説明

過給機付きエンジン

【課題】低廉な構成で、可及的に過給領域を拡大し、各領域にわたり高い過給性能を持たせること。
【解決手段】第1の排気系161の排気主流中心からタービンホイール212の回転中心までの距離R1が、第2の排気系162の排気主流中心からタービンホイール212の回転中心までの距離R2よりも長くなるように両排気系161、162がタービンスクロール211の接続部211aに接続されている。さらに好ましくは、第1の排気系161から排出された排気ガスの主流が、当該タービンホイール212の全周にわたって周回可能な流路2120を第2の排気系162の開口部近傍に形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ターボ過給機を備えた過給機付きエンジンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジントルクの増大を図る手段として、排気ガスのエネルギーを利用して吸気を過給する排気ターボ過給機が知られている。この排気ターボ過給機を備えたエンジンとして、例えば特許文献1には、4気筒エンジンに、燃焼順序が連続しない気筒に接続される排気通路をグループ化した第1の排気系と、残余の気筒に接続される排気通路をグループ化した第2の排気系とを設け、各排気系をツインスクロール式の排気ターボ過給機に接続している。また、開閉弁の開動作によって両排気系を連通する連通管が設けられており、運転領域に応じて連通管の開閉弁を制御することにより、当該エンジンに設けられたEGRガスによる排気性能の向上とポンプ損失の低減とを図っている。
【特許文献1】特開2004−124749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、過給領域を拡げるためには、エンジンの回転領域に応じて過給特性を調整することが好ましい。例えば、エンジンの低速運転領域では、排気エネルギーを高めて、タービンを駆動するとともに、高速運転領域では、排気エネルギーを抑制してタービン等の耐熱限界内で過給することが好ましい。
【0004】
そこで、エンジンの回転領域に応じて過給特性を調整するために、可動容量式過給機(VGT)や、シーケンシャルターボを採用することも考えられるが、コストや信頼性の点で問題がある。
【0005】
また、特許文献1の構成では、低速側と高速側の何れにおいても、EGRガスによる性能向上を図ることができるものの、排気ターボ過給機をツインスクロール式のものにしなければならない制約があり、コスト面で不利である。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑み、可及的に過給領域を拡大し、各領域にわたり高い過給性能を持たせることができる低廉な過給機付きエンジンを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、多気筒エンジンのエンジン本体に互いに隣接して配置され、且つ点火時期が連続しない気筒に接続される排気通路をグループ化した第1の排気系と、この第1の排気系よりも容積が大きく設定され、残余の気筒に接続される排気通路をグループ化した第2の排気系と、両排気系に接続される排気ターボ過給機とを備え、前記排気ターボ過給機は、両排気系に接続されるタービンスクロールと、前記タービンスクロール内に配置され、両排気系から吐出される排気ガスによって駆動されるタービンホイールとを有し、前記第1の排気系の排気主流中心から前記タービンホイールの回転中心までの距離が、前記第2の排気系の排気主流中心から前記タービンホイールの回転中心までの距離よりも長くなるように、前記第1の排気系が前記タービンホイールの外周側に、前記第2の排気系が前記タービンホイールの内周側に、それぞれ接続されていることを特徴とする過給機付きエンジンである。この態様では、タービンホイールまでの排気通路容積が小さいほど、排気ガスの流速低下(エネルギーダウン)が小さいため、容積の小さい第1の排気系から、比較的高い流速を得ることができるとともに、この高い流速を出力する第1の排気系をタービンホイールの径方向外方にレイアウトしているので、エンジンの低速運転領域において、高い過給性能を発揮することが可能になる。また、複数の排気系をタービンホイールの外周側と内周側とに配置しているので、コンベンショナルで廉価な排気ターボ過給機をそのまま採用しても、低速運転領域で、高い排気性能を発揮することが可能になる。
【0008】
