説明

遊技機

【課題】球排出口における球詰りの発生を防止し得る遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ球Pを貯留する球タンクに連通するタンクレール31の下流端の底面44bに、球通路54に連通する球排出口53が開設される。タンクレール31には、球排出口53より上流側にパチンコ球Pを整流する球均し領域45が設けられる。球均し領域45と球排出口53との間に、タンクレール31の底面44bから上方に離間して整流案内部59が位置する。整流案内部59の下面とタンクレール31の底面44bとの間隔は、上流側から下流側に向けて徐々に小さくなるよう設定される。整流案内部59の下面と底面44bで開口する球排出口53の入口53aの上流側縁Nとの間隔Rは、パチンコ球P1個分より大きくかつ2個分より小さく設定される。そして、整流案内部59の下面に当って流れるパチンコ球Pを1段に均すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、球タンクに貯留した遊技球をタンクレールで整流して通出する遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な遊技機であるパチンコ機は、遊技店の設置枠台(通称「島」)に縦向きの姿勢で設置した外枠に、前後に開口させた保持部に遊技盤を着脱自在に配設した中枠が開閉および着脱可能に組付けられる。そして、前記中枠の前側に、遊技盤を透視保護するガラス板を組付けた前枠や、上下の球皿、パチンコ球(遊技球)の打出し操作用の打球発射装置等を組付けると共に、中枠の裏側に、各種球処理部や制御装置等を設けることで遊技に供される。
【0003】
前記中枠の裏側の上部位置には、設置枠台に設けた球供給設備からのパチンコ球が供給される球タンクが組付けられている。前記球タンクは、パチンコ球を貯留可能な空間が内部画成されたタンク部を備え、該タンク部の下流にタンクレールが連通して設けられている。前記球タンクに貯留されたパチンコ球は、タンクレールを流下する間に1列に整流され、下流の球払出装置へ送出されるようになっている。そして、球払出装置の作動により、前枠に設けられた上下の球皿に貸球や賞球として所定数のパチンコ球が払出される。
【0004】
ところで、球タンクに貯留されたパチンコ球は、無秩序な状態で積み重なったままタンクレールへ送られるので、タンクレールの上流側では、パチンコ球の球詰まりが発生し易くなる。そのため、従来のタンクレールには、パチンコ球を1列に整列させて流下させるべく、種々の機能・機構が採用されてきた。例えば、特許文献1では、タンクレールの流路に工夫を凝らし、パチンコ球が流下する間に整列させるようにしたタンクレールが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−149568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記タンクレールの下流端には、球払出装置へパチンコ球を導く球通路の球入口に連通する球排出口が設けられ、該球排出口から球通路へパチンコ球が通入するようになっている。前記特許文献1では、球排出口から離れた上流部にパチンコ球を整列する整流部を設けているため、該整流部において1列に整列されたパチンコ球は、上流側から受けるパチンコ球の圧力によって球排出口に至るまでの間に上下に重なってしまう場合があり、球排出口において球詰りが発生するおそれがあった。
【0007】
すなわち本発明は、従来の技術に係る遊技機に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、球排出口における球詰りの発生を防止し得る遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
遊技機(10)の裏側に配設されて遊技球(P)を貯留する球タンク(30)と、該球タンク(30)に連通し、遊技球(P)を流下させるタンクレール(31)と、該タンクレール(31)の下流端の底面(44b)に開設されて球通路(54)に連通する球排出口(53)とを備え、タンクレール(31)を流下する遊技球(P)が球排出口(53)から球通路(54)に通入するよう構成された遊技機において、
前記球排出口(53)より上流側に設けられ、遊技球(P)を1列に整列する整流部(45)と、
前記整流部(45)と球排出口(53)との間においてタンクレール(31)の底面(44b)から上方に離間して配設され、該底面(44b)との間を整流部(45)で整列された遊技球(P)が流下する整流部材(57)とを備え、
前記整流部材(57)の下面とタンクレール(31)の底面(44b)との間隔は、上流側から下流側に向けて徐々に小さくなるよう設定されると共に、該整流部材(57)の下面とタンクレール(31)の底面(44b)で開口する球排出口(53)の上流側縁(N)との間隔(R)は、遊技球(P)1個分より大きくかつ2個分より小さく設定され、
前記タンクレール(31)の下流端に至る遊技球(P)は、1列1段の状態で球排出口(53)から通出するよう構成されることを要旨とする。
【0009】
請求項1に係る発明によれば、球排出口での球詰りを防止することができる。
【0010】
請求項2に係る発明では、前記整流部材(57)はタンクレール(31)に着脱自在に配設され、該整流部材(57)の下流端に、前記球排出口(53)における上流側内面(56)との間に遊技球(P)を1個通過可能な隙間を画成する延出案内部(67)が設けられ、タンクレール(31)の下流端に至った遊技球(P)は、該延出案内部(67)に当って球排出口(53)に向けて案内されることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、タンクレールの下流側の壁面が摩耗するのを防止することができる。また、整流部材の延出案内部が摩耗した場合は、整流部材のみを交換して対応でき、交換に係るコストを低廉に抑えることができる。
【0011】
請求項3に係る発明では、前記整流部材(57)は、前記球排出口(53)の上方から前記整流部(45)までの間に延在し、該整流部材(57)の下面は、下向きに凸となる第1湾曲面(65)の下流側に、上向きに凸となる第2湾曲面(66)が連なって形成されることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、下向きに凸となる第1湾曲面によって遊技球を確実に1段にすることができると共に、上向きに凸となる第2湾曲面によって遊技球の進向方向を球排出口に向けて変更し、遊技球を球排出口から球通路にスムーズに通入させることができる。
