説明

運転支援システム

【課題】後方車両が前方車両に追突することをより的確に回避するための運転支援システムを提供する。
【解決手段】ミリ波レーダ10で周辺車両と自車両の間の距離を測定し、周辺車両の車速センサ110で検出され、送信機140で送信された周辺車両の速度を自車両の受信機40で受信し、受信した周辺車両の速度と、自車両の車速センサ12で検出した自車両の速度と、から周辺車両と自車両の相対速度を算出する。そして、周辺車両との距離が所定の距離以内であり、かつ、周辺車両との相対速度が所定の値以上である場合に、送信機70を介して周辺車両に警告表示要求を行う。周辺車両では、受信機100で警告表示要求を受けて、ブレーキ表示灯150又は停車灯152によって、自車両に対して警告表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行時に前方車両への追突を防止する運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、後方を走行する車両が前方車両に追突するのを防止するため、前方車両がエンジンブレーキ作動状態になったとき、前方車両の速度が所定の速度以下になったとき、あるいは、前方車両が駐車しているときに、前方車両に装着した追突警告灯を点灯させて後方車両の運転者に認識させる追突警告灯があった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−291031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記追突警告灯は、前方車両がある速度で走行中であって、その速度が低下した場合に、その速度低下を前方車両が検出して後方車両に警告を行うものであるため、前方車両と後方車両との速度差を考慮していない。したがって、元々先行車両が低速走行をしていた場合に高速な後方車両が接近した場合には警告を行うことができないという問題があった。
【0004】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、後方車両が前方車両に追突することをより的確に回避するための運転支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる問題を解決するためになされた請求項1に記載の運転支援システム(1:この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための最良の形態」欄において用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。)は、測距手段(10)、相対速度検出手段(12,50,110)、警告要求送信手段(70)、警告要求制御手段(50)及び警告表示手段(100,130,150)を備えている。
【0006】
測距手段(10)は、周辺車両と自車両の間の距離を測定し、相対速度検出手段(12,50,110)は、周辺車両と自車両との相対速度を検出し、警告要求送信手段(70)は、周辺車両に対し警告表示を行うための警告表示要求を送信する。
【0007】
また、警告要求制御手段(50)は、測距手段(10)で測定した周辺車両との距離が所定の距離以内であり、かつ、相対速度検出手段(12,50,110)で検出した周辺車両との相対速度が、所定の値以上である場合に、警告要求送信手段(70)を介して警告表示要求を行う。
【0008】
さらに、警告表示手段(100,130,150)は、周辺車両に備えられ、警告要求送信手段(70)からの警告表示要求を受けて、自車両に対して警告表示を行う。
このような運転支援システムによれば、周辺車両と自車両の間の距離が所定の距離以内であり、かつ、周辺車両と自車両との相対速度が所定の値以上である場合に、周辺車両に備えられた警告表示手段(100,130,150)に対して、警告要求送信手段(70)から警告表示要求が送信される。また、警告表示手段(100,130,150)は、警告表示要求を受けると自車両に対して警告表示を行う。
【0009】
つまり、自車両と周辺車両とが所定の距離以内で、かつ所定以上の相対速度であることが自車両で判定され、自車両と周辺車両とが所定の距離以内で、かつ所定以上の相対速度である場合、その周辺車両から自車両に対して警告表示が行われる。
【0010】
すなわち、従来のように、周辺車両側で周辺車両の速度低下を検出して警告表示をする場合に比べ、警報表示を行うタイミングを自車両側で制御することが可能となるので、自車両と周辺車両の相対速度に応じた警告表示が可能になる。したがって、より的確に自車両が周辺車両に衝突するという状況を回避することができる。
【0011】
さらに、周辺車両が複数ある場合、自車両との間の距離及び相対速度が所定の条件を満たした周辺車両はすべて警告表示を行うことになるので、自車両の運転者は、より衝突する状況にあることを認識することができる。したがって、より的確に自車両が周辺車両に衝突するという状況を回避することができる。
【0012】
ところで、周辺車両のうち追突の可能性があるのは、自車両よりも前方にある車両である。したがって、請求項2に記載のように、周辺車両の位置を検出する周辺車両位置検出手段(112)と、周辺車両の進行方向を検出する周辺車両進行方向検出手段(112)と、自車両の進行方向を検出する自車両進行方向検出手段(14)と、を備え、警告要求制御手段(50)は、周辺車両のうち、測距手段(10)で検出した周辺車両と自車両の間の距離が所定の距離以内であり、周辺車両位置検出手段(112)で検出した周辺車両の位置が自車両進行方向検出手段(14)で検出した自車両の進行方向に対して前方にあり、かつ、周辺車両進行方向検出手段(112)で検出した周辺車両の進行方向が自車両進行方向検出手段(14)で検出した自車両の進行方向と同じである周辺車両に対し、警告表示要求を行うようにするとよい。
