中央最下部アウト口まで導かれて排出されることになる。
【0008】
ところが、図36に示すように、「右アタッカー131Rから中央最下部のアウト口118までの距離D1」は、遊技領域11の中央最下部に中アタッカー131Cを設けた場合の「中アタッカー131Cから中央最下部アウト口118までの距離D2」に比べて長くなるので、「右アタッカー131Rに入賞しない遊技球が中央最下部アウト口118に導かれる様子」が遊技者に目に付き易くなる。この結果、「右アタッカーを開放させる大当り遊技」中において、「無駄球が発生している印象」を遊技者に与え易くなる。このため、遊技者に無用なストレスを与える可能性があるという、問題点を有している。
【0009】
なお、「右打ち」を行った場合には、その他の場合に比べて、右アタッカーの周囲に遊技球が到達する頻度が高くなることが、前述の問題点(遊技者に無用なストレスを与える可能性があるという問題点)の発生に一層の拍車をかけることとなる。つまり、遊技領域11に進入した遊技球が、右アタッカー131Rを目指して右側領域を流下し、右アタッカー131Rの周辺に到達するまでの時間は、中アタッカー131Cを目指して中アタッカー131Cの周辺に到達するまでの時間に比べて短くなるのが一般的である。しかも、右アタッカー131Rを目指して流下する遊技球の方が、中アタッカー131Cを目指して流下する遊技球に比べて、他の入賞装置(始動入賞装置、その他の入賞装置等)に入賞したり、遊技領域11の略中央の中央装置に入球する可能性が低くなるため、「右打ち」を行った場合に、右アタッカー131Rの周囲に遊技球が到達する頻度が高くなる。この点からも、「右アタッカー131Rを開放させる大当り遊技中」に、「無駄球が発生している印象」を遊技者に与え易くなるからである。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、「アウト口よりも右斜め上方の部位に配設される大入賞装置」を備える遊技機において、遊技者に無用なストレスを与える可能性を低くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の遊技機は、
遊技球を流下させる遊技領域が盤面に設けられるとともに、前記遊技領域の最下部まで流下した遊技球を前記遊技領域外に排出するためのアウト口が設けられた遊技盤と、
前記遊技領域のうちで前記アウト口よりも右斜め上方の部位に配設されるとともに、前記盤面の前方に開口する大入賞口と、前記大入賞口の開閉を行う開閉部材とを具備する大入賞装置と、
を備え、
前記開閉部材の状態が、前記大入賞口への遊技球の入賞が不可能となるように前記大入賞口を閉鎖する閉鎖状態から、前記大入賞口への遊技球の入賞が可能となるように前記大入賞口を開放する開放状態に変化する遊技機であって、
前記大入賞口の真下の部位に、前記大入賞口に入賞しない遊技球を受け入れる受入部と、該受入部に受け入れられた遊技球を流下させる樋と、遊技進行状況に応じて表示態様が変化する表示装置と、を一体化してなる盤面装飾体を設けるとともに、
前記盤面装飾体を構成する前記樋を流下する遊技球を、前記遊技領域外に排出するための排出口を、前記遊技盤の前記盤面装飾体で覆われる部位に設けることを特徴とする。
【0012】
以下の説明において、「遊技領域のうちで、アウト口よりも右斜め上方の部位に配設される大入賞装置」を「右大入賞装置」若しくは「右アタッカー」と称し、この「右大入賞装置」を構成する大入賞口を「右大入賞口」と称することがある。また、「遊技領域のうちで、アウト口の真上の部位に配設される大入賞装置」を「中大入賞装置」若しくは「中アタッカー」と称し、この「中大入賞装置」を構成する大入賞口を「中大入賞口」と称することがある。
【0013】
請求項1の発明の遊技機では、「右大入賞口(大入賞口)」の閉鎖時に、この右大入賞口に向けて流下する遊技球の殆どを、盤面装飾体の受入部で受け入れて機外に排出するので、右大入賞口に入賞しない遊技球が遊技者に視認される頻度を抑えることができる。これにより、無駄球の量が少ない印象を与えることができる。つまり、右大入賞口に入賞しない遊技球が、あからさまに無駄球(アウト球)として排出される印象を遊技者に与え難くすることができる。従って、請求項1の発明の遊技機によると、遊技者に無用なストレスを与える可能性を低くできる。
【0014】
なお、前述の従来例(特開2006−340895号)に示す問題点を、「右アタッカー(アウト口よりも右斜め上方の部位に配設される可変入賞装置)に入賞しない遊技球を、遊技領域の中央側へ導いて他の入賞口へ入賞させる可能性を持たせること」で、解消せんとすることも考えられる(以下、「設例1」という。)。しかしながら、この設例1の場合には、「遊技領域の右側に向けて発射された遊技球を遊技領域の中央側へ導くためのゲージ構成」を構築しなければならず、その分、盤面装飾(デザイン、装飾用電飾配置など)に制約を生じる虞がある。この結果、盤面装飾が低下し、遊技中の遊技者(特に、思い通りの出球を獲得できなかった遊技者、遊技盤面の装飾を楽しむ遊技者)に無用なストレスを与える可能性が高くなる。
【0015】
また、右アタッカーの下方に「第2のアウト口」を設けるとともに、この「第2のアウト口」は、「固定式の入賞口」の如き外観(上方から流下する遊技球を受け入れるポケットの如き外観)としたり、「可変式の入賞口」の如き外観(可変入賞装置)とすることも考えられる(以下、「設例2」という。)。ところが、この設例2では、「第2のアウト口」に遊技球が誘導される際、その様子が「遊技球の入賞」と誤認される虞があり、この場合、遊技者に無用なストレスを与える可能性が更に高くなる。つまり、遊技者は、「遊技球が入賞したのにもかかわらず、賞球を生じない」と誤認し、無用なストレスを生ずる可能性が更に高くなる。
【0016】
更に、この設例2に示す「第2のアウト口」では、その上方に位置する「右アタッカー」の開閉部材によって開閉されるものではなく、右アタッカーが開放状態にあるときにも、遊技球が「第2のアウト口」に導かれる印象を遊技者に与え易い。このため、右アタッカーに入賞しない遊技球が、「あからさまにアウト球として排出される印象」を遊技者に与え易い。つまり、この設例2においては、「アタッカーに入賞しない遊技球が第2のアウト口に導かれる様子」が、遊技者の目に付き易くなるため、この点からも、遊技者に無用なストレスを与える可能性がある。
【0017】
一方、請求項1の発明の遊技機では、盤面装飾体で覆われる部位に排出口が設けられるため、「遊技球を遊技領域の中央側へ導くためのゲージ構成」を構築する必要がなく、盤面装飾に制約が生ずるのを抑えることができる。また、表示装置が一体化された盤面装飾体の背後に、右大入賞口に入賞しない遊技球を処理するための処理部(排出口)を設ける構成であり、この処理部が、「入賞口(固定式若しくは可変式)」の如き外観を呈しないため、遊技者に「遊技球が入賞したのにもかかわらず、賞球を生じない」との誤認を生じさせることはない。更に、右大入賞口の正面前方に盤面装飾体を設けることで、前方から盤面を視認する遊技者にとっては、右大入賞口に入賞する遊技球と、盤面装飾体の背後で排出させる遊技球との区別が、前述の設例2と比べて付き難くなるため、この点からも、遊技者に無用なストレスを与える可能性を低くできる。
【0018】
各請求項の発明では、大入賞装置として、「アウト口よりも右斜め上方の部位に配設される大入賞装置(各請求項に示す大入賞装置であって、前述の右アタッカーと同様な大入賞装置)のみを備えてもよいし、他の大入賞装置(例えば、遊技領域の中央最下部寄りに配設される大入賞装置であって、前述の中アタッカーと同様な大入賞装置や、アウト口よりも左斜め上方の部位に配設される大入賞装置)を備えてもよい。なお、各請求項の発明の遊技機は、遊技領域に配設される始動入賞装置に遊技球が入球することに起因して大当りか否かを当否判定し、この当否判定の結果が大当りである場合に、「閉鎖状態にある可変入賞装置を開放状態に変化させる大当り遊技」を実行する。
【0019】
各請求項の発明の「大入賞装置」としては、(a)盤面前方に開放される右大入賞口と、右大入賞口の下部に傾動可能に支持される開閉部材(開閉板)とを備え、開閉部材(開閉板)が右大入賞口を閉鎖する起立姿勢と、右大入賞口を開放する前傾姿勢との間で姿勢変更可能とされる大入賞装置(後述する実施例1を参照)、(b)盤面前方に開放される右大入賞口と、右大入賞口の前後に進退可能に配設される開閉部材(例えば、舌片状部材)とを備え、開閉部材が右大入賞口を閉鎖しつつ右大入賞口の前方に突出しない後退位置と、右大入賞口を開放しつつ右大入賞口の前方に突出する前進位置と、の間を進退可能とされる大入賞装置(後述する実施例2を参照)、(c)盤面に沿った方向に方向(盤面側方)に開放される右大入賞口と、盤面が突出する方向に配設される揺動軸を基準に揺動可能に配設される開閉部材(羽根状部材)とを備え、開閉部材が右大入賞口を閉鎖する基本姿勢と、右大入賞口を開放するように揺動した開放姿勢と、の間で姿勢変更可能とされる大入賞装置(後述する実施例3を参照)等を例示できる。
【0020】
各請求項の発明の「表示装置」としては、「7セグメントLED表示体を用いた表示装置」、液晶表示装置(液晶ディプレイ)、プラズマディプレイ、CRTディプレイ等の各種表示装置等を例示できる。
なお、各請求項の発明の遊技機が、
大当りを発生させるか否の当否判定を行う当否判定手段を構成するとともに遊技の基本進行を司る主制御部によって表示制御され、前記当否判定の結果を、変動表示を経て確定表示する主可変表示手段と、
前記主制御部から送信される表示制御コマンドを受信する副制御部によって表示制御され、前記当否判定の結果を、変動表示を経て確定表示するとともに前記演出手段を構成する前記演出表示手段と、を備えてもよい。
【0021】
この場合、主可変表示手段と演出表示手段とが別個の表示装置で構成されてもよいし、同一の表示装置が構成する表示部のうちの異なる部分によって構成されてもよい。また、主可変表示手段と演出表示手段とを備える遊技機では、通常、演出表示手段の表示内容の方が、主可変表示手段の表示内容よりも遊技者にとって認識容易とされる。例えば、(a)演出表示手段の方が主可変表示手段よりも大きな図柄を表示すること、(b)演出表示手段では文字・数字として成立する図柄を表示し、主可変表示手段では文字・数字として成立しない図柄を表示すること、(c)主可変表示手段よりも演出表示手段の方を遊技盤面の中央寄りに配設すること、或いは、(a)〜(c)のうちの2つ以上を行うこと等によって、演出表示手段の表示内容の方が主可変表示手段の表示内容よりも認識容易とされる。なお、表示制御コマンドとしては、変動パターン決定手段が決定した変動パターンを特定するための変動パターン指定コマンド、特別図柄停止情報指定コマンド(後述する。)、停止図柄指定コマンド(後述する。)などを例示できる。
【0022】
更に、主可変表示手段と演出表示手段とが別個の表示装置で構成される場合、主可変表示手段を各請求項の発明の「表示装置」とし、演出表示手段を「遊技領域の略中央に配設される中央装置(メイン役物装置)」に設けることができる。
【0023】
請求項2の発明の遊技機は、請求項1に記載の遊技機において、
前記開閉部材は、前記閉鎖状態にあるときに、前記受入部が遊技球を受入可能となるように前記受入部を開放し、
前記開放状態にあるときに、前記受入部の全体若しくは一部が遊技球を受入不可能となるように前記受入部を閉鎖することを特徴とする。
【0024】
請求項2の発明では、開閉部材が開放状態にあるときに、この開閉部材によって受入部の全体若しくは一部が遊技球を受入不可能となるように閉鎖されるため、遊技者が「受入部の存在」を、気づき難くすることができる。
【0025】
請求項3の発明の遊技機は、請求項1又は2に記載の遊技機において、
前記大入賞口の左側方の部位には、前記大入賞口よりも前方に突出する案内用突出部が設けられることを特徴とする。
【0026】
請求項3の発明は、右大入賞口の側方に案内用突出部が設けられる。このため、「遊技領域を流下して、右大入賞口の周辺に到達した遊技球」が、「右大入賞口の左側方に逃げようとする流下経路」を通過しようとしても、案内用突出部に衝突して、右大入賞口に入賞したり、受入部に受け入れられる可能性を高くできる。つまり、「右大入賞口が開放状態となる大当り遊技」の実行時に、右大入賞口に入賞せず、遊技領域最下部のアウト口に向かおうとする遊技球が、右大入賞口に入賞したり、受入部に受け入れられるため、「無駄球(アウト球)として排出される排出される印象」を、遊技者により一層、与え難くきる。従って、請求項3の発明の遊技機によると、遊技者に無用なストレスを与える可能性を更に低くできる。
【0027】
請求項4の発明の遊技機は、請求項1〜3の何れか一項に記載の遊技機において、
前記大入賞装置において前記大入賞口の後方の部位には、前記大入賞装置に入賞した入賞球を検出するための検出手段と、該入賞球を該検出手段に誘導するための誘導部とが設けられるとともに、
前記検出手段及び前記排出口は、前記大入賞口の左端部及び右端部から選択される一端部に近接する側に配設されるとともに、
前記誘導部及び前記樋は、前記一端部に近接する側に向かって下る経路を、左右方向に沿って形成することを特徴とする。
【0028】
請求項4の発明の遊技機によると、遊技盤の正面に位置する遊技者に対して、「右大入賞口に入賞後した遊技球の進行経路」と、「受入部に受け入れられる遊技球の進行経路」とが似通った印象を与えることができる。つまり、「受入部に受け入れる遊技球の進行経路」が、「右大入賞口に入賞して賞球を生じさせる場合の遊技球の進行経路」とが似通ったものとなるため、「右大入賞口に入賞しない遊技球が、あからさまに無駄球(アウト球)として排出される印象」を遊技者に更に一層、与え難くすることができる。
【0029】
ここで、請求項4の発明では、(a)検出手段を、大入賞装置における右大入賞口の右端部側の奥側の部位に設け、排出口を右大入賞口の右端部側の下方の部位に設け、誘導部及び樋を左から右へ下る経路を描くように設ける態様と、(b)検出手段を、大入賞装置における右大入賞口の左端部側の奥側の部位に設け、排出口を右大入賞口の左端部側の下方の部位に設け、誘導部及び樋を右から左へ下る経路を描くように設ける態様等を例示できる。
【0030】
ここで、本明細書において、「前」及び「表」は、「遊技機を基準とする前方(つまり、遊技者に近接する方向)」を示し、「後」及び「裏」は、遊技機を基準とする後方(つまり、遊技者から離間する方向)」を示す。また、「左」とは、遊技者から見て「左」であることを示し、「右」とは「遊技者から見て右」であることを示す。更に、本体枠、前面枠、上皿部材、下皿部材等のように、「扉の如く、開閉可能な部材(以下、「扉型部材」という。)」において、「左」、「右」、「前」、「後」等は、これらの扉型部材が使用状態にある場合、つまり、閉鎖された状態にある場合を基準としたものである。
【発明の効果】
【0031】
以上記述したように各請求項の発明によると、「アウト口よりも右斜め上方の部位に配設される大入賞装置」を備える遊技機において、遊技者に無用なストレスを与える可能性を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の各実施例に係る遊技機を示す斜視図である。
【図2】本発明の各実施例に係る遊技機を示す正面図である。
【図3】本発明の各実施例に係る遊技機において本体枠等を説明するための概略的な説明図である。
【図4】本発明の各実施例に係る遊技機において遊技盤を示す正面図である。
【図5】(a)は本発明の各実施例において特別図柄表示部を示す概略的な正面図であり、(b)は本発明の各実施例において演出表示装置の表示画面を示す概略的な正面図である。
【図6】(a)は左下表示装置の概略的な正面図であり、(b)は右下表示装置の概略的な正面図である。
【図7】本発明の各実施例に係る遊技機を示す裏面図である。
