遊技機
【課題】遊技機の電飾を用いた演出において規則的な点灯パターンを行うときに必要なデータ量を削減する。
【解決手段】電飾装置による点灯消灯パターンに係る補完開始データと補完終了データを記憶する初期パターン記憶部と、補完開始データと補完終了データに基づき中間データである補完データを生成する補完処理部と、補完データに基づき電飾装置を駆動する駆動部とを備える。補完開始データと補完終了データに基づき、中間のデータを補完することにより、電飾を用いた演出において規則的な点灯パターンを行うときに必要なデータ量を削減でき、多彩な点灯パターンに係る演出を行う場合でもその制御のためのデータ量の増加を抑制することができる。
【解決手段】電飾装置による点灯消灯パターンに係る補完開始データと補完終了データを記憶する初期パターン記憶部と、補完開始データと補完終了データに基づき中間データである補完データを生成する補完処理部と、補完データに基づき電飾装置を駆動する駆動部とを備える。補完開始データと補完終了データに基づき、中間のデータを補完することにより、電飾を用いた演出において規則的な点灯パターンを行うときに必要なデータ量を削減でき、多彩な点灯パターンに係る演出を行う場合でもその制御のためのデータ量の増加を抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電飾装置を備えるスロットマシンやパチンコ機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン等の遊技機にはメダルの投入口が設けられており、遊技者は所定の枚数のメダルを投入してゲームを楽しむことができる。遊技に必要なメダルは、遊技ホール内に設けられたメダル貸機等で借りることができ、所望の遊技機のメダル投入口に投入することによりゲームを開始することができる。
【0003】
従来の遊技機の動作は次のようなものであった。
先ず、スタートスイッチが操作されることにより、スタートスイッチがONとなる。これを受けて遊技機内部の当選判定手段により抽選処理が行われる。ここで所定の役に当選すると当選フラグがセットされる。回転リールの回転が開始する。ストップスイッチが操作されることにより、ストップスイッチがONとなる。そして、対応する回転リールの回転が停止する。全部の回転リールに対応するストップスイッチの操作が行われた後、当選フラグ成立中に当該当選フラグに対応する入賞図柄が有効入賞ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。入賞が確定したと判定された場合、入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
【0004】
抽選処理の評価が例えば外れの場合は所定の図柄が揃わないように設定され(いわゆる蹴飛ばし)、当たりの場合はストップスイッチが所定のタイミングで押下されることなどを条件に所定の図柄が揃うように設定される(いわゆる引き込み)。つまり、抽選処理において当選しているときのみ所定の条件の下で図柄が揃い入賞することにより、メダルが払い出されるが、当選しないときはストップスイッチをどのように操作してもメダルが払い出されることはない。これはメダルの払い出しを一定確率に保つためである。これを実現するため抽選処理において乱数発生器が用いられている。
【0005】
また、スロットマシンなどの遊技機は、演出表示を行うための発光ダイオードなどの発光素子を含む電飾装置(電飾)を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−261425号公報 点灯するLEDを特定するランプデータと、点灯するLEDの輝度を特定するスキャンデータによって、ランプの点灯パターンを決定する場合において、スキャンデータを変更しない場合は、同じスキャンデータを複数のランプデータで共用してデータの容量を削減することが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
遊技機の電飾を用いた演出には、電飾装置に含まれる複数の発光素子(LED)の点灯箇所を順次動かすというものがある(図19参照)。この電飾による演出は光による流れを作るものであり、遊技者に強く訴求する。このように、遊技機に搭載されている発光素子の点灯パターンのほとんどは、ある程度の規則をもたせてある。その理由は、ランダムに点灯しているよりも規則性をもたせるほうが全体として綺麗な点灯に見えるからである。
【0008】
ところで、多彩な点灯パターンを実現するためには、個々の発光素子に対してのそれぞれオン/オフ制御が可能であるほうが好ましく、上記規則的なパターンに対しても点灯パターン変化ごとに個別にデータを作成していた(図19参照)。このため、多大なデータ容量を必要としていた。
【0009】
この発明は上記課題を解決するためになされたもので、電飾を用いた演出において規則的な点灯パターンを行うときに必要なデータ量を削減することのできる遊技機を提供し、多彩な点灯パターンに係る演出を行う場合でもその制御のためのデータ量の増加を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、複数の発光素子を含む電飾装置と、所定のパターン(パターンとは、複数の発光素子それぞれの点灯と消灯の組み合わせ)で前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるとともに、時間経過に従って前記パターンを変化させる電飾制御部と、を備える遊技機において、
前記電飾制御部は、
前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるためのデータであって、少なくとも、所定期間の始期における前記複数の発光素子の点灯消灯のパターンに対応する補完開始データと前記所定期間の終期における前記複数の発光素子の点灯消灯のパターンに対応する補完終了データとを発生する初期データ設定部(初期パターン記憶部)と、
前記補完開始データ及び前記補完終了データに基づき、前記始期と前記終期を除く前記所定期間の中間における点灯消灯のパターンに対応する補完データを生成する補完処理部と、
少なくとも前記補完データに基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる駆動部とを備え、
前記補完開始データは、前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDA(i)(i=1,2,・・・,N:ただしNは前記発光素子の数に等しい、以下同じ)からなり、前記個別データDA(i)の少なくともいずれかは点灯を示すものであり、
前記補完終了データは、前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDB(i)(i=1,2,・・・,N)からなり、前記個別データDB(i)の少なくともいずれかは点灯を示すものであり、
前記補完処理部は、
前記補完開始データDA(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も小さいものを判定し(当該最も小さいi=m(1≦m≦Nの整数)とする)、
前記補完終了データDB(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も大きいものを判定し(当該最も大きいi=n(1≦n≦Nの整数、ただしm<n)とする)、
前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDH(i)(i=1,2,・・・,N)を設定し(以下、DH(i)を「補完データ」と記す)、
以下の(ア)乃至(オ)の処理を行うものである。
(ア)補完データDH(1)を消灯に設定する
(イ)k=1,2,・・・,N−1に対して、DH(k+1)=DA(k)とする
(ウ)上記(ア)及び(イ)により得た前記補完データDH(i)を前記駆動部へ送り、前記補完データDH(i)に基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる
(エ)前記補完開始データDA(i)を、上記(ア)及び(イ)により得た前記補完データDH(i)で置き換える
(オ)上記(ア)乃至(エ)を少なくとも(n−m−1)回だけ繰り返す(ただし(n−m−1)≧1)
【0011】
上記処理により、補完開始データのパターンから補完終了データのパターンへ、点灯パターンが徐々に移動するように見える。補完開始データと補完終了データに基づき自然な動きの演出を提供することができる。
【0012】
上記(ア)乃至(エ)の繰り返し回数をjとして、
前記(ア)に代えて、次のステップを行うようにする。
(カ)補完データDH(1)=DB(n−j)とする
【0013】
このように処理することで、前記補完終了データが点灯の個別データを複数もつ場合にも対応することができる。
【0014】
複数の発光素子を含む電飾装置と、所定のパターン(パターンとは、複数の発光素子それぞれの点灯と消灯の組み合わせ)で前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるとともに、時間経過に従って前記パターンを変化させる電飾制御部と、を備える遊技機において、
前記電飾制御部は、
前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるためのデータであって、少なくとも、所定期間の始期における前記複数の発光素子の点灯消灯のパターンに対応する補完開始データと前記所定期間の終期における前記複数の発光素子の点灯消灯のパターンに対応する補完終了データとを発生する初期データ設定部(初期パターン記憶部)と、
前記補完開始データ及び前記補完終了データに基づき、前記始期と前記終期を除く前記所定期間の中間における点灯消灯のパターンに対応する補完データを生成する補完処理部と、
少なくとも前記補完データに基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる駆動部とを備え、
前記補完開始データは、前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDA(i)(i=1,2,・・・,N:ただしNは前記発光素子の数に等しい、以下同じ)からなり、前記個別データDA(i)の少なくともいずれかは点灯を示すものであり、
前記補完終了データは、前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDB(i)(i=1,2,・・・,N)からなり、前記個別データDB(i)の少なくともいずれかは点灯を示すものであり、
前記補完処理部は、
前記補完開始データDA(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も大きいものを判定し(当該最も小さいi=m(1≦m≦Nの整数)とする)、
前記補完終了データDB(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も小さいものを判定し(当該最も大きいi=n(1≦n≦Nの整数、ただしm>n)とする)、
前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDH(i)(i=1,2,・・・,N)を設定し(以下、DH(i)を「補完データ」と記す)、
以下の(ア)乃至(オ)の処理を行うものである。
(ア)補完データDH(N)を消灯に設定する
(イ)k=2,・・・,Nに対して、DH(k−1)=DA(k)とする
(ウ)上記(ア)及び(イ)により得た前記補完データDH(i)を前記駆動部へ送り、前記補完データDH(i)に基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる
(エ)前記補完開始データDA(i)を、上記(ア)及び(イ)により得た前記補完データDH(i)で置き換える
(オ)上記(ア)乃至(エ)を少なくとも(m−n−1)回だけ繰り返す(ただし(m−n−1)≧1)
【0015】
上記処理により、補完開始データのパターンから補完終了データのパターンへ、点灯パターンが徐々に移動するように見える。補完開始データと補完終了データに基づき自然な動きの演出を提供することができる。
【0016】
上記(ア)乃至(エ)の繰り返し回数をjとして、
前記(ア)に代えて、次のステップを行うようにする。
(カ)補完データDH(N)=DB(n+j)とする
【0017】
このように処理することで、前記補完終了データが点灯の個別データを複数もつ場合にも対応することができる。
【0018】
さらに、予め定められた作動時間に基づき少なくとも前記補完データについて動作タイミングを設定するタイミング設定部を備え、
前記駆動部は、前記タイミング設定部で求めた作動時間に従い、前記補完データに基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、電飾装置による点灯消灯パターンに係る補完開始データと補完終了データに基づき、中間のデータを補完することにより、電飾を用いた演出において規則的な点灯パターンを行うときに必要なデータ量を削減でき、多彩な点灯パターンに係る演出を行う場合でもその制御のためのデータ量の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図である。
【図2】前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図である。
【図3】スロットマシンのブロック図である。
【図4】発明の実施の形態に係る電飾制御系統のブロック図である。
【図5】発明の実施の形態に係る補完処理のフローチャートである。
【図6】発明の実施の形態に係る補完処理の説明図である。(a)は補完開始データ、(b)は補完終了データ、(c)は補完データを示す。
【図7】発明の実施の形態に係る補完処理による電飾装置の点滅の時間変化を示す。
【図8】発明の実施の形態に係る補完処理の他のフローチャートである。
【図9】発明の実施の形態に係る補完処理の説明図である。(a)はオリジナルの補完開始データと補完終了データ、(b)は補完処理の基準点を抽出したデータ、(c)は(b)による補完データを示す。
【図10】発明の実施の形態に係る補完処理の説明図である。補完開始データと補完終了データの基準点以外のデータを追加するやり方を示す。
