説明

遊技機

【課題】入賞口等へ入賞したことを、遊技している遊技者のみならず、周囲にいる者に対して報知し、入賞間隔時間を含む入賞形態を識別して報知する。
【解決手段】監監視波形格納部264は、監視波形読出部258に接続されている。入賞信号を受けた監視波形読出部258は、監視波形を読み出し、監視波形更新部268へ送出する。監視波形更新部268は、通常/特殊判定部270に接続され、60秒の間に制限値(7回)未満の入賞、すなわち6回までの入賞は「通常」と判定し、制限値、すなわち7回以降は「特殊」と判定する。通常/特殊判定部270は、報知コマンド生成部272に接続され、通常/特殊判定部270からの判定結果に基づいて、通常入賞用の通常入賞音を出すためのコマンド、或いは特殊入賞用の特殊入賞音を出力するためのコマンドの何れかを生成し、報知コマンド出力部274へ送出し、演出制御部152へ報知コマンドを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも賞球又は抽選の権利が付与される特定の領域が設けられた遊技盤面へ送り出すための案内流路を備えた球案内装置及び、球案内装置を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機、例えば、パチンコ機の遊技盤には、賞球や抽選等の権利を得ることができる特定領域、例えば入賞口(始動入賞口、一般入賞口等)、および始動通過孔(チャッカ、始動通過領域)が設けられ、それぞれに球検出センサが配置されている。球検出センサは、パチンコ球が通過することで、当該パチンコ球を検出し、一般入賞口の場合には検出後に遊技機に取り込んで検出球に対する賞品として所定数の遊技球を払い出し(賞球し)、始動入賞口の場合にはパチンコ球の検出タイミングで権利抽選すると共にパチンコ機に取り込んで賞球し、さらにチャッカの場合には権利抽選後に再度、遊技盤面に戻して検出球に対する賞球はない。
【0003】
ここで、前記入賞口に設けられた球検出センサを通過すると、この通過に応じて効果音が発生する構成を備えたパチンコ機が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
このような効果音は、遊技者や周囲の者に入賞を報知することになり、感覚的に、所謂出玉率の善し悪しの判断材料とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−20573号公報
【特許文献2】特開2000−135315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の効果音出力は、その情報認識度合いが効果音を聞く側に依存するため、報知を明確に認識させているとは言い難く、現状では、直接遊技している遊技者は視線を入賞口に注ぐのではなく、当落結果を告知するための画像表示装置、あるいは可動物に注目する傾向が大きい。よって遊技者の視線は始動入賞口(始動通過孔)から外れており、入賞したか否かが判別できないようなとき、聴覚を通して認識するに過ぎない。
【0007】
なお、参考として、パチンコ球に、釣り糸等の糸材の一端部を接着剤等で固定した状態で発射し、糸材の他端部を手元に残した状態のまま、パチンコ球を球検出センサの検出位置を境界として、その上流側と下流側とを行き来させ、糸材の他端部を手元から操作する不正行為がある。これにより、球検出センサに対して当該上流と下流との行き来毎に、遊技機の制御回路に対して入賞であると誤って判断させるので、この種の行為を未然に防ぐためにも、球検出センサの上下流の行き来による頻繁な入賞形態(不正の可能性が高い入賞形態)を迅速かつ確実に把握することが要求されている。
【0008】
本発明は上記事実を考慮し、入賞口等へ入賞したことを、遊技している遊技者のみならず、周囲にいる者に対して報知し、かつ、入賞間隔時間を含む入賞形態を識別して報知することができる遊技機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、遊技盤上に向けて発射された遊技球が入賞する入賞口及び当該遊技球が通過する通過口の少なくとも一方を含む特定領域のそれぞれに設けられ、前記特定領域毎に、入賞又は通過した遊技球を検出する球検出手段と、少なくとも、前記球検出手段で遊技球を検出する時期を計測する計測手段と、前記球検出手段による遊技球の検出時期情報と、前記計測手段による時期情報とに基づいて、前記球検出手段の検出状態を少なくとも通常状態と特殊状態を含む2形態以上に分類する分類手段と、前記分類手段で前記通常状態に分類された場合に、当該遊技球の入賞又は通過を通常報知形態で報知すると共に、前記分類手段で前記特殊状態を含み前記通常状態以外に分類された場合に、当該遊技球の入賞又は通過を特殊報知形態で報知する報知手段と、を有している。
【0010】
本発明によれば、球検出手段で遊技球の入賞口への入賞、或いは、通過口の通過を検出すると、当該検出する時期を計測する(時期情報)。なお、この時期情報は、遊技球を検出したときの時刻情報でもよいし、2以上の遊技球の検出インターバル(期間)を計測した期間情報でもよい。さらには、一定期間毎の区切られた区間を特定する情報でもよい。
【0011】
分類手段では、球検出手段による遊技球の検出時期情報と、計測手段による時期情報とに基づいて、球検出手段の検出状態を少なくとも通常状態と特殊状態を含む2形態以上に分類する。例えば、この分類は、最少の形態として、通常状態と特殊状態の2種類のみの場合がある。
【0012】
報知手段では、分類手段で通常状態に分類された場合に、当該遊技球の入賞又は通過を通常報知形態で報知すると共に、前記分類手段で特殊状態を含み通常状態以外に分類された場合に、遊技球の入賞又は通過を特殊報知形態で報知する。
【0013】
これにより、通常状態以外の入賞があると、報知形態が通常状態に分類された場合とは異なるため、遊技者のみならず、遊技者の周囲の者(例えば、通路を巡回している店員等)にも、通常状態ではないことを気づかせることができ、遊技者を含む、周囲の遊技客にとっては演出として楽しむことができ、店側にとっては故障や不正が原因か否かの判断を喚起させるきっかけとして、状況に応じた迅速な対応ができる。
【0014】

本発明において、前記報知手段が、聴覚を通じて報知するものであり、音色、音階、音量の少なくとも1つを含む音の種類を異ならせることで、前記通常報知形態と、前記特殊報知形態を含む通常報知形態以外とにおいて、被聴取者が識別可能とすることを特徴としている。
【0015】
音による報知であるので、被聴取者、すなわち、音を聞く側である遊技者は本来の遊技に関わる視線をそらすことなく、報知情報を聴覚によって認識することができる。
【0016】
また、本発明において、前記分類手段が、それぞれ前記球検出手段毎に検出される検出信号を少なくとも計数すると共に、単位時間当たりの計数値を演算する計数値演算手段と、前記計数値演算手段により演算した単位時間当たりの計数値と、予め定めた基準計数値とを比較する比較手段と、を備え、前記比較手段の比較結果に基づいて、前記単位時間内に、予め定められた数を超過して入賞又は通過がないときは通常状態、予め定められた数を超過して入賞又は通過があったときは特殊状態に分類することを特徴としている。