【図8】(a)は遊技盤本体の一部を示す正面図であり、(b)は遊技盤本体に下部装置ユニットを装着した状態を説明するための正面図である。
【図9】下部装置ユニットを正面側から見た状態を示す斜視図である。
【図10】下部装置ユニットを背面側から見た状態を示す斜視図である。
【図11】下部装置ユニットを構成するベース基板の斜視図である。
【図12】下部装置ユニットの概略的な横断面図である。
【図13】下部装置ユニットの概略的な縦断面図である。
【図14】下部装置ユニットの概略的な縦断面図である。
【図15】開閉機構を説明する説明図である。
【図16】(a)は開閉機構を説明する説明図であり、(b)は大入賞口入賞通路(第1経路部及び第2経路部)を説明するための説明図である
【図17】下部装置ユニットを遊技盤本体に装着した状態を示す斜視図である。
【図18】(a)は盤面装飾体を示す斜視図であり、(b)は取付ベース及び右下表示装置示す斜視図であり、(c)は樋形成部材を示す斜視図である。
【図19】下部装置ユニットの分解斜視図である。
【図20】(a)は右大入賞装置が開放状態にあるときにおいて、遊技球の通過経路を示す正面図であり、(b)は右大入賞装置が閉鎖状態にあるときにおいて、遊技球の通過経路を示す正面図である。
【図21】(a)は右大入賞装置が開放状態にあるときにおいて、遊技球の通過経路を示す正面図であり、(b)は右大入賞装置が閉鎖状態にあるときにおいて、遊技球の通過経路を示す正面図である。
【図22】本発明の各実施例に係る電子制御装置を示すブロック図である。
【図23】本発明の各実施例に係る電子制御装置を示すブロック図である。
【図24】本発明の各実施例に係る遊技機において、当否判定の結果と、本図柄の内容と、疑似図柄の内容と、大当り遊技内容との関係を示す説明図である。
【図25】(a)及び(b)は各実施例に係る遊技機において主制御部からコマンドが出力される様子を概念的に示した説明図である。
【図26】各実施例に係る遊技機において遊技制御処理を示すフロー図である。
【図27】各実施例に係る遊技機において普通電動役物遊技処理を示すフロー図である。
【図28】各実施例に係る遊技機において特別図柄遊技処理を示すフロー図である。
【図29】各実施例に係る遊技機において特別図柄遊技処理を示すフロー図である。
【図30】各実施例に係る遊技機において当否判定処理を示すフロー図である。
【図31】各実施例に係る遊技機において図柄変動開始処理を示すフロー図である。
【図32】各実施例に係る遊技機において大当り遊技処理を示すフロー図である。
【図33】各実施例に係る遊技機において大当り遊技終了時処理を示すフロー図である。
【図34】(a)及び(b)は実施例2に係る遊技機を説明するための説明図である。
【図35】(a)及び(b)は実施例3に係る遊技機を説明するための説明図である。
【図36】従来例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、発明を実施するための最良の形態を示す実施例について図面に基づいて説明する。以下に示す各実施例では、各請求項に係る発明を、「セブン機」と称する遊技機(パチンコ機)1に適用した各具体例について説明する。
【実施例1】
【0034】
(1)機械的な構造
a.遊技機の全体構造
先ず、この遊技機1の全体構造について、図1〜図3を参照して説明する。この遊技機1は、図1及び図2に示すように、外枠2と、この外枠2に装着された遊技機本体Hと、を備えている。また、外枠2は、パチンコホールの島設備に設けられた設置部位に固定されると共に遊技機本体Hを支持するためのものである。この外枠2は、略矩形状の枠状体によって構成される外枠本体21(図1及び2を参照)と、外枠本体21の前面下部を覆う前板部22とを備えている。
【0035】
遊技機本体Hは、外枠2の左端側上下のヒンジH1、H2(図1を参照)を用いて、外枠2の左端側に回動自在に組み付けてられている。この遊技機本体Hは、遊技機1のうちで外枠2を除く部分であって、図1に示すように、本体枠3と、前面枠4と、上皿部材5と、下皿部材6と、遊技盤10(図4を参照)と、裏機構盤102(図7を参照)等を主要部としている。また、本体枠3は、図3に示すように、外枠2に嵌めこまれ、外枠2に対して開閉可能に軸支されている。尚、本体枠3の右端側には、施錠装置7が装着されている。
【0036】
本体枠3は、全体がプラスチック製であり、図3に示すように、枠状体によって構成されている。この本体枠3は、上半部に窓部3Mを備える枠本体部3bと、枠本体部3bの裏面部から略矩形枠状に突出する突出部3cとを備える。そして、本体枠3は、この突出部3cを用いて遊技盤10を保持するための保持部を構成している。つまり、突出部3cの突端面であって、窓部3Mの左方側の上下と、窓部3Mの右方側の上下には保持具3fが回動可能な状態で装着され、保持具3fの突端部を遊技盤10の後面部に当接させることで遊技盤10が本体枠3により保持されている。
【0037】
本体枠3が遊技盤10を保持したとき、「遊技盤10の前面部10aに構成される遊技領域11」を、窓部3Mによって本体枠3の前方から視認することができる。また、遊技盤10の背面部には、裏機構盤102(図7参照)が装着され、この背面部を覆う状態とされている。なお、遊技球を上皿部材5に払い出すための遊技球払出装置109が、裏機構盤102に配設されている(図7を参照)。
【0038】
前面枠4は、図1に示すように、本体枠3の前面側に配置され、本体枠3の左端に開閉可能に支持されている。この前面枠4はその中央部に視認窓41aを備えている。この視認窓41aは前面枠4の前後に貫通する状態に設けられ、遊技盤10の盤面に形成された遊技領域11(図4参照)の外周形状に対応して略円周状に開設され、前面枠4を閉じたときにその背後に配置される遊技領域11が、この視認窓41aによって前方から視認可能とされる。
【0039】
前面枠4は、図1に示すように、枠本体41と、この枠本体41に装着されるガラス板43と、ガラス板43を枠本体41に保持させるための保持具(図示を省略)とを備える。また、前面枠4の上端部側の左右には、各々スピーカSP1、SP2(図23参照)が内蔵されている。また、本遊技機1においては、前板部22の左右両端にも、スピーカSP3、SP4(図23参照)が内蔵されている。そして、本遊技機1においては、これらのスピーカSP1〜SP4を用いて、遊技状態に応じた効果音その他の音(音声)を発生させる。
【0040】
遊技機本体Hの前面部のうちで前面枠4の下方の部位には、上皿部材5と下皿部材6とが設けられている。すなわち、上皿部材5は前面枠4の下方に配置され、その略容器形状とされる内部に遊技機1から排出される遊技球を受け入れるための受入口5bを備えている。尚、上皿部材5の裏側には、球貸表示基板410(図22参照)及び演出ボタン基板228(図23参照)が設けられ、上皿部材5の上面部には「演出ボタンSW」が配置されている(図1を参照)。
【0041】
図1及び図2に示すように、下皿部材6は上皿部材5の下方に配置されている。この下皿部材6の略中央には、その略容器形状とされる内部に上皿部材5から排出される遊技球を受け入れるための受入口6aを備えている。また、下皿部材6の左端には灰皿6bが設けられ、下皿部材6の右端には発射ハンドル9が設けられている。
【0042】
発射ハンドル9は、その後方の発射装置ユニット(図示を省略)に接続されている。ここで、発射装置ユニットは、球送り装置(図示を省略)から送り出される遊技球を、遊技領域11に発射するためのものである。また、発射ハンドル9には、遊技者が触れていることを検出するタッチスイッチ(タッチセンサ)9aが装着されており、その近傍には、遊技球の発射を一時的に停止するための発射停止スイッチ9bが装着されている。
【0043】
b.遊技盤10の構成
次に、遊技盤10の構成について図4を用いて説明する。この遊技盤10は正面視で略矩形状の合板を用いて構成される遊技盤本体10Aと、この遊技盤本体10Aに装着される各種の盤部品(外側レール12、内側レール13、メイン役物装置20等)が装着されている。
【0044】
遊技盤本体10Aは、正面視で略円形とされる領域形成部10Bを備える。また、遊技盤本体10Aの前面部には、ともに帯状の金属板を用いて構成される外側レール12と、内側レール13とが配設されている。そして、領域形成部10Bの前面部は、この外側レール12及び内側レール13が形成する略円形の周壁によって略包囲されつつ、遊技領域11を構成している。
【0045】
この領域形成部10B(つまり、遊技盤10において遊技領域11内に位置する部位)には、メイン役物装置20と、普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16と、始動入賞装置17と、下部装置ユニット30Uと、左下表示装置50と、2個の一般入賞装置40、41と、多数の障害釘(図示を省略)と、風車19等が配設されている。
【0046】
メイン役物装置20は、取付部材(化粧板)21と、演出表示装置27とを備えている。このうち、取付部材21は、領域形成部10Bの前面部に装着される板状体によって構成され、遊技領域11の上半部のうちで、左端側を除く部位を構成している。この取付部材(化粧板)21には窓部形成孔21dが設けられ、この窓部形成孔21dによって正面視で略矩形状の表示窓21eを構成している。
【0047】
取付部材21の頂部から右側縁部の下端に至る部位は、外側レール12に近接し、頂部から左側縁部の上端に至る部位には、上部装飾部材21nが前方に突出する状態に装着されている。また、取付部材21の左側縁部には、左側装飾部材21qが前方に突出する状態に装着され、取付部材21の下縁部には、ステージ部材21pが前方に突出する状態に装着されている。更に、左側装飾部材21qは、内部に遊技球通路(図示を省略)が形成された造形物21rを備えている。この遊技球通路の進入口は左斜め上方に向かって開口し、遊技領域11を流下する遊技球を、この進入口で受け入れ、メイン役物装置20の内部に進入させる。
【0048】
ステージ部材21pは、その上面部によって遊技球の転動面を構成するが、この転動面は左右の端部から中央部に向かって下る傾斜面とされている。但し、転動面の中央部では上方に向かって僅かに隆起する隆起部とされている。また、ステージ部材21pには、転動面上の遊技球をメイン役物装置20の外部に排出するための排出通路が設けられている。尚、排出通路の入口部21uは、転動面の中央部の背後において、この中央部と連続する位置で開口し、排出通路の出口部21vは、この中央部よりも下方の位置で開口している。
【0049】
本実施例では、遊技領域11を流下し、メイン役物装置20の内部に進入した遊技球は転動面の左端部に到達し、転動面上を右方向に転動し、更に、左方向に転動する。そして、遊技球の勢いが衰えたところで、この遊技球は排出通路を通過してメイン役物装置20外に排出されるか、或いは、転動面の前縁部から、メイン役物装置20外に排出される。尚、出口部21vの直下に、後述する始動入賞装置17が位置している。
【0050】
演出表示装置27は、液晶表示装置によって構成されるものであり、後述する右下表示装置60と同様に、特別図柄の変動表示及び停止表示を行う。但し、この演出表示装置27においては、右下表示装置60における特別図柄の変動表示および停止表示に連動する演出表示(図柄変動表示)を実行する。尚、本実施例では、右下表示装置60が、本図柄(特別図柄の一具体例を示す。)を表示するための表示装置を構成し、演出表示装置27が疑似図柄(特別図柄の他の具体例を示す。)を表示する。
【0051】
演出表示装置27の表示画面27aは、その全体、若しくは、一部を用いて種々の図柄を表示可能である。このには、図5(b)に示すように、3つの疑似図柄表示部27b〜27dと、その他の部分で構成される背景画面表示部27hとが出現することがある。この場合、この疑似図柄表示部27b〜27dは、表示画面27aにおいて横方向に3つ並んで配置される。このように出現する各疑似図柄表示部27b〜27dでは、「疑似図柄」を用いた演出表示(変動表示)と、停止表示等がなされる。また、表示画面27aに疑似図柄表示部27b〜27dが表示されるときには、この表示画面27aのその他の部位によって背景画面表示部27hが表示される。そして、この背景画面表示部27hには、背景を示す図柄(以下、背景図柄という。)を表示したり、この背景図柄と共にキャラクタを示す図柄(以下、キャラクタ図柄という。)を表示することができる。これら「疑似図柄」や「背景図柄」や「キャラクタ図柄」は、演出表示装置27の表示画面27aに表示される「演出図柄」の一具体例を示すものであり、これら「疑似図柄」や「背景図柄」や「キャラクタ図柄」により「図柄変動演出表示」が実現される。
【0052】
普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16は、遊技領域11において、メイン役物装置20の左側方に位置する部位に配設されている。また、この普通図柄作動ゲート16内には普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16s(図22参照)が配設されている。そして、普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16sにより遊技球が検出されることを前提に「普通図柄の変動開始条件(普通図柄の抽選実行条件)」が成立すると、左下表示装置50(後述する。)において、普通図柄の変動表示(具体的は、普通図柄用のランプ装置の点滅表示)を開始する。そして、普通図柄の変動開始後、所定の変動時間を経過すると、普通図柄の確定表示(点灯、若しくは、消滅)がなされる。そして、普通図柄の当り表示(点灯表示)がなされると、普通電動役物17d(後述する。)が、所定時間(例えば、0.5秒)開放駆動される。
【0053】
始動入賞装置17は、ステージ部21dの排出路の直下に位置する部位に配設されている。そして、第1の始動入賞部17aと、第2の始動入賞部17bとを上下に配設した構成を備える。このうち、第1の始動入賞部17aは、上方に開口部、つまり、第1の始動口を開口させたポケット形状を備えている。この第1の始動口は、排出通路の出口部21vの直下に位置するため、排出通路を通過した遊技球は、この第1の始動口を通じて、始動入賞装置17に入賞する確率が高くされている。
【0054】
第2の始動入賞部17bは、第1の始動入賞部17aの略直下に位置すると共に、入口側部分に普通電動役物17dを備えている。この普通電動役物17dは、いわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部が開閉するべく形成されている。つまり、第2の始動入賞部17bは、この一対の翼片部を作動させるための普通電動役物ソレノイド17c(図22参照)を備えている。そして、この一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部が立設され、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
【0055】
始動入賞装置17の内部には、第1の始動入賞部17a、若しくは、第2の始動入賞部17bを遊技球の通過を検出する始動口入賞検出スイッチ17s(図22参照)が配設されている。つまり、第1の始動入賞部17aに入賞した遊技球と、第2の始動入賞部17bに入賞した遊技球は、始動入賞装置17内の同一の通路(図示を省略)を通過し、この通路の経路途中に配設された始動口入賞検出スイッチ17sによって検出される。
【0056】
下部装置ユニット30Uは、遊技領域11のうちで、始動入賞装置17の右側方から下方に至る部位に配設されている。この下部装置ユニット30Uは、中大入賞装置31と、右大入賞装置35と、右下表示装置60とを一体化した装置ユニットである。また、下部装置ユニット30Uは、図8(a)及び(b)に示すように、遊技盤本体10Aの表裏を貫通する取付孔10Hを用いて、遊技盤本体10Aに装着されている。なお、本実施例と異なり、中大入賞装置31と、右大入賞装置35と、右下表示装置60を別体の装置として構成することもできる。また、同図に示すように、始動入賞装置17等の他の装置も、遊技盤本体10Aの表裏を貫通する状態に設けられた取付孔10J用いて、遊技盤本体10Aに装着されている。