【図11】図8の処理による補完処理の説明図である。(a)は補完開始データと補完終了データ、(b)は(a)の補完開始データと補完終了データに基づき図8の処理を行ったときの電飾装置の点滅の時間変化を示す。
【図12】図8の処理による補完処理の説明図である。(a)は他の補完開始データと補完終了データ、(b)は(a)の補完開始データと補完終了データに基づき図8の処理を行ったときの電飾装置の点滅の時間変化を示す。
【図13】図8の処理による補完処理の説明図である。(a)は他の補完開始データと補完終了データ、(b)は(a)の補完開始データと補完終了データに基づき図8の処理を行ったときの電飾装置の点滅の時間変化を示す。
【図14】図8の処理による補完処理の説明図である。(a)は他の補完開始データと補完終了データ、(b)は(a)の補完開始データと補完終了データに基づき図8の処理を行ったときの電飾装置の点滅の時間変化を示す。
【図15】発明の実施の形態に係る補完処理の他のフローチャートである(逆順で補完するもの)。
【図16】図15の処理による補完処理の説明図である。
【図17】発明の実施の形態に係る電飾制御系統の他のブロック図である。
【図18】図17の装置による補完処理の説明図である。
【図19】従来の電飾装置の制御手法の説明図である。
【図20】発明の実施の形態の変形例に係る補完処理のフローチャートである。
【図21】発明の実施の形態の変形例に係る補完データ記憶部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
【0022】
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
【0023】
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つの回胴のそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。その両側にはアーチランプAHが設けてある。アーチランプAHは、その内部に設けられた発光素子(これは後述の電飾装置の発光素子に相当する)の点滅を通じて所定の演出を行うものである。
【0024】
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回胴を含むリール(回胴)ユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つの回胴(第1リール〜第3リール)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転回胴の図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205が設けられている。
【0025】
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたリジェクトボタン133の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
【0026】
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
【0027】
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部を備える。
【0028】
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、メイン基板10を取り外す際に、ケースに痕跡が残るように封印処理が施されている。
【0029】
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、リールの回転・停止やメダルの払い出しなどの処理(遊技処理)を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
【0030】
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
【0031】
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134、ストップボタン140、リールユニット(リール駆動装置を含む)203、リール位置検出回路71、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(ホッパ駆動部80、ホッパ81及びメダル検出部82は前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。
【0032】
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
【0033】
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
【0034】
ホッパ駆動部80は、ホッパ81を回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
【0035】
投入受付部1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1リール〜第3リールの回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1リール〜第3リールの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
【0036】
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10はベットスイッチBETの有効/無効を制御する。ベットスイッチBETが有効になっていないときは(許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
【0037】
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0038】
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1050から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
【0039】
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
【0040】
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0041】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
【0042】
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0043】
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。リプレイ処理手段1600については、後に再度説明を加える。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
【0044】
リール制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1リール〜第3リールをステッピングモータにより回転駆動して、第1リール〜第3リールの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中のリールにそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リール〜第3リールを抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
【0045】
また、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、そのリール停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リール〜第3リールの各リールを停止させる制御を行う。
【0046】
すなわち、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1リール〜第3リールのうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1リール〜第3リールの停止位置を決定し、決定された停止位置で第1リール〜第3リールを停止させる制御を行う。
【0047】
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1リール〜第3リールの位置(押下検出位置)と、第1リール〜第3リールの実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、第1リール〜第3リールの停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
【0048】
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるリールインデックス(図示せず)を備えており、リール制御手段1300は、リールが1回転する毎にリールインデックスで検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップスイッチ140の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
【0049】
リール制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)リールを停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)リールを停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各リールの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1リール〜第3リールを停止させる制御を行っている。
【0050】
本実施形態の遊技機では、第1リール〜第3リールが、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各リールの停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各リールが停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
【0051】
入賞判定手段1400は、第1リール〜第3リールの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リール〜第3リールの全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
【0052】
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
【0053】
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
【0054】
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0055】
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
【0056】
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
【0057】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
【0058】
リールユニット203は、図示しない3つのリールを備えるが、3つのリールそれぞれにひとつづつステッピングモータが取り付けられている。ステッピングモータは、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンのリールの回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
【0059】
ステッピングモータは、各相の巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる(励磁モードが変わる)。二相型については次の通りである。
【0060】
・一相励磁
常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良い。
【0061】
・二相励磁
二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。位置決め精度は良く、停止したときの静止トルクが大きいため、停止位置を確実に保持できる。
【0062】
・一−二相励磁
一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。
【0063】
なお、ステッピングモータを「駆動する」とは、当該モータを上記励磁により回転させることとともに、所望の位置で停止させその位置を保持するために各相を励磁することも含むものとする。
【0064】
スロットマシンでは、例えば、4相の基本ステップ角度1.43度のステッピングモータを使用し、パルスの出力方法として一−二相励磁を採用している。
【0065】
図4に、発明の実施の形態に係る電飾制御系統のブロック図を示す。図4は、サブ基板20及びLED基板202を含む系統図を示す。図4の電飾装置LE以外の各要素は、例えばLED基板202の駆動回路(ドライバ、増幅器など)や、サブ基板20のCPUやメモリであり、予め用意された所定のプログラムをCPUが実行することで実現されるものである。あるいは、ICなどのハードウエアで構成することもできる。
【0066】
LEは、発光ダイオードなどの発光素子を複数含む電飾装置である。電飾装置LEは、例えばアーチランプやバックライトのようなものに適用される。アーチランプは、図1に示すように液晶表示装置LCDの両側に設けられ、その内部に設けられた発光素子の点滅を通じて所定の演出を行うものである。バックライトは、例えば、リールユニット203に内蔵される3つの回胴の内部にそれぞれ設けられた3つの発光ユニットであり、これらの発光をゲーム表示部131を通じて遊技者に見せるものである。電飾装置LEは、単色(電球色、白色など)で発光するもの、あるいは、三原色を含むカラーで発光するものいずれでもよい。カラーで発光する場合では、その色彩ではなく輝度(点滅)について以下に説明する処理を適用することになる。