【0017】
分類手段として、少なくとも、それぞれ球検出手段毎に検出される検出信号に基づいて計数(具体的には、パルス信号のパルス数計数)すると共に、単位時間当たりの計数値を演算する計数値演算手段と、計数値演算手段により演算した単位時間当たりの計数値と、予め定めた基準計数値とを比較する比較手段と、を備えることで、比較手段の比較結果に基づいて、単位時間内に予め定められた数を超過して遊技球の入賞又は通過がないときは通常状態、予め定められた数を超過して入賞又は通過があったときは特殊状態に分類する。
【0018】
このため、所定期間に所定数を超えた遊技球の入賞あるいは特定領域の通過があった場合を特殊状態とすることができる。
【0019】
さらに、本発明において、前記分類手段が、それぞれ前記球検出手段毎に検出される遊技球の検出信号を少なくとも計数すると共に、検出毎の間隔計数値を演算する計数値演算手段と、前記計数値演算手段により演算した間隔計数値と、予め定めた基準間隔計数値とを比較する比較手段と、を備え、前記比較手段の比較結果に基づいて、前記間隔計数値が基準間隔計数値を下回らないときは通常状態、前記間隔計数値が基準間隔計数値を上回ったときは特殊状態に分類することを特徴としている。
【0020】
分類手段として、それぞれ球検出手段毎に検出される遊技球の検出信号を少なくとも計数すると共に、検出毎の間隔計数値を演算する計数値演算手段と、計数値演算手段により演算した間隔計数値と、予め定めた基準間隔計数値とを比較する比較手段と、を備えることで、比較手段の比較結果に基づいて、間隔計数値が基準間隔計数値を下回らないときは通常状態、間隔計数値が基準間隔計数値を上回ったときは特殊状態に分類する。
【0021】
このため、適正なインターバルがなく遊技球の入賞あるいは特定領域の通過が継続した場合を特殊状態とすることができる。
【0022】
また、本発明において、前記比較手段の比較結果に基づいて、前記間隔計数値が基準間隔計数値を上回ることが連続した場合に、当該連続回数に応じて、少なくとも特殊報知形態の強調度合いを高めていくことを特徴としている。
【0023】
比較手段の比較結果に基づいて、間隔計数値が基準間隔計数値を上回ることが連続した場合に、当該連続回数に応じて、少なくとも特殊報知形態の強調度合いを高めていくことで、適正なインターバルがない状態が継続されればされるほど、特殊報知形態が強調され、認識し易くすることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明した如く本発明では、入賞口等へ入賞あるいは特定領域を通過したことを、遊技している遊技者のみならず、周囲にいる者に対して報知し、かつ、入賞間隔時間を含む入賞形態を識別して報知することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施の形態に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る遊技盤の正面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る制御系のハード構成を示すブロック図である。
【図4】遊技盤の裏面側に取り付けられた球案内パネルの正面図である。
【図5】遊技盤の裏面側に取り付けられた球案内パネルの斜視図である。
【図6】(A)は球検出センサの斜視図、(B)は球検出センサの動作タイミングチャートである。
【図7】第1の実施の形態に係る、主制御部の一部として、球検出センサ毎に設けられた入賞監視部を構成する制御を機能毎に示した制御ブロック図である。
【図8】第1の実施の形態に係り、演出制御部において実行され、入賞監視部で決定した入賞音の出力制御を機能毎に示した制御ブロック図である。
【図9】第1の実施の形態に係る監視波形のタイミングチャートである。
【図10】第1の実施の形態に係る球検出センサ毎の監視波形生成ルーチンを示す制御フローチャートである。
【図11】第1の実施の形態に係る監視波形No.w(n)に基づく、入賞状況監視制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図12】変形例1に係る監視波形のタイミングチャートである。
【図13】変形例2に係る監視波形のタイミングチャートである。
【図14】第2の実施の形態に係る遊技盤の斜視図である。
【図15】第2の実施の形態に係る遊技盤の正面に向かって左側に取り付けられた一般入賞役物ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(パチンコ機の構成)
図1に示されるように、パチンコ機10の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
【0027】
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、互いに平行、かつ奥行き方向に所定の間隔をおいて配置された一対のガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は、図1に示す状態で左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18がセットされており、遊技盤18は、ガラス枠16で閉塞された状態でガラス板14に対向するようになっている。
【0028】
ガラス枠16の下部には、一体皿24が配置されている。一体皿24の図1の右端部には、鍵穴27が設けられ、この鍵穴27にキーを差し込み、左右の内、一方に回すとガラス枠16が開放し、他方に回すと一体皿24が開放する。なお、回す角度が浅いとガラス枠16が開放し、さらに同じ方向に深く回すと一体皿24が開放する構成であってもよい。
【0029】
一体皿24には、上皿部28と、下皿部30とが設けられている。上皿部28を形成する周縁部32には、上皿球抜きレバー34が設けられ、この上皿球抜きレバー34を操作することで、上皿部28に貯留された遊技球を下皿部30へ送り出すことができるようになっている。また、下皿部30には、下皿球抜きボタン36が設けられ、この下皿球抜きボタン36を操作することで、下皿部30に貯留された遊技球PBを外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
【0030】
上皿部28の周縁部32における図1の右端部には、球貸ボタン42と、返却ボタン44が設けられている。
【0031】
また、一体皿24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット(発射ハンドル)26が取り付けられ、左側下部には、灰皿46が取り付けられている。
【0032】
一体皿24における下皿部30の図1の右側には受け皿スピーカ60Uが配置されている。
【0033】
ここで、一体皿24における上皿部28の周縁部32には、遊技者が操作可能な操作ボタン50が設けられている。この操作ボタン50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
【0034】