好ましい態様において、両排気系による流れの断面積は、それぞれ概ね等しく設定されている。この態様では、第1の排気系によるタービン駆動エネルギーが常に大きくなる。すなわち、排気系のタービンホイールを駆動するためのモーメントは、排気系の排気主流中心から前記タービンホイールの回転中心までの距離をR、排気系の排気主流の断面積をAとすると、A/Rに反比例することが知られている。本発明では、第1の排気系の距離R1が前記第2の排気系の距離R2よりも長くなるように、前記第1の排気系が前記タービンホイールの外周側に、前記第2の排気系が前記タービンホイールの内周側に、それぞれ接続されているので、A/Rは常に第1の排気系の方が小さくなり、エネルギーは第1の排気系の方が大きくなるからである。このため、第1の排気系の容積が第2の排気系の容積よりも小さいことに相俟って、第1の排気系は、より低速運転領域でもタービンホイールを駆動するために必要なエネルギーを出力することが可能になる。
【0009】
好ましい態様において、前記排気ターボ過給機の過給圧を所定の圧力以下に制御するウェイストゲートバルブを設け、このウェイストゲートバルブのリリーフ口は、当該ウェイストゲートバルブの開弁時に前記第1の排気系からの排気圧力を低減する位置に形成されている。この態様では、エンジンの回転速度が上昇すると、それに伴ってウェイストゲートバルブがリリーフ口を開き、タービンホイールに導入される排気ガスをリリーフする。すなわち、排気ガスがタービンホイールをバイパスして、下流側の排気通路へ排出される。ここで、ウェイストゲートバルブのリリーフ口は、当該ウェイストゲートバルブの開弁時に前記第1の排気系からの排気圧力を低減する位置に形成されているので、エンジンの高速側では、第1の排気系からの排気圧力が低減し、第2の排気系からの排気圧力によって過給が継続されることになる。ここで、第2の排気系は、第1の排気系に比べて容積が大きく、しかも、当該第2の排気系の排気主流中心からタービンホイールの回転中心までの距離が、第1の排気系に比べて相対的に短くなっているので、高速側でも比較的低い流速で、排気ガスがタービンホイールを駆動することになる。従って、エンジンの高速運転領域においても、耐熱限界に至ることなく、好適な過給圧を得ることが可能になる。
【0010】
好ましい態様において、前記タービンスクロールは、前記第1の排気系から排出された排気ガスの主流が当該タービンホイールの全周にわたって周回可能な流路を、前記第2の排気系が排気ガスを前記タービンスクロールに吐出する流路の上流近傍に形成しているものである。この態様では、エンジンの低速運転時においては、第1の排気系から排出された排気ガスの主流が流速を損なうことなくタービンホイールの内周側に回り込みつつ全周を巡るので、低速運転時においては、排気ガスの下流端がタービンホイールを接線方向に沿って駆動する。この結果、タービンホイールは、第1の排気系の容積が第2の排気系の容積よりも小さいことに相俟って、比較的高いエネルギーで駆動されることになる。次に、エンジンの回転速度が高速域に移行すると、第2の排気系からの主流も強くなるため、タービンホイールの外周を回り込もうとする第1の排気系の主流は、第2の排気系の主流によって、タービンホイールの周回を規制される結果、タービンホイールのトルクが過度に高まるのを抑制される。従って、耐熱限界に至ることなく、高速運転領域の過給領域を拡げることが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明は、少なくともエンジンの低速運転領域において、高い過給性能を発揮することが可能になり、低廉な構成で可及的に過給領域を拡大することができるという顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の一形態による過給機付きエンジンの全体構成を示す概略図であり、図2は、図1の実施形態に係るエンジンの側面図である。
【0014】
図1および図2を参照して、各図に示すエンジンはガソリンエンジンであり、そのエンジン本体1には複数の気筒(図示の例では4気筒)1a〜1dが設けられている。各気筒1a〜1dには、燃焼室2が形成されている。各燃焼室2には、吸気ポート及び排気ポートが開口し、これらのポートに吸気弁3および排気弁4が設けられている。さらに各燃焼室2に対して点火プラグ5及び燃料噴射弁6が装備されている。本実施形態において、各気筒1a〜1dを仮に1番気筒1a〜4番気筒1dと定義すると、その燃焼順序は、1番気筒1a、3番気筒1c、4番気筒1d、2番気筒1bの順となっている。
【0015】
上記エンジン本体1には、各気筒1a〜1dに新気を供給する吸気通路10と、各気筒1a〜1dからの排気ガスを導出する排気通路15とが接続されている。
【0016】
吸気通路10は、各気筒1a〜1dの吸気ポートに接続される気筒別の吸気通路11を有する吸気マニホールド12と、その上流の共通吸気通路13とを備えている。この共通吸気通路13には、吸入空気量を調節するスロットル弁14が設けられている。また、排気通路15は、各気筒1a〜1dの排気ポートに接続される気筒別の排気通路16a〜16dを有する排気マニホールド17と、その下流の共通排気通路18とを備えている。
【0017】