図4の例では、電飾装置LEは8個の発光素子LE1乃至LE8を備えている。
【0067】
212は、電飾装置LEを点滅制御する電飾制御部である。電飾装置LEの複数の発光素子LE1乃至LE8を所定のパターンで前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるとともに、時間経過に従って前記パターンを変化させるものである。ここで、パターンとは、複数の発光素子それぞれの点灯と消灯の組み合わせのことを意味する。
【0068】
電飾制御部212は、前述のように、LED基板202の駆動回路やサブ基板20のCPUやメモリにより実際に実現される。図4は、それらを機能的に表現したものである。電飾制御部212は、初期パターン記憶部213、補完処理部214、バッファメモリ215を含む。
【0069】
213は、発光素子LE1乃至LE8をそれぞれ点灯又は消灯させるためのデータであって、少なくとも、所定期間(例えば合計で100msの期間)の始期における発光素子LE1乃至LE8の点灯消灯のパターンに対応する補完開始データと前記所定期間の終期における発光素子LE1乃至LE8の点灯消灯のパターンに対応する補完終了データとを発生する初期パターン記憶部である。
【0070】
補完開始データは、例えば、図6(a)に示すようなものである。同図のMOV:30ms:10000000が補完開始データ(8ビット)の一例である。MOVが補完開始データであることを示し、30msは当該点灯パターンによる電飾装置LEの点灯の継続時間を示し、10000000は点灯(=1)又は消灯(=0)のパターンに対応するデータ(各ビットは各発光素子に対応する個別データ)である。発光素子LE1乃至LE8が8個あるから、当該パターンは8ビット(1バイト)である。説明の便宜上、左から1,2,・・・と数字を振ることにする(以下同じ)。右端は8である。この数字は発光素子LE1乃至LE8の数字と一致している。以下の説明において、各ビットのことを「個別データ」と表記することがある。
【0071】
図6(a)の右側は8つの発光素子LE1乃至LE8の点滅状況を示す説明図である。一番左がLE1、一番右がLE8であり、数字の順番に並べている(この配置図は模式的なものであり、発光素子LE1乃至LE8の実際の配置とは必ずしも一致しない)。□は点灯を示し、■は消灯を示す。この点灯状態は、10000000に対応している。
【0072】
すなわち、補完開始データは、発光素子LE1乃至LE8にそれぞれ対応する複数の個別データDA(i)(i=1,2,・・・,N:ただしNは前記発光素子の数に等しい、図の例ではN=8、これは一例でありNは3以上の任意の整数を取り得る。以下同じ)からなる。図6(a)の例では、DA(1)=1、DA(2)乃至DA(8)=0である。
【0073】
以下の説明においては、個別データDA(i)(i=1,2,・・・,8)の1つ以上は点灯を示すものであるとする。
【0074】
補完終了データは、例えば、図6(b)に示すようなものである。同図のSET:30ms:00000001が補完開始データ(8ビット)の一例である。SETが補完終了データであることを示し、30msはその継続時間を示し、00000001は点灯(=1)又は消灯(=0)のパターンに対応するデータ(各ビットは各発光素子に対応する個別データ)である。
【0075】
図6(b)の右側は8つの発光素子LE1乃至LE8の点滅状況を示す説明図である。一番左がLE1、一番右がLE8であり、数字の順番に並べている(この配置図は模式的なものであり、発光素子LE1乃至LE8の実際の配置とは必ずしも一致しない)。□は点灯を示し、■は消灯を示す。この点灯状態は、00000001に対応している。
【0076】
すなわち、補完終了データは、複数の発光素子LE1乃至LE8にそれぞれ対応する複数の個別データDB(i)(i=1,2,・・・,N、N=8)からなる。図6(b)の例では、DA(8)=1、DA(1)乃至DA(7)=0である。
【0077】
以下の説明においては、個別データDB(i)(i=1,2,・・・,8)の1つ以上は点灯を示すものであるとする。
【0078】
補完開始データは、所定期間の始期における複数の発光素子の点灯消灯のパターンを示すものであり、補完終了データは、所定期間の終期における複数の発光素子の点灯消灯のパターンを示すものである。そして、以下に説明する補完データはこれらの中間に位置するものである。すなわち、本発明の実施の形態は、複数の発光素子の点灯消灯のパターンが、補完開始データから補完終了データにかけて徐々に移行するように補完データを生成するものであって、従来個別に与えていた補完データを不要とするものである。
【0079】
なお、上記のような補完開始データと補完終了データを出力するものであれば、記憶部(メモリ)以外のものでもよく(例えばロジック回路)、同様の作用効果を奏する。
【0080】
214は、補完開始データ及び補完終了データに基づき、始期と終期を除く所定期間の中間における点灯消灯のパターンに対応する補完データを生成する補完処理部である。例えば、図6(a)の補完開始データと(b)補完終了データに基づき、同図(c)の6つの補完データDH1乃至DH6が生成される。これらは順次生成され電飾装置LEで表示される(j=1,2,・・・、6は表示の順番を示す)。なお、DH1乃至DH6はそれぞれ次に述べるDH(i)(i=1,2,・・・,N)に相当する。DH(i)は次々と上書きされるので、図6(c)や図7のように点灯箇所が右側へ移動するように見える。補完処理については後に詳しく説明する。
【0081】
215は、補完データを生成する際に使用するバッファメモリである。バッファメモリ215には、複数の発光素子LE1乃至LE8にそれぞれ対応する複数の個別データ(補完データ)DH(i)(i=1,2,・・・,N)が設定される(定義される)。バッファメモリ215はデータを一時的に蓄えることのできるものであればよく、RAMやICレジスタなどを使用できる。
【0082】
216は、少なくとも補完データDH1乃至DH6に基づき複数の発光素子LE1乃至LE8をそれぞれ点灯又は消灯させる駆動部である。駆動部216は、図示しないがレジスタとドライブ回路を備え、補完データDH(i)を受け、これの各ビットに基づき対応する発光素子を点灯又は消灯させる。なお、演出の観点からは、駆動部216は、補完データだけでなく、補完開始データと補完終了データを受け、補完データの前に補完開始データを用いて表示を行い、補完データの後に補完終了データを用いて表示を行うことが好ましい。これにより図7のような演出を行うことができる。図7において、上の行から下に向かって順番に処理が行われ、表示される。各行の点灯又は消灯の時間をいずれも30msとすると、図7の演出に要する時間は8×30ms=合計240msである。図7の例は、左端から右端へ少しずつ点灯位置が動いているように見えるものである。
【0083】
図5は、発明の実施の形態に係る補完処理のフローチャートである。以下のこの図を参照して説明を加える。
【0084】
S10:補完処理部214は、初期パターン記憶部213から補完開始データDA(i)を読み出し、これをバッファメモリ215へコピーする。
【0085】
後の処理(S20)で補完開始データDA(i)を補完データDH(i)で上書きするので、これに備えて補完開始データDA(i)のバックアップを取っている。なお、このS10の処理は必須ではなく、なくてもよい。
【0086】
S11:補完処理部214は、バッファメモリ215から(あるいは初期パターン記憶部213から)補完開始データDA(i)を読み出す。
【0087】
S12:補完処理部214は、補完開始データDA(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も小さいものを判定する。この最も小さいiをm(1≦m≦8の整数)とする(i=m)。図6の例では、DA(1)=1であり、他は全て0であるから、m=1である。
【0088】
S13:補完処理部214は、初期パターン記憶部213から補完終了データDB(i)を読み出す。
【0089】
S14:補完処理部214は、補完終了データDB(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も大きいものを判定する。この最も大きいiをn(1≦n≦8の整数)とする(i=n)。図6の例では、DB(8)=1であり、他は全て0であるから、n=8である。以下の説明では、常にm<nであるとする。m>nの場合の処理については後述する。なお、m=nであるときは補完開始と終了のパターンが一致又は同等であって、補完処理により動きのある演出を行う必要がないから、m=nの場合は除外する。
【0090】
S15:補完処理部214は、バッファメモリ215に、複数の発光素子LE1乃至LE8にそれぞれ対応する複数の個別データDH(i)(i=1,2,・・・,8)を設定する。
【0091】
S16:処理の繰り返し回数を判定するためのパラメータjを初期設定(j=1)する。これは図5の処理の便宜上の処理であって、適宜他のやり方(カウンタを別途用意するなど)を採用することができる。
【0092】
S17:補完処理部214は、補完データDH(1)を消灯(=0)に設定する。図6に示すように、補完処理は補完開始データを右側へシフトするものであるが、これに伴い左端にデータを補充しなければならない。S17はこのための処理である。すなわち、補完終了データは右端以外全て消灯(=0)であるので、消灯(=0)を補充する。
【0093】
S18:補完処理部214は、k=1,2,・・・,N−1に対して、DH(k+1)=DA(k)とする。これは、補完開始データDA(i)をひとつだけ右へシフトすること(j=1の場合)、あるいは直前の補完データDH(i)をひとつだけ右へシフトすること(j≠1の場合)に相当する。
【0094】
S19:補完処理部214は、S17及びS18により得た補完データDH(i)を駆動部216へ送り、補完データDH(i)に基づき複数の発光素子LE1乃至LE8をそれぞれ点灯又は消灯させる。図6(c)の例では、j=1のとき補完データDH1となり、この点灯パターンで発光素子LE1乃至LE8が点灯又は消灯する。j=2乃至6のときはそれぞれ補完データDH2乃至DH6となる。
【0095】
S20:補完処理部214は、バッファメモリ215の補完開始データDA(i)を、補完データDH(i)で置き換える。次の補完データ生成のための準備である。
【0096】
S21:補完処理部214は、S17乃至S20を少なくとも(n−m−1)回だけ繰り返す。図6の例ではn=8、m=1であるから、6回繰り返すことになる。所定回繰り返したとき(YES)、処理を終了する。
【0097】
S22:補完処理部214は、S21でNOのとき、jに1を加えて更新した後にS17乃至S20を繰り返す。
【0098】
なお、図5では、補完開始データと補完終了データによる電飾の点滅に係る処理を含んでいないが、これらを含むようにもできる。例えば、補完開始データによる電飾の点滅に係る処理(S19に相当)をS10の前に行い、補完終了データによる電飾の点滅に係る処理(S19に相当)をS21の後に行うようにする。
【0099】
図5の処理により、図6(c)のような補完データが生成される。すなわち、j=1のとき補完開始データDA(i)を右へひとつシフトした補完データDH1が得られ、j=2のとき補完データDH1を右へひとつシフトした補完データDH2が得られる(以下同様)。
【0100】
そして、補完データとともに補完開始データと補完終了データを使用して電飾を駆動することにより、図7のような光が右に規則正しく動いていく演出を提供することができる。
【0101】
従来、変化ごとに作成していた電飾制御用のデータ(図19参照)に対して、発明の実施の形態では、変化開始時点の補完開始データと変化終了時点の補完終了データの2つデータのみで従来と同様の動的な演出を行うことができる。これにより、従来と同じ演出を行いつつ、電飾制御用のデータの数を削減することができる(後述の従来例の図19の例ではデータ数は8つで8バイト必要であったが、図6の例ではデータ数は2つで2バイトにすぎない)。
【0102】
発明の実施の形態によれば、電飾の発光素子のパターンの規則性の一部を制御プログラムに組み込むことにより、大幅なデータ圧縮を行うことができる。
【0103】
図6の例は、補完開始データと補完終了データのいずれも単一の発光素子が点灯している例であったが、本発明の実施の形態は複数の発光素子が点灯する場合にも適用することができる。
【0104】
図8は複数の発光素子が点灯する場合にも適用することのできる処理フローチャートである。図5と比較して、次の1つのステップでのみ処理が異なる。
【0105】
S17b:補完処理部214は、補完データDH(1)を補完終了データDB(n−j)(例えばn=8)に設定する。
【0106】
例えば、補完開始データと補完終了データが図9(a)に示すようなものであったとき、S12とS14で判定される個別データの位置、すなわちmとnの値は単一の発光素子が点灯している場合と異ならず、図9(b)のようになる。したがって、S16乃至S22による補完処理により図9(c)のような補完データが得られる(これは図6(c)と同じである)。
【0107】
図9(c)に、補完開始データと補完終了データの点灯の個別データを追加することで、複数の発光素子が点灯する場合にも補完処理を追加することができる。図9(a)の例で追加すべき個別データはDA(3)=1とDB(7)=1である。これらの追加する手順はS17bであるが、これによるデータ操作について図10を参照して説明する。なお、説明の便宜上、図10においては点灯の様子を示す□に個別データの符号を付している。
【0108】
図10は補完開始データを右へ3つシフトした状態(j=3)を示している。
【0109】
まず、補完開始データの他の点灯データDA(3)=1の追加について説明する。図10(a)はその状態におけるDA(3)の位置を示す。右端から3ビットは使用しないのでカットし(図10(b))、DA(3)を図9(c)のDH3の補完データに追加する(図10(b)から(c)へ向かう矢印)。この処理は、図8のS18に対応する。