【0012】
請求項4に係る発明では、前記タンクレール(31)は上方に開口する樋状に形成され、前記整流部材(57)に設けた蓋部(58)は、タンクレール(31)における前記整流部(45)より下流側の上部開口を覆うように設定されることを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、球タンクからタンクレールに上下に重なった多段状態で流れてくる遊技球が整流部で整流される際に、蓋部が遊技球と干渉して整流作用が阻害されることはなく、該整流部で遊技球を確実に整流することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る遊技機によれば、球排出口における球詰りを防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の好適な実施例に係るパチンコ機を示す正面図である。
【図2】実施例の外枠と中枠を組付けた背面図であって、遊技盤を取外した状態で示す。
【図3】実施例の球貯留部が取付けられた中枠の上枠部を背面側から視た状態で示す概略斜視図である。
【図4】実施例の球貯留部を分解して背面側から視た状態で示す概略斜視図である。
【図5】(a)は実施例の球貯留部を分解して正面側から視た状態で示す概略斜視図であり、(b)は仕切部材を拡大して示す概略斜視図である。
【図6】実施例の球貯留部を一部破断して示す要部概略斜視図である。
【図7】実施例の球貯留部を示す要部平面図である。
【図8】実施例の球貯留部を縦断して示す要部背面図である。
【図9】実施例のタンクレールにおける球排出口付近を拡大して示す要部縦断背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行なうパチンコ機を例に挙げて説明する。
【実施例】
【0016】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、図1または図2に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤12を着脱可能に保持する本体枠としての中枠13が開閉および着脱可能に組付けられて、該遊技盤12の裏側に、各種図柄を変動表示可能な図柄表示装置14が着脱可能に配設されている。また、前記中枠13の前面側には、前記遊技盤12を透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透明部材(図示せず)で前後に開口する窓部を覆うよう構成された開閉部材としての前枠15が開閉可能に組付けられると共に、該前枠15の下部位置にはパチンコ球Pを貯留する球受け皿16が前枠15と一体的に開閉可能に組付けられる。前枠15には、球受け皿16の側方に、前記中枠13に配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドル17が設けられ、該操作ハンドル17の回動操作によって打球発射装置が作動されて、前記球受け皿16に貯留されたパチンコ球Pが前記遊技盤12に向けて発射されるようになっている。なお、実施例では、前記図柄表示装置14としては、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の図柄表示装置を採用し得る。
【0017】
(遊技盤12について)
前記遊技盤12は、ベニヤ板や透明なアクリル板等から所定板厚の略矩形状に形成された板状体であって、該遊技盤12の表面(盤面)に配設された略円形状に湾曲形成する案内レール18により、パチンコ球Pが流下可能な遊技領域19が画成される。また、前記遊技盤12の裏面に、前記図柄表示装置14が取付けられた設置部材(図示せず)が配設されている。遊技盤12には、図柄表示装置14の図柄表示部に対応する位置に前後に開口する表示開口部(図示せず)が開設され、該表示開口部に合わせて、所要の装飾を施したセンター役物とも称される枠状装飾体20が臨むようになっている。また遊技盤12には、遊技領域19に臨む位置に、パチンコ球Pの入賞により図柄表示装置14の図柄を変動開始させる始動入賞装置21や、大当りの発生時に開放する特別入賞装置22の各種遊技部品が配設されている。
【0018】
図2に示すように、前記中枠13は、上縁をなす上枠部23と、下縁をなし、スピーカや球発射装置等を設置する設置部材として機能する下枠部24と、一方の側縁(パチンコ機10の前側から見て左側)をなす第1側枠部25と、他方の側縁(パチンコ機10の前側から見て右側)をなす第2側枠部26とから構成されて、これら上下左右の枠部23,24,25,26を組付けた際に、全体が外枠11の開口領域に整合する大きさに形成される。そして、外枠11に対して中枠13の第1側枠部25側が、ヒンジ機構を介して回動自在に支持されて、第2側枠部26側が施錠装置により施錠されるようになっている。また、中枠13には、上下左右の枠部23,24,25,26を組付けることで前後に開口する開口領域が画成され、この開口領域に遊技盤12が設置される。
【0019】
図2に示すように、前記中枠13には、パチンコ球Pを貯留可能な球貯留部27が、上枠部23の裏側に設けられている。また、中枠13には、球受け皿16に連通する球流通路が形成された球通出案内部28が、下枠部24の裏側に配設されている。そして、球貯留部27と球通出案内部28の球流通路とが、球通路ユニット29によって連通接続されている。すなわち、設置枠台に設けられた球供給設備(図示せず)から球貯留部27に供給されたパチンコ球Pは、球通路ユニット29および球通出案内部28を介して球受け皿16に給出されるようになっている。なお、以下の説明では、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図2に示すようにパチンコ機10を背面側(裏側)から見た状態で指称するものとする。
【0020】