ガラス枠16におけるガラス板14の周囲には、アーチ状に遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による視覚的効果や、音声等による聴覚的効果等の演出効果を生み出す上部演出部52が配置されている。この上部演出部52の下端部は、一体皿24の周囲に略U字型に配置された下部演出部54の上端部と連結されている。
【0035】
この結果、上演出部52と下演出部54とで、遊技盤18の周囲を取り囲むように、演出部56が形成されている。
【0036】
この演出部56は、上演出部52及び下演出部54共に、照明部材(LED等の発光素子やランプ)が取り付けられた基板(図示省略)と、この基板を覆うように、所定の意匠で形成されたレンズカバー58が取り付けられている。
【0037】
レンズカバー58は、前記照明部材が点灯する領域を区画するよう凹凸状にカットされており、区画された領域(以下、必要に応じて「レンズ部」という)毎に照明部材の点灯制御がなされる。なお、照明部材は基本的にR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に点灯するLEDが1組となっており、それぞれの点灯時の光量比により、様々な配色の点灯が可能となっている。また、ガラス枠の上部角部には、それぞれ三連表示62が設けられ、遊技状態の報知(エラー報知等を含む)に適用される。
【0038】
また、前記上演出部52における、ガラス枠16の上部円弧の約1/3に相当する領域の中央及び両端には、ガラス枠スピーカ60C、60L、60Rが内蔵され、照明と同時に、音声を出力する。
【0039】
なお、以下では、前述した受け皿スピーカ60Uと、このガラス枠スピーカ60C、60L、60Rを総称して、「スピーカ60」という。
【0040】
(遊技盤の構成)
図2に示される遊技盤18は、基板となるベニヤ板に樹脂製シート状のセルが貼着されてそのセルの表面が盤面となっており、盤面の外周端部付近に、円弧状の外レール102及び内レール104が取り付けられている。これらの外レール102及び内レール104によって囲まれた円形状の領域は、発射装置165(図3参照)から発射されて打ち込まれた遊技球PBが自重落下により移動可能とされ、この領域が遊技を行う遊技領域とされている。
【0041】
遊技盤18の遊技領域には、釘(図示省略)及び風車21が点在して打ち込まれている。また、遊技領域におけるほぼ中央には、センター役物105が配置されている。センター役物105は、各種演出等の映像を表示する液晶表示部(LCD表示部)106を備えている。
【0042】
LCD表示部106では、例えば、3列の図柄列が独立して変動し、最終的に3列の図柄列が同一図柄で停止した場合に特別図柄抽選の当選を報知するといった、図柄変動パターン演出が実行される。なお、3列の内、先に2列が同一図柄で停止(仮停止)して、残りの1列が変動中の場合を、「リーチ」という。
【0043】
センター役物105の下辺部は、ステージ105Sが形成されている。ステージ105Sには、釘等で跳ね返えることで受け入れた遊技球PB、或いは図示しないワープ路に案内されて受け入れた遊技球PBが送り込まれるようになっている。
【0044】
ステージ105Sは、傾斜面や突起部等が形成され、前記遊技球PBの移動が当該傾斜面や突起部等により不規則に変化し、最終的に下辺手前から遊技盤18へ戻されるようになっている。
【0045】
図2に示される如く、センター役物105の図2に向かって左側には、普通図柄抽選の始動機能を持つ通過ゲート118が配置されている。
【0046】
また、センター役物105の下部には、特別図柄始動入賞口(A)129と特別図柄始動入賞口(B)134とが縦列に配置されている。
【0047】
特別図柄始動入賞口(A)129は、常時入賞可能に上部が開口しており、一方、特別図柄始動入賞口(B)134の上部開口は、特別図柄始動入賞口(A)129が閉塞している。
【0048】
この特別図柄始動入賞口(B)134には、電動チューリップ136が取り付けられている。電動チューリップ136は、遊技盤18の裏面側に配設された電チューソレノイド138(図3参照)の通電・非通電によって開閉する構成となっている。
【0049】
ここで、電動チューリップ136が開放状態になると、特別図柄始動入賞口(B)134の入賞開口部へのパチンコ球PBの受け入れが可能となり、パチンコ球PBの入賞が可能となる。
【0050】
さらに、図2に示される如く、前記特別図柄始動入賞口(B)134のさらに下部には、遊技領域の下端部付近に位置してアタッカー112が配置されている。
【0051】
アタッカー112には、開閉扉116が設けられている。この開閉扉116が、アタッカーソレノイド148(図3参照)の通電・非通電によって開放又は閉塞する。すなわち、開閉扉116の開放時には、開閉扉116上に落下した遊技球PBが開閉扉116に案内されてアタッカー112へ入賞する。
【0052】
また、遊技領域の最下位置には、外れ球を遊技盤18の裏側へ排出するアウト口124が設けられている。
【0053】
さらに、センター役物105よりも下、かつ特別図柄始動入賞口(A)129と特別図柄始動入賞口(B)134の左右には、複数の一般入賞口120(第1の実施の形態では、図2に向かってアタッカー112よりも左側に2個の一般入賞口120A、120Bが設けられ、アタッカー112よりも右側に1個の一般入賞口120C)が設けられている。なお、一般入賞口120は、3個の限られるものではなく、例えば、入賞率等の設計上の演算によってその数を決めればよい。
【0054】
また、この遊技領域に設けられたセンター役物105や盤面周縁には、遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による演出効果を生み出す照明演出用の発光素子137(図3参照)が多数設けられている。
【0055】
ここで、特別図柄始動入賞口(A)129又は特別図柄始動入賞口(B)134に遊技球PBが入賞すると、特別図柄抽選が実行され、この特別図柄抽選に当選すると、前記アタッカー112の開閉扉116が所定のパターンで開閉動作し、これを所定回数(所定ラウンド)繰り返すようになっている(「特別遊技状態」又は「大役処理」等と言う場合がある)。
【0056】
なお、前記特別図柄抽選の当選/落選は、主としてLCD表示部106の図柄変動表示演出において報知され、この図柄変動パターン演出中、或いは、前記大役処理中の場合は、抽選結果を保留し、順次報知していくようになっている。また、図柄変動表示演出と共に、動物などが擬人化されたキャラクタが表示され、抽選で当選した旨を暗示させることにより、遊技者に期待感を持たせるといった、視覚的な演出をすることがあり、その場合は効果音によって聴覚からも遊技者の興趣を増大させる。
【0057】
なお、第1の実施の形態では、1個の特別図柄始動入賞口に対して最大4個(第1の実施の形態では、特別図柄始動入賞口(A)129及び特別図柄始動入賞口(B)134の2個の特別図柄始動入賞口なので、8個となる。)の保留が可能となっている。なお、この保留球数に限定されるものではない。
【0058】
保留球数は、センター役物105における、図2に向かって右下に配置され、主として特図表示部を備えた遊技進行ガイドランプユニット109の一部である保留ランプによって報知される他、LCD106の一部を用いて、遊技者に見易く表示するようになっている。