【0110】
次に、補完終了データの他の点灯データDB(7)=1の追加について説明する。図10(e)は右へ3つシフトした状態のDB(7)の位置を示す。ところで、図8のS11で求めたDA(m)は、シフト処理により、S14で求めたDB(n)になると考えることができるから、図10(d)(e)ではDB(n)=DB(8)をDA(m)=DA(1)の位置に合わせている。左端から4ビットは使用しないのでカットし(図10(c))、DB(7)を図9(c)のDH3の補完データに追加する(図10(d)から(c)へ向かう矢印)。この処理は、図8のS18に対応する。図8のS17bにより、補完データを右にシフトするのに応じて左端に追加するデータを補完終了データから取り出しているので補完データの追加が可能である。
【0111】
図8の処理により、電飾装置LEを図11のように点灯させることができる。
【0112】
図8の処理によれば、点灯している発光素子の数が2個以上にも対応することができる。このことは実機における実際の演出の幅を広げるものであり、有用である。
【0113】
図8の処理によれば、例えば図12乃至図14の点灯パターンを実現することができる。
【0114】
なお、図8の処理は単一の発光素子のみが点灯している場合にも適用できる。図8の処理は、図5の処理に対して上位互換性があると言える。
【0115】
以上説明した補完処理は、補完開始データを、補完終了データになるまで右へシフトするというものであった(m<nという制限がこれに相当する)。しかし、本発明の実施の形態は左へシフトするようにもできる。このための処理フローチャートを図15に示す。
【0116】
図15を、図8と比較すると理解できるように、下記の点で相違するのみであり、処理自体はほぼ同じであるので、図15による処理の説明は省略する。
【0117】
・図8のS12では「iが最も小さいもの」を判定しているのに対し、図15のS12bでは「iが最も大きいもの」を判定している点
【0118】
・図8のS14では「iが最も大きいもの」を判定しているのに対し、図15のS14bでは「iが最も小さいもの」を判定している点
【0119】
・図8のS17bでは「DH(1)=DB(n−j)」としているのに対し、図15のS17cでは「DH(8)=DB(n+j)」としている点
これは、シフト方向が反対になったことに伴いデータを補充すべき端が左端(DH(1))から右端(DH(8))になったこと、補充の源となる補完終了データがDB(n)の右側の個別データになったこと、に対応している。
【0120】
・図8のS18では「DH(k+1)=DA(k)」としているのに対し、図15のS18bでは「DH(k−1)=DA(k)」としている点
これは、シフト方向が反対になったことに対応している。
【0121】
図15の処理により、図16に示すように左側へのシフトを実現できる。
【0122】
図17は、図4の変形例を示す。図17において、図4の要素と同一又は相当する部分については同一符号を付してその説明は省略する。
【0123】
217は、補完データ、補完開始データ及び補完終了データの作動タイミング(当該データにより電飾装置を点滅させる時刻又は時間)を設定するタイミング設定部である。タイミング設定部217は、駆動部216を制御し、設定したタイミングで複数の発光素子LE1乃至LE8をそれぞれ点灯又は消灯させる。
【0124】
図17では、初期パターン記憶部213は、タイミングを設定するための情報を記憶している。例えば次のようなものである。
【0125】
(1)補完データ、補完開始データ及び補完終了データをそれぞれ同じ時間使用して電飾LEを点滅させるとして、その持続時間
【0126】
例えば、持続時間=30msで一定であり、補完データの数が6個であるならば、合計の時間は(6+1+1)×30ms=240msとなる。
【0127】
タイミング設定部217は、駆動部216が補完開始データ、補完データ、補完終了データを受け取ったら当該データに基づきそれぞれ30msだけ駆動を行い、その後次のデータを読み込むように制御する。
【0128】
(2)演出の開始から終了までの時間を指定する場合
例えば、当該時間が100msであり、補完開始データのみ30ms持続させ、他は均等割とするときは、(100ms−30ms)/(8−1)=10msとなるので、補完データと補完終了データの持続時間はそれぞれ10msとする。この例を図18に示す。30ms等はその右側のデータによる点灯が終了する時刻(他の図とは異なり時間ではない点に注意されたい)を示す。ただし、演出開始タイミングを時刻=0としている。同図によれば、補完終了データによる点灯の終了は100msであり、上記要求を満たしている。
【0129】
一般的には、タイミング設定部217は、式:((所定期間の持続時間)−(補完開始データによる点灯又は消灯の時間))/((補完データと補完終了データの数)−1)に基づき各補完データの作動時間を求める。
【0130】
参考までに従来のデータを図19に示す。同図のように8つの発光素子があり、その左端から右端へ向かって単一の発光素子を順次点灯させるような場合は、補完開始データD1及び補完終了データD8とともにその中間の6個のデータD2乃至D7を必要としていた。要するに、全てのパターンに対するデータ(SETコマンド)を送信していた。これに対し、発明の実施の形態は補完開始データ及び補完終了データのみで済み、中間のデータは不要である。
【0131】
なお、発明の実施の形態に係る以上の説明において、補完データをその都度生成していたが、複数の補完データを一度に生成しておき、メモリに一旦蓄えて補完開始データ、補完終了データとともに読み出すようにもできる。この処理フローチャートを図20に示す。同図において、図5と同一又は相当部分については同一符号を付し、その説明は省略する。
【0132】
補完処理部214は、図示しないが補完データ記憶部を備え、生成した補完データDH(i)を補完データ記憶部に記憶する(S23)。補完データの生成処理自体は図5のものと変わらない。図21に示すように、補完データ記憶部には、順番に6つの補完データDH1乃至DH6が記憶される。これら補完データDH1乃至DH6は、図6に示したものと同じである。
【0133】
そして、補完開始データ、補完データ記憶部の補完データ(補完データDH1乃至DH6)、補完終了データの順番で電飾を点滅させる(S24)。
【0134】
図20の処理は、図5の処理と同様の作用効果を奏する。図20の処理によれば、同じ補完開始データと補完終了データについて、同じ処理を繰り返さなくても済むというメリットがある。
【0135】
図20の複数の補完データを一度に生成しメモリに蓄えるというやり方は、図8や図15にも適用できる。
【0136】
なお、図20のS24は、S21に引き続きすぐに行われるようになっているが、本発明はこれに限定されない。例えば、図20のS10乃至S21の処理と、S24の処理を分離し、タイマ割り込みなどでS24のみを実行するようにもできる。この場合、前者の処理はCPUの空き時間などにおいて予め行うことができる。このようにすることにより、CPUの処理を分散し、その負荷を軽減することができる。
【0137】
以上の説明において、遊技機としてもっぱらスロットマシンを例にとったが、本発明の実施の形態はこれに限定されず、パチンコ機などの他の遊技機にも適用することができる。
【0138】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0139】
20 サブ基板
212 電飾制御部
213 初期パターン記憶部(初期データ設定部)
214 補完処理部
215 バッファメモリ
216 駆動部
217 タイミング設定部
AH アーチランプ
LE 電飾装置
LE1乃至LE8 発光素子(LED)
【技術分野】
【0001】
この発明は、電飾装置を備えるスロットマシンやパチンコ機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン等の遊技機にはメダルの投入口が設けられており、遊技者は所定の枚数のメダルを投入してゲームを楽しむことができる。遊技に必要なメダルは、遊技ホール内に設けられたメダル貸機等で借りることができ、所望の遊技機のメダル投入口に投入することによりゲームを開始することができる。
【0003】
従来の遊技機の動作は次のようなものであった。
先ず、スタートスイッチが操作されることにより、スタートスイッチがONとなる。これを受けて遊技機内部の当選判定手段により抽選処理が行われる。ここで所定の役に当選すると当選フラグがセットされる。回転リールの回転が開始する。ストップスイッチが操作されることにより、ストップスイッチがONとなる。そして、対応する回転リールの回転が停止する。全部の回転リールに対応するストップスイッチの操作が行われた後、当選フラグ成立中に当該当選フラグに対応する入賞図柄が有効入賞ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。入賞が確定したと判定された場合、入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
【0004】
抽選処理の評価が例えば外れの場合は所定の図柄が揃わないように設定され(いわゆる蹴飛ばし)、当たりの場合はストップスイッチが所定のタイミングで押下されることなどを条件に所定の図柄が揃うように設定される(いわゆる引き込み)。つまり、抽選処理において当選しているときのみ所定の条件の下で図柄が揃い入賞することにより、メダルが払い出されるが、当選しないときはストップスイッチをどのように操作してもメダルが払い出されることはない。これはメダルの払い出しを一定確率に保つためである。これを実現するため抽選処理において乱数発生器が用いられている。
【0005】
また、スロットマシンなどの遊技機は、演出表示を行うための発光ダイオードなどの発光素子を含む電飾装置(電飾)を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−261425号公報 点灯するLEDを特定するランプデータと、点灯するLEDの輝度を特定するスキャンデータによって、ランプの点灯パターンを決定する場合において、スキャンデータを変更しない場合は、同じスキャンデータを複数のランプデータで共用してデータの容量を削減することが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
遊技機の電飾を用いた演出には、電飾装置に含まれる複数の発光素子(LED)の点灯箇所を順次動かすというものがある(図19参照)。この電飾による演出は光による流れを作るものであり、遊技者に強く訴求する。このように、遊技機に搭載されている発光素子の点灯パターンのほとんどは、ある程度の規則をもたせてある。その理由は、ランダムに点灯しているよりも規則性をもたせるほうが全体として綺麗な点灯に見えるからである。
【0008】
ところで、多彩な点灯パターンを実現するためには、個々の発光素子に対してのそれぞれオン/オフ制御が可能であるほうが好ましく、上記規則的なパターンに対しても点灯パターン変化ごとに個別にデータを作成していた(図19参照)。このため、多大なデータ容量を必要としていた。
【0009】
この発明は上記課題を解決するためになされたもので、電飾を用いた演出において規則的な点灯パターンを行うときに必要なデータ量を削減することのできる遊技機を提供し、多彩な点灯パターンに係る演出を行う場合でもその制御のためのデータ量の増加を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、複数の発光素子を含む電飾装置と、所定のパターン(パターンとは、複数の発光素子それぞれの点灯と消灯の組み合わせ)で前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるとともに、時間経過に従って前記パターンを変化させる電飾制御部と、を備える遊技機において、
前記電飾制御部は、
前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるためのデータであって、少なくとも、所定期間の始期における前記複数の発光素子の点灯消灯のパターンに対応する補完開始データと前記所定期間の終期における前記複数の発光素子の点灯消灯のパターンに対応する補完終了データとを発生する初期データ設定部(初期パターン記憶部)と、
前記補完開始データ及び前記補完終了データに基づき、前記始期と前記終期を除く前記所定期間の中間における点灯消灯のパターンに対応する補完データを生成する補完処理部と、
少なくとも前記補完データに基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる駆動部とを備え、
前記補完開始データは、前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDA(i)(i=1,2,・・・,N:ただしNは前記発光素子の数に等しい、以下同じ)からなり、前記個別データDA(i)の少なくともいずれかは点灯を示すものであり、
前記補完終了データは、前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDB(i)(i=1,2,・・・,N)からなり、前記個別データDB(i)の少なくともいずれかは点灯を示すものであり、
前記補完処理部は、
前記補完開始データDA(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も小さいものを判定し(当該最も小さいi=m(1≦m≦Nの整数)とする)、
前記補完終了データDB(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も大きいものを判定し(当該最も大きいi=n(1≦n≦Nの整数、ただしm<n)とする)、
前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDH(i)(i=1,2,・・・,N)を設定し(以下、DH(i)を「補完データ」と記す)、
以下の(ア)乃至(オ)の処理を行うものである。
(ア)補完データDH(1)を消灯に設定する
(イ)k=1,2,・・・,N−1に対して、DH(k+1)=DA(k)とする