図3に示すように、球貯留部27は、球供給設備からパチンコ球Pを受け入れて、該パチンコ球Pを貯留する球タンク30と、この球タンク30に貯留したパチンコ球Pを整列させるタンクレール31とを備えている。実施例の球貯留部27は、球タンク30およびタンクレール31が一体的に形成されている。前記球タンク30は、第2側枠部26側から第1側枠部25側に向けて(左から右へ向けて)下方傾斜するタンク底面32と、該タンク底面32の外周縁に沿って立ち上がる前壁33a,後壁33b,左壁33cおよび右側の球誘導面33dとから上方開口する略矩形箱状に形成され(図4,図5参照)、当該タンク底面32および各壁33a〜33c,球誘導面33dにより画成される貯留空間34にパチンコ球Pを貯留するようになっている。そして、前記球タンク30の傾斜下端側に前記タンクレール31が一体的に設けられ、該タンクレール31は貯留空間34に連通している。前記球誘導面33dは、パチンコ球Pをタンクレール31へ誘導する球誘導手段として機能するものであって、貯留空間34に臨むよう凹面形状に形成されている。そして、球誘導面33dに流下したパチンコ球Pは、その球圧を吸収されつつタンクレール31へ速やかに誘導されるようになっている。
【0021】
前記球タンク30における後壁33bに、貯留空間34に臨む金属板35が後壁33bに沿って延在するように配設され、球タンク30に貯留したパチンコ球Pが金属板35に接触するよう構成される。また金属板35は、前記中枠13の金属部分に接続している。すなわち、球タンク30内を流下するパチンコ球同士あるいはパチンコ球Pと球タンク30との接触により発生する静電気を、該金属板35を介して中枠13側に逃し得るよう構成される。なお、後壁33bの内面側(貯留空間34側)には、図4に示す如く、上端から所定高さで後側に凹む段部36が左右方向に所定長さで延在するよう形成され、前記金属板35における後壁33bの内面に接触する部分は、該段部36と対応する部分が切欠かれている。
【0022】
(仕切部材38について)
前記球タンク30における後壁33bの後側に位置する前記中枠13の上枠部23に、図3に示す如く、ガイド部材37が配設されると共に、球タンク30の内部に位置する仕切部材38が、ガイド部材37に対して左右方向に位置調節可能に支持されている。ガイド部材37は、図4に示す如く、後壁33bの上側に臨む前面壁37aに、左右方向に延在するスリット37bが前後方向に開設されると共に、該スリット37bにおける右端部側に、上下方向の開口寸法がスリット37bより大きく設定された一対の装着口37c,37cが左右方向に離間して形成されている。また前面壁37aには、スリット37bの上側に、山と谷とが反復するラック状の被係合部37dが左右方向に所定長さで形成されている。
【0023】
前記仕切部材38は、後壁33bの内面に沿って延在する操作部として機能する本体部39と、該本体部39の左端縁から前側へ延出する仕切部40と、本体部39の後端に突設されて左右方向に離間する一対の支持部41,41と、両支持部41,41の間に設けられた係合部42とを備える。本体部39は、図4および図5(b)に示す如く、矩形状の前板39aと、該前板39aの左右両端縁から後方に向けて延出する側板39b,39bと、前板39aから後方に離間するよう両側板39b,39bの後端上部間に連設される後板39cとを備え、前板39aと後板39cとの隙間に指を差し込んで前板39aを把持して仕切部材38を操作し得るよう構成される。両側板39b,39bの後端には、下側に開放する階段状の階段部43が形成され、仕切部材38をガイド部材37に装着した状態で該階段部43が、前記球タンク30における段部36の上面および後壁33bの上面に載った状態で支持され、仕切部材38が球タンク30に対して左右方向に安定して移動可能になっている。
【0024】
前記一対の支持部41,41は、前記ガイド部材37における一対の装着口37c,37cに対応して後板39cに左右方向に離間して突設される。各支持部41は、図5(b)に示す如く、ガイド部材37のスリット37b内を左右方向に移動可能な厚み寸法に設定された板部41aと、該板部41aの後端部において上下方向に突出する抜止め部41bを備え、該抜止め部41bは、前記装着口37cの上下方向の開口寸法より小さく、かつスリット37bの上下方向の開口寸法よりは大きく設定されている。すなわち、抜止め部41bは、装着口37cを介して挿脱し得るよう構成される。そして、抜止め部41bを装着口37cに前側から挿入した状態で、仕切部材38は、板部41aがスリット37b内を左右方向に移動して位置調節されるようになっている。なお、装着口37cから挿入された抜止め部41bは、該装着口37cと前後方向に一致しない位置においてはガイド部材37の前面壁37aにおけるスリット37bの上下の裏面に接触し、これによってガイド部材37に対して仕切部材38が前側へ抜けるのが規制されるようになっている。
【0025】
前記仕切部材38の後板39cには、一対の支持部41,41の間に、前後方向に弾性変形可能な前記係合部42が形成され、該係合部42の後端上部に後方に向けて突出する係合突部42aが設けられている。そして、係合部42の弾性によって、前記ガイド部材37の被係合部37dにおける谷部分に、係合突部42aが嵌まり込むようにして係合可能に構成される。すなわち、ガイド部材37に対して仕切部材38をスリット37bに沿って左右方向に移動する際に、係合部42の係合突部42aが被係合部37dの谷部分に嵌まり込むようにして係合することで、仕切部材38は調節した位置で位置決めされるようになっている。なお、係合部42の弾力は、球タンク30の貯留空間34に貯留されるパチンコ球Pの球圧では係合部42(係合突部42a)と被係合部37dとの係合状態が簡単には解除されないが、作業者が仕切部材38の本体部39を把持して左方または右方に所要の力を加えた際には、係合部42(係合突部42a)と被係合部37dとの係合状態が解除されて仕切部材38の移動が許容されるよう設定される。
【0026】
前記仕切部材38の仕切部40は、該仕切部材38をガイド部材37に装着した状態で、球タンク30における貯留空間34内で前後方向に延在して該貯留空間34を左右に仕切り得る寸法に設定される。すなわち、仕切部40の先端(本体部39から離間する端)は、球タンク30の前壁33aの内面に対してパチンコ球1個分より小さい間隔で離間し、該仕切部40より右側(タンクレール31側)に画成される貯留空間34の容積を可変し得るよう構成されている。また仕切部40の高さ寸法は、球タンク30の深さ寸法と略同一に設定される。
