遊技機
【課題】制御的負担の増大や記憶容量の消費量を抑制しつつ、複数の入賞口を有することによって遊技者に興趣の高い遊技をを提供できる遊技機を提供すること。
【解決手段】本発明の遊技機によれば、始動条件を成立させる位置が複数あり、それらの複数の位置のいずれを遊技媒体が通過したかに応じた動作を行う遊技機であるにもかかわらず、「保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対応する順序情報を各々減算する処理」が緩和されるので、制御負担の増大を抑制できると共に、記憶量の増大も抑制できる。即ち、制御負担の増大も記憶量の増大も抑制しつつ、複数の始動条件を成立させる位置のいずれを遊技媒体が通過したかに応じた動作を行うことができ、その結果として興趣の高い遊技をを提供できる遊技機を製造することができる。
【解決手段】本発明の遊技機によれば、始動条件を成立させる位置が複数あり、それらの複数の位置のいずれを遊技媒体が通過したかに応じた動作を行う遊技機であるにもかかわらず、「保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対応する順序情報を各々減算する処理」が緩和されるので、制御負担の増大を抑制できると共に、記憶量の増大も抑制できる。即ち、制御負担の増大も記憶量の増大も抑制しつつ、複数の始動条件を成立させる位置のいずれを遊技媒体が通過したかに応じた動作を行うことができ、その結果として興趣の高い遊技をを提供できる遊技機を製造することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等に代表される遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機などの遊技機では、始動条件の成立を契機として、内部で抽選が行なわれ、その抽選に当選すると、所謂「大当たり」と称する遊技者に有利な特別遊技状態が発生し、その結果として、大量の遊技媒体が払出可能な状態となる。
【0003】
このような遊技機には、液晶表示装置やLEDなどの表示装置を設けられているものがある。表示装置が設けられている遊技機では、一般的に、始動条件が成立(始動入賞)した場合には、この表示装置において変動表示(例えば、図柄のスクロールやLEDの点灯状態の変更を伴った表示)を行い、その変動表示に引き続いて内部抽選の結果を停止表示として表示するように構成されている。例えば、図柄等から構成される図柄列を表示可能な液晶表示装置を有する遊技機では、しばしば、始動条件の成立を契機として、これら複数列の図柄列を各々スクロールさせることによって変動表示させ、内部抽選の結果が当選であった場合には、かかるスクロールが停止した際に、停止図柄(停止表示)が特定の組み合わせとして大当たりを発生させるように構成されている。
【0004】
また、従来より、表示装置の設けられている遊技機において、その表示装置への表示を利用し、遊技の興趣を遊技者に提供することが行われいる。例えば、内部抽選の当落や当選時の当たり種別などに応じて変動表示のパターン(変動表示態様)を変えることによって、始動条件の成立によって表示装置に変動表示の表示が開始された場合に、開始された変動表示のパターンを視認した遊技者に、当選に対する期待感などの正の感情や落選(外れ)に対する失望感などの負の感情を抱かせ、それらの正負の感情を適度なバランスでもって提供できた場合には、遊技者は実行中の遊技に対して大きな興趣を抱くことになる。
【0005】
ここで、従来より存在する一般的な遊技機は、始動口(入球口)への遊技球の入賞(入球)を始動条件の成立としている。このように始動条件の成立に関わる始動口は、1台の遊技機に1つ設けられていることが多い。始動口が1つしかない場合には、当然、変動表示態様のバリエーションは、内部抽選の当落や当選時の当たり種別などのみに応じて変えることしかできず、変動表示態様のバリエーションによって遊技の興趣を向上させる試みには限界があった。
【0006】
そこで、近年では、遊技の興趣を向上させるために、このような始動口を複数(例えば、2つ)設け、内部抽選の当落や当選時の当たり種別だけでなく、入賞した始動口に応じても変動表示態様を変えることによりかかる変動表示態様のバリエーションを増やした遊技機も製造されている。
【0007】
通常、始動条件の成立に基づいて表示装置にて変動表示が行われる遊技機では、変動表示中や大当たり中に始動条件が新たに成立した場合に、その新たな始動条件の成立に基づく変動表示を、次に変動表示が可能となる状態となるまで待機(保留)させることができるように構成されている。例えば、変動表示中や大当たり中など、保留すべきタイミングで始動条件が新たに成立した場合に、内部抽選用の乱数を保留情報として保留球格納エリア(入賞球格納エリア)に入賞順序を区別可能に記憶しておき、その後、変動表示が可能となる状態が到来する毎に、保留球格納エリアに記憶されている保留情報の中で入賞順序が時間的に最も古いものから順に実行エリアに移動させ、移動によって実行エリアに記憶された保留情報に基づく抽選を行い、その抽選結果に応じた変動表示を開始する。
【0008】
ここで、始動口が複数あり、それらの複数の入賞口のうちどの入賞口に入賞したかに応じて各種態様を変化させる遊技機では、保留情報を「どの入賞口にいつ入賞したか」が区別可能となるように記憶する必要がある。そのため、始動口が複数あり、それらの複数の入賞口のうちどの入賞口に入賞したかに応じて各種態様を変化させる遊技機は、始動口が1つである遊技機に比べ、保留情報の取り扱いが煩雑である。
例えば、入賞口毎に独立した保留球格納エリアを設け、入賞した入賞口に応じて保留情報を対応する保留球格納エリアに記憶することによって「どの入賞口に入賞したか」を区別可能とする。各入賞口に対応する各保留球格納エリアに保留情報を記憶する際には、保留情報と共に、その保留情報に対応する情報であってどの入賞口に入賞したかとは無関係の連番を示す情報である順序情報とが対応付けて記憶される。その後、各入賞口毎に設けられた複数の保留球格納エリアのうちのいずれかの保留球格納エリアにおける保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対して各々対応付けられている順序情報を1ずつ繰り下げることによって「いつ入賞したか」を区別可能にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−71030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、始動口が複数あり、それらの複数の入賞口のうちどの入賞口に入賞したかに応じて各種態様を変化させる遊技機を、上記のように設計した場合、保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対応する順序情報を各々減算する処理を行わねばならないため、制御的負担が大きく、場合によっては、より高級な演算装置を使用する必要が生じるので、遊技機の製造コストが増大するという問題点があった。かかる制御的負担は、始動口の数が多い程、より大きくなるので、遊技の興趣性をより向上させるためには、遊技機の製造コストの増大が避けられなくなってしまう。
【0011】
なお、始動口が複数あり、それらの複数の入賞口のうちどの入賞口に入賞したかに応じて各種態様を変化させる遊技機における保留情報の取り扱い方としては、上記以外に、入賞口毎に独立した保留球格納エリアと電源投入時からの経過時間を計時するタイマ又はカウンタを設けた上で、入賞した入賞口に応じて保留情報を対応する保留球格納エリアに記憶する際に、タイマ又はカウンタ電源投入時からの経過時間を対応付けて記憶する方法が考えられる。しかし、この方法は、制御的負担及び記憶量の増大を伴うために現実的な方法ではない。
【0012】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、制御的負担の増大や記憶容量の消費量を抑制しつつ、複数の入賞口を有することによって遊技者に興趣の高い遊技をを提供できる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、始動条件の成立を契機として入賞情報を取得する入賞情報取得手段と、その入賞情報取得手段により取得された入賞情報に基づいて抽選を行う第1の抽選手段と、図柄の表示を行う表示手段と、前記始動条件の成立を契機として前記表示手段に前記図柄の変動表示を表示させ、その変動表示が終了する場合に前記第1の抽選手段による抽選結果を前記図柄の停止表示として前記表示手段に表示させる表示制御手段と、その表示制御手段によって前記表示手段に表示される前記図柄の停止表示が、前記第1の抽選手段による抽選結果が所定の結果であることを示すものである場合には、通常状態より遊技者に有利な特別遊技状態を創出する特別遊技状態創出手段とを備えたものであって、前記遊技媒体が通過可能な複数位置の各々に設けられ、各位置への前記遊技媒体の通過を前記始動条件の成立として検出する検出手段と、前記複数位置のうちのいずれかの位置に設けられている前記検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、該始動条件の成立を検出した検出手段に応じた制御を行う対応制御手段と、前記表示制御手段による前記表示手段への前記変動表示の表示中又は前記特別遊技状態中に、前記複数位置に設けられた前記検出手段のうちの1つ又は1組の検出手段から構成される1の特定検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記入賞情報取得手段により取得された入賞情報を、該特定検出手段により検出された入賞順序を識別可能に複数記憶できる第1入賞情報記憶手段と、前記表示制御手段による前記表示手段への前記変動表示の表示中又は前記特別遊技状態中に、前記複数位置に設けられた前記検出手段のうちの前記特定検出手段とは異なる検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記入賞情報取得手段により取得された入賞情報を1つ記憶できる記憶手段であって、前記検出手段の1つ又は1組に対して1つ設けられている第2入賞情報記憶手段と、前記第1入賞情報記憶手段又は前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている前記入賞情報の数を計数する入賞回数計数手段と、前記第2入賞情報記憶手段に入賞情報を記憶する場合に、その入賞情報を記憶する第2入賞情報記憶手段に対応付けられ、前記入賞回数計数手段により計数された数又はその数に対応する値を待機回数として記憶する待機回数記憶手段と、前記表示制御手段によって前記表示手段に表示される前記図柄の変動表示が実行される毎に、前記待機回数記憶手段に記憶される待機回数から所定数ずつ減算する待機回数減算手段と、前記表示制御手段によって前記図柄の停止表示が前記表示手段に表示された後、該表示制御手段により次に前記図柄の変動表示を前記表示手段へ表示させる際に前記第1入賞情報記憶手段又は前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている前記入賞情報が存在する場合には、前記待機回数記憶手段に記憶される前記待機回数がゼロであれば、その前記待機回数記憶手段に対応する前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報を取得し、それ以外は、前記第1入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報のうち前記始動条件の成立の検出順序が最前である入賞情報を取得する保留入賞情報取得手段とを備え、前記保留入賞情報取得手段により入賞情報が取得された場合には、前記第1の抽選手段は、該保留入賞情報取得手段により取得された入賞情報に基づいて抽選を行い、前記対応制御手段は、該保留入賞情報取得手段により取得された入賞情報を前記入賞情報取得手段により取得する契機となった前記検出手段に応じた制御を行う。
【0014】
請求項2記載の遊技機は、請求項1記載の遊技機において、前記対応制御手段は、前記始動条件の成立を検出した検出手段に応じた態様の前記変動表示又は前記停止表示を前記表示制御手段により前記表示手段に表示させるものである。
【0015】
請求項3記載の遊技機は、請求項1又は2に記載の遊技機において、前記対応制御手段は、前記表示制御手段によって前記変動表示又は前記停止表示を前記表示手段に表示させる場合に、前記始動条件の成立を検出した検出手段であって該変動表示又は該停止表示に対応する検出手段の種類を区別可能な表示を該変動表示又は該停止表示に付加する付加的表示手段を備えている。
【0016】
請求項4記載の遊技機は、請求項1から3のいずれかに記載の遊技機において、乱数を発生する乱数発生手段と、前記乱数発生手段により発生され得る各乱数と前記表示手段に表示される前記変動表示の態様に対応する値とを対応付けて記憶する変動態様記憶手段と、前記複数位置のうちのいずれかの位置に設けられている前記検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記乱数発生手段から乱数を前記入賞情報として取得する入賞情報取得手段と、その入賞情報取得手段により取得された乱数に対する前記変動表示の態様に対応する値を前記変動態様記憶手段から取得する変動態様取得手段とを備え、前記変動態様記憶手段は、前記検出手段の種類に応じたものが設けられており、前記対応制御手段は、前記検出手段に応じた前記変動態様記憶手段を選択する選択手段を含み、該選択手段により選択された前記変動態様記憶手段を用いて前記変動態様取得手段による値の取得を実行させ、取得された値に従う態様の前記変動表示を前記表示制御手段により前記表示手段に表示させるものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の遊技機によれば、始動条件の成立を契機として入賞情報取得手段により入賞情報が取得されると、その取得された入賞情報に基づいて第1の抽選手段により抽選が行われると共に、表示制御手段によって、表示手段に図柄の変動表示が表示され、その変動表示が終了する場合に第1の抽選手段による抽選結果が図柄の停止表示として該表示手段に表示される。このとき、表示制御手段によって表示手段に表示される図柄の停止表示が、第1の抽選手段による抽選結果が所定の結果(例えば、所謂「当選」)であることを示すものである場合には、特別遊技状態創出手段により、通常状態より遊技者に有利な特別遊技状態が創出される。
【0018】
この特別遊技状態中又は表示制御手段による表示手段への変動表示の表示中に、遊技媒体が通過可能な複数位置の各々に設けられている検出手段のうちの1つ又は1組の検出手段から構成される1の特定検出手段により、遊技媒体の通過が検出されて始動条件が成立した場合には、入賞情報取得手段により取得された入賞情報が、該特定検出手段により検出された入賞順序を識別可能に第1入賞情報記憶手段に順次記憶される。
【0019】
一方で、特別遊技状態中又は表示制御手段による表示手段への変動表示の表示中に、遊技媒体が通過可能な複数位置の各々に設けられている検出手段のうちの特定検出手段とは異なる検出手段により、遊技媒体の通過が検出されて始動条件が成立した場合には、入賞情報取得手段により取得された入賞情報が第2入賞情報記憶手段に記憶される。なお、この第2入賞情報記憶手段は、1の検出手段に対して1つ設けられている記憶手段であり、入賞情報を1つ記憶することができるように構成されている。
【0020】
ところで、第1入賞情報記憶手段又は第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報の数は、入賞回数計数手段によって計数されており、この入賞回数計数手段により計数された数又はその数に対応する値は、第2入賞情報記憶手段に入賞情報を記憶する場合に、その入賞情報を記憶する第2入賞情報記憶手段に対応付けられている待機回数記憶手段に待機回数として記憶される。そして、この待機回数記憶手段に記憶された待機回数は、表示制御手段によって表示手段に表示される図柄の変動表示が実行される毎に、待機回数減算手段により、所定数ずつ減算される。
【0021】
ここで、始動条件を成立させる位置が複数あり、それらの複数の位置のいずれを遊技媒体が通過したかに応じて、例えば、表示手段に表示される変動表示の態様を変化させることのできる遊技機では、保留情報が「どの位置をいつ(どの順序で)通過したか」が区別可能となるように保留球記憶手段に記憶されていなければならない。
【0022】
ところで、入賞口(遊技媒体が通過可能な位置であって始動条件の成立に関与する位置)毎に独立した保留球格納エリア(入賞球格納エリア)を設け、入賞した入賞口に応じて保留情報を対応する保留球格納エリアに記憶することによって「どの入賞口に入賞したか」を区別可能としており、その一方で、各入賞口に対応する各保留球格納エリアに保留情報を記憶する際には、保留情報と共に、その保留情報に対応する情報であってどの入賞口に入賞したかとは無関係の連番を示す情報である順序情報とが対応付けて記憶し、その後、各入賞口毎に設けられた複数の保留球格納エリアのうちのいずれかの保留球格納エリアにおける保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対して各々対応付けられている順序情報を1ずつ繰り下げることによって「いつ入賞したか」を区別可能にすることも考えられる。しかし、かかる場合、保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対応する順序情報を各々減算する処理を行わねばならないため、制御的負担が大きく、場合によっては、より高級な演算装置を使用する必要が生じるので、遊技機の製造コストが増大するという問題が生じる。
【0023】
これに対し、請求項1記載の遊技機によれば、第2入賞情報記憶手段に記憶される唯一の入賞情報は、その第2入賞情報記憶手段に対応付けられた待機回数記憶手段と待機回数減算手段によって保留入賞情報取得手段によって取得されるまでの待機回数が計られている。そして、表示制御手段によって図柄の停止表示が表示手段に表示された後、該表示制御手段により次に図柄の変動表示が表示手段に表示される際に、第1入賞情報記憶手段又は第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報が存在し、かつ、待機回数記憶手段に記憶される待機回数がゼロであれば、その待機回数記憶手段に対応する第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報が保留入賞情報取得手段によって取得される。
【0024】
一方で、第1入賞情報記憶手段に記憶される複数の入賞情報は、この第1入賞情報記憶手段内において特定検出手段により検出された入賞順序が識別可能とされており、表示制御手段によって図柄の停止表示が表示手段に表示された後、該表示制御手段により次に図柄の変動表示が表示手段に表示される際に、第1入賞情報記憶手段又は第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報が存在し、かつ、待機回数記憶手段に記憶される待機回数がゼロでなければ、第1入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報のうち始動条件の成立の検出順序が最前である入賞情報が保留入賞情報取得手段によって取得される。
【0025】
かかる構成によって、第1入賞情報記憶手段又は第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報は、時間的に古い(即ち、始動条件の成立の検出順序が最前である)ものから順に保留入賞情報取得手段によって取得されることになる。そして、このように、保留入賞情報取得手段により始動条件の成立の検出順序が最前である入賞情報が取得されると、取得された入賞情報に基づいて、第1の抽選手段によって抽選が行われると共に、該取得された入賞情報を入賞情報取得手段により取得する契機となった検出手段に応じた制御が対応制御手段によって行われる。
【0026】
よって、請求項1記載の遊技機によれば、始動条件を成立させる位置が複数あり、それらの複数の位置のいずれを遊技媒体が通過したかに応じた制御がされる遊技機であるにもかかわらず、少なくとも第1入賞情報記憶手段内に記憶されている入賞情報に対して、待機回数記憶手段及び待機回数減算手段による待機回数の管理は不要である。その結果、上記した「保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対応する順序情報を各々減算する処理」の一部を省略することができるので、制御負担の増大を抑制できるという効果があると共に、記憶量の増大も抑制できるという効果がある。即ち、制御負担の増大も記憶量の増大も抑制しつつ、複数の始動条件を成立させる位置のいずれを遊技媒体が通過したかに応じた制御を行うことができ、その結果として興趣の高い遊技をを提供できる遊技機を製造することが可能となるのである。
【0027】
なお、請求項1において、対応制御手段によって行われる「始動条件の成立を検出した検出手段に応じた制御」とは、検出手段に応じて全て異なる制御に限定されるものではなく、一部の検出手段に対しては同じ制御が行われ、残りの検出手段に対してはそれぞれ異なる制御が行われるような構成であってもよい。
【0028】
請求項2記載の遊技機によれば、請求項1記載の遊技機の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。対応制御手段による制御によって、表示制御手段によって表示手段に表示される変動表示又は停止表示が始動条件の成立を検出した検出手段に応じた態様の表示(例えば、始動条件の成立を検出した検出手段に応じて変動表示を縦スクロール又は横スクロールで表示する)となるので、表示態様のバリエーションが増え、遊技者に高い興趣を提供することができるという効果がある。
【0029】
請求項3記載の遊技機によれば、請求項1又は2に記載の遊技機の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。表示制御手段によって変動表示又は停止表示を表示手段に表示させる場合には、対応制御手段における付加的表示手段によって、始動条件の成立を検出した検出手段であって表示中の変動表示又は停止表示に対応する検出手段の種類を区別可能な表示が、該変動表示又は該停止表示に付加される。
【0030】
よって、遊技者は、表示手段に表示中の変動表示又は停止表示に付加されている表示を認識することによって、現在表示中の変動表示又は停止表示が、どの検出手段による検出に由来するものであるかを識別することができ、始動条件を成立させるための位置が複数設けられていることを明確に認識することができる。そのため、例えば、遊技者の受ける遊技価値の関わる制御を検出手段に応じた異なるものとした場合には、遊技者は表示手段に表示された変動表示や停止表示を確認することにより、自身の置かれている環境を区別して認識することができるので、かかる表示(変動表示又は停止表示)によって遊技者が抱く期待感や失望感などの感情のバランスに変化をつけることができ、その結果、遊技者に高い興趣性遊技を提供することができるという効果がある。
【0031】
請求項4記載の遊技機によれば、請求項1から3のいずれかに記載の遊技機の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。乱数発生手段により発生され得る各乱数と、表示手段に表示される変動表示の態様に対応する値とが変動態様記憶手段において対応付けて記憶されている。ここで、複数位置のうちのいずれかの位置に設けられている検出手段により遊技媒体の通過が検出されて始動条件が成立した場合には、入賞情報取得手段により、乱数発生手段により発生される乱数が入賞情報として取得されると、変動態様取得手段により、取得された乱数に対する変動表示の態様に対応する値が、変動態様記憶手段から取得される。
【0032】
また、変動態様記憶手段は、検出手段の種類に応じたものが設けられており、対応制御手段における選択手段によって、検出手段に応じた変動態様記憶手段が選択される。さらに、対応制御手段による制御によって、選択された変動態様記憶手段を用いて前記変動態様取得手段による値の取得が実行され、取得された値に従う態様の変動表示が表示制御手段によって表示手段に表示される。
よって、表示制御手段によって表示手段に表示される変動表示又は停止表示が検出手段に応じた態様の表示となるので、表示手段に表示される表示を始動条件を成立させるための位置に応じて異なる印象を遊技者に与えることができ、遊技者に高い興趣を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機の正面図である。
【図2】遊技盤の正面図である。
【図3】パチンコ機の背面図である。
【図4】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】各種カウンタの概要を示す図である。
【図6】(a)は、表示画面が横スクロールする場合における実際の画面及び有効ライン設定とを示した模式図であり、(b)は、表示画面が縦スクロールする場合における実際の画面及び有効ライン設定とを示した模式図である。
【図7】主制御装置内のMPUにより実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。
【図8】主制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
【図9】図8のメイン処理の中で実行される変動処理を示すフローチャートである。
【図10】図9の図柄変動処理の中で実行される第1変動開始要求処理を示すフローチャートである。
【図11】図9の図柄変動処理の中で実行される第2変動開始要求処理を示すフローチャートである。
【図12】図9の図柄変動処理の中で実行される第3変動開始要求処理を示すフローチャートである。
【図13】図9の図柄変動処理の中で実行される変動開始処理を示すフローチャートである。
【図14】タイマ割込処理を示すフローチャートである。
【図15】図14のタイマ割込処理の中で実行される第1始動入賞処理を示すフローチャートである。
【図16】図14のタイマ割込処理の中で実行される第2始動入賞処理を示すフローチャートである。
【図17】NMI割込処理を示すフローチャートである。
【図18】払出制御装置内のMPUにより実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。
【図19】払出制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
【図20】第3図柄表示装置に表示される変動表示の変形例を示す模式図である。
【図21】別例の入賞球格納エリアを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の背面図である。
【0035】
パチンコ機10は、図1に示すように、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
【0036】
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64,640等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の前面を球が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の前面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の前面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
【0037】
内枠12の前面側には、その前面上側を覆う前面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。前面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として前面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と前面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
【0038】
前面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。前面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の前面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。前面枠14には、球を貯留する上皿17が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112aへと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81で表示される変動表示の演出パターンを変更したり、リーチ演出時の演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
【0039】
加えて、前面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。
【0040】
また、前面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。また、右側の電飾部32下側には、前面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13前面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等はパチンコ機10の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
【0041】
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
【0042】
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設され、かかる操作ハンドル51の内部には球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ(図示せず)と、操作ハンドル51の回動操作量を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)とが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回転操作されると、タッチセンサがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が操作量に対応して変化し、操作ハンドル51の回動操作量に応じて変化する可変抵抗器の抵抗値に対応した強さで球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の前面へ球が打ち込まれる。
【0043】
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。かかる球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、前述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
【0044】
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工した木製のベース板60に、球案内用の多数の釘や風車およびレール61,62、一般入賞口63、第1入球口A64、第1入球口B640、可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12の裏面側に取り付けられる。一般入賞口63、第1入球口A64、第1入球口B640、可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の前面側から木ネジ等により固定されている。また、遊技盤13の前面中央部分は、前面枠14の窓部14cを通じて内枠13の前面側から視認することができる。以下に、遊技盤13の構成について説明する。
【0045】
遊技盤13の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の前面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の前面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の前面であって2本のレール61,62と円弧部材70とにより区画して形成される略円形状の領域である。
【0046】
2本のレール61,62は、球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。また、内レール61の右下側の先端部と外レール62の右上側の先端部との間には、レール間を繋ぐ円弧を内面側に設けて形成された樹脂製の円弧部材70がベース板60に打ち込んで固定されている。
【0047】
遊技領域の正面視右側上部(図2の右側上部)には、2つの第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37Aには、発光手段である複数のLED37Aaと7セグメント表示器37Abとが設けられている。他方の第1図柄表示装置37Bもまた同様に、発光手段である複数のLED37Baと7セグメント表示器37Bbとが設けられている。
【0048】
第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。複数のLED
37Aa,37Baは、いずれも、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すものである。7セグメント表示装置37Ab,37Bbは、いずれも、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行うものである。なお、LED37Aa,37Baは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
【0049】
なお、上述したパチンコ機10が確変中とは、大当たり確率がアップして特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態である。さらに、本実施の形態における確変中は、第2図柄の当たり確率がアップして第1入球口B640(図3参照)へ球が入球し易い遊技の状態である。また、パチンコ機10が時短中とは、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第1入球口B640へ球が入球し易い遊技の状態である。また、パチンコ機10が通常中とは、確変中でも時短中でもない遊技の状態(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。なお、パチンコ機10の遊技状態に応じて、第1入球口B640に付随する電動役物(図示せず)が開放する時間や、1回の当たりで電動役物が開放する回数を変更するものとしても良い。
【0050】
本実施の形態では、これらの第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、第1入球口A64(図3参照)へ入賞したか、第1入球口B640(図3参照)へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入球口A64へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、第1入球口B640へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
【0051】
また、遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入球口A64又は第1入球口B640への入賞をトリガとして第3図柄を変動表示する液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す。)で構成された第3図柄表示装置81と、第2入球口67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示する発光ダイオード(以下、「LED」と略す。)で構成される第2図柄表示装置82とが設けられている。
【0052】
第3図柄表示装置81は、後述する表示制御装置114によって表示内容が制御され、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成され、これらの図柄が図柄列毎に縦又は横にスクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。また、本実施の形態では、第3図柄表示装置81は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成され、可変表示装置ユニット80には、この第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。本実施の形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37A,37Bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37A,37Bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、LCDに代えて、例えば、リール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
【0053】
また、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bにて停止図柄(確変大当たり図柄、普通大当たり図柄、外れ図柄のいずれか1つ)が表示されるまでの間に球が第1入球口A64へ入球した場合、その入球回数は、第1入球口A64に対して最大4回まで保留され、その保留回数は第1図柄表示装置37Aにより示されると共に保留ランプ85の点灯個数においても示される。保留ランプ85は、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の上方に配設されている。
【0054】
なお、本実施の形態では、第1図柄表示装置37Bにて停止図柄(確変大当たり図柄、普通大当たり図柄、外れ図柄のいずれか1つ)が表示されるまでの間に球が第1入球口B640へ入球した場合であっても、その入球回数は保留されないように構成されている。その一方で、第1入球口A64に対する保留回数が1以上4以下である状況下で、第1図柄表示装置37Aにて停止図柄(確変大当たり図柄、普通大当たり図柄、外れ図柄のいずれか1つ)が表示されるまでの間に球が第1入球口B640へ入球した場合には、第1入球口A64に対する保留回数が消化されるまでの期間だけ待機させることができるように構成されている。
【0055】
なお、本実施の形態においては、第1入球口A64への入賞が最大4回まで保留されるように構成したが、この最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、保留ランプ85を削除し、第1入球口A64への入賞に基づく変動表示の保留回数を第3図柄表示装置81の一部に数字で、或いは、4つに区画された領域を保留回数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしても良い。また、第1図柄表示装置37Aにより保留回数が示されるので、保留ランプ85により点灯表示を行わないものとしても良い。
【0056】
第2図柄表示装置82は、第2図柄の表示部83を有し、球が第2入球口67を通過する毎に、表示部83において表示図柄(第2図柄)としての「○」の図柄と「×」の図柄とが交互に点灯して変動表示が行われ、その変動表示が所定図柄(本実施の形態においては「○」の図柄)で停止した場合に第1入球口B640が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。なお、第2図柄の変動表示は、本実施の形態のように、表示部83において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37B及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。
【0057】
また、本実施の形態では、球の第2入球口67の通過回数は保留されない構成としているが、球の第2入球口67の通過回数を所定回数(例えば、最大4回)保留できるように構成してもよい。球の第2入球口67の通過回数を所定回数保留できるように構成した場合には、その保留回数が上述した第1図柄表示装置37Bにより表示されると共に、第2図柄表示装置82に4つ設けた保留ランプ(図示せず)においても点灯表示するように構成すればよい。あるいは、第2入球口67の通過に対する保留回数を、第2図柄表示装置82に設けた保留ランプの点灯に換えて、第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、第2入球口67の通過の最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、第1図柄表示装置37Bにより保留回数が示すものとし、その代わりに保留ランプによる点灯表示を行わないものとしても良い。
【0058】
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入球し得る第1入球口A64が配設されている。この第1入球口A64へ球が入球すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入球口スイッチA(図示せず)がオンとなり、その第1入球口スイッチAのオンに起因して主制御装置110で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37AのLED37Aaで示される。
【0059】
第1入球口A64の下方には、球が入球し得る第1入球口B640が配設されている。この第1入球口B640へ球が入球すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入球口スイッチB(図示せず)がオンとなり、その第1入球口スイッチBのオンに起因して主制御装置110で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37BのLED37Baで示される。
【0060】
また、第1入球口A64および第1入球口B640は、それぞれ、球が入球すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施の形態においては、第1入球口A64へ球が入球した場合に払い出される賞球数と第1入球口B640へ球が入球した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入球口A64へ球が入球した場合に払い出される賞球数と第1入球口B640へ球が入球した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入球口A64へ球が入球した場合に払い出される賞球数を3個とし、第1入球口B640へ球が入球した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
【0061】
第1入球口B640の下方には可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の特定入賞口(大開放口)65aが設けられている。パチンコ機10においては、主制御装置110での抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、その抽選のトリガとなった第1入球口A64又は第1入球口B640に応じた第1図柄表示装置37AのLED37Aa又は第1図柄表示装置37BのLED37Baを大当たりの停止図柄となるように点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
【0062】
この特定入賞口65aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この特定入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば16回(16ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
【0063】
可変入賞装置65は、具体的には、特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(ソレノイド209(図4参照)の一部)とを備えている。特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイドを駆動して開閉板を前面下側に傾倒し、球が特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
【0064】
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37AのLED37Aa又は第1図柄表示装置37BのLED37Baが大当たりに対応する態様で点灯した場合に、特定入賞口65aが所定時間開放され、その特定入賞口65aの開放中に、球が特定入賞口65a内へ入賞することを契機として特定入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。
【0065】
遊技盤13の下側における左右の隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、前面枠14の小窓35を通じて視認することができる。
【0066】
さらに、遊技盤13には、アウト口66と第2入球口(スルーゲート)67とが設けられている。いずれの入賞口63,64,640,65aにも入球しなかった球はアウト口66を通って図示しない球排出路へと案内される。遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
【0067】
図3に示すように、パチンコ機10の背面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
【0068】
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
【0069】
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
【0070】
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
【0071】
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
【0072】
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
【0073】
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
【0074】
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