【0013】
このようにすると、自車両の前方を走行する周辺車両(以下、前方車両とも呼ぶ。)から警告表示が行われる。つまり、追突の可能性がある前方車両のみから警告表示が行われるので、自車両の運転者は、追突の可能性のある前方車両のみを認識することができる。したがって、より的確に前方車両との追突を回避することができる。
【0014】
ところで、追突回避のために周辺車両で行われる警告表示は周辺車両の前方に対して行う必要はない。そこで、請求項3に記載のように、周辺車両に備えられた警告表示手段(100,130,150)は、周辺車両の後方に対して警告表示を行うように構成されているとよい。
【0015】
このようにすれば、後方のみに警告表示ができればよいので、例えば、テールランプやハザードランプを用いた簡易な構成で警告表示を行うことができる。
また、自車両と周辺車両の相対速度を検出するには、ミリ波レーダやレーザレーダなど自車両に備えられた手段を用いてもよいが、請求項4に記載のように、自車両に、自車両の速度を検出する自車両速度検出手段(12)を備え、周辺車両に、周辺車両の速度を検出する周辺車両速度検出手段(110)を備え、周辺車両及び自車両に周辺車両と自車の間で情報を送受信する車車間通信手段(40,70,100,140)を備える。
【0016】
そして、警告表示手段(100,130,150)は、周辺車両速度検出手段(110)で検出した周辺車両の速度を車車間通信手段(40,70,100,140)を介して自車両へ送信し、相対速度検出手段(12,50,110)は、車車間通信手段(40,70,100,140)を介して周辺車両の速度を取得し、取得した周辺車の速度と自車両速度検出手段(12)で検出した自車両速度とに基づいて周辺車両と自車両の相対速度を検出するようにしてもよい。
【0017】
このようにすると、各車両の速度は、GPSを用いたカーナビゲーション装置などで容易に検出することができ、ミリ波レーダやレーザレーダなどの装置が必要ないので、容易に相対速度を検出することができる。
【0018】
ところで、通常、周辺車両から警告表示が行われた場合、運転者は、その状況を回避するため、例えば、ブレーキを掛けたり回避のためのハンドル操作を行ったりといった運転操作を行う。したがって、周辺車両から警告表示が行われたにもかかわらず、自車両の運転者の運転操作の状況に変化がないということは、何らかの理由で運転者が警告表示に気がついていない可能性が高い。
【0019】
そこで、請求項5に記載のように、自車両の運転者の運転操作状況を取得する運転操作状況取得手段(20,22,24)を備え、警告要求制御手段(50)は、警告表示要求を行う前後の自車両の運転者の運転操作状況を運転操作状況取得手段(20,22,24)を介して取得し、取得した警告表示要求を行う前後の自車両の運転者の運転操作状況の変化があるか否かを判定し、変化がないと判定した場合には、運転操作状況に変化があるまで警告表示要求を行うようにするとよい。
【0020】
このようにすると、警告表示要求を行う前後の自車両の運転者の運転操作状況の変化がない場合には、運転操作状況に変化があるまで警告表示要求がなされる。つまり、運転者が周辺車両からの警告表示に気がつかなければ、周辺車両から警告表示が継続的に行われることになるので、運転者が周辺車両からの警告表示に気がつく可能性が高くなる。
【0021】
さらに、請求項6に記載のように、自車両の運転者に警告を行うための警告手段(60,62)を備え、警告要求制御手段(50)は、運転操作状況に変化がないと判定された場合であって、所定の回数警告表示要求を行っても運転操作状況に変化がない場合、警告手段(60,62)を介して、自車両の運転者に警告を行うようにするとよい。
【0022】
このようにすると、運転操作に変化がないと判定された場合であって、所定の回数警告表示要求を行っても運転状況に変化がない場合、つまり、運転者が警告表示に気がつかない状態が所定の期間継続した場合には、自車両に備えられた警告手段(60,62)によって運転者に警告が行われる。
【0023】
つまり、運転者が周辺車両による警告表示に気がつかない場合には、自車両の警告手段(60,62)で警告が行われるので、警告すべき状況であることをより確実に運転者に伝えることができる。
【0024】
ここで、「警告手段(60,62)」とは、運転者に対して音や表示により警告を行うためのものであり、例えば、警告音や警告音声、あるいはカーナビゲーション装置などの表示装置に表示される警告表示などである。
【0025】
また、請求項7に記載のように、自車両の運転制御を行うための運転制御手段(80,82,84)を備え、警告要求制御手段(50)は、運転操作状況に変化がないと判定された場合であって、所定の回数警告表示要求を行っても、運転操作状況に変化がない場合、運転制御手段(80,82,84)を介して、自車両に対し危険回避運転を行うようにしてもよい。
【0026】
このようにすると、運転操作に変化がないと判定された場合であって、所定の回数警告表示要求を行っても運転状況に変化がない場合、つまり、運転者が警告表示に気がつかない状態が所定の期間継続した場合には、自車両に備えられた運転制御手段(80,82,84)によって運転制御が行われる。
【0027】
つまり、運転者が周辺車両による警告表示に気がつかない場合には、自車両の運転制御手段(80,82,84)で運転制御が行われるので、運転者が気がつかない場合であっても、追突などの危険な状況を回避することができる。
【0028】
ここで、「運転制御手段(80,82,84)」とは、自車両の運転操作の制御を行うためのものであり、例えば、ブレーキ操作、アクセル操作あるいはハンドル操作などをいう。
【0029】
ところで、例えば、道路の側端や路側帯などに周辺車両が停止している場合にも周辺車両からの警告表示がなされると追突を防止することができる。そこで、請求項8に記載のようにするとよい。
【0030】