本実施形態において、排気マニホールド17には、互いに隣接して配置され、点火時期が連続しない気筒(図示の例では2番気筒1bと3番気筒1c)に接続される排気通路16b、16cをグループ化した第1の排気系161と、この第1の排気系161よりも容積が大きく設定され、残余の気筒に(図示の例では1番気筒1aと4番気筒1d)接続される排気通路16a、16dをグループ化した第2の排気系162とが形成されている。
【0018】
図2を参照して、各排気系161、162の経路長L1、L2は、レイアウト上、第1の排気系161の経路長L1の方が第2の排気系162の経路長L2よりも短くなっており、これに伴って、第1の排気系161の容積の方が第2の排気系162の容積よりも小さくなっている。各排気系161、162は、排気ターボ過給機20を介して共通排気通路18に接続されている。
【0019】
図1に示すように、排気ターボ過給機20は、排気ガスのエネルギーで駆動されて回転するタービン21と、このタービン21にシャフト22を介して連結されたコンプレッサ23とを備え、タービン21の回転に連動したコンプレッサ23の回転により吸気を過給するようになっている。この排気ターボ過給機20としては、比較的大型であって、高速域で高い過給性能を有する高速型の過給機が用いられる。
【0020】
上記タービン21は共通排気通路18に介設されている。なお、24はタービン21をバイパスするウェイストゲート通路、25はこの通路24に設けられたウェイストゲートバルブである。
【0021】
上記コンプレッサ23は、共通吸気通路13に介設されている。共通吸気通路13におけるコンプレッサ23より下流には、過給された空気を冷却するためのインタークーラ26が設けられている。
【0022】
図3は、図1の実施形態に係る排気ターボ過給機20の断面部分略図である。
【0023】
まず、図3を参照して、排気ターボ過給機20のタービン21は、第1および第2の排気系161、162と接続されるタービンスクロール211と、タービンスクロール211に内蔵され、シャフト22を駆動するタービンホイール212とを有している。
【0024】
タービンスクロール211は、各排気系161、162が接続された接続部211aと、この接続部211aと連通して内部にタービンホイール212を囲繞する囲繞部211bとを一体に有する蝸牛形状の筐体である。
【0025】
本実施形態においては、第1の排気系161の排気主流中心からタービンホイール212の回転中心までの距離R1が、前記第2の排気系162の排気主流中心からタービンホイール212の回転中心までの距離R2よりも長くなるように両排気系161、162がタービンスクロール211の接続部211aに接続されている。また、本実施形態において、両排気系161、162による流れの断面積A1、A2は、それぞれ概ね等しく設定されている。この結果、第1の排気系161の容積が第2の排気系162よりも小さいことと相俟って、比較的流速F1の速い第1の排気系161からの主流が、囲繞部211b内に導入されることになる。
【0026】
囲繞部211bは、タービンホイール212との間で、略環状の流路を形成しており、接続部211aから導入された排気ガスをタービンホイール212の外周を約330°〜約350°程度周回させて、内周側に形成された通気孔211cから下流の共通排気通路18に排出するように構成されている。
【0027】
接続部211aと囲繞部211bとの間には、過給圧を所定の圧力以下に制御するウェイストゲートバルブ25のリリーフ口25aが形成されている。
【0028】
図4は、図1の実施形態に係る排気ターボ過給機20の断面部分略図であり、図5は、同排気ターボ過給機20に採用されているウェイストゲートバルブの駆動機構を示す断面略図である。
【0029】
図2〜図5を参照して、ウェイストゲートバルブ25は、リリーフ口25aを開閉する弁体25bと、弁体25bに取り付けられたリンクアーム25cと、リンクアーム25cを片持ち状に担持し、弁体25bがリリーフ口25aを開く開ポジションとリリーフ口25aを閉じる閉ポジションとの間で駆動するリンク機構25dとリンク機構25dを駆動するアクチュエータ25eとを備えている。図5に示すように、アクチュエータ25eには、ダイアフラム25fが設けられており、リンク機構25dは、このダイアフラム25fに連結されている。ダイアフラム25fは、チューブ25g(図5のみ図示)によって過給された排気ガスの一部が導入される過給室25hを間仕切っている。他方、ダイアフラム25fは、過給室25hの反対側に配置されたリターンスプリング25iによって、弁体25bが閉ポジションを取るようにリンク機構25dを付勢している。そして、過給圧が上昇すると、このリターンスプリング25iの付勢力に抗してリンク機構25dが弁体25bを開ポジションに駆動するように構成されている。これにより、弁体25bは、リリーフ口25aを低速側では閉じ、高速側では次第に開いて、所定のインターセプトポイントで全開になるように構成されている。
【0030】