【0075】
ここで、RAM203は、入賞球格納エリア203aと、特図A保留球カウンタ203bと、特図B待機回数カウンタ203cと、特図B変動待機フラグ203dと、特図A変動開始要求フラグ203eとを備えている。
【0076】
入賞球格納エリア203aは、第1入球口A64又は第1入球口B640への入賞があった場合に、その入賞タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1(図5参照)、第1当たり種別カウンタC2(図5参照)、及び停止パターン選択カウンタC3(図5参照)の各値をそれぞれ格納するためのエリアである。なお、入賞球格納エリア203aの具体的構成については、図5を参照しつつ後述する。
【0077】
特図A保留球カウンタ203bは、第1入球口A64への球の入賞が保留された数、即ち、第1図柄表示装置37Aの作動保留球数を計数するカウンタである。特図B待機回数カウンタ203cは、第1入球口B640への球の入賞に基づいて第1図柄表示装置37Bで実行されるべき変動表示を待機する回数を計数するカウンタである。なお、これらのカウンタ203b,203cは、いずれも、電源投入時に「0」に初期化される。
【0078】
特図B変動待機フラグ203dは、第1入球口B640への球の入賞に伴って第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示が待機中であるか否かを示すフラグであり、第1入球口B640に球が入賞した後、その入賞に伴う第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示が開始されるまでの期間においてオンを示し、それ以外の期間はオフを示すフラグである。この特図B変動待機フラグ203dは、第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示が待機されていない状態で第1入球口B640への球の入賞が検出された場合にオンされ、第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示が開始されるタイミングでオフされる。
【0079】
特図A変動開始要求フラグ203eは、第1入球口A64への球の入賞に伴う第1図柄表示装置37Aの変動表示を要求するか否かを示すフラグであり、後述する第1変動開始要求処理(図10参照)において、入賞球格納エリアA203a1(図5参照)における実行エリアからカウンタ値が取得されるとオンされ、第1図柄表示装置37Aにおいて変動表示が開始されるタイミングでオフされる。なお、これらのフラグ203d,203eは、いずれも、電源投入時にオフに初期化される。
【0080】
さらに、RAM203は、上記以外に、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを備えている。RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
【0081】
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図8参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図7参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図17参照)が即座に実行される。
【0082】
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A、第1図柄表示装置37B、第2図柄表示装置82や、図示しないスイッチ群やセンサ群などからなる各種スイッチ206や、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続されている。
【0083】
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを備えている。
【0084】
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを備えている。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図17参照)が即座に実行される。
【0085】
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
【0086】
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回転操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサにより検出し、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、操作ハンドル51の回動量に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
【0087】
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33や表示ランプ34や保留ランプ85など)における点灯および消灯の出力、表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを備えている。
【0088】
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226やランプ表示装置227などがそれぞれ接続されている。
【0089】
表示制御装置114は、第3図柄表示装置(LCD)81における第3図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置114は、MPU231と、ROM(プログラムROM)232と、ワークRAM233と、ビデオRAM234と、キャラクタROM235と、画像コントローラ236と、入力ポート237と、出力ポート238と、バスライン239,240とを備えている。入力ポート237の入力側には音声ランプ制御装置113の出力側が接続され、入力ポート237の出力側には、MPU231、ROM232、ワークRAM233、画像コントローラ236が接続されている。画像コントローラ236には、ビデオRAM234、キャラクタROM235が接続されると共に、バスライン240を介して出力ポート238が接続されている。出力ポート238の出力側には、第3図柄表示装置81が接続されている。なお、パチンコ機10は、大当たりの抽選確率や1回の大当たりで払い出される賞球数が異なる別機種であっても、第3図柄表示装置81で表示される図柄構成が全く同じ仕様の機種があるので、表示制御装置114は共通部品化されコスト低減が図られている。
【0090】
表示制御装置114のMPU231は、音声ランプ制御装置113から入力された図柄表示用のコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81の表示内容を制御する。ROM232は、MPU231により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリである。ワークRAM233は、MPU231による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリであり、演出許可フラグ233aと変動開始フラグ233bとを備えている。
【0091】
演出許可フラグ233aは、主制御装置110の初期設定の処理後に送信される演出許可コマンドを音声ランプ制御装置113を介して受信するとオンされ、電源断の発生によりオフされるフラグである。変動開始フラグ233bは、主制御装置110から出力された変動パターンコマンドに対応するコマンドを音声ランプ制御装置113から受信した場合にオンされると共に第3図柄表示装置81において変動表示が開始されたらオフされるフラグである。
【0092】
キャラクタROM235は、第3図柄表示装置81に表示される図柄(背景図柄や装飾図柄)などのキャラクタ情報が記憶されたキャラクタ情報メモリ235aを備えている。このキャラクタ情報メモリ235aに記憶されているキャラクタ情報としては、変動表示される第3図柄のキャラクタ図柄や、背景図柄や、予告キャラクタ図柄などが記憶されている。
【0093】
キャラクタ情報メモリ235aには、記憶するデータ量を少なくするために、上記のようなキャラクタ情報が圧縮形式のデータで記憶されている。本実施の形態では、キャラクタ情報は約1024Mバイトで構成されており、その約1024Mバイトのキャラクタ情報が、約768Mバイトに圧縮されてキャラクタ情報メモリ235aに記憶されている。キャラクタ情報メモリ235aに圧縮形式のデータとして記憶されているキャラクタ情報は、読み出されると、解凍された後にキャラクタ情報記憶領域234bに書き込まれる。
【0094】
ビデオRAM234は、第3図柄表示装置81に表示される表示内容(変動表示の演出パターンや、リーチ演出時の演出内容など)に対応する演出データが記憶される表示用記憶領域234aと、キャラクタROM235のキャラクタ情報メモリ235aに記憶された圧縮形式のキャラクタ情報を解凍したデータが記憶されるキャラクタ情報記憶領域234bとを備えている。
【0095】
表示用記憶領域234aは、第3図柄表示装置81に表示される演出データを記憶するためのメモリであり、その表示用記憶領域234aの内容を書き替えることにより、第3図柄表示装置81の表示内容が変更される。キャラクタ情報記憶領域234bには、背景図柄や装飾図柄などの素材となるキャラクタデータが記憶され、このキャラクタ情報記憶領域234bから第3図柄表示装置81に表示するための必要なデータが読み出されて表示用記憶領域234aに書き込まれる。
【0096】
なお、キャラクタ情報をビデオRAM234のキャラクタ情報記憶領域234bに記憶させるのは、一般的に処理速度がROMよりRAMの方が高速であるためであり、キャラクタ情報をキャラクタROM235から直接、表示用記憶領域234aに直接書き込む場合、読み出すデータ量が大きいと読み出しに時間を有しスムーズな表示ができなかったり鮮明な表示ができないからである。更に、RAMにおいて表示データの加工(例えば、装飾図柄の大きさの変更や背景図柄の色の変更)などが容易であるためである。
【0097】
画像コントローラ236は、MPU231、ビデオRAM234、出力ポート238のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM234に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して第3図柄表示装置81に表示させるものである。
【0098】
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)とを有するRAM消去スイッチ回路253とを備えている。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
【0099】
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図17参照)を正常に実行し完了することができる。
【0100】
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110及び払出制御装置111は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
【0101】
次に、図5を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられる入賞球格納エリア203aやカウンタ等について説明する。これらの入賞球格納エリア203aやカウンタ等は、大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37Bの表示の設定、第2図柄表示装置82の表示結果の抽選などを行うために、主制御装置110のMPU201で使用される。
【0102】
大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37Bの表示の設定には、大当たりの抽選に使用する第1当たり乱数カウンタC1と、大当たり図柄の選択に使用する第1当たり種別図柄カウンタC2と、停止パターン選択カウンタC3と、第1当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する第1初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1,CS2,CS3とが用いられる。また、第2図柄表示装置82の抽選には、第2当たり乱数カウンタC4が用いられ、第2当たり乱数カウンタC4の初期値設定には第2初期値乱数カウンタCINI2が用いられる。これら各カウンタは、更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
【0103】
各カウンタは、メイン処理(図8参照)の実行間隔である4ms間隔、またはタイマ割込処理(図17参照)の実行間隔である2ms間隔で更新され、その更新値がRAM203の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。
【0104】
また、RAM203には、上記したように入賞球格納エリア203aが設けられている。図5に示すように、この入賞球格納エリア203aは、入賞球格納エリアA203a1と入賞球格納エリアB203a2とから構成されている。
【0105】
ここで、入賞球格納エリアA203a1は、第1入球口A64への球の入賞があった場合に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、及び停止パターン選択カウンタC3の各値をそれぞれ格納するエリアであり、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる5つのエリアから構成されている。
【0106】
一方で、入賞球格納エリアB203a2は、第1入球口B640への球の入賞があった場合に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、及び停止パターン選択カウンタC3の各値をそれぞれ格納するエリアであり、1つの実行エリアから構成されている。
【0107】
これらの入賞球格納エリア203a(203a1,203a2)の各エリアには、第1入球口A64又は第1入球口B640への球の入賞タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
【0108】
次に、各カウンタについて詳しく説明する。第1当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る構成となっている。特に、第1当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値が当該第1当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。また、第1初期値乱数カウンタCINI1は、第1当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜738)、タイマ割込処理(図14参照)の実行毎に1回更新されると共に、メイン処理(図8参照)の残余時間内で繰り返し更新される。第1当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(本実施の形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口A64又は第1入球口B640に入賞したタイミングでRAM203における対応する入賞球格納エリア203a(203a1,203a2)に格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「373,727」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は14で、その値は「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,631,683,733」である。
【0109】
第1当たり種別カウンタC2は、大当たりの際の第1図柄表示装置37A,37Bの表示態様を決定するものであり、本実施の形態では、0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。第1当たり種別カウンタC2の値は、例えば定期的に(本実施の形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口A64又は第1入球口B640に入賞したタイミングでRAM203における対応する入賞球格納エリア203a(203a1,203a2)に格納される。なお、大当たり後に高確率状態となる乱数の値は「1,2,3」であり、大当たり後に低確率状態となる乱数の値は「0,4」であり、2種類の当たり種別が決定される。よって、第1図柄表示装置37A,37Bに表示される停止図柄に対応した表示態様は、高確率状態と低確率状態との2種類の大当たりに対応した表示態様と、はずれに対応した1種類の表示態様との合計3種類の表示態様のうち、いずれか1つが選択される。なお、高確率状態とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動(確変)の時をいう。また、通常状態(低確率状態)とは、確変でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。
【0110】
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、停止パターン選択カウンタC3によって、第3図柄表示装置81で表示される演出のパターンが選択され、リーチが発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」(例えば0〜8の範囲)と、同じくリーチ発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」(例えば9〜38の範囲)と、リーチ発生しない「完全外れ」(例えば39〜238の範囲)との3つの停止(演出)パターンが選択される。停止パターン選択カウンタC3の値は、例えば定期的に(本実施の形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口A64又は第1入球口B640に入賞したタイミングでRAM203における対応する入賞球格納エリア203a(203a1,203a2)に格納される。
【0111】
なお、停止パターン選択カウンタC3の値(乱数値)から停止パターンを選択するために参照されるテーブル(図示せず)がMPU201内に設けられており、停止パターンは、このテーブルと停止パターン選択カウンタC3の値とに基づいて選択される。なお、かかるテーブルは、1の停止パターンを取り得る停止パターン選択カウンタC3の値の範囲が異なるように、複数のテーブルが設けられている。これは、現在のパチンコ機10の状態が高確率状態であるか低確率状態であるか、入賞球格納エリアA203a1のどの保留エリアに各乱数値が格納されているか(即ち保留個数)等に応じて、各停止パターンの選択比率を変更するためである。
【0112】
例えば、高確率状態では、大当たりが発生し易いため必要以上にリーチ演出が選択されないように、「完全外れ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が10〜238と広いテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され易くなる。このテーブルは、「前後外れリーチ」が0〜5と狭くなると共に「前後外れ以外リーチ」も6〜9と狭くなり、「前後外れリーチ」や「前後外れ以外リーチ」が選択され難くなる。また、低確率状態で入賞球格納エリア203aに各乱数値が格納されていなければ、第1入球口B640への球の入球時間を確保するために「完全外れ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が51〜238と狭いテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され難くなる。このテーブルは、「前後外れ以外リーチ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が9〜50と広くなり、「前後外れ以外リーチ」が選択され易くなっている。よって、低確率状態では、第1入球口B640への球の入球時間を確保できるので、第3図柄表示装置81による変動表示が継続して行われ易くなる。なお、このテーブルは、高確率状態であるか低確率状態であるかや、保留個数に応じてだけでなく、第1入球口A64へ球が入賞したか第1入球口B640へ球が入賞したかに応じても異なるように構成してもよい。
【0113】
2つの変動種別カウンタCS1,CS2のうち、一方の変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、他方の変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS1を「第1変動種別カウンタ」、CS2を「第2変動種別カウンタ」ともいう。
【0114】
第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の大まかな表示態様(表示態様の種別)が決定される。表示態様の決定は、具体的には、図柄変動の変動時間の決定である。また、第2変動種別カウンタCS2によって、リーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄列Z2又は中図柄列Z2’の図柄(中図柄))が停止するまでの変動時間(言い換えれば、変動図柄数)が決定される。そして、変動種別カウンタCS1,CS2により決定された変動時間に基づいて、表示制御装置114により第3図柄表示装置81で表示される第3図柄のリーチ種別や細かな図柄変動態様が決定される。
【0115】
従って、これらの変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。これらの変動種別カウンタCS1,CS2の値は、後述するメイン処理(図8参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。なお、本実施の形態では、変動種別カウンタCS1,CS2の組み合わせによって図柄変動態様を決定するが、第1変動種別カウンタCS1のみで図柄変動態様を決定したり、第1変動種別カウンタCS1と停止図柄との組み合わせで同じく図柄変動態様を決定したりすることも可能である。
【0116】
ここで、変動種別カウンタCS1の値(乱数値)と表示態様の種別とを対応付けたテーブル(図示せず)がMPU201内に設けられており、変動種別カウンタCS1の値から表示態様の種別(大まかな表示態様)を選択する場合には、かかるテーブルが参照される。本実施の形態では、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、1の表示態様の種別を取り得る変動種別カウンタCS1の値の範囲が異なるように2種類のテーブルが設けられており、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、各表示態様の種別の選択比率が異なるように構成されている。
【0117】
同様に、変動種別カウンタCS2の値(乱数値)から最終停止図柄が停止するまでの変動時間(変動図柄数)を選択するためのテーブル(図示せず)がROM202に設けられている。かかるテーブルもまた、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、1の変動時間(最終停止図柄が停止するまでの変動時間)を取り得る変動種別カウンタCS2の値の範囲が異なるように2種類設けられている。
【0118】
このように、本実施の形態のパチンコ機10では、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じても多種多様な変動パターンが選択されるように構成されている。その結果、第3図柄表示装置81で表示される第3図柄の各変動パターンは、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて多種多様に現出することとなる。従って、本実施の形態のパチンコ機10によれば、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて異なる印象を遊技者に与えることができるので、遊技者に高い興趣を提供することができる。
【0119】
変動種別カウンタCS3の値は、例えば、0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後に0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS3を「第3変動種別カウンタ」ともいう。本実施の形態の第3図柄表示装置81は、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示態様に応じた装飾的な演出を行うものであり、図柄の変動以外に、変動している図柄を滑らせたり、リーチ演出の発生を予告するための予告キャラクタを通過させるなどの予告演出が行われる。その予告演出の演出パターンが変動種別カウンタCS3により選択される。具体的には、予告演出に必要となる時間を変動時間に加算したり、反対に変動表示される時間を短縮するために変動時間を減算したり、変動時間を加減算しない演出パターンが選択される。なお、上記した停止パターン選択カウンタC3の場合と同様に、この変動種別カウンタCS3の場合も、変動種別カウンタCS3の値(乱数値)に対して選択される停止パターンの範囲が異なるように、複数のテーブルが設けられている。即ち、現在のパチンコ機10の状態が高確率状態であるか低確率状態であるか、入賞球格納エリア203aのどのエリアに各乱数値が格納されているか等に応じて、各演出パターンの選択比率が異なるテーブルが設けられている。なお、このテーブルもまた、停止パターン選択カウンタC3に対応するテーブルと同様に、高確率状態であるか低確率状態であるかや、保留個数に応じてだけでなく、第1入球口A64へ球が入賞したか第1入球口B640へ球が入賞したかに応じても異なるように構成してもよい。
【0120】
上述したように、変動種別カウンタCS1,CS2により図柄変動の変動時間が決定されると共に、変動種別カウンタCS3により変動時間に加減算される時間が決定される。よって、最終停止図柄が停止するまでの最終的な変動時間は、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3により決定される。
【0121】
第2当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。第2当たり乱数カウンタC4の値は、本実施の形態ではタイマ割込処理毎に、例えば定期的に更新され、球が左右何れかの第2入球口(スルーゲート)67を通過したことが検知された時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」となっている。なお、第2初期値乱数カウンタCINI2は、第2当たり乱数カウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込処理(図14参照)毎に1回更新されると共に、メイン処理(図8参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
【0122】
次に、図6を参照して、第3図柄表示装置81の表示内容について説明する。図6は、第3図柄表示装置81の表示画面を説明するための図であり、図6(a)は、表示画面が横スクロールする場合における実際の画面及び有効ライン設定とを示した模式図であり、図6(b)は、表示画面が縦スクロールする場合における実際の画面及び有効ライン設定とを示した模式図である。
【0123】
第3図柄は、「0」から「9」の数字に対応する10種類のキャラクタ図柄からなる10種類の主図柄と、この主図柄より小さく形成された1種類の副図柄(本実施の形態では、貝の絵図柄)とにより構成されている。これらの主図柄及び副図柄は、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されることによって図柄列を構成している。
【0124】
また、本実施の形態のパチンコ機10においては、主制御装置110による抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う変動表示が行われ、その変動表示が終わった後に大当たりが発生するよう構成されている。大当たり終了後に高確率状態(確変状態)に移行する場合は、奇数番号に対応する主図柄(「高確率図柄」に相当)が揃う変動表示が行われる。一方、大当たり終了後に低確率状態に移行する場合は、偶数番号に対応する主図柄(「低確率図柄」に相当)が揃う変動表示が行われる。
【0125】
ここで、本実施の形態のパチンコ機10においては、第3図柄表示装置81に表示される変動表示が、第1入球口A64へ球が入賞したか第1入球口B640へ球が入賞したかに応じて異なるように構成されている。
【0126】
具体的には、第1入球口A64への球の入賞に起因する変動表示である場合には、図6(a)に示すように、各図柄列毎に主図柄及び副図柄が周期性をもって右から左(矢印X方向)へスクロール(横スクロール)するように変動表示される。なお、図6(a)に示すように、かかる横スクロール時には、各図柄列は、上・中・下の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。この場合、上図柄列Z1においては、主図柄列に対応する数字が降順に現れるように配列され、中図柄列Z2及び下図柄列Z3においては、主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。
【0127】
一方で、第1入球口B640への球の入賞に起因する変動表示である場合には、図6(b)に示すように、各図柄列毎に主図柄及び副図柄が周期性をもって上から下(矢印Y方向)へスクロール(縦スクロール)するように変動表示される。なお、図6(b)に示すように、かかる縦スクロール時には、各図柄列は、左・中・右の3つの図柄列Z1’,Z2’,Z3’が表示される。この場合、左図柄列Z1’においては、主図柄列に対応する数字が降順に現れるように配列され、中図柄列Z2’及び右図柄列Z1’においては、主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。
【0128】
図6(a)及び図6(b)に示すように、第3図柄表示装置81の表示画面には、それぞれ、各図柄列(Z1〜Z3又はZ1’〜Z3’)毎に左・中・右又は上・中・下の3段に第3図柄が表示される。従って、第3図柄表示装置81には、3段×3列の計9個の第3図柄が表示される。
【0129】
ここで、第3図柄表示装置81の表示画面には、縦スクロール時及び横スクロール時のいずれの場合も5つの有効ラインが設定されている。具体的には、図6(a)に示すように、横スクロール時には、左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5の5つのラインが有効ラインとして設定されている。また、図6(b)に示すように、縦スクロール時には、上ラインL1’、中ラインL2’、下ラインL3’、右上がりラインL4’、左上がりラインL5’の5つのラインが有効ラインとして設定されている。
【0130】
そして、毎回の遊技に際して、縦又は横にスクロールする変動表示の停止時にいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示される。なお、横スクロールの場合(図6(a))には、上図柄列Z1→下図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、縦スクロールの場合(図6(b))には、左図柄列Z1’→右図柄列Z3’→中図柄列Z2’の順に変動表示が停止する。
【0131】
次に、図7から図17のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU201の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2ms周期で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
【0132】
図14は、タイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込処理は、主制御装置110のMPU201により例えば2ms毎に実行される。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S501)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチの状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
【0133】
次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S502)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では738)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では250)に達した際、0にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203の該当するバッファ領域に格納する。
【0134】
更に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4の更新を実行する(S503)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、738,4,238,250)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
【0135】
その後は、第1入球口A64への入賞に伴う第1始動入賞処理(図15参照)を実行し(S504)、第1入球口B640への入賞に伴う第2始動入賞処理(図16参照)を実行し(S505)、発射制御処理を実行して(S506)、タイマ割込処理を終了する。なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサにより検出し、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理である。主制御装置110は、球の発射がオンである場合に、発射制御装置112に対して球の発射指示をする。
【0136】
ここで、図15のフローチャートを参照して、上記した第1始動入賞処理(S504)について説明する。図15は、タイマ割込処理(図14参照)の中で実行される第1始動入賞処理(S504)を示すフローチャートである。
【0137】
図15に示すように、この第1始動入賞処理(S504)では、まず、球が第1入球口A64に入賞(始動入賞)したか否かを判別する(S1601)。このS1601の処理により確認した結果、第1入球口A64への入賞がない場合には(S1601:No)、何も行うことなく、この第1始動入賞処理(S504)を終了してタイマ割込処理(図14参照)へ戻る。
【0138】
一方で、S1601の処理により確認した結果、球が第1入球口A64に入賞したと判別された場合には(S1601:Yes)、特図A保留球カウンタ203bの値、即ち、第1図柄表示装置37Aの作動保留球数NAが予め規定されている上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する(S1602)。
【0139】
S1602の処理により確認した結果、特図A保留球カウンタ203bの値が4未満、即ち、作動保留球数NAが4未満であれば(S1602:Yes)、特図A保留球カウンタ203bに1加算し(S1603)、更に、タイマ割込処理(図14参照)におけるS503の処理により更新した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値を、RAM203の入賞球格納エリアA203a1の空き保留エリアのうち最初のエリアに格納し(S1604)、この第1始動入賞処理(S504)を終了してタイマ割込処理(図14参照)へ戻る。
【0140】
一方で、S1602の処理により確認した結果、特図A保留球カウンタ203bの値が4である場合、即ち、作動保留球数NAが既に上限値に到達している場合には(S1602:No)、S1603〜S1604の各処理をスキップし、この第1始動入賞処理(S504)を終了してタイマ割込処理(図14参照)へ戻る。
【0141】
次に、図16のフローチャートを参照して、上記した第2始動入賞処理(S505)について説明する。図16は、タイマ割込処理(図14参照)の中で実行される第2始動入賞処理(S505)を示すフローチャートである。
【0142】
図16に示すように、この第2始動入賞処理(S505)では、まず、球が第1入球口B640に入賞(始動入賞)したか否かを判別する(S1621)。このS1621の処理により確認した結果、第1入球口B640への入賞がない場合には(S1621:No)、何も行うことなく、この第2始動入賞処理(S505)を終了してタイマ割込処理(図14参照)へ戻る。
【0143】
一方で、S1621の処理により確認した結果、球が第1入球口B640に入賞したと判別された場合には(S1621:Yes)、特図B変動待機フラグ203dがオンであるかを確認する(S1622)。
【0144】
S1622の処理により確認した結果、特図B変動待機フラグ203dがオン、即ち、第1入球口B640へ球が入賞したにもかかわらず、第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示が待機中の状態である場合には(S1622:Yes)、そのまま、この第2始動入賞処理(S505)を終了してタイマ割込処理(図14参照)へ戻る。
【0145】
一方で、S1622の処理により確認した結果、特図B変動待機フラグ203dがオフ、即ち、第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示が待機されていない状態であれば(S1622:No)、タイマ割込処理における(図14参照)S503の処理により更新した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値を、RAM203の入賞球格納エリアB203a2(入賞球格納エリアB203a2の実行エリア)に格納する(S1623)。
【0146】
S1623の処理後、特図B変動待機フラグ203dをオンし(S1624)、特図B待機回数カウンタ203cに、特図A保留球カウンタ203bの値を、待機回数、即ち、第1入球口B640への球の入賞に基づいて第1図柄表示装置37Bで実行されるべき変動表示を待機する回数として設定し(S1625)、この第2始動入賞処理(S505)を終了してタイマ割込処理(図14参照)へ戻る。
【0147】
よって、この第2始動入賞処理(S505)によれば、第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示が待機されていない状態で第1入球口B640への入賞が検出された場合に、それ以前から既に保留されている第1図柄表示装置37Aの作動保留球が存在する場合には、その作動保留球の数が、第1図柄表示装置37Bで実行されるべき変動表示を待機する回数として特図B待機回数カウンタ203cに設定される。なお、詳細は後述するが、第1入球口B640への球の入賞に伴って第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示は、特図B待機回数カウンタ203cがゼロ、即ち、待機回数がゼロである場合に実行される。
【0148】
図17は、NMI割込処理を示すフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。すると、MPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S701)、NMI割込処理を終了する。
【0149】
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置111でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から払出発射制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
【0150】
次に、図7を参照して、主制御装置110に電源が投入された場合の立ち上げ処理について説明する。図7は、主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S101)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、払出制御装置111等の周辺制御装置)が動作可能な状態になるのを待つために、ウェイト処理(本実施の形態では1秒)を実行する。次いで、RAM203のアクセスを許可する(S103)。
【0151】
その後は、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(図3参照)がオンされているか否かを判別し(S104)、オンされていれば(S104:Yes)、処理をS110へ移行する。一方、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S104:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S105)、記憶されていなければ(S105:No)、前回の電源遮断時の処理が正常に終了しなかった可能性があるので、この場合も、処理をS110へ移行する。
【0152】
RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S105:Yes)、RAM判定値を算出し(S106)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S107:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS110へ移行する。なお、図8のS213の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
【0153】
S111の処理では、サブ側の制御装置(周辺制御装置)となる払出制御装置111を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(S111)。払出制御装置111は、この払出初期化コマンドを受信すると、RAM213のスタックエリア以外のエリア(作業領域)をクリアし、初期値を設定して、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。主制御装置110は、払出初期化コマンドの送信後は、RAM203の初期化処理(S112、S113)を実行する。
【0154】
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ123を押しながら電源が投入される。従って、立ち上げ処理の実行時にRAM消去スイッチ123が押されていれば、RAMの初期化処理(S112、S113)を実行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様に、RAM203の初期化処理(S112、S113)を実行する。RAMの初期化処理(S112、S113)では、RAM203の使用領域を0クリアし(S112)、その後、RAM203の初期値を設定する(S113)。RAM203の初期化処理の実行後は、S110の処理へ移行する。
【0155】
一方、RAM消去スイッチ123がオンされておらず(S104:No)、電源断の発生情報が記憶されており(S105:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S107:Yes)、RAM203にバックアップされたデータを保持したまま、電源断の発生情報をクリアする(S108)。次に、サブ側の制御装置(周辺制御装置)を駆動電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時の払出復帰コマンドを送信し(S109)、S110の処理へ移行する。払出制御装置111は、この払出復帰コマンドを受信すると、RAM213に記憶されたデータを保持したまま、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。S110の処理では、割込みを許可して、後述するメイン処理に移行する。
【0156】
次に、図8を参照して、上記した立ち上げ処理後に実行されるメイン処理について説明する。図8は、主制御装置110内のMPU201により実行されるメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4ms周期の定期処理としてS201〜S206の各処理が実行され、その残余時間でS209,S210のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
【0157】
メイン処理においては、まず、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置(周辺制御装置)に送信する(S201)。具体的には、S501のスイッチ読み込み処理で検出した入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置111に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、この外部出力処理により、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動表示に必要な変動パターンコマンド、停止図柄コマンド、停止コマンド、演出時間加算コマンド等を音声ランプ制御装置113に送信する。さらに、球の発射を行う場合には、発射制御装置112へ球発射信号を送信する。
【0158】
次に、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の各値を更新する(S202)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240,162)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
【0159】
変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新が終わると、払出制御装置111より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S203)、第1図柄表示装置37A,37Bによる表示を行うための処理や第3図柄表示装置81による第3図柄の変動パターンなどを設定する変動処理を実行する(S204)。なお、変動処理の詳細は図9を参照して後述する。