(ウ)上記(ア)及び(イ)により得た前記補完データDH(i)を前記駆動部へ送り、前記補完データDH(i)に基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる
(エ)前記補完開始データDA(i)を、上記(ア)及び(イ)により得た前記補完データDH(i)で置き換える
(オ)上記(ア)乃至(エ)を少なくとも(n−m−1)回だけ繰り返す(ただし(n−m−1)≧1)
【0011】
上記処理により、補完開始データのパターンから補完終了データのパターンへ、点灯パターンが徐々に移動するように見える。補完開始データと補完終了データに基づき自然な動きの演出を提供することができる。
【0012】
上記(ア)乃至(エ)の繰り返し回数をjとして、
前記(ア)に代えて、次のステップを行うようにする。
(カ)補完データDH(1)=DB(n−j)とする
【0013】
このように処理することで、前記補完終了データが点灯の個別データを複数もつ場合にも対応することができる。
【0014】
複数の発光素子を含む電飾装置と、所定のパターン(パターンとは、複数の発光素子それぞれの点灯と消灯の組み合わせ)で前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるとともに、時間経過に従って前記パターンを変化させる電飾制御部と、を備える遊技機において、
前記電飾制御部は、
前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるためのデータであって、少なくとも、所定期間の始期における前記複数の発光素子の点灯消灯のパターンに対応する補完開始データと前記所定期間の終期における前記複数の発光素子の点灯消灯のパターンに対応する補完終了データとを発生する初期データ設定部(初期パターン記憶部)と、
前記補完開始データ及び前記補完終了データに基づき、前記始期と前記終期を除く前記所定期間の中間における点灯消灯のパターンに対応する補完データを生成する補完処理部と、
少なくとも前記補完データに基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる駆動部とを備え、
前記補完開始データは、前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDA(i)(i=1,2,・・・,N:ただしNは前記発光素子の数に等しい、以下同じ)からなり、前記個別データDA(i)の少なくともいずれかは点灯を示すものであり、
前記補完終了データは、前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDB(i)(i=1,2,・・・,N)からなり、前記個別データDB(i)の少なくともいずれかは点灯を示すものであり、
前記補完処理部は、
前記補完開始データDA(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も大きいものを判定し(当該最も小さいi=m(1≦m≦Nの整数)とする)、
前記補完終了データDB(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も小さいものを判定し(当該最も大きいi=n(1≦n≦Nの整数、ただしm>n)とする)、
前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDH(i)(i=1,2,・・・,N)を設定し(以下、DH(i)を「補完データ」と記す)、
以下の(ア)乃至(オ)の処理を行うものである。
(ア)補完データDH(N)を消灯に設定する
(イ)k=2,・・・,Nに対して、DH(k−1)=DA(k)とする
(ウ)上記(ア)及び(イ)により得た前記補完データDH(i)を前記駆動部へ送り、前記補完データDH(i)に基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる
(エ)前記補完開始データDA(i)を、上記(ア)及び(イ)により得た前記補完データDH(i)で置き換える
(オ)上記(ア)乃至(エ)を少なくとも(m−n−1)回だけ繰り返す(ただし(m−n−1)≧1)
【0015】
上記処理により、補完開始データのパターンから補完終了データのパターンへ、点灯パターンが徐々に移動するように見える。補完開始データと補完終了データに基づき自然な動きの演出を提供することができる。
【0016】
上記(ア)乃至(エ)の繰り返し回数をjとして、
前記(ア)に代えて、次のステップを行うようにする。
(カ)補完データDH(N)=DB(n+j)とする
【0017】
このように処理することで、前記補完終了データが点灯の個別データを複数もつ場合にも対応することができる。
【0018】
さらに、予め定められた作動時間に基づき少なくとも前記補完データについて動作タイミングを設定するタイミング設定部を備え、
前記駆動部は、前記タイミング設定部で求めた作動時間に従い、前記補完データに基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、電飾装置による点灯消灯パターンに係る補完開始データと補完終了データに基づき、中間のデータを補完することにより、電飾を用いた演出において規則的な点灯パターンを行うときに必要なデータ量を削減でき、多彩な点灯パターンに係る演出を行う場合でもその制御のためのデータ量の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図である。
【図2】前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図である。
【図3】スロットマシンのブロック図である。
【図4】発明の実施の形態に係る電飾制御系統のブロック図である。
【図5】発明の実施の形態に係る補完処理のフローチャートである。
【図6】発明の実施の形態に係る補完処理の説明図である。(a)は補完開始データ、(b)は補完終了データ、(c)は補完データを示す。
【図7】発明の実施の形態に係る補完処理による電飾装置の点滅の時間変化を示す。
【図8】発明の実施の形態に係る補完処理の他のフローチャートである。
【図9】発明の実施の形態に係る補完処理の説明図である。(a)はオリジナルの補完開始データと補完終了データ、(b)は補完処理の基準点を抽出したデータ、(c)は(b)による補完データを示す。
【図10】発明の実施の形態に係る補完処理の説明図である。補完開始データと補完終了データの基準点以外のデータを追加するやり方を示す。
【図11】図8の処理による補完処理の説明図である。(a)は補完開始データと補完終了データ、(b)は(a)の補完開始データと補完終了データに基づき図8の処理を行ったときの電飾装置の点滅の時間変化を示す。
【図12】図8の処理による補完処理の説明図である。(a)は他の補完開始データと補完終了データ、(b)は(a)の補完開始データと補完終了データに基づき図8の処理を行ったときの電飾装置の点滅の時間変化を示す。
【図13】図8の処理による補完処理の説明図である。(a)は他の補完開始データと補完終了データ、(b)は(a)の補完開始データと補完終了データに基づき図8の処理を行ったときの電飾装置の点滅の時間変化を示す。
【図14】図8の処理による補完処理の説明図である。(a)は他の補完開始データと補完終了データ、(b)は(a)の補完開始データと補完終了データに基づき図8の処理を行ったときの電飾装置の点滅の時間変化を示す。
【図15】発明の実施の形態に係る補完処理の他のフローチャートである(逆順で補完するもの)。
【図16】図15の処理による補完処理の説明図である。
【図17】発明の実施の形態に係る電飾制御系統の他のブロック図である。
【図18】図17の装置による補完処理の説明図である。
【図19】従来の電飾装置の制御手法の説明図である。
【図20】発明の実施の形態の変形例に係る補完処理のフローチャートである。
【図21】発明の実施の形態の変形例に係る補完データ記憶部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
【0022】
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
【0023】
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つの回胴のそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。その両側にはアーチランプAHが設けてある。アーチランプAHは、その内部に設けられた発光素子(これは後述の電飾装置の発光素子に相当する)の点滅を通じて所定の演出を行うものである。
【0024】
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回胴を含むリール(回胴)ユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つの回胴(第1リール〜第3リール)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転回胴の図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205が設けられている。
【0025】
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたリジェクトボタン133の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
【0026】
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
【0027】
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部を備える。
【0028】
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、メイン基板10を取り外す際に、ケースに痕跡が残るように封印処理が施されている。
【0029】
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、リールの回転・停止やメダルの払い出しなどの処理(遊技処理)を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
【0030】
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
【0031】
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134、ストップボタン140、リールユニット(リール駆動装置を含む)203、リール位置検出回路71、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(ホッパ駆動部80、ホッパ81及びメダル検出部82は前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。
【0032】
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
【0033】
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
【0034】
ホッパ駆動部80は、ホッパ81を回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
【0035】
投入受付部1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1リール〜第3リールの回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1リール〜第3リールの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
【0036】
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10はベットスイッチBETの有効/無効を制御する。ベットスイッチBETが有効になっていないときは(許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
【0037】
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0038】
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1050から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
【0039】
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
【0040】
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0041】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
【0042】
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0043】
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。リプレイ処理手段1600については、後に再度説明を加える。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
【0044】
リール制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1リール〜第3リールをステッピングモータにより回転駆動して、第1リール〜第3リールの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中のリールにそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リール〜第3リールを抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
【0045】