【0027】
(球均し領域45について)
前記タンクレール31は、上流端部が球タンク30のタンク底面32に対しパチンコ球P略1球分だけ下がった状態で接続されて、該上流端部から下流端部まで(第2側枠部26側から第1側枠部25側に向けて)略直線状に延在している。また、タンクレール31の幅寸法(前後寸法)は、パチンコ球Pが1球通過し得る大きさに設定され、タンクレール31の底面44は、後述する球均し領域45を構成する傾斜段部46,47を除き全体が左から右へ向けて下方傾斜しており、前記タンク底面32の傾斜角度と同じ角度に設定されている。前記タンクレール31の長手方向の略中央位置には、パチンコ球Pを整流する整流部としての球均し領域45が形成されている。この球均し領域45は、図6および図7に示すように、該球均し領域45における上流側の底面を構成する第1斜状段部46と、該球均し領域45における下流側の底面を構成する第2斜状段部47と、球均し領域45の前後側面をなす屈曲部48とにより構成されている。
【0028】
前記第1斜状段部46は、タンクレール31における球均し領域45より上流側の底面44aに対し一段下がって接続しており、その接続部は第1段差部49を構成している。また、第1斜状段部46は、前記タンクレール31の傾斜方向(左右方向)と直交する方向(前方から後方へ向かう方向,図7の矢印A参照)に緩やかに下方傾斜している。すなわち、図6に示すように、上流側の底面44aと第1斜状段部46とがなす第1段差部49は、前方から後方へ掛けて拡がる(段差が大きくなる)矩形状をなしており、第1段差部49における後端位置での最大段差l1は、パチンコ球Pの略5分の1の寸法に設定されている。従って、第1斜状段部46を流下するパチンコ球Pは、第1斜状段部46の斜面に沿って自重により後方へ付勢される。なお、第1斜状段部46は、タンクレール31における上流側の底面44aおよび下流側の底面44bの如く、左方から右方に向けて下方傾斜しておらず、左右方向に対し水平となっている。
【0029】
前記第1斜状段部46の下流側に設けられる第2斜状段部47は、該第1斜状段部46に対し一段下がって接続しており、両第1,第2斜状段部46,47の接続部に第2段差部50が形成されている。また、第2斜状段部47は、タンクレール31における下流側の底面44bに対して一段上がって接続しており、第2斜状段部47と当該底面44bとの接続部に第3段差部51が形成されている。
【0030】
前記第2斜状段部47は、前記第1斜状段部46の傾斜方向と逆方向(実施例では、後方から前方へ向かう方向,図7の矢印B参照)に下方傾斜している。すなわち、図6に示すように、第1斜状段部46および第2斜状段部47がなす第2段差部50は、前記第1段差部49と異なり、前方から後方へ掛けて狭まる(段差が小さくなる)矩形状をなしており、その最大段差l2は前端に位置している。一方、第2斜状段部47および下流側の底面44bがなす第3段差部51は、前方から後方へ掛けて拡がる(段差が大きくなる)矩形状をなし、その最大段差l3は後端に位置する。そして、前記第2段差部50および第3段差部51の最大段差l2,l3は、前記第1段差部49と同様に、パチンコ球Pの略5分の1の寸法に設定されている。従って、第1斜状段部46において後方へ付勢されたパチンコ球Pは、第2斜状段部47に沿って自重により前方へ付勢されるようになっている。なお、第2斜状段部47も、第1斜状段部46と同様に、左右方向に対して傾斜していない。このように、第1斜状段部46および第2斜状段部47は、タンクレール31における上流から下流に向けて一段ずつ下がった構造となっており、前記第1〜第3段差部49,50,51をパチンコ球Pが通過する際に該パチンコ球Pに対して上下に微振動を与え、効率よくパチンコ球Pが整流(球均し)されるようになっている。
【0031】
図6に示すように、前記第1斜状段部46および第2斜状段部47における前後の縁部であって、該第1斜状段部46と第2斜状段部47および屈曲部48とが接合する部位には、塵埃排出用の通孔52,52が夫々開設され、タンクレール31に進入した塵埃等を通孔52,52を介して排出するようになっている。
【0032】
前記屈曲部48は、図7に示す如く、後壁部48aおよび前壁部48bで構成されて前後方向に湾曲しており、球均し領域45を流通するパチンコ球Pを第1斜状段部46および第2斜状段部47の傾斜方向に沿って蛇行させるようになっている。後壁部48aは、前記第1斜状段部46および第2斜状段部47に対応する部位が、第1斜状段部46側から前記第2段差部50に向かうにつれて徐々に後方へ退避するように湾曲した後、第2段差部50から第2斜状段部47側に向かうにつれて徐々に前方に迫り出すように湾曲しており、全体としては第2段差部50を挟む左右に亘って後方へ凹設した一連の円弧形状をなしている。また、前壁部48bは、前記第1斜状段部46および第2斜状段部47に対応する部位が、第1斜状段部46側から前記第2段差部50に向かうにつれて徐々に後方に迫り出すように湾曲した後、第2段差部50から第2斜状段部47側に向かうにつれて徐々に前方に退避するように湾曲しており、全体としては第2段差部50に対応する位置で後方へ凸設した形状をなすと共に、第1斜状段部46および第2斜状段部47に対する面が凹面状に凹んでいる。すなわち、屈曲部48における第1斜状段部46に対応する部位は、該第1斜状段部46の流下方向(下向き傾斜方向)である後方に向けて湾曲している。一方、屈曲部48における第2斜状段部47に対応する部位については、該第2斜状段部47の流下方向(下向き傾斜方向)である前方に向けて湾曲するよう構成される。この第1斜状段部46、第2斜状段部47および屈曲部48により、球均し領域45を流下するパチンコ球Pは、第1,第2斜状段部46,47の傾斜方向に沿って前後に揺さぶられ、該流下するパチンコ球Pによる球圧の掛かる方向が変化し、これによりパチンコ球Pが整流(球均し)されるようになっている。
【0033】