【0160】
変動処理の終了後は、大当たり状態である場合において可変入賞装置65の特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための大開放口開閉処理を実行する(S205)。即ち、大当たり状態のラウンド毎に特定入賞口65aを開放し、特定入賞口65aの最大開放時間が経過したか、又は特定入賞口65aに球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると特定入賞口65aを閉鎖する。この特定入賞口65aの開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。
【0161】
次に、第2図柄表示装置82による第2図柄(例えば「○」又は「×」の図柄)の表示制御処理を実行する(S206)。簡単に説明すると、球が第2入球口(スルーゲート)67を通過したことを条件に、その通過したタイミングで第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置82の表示部83にて第2図柄の変動表示が実施される。そして、第2当たり乱数カウンタC4の値により第2図柄の抽選が実施され、第2図柄の当たり状態になると、第1入球口B640に付随する電動役物が所定時間開放される。
【0162】
その後は、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S207)、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S207:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていない。よって、かかる場合には、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回のメイン処理の開始から所定時間(本実施の形態では4ms)が経過したか否かを判別し(S208)、既に所定時間が経過していれば(S208:Yes)、処理をS201へ移行し、前述したS201以降の各処理を繰り返し実行する。
【0163】
一方、前回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S208:No)、所定時間に至るまで間、即ち、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、第1初期値乱数カウンタCINI1、第2初期値乱数カウンタCINI2及び変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新を繰り返し実行する(S209,S210)。
【0164】
まず、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新を実行する(S209)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では738、250)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。
【0165】
次に、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新を実行する(S210)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240,162)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。
【0166】
ここで、S201〜S206の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、第1当たり乱数カウンタC1の初期値、第2当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1,CS2,CS3についてもランダムに更新することができる。
【0167】
また、S207の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S207:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図17のNMI割込処理が実行されたということなので、S211以降の電源遮断時の処理が実行される。まず、各割込処理の発生を禁止し(S211)、電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置(払出制御装置111や音声ランプ制御装置113等の周辺制御装置)に対して送信する(S212)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S213)、RAM203のアクセスを禁止して(S214)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
【0168】
なお、S207の処理は、S201〜S206で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS209とS210の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置110のメイン処理において、各設定が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS201の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS201の処理から開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S101)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S201の処理から開始することができる。従って、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり暴走することなく正確な制御を行うことができる。
【0169】
次に、図9を参照して、変動処理(S204)について説明する。図9は、メイン処理(図8参照)の中で実行される変動処理(S204)を示すフローチャートである。この変動処理では、まず、今現在大当たり中であるか否かを判別する(S301)。大当たり中としては、大当たりの際に第3図柄表示装置81及び第1図柄表示装置37A,37Bで表示される大当たり遊技の最中と大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判別の結果、大当たり中であれば(S301:Yes)、そのまま本処理を終了する。
【0170】
大当たり中でなければ(S301:No)、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示態様が変動中であるか否かを判別し(S302)、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示態様が変動中でなければ(S302:No)、特図A保留球カウンタ203bの値、即ち、第1図柄表示装置37Aの作動保留球数NAが0よりも大きいか否かを判別する(S303)。
【0171】
S303の処理により確認した結果、作動保留球数NA>0であれば(S303:Yes)、入賞球格納エリアA203a1の状態を更新し、実行エリアに格納されている各値を取得して第1図柄表示装置37Aにおける変動表示の準備を図る第1変動開始要求処理を実行する(S304)。なお、この第1変動開始要求処理(S304)については、図10を参照して後述する。
【0172】
第1変動開始要求処理(S304)の実行後は、入賞球格納エリアB203a2に格納されている各値を取得して第1図柄表示装置37Bにおける変動表示の準備を図る第2変動開始要求処理を実行する(S305)。なお、この第2変動開始要求処理(S305)については、図11を参照して後述する。
【0173】
一方で、S303の処理により確認した結果、作動保留球数NAが0であれば(S303:No)、特図B変動待機フラグ203dがオンであるかを確認し(S311)、特図B変動待機フラグ203dがオンであれば(S311:Yes)、入賞球格納エリアA203a1は空であるが、入賞球格納エリアB203a2に値が格納されているので、入賞球格納エリアB203a2に格納されている各値を取得して第1図柄表示装置37Bにおける変動表示の準備を図る第3変動開始要求処理(S312)を実行する。なお、この第3変動開始要求処理(S312)については、図12を参照して後述する。
【0174】
第2変動開始要求処理(S305)又は第3変動開始要求処理(S312)の実行後は、第1変動開始要求処理(S304)、第2変動開始要求処理(S305)、又は第3変動開始要求処理(S312)において取得された値に基づいて第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの変動開始処理を実行し(S306)、この変動処理(S204)を終了する。なお、変動開始処理については、図13を参照して後述する。
【0175】
一方で、S311の処理により確認した結果、特図B変動待機フラグ203dがオフであれば(S311:No)、入賞球格納エリアA203a1にも入賞球格納エリアB203a2にも値が格納されていないので、この変動処理(S204)を終了する。
【0176】
また、S302の処理において、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示態様が変動中であると判別されると(S302:Yes)、変動時間が経過したか否かを判別する(S307)。第1図柄表示装置37A,37Bの変動中の表示時間は、変動種別カウンタCS1,CS2により選択された変動パターンと変動種別カウンタCS3により選択された加算時間とに応じて決められており、この変動時間が経過していなければ(S307:No)、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示を更新する(S308)。
【0177】
本実施の形態では、第1図柄表示装置37A及び第1図柄表示装置37Bのいずれも、複数のLED37Aa,37Baの内、変動が開始されてから変動時間が経過するまでは、例えば、現在点灯しているLEDが赤であれば、その赤のLEDを消灯すると共に緑のLEDを点灯させ、緑のLEDが点灯していれば、その緑のLEDを消灯すると共に青のLEDを点灯させ、青のLEDが点灯していれば、その青のLEDを消灯すると共に赤のLEDを点灯させる表示態様が設定される。
【0178】
なお、変動処理は4ms毎に実行されるが、その変動処理の実行毎にLEDの点灯色を変更すると、LEDの点灯色の変化を遊技者が確認することができない。そこで、遊技者がLEDの点灯色の変化を確認することができるように、変動処理が実行される毎にカウンタ(図示せず)を1カウントし、そのカウンタが100に達した場合に、LEDの点灯色の変更を行う。即ち、0.4s毎にLEDの点灯色の変更を行っている。なお、カウンタの値は、LEDの点灯色が変更されたら、0にリセットされる。
【0179】
一方、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの変動時間が経過していれば(S307:Yes)、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの停止図柄に対応した表示態様が設定される(S309)。停止図柄の設定は、第1当たり乱数カウンタC1の値に応じて大当たりか否かが決定されると共に、大当たりである場合には第1当たり種別カウンタC2の値により大当たり後に高確率状態となる図柄か低確率状態となる図柄かが決定される。本実施の形態では、大当たり後に高確率状態になる場合には赤色のLEDを点灯させ、低確率状態になる場合には緑色のLEDを点灯させ、外れである場合には青色のLEDを点灯させる。なお、各LEDの表示は、次の変動表示が開始される場合に点灯が解除されるが、変動の停止後数秒間のみ点灯させるものとしても良い。
【0180】
S309の処理で停止図柄に対応した第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示態様が設定されると、第3図柄表示装置81の変動停止を第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37BにおけるLEDの点灯と同調させるために停止コマンドが設定される(S310)。音声ランプ制御装置113は、この停止コマンドを受信すると、表示制御装置114に対して停止指示をする。第3図柄表示装置81は、変動時間が経過すると変動が停止し、停止コマンドを受信することで、第3図柄表示装置81における1の変動演出が終了する。
【0181】
次に、図10を参照して、上記した第1変動開始要求処理(S304)について説明する。図10は、変動処理(S204)の中で実行される第1変動開始要求処理(S304)を示すフローチャートである。
【0182】
この第1変動開始要求処理(S304)では、まず、特図B変動待機フラグ203dがオンであるかを確認し(S1401)、特図B変動待機フラグ203dがオンであれば(S1401:Yes)、特図B待機回数カウンタ203cが1以上であるか(即ち、特図B待機回数カウンタ203c>0であるか)を確認する(S1402)。
【0183】
S1402の処理により確認した結果、特図B待機回数カウンタ203cが0であれば(S1402:No)、入賞球格納エリアB203a2に格納されている値を用いて第1図柄表示装置37Bにおいて変動表示を実行させるべく、この第1変動開始要求処理(S304)を終了し、図11に示す第2変動開始要求処理(S305)へ移行する。
【0184】
一方で、S1402の処理により確認した結果、S1402の処理により確認した結果、特図B待機回数カウンタ203cが1以上であれば(S1402:Yes)、入賞球格納エリアB203a2に格納されている値を用いて第1図柄表示装置37Bで実行されるべき変動表示は待機中にあるので、入賞球格納エリアA203a1に格納されている値を用いて第1図柄表示装置37Aにおいて変動表示を実行させるべく、S1403の処理へ移行する。
【0185】
また、S1401の処理により確認した結果、特図B変動待機フラグ203dがオフであれば(S1401:No)、入賞球格納エリアB203a2には値が格納されていないので、入賞球格納エリアA203a1に格納されている値を用いて第1図柄表示装置37Aにおいて変動表示を実行させるべく、S1403の処理へ移行する。
【0186】
S1403では、入賞球格納エリアA203a1に格納されたデータをシフト(データシフト処理)する(S1403)。このデータシフト処理は、入賞球格納エリアA203a1の保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
【0187】
S1403の処理より、データシフト処理が行われた後、このデータシフト処理の結果、不要になった入賞球格納エリアA203a1のデータ、即ち、最も、実行エリアから離れた最後尾の保留エリアのデータをクリアし(S1404)、特図A保留球カウンタ203b(即ち、第1入球口A64への入賞が保留された球数である作動保留球数NA)を減算し(S1405)、特図A保留球カウンタ203bの値を設定する(S1406)。
【0188】
S1406の処理の結果、設定された特図A保留球カウンタ203bの値は、メイン処理における次のサイクルにおけるS201において音声ランプ制御装置113へ出力されて、次に実行される第1図柄表示装置37Aの変動表示の開始時(変動開始時)に、特図A保留球カウンタ203bの値に対応する数の保留ランプ85が点灯される。また、S1404の処理の結果として、次に実行される第1図柄表示装置37Aの変動開始時に、第1図柄表示装置37AにおけるLED37Aaが、特図A保留球カウンタ203bの値に応じて点灯される。
【0189】
S1406の処理後、入賞球格納エリアA203a1の実行エリアに格納されている各カウンタ値、即ち、第1当たり乱数カウンタC1の値と、第1当たり種別カウンタC2の値と、停止パターン選択カウンタC3の値とを取得する(S1407)。
【0190】
S1407の処理後、特図B待機回数カウンタ203cを1減算し(S1408)、特図B待機回数カウンタ203cの値を設定し(S1409)、特図A変動開始要求フラグ203eをオンし(S1410)、この第1変動開始要求処理(S304)を終了する。
【0191】
S1409の処理の結果として、次に実行される第1図柄表示装置37Aの変動開始時に、第1図柄表示装置37BにおけるLED37Baが、特図B待機回数カウンタ203cの値、即ち、第1入球口B640への球の入賞に伴って第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示の待機回数に応じて点灯される。
【0192】
上記した第1変動開始要求処理(S304)によれば、入賞球格納エリアA203a1と入賞球格納エリアB203a2との両方にカウンタ値が格納されている場合に、特図B待機回数カウンタ203cが1以上である場合には、入賞球格納エリアB203a2に格納されているカウンタ値による第1図柄表示装置37Bの変動表示が待機され、入賞球格納エリアA203a1に格納されているカウンタ値が、第1図柄表示装置37Aにおける変動表示を行わせるべく優先的に取得される。その際、入賞球格納エリアA203a1に格納されているカウンタ値の中で、第1入球口A64への入賞順序が時間的に最も古い入賞に基づいて取得されたカウンタ値が取得される。一方で、特図B待機回数カウンタ203cが0である場合には、次に説明する第2変動開始要求処理(S305)において入賞球格納エリアB203a2に格納されているカウンタ値が、第1図柄表示装置37Bにおける変動表示を行わせるべく取得される。
【0193】
よって、本実施の形態のパチンコ機10によれば、特図B待機回数カウンタ203cが示す値(待機回数)に応じて、第1入球口A64及び第1入球口B640への入賞順序を区別しつつ、入賞球格納エリアA203a2に格納されているカウンタ値を用いて第1図柄表示装置37Aの変動表示を行うか、入賞球格納エリアB203a2に格納されているカウンタ値を用いて第1図柄表示装置37Bの変動表示を行うかが決定することができる。
【0194】
次に、図11を参照して、上記した第2変動開始要求処理(S305)について説明する。図11は、変動処理(S204)の中で実行される第2変動開始要求処理(S305)を示すフローチャートである。
【0195】
この第2変動開始要求処理(S305)では、まず、特図A変動開始要求フラグ203eがオンであるかを確認し(S1421)、特図A変動開始要求フラグ203eがオンであれば(S1421:Yes)、この第2変動開始要求処理(S305)に先立って実行された第1変動開始要求処理(図10参照)において、入賞球格納エリアA203a1に格納されている値が第1図柄表示装置37Aにおいて変動表示を実行させるべく既に取得されているので、何も行うことなく、この第2変動開始要求処理(S305)を終了し、図13に示す変動開始処理(S306)へ移行する。
【0196】
一方で、S1421の処理により確認した結果、特図A変動開始要求フラグ203eがオフであれば(S1421:No)、入賞球格納エリアB203a2に格納されている値を用いて第1図柄表示装置37Bにおいて変動表示を実行させるべく、S1422の処理へ移行する。
【0197】
S1422では、入賞球格納エリアB203a2(入賞球格納エリアB203a2の実行エリア)に格納されている各カウンタ値、即ち、第1当たり乱数カウンタC1の値と、第1当たり種別カウンタC2の値と、停止パターン選択カウンタC3の値とを取得する(S1422)。
【0198】
S1422の処理後、特図変動待機フラグ203dをオフし(S1423)、この第2変動開始要求処理(S305)を終了し、図13に示す変動開始処理(S306)へ移行する。
【0199】
次に、図12を参照して、上記した第3変動開始要求処理(S312)について説明する。図12は、変動処理(S204)の中で実行される第3変動開始要求処理(S312)を示すフローチャートである。
【0200】
この第3変動開始要求処理(S312)では、まず、入賞球格納エリアB203a2(入賞球格納エリアB203a2の実行エリア)に格納されている各カウンタ値、即ち、第1当たり乱数カウンタC1の値と、第1当たり種別カウンタC2の値と、停止パターン選択カウンタC3の値とを取得し(S1441)、特図変動待機フラグ203dをオフし(S1442)、この第3変動開始要求処理(S312)を終了し、図13に示す変動開始処理(S306)へ移行する。
【0201】
次に、図13を参照して、変動開始処理について説明する。図13は、変動処理(図9参照)の中で実行される変動開始処理(S306)を示したフローチャートである。変動開始処理(S305)では、まず、S1407(図10参照)かS1422(図11参照)かS1441(図12参照)のいずれかの処理によって取得した第1当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する(S401)。大当たりか否かは第1当たり乱数カウンタC1の値とその時々のモードとの関係に基づいて判別される。前述した通り通常の低確率時には第1当たり乱数カウンタC1の数値0〜738のうち「373,727」が当たり値であり、高確率時には「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,631,683,733」が当たり値である。
【0202】
大当たりであると判別された場合(S401:Yes)、S1407(図10参照)かS1422(図11参照)かS1441(図12参照)のいずれかの処理によって取得した第1当たり種別カウンタC2の値を確認して、大当たり時の表示態様が設定される(S402)。S402の処理では、第1当たり種別カウンタC2の値に基づき、大当たり後に高確率状態へ移行するか低確率状態へ移行するかが設定される。大当たり後の移行状態が設定されると、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示態様(LED37Aa又はLED37Baの点灯状態)が設定される。また、大当たり後の移行状態に基づいて、第3図柄表示装置81で停止表示される大当たりの停止図柄が音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114で設定される。即ち、S402の処理により大当たり後の移行状態を設定することで、第3図柄表示装置81における停止図柄が設定される。なお、第1当たり種別カウンタC2の数値0〜4のうち、「0,4」の場合は、以後、低確率状態に移行し、「1,2,3」の場合は高確率状態に移行する。
【0203】
次に、特図A変動開始要求フラグ203eがオンであるかを確認し(S403)、特図A変動開始要求フラグ203eがオンであれば(S403:Yes)、第1入球口A64への球の入賞に伴う第1図柄表示装置37Aの変動表示が要求されているので、MPU201内に設けられている変動種別カウンタCS1,CS2用のテーブル(図示せず)のうち、第1入球口A64に対応するテーブルを取得する(S404)。
【0204】
一方で、S403の処理により確認した結果、特図A変動開始要求フラグ203eがオフであれば(S403:Yes)、第1入球口B640への球の入賞に伴う第1図柄表示装置37Bの変動表示が要求されているので、第1入球口B640に対応するテーブルを取得する(S416)。
【0205】
S404又はS416の処理後、取得されたテーブルとRAM203のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値とに基づいて、大当たり時の変動パターンを決定する(S405)。即ち、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の大まかな図柄変動の変動時間を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄列Z2又は中図柄列Z2’の図柄(中図柄))が停止するまでの変動時間(言い換えれば、変動図柄数)を決定する。このS405の処理による変動パターンの決定によって、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示時間が設定されると共に、第3図柄表示装置81において大当たり図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。
【0206】
なお、上記変動時間は、第2変動種別カウンタCS2の値を使わずに第1変動種別カウンタCS1の値だけを用いて設定することも可能であり、第1変動種別カウンタCS1の値だけで設定するか又は両変動種別カウンタCS1,CS2の両値で設定するかは、その都度の第1変動種別カウンタCS1の値や遊技条件などに応じて適宜決めるように構成してもよい。
【0207】
一方で、S401の処理で大当たりではないと判別された場合には(S401:No)、外れ時の表示態様が設定される(S412)。このS412の処理では、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示態様を外れ図柄に対応した表示態様に設定すると共に、入賞球格納エリアA203a1又は入賞球格納エリア203a2の実行エリアに格納されている停止パターン選択カウンタC3の値に基づいて、第3図柄表示装置81において表示させる演出を、前後外れリーチであるか、前後外れ以外リーチであるか、完全外れであるかを設定する。本実施の形態では、上述したように、高確率状態であるか、低確率状態であるか、及び作動保留球数NAに応じて、停止パターン選択カウンタC3の各停止パターンに対応する値の範囲が異なるようテーブルが設定されている。
【0208】
次に、特図A変動開始要求フラグ203eがオンであるかを確認し(S413)、特図A変動開始要求フラグ203eがオンであれば(S413:Yes)、第1入球口A64への球の入賞に伴う第1図柄表示装置37Aの変動表示が要求されているので、MPU201内に設けられている変動種別カウンタCS1,CS2用のテーブル(図示せず)のうち、第1入球口A64に対応するテーブルを取得する(S414)。
【0209】
一方で、S413の処理により確認した結果、特図A変動開始要求フラグ203eがオフであれば(S413:No)、第1入球口B640への球の入賞に伴う第1図柄表示装置37Bの変動表示が要求されているので、第1入球口B640に対応するテーブルを取得する(S417)。
【0210】
S414又はS417の処理後、取得されたテーブルとRAM203のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値とに基づいて、外れ時の変動パターンを決定する(S415)。即ち、上記したS405と同様に、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の大まかな図柄変動の変動時間を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄列Z2又は中図柄列Z2’の図柄(中図柄))が停止するまでの変動時間(言い換えれば、変動図柄数)を決定する。このS415の処理による変動パターンの決定によって、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示時間が設定されると共に、第3図柄表示装置81において外れ図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。
【0211】
ここで、上述したように、MPU201内に設けられている変動種別カウンタCS1,CS2用のテーブル(図示せず)はいずれも、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、1の表示態様の種別を取り得る変動種別カウンタCS1の値の範囲が異なるように2種類のテーブルが設けられており、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、各表示態様の種別の選択比率が異なるように構成されいる。よって、S405の処理によって大当たり時の変動パターンを決定する際や、S415の処理によって外れ時の変動パターンを決定する際に使用されるテーブルは、S403,S404,S416、又は、S413,S414,S417の処理により、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じたものが選択されるので、第3図柄表示装置81で表示される第3図柄の各変動パターンを、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて多種多様に現出させることができ、遊技者に入賞した第1入球口(第1入球口A64又は第1入球口B640)に応じた異なる印象を付与し、その結果として高い興趣を提供することができることになる。
【0212】
S405の処理またはS415の処理が終わると、第1及び第2種別カウンタCS1,CS2により決定された変動時間に加減算される演出時間が決定される(S406)。このとき、RAM203のカウンタ用バッファに格納されている第3種別カウンタCS3の値に基づいて演出時間の加減算が決定され、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示時間が設定されると共に、第3図柄表示装置81の変動時間が設定される。本実施の形態では、演出時間の加減算の決定は、第3変動種別カウンタCS3の値に応じて、変動表示の時間を変更しない場合と変動表示時間を1秒加算する場合、変動表示時間を2秒加算する場合、変動表示時間を1秒減算する場合との4種類の加算値が決定される。
【0213】
なお、変動表示時間が加減算される場合には、第3図柄表示装置81で大当たりの期待値が高くなる予告演出(例えば、変動図柄の変動時間を通常より長くしてスベリを伴わせるスベリ演出や予告キャラを表示させる演出、1の変動図柄の変動時間を通常より短くして即停止させる演出など)が行われる。また、第1当たり乱数カウンタC1の値が大当たりである場合は、2秒の加算値が選択される確率が高く設定されているので、遊技者は予告演出を確認することで大当たりを期待することができる。
【0214】
次に、S405又はS415の処理で決定された変動パターン(変動時間)に応じて変動パターンコマンドを設定し(S407)、S402又はS412の処理で設定された停止図柄に応じて停止図柄コマンドを設定する(S408)。そして、S406の処理で決定された演出時間の加算値に応じて演出時間加算コマンドを設定する(S409)。
【0215】
S409の処理後、特図A変動開始要求フラグ203eの値(オン又はオフ)に応じた、即ち、第1入球口A64に入賞したか第1入球口B640に入賞したかに応じた変動方向コマンドを設定し(S410)、特図A変動開始要求フラグ203eをオフして(S411)、この変動開始処理(S305)を終了して変動処理(図9参照)へ戻る。
【0216】
なお、S410の処理により設定される変動方向コマンドは、第3図柄表示装置81において表示される変動表示を縦スクロールとするか、横スクロールとするかを規定するコマンドである。本実施の形態では、特図A変動開始要求フラグ203eがオンである場合には、横スクロールに対応する変動方向コマンドが設定される。一方、特図A変動開始要求フラグ203eがオフである場合には、縦スクロールに対応する変動方向コマンドが設定される。従って、第1入球口A64へ入賞した場合には第3図柄表示装置81において横スクロールの変動表示が行われ、第1入球口B640へ入賞した場合には第3図柄表示装置81において縦スクロールの変動表示が行われる。
【0217】
この変動開始処理(S305)において設定された各コマンドは、メイン処理における次のサイクルにおけるS201において音声ランプ制御装置113へ出力され、音声ランプ制御装置113によって処理された後、表示制御装置114へ出力されて、その結果として、第3図柄表示装置81において対応する変動変動パターン及び停止図柄が表示される。
【0218】
次に、図18及び図19を参照して、払出制御装置111内のMPU211により実行される払出制御について説明する。図18は、払出制御装置111の立ち上げ処理を示すフローチャートであり、この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S801)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。そして、RAMアクセスを許可すると共に(S802)、外部割込ベクタの設定を行う(S803)。
【0219】
その後は、MPU211内のRAM213に関してデータバックアップの処理を実行する。具体的には、RAM213に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S804)、記憶されていなければ(S804:No)、バックアップデータは記憶されていないので、処理をS811へ移行する。RAM213に電源断の発生情報が記憶されていれば(S804:Yes)、RAM判定値を算出し(S805)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S805:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS811へ移行する。図19のS917の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM213の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM213の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
【0220】
S811,S812のRAMの初期化処理では、RAM213の全ての領域を0クリアした後(S811)、RAM213の初期値を設定する(S812)。その後、MPU211の周辺デバイスの初期設定を行い(S809)、割込みを許可して(S810)、メイン処理へ移行する。
【0221】
一方、電源断の発生情報が設定されており(S804:Yes)、且つRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S806:Yes)、RAM213にバックアップされたデータを保持したまま、電源遮断の発生情報をクリアすると共に(S807)、賞球の払い出しを待機させるために、払出許可フラグ213dをオフする(S808)。その後、MPU211の周辺デバイスの初期設定を行い(S809)、割込みを許可して(S810)、メイン処理へ移行する。
【0222】
次に、図19のフローチャートを参照して、払出制御装置111内のMPU211により実行されるメイン処理を説明する。このメイン処理は、まず主制御装置110からの賞球コマンドや払出復帰コマンド、払出初期化コマンドを受信し、それらコマンドの種別を判定するコマンド判定処理を行う(S901)。該処理では、主制御装置110から送信された正常なコマンドを受信すると、払出許可フラグがオンされ、賞球や貸出球の払い出しが許可される。
【0223】
コマンド判定処理(S901)が終わると、払い出しが許可されているか否か、即ち、払出許可フラグの状態が判別され(S902)、払い出しが許可されていなければ(S902:No)、未だ主制御装置110は立ち上がった状態にないので、かかる場合には、コマンド判定処理(S901)において払い出しの許可がなされるまでコマンド判定処理(S901)を繰り返し実行する。一方、S902の処理において払い出しが許可されていれば(S902:Yes)、状態復帰スイッチ120をチェックし、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する(S903)。
【0224】
その後、下皿50の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する(S904)。即ち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿50の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時に、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時に、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する(S905)。即ち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時に、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時に、タンク球無し解除状態の設定を実行する。その後、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には、払出制御装置111に設けた7セグメントLEDにより報知する(S906)。
【0225】
次に、S907〜S909の各処理により、賞球払出の処理を実行する。即ち、賞球の払出不可状態でなく且つ記憶した総賞球個数が0でなければ(S907:No,S908:No)、賞球の払い出しを行うために賞球制御処理を開始する(S909)。一方、賞球の払出不可状態(S907:Yes)または総賞球個数が0であれば(S908:Yes)、貸球払出の処理に移行する。
【0226】
S910〜S912の貸球払出の処理では、貸球の払出不可状態でなく且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(S910:No,S911:Yes)、貸球を払い出しために貸球制御処理を開始する。一方、貸球の払出不可状態(S910:Yes)または貸球払出要求を受信していない場合には(S911:No)、処理をS913へ移行する。また、貸球制御処理(S912)の終了後も、同様に、処理をS913へ移行する。
【0227】
S913の処理では、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ134の制御(バイブモータ制御)を実行する(S913)。その後は、RAM213に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S914)、電源断の発生情報が記憶されていなければ(S914:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていないので、かかる場合には、処理をS901へ移行して、S901からS913のメイン処理を繰り返し実行する。
【0228】
一方、S914の処理において、電源断の発生情報が記憶されていれば(S914:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図17のNMI割込処理が実行されたということである。よって、かかる場合には、各割込処理の発生の禁止をし(S915)、主制御装置110から送信されるコマンドの受信漏れを防止するために、再度コマンド判定処理を実行する(S916)。そして、RAM判定値を算出してRAM213に保存し(S917)、RAM213のアクセスを禁止して(S918)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、例えば、RAM判定値は、RAM213のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
【0229】
なお、S914の処理は、払出制御装置111のメイン処理の1サイクルが終わるタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断前の状態から復帰する場合には、処理を立ち上げ処理の終了後、S901の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、メイン処理を開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU211が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S801)において、スタックポインタを所定値(初期値)に設定することで、処理をS901から開始することができる。従って、払出制御装置111の制御負担を軽減することができると共に、払出制御装置111が誤動作したり暴走することなく正確な制御を行うことができる。また、各処理が終わったタイミングで電源断の処理が実行されるので、RAM213にバックアップする情報量を少なくすることができる。
【0230】
以上、説明したように、本実施の形態のパチンコ機10によれば、始動条件の成立(始動入賞)にかかわる入球口である第1入球口が第1入球口A64と第1入球口B640との複数設けられており、第1入球口A64に球が入賞した(第1入球口スイッチAにより球が検出された)場合には、入賞球格納エリアA203a1に、第1当たり乱数カウンタC1などのカウンタ値が格納(記憶)される。一方で、第1入球口B640に球が入賞した(第1入球口スイッチBにより球が検出された)場合には、入賞球格納エリアB203a2に、第1当たり乱数カウンタC1などのカウンタ値が格納(記憶)される。即ち、入賞球格納エリアA203a1に格納されているカウンタ値は、第1入球口A64への球の入賞を契機として取得されたカウンタ値であり、入賞球格納エリアB203a2に格納されているカウンタ値は、第1入球口B640への球の入賞を契機として取得されたカウンタ値である。
【0231】
入賞球格納エリアA203a1は、実行エリアと第1〜第4までの保留エリアとから構成されており、第1入球口A64への球の入賞に基づいて第1図柄表示装置37Aに表示すべき変動表示を最大4回保留することができるように構成されており、第1入球口A64への球の入賞順序は、これらの5つのエリア(実行エリア及び第1〜第4保留エリア)によって識別される。具体的には、実行エリアが、時間的に最も古くに第1入球口A64への球の入賞に基づいて取得されたカウンタ値を格納するエリアであり、以降、第1保留エリア、第2保留エリア、第3保留エリア、第4保留エリアの順で順次第1入球口A64への球の入賞に基づいて取得されたカウンタ値が格納されるように構成されている。
【0232】
一方で、入賞球格納エリアB203a2は、1回分の第1入球口A64への球の入賞に基づいて取得されたカウンタ値が格納できる1つの実行エリアから構成されている。ここで、本実施の形態のパチンコ機10では、第1入球口640へ球が入賞し、その入賞に基づいて取得されるカウンタ値を入賞球格納エリアB203a2に格納する際には、S1625(図16参照)の処理によって、それ以前に入賞球格納エリアA203a1に格納されているカウンタ値の数、即ち、保留されている第1図柄表示装置37Aに表示すべき変動表示の回数(特図A保留球カウンタ203bの値)が、特図B待機回数カウンタ203cに設定される。
【0233】
よって、本実施の形態のパチンコ機10によれば、この特図B待機回数カウンタ203cが示す値(待機回数)によって、入賞球格納エリアB203a2に格納されているカウンタ値が第1入球口A64及び第1入球口B640の両方を通じて「いつの通過によって」得られた値であるかを区別することができるのである。
【0234】
また、入賞球格納エリアA203a1に格納されているカウンタ値が「いつの通過によって」得られた値であるかもまた、特図B待機回数カウンタ203cが示す値(待機回数)と、第1入球口A64への球の入賞順序を識別可能とする入賞球格納エリアA203a1の構成とによって区別することができることになる。
【0235】
従って、本実施の形態のパチンコ機10によれば、第1入球口(第1入球口A64又は第1入球口B640)への入賞に対応するカウンタ値を、「どの第1入球口をいつ通過した」ものであるかを区別しつつ、入賞球格納エリアA203a1又は入賞球格納エリアB203a2に格納することができる。その結果、入賞順序に従って(即ち、古くから入賞したものから順に)順次処理する場合に、カウンタ値に応じた処理(動作の制御)を第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて区別して制御することができるのである。
【0236】
ところで、複数の始動口(第1入球口A64や第1入球口640B640に対応する入球口)を有するパチンコ機を考える場合に、それらの複数の始動口のいずれに遊技球が入賞したかに応じて異なる制御を行うには、入賞口毎に独立した保留球格納エリア(入賞球格納エリア)(を設け、入賞した入賞口に応じて保留情報を対応するた保留球格納エリアに記憶することによって「どの入賞口に入賞したか」を区別可能とし、た保留球格納エリアに記憶される保留情報に対し、どの入賞口に入賞したかとは無関係の連番などの順序情報を対応付け、保留情報が1つ消費される毎に、順序情報を1ずつ繰り下げることによって「いつ入賞したか」を区別可能にすることも考えられる。
【0237】
かかる場合、保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対応する順序情報を各々減算する処理を行わねばならないため、制御的負担が大きく、場合によっては、より高級な演算装置を使用する必要が生じるので、遊技機の製造コストが増大するという問題が生じる。
【0238】
しかし、本実施の形態のパチンコ機10によれば、上述したように、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて区別して行われる処理(動作の制御)は、従来からしばしば用いられている入賞球格納エリアA203a1のデータシフト処理に加えて、特図B待機回数カウンタ203cの減算を行うのみであるので、制御的負担や記憶量の増大を抑制しつつ製造することができるのである。
【0239】
以上、一実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0240】
例えば、上記実施の形態では、始動条件の成立(始動入賞)にかかわる入球口である第1入球口として、1つの第1入球口A64と1つの第1入球口B640とを設ける構成としたが、入球回数は保留されないように構成されている第1入球口B640については、同様の第1入球口(即ち、入球回数は保留されないように構成されている第1入球口)が複数設けられた構成であってもよい。
【0241】
なお、第1入球口B640と同様の第1入球口(即ち、第1入球口A64とは異なる第1入球口)を複数設ける場合には、各第1入球口に対して特図B待機回数カウンタ203cに対応するカウンタを設ける構成とする。そして、各カウンタ(特図B待機回数カウンタ203cに対応するカウンタ)に値を設定する処理、即ち、上記実施の形態におけるS1625(図16参照)に対応する処理では、第1入球口A64への入賞に基づいてカウンタ値が格納されている入賞球格納エリア203aにおけるエリア数(即ち、特図A保留球カウンタの値)と第1入球口A64とは異なる第1入球口の通過に基づいてカウンタ値が格納されている入賞球格納エリアの数との和を、入賞した第1入球口に対応するカウンタに設定すればよい。
【0242】