(制御系の構成)
次に、図3を用いてパチンコ機10の制御系について説明する。
【0059】
図3に示されるように、第1の実施形態に係るパチンコ機10の制御系は、主制御部150を中心として構成されており、この主制御部150には、演出制御部152と払出制御部154とが接続されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
【0060】
主制御部150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータ(図示省略)へ遊技の進行状態を示す情報(始動入賞信号や大当たり信号、図柄確定回数信号)が送信される。
【0061】
主制御部150には、入力系として、通過ゲート118を通過する遊技球PBを検出する通過ゲートセンサ118S、特別図柄始動入賞口(A)129への入賞球を検出する特図A始動口センサ129S、特図B始動入賞口134への入賞球を検出する特図B始動口センサ134S、特別遊技状態の際に開放するアタッカー112への入賞球を検出するアタッカーセンサ112S、一般入賞口120A、120B、120Cへの入賞球を検出する一般入賞センサ120AS、120BS、120CSが接続されている。
【0062】
また、主制御部150には、出力系として、遊技情報をランプの点灯状態で報知するガイドランプユニット109、電動チューリップ136を開閉する電チューソレノイド138、アタッカー112の開閉扉116を開閉するためのアタッカーソレノイド148が接続されている。
【0063】
演出制御部152には、入力系として、操作ボタン50が接続されている。また、演出制御部152には、出力系として、遊技盤18の各種遊技部品に設けられた照明演出用の発光素子137、スピーカ60(ガラス枠スピーカ60L、60C、60R、受け皿スピーカ60U)が接続されている。
【0064】
さらに、演出制御部152には、図柄制御部156を介してLCD表示部106が接続されている。
【0065】
払出制御部154には、払出装置160及び発射制御部164が接続され、発射制御部164には発射装置165が接続されている。この払出制御部154は、パチンコ機10内に設けられた払出装置160の払出動作と停止動作を制御して、所定数の遊技球PBを賞球又は貸し球として払い出す。また、発射制御部164は、遊技者によるグリップユニット26(図1参照)の操作により発射装置165を作動させて、遊技球PBの発射開始、及び、グリップユニット26の操作量に応じた発射力を制御する。
【0066】
さらに、払出制御部154では、枠用外部端子191を介して払出情報をホールに設置されたホールコンピュータ(図示省略)へ送信するようになっている。
【0067】
ここで、図4、図5に示される如く、遊技盤18の裏面側(遊技者と対面する側を表面とする)における、センター役物105の下部には、球案内パネル200が取り付けられている。この球案内パネル200は、図2に鎖線で示されるように、センター役物105の下部に集中している入賞口(特別図柄始動入賞口(A)129、特別図柄始動入賞口(B)134、一般入賞口120A、120B、120C)に対応するように取り付けられている。
【0068】
図5に示される如く、球案内パネル200は、遊技盤18の「遊技領域」における幅方向寸法と略同一の幅寸法を有し、前記センター役物105の下部の領域に相当する遊技盤18の高さ寸法と略同一の高さ寸法を有しており、全体として横長の薄板形状であり、この薄板形状の主面部200Aの少なくとも周縁から壁面部200Bが突出されて箱型に形成されている。
【0069】
球案内パネル200には、前記周縁の壁面部200Bに加え、各所に壁面部200Cが突出されている。これにより、球案内パネル200には、前記5個の入賞口(特別図柄始動入賞口(A)129、特別図柄始動入賞口(B)134、一般入賞口120A、120B、120C)から入賞した遊技球PBを案内するための、それぞれ独立した球案内流路202、204、206、208、210が形成されている。
【0070】
それぞれの球案内流路202、204、206、208、210の途中には、特図A始動入賞センサ129S、特別B始動入賞センサ134S、一般入賞センサ120AS、120BS、120CS(総称する場合、「球検出センサ212」という)が配置されている。
【0071】
図6(A)に示される如く、球検出センサ212は、薄型板状の直方体形状であり、円形の通過孔212Aが形成されている。
【0072】
この通過孔212Aが遊技球PBを検出する検出領域であり、この検出領域(通過孔212Aの周縁)に検出部212Bが設けられている。また、球検出センサ212には、前記検出部212Bからの信号を受けて、出力信号を生成する信号生成部212Cが設けられている。第1の実施の形態では、図6(B)に示される如く、球検出センサ212に駆動電力が供給されると、前記通過孔212Aに遊技球PBが通過していない状態(通常状態)において、検出信号としてH信号(3.3V又は5.0V)を出力する構成となっている(第1の信号)。逆に、通過孔212Aを遊技球PBが通過しているときL信号(無信号)となる(第2の信号)。
【0073】
なお、上記H信号/L信号は相対的な信号レベルを表すものであり、逆に、第1の信号が−3.3V又は−5.0Vであり、第2の信号が0Vである場合は、第1の信号がL信号、第2の信号がH信号となる場合もある。ここで、重要なのは、遊技球PBを検出していないとき、0V以外の電圧が印加されていること(第1の信号)、並びに、遊技球PBを検出すると0Vとなること(第2の信号)、を条件とした出力信号を持つ球検出センサ212が適用されることである。
【0074】
このように、球非検出でH信号、球検出L信号とすると、例えば、外部からの特定周波数電磁波が当該球検出センサ212の検出領域に届いた場合でも、H信号が維持されることになる。すなわち、外部からの特定周波数電磁波は、L信号(無信号状態)の出力を、H信号に変換させる能力はあるが、H信号をL信号に変換する能力はないからである。
【0075】
ここで、一般入賞120は、前記特別図柄始動入賞口(A)129、特別図柄始動入賞口(B)134の賞球数(例えば、3〜5個)よりも多い賞球(例えば、13個〜15個)とされ、所謂ベース値の調整としての役目を持っている。
【0076】
ベース値とは、発射される遊技球PBに対する入賞数の割合(%)であり、例えば、「ベース値20」とは、1分間に100球の遊技球PBが発射され、その内の20球が入賞することを意味する。
【0077】
また、特別図柄始動入賞口(A)129、特別図柄始動入賞口(B)134の入賞頻度と、一般入賞口120A、120B、120Cの入賞頻度とを比べると、前記ベース値を考慮した場合、一般入賞口120A、120B、120Cの入賞頻度は極めて低く設定されるのが一般的である。すなわち、一般入賞口120は、このベース値を微調整するために設けられており、入賞率は0.2/100前後の設定とされている。
【0078】