また、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、そのリール停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リール〜第3リールの各リールを停止させる制御を行う。
【0046】
すなわち、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1リール〜第3リールのうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1リール〜第3リールの停止位置を決定し、決定された停止位置で第1リール〜第3リールを停止させる制御を行う。
【0047】
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1リール〜第3リールの位置(押下検出位置)と、第1リール〜第3リールの実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、第1リール〜第3リールの停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
【0048】
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるリールインデックス(図示せず)を備えており、リール制御手段1300は、リールが1回転する毎にリールインデックスで検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップスイッチ140の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
【0049】
リール制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)リールを停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)リールを停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各リールの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1リール〜第3リールを停止させる制御を行っている。
【0050】
本実施形態の遊技機では、第1リール〜第3リールが、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各リールの停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各リールが停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
【0051】
入賞判定手段1400は、第1リール〜第3リールの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リール〜第3リールの全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
【0052】
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
【0053】
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
【0054】
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0055】
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
【0056】
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
【0057】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
【0058】
リールユニット203は、図示しない3つのリールを備えるが、3つのリールそれぞれにひとつづつステッピングモータが取り付けられている。ステッピングモータは、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンのリールの回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
【0059】
ステッピングモータは、各相の巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる(励磁モードが変わる)。二相型については次の通りである。
【0060】
・一相励磁
常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良い。
【0061】
・二相励磁
二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。位置決め精度は良く、停止したときの静止トルクが大きいため、停止位置を確実に保持できる。
【0062】
・一−二相励磁
一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。
【0063】
なお、ステッピングモータを「駆動する」とは、当該モータを上記励磁により回転させることとともに、所望の位置で停止させその位置を保持するために各相を励磁することも含むものとする。
【0064】
スロットマシンでは、例えば、4相の基本ステップ角度1.43度のステッピングモータを使用し、パルスの出力方法として一−二相励磁を採用している。
【0065】
図4に、発明の実施の形態に係る電飾制御系統のブロック図を示す。図4は、サブ基板20及びLED基板202を含む系統図を示す。図4の電飾装置LE以外の各要素は、例えばLED基板202の駆動回路(ドライバ、増幅器など)や、サブ基板20のCPUやメモリであり、予め用意された所定のプログラムをCPUが実行することで実現されるものである。あるいは、ICなどのハードウエアで構成することもできる。
【0066】
LEは、発光ダイオードなどの発光素子を複数含む電飾装置である。電飾装置LEは、例えばアーチランプやバックライトのようなものに適用される。アーチランプは、図1に示すように液晶表示装置LCDの両側に設けられ、その内部に設けられた発光素子の点滅を通じて所定の演出を行うものである。バックライトは、例えば、リールユニット203に内蔵される3つの回胴の内部にそれぞれ設けられた3つの発光ユニットであり、これらの発光をゲーム表示部131を通じて遊技者に見せるものである。電飾装置LEは、単色(電球色、白色など)で発光するもの、あるいは、三原色を含むカラーで発光するものいずれでもよい。カラーで発光する場合では、その色彩ではなく輝度(点滅)について以下に説明する処理を適用することになる。
図4の例では、電飾装置LEは8個の発光素子LE1乃至LE8を備えている。
【0067】
212は、電飾装置LEを点滅制御する電飾制御部である。電飾装置LEの複数の発光素子LE1乃至LE8を所定のパターンで前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるとともに、時間経過に従って前記パターンを変化させるものである。ここで、パターンとは、複数の発光素子それぞれの点灯と消灯の組み合わせのことを意味する。
【0068】
電飾制御部212は、前述のように、LED基板202の駆動回路やサブ基板20のCPUやメモリにより実際に実現される。図4は、それらを機能的に表現したものである。電飾制御部212は、初期パターン記憶部213、補完処理部214、バッファメモリ215を含む。
【0069】
213は、発光素子LE1乃至LE8をそれぞれ点灯又は消灯させるためのデータであって、少なくとも、所定期間(例えば合計で100msの期間)の始期における発光素子LE1乃至LE8の点灯消灯のパターンに対応する補完開始データと前記所定期間の終期における発光素子LE1乃至LE8の点灯消灯のパターンに対応する補完終了データとを発生する初期パターン記憶部である。
【0070】
補完開始データは、例えば、図6(a)に示すようなものである。同図のMOV:30ms:10000000が補完開始データ(8ビット)の一例である。MOVが補完開始データであることを示し、30msは当該点灯パターンによる電飾装置LEの点灯の継続時間を示し、10000000は点灯(=1)又は消灯(=0)のパターンに対応するデータ(各ビットは各発光素子に対応する個別データ)である。発光素子LE1乃至LE8が8個あるから、当該パターンは8ビット(1バイト)である。説明の便宜上、左から1,2,・・・と数字を振ることにする(以下同じ)。右端は8である。この数字は発光素子LE1乃至LE8の数字と一致している。以下の説明において、各ビットのことを「個別データ」と表記することがある。
【0071】
図6(a)の右側は8つの発光素子LE1乃至LE8の点滅状況を示す説明図である。一番左がLE1、一番右がLE8であり、数字の順番に並べている(この配置図は模式的なものであり、発光素子LE1乃至LE8の実際の配置とは必ずしも一致しない)。□は点灯を示し、■は消灯を示す。この点灯状態は、10000000に対応している。
【0072】
すなわち、補完開始データは、発光素子LE1乃至LE8にそれぞれ対応する複数の個別データDA(i)(i=1,2,・・・,N:ただしNは前記発光素子の数に等しい、図の例ではN=8、これは一例でありNは3以上の任意の整数を取り得る。以下同じ)からなる。図6(a)の例では、DA(1)=1、DA(2)乃至DA(8)=0である。
【0073】
以下の説明においては、個別データDA(i)(i=1,2,・・・,8)の1つ以上は点灯を示すものであるとする。
【0074】
補完終了データは、例えば、図6(b)に示すようなものである。同図のSET:30ms:00000001が補完開始データ(8ビット)の一例である。SETが補完終了データであることを示し、30msはその継続時間を示し、00000001は点灯(=1)又は消灯(=0)のパターンに対応するデータ(各ビットは各発光素子に対応する個別データ)である。
【0075】
図6(b)の右側は8つの発光素子LE1乃至LE8の点滅状況を示す説明図である。一番左がLE1、一番右がLE8であり、数字の順番に並べている(この配置図は模式的なものであり、発光素子LE1乃至LE8の実際の配置とは必ずしも一致しない)。□は点灯を示し、■は消灯を示す。この点灯状態は、00000001に対応している。
【0076】
すなわち、補完終了データは、複数の発光素子LE1乃至LE8にそれぞれ対応する複数の個別データDB(i)(i=1,2,・・・,N、N=8)からなる。図6(b)の例では、DA(8)=1、DA(1)乃至DA(7)=0である。
【0077】
以下の説明においては、個別データDB(i)(i=1,2,・・・,8)の1つ以上は点灯を示すものであるとする。
【0078】
補完開始データは、所定期間の始期における複数の発光素子の点灯消灯のパターンを示すものであり、補完終了データは、所定期間の終期における複数の発光素子の点灯消灯のパターンを示すものである。そして、以下に説明する補完データはこれらの中間に位置するものである。すなわち、本発明の実施の形態は、複数の発光素子の点灯消灯のパターンが、補完開始データから補完終了データにかけて徐々に移行するように補完データを生成するものであって、従来個別に与えていた補完データを不要とするものである。
【0079】
なお、上記のような補完開始データと補完終了データを出力するものであれば、記憶部(メモリ)以外のものでもよく(例えばロジック回路)、同様の作用効果を奏する。
【0080】
214は、補完開始データ及び補完終了データに基づき、始期と終期を除く所定期間の中間における点灯消灯のパターンに対応する補完データを生成する補完処理部である。例えば、図6(a)の補完開始データと(b)補完終了データに基づき、同図(c)の6つの補完データDH1乃至DH6が生成される。これらは順次生成され電飾装置LEで表示される(j=1,2,・・・、6は表示の順番を示す)。なお、DH1乃至DH6はそれぞれ次に述べるDH(i)(i=1,2,・・・,N)に相当する。DH(i)は次々と上書きされるので、図6(c)や図7のように点灯箇所が右側へ移動するように見える。補完処理については後に詳しく説明する。
【0081】
215は、補完データを生成する際に使用するバッファメモリである。バッファメモリ215には、複数の発光素子LE1乃至LE8にそれぞれ対応する複数の個別データ(補完データ)DH(i)(i=1,2,・・・,N)が設定される(定義される)。バッファメモリ215はデータを一時的に蓄えることのできるものであればよく、RAMやICレジスタなどを使用できる。
【0082】
216は、少なくとも補完データDH1乃至DH6に基づき複数の発光素子LE1乃至LE8をそれぞれ点灯又は消灯させる駆動部である。駆動部216は、図示しないがレジスタとドライブ回路を備え、補完データDH(i)を受け、これの各ビットに基づき対応する発光素子を点灯又は消灯させる。なお、演出の観点からは、駆動部216は、補完データだけでなく、補完開始データと補完終了データを受け、補完データの前に補完開始データを用いて表示を行い、補完データの後に補完終了データを用いて表示を行うことが好ましい。これにより図7のような演出を行うことができる。図7において、上の行から下に向かって順番に処理が行われ、表示される。各行の点灯又は消灯の時間をいずれも30msとすると、図7の演出に要する時間は8×30ms=合計240msである。図7の例は、左端から右端へ少しずつ点灯位置が動いているように見えるものである。
【0083】
図5は、発明の実施の形態に係る補完処理のフローチャートである。以下のこの図を参照して説明を加える。
【0084】
S10:補完処理部214は、初期パターン記憶部213から補完開始データDA(i)を読み出し、これをバッファメモリ215へコピーする。
【0085】
後の処理(S20)で補完開始データDA(i)を補完データDH(i)で上書きするので、これに備えて補完開始データDA(i)のバックアップを取っている。なお、このS10の処理は必須ではなく、なくてもよい。
【0086】
S11:補完処理部214は、バッファメモリ215から(あるいは初期パターン記憶部213から)補完開始データDA(i)を読み出す。
【0087】