このように、第1入球口B640と同様の第1入球口(即ち、第1入球口A64とは異なる第1入球口)を複数設けた場合には、各第1入球口毎に、第3図柄表示装置81の変動表示の変動パターンなどの動作が異なるように構成してもよい。異なる動作の数が増えることによって、遊技者に与える印象を異ならせることができ、遊技の興趣性を高めることができる。
【0243】
また、複数の第1入球口A64を1組として、1組の第1入球口A64のいずれかに球が入賞した場合であっても、これらの1組の第1入球口A64の全てに共通する入賞球格納エリア203aにカウンタ値を格納する構成としてもよい。
【0244】
また、上記実施の形態では、図1に示すように、第1入球口A64と第1入球口B640とを比較的広く離間し、第1入球口B640に付随する電動役物(図示せず)が閉鎖された状態であっても球が入球可能であるように構成した。これに換えて、第1入球口A64と第1入球口B640との配置間隔を図1に示した場合より狭くし、第1入球口B640に付随する電動役物の開放時には球が入球可能であるが、閉鎖時には球が入球できないように第1入球口A64と第1入球口B640とを配置するような構成であってもよい。
【0245】
また、上記実施の形態においては、第1入球口A64への通過は、最大4回保留できるように構成したが、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定してもよい。
【0246】
また、上記実施の形態では、球が第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて各々異なる動作の制御(例えば、第3図柄表示装置81に変動表示を縦スクロールで表示するか横スクロールで表示するか)を行うように構成した。これは、球が入賞した第1入球口毎に各々異なる制御を実行することに限定することを意図するものではない。例えば、1入球口B640と同様の第1入球口(即ち、第1入球口A64とは異なる第1入球口)を6つ設けた場合に、3つの第1入球口に対してはいずれに入賞しても同じ動作の制御が実行されるが、残りの3つの第1入球口に対しては各々異なる動作の制御が実行されるような構成であってもよい。また、第1入球口A64へ入賞した場合も第1入球口B640へ入賞した場合も同じ動作の制御が実行されるような構成、即ち、全ての第1入球口への入賞に対して同じ動作の制御が実行されるような構成であってもよい。
【0247】
また、上記実施の形態では、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じた特徴的な動作として、変動表示時において第3図柄表示装置81にて表示される変動パターン(スクロール方向の変更、変動パターンの現出確率の変更)や、変動表示に使用する第1図柄表示装置37A,37Bの選択を例示したが、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じた動作としてこれらがいずれも実行されることを意図するものではない。例えば、変動表示時において第3図柄表示装置81にて表示される変動パターンの現出確率の変更は同じであるが、変動表示時において第3図柄表示装置81にて表示される変動表示のスクロール方向の変更されるものであってもよい。
【0248】
また、上記に加えて又は上記以外に、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、第1当たり乱数カウンタC1の値が大当たりとなる確率を変更するように構成してもよい。例えば、第1入球口B640に入賞した場合に比べ、第1入球口A64に入賞した場合の方が大当たり確率が高くなるように構成してもよい。かかる構成とした場合、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、即ち、入賞した第1入球口(第1入球口A64又は第1入球口B640)に応じて、遊技価値の有利度に変化をつけることができる。その結果、遊技者は、入賞する第1入球口が第1入球口A64であるか第1入球口B640であるかに応じて一喜一憂することになり、遊技者に高い興趣性遊技を提供することができる。
【0249】
さらに、上記に加えて又は上記以外に、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、第1当たり種別カウンタC2の値により大当たり後に高確率状態となる確率を変更するように構成してもよい。例えば、第1入球口B640に入賞した場合に比べ、第1入球口A64に入賞した場合の方が大当たり後に高確率状態となる確率が高くなるように構成してもよい。かかる構成とした場合、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、即ち、入賞した第1入球口(第1入球口A64又は第1入球口B640)に応じて、遊技価値の有利度に変化をつけることができる。その結果、遊技者は、入賞する第1入球口が第1入球口A64であるか第1入球口B640であるかに応じて一喜一憂することになり、遊技者に高い興趣性遊技を提供することができる。なお、大当たり後に時短状態となる機能を有するパチンコ機の場合に、大当たり後に時短状態となる確率を変更するように構成してもよい。
【0250】
また、上記実施の形態では、第1入球口A64及び第1入球口B640の両方に共通するカウンタ(第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3など)を共通にするよう構成したが、これらのカウンタの全て又は一部(例えば、第1当たり乱数カウンタC1、第2当たり種別カウンタC2、及び停止パターン選択カウンタC3)を、第1入球口A64用と第1入球口B640用とで別々に設けるように構成してもよい。即ち、例えば、第1当たり乱数カウンタC1、第2当たり種別カウンタC2、及び停止パターン選択カウンタC3を、それぞれ、第1入球口A64用と第1入球口B640用とで2つずつ設けるように構成してもよい。
【0251】
かかる場合、第1入球口A64用と第1入球口B640用とに別々設けたカウンタの全範囲(即ち、取り得る値の数)は、同じに構成しても異なるように構成してもよい。例えば、第1当たり乱数カウンタC1を第1入球口A64用と第1入球口B640用とで2つ設けた場合には、第1入球口A64用の第1当たり乱数カウンタC1の全範囲(即ち、取り得る値の数)と、第1入球口B640用の第1当たり乱数カウンタC1の全範囲とをそれぞれ同じに構成しても、互いに異なるように構成してもよい。
【0252】
また、カウンタの全範囲に対してある態様に対して割り当てた範囲を、第1入球口A64用と第1入球口B640用とで同じに構成しても異なるように構成してもよい。例えば、第1当たり乱数カウンタC1を第1入球口A64用と第1入球口B640用とで2つ設けた場合に、大当たりとなる範囲をそれぞれ同じに構成しても、互いに異なるように構成してもよい。
【0253】
即ち、第1入球口A64用のカウンタと第1入球口B640用のカウンタとを別々に設けた場合に、カウンタの全範囲やある態様に対して割り当てた範囲の設定によって、ある態様が現出する確率が第1入球口A64へ入賞した場合と第1入球口B640へ入賞した場合とで同じになるように構成しても、互いに異なるように構成してもよい。
【0254】
例えば、第1入球口A64用の第1当たり乱数カウンタC1と第1入球口B640用の第1当たり乱数カウンタC1とを別々に設けた場合に、大当たりの確率を、第1入球口A64へ入賞した場合と第1入球口B640へ入賞した場合とで同じになるように構成しても、互いに異なるように構成してもよい。同様に、第1入球口A64用の第1当たり種別カウンタC2と第1入球口B640用の第1当たり種別カウンタC2とを別々に設けた場合に、大当たり後に高確率状態となる確率を、第1入球口A64へ入賞した場合と第1入球口B640へ入賞した場合とで同じになるように構成しても、互いに異なるように構成してもよい。また、第1入球口A64用の停止パターン選択カウンタC3と第1入球口B640用の停止パターン選択カウンタC3とを別々に設けた場合に、「前後外れリーチ」などの各種リーチ態様が選択される確率を、第1入球口A64へ入賞した場合と第1入球口B640へ入賞した場合とで同じになるように構成しても、互いに異なるように構成してもよい。
【0255】
また、上記実施の形態では、第3図柄表示装置81に表示される変動表示のスクロール方向を、第1入球口A64へ入賞した場合には横スクロールとし、第1入球口B640へ入賞した場合には縦スクロールとすることによって、いずれの第1入球口へ入賞したかを区別可能としたが、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかにかかわらずスクロール方向を同じ方向とし、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じた特徴的な表示を第3図柄表示装置81に表示するような構成としてもよい。
【0256】
ここで、かかる構成の一例として、図20を参照して説明する。図20は、第3図柄表示装置81に表示される変動表示の変形例を示す模式図である。図20に示すように、この変形例では、変動表示や停止表示として表示される主図柄や副図柄などの図柄に加え、画面下方の左右両隅にそれぞれシンボル51aとシンボル51bとが第3図柄表示装置81に表示されるように構成されている。なお、シンボル51aにおける斜線のハッチングはこのシンボル51aが点滅表示していることを表し、シンボル51bにおける黒色のハッチングはこのシンボル51aが停止表示していることを表している。
【0257】
図20に示すように、第3図柄表示装置81にに変動表示又は停止表示がされている最中に、2つのシンボル51a,51bのいずれを点滅表示とするかによって入賞した第1入球口(第1入球口A64又は第1入球口B640)を視覚的に区別させることができる。例えば、第1入球口A64へ入賞した場合には、シンボル51aを点滅表示させてシンボル51bを停止表示させ、一方で、第1入球口B640へ入賞した場合には、シンボル51aを停止表示させてシンボル51bを点滅表示させることによって、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかを遊技者に区別させることができる。
【0258】
なお、上記のように第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じた特徴的な表示を第3図柄表示装置81に表示する制御としては、変動パターンコマンドと共に第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じたコマンドを音声ランプ制御装置113へ出力し、音声ランプ制御装置113又は表示制御装置114において(付加的表示手段によって)、かかるコマンドに応じた表示を変動表示と共に第3図柄表示装置81に表示するように制御すればよい。
【0259】
また、上記実施の形態では、変動種別カウンタCS1,CS2用のテーブルについて、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて異なるテーブルを設けるように構成したが、変動種別カウンタCS1,CS2用のテーブル第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかにかかわらず共通するテーブルとして設け、かかるテーブルに基づいて選択された変動パターンに対応する変動パターンコマンドと、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じたコマンドとを音声ランプ制御装置113へ出力し、音声ランプ制御装置113又は表示制御装置114での制御によって、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じた変動パターンの変動表示が第3図柄表示装置81に表示されるように構成してもよい。なお、上記実施の形態では、音声ランプ制御装置113と表示制御装置114とを別装置として構成したが、音声ランプ制御装置と表示制御装置とを1の制御装置として構成するものとしても良い。
【0260】
また、上記実施の形態に示すように、動的表示の一種である変動表示は、第3図柄表示装置81の表示画面上で識別情報としての図柄を縦又は横方向にスクロールさせるものに限定されず、L字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであっても良い。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、第3図柄として用いられる。
【0261】
また、上記実施の形態においては、第2入球口67の通過は、それぞれ最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。
【0262】
また、上記実施の形態では、第1入球口A64に対する保留数の報知を保留ランプ85の点灯によって行うものとしたが、保留数を第3図柄表示装置81に視覚的に区別可能に表示する(例えば、数字または、4つに区画された領域を保留回数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)として表示する)ような構成であってもよい。
【0263】
また、上記実施の形態では、入賞球格納エリア203aを構成する入賞球格納エリアA203a1と入賞球格納エリアB203a2とのそれぞれが、実行エリア(入賞球格納エリアB203a2の場合は、それ自体が実行エリア)をを備えるように構成したが、実行エリアを、第1入球口A64と第1入球口B640とに共通に設ける構成としてもよい。
【0264】
ここで、図21を参照して、入賞球格納エリア203aの変形例について説明する。図21は、別例の入賞球格納エリアである入賞球格納エリア203fを説明するための模式図である。図21に示すように、入賞球格納エリア203aに代わる入賞球格納エリア203fは、第1入球口A64への入賞を保留するための4つの保留エリアA203f1と、第1入球口B640への入賞を待機するための1つの待機エリアB203f2と、第1入球口A64と第1入球口B640とに共通する実行エリア203f3とから構成されている。
【0265】
かかる構成の入賞球格納エリア203fにおいて、保留エリアA203f1及び待機エリアB203f2へは、それぞれ、上記実施の形態におけるS1604(図15参照)及びS1623(図16参照)の処理によってカウンタ値が記憶される。その後、S1403においてデータシフト処理を行う場合には、保留エリアA203f1の第1保留エリアから実行エリア203f3へデータシフトする。一方、第2変動開始要求処理(図11参照)の実行時には、S1421の処理により確認した結果、特図A変動開始要求フラグ203eがオフであった場合に(S1421:No)、S1421の処理を実行する前に、待機エリアB203f2に格納されているカウンタ値を、実行エリア203f3にデータシフトするように構成すればよい。
【0266】
また、上記実施の形態におけるS1625の処理では、特図B待機回数カウンタ203cに、特図A保留球カウンタ203bの値を設定するように構成したが、特図B待機回数カウンタ203cに設定する値は、特図A保留球カウンタ203bの値を特定可能な値、例えば、特図A保留球カウンタ203bの値の倍数(2倍など)などであってもよい。なお、かかる構成とする場合には、S1408において特図B待機回数カウンタ203cから減算する値を、特図A保留球カウンタ203bにおける1に対応する数値を減算するように構成すればよい。
【0267】
また、上記実施の形態では、第1入球口A64の作動保留球数を計数するカウンタとして特図A保留球数カウンタ203bを設けるように構成したが、これらのカウンタ203bを設けずに、必要に応じて(例えば、変動開始の際に)、保留球格納エリア203aの内容を確認することによって、第1入球口A64の作動保留球数を得るように構成してもよい。
【0268】
本発明を上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有するいわゆる第2種パチンコ遊技機などに実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球など他の遊技機として実施するようにしても良い。
【0269】
本発明を上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施しても良い。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
【0270】
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0271】
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
【0272】
以下に、本発明の遊技機および変形例を示す。始動条件の成立を契機として入賞情報を取得する入賞情報取得手段と、その入賞情報取得手段により取得された入賞情報に基づいて抽選を行う第1の抽選手段と、図柄の表示を行う表示手段と、前記始動条件の成立を契機として前記表示手段に前記図柄の変動表示を表示させ、その変動表示が終了する場合に前記第1の抽選手段による抽選結果を前記図柄の停止表示として前記表示手段に表示させる表示制御手段と、その表示制御手段によって前記表示手段に表示される前記図柄の停止表示が、前記第1の抽選手段による抽選結果が所定の結果であることを示すものである場合には、通常状態より遊技者に有利な特別遊技状態を創出する特別遊技状態創出手段とを備えた遊技機において、前記遊技媒体が通過可能な複数位置の各々に設けられ、各位置への前記遊技媒体の通過を前記始動条件の成立として検出する検出手段と、前記複数位置のうちのいずれかの位置に設けられている前記検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、該始動条件の成立を検出した検出手段に応じた制御を行う対応制御手段と、前記表示制御手段による前記表示手段への前記変動表示の表示中又は前記特別遊技状態中に、前記複数位置に設けられた前記検出手段のうちの1つ又は1組の検出手段から構成される1の特定検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記入賞情報取得手段により取得された入賞情報を、該特定検出手段により検出された入賞順序を識別可能に複数記憶できる第1入賞情報記憶手段と、前記表示制御手段による前記表示手段への前記変動表示の表示中又は前記特別遊技状態中に、前記複数位置に設けられた前記検出手段のうちの前記特定検出手段とは異なる検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記入賞情報取得手段により取得された入賞情報を1つ記憶できる記憶手段であって、前記検出手段の1つ又は1組に対して1つ設けられている第2入賞情報記憶手段と、前記第1入賞情報記憶手段又は前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている前記入賞情報の数を計数する入賞回数計数手段と、前記第2入賞情報記憶手段に入賞情報を記憶する場合に、その入賞情報を記憶する第2入賞情報記憶手段に対応付けられ、前記入賞回数計数手段により計数された数又はその数に対応する値を待機回数として記憶する待機回数記憶手段と、前記表示制御手段によって前記表示手段に表示される前記図柄の変動表示が実行される毎に、前記待機回数記憶手段に記憶される待機回数から所定数ずつ減算する待機回数減算手段と、前記表示制御手段によって前記図柄の停止表示が前記表示手段に表示された後、該表示制御手段により次に前記図柄の変動表示を前記表示手段へ表示させる際に前記第1入賞情報記憶手段又は前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている前記入賞情報が存在する場合には、前記待機回数記憶手段に記憶される前記待機回数がゼロであれば、その前記待機回数記憶手段に対応する前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報を取得し、それ以外(即ち、前記待機回数記憶手段に記憶される前記待機回数がゼロでない場合)は、前記第1入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報のうち前記始動条件の成立の検出順序が最前である入賞情報を取得する保留入賞情報取得手段とを備え、前記保留入賞情報取得手段により入賞情報が取得された場合には、前記第1の抽選手段は、該保留入賞情報取得手段により取得された入賞情報に基づいて抽選を行い、前記対応制御手段は、該保留入賞情報取得手段により取得された入賞情報を前記入賞情報取得手段により取得する契機となった前記検出手段に応じた制御を行うことを特徴とする遊技機1。
【0273】
遊技機1によれば、始動条件の成立を契機として入賞情報取得手段により入賞情報が取得されると、その取得された入賞情報に基づいて第1の抽選手段により抽選が行われると共に、表示制御手段によって、表示手段に図柄の変動表示が表示され、その変動表示が終了する際に第1の抽選手段による抽選結果が図柄の停止表示として該表示手段に表示される。このとき、表示制御手段によって表示手段に表示される図柄の停止表示が、第1の抽選手段による抽選結果が所定の結果(例えば、所謂「当選」)であることを示すものである場合には、特別遊技状態創出手段により、通常状態より遊技者に有利な特別遊技状態が創出される。
【0274】
この特別遊技状態中又は表示制御手段による表示手段への変動表示の表示中に、遊技媒体が通過可能な複数位置の各々に設けられている検出手段のうちの1つ又は1組の検出手段から構成される1の特定検出手段(例えば、第1入球口A64に設けられている第1入球口スイッチA)により、遊技媒体の通過が検出されて始動条件が成立した場合には、入賞情報取得手段により取得された入賞情報が、該特定検出手段により検出された入賞順序を識別可能に第1入賞情報記憶手段に順次記憶される。
【0275】
一方で、特別遊技状態中又は表示制御手段による表示手段への変動表示の表示中に、遊技媒体が通過可能な複数位置の各々に設けられている検出手段のうちの特定検出手段とは異なる検出手段(例えば、第1入球口B640に設けられている第1入球口スイッチB)により、遊技媒体の通過が検出されて始動条件が成立した場合には、入賞情報取得手段により取得された入賞情報が第2入賞情報記憶手段に記憶される。なお、この第2入賞情報記憶手段は、1の検出手段に対して1つ設けられている記憶手段であり、入賞情報を1つ記憶することができるように構成されている。
【0276】
ところで、第1入賞情報記憶手段又は第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報の数は、入賞回数計数手段によって計数されており、この入賞回数計数手段により計数された数又はその数に対応する値は、第2入賞情報記憶手段に入賞情報を記憶する場合に、その入賞情報を記憶する第2入賞情報記憶手段に対応付けられている待機回数記憶手段に待機回数として記憶される。そして、この待機回数記憶手段に記憶された待機回数は、表示制御手段によって表示手段に表示される図柄の変動表示が実行される毎に、待機回数減算手段により、所定数ずつ(例えば、待機回数に記憶される値が待機回数計数手段により計数された数であった場合には、1ずつ)減算される。
【0277】
ここで、始動条件を成立させる位置(例えば、第1入球口A64、第1入球口B640)が複数あり、それらの複数の位置のいずれを遊技媒体が通過したかに応じて、例えば、表示手段に表示される変動表示の態様を変化させることのできる遊技機では、保留情報が「どの位置をいつ(どの順序で)通過したか」が区別可能となるように保留球記憶手段に記憶されていなければならない。
【0278】
ところで、入賞口(遊技媒体が通過可能な位置であって始動条件の成立に関与する位置)毎に独立した保留球格納エリア(入賞球格納エリア)を設け、入賞した入賞口に応じて保留情報を対応する保留球格納エリアに記憶することによって「どの入賞口に入賞したか」を区別可能としており、その一方で、各入賞口に対応する各保留球格納エリアに保留情報を記憶する際には、保留情報と共に、その保留情報に対応する情報であってどの入賞口に入賞したかとは無関係の連番を示す情報である順序情報とが対応付けて記憶し、その後、各入賞口毎に設けられた複数の保留球格納エリアのうちのいずれかの保留球格納エリアにおける保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対して各々対応付けられている順序情報を1ずつ繰り下げることによって「いつ入賞したか」を区別可能にすることも考えられる。しかし、かかる場合、保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対応する順序情報を各々減算する処理を行わねばならないため、制御的負担が大きく、場合によっては、より高級な演算装置を使用する必要が生じるので、遊技機の製造コストが増大するという問題が生じる。
【0279】
これに対し、遊技機1によれば、第2入賞情報記憶手段に記憶される唯一の入賞情報は、その第2入賞情報記憶手段に対応付けられた待機回数記憶手段と待機回数減算手段によって保留入賞情報取得手段によって取得されるまでの待機回数が計られている。そして、表示制御手段によって図柄の停止表示が表示手段に表示された後、該表示制御手段により次に図柄の変動表示が表示手段に表示される際に、第1入賞情報記憶手段又は第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報が存在し、かつ、待機回数記憶手段に記憶される待機回数がゼロであれば、その待機回数記憶手段に対応する第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報が保留入賞情報取得手段によって取得される。
【0280】
一方で、第1入賞情報記憶手段に記憶される複数の入賞情報は、この第1入賞情報記憶手段内において特定検出手段により検出された入賞順序が識別可能とされており、表示制御手段によって図柄の停止表示が表示手段に表示された後、該表示制御手段により次に図柄の変動表示が表示手段に表示される際に、第1入賞情報記憶手段又は第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報が存在し、かつ、待機回数記憶手段に記憶される待機回数がゼロでなければ、第1入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報のうち始動条件の成立の検出順序が最前である入賞情報が保留入賞情報取得手段によって取得される。
【0281】
かかる構成によって、第1入賞情報記憶手段又は第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報は、時間的に古い(即ち、始動条件の成立の検出順序が最前である)ものから順に保留入賞情報取得手段によって取得されることになる。そして、このように、保留入賞情報取得手段により始動条件の成立の検出順序が最前である入賞情報が取得されると、取得された入賞情報に基づいて、第1の抽選手段によって抽選が行われると共に、該取得された入賞情報を入賞情報取得手段により取得する契機となった検出手段に応じた制御が対応制御手段によって行われる。
【0282】
よって、遊技機1によれば、始動条件を成立させる位置(例えば、第1入球口A64、第1入球口B640)が複数あり、それらの複数の位置のいずれを遊技媒体が通過したかに応じた制御がされる遊技機であるにもかかわらず、少なくとも第1入賞情報記憶手段内に記憶されている入賞情報に対して、待機回数記憶手段及び待機回数減算手段による待機回数の管理は不要である。その結果、上記した「保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対応する順序情報を各々減算する処理」の一部を省略することができるので、制御負担の増大を抑制できると共に、記憶量の増大も抑制できるのである。即ち、制御負担の増大も記憶量の増大も抑制しつつ、複数の始動条件を成立させる位置のいずれを遊技媒体が通過したかに応じた制御を行うことができ、その結果として興趣の高い遊技をを提供できる遊技機を製造することが可能となるのである。
【0283】
また、入賞口(遊技媒体が通過可能な位置であって始動条件の成立に関与する位置)が複数ある場合に、「どの位置をいつ通過したか」を考慮するのではなく、各入賞口毎に独立して「いつ通過したか」のみを区別することも考えられる。しかし、かかる場合には、各入賞毎に始動条件の成立に基づく変動処理などの各制御処理や、複数の入賞口に対する同時当選の発生を回避するための処理などが実行されるので制御負担が大きい。また、かかる場合には、各入賞毎に始動条件の成立に基づく変動表示を各々独立して表示装置(例えば、1枚のLED)に表示する必要があるので、同時に複数の変動表示が行われる状況が生じた場合には、遊技者は、どの変動がどの入賞口への入賞に対応するものであるかの区別に困り、結果的に興趣性の低下を招く。
【0284】
これに対し、遊技機1によれば、保留情報が「どの位置をいつ通過したか」が区別可能となるように保留球記憶手段に記憶されるので、各入賞口毎に独立して「いつ通過したか」のみを区別する遊技機に生じる上述したような問題を回避できる。
【0285】
なお、遊技機1において、対応制御手段によって行われる「始動条件の成立を検出した検出手段に応じた制御」とは、検出手段に応じて全て異なる制御に限定されるものではなく、一部の検出手段に対しては同じ制御が行われ、残りの検出手段に対してはそれぞれ異なる制御が行われるような構成であってもよい。
【0286】
遊技機1において、前記対応制御手段は、前記始動条件の成立を検出した検出手段に応じた態様の前記変動表示又は前記停止表示を前記表示制御手段により前記表示手段に表示させるものであることを特徴とする遊技機2。
【0287】
遊技機2によれば、対応制御手段による制御によって、表示制御手段によって表示手段に表示される変動表示又は停止表示が始動条件の成立を検出した検出手段に応じた態様の表示(例えば、始動条件の成立を検出した検出手段に応じて変動表示を縦スクロール又は横スクロールで表示する)となるので、表示態様のバリエーションが増え、遊技者に高い興趣を提供することができる。
【0288】
遊技機1又は2において、前記対応制御手段は、前記表示制御手段によって前記変動表示又は前記停止表示を前記表示手段に表示させる場合に、前記始動条件の成立を検出した検出手段であって該変動表示又は該停止表示に対応する検出手段の種類を区別可能な表示を該変動表示又は該停止表示に付加する付加的表示手段を備えていることを特徴とする遊技機3。
【0289】
遊技機3によれば、表示制御手段によって変動表示又は停止表示を表示手段に表示させる場合には、対応制御手段における付加的表示手段によって、始動条件の成立を検出した検出手段であって表示中の変動表示又は停止表示に対応する検出手段の種類を区別可能な表示(例えば、シンボル51a,シンボル51b)が、該変動表示又は該停止表示に付加される。
【0290】
よって、遊技者は、表示手段に表示中の変動表示又は停止表示に付加されている表示を認識することによって、現在表示中の変動表示又は停止表示が、どの検出手段による検出に由来するものであるかを識別することができ、始動条件を成立させるための位置が複数設けられていることを明確に認識することができる。そのため、例えば、遊技者の受ける遊技価値の関わる制御を検出手段に応じた異なるものとした場合には、遊技者は表示手段に表示された変動表示や停止表示を確認することにより、自身の置かれている環境を区別して認識することができるので、かかる表示(変動表示又は停止表示)によって遊技者が抱く期待感や失望感などの感情のバランスに変化をつけることができ、その結果、遊技者に高い興趣性遊技を提供することができる。
【0291】
遊技機1から3のいずれかにおいて、乱数を発生する乱数発生手段と、前記乱数発生手段により発生され得る各乱数と前記表示手段に表示される前記変動表示の態様に対応する値とを対応付けて記憶する変動態様記憶手段と、前記複数位置のうちのいずれかの位置に設けられている前記検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記乱数発生手段から乱数を前記入賞情報として取得する入賞情報取得手段と、その入賞情報取得手段により取得された乱数に対する前記変動表示の態様に対応する値を前記変動態様記憶手段から取得する変動態様取得手段とを備え、前記変動態様記憶手段は、前記検出手段の種類に応じたものが設けられており、前記対応制御手段は、前記検出手段に応じた前記変動態様記憶手段を選択する選択手段を含み、該選択手段により選択された前記変動態様記憶手段を用いて前記変動態様取得手段による値の取得を実行させ、取得された値に従う態様の前記変動表示を前記表示制御手段により前記表示手段に表示させるものであることを特徴とする遊技機4。
【0292】
遊技機4によれば、乱数発生手段により発生され得る各乱数と、表示手段に表示される変動表示の態様に対応する値とが変動態様記憶手段において対応付けて記憶されている。ここで、複数位置のうちのいずれかの位置に設けられている検出手段により遊技媒体の通過が検出されて始動条件が成立した場合には、入賞情報取得手段により、乱数発生手段により発生される乱数が入賞情報として取得されると、変動態様取得手段により、取得された乱数に対する変動表示の態様に対応する値が、変動態様記憶手段から取得される。
【0293】
また、変動態様記憶手段は、検出手段の種類に応じたものが設けられており、対応制御手段における選択手段によって、検出手段に応じた変動態様記憶手段が選択される。さらに、対応制御手段による制御によって、選択された変動態様記憶手段を用いて前記変動態様取得手段による値の取得が実行され、取得された値に従う態様の変動表示が表示制御手段によって表示手段に表示される。
【0294】
よって、表示制御手段によって表示手段に表示される変動表示又は停止表示が検出手段に応じた態様の表示となるので、表示手段に表示される表示を始動条件を成立させるための位置に応じて異なる印象を遊技者に与えることができ、遊技者に高い興趣を提供することができる。
【0295】
遊技機1から4のいずれかにおいて、前記待機回数記憶手段に記憶されている待機回数を報知する待機回数報知手段を備えていることを特徴とする遊技機5。
【0296】
遊技機5によれば、待機回数記憶手段に記憶されている待機回数は、待機回数報知手段(例えば、第1図柄表示装置37Bにおける7セグメント表示装置37Bb)によって報知される。よって、遊技者は、待機回数報知手段による報知により、ある検出手段への遊技媒体の通過を契機として取得された入賞情報の待機回数を認識することができる。そのため、例えば、遊技者の受ける遊技価値の関わる制御を検出手段に応じた異なるものとした場合に、遊技者は、他に比べてより有利な遊技価値が得られる可能性の高い検出手段への遊技媒体の通過に伴って取得された入賞情報の待機回数に対し、期待感を持ちつつその待機回数がゼロに近づくことを待ち望むという状況が生じるなど、かかる報知によって遊技者が抱く感情のバランスに変化をつけることができ、その結果、遊技者に高い興趣性遊技を提供することができる。
【0297】
遊技機1から5のいずれかにおいて、前記対応制御手段は、前記第1の抽選手段により前記入賞情報に基づく抽選を行う場合に、該入賞情報に対応する前記検出手段に応じて、該第1の抽選手段による抽選結果として前記所定の結果が得られる確率を変更する特別遊技状態創出確率変更手段を備えていることを特徴とする遊技機6。
【0298】
遊技機6によれば、第1の抽選手段により入賞情報に基づく抽選を行う場合に、対応制御手段における特別遊技状態創出確率変更手段によって、該入賞情報に対応する検出手段に応じて、該第1の抽選手段による抽選結果として所定の結果が得られる確率が変更される。よって、検出手段に応じて遊技者の受ける遊技価値の有利度に変化をつけることができるので、遊技者は始動条件を成立させるための位置に応じて一喜一憂することになり、その結果、遊技者に高い興趣性遊技を提供することができる。
【0299】
遊技機1から6のいずれかにおいて、前記入賞情報取得手段は、始動条件の成立を契機として、前記入賞情報と、前記特別遊技状態の終了後に遊技のモードを、通常モードより遊技者に有利な有利モードにするか否かを指定する遊技モード指定情報(第1当たり種別カウンタC2の値)とを取得するものであり、前記入賞情報取得手段により取得された遊技モード指定情報に基づいて第2の抽選を行う第2の抽選手段(S402の処理)と、前記第1の抽選手段による抽選結果が所定の結果であり、かつ、前記第2の抽選手段による抽選結果が、前記有利モードを指定するものである場合に、前記特別遊技状態の終了後に遊技モードを前記有利モードとする有利モード創出手段とを備え、前記対応制御手段は、前記第2の抽選手段により前記遊技モード指定手段に基づく抽選を行う場合に、前記入賞情報取得手段による該遊技モード指定情報の取得の契機となった前記検出手段に応じて、該第2の抽選手段による抽選結果として前記有利モードが指定される確率を変更する有利モード創出確率変更手段を備えていることを特徴とする遊技機7。
【0300】
遊技機7によれば、始動条件の成立を契機として、入賞情報と特別遊技状態の終了後に遊技のモードを通常モードより遊技者に有利な有利モード(例えば、確変状態や時短状態)にするか否かを指定する遊技モード指定情報とが、入賞情報取得手段により取得される。取得された情報のうち、遊技モード指定情報は、第2の抽選手段によって第2の抽選が行われる。そのとき、第1の抽選手段による抽選結果が所定の結果であり、かつ、第2の抽選手段による抽選結果が、有利モードを指定するものである場合には、有利モード創出手段により、特別遊技状態の終了後に遊技モードが有利モードとされる。ここで、第2の抽選手段により遊技モード指定手段に基づく抽選を行う場合に、対応制御手段における有利モード創出確率変更手段によって、入賞情報取得手段による該遊技モード指定情報の取得の契機となった検出手段に応じて、該第2の抽選手段による抽選結果として有利モードが指定される確率が変更される。よって、検出手段に応じて遊技者の受ける遊技価値の有利度に変化をつけることができるので、遊技者は始動条件を成立させるための位置に応じて一喜一憂することになり、その結果、遊技者に高い興趣性遊技を提供することができる。
【0301】
遊技機7において、前記有利モードは、前記特別遊技状態の終了後に行われる前記第1の抽選手段による抽選に対し、その抽選結果として前記所定の結果が得られる確率が向上するモードであることを特徴とする遊技機8。
【0302】
遊技機8によれば、第2の抽選手段により遊技モード指定手段に基づく抽選を行う場合に、対応制御手段における有利モード創出確率変更手段によって、入賞情報取得手段による該遊技モード指定情報の取得の契機となった検出手段に応じて、該第2の抽選手段による抽選結果として有利モードとして、特別遊技状態の終了後に行われる第1の抽選手段による抽選に対し、その抽選結果として所定の結果が得られる確率が向上するモードが指定される確率が変更される。特別遊技状態の発生を伴う所定の結果は、遊技者にとって有利な結果であり、この所定の結果が得られる確率を遊技モード指定情報の取得の契機となった検出手段に応じて変更することによって、検出手段に応じて遊技者の受ける遊戯価値の有利度に変化をつけることができる。よって、遊技者は始動条件を成立させるための位置に応じて一喜一憂することになり、その結果、遊技者に高い興趣性遊技を提供することができる。
【0303】
遊技機1から8のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機9。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【0304】
遊技機1から8のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機10。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0305】
遊技機1から8のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機11。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
【0306】
なお、本実施の形態における請求項1記載の入賞情報取得手段としては、S1604,1623の処理が該当し、請求項1記載の第1の抽選処理としては、S401の処理が該当し、請求項1記載の特別遊技状態創出手段としては、S401におけるYesの分岐処理が該当し、請求項1記載の対応制御手段としては、例えば、S403,S404、S416や、S413,S414、S417や、S1406や、S1408の処理などが該当し、請求項1記載の待機回数減算手段としては、S1408の処理が該当し、請求項1記載の保留入賞情報取得手段としては、S1401〜S1404,S1407,S1422,S1441の処理が該当する。
【0307】
また、本実施の形態における請求項1記載の検出手段としては、第1入球口スイッチA及び第1入球口スイッチB(いずれも図示せず)が該当し、このうち、特定検出手段としては、第1入球口スイッチAが該当し、特定検出手段とは異なる検出手段としては、第1入球口スイッチBが該当する。
【0308】
また、本実施の形態における請求項4記載の乱数発生手段としては、変動種別カウンタCS1,CS2が該当し、請求項4記載の変動態様記憶手段としては変動種別カウンタCS1,CS2用のテーブルが該当し、請求項4記載の入賞情報取得手段としては、S1604,1623の処理が該当し、請求項4記載の変動態様取得手段としては、S405の処理が該当し、請求項4記載の選択手段としては、S403,S404、S416の処理が該当する。
【符号の説明】
【0309】
10 パチンコ機(遊技機)
37A,37B 第1図柄表示装置(表示手段)
81 第3図柄表示装置(表示手段)
110 主制御手段(表示制御手段、付加的表示手段)
113 音声ランプ制御手段(表示制御手段、付加的表示手段)
114 表示制御手段(表示制御手段、付加的表示手段)
203a1 入賞球格納エリアA(第1入賞情報記憶手段)
203a2 入賞球格納エリアB(第2入賞情報記憶手段)
203b 特図A保留球カウンタ(入賞回数計数手段)
203c 特図B待機回数カウンタ(待機回数記憶手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等に代表される遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機などの遊技機では、始動条件の成立を契機として、内部で抽選が行なわれ、その抽選に当選すると、所謂「大当たり」と称する遊技者に有利な特別遊技状態が発生し、その結果として、大量の遊技媒体が払出可能な状態となる。
【0003】
このような遊技機には、液晶表示装置やLEDなどの表示装置を設けられているものがある。表示装置が設けられている遊技機では、一般的に、始動条件が成立(始動入賞)した場合には、この表示装置において変動表示(例えば、図柄のスクロールやLEDの点灯状態の変更を伴った表示)を行い、その変動表示に引き続いて内部抽選の結果を停止表示として表示するように構成されている。例えば、図柄等から構成される図柄列を表示可能な液晶表示装置を有する遊技機では、しばしば、始動条件の成立を契機として、これら複数列の図柄列を各々スクロールさせることによって変動表示させ、内部抽選の結果が当選であった場合には、かかるスクロールが停止した際に、停止図柄(停止表示)が特定の組み合わせとして大当たりを発生させるように構成されている。
【0004】
また、従来より、表示装置の設けられている遊技機において、その表示装置への表示を利用し、遊技の興趣を遊技者に提供することが行われいる。例えば、内部抽選の当落や当選時の当たり種別などに応じて変動表示のパターン(変動表示態様)を変えることによって、始動条件の成立によって表示装置に変動表示の表示が開始された場合に、開始された変動表示のパターンを視認した遊技者に、当選に対する期待感などの正の感情や落選(外れ)に対する失望感などの負の感情を抱かせ、それらの正負の感情を適度なバランスでもって提供できた場合には、遊技者は実行中の遊技に対して大きな興趣を抱くことになる。
【0005】
ここで、従来より存在する一般的な遊技機は、始動口(入球口)への遊技球の入賞(入球)を始動条件の成立としている。このように始動条件の成立に関わる始動口は、1台の遊技機に1つ設けられていることが多い。始動口が1つしかない場合には、当然、変動表示態様のバリエーションは、内部抽選の当落や当選時の当たり種別などのみに応じて変えることしかできず、変動表示態様のバリエーションによって遊技の興趣を向上させる試みには限界があった。
【0006】
そこで、近年では、遊技の興趣を向上させるために、このような始動口を複数(例えば、2つ)設け、内部抽選の当落や当選時の当たり種別だけでなく、入賞した始動口に応じても変動表示態様を変えることによりかかる変動表示態様のバリエーションを増やした遊技機も製造されている。
【0007】
通常、始動条件の成立に基づいて表示装置にて変動表示が行われる遊技機では、変動表示中や大当たり中に始動条件が新たに成立した場合に、その新たな始動条件の成立に基づく変動表示を、次に変動表示が可能となる状態となるまで待機(保留)させることができるように構成されている。例えば、変動表示中や大当たり中など、保留すべきタイミングで始動条件が新たに成立した場合に、内部抽選用の乱数を保留情報として保留球格納エリア(入賞球格納エリア)に入賞順序を区別可能に記憶しておき、その後、変動表示が可能となる状態が到来する毎に、保留球格納エリアに記憶されている保留情報の中で入賞順序が時間的に最も古いものから順に実行エリアに移動させ、移動によって実行エリアに記憶された保留情報に基づく抽選を行い、その抽選結果に応じた変動表示を開始する。
【0008】
ここで、始動口が複数あり、それらの複数の入賞口のうちどの入賞口に入賞したかに応じて各種態様を変化させる遊技機では、保留情報を「どの入賞口にいつ入賞したか」が区別可能となるように記憶する必要がある。そのため、始動口が複数あり、それらの複数の入賞口のうちどの入賞口に入賞したかに応じて各種態様を変化させる遊技機は、始動口が1つである遊技機に比べ、保留情報の取り扱いが煩雑である。
例えば、入賞口毎に独立した保留球格納エリアを設け、入賞した入賞口に応じて保留情報を対応する保留球格納エリアに記憶することによって「どの入賞口に入賞したか」を区別可能とする。各入賞口に対応する各保留球格納エリアに保留情報を記憶する際には、保留情報と共に、その保留情報に対応する情報であってどの入賞口に入賞したかとは無関係の連番を示す情報である順序情報とが対応付けて記憶される。その後、各入賞口毎に設けられた複数の保留球格納エリアのうちのいずれかの保留球格納エリアにおける保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対して各々対応付けられている順序情報を1ずつ繰り下げることによって「いつ入賞したか」を区別可能にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−71030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、始動口が複数あり、それらの複数の入賞口のうちどの入賞口に入賞したかに応じて各種態様を変化させる遊技機を、上記のように設計した場合、保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対応する順序情報を各々減算する処理を行わねばならないため、制御的負担が大きく、場合によっては、より高級な演算装置を使用する必要が生じるので、遊技機の製造コストが増大するという問題点があった。かかる制御的負担は、始動口の数が多い程、より大きくなるので、遊技の興趣性をより向上させるためには、遊技機の製造コストの増大が避けられなくなってしまう。