すなわち、警告表示手段(100,130,150)を受信手段(100)、表示手段(150,152)、イグニッションオフ検出手段(122)及び警告表示制御手段(130)から構成する。そして、受信手段(100)は、周辺車両のバッテリ(120)から直接電源供給を受け、警告要求送信手段(70)からの警告表示を行う要求を受信する。
【0031】
また、表示手段(150,152)は、外部からの入力によりバッテリ(120)から供給される電源をオン/オフするように構成された、警告表示を行い、イグニッションオフ検出手段(122)は、周辺車両のイグニッションスイッチがオフ状態であることを検出する。
【0032】
さらに、警告表示制御手段(130)は、イグニッションスイッチオフ検出手段(122)で周辺車両のイグニッションスイッチがオフであることが検出され、かつ、受信手段(100)により警告表示を行う要求を受信した場合、表示手段(150,152)の電源をオンして警告表示を行うための制御を行う。
【0033】
このようにすると、イグニッションスイッチがオフの状態で周辺車両が停車している場合であっても、自車両から警告表示要求がなされた場合には、周辺車両において警告表示が行われるので、追突を防止することができる。
【0034】
また、自車両から警告表示要求がなされるまでは、表示手段(150,152)に電源が供給されないので停車時(イグニッションスイッチオフの時)の電力消費が少なくて済む。
【0035】
ところで、交通量が多く、渋滞しているような場合に、すべての車両からの警告表示要求に対して警告表示を行うと警告表示が多すぎ、却って混乱を招くおそれがある。そこで、請求項9に記載のように、警告表示手段(100,130,150)に周辺車両を識別するための車両識別IDを記憶するID記憶手段(160)を備え、ID記憶手段(160)に記憶されている車両識別IDを車車間通信手段(40,70,100,140)を介して自車両へ送信するとともに、車車間通信手段(40,70,100,140)を介して受信した車両識別IDがID記憶手段(160)に記憶された車両識別IDと一致する場合にのみ、警告表示を行う。
【0036】
また、警告要求制御手段(50)は、車車間通信手段(40,70,100,140)を介して周辺車両から送信される車両識別IDを受信し、受信した車両識別IDのうち、所定の条件に合致する車両識別IDを送信した前記周辺車両のみに対して、受信した前記車両識別IDとともに前記警告表示要求を送信するようにするとよい。
【0037】
このようにすると、自車両は、車両識別IDを送信してきた周辺車両の中から、所定の条件に合致する車両識別IDを有する周辺車両のみに対して警告表示要求を送信することができる。一方、周辺車両側では、車両識別IDを送信した後、同じ車両識別IDを受信したときのみ警告表示を行う。
【0038】
つまり、周辺車両が多数ある場合でも、所定の条件に合致する周辺車両のみで警告表示が行われることになるので、警告表示が適切に行われる。したがって、例えば、交通量が多く、渋滞しているような場合であっても自車両の運転者が混乱を起こすようなことがない。
【0039】
ここで、「車両識別ID」とは、その車両や車両の種類を特定するためのIDであり、車両番号や車両の種類(軽自動車、普通自動車、大型自動車、大型特殊自動車など)を識別できるIDである。
【0040】
また、「所定の条件」とは、複数の周辺車両の中から車両を特定するための条件であり、例えば、自車両の前方に位置する周辺車両であったり、特定の車両の種類(軽車両、大型自動車など)を意味している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
[第1実施形態]
(運転支援システム1の構成)
図1は、運転支援システム1の概略の構成を示すブロック図である。運転支援システム1は、図1に示すように、自車両搭載部5と周辺車両搭載部7とから構成される。
【0042】
(自車両搭載部5の構成)
自車両搭載部5は、ミリ波レーダ10、車速センサ12、GPS車載器14、アクセル開度センサ20、ブレーキセンサ22、操舵角センサ24、タッチパネル30、受信機40、表示装置60、警報音発生装置62及び送信機70を備えている。
【0043】
ミリ波レーダ10は、周辺車両と自車両の間の距離を測定するものであり、ミリ波電波を送信し、送信したミリ波電波が目標(本実施形態の場合、周辺車両)で反射された反射波を受信して、その時間差と受信方向とから目標までの距離及び目標の方位、つまり、目標の位置を検出する。
【0044】
車速センサ12は、自車両の速度を検出するセンサであり、いわゆるスピードメータである。
GPS車載器14は、自車両の位置及び進行方向を検出するものであり、4つのGPS衛星からの時間情報を受信し、受信した4つの時間情報に基づいて自車両の位置及び進行方向を検出する。
【0045】
アクセル開度センサ20、ブレーキセンサ22、操舵角センサ24は、自車両の運転者の運転操作状況を取得するためのセンサであり、アクセル開度センサ20は、アクセルの角度やスライド量を計測することによって、アクセルの開度を測定するセンサである。
【0046】
ブレーキセンサ22もアクセル開度センサ20と同様に、ブレーキの角度やスライド量を測定することによって、ブレーキの掛り度合いを測定するセンサである。また、操舵角センサ24は、前輪の操舵角を計測するためのセンサである。
【0047】
それぞれのセンサは、ポテンショメータやボリュームなどのセンサ素子とリンク機構を組み合わせて車体ごとに適した形態で構成されている。
タッチパネル30は、運転者などが運転支援システム1の各種設定や操作を行うためのものであり、表示装置60の画面上に装着され、運転者などの指やタッチペンなどが接触したり、近接したりすることにより操作が行われる。
【0048】