S12:補完処理部214は、補完開始データDA(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も小さいものを判定する。この最も小さいiをm(1≦m≦8の整数)とする(i=m)。図6の例では、DA(1)=1であり、他は全て0であるから、m=1である。
【0088】
S13:補完処理部214は、初期パターン記憶部213から補完終了データDB(i)を読み出す。
【0089】
S14:補完処理部214は、補完終了データDB(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も大きいものを判定する。この最も大きいiをn(1≦n≦8の整数)とする(i=n)。図6の例では、DB(8)=1であり、他は全て0であるから、n=8である。以下の説明では、常にm<nであるとする。m>nの場合の処理については後述する。なお、m=nであるときは補完開始と終了のパターンが一致又は同等であって、補完処理により動きのある演出を行う必要がないから、m=nの場合は除外する。
【0090】
S15:補完処理部214は、バッファメモリ215に、複数の発光素子LE1乃至LE8にそれぞれ対応する複数の個別データDH(i)(i=1,2,・・・,8)を設定する。
【0091】
S16:処理の繰り返し回数を判定するためのパラメータjを初期設定(j=1)する。これは図5の処理の便宜上の処理であって、適宜他のやり方(カウンタを別途用意するなど)を採用することができる。
【0092】
S17:補完処理部214は、補完データDH(1)を消灯(=0)に設定する。図6に示すように、補完処理は補完開始データを右側へシフトするものであるが、これに伴い左端にデータを補充しなければならない。S17はこのための処理である。すなわち、補完終了データは右端以外全て消灯(=0)であるので、消灯(=0)を補充する。
【0093】
S18:補完処理部214は、k=1,2,・・・,N−1に対して、DH(k+1)=DA(k)とする。これは、補完開始データDA(i)をひとつだけ右へシフトすること(j=1の場合)、あるいは直前の補完データDH(i)をひとつだけ右へシフトすること(j≠1の場合)に相当する。
【0094】
S19:補完処理部214は、S17及びS18により得た補完データDH(i)を駆動部216へ送り、補完データDH(i)に基づき複数の発光素子LE1乃至LE8をそれぞれ点灯又は消灯させる。図6(c)の例では、j=1のとき補完データDH1となり、この点灯パターンで発光素子LE1乃至LE8が点灯又は消灯する。j=2乃至6のときはそれぞれ補完データDH2乃至DH6となる。
【0095】
S20:補完処理部214は、バッファメモリ215の補完開始データDA(i)を、補完データDH(i)で置き換える。次の補完データ生成のための準備である。
【0096】
S21:補完処理部214は、S17乃至S20を少なくとも(n−m−1)回だけ繰り返す。図6の例ではn=8、m=1であるから、6回繰り返すことになる。所定回繰り返したとき(YES)、処理を終了する。
【0097】
S22:補完処理部214は、S21でNOのとき、jに1を加えて更新した後にS17乃至S20を繰り返す。
【0098】
なお、図5では、補完開始データと補完終了データによる電飾の点滅に係る処理を含んでいないが、これらを含むようにもできる。例えば、補完開始データによる電飾の点滅に係る処理(S19に相当)をS10の前に行い、補完終了データによる電飾の点滅に係る処理(S19に相当)をS21の後に行うようにする。
【0099】
図5の処理により、図6(c)のような補完データが生成される。すなわち、j=1のとき補完開始データDA(i)を右へひとつシフトした補完データDH1が得られ、j=2のとき補完データDH1を右へひとつシフトした補完データDH2が得られる(以下同様)。
【0100】
そして、補完データとともに補完開始データと補完終了データを使用して電飾を駆動することにより、図7のような光が右に規則正しく動いていく演出を提供することができる。
【0101】
従来、変化ごとに作成していた電飾制御用のデータ(図19参照)に対して、発明の実施の形態では、変化開始時点の補完開始データと変化終了時点の補完終了データの2つデータのみで従来と同様の動的な演出を行うことができる。これにより、従来と同じ演出を行いつつ、電飾制御用のデータの数を削減することができる(後述の従来例の図19の例ではデータ数は8つで8バイト必要であったが、図6の例ではデータ数は2つで2バイトにすぎない)。
【0102】
発明の実施の形態によれば、電飾の発光素子のパターンの規則性の一部を制御プログラムに組み込むことにより、大幅なデータ圧縮を行うことができる。
【0103】
図6の例は、補完開始データと補完終了データのいずれも単一の発光素子が点灯している例であったが、本発明の実施の形態は複数の発光素子が点灯する場合にも適用することができる。
【0104】
図8は複数の発光素子が点灯する場合にも適用することのできる処理フローチャートである。図5と比較して、次の1つのステップでのみ処理が異なる。
【0105】
S17b:補完処理部214は、補完データDH(1)を補完終了データDB(n−j)(例えばn=8)に設定する。
【0106】
例えば、補完開始データと補完終了データが図9(a)に示すようなものであったとき、S12とS14で判定される個別データの位置、すなわちmとnの値は単一の発光素子が点灯している場合と異ならず、図9(b)のようになる。したがって、S16乃至S22による補完処理により図9(c)のような補完データが得られる(これは図6(c)と同じである)。
【0107】
図9(c)に、補完開始データと補完終了データの点灯の個別データを追加することで、複数の発光素子が点灯する場合にも補完処理を追加することができる。図9(a)の例で追加すべき個別データはDA(3)=1とDB(7)=1である。これらの追加する手順はS17bであるが、これによるデータ操作について図10を参照して説明する。なお、説明の便宜上、図10においては点灯の様子を示す□に個別データの符号を付している。
【0108】
図10は補完開始データを右へ3つシフトした状態(j=3)を示している。
【0109】
まず、補完開始データの他の点灯データDA(3)=1の追加について説明する。図10(a)はその状態におけるDA(3)の位置を示す。右端から3ビットは使用しないのでカットし(図10(b))、DA(3)を図9(c)のDH3の補完データに追加する(図10(b)から(c)へ向かう矢印)。この処理は、図8のS18に対応する。
【0110】
次に、補完終了データの他の点灯データDB(7)=1の追加について説明する。図10(e)は右へ3つシフトした状態のDB(7)の位置を示す。ところで、図8のS11で求めたDA(m)は、シフト処理により、S14で求めたDB(n)になると考えることができるから、図10(d)(e)ではDB(n)=DB(8)をDA(m)=DA(1)の位置に合わせている。左端から4ビットは使用しないのでカットし(図10(c))、DB(7)を図9(c)のDH3の補完データに追加する(図10(d)から(c)へ向かう矢印)。この処理は、図8のS18に対応する。図8のS17bにより、補完データを右にシフトするのに応じて左端に追加するデータを補完終了データから取り出しているので補完データの追加が可能である。
【0111】
図8の処理により、電飾装置LEを図11のように点灯させることができる。
【0112】
図8の処理によれば、点灯している発光素子の数が2個以上にも対応することができる。このことは実機における実際の演出の幅を広げるものであり、有用である。
【0113】
図8の処理によれば、例えば図12乃至図14の点灯パターンを実現することができる。
【0114】
なお、図8の処理は単一の発光素子のみが点灯している場合にも適用できる。図8の処理は、図5の処理に対して上位互換性があると言える。
【0115】
以上説明した補完処理は、補完開始データを、補完終了データになるまで右へシフトするというものであった(m<nという制限がこれに相当する)。しかし、本発明の実施の形態は左へシフトするようにもできる。このための処理フローチャートを図15に示す。
【0116】
図15を、図8と比較すると理解できるように、下記の点で相違するのみであり、処理自体はほぼ同じであるので、図15による処理の説明は省略する。
【0117】
・図8のS12では「iが最も小さいもの」を判定しているのに対し、図15のS12bでは「iが最も大きいもの」を判定している点
【0118】
・図8のS14では「iが最も大きいもの」を判定しているのに対し、図15のS14bでは「iが最も小さいもの」を判定している点
【0119】
・図8のS17bでは「DH(1)=DB(n−j)」としているのに対し、図15のS17cでは「DH(8)=DB(n+j)」としている点
これは、シフト方向が反対になったことに伴いデータを補充すべき端が左端(DH(1))から右端(DH(8))になったこと、補充の源となる補完終了データがDB(n)の右側の個別データになったこと、に対応している。
【0120】
・図8のS18では「DH(k+1)=DA(k)」としているのに対し、図15のS18bでは「DH(k−1)=DA(k)」としている点
これは、シフト方向が反対になったことに対応している。
【0121】
図15の処理により、図16に示すように左側へのシフトを実現できる。
【0122】
図17は、図4の変形例を示す。図17において、図4の要素と同一又は相当する部分については同一符号を付してその説明は省略する。
【0123】
217は、補完データ、補完開始データ及び補完終了データの作動タイミング(当該データにより電飾装置を点滅させる時刻又は時間)を設定するタイミング設定部である。タイミング設定部217は、駆動部216を制御し、設定したタイミングで複数の発光素子LE1乃至LE8をそれぞれ点灯又は消灯させる。
【0124】
図17では、初期パターン記憶部213は、タイミングを設定するための情報を記憶している。例えば次のようなものである。
【0125】
(1)補完データ、補完開始データ及び補完終了データをそれぞれ同じ時間使用して電飾LEを点滅させるとして、その持続時間
【0126】
例えば、持続時間=30msで一定であり、補完データの数が6個であるならば、合計の時間は(6+1+1)×30ms=240msとなる。
【0127】
タイミング設定部217は、駆動部216が補完開始データ、補完データ、補完終了データを受け取ったら当該データに基づきそれぞれ30msだけ駆動を行い、その後次のデータを読み込むように制御する。
【0128】
(2)演出の開始から終了までの時間を指定する場合
例えば、当該時間が100msであり、補完開始データのみ30ms持続させ、他は均等割とするときは、(100ms−30ms)/(8−1)=10msとなるので、補完データと補完終了データの持続時間はそれぞれ10msとする。この例を図18に示す。30ms等はその右側のデータによる点灯が終了する時刻(他の図とは異なり時間ではない点に注意されたい)を示す。ただし、演出開始タイミングを時刻=0としている。同図によれば、補完終了データによる点灯の終了は100msであり、上記要求を満たしている。
【0129】
一般的には、タイミング設定部217は、式:((所定期間の持続時間)−(補完開始データによる点灯又は消灯の時間))/((補完データと補完終了データの数)−1)に基づき各補完データの作動時間を求める。
【0130】
参考までに従来のデータを図19に示す。同図のように8つの発光素子があり、その左端から右端へ向かって単一の発光素子を順次点灯させるような場合は、補完開始データD1及び補完終了データD8とともにその中間の6個のデータD2乃至D7を必要としていた。要するに、全てのパターンに対するデータ(SETコマンド)を送信していた。これに対し、発明の実施の形態は補完開始データ及び補完終了データのみで済み、中間のデータは不要である。
【0131】
なお、発明の実施の形態に係る以上の説明において、補完データをその都度生成していたが、複数の補完データを一度に生成しておき、メモリに一旦蓄えて補完開始データ、補完終了データとともに読み出すようにもできる。この処理フローチャートを図20に示す。同図において、図5と同一又は相当部分については同一符号を付し、その説明は省略する。
【0132】
補完処理部214は、図示しないが補完データ記憶部を備え、生成した補完データDH(i)を補完データ記憶部に記憶する(S23)。補完データの生成処理自体は図5のものと変わらない。図21に示すように、補完データ記憶部には、順番に6つの補完データDH1乃至DH6が記憶される。これら補完データDH1乃至DH6は、図6に示したものと同じである。
【0133】
そして、補完開始データ、補完データ記憶部の補完データ(補完データDH1乃至DH6)、補完終了データの順番で電飾を点滅させる(S24)。
【0134】
図20の処理は、図5の処理と同様の作用効果を奏する。図20の処理によれば、同じ補完開始データと補完終了データについて、同じ処理を繰り返さなくても済むというメリットがある。
【0135】
図20の複数の補完データを一度に生成しメモリに蓄えるというやり方は、図8や図15にも適用できる。
【0136】
なお、図20のS24は、S21に引き続きすぐに行われるようになっているが、本発明はこれに限定されない。例えば、図20のS10乃至S21の処理と、S24の処理を分離し、タイマ割り込みなどでS24のみを実行するようにもできる。この場合、前者の処理はCPUの空き時間などにおいて予め行うことができる。このようにすることにより、CPUの処理を分散し、その負荷を軽減することができる。
【0137】
以上の説明において、遊技機としてもっぱらスロットマシンを例にとったが、本発明の実施の形態はこれに限定されず、パチンコ機などの他の遊技機にも適用することができる。
【0138】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0139】
20 サブ基板
212 電飾制御部
213 初期パターン記憶部(初期データ設定部)
214 補完処理部
215 バッファメモリ
216 駆動部
217 タイミング設定部
AH アーチランプ
LE 電飾装置