【0011】
なお、始動口が複数あり、それらの複数の入賞口のうちどの入賞口に入賞したかに応じて各種態様を変化させる遊技機における保留情報の取り扱い方としては、上記以外に、入賞口毎に独立した保留球格納エリアと電源投入時からの経過時間を計時するタイマ又はカウンタを設けた上で、入賞した入賞口に応じて保留情報を対応する保留球格納エリアに記憶する際に、タイマ又はカウンタ電源投入時からの経過時間を対応付けて記憶する方法が考えられる。しかし、この方法は、制御的負担及び記憶量の増大を伴うために現実的な方法ではない。
【0012】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、制御的負担の増大や記憶容量の消費量を抑制しつつ、複数の入賞口を有することによって遊技者に興趣の高い遊技をを提供できる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、始動条件の成立を契機として入賞情報を取得する入賞情報取得手段と、その入賞情報取得手段により取得された入賞情報に基づいて抽選を行う第1の抽選手段と、図柄の表示を行う表示手段と、前記始動条件の成立を契機として前記表示手段に前記図柄の変動表示を表示させ、その変動表示が終了する場合に前記第1の抽選手段による抽選結果を前記図柄の停止表示として前記表示手段に表示させる表示制御手段と、その表示制御手段によって前記表示手段に表示される前記図柄の停止表示が、前記第1の抽選手段による抽選結果が所定の結果であることを示すものである場合には、通常状態より遊技者に有利な特別遊技状態を創出する特別遊技状態創出手段とを備えたものであって、前記遊技媒体が通過可能な複数位置の各々に設けられ、各位置への前記遊技媒体の通過を前記始動条件の成立として検出する検出手段と、前記複数位置のうちのいずれかの位置に設けられている前記検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、該始動条件の成立を検出した検出手段に応じた制御を行う対応制御手段と、前記表示制御手段による前記表示手段への前記変動表示の表示中又は前記特別遊技状態中に、前記複数位置に設けられた前記検出手段のうちの1つ又は1組の検出手段から構成される1の特定検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記入賞情報取得手段により取得された入賞情報を、該特定検出手段により検出された入賞順序を識別可能に複数記憶できる第1入賞情報記憶手段と、前記表示制御手段による前記表示手段への前記変動表示の表示中又は前記特別遊技状態中に、前記複数位置に設けられた前記検出手段のうちの前記特定検出手段とは異なる検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記入賞情報取得手段により取得された入賞情報を1つ記憶できる記憶手段であって、前記検出手段の1つ又は1組に対して1つ設けられている第2入賞情報記憶手段と、前記第1入賞情報記憶手段又は前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている前記入賞情報の数を計数する入賞回数計数手段と、前記第2入賞情報記憶手段に入賞情報を記憶する場合に、その入賞情報を記憶する第2入賞情報記憶手段に対応付けられ、前記入賞回数計数手段により計数された数又はその数に対応する値を待機回数として記憶する待機回数記憶手段と、前記表示制御手段によって前記表示手段に表示される前記図柄の変動表示が実行される毎に、前記待機回数記憶手段に記憶される待機回数から所定数ずつ減算する待機回数減算手段と、前記表示制御手段によって前記図柄の停止表示が前記表示手段に表示された後、該表示制御手段により次に前記図柄の変動表示を前記表示手段へ表示させる際に前記第1入賞情報記憶手段又は前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている前記入賞情報が存在する場合には、前記待機回数記憶手段に記憶される前記待機回数がゼロであれば、その前記待機回数記憶手段に対応する前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報を取得し、それ以外は、前記第1入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報のうち前記始動条件の成立の検出順序が最前である入賞情報を取得する保留入賞情報取得手段とを備え、前記保留入賞情報取得手段により入賞情報が取得された場合には、前記第1の抽選手段は、該保留入賞情報取得手段により取得された入賞情報に基づいて抽選を行い、前記対応制御手段は、該保留入賞情報取得手段により取得された入賞情報を前記入賞情報取得手段により取得する契機となった前記検出手段に応じた制御を行う。
【0014】
請求項2記載の遊技機は、請求項1記載の遊技機において、前記対応制御手段は、前記始動条件の成立を検出した検出手段に応じた態様の前記変動表示又は前記停止表示を前記表示制御手段により前記表示手段に表示させるものである。
【0015】
請求項3記載の遊技機は、請求項1又は2に記載の遊技機において、前記対応制御手段は、前記表示制御手段によって前記変動表示又は前記停止表示を前記表示手段に表示させる場合に、前記始動条件の成立を検出した検出手段であって該変動表示又は該停止表示に対応する検出手段の種類を区別可能な表示を該変動表示又は該停止表示に付加する付加的表示手段を備えている。
【0016】
請求項4記載の遊技機は、請求項1から3のいずれかに記載の遊技機において、乱数を発生する乱数発生手段と、前記乱数発生手段により発生され得る各乱数と前記表示手段に表示される前記変動表示の態様に対応する値とを対応付けて記憶する変動態様記憶手段と、前記複数位置のうちのいずれかの位置に設けられている前記検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記乱数発生手段から乱数を前記入賞情報として取得する入賞情報取得手段と、その入賞情報取得手段により取得された乱数に対する前記変動表示の態様に対応する値を前記変動態様記憶手段から取得する変動態様取得手段とを備え、前記変動態様記憶手段は、前記検出手段の種類に応じたものが設けられており、前記対応制御手段は、前記検出手段に応じた前記変動態様記憶手段を選択する選択手段を含み、該選択手段により選択された前記変動態様記憶手段を用いて前記変動態様取得手段による値の取得を実行させ、取得された値に従う態様の前記変動表示を前記表示制御手段により前記表示手段に表示させるものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の遊技機によれば、始動条件の成立を契機として入賞情報取得手段により入賞情報が取得されると、その取得された入賞情報に基づいて第1の抽選手段により抽選が行われると共に、表示制御手段によって、表示手段に図柄の変動表示が表示され、その変動表示が終了する場合に第1の抽選手段による抽選結果が図柄の停止表示として該表示手段に表示される。このとき、表示制御手段によって表示手段に表示される図柄の停止表示が、第1の抽選手段による抽選結果が所定の結果(例えば、所謂「当選」)であることを示すものである場合には、特別遊技状態創出手段により、通常状態より遊技者に有利な特別遊技状態が創出される。
【0018】
この特別遊技状態中又は表示制御手段による表示手段への変動表示の表示中に、遊技媒体が通過可能な複数位置の各々に設けられている検出手段のうちの1つ又は1組の検出手段から構成される1の特定検出手段により、遊技媒体の通過が検出されて始動条件が成立した場合には、入賞情報取得手段により取得された入賞情報が、該特定検出手段により検出された入賞順序を識別可能に第1入賞情報記憶手段に順次記憶される。
【0019】
一方で、特別遊技状態中又は表示制御手段による表示手段への変動表示の表示中に、遊技媒体が通過可能な複数位置の各々に設けられている検出手段のうちの特定検出手段とは異なる検出手段により、遊技媒体の通過が検出されて始動条件が成立した場合には、入賞情報取得手段により取得された入賞情報が第2入賞情報記憶手段に記憶される。なお、この第2入賞情報記憶手段は、1の検出手段に対して1つ設けられている記憶手段であり、入賞情報を1つ記憶することができるように構成されている。
【0020】
ところで、第1入賞情報記憶手段又は第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報の数は、入賞回数計数手段によって計数されており、この入賞回数計数手段により計数された数又はその数に対応する値は、第2入賞情報記憶手段に入賞情報を記憶する場合に、その入賞情報を記憶する第2入賞情報記憶手段に対応付けられている待機回数記憶手段に待機回数として記憶される。そして、この待機回数記憶手段に記憶された待機回数は、表示制御手段によって表示手段に表示される図柄の変動表示が実行される毎に、待機回数減算手段により、所定数ずつ減算される。
【0021】
ここで、始動条件を成立させる位置が複数あり、それらの複数の位置のいずれを遊技媒体が通過したかに応じて、例えば、表示手段に表示される変動表示の態様を変化させることのできる遊技機では、保留情報が「どの位置をいつ(どの順序で)通過したか」が区別可能となるように保留球記憶手段に記憶されていなければならない。
【0022】
ところで、入賞口(遊技媒体が通過可能な位置であって始動条件の成立に関与する位置)毎に独立した保留球格納エリア(入賞球格納エリア)を設け、入賞した入賞口に応じて保留情報を対応する保留球格納エリアに記憶することによって「どの入賞口に入賞したか」を区別可能としており、その一方で、各入賞口に対応する各保留球格納エリアに保留情報を記憶する際には、保留情報と共に、その保留情報に対応する情報であってどの入賞口に入賞したかとは無関係の連番を示す情報である順序情報とが対応付けて記憶し、その後、各入賞口毎に設けられた複数の保留球格納エリアのうちのいずれかの保留球格納エリアにおける保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対して各々対応付けられている順序情報を1ずつ繰り下げることによって「いつ入賞したか」を区別可能にすることも考えられる。しかし、かかる場合、保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対応する順序情報を各々減算する処理を行わねばならないため、制御的負担が大きく、場合によっては、より高級な演算装置を使用する必要が生じるので、遊技機の製造コストが増大するという問題が生じる。
【0023】
これに対し、請求項1記載の遊技機によれば、第2入賞情報記憶手段に記憶される唯一の入賞情報は、その第2入賞情報記憶手段に対応付けられた待機回数記憶手段と待機回数減算手段によって保留入賞情報取得手段によって取得されるまでの待機回数が計られている。そして、表示制御手段によって図柄の停止表示が表示手段に表示された後、該表示制御手段により次に図柄の変動表示が表示手段に表示される際に、第1入賞情報記憶手段又は第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報が存在し、かつ、待機回数記憶手段に記憶される待機回数がゼロであれば、その待機回数記憶手段に対応する第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報が保留入賞情報取得手段によって取得される。
【0024】
一方で、第1入賞情報記憶手段に記憶される複数の入賞情報は、この第1入賞情報記憶手段内において特定検出手段により検出された入賞順序が識別可能とされており、表示制御手段によって図柄の停止表示が表示手段に表示された後、該表示制御手段により次に図柄の変動表示が表示手段に表示される際に、第1入賞情報記憶手段又は第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報が存在し、かつ、待機回数記憶手段に記憶される待機回数がゼロでなければ、第1入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報のうち始動条件の成立の検出順序が最前である入賞情報が保留入賞情報取得手段によって取得される。
【0025】
かかる構成によって、第1入賞情報記憶手段又は第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報は、時間的に古い(即ち、始動条件の成立の検出順序が最前である)ものから順に保留入賞情報取得手段によって取得されることになる。そして、このように、保留入賞情報取得手段により始動条件の成立の検出順序が最前である入賞情報が取得されると、取得された入賞情報に基づいて、第1の抽選手段によって抽選が行われると共に、該取得された入賞情報を入賞情報取得手段により取得する契機となった検出手段に応じた制御が対応制御手段によって行われる。
【0026】
よって、請求項1記載の遊技機によれば、始動条件を成立させる位置が複数あり、それらの複数の位置のいずれを遊技媒体が通過したかに応じた制御がされる遊技機であるにもかかわらず、少なくとも第1入賞情報記憶手段内に記憶されている入賞情報に対して、待機回数記憶手段及び待機回数減算手段による待機回数の管理は不要である。その結果、上記した「保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対応する順序情報を各々減算する処理」の一部を省略することができるので、制御負担の増大を抑制できるという効果があると共に、記憶量の増大も抑制できるという効果がある。即ち、制御負担の増大も記憶量の増大も抑制しつつ、複数の始動条件を成立させる位置のいずれを遊技媒体が通過したかに応じた制御を行うことができ、その結果として興趣の高い遊技をを提供できる遊技機を製造することが可能となるのである。
【0027】
なお、請求項1において、対応制御手段によって行われる「始動条件の成立を検出した検出手段に応じた制御」とは、検出手段に応じて全て異なる制御に限定されるものではなく、一部の検出手段に対しては同じ制御が行われ、残りの検出手段に対してはそれぞれ異なる制御が行われるような構成であってもよい。
【0028】
請求項2記載の遊技機によれば、請求項1記載の遊技機の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。対応制御手段による制御によって、表示制御手段によって表示手段に表示される変動表示又は停止表示が始動条件の成立を検出した検出手段に応じた態様の表示(例えば、始動条件の成立を検出した検出手段に応じて変動表示を縦スクロール又は横スクロールで表示する)となるので、表示態様のバリエーションが増え、遊技者に高い興趣を提供することができるという効果がある。
【0029】
請求項3記載の遊技機によれば、請求項1又は2に記載の遊技機の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。表示制御手段によって変動表示又は停止表示を表示手段に表示させる場合には、対応制御手段における付加的表示手段によって、始動条件の成立を検出した検出手段であって表示中の変動表示又は停止表示に対応する検出手段の種類を区別可能な表示が、該変動表示又は該停止表示に付加される。
【0030】
よって、遊技者は、表示手段に表示中の変動表示又は停止表示に付加されている表示を認識することによって、現在表示中の変動表示又は停止表示が、どの検出手段による検出に由来するものであるかを識別することができ、始動条件を成立させるための位置が複数設けられていることを明確に認識することができる。そのため、例えば、遊技者の受ける遊技価値の関わる制御を検出手段に応じた異なるものとした場合には、遊技者は表示手段に表示された変動表示や停止表示を確認することにより、自身の置かれている環境を区別して認識することができるので、かかる表示(変動表示又は停止表示)によって遊技者が抱く期待感や失望感などの感情のバランスに変化をつけることができ、その結果、遊技者に高い興趣性遊技を提供することができるという効果がある。
【0031】
請求項4記載の遊技機によれば、請求項1から3のいずれかに記載の遊技機の奏する効果に加えて、次の効果を奏する。乱数発生手段により発生され得る各乱数と、表示手段に表示される変動表示の態様に対応する値とが変動態様記憶手段において対応付けて記憶されている。ここで、複数位置のうちのいずれかの位置に設けられている検出手段により遊技媒体の通過が検出されて始動条件が成立した場合には、入賞情報取得手段により、乱数発生手段により発生される乱数が入賞情報として取得されると、変動態様取得手段により、取得された乱数に対する変動表示の態様に対応する値が、変動態様記憶手段から取得される。
【0032】
また、変動態様記憶手段は、検出手段の種類に応じたものが設けられており、対応制御手段における選択手段によって、検出手段に応じた変動態様記憶手段が選択される。さらに、対応制御手段による制御によって、選択された変動態様記憶手段を用いて前記変動態様取得手段による値の取得が実行され、取得された値に従う態様の変動表示が表示制御手段によって表示手段に表示される。
よって、表示制御手段によって表示手段に表示される変動表示又は停止表示が検出手段に応じた態様の表示となるので、表示手段に表示される表示を始動条件を成立させるための位置に応じて異なる印象を遊技者に与えることができ、遊技者に高い興趣を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機の正面図である。
【図2】遊技盤の正面図である。
【図3】パチンコ機の背面図である。
【図4】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】各種カウンタの概要を示す図である。
【図6】(a)は、表示画面が横スクロールする場合における実際の画面及び有効ライン設定とを示した模式図であり、(b)は、表示画面が縦スクロールする場合における実際の画面及び有効ライン設定とを示した模式図である。
【図7】主制御装置内のMPUにより実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。
【図8】主制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
【図9】図8のメイン処理の中で実行される変動処理を示すフローチャートである。
【図10】図9の図柄変動処理の中で実行される第1変動開始要求処理を示すフローチャートである。
【図11】図9の図柄変動処理の中で実行される第2変動開始要求処理を示すフローチャートである。
【図12】図9の図柄変動処理の中で実行される第3変動開始要求処理を示すフローチャートである。
【図13】図9の図柄変動処理の中で実行される変動開始処理を示すフローチャートである。
【図14】タイマ割込処理を示すフローチャートである。
【図15】図14のタイマ割込処理の中で実行される第1始動入賞処理を示すフローチャートである。
【図16】図14のタイマ割込処理の中で実行される第2始動入賞処理を示すフローチャートである。
【図17】NMI割込処理を示すフローチャートである。
【図18】払出制御装置内のMPUにより実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。
【図19】払出制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
【図20】第3図柄表示装置に表示される変動表示の変形例を示す模式図である。
【図21】別例の入賞球格納エリアを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の背面図である。
【0035】
パチンコ機10は、図1に示すように、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
【0036】
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64,640等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の前面を球が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の前面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の前面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
【0037】
内枠12の前面側には、その前面上側を覆う前面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。前面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として前面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と前面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
【0038】
前面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。前面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の前面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。前面枠14には、球を貯留する上皿17が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112aへと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81で表示される変動表示の演出パターンを変更したり、リーチ演出時の演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
【0039】
加えて、前面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。
【0040】
また、前面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。また、右側の電飾部32下側には、前面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13前面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等はパチンコ機10の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
【0041】
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
【0042】
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設され、かかる操作ハンドル51の内部には球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ(図示せず)と、操作ハンドル51の回動操作量を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)とが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回転操作されると、タッチセンサがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が操作量に対応して変化し、操作ハンドル51の回動操作量に応じて変化する可変抵抗器の抵抗値に対応した強さで球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の前面へ球が打ち込まれる。
【0043】
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。かかる球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、前述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
【0044】
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工した木製のベース板60に、球案内用の多数の釘や風車およびレール61,62、一般入賞口63、第1入球口A64、第1入球口B640、可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12の裏面側に取り付けられる。一般入賞口63、第1入球口A64、第1入球口B640、可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の前面側から木ネジ等により固定されている。また、遊技盤13の前面中央部分は、前面枠14の窓部14cを通じて内枠13の前面側から視認することができる。以下に、遊技盤13の構成について説明する。
【0045】
遊技盤13の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の前面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の前面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の前面であって2本のレール61,62と円弧部材70とにより区画して形成される略円形状の領域である。
【0046】
2本のレール61,62は、球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。また、内レール61の右下側の先端部と外レール62の右上側の先端部との間には、レール間を繋ぐ円弧を内面側に設けて形成された樹脂製の円弧部材70がベース板60に打ち込んで固定されている。
【0047】
遊技領域の正面視右側上部(図2の右側上部)には、2つの第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37Aには、発光手段である複数のLED37Aaと7セグメント表示器37Abとが設けられている。他方の第1図柄表示装置37Bもまた同様に、発光手段である複数のLED37Baと7セグメント表示器37Bbとが設けられている。
【0048】
第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。複数のLED
37Aa,37Baは、いずれも、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すものである。7セグメント表示装置37Ab,37Bbは、いずれも、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行うものである。なお、LED37Aa,37Baは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
【0049】
なお、上述したパチンコ機10が確変中とは、大当たり確率がアップして特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態である。さらに、本実施の形態における確変中は、第2図柄の当たり確率がアップして第1入球口B640(図3参照)へ球が入球し易い遊技の状態である。また、パチンコ機10が時短中とは、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第1入球口B640へ球が入球し易い遊技の状態である。また、パチンコ機10が通常中とは、確変中でも時短中でもない遊技の状態(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。なお、パチンコ機10の遊技状態に応じて、第1入球口B640に付随する電動役物(図示せず)が開放する時間や、1回の当たりで電動役物が開放する回数を変更するものとしても良い。
【0050】
本実施の形態では、これらの第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、第1入球口A64(図3参照)へ入賞したか、第1入球口B640(図3参照)へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入球口A64へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、第1入球口B640へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
【0051】
また、遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入球口A64又は第1入球口B640への入賞をトリガとして第3図柄を変動表示する液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す。)で構成された第3図柄表示装置81と、第2入球口67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示する発光ダイオード(以下、「LED」と略す。)で構成される第2図柄表示装置82とが設けられている。
【0052】
第3図柄表示装置81は、後述する表示制御装置114によって表示内容が制御され、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成され、これらの図柄が図柄列毎に縦又は横にスクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。また、本実施の形態では、第3図柄表示装置81は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成され、可変表示装置ユニット80には、この第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。本実施の形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37A,37Bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37A,37Bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、LCDに代えて、例えば、リール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
【0053】
また、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bにて停止図柄(確変大当たり図柄、普通大当たり図柄、外れ図柄のいずれか1つ)が表示されるまでの間に球が第1入球口A64へ入球した場合、その入球回数は、第1入球口A64に対して最大4回まで保留され、その保留回数は第1図柄表示装置37Aにより示されると共に保留ランプ85の点灯個数においても示される。保留ランプ85は、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の上方に配設されている。
【0054】
なお、本実施の形態では、第1図柄表示装置37Bにて停止図柄(確変大当たり図柄、普通大当たり図柄、外れ図柄のいずれか1つ)が表示されるまでの間に球が第1入球口B640へ入球した場合であっても、その入球回数は保留されないように構成されている。その一方で、第1入球口A64に対する保留回数が1以上4以下である状況下で、第1図柄表示装置37Aにて停止図柄(確変大当たり図柄、普通大当たり図柄、外れ図柄のいずれか1つ)が表示されるまでの間に球が第1入球口B640へ入球した場合には、第1入球口A64に対する保留回数が消化されるまでの期間だけ待機させることができるように構成されている。
【0055】
なお、本実施の形態においては、第1入球口A64への入賞が最大4回まで保留されるように構成したが、この最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、保留ランプ85を削除し、第1入球口A64への入賞に基づく変動表示の保留回数を第3図柄表示装置81の一部に数字で、或いは、4つに区画された領域を保留回数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしても良い。また、第1図柄表示装置37Aにより保留回数が示されるので、保留ランプ85により点灯表示を行わないものとしても良い。
【0056】
第2図柄表示装置82は、第2図柄の表示部83を有し、球が第2入球口67を通過する毎に、表示部83において表示図柄(第2図柄)としての「○」の図柄と「×」の図柄とが交互に点灯して変動表示が行われ、その変動表示が所定図柄(本実施の形態においては「○」の図柄)で停止した場合に第1入球口B640が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。なお、第2図柄の変動表示は、本実施の形態のように、表示部83において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37B及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。
【0057】
また、本実施の形態では、球の第2入球口67の通過回数は保留されない構成としているが、球の第2入球口67の通過回数を所定回数(例えば、最大4回)保留できるように構成してもよい。球の第2入球口67の通過回数を所定回数保留できるように構成した場合には、その保留回数が上述した第1図柄表示装置37Bにより表示されると共に、第2図柄表示装置82に4つ設けた保留ランプ(図示せず)においても点灯表示するように構成すればよい。あるいは、第2入球口67の通過に対する保留回数を、第2図柄表示装置82に設けた保留ランプの点灯に換えて、第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、第2入球口67の通過の最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、第1図柄表示装置37Bにより保留回数が示すものとし、その代わりに保留ランプによる点灯表示を行わないものとしても良い。
【0058】
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入球し得る第1入球口A64が配設されている。この第1入球口A64へ球が入球すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入球口スイッチA(図示せず)がオンとなり、その第1入球口スイッチAのオンに起因して主制御装置110で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37AのLED37Aaで示される。
【0059】
第1入球口A64の下方には、球が入球し得る第1入球口B640が配設されている。この第1入球口B640へ球が入球すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入球口スイッチB(図示せず)がオンとなり、その第1入球口スイッチBのオンに起因して主制御装置110で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37BのLED37Baで示される。
【0060】
また、第1入球口A64および第1入球口B640は、それぞれ、球が入球すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施の形態においては、第1入球口A64へ球が入球した場合に払い出される賞球数と第1入球口B640へ球が入球した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入球口A64へ球が入球した場合に払い出される賞球数と第1入球口B640へ球が入球した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入球口A64へ球が入球した場合に払い出される賞球数を3個とし、第1入球口B640へ球が入球した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
【0061】
第1入球口B640の下方には可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の特定入賞口(大開放口)65aが設けられている。パチンコ機10においては、主制御装置110での抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、その抽選のトリガとなった第1入球口A64又は第1入球口B640に応じた第1図柄表示装置37AのLED37Aa又は第1図柄表示装置37BのLED37Baを大当たりの停止図柄となるように点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
【0062】
この特定入賞口65aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この特定入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば16回(16ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
【0063】
可変入賞装置65は、具体的には、特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(ソレノイド209(図4参照)の一部)とを備えている。特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイドを駆動して開閉板を前面下側に傾倒し、球が特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
【0064】
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37AのLED37Aa又は第1図柄表示装置37BのLED37Baが大当たりに対応する態様で点灯した場合に、特定入賞口65aが所定時間開放され、その特定入賞口65aの開放中に、球が特定入賞口65a内へ入賞することを契機として特定入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。
【0065】
遊技盤13の下側における左右の隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、前面枠14の小窓35を通じて視認することができる。
【0066】
さらに、遊技盤13には、アウト口66と第2入球口(スルーゲート)67とが設けられている。いずれの入賞口63,64,640,65aにも入球しなかった球はアウト口66を通って図示しない球排出路へと案内される。遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
【0067】
図3に示すように、パチンコ機10の背面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
【0068】
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
【0069】
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
【0070】
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
【0071】
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
【0072】
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
【0073】
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
【0074】
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
【0075】
ここで、RAM203は、入賞球格納エリア203aと、特図A保留球カウンタ203bと、特図B待機回数カウンタ203cと、特図B変動待機フラグ203dと、特図A変動開始要求フラグ203eとを備えている。
【0076】
入賞球格納エリア203aは、第1入球口A64又は第1入球口B640への入賞があった場合に、その入賞タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1(図5参照)、第1当たり種別カウンタC2(図5参照)、及び停止パターン選択カウンタC3(図5参照)の各値をそれぞれ格納するためのエリアである。なお、入賞球格納エリア203aの具体的構成については、図5を参照しつつ後述する。
【0077】
特図A保留球カウンタ203bは、第1入球口A64への球の入賞が保留された数、即ち、第1図柄表示装置37Aの作動保留球数を計数するカウンタである。特図B待機回数カウンタ203cは、第1入球口B640への球の入賞に基づいて第1図柄表示装置37Bで実行されるべき変動表示を待機する回数を計数するカウンタである。なお、これらのカウンタ203b,203cは、いずれも、電源投入時に「0」に初期化される。
【0078】
特図B変動待機フラグ203dは、第1入球口B640への球の入賞に伴って第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示が待機中であるか否かを示すフラグであり、第1入球口B640に球が入賞した後、その入賞に伴う第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示が開始されるまでの期間においてオンを示し、それ以外の期間はオフを示すフラグである。この特図B変動待機フラグ203dは、第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示が待機されていない状態で第1入球口B640への球の入賞が検出された場合にオンされ、第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示が開始されるタイミングでオフされる。
【0079】
特図A変動開始要求フラグ203eは、第1入球口A64への球の入賞に伴う第1図柄表示装置37Aの変動表示を要求するか否かを示すフラグであり、後述する第1変動開始要求処理(図10参照)において、入賞球格納エリアA203a1(図5参照)における実行エリアからカウンタ値が取得されるとオンされ、第1図柄表示装置37Aにおいて変動表示が開始されるタイミングでオフされる。なお、これらのフラグ203d,203eは、いずれも、電源投入時にオフに初期化される。
【0080】
さらに、RAM203は、上記以外に、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを備えている。RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
【0081】
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図8参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図7参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図17参照)が即座に実行される。
【0082】
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A、第1図柄表示装置37B、第2図柄表示装置82や、図示しないスイッチ群やセンサ群などからなる各種スイッチ206や、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続されている。
【0083】
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを備えている。
【0084】
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを備えている。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図17参照)が即座に実行される。
【0085】
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
【0086】
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回転操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサにより検出し、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、操作ハンドル51の回動量に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
【0087】
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33や表示ランプ34や保留ランプ85など)における点灯および消灯の出力、表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを備えている。
【0088】
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226やランプ表示装置227などがそれぞれ接続されている。
【0089】
表示制御装置114は、第3図柄表示装置(LCD)81における第3図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置114は、MPU231と、ROM(プログラムROM)232と、ワークRAM233と、ビデオRAM234と、キャラクタROM235と、画像コントローラ236と、入力ポート237と、出力ポート238と、バスライン239,240とを備えている。入力ポート237の入力側には音声ランプ制御装置113の出力側が接続され、入力ポート237の出力側には、MPU231、ROM232、ワークRAM233、画像コントローラ236が接続されている。画像コントローラ236には、ビデオRAM234、キャラクタROM235が接続されると共に、バスライン240を介して出力ポート238が接続されている。出力ポート238の出力側には、第3図柄表示装置81が接続されている。なお、パチンコ機10は、大当たりの抽選確率や1回の大当たりで払い出される賞球数が異なる別機種であっても、第3図柄表示装置81で表示される図柄構成が全く同じ仕様の機種があるので、表示制御装置114は共通部品化されコスト低減が図られている。
【0090】