受信機40は、周辺車両に搭載された送信機140から送信される周辺車両の速度や位置などの情報を受信するための装置であり、図示しないアンテナ、復調器及び増幅器などから構成される。
【0049】
表示装置60、警告音発生装置62は、自車両の運転者に警告を行うためのものであり、表示装置60は、LCDやCRTで構成され、警告音発生装置62は、ビープ音などの警告音や警告音声などを発生させるために図示しない増幅器やスピーカなどから構成される。
【0050】
送信機70は、周辺車両に搭載された受信機100に対し、警告表示要求などの情報を送信するための装置であり、図示しないアンテナ、変調器及び増幅器などから構成される。
【0051】
警告要求制御部50は、図示しないCPU、ROM、RAM及びI/Oを備えており、以下の(ア)〜(ク)に示す処理を行う。
(ア)周辺車両の車速センサ110で検出され、送信機140を介して送信され、自車両の受信機40で受信された周辺車両の速度を取得し、自車両の車速センサで検出した自車両の速度を取得する。そして、取得した周辺車両の速度と自車両の速度とから両者の相対速度を算出する。
【0052】
(イ)ミリ波レーダ10で測定した周辺車両との距離を取得し、その距離が所定の距離以内であり、かつ、(ア)で算出した周辺車両との相対速度が所定の値以上である場合に、送信機70を介して、周辺車両に警告表示の送信を行う。
【0053】
(ウ)周辺車両のGPS車載器112で検出され、送信機140を介して送信され、自車両の受信機40で受信された周辺車両の位置及び周辺車両の進行方向を取得し、自車両のGPS車載器14から自車両の位置を取得及び走行方向を取得する。
【0054】
(エ)周辺車両から送信機140を介して送信され、自車両の受信機40で受信された周辺車両の車両識別IDを取得する。
(オ)ミリ波レーダで取得した周辺車両と自車両の間の距離が所定の距離以内であり、(ウ)で取得した周辺車両の位置が自車両の進行方向に対して前方にあり、かつ、(ウ)で取得した周辺車両の進行方向が自車両の進行方向と同じである周辺車両に対し、警告表示要求を行う。
【0055】
(カ)警告表示要求を行う前後の自車両の運転者の運転操作状況をアクセル開度センサ20、ブレーキセンサ22及び操舵角センサ24から取得し、警告表示要求を行う前後の自車両の運転者の運転操作状況の変化があるか否かを判定し、変化がないと判定した場合には、運転操作状況に変化があるまで警告表示要求を行う。
【0056】
(キ)運転操作状況に変化がないと判定された場合であって、所定の回数警告表示要求を行っても運転操作状況に変化がない場合、表示装置60及び警報音発生装置62を介して、自車両の運転者に警告を行う。
【0057】
(ク)所定の条件に合致する周辺車両の車両識別IDを選定し、選定した車両識別IDを警告表示要求とともに周辺車両へ送信する。
(周辺車両搭載部7の構成)
周辺車両搭載部7は、受信機100、車速センサ110、GPS車載器112、バッテリ120、イグニッションスイッチセンサ122(以下、IG−SWセンサと呼ぶ。)、送信機140、ブレーキ表示灯150、停車灯152及びID記憶部160を備えている。
【0058】
受信機100は、周辺車両のバッテリ120から直接電源供給を受け、自車両の送信機70から送信される警告表示要求を受信するための装置であり、図示しないアンテナ、復調器及び増幅器などから構成される。
【0059】
車速センサ110は、周辺車両の速度を検出するセンサであり、いわゆるスピードメータである。
GPS車載器112は、周辺車両の位置及び周辺車両の進行方向を検出するものであり、4つのGPS衛星からの時間情報を受信し、受信した4つの時間情報に基づいて自車両の位置及び進行方向を検出する。
【0060】
バッテリ120は、周辺車両搭載部7に電力を供給するための電源であり、受信機100には直結され、直接電源を供給し、他の構成品には警告表示制御部130の制御下で電源の供給が行われる。
【0061】
IG−SWセンサ122は、周辺車両のイグニッションスイッチ(以下、IG−SWと呼ぶ。)がオフ状態であることを検出するセンサである。
送信機140は、自車両に搭載された受信機40に対し、車速センサ110で検出した周辺車両の速度及びGPS車載器112で検出した周辺車両の位置などの情報を送信するための装置であり、図示しないアンテナ、変調器及び増幅器などから構成される。
【0062】
ブレーキ表示灯150及び停車灯152は、自車両に対して警告表示を行うものであり、周辺車両の後方に対して警告表示がなされるように車体に取り付けられている。また、ブレーキ表示灯150及び停車灯152は、外部からの入力によりバッテリ120から供給される電源をオン/オフするように構成されている。具体的には、受信機100が自車両から送信される警告表示要求を受信した場合に電源がオンされて作動するようになっている。
【0063】
ID記憶部160は、車両識別IDを記憶するメモリであり、ROM、RAM、ICメモリあるいはカーナビゲーション装置に備えられているハードディスク装置などである。
警告表示制御部130は、図示しないCPU、ROM、RAM及びI/Oを備えており、以下の(ケ)〜(ス)に示す処理を行う。
【0064】
(ケ)車速センサ110から周辺車両の速度、GPS車載器112から周辺車両の位置及び進行方向、ID記憶部160から周辺車両の車両識別ID、を各々取得する。
(コ)(ケ)において取得した周辺車両の速度、位置、進行方向及び車両識別IDを送信機140を介して自車両へ送信する。
【0065】
(サ)受信機100で受信した、自車両の送信機70から送信される警告表示要求を取得し、ブレーキ表示灯150又は停車灯152を作動させて、自車両に対して警告表示を行う。
【0066】
(シ)IG−SWセンサ122で周辺車両のIG−SWがオフであることが検出され、かつ、受信機100により警告表示を行う要求を受信した場合、ブレーキ表示灯150又は停車灯152の電源をオンして警告表示を行う。
【0067】