このように、極めて低い入賞率に設定された一般入賞口120A、120B、120Cに入賞すると、13個〜15個程度の賞球があるため、遊技者にとっては、所謂ラッキーな入賞ということができる。言い換えれば、一般入賞口120A、120B、120Cの入賞頻度が高いと、設定されたベース値が変化し、設計上の出玉率にも多大な影響を及ぼすことになる。
【0079】
そこで、第1の実施の形態では、一般入賞口120A、120B、120Cの入賞を監視すると共に、それぞれの入賞状況を、遊技者及び遊技者の周囲の者に対して報知するようにした。なお、以下では、一般入賞口120A、120B、120Cを対象として説明するが、特別図柄始動入賞口(A)129、特別図柄始動入賞口(B)134等の他の入賞口を対象としてもよい。
【0080】
一般入賞口120A、120B、120Cへの入賞状況は、球案内流路202、204、206、208、210に設けられた球検出センサ212(特図A始動入賞センサ129S、特図B始動入賞センサ134S、一般入賞センサ120AS、120BS、120CS等)の検出信号に基づいて判別が可能である。
【0081】
図7は、主制御部150の一部として、球検出センサ212毎に設けられた入賞監視部250を構成する制御を機能毎に示した制御ブロック図である。第1の実施の形態では、3個の球検出センサ212が設けられた場合、すなわち一般入賞センサ120AS、120BS、120CS)を対象としているため、3個の入賞監視部250が設けられている。
【0082】
なお、この制御ブロック図は、ハード構成を限定するものではなく、例えば、入賞監視部250を1つのICチップ(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit))で構成し、ソフトプログラムで制御するようにしてもよい。
【0083】
図7に示される如く、球検出センサ212は、信号受付部252に接続され、図6(B)に示される二値化された信号を受け付ける。なお、信号受付部252では、例えば、雑音除去、AD変換(アナログ−デジタル変換)等を行ってもよい。
【0084】
信号受付部252は、入賞有無判定部254に接続されている。入賞有無判定部254では、信号受付部252から入力された球検出センサ212の信号に基づいて、遊技球PBの入賞があったか否かが判断される。この判定結果情報は、入賞監視部250を構成する監視タイマプログラム起動指示部256及び監視波形読出部258のそれぞれに出力されると共に、主制御部150における図示しない賞球払出コマンド生成部等、他制御系へ送出される。
【0085】
監視タイマプログラム起動指示部256では、遊技球PBの入賞がある毎に、監視波形生成部260に対して、監視タイマプログラムの起動を指示する。すなわち、遊技球PBが一般入賞口120に入賞する毎に、監視波形が生成されることになり、時間軸方向にずれた複数の監視波形が動作する場合もある。
【0086】
監視波形生成部260では、基準タイマ動作部262から、例えば、現在の時刻情報を取得して、監視波形生成部260を起動する。この監視波形生成部260で生成した時間軸に沿って生成される波形は、図9に示される如く、球入賞センサ212Aの非検出時はローレベル(L)信号で検出時にハイレベル(H)信号となる。なお、L信号とH信号はそれぞれ反転させてもよく、二値化された信号であればよい。
【0087】
前記監視波形生成部260は、監視波形格納部264に接続されており、生成された監視波形毎に格納されるようになっている。この監視波形格納部264には、前記基準タイマ動作部262が接続されている。このため、監視波形格納部264では、複数の監視波形が独立して生成されていくことになる。
【0088】
ここで、第1の実施の形態では、監視時間を60秒(1分)と定めている。監視波形格納部264には、監視波形削除部266が接続されており、監視波形が生成されてから監視時間が60秒(1分)経過した監視波形が順次削除されるようになっている。
【0089】
また、監視波形格納部264は、監視波形読出部258に接続されている。この監視波形読出部258は、前述したように入賞有無判定部254に接続され、遊技球PBが入賞する毎に入賞信号を受けるようになっている。
【0090】
入賞信号を受けた監視波形読出部258は、監視波形格納部264から、生成された監視波形を読み出し、監視波形更新部268へ送出する。なお、複数の監視波形が格納されている場合は、生成時期が古い順から読み出すことが理論上は好ましいが、有効数字の単位が同一である場合、読み出し時間の単位は、μsec(10−6sec)〜msec(10−3sec)であり、後述する判定(通常/特殊)に適用する時間の単位は(10sec)であり、判定に比べて極めて短い時間であるので、厳密に生成時期が古い順である必要はない。
【0091】
監視波形更新部268は、通常/特殊判定部270に接続されている。
【0092】
第1の実施の形態における通常/特殊判定部270では、60秒(1分)の間に制限値(7回)未満の入賞、すなわち6回までの入賞は「通常」と判定し、制限値、すなわち7回以降は「特殊」と判定する。これは、前述したベース値から定めたものであり、本来であれば、入賞率が500回に1回程度(0.2/100)であるため、1分間に6回入賞することはあり得ないが、発射された遊技球PBが、遊技盤18上に同時期に残る球数が6個程度であり、これが全て入賞することを想定し、「通常」の最大値を6個とした。なお、この数値に限定されるものではなく、1分間に2個入賞することも稀なので、1回の入賞を「通常」、2回以降を「特殊」と設定してもよい。
【0093】
通常/特殊判定部270は、報知コマンド生成部272に接続されている。報知コマンド生成部272では、通常/特殊判定部270からの判定結果に基づいて、通常入賞用の通常入賞音を出すためのコマンド、或いは特殊入賞用の特殊入賞音を出力するためのコマンドの何れかを生成し、報知コマンド出力部274へ送出する。報知コマンド出力部274は、演出制御部152へ報知コマンドを出力する。
【0094】
図8は、演出制御部152において実行され、前記入賞監視部250(図7参照)で決定した入賞音の出力制御を機能毎に示した制御ブロック図である。なお、この制御ブロック図は、ハード構成を限定するものではない。
【0095】
コマンド受付/解析部276では、主制御部150からのコマンドを受け付ける。第1の実施の形態において、図7に示す報知コマンド出力部274からのコマンドであった場合、これを解析して入賞音データ種(通常/特殊)情報として、入賞音データ読出部278へ送出する。なお、報知コマンド出力部274(図7参照)以外からのコマンドは、第1の実施の形態では説明する必要がないので、その他のコマンドとして処理する。
【0096】
入賞音データ読出部278は、入賞音データ種記憶部280に接続されており、入力された入賞音データ種(通常/特殊)情報に基づいて、入賞音データを読み出し、入賞音生成部282へ送出する。また、入賞音データ読出部278では、前記入賞音データ種(通常/特殊)情報と読み出した入賞音データとを、音量調整部284へ送出する。
【0097】
前記入賞音生成部282は、音源記憶部286に接続されている。音源記憶部286には、各種音源が記憶されており、入賞音生成部282では、入賞音データ(例えば、楽譜等のデータ)に基づいて、音源を割り当てていき、入賞音を生成する。生成された入賞音は、スピーカドライバ288を介して、スピーカ60から出力される。なお、このとき、音量調整部284において、音量が調整される場合がある。