【0057】
下部装置ユニット30Uは、図9及び図10に示すように、遊技盤10の前面(盤面)に装着されるベース基板30Bを備える。このベース基板30Bは、図11に示すように、正面形状が略L字形状の板状体で構成され、始動入賞装置17の右側方から下方に至る部位に配設されている。つまり、ベース基板30Bの後方に突出する構成(部品通路形成ボックス80等)を取付孔10Hに挿入し、遊技盤本体10Aの後方に突出させつつ、ベース基板30Bの周縁部を遊技盤本体10Aの前面部にビス止めすることで、固定されている。また、ベース基板30Bにおいて、始動入賞装置17の真下に位置する部位と右側方に位置する部位に、略矩形(正面形状)の開口部30C、30Dが、表裏を貫通する状態に設けられている。そして、始動入賞装置17の真下の開口部30Cが、「中大入賞装置31の大入賞口31a(以下、「中大入賞口31a」という。)」を構成し、始動入賞装置17の右側方の開口部30Dが、「右大入賞装置35の大入賞口35a(以下、「右大入賞口35a」という。)」を構成する。
【0058】
図11に示すように、ベース基板30Bにおいて、始動入賞装置17の右斜め下方に位置する略扇形状(正面形状)が装飾体装着部30Sとされ、この装飾体装着部30Sには、後述する盤面装飾体90が装着される。なお、以下の説明においては、ベース基板30Bのうちで、装飾体装着部30Sの左側方に位置する部位(始動入賞装置17の下方の部分)を「下方部分30V」と称し、装飾体装着部30Sの上方に位置する部位(始動入賞装置17の右側方の部分)を「右側方部分30W」と称することがある。なお、ベース基板30Bの周縁部において、開口部30D(右大入賞口35a)の右端部下方に位置する部位には、切り欠き部30Mが設けられている。この切り欠き部30Mは、取付孔10Hの周縁側の一部と連通しつつ、後述する排出口30Yの一部(前端側の一部)を構成する。
【0059】
図9及び図10に示すように、ベース基板30Bの裏面部において、右大入賞口35aの背後に位置する部位と、中大入賞口31aの背後に位置する部位には、各々通路形成ボックス80、80が突出する状態(後方に突出する状態)に配設されている。なお、両通路形成ボックス80、80は、同様な構成を備えるため、以下、「右大入賞口35aの背後に配設される通路形成ボックス80」について図示し、「中大入賞口31aの背後に配設される通路形成ボックス80」の図示を省略する。
【0060】
右大入賞装置35は、図9及び図12に示すように、右大入賞口35aを開放・閉鎖するための開閉板35bと、この開閉板35bを駆動するための大入賞口ソレノイド35c(図22参照)と、右大入賞口35aへの遊技球の入賞を検出するための右大入賞口入賞検出スイッチ35s(図22参照)と、を備える。また、開閉板35bは、開閉部材の具体例を構成するとともに、その下端部がベース基板30B(右側方部分30W)において、右大入賞口35aの下端側を構成する部位に軸支されることで、傾動可能とされている。また、開閉板35bは正面形状が略矩形とされるとともに、略リブ状の落下防止壁36、38を左右両端から後方に突出させている。これらの落下防止壁36、38は、開閉板35bが前傾姿勢となったときに、開閉板35bの後面部上に到達した遊技球が、この後面部の左右に落下することを防止する機能を有する。なお、以下の説明において、開閉板35bの後面部(後方)及び後述する開閉板31bの後面部(後方)とは、これらの開閉板35b、31bが閉鎖状態(起立姿勢)の場合において、後方を向く面(後方)を指し、「開閉板35b、31bの下端」とは、開閉板35b、31bが閉鎖状態(起立姿勢)の場合において、下方に位置する端部を指す。また、右大入賞口入賞検出スイッチ35sは検出手段の具体例を構成する。
【0061】
図13に示すように、開閉板35bが起立姿勢となると、この開閉板35bが右大入賞口35aを閉鎖するため、右大入賞装置35への遊技球の入賞が不可能となる。一方、図9、図12及び図14に示すように、開閉板35bが、その下端部を支点に前方に傾動して前傾姿勢となると、右大入賞口35aが開放されると共に、開閉板35bの後面部(背面部)が、右大入賞口35a方向に下り傾斜となる誘導面を構成する。つまり、開閉板35bの後面部(背面部)が、「遊技領域11を流下して右大入賞装置35の周囲へ到達した遊技球」を右大入賞口35aに誘導する誘導面を構成する。
【0062】
中大入賞装置31は、図8〜図10に示すように、中大入賞口31aを開放・閉鎖するための開閉板31bと、この開閉板31bを駆動するための大入賞口ソレノイド31c(図15参照)と、中大入賞口31aへの遊技球の入賞を検出するための中大入賞口入賞検出スイッチ31s(図22参照)と、を備える。また、開閉板31bは、その下端部が下方部分30Vにおいて中大入賞口31aの下端側を構成する部位に軸支されることで、傾動可能とされている。また、開閉板31bも、正面形状が略矩形とされるとともに、略リブ状の落下防止壁36、38(図示を省略)を左右両端から後方に突出させている。これらの落下防止壁36、38は、開閉板31bが前傾姿勢となったときに、開閉板31bの後面上に到達した遊技球が、この後面の左右に落下することを防止する機能を有する。
【0063】
開閉板31bが起立姿勢となると、この開閉板31bが中大入賞口31aを閉鎖するため、中大入賞装置31への遊技球の入賞が不可能となり、開閉板31bが、その下端部を支点に前方に傾動して前傾姿勢となると、中大入賞口31aが開放される。また、開閉板31bの後面部(背面部)が「遊技領域11を流下し、右大入賞装置31の周囲へ到達した遊技球」を中大入賞口31aに誘導する誘導面を構成する。
【0064】
通路形成ボックス80は、図10に示すように、上下に2分割可能な部材80U、80Dとを組み合わせて構成されるとともに、前方に開口部80Kを配設した略箱形状を備えている。この開口部80Kは、図12に示すように、対応する大入賞口(右大入賞口35a若しくは中大入賞口31a)と前後に位置合わせされた状態とされるため、対応する大入賞口に入賞した遊技球は、この開口部80Kを通じて、対応する大入賞装置(右大入賞装置35若しくは中大入賞装置31)の内部に受け入れられる。つまり、右大入賞装置35においては、開口部80Kが右大入賞口35aと前後に位置合わせされた状態とされ(図12に図示)、中大入賞装置31においては、開口部80Kが中大入賞口31aと前後に位置合わせされた状態とされている(図示を省略するが図12と同様)。
【0065】
通路形成ボックス80の内部において、開口部80K(右大入賞口35a若しくは中大入賞口31a)の後方に位置する部位には、大入賞口入賞通路80Dが、対応関係にある開閉板(開閉板35b若しくは開閉板31b)であって、開放状態(前傾姿勢)にあるものの裏面部(開放状態となると、上を向き、閉鎖状態となると、後方を向く面)よりも下方の位置に設けられている。つまり、大入賞口入賞通路80Dが、右大入賞装置35においては、「開放状態(前傾姿勢)にある開閉板35bの裏面」よりも下方の位置に設けられ、中大入賞装置31において、「開放状態(前傾姿勢)にある開閉板31bの裏面」よりも下方の位置に設けられている。
【0066】
図12及び図13に示すように、何れの大入賞口入賞通路80Dも、対応する大入賞口(右大入賞口35a若しくは中大入賞口31a)の左端部後方から右端部後方に向かって下り傾斜(但し、中途に段部を備える。)となる第1経路部d1と、第1経路部d1の右端部と連続しつつ後方に下る第2経路部d2とを備える{図16(b)を参照}。なお、図12に示すように、第2経路部d2の後半部は、反時計方向に略1/4周回する経路を描くため、第2経路部d2の端末部は、第1経路部d1の右端部よりも左方向に戻った位置とされている。そして、第2経路部d2の端末部(つまり、大入賞口入賞通路80Dの下流端)は、通路形成ボックス80の底部の開放孔80Lを通じて下方に開放されている。なお、「右大入賞装置35の大入賞口入賞通路80D」は「誘導部」の具体例を構成する。
【0067】
何れの第2経路部d2においても、その経路方向に沿った中間部に、大入賞口入賞検出スイッチ(右大入賞口入賞検出スイッチ35s若しくは中大入賞口入賞検出スイッチ31s)が配設されている。つまり、右大入賞装置35を構成する第2経路部d2の経路方向に沿った中間部には、右大入賞口入賞検出スイッチ35sが配設され(図12に図示)、中大入賞装置31を構成する第2経路部d2の経路方向に沿った中間部には、中大入賞口入賞検出スイッチ31sが配設されている(図示を省略するが図12と同様)。なお、何れの大入賞口入賞検出スイッチ(右大入賞口入賞検出スイッチ35s、中大入賞口入賞検出スイッチ31s)も「フォトセンサ」で構成され、遊技球の通過を検出すると、後述する主制御部200Aに検出信号を送信する。
【0068】
図9、図10及び図12に示すように、何れの通路形成ボックス80においても、開口部80K(右大入賞口35a若しくは中大入賞口31a)の後方左側に位置する部位には、前述の大入賞口ソレノイド(大入賞口ソレノイド35c若しくは大入賞口ソレノイド31c)が配設されている。つまり、右大入賞装置35においては、開口部80K(右大入賞口35a)の後方左側に大入賞口ソレノイド35cが配設されており、開閉板35bが起立姿勢(閉鎖状態)にあるときに、大入賞口ソレノイド35cを駆動(通電)すると、開閉板35bの姿勢が前傾姿勢(開放状態)に変更される。その際、大入賞口ソレノイド35cを駆動する時間(駆動時間)に応じて、大入賞口35aを開放状態に維持する時間(開放時間)が規定される。そして、大入賞口ソレノイド35cの駆動を停止(通電を停止)して、起立姿勢(閉鎖状態)に戻される。
【0069】
また、中大入賞装置31においては、開口部80K(中大入賞口31a)の後方左側に大入賞口ソレノイド31cが配設されており、開閉板31bが起立姿勢(閉鎖状態)にあるときに、大入賞口ソレノイド31cを駆動(通電)すると、開閉板31bの姿勢が前傾姿勢(開放状態)に変更される。その際、大入賞口ソレノイド31cを駆動する時間(駆動時間)に応じて、大入賞口31aを開放状態に維持する時間(開放時間)が規定される。そして、大入賞口ソレノイド31cの駆動を停止(通電を停止)して、起立姿勢(閉鎖状態)に戻される。
【0070】
何れの大入賞装置(右大入賞装置35、中大入賞装置31)においても、対応する大入賞口(右大入賞口35a若しくは中大入賞口31a)の右端部を通じて通路形成ボックス80に進入する遊技球は、第1経路部d1の右端部から第2経路部d2に転動し、大入賞口のその他の部位を通じて通路形成ボックス80に進入する遊技球は、第1経路部d1を右方向に転動した後、第1経路部d1の右端部から第2経路部d2に至る。そして、何れの遊技球も、第2経路部d2を通過する途中に、対応する大入賞口入賞検出スイッチ(大入賞口入賞検出スイッチ35s、31s)に検出された後、通路形成ボックス80の開放孔80Lを通じて大入賞装置(右大入賞装置35若しくは中大入賞装置31)の下方に排出され、本遊技機1の機外に排出される。
【0071】
ここで、右大入賞装置35及び中大入賞装置31において採用されている開閉機構(開閉板35b、31bを姿勢変更するための機構)について、図15及び図16を用いて説明する。なお、図16(a)は、開閉板35b、31bが対応する大入賞口(右大入賞口35a、中大入賞口31a)を閉鎖している状態(閉鎖状態)を示しており、図16(b)は、開閉板35b、31bが対応する大入賞口(右大入賞口35a、中大入賞口31a)を開放している状態(開放状態)を示している。なお、図15及び図16(a)に示す軸39は、開閉板35b、31bの傾動軸(回動軸)39を示しており、遊技盤10の盤面に沿った方向(水平な左右方向)に向けられており、ベース基板30Bに対して回動可能な状態で支持されている。
【0072】
両開閉板35b、31bの左側の落下防止壁36の下端には、図15及び図16(a)に示すように、略V字の切り欠き部36aが設けられている。そして、左側の落下防止壁36は、この切り欠き部36aの前後(開閉板35b、31bが立設した状態の場合の前後)で、2股に枝分かれしている。尚、以下の説明において、左側の落下防止壁36の下端側部分のうちで、切り欠き部36aを挟んで、「前方に位置する部位」を第1の当接部36bと称し、後方に位置する部位を、第2の当接部36cと称する。
【0073】
また、図15に示すように、開閉板35b、31bと対応する大入賞口ソレノイド35c、31cとの間には、リンク部材38が配設されている。なお、各大入賞口ソレノイド35c、31cは、軸受(図示を省略)によって前後にスライド可能に支持されたプランジャ30pと、プランジャ30pの外周位置に配置されたソレノイドコイル(図示を省略)と、復帰手段(復帰バネ)30qと、プランジャ30pの突端に略円板状に設けられた係止部30rとを備えている。そして、ソレノイドコイルへの通電を行わないとき、プランジャ30p及び係止部30rは復帰手段(復帰バネ)30qの付勢力により、前方に駆動し、ソレノイドコイルへの通電を行うと、ソレノイドコイルからプランジャ30pへ、電流に比例した大きさの牽引力を生ずるため、プランジャ30p及び係止部30rは復帰手段(復帰バネ)30qの付勢力に対抗しつつ、後方に駆動する。
【0074】
リンク部材38は、中間部に設けられた回動支点部38aを中心に回動可能(揺動可能)とされている。このリンク部材38は、回動支点部38aの上方に略V字状に突出する係止部30rを挟持する挟持部38bと、回動支点部38aの前方に突出しつつ略クランク形状に構成される押圧部38cとを備える。そして、押圧部38cの突端部38dは上方に屈曲する屈曲形状とされつつ切り欠き部36a内に遊びを持った状態で挿入されている。
【0075】
右大入賞装置35及び中大入賞装置31においては、大入賞口ソレノイド35c、31cへの通電を行わないとき、図15に示すように、プランジャ30p及び係止部30rは前方に駆動され、押圧部38cの突端部38dが、第1の当接部36bに対して後方から当接する。つまり、開閉板35b、31bの傾動軸(回動軸)39の下方に位置する「第1の当接部36b」を前方に押圧し、「起立姿勢となった開閉板35b、31bの後面」のうちで傾動軸(回動軸)39よりも上方に位置する部位が、通路形成ボックス80の内部のストッパ80vに当接するため、開閉板35b、31bは起立状態となる。
【0076】
一方、右大入賞装置35及び中大入賞装置31が閉鎖状態にあるときに、大入賞口ソレノイド35c、31cへの通電を行うと、図16(a)に示すように、プランジャ30p及び係止部30rは後方に駆動される。このため、係止部30rが挟持部38bを後方に引っ張るため、リンク部材38が回動支点部38aを中心に開放方向(遊技機1の左側方から観察して反時計回転方向)に回転し、押圧部38cの突端部38dが第2の当接部36cを上方に押圧する。このとき、第2の当接部36cのうちで、傾動軸(回動軸)39よりも後方に偏心した部位が上方に押圧されるため、開閉板35b、31bは、その傾動軸(回動軸)39を中心に前方に傾動し、前傾状態となる。
【0077】
図9に示すように、ベース基板30Bの前面部のうちで、右大入賞口35aの左側方に位置する部位からは、案内用突出部35Tが前方(右大入賞口35aよりも前方)に突出している。この案内用突出部35Tは、右大入賞口35aの左端部の前方に、右側方を指向する案内面を形成している。なお、この案内用突出部35Tは、右大入賞口35aの前方に到達した遊技球が、右大入賞口35aの左側方に逃げようとすることを防止するための防護壁として機能することになる。
【0078】