(ス)自車両の送信機70から送信される車両識別IDがID記憶部160に記憶された前記車両識別IDと一致するか否かを判定し、一致する場合にのみ、ブレーキ表示灯150又は停車灯152にて警告表示を行う。
【0068】
(警告要求制御処理)
次に、図2に基づき、警告要求制御部50において実行される警告要求制御処理について説明する。図2は、警告要求制御処理の流れを示すフローチャートである。警告要求制御処理では、S100において、ミリ波レーダ10から、自車両から周辺車両までの距離が取得され、続くS105において、車速センサ12から自車両の速度が取得される。
【0069】
S110では、GPS車載器14から自車両の位置及び進行方向が取得され、続くS115では、周辺車両の車速センサ110で検出された周辺車両の速度、GPS車載器112で検出された周辺車両の位置及び進行方向及び周辺車両の車両識別IDが受信機40を介して取得される。
【0070】
続くS120では、前方車両特定処理が実行され、周辺車両の中から自車両の前方にある周辺車両(前方車両)が特定される。前方車両特定処理については後述する。
S125では、S120において特定された前方車両に対し、その距離が所定の値以下であるか否かが判定される。そして、距離が所定の値以下である場合(S125:Yes)、処理がS130へ移行され、距離が所定の値よりも大きい場合(S125:No)、処理がS100へ戻され、本警告要求制御処理が繰り返される。
【0071】
S130では、自車両と前方車両との相対速度が所定の値以上であるか否かが判定される。そして、相対速度が所定の値以上である場合(S130:Yes)、処理がS135へ移行され、所定の値よりも小さい場合(S130:No)、処理がS100へ戻され、本警告要求制御処理が繰り返される。
【0072】
S135では、S115において取得された車両識別IDのうち前方車両の車両識別IDのみが選定される。
続くS140では、運転操作状況が取得され、RAMに記憶される。つまり、アクセル開度センサ20からアクセルの開度、ブレーキセンサ22からブレーキの掛かり度合い、そして、操舵角センサ24からハンドルの操作量が取得され、RAMに記憶される。
【0073】
続くS145では、送信機70を介して、S135において選定された車両識別IDを有する周辺車両(前方車両)に対し、選定された車両識別ID及び警告表示要求が送信される。
【0074】
続くS150では、警告要求制御処理の前回の処理ループでS140において取得され、RAMに記憶された運転操作状況と今回の処理ループでS140において取得された運転操作状況に変化があったか否かが判定される。つまり、S145において前方車両に警告表示要求が送信されているので、その時点で前方車両が警告表示を行う。したがって、自車両の運転者がその警告を見て、何らかの回避操作を行う必要があることを確実に認識したか否かが間接的に判定できるのである。
【0075】
そして、運転操作状況に変化がないと判定された場合(S150:No)、処理がS155へ移行され、変化があると判定された場合(S150:Yes)、処理がS100へ戻され、本警告要求制御処理が繰り返される。
【0076】
S155では、S145における警告表示及び車両識別IDの送信回数が所定の回数経過したか否かが判定される。そして、所定の回数経過していたと判定された場合(S155:Yes)、処理がS160へ移行され、所定の回数経過していないと判定された場合(S155:No)、処理がS140へ戻され、運転操作状況の取得が行われる。
【0077】
S160では、運転者に対する警告が行われる。つまり、前方車両から所定の回数警告表示が行われているにもかかわらず運転者がそれに気づかなかったと判断されるので、表示装置60による警告表示及び警報音発生装置62による警告音声の出力が行われることによって、運転者に対する警告が行われるのである。
【0078】
S160が終了したら、処理がS100へ戻され、警告要求制御処理が繰り返される。
(前方車両特定処理)
次に、警告要求制御処理のサブルーチンである前方車両特定処理について、図3及び図4に基づき説明する。図3は、前方車両特定処理の流れを示すフローチャートであり、図4は前方車両特定処理の内容を説明するための概念図である。
【0079】
前方車両特定処理は、S200にて、S100(図2参照)において取得した自車両から周辺車両までの距離から周辺車両が所定の距離Xm以内(図4中で半径Xmで示される距離以内)にあるか否かが判定される。
【0080】
そして、周辺車両が所定の距離以内にある場合(S200:Yes)、処理がS205へ移行され、所定の距離Xm以内にない場合、つまり、周辺車両が所定の距離Xmよりも遠い位置にある場合(S200:No)、前方車両特定処理は終了される。
【0081】
S205では、S110(図2参照)において取得された自車両の位置及びS115(図2参照)において取得された周辺車両の位置から周辺車両の位置が自車両の位置よりも前方にあるか否かが判定される。そして、周辺車両が自車両よりも前方にある場合(S205:Yes)、処理がS210へ移行され、自車両よりも前方にない場合(S205:No)、前方車両特定処理は終了される。
【0082】
S210では、S110(図2参照)において取得された自車両の進行方向及びS115(図2参照)において取得された周辺車両の進行方向から周辺車両の進行方向が自車両の進行方向と同じであるか否かが判定される。
【0083】
そして、周辺車両の進行方向が自車両の進行方向と同じである場合(S210:Yes)、処理がS215へ移行され、自車両の進行方向と同じでない場合(S210:No)、前方車両特定処理は終了される。
【0084】
S215では、前方車両が特定される。つまり、周辺車両のうち、S200〜S210の条件を満たす車両を前方車両であると特定するのである。図4の場合、自車両A、周辺車両B,C,D,E,Fに対し、周辺車両B及び周辺車両Cが前方車両であると特定される。