【0098】
以下に第1の実施の形態の作用を説明する。
【0099】
パチンコ機10による遊技では、遊技者がグリップユニット26(図1参照)を操作すると、一球ずつ発射装置165(図3参照)によって上方へ発射される。図2に示される如く、発射された遊技球PBは、外レール102に沿って遊技盤18の遊技領域に打ち込まれ、遊技釘や風車21に当たり方向を変えながら遊技領域内を落下する。そして、入賞せずに遊技領域の下端部に至った遊技球PBはアウト口124からパチンコ機10内に回収される。
【0100】
また、遊技球PBが遊技領域内に設けた特別図柄始動入賞口(A)129、特別図柄始動入賞口(B)134、に入賞したり、通過ゲート118を通過すると、それぞれの遊技仕様に基づく処理(例えば、特別図柄抽選、普通図柄抽選等)が実行されると共に、LCD表示部106への画像表示演出(例えば、図柄変動パターン演出等)、スピーカ60を用いた音演出等が実行される。また、図示は省略したが、一般入賞口120に入賞すると、予め定めた賞球(払い出し)が実行される。
【0101】
(遊技仕様の概要)
まず、主制御部150における抽選処理を中心とした遊技制御について説明する。
【0102】
特別図柄始動入賞口(A)129又は特別図柄始動入賞口(B)134に、遊技球PBが入賞すると、有効始動入賞か否かが主制御部150によって判断される。この有効始動入賞とは、保留球が満杯(例えば、1個の始動口に対して4個)ではなく、かつ特別図柄始動入賞口(A)129又は特別図柄始動入賞口(B)134へ遊技球PBが入賞したことを言い、これによって抽選権利を得ることになる。なお、無効始動入賞時は、抽選の権利は与えられないが、所定数(3〜5個程度)の賞球払出しがなされる場合もある。
【0103】
上記始動入賞が有効始動入賞であった場合に主制御部150は、図示を省略した乱数発生部から入賞タイミングに応じて当落抽選用の乱数を取得し、かつ、予め記憶されている当り値を読み出し、双方を比較して、特別図柄抽選が当りか外れかを判定する。
【0104】
なお、現在の遊技状態が大当たり処理中、或いは図柄変動パターン演出中の場合は、特別図柄抽選の権利を保留にするべく、保留数を1つ加算(+1)し、現在の遊技状態が大当たり処理中ではなく、或いは図柄変動パターン演出中でもなくなったときに、保留数を1つ減算して特別図柄抽選処理が実行される。
【0105】
この特別図柄抽選の当り/外れに基づいて、図柄変動パターン演出時間を設定し、特別図柄抽選結果、図柄変動パターン時間を含むコマンドを演出制御部152へ送出する。
【0106】
演出制御部152では、LCD表示部106やスピーカ60等の出力系デバイスを制御して、特別図柄抽選の結果を、設定された演出時間を使って報知する。例えば、LCD表示部106では、図柄変動パターン演出が実行される。
【0107】
この報知後、特別図柄抽選の結果が当たりの場合には、特別遊技状態(大当たり処理)が実行される。通常遊技状態では常に閉止状態のアタッカー112を所定のラウンド数(5R,10R,15R)だけ開閉する。なお、アタッカー112の開放時間は最大30秒であり、アタッカー112が開放中に所定数(例えば、8〜10個)の遊技球の入賞があった時点で閉止し、所定の閉止時間をおいて、次のラウンド(開放)に移行する。これにより、遊技者は短時間で多くの遊技球の賞球を受けることができる。
【0108】
ところで、特別図柄始動入賞口(A)129、特別図柄始動入賞口(B)134の入賞頻度と、一般入賞口120A、120B、120Cの入賞頻度とを比べると、前記ベース値を考慮した場合、一般入賞口120A、120B、120Cの入賞頻度は極めて低く設定されるのが一般的である。
【0109】
一方、一般入賞口120A、120B、120Cに入賞すると、13個〜15個程度の賞球があるため、遊技者にとっては、所謂ラッキーな入賞ということができる。言い換えれば、一般入賞口120A、120B、120Cの入賞頻度が高いと、設定されたベース値が変化し、設計上の出玉率にも多大な影響を及ぼすことになる。
【0110】
そこで、第1の実施の形態では、一般入賞口120A、120B、120Cの入賞の監視を目的として、一般入賞口120A、120B、120Cのそれぞれの入賞状況に応じて効果音を発し、報知するようにした。
【0111】
また、一般入賞口120A、120B、120Cの入賞が、予め定められた入賞状況を逸脱している場合、不正が行われている場合がある。
【0112】
例えば、遊技球に、釣り糸等の糸材の一端部を接着剤等で固定した状態で発射し、球検出センサの検出位置を境界として、その上流側と下流側との区間を糸材の他端部の操作により、行き来させる不正行為があり、球検出センサ212の上下流の行き来による頻繁な入賞形態(不正の可能性が高い入賞形態)を迅速に把握する必要がある。このため、通常状態と、通常の入賞状態を逸脱した状態(特殊状態)とで、入賞したときの効果音を異ならせるようにした。
【0113】
図10は、球検出センサ212毎の監視波形生成ルーチンを示す制御フローチャートである。なお、この図10の制御フローチャートは、第1の実施の形態では、一般入賞センサ120A、120B、120Cのそれぞれ取付られた球検出センサ212(一般入賞センサ120AS、120BS、120CS)毎に独立して並列に実行されるものである。
【0114】
例えば、独立したASIC(Application Specific Integrated Circuit)等がそれぞれ動作してもよいし、単一のCPUの場合は、時分割で処理するようにしてもよい。
【0115】
電源がオンされるとこのルーチンは起動し、ステップ300では、監視波形数を示す変数nをクリア(0)した後、ステップ302へ移行して、該当する球検出センサ212で入賞を検出したか否かが判断される。
【0116】
このステップ302で否定判定された場合は、監視波形を生成する時期ではないので、ステップ312へ移行する。ステップ312では電源がオフされたか否かが判断される。このステップ312で否定判定された場合はステップ302へ戻り、ステップ312で肯定判定された場合はこのルーチンは終了する。
【0117】
ステップ302で肯定判定、すなわち、球検出センサ212で入賞したことを検知すると、ステップ304へ移行して、変数nをインクリメントし、次いでステップ306へ移行して、監視波形No.w(n)の生成を開始し、ステップ308へ移行する。このため、監視波形No.w(n)は、入賞を検知する毎に生成されることになる(監視波形No.w(1)、監視波形No.w(2)、監視波形No.w(3)・・・監視波形No.w(m)・・・)。なお、変数nの現時点を最終値である
ステップ310では、生成した監視波形No.w(n)の監視制御ルーチン(図11参照)を立ち上げ、ステップ312へ移行する。
【0118】
図11は、監視波形No.w(n)に基づく、入賞状況監視制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0119】
この図11の監視制御ルーチンは、各球検出センサ212のそれぞれの入賞毎に起動して、並列に実行されるものである。