表示制御装置114のMPU231は、音声ランプ制御装置113から入力された図柄表示用のコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81の表示内容を制御する。ROM232は、MPU231により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリである。ワークRAM233は、MPU231による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリであり、演出許可フラグ233aと変動開始フラグ233bとを備えている。
【0091】
演出許可フラグ233aは、主制御装置110の初期設定の処理後に送信される演出許可コマンドを音声ランプ制御装置113を介して受信するとオンされ、電源断の発生によりオフされるフラグである。変動開始フラグ233bは、主制御装置110から出力された変動パターンコマンドに対応するコマンドを音声ランプ制御装置113から受信した場合にオンされると共に第3図柄表示装置81において変動表示が開始されたらオフされるフラグである。
【0092】
キャラクタROM235は、第3図柄表示装置81に表示される図柄(背景図柄や装飾図柄)などのキャラクタ情報が記憶されたキャラクタ情報メモリ235aを備えている。このキャラクタ情報メモリ235aに記憶されているキャラクタ情報としては、変動表示される第3図柄のキャラクタ図柄や、背景図柄や、予告キャラクタ図柄などが記憶されている。
【0093】
キャラクタ情報メモリ235aには、記憶するデータ量を少なくするために、上記のようなキャラクタ情報が圧縮形式のデータで記憶されている。本実施の形態では、キャラクタ情報は約1024Mバイトで構成されており、その約1024Mバイトのキャラクタ情報が、約768Mバイトに圧縮されてキャラクタ情報メモリ235aに記憶されている。キャラクタ情報メモリ235aに圧縮形式のデータとして記憶されているキャラクタ情報は、読み出されると、解凍された後にキャラクタ情報記憶領域234bに書き込まれる。
【0094】
ビデオRAM234は、第3図柄表示装置81に表示される表示内容(変動表示の演出パターンや、リーチ演出時の演出内容など)に対応する演出データが記憶される表示用記憶領域234aと、キャラクタROM235のキャラクタ情報メモリ235aに記憶された圧縮形式のキャラクタ情報を解凍したデータが記憶されるキャラクタ情報記憶領域234bとを備えている。
【0095】
表示用記憶領域234aは、第3図柄表示装置81に表示される演出データを記憶するためのメモリであり、その表示用記憶領域234aの内容を書き替えることにより、第3図柄表示装置81の表示内容が変更される。キャラクタ情報記憶領域234bには、背景図柄や装飾図柄などの素材となるキャラクタデータが記憶され、このキャラクタ情報記憶領域234bから第3図柄表示装置81に表示するための必要なデータが読み出されて表示用記憶領域234aに書き込まれる。
【0096】
なお、キャラクタ情報をビデオRAM234のキャラクタ情報記憶領域234bに記憶させるのは、一般的に処理速度がROMよりRAMの方が高速であるためであり、キャラクタ情報をキャラクタROM235から直接、表示用記憶領域234aに直接書き込む場合、読み出すデータ量が大きいと読み出しに時間を有しスムーズな表示ができなかったり鮮明な表示ができないからである。更に、RAMにおいて表示データの加工(例えば、装飾図柄の大きさの変更や背景図柄の色の変更)などが容易であるためである。
【0097】
画像コントローラ236は、MPU231、ビデオRAM234、出力ポート238のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM234に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して第3図柄表示装置81に表示させるものである。
【0098】
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)とを有するRAM消去スイッチ回路253とを備えている。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
【0099】
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図17参照)を正常に実行し完了することができる。
【0100】
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110及び払出制御装置111は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
【0101】
次に、図5を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられる入賞球格納エリア203aやカウンタ等について説明する。これらの入賞球格納エリア203aやカウンタ等は、大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37Bの表示の設定、第2図柄表示装置82の表示結果の抽選などを行うために、主制御装置110のMPU201で使用される。
【0102】
大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37Bの表示の設定には、大当たりの抽選に使用する第1当たり乱数カウンタC1と、大当たり図柄の選択に使用する第1当たり種別図柄カウンタC2と、停止パターン選択カウンタC3と、第1当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する第1初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1,CS2,CS3とが用いられる。また、第2図柄表示装置82の抽選には、第2当たり乱数カウンタC4が用いられ、第2当たり乱数カウンタC4の初期値設定には第2初期値乱数カウンタCINI2が用いられる。これら各カウンタは、更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
【0103】
各カウンタは、メイン処理(図8参照)の実行間隔である4ms間隔、またはタイマ割込処理(図17参照)の実行間隔である2ms間隔で更新され、その更新値がRAM203の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。
【0104】
また、RAM203には、上記したように入賞球格納エリア203aが設けられている。図5に示すように、この入賞球格納エリア203aは、入賞球格納エリアA203a1と入賞球格納エリアB203a2とから構成されている。
【0105】
ここで、入賞球格納エリアA203a1は、第1入球口A64への球の入賞があった場合に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、及び停止パターン選択カウンタC3の各値をそれぞれ格納するエリアであり、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる5つのエリアから構成されている。
【0106】
一方で、入賞球格納エリアB203a2は、第1入球口B640への球の入賞があった場合に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、及び停止パターン選択カウンタC3の各値をそれぞれ格納するエリアであり、1つの実行エリアから構成されている。
【0107】
これらの入賞球格納エリア203a(203a1,203a2)の各エリアには、第1入球口A64又は第1入球口B640への球の入賞タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
【0108】
次に、各カウンタについて詳しく説明する。第1当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る構成となっている。特に、第1当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値が当該第1当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。また、第1初期値乱数カウンタCINI1は、第1当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜738)、タイマ割込処理(図14参照)の実行毎に1回更新されると共に、メイン処理(図8参照)の残余時間内で繰り返し更新される。第1当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(本実施の形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口A64又は第1入球口B640に入賞したタイミングでRAM203における対応する入賞球格納エリア203a(203a1,203a2)に格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「373,727」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は14で、その値は「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,631,683,733」である。
【0109】
第1当たり種別カウンタC2は、大当たりの際の第1図柄表示装置37A,37Bの表示態様を決定するものであり、本実施の形態では、0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。第1当たり種別カウンタC2の値は、例えば定期的に(本実施の形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口A64又は第1入球口B640に入賞したタイミングでRAM203における対応する入賞球格納エリア203a(203a1,203a2)に格納される。なお、大当たり後に高確率状態となる乱数の値は「1,2,3」であり、大当たり後に低確率状態となる乱数の値は「0,4」であり、2種類の当たり種別が決定される。よって、第1図柄表示装置37A,37Bに表示される停止図柄に対応した表示態様は、高確率状態と低確率状態との2種類の大当たりに対応した表示態様と、はずれに対応した1種類の表示態様との合計3種類の表示態様のうち、いずれか1つが選択される。なお、高確率状態とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動(確変)の時をいう。また、通常状態(低確率状態)とは、確変でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。
【0110】
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、停止パターン選択カウンタC3によって、第3図柄表示装置81で表示される演出のパターンが選択され、リーチが発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」(例えば0〜8の範囲)と、同じくリーチ発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」(例えば9〜38の範囲)と、リーチ発生しない「完全外れ」(例えば39〜238の範囲)との3つの停止(演出)パターンが選択される。停止パターン選択カウンタC3の値は、例えば定期的に(本実施の形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口A64又は第1入球口B640に入賞したタイミングでRAM203における対応する入賞球格納エリア203a(203a1,203a2)に格納される。
【0111】
なお、停止パターン選択カウンタC3の値(乱数値)から停止パターンを選択するために参照されるテーブル(図示せず)がMPU201内に設けられており、停止パターンは、このテーブルと停止パターン選択カウンタC3の値とに基づいて選択される。なお、かかるテーブルは、1の停止パターンを取り得る停止パターン選択カウンタC3の値の範囲が異なるように、複数のテーブルが設けられている。これは、現在のパチンコ機10の状態が高確率状態であるか低確率状態であるか、入賞球格納エリアA203a1のどの保留エリアに各乱数値が格納されているか(即ち保留個数)等に応じて、各停止パターンの選択比率を変更するためである。
【0112】
例えば、高確率状態では、大当たりが発生し易いため必要以上にリーチ演出が選択されないように、「完全外れ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が10〜238と広いテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され易くなる。このテーブルは、「前後外れリーチ」が0〜5と狭くなると共に「前後外れ以外リーチ」も6〜9と狭くなり、「前後外れリーチ」や「前後外れ以外リーチ」が選択され難くなる。また、低確率状態で入賞球格納エリア203aに各乱数値が格納されていなければ、第1入球口B640への球の入球時間を確保するために「完全外れ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が51〜238と狭いテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され難くなる。このテーブルは、「前後外れ以外リーチ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が9〜50と広くなり、「前後外れ以外リーチ」が選択され易くなっている。よって、低確率状態では、第1入球口B640への球の入球時間を確保できるので、第3図柄表示装置81による変動表示が継続して行われ易くなる。なお、このテーブルは、高確率状態であるか低確率状態であるかや、保留個数に応じてだけでなく、第1入球口A64へ球が入賞したか第1入球口B640へ球が入賞したかに応じても異なるように構成してもよい。
【0113】
2つの変動種別カウンタCS1,CS2のうち、一方の変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、他方の変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS1を「第1変動種別カウンタ」、CS2を「第2変動種別カウンタ」ともいう。
【0114】
第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の大まかな表示態様(表示態様の種別)が決定される。表示態様の決定は、具体的には、図柄変動の変動時間の決定である。また、第2変動種別カウンタCS2によって、リーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄列Z2又は中図柄列Z2’の図柄(中図柄))が停止するまでの変動時間(言い換えれば、変動図柄数)が決定される。そして、変動種別カウンタCS1,CS2により決定された変動時間に基づいて、表示制御装置114により第3図柄表示装置81で表示される第3図柄のリーチ種別や細かな図柄変動態様が決定される。
【0115】
従って、これらの変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。これらの変動種別カウンタCS1,CS2の値は、後述するメイン処理(図8参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。なお、本実施の形態では、変動種別カウンタCS1,CS2の組み合わせによって図柄変動態様を決定するが、第1変動種別カウンタCS1のみで図柄変動態様を決定したり、第1変動種別カウンタCS1と停止図柄との組み合わせで同じく図柄変動態様を決定したりすることも可能である。
【0116】
ここで、変動種別カウンタCS1の値(乱数値)と表示態様の種別とを対応付けたテーブル(図示せず)がMPU201内に設けられており、変動種別カウンタCS1の値から表示態様の種別(大まかな表示態様)を選択する場合には、かかるテーブルが参照される。本実施の形態では、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、1の表示態様の種別を取り得る変動種別カウンタCS1の値の範囲が異なるように2種類のテーブルが設けられており、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、各表示態様の種別の選択比率が異なるように構成されている。
【0117】
同様に、変動種別カウンタCS2の値(乱数値)から最終停止図柄が停止するまでの変動時間(変動図柄数)を選択するためのテーブル(図示せず)がROM202に設けられている。かかるテーブルもまた、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、1の変動時間(最終停止図柄が停止するまでの変動時間)を取り得る変動種別カウンタCS2の値の範囲が異なるように2種類設けられている。
【0118】
このように、本実施の形態のパチンコ機10では、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じても多種多様な変動パターンが選択されるように構成されている。その結果、第3図柄表示装置81で表示される第3図柄の各変動パターンは、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて多種多様に現出することとなる。従って、本実施の形態のパチンコ機10によれば、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて異なる印象を遊技者に与えることができるので、遊技者に高い興趣を提供することができる。
【0119】
変動種別カウンタCS3の値は、例えば、0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後に0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS3を「第3変動種別カウンタ」ともいう。本実施の形態の第3図柄表示装置81は、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示態様に応じた装飾的な演出を行うものであり、図柄の変動以外に、変動している図柄を滑らせたり、リーチ演出の発生を予告するための予告キャラクタを通過させるなどの予告演出が行われる。その予告演出の演出パターンが変動種別カウンタCS3により選択される。具体的には、予告演出に必要となる時間を変動時間に加算したり、反対に変動表示される時間を短縮するために変動時間を減算したり、変動時間を加減算しない演出パターンが選択される。なお、上記した停止パターン選択カウンタC3の場合と同様に、この変動種別カウンタCS3の場合も、変動種別カウンタCS3の値(乱数値)に対して選択される停止パターンの範囲が異なるように、複数のテーブルが設けられている。即ち、現在のパチンコ機10の状態が高確率状態であるか低確率状態であるか、入賞球格納エリア203aのどのエリアに各乱数値が格納されているか等に応じて、各演出パターンの選択比率が異なるテーブルが設けられている。なお、このテーブルもまた、停止パターン選択カウンタC3に対応するテーブルと同様に、高確率状態であるか低確率状態であるかや、保留個数に応じてだけでなく、第1入球口A64へ球が入賞したか第1入球口B640へ球が入賞したかに応じても異なるように構成してもよい。
【0120】
上述したように、変動種別カウンタCS1,CS2により図柄変動の変動時間が決定されると共に、変動種別カウンタCS3により変動時間に加減算される時間が決定される。よって、最終停止図柄が停止するまでの最終的な変動時間は、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3により決定される。
【0121】
第2当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。第2当たり乱数カウンタC4の値は、本実施の形態ではタイマ割込処理毎に、例えば定期的に更新され、球が左右何れかの第2入球口(スルーゲート)67を通過したことが検知された時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」となっている。なお、第2初期値乱数カウンタCINI2は、第2当たり乱数カウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込処理(図14参照)毎に1回更新されると共に、メイン処理(図8参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
【0122】
次に、図6を参照して、第3図柄表示装置81の表示内容について説明する。図6は、第3図柄表示装置81の表示画面を説明するための図であり、図6(a)は、表示画面が横スクロールする場合における実際の画面及び有効ライン設定とを示した模式図であり、図6(b)は、表示画面が縦スクロールする場合における実際の画面及び有効ライン設定とを示した模式図である。
【0123】
第3図柄は、「0」から「9」の数字に対応する10種類のキャラクタ図柄からなる10種類の主図柄と、この主図柄より小さく形成された1種類の副図柄(本実施の形態では、貝の絵図柄)とにより構成されている。これらの主図柄及び副図柄は、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されることによって図柄列を構成している。
【0124】
また、本実施の形態のパチンコ機10においては、主制御装置110による抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う変動表示が行われ、その変動表示が終わった後に大当たりが発生するよう構成されている。大当たり終了後に高確率状態(確変状態)に移行する場合は、奇数番号に対応する主図柄(「高確率図柄」に相当)が揃う変動表示が行われる。一方、大当たり終了後に低確率状態に移行する場合は、偶数番号に対応する主図柄(「低確率図柄」に相当)が揃う変動表示が行われる。
【0125】
ここで、本実施の形態のパチンコ機10においては、第3図柄表示装置81に表示される変動表示が、第1入球口A64へ球が入賞したか第1入球口B640へ球が入賞したかに応じて異なるように構成されている。
【0126】
具体的には、第1入球口A64への球の入賞に起因する変動表示である場合には、図6(a)に示すように、各図柄列毎に主図柄及び副図柄が周期性をもって右から左(矢印X方向)へスクロール(横スクロール)するように変動表示される。なお、図6(a)に示すように、かかる横スクロール時には、各図柄列は、上・中・下の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。この場合、上図柄列Z1においては、主図柄列に対応する数字が降順に現れるように配列され、中図柄列Z2及び下図柄列Z3においては、主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。
【0127】
一方で、第1入球口B640への球の入賞に起因する変動表示である場合には、図6(b)に示すように、各図柄列毎に主図柄及び副図柄が周期性をもって上から下(矢印Y方向)へスクロール(縦スクロール)するように変動表示される。なお、図6(b)に示すように、かかる縦スクロール時には、各図柄列は、左・中・右の3つの図柄列Z1’,Z2’,Z3’が表示される。この場合、左図柄列Z1’においては、主図柄列に対応する数字が降順に現れるように配列され、中図柄列Z2’及び右図柄列Z1’においては、主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。
【0128】
図6(a)及び図6(b)に示すように、第3図柄表示装置81の表示画面には、それぞれ、各図柄列(Z1〜Z3又はZ1’〜Z3’)毎に左・中・右又は上・中・下の3段に第3図柄が表示される。従って、第3図柄表示装置81には、3段×3列の計9個の第3図柄が表示される。
【0129】
ここで、第3図柄表示装置81の表示画面には、縦スクロール時及び横スクロール時のいずれの場合も5つの有効ラインが設定されている。具体的には、図6(a)に示すように、横スクロール時には、左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5の5つのラインが有効ラインとして設定されている。また、図6(b)に示すように、縦スクロール時には、上ラインL1’、中ラインL2’、下ラインL3’、右上がりラインL4’、左上がりラインL5’の5つのラインが有効ラインとして設定されている。
【0130】
そして、毎回の遊技に際して、縦又は横にスクロールする変動表示の停止時にいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示される。なお、横スクロールの場合(図6(a))には、上図柄列Z1→下図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、縦スクロールの場合(図6(b))には、左図柄列Z1’→右図柄列Z3’→中図柄列Z2’の順に変動表示が停止する。
【0131】
次に、図7から図17のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU201の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2ms周期で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
【0132】
図14は、タイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込処理は、主制御装置110のMPU201により例えば2ms毎に実行される。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S501)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチの状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
【0133】
次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S502)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では738)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では250)に達した際、0にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203の該当するバッファ領域に格納する。
【0134】
更に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4の更新を実行する(S503)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、738,4,238,250)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
【0135】
その後は、第1入球口A64への入賞に伴う第1始動入賞処理(図15参照)を実行し(S504)、第1入球口B640への入賞に伴う第2始動入賞処理(図16参照)を実行し(S505)、発射制御処理を実行して(S506)、タイマ割込処理を終了する。なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサにより検出し、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理である。主制御装置110は、球の発射がオンである場合に、発射制御装置112に対して球の発射指示をする。
【0136】
ここで、図15のフローチャートを参照して、上記した第1始動入賞処理(S504)について説明する。図15は、タイマ割込処理(図14参照)の中で実行される第1始動入賞処理(S504)を示すフローチャートである。
【0137】
図15に示すように、この第1始動入賞処理(S504)では、まず、球が第1入球口A64に入賞(始動入賞)したか否かを判別する(S1601)。このS1601の処理により確認した結果、第1入球口A64への入賞がない場合には(S1601:No)、何も行うことなく、この第1始動入賞処理(S504)を終了してタイマ割込処理(図14参照)へ戻る。
【0138】
一方で、S1601の処理により確認した結果、球が第1入球口A64に入賞したと判別された場合には(S1601:Yes)、特図A保留球カウンタ203bの値、即ち、第1図柄表示装置37Aの作動保留球数NAが予め規定されている上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する(S1602)。
【0139】
S1602の処理により確認した結果、特図A保留球カウンタ203bの値が4未満、即ち、作動保留球数NAが4未満であれば(S1602:Yes)、特図A保留球カウンタ203bに1加算し(S1603)、更に、タイマ割込処理(図14参照)におけるS503の処理により更新した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値を、RAM203の入賞球格納エリアA203a1の空き保留エリアのうち最初のエリアに格納し(S1604)、この第1始動入賞処理(S504)を終了してタイマ割込処理(図14参照)へ戻る。
【0140】
一方で、S1602の処理により確認した結果、特図A保留球カウンタ203bの値が4である場合、即ち、作動保留球数NAが既に上限値に到達している場合には(S1602:No)、S1603〜S1604の各処理をスキップし、この第1始動入賞処理(S504)を終了してタイマ割込処理(図14参照)へ戻る。
【0141】
次に、図16のフローチャートを参照して、上記した第2始動入賞処理(S505)について説明する。図16は、タイマ割込処理(図14参照)の中で実行される第2始動入賞処理(S505)を示すフローチャートである。
【0142】
図16に示すように、この第2始動入賞処理(S505)では、まず、球が第1入球口B640に入賞(始動入賞)したか否かを判別する(S1621)。このS1621の処理により確認した結果、第1入球口B640への入賞がない場合には(S1621:No)、何も行うことなく、この第2始動入賞処理(S505)を終了してタイマ割込処理(図14参照)へ戻る。
【0143】
一方で、S1621の処理により確認した結果、球が第1入球口B640に入賞したと判別された場合には(S1621:Yes)、特図B変動待機フラグ203dがオンであるかを確認する(S1622)。
【0144】
S1622の処理により確認した結果、特図B変動待機フラグ203dがオン、即ち、第1入球口B640へ球が入賞したにもかかわらず、第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示が待機中の状態である場合には(S1622:Yes)、そのまま、この第2始動入賞処理(S505)を終了してタイマ割込処理(図14参照)へ戻る。
【0145】
一方で、S1622の処理により確認した結果、特図B変動待機フラグ203dがオフ、即ち、第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示が待機されていない状態であれば(S1622:No)、タイマ割込処理における(図14参照)S503の処理により更新した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値を、RAM203の入賞球格納エリアB203a2(入賞球格納エリアB203a2の実行エリア)に格納する(S1623)。
【0146】
S1623の処理後、特図B変動待機フラグ203dをオンし(S1624)、特図B待機回数カウンタ203cに、特図A保留球カウンタ203bの値を、待機回数、即ち、第1入球口B640への球の入賞に基づいて第1図柄表示装置37Bで実行されるべき変動表示を待機する回数として設定し(S1625)、この第2始動入賞処理(S505)を終了してタイマ割込処理(図14参照)へ戻る。
【0147】
よって、この第2始動入賞処理(S505)によれば、第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示が待機されていない状態で第1入球口B640への入賞が検出された場合に、それ以前から既に保留されている第1図柄表示装置37Aの作動保留球が存在する場合には、その作動保留球の数が、第1図柄表示装置37Bで実行されるべき変動表示を待機する回数として特図B待機回数カウンタ203cに設定される。なお、詳細は後述するが、第1入球口B640への球の入賞に伴って第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示は、特図B待機回数カウンタ203cがゼロ、即ち、待機回数がゼロである場合に実行される。
【0148】
図17は、NMI割込処理を示すフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。すると、MPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S701)、NMI割込処理を終了する。
【0149】
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置111でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から払出発射制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
【0150】
次に、図7を参照して、主制御装置110に電源が投入された場合の立ち上げ処理について説明する。図7は、主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S101)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、払出制御装置111等の周辺制御装置)が動作可能な状態になるのを待つために、ウェイト処理(本実施の形態では1秒)を実行する。次いで、RAM203のアクセスを許可する(S103)。
【0151】
その後は、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(図3参照)がオンされているか否かを判別し(S104)、オンされていれば(S104:Yes)、処理をS110へ移行する。一方、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S104:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S105)、記憶されていなければ(S105:No)、前回の電源遮断時の処理が正常に終了しなかった可能性があるので、この場合も、処理をS110へ移行する。
【0152】
RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S105:Yes)、RAM判定値を算出し(S106)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S107:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS110へ移行する。なお、図8のS213の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
【0153】
S111の処理では、サブ側の制御装置(周辺制御装置)となる払出制御装置111を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(S111)。払出制御装置111は、この払出初期化コマンドを受信すると、RAM213のスタックエリア以外のエリア(作業領域)をクリアし、初期値を設定して、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。主制御装置110は、払出初期化コマンドの送信後は、RAM203の初期化処理(S112、S113)を実行する。
【0154】
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ123を押しながら電源が投入される。従って、立ち上げ処理の実行時にRAM消去スイッチ123が押されていれば、RAMの初期化処理(S112、S113)を実行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様に、RAM203の初期化処理(S112、S113)を実行する。RAMの初期化処理(S112、S113)では、RAM203の使用領域を0クリアし(S112)、その後、RAM203の初期値を設定する(S113)。RAM203の初期化処理の実行後は、S110の処理へ移行する。
【0155】
一方、RAM消去スイッチ123がオンされておらず(S104:No)、電源断の発生情報が記憶されており(S105:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S107:Yes)、RAM203にバックアップされたデータを保持したまま、電源断の発生情報をクリアする(S108)。次に、サブ側の制御装置(周辺制御装置)を駆動電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時の払出復帰コマンドを送信し(S109)、S110の処理へ移行する。払出制御装置111は、この払出復帰コマンドを受信すると、RAM213に記憶されたデータを保持したまま、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。S110の処理では、割込みを許可して、後述するメイン処理に移行する。
【0156】
次に、図8を参照して、上記した立ち上げ処理後に実行されるメイン処理について説明する。図8は、主制御装置110内のMPU201により実行されるメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4ms周期の定期処理としてS201〜S206の各処理が実行され、その残余時間でS209,S210のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
【0157】
メイン処理においては、まず、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置(周辺制御装置)に送信する(S201)。具体的には、S501のスイッチ読み込み処理で検出した入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置111に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、この外部出力処理により、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動表示に必要な変動パターンコマンド、停止図柄コマンド、停止コマンド、演出時間加算コマンド等を音声ランプ制御装置113に送信する。さらに、球の発射を行う場合には、発射制御装置112へ球発射信号を送信する。
【0158】
次に、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の各値を更新する(S202)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240,162)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
【0159】
変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新が終わると、払出制御装置111より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S203)、第1図柄表示装置37A,37Bによる表示を行うための処理や第3図柄表示装置81による第3図柄の変動パターンなどを設定する変動処理を実行する(S204)。なお、変動処理の詳細は図9を参照して後述する。
【0160】
変動処理の終了後は、大当たり状態である場合において可変入賞装置65の特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための大開放口開閉処理を実行する(S205)。即ち、大当たり状態のラウンド毎に特定入賞口65aを開放し、特定入賞口65aの最大開放時間が経過したか、又は特定入賞口65aに球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると特定入賞口65aを閉鎖する。この特定入賞口65aの開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。
【0161】
次に、第2図柄表示装置82による第2図柄(例えば「○」又は「×」の図柄)の表示制御処理を実行する(S206)。簡単に説明すると、球が第2入球口(スルーゲート)67を通過したことを条件に、その通過したタイミングで第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置82の表示部83にて第2図柄の変動表示が実施される。そして、第2当たり乱数カウンタC4の値により第2図柄の抽選が実施され、第2図柄の当たり状態になると、第1入球口B640に付随する電動役物が所定時間開放される。
【0162】
その後は、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S207)、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S207:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていない。よって、かかる場合には、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回のメイン処理の開始から所定時間(本実施の形態では4ms)が経過したか否かを判別し(S208)、既に所定時間が経過していれば(S208:Yes)、処理をS201へ移行し、前述したS201以降の各処理を繰り返し実行する。
【0163】
一方、前回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S208:No)、所定時間に至るまで間、即ち、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、第1初期値乱数カウンタCINI1、第2初期値乱数カウンタCINI2及び変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新を繰り返し実行する(S209,S210)。
【0164】
まず、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新を実行する(S209)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では738、250)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。
【0165】
次に、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新を実行する(S210)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240,162)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。
【0166】
ここで、S201〜S206の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、第1当たり乱数カウンタC1の初期値、第2当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1,CS2,CS3についてもランダムに更新することができる。
【0167】
また、S207の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S207:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図17のNMI割込処理が実行されたということなので、S211以降の電源遮断時の処理が実行される。まず、各割込処理の発生を禁止し(S211)、電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置(払出制御装置111や音声ランプ制御装置113等の周辺制御装置)に対して送信する(S212)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S213)、RAM203のアクセスを禁止して(S214)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
【0168】
なお、S207の処理は、S201〜S206で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS209とS210の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置110のメイン処理において、各設定が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS201の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS201の処理から開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S101)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S201の処理から開始することができる。従って、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり暴走することなく正確な制御を行うことができる。
【0169】
次に、図9を参照して、変動処理(S204)について説明する。図9は、メイン処理(図8参照)の中で実行される変動処理(S204)を示すフローチャートである。この変動処理では、まず、今現在大当たり中であるか否かを判別する(S301)。大当たり中としては、大当たりの際に第3図柄表示装置81及び第1図柄表示装置37A,37Bで表示される大当たり遊技の最中と大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判別の結果、大当たり中であれば(S301:Yes)、そのまま本処理を終了する。
【0170】