ここで、本実施形態においては、図2および図3に示すように、リリーフ口25aの開口位置を、第1の排気系161からの排気流がタービンスクロール211内に導入される位置に設定されている。このため、エンジンの回転速度が高速になるに連れて、第1の排気系161からの排気流が弱くなるように構成されている。
【0031】
以上説明したように、本実施形態では、第1の排気系161の排気主流中心からタービンホイール212の回転中心までの距離R1が、前記第2の排気系162の排気主流中心からタービンホイール212の回転中心までの距離R2よりも長くなるように両排気系161、162がタービンスクロール211の接続部211aに接続されている。ここで、タービンホイール121までの排気通路容積が小さいほど、排気ガスの流速低下(エネルギーダウン)が小さいことため、容積の小さい第1の排気系161から、比較的高い流速F1を得ることができる。また、この高い流速F1を出力する第1の排気系161をタービンホイール212の径方向外方にレイアウトしているので、エンジンの低速運転領域において、高い過給性能を発揮することが可能になる。また、複数の排気系161、162をタービンホイール212の外周側と内周側とに配置しているので、コンベンショナルで廉価な排気ターボ過給機20をそのまま採用しても、低速運転領域で、高い排気性能を発揮することが可能になる。
【0032】
また、本実施形態では、両排気系161、162による流れの断面積A1、A2は、それぞれ概ね等しく設定されている。このため本実施形態では、第1の排気系161によるタービン駆動エネルギーが常に大きくなる。すなわち、排気系のタービンホイール212を駆動するためのモーメントは、排気系の排気主流中心から前記タービンホイール212の回転中心までの距離をR、排気系の排気主流の断面積A1、A2をAとすると、A/Rに反比例することが知られている。本実施形態では、第1の排気系161の距離R1が、前記第2の排気系162の距離R2よりも長くなるように両排気系161、162がタービンスクロールに接続されているので、A/Rは常に第1の排気系161の方が小さくなり、エネルギーは第1の排気系161の方が大きくなるからである。このため、第1の排気系161の容積が第2の排気系162の容積よりも小さいことに相俟って、第1の排気系161は、より低速運転領域でもタービンホイール212を駆動するために必要なエネルギーを出力することが可能になる。
【0033】
また、本実施形態では、前記排気ターボ過給機20の過給圧を所定の圧力以下に制御するウェイストゲートバルブ25を設け、このウェイストゲートバルブ25のリリーフ口25aは、当該ウェイストゲートバルブ25の開弁時に前記第1の排気系161からの排気圧力を低減する位置に形成されている。このため本実施形態では、エンジンの回転速度が上昇すると、それに伴ってウェイストゲートバルブ25がリリーフ口25aを開き、タービンホイール212に導入される排気ガスをリリーフする。すなわち、排気ガスが、タービンホイール212をバイパスして下流側の共通排気通路18へ排出される。ここで、ウェイストゲートバルブ25のリリーフ口25aは、当該ウェイストゲートバルブ25の開弁時に前記第1の排気系161からの排気圧力を低減する位置に形成されているので、エンジンの高速側では、第1の排気系161からの排気圧力が低減し、第2の排気系162からの排気圧力によって過給が継続されることになる。ここで、第2の排気系162は、第1の排気系161に比べて容積が大きく、しかも、当該第2の排気系162の排気主流中心からタービンホイール212の回転中心までの距離R2が、第1の排気系161に比べて相対的に短くなっているので、高速側でも比較的低い流速F2で、排気ガスがタービンホイール212を駆動することになる。従って、エンジンの高速運転領域においても、耐熱限界に至ることなく、好適な過給圧を得ることが可能になる。
【0034】
このように本実施形態によれば、エンジンの低速運転領域においても、高速運転領域においても、高い過給性能を発揮することが可能になり、低廉な構成で可及的に過給領域を拡大することができるという顕著な効果を奏する。
【0035】
上述した実施形態は、本発明の好ましい具体例に過ぎず、本発明は上述した実施形態に限定されない。
【0036】
図6は、本発明の別の実施形態に係る排気ターボ過給機20の要部を示す断面略図である。
【0037】