【0120】
例えば、独立したASIC等がそれぞれ動作してもよいし、単一のCPUの場合は、時分割で処理するようにしてもよい。
【0121】
ステップ320では、入賞カウント値Cを「1」にセットする。すなわち、監視波形No.w(n)を生成し、起動する契機となった入賞分として「1」を加算する。
【0122】
次のステップ322では、当該ルーチンの対象となる球検出センサ212に入賞があったか否かが判断され、否定判定された場合は、このステップ322を維持し、肯定判定されると、ステップ324へ移行する。
【0123】
ステップ324では、入賞カウント値Cをインクリメントし、ステップ326へ移行する。
【0124】
ステップ326では、入賞カウント値Cの値を制限値と比較する。ステップ326で制限値未満、すなわち、第1の実施の形態では、7個未満であると判定された場合は、ステップ328へ移行して通常音出力コマンドを生成して、ステップ332へ移行する。また、ステップ326で制限値以上、すなわち、第1の実施の形態では、7個以上であると判定された場合は、ステップ330へ移行して特殊音出力コマンドを生成して、ステップ332へ移行する。
【0125】
ステップ332では、演出制御部152へコマンドを出力し、ステップ334へ移行する。演出制御部152では、このコマンドを受け付けることで、入賞音データ主を特定して、入賞音を生成し、スピーカ60を用いて、入賞効果音を出力する。
【0126】
例えば、通常効果音は、単一の楽器(例えば、管楽器、弦楽器、打楽器等)の音で出力され、特殊効果音は、複数の楽器が合成(例えば、管楽器、弦楽器、打楽器の2以上の楽器が合成)された後で出力されることで、遊技者、並びに、この遊技者の周囲にいる者(例えば、通路を巡回している店員等)にもその差が明確に認識されることになる。
【0127】
なお、通常音出力コマンドにおける通常効果音と特殊音出力コマンドにおける特殊効果音として、それぞれ音色(出力される擬似楽器音)が異なる音としたが、例えば、音色が同一で音量だけが異なる関係でもよいし、音階だけが異なる関係でもよい。あるいは、全く、相関のない異なる効果音であってもよい。また、通常状態での入賞では音が発せられず(無音)、特殊状態のみ音が発せられる構成であってもよい。
【0128】
前記ステップ332でコマンドを出力した後、次のステップ334では、監視期間を経過したか否かが判断される。すなわち、図11の監視制御は、監視期間が定められており、第1の実施の形態では、最初の入賞、すなわち、監視波形が生成されてから60秒(1分)である。このステップ334で否定判定された場合は、ステップ322へ戻り、上記工程を繰り返す。
【0129】
また、ステップ334で肯定判定された場合は、ステップ336へ移行して、監視を終了し、当該監視波形を監視波形格納部264(図7参照)から監視波形削除部266によって削除して、このルーチンは終了する。
【0130】
図9は、図7のステップ306、308で生成され、起動する監視波形であり、一般入賞口120A(又は120B又は120C)へ入賞する毎に、監視波形No.w(n)が増えていく(図9では、(1)、(2)・・・(7)まで記載)。
【0131】
それぞれの監視波形No.w(n)において、60秒間における6回までの入賞に際しては、通常効果音が出力され、60秒間の間に7以上の入賞があると、特殊効果音が出力されることになる。なお、同一の入賞によって、複数の効果音の出力コマンドが作成されることになるが、最初のコマンドの作成によってフラグを立てることで、重複したコマンド送信を回避することができる。
【0132】
また、理論的には、1秒毎に入賞があると、60個の監視波形が形成されることになるため、制御系のメモリ容量等はこれに対応できる程度のメモリ容量等を想定して準備する必要がある。しかし、実際の入賞は、60秒に1回の入賞があるか否か程度である。また、制御系のメモリ容量を逸脱するように監視波形の生成指示があった場合は、当然、特殊効果音が発せられ続けるため、容量オーバーによるエラーの前に、異常(故障、不正を含む)を認識することができる。
【0133】
このように、60秒間(1分間)に、7回の入賞があった場合、1回目から6回目までは入賞する毎に通常音が出力され、7回目に特殊音が出力されることになる。また、1分(60秒)を経過した監視波形No.w(n)は、その時点で削除され、消滅していく。
【0134】
なお、第1の実施の形態では、入賞毎に60秒タイマを起動させ、それぞれのタイマ期間の間で入賞回数を判定することで、厳密な判定を優先したが、単純に、例えば、電源投入から60単位で入賞回数をカウントし判定するようにしてもよい。この場合、厳密な判定が緩和され、制御負担を軽減することができる。
【0135】
(効果音出力時期の変形例1)
上記第1の実施の形態では、球検出センサ212で、入賞を検出する毎に、60秒間の監視を行う、監視波形を生成するようにしたが、図12に示される如く、入賞のインターバル時間を計数し、時間の入賞までにかかる時間が、3回以上制限値を下回る時間で連続した場合に効果音を特殊効果音としてもよい。なお、図12に示す例では、制限値を0.6秒を制限としており、入賞インターバル時間が0.4秒→0.3秒→0.4秒と継続した場合に特殊効果音を出力している。また、図12では、この特殊効果音の出力後の0.4秒の入賞インターバルが続いているので、これも特殊効果音の対象となる。
【0136】
(効果音出力時期の変形例2)
上記第1の実施の形態では、球検出センサ212で、入賞を検出する毎に、60秒間の監視を行う、監視波形を生成するようにしたが、図13に示される如く、入賞のインターバル時間を計数し、時間の入賞までにかかる時間が制限値を下回った場合効果音を特殊効果音とし、かつこれが連続した場合、徐々に特殊効果音の音量を倍増していくようにしてもよい。
【0137】
なお、図13に示す例では、制限値を0.6秒を制限としている。最初に入賞インターバル時間が0.6秒を下回って入賞インターバルが0.2秒になったとき、特殊効果音を出力する。
【0138】
次に、この0.2秒に続いて0.3秒で入賞したとき、音量を2倍にして特殊効果音を出力する。この0.3秒に続いて、0.2秒で入賞すると音量を3倍にして特殊効果音を出力し、さらに続いて0.3秒で入賞すると音量を4倍にして特殊効果音を出力している。
【0139】
(第2の実施の形態)
なお、第1の実施の形態では、アタッカー112を中心に、向かって左側に2個の一般入賞口120A、120B、右側に1個の一般入賞口120Cが設けられた遊技盤18を用いて説明したが、図14に示される如く、一般入賞口の数が異なる遊技盤18Xにも適用可能である。言い換えれば、本発明は、センサ数に限定されるものではなく、センサ毎の入賞タイミングに基づいて効果音を発すればよい。
【0140】
図14には、第2の実施の形態に係る遊技盤18Xが示されている。この遊技盤18Xにおいて、図2に示す第1の実施の形態の遊技盤18と同一構成部分については、同一の符号の末尾に「X」を付してその構成の説明を省略する。
【0141】
図14に示される如く、遊技盤18Xには、アタッカー112Xを中心として、その左右に遊技盤18の周縁に沿って、一般入賞役物ユニット290L、290Rが取り付けられている。