【0085】
(警告表示処理)
次に、周辺車両に搭載されている周辺車両搭載部7の警告表示制御部130で実行される警告表示制御処理について、図5に基づき説明する。図5は、警告表示制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0086】
警告要求制御処理では、S300においてID記憶部160から周辺車両の車両識別IDが取得され、続くS305では、S300において取得された車両識別IDが送信機140を介して送信される。
【0087】
続くS310において、受信機100からの情報が取得され、続くS315では、S310において取得された情報から警告表示要求及び車両識別IDが抽出される。
S320では、警告表示要求があるか否か、つまり、S315において警告表示要求が抽出されたか否かが判定される。そして、警告表示要求がある場合(S320:Yes)、処理がS325へ移行され、警告表示要求がない場合(S320:No)、処理がS300へ戻され、警告表示制御処理が繰り返される。
【0088】
S325では、車両識別IDが予め記憶されたものと一致するか否かが判定される。つまり、S315で抽出された車両識別IDがID記憶部160に予め記憶された車両識別IDと比較され、一致するものがあるか否かが判定されるのである。
【0089】
そして、一致するものがある場合(S325:Yes)、処理がS330へ移行され、一致するものがない場合(S325:No)処理がS300へ戻され、警告表示制御処理が繰り返される。
【0090】
S330において、IG−SWセンサ122からIG−SWの状態が取得され、続くS335では、S330において取得されたIG−SWの状態からIG−SWがオフであるか否かが判定される。
【0091】
そして、IG−SWがオフである場合(S335:Yes)、S340にてバッテリ120から受信機100を除く部分へ電源供給が開始された後、処理がS345へ移行される。一方、IG−SWがオンである場合(S335:No)には、処理が直接S345へ移行される。
【0092】
S345では、車速センサ110から周辺車両の速度、GPS車載器112から周辺車両の位置及び進行方向が取得される。続くS350では、S345において取得された速度、位置及び進行方向が送信機140を介して送信される。
【0093】
続くS355では、ブレーキ表示灯150又は停車灯152を点灯させて後続車両(自車両)に警告表示が行われた後、処理がS300へ戻され警告表示制御処理が繰り返される。
【0094】
(運転支援システム1の特徴)
運転支援システム1によれば、自車両と周辺車両とが所定の距離Xm以内で、かつ所定以上の相対速度であることが自車両で判定され、自車両と周辺車両とが所定の距離Xm以内で、かつ所定以上の相対速度である場合、その周辺車両から自車両に対して警告表示が行われる。
【0095】
すなわち、従来のように、周辺車両側で自車両の接近を検出して警告表示をする場合に比べ、警報表示を行うタイミングを自車両側で制御することが可能となるので、自車両の速度や相対速度に応じた警告表示が可能になる。したがって、より的確に自車両が周辺車両に衝突するという状況を回避することができる。
【0096】
さらに、周辺車両が複数ある場合、自車両の前方にある周辺車両(前方車両)との距離及び相対速度が所定の条件を満たした前方車両はすべて警告表示を行うことになるので、自車両の運転者は、より衝突する状況にあることを認識することができる。したがって、より的確に自車両が前方車両に衝突するという状況を回避することができる。
【0097】
また、前方車両から警告表示が行われる。つまり、追突の可能性がある前方車両のみから警告表示が行われるので、自車両の運転者は、追突の可能性のある前方車両のみを認識することができる。したがって、より的確に前方車両との追突を回避することができる。
【0098】
また、ブレーキ表示灯150や停車灯152など既存のランプによって、周辺車両の後方に対して警告表示を行うように構成されているので、簡易な構成で警告表示を行うことができる。
【0099】
また、自車両と周辺車両の相対速度は、周辺車両と自車両とに備えられた送信機70、140及び受信機40,100取得されるので、相対速度検出のための装置を必要とせず簡易な構成で相対速度を検出することができる。
【0100】
また、周辺車両に警告表示要求を行う前後の自車両の運転者の運転操作状況を、アクセル開度センサ20、ブレーキセンサ22又は操舵角センサ24から取得し、取得した運転操作状況に変化があるか否かを判定し、変化がないと判定した場合には、運転操作状況に変化があるまで警告表示要求を行うようにしているので、警告表示要求を行う前後の自車両の運転者の運転操作状況の変化がない場合には、運転操作状況に変化があるまで警告表示要求がなされる。
【0101】
つまり、運転者が周辺車両からの警告表示に気がつかなければ、周辺車両から警告表示が継続的に行われることになるので、運転者が周辺車両からの警告表示に気がつく可能性が高くなる。
【0102】
さらに、運転操作状況に変化がないと判定された場合であって、所定の回数警告表示要求を行っても運転操作状況に変化がない場合、表示装置60や警告音発生装置62で自車両の運転者に警告を行っている。
【0103】
したがって、運転操作に変化がないと判定された場合であって、所定の回数警告表示要求を行っても運転状況に変化がない場合、つまり、運転者が警告表示に気がつかない状態が所定の期間継続した場合には、表示装置60や警告音発生装置62によって運転者に警告が行われるので、警告すべき状況であることをより確実に運転者に伝えることができる。
【0104】