大当たり中でなければ(S301:No)、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示態様が変動中であるか否かを判別し(S302)、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示態様が変動中でなければ(S302:No)、特図A保留球カウンタ203bの値、即ち、第1図柄表示装置37Aの作動保留球数NAが0よりも大きいか否かを判別する(S303)。
【0171】
S303の処理により確認した結果、作動保留球数NA>0であれば(S303:Yes)、入賞球格納エリアA203a1の状態を更新し、実行エリアに格納されている各値を取得して第1図柄表示装置37Aにおける変動表示の準備を図る第1変動開始要求処理を実行する(S304)。なお、この第1変動開始要求処理(S304)については、図10を参照して後述する。
【0172】
第1変動開始要求処理(S304)の実行後は、入賞球格納エリアB203a2に格納されている各値を取得して第1図柄表示装置37Bにおける変動表示の準備を図る第2変動開始要求処理を実行する(S305)。なお、この第2変動開始要求処理(S305)については、図11を参照して後述する。
【0173】
一方で、S303の処理により確認した結果、作動保留球数NAが0であれば(S303:No)、特図B変動待機フラグ203dがオンであるかを確認し(S311)、特図B変動待機フラグ203dがオンであれば(S311:Yes)、入賞球格納エリアA203a1は空であるが、入賞球格納エリアB203a2に値が格納されているので、入賞球格納エリアB203a2に格納されている各値を取得して第1図柄表示装置37Bにおける変動表示の準備を図る第3変動開始要求処理(S312)を実行する。なお、この第3変動開始要求処理(S312)については、図12を参照して後述する。
【0174】
第2変動開始要求処理(S305)又は第3変動開始要求処理(S312)の実行後は、第1変動開始要求処理(S304)、第2変動開始要求処理(S305)、又は第3変動開始要求処理(S312)において取得された値に基づいて第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの変動開始処理を実行し(S306)、この変動処理(S204)を終了する。なお、変動開始処理については、図13を参照して後述する。
【0175】
一方で、S311の処理により確認した結果、特図B変動待機フラグ203dがオフであれば(S311:No)、入賞球格納エリアA203a1にも入賞球格納エリアB203a2にも値が格納されていないので、この変動処理(S204)を終了する。
【0176】
また、S302の処理において、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示態様が変動中であると判別されると(S302:Yes)、変動時間が経過したか否かを判別する(S307)。第1図柄表示装置37A,37Bの変動中の表示時間は、変動種別カウンタCS1,CS2により選択された変動パターンと変動種別カウンタCS3により選択された加算時間とに応じて決められており、この変動時間が経過していなければ(S307:No)、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示を更新する(S308)。
【0177】
本実施の形態では、第1図柄表示装置37A及び第1図柄表示装置37Bのいずれも、複数のLED37Aa,37Baの内、変動が開始されてから変動時間が経過するまでは、例えば、現在点灯しているLEDが赤であれば、その赤のLEDを消灯すると共に緑のLEDを点灯させ、緑のLEDが点灯していれば、その緑のLEDを消灯すると共に青のLEDを点灯させ、青のLEDが点灯していれば、その青のLEDを消灯すると共に赤のLEDを点灯させる表示態様が設定される。
【0178】
なお、変動処理は4ms毎に実行されるが、その変動処理の実行毎にLEDの点灯色を変更すると、LEDの点灯色の変化を遊技者が確認することができない。そこで、遊技者がLEDの点灯色の変化を確認することができるように、変動処理が実行される毎にカウンタ(図示せず)を1カウントし、そのカウンタが100に達した場合に、LEDの点灯色の変更を行う。即ち、0.4s毎にLEDの点灯色の変更を行っている。なお、カウンタの値は、LEDの点灯色が変更されたら、0にリセットされる。
【0179】
一方、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの変動時間が経過していれば(S307:Yes)、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの停止図柄に対応した表示態様が設定される(S309)。停止図柄の設定は、第1当たり乱数カウンタC1の値に応じて大当たりか否かが決定されると共に、大当たりである場合には第1当たり種別カウンタC2の値により大当たり後に高確率状態となる図柄か低確率状態となる図柄かが決定される。本実施の形態では、大当たり後に高確率状態になる場合には赤色のLEDを点灯させ、低確率状態になる場合には緑色のLEDを点灯させ、外れである場合には青色のLEDを点灯させる。なお、各LEDの表示は、次の変動表示が開始される場合に点灯が解除されるが、変動の停止後数秒間のみ点灯させるものとしても良い。
【0180】
S309の処理で停止図柄に対応した第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示態様が設定されると、第3図柄表示装置81の変動停止を第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37BにおけるLEDの点灯と同調させるために停止コマンドが設定される(S310)。音声ランプ制御装置113は、この停止コマンドを受信すると、表示制御装置114に対して停止指示をする。第3図柄表示装置81は、変動時間が経過すると変動が停止し、停止コマンドを受信することで、第3図柄表示装置81における1の変動演出が終了する。
【0181】
次に、図10を参照して、上記した第1変動開始要求処理(S304)について説明する。図10は、変動処理(S204)の中で実行される第1変動開始要求処理(S304)を示すフローチャートである。
【0182】
この第1変動開始要求処理(S304)では、まず、特図B変動待機フラグ203dがオンであるかを確認し(S1401)、特図B変動待機フラグ203dがオンであれば(S1401:Yes)、特図B待機回数カウンタ203cが1以上であるか(即ち、特図B待機回数カウンタ203c>0であるか)を確認する(S1402)。
【0183】
S1402の処理により確認した結果、特図B待機回数カウンタ203cが0であれば(S1402:No)、入賞球格納エリアB203a2に格納されている値を用いて第1図柄表示装置37Bにおいて変動表示を実行させるべく、この第1変動開始要求処理(S304)を終了し、図11に示す第2変動開始要求処理(S305)へ移行する。
【0184】
一方で、S1402の処理により確認した結果、S1402の処理により確認した結果、特図B待機回数カウンタ203cが1以上であれば(S1402:Yes)、入賞球格納エリアB203a2に格納されている値を用いて第1図柄表示装置37Bで実行されるべき変動表示は待機中にあるので、入賞球格納エリアA203a1に格納されている値を用いて第1図柄表示装置37Aにおいて変動表示を実行させるべく、S1403の処理へ移行する。
【0185】
また、S1401の処理により確認した結果、特図B変動待機フラグ203dがオフであれば(S1401:No)、入賞球格納エリアB203a2には値が格納されていないので、入賞球格納エリアA203a1に格納されている値を用いて第1図柄表示装置37Aにおいて変動表示を実行させるべく、S1403の処理へ移行する。
【0186】
S1403では、入賞球格納エリアA203a1に格納されたデータをシフト(データシフト処理)する(S1403)。このデータシフト処理は、入賞球格納エリアA203a1の保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
【0187】
S1403の処理より、データシフト処理が行われた後、このデータシフト処理の結果、不要になった入賞球格納エリアA203a1のデータ、即ち、最も、実行エリアから離れた最後尾の保留エリアのデータをクリアし(S1404)、特図A保留球カウンタ203b(即ち、第1入球口A64への入賞が保留された球数である作動保留球数NA)を減算し(S1405)、特図A保留球カウンタ203bの値を設定する(S1406)。
【0188】
S1406の処理の結果、設定された特図A保留球カウンタ203bの値は、メイン処理における次のサイクルにおけるS201において音声ランプ制御装置113へ出力されて、次に実行される第1図柄表示装置37Aの変動表示の開始時(変動開始時)に、特図A保留球カウンタ203bの値に対応する数の保留ランプ85が点灯される。また、S1404の処理の結果として、次に実行される第1図柄表示装置37Aの変動開始時に、第1図柄表示装置37AにおけるLED37Aaが、特図A保留球カウンタ203bの値に応じて点灯される。
【0189】
S1406の処理後、入賞球格納エリアA203a1の実行エリアに格納されている各カウンタ値、即ち、第1当たり乱数カウンタC1の値と、第1当たり種別カウンタC2の値と、停止パターン選択カウンタC3の値とを取得する(S1407)。
【0190】
S1407の処理後、特図B待機回数カウンタ203cを1減算し(S1408)、特図B待機回数カウンタ203cの値を設定し(S1409)、特図A変動開始要求フラグ203eをオンし(S1410)、この第1変動開始要求処理(S304)を終了する。
【0191】
S1409の処理の結果として、次に実行される第1図柄表示装置37Aの変動開始時に、第1図柄表示装置37BにおけるLED37Baが、特図B待機回数カウンタ203cの値、即ち、第1入球口B640への球の入賞に伴って第1図柄表示装置37Bに表示すべき変動表示の待機回数に応じて点灯される。
【0192】
上記した第1変動開始要求処理(S304)によれば、入賞球格納エリアA203a1と入賞球格納エリアB203a2との両方にカウンタ値が格納されている場合に、特図B待機回数カウンタ203cが1以上である場合には、入賞球格納エリアB203a2に格納されているカウンタ値による第1図柄表示装置37Bの変動表示が待機され、入賞球格納エリアA203a1に格納されているカウンタ値が、第1図柄表示装置37Aにおける変動表示を行わせるべく優先的に取得される。その際、入賞球格納エリアA203a1に格納されているカウンタ値の中で、第1入球口A64への入賞順序が時間的に最も古い入賞に基づいて取得されたカウンタ値が取得される。一方で、特図B待機回数カウンタ203cが0である場合には、次に説明する第2変動開始要求処理(S305)において入賞球格納エリアB203a2に格納されているカウンタ値が、第1図柄表示装置37Bにおける変動表示を行わせるべく取得される。
【0193】
よって、本実施の形態のパチンコ機10によれば、特図B待機回数カウンタ203cが示す値(待機回数)に応じて、第1入球口A64及び第1入球口B640への入賞順序を区別しつつ、入賞球格納エリアA203a2に格納されているカウンタ値を用いて第1図柄表示装置37Aの変動表示を行うか、入賞球格納エリアB203a2に格納されているカウンタ値を用いて第1図柄表示装置37Bの変動表示を行うかが決定することができる。
【0194】
次に、図11を参照して、上記した第2変動開始要求処理(S305)について説明する。図11は、変動処理(S204)の中で実行される第2変動開始要求処理(S305)を示すフローチャートである。
【0195】
この第2変動開始要求処理(S305)では、まず、特図A変動開始要求フラグ203eがオンであるかを確認し(S1421)、特図A変動開始要求フラグ203eがオンであれば(S1421:Yes)、この第2変動開始要求処理(S305)に先立って実行された第1変動開始要求処理(図10参照)において、入賞球格納エリアA203a1に格納されている値が第1図柄表示装置37Aにおいて変動表示を実行させるべく既に取得されているので、何も行うことなく、この第2変動開始要求処理(S305)を終了し、図13に示す変動開始処理(S306)へ移行する。
【0196】
一方で、S1421の処理により確認した結果、特図A変動開始要求フラグ203eがオフであれば(S1421:No)、入賞球格納エリアB203a2に格納されている値を用いて第1図柄表示装置37Bにおいて変動表示を実行させるべく、S1422の処理へ移行する。
【0197】
S1422では、入賞球格納エリアB203a2(入賞球格納エリアB203a2の実行エリア)に格納されている各カウンタ値、即ち、第1当たり乱数カウンタC1の値と、第1当たり種別カウンタC2の値と、停止パターン選択カウンタC3の値とを取得する(S1422)。
【0198】
S1422の処理後、特図変動待機フラグ203dをオフし(S1423)、この第2変動開始要求処理(S305)を終了し、図13に示す変動開始処理(S306)へ移行する。
【0199】
次に、図12を参照して、上記した第3変動開始要求処理(S312)について説明する。図12は、変動処理(S204)の中で実行される第3変動開始要求処理(S312)を示すフローチャートである。
【0200】
この第3変動開始要求処理(S312)では、まず、入賞球格納エリアB203a2(入賞球格納エリアB203a2の実行エリア)に格納されている各カウンタ値、即ち、第1当たり乱数カウンタC1の値と、第1当たり種別カウンタC2の値と、停止パターン選択カウンタC3の値とを取得し(S1441)、特図変動待機フラグ203dをオフし(S1442)、この第3変動開始要求処理(S312)を終了し、図13に示す変動開始処理(S306)へ移行する。
【0201】
次に、図13を参照して、変動開始処理について説明する。図13は、変動処理(図9参照)の中で実行される変動開始処理(S306)を示したフローチャートである。変動開始処理(S305)では、まず、S1407(図10参照)かS1422(図11参照)かS1441(図12参照)のいずれかの処理によって取得した第1当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する(S401)。大当たりか否かは第1当たり乱数カウンタC1の値とその時々のモードとの関係に基づいて判別される。前述した通り通常の低確率時には第1当たり乱数カウンタC1の数値0〜738のうち「373,727」が当たり値であり、高確率時には「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,631,683,733」が当たり値である。
【0202】
大当たりであると判別された場合(S401:Yes)、S1407(図10参照)かS1422(図11参照)かS1441(図12参照)のいずれかの処理によって取得した第1当たり種別カウンタC2の値を確認して、大当たり時の表示態様が設定される(S402)。S402の処理では、第1当たり種別カウンタC2の値に基づき、大当たり後に高確率状態へ移行するか低確率状態へ移行するかが設定される。大当たり後の移行状態が設定されると、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示態様(LED37Aa又はLED37Baの点灯状態)が設定される。また、大当たり後の移行状態に基づいて、第3図柄表示装置81で停止表示される大当たりの停止図柄が音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114で設定される。即ち、S402の処理により大当たり後の移行状態を設定することで、第3図柄表示装置81における停止図柄が設定される。なお、第1当たり種別カウンタC2の数値0〜4のうち、「0,4」の場合は、以後、低確率状態に移行し、「1,2,3」の場合は高確率状態に移行する。
【0203】
次に、特図A変動開始要求フラグ203eがオンであるかを確認し(S403)、特図A変動開始要求フラグ203eがオンであれば(S403:Yes)、第1入球口A64への球の入賞に伴う第1図柄表示装置37Aの変動表示が要求されているので、MPU201内に設けられている変動種別カウンタCS1,CS2用のテーブル(図示せず)のうち、第1入球口A64に対応するテーブルを取得する(S404)。
【0204】
一方で、S403の処理により確認した結果、特図A変動開始要求フラグ203eがオフであれば(S403:Yes)、第1入球口B640への球の入賞に伴う第1図柄表示装置37Bの変動表示が要求されているので、第1入球口B640に対応するテーブルを取得する(S416)。
【0205】
S404又はS416の処理後、取得されたテーブルとRAM203のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値とに基づいて、大当たり時の変動パターンを決定する(S405)。即ち、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の大まかな図柄変動の変動時間を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄列Z2又は中図柄列Z2’の図柄(中図柄))が停止するまでの変動時間(言い換えれば、変動図柄数)を決定する。このS405の処理による変動パターンの決定によって、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示時間が設定されると共に、第3図柄表示装置81において大当たり図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。
【0206】
なお、上記変動時間は、第2変動種別カウンタCS2の値を使わずに第1変動種別カウンタCS1の値だけを用いて設定することも可能であり、第1変動種別カウンタCS1の値だけで設定するか又は両変動種別カウンタCS1,CS2の両値で設定するかは、その都度の第1変動種別カウンタCS1の値や遊技条件などに応じて適宜決めるように構成してもよい。
【0207】
一方で、S401の処理で大当たりではないと判別された場合には(S401:No)、外れ時の表示態様が設定される(S412)。このS412の処理では、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示態様を外れ図柄に対応した表示態様に設定すると共に、入賞球格納エリアA203a1又は入賞球格納エリア203a2の実行エリアに格納されている停止パターン選択カウンタC3の値に基づいて、第3図柄表示装置81において表示させる演出を、前後外れリーチであるか、前後外れ以外リーチであるか、完全外れであるかを設定する。本実施の形態では、上述したように、高確率状態であるか、低確率状態であるか、及び作動保留球数NAに応じて、停止パターン選択カウンタC3の各停止パターンに対応する値の範囲が異なるようテーブルが設定されている。
【0208】
次に、特図A変動開始要求フラグ203eがオンであるかを確認し(S413)、特図A変動開始要求フラグ203eがオンであれば(S413:Yes)、第1入球口A64への球の入賞に伴う第1図柄表示装置37Aの変動表示が要求されているので、MPU201内に設けられている変動種別カウンタCS1,CS2用のテーブル(図示せず)のうち、第1入球口A64に対応するテーブルを取得する(S414)。
【0209】
一方で、S413の処理により確認した結果、特図A変動開始要求フラグ203eがオフであれば(S413:No)、第1入球口B640への球の入賞に伴う第1図柄表示装置37Bの変動表示が要求されているので、第1入球口B640に対応するテーブルを取得する(S417)。
【0210】
S414又はS417の処理後、取得されたテーブルとRAM203のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値とに基づいて、外れ時の変動パターンを決定する(S415)。即ち、上記したS405と同様に、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の大まかな図柄変動の変動時間を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄列Z2又は中図柄列Z2’の図柄(中図柄))が停止するまでの変動時間(言い換えれば、変動図柄数)を決定する。このS415の処理による変動パターンの決定によって、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示時間が設定されると共に、第3図柄表示装置81において外れ図柄で停止するまでの第3図柄の変動時間が決定される。
【0211】
ここで、上述したように、MPU201内に設けられている変動種別カウンタCS1,CS2用のテーブル(図示せず)はいずれも、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、1の表示態様の種別を取り得る変動種別カウンタCS1の値の範囲が異なるように2種類のテーブルが設けられており、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、各表示態様の種別の選択比率が異なるように構成されいる。よって、S405の処理によって大当たり時の変動パターンを決定する際や、S415の処理によって外れ時の変動パターンを決定する際に使用されるテーブルは、S403,S404,S416、又は、S413,S414,S417の処理により、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じたものが選択されるので、第3図柄表示装置81で表示される第3図柄の各変動パターンを、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて多種多様に現出させることができ、遊技者に入賞した第1入球口(第1入球口A64又は第1入球口B640)に応じた異なる印象を付与し、その結果として高い興趣を提供することができることになる。
【0212】
S405の処理またはS415の処理が終わると、第1及び第2種別カウンタCS1,CS2により決定された変動時間に加減算される演出時間が決定される(S406)。このとき、RAM203のカウンタ用バッファに格納されている第3種別カウンタCS3の値に基づいて演出時間の加減算が決定され、第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bの表示時間が設定されると共に、第3図柄表示装置81の変動時間が設定される。本実施の形態では、演出時間の加減算の決定は、第3変動種別カウンタCS3の値に応じて、変動表示の時間を変更しない場合と変動表示時間を1秒加算する場合、変動表示時間を2秒加算する場合、変動表示時間を1秒減算する場合との4種類の加算値が決定される。
【0213】
なお、変動表示時間が加減算される場合には、第3図柄表示装置81で大当たりの期待値が高くなる予告演出(例えば、変動図柄の変動時間を通常より長くしてスベリを伴わせるスベリ演出や予告キャラを表示させる演出、1の変動図柄の変動時間を通常より短くして即停止させる演出など)が行われる。また、第1当たり乱数カウンタC1の値が大当たりである場合は、2秒の加算値が選択される確率が高く設定されているので、遊技者は予告演出を確認することで大当たりを期待することができる。
【0214】
次に、S405又はS415の処理で決定された変動パターン(変動時間)に応じて変動パターンコマンドを設定し(S407)、S402又はS412の処理で設定された停止図柄に応じて停止図柄コマンドを設定する(S408)。そして、S406の処理で決定された演出時間の加算値に応じて演出時間加算コマンドを設定する(S409)。
【0215】
S409の処理後、特図A変動開始要求フラグ203eの値(オン又はオフ)に応じた、即ち、第1入球口A64に入賞したか第1入球口B640に入賞したかに応じた変動方向コマンドを設定し(S410)、特図A変動開始要求フラグ203eをオフして(S411)、この変動開始処理(S305)を終了して変動処理(図9参照)へ戻る。
【0216】
なお、S410の処理により設定される変動方向コマンドは、第3図柄表示装置81において表示される変動表示を縦スクロールとするか、横スクロールとするかを規定するコマンドである。本実施の形態では、特図A変動開始要求フラグ203eがオンである場合には、横スクロールに対応する変動方向コマンドが設定される。一方、特図A変動開始要求フラグ203eがオフである場合には、縦スクロールに対応する変動方向コマンドが設定される。従って、第1入球口A64へ入賞した場合には第3図柄表示装置81において横スクロールの変動表示が行われ、第1入球口B640へ入賞した場合には第3図柄表示装置81において縦スクロールの変動表示が行われる。
【0217】
この変動開始処理(S305)において設定された各コマンドは、メイン処理における次のサイクルにおけるS201において音声ランプ制御装置113へ出力され、音声ランプ制御装置113によって処理された後、表示制御装置114へ出力されて、その結果として、第3図柄表示装置81において対応する変動変動パターン及び停止図柄が表示される。
【0218】
次に、図18及び図19を参照して、払出制御装置111内のMPU211により実行される払出制御について説明する。図18は、払出制御装置111の立ち上げ処理を示すフローチャートであり、この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S801)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。そして、RAMアクセスを許可すると共に(S802)、外部割込ベクタの設定を行う(S803)。
【0219】
その後は、MPU211内のRAM213に関してデータバックアップの処理を実行する。具体的には、RAM213に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S804)、記憶されていなければ(S804:No)、バックアップデータは記憶されていないので、処理をS811へ移行する。RAM213に電源断の発生情報が記憶されていれば(S804:Yes)、RAM判定値を算出し(S805)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S805:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS811へ移行する。図19のS917の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM213の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM213の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
【0220】
S811,S812のRAMの初期化処理では、RAM213の全ての領域を0クリアした後(S811)、RAM213の初期値を設定する(S812)。その後、MPU211の周辺デバイスの初期設定を行い(S809)、割込みを許可して(S810)、メイン処理へ移行する。
【0221】
一方、電源断の発生情報が設定されており(S804:Yes)、且つRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S806:Yes)、RAM213にバックアップされたデータを保持したまま、電源遮断の発生情報をクリアすると共に(S807)、賞球の払い出しを待機させるために、払出許可フラグ213dをオフする(S808)。その後、MPU211の周辺デバイスの初期設定を行い(S809)、割込みを許可して(S810)、メイン処理へ移行する。
【0222】
次に、図19のフローチャートを参照して、払出制御装置111内のMPU211により実行されるメイン処理を説明する。このメイン処理は、まず主制御装置110からの賞球コマンドや払出復帰コマンド、払出初期化コマンドを受信し、それらコマンドの種別を判定するコマンド判定処理を行う(S901)。該処理では、主制御装置110から送信された正常なコマンドを受信すると、払出許可フラグがオンされ、賞球や貸出球の払い出しが許可される。
【0223】
コマンド判定処理(S901)が終わると、払い出しが許可されているか否か、即ち、払出許可フラグの状態が判別され(S902)、払い出しが許可されていなければ(S902:No)、未だ主制御装置110は立ち上がった状態にないので、かかる場合には、コマンド判定処理(S901)において払い出しの許可がなされるまでコマンド判定処理(S901)を繰り返し実行する。一方、S902の処理において払い出しが許可されていれば(S902:Yes)、状態復帰スイッチ120をチェックし、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する(S903)。
【0224】
その後、下皿50の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する(S904)。即ち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿50の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時に、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時に、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する(S905)。即ち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時に、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時に、タンク球無し解除状態の設定を実行する。その後、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には、払出制御装置111に設けた7セグメントLEDにより報知する(S906)。
【0225】
次に、S907〜S909の各処理により、賞球払出の処理を実行する。即ち、賞球の払出不可状態でなく且つ記憶した総賞球個数が0でなければ(S907:No,S908:No)、賞球の払い出しを行うために賞球制御処理を開始する(S909)。一方、賞球の払出不可状態(S907:Yes)または総賞球個数が0であれば(S908:Yes)、貸球払出の処理に移行する。
【0226】
S910〜S912の貸球払出の処理では、貸球の払出不可状態でなく且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(S910:No,S911:Yes)、貸球を払い出しために貸球制御処理を開始する。一方、貸球の払出不可状態(S910:Yes)または貸球払出要求を受信していない場合には(S911:No)、処理をS913へ移行する。また、貸球制御処理(S912)の終了後も、同様に、処理をS913へ移行する。
【0227】
S913の処理では、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ134の制御(バイブモータ制御)を実行する(S913)。その後は、RAM213に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S914)、電源断の発生情報が記憶されていなければ(S914:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていないので、かかる場合には、処理をS901へ移行して、S901からS913のメイン処理を繰り返し実行する。
【0228】
一方、S914の処理において、電源断の発生情報が記憶されていれば(S914:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図17のNMI割込処理が実行されたということである。よって、かかる場合には、各割込処理の発生の禁止をし(S915)、主制御装置110から送信されるコマンドの受信漏れを防止するために、再度コマンド判定処理を実行する(S916)。そして、RAM判定値を算出してRAM213に保存し(S917)、RAM213のアクセスを禁止して(S918)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、例えば、RAM判定値は、RAM213のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
【0229】
なお、S914の処理は、払出制御装置111のメイン処理の1サイクルが終わるタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断前の状態から復帰する場合には、処理を立ち上げ処理の終了後、S901の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、メイン処理を開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU211が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S801)において、スタックポインタを所定値(初期値)に設定することで、処理をS901から開始することができる。従って、払出制御装置111の制御負担を軽減することができると共に、払出制御装置111が誤動作したり暴走することなく正確な制御を行うことができる。また、各処理が終わったタイミングで電源断の処理が実行されるので、RAM213にバックアップする情報量を少なくすることができる。
【0230】
以上、説明したように、本実施の形態のパチンコ機10によれば、始動条件の成立(始動入賞)にかかわる入球口である第1入球口が第1入球口A64と第1入球口B640との複数設けられており、第1入球口A64に球が入賞した(第1入球口スイッチAにより球が検出された)場合には、入賞球格納エリアA203a1に、第1当たり乱数カウンタC1などのカウンタ値が格納(記憶)される。一方で、第1入球口B640に球が入賞した(第1入球口スイッチBにより球が検出された)場合には、入賞球格納エリアB203a2に、第1当たり乱数カウンタC1などのカウンタ値が格納(記憶)される。即ち、入賞球格納エリアA203a1に格納されているカウンタ値は、第1入球口A64への球の入賞を契機として取得されたカウンタ値であり、入賞球格納エリアB203a2に格納されているカウンタ値は、第1入球口B640への球の入賞を契機として取得されたカウンタ値である。
【0231】
入賞球格納エリアA203a1は、実行エリアと第1〜第4までの保留エリアとから構成されており、第1入球口A64への球の入賞に基づいて第1図柄表示装置37Aに表示すべき変動表示を最大4回保留することができるように構成されており、第1入球口A64への球の入賞順序は、これらの5つのエリア(実行エリア及び第1〜第4保留エリア)によって識別される。具体的には、実行エリアが、時間的に最も古くに第1入球口A64への球の入賞に基づいて取得されたカウンタ値を格納するエリアであり、以降、第1保留エリア、第2保留エリア、第3保留エリア、第4保留エリアの順で順次第1入球口A64への球の入賞に基づいて取得されたカウンタ値が格納されるように構成されている。
【0232】
一方で、入賞球格納エリアB203a2は、1回分の第1入球口A64への球の入賞に基づいて取得されたカウンタ値が格納できる1つの実行エリアから構成されている。ここで、本実施の形態のパチンコ機10では、第1入球口640へ球が入賞し、その入賞に基づいて取得されるカウンタ値を入賞球格納エリアB203a2に格納する際には、S1625(図16参照)の処理によって、それ以前に入賞球格納エリアA203a1に格納されているカウンタ値の数、即ち、保留されている第1図柄表示装置37Aに表示すべき変動表示の回数(特図A保留球カウンタ203bの値)が、特図B待機回数カウンタ203cに設定される。
【0233】
よって、本実施の形態のパチンコ機10によれば、この特図B待機回数カウンタ203cが示す値(待機回数)によって、入賞球格納エリアB203a2に格納されているカウンタ値が第1入球口A64及び第1入球口B640の両方を通じて「いつの通過によって」得られた値であるかを区別することができるのである。
【0234】
また、入賞球格納エリアA203a1に格納されているカウンタ値が「いつの通過によって」得られた値であるかもまた、特図B待機回数カウンタ203cが示す値(待機回数)と、第1入球口A64への球の入賞順序を識別可能とする入賞球格納エリアA203a1の構成とによって区別することができることになる。
【0235】
従って、本実施の形態のパチンコ機10によれば、第1入球口(第1入球口A64又は第1入球口B640)への入賞に対応するカウンタ値を、「どの第1入球口をいつ通過した」ものであるかを区別しつつ、入賞球格納エリアA203a1又は入賞球格納エリアB203a2に格納することができる。その結果、入賞順序に従って(即ち、古くから入賞したものから順に)順次処理する場合に、カウンタ値に応じた処理(動作の制御)を第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて区別して制御することができるのである。
【0236】
ところで、複数の始動口(第1入球口A64や第1入球口640B640に対応する入球口)を有するパチンコ機を考える場合に、それらの複数の始動口のいずれに遊技球が入賞したかに応じて異なる制御を行うには、入賞口毎に独立した保留球格納エリア(入賞球格納エリア)(を設け、入賞した入賞口に応じて保留情報を対応するた保留球格納エリアに記憶することによって「どの入賞口に入賞したか」を区別可能とし、た保留球格納エリアに記憶される保留情報に対し、どの入賞口に入賞したかとは無関係の連番などの順序情報を対応付け、保留情報が1つ消費される毎に、順序情報を1ずつ繰り下げることによって「いつ入賞したか」を区別可能にすることも考えられる。
【0237】
かかる場合、保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対応する順序情報を各々減算する処理を行わねばならないため、制御的負担が大きく、場合によっては、より高級な演算装置を使用する必要が生じるので、遊技機の製造コストが増大するという問題が生じる。
【0238】
しかし、本実施の形態のパチンコ機10によれば、上述したように、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて区別して行われる処理(動作の制御)は、従来からしばしば用いられている入賞球格納エリアA203a1のデータシフト処理に加えて、特図B待機回数カウンタ203cの減算を行うのみであるので、制御的負担や記憶量の増大を抑制しつつ製造することができるのである。
【0239】
以上、一実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0240】
例えば、上記実施の形態では、始動条件の成立(始動入賞)にかかわる入球口である第1入球口として、1つの第1入球口A64と1つの第1入球口B640とを設ける構成としたが、入球回数は保留されないように構成されている第1入球口B640については、同様の第1入球口(即ち、入球回数は保留されないように構成されている第1入球口)が複数設けられた構成であってもよい。
【0241】
なお、第1入球口B640と同様の第1入球口(即ち、第1入球口A64とは異なる第1入球口)を複数設ける場合には、各第1入球口に対して特図B待機回数カウンタ203cに対応するカウンタを設ける構成とする。そして、各カウンタ(特図B待機回数カウンタ203cに対応するカウンタ)に値を設定する処理、即ち、上記実施の形態におけるS1625(図16参照)に対応する処理では、第1入球口A64への入賞に基づいてカウンタ値が格納されている入賞球格納エリア203aにおけるエリア数(即ち、特図A保留球カウンタの値)と第1入球口A64とは異なる第1入球口の通過に基づいてカウンタ値が格納されている入賞球格納エリアの数との和を、入賞した第1入球口に対応するカウンタに設定すればよい。
【0242】
このように、第1入球口B640と同様の第1入球口(即ち、第1入球口A64とは異なる第1入球口)を複数設けた場合には、各第1入球口毎に、第3図柄表示装置81の変動表示の変動パターンなどの動作が異なるように構成してもよい。異なる動作の数が増えることによって、遊技者に与える印象を異ならせることができ、遊技の興趣性を高めることができる。
【0243】
また、複数の第1入球口A64を1組として、1組の第1入球口A64のいずれかに球が入賞した場合であっても、これらの1組の第1入球口A64の全てに共通する入賞球格納エリア203aにカウンタ値を格納する構成としてもよい。
【0244】
また、上記実施の形態では、図1に示すように、第1入球口A64と第1入球口B640とを比較的広く離間し、第1入球口B640に付随する電動役物(図示せず)が閉鎖された状態であっても球が入球可能であるように構成した。これに換えて、第1入球口A64と第1入球口B640との配置間隔を図1に示した場合より狭くし、第1入球口B640に付随する電動役物の開放時には球が入球可能であるが、閉鎖時には球が入球できないように第1入球口A64と第1入球口B640とを配置するような構成であってもよい。
【0245】
また、上記実施の形態においては、第1入球口A64への通過は、最大4回保留できるように構成したが、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定してもよい。
【0246】
また、上記実施の形態では、球が第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて各々異なる動作の制御(例えば、第3図柄表示装置81に変動表示を縦スクロールで表示するか横スクロールで表示するか)を行うように構成した。これは、球が入賞した第1入球口毎に各々異なる制御を実行することに限定することを意図するものではない。例えば、1入球口B640と同様の第1入球口(即ち、第1入球口A64とは異なる第1入球口)を6つ設けた場合に、3つの第1入球口に対してはいずれに入賞しても同じ動作の制御が実行されるが、残りの3つの第1入球口に対しては各々異なる動作の制御が実行されるような構成であってもよい。また、第1入球口A64へ入賞した場合も第1入球口B640へ入賞した場合も同じ動作の制御が実行されるような構成、即ち、全ての第1入球口への入賞に対して同じ動作の制御が実行されるような構成であってもよい。
【0247】
また、上記実施の形態では、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じた特徴的な動作として、変動表示時において第3図柄表示装置81にて表示される変動パターン(スクロール方向の変更、変動パターンの現出確率の変更)や、変動表示に使用する第1図柄表示装置37A,37Bの選択を例示したが、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じた動作としてこれらがいずれも実行されることを意図するものではない。例えば、変動表示時において第3図柄表示装置81にて表示される変動パターンの現出確率の変更は同じであるが、変動表示時において第3図柄表示装置81にて表示される変動表示のスクロール方向の変更されるものであってもよい。
【0248】
また、上記に加えて又は上記以外に、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、第1当たり乱数カウンタC1の値が大当たりとなる確率を変更するように構成してもよい。例えば、第1入球口B640に入賞した場合に比べ、第1入球口A64に入賞した場合の方が大当たり確率が高くなるように構成してもよい。かかる構成とした場合、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、即ち、入賞した第1入球口(第1入球口A64又は第1入球口B640)に応じて、遊技価値の有利度に変化をつけることができる。その結果、遊技者は、入賞する第1入球口が第1入球口A64であるか第1入球口B640であるかに応じて一喜一憂することになり、遊技者に高い興趣性遊技を提供することができる。
【0249】
さらに、上記に加えて又は上記以外に、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、第1当たり種別カウンタC2の値により大当たり後に高確率状態となる確率を変更するように構成してもよい。例えば、第1入球口B640に入賞した場合に比べ、第1入球口A64に入賞した場合の方が大当たり後に高確率状態となる確率が高くなるように構成してもよい。かかる構成とした場合、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて、即ち、入賞した第1入球口(第1入球口A64又は第1入球口B640)に応じて、遊技価値の有利度に変化をつけることができる。その結果、遊技者は、入賞する第1入球口が第1入球口A64であるか第1入球口B640であるかに応じて一喜一憂することになり、遊技者に高い興趣性遊技を提供することができる。なお、大当たり後に時短状態となる機能を有するパチンコ機の場合に、大当たり後に時短状態となる確率を変更するように構成してもよい。
【0250】
また、上記実施の形態では、第1入球口A64及び第1入球口B640の両方に共通するカウンタ(第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3など)を共通にするよう構成したが、これらのカウンタの全て又は一部(例えば、第1当たり乱数カウンタC1、第2当たり種別カウンタC2、及び停止パターン選択カウンタC3)を、第1入球口A64用と第1入球口B640用とで別々に設けるように構成してもよい。即ち、例えば、第1当たり乱数カウンタC1、第2当たり種別カウンタC2、及び停止パターン選択カウンタC3を、それぞれ、第1入球口A64用と第1入球口B640用とで2つずつ設けるように構成してもよい。
【0251】
かかる場合、第1入球口A64用と第1入球口B640用とに別々設けたカウンタの全範囲(即ち、取り得る値の数)は、同じに構成しても異なるように構成してもよい。例えば、第1当たり乱数カウンタC1を第1入球口A64用と第1入球口B640用とで2つ設けた場合には、第1入球口A64用の第1当たり乱数カウンタC1の全範囲(即ち、取り得る値の数)と、第1入球口B640用の第1当たり乱数カウンタC1の全範囲とをそれぞれ同じに構成しても、互いに異なるように構成してもよい。
【0252】
また、カウンタの全範囲に対してある態様に対して割り当てた範囲を、第1入球口A64用と第1入球口B640用とで同じに構成しても異なるように構成してもよい。例えば、第1当たり乱数カウンタC1を第1入球口A64用と第1入球口B640用とで2つ設けた場合に、大当たりとなる範囲をそれぞれ同じに構成しても、互いに異なるように構成してもよい。
【0253】
即ち、第1入球口A64用のカウンタと第1入球口B640用のカウンタとを別々に設けた場合に、カウンタの全範囲やある態様に対して割り当てた範囲の設定によって、ある態様が現出する確率が第1入球口A64へ入賞した場合と第1入球口B640へ入賞した場合とで同じになるように構成しても、互いに異なるように構成してもよい。