図17及び図18に示すように、装飾体装着部30Sの表面に装着される盤面装飾体90は、取付ベース91と、右下表示装置60と、樋形成部材93と、隠蔽体95とを備えている。このうち、取付ベース91は、略均一な肉厚を備える板状体で構成され、装飾体装着部30Sの表面部のうちで、左側に位置する部位に装着されている。この取付ベース91は、遊技球の直径(約11mm)よりも僅かに大きな肉厚(例えば、2〜5mm大きな肉厚)を備え、上面部の右端側が、「略水平に配設される最上面部91dよりも、段差状に凹みつつ右下り傾斜面を構成する凹部91a」とされている{図18(b)を参照}。
【0079】
右下表示装置60は、図18(b)に示すように、取付ベース91と同一の正面形状を有しつつ、取付ベース91の前面部に取り付けられる取付板61と、この取付板61に設けられた特別図柄表示部62と、大当り態様表示部63とを備える。また、図10、図13及び図14に示すように、装飾体装着部30Sの裏面には、「雌型のコネクタ96aが搭載された基板96K」が装着されている。そして、このコネクタ96aには、「信号線の端末を構成する雄型のコネクタ97a」が装着されている。なお、この信号線は右下表示装置60(後述する。)に電気的に接続される。また、基板96Kの周縁部において、前述の切り欠き部30Mと前後に位置合わせされる部位には、後述する排出口30Yの一部(後端側の一部)を構成する切り欠き部30Zが設けられている(図10を参照)。つまり、後述する排出口30Yは、切り欠き部30Zによって、遊技機1後方に開放されている。
【0080】
図18及び図19に示すように、樋形成部材93は、装飾体装着部30Sの表面部のうちで、右側に位置する部位に装着されるとともに、取付ベース91と同一の肉厚を備えている。この樋形成部材93は、取付ベース91の右端側に装着されて、遊技球を流下させる樋93Tを構成する。つまり、樋形成部材93は、取付ベース91の凹部91aに配設されるとともに、「上面によって傾斜面93bを構成する上側傾斜部93a」を備える。また、樋形成部材93は、その上側傾斜部93aの右端部から下方に突出しつつ、左側面93eを「取付ベース91下方側の右側面」に当接させる当接部93cを備える。更に、当接部93cの下端部から右方向に突出するとともに、「上面によって傾斜面93gを構成する下側傾斜部93f」を備える。
【0081】
樋形成部材93は、図18及び図19に示すように、取付ベース91の最上面部91dの右側であって、しかも、下方の位置に、2つの傾斜面93b、93gを段差状に並べた状態を構成している。つまり、最上面部91dの右側に、一方の傾斜面93bを右下り傾斜状に配置するとともに、この傾斜面93bの右側であって、しかも、下方の位置する部位に、他方の傾斜面93gを後方に下り傾斜となる状態に配置している。そして、装飾体装着部30Sにおいて、他方の傾斜面93gの後方に位置する部位には、前述の排出口30Yが開口している。なお、この排出口30Yは、遊技盤10の背後まで貫通している。
【0082】
隠蔽体95は、図18及び図19に示すように、樋形成部材93の表面に装着され、樋形成部材93及び排出口30Yを前方から隠蔽する板状体である。この隠蔽体95は、右下表示装置60の取付板61と一体となりつつ、装飾体装着部30Sと「正面から見た形状・サイズ」が略同一の板状体を構成する。また、図17に示すように、隠蔽体95の上端部95aは、傾斜面93b、93gよりも上方に位置しているため、傾斜面93b、93gは、遊技機1前方に位置する遊技者から視認できない状態とされている。
【0083】
図13、図14及び図17に示すように、傾斜面93b、93gと、装飾体装着部30Sと、隠蔽体95とで、右大入賞口35aの真下にポケット状部分93pが構成される。このポケット状部分93pは、上方に開口する状態に設けられ、「右大入賞口35aに入賞しなかった遊技球を受け入れる受入部98」を構成する。そして、図20(a)に示すように、一方の傾斜面93bの上方から受入部98に受け入れられた遊技球は、一方の傾斜面93bと、他方の傾斜面93gとを順に転動(流下)した後、排出口30Yを通じて、遊技盤10の背後に到達し、遊技機1の機外へ排出される(以下、「前者」という。)。また、図21(a)に示すように、他方の傾斜面93gの上方から受入部98に受け入れられた遊技球は、この傾斜面93gを後方に転動(流下)した後、排出口30Yを通じて、遊技盤10の背後に到達し、遊技機1の機外へ排出される(以下、「後者」という。)。
【0084】
なお、他方の傾斜面93gの深さ(傾斜面93gから隠蔽体95の上端部95aまでの距離)は、遊技球の直径よりも深く(約3球分の深さ)され、一方の傾斜面93bの右端部側の深さ(傾斜面93bの右端部上面から隠蔽体95の上端部95aまでの距離)は、遊技球の直径と略等しくされている。このため、前者の場合、遊技球が傾斜面93bの右端部に到達した時点で、遊技球が遊技機1前方の遊技者の視界から消え、後者の場合、遊技球が受入部98に受け入れられると、遊技球が遊技機1前方の遊技者の視界から消える。
【0085】
本実施例では、図13に示すように、開閉板35bが起立姿勢となり、右大入賞装置35が閉鎖状態になると、受入部98の全域が上方に開放された状態となる。また、図14に示すように、開閉板35bが前傾姿勢となり、右大入賞装置35が開放状態になると、受入部98の右端側(略「遊技球1球分のスペース」)を除く略全域が、開閉板35bによって閉鎖された状態となる(図12参照)。なお、図12において、「符号98D」で示す部位は、受入部98のうちで、開閉板35bによって閉鎖されない部位98Dである。この部位98Dは、遊技球が通過可能なサイズを備えるため、開閉板35bが前傾姿勢にある場合においても、遊技球がこの部位98Dを通じて、受入部98に進入し、排出口30Yを通じて遊技機1の機外へ排出されることもある。
【0086】
また、本実施例では、図20(b)に示すように、遊技球が右大入賞口35aの左端側で入賞すると、大入賞口入賞通路80Dを左から右へ転動した後、遊技者の視界から消える。また、図20(a)に示すように、遊技球が受入部98の左端側で受け入れられると、傾斜面93bを左から右へ転動した後、遊技者の視界から消える。つまり、遊技盤10の正面に位置する遊技者に対して、「右大入賞口35aに入賞後した遊技球の進行経路」と、「受入部98に受け入れられる遊技球の進行経路」とが似通った印象を与えることができる。同様に、図21(b)に示すように、遊技球が右大入賞口35aの右端側で入賞すると、大入賞口入賞通路80Dを左から右へ転動することなく、遊技者の視界から消え、図21(a)に示すように、遊技球が受入部98の右端側で受け入れられると、直ちに、遊技者の視界から消える。つまり、遊技盤10の正面に位置する遊技者に対して、「右大入賞口35aに入賞後した遊技球の進行経路」と、「受入部98に受け入れられる遊技球の進行経路」とが似通った印象を与えることができる。
【0087】
図4に戻り、左下表示装置50は、中大入賞装置31の左側方に配置されている。この左下表示装置50は、図6(a)に示すように、略円弧状に構成されると共に、遊技盤10の前面部に取り付けられる取付板51を備えている。そして、この取付板51には、普通図柄保留表示部52と、特別図柄保留表示部53と、遊技状態表示部55と、普通図柄表示部56とが設けられている。
【0088】
普通図柄保留表示部52は、2個のLEDを用いて構成され、所謂「普通図柄に関する保留数」を、4個を上限として表示するものである。つまり、「普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16を通過したが、未だ、未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、4個上限数として表示すると共に、未消化の遊技球が消化される毎に、「未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、順次、デクリメントして表示するものである。ここで、普通図柄に関する「未消化の遊技球(つまり、保留球)」とは、普通図柄作動ゲート16を通過したが、後述する普通図柄表示部56において、当該通過に伴う当否抽選の結果の表示と、これに先行する変動表示(本実施例では、LEDを用いて点滅表示)とがなされていない遊技球を指す。
【0089】
特別図柄保留表示部53も、2個のLEDを用いて構成され、所謂「特別図柄に関する保留数」を、4個を上限として表示するものである。つまり、「始動入賞装置17に入賞したが、未だ、未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、4個上限数として表示すると共に、未消化の遊技球が消化される毎に、「未消化の遊技球の数(即ち、保留数)」を、順次、デクリメントして表示するものである。ここで、特別図柄に関する「未消化の遊技球(つまり、保留球)」とは、始動入賞装置17に入賞したが、後述する特別図柄表示部82において、当該通過に伴う当否抽選(当否判定)の結果の表示と、これに先行する変動表示とがなされていない遊技球を指す。
【0090】
普通図柄保留表示部52及び特別図柄保留表示部53においては、同様な態様で、保留数の表示を行う。つまり、(a)2個のLEDを消灯させて「保留数」が「ゼロ」であることを、(b)1個のLEDを点灯させ、1個のLEDを消灯させて「保留数」が「1」であることを、(c)2個のLEDを点灯させて「保留数」が「2」であることを、(d)1個のLEDを点滅させ、1個LEDを点灯させて「保留数」が「3」であることを、(e)2個のLEDを点滅させて「保留数」が「4」であることを各々示す。
【0091】
遊技状態表示部55は、1個のLEDにより構成され、遊技機1の電源投入時(遊技機1の起動時)の遊技状態(遊技モード)を表示するために用いられる。具体的には、LEDを消灯させることで「遊技状態が通常遊技状態(通常モード)である」旨が表示され、LEDを点灯させることで「遊技状態が確変遊技状態(高確率モード)である」旨が表示される。つまり、遊技状態表示部55のLEDは、電源投入時(起動時)に遊技モードが高確率モードとなっている場合に限り、点灯するものである。この場合、特別図柄の当否判定の結果として「大当り」が得られると、以後、遊技状態表示部55のLEDは消灯する。そして、遊技機1の電源を切るまでの間(遊技機1が稼働している間)に遊技状態が確変モードになったとしても、遊技状態表示部55のLEDが点灯することはない。ここで、本実施例では、遊技機1の遊技モード(遊技状態)が「通常モード」から「高確率モード」になると、確変手段(当否抽選判定で大当り判定がなされる確率を通常に比べ高い確率に設定する手段)と、変動時間短縮手段(特別図柄や普通図柄の変動時間を通常(変動時間短縮手段の非作動時)に比べ短い時間に設定される可能性を高くする手段)と、開放延長手段(普通電動役物17dの開放時間を通常に比べ長い時間に設定したり、開放回数を通常に比べ多い回数に設定する手段)とが作動する。そして、遊技機1の遊技モードが「高確率モード」から「時短モード」になると、変動時間短縮手段および開放延長手段が作動を継続し、確変手段のみが作動を停止する。更に、遊技機1の遊技モードが「時短モード」から「通常モード」に戻されると、変動時間短縮手段および開放延長手段が作動を停止する。
【0092】
次に、右下表示装置60は、前述のように、特別図柄表示部62と、大当り態様表示部63とを備える。このうち、特別図柄表示部62は、図6(b)に示すように、7個のLED62a〜62gを用いて構成され、「始動入賞装置17への遊技球の入賞(以下、「始動入賞」という。)に伴う当否判定の結果の表示」を、変動表示(本実施例では、複数のLEDを用いて点灯表示)を経て実行する。つまり、図5(a)に示すように、この「当否判定に関する結果の表示に、先行する変動表示」の実行時期が到来すると、「7個のLED62a〜62g」を順次、点灯させる。そして、この変動表示(以下、「LED62b〜62gを用いた循環表示」という。)を実行し、「特別図柄の当否判定に関する結果の表示」の実行時期が到来すると、特別図柄表示部62において、特別図柄の停止表示(確定表示)が実行される。
【0093】
大当り態様表示部63は、2個のLED63a、63bを用いて構成され、主に、「特別図柄の当否判定の結果が当選(大当り)である場合、それに基づいて発生する大当りの種類」を表示するために用いられる。つまり、特別図柄表示部62において大当り表示がなされていない場合には、2個のLED63a、63bは消灯状態とされる。そして、特別図柄表示部62において大当り表示がなされる場合、何れかのLED63a、63bを点灯させて、当該大当りの種類が表示される。
【0094】
図6(a)に示すように、2個の一般入賞装置40、41は、左下表示装置50を構成する取付板51に一体化されている。そして、各一般入賞装置40、41の内部には、遊技球の入賞を検出するための入賞検出スイッチ40s、41s(図22参照)が配設されている。
【0095】
図4に戻り、多数の障害釘(図示を省略)は、以上説明した各盤部品との位置バランスを考慮して、遊技領域11にパチンコ遊技に適するべく、配設され、遊技盤10の下方にはアウト口18が設けられている。更に、アウト口18の下部にはバック球防止部材(図示を省略)が設けられている。そして、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止している。一方、ファール球防止部材15は、内レール13の先端部に取り付けられている。
【0096】
c.遊技機1の裏面構造
次に、本実施例の遊技機1の裏面構造について図7を参照して説明する。つまり、遊技機1の裏面構造は、大きな裏パック102の上に各種装置が搭載された構造となっており、裏パック102は、一対のヒンジ103によって中枠3に開閉可能に軸支されている。
【0097】
裏パック102には、遊技球が蓄えられる遊技球タンク105と、賞球または貸球としての遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置109と、主制御部200Aを構成する主制御基板200が格納された主制御基板ケースと、発射装置ユニットを制御する発射制御基板260が格納された発射装置制御基板ケース130と、遊技球払出装置109を制御する払出制御基板240が格納された払出制御基板ケース118と、主制御基板200と各種スイッチ類とを中継する中継端子板などが搭載されている。また、遊技球タンク105には底部にタンクスイッチが設けられており、球切れを検出することができる。また、遊技球タンク105と遊技球払出装置109とは、タンクレール106によって接続されている。更に、図7において、タンクレール106の右側には球抜きレバーが設けられ、タンクレール106の下流側には補給球切れ検知スイッチが設けられている。
【0098】
(2)制御回路の構成
次に、図22及び図23を用いて本実施例の遊技機1の制御回路の構成について説明する。本遊技機1の制御回路は、主制御部200Aと、複数の副制御部(220A、240A、260A)とを含んで構成されている。つまり、主制御基板200を用いて構成されると共に遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御部200Aと、複数の副制御部(220A、240A、260A)とを備えている。
【0099】
副制御部としては、(a)サブ制御基板220を用いて構成されると共に、「図柄表示、ランプの発光、効果音、可動物の動作等を用いた遊技の各種の演出の制御を司るサブ制御部220Aと、(b)演出表示制御基板222を用いて構成されると共に、「図柄表示、ランプの発光、効果音、可動物の動作等を用いた遊技の各種の演出の制御を司る演出制御部222Aと、(c)払出制御基板240を用いて構成されると共に貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御部240Aと、(d)発射制御基板260を用いて構成されると共に遊技球の発射に関する制御を司る発射制御部260Aを備える。尚、副制御部には、主制御部140に直に接続された第1次副制御部(220A、240A)と、この第1次副制御部を介して主制御部200Aに接続された第2次副制御部(260A)とが存在する。