図6を参照して、この実施形態におけるタービンスクロール211は、第1の排気系161から排出された排気ガスの主流が、当該タービンホイール212の全周にわたって周回可能な流路2120を、第2の排気系162が排気ガスをタービンスクロール212に吐出する流路の上流近傍に形成しているものである。還元すれば、図3の形状に相当する内壁の一部を破線で示すようにカットしている。このため本実施形態では、エンジンの低速運転時においては、第1の排気系161から排出された排気ガスの主流が、矢印AW1で示すように、流速F1を損なうことなくタービンホイール212の内周側に回り込みつつ全周を巡るので、低速運転時においては、排気ガスの下流端がタービンホイール212を接線方向に沿って駆動する。この結果、タービンホイール212は、第1の排気系161の容積が第2の排気系162の容積よりも小さいことに相俟って、比較的高いエネルギーで駆動されることになる。次に、エンジンの回転速度が高速域に移行すると、第2の排気系162からの主流も強くなるため、タービンホイール212の外周を回り込もうとする第1の排気系161の主流は、第2の排気系162の主流によって、タービンホイール212の周回を規制される結果、実質的に流路2120が閉塞され、タービンホイール212のトルクが過度に高まるのを抑制される。従って、耐熱限界に至ることなく、高速運転領域の過給領域を拡げることが可能になる。
【0038】
このように、図6に示す実施形態においても、エンジンの低速運転領域においても、高速運転領域においても、高い過給性能を発揮することが可能になり、低廉な構成で可及的に過給領域を拡大することができるという顕著な効果を奏する。
【0039】
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の一形態による過給機付きエンジンの全体構成を示す構成図である。
【図2】図1の実施形態に係るエンジンの側面図である。
【図3】図1の実施形態に係る排気ターボ過給機の断面部分略図である。
【図4】図1の実施形態に係る排気ターボ過給機の断面部分略図である。
【図5】同排気ターボ過給機に採用されているウェイストゲートバルブの駆動機構を示す断面略図である。
【図6】本発明の別の実施形態に係る排気ターボ過給機の要部を示す断面略図である。
【符号の説明】
【0041】
1 エンジン本体
1a 1番気筒
1b 2番気筒
1c 3番気筒
1d 4番気筒
10 吸気通路
11 吸気通路
12 吸気マニホールド
13 共通吸気通路
14 スロットル弁
15 排気通路
16a 排気通路
16b 排気通路
16c 排気通路
16d 排気通路
17 排気マニホールド
18 共通排気通路
20 排気ターボ過給機
21 タービン
25 ウェイストゲートバルブ
25a リリーフ口
161 第1の排気系
162 第2の排気系
211 タービンスクロール
212 タービンホイール
2120 流路
A1 断面積
A2 断面積
R1 距離
R2 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多気筒エンジンのエンジン本体に互いに隣接して配置され、且つ点火時期が連続しない気筒に接続される排気通路をグループ化した第1の排気系と、
この第1の排気系よりも容積が大きく設定され、残余の気筒に接続される排気通路をグループ化した第2の排気系と、
両排気系に接続される排気ターボ過給機と
を備え、
前記排気ターボ過給機は、両排気系に接続されるタービンスクロールと、前記タービンスクロール内に配置され、両排気系から吐出される排気ガスによって駆動されるタービンホイールとを有し、
前記第1の排気系の排気主流中心から前記タービンホイールの回転中心までの距離が、前記第2の排気系の排気主流中心から前記タービンホイールの回転中心までの距離よりも長くなるように、前記第1の排気系が前記タービンホイールの外周側に、前記第2の排気系が前記タービンホイールの内周側に、それぞれ接続されている
ことを特徴とする過給機付きエンジン。
【請求項2】
請求項1記載の過給機付きエンジンにおいて、
両排気系による流れの断面積は、それぞれ概ね等しく設定されている
ことを特徴とする過給機付きエンジン。
【請求項3】
請求項1または2記載の過給機付きエンジンにおいて、
前記排気ターボ過給機の過給圧を所定の圧力以下に制御するウェイストゲートバルブを設け、このウェイストゲートバルブのリリーフ口は、当該ウェイストゲートバルブの開弁時に前記第1の排気系からの排気圧力を低減する位置に形成されている
ことを特徴とする過給機付きエンジン。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の過給機付きエンジンにおいて、
前記タービンスクロールは、前記第1の排気系から排出された排気ガスの主流が当該タービンホイールの全周にわたって周回可能な流路を、前記第2の排気系が排気ガスを前記タービンスクロールに吐出する流路の上流近傍に形成しているものであることを特徴とする過給機付きエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−31942(P2008−31942A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207722(P2006−207722)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】