図8に示すように、前記タンクレール31における下流側の底面44bの下流端には、上下方向に開放する球排出口53が開設されている。この球排出口53は、タンクレール31と前記球通出案内部28とを繋ぐ球通路ユニット29に形成した球通路54の入口54aに連通接続されている。図2に示す如く、球通路ユニット29には、パチンコ球Pの払出しを行なう球払出装置55が配設されており、所定の制御条件に基づいて球払出装置55が作動することで、前記タンクレール31の球排出口53から球通路ユニット29に到来したパチンコ球Pを通出させて、球通出案内部28を介して賞球または貸球として前記球受け皿16に給出するよう構成される。
【0034】
前記球排出口53は、前記底面44bで開口する入口53aから所定高さだけ低い位置で開口する出口53bまでが略筒状に形成され、球排出口53を画成する上流側の壁には、入口53aの上流側の端縁から出口53bの上流側の端縁まで、球排出口53の内側に凸となる弧状の案内面(球排出口53の上流側内面)56が形成されており、底面44bの下流端に至ったパチンコ球Pは案内面56によって球排出口53にスムーズに通入するよう構成される。また、球排出口53を画成する下流側の壁であるタンクレール31の下流端側を画成する右側壁(壁部)60には、図9に示す如く、タンクレール31における下流側の底面44bの下流側への延長線Tより下側の部分が切欠かれ、該切欠部60aによって球排出口53の開口寸法が大きくなるよう設定される。なお、切欠部60aによって広がった球排出口53の出口側の開口寸法は、案内面56と延出案内部67との最小離間間隔より大きくなっている。
【0035】
(整流部材57について)
前記タンクレール31には、前記球排出口53から球通路54へパチンコ球Pを円滑に通入させるための整流部材57が着脱自在に配設されている。この整流部材57は、図4および図5に示す如く、上方に開口する樋状に形成されたタンクレール31の上部開口を覆う蓋部58と、該蓋部58に垂設された整流案内部59とを備える。蓋部58は、図3に示す如く、タンクレール31の前記右側壁60から前記球均し領域45の下流端(第2斜状段部47の下流端)までの間で上部開口を覆う寸法に設定されると共に、該蓋部58の左端(球タンク30側を向く端)には、タンクレール31の上部開口より後側を左方に向けて延在する支持板部61を備える。球貯留部27には、図4に示す如く、タンクレール31の上部開口より後側において該上部開口の上端から後方に延在する載置部62が設けられる。蓋部58は、タンクレール31の上部開口より前後寸法が大きく設定されて、該蓋部58の後側部分が載置部62に載置されることで蓋部58の前側部分で上部開口を覆うよう設定される。また支持板部61は、載置部62と略同じ前後幅に設定され、該載置部62に支持板部61が載置された状態で、前記球均し領域45の上側の上部開口を開放するようになっている。
【0036】
前記載置部62の下流端部(右端部)に第1係合孔62aが形成されると共に、該載置部62の上流端部(左端部)に第2係合孔62bが形成されている。また整流部材57には、蓋部58の右端部に、対応する第1係合孔62aに係脱自在に係合する第1爪片63aが設けられると共に、前記支持板部61の左端部に、対応する第2係合孔62bに係脱自在に係合する第2爪片63bが設けられる。支持板部61の左端部には、上方に突出する操作片61aが設けられ、該操作片61aの操作によって第2爪片63bを弾性変形し得るよう構成される。すなわち、第1爪片63aを第1係合孔62aに上側から挿入して孔縁に係合したもとで、第2爪片63bを第2係合孔62bに上側から押し込むことで、該第2爪片63bが弾性変形しつつ第2係合孔62bに挿入された後に弾性復帰して孔縁に係合し、これによって整流部材57は球均し領域45より下流側の上部開口を蓋部58で覆った状態で球貯留部27に取付けられる(図3参照)。そして、操作片61aを操作して第2爪片63bを弾性変形させて孔縁との係合を解除して第2係合孔62bから抜き出すことで、整流部材57を球貯留部27から取外すことができるようになっている。なお、実施例では整流部材57を合成樹脂で形成すると共に、前記第2爪片63bおよび操作片61aの形成部分より右側(蓋部58側)で支持板部61を前後方向に所定長さ切り欠くことで、第2爪片63bが容易に弾性変形し得るよう構成してある。また、タンクレール31を画成する前壁上端に位置決め凹部64が形成されると共に、前記蓋部58の前端縁に規制片58aが突設され、該規制片58aを位置決め凹部64に嵌合することで、球貯留部27に対して整流部材57の前後および左右方向の位置決めがなされるよう構成してある。
【0037】
前記蓋部58の下面には、図8に示す如く、タンクレール31内に延出する前記整流案内部59が設けられている。この整流案内部59は、タンクレール31の前後幅の略中央に位置して前記球均し領域45の下流端(第2斜状段部47の下流端)から前記球排出口53の上方までの間に亘って延在し、タンクレール31を流下するパチンコ球Pを下面65,66で案内し得るよう構成される。整列案内部59の下面65,66(整流部材57の下面)とタンクレール31の下流側の底面44bとの間隔は、上流側から下流側に向けて徐々に小さくなるよう設定される。また、前記球排出口53における入口53aの上流側縁N(底面44bの端縁であって、底面44bと球排出口53との境界)を通る鉛直線上における該上流側縁Nと整流案内部59の下面65,66との間隔Rは、パチンコ球P1個分より大きくかつ2個分より小さく設定される(図9参照)。これにより、2個のパチンコ球Pが上下に重なった状態で球排出口53に通入するのを規制し得るようになっている。
【0038】
前記整流案内部59の下面65,66は、図8および図9に示す如く、上流端側から下流側に向かうにつれて下向きに凸となる第1湾曲面65の下流端に連なって、該第1湾曲面65との接続部から下流側に向かうにつれて上向きに凸となる第2湾曲面66が形成されて、該整流案内部59の下面65,66は全体として略S字状になっている。実施例では、前記球排出口53における入口53aの上流側縁Nを通る鉛直線上に、第1湾曲面65と第2湾曲面66との接続部Qが位置している。そして、第1湾曲面65は、該第1湾曲面65の始点Q1と接続部Qとを結ぶ線分F1に対して下側に凸となり、第2湾曲面66は、接続部Qと第2湾曲面66の終端Q2とを結ぶ線分F2に対して上側に凸となっている。
【0039】