【0100】
これらの制御部(200A、220A、240A、260A)を構成する制御基板(200、220、240、260)は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。尚、図22及び図23中の矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。また、図22においては、主制御基板200に搭載されたCPU201、RAM202、ROM203のみ図示されており、主制御基板200に搭載されているPIO、更には、他の制御基板に搭載されているCPUや、RAM、ROMなどについては図示を省略している。
【0101】
主制御部200A(主制御基板200)は、普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16s、始動口入賞検出スイッチ17s、一般入賞検出スイッチ40s、41s、中大入賞口入賞検出スイッチ31s、右大入賞口入賞検出スイッチ35s等から遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御部200A(サブ制御基板220)や、払出制御部240A(払出制御基板240)、発射制御部260A(発射制御基板260)等に向かって、後述する各種の信号(コマンド)を出力する。また、主制御部200A(主制御基板200)には、発射装置ユニットから発射された遊技球を検出するカウントスイッチ8sも接続されている。
【0102】
また、主制御部200A(主制御基板200)は、普通電動役物ソレノイド17cや、中大入賞口ソレノイド31c、右大入賞口ソレノイド35c、左下表示装置50、右下表示装置60に信号を出力することにより、これらの動作を直接制御している。つまり、主制御部200A(主制御基板200)は、「始動入賞に起因して大当りか否かを当否判定する当否判定手段」と、「大当り遊技を実行する大当り遊技実行手段」として機能することになる。また、主制御部200A(主制御基板200)を構成するCPU201により決定された所定の信号(コマンド)は、サブ制御基板220や払出制御基板240に対してそれぞれ送信される。
【0103】
サブ制御部220A(サブ制御基板220)は、主制御部200A(主制御基板200)からの各種信号(コマンド)を受け取ると、信号(コマンド)の内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。つまり、サブ制御部220A(サブ制御基板220)は、主制御部200A(主制御基板200)からの制御信号に基づいて遊技の演出の制御を司るものである。このサブ制御部220A(サブ制御基板220)には、図23に示すように、演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)と、アンプ基板224と、装飾駆動基板226と、演出ボタン基板228と、にそれぞれ電気的に接続されている。サブ制御基板220は、CPU220aと、ROM220bと、RAM220cとを備えている。
【0104】
サブ制御基板220のCPU220aは、図23に示すように、主制御基板200からの制御信号を受けて演出表示制御基板222、アンプ基板224、装飾駆動基板226及び演出ボタン基板228などの各基板を制御する。また、ROM220bには、各基板の制御に必要なデータ(特に遊技の装飾に関する情報)が記憶されている。また、CPU220aは、主制御部200A(主制御基板200)から送出された表示制御コマンド(つまり、表示制御信号)を受信すると共に、ROM220bに記憶されたプログラムに従って解析する。そして、サブ制御部220A(サブ制御基板220)を構成するCPU220aは、このCPU220aにより決定された所定の表示制御コマンドや、主制御部200A(主制御基板200)から送信されたままの表示制御コマンドを演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)に対して送信する。
【0105】
アンプ基板224には、所定の効果音を出力するスピーカSP1〜SP4が電気的に接続されている。また、装飾駆動基板226には、前面枠4や遊技盤10等に設けられる装飾用の各種LED(ランプ)を搭載した各種LED基板が接続されている。また、装飾駆動基板226は、サブ制御基板220Aからの信号を受けて遊技の装飾に関する制御を行うものである。
【0106】
払出制御部240Aには、図22に示すように、中継端子板、発射制御部260A、下皿満タンスイッチ6s等が接続されている。また、払出制御部240Aには中継端子板を介して、遊技球払出装置(払出装置)109を構成する払出モータ109mと、前側払出スイッチ109aと、後側払出スイッチ109bとが接続されている。また、払出制御部240Aには、主制御部200Aが双方向通信可能な状態に接続されている。
【0107】
この払出制御部240Aは、所謂、貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が貸出ボタン5cや返却ボタン5qを操作すると、その操作信号は、球貸表示基板410から中継端子板を介して払出制御基板240に伝達され、その操作信号に基づいて払出モータ109mを駆動させるための駆動信号が、遊技球払出装置(払出装置)109(払出モータ109m)に伝達される。
【0108】
また、主制御部200Aが賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御部240Aが受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。また、払い出される遊技球は、2つの払出スイッチ(前側払出スイッチ109a、後側払出スイッチ109b)によって検出されて、払出制御部240Aに入力される。更に、払い出された賞球数はカウントスイッチ109cによっても検出されて、主制御部200Aでも計数されている。
【0109】
次に、サブ制御部220A(サブ制御基板220)に対する信号或いはコマンドの入出力関係について説明する。前述のように、サブ制御部220A(サブ制御基板220)には、演出表示制御基板222と、アンプ基板224、装飾駆動基板226、演出ボタン基板228などの各種基板が接続されている。また、サブ制御部220Aは、前述のように、主制御部200Aから各種の演出用のコマンド(表示制御コマンドなど)を受け取ると、コマンドの内容を解釈して、(a)演出表示装置27での具体的な表示内容や、(b)スピーカSP1〜4で出力する効果音、更には、(c)各種LEDやランプ類4b〜4fの点灯若しくは点滅の具体的な態様を決定する。次いで、演出表示装置27の駆動信号(各種の図柄制御コマンド)を演出表示制御部222Aに出力して、演出図柄(疑似図柄、背景図柄、キャラクタ図柄等)の変動表示および停止表示を行う。このとき、表示される演出図柄(疑似図柄、背景図柄、キャラクタ図柄等)の表示データ(静止画像データ、動画像データなど)については、演出表示装置27、或いは、演出表示制御基板222に内蔵された表示用ROM(図示を省略)に格納されているデータを使用する。
【0110】
疑似図柄の変動表示および停止表示に合わせて、音声信号をアンプ基板224に出力することによって、スピーカSP1〜SP4から効果音を出力する。加えて、装飾駆動基板226に信号を供給し、装飾駆動基板226から、各種LEDランプ4b〜4h、4Gの駆動信号を出力することによって、各種ランプ類(LED4b〜4h、4G等)等の点灯・点滅動作等を制御する。また、上皿部材5の前面側に設けられた演出ボタンSWを遊技者が操作すると、この操作信号がサブ制御部220Aに供給される。そして、サブ制御部220Aは、供給された操作信号に基づいて、演出表示装置27を初めとする各種の演出内容に操作結果を反映させることが可能に構成されている。
【0111】
(3)特別図柄の表示態様
前述のように、本遊技機1では、特別図柄の当否抽選(当否判定)の結果を示す確定表示(停止表示)と、この確定表示の前段階に行われる演出表示(変動表示)とを、2種類の図柄表示装置(右下表示装置60及び演出表示装置27)において同時に実行する。ここで、右下表示装置60(つまり、特別図柄表示部62)において表示される特別図柄(LED62a〜62gの点灯と、消灯を用いて示される特別図柄)は「本図柄」である。そして、本遊技機1において、遊技の基本進行を司る「主制御部200A(後述する。)」において、その表示態様(少なくとも「停止図柄」と、「変動時間」)が決定される。
【0112】
一方、演出表示装置27の表示画面27aにおいて表示される特別図柄は「疑似図柄」であり、「主制御部200Aの制御の下で、遊技上の演出を制御するサブ制御部220A(後述する。)」によって、その変動態様と、停止図柄とが決定される。そして、通常、この「疑似図柄」の変動表示は、本図柄と同一の時間だけ実行され、この「疑似図柄」の停止図柄の「表示内容(大当り、外れ等)」は、本図柄の停止図柄「表示内容(大当り、外れ等)」と矛盾を生じないものとされる。そして、本実施例においては特別図柄を用いたリーチ表示などの図柄変動演出表示(変動遊技)を行う場合、その図柄変動演出表示は演出表示装置27(疑似図柄)において行われる。
【0113】
また、本遊技機1では、低確率モード(通常確率モード)において、始動入賞装置17への遊技球の入賞に起因して当否判定が行われると、大当りまたは外れを示す判定結果が導出される。この大当りを示す判定結果が導出される確率は約「1/315」とされる。そして、大当りを示す判定結果が導出されると、大当り遊技実行手段が作動を開始し、本遊技機1の遊技状態が大当り遊技状態(特別遊技状態)となる。これにより、主制御部200Aが、右大入賞口ソレノイド35c若しくは中大入賞口ソレノイド31cを駆動し、起立姿勢にある開閉板(35b若しくは31b)を前傾姿勢とし、閉鎖状態とされていた大入賞口(35a若しくは31a)を開放状態に変化させ、大当り遊技が開始される。この開放状態とされた大入賞口(35a若しくは31a)は、所定数(例えば、8個)の遊技球が入球するか、あるいは所定数の遊技球が入球しなくても所定時間(例えば、30秒)が経過すると、閉鎖状態に戻され、1ラウンドが終了する。そして、大入賞装置31の開閉動作が、所定のインターバルを挟みつつ複数回繰り返されると、大当り遊技を終了する。以下、本図柄及び疑似図柄の表示内容等について簡単に説明する。
【0114】
i)本図柄での大当り表示
始動入賞装置17への遊技球の入賞に起因して当否判定が行われ、大当りを示す判定結果が導出されると、主制御部200Aは「大当りの種類(大当り図柄の種類)」を乱数抽選(以下、「振分抽選」という。)によって決定する。そして、この乱数抽選によって、図24に示すように、大当りの態様(種類)が「通常大当り」、「第1の確変大当り」及び「第2の確変大当り」のうちの何れかに定められる。なお、「振分抽選」を行うための乱数(大当り図柄決定乱数)は、当否判定用の乱数(大当り抽選用の乱数など)と同様に、始動入賞を生じたタイミングで取得される。
【0115】
ここで、「通常大当り」を生ずると、「8ラウンド型の第1大当り遊技(以下、「8R型大当り遊技」という。)」を実行するとともに、この「8R型大当り遊技」の終了後に、当否判定の結果が大当りとなる確率が低確率(通常確率)とされる。この「8R型大当り遊技」は、中大入賞装置31の開閉動作が、所定のインターバル(例えば、2秒のインターバル)を挟みつつ8回(8ラウンド)繰り返されるタイプの大当り遊技である。このとき、各ラウンドで中大入賞装置31が開放状態となる時間は「25秒」とされている。なお、このように、当否判定の結果が大当りとなる確率が低確率(通常確率)とされる遊技状態が、「低確率モード(低確率状態)」である。また、「通常大当りを示す本図柄(停止図柄)」は、図24(b)に示すように、2個のLEDを点灯させて表示される。なお、「通常大当り」に係る特別遊技(8R型大当り遊技)を終了した後、確率変動手段が作動することはないが、特別図柄の変動回数が「100回」になるか、次回の大当りを発生するまで、開放延長手段及び変動時間短縮手段は作動状態となる。
【0116】
また、本実施例では、2態様の「第1の確変大当り」を発生可能としている。つまり、一方の態様の「第1確変大当り(以下、「タイプAの第1確変大当り」という。)」を生ずると、「8R型大当り遊技」を実行するとともに、この大当り遊技終了後に、次回の大当りを発生するまで、当否判定の結果が大当りとなる確率が高確率とされる。なお、このように、当否判定の結果が大当りとなる確率が高確率(通常確率の約10倍の当選確率)とされる遊技状態が、「高確率モード(高確率状態)」である。なお、「タイプAの第1確変大当り」を示す本図柄(停止図柄)」は、図24(c)に示すように、3個のLEDを点灯させて表示される。
【0117】
他方の態様の「第1確変大当り(以下、「タイプBの第1確変大当り」という。)」を生ずると、「15ラウンド型の第1大当り遊技(以下、「15R型大当り遊技」という。)」を実行するとともに、この「15R型大当り遊技」の終了後に、当否判定の結果が大当りとなる確率が高確率とされる。この「15R型大当り遊技」は、右大入賞装置35の開閉動作が、所定のインターバル(例えば、2秒のインターバル)を挟みつつ15回(15ラウンド)繰り返されるタイプの大当り遊技である。このとき、各ラウンドで右大入賞装置35が開放状態となる時間は「25秒」とされている。なお、「タイプBの第1確変大当り」を示す本図柄(停止図柄)」は、図24(d)に示すように、5個のLEDを点灯させて表示される。
【0118】
「第2確変大当り」を生ずると、第2大当り遊技(以下、「2R型大当り遊技」ともいう。)を実行するとともに、この第2大当り遊技終了後に、次回の大当りを発生するまで、当否判定の結果が大当りとなる確率が高確率とされる。この第2大当り遊技(2R型大当り遊技)としては、中大入賞装置31の開閉動作が、所定のインターバル(例えば、2秒のインターバル)を挟みつつ2回(2ラウンド)繰り返される。そして、この第2大当り遊技(2R型大当り遊技)においては、各ラウンドで大入賞装置31が開放状態となる時間は「0.2秒」とされている。なお、「第2確変大当り」を示す本図柄(停止図柄)」は、図24(e)に示すように、4個のLEDを点灯させて表示される。
【0119】
「第1の確変大当り」若しくは「第2の確変大当り」を生ずると、当該大当りに係る大当り遊技終了後に、特別図柄の変動回数が「10,000回」になるか、次回の大当りを発生するまで、開放延長手段及び変動時間短縮手段は作動状態となる。但し、パチンコホールの始業時において、「図柄変動の累積回数を示すデータがクリアされる点」と、「各遊技機における1日当りの図柄変動の累積回数が、通常、10,000回に到達しない点」とを考慮すると、「図柄変動の累積回数が10,000回になるまで開放延長手段が作動すること」は、実質的に、「次回の大当りを生ずるまで、開放延長手段が作動すること」を意味する。
【0120】
ii)本図柄での外れ表示
本図柄の停止表示(確定表示)を、図24(a)に示すように、「特別図柄表示部62」の1個のLEDを点灯させて行う。この1個のLEDの点灯により表示される停止図柄(確定図柄)が、特別図柄の当否抽選の結果が「外れ」であることを示す「外れ図柄」となる。この場合、大当り遊技実行手段が作動することない。
【0121】
iii)疑似図柄(演出図柄)