【0254】
例えば、第1入球口A64用の第1当たり乱数カウンタC1と第1入球口B640用の第1当たり乱数カウンタC1とを別々に設けた場合に、大当たりの確率を、第1入球口A64へ入賞した場合と第1入球口B640へ入賞した場合とで同じになるように構成しても、互いに異なるように構成してもよい。同様に、第1入球口A64用の第1当たり種別カウンタC2と第1入球口B640用の第1当たり種別カウンタC2とを別々に設けた場合に、大当たり後に高確率状態となる確率を、第1入球口A64へ入賞した場合と第1入球口B640へ入賞した場合とで同じになるように構成しても、互いに異なるように構成してもよい。また、第1入球口A64用の停止パターン選択カウンタC3と第1入球口B640用の停止パターン選択カウンタC3とを別々に設けた場合に、「前後外れリーチ」などの各種リーチ態様が選択される確率を、第1入球口A64へ入賞した場合と第1入球口B640へ入賞した場合とで同じになるように構成しても、互いに異なるように構成してもよい。
【0255】
また、上記実施の形態では、第3図柄表示装置81に表示される変動表示のスクロール方向を、第1入球口A64へ入賞した場合には横スクロールとし、第1入球口B640へ入賞した場合には縦スクロールとすることによって、いずれの第1入球口へ入賞したかを区別可能としたが、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかにかかわらずスクロール方向を同じ方向とし、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じた特徴的な表示を第3図柄表示装置81に表示するような構成としてもよい。
【0256】
ここで、かかる構成の一例として、図20を参照して説明する。図20は、第3図柄表示装置81に表示される変動表示の変形例を示す模式図である。図20に示すように、この変形例では、変動表示や停止表示として表示される主図柄や副図柄などの図柄に加え、画面下方の左右両隅にそれぞれシンボル51aとシンボル51bとが第3図柄表示装置81に表示されるように構成されている。なお、シンボル51aにおける斜線のハッチングはこのシンボル51aが点滅表示していることを表し、シンボル51bにおける黒色のハッチングはこのシンボル51aが停止表示していることを表している。
【0257】
図20に示すように、第3図柄表示装置81にに変動表示又は停止表示がされている最中に、2つのシンボル51a,51bのいずれを点滅表示とするかによって入賞した第1入球口(第1入球口A64又は第1入球口B640)を視覚的に区別させることができる。例えば、第1入球口A64へ入賞した場合には、シンボル51aを点滅表示させてシンボル51bを停止表示させ、一方で、第1入球口B640へ入賞した場合には、シンボル51aを停止表示させてシンボル51bを点滅表示させることによって、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかを遊技者に区別させることができる。
【0258】
なお、上記のように第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じた特徴的な表示を第3図柄表示装置81に表示する制御としては、変動パターンコマンドと共に第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じたコマンドを音声ランプ制御装置113へ出力し、音声ランプ制御装置113又は表示制御装置114において(付加的表示手段によって)、かかるコマンドに応じた表示を変動表示と共に第3図柄表示装置81に表示するように制御すればよい。
【0259】
また、上記実施の形態では、変動種別カウンタCS1,CS2用のテーブルについて、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じて異なるテーブルを設けるように構成したが、変動種別カウンタCS1,CS2用のテーブル第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかにかかわらず共通するテーブルとして設け、かかるテーブルに基づいて選択された変動パターンに対応する変動パターンコマンドと、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じたコマンドとを音声ランプ制御装置113へ出力し、音声ランプ制御装置113又は表示制御装置114での制御によって、第1入球口A64へ入賞したか第1入球口B640へ入賞したかに応じた変動パターンの変動表示が第3図柄表示装置81に表示されるように構成してもよい。なお、上記実施の形態では、音声ランプ制御装置113と表示制御装置114とを別装置として構成したが、音声ランプ制御装置と表示制御装置とを1の制御装置として構成するものとしても良い。
【0260】
また、上記実施の形態に示すように、動的表示の一種である変動表示は、第3図柄表示装置81の表示画面上で識別情報としての図柄を縦又は横方向にスクロールさせるものに限定されず、L字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであっても良い。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、第3図柄として用いられる。
【0261】
また、上記実施の形態においては、第2入球口67の通過は、それぞれ最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。
【0262】
また、上記実施の形態では、第1入球口A64に対する保留数の報知を保留ランプ85の点灯によって行うものとしたが、保留数を第3図柄表示装置81に視覚的に区別可能に表示する(例えば、数字または、4つに区画された領域を保留回数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)として表示する)ような構成であってもよい。
【0263】
また、上記実施の形態では、入賞球格納エリア203aを構成する入賞球格納エリアA203a1と入賞球格納エリアB203a2とのそれぞれが、実行エリア(入賞球格納エリアB203a2の場合は、それ自体が実行エリア)をを備えるように構成したが、実行エリアを、第1入球口A64と第1入球口B640とに共通に設ける構成としてもよい。
【0264】
ここで、図21を参照して、入賞球格納エリア203aの変形例について説明する。図21は、別例の入賞球格納エリアである入賞球格納エリア203fを説明するための模式図である。図21に示すように、入賞球格納エリア203aに代わる入賞球格納エリア203fは、第1入球口A64への入賞を保留するための4つの保留エリアA203f1と、第1入球口B640への入賞を待機するための1つの待機エリアB203f2と、第1入球口A64と第1入球口B640とに共通する実行エリア203f3とから構成されている。
【0265】
かかる構成の入賞球格納エリア203fにおいて、保留エリアA203f1及び待機エリアB203f2へは、それぞれ、上記実施の形態におけるS1604(図15参照)及びS1623(図16参照)の処理によってカウンタ値が記憶される。その後、S1403においてデータシフト処理を行う場合には、保留エリアA203f1の第1保留エリアから実行エリア203f3へデータシフトする。一方、第2変動開始要求処理(図11参照)の実行時には、S1421の処理により確認した結果、特図A変動開始要求フラグ203eがオフであった場合に(S1421:No)、S1421の処理を実行する前に、待機エリアB203f2に格納されているカウンタ値を、実行エリア203f3にデータシフトするように構成すればよい。
【0266】
また、上記実施の形態におけるS1625の処理では、特図B待機回数カウンタ203cに、特図A保留球カウンタ203bの値を設定するように構成したが、特図B待機回数カウンタ203cに設定する値は、特図A保留球カウンタ203bの値を特定可能な値、例えば、特図A保留球カウンタ203bの値の倍数(2倍など)などであってもよい。なお、かかる構成とする場合には、S1408において特図B待機回数カウンタ203cから減算する値を、特図A保留球カウンタ203bにおける1に対応する数値を減算するように構成すればよい。
【0267】
また、上記実施の形態では、第1入球口A64の作動保留球数を計数するカウンタとして特図A保留球数カウンタ203bを設けるように構成したが、これらのカウンタ203bを設けずに、必要に応じて(例えば、変動開始の際に)、保留球格納エリア203aの内容を確認することによって、第1入球口A64の作動保留球数を得るように構成してもよい。
【0268】
本発明を上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有するいわゆる第2種パチンコ遊技機などに実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球など他の遊技機として実施するようにしても良い。
【0269】
本発明を上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施しても良い。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
【0270】
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0271】
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
【0272】
以下に、本発明の遊技機および変形例を示す。始動条件の成立を契機として入賞情報を取得する入賞情報取得手段と、その入賞情報取得手段により取得された入賞情報に基づいて抽選を行う第1の抽選手段と、図柄の表示を行う表示手段と、前記始動条件の成立を契機として前記表示手段に前記図柄の変動表示を表示させ、その変動表示が終了する場合に前記第1の抽選手段による抽選結果を前記図柄の停止表示として前記表示手段に表示させる表示制御手段と、その表示制御手段によって前記表示手段に表示される前記図柄の停止表示が、前記第1の抽選手段による抽選結果が所定の結果であることを示すものである場合には、通常状態より遊技者に有利な特別遊技状態を創出する特別遊技状態創出手段とを備えた遊技機において、前記遊技媒体が通過可能な複数位置の各々に設けられ、各位置への前記遊技媒体の通過を前記始動条件の成立として検出する検出手段と、前記複数位置のうちのいずれかの位置に設けられている前記検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、該始動条件の成立を検出した検出手段に応じた制御を行う対応制御手段と、前記表示制御手段による前記表示手段への前記変動表示の表示中又は前記特別遊技状態中に、前記複数位置に設けられた前記検出手段のうちの1つ又は1組の検出手段から構成される1の特定検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記入賞情報取得手段により取得された入賞情報を、該特定検出手段により検出された入賞順序を識別可能に複数記憶できる第1入賞情報記憶手段と、前記表示制御手段による前記表示手段への前記変動表示の表示中又は前記特別遊技状態中に、前記複数位置に設けられた前記検出手段のうちの前記特定検出手段とは異なる検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記入賞情報取得手段により取得された入賞情報を1つ記憶できる記憶手段であって、前記検出手段の1つ又は1組に対して1つ設けられている第2入賞情報記憶手段と、前記第1入賞情報記憶手段又は前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている前記入賞情報の数を計数する入賞回数計数手段と、前記第2入賞情報記憶手段に入賞情報を記憶する場合に、その入賞情報を記憶する第2入賞情報記憶手段に対応付けられ、前記入賞回数計数手段により計数された数又はその数に対応する値を待機回数として記憶する待機回数記憶手段と、前記表示制御手段によって前記表示手段に表示される前記図柄の変動表示が実行される毎に、前記待機回数記憶手段に記憶される待機回数から所定数ずつ減算する待機回数減算手段と、前記表示制御手段によって前記図柄の停止表示が前記表示手段に表示された後、該表示制御手段により次に前記図柄の変動表示を前記表示手段へ表示させる際に前記第1入賞情報記憶手段又は前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている前記入賞情報が存在する場合には、前記待機回数記憶手段に記憶される前記待機回数がゼロであれば、その前記待機回数記憶手段に対応する前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報を取得し、それ以外(即ち、前記待機回数記憶手段に記憶される前記待機回数がゼロでない場合)は、前記第1入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報のうち前記始動条件の成立の検出順序が最前である入賞情報を取得する保留入賞情報取得手段とを備え、前記保留入賞情報取得手段により入賞情報が取得された場合には、前記第1の抽選手段は、該保留入賞情報取得手段により取得された入賞情報に基づいて抽選を行い、前記対応制御手段は、該保留入賞情報取得手段により取得された入賞情報を前記入賞情報取得手段により取得する契機となった前記検出手段に応じた制御を行うことを特徴とする遊技機1。
【0273】
遊技機1によれば、始動条件の成立を契機として入賞情報取得手段により入賞情報が取得されると、その取得された入賞情報に基づいて第1の抽選手段により抽選が行われると共に、表示制御手段によって、表示手段に図柄の変動表示が表示され、その変動表示が終了する際に第1の抽選手段による抽選結果が図柄の停止表示として該表示手段に表示される。このとき、表示制御手段によって表示手段に表示される図柄の停止表示が、第1の抽選手段による抽選結果が所定の結果(例えば、所謂「当選」)であることを示すものである場合には、特別遊技状態創出手段により、通常状態より遊技者に有利な特別遊技状態が創出される。
【0274】
この特別遊技状態中又は表示制御手段による表示手段への変動表示の表示中に、遊技媒体が通過可能な複数位置の各々に設けられている検出手段のうちの1つ又は1組の検出手段から構成される1の特定検出手段(例えば、第1入球口A64に設けられている第1入球口スイッチA)により、遊技媒体の通過が検出されて始動条件が成立した場合には、入賞情報取得手段により取得された入賞情報が、該特定検出手段により検出された入賞順序を識別可能に第1入賞情報記憶手段に順次記憶される。
【0275】
一方で、特別遊技状態中又は表示制御手段による表示手段への変動表示の表示中に、遊技媒体が通過可能な複数位置の各々に設けられている検出手段のうちの特定検出手段とは異なる検出手段(例えば、第1入球口B640に設けられている第1入球口スイッチB)により、遊技媒体の通過が検出されて始動条件が成立した場合には、入賞情報取得手段により取得された入賞情報が第2入賞情報記憶手段に記憶される。なお、この第2入賞情報記憶手段は、1の検出手段に対して1つ設けられている記憶手段であり、入賞情報を1つ記憶することができるように構成されている。
【0276】
ところで、第1入賞情報記憶手段又は第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報の数は、入賞回数計数手段によって計数されており、この入賞回数計数手段により計数された数又はその数に対応する値は、第2入賞情報記憶手段に入賞情報を記憶する場合に、その入賞情報を記憶する第2入賞情報記憶手段に対応付けられている待機回数記憶手段に待機回数として記憶される。そして、この待機回数記憶手段に記憶された待機回数は、表示制御手段によって表示手段に表示される図柄の変動表示が実行される毎に、待機回数減算手段により、所定数ずつ(例えば、待機回数に記憶される値が待機回数計数手段により計数された数であった場合には、1ずつ)減算される。
【0277】
ここで、始動条件を成立させる位置(例えば、第1入球口A64、第1入球口B640)が複数あり、それらの複数の位置のいずれを遊技媒体が通過したかに応じて、例えば、表示手段に表示される変動表示の態様を変化させることのできる遊技機では、保留情報が「どの位置をいつ(どの順序で)通過したか」が区別可能となるように保留球記憶手段に記憶されていなければならない。
【0278】
ところで、入賞口(遊技媒体が通過可能な位置であって始動条件の成立に関与する位置)毎に独立した保留球格納エリア(入賞球格納エリア)を設け、入賞した入賞口に応じて保留情報を対応する保留球格納エリアに記憶することによって「どの入賞口に入賞したか」を区別可能としており、その一方で、各入賞口に対応する各保留球格納エリアに保留情報を記憶する際には、保留情報と共に、その保留情報に対応する情報であってどの入賞口に入賞したかとは無関係の連番を示す情報である順序情報とが対応付けて記憶し、その後、各入賞口毎に設けられた複数の保留球格納エリアのうちのいずれかの保留球格納エリアにおける保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対して各々対応付けられている順序情報を1ずつ繰り下げることによって「いつ入賞したか」を区別可能にすることも考えられる。しかし、かかる場合、保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対応する順序情報を各々減算する処理を行わねばならないため、制御的負担が大きく、場合によっては、より高級な演算装置を使用する必要が生じるので、遊技機の製造コストが増大するという問題が生じる。
【0279】
これに対し、遊技機1によれば、第2入賞情報記憶手段に記憶される唯一の入賞情報は、その第2入賞情報記憶手段に対応付けられた待機回数記憶手段と待機回数減算手段によって保留入賞情報取得手段によって取得されるまでの待機回数が計られている。そして、表示制御手段によって図柄の停止表示が表示手段に表示された後、該表示制御手段により次に図柄の変動表示が表示手段に表示される際に、第1入賞情報記憶手段又は第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報が存在し、かつ、待機回数記憶手段に記憶される待機回数がゼロであれば、その待機回数記憶手段に対応する第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報が保留入賞情報取得手段によって取得される。
【0280】
一方で、第1入賞情報記憶手段に記憶される複数の入賞情報は、この第1入賞情報記憶手段内において特定検出手段により検出された入賞順序が識別可能とされており、表示制御手段によって図柄の停止表示が表示手段に表示された後、該表示制御手段により次に図柄の変動表示が表示手段に表示される際に、第1入賞情報記憶手段又は第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報が存在し、かつ、待機回数記憶手段に記憶される待機回数がゼロでなければ、第1入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報のうち始動条件の成立の検出順序が最前である入賞情報が保留入賞情報取得手段によって取得される。
【0281】
かかる構成によって、第1入賞情報記憶手段又は第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報は、時間的に古い(即ち、始動条件の成立の検出順序が最前である)ものから順に保留入賞情報取得手段によって取得されることになる。そして、このように、保留入賞情報取得手段により始動条件の成立の検出順序が最前である入賞情報が取得されると、取得された入賞情報に基づいて、第1の抽選手段によって抽選が行われると共に、該取得された入賞情報を入賞情報取得手段により取得する契機となった検出手段に応じた制御が対応制御手段によって行われる。
【0282】
よって、遊技機1によれば、始動条件を成立させる位置(例えば、第1入球口A64、第1入球口B640)が複数あり、それらの複数の位置のいずれを遊技媒体が通過したかに応じた制御がされる遊技機であるにもかかわらず、少なくとも第1入賞情報記憶手段内に記憶されている入賞情報に対して、待機回数記憶手段及び待機回数減算手段による待機回数の管理は不要である。その結果、上記した「保留情報が1つ消費される毎に、全ての保留情報に対応する順序情報を各々減算する処理」の一部を省略することができるので、制御負担の増大を抑制できると共に、記憶量の増大も抑制できるのである。即ち、制御負担の増大も記憶量の増大も抑制しつつ、複数の始動条件を成立させる位置のいずれを遊技媒体が通過したかに応じた制御を行うことができ、その結果として興趣の高い遊技をを提供できる遊技機を製造することが可能となるのである。
【0283】
また、入賞口(遊技媒体が通過可能な位置であって始動条件の成立に関与する位置)が複数ある場合に、「どの位置をいつ通過したか」を考慮するのではなく、各入賞口毎に独立して「いつ通過したか」のみを区別することも考えられる。しかし、かかる場合には、各入賞毎に始動条件の成立に基づく変動処理などの各制御処理や、複数の入賞口に対する同時当選の発生を回避するための処理などが実行されるので制御負担が大きい。また、かかる場合には、各入賞毎に始動条件の成立に基づく変動表示を各々独立して表示装置(例えば、1枚のLED)に表示する必要があるので、同時に複数の変動表示が行われる状況が生じた場合には、遊技者は、どの変動がどの入賞口への入賞に対応するものであるかの区別に困り、結果的に興趣性の低下を招く。
【0284】
これに対し、遊技機1によれば、保留情報が「どの位置をいつ通過したか」が区別可能となるように保留球記憶手段に記憶されるので、各入賞口毎に独立して「いつ通過したか」のみを区別する遊技機に生じる上述したような問題を回避できる。
【0285】
なお、遊技機1において、対応制御手段によって行われる「始動条件の成立を検出した検出手段に応じた制御」とは、検出手段に応じて全て異なる制御に限定されるものではなく、一部の検出手段に対しては同じ制御が行われ、残りの検出手段に対してはそれぞれ異なる制御が行われるような構成であってもよい。
【0286】
遊技機1において、前記対応制御手段は、前記始動条件の成立を検出した検出手段に応じた態様の前記変動表示又は前記停止表示を前記表示制御手段により前記表示手段に表示させるものであることを特徴とする遊技機2。
【0287】
遊技機2によれば、対応制御手段による制御によって、表示制御手段によって表示手段に表示される変動表示又は停止表示が始動条件の成立を検出した検出手段に応じた態様の表示(例えば、始動条件の成立を検出した検出手段に応じて変動表示を縦スクロール又は横スクロールで表示する)となるので、表示態様のバリエーションが増え、遊技者に高い興趣を提供することができる。
【0288】
遊技機1又は2において、前記対応制御手段は、前記表示制御手段によって前記変動表示又は前記停止表示を前記表示手段に表示させる場合に、前記始動条件の成立を検出した検出手段であって該変動表示又は該停止表示に対応する検出手段の種類を区別可能な表示を該変動表示又は該停止表示に付加する付加的表示手段を備えていることを特徴とする遊技機3。
【0289】
遊技機3によれば、表示制御手段によって変動表示又は停止表示を表示手段に表示させる場合には、対応制御手段における付加的表示手段によって、始動条件の成立を検出した検出手段であって表示中の変動表示又は停止表示に対応する検出手段の種類を区別可能な表示(例えば、シンボル51a,シンボル51b)が、該変動表示又は該停止表示に付加される。
【0290】
よって、遊技者は、表示手段に表示中の変動表示又は停止表示に付加されている表示を認識することによって、現在表示中の変動表示又は停止表示が、どの検出手段による検出に由来するものであるかを識別することができ、始動条件を成立させるための位置が複数設けられていることを明確に認識することができる。そのため、例えば、遊技者の受ける遊技価値の関わる制御を検出手段に応じた異なるものとした場合には、遊技者は表示手段に表示された変動表示や停止表示を確認することにより、自身の置かれている環境を区別して認識することができるので、かかる表示(変動表示又は停止表示)によって遊技者が抱く期待感や失望感などの感情のバランスに変化をつけることができ、その結果、遊技者に高い興趣性遊技を提供することができる。
【0291】
遊技機1から3のいずれかにおいて、乱数を発生する乱数発生手段と、前記乱数発生手段により発生され得る各乱数と前記表示手段に表示される前記変動表示の態様に対応する値とを対応付けて記憶する変動態様記憶手段と、前記複数位置のうちのいずれかの位置に設けられている前記検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記乱数発生手段から乱数を前記入賞情報として取得する入賞情報取得手段と、その入賞情報取得手段により取得された乱数に対する前記変動表示の態様に対応する値を前記変動態様記憶手段から取得する変動態様取得手段とを備え、前記変動態様記憶手段は、前記検出手段の種類に応じたものが設けられており、前記対応制御手段は、前記検出手段に応じた前記変動態様記憶手段を選択する選択手段を含み、該選択手段により選択された前記変動態様記憶手段を用いて前記変動態様取得手段による値の取得を実行させ、取得された値に従う態様の前記変動表示を前記表示制御手段により前記表示手段に表示させるものであることを特徴とする遊技機4。
【0292】
遊技機4によれば、乱数発生手段により発生され得る各乱数と、表示手段に表示される変動表示の態様に対応する値とが変動態様記憶手段において対応付けて記憶されている。ここで、複数位置のうちのいずれかの位置に設けられている検出手段により遊技媒体の通過が検出されて始動条件が成立した場合には、入賞情報取得手段により、乱数発生手段により発生される乱数が入賞情報として取得されると、変動態様取得手段により、取得された乱数に対する変動表示の態様に対応する値が、変動態様記憶手段から取得される。
【0293】
また、変動態様記憶手段は、検出手段の種類に応じたものが設けられており、対応制御手段における選択手段によって、検出手段に応じた変動態様記憶手段が選択される。さらに、対応制御手段による制御によって、選択された変動態様記憶手段を用いて前記変動態様取得手段による値の取得が実行され、取得された値に従う態様の変動表示が表示制御手段によって表示手段に表示される。
【0294】
よって、表示制御手段によって表示手段に表示される変動表示又は停止表示が検出手段に応じた態様の表示となるので、表示手段に表示される表示を始動条件を成立させるための位置に応じて異なる印象を遊技者に与えることができ、遊技者に高い興趣を提供することができる。
【0295】
遊技機1から4のいずれかにおいて、前記待機回数記憶手段に記憶されている待機回数を報知する待機回数報知手段を備えていることを特徴とする遊技機5。
【0296】
遊技機5によれば、待機回数記憶手段に記憶されている待機回数は、待機回数報知手段(例えば、第1図柄表示装置37Bにおける7セグメント表示装置37Bb)によって報知される。よって、遊技者は、待機回数報知手段による報知により、ある検出手段への遊技媒体の通過を契機として取得された入賞情報の待機回数を認識することができる。そのため、例えば、遊技者の受ける遊技価値の関わる制御を検出手段に応じた異なるものとした場合に、遊技者は、他に比べてより有利な遊技価値が得られる可能性の高い検出手段への遊技媒体の通過に伴って取得された入賞情報の待機回数に対し、期待感を持ちつつその待機回数がゼロに近づくことを待ち望むという状況が生じるなど、かかる報知によって遊技者が抱く感情のバランスに変化をつけることができ、その結果、遊技者に高い興趣性遊技を提供することができる。
【0297】
遊技機1から5のいずれかにおいて、前記対応制御手段は、前記第1の抽選手段により前記入賞情報に基づく抽選を行う場合に、該入賞情報に対応する前記検出手段に応じて、該第1の抽選手段による抽選結果として前記所定の結果が得られる確率を変更する特別遊技状態創出確率変更手段を備えていることを特徴とする遊技機6。
【0298】
遊技機6によれば、第1の抽選手段により入賞情報に基づく抽選を行う場合に、対応制御手段における特別遊技状態創出確率変更手段によって、該入賞情報に対応する検出手段に応じて、該第1の抽選手段による抽選結果として所定の結果が得られる確率が変更される。よって、検出手段に応じて遊技者の受ける遊技価値の有利度に変化をつけることができるので、遊技者は始動条件を成立させるための位置に応じて一喜一憂することになり、その結果、遊技者に高い興趣性遊技を提供することができる。
【0299】
遊技機1から6のいずれかにおいて、前記入賞情報取得手段は、始動条件の成立を契機として、前記入賞情報と、前記特別遊技状態の終了後に遊技のモードを、通常モードより遊技者に有利な有利モードにするか否かを指定する遊技モード指定情報(第1当たり種別カウンタC2の値)とを取得するものであり、前記入賞情報取得手段により取得された遊技モード指定情報に基づいて第2の抽選を行う第2の抽選手段(S402の処理)と、前記第1の抽選手段による抽選結果が所定の結果であり、かつ、前記第2の抽選手段による抽選結果が、前記有利モードを指定するものである場合に、前記特別遊技状態の終了後に遊技モードを前記有利モードとする有利モード創出手段とを備え、前記対応制御手段は、前記第2の抽選手段により前記遊技モード指定手段に基づく抽選を行う場合に、前記入賞情報取得手段による該遊技モード指定情報の取得の契機となった前記検出手段に応じて、該第2の抽選手段による抽選結果として前記有利モードが指定される確率を変更する有利モード創出確率変更手段を備えていることを特徴とする遊技機7。
【0300】
遊技機7によれば、始動条件の成立を契機として、入賞情報と特別遊技状態の終了後に遊技のモードを通常モードより遊技者に有利な有利モード(例えば、確変状態や時短状態)にするか否かを指定する遊技モード指定情報とが、入賞情報取得手段により取得される。取得された情報のうち、遊技モード指定情報は、第2の抽選手段によって第2の抽選が行われる。そのとき、第1の抽選手段による抽選結果が所定の結果であり、かつ、第2の抽選手段による抽選結果が、有利モードを指定するものである場合には、有利モード創出手段により、特別遊技状態の終了後に遊技モードが有利モードとされる。ここで、第2の抽選手段により遊技モード指定手段に基づく抽選を行う場合に、対応制御手段における有利モード創出確率変更手段によって、入賞情報取得手段による該遊技モード指定情報の取得の契機となった検出手段に応じて、該第2の抽選手段による抽選結果として有利モードが指定される確率が変更される。よって、検出手段に応じて遊技者の受ける遊技価値の有利度に変化をつけることができるので、遊技者は始動条件を成立させるための位置に応じて一喜一憂することになり、その結果、遊技者に高い興趣性遊技を提供することができる。
【0301】
遊技機7において、前記有利モードは、前記特別遊技状態の終了後に行われる前記第1の抽選手段による抽選に対し、その抽選結果として前記所定の結果が得られる確率が向上するモードであることを特徴とする遊技機8。
【0302】
遊技機8によれば、第2の抽選手段により遊技モード指定手段に基づく抽選を行う場合に、対応制御手段における有利モード創出確率変更手段によって、入賞情報取得手段による該遊技モード指定情報の取得の契機となった検出手段に応じて、該第2の抽選手段による抽選結果として有利モードとして、特別遊技状態の終了後に行われる第1の抽選手段による抽選に対し、その抽選結果として所定の結果が得られる確率が向上するモードが指定される確率が変更される。特別遊技状態の発生を伴う所定の結果は、遊技者にとって有利な結果であり、この所定の結果が得られる確率を遊技モード指定情報の取得の契機となった検出手段に応じて変更することによって、検出手段に応じて遊技者の受ける遊戯価値の有利度に変化をつけることができる。よって、遊技者は始動条件を成立させるための位置に応じて一喜一憂することになり、その結果、遊技者に高い興趣性遊技を提供することができる。
【0303】
遊技機1から8のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機9。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【0304】
遊技機1から8のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機10。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0305】
遊技機1から8のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機11。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
【0306】
なお、本実施の形態における請求項1記載の入賞情報取得手段としては、S1604,1623の処理が該当し、請求項1記載の第1の抽選処理としては、S401の処理が該当し、請求項1記載の特別遊技状態創出手段としては、S401におけるYesの分岐処理が該当し、請求項1記載の対応制御手段としては、例えば、S403,S404、S416や、S413,S414、S417や、S1406や、S1408の処理などが該当し、請求項1記載の待機回数減算手段としては、S1408の処理が該当し、請求項1記載の保留入賞情報取得手段としては、S1401〜S1404,S1407,S1422,S1441の処理が該当する。
【0307】
また、本実施の形態における請求項1記載の検出手段としては、第1入球口スイッチA及び第1入球口スイッチB(いずれも図示せず)が該当し、このうち、特定検出手段としては、第1入球口スイッチAが該当し、特定検出手段とは異なる検出手段としては、第1入球口スイッチBが該当する。
【0308】
また、本実施の形態における請求項4記載の乱数発生手段としては、変動種別カウンタCS1,CS2が該当し、請求項4記載の変動態様記憶手段としては変動種別カウンタCS1,CS2用のテーブルが該当し、請求項4記載の入賞情報取得手段としては、S1604,1623の処理が該当し、請求項4記載の変動態様取得手段としては、S405の処理が該当し、請求項4記載の選択手段としては、S403,S404、S416の処理が該当する。
【符号の説明】
【0309】
10 パチンコ機(遊技機)
37A,37B 第1図柄表示装置(表示手段)
81 第3図柄表示装置(表示手段)
110 主制御手段(表示制御手段、付加的表示手段)
113 音声ランプ制御手段(表示制御手段、付加的表示手段)
114 表示制御手段(表示制御手段、付加的表示手段)
203a1 入賞球格納エリアA(第1入賞情報記憶手段)
203a2 入賞球格納エリアB(第2入賞情報記憶手段)
203b 特図A保留球カウンタ(入賞回数計数手段)
203c 特図B待機回数カウンタ(待機回数記憶手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
始動条件の成立を契機として入賞情報を取得する入賞情報取得手段と、その入賞情報取得手段により取得された入賞情報に基づいて抽選を行う第1の抽選手段と、図柄の表示を行う表示手段と、前記始動条件の成立を契機として前記表示手段に前記図柄の変動表示を表示させ、その変動表示が終了する場合に前記第1の抽選手段による抽選結果を前記図柄の停止表示として前記表示手段に表示させる表示制御手段と、その表示制御手段によって前記表示手段に表示される前記図柄の停止表示が、前記第1の抽選手段による抽選結果が所定の結果であることを示すものである場合には、通常状態より遊技者に有利な特別遊技状態を創出する特別遊技状態創出手段とを備えた遊技機において、
前記遊技媒体が通過可能な複数位置の各々に設けられ、各位置への前記遊技媒体の通過を前記始動条件の成立として検出する検出手段と、
前記複数位置のうちのいずれかの位置に設けられている前記検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、該始動条件の成立を検出した検出手段に応じた制御を行う対応制御手段と、
前記表示制御手段による前記表示手段への前記変動表示の表示中又は前記特別遊技状態中に、前記複数位置に設けられた前記検出手段のうちの1つ又は1組の検出手段から構成される1の特定検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記入賞情報取得手段により取得された入賞情報を、該特定検出手段により検出された入賞順序を識別可能に複数記憶できる第1入賞情報記憶手段と、
前記表示制御手段による前記表示手段への前記変動表示の表示中又は前記特別遊技状態中に、前記複数位置に設けられた前記検出手段のうちの前記特定検出手段とは異なる検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記入賞情報取得手段により取得された入賞情報を1つ記憶できる記憶手段であって、前記検出手段の1つ又は1組に対して1つ設けられている第2入賞情報記憶手段と、
前記第1入賞情報記憶手段又は前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている前記入賞情報の数を計数する入賞回数計数手段と、
前記第2入賞情報記憶手段に入賞情報を記憶する場合に、その入賞情報を記憶する第2入賞情報記憶手段に対応付けられ、前記入賞回数計数手段により計数された数又はその数に対応する値を待機回数として記憶する待機回数記憶手段と、
前記表示制御手段によって前記表示手段に表示される前記図柄の変動表示が実行される毎に、前記待機回数記憶手段に記憶される待機回数から所定数ずつ減算する待機回数減算手段と、
前記表示制御手段によって前記図柄の停止表示が前記表示手段に表示された後、該表示制御手段により次に前記図柄の変動表示を前記表示手段へ表示させる際に前記第1入賞情報記憶手段又は前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている前記入賞情報が存在する場合には、前記待機回数記憶手段に記憶される前記待機回数がゼロであれば、その前記待機回数記憶手段に対応する前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報を取得し、それ以外は、前記第1入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報のうち前記始動条件の成立の検出順序が最前である入賞情報を取得する保留入賞情報取得手段とを備え、
前記保留入賞情報取得手段により入賞情報が取得された場合には、前記第1の抽選手段は、該保留入賞情報取得手段により取得された入賞情報に基づいて抽選を行い、前記対応制御手段は、該保留入賞情報取得手段により取得された入賞情報を前記入賞情報取得手段により取得する契機となった前記検出手段に応じた制御を行うことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記対応制御手段は、前記始動条件の成立を検出した検出手段に応じた態様の前記変動表示又は前記停止表示を前記表示制御手段により前記表示手段に表示させるものであることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記対応制御手段は、前記表示制御手段によって前記変動表示又は前記停止表示を前記表示手段に表示させる場合に、前記始動条件の成立を検出した検出手段であって該変動表示又は該停止表示に対応する検出手段の種類を区別可能な表示を該変動表示又は該停止表示に付加する付加的表示手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
乱数を発生する乱数発生手段と、
前記乱数発生手段により発生され得る各乱数と前記表示手段に表示される前記変動表示の態様に対応する値とを対応付けて記憶する変動態様記憶手段と、
前記複数位置のうちのいずれかの位置に設けられている前記検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記乱数発生手段から乱数を前記入賞情報として取得する入賞情報取得手段と、
その入賞情報取得手段により取得された乱数に対する前記変動表示の態様に対応する値を前記変動態様記憶手段から取得する変動態様取得手段とを備え、
前記変動態様記憶手段は、前記検出手段の種類に応じたものが設けられており、
前記対応制御手段は、前記検出手段に応じた前記変動態様記憶手段を選択する選択手段を含み、該選択手段により選択された前記変動態様記憶手段を用いて前記変動態様取得手段による値の取得を実行させ、取得された値に従う態様の前記変動表示を前記表示制御手段により前記表示手段に表示させるものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の遊技機。
【請求項1】
始動条件の成立を契機として入賞情報を取得する入賞情報取得手段と、その入賞情報取得手段により取得された入賞情報に基づいて抽選を行う第1の抽選手段と、図柄の表示を行う表示手段と、前記始動条件の成立を契機として前記表示手段に前記図柄の変動表示を表示させ、その変動表示が終了する場合に前記第1の抽選手段による抽選結果を前記図柄の停止表示として前記表示手段に表示させる表示制御手段と、その表示制御手段によって前記表示手段に表示される前記図柄の停止表示が、前記第1の抽選手段による抽選結果が所定の結果であることを示すものである場合には、通常状態より遊技者に有利な特別遊技状態を創出する特別遊技状態創出手段とを備えた遊技機において、
前記遊技媒体が通過可能な複数位置の各々に設けられ、各位置への前記遊技媒体の通過を前記始動条件の成立として検出する検出手段と、
前記複数位置のうちのいずれかの位置に設けられている前記検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、該始動条件の成立を検出した検出手段に応じた制御を行う対応制御手段と、
前記表示制御手段による前記表示手段への前記変動表示の表示中又は前記特別遊技状態中に、前記複数位置に設けられた前記検出手段のうちの1つ又は1組の検出手段から構成される1の特定検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記入賞情報取得手段により取得された入賞情報を、該特定検出手段により検出された入賞順序を識別可能に複数記憶できる第1入賞情報記憶手段と、
前記表示制御手段による前記表示手段への前記変動表示の表示中又は前記特別遊技状態中に、前記複数位置に設けられた前記検出手段のうちの前記特定検出手段とは異なる検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記入賞情報取得手段により取得された入賞情報を1つ記憶できる記憶手段であって、前記検出手段の1つ又は1組に対して1つ設けられている第2入賞情報記憶手段と、
前記第1入賞情報記憶手段又は前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている前記入賞情報の数を計数する入賞回数計数手段と、
前記第2入賞情報記憶手段に入賞情報を記憶する場合に、その入賞情報を記憶する第2入賞情報記憶手段に対応付けられ、前記入賞回数計数手段により計数された数又はその数に対応する値を待機回数として記憶する待機回数記憶手段と、
前記表示制御手段によって前記表示手段に表示される前記図柄の変動表示が実行される毎に、前記待機回数記憶手段に記憶される待機回数から所定数ずつ減算する待機回数減算手段と、
前記表示制御手段によって前記図柄の停止表示が前記表示手段に表示された後、該表示制御手段により次に前記図柄の変動表示を前記表示手段へ表示させる際に前記第1入賞情報記憶手段又は前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている前記入賞情報が存在する場合には、前記待機回数記憶手段に記憶される前記待機回数がゼロであれば、その前記待機回数記憶手段に対応する前記第2入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報を取得し、それ以外は、前記第1入賞情報記憶手段に記憶されている入賞情報のうち前記始動条件の成立の検出順序が最前である入賞情報を取得する保留入賞情報取得手段とを備え、
前記保留入賞情報取得手段により入賞情報が取得された場合には、前記第1の抽選手段は、該保留入賞情報取得手段により取得された入賞情報に基づいて抽選を行い、前記対応制御手段は、該保留入賞情報取得手段により取得された入賞情報を前記入賞情報取得手段により取得する契機となった前記検出手段に応じた制御を行うことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記対応制御手段は、前記始動条件の成立を検出した検出手段に応じた態様の前記変動表示又は前記停止表示を前記表示制御手段により前記表示手段に表示させるものであることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記対応制御手段は、前記表示制御手段によって前記変動表示又は前記停止表示を前記表示手段に表示させる場合に、前記始動条件の成立を検出した検出手段であって該変動表示又は該停止表示に対応する検出手段の種類を区別可能な表示を該変動表示又は該停止表示に付加する付加的表示手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
乱数を発生する乱数発生手段と、
前記乱数発生手段により発生され得る各乱数と前記表示手段に表示される前記変動表示の態様に対応する値とを対応付けて記憶する変動態様記憶手段と、
前記複数位置のうちのいずれかの位置に設けられている前記検出手段により前記遊技媒体の通過が検出されて前記始動条件が成立した場合に、前記乱数発生手段から乱数を前記入賞情報として取得する入賞情報取得手段と、
その入賞情報取得手段により取得された乱数に対する前記変動表示の態様に対応する値を前記変動態様記憶手段から取得する変動態様取得手段とを備え、
前記変動態様記憶手段は、前記検出手段の種類に応じたものが設けられており、
前記対応制御手段は、前記検出手段に応じた前記変動態様記憶手段を選択する選択手段を含み、該選択手段により選択された前記変動態様記憶手段を用いて前記変動態様取得手段による値の取得を実行させ、取得された値に従う態様の前記変動表示を前記表示制御手段により前記表示手段に表示させるものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−46795(P2013−46795A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−237905(P2012−237905)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2006−236986(P2006−236986)の分割
【原出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2006−236986(P2006−236986)の分割
【原出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]