また、前記整流案内部59の下流端に、図9に示す如く、前記右側壁60に沿って球排出口53に向けて延出する延出案内部67が設けられる。この延出案内部67は、前記入口53aの上流側縁Nを通る鉛直線上における該上流側縁Nからパチンコ球Pの1個分の高さ位置Kより下方に突出して、タンクレール31の底面44b上を流れてくるパチンコ球Pが右側壁60に直接当るのを延出案内部67で防ぐように構成される。また延出案内部67の下端と、前記球排出口53における出口53bとの上下方向の離間間隔Lは、パチンコ球P1個分より短かく設定される。更に、延出案内部67は、前記球排出口53の案内面56と対向し、該延出案内部67と案内面56との対向部の隙間は、パチンコ球Pを1個通過可能な寸法に設定される。これにより、タンクレール31の底面44b上を流れてくるパチンコ球Pが右側壁60に直接当るのを延出案内部67で防ぎつつ、該延出案内部67に当ったパチンコ球Pの球排出口53への通入を許容するようになっている。なお、前記第2湾曲面66は、延出案内部67における球排出口53の案内面56と対向する面の途中まで連なって形成されており、パチンコ球Pは第2湾曲面66に沿って球排出口53までスムーズに案内可能に構成される。
【0040】
ここで、前記第2湾曲面66における始端(接続部Q)から終端Q2までの前記案内面56との間隔は、第2湾曲面66の始端(接続部Q)から終端Q2に向かうにつれて徐々に狭くなるよう設定される。また、前記延出案内部67における第2湾曲面66の終端Q2に対応する点から該延出案内部67の下端(案内面側の縁)までにおける案内面56との間隔も、終端Q2から下端に向かうにつれて徐々に狭くなるよう設定され、該下端と案内面56との間隔は、パチンコ球Pの直径より僅かに大きく設定される。これにより、延出案内部67の下端と案内面56との間をパチンコ球Pが1個ずつ通過可能で、球詰りを確実に防止し得るようになっている。
【0041】
前記球通路ユニット29における球通路54の入口54aは、図9に示す如く、上方(球排出口53)に向けて拡開するよう形成されると共に、該入口54aにおける左縁部(タンクレール31でのパチンコ球Pの流れ方向での上流側の縁部)および前後の縁部は、何れも球排出口53における出口53bの対応する縁部より外側に位置する。また、球通路54の入口54aにおける右縁部(タンクレール31でのパチンコ球Pの流れ方向での下流側の縁部)は、前記右側壁60の内面から下方への延長線より外側に位置するよう設定される。これにより、球排出口53から通出されるパチンコ球Pを入口54aにスムーズに受け入れ得るようになっている。
【0042】
(実施例の作用)
次に、実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。図示しない球供給設備から球タンク30の貯留空間34へパチンコ球Pが供給されると、該パチンコ球Pは、上下に重なり合った状態で貯留空間34へ収容される。これらのパチンコ球Pは、タンク底面32の傾斜方向に沿ってタンクレール31側へ自重によって流れる。また、前記球誘導面33d上に位置するパチンコ球Pは、タンク底面32やタンクレール31側へ速やかに案内される。
【0043】
ここで、前記球タンク30に貯留するパチンコ球Pの容量は、前記仕切部材38を球タンク30の後壁33bに対して左右方向に移動することで調節できる。すなわち、仕切部材38の本体部39を把持して左右方向に移動して任意の位置で止めることで、該仕切部材38の係合部42がガイド部材37の被係合部37dに弾力的に係合し、仕切部材38は調節された位置で保持される。これにより、仕切部材38の仕切部40と前記球誘導面33dとの間に画成される貯留空間34の左右方向の大きさが変わり、該貯留空間34に貯留し得るパチンコ球Pの容量が変化する。なお、仕切部材38は、ガイド部材37に対して支持されている支持部41,41を、装着口37c,37cと一致する位置まで移動しして前側に引き抜くことでガイド部材37から簡単に取外すことができる。従って、仕切部材38が破損等した場合は、該仕切部材38を簡単に交換することができる。
【0044】
前記タンクレール31へ流れたパチンコ球Pは、該タンクレール31の上流側の底面44aを流下して、上下に重なり合ったまま1列の状態で球均し領域45へ流入し、前記第1段差部49を越えて第1斜状段部46へ移る。このとき、パチンコ球Pは、前記第1斜状段部46に落下した衝撃で上下方向に振動し、最初の整流作用が付与される。つまり、上下に重なり合ったパチンコ球Pの球均し(球崩し)が効率よく行なわれる。
【0045】
前記第1斜状段部46に到来したパチンコ球Pは、図7に示すように、該第1斜状段部46の傾斜面および屈曲部48に案内されて後方(図7では、上側)へ強制的に移動される。これにより、パチンコ球Pに対し2度目の整流作用が与えられ、パチンコ球P同士の上下の重なりが更に緩和される。続いて、パチンコ球Pが第2段差部50を越えると、第2斜状段部47上で振動し、3度目の整流作用が与えられる。第2斜状段部47上をパチンコ球Pが流下すると、今度は、該第2斜状段部47の傾斜面および屈曲部48により、第1斜状段部46とは反対の前方(図7では、下側)へ強制的に移動させられ、パチンコ球Pに対し4度目の整流作用が与えられる。すなわち、第1斜状段部46で後方へ強制的に移動されたパチンコ球Pは、第2斜状段部47において直ちに逆方向へ強制移動され、パチンコ球Pに対し強力な整流作用が与えられることとなる。次いで、第2斜状段部47を通過する際には、パチンコ球Pは第3段差部51で上下方向に振動し、5度目の整流作用が付与される。
【0046】
すなわち、上下に重なり合ったパチンコ球Pが球均し領域45を流下する際に、該パチンコ球Pに対し、第1〜第3段差部49,50,51での上下方向への振動と、第1,第2斜状段部46,47と屈曲部48とによる前後方向への揺さぶりとを略同時に与えることにより、僅かな距離であっても十分な整流効果が発揮される。従って、図8に示す如く、上下に重なり合った状態でタンクレール31へ流入したパチンコ球Pは、球均し領域45を通過する間に好適に整流され、タンクレール31の下流側を1列1段となって流下する。
【0047】