また、IG−SWがオフの場合、つまり車両が停止している場合であっても、受信機100がバッテリ120から直接電源供給を受けているので、警告表示要求を受信することができ、警告表示要求を受けた場合には、その他の構成品の電源がオンされるので、IG−SWがオンの場合、つまり車両が走行している場合と同じように警告表示がなされるので、停車中の車両への追突を防止することができる。
【0105】
また、警告表示要求がなされるまでは、ブレーキ表示灯150や停車灯152などに電源が供給されないので停車時(イグニッションスイッチオフの時)の電力消費が少なくて済む。
【0106】
また、自車両は、車両識別IDを送信してきた周辺車両の中から、所定の条件に合致する車両識別IDを有する周辺車両のみに対して警告表示要求を送信する。一方、周辺車両側では、車両識別IDを送信した後、同じ車両識別IDを受信したときのみ警告表示を行う。
【0107】
つまり、周辺車両が多数ある場合でも、所定の条件に合致する周辺車両のみで警告表示が行われることになるので、警告表示が適切に行われる。したがって、交通量が多く、渋滞しているような場合であっても自車両の運転者が混乱を起こすようなことがない。
[第2実施形態]
次に、第1実施形態の運転支援システム1において、自車両の運転者に警告を行う代わりに危険回避のための運転制御を行うようにした運転支援システム2について図6に基づいて説明する。図6は、運転支援システム2の概略の構成を示すブロック図である。
【0108】
(運転支援システム2の構成)
第2実施形態の運転支援システム2は、表示装置60及び警報音発生装置62を運動制御部80に置き換えた以外は第1実施形態の運転支援システム1と同じ構成であるので、運動制御部80に関する部分について説明を行い、その他の構成については説明を省略する。
【0109】
運動制御部80は、警告要求制御部50からの指令を受けて、自車両の運転制御を行うためのものであり、CPU、ROM、RAM及びI/Oなどで構成され、ブレーキの操作量、アクセルの操作量あるいは操舵輪の角度を制御する。
【0110】
(警告要求制御処理)
運転支援システム2の警告要求制御部50で実行される警告要求制御処理は、図2のS160において運転者に警告が行われる代わりに、運動制御部80に対して危険回避の指令が行われる。
【0111】
つまり、運転者が前方車両で所定の回数行われる警告表示に気がつかない場合、予め定められたパターンで、減速するためにアクセル開度を小さくし、ブレーキを掛けて自車両を停止させ、さらに、車両を路側へ寄せるための操舵輪操作を行うように、運動制御部80に対して指令を行うのである。
【0112】
(運転支援システム2の特徴)
運転支援システム2では、運転操作に変化がないと判定された場合であって、所定の回数警告表示要求を行っても運転状況に変化がない場合、つまり、運転者が警告表示に気がつかない状態が所定の期間継続した場合には、自車両に備えられた運動制御部80によって運転制御が行われる。したがって、運転者が気づかない場合であっても、追突などの危険な状況を回避することができる。
【0113】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
(1)上記実施形態では、自車両と周辺車両との相対速度を各々の車両の送信機70,140及び受信機40,100で送受信した各々の車両の速度に基づいて算出していたが、自車両のミリ波レーダ10で取得してもよい。
【0114】
(2)上記実施形態では、自車両の運転操作状況を取得するために、アクセル開度センサ20、ブレーキセンサ22、操舵角センサ24を用いていたが、それ以外に、ギアのシフト位置を取得するシフト位置センサを用いてもよい。つまり、シフト位置を検出し、シフトチェンジがされたか否かを判定することによって、運転状況に変化があったか否かを判定するようするのである。
【0115】
(3)また、運転操作状況の変化を検出するため、車室内に運転者を撮影するカメラを設け、公知の画像処理により、運転者の顔の向きの変化を抽出し、抽出した顔の向きの変化に基づいて運転操作状況の変化を取得するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】運転支援システム1の概略の構成を示すブロック図である。
【図2】警告要求制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】前方車両特定処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】前方車両特定処理の内容を説明するための概念図である。
【図5】警告表示制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】運転支援システム2の概略の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0117】
1,2…運転支援システム、5…自車両搭載部、7…周辺車両搭載部、10…ミリ波レーダ、12、110…車速センサ、14,112…GPS車載器、20…アクセル開度センサ、22…ブレーキセンサ、24…操舵角センサ、30…タッチパネル、40,100…受信機、50…警告要求制御部、60…表示装置、62…警告音発生装置、70,140…送信機、80…運動制御部、120…バッテリ、122…イグニッションスイッチセンサ(IG−SWセンサ)、130…警告表示制御部、150…ブレーキ表示灯、152…停車灯、160…ID記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺車両と自車両の間の距離を測定する測距手段と、
前記周辺車両及び前記自車両の相対速度を検出する相対速度検出手段と、
前記周辺車両に対し警告表示を行うための警告表示要求を送信する警告要求送信手段と、
前記測距手段で測定した前記周辺車両の間の距離が所定の距離以内であり、かつ、前記相対速度検出手段で検出した前記周辺車両との相対速度が所定の値以上である場合に、前記警告要求送信手段を介して警告表示要求を行う警告要求制御手段と、