【0142】
図15は、遊技盤18Xの正面に向かって左側の一般入賞役物ユニット290Lが単体として示されている。一般入賞役物ユニット290L、290Rとは、一般入賞口の数が異なっているだけで、外形はほぼ左右対称となっている。
【0143】
図15に示される如く、3個の一般入賞口292A、292B、292Cが設けられており、それぞれの裏面側に、一般入賞センサ292AS、292BS、292CS(総称して、「球検出センサ212X」という)が設けられている。なお、図13に示す一般入賞口292Dには、その裏面側に球検出センサ(図示省略)が設けられている。
【0144】
なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、球検出センサ212の解析を主制御部150で行い、入賞音の出力制御を演出制御部152で行ったが、球検出センサ212出力信号線を分岐して、直接演出制御部152へ出力する構成とすれば、全ての制御を演出制御部152で行うようにしてもよい。さらには、独立した入賞音出力制御を設けてもよい。
【0145】
以上説明したように、本発明では、通常は稀にしか入賞しない一般入賞口120A等に頻繁に入賞する場合、例えば、遊技球PBに糸の一端を接着し、この糸付き遊技球PBを受け皿から発射させ、球検出センサ212の上流及び下流を行き来させるといった不正が行われている可能性が高い、或いは故障である可能性が高い。この状態な状況を、遊技者のみならず、遊技者の周囲の通路を巡回している店員等に迅速に知らせることができるため、仮に不正が行われたとしても、未然に、或いは迅速に摘発することができる。
【0146】
なお、上記入賞の状況(「稀」や「頻繁」)の概念は、当業者の感覚的な判定で構わないが、制御的に判定する場合には、当該パチンコ機10に設定したベース値に基づいて、基準となるしきい値を設定することが好ましい。第1の実施の形態等では、ベース値20を基礎として設定しており、60秒間に入賞する数が7以上の場合を特殊状態であるとし、変形例1、2では、入賞インターバルが0.6秒以下を特殊兆対であるとした。
【0147】
また、本発明は、不正の摘発に限らず、例えば、特図図柄始動入賞口(A)や特別図柄始動入賞口(B)134への入賞を検出する球検出センサ212に適用することで、演出効果として利用することができる。この場合、変形例3のように、連続して入賞することを聴覚(主として音量)を通じて判別することができるので、例えば、保留数を超えるような場合に、一旦発射を止めるといった操作の契機とすることも可能である。
【符号の説明】
【0148】
10 パチンコ機
18 遊技盤
60(60L、60C、60R、60U) スピーカ(報知手段)
105 センター役物
106 液晶表示部(LCD表示部)
112 アタッカー
112S アタッカーセンサ
120A、120B、120C 一般入賞口
120AS、120BS、120CS 一般入賞センサ(球検出センサ)
129 特別図柄始動入賞口(A)
129S 特図A始動口センサ(球検出センサ)
134 特別図柄始動入賞口(B)
134S 特図B始動口センサ(球検出センサ)
136 電動チューリップ
138 電チューソレノイド
148 アタッカーソレノイド
150 主制御部
152 演出制御部
154 払出制御部
200 球案内パネル
212 球検出センサ
250 入賞監視部
252 信号受付部
254 入賞有無判定部
256 監視タイマプログラム起動指示部
258 監視波形読出部
260 監視波形生成部(計測手段)
262 基準タイマ動作部(計測手段)
264 監視波形格納部
266 監視波形削除部
268 監視波形更新部(分類手段)
270 通常/特殊判定部(分類手段)
272 報知コマンド生成部(報知手段)
274 報知コマンド出力部(報知手段)
276 コマンド受付/解析部
278 入賞音データ読出部
280 入賞音データ種記憶部
282 入賞音生成部
284 音量調整部
286 音源記憶部
288 スピーカドライバ(報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤上に向けて発射された遊技球が入賞する入賞口及び当該遊技球が通過する通過口の少なくとも一方を含む特定領域のそれぞれに設けられ、前記特定領域毎に、入賞又は通過した遊技球を検出する球検出手段と、
少なくとも、前記球検出手段で遊技球を検出する時期を計測する計測手段と、
前記球検出手段による遊技球の検出時期情報と、前記計測手段による時期情報とに基づいて、前記球検出手段の検出状態を少なくとも通常状態と特殊状態を含む2形態以上に分類する分類手段と、
前記分類手段で前記通常状態に分類された場合に、当該遊技球の入賞又は通過を通常報知形態で報知すると共に、前記分類手段で前記特殊状態を含み前記通常状態以外に分類された場合に、当該遊技球の入賞又は通過を特殊報知形態で報知する報知手段と、
を有する遊技機。
【請求項2】
前記報知手段が、聴覚を通じて報知するものであり、音色、音階、音量の少なくとも1つを含む音の種類を異ならせることで、前記通常報知形態と、前記特殊報知形態を含む通常報知形態以外とにおいて、被聴取者が識別可能とすることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記分類手段が、
それぞれ前記球検出手段毎に検出される検出信号を少なくとも計数すると共に、単位時間当たりの計数値を演算する計数値演算手段と、
前記計数値演算手段により演算した単位時間当たりの計数値と、予め定めた基準計数値とを比較する比較手段と、を備え、
前記比較手段の比較結果に基づいて、前記単位時間内に、予め定められた数を超過して入賞又は通過がないときは通常状態、予め定められた数を超過して入賞又は通過があったときは特殊状態に分類することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記分類手段が、
それぞれ前記球検出手段毎に検出される検出信号を少なくとも計数すると共に、検出毎の間隔計数値を演算する計数値演算手段と、
前記計数値演算手段により演算した間隔計数値と、予め定めた基準間隔計数値とを比較する比較手段と、を備え、
前記比較手段の比較結果に基づいて、前記間隔計数値が基準間隔計数値を下回らないときは通常状態、前記間隔計数値が基準間隔計数値を上回ったときは特殊状態に分類することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遊技機。
【請求項5】
前記比較手段の比較結果に基づいて、前記間隔計数値が基準間隔計数値を上回ることが連続した場合に、当該連続回数に応じて、少なくとも特殊報知形態の強調度合いを高めていくことを特徴とする請求項4記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−196283(P2012−196283A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61540(P2011−61540)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】