前述したように、タンクレール31に球均し領域45を設けることで、短い距離であってもパチンコ球Pを効率よく整流し得るので、タンクレール31をコンパクトにできる。すなわち、遊技盤12の大型化に伴い設置スペースが限られつつある近年のパチンコ機10であっても、十分な球均し効果を備えた球貯留部27を設置し得る。しかも、タンクレール31をコンパクトにし得る分だけ球タンク30の容積を大きくすることができ、球タンク30に貯留可能な球数を増大し得る。更に、実施例の如く、球タンク30とタンクレール31とが一体成形されて球貯留部27を構成する場合、タンクレール31の長さ変更が不可能となるが、実施例の如く球均し領域45を設けることで、タンクレール31の長さを変更しなくとも十分な整流効果を発揮し得る。
【0048】
ここで、前記球タンク30やタンクレール31は、多量のパチンコ球Pが流通するため、遊技店内等の塵埃が球貯留部27内に進入することがある。そして、この塵埃が狭小なタンクレール31に存在すると、パチンコ球Pの流通を阻害して、球詰まりが生じる要因となり得る。特に、第1,第2斜状段部46,47および屈曲部48の接合部位は、パチンコ球Pの流下方向が変更される部位であるため、塵埃が溜り易い箇所である。そして、このような塵埃が溜ってしまうと、パチンコ球Pが流下する際の妨げとなり、球均し領域45における整流効果が低下してしまう。そこで、実施例においては、第1,第2斜状段部46,47および屈曲部48の接合部位に通孔52,52を開設したので、当該部位に溜った塵埃を通孔52,52を介して外部へ排出することができ、パチンコ球Pの流下の妨げになる原因を排斥し、整流効果が低下するのを抑制し得る。
【0049】
前記球均し領域45を通過したパチンコ球Pは、タンクレール31の下流側の底面44bを流下して、前記球排出口53から下方へ落下する。このパチンコ球Pは、前記球通路ユニット29の入口54aから球通路54に通入し、球通路ユニット29の内部で一時的に貯留される。そして、所定のタイミングで前記球払出装置55が作動することで、球通路ユニット29の内部にあるパチンコ球Pは、賞球または貸球として球通出案内部28を介して前記球受け皿16へ給出される。
【0050】
ここで、前記球均し領域45を通過したパチンコ球Pが球排出口53に至る間に、球供給設備から球タンク30へのパチンコ球Pの供給状態等によっては、上流からの球圧により一旦整流されたパチンコ球Pが、再び上下に重なってしまうおそれがある。そこで、実施例においては、球均し領域45の下流端から球排出口53の上方までの間に亘って整流部材57を配設することで、球排出口53に、パチンコ球Pが確実に1列1段の状態で流れ込むようにしている。
【0051】
すなわち、前記底面44bの上方に位置する整流部材57の整流案内部59における下面65,66は、左右方向の全体に亘って上流側から下流側に向けて下方傾斜しているので、該整流案内部59の下面で案内されるパチンコ球Pは、下側(底面44b側)に向けて案内される。従って、パチンコ球Pが上下に重なっていたとしても、上側のパチンコ球Pが下向きに案内されることでパチンコ球Pは1段に均される。また、前記球排出口53における底面44bで開口する入口53aの上流側縁Nと整流案内部59の下面との離間間隔Rは、図9に示す如く、パチンコ球P1個分より大きく、かつ2個分より小さく設定されている。これにより、球排出口53に流れ込む直前においてタンクレール31を流れるパチンコ球Pは確実に1列1段となり、複数のパチンコ球Pが上下に重なった状態で球排出口53に流れ込むのは防止される。
【0052】
前記整流案内部59の下面65,66は、図9に示す如く、下向きに凸となる第1湾曲面65の下流端に、球排出口53の上方まで延在する上向きに凸となる第2湾曲面66を連なって形成してあるので、先ず第1湾曲面65に接触するパチンコ球Pを下向きに案内することで確実に均し作用を与えて1段にすることができる。また、第2湾曲面66に接触するパチンコ球Pの進行方向を球排出口53に向けて変更し、パチンコ球Pを球排出口53に速やかに流れ込ませて球通路54にスムーズに通入させることができる。これによって、球排出口53での球詰りの発生は確実に防止される。すなわち、整流案内部59の下面を一定角度で直線状に傾斜させた場合に比べ、凸となる向きが異なる2つの湾曲面65,66を組合わせた形状とすることで、底面44b上を流れるパチンコ球Pに対して均し作用および球排出口53への案内作用を確実に与えて、球排出口53へスムーズに流れ込ませることができる。
【0053】
更に、図9に示す如く、前記タンクレール31における下流側の底面44bで開口する球排出口53の入口53aの上流側縁Nから出口53bに亘って湾曲する案内面56が形成されているから、底面44b上を流れてくるパチンコ球Pは案内面56によってスムーズに球排出口53に通入する。また、該案内面56は、前記延出案内部67に形成された第2湾曲面66に略沿うように湾曲しているから、案内面56と第2湾曲面66とによってパチンコ球Pはよりスムーズに球排出口53に通入する。しかも、前記右側壁60に切欠部60aを形成することで、球排出口53の出口側の開口寸法を、案内面56と延出案内部67との最小離間間隔より大きくしているので、該案内面56と延出案内部67との間を抜けたパチンコ球Pは右側壁60や案内面56によって大きな抵抗を受けることなく自由落下し、球通路54にスムーズに通入する。すなわち、タンクレール31の下流端において先頭のパチンコ球Pはスムーズに球排出口53に流れ込んで入口54aから球通路54に通入するので、後続のパチンコ球Pの流れが阻害されることはなく、球排出口53での球詰りをより確実に防止し得る。
【0054】
前記整流案内部59は、タンクレール31の下流端を画成する右側壁60の上流側に位置すると共に、該整流案内部59の下流端に設けた延出案内部67と球排出口53における案内面56との隙間を、パチンコ球Pを1個通過可能な広さに設定しているので、球排出口53へのパチンコ球Pの流れ込みを許容しつつ、タンクレール31を流下するパチンコ球Pが直接右側壁60に当るのを防ぎ、該右側壁60が摩耗したり損傷するのを防止できる。すなわち、図9に示す如く、球排出口53の上方において延出案内部67に当って落下するパチンコ球Pは、該延出案内部67より下方に延在する右側壁60に当たる前に球通路54に通入する。しかも、延出案内部67の下端と球排出口53の出口53bとの上下方向の離間間隔Lをパチンコ球P1個分より短かく設定すると共に、右側壁60に、前記底面44bの下流側への延長線Tより下側の部分に切欠部60aを形成してあるので、延出案内部67から離間して落下するパチンコ球Pが右側壁60に当るのをより抑えることができる。また、整流部材57は球貯留部27に対して着脱し得るよう構成してあるので、整流案内部59がパチンコ球Pとの接触により摩耗したり損傷した場合は、該整流部材57のみを交換することで対応することができ、交換に係るコストを低廉に抑えることができる。