演出表示装置27においても、特別図柄の変動開始条件(当否判定実行条件)が成立する毎に、その表示画面27aにおいて、疑似図柄の変動表示(図柄変動演出表示)を開始する。そして、この変動表示の期間(つまり、所定時間)が経過すると、疑似図柄の停止表示(確定表示)が実行される。このとき、疑似図柄の停止表示も前述の本図柄の停止図柄と同様に、当否抽選の結果を表示する。
【0122】
演出表示装置27の表示画面27aにおいては、図24(b)に示すように、疑似図柄の変動表示を開始する際に、3つの疑似図柄表示部27b〜27dが出現し、各疑似図柄表示部27b〜27dにおいて、「疑似図柄」を用いた変動表示と、停止表示等がなされる。この疑似図柄の変動表示は、「1」〜「9」までの算用数字をこの順で表示した後、再び、「1」〜「9」までの算用数字をこの順で表示することを繰り返す「循環表示」によって構成される。また、疑似図柄表示部27b〜27dが変動表示を開始するときには、表示画面27aのその他の部位によって背景画面表示部27hが表示される。そして、この背景画面表示部27hには、背景図柄を表示したり、この背景画面と共にキャラクタ図柄を表示したりすることができる。
【0123】
疑似図柄表示部27b〜27dに確定表示される確定図柄には、図24(a)〜(e)に示す態様がある。即ち、図24(a)の「外れを示す停止図柄」と、図24(b)〜(e)の「大当りを示す停止図柄」とがある。つまり、図24(b)〜(e)に示すように、「通常大当り図柄」は表示画面27aに「偶数の同一数字」を3個並べて構成され、「タイプAの第1確変大当り図柄」は表示画面27aに「7以外の奇数の同一数字」を3個並べて構成され、「タイプBの第1確変大当り図柄」は表示画面27aに「7」を3個並べて構成され、「第2の確変大当り図柄」は「異なる奇数数字」を左から右へ昇順に並べて構成される。また、「外れ図柄」は、3つの疑似図柄表示部のうちの少なくとも1つに異なる数字を表示して構成される停止図柄のうちで、「第2確変大当り図柄」を除いたものである。
【0124】
尚、演出表示装置27において、何れの「大当り図柄」を表示する場合も、その前提となる変動表示の途中にリーチ表示を行う。また、演出表示装置27において「外れ示す停止図柄」を表示する場合、その前提となる変動表示(つまり、外れ変動)の途中にリーチ表示を行わない場合(以下、「単純外れ」という。)と、リーチ表示を行う場合(以下、「リーチ外れ」という。)とがある。また、本実施例のリーチ表示は、演出表示装置27の表示画面27aに表示される疑似図柄のうち2つの疑似図柄が同一図柄で停止させ、他の1つの疑似図柄を変動中とすることを内容とする表示である。但し、「第2の確変大当りを示す停止図柄」や「特殊大当りを示す停止図柄」を停止表示する場合において、その変動途中にリーチ表示を行わないこととしてもよい。
【0125】
(4)コマンドの送信
本実施例の遊技機1は、前述の「変動演出表示(図柄変動演出表示)」等を実現するために種々の制御を行っている。この制御を実行する際に、主制御部200A(主制御基板200)からサブ制御部220A(サブ制御基板220)に向かって、種々のコマンドが送信される。次に、このコマンドが送信される様子について、図25(a)の模式図を用いて説明する。
【0126】
主制御部200Aとサブ制御部220Aとは、9ビット幅のパラレル信号ケーブルで接続されている。このうちの1ビット分はストローブ信号の出力用に割り当てられており、残りの8ビット分がコマンド出力用に割り当てられている。そして、主制御部200Aからサブ制御部220Aにコマンドを出力する際には、先ず初めに、コマンド出力用に割り当てられた8ビット幅の信号ケーブルに8ビット分のコマンドデータが出力され、続いて1ビットのストローブ信号が出力される。また、サブ制御部220Aは、ストローブ信号の立ち上がりのタイミングでコマンドデータを読み取ることにより、主制御部200Aから送信されたコマンドを確実に読み取ることができる。ここで、主制御部200A(主制御基板200)からサブ制御部220A(サブ制御基板220)に出力されるコマンドとしては、例えば、図25(b)に図示したものを例示できる。つまり、(A)演出パターン指定コマンド(変動パターン指定コマンドともいい、以下、「CHP」と表記することがある。)、(B)特別図柄停止情報指定コマンド(以下、「CJS」と表記することがある。)等がある。尚、演出パターン指定コマンドは、疑似図柄の変動を開始させると共に、疑似図柄の変動時間を指定するコマンドでもある。
【0127】
(5)主制御部200Aによる遊技制御の概要
図26は、主制御基板200に搭載されたCPU201が実行する遊技制御処理の大まかな流れを示すフローチャートである。この遊技制御処理では、賞球払出処理(S80)、普通図柄遊技処理(S100)、普通電動役物遊技処理(S200)、特別図柄遊技処理(S300)、大当り遊技処理(S700)等の各処理が繰り返し実行されている。尚、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、電源投入後、4msec周期のタイマ割込みが発生する毎に、図26のS80〜S600の処理を実行するように構成されている。
【0128】
また、前述のCTC(カウンター・タイマ・サーキット)は、約2msec毎に割込を発生させるように設定されており、CTCによる割込が発生すると、各種乱数値の更新や、各種の遊技球検出用スイッチ(普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16s、始動口入賞検出スイッチ17s、一般入賞検出スイッチ40s、41s等)などの状態を検出する処理などが行われる。そして、図26に示す遊技制御では、制御が一周する間に、ほぼ2回ずつ割込を発生させて各種乱数の更新や遊技状態の検出を行いつつ、普通図柄遊技処理(S120)、普通電動役物遊技処理(S200)、特別図柄遊技処理(S400)、大当り遊技処理(S600)等を実施する。そして、これら各処理中で、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて各種の信号を送信する。こうすることにより、遊技機1全体の遊技が進行することになる。以下、図26のフローチャートに従って、遊技制御処理について説明する。
【0129】
A.賞球払出処理(S80)
主制御基板200に搭載されたCPU201は、遊技球を賞球として払い出す処理(賞球払出処理)を行う(S80)。すなわち、始動口入賞検出スイッチ17s、一般入賞検出スイッチ40s、41sの状態を検出して遊技球が入球したか否かを判断する。そして、遊技球が入球していた場合は、この情報を、主制御基板200に搭載されているRAM202の所定領域に記憶する。そして、RAM202上に記憶されている情報に基づいて、賞球の払出信号を払出制御基板240に向かって出力する。また、RAM202上に、始動入賞検出用スイッチ17s等への入賞情報が既に記憶されていた場合には、先に記憶されていた情報を含めて適切な払出個数を指定して、払出信号を出力する。
【0130】
主制御部200Aから払出制御部240Aへ払出信号を出力するに際しては、先ず、払出制御部240A(払出制御基板240)に向かってストローブ信号を出力し、続いて信号データを出力する。これに対して、払出制御部240Aを構成する払出制御基板240に搭載されたCPUは、払出信号を受け取ると信号の内容を解釈し、賞球払出装置109に搭載された払出モータ109mに駆動信号を出力して賞球の払い出しを行う。そして、賞球払出装置109には、払い出された遊技球を検出する2つの払出スイッチ(前側払出スイッチ109a、後側払出スイッチ109b)が設けられているので、これらスイッチで遊技球を1球ずつ検出しながら、払出信号で指定された個数の賞球を払い出す処理を行う。
【0131】
B.普通図柄遊技処理(S100)
普通図柄遊技処理(S100)では、普通図柄作動ゲート通過検出スイッチ16sによる遊技球の検出(遊技球が普通図柄作動ゲート16を通過したことの検出)を契機として、左下表示装置50の普通図柄表示部56において普通図柄の変動表示を開始させる。そして、CPU201は、図26の遊技制御処理を繰り返し行ううちに、普通図柄の変動表示の実行時間が経過したと判断すると、普通図柄の停止図柄の停止表示を行う。更に、CPU201は、図26の遊技制御処理を繰り返し行ううちに、この停止図柄の停止表示時間(例えば、0.5秒)」が経過したと判断すると、停止図柄が普通電動役物17dを作動させる図柄(普通図柄の当り図柄)であるのか、或いは、作動させる図柄でないのか(普通図柄の外れ図柄)を判断する。
【0132】
そして、停止図柄が普通電動役物17d(第2の始動入賞部17b)を作動させる図柄(普通図柄の当り図柄)である場合、普通電動役物17dの開放延長機能が作動しているか否か(つまり、開放延長手段が作動中であるか否か)が判断され、開放延長手段が作動中である場合、普通電動役物17d(第2の始動入賞部17b)の開放時間を「開放延長機能作動時における開放時間(例えば、前述の3秒)」に設定した後、普通図柄遊技処理(S100)を終了して、図26の遊技制御処理に復帰する。一方、開放延長手段が作動中でない場合、普通電動役物17dの開放時間を「開放延長機能未作動時における開放時間(例えば、前述の0.5秒)」に設定した後、普通図柄遊技処理を終了して、図26の遊技制御処理に復帰する。
【0133】
なお、CPU201は、普通電動役物17d(第2の始動入賞部17b)が作動中でなく、普通図柄表示部56において普通図柄の変動表示を実行中でなく、しかも普通図柄の停止表示を実行中でなく、更に、普通図柄に関する保留数が「0」でないと判断する場合、普通図柄の変動表示を開始させる。また、普通図柄に関する保留数は、普通図柄作動ゲート16を遊技球が通過するとともに、普通図柄に関する保留数が所定数(本実施例では、4個)未満である場合に「+1」され、普通図柄の変動表示を開始する度に「−1」される。
【0134】
C.普通電動役物遊技処理(S200)
図27は、普通電動役物遊技処理の概要を示すフロー図であり、CPU201が図26の遊技制御処理を行う中で、普通電動役物遊技処理が起動されると、普通電動役物17d(第2の始動入賞部17b)が作動中であるか否か(第2の始動入賞部17bが開放状態であるか否か)が判断される。そして、作動中である(第2の始動入賞装置17bが開放状態である)と判断すると(S201;YES)、普通電動役物17d(第2の始動入賞部17b)の作動時間(第2の始動入賞装置17bを開放状態に維持する所定時間であって、開放延長モードでは3秒、通常開放モードでは0.5秒)が経過したか否かを判断する(S202)。そして、作動時間が所定時間を経過したと判断すると(S202;YES)、普通電動役物17d(第2の始動入賞部17b)の作動を停止させることで開放状態にある第2の始動入賞装置17bを閉鎖状態とし(S206)、普通電動役物遊技処理を終了する。
【0135】
但し、CPU201が、普通電動役物17d(第2の始動入賞部17b)の開放中に、第2の始動入賞装置17bに規定数(例えば、8個)の遊技球が入球したと判断すると、前述の作動時間(開放時間)が所定時間に達していない場合でも、普通電動役物17d(第2の始動入賞部17b)の作動を停止させ(S206)、普通電動役物17d遊技処理を終了させる。また、本遊技機1では普通電動役物17dが作動すると、内部に設けられた普通電動役物ソレノイド17cが駆動され、普通電動役物17d(第2の始動入賞部17b)の一対の翼片部が外側に回動して、第2の始動入賞部17bが開放状態となる。
【0136】
D.特別図柄遊技処理
次に、図28〜図31を用いて特別図柄遊技処理の概要を説明する。この特別図柄遊技処理が起動されると、図28に示すように、先ず、始動入賞装置17に遊技球が入賞したか否かが判断される(S302)。そして、S302の処理において否定的な判断(遊技球が入賞していないとの判断)がなされる場合(S302;NO)、そのままS308以降の処理に移行する。一方、始動入賞装置17に遊技球が入賞したと判断されると(S302;YES)、「特別図柄の保留数」が所定個数未満(本実施例は、4個未満)であるか否かが判断される(S304)。このS304の処理において、所定個数未満と判断されると(S304;YES)、始動入賞装置17への入賞に関連する判定用乱数(抽選用乱数)を取得し、この判定用乱数(抽選用乱数)が主制御基板200に搭載されたRAM202の所定アドレスに記憶されるとともに、「特別図柄の保留数」が「+1」される(S306)。
【0137】
ここで、S306の処理において取得される判定用乱数(抽選用乱数)としては、(a)始動入賞装置17への遊技球の入賞に起因して実行される当否判定(大当りを生じさせるか否かについての判定)に際して用いる抽選用乱数、(b)特別図柄表示部62に停止表示される図柄を決定するための決定用乱数(以下、「図柄決定乱数」という。)、(c)演出表示装置27の表示面27aにおいて実行される疑似図柄の変動表示においてリーチ表示を行うか否かを決定するためのリーチ乱数、などがある。
【0138】
S308の処理では、大当り遊技を実行中であるか否かが判断される(S308)。具体的には、大当り遊技フラグ(図29のS378の処理を参照)がセット(ONに設定)されていると、S308の処理において肯定的な判断がなされる。なお、大当り遊技フラグは「大当り遊技実行手段(制御プログラムであって、ROM203に格納されている。)」が作動中であることを示すものである。
【0139】
CPU201は、大当り遊技を実行中であると判断すると(S308;YES)、特別図柄遊技処理を終了して、図26の遊技制御処理に復帰する。一方、S308の処理で、大当り遊技を実行中でないと判断すると(S308;NO)、特別図柄が変動中か否かを判断する(S310)。そして、特別図柄が変動中でない場合は(S310;NO)、特別図柄が未だ変動していないか、若しくは変動表示後に停止図柄で停止表示されているかの、いずれかであると考えられる。そこで、特別図柄の停止図柄を表示させる停止表示時間中(本実施例では、この停止表示時間を0.6秒とする。)であるか否かを判断する(S312)。そして、特別図柄が変動表示されておらず(S310;NO)、且つ、特別図柄の停止図柄を表示している停止表示時間中でもない場合は(S312;NO)、変動表示を開始できるか否かを判断する(S314)。
【0140】
この「特別図柄の変動表示を開始できる条件」は「特別図柄に関する保留数」が「ゼロ」でないことである。そして、「特別図柄に関する保留数」が「ゼロ」である場合(S314;YES)特別図柄遊技処理(S300)を終了して、図27の遊技制御処理に復帰する。一方、「特別図柄に関する保留数」が「ゼロ」でない場合、RAM202の所定アドレスから、最も古い判定用乱数(S306で取得したもの)を読み出し(S316)、当否判定処理を行う(S320b)。この当否判定処理(S320)においては、図30に示すように、先ず、遊技機1の遊技モードが高確率モードであるか否かが判断され(S322)、高確率モードであるときには(S322;YES)、「高確率用のデータテーブル」と「S316の処理で読み出した判定用乱数」とを用いて、当否判定(大当りを発生させるか否かの抽選)」が行われ(S324)、遊技機1の遊技モードが低確率モード(通常確率モード)であるときには(S322;NO)、「低確率用のデータテーブル」と「S316の処理で読み出した判定用乱数」とを用いて、当否判定(大当りを発生させるか否かの抽選)」が行われる(S326)。尚、高確率モードにおいては、特別図柄及び普通図柄の変動時間を通常に比べて短くする変動短縮機能を作動させ、かつ第2の始動入賞部17b(普通電動役物17d)の開放延長機能を作動させる。
【0141】
S324またはS326の処理で行われる当否判定が大当りである場合(S330;YES)、大当りフラグをセット(ONに設定)した後(S332)、当否判定処理(S320)を終了し、図柄変動開始処理(S500)に移行する。また、当否判定の結果が外れである場合(S330;NO)、「外れフラグ(大当り生じなかったことを示すフラグ)をセット(ONに設定)した後(S339)、当否判定処理(S320)を終了し、図柄変動開始処理(S500)に移行する。