LE1乃至LE8 発光素子(LED)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を含む電飾装置と、所定のパターンで前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるとともに、時間経過に従って前記パターンを変化させる電飾制御部と、を備える遊技機において、
前記電飾制御部は、
前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるためのデータであって、少なくとも、所定期間の始期における前記複数の発光素子の点灯消灯のパターンに対応する補完開始データと前記所定期間の終期における前記複数の発光素子の点灯消灯のパターンに対応する補完終了データとを発生する初期データ設定部と、
前記補完開始データ及び前記補完終了データに基づき、前記始期と前記終期を除く前記所定期間の中間における点灯消灯のパターンに対応する補完データを生成する補完処理部と、
少なくとも前記補完データに基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる駆動部とを備え、
前記補完開始データは、前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDA(i)(i=1,2,・・・,N:ただしNは前記発光素子の数に等しい、以下同じ)からなり、前記個別データDA(i)の少なくともいずれかは点灯を示すものであり、
前記補完終了データは、前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDB(i)(i=1,2,・・・,N)からなり、前記個別データDB(i)の少なくともいずれかは点灯を示すものであり、
前記補完処理部は、
前記補完開始データDA(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も小さいものを判定し(当該最も小さいi=m(1≦m≦Nの整数)とする)、
前記補完終了データDB(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も大きいものを判定し(当該最も大きいi=n(1≦n≦Nの整数、ただしm<n)とする)、
前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDH(i)(i=1,2,・・・,N)を設定し(以下、DH(i)を「補完データ」と記す)、
以下の(ア)乃至(オ)の処理を行うことを特徴とする遊技機。
(ア)補完データDH(1)を消灯に設定する
(イ)k=1,2,・・・,N−1に対して、DH(k+1)=DA(k)とする
(ウ)上記(ア)及び(イ)により得た前記補完データDH(i)を前記駆動部へ送り、前記補完データDH(i)に基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる
(エ)前記補完開始データDA(i)を、上記(ア)及び(イ)により得た前記補完データDH(i)で置き換える
(オ)上記(ア)乃至(エ)を少なくとも(n−m−1)回だけ繰り返す(ただし(n−m−1)≧1)
【請求項2】
上記(ア)乃至(エ)の繰り返し回数をjとして、
前記(ア)に代えて、次のステップを行うことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
(カ)補完データDH(1)=DB(n−j)とする
【請求項3】
複数の発光素子を含む電飾装置と、所定のパターンで前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるとともに、時間経過に従って前記パターンを変化させる電飾制御部と、を備える遊技機において、
前記電飾制御部は、
前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるためのデータであって、少なくとも、所定期間の始期における前記複数の発光素子の点灯消灯のパターンに対応する補完開始データと前記所定期間の終期における前記複数の発光素子の点灯消灯のパターンに対応する補完終了データとを発生する初期データ設定部と、
前記補完開始データ及び前記補完終了データに基づき、前記始期と前記終期を除く前記所定期間の中間における点灯消灯のパターンに対応する補完データを生成する補完処理部と、
少なくとも前記補完データに基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる駆動部とを備え、
前記補完開始データは、前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDA(i)(i=1,2,・・・,N:ただしNは前記発光素子の数に等しい、以下同じ)からなり、前記個別データDA(i)の少なくともいずれかは点灯を示すものであり、
前記補完終了データは、前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDB(i)(i=1,2,・・・,N)からなり、前記個別データDB(i)の少なくともいずれかは点灯を示すものであり、
前記補完処理部は、
前記補完開始データDA(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も大きいものを判定し(当該最も小さいi=m(1≦m≦Nの整数)とする)、
前記補完終了データDB(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も小さいものを判定し(当該最も大きいi=n(1≦n≦Nの整数、ただしm>n)とする)、
前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDH(i)(i=1,2,・・・,N)を設定し(以下、DH(i)を「補完データ」と記す)、
以下の(ア)乃至(オ)の処理を行うことを特徴とする遊技機。
(ア)補完データDH(N)を消灯に設定する
(イ)k=2,・・・,Nに対して、DH(k−1)=DA(k)とする
(ウ)上記(ア)及び(イ)により得た前記補完データDH(i)を前記駆動部へ送り、前記補完データDH(i)に基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる
(エ)前記補完開始データDA(i)を、上記(ア)及び(イ)により得た前記補完データDH(i)で置き換える
(オ)上記(ア)乃至(エ)を少なくとも(m−n−1)回だけ繰り返す(ただし(m−n−1)≧1)
【請求項4】
上記(ア)乃至(エ)の繰り返し回数をjとして、
前記(ア)に代えて、次のステップを行うことを特徴とする請求項3記載の遊技機。
(カ)補完データDH(N)=DB(n+j)とする
【請求項5】
予め定められた作動時間に基づき少なくとも前記補完データについて動作タイミングを設定するタイミング設定部を備え、
前記駆動部は、前記タイミング設定部で求めた作動時間に従い、前記補完データに基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載の遊技機。
【請求項1】
複数の発光素子を含む電飾装置と、所定のパターンで前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるとともに、時間経過に従って前記パターンを変化させる電飾制御部と、を備える遊技機において、
前記電飾制御部は、
前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるためのデータであって、少なくとも、所定期間の始期における前記複数の発光素子の点灯消灯のパターンに対応する補完開始データと前記所定期間の終期における前記複数の発光素子の点灯消灯のパターンに対応する補完終了データとを発生する初期データ設定部と、
前記補完開始データ及び前記補完終了データに基づき、前記始期と前記終期を除く前記所定期間の中間における点灯消灯のパターンに対応する補完データを生成する補完処理部と、
少なくとも前記補完データに基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる駆動部とを備え、
前記補完開始データは、前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDA(i)(i=1,2,・・・,N:ただしNは前記発光素子の数に等しい、以下同じ)からなり、前記個別データDA(i)の少なくともいずれかは点灯を示すものであり、
前記補完終了データは、前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDB(i)(i=1,2,・・・,N)からなり、前記個別データDB(i)の少なくともいずれかは点灯を示すものであり、
前記補完処理部は、
前記補完開始データDA(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も小さいものを判定し(当該最も小さいi=m(1≦m≦Nの整数)とする)、
前記補完終了データDB(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も大きいものを判定し(当該最も大きいi=n(1≦n≦Nの整数、ただしm<n)とする)、
前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDH(i)(i=1,2,・・・,N)を設定し(以下、DH(i)を「補完データ」と記す)、
以下の(ア)乃至(オ)の処理を行うことを特徴とする遊技機。
(ア)補完データDH(1)を消灯に設定する
(イ)k=1,2,・・・,N−1に対して、DH(k+1)=DA(k)とする
(ウ)上記(ア)及び(イ)により得た前記補完データDH(i)を前記駆動部へ送り、前記補完データDH(i)に基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる
(エ)前記補完開始データDA(i)を、上記(ア)及び(イ)により得た前記補完データDH(i)で置き換える
(オ)上記(ア)乃至(エ)を少なくとも(n−m−1)回だけ繰り返す(ただし(n−m−1)≧1)
【請求項2】
上記(ア)乃至(エ)の繰り返し回数をjとして、
前記(ア)に代えて、次のステップを行うことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
(カ)補完データDH(1)=DB(n−j)とする
【請求項3】
複数の発光素子を含む電飾装置と、所定のパターンで前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるとともに、時間経過に従って前記パターンを変化させる電飾制御部と、を備える遊技機において、
前記電飾制御部は、
前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させるためのデータであって、少なくとも、所定期間の始期における前記複数の発光素子の点灯消灯のパターンに対応する補完開始データと前記所定期間の終期における前記複数の発光素子の点灯消灯のパターンに対応する補完終了データとを発生する初期データ設定部と、
前記補完開始データ及び前記補完終了データに基づき、前記始期と前記終期を除く前記所定期間の中間における点灯消灯のパターンに対応する補完データを生成する補完処理部と、
少なくとも前記補完データに基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる駆動部とを備え、
前記補完開始データは、前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDA(i)(i=1,2,・・・,N:ただしNは前記発光素子の数に等しい、以下同じ)からなり、前記個別データDA(i)の少なくともいずれかは点灯を示すものであり、
前記補完終了データは、前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDB(i)(i=1,2,・・・,N)からなり、前記個別データDB(i)の少なくともいずれかは点灯を示すものであり、
前記補完処理部は、
前記補完開始データDA(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も大きいものを判定し(当該最も小さいi=m(1≦m≦Nの整数)とする)、
前記補完終了データDB(i)の点灯を示す個別データのうちでiが最も小さいものを判定し(当該最も大きいi=n(1≦n≦Nの整数、ただしm>n)とする)、
前記複数の発光素子にそれぞれ対応する複数の個別データDH(i)(i=1,2,・・・,N)を設定し(以下、DH(i)を「補完データ」と記す)、
以下の(ア)乃至(オ)の処理を行うことを特徴とする遊技機。
(ア)補完データDH(N)を消灯に設定する
(イ)k=2,・・・,Nに対して、DH(k−1)=DA(k)とする
(ウ)上記(ア)及び(イ)により得た前記補完データDH(i)を前記駆動部へ送り、前記補完データDH(i)に基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる
(エ)前記補完開始データDA(i)を、上記(ア)及び(イ)により得た前記補完データDH(i)で置き換える
(オ)上記(ア)乃至(エ)を少なくとも(m−n−1)回だけ繰り返す(ただし(m−n−1)≧1)
【請求項4】
上記(ア)乃至(エ)の繰り返し回数をjとして、
前記(ア)に代えて、次のステップを行うことを特徴とする請求項3記載の遊技機。
(カ)補完データDH(N)=DB(n+j)とする
【請求項5】
予め定められた作動時間に基づき少なくとも前記補完データについて動作タイミングを設定するタイミング設定部を備え、
前記駆動部は、前記タイミング設定部で求めた作動時間に従い、前記補完データに基づき前記複数の発光素子をそれぞれ点灯又は消灯させる、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−106735(P2013−106735A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253351(P2011−253351)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】
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