【0055】
前記タンクレール31における球均し領域45の下流端から球排出口53の上方までに臨む上部開口は、前記整流部材57の蓋部58によって覆われているので、塵埃等がタンクレール31や球排出口53に進入するのを防止できる。これにより、球均し領域45で整流されたパチンコ球Pのスムーズな流れを維持でき、塵埃を原因とする球詰りの発生をを防止し得る。また、蓋部58は、図3に示す如く、前記球均し領域45の上方を覆うことがないよう設定されているから、球タンク30から球均し領域45に多段状態で流れてくるパチンコ球Pの上側のパチンコ球Pが蓋部58に接触することで、球均し領域45での整流作用を阻害することはなく、該球均し領域45での確実な整流が達成される。
【0056】
(変更例)
本願は前述した実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができ、その一例を示す。
(1) 実施例では、球排出口の上流側に設けた整流部として段差部や傾斜段部を用いたものを挙げたが、例えばタンクレールの底面から上方に離間して均し部材を揺動自在に配設したり、タンクレールの球経路自体を左右方向に蛇行するように形成する形態等、球タンクからタンクレールに多段で流れてくるパチンコ球を1段に整流し得るものであればその他各種形態のものを採用し得る。
(2) 実施例では、整流部材を、蓋部および整流案内部を備えたものとしたが、整流案内部のみで整流部材を構成したものであってもよく、この場合は整流部材(整流案内部)を球貯留部に取付けるための取付部のみを整流部材(整流案内部)に設ければよい。
(3) 実施例では、整流部材を球貯留部に対して着脱自在に取付けるよう構成したが、整流部材は球貯留部に一体形成されたものであってもよい。
(4) 実施例では、整流案内部の下面に、異なる方向に湾曲する湾曲面を形成したが、下流側に向けて直線状に下方傾斜する傾斜面を形成してもよい。
(5) 実施例では、整流案内部に設けた延出案内部の下端を、球排出口の入口より上方に臨ませた場合で説明したが、延出案内部を球排出口の入口より下方または出口まで延在するようにしてもよい。この場合においても、球排出口における上流側内面と延出案内部との隙間をパチンコ球が1個通過可能な寸法にすればよい。
(6) 実施例では、延出案内部における球排出口の案内面と対向する面の途中まで第2湾曲面を連なって形成した場合で説明したが、延出案内部の下端まで第2湾曲面を形成してもよく、または延出案内部の案内面との対向面は、一定角度で傾斜する傾斜面としてもよい。
(7) 実施例では、球タンクとタンクレールとを一体形成した球貯留部を備えたパチンコ機の場合を例示したが、球タンクおよびタンクレールは、必ずしも一体成形される必要はなく、両部材を別体で構成してもよい。
(8) 実施例では、球受け皿を1つだけ設けた1枚皿タイプのパチンコ機を挙げたが、上下2つの球受け皿を備えた2枚皿タイプのパチンコ機であってもよい。
(9) 遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やパチンコ球を用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 パチンコ機(遊技機)
30 球タンク
31 タンクレール
44b 下流側の底面
45 球均し領域(整流部)
53 球排出口
54 球通路
56 案内面(上流側内面)
57 整流部材
58 蓋部
65 第1湾曲面
66 第2湾曲面
67 延出案内部
N 球排出口の入口の上流側縁
P パチンコ球(遊技球)
R 球排出口の入口の上流側縁と整流案内部の下面との間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の裏側に配設されて遊技球を貯留する球タンクと、該球タンクに連通し、遊技球を流下させるタンクレールと、該タンクレールの下流端の底面に開設されて球通路に連通する球排出口とを備え、タンクレールを流下する遊技球が球排出口から球通路に通入するよう構成された遊技機において、
前記球排出口より上流側に設けられ、遊技球を1列に整列する整流部と、
前記整流部と球排出口との間においてタンクレールの底面から上方に離間して配設され、該底面との間を整流部で整列された遊技球が流下する整流部材とを備え、
前記整流部材の下面とタンクレールの底面との間隔は、上流側から下流側に向けて徐々に小さくなるよう設定されると共に、該整流部材の下面とタンクレールの底面で開口する球排出口の上流側縁との間隔は、遊技球1個分より大きくかつ2個分より小さく設定され、
前記タンクレールの下流端に至る遊技球は、1列1段の状態で球排出口から通出するよう構成される
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記整流部材はタンクレールに着脱自在に配設され、該整流部材の下流端に、前記球排出口における上流側内面との間に遊技球を1個通過可能な隙間を画成する延出案内部が設けられ、タンクレールの下流端に至った遊技球は、該延出案内部に当って球排出口に向けて案内される請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記整流部材は、前記球排出口の上方から前記整流部までの間に延在し、該整流部材の下面は、下向きに凸となる第1湾曲面の下流側に、上向きに凸となる第2湾曲面が連なって形成される請求項1または2記載の遊技機。
【請求項4】
前記タンクレールは上方に開口する樋状に形成され、前記整流部材に設けた蓋部は、タンクレールにおける前記整流部より下流側の上部開口を覆うように設定される請求項1〜3の何れか一項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−106654(P2013−106654A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252084(P2011−252084)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】