【0142】
図柄変動開始処理(S500)においては、図31に示すように、先ず、当否判定処理(S320)の結果を下に、変動設定処理(S510、S540)等を行う。すなわち、S502の処理にて、当否判定処理(S320)の結果が「大当り」であると判断されると(S502;YES)、S510に移行して「大当り変動設定処理」を行う。この大当り変動設定処理(S510)では、S306の処理(図28を参照)において取得した図柄決定乱数を読み出して、特別図柄表示部62に停止表示される図柄(大当り図柄)を設定(決定)した後、「決定された大当り図柄の態様と、遊技機1の遊技状態(遊技モード)とを考慮して選択される変動パターンテーブル」を用いて、乱数抽選によって、変動パターンを設定(決定)する処理を行う。
【0143】
一方、S502の処理にて、当否判定処理(S320)の結果が「大当り」でないと判断されると(S502;NO)、S540に移行して「外れ変動設定処理」を行う。この外れ変動設定処理(S540)では、「遊技機1の遊技状態(遊技モード)と、リーチ演出の実行の有無とを考慮して選択される変動パターンテーブル」を用いて、乱数抽選によって変動パターンを設定(決定)する処理を行う。この後、図柄決定乱数を取得し、停止図柄を設定する処理を行う。なお、リーチ演出の実行の有無は、S306の処理(図28を参照)において取得したリーチ乱数を読み出し、この読み出したリーチ乱数に基づいて決定される。
【0144】
なお、本実施例において、「短縮変動モード(時短モード)」とは、変動時間短縮機能(時短機能)が作動している状態を指すもので、開放延長手段が作動する遊技モードであり、変動時間短縮機能(時短機能)が作動する。よって、本実施例の説明では、「短縮変動モード(時短モード)」を「開放延長モード」と読み替えることができる。また、S510若しくはS540で選択される変動パターンテーブルには、多数の変動パターン(例えば、20種、50種、100種)が記憶されている。そして、当否判定の結果が「外れ」である場合において、「短縮変動モードの設定時に特定される変動時間」は、「短縮変動モードの非設定時に特定される変動時間」に比べて短くされる可能性が高い。また、本実施例では、当否判定の結果が「外れ」である場合、特別図柄の保留数が考慮される。つまり、特別図柄の保留数が更に考慮され、保留数が少ない場合(例えば、変動パターン決定時の保留数が「1」の場合)には、長めの変動時間を特定する変動パターンが選択され、保留数が多い場合(例えば、変動パターン決定時の保留数が「3」〜「4」の場合)には、短めの変動時間を特定する変動パターンが選択される傾向にある。また、リーチ表示を行わないと判断される場合に選択される変動パターンで特定される変動時間は、リーチ表示を行うと判断される場合に選択される変動パターンで特定される変動時間に比べて短くされる傾向にある。なお、各「変動パターンテーブル」は、主制御基板200に搭載されたROM203に予め設定されている。
【0145】
このS510若しくはS540の処理の後、CPU201は、特別図柄表示部62にて特別図柄の変動を開始する(S590)とともに、サブ制御部200A(サブ制御基板220)に向かって図柄変動の開始を示す所定のコマンド(図柄変動開始時コマンド)を送信する(S592)。つまり、主制御基板200のCPU201は、サブ制御基板220に向かって「変動パターン指定コマンド(変動パターンを指定するコマンド)」、「特別図柄停止情報指定コマンド」などを送信する。更に、CPU201は、「特別図柄の保留数」を「1」減算する処理と、減算された後の保留数を特定するためのコマンドをサブ制御基板220に送信する処理とを行った後(S595)、図柄変動開始処理(S500)を終了し、更に特別図柄遊技処理(S300)を終了して、図26の遊技制御処理に復帰する。
【0146】
次に、特別図柄遊技処理(S300)のS310の処理(図28参照)で、特別図柄が変動中であると判断された場合は(S310;YES)、既に、特別図柄の演出パターンと停止図柄とが決定されて、特別図柄の変動が開始されていることとなる。そこで、特別図柄変動時間が経過したか否かを判断する(S341)。即ち、特別図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、特別図柄の変動を開始すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したかを判断するのである。そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S341;NO)、そのまま特別図柄遊技処理(S300)を終了して、図26に示す遊技制御処理に復帰する。
【0147】
これに対して、変動時間が経過したと判断された場合は(S341;YES)、変動している特別図柄を停止させ(S344)、停止図柄を表示するとともに、図柄停止コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S346)。なお、図柄停止コマンドは、サブ制御基板220を介して演出表示制御基板222に転送される。そして、特別図柄を停止表示させる停止表示時間を設定した後(S348)、設定した停止表示時間が経過したか否かを判断する(S350)。
【0148】
S350の処理で、特別図柄の停止表示時間が経過していないと判断されれば(S350;NO)、そのまま特別図柄遊技処理(S300)を終了して、図26に示す遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の停止表示時間が経過した場合は(S350;YES)、停止表示の態様が大当りを示す態様(大当り図柄)か否かを判断する(図32のS352)。
【0149】
S352の処理で肯定的な判断がなされると、主制御基板200のCPU201は、「大当り遊技」の終了時に参照するためのバッファ(大当り遊技終了時参照用バッファ)に、現在の遊技進行状況を示す情報をセット(記憶)する(S354)。具体的には、「大当りの種類(通常大当り、タイプAの第1確変大当り、タイプBの第1確変大当り、第2確変大当りのうちの何れであるのかなど)」や「遊技状態フラグの状態」をセット(記憶)する(S354)。ここで、「遊技状態フラグ」とは「遊技機1の遊技状態」を示すフラグ(確変フラグ、変動短縮フラグ、開放延長フラグなど)であり、S354の処理においては、これらのフラグが「ONに設定」されているか、「OFFに設定」されているかが、セットされる。また、主制御基板200に搭載されたRAM202の特定領域が、S354の処理で用いるバッファ(大当り遊技終了時参照用バッファ)として機能する。
【0150】
このS354の処理に続いてS356以降の処理に移行し、発生した大当りの態様に応じて「大当り遊技」の態様を振り分けることを行う。先ず、発生した大当りが「第2確変大当り(2R大当り)」である場合(S372;YES)、「第2大当り遊技における大入賞口31aの開放パターン」をセットした後(S374)、S378の処理に移行し、発生した大当りが「通常大当り」若しくは「Aタイプの第1確変大当り(8R型大当り遊技の実行契機となる大当り)」である場合(S372;NO、S375;YES)、「8R型大当り遊技における大入賞口31aの開放パターン」をセットした後(S376)、S378の処理に移行する。なお、S374及びS376では、何れも中大入賞装置31を用いて大当り遊技を実行するための開放パターンがセットされる。
【0151】
発生した大当りが「Bタイプの第1確変大当り(15R型大当り遊技の実行契機となる大当り)」である場合(S372;NO、S375;NO)、「15R型大当り遊技における大入賞口35aの開放パターン」をセットした後(S377)、S378の処理に移行する。なお、S377では、右大入賞装置35を用いて大当り遊技を実行するための開放パターンがセットされる。
【0152】
S378の処理においては、大当り遊技フラグをセット(ONに設定)する処理が行われる。この「大当り遊技フラグ」のセットにより、遊技機1の遊技状態は「大当り遊技状態」に移行する(大当り遊技実行手段が作動を開始する)ことになるが、本実施例の遊技機1では、「大当り遊技フラグ」の設定中(つまり、大当り遊技実行手段の作動中)は、確変機能、時短機能(変動時間短縮機能)、開放延長機能は働かないこととしている。このため、S378の処理の後にS380以降の一連の処理を経て特別図柄遊技処理(S300)を終了する。
【0153】
つまり、S378の処理において、「大当り遊技フラグ」を設定したら、確変フラグがセット(ONに設定)されているか否かを判断し(S380)、セットされていない場合は(S380;NO)、そのままS384の処理に移行し、セットされている場合は(S380;YES)、確変フラグを解除(OFFに設定)した後(S382)、S384の処理に移行する。そして、S384の処理においては、変動短縮フラグがセット(ONに設定)されているか否かを判断し、セットされていない場合は(S384;NO)、そのまま特別図柄遊技処理(S300)を抜けて、図26の遊技制御処理に復帰する。一方、S384の処理において、変動短縮フラグがセット(ONに設定)されていると判断される場合は(S384;YES)、変動短縮フラグと開放延長フラグとを解除(OFFに設定)した後(S386、S387)、特別図柄遊技処理(S300)を抜けて、図18の遊技制御処理に復帰する。そして、何れの場合においても、図26の遊技制御処理に復帰すると、大当り遊技処理(S700)が開始され、前述の大当り遊技が実行される。
【0154】
次に、図32のS352の処理で否定的な判断がなされる場合の処理について説明する。つまり、特別図柄表示部62において停止表示された特別図柄が「外れ図柄」の場合(S352;NO)、変動短縮フラグがセット(ONに設定)されているか否かが判断される(S398)。そして、変動短縮フラグがセットされていない場合(S398;NO)、つまり、外れ発生時の遊技モードが、「高確率通常変動モード」である場合、そのまま特別図柄遊技処理(S300)を抜けて、図26の遊技制御処理に復帰する。
【0155】
一方、変動短縮フラグがセット(ONに設定)されている場合(S398;YES)、つまり、外れ発生時の遊技モードが、「低確率短縮変動モード」若しくは「高確率短縮変動モード」である場合、変動短縮カウンタの値を「−1」した後(S400)、変動短縮カウンタの値が「ゼロ」になったか否かを判断する(S404)。そして、「ゼロ」になっていない場合(S404;NO)、 そのまま特別図柄遊技処理(S300)を抜けて、図26の遊技制御処理に復帰する。
【0156】
これに対して、S404の処理で、変動短縮カウンタの値が「ゼロ」になったと判断される場合(S404;YES)、遊技機1の遊技モードが低確率短縮変動モードから低確率通常変動モードに切り替わることになる。このため、変動短縮フラグを解除(OFFに設定)する処理(S410)と、開放延長フラグを解除(OFFに設定)する処理(S416)と、モード指定コマンドをサブ制御基板220に送信する処理(S430)とを行った後、特別図柄遊技処理(S300)を抜けて、図26の遊技制御処理に復帰する。なお、S430の処理では、低確率通常変動モードを指定する「モード指定コマンド」がサブ制御基板220に送信される。
【0157】
E.大当り遊技処理(S600)
主制御基板200に搭載されたCPU201が、図26の遊技制御処理を繰り返し行ううちに、「大当り遊技フラグ」がセット(ONに設定)されていると判断すると(S602;YES)、大当り遊技処理を開始させ(S600)、「大当り遊技」が実現される。
【0158】
図32は、大当り遊技処理(S600)の流れを示すフローチャートである。大入賞口(31a若しくは35a)が開放されると、前述のように、所定の開放時間(図23のS374の処理で設定)が経過するか、或いは、所定数の遊技球が大入賞口(31a若しくは35a)に入賞すると一旦閉鎖されるが、所定の閉鎖時間が経過すると再び開放状態となる。ここで、閉鎖状態の大入賞装置(31若しくは35)が開放状態となり、再び開放状態となることを内容とする遊技を「単位動作(大当り遊技においては、ラウンド)」と称することとする。そして、この単位動作を所定回数(2回、8回若しくは15回)繰り返すと、大当り遊技を終了する。以下、図32及び図33を参照しながら、詳細な処理内容について説明する。
【0159】
大当り遊技を開始すると、先ず、「対象としている大入賞口(31a若しくは35a)が開放中か否かを判断する(S604)。ここで、大入賞口(31a若しくは35a)は、「大当り遊技状態ではない通常の遊技状態」では閉鎖されており、従って、当り遊技の開始直後は閉鎖状態となっているため、大当り遊技の開始直後は、大入賞口(31a若しくは35a)は開放中ではないと判断され(S604;NO)、続いて、大当り遊技の終了条件が成立したか否かが判断される(S612)。つまり、「大当り遊技開始後に実行された単位動作の回数」が対応する当り遊技の設定回数(2回、8若しくは15回であって、図29のS374、S376、S377の処理で設定)に達したか否かを判断する(S612)。
【0160】
但し、大当り遊技が開始された直後は、大当り遊技の終了条件が成立しないため、S612の処理では、必然的に否定的な判断がなされる(S612;NO)。このため、S614の処理に移行して、インターバル時間(例えば、2秒)が経過したか否かを判断する(S614)。つまり、大入賞口(31a若しくは35a)の閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S614)。ここで、大入賞口31aの閉鎖時間(インターバル時間)とは、単位動作と単位動作との間で大入賞口(31a若しくは35a)が閉鎖状態となっている時間である。そして、大当り遊技が開始された直後は、大入賞口(31a若しくは35a)は閉鎖状態となっているから、必然的に、大入賞口の閉鎖時間が経過していると判断され(S614;YES)、対象とする大入賞口(31a若しくは35a)を開放させた後(S616)、図32に示した大当り遊技処理を一旦終了して、図26の遊技制御処理に復帰する。
【0161】
ここで、「8R型大当り遊技」若しくは「2R型大当り遊技」を実行する場合、S616の処理において中大入賞装置31が開放状態となり、「15R型大当り遊技」若しくは「2R型大当り遊技」を実行する場合、S616の処理において右大入賞装置35が開放状態となる。そして、右大入賞装置35が開放状態となると、遊技者は、通常、「右打ち」を行うことになる。
【0162】
主制御基板200のCPU201は遊技制御処理に復帰すると、図26に示す一連の各種処理を行った後、再び大当り遊技処理(S600)を開始する。この際、前述のように、主制御基板200のCPU201が図26に示した遊技制御処理を一回実行するために要する時間は、約4msecとなっている。従って、図32に示す大当り遊技処理(S600)も、約4msec毎に繰り返して実行される。そして、S604の処理で肯定的な判断がなされると、対象とする大入賞口(31a若しくは35a)の開放時間が経過したか否かを判断する(S606)。つまり、実行中の大当り遊技が「中大入賞装置31を用いて実行される8R型大当り遊技」若しくは「右大入賞装置35を用いて実行される15R型大当り遊技」である場合は、第1の開放時間(25秒)が経過したか否かが判断される。また、実行中の大当り遊技が「第2大当り遊技」である場合は、第2の開放時間(0.2秒)が経過したか否かが判断される。ここで、第1の開放時間(25秒)は多数の遊技球(例えば、規定数の遊技球であって、8個など)が入賞するための十分な時間であり、第2の開放時間は遊技球が入賞することが困難な時間である。
【0163】