前記周辺車両に備えられ、前記警告要求送信手段からの警告表示要求を受けて、前記自車両に対して警告表示を行うための警告表示手段と、
を備えたことを特徴とする運転支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援システムにおいて、
前記周辺車両の位置を検出する周辺車両位置検出手段と、
前記周辺車両の進行方向を検出する周辺車両進行方向検出手段と、
前記自車両の進行方向を検出する自車両進行方向検出手段と、
を備え、
前記警告要求制御手段は、
前記周辺車両のうち、前記測距手段で検出した前記周辺車両と前記自車両の間の距離が所定の距離以内であり、前記周辺車両位置検出手段で検出した前記周辺車両の位置が前記自車両進行方向検出手段で検出した前記自車両の進行方向に対して前方にあり、かつ、前記周辺車両進行方向検出手段で検出した前記周辺車両の進行方向が前記自車両進行方向検出手段で検出した前記自車両の進行方向と同じである前記周辺車両に対し、前記警告表示要求を行うことを特徴とする運転支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の運転支援システムにおいて、
前記警告表示手段は、
前記周辺車両の後方に対して警告表示を行うように構成されていることを特徴とする運転支援システム。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の運転支援システムにおいて、
前記自車両に、前記自車両の速度を検出する自車両速度検出手段を備え、
前記周辺車両に、前記周辺車両の速度を検出する周辺車両速度検出手段を備え、
前記周辺車両及び前記自車両に前記周辺車両と前記自車の間で情報を送受信する車車間通信手段を備え、
前記警告表示手段は、
前記周辺車両速度検出手段で検出した前記周辺車両の速度を前記車車間通信手段を介して前記自車両へ送信し、
前記相対速度検出手段は、
前記車車間通信手段を介して、前記周辺車両の速度を取得し、取得した前記周辺車の速度と前記自車両速度検出手段で検出した自車両速度とに基づいて前記周辺車両と前記自車両の相対速度を検出することを特徴とする運転支援システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れかに記載の運転支援システムにおいて、
前記自車両の運転者の運転操作状況を取得する運転操作状況取得手段を備え、
前記警告要求制御手段は、
前記警告表示要求を行う前後の前記自車両の運転者の運転操作状況を前記運転操作状況取得手段を介して取得し、前記取得した前記警告表示要求を行う前後の前記自車両の運転者の運転操作状況の変化があるか否かを判定し、変化がないと判定した場合には、運転操作状況に変化があるまで前記警告表示要求を行うことを特徴とする運転支援システム。
【請求項6】
請求項5に記載の運転支援システムにおいて、
前記自車両の運転者に警告を行うための警告手段を備え、
前記警告要求制御手段は、
前記運転操作状況に変化がないと判定された場合であって、所定の回数前記警告表示要求を行っても前記運転操作状況に変化がない場合、前記警告手段を介して、前記自車両の運転者に警告を行うことを特徴とする運転支援システム。
【請求項7】
請求項5に記載の運転支援システムにおいて、
前記自車両の運転制御を行うための運転制御手段を備え、
前記警告要求制御手段は、
前記運転操作状況に変化がないと判定された場合であって、所定の回数前記警告表示要求を行っても、前記運転操作状況に変化がない場合、前記運転制御手段を介して、前記自車両に対し危険回避運転を行うことを特徴とする運転支援システム。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れかに記載の運転支援システムにおいて、
前記警告表示手段は、
前記周辺車両のバッテリから直接電源供給を受け、前記警告要求送信手段からの警告表示を行う要求を受信する受信手段と、
外部からの入力により前記バッテリから供給される電源をオン/オフするように構成された、警告表示を行うための表示手段と、
前記周辺車両のイグニッションスイッチがオフ状態であることを検出するイグニッションスイッチオフ検出手段と、
前記イグニッションスイッチオフ検出手段で前記周辺車両のイグニッションスイッチがオフであることが検出され、かつ、前記受信手段により警告表示を行う要求を受信した場合、前記表示手段の電源をオンして前記警告表示を行うための制御を行う警告表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする運転支援システム。
【請求項9】
請求項4〜請求項8の何れかに記載の運転支援システムにおいて、
前記警告表示手段は、
前記周辺車両を識別するための車両識別IDを記憶するID記憶手段を備え、
前記ID記憶手段に記憶されている前記車両識別IDを前記車車間通信手段を介して前記自車両へ送信するとともに、前記車車間通信手段を介して受信した前記車両識別IDが前記ID記憶手段に記憶された前記車両識別IDと一致する場合にのみ、前記警告表示を行い、
前記警告要求制御手段は、
前記車車間通信手段を介して前記周辺車両から送信される前記車両識別IDを受信し、受信した前記車両識別IDのうち、所定の条件に合致する車両識別IDを送信した前記周辺車両のみに対して、前記受信した車両識別IDとともに前記警告表示要求を送信することを特徴とする運転支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−59200(P2009−59200A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226458(P2007−226458)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】