大入賞口(31a若しくは35a)の開放時間(第1の開放時間若しくは第2の開放時間)が経過していれば(S606;YES)、大入賞口(31a若しくは35a)を閉鎖した後(S610)、図32に示した大当り遊技処理(S600)を抜けて、図26の遊技制御処理に復帰する。一方、大入賞口(31a若しくは35a)の開放時間が経過していない場合は(606;NO)、大入賞口(31a若しくは35a)に入賞した遊技球が規定数(8球)に達しているか否かを判断する(S608)。そして、遊技球の入賞数が規定数に達した場合も(S608;YES)、大入賞口(31a若しくは35a)を閉鎖する(S610)。つまり、遊技球の入賞数が規定数に達すると、開放時間の経過を待たずに大入賞口(31a若しくは35a)を閉鎖する。
【0164】
大入賞口(31a若しくは35a)の開放時間(第1の開放時間若しくは第2の開放時間)が経過せず(S606;NO)、入賞数が規定数に達していない場合は(S608;NO)、大入賞口(31a若しくは35a)を開放させたまま、図32の大当り遊技処理を抜けて、図26の遊技制御処理に復帰する。
【0165】
遊技機1の遊技状態が「大当り遊技状態」である場合(大当り遊技フラグがセットされている場合)、図26の遊技制御処理を何回も繰り返し実行しているうちに、「対象となっている大入賞口(31a若しくは35a)」の開放時間が経過するか(S606;YES)、若しくは、「対象となっている大入賞口(31a若しくは35a)」に所定数の遊技球が入賞して(S608;YES)、大入賞口31aが閉鎖される(S610)。こうして、1回の単位動作を終了する。
【0166】
遊技機1の遊技状態が「大当り遊技状態」にあるときに、再度、大当り遊技処理(S600)が実行され、S604において大入賞口(31a若しくは35a)が閉鎖中と判断されると(S604;NO)、当該「大当り遊技」の終了条件が成立したか否かが判断される(S612)。つまり、「大当り遊技」が「8R型大当り遊技」の場合は、その「大当り遊技」中に実行した単位動作の回数(ラウンド数)が「8」に達したか否かが判断され、「15R型大当り遊技」の場合は、その「大当り遊技」中に実行した単位動作の回数(ラウンド数)が「15」に達したか否かが判断され、「第2大当り遊技(2R型大当り遊技)」の場合は、その「大当り遊技」中に実行した単位動作の回数(ラウンド数)が「2」に達したか否かが判断される。そして、単位動作の回数(ラウンド数)が設定回数に到達していなければ(S612;NO)、インターバル時間(例えば、2秒)が経過したことを確認した後(S614;YES)、再び大入賞口31aを開放状態とする新たな単位動作を実行する(S616)。
【0167】
一方、S612の処理において、当該「大当り遊技」の終了条件が成立したと判断される場合は(S612;YES)、以下に示す「大当り遊技時終了処理(S700)」を行った後、大当り遊技処理(S600)を終了し、図26の遊技制御処理に復帰する。次に、図33を用いて当り大遊技終了時処理(S700)」について説明する。
【0168】
CPU201は、大当り遊技終了時処理(S700)が起動すると、図33に示すように、大当り遊技フラグ(図23のS378の処理でONに設定した大当り遊技フラグ)を解除(OFFに設定)した後(S705)、前述の「大当り終了時参照用バッファ(図29のS354を参照)」を参照することによって、大当り図柄停止表示時の状態を取得する(S710)。つまり、図28のS344の処理で停止した「当り図柄の種類(通常大当り図柄、Aタイプの第1確変大当り図柄、Bタイプの第1確変大当り図柄、第2確変大当り図柄)に関する情報」を取得する(S710)。次いで、S710の処理で取得した情報を基に、今回の大当り遊技の発生契機となった大当り図柄が「確変大当り図柄」であったか否かを判断する(S720)。
【0169】
S720の処理において、大当り図柄が「確変大当り図柄」であったと判断すると(S720;YES)、確変フラグをセット(ONに設定)する処理(S725)と、変動短縮カウンタに「10,000」をセットする処理(S760)と、短縮変動フラグをセットする処理(S775)と、開放延長フラグをセットする処理(S780)とを行った後、S785の処理に移行する。ここで、「変動短縮カウンタ」は、「変動短縮しつつ実行する特別図柄の変動回数の上限回数」を示すものであり、その値が「ゼロ」になると、次回の図柄変動において短縮変動は行われない。
【0170】
一方、S720の処理で否定的な判断がされる場合(S720;NO)、変動短縮カウンタに「100」をセットする処理(S770)と、変動短縮フラグをセットする処理(S775)と、開放延長フラグをセットする処理(S780)とを行った後、S785の処理に移行する。
【0171】
S785では、「モード指定コマンド」をサブ制御基板220に送信する処理が行われ、この処理を終了すると大当り遊技終了時処理(S700)を終了する。ここで、「モード指定コマンド」は、遊技状態フラグ(確変フラグ、変動短縮フラグ、開放延長フラグ)の状態に基づき、「低確率通常変動モード」、「低確率短縮変動モード」、「高確率短縮変動モード」の何れかを指定するコマンドである。
【0172】
(6)実施例の効果
本実施例の遊技機1において、遊技領域11の進入した遊技球が、右大入賞装置35を目指して流下し、右大入賞装置35の周辺に到達するまでの時間は、中大入賞装置31を目指して流下し、中大入賞装置31の周辺に到達するまでの時間に比べて短くなる。しかも、中大入賞装置31を目指して流下する遊技球の方が、右大入賞装置35を目指して流下する遊技球に比べて、他の入賞装置(始動入賞装置17等)に入賞したり、遊技領域11の略中央のメイン役物装置20に入球する可能性が高くなる。そして、「15R型大当り遊技」が開始されると、遊技者は「右打ち」を行うことになるが、この場合、右大入賞装置35の周囲に遊技球が到達する頻度が高くなる。
【0173】
このため、この「右打ち」時に、右大入賞口35aに向けて流下したが、右大入賞口35aに入賞できなかった遊技球の多くが、アウト口18方向に流下するとすれば、遊技球が遊技者に視認される頻度は高くなる。これに対して、「右打ち実行時」において、右大入賞口35aが閉鎖されている時に、この右大入賞口35aに向けて流下する遊技球の殆どを、盤面装飾体90の受入部98で受け入れて機外に排出するので、右大入賞口35aに入賞しない遊技球が遊技者に視認される頻度を抑えることができる。従って、本実施例の遊技機1によると、無駄球の量が少ない印象を与えることができる。
【0174】
また、本実施例の遊技機1は、盤面装飾体90で覆われる部位に排出口30Yが設けられるため、盤面装飾に制約が生ずるのを抑えることができる。また、右下表示装置60が一体化された盤面装飾体90の背後に、右大入賞口35aに入賞しない遊技球を処理するための処理部を設ける構成であり、この処理部が、「入賞口(固定式若しくは可変式)」の如き外観を呈しないため、遊技者に「遊技球が入賞したのにもかかわらず、賞球を生じない」との誤認を生じさせることはない。更に、右大入賞口35aの正面前方に盤面装飾体90を設けることで、前方から盤面を視認する遊技者にとっては、右大入賞口55aに入賞する遊技球と、盤面装飾体90の背後で排出させる遊技球との区別が付き難くなるため、この点からも、遊技者に無用なストレスを与える可能性を低くできる。
【0175】
更に、本実施例の遊技機1では、開閉部材35bが開放状態にあるときに、この開閉部材35bによって受入部98の殆どが遊技球を受入不可能となるように閉鎖されるため、遊技者が「受入部98の存在」に気づき難くすることができる。
【0176】
また、本実施例の遊技機1では、右大入賞口35aの側方に案内用突出部35Tが設けられるため、遊技領域11を流下した後、右大入賞口35aの周辺に到達した遊技球が、右大入賞口35aの左側方に逃げようとする流下経路を通過しようとしても、案内用突出部35Tに衝突して、右大入賞口35aに入賞したり、受入部98に受け入れられる可能性が高くなる。つまり、右打ち時に、右大入賞口35aに入賞せず、アウト口18に向かおうとする遊技球が、右大入賞口35aに入賞したり、受入部98に受け入れられるため、「無駄球(アウト球)として排出される排出される印象」を、遊技者により一層、与え難くすることができる。
【0177】
更に、本実施例の遊技機1によると、遊技盤10の正面に位置する遊技者に対して、「右大入賞口35aに入賞後した遊技球の進行経路」と、「受入部98に受け入れられる遊技球の進行経路」とが似通った印象を与えることができる。つまり、受入部98に受け入れられて排出される遊技球の進行経路が、右大入賞口35aに入賞して賞球を生じさせる場合の遊技球の進行経路と似通ったものとなるため、右大入賞口35aに入賞しない遊技球が、あからさまに無駄球(アウト球)として排出される排出される印象を、遊技者に更に一層、与え難くすることができる。
【実施例2】
【0178】
次に、実施例2の遊技機について説明する。この実施例2は、右大入賞装置35の構成が異なる点を除いて実施例1と同様である。つまり、実施例2の右大入賞装置35では、図34に示すように、通路形成ボックス80内部に収納されたり、通路形成ボックス80外部に突出したりする開閉部材135bを用いて右大入賞口135aの開閉を行う点が実施例1と異なる。
【0179】
開閉部材135bは、右大入賞口35a内に収納可能であるとともに、上面部を後方に下り傾斜面とする底板部135dと、底板部135dの前端から上方に立設された蓋部135cとを備える。この開閉部材135bは、通路形成ボックス80に対して前後に進退可能に配設され、開閉部材135bが後退位置にあるときに、蓋部135cが右大入賞口135aを閉鎖する。一方、開閉部材135bの位置を前進位置に変更し、その蓋部135cが右大入賞口135aの前方に突出させることで、右大入賞口135aが開放状態となる。このとき、底板部135dの右大入賞口135a前方への突出量が、遊技球の直径を超える量となるため、遊技領域11を流下する遊技球を、この底板部135dによって受け取り、右大入賞口135a内に入賞させることができる。
【0180】
この実施例2の遊技機においては、開閉部材135bが後退位置にあるときには、受入部98は上方に開放され、開閉部材135bが前進位置にあるときには、受入部98は上方から隠蔽される。そして、実施例2によっても、実施例1と同様な効果が得られる。
【実施例3】
【0181】
次に、実施例3の遊技機について説明する。この実施例3も、右大入賞装置35の構成が異なる点を除いて実施例1と同様である。つまり、実施例3の右大入賞装置35では、図35に示すように、遊技盤10の盤面に沿った方向(盤面側方であって、本実施例では、左側方を例示)に開放される右大入賞口235aと、遊技盤10の盤面前後方向に配設される揺動軸235dを基準に揺動可能に配設される開閉羽根(開閉部材)235bとを備え、開閉羽根235bが右大入賞口235aを閉鎖する基本姿勢と、右大入賞口235aを開放するように揺動した開放姿勢との間で姿勢変更可能とされている。
【0182】
つまり、図35(a)に符号(A)を付して示すように、開閉羽根235bが立設姿勢(基本姿勢)にあるとき、右大入賞口235aが閉鎖され、図35(a)に符号(B)を付して示すように、開閉羽根235bが反時計回転方向に傾動した姿勢(開放姿勢)にあるとき、右大入賞口235aが開放される。
【0183】
この実施例3の遊技機においては、開閉羽根235bが基本姿勢にあるときには、受入部98は上方に開放され、開閉羽根235bが開放姿勢にあるときには、受入部98は上方から隠蔽される。そして、実施例3によっても、実施例1と同様な効果が得られる。
【0184】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0185】
上記各実施例では、右大入賞装置35と、中大入賞装置31とを備える遊技機を例示したが、(a)大入賞装置として、右大入賞装置35のみを備える遊技機、(b)大入賞装置として、右大入賞装置35と、アウト口の左斜め上方に配設される大入賞装置(以下、「左大入賞装置」という。)、(a)大入賞装置として、右大入賞装置35と、中大入賞装置31と、左大入賞装置を備える遊技機に対しても、各請求項の発明を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本発明は、遊技機を製造、販売等する分野において利用できる。
【符号の説明】
【0187】
1;遊技機(弾球遊技機)、
2;外枠、
10;遊技盤、
18;アウト口、
30U;下部装置ユニット、
30B;ベース基板、
30S;装飾体装着部、
30Y;排出口、
31;中大入賞装置、
31a;中大入賞口、
31b;開閉板、
31s;中大入賞口入賞検出スイッチ、
35;右大入賞装置(大入賞装置)、
35a;右大入賞口、
35b;開閉板(開閉部材)、
35s;右大入賞口入賞検出スイッチ(検出手段)、
35T;案内用突出部、
60:右下表示装置(表示装置)、
80D;大入賞口入賞通路(右大入賞装置の大入賞口入賞通路は、誘導部の具体例を構成)、
90;盤面装飾体、
91;取付ベース、
93;樋形成部材、
93T;樋、
95;隠蔽体、
98;受入部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を流下させる遊技領域が盤面に設けられるとともに、前記遊技領域の最下部まで流下した遊技球を前記遊技領域外に排出するためのアウト口が設けられた遊技盤と、
前記遊技領域のうちで前記アウト口よりも右斜め上方の部位に配設されるとともに、前記盤面の前方に開口する大入賞口と、前記大入賞口の開閉を行う開閉部材とを具備する大入賞装置と、
を備え、
前記開閉部材の状態が、前記大入賞口への遊技球の入賞が不可能となるように前記大入賞口を閉鎖する閉鎖状態から、前記大入賞口への遊技球の入賞が可能となるように前記大入賞口を開放する開放状態に変化する遊技機であって、
前記大入賞口の真下の部位に、前記大入賞口に入賞しない遊技球を受け入れる受入部と、該受入部に受け入れられた遊技球を流下させる樋と、遊技進行状況に応じて表示態様が変化する表示装置と、を一体化してなる盤面装飾体を設けるとともに、
前記盤面装飾体を構成する前記樋を流下する遊技球を、前記遊技領域外に排出するための排出口を、前記遊技盤の前記盤面装飾体で覆われる部位に設けることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記開閉部材は、前記閉鎖状態にあるときに、前記受入部が遊技球を受入可能となるように前記受入部を開放し、
前記開放状態にあるときに、前記受入部の全体若しくは一部が遊技球を受入不可能となるように前記受入部を閉鎖することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記大入賞口の左側方の部位には、前記大入賞口よりも前方に突出する案内用突出部が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記大入賞装置において前記大入賞口の後方の部位には、前記大入賞装置に入賞した入賞球を検出するための検出手段と、該入賞球を該検出手段に誘導するための誘導部とが設けられるとともに、
前記検出手段及び前記排出口は、前記大入賞口の左端部及び右端部から選択される一端部に近接する側に配設されるとともに、
前記誘導部及び前記樋は、前記一端部に近接する側に向かって下る経路を、左右方向に沿って形成することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2012−10838(P2012−10838A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148656(P2010−148656)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000204262)タイヨーエレック株式会社 (1,095)
【Fターム(参考)】