道路用標示体
【課題】ビーム部分への人の腰掛けを抑止する道路用標示体を提供する。
【解決手段】車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有するポールを備えた柱状の標識部を少なくとも2個立設させ、この各柱状の標識部間に、弾性的に曲がる可撓性を有すると共に、上方に向かって尖る尖部を備えたビーム状の標識部を架設させる。
前記ビーム状の標識部が上方に向かって尖る尖部を備えるので、座り心地が悪く腰掛けると痛みを伴うような印象を人に感じさせ、ビーム状の標識部に容易に人が座れないようにすることができる。
また、車両が衝突する等して外力を受けたときには前記各柱状の標識部やビーム状の標識部が全体的に撓んでこの外力を逃がし、道路用標示体が破壊されにくいものとなされ、さらに外力が無くなると元の形状に復元するようになされる。
【解決手段】車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有するポールを備えた柱状の標識部を少なくとも2個立設させ、この各柱状の標識部間に、弾性的に曲がる可撓性を有すると共に、上方に向かって尖る尖部を備えたビーム状の標識部を架設させる。
前記ビーム状の標識部が上方に向かって尖る尖部を備えるので、座り心地が悪く腰掛けると痛みを伴うような印象を人に感じさせ、ビーム状の標識部に容易に人が座れないようにすることができる。
また、車両が衝突する等して外力を受けたときには前記各柱状の標識部やビーム状の標識部が全体的に撓んでこの外力を逃がし、道路用標示体が破壊されにくいものとなされ、さらに外力が無くなると元の形状に復元するようになされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線と歩道の区分標示や交通規制誘導標示等を目的として、路面に固定して用いる道路用標示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公園や公共施設、その他人々が往来する商業施設の入口や駐車場などにおいて車両の進入を阻止、誘導するため、あるいは歩道沿いに設置して歩道への車両の乗り入れや駐停車を防ぐ目的で設置される道路用標示体については、種々の発明が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、立設用の脚部2aを下端に備えた柱用の芯材2と、その芯材2を被覆する弾性緩衝体3とを備えた柵柱であつて、前記芯材2の高さhを設定柵柱高さHよりも小に構成し、前記弾性緩衝体3に、前記芯材2を被覆する被覆部3aの上端から柵柱上端にまで達する延長部3bを一体に具備させ、前記被覆部3aとの連接部を支点とする前記延長部3bの弾性に抗した揺動変位が許容される状態に前記弾性緩衝体3を芯材2に取付けてある柵柱、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平03−018216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は図5において、2本の棚柱を立設させて、それぞれの上端を他方の棚柱方向へ延設させて一体のビーム形状に形成させ、全体を逆Uの字形状に形成させた実施形態が記載されている。このような形態は、車両などが接触しても弾性緩衝体3が揺動して容易に破壊されなくなされる。しかしながら、このような形態の棚柱は、ビーム形状部分に人が腰掛けようとすることが時折あるため、棚柱部分が揺動して座ろうとした人がビーム形状部分から転げ落ち、怪我などを負う恐れがあるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、ビーム部分への人の腰掛けを抑止する道路用標示体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る道路用標示体は、車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有するポールを備えた柱状の標識部が少なくとも2個立設され、該各柱状の標識部間にビーム状の標識部が架設されている道路用標示体であって、
前記ビーム状の標識部は弾性的に曲がる可撓性を有すると共に、上方に向かって尖る尖部を備えていることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る道路用標示体によれば、車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有するポールを備えた柱状の標識部が少なくとも2個立設させ、この各柱状の標識部間に弾性的に曲がる可撓性を有するビーム状の標識部が架設されるので、前記各柱状の標識部の間を歩行者などの人や車両などが横切ることを防止でき、高い交通規制効果を得ることができると共に、車両が衝突する等して外力を受けたときには前記各柱状の標識部やビーム状の標識部が全体的に撓んでこの外力を逃がし、道路用標示体が破壊されにくいものとなされ、さらに外力が無くなると元の形状に復元するようになされる。
また、前記ビーム状の標識部が上方に向かって尖る尖部を備えるので、座り心地が悪く腰掛けると痛みを伴うような印象を人に感じさせ、ビーム状の標識部に容易に人が座れないようにすることができる。
【0009】
また、前記尖部を備えた断面形状に前記ビーム状の標識部を形成させ、この尖部を前記ビーム状の標識部の長手方向に沿って全長に亘って形成させれば、腰掛けようとする人がこの尖部の間に座ろうとすることを防止できるので好ましい。
また、前記尖部を備えた断面形状に前記ビーム状の標識部を形成させて、該尖部を前記ビーム状の標識部に一体的に形成すれば、道路用標示体に車両などが接触しても前記尖部が前記ビーム状の標識部から外れないので、継続的にビーム部分への人の腰掛けを抑止でき、好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の道路用標示体によれば、ビーム部分への人の腰掛けを抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る道路用標示体の実施の一形態を示す(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
【図2】図1の道路用標示体を構成する各部材に分解した状態を示す正面図である。
【図3】図1の道路用標示体を構成する柱状の標識部の断面図である。
【図4】図1の柱状の標識部のジョイント付近を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。
【図5】ビーム状の標識部の断面を示す図2のA−A断面図である。
【図6】本発明に係る道路用標示体のビーム状の標識部の実施の他の一形態を示す(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
【図7】図6のビーム状の標識部を架設させて固定させる柱状の標識部のジョイント付近を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。
【図8】図7のジョイント付近の断面図である。
【図9】図8のジョイントの内壁部内にナットを設けた状態を示す断面図である。
【図10】図9のジョイントのビーム挿入溝部にビームを挿入させた状態を示す断面図である。
【図11】図10のジョイント内のナットにボルトを締結させた状態を示す断面図である。
【図12】本発明に係る道路用標示体のビーム状の標識部の実施の他の一形態を示す正面図と側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
まず最初に、図1および図2によって、本発明に係る道路用標示体の全体的な構成について説明する。
図面において、1は道路用標示体の柱部分を構成する柱状の標識部である。
柱状の標識部1は、ベース2の上方にポール11を突設させて構成されている
本実施形態の柱状の標識部1は、ポール11をベース2の上方から着脱自在に立設できるように構成させている。
【0013】
本実施形態のベース2はその下面を路面に当接させて設置固定されるが、路面に設置固定させる方法として、ベース2の下面に接着剤を塗布して路面へ接着固定させる方法を用いることができる。また、ベース2の設置固定方法はこれに限るものではなく、ベース部2の下面から雄ねじ部分を下方に突出させてアンカーボルトを取り付け、路面に埋設固定させたアンカーナットに螺結させて固定させてもよいし、他の固定方法を用いてもよい。
このようなベース2は、例えば射出成型により形成され、その材質としては合成樹脂、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、ABS樹脂、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA樹脂)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、硬質塩化ビニルなどの硬質な合成樹脂を使用することができ、本実施形態ではASA樹脂を用いて形成させているが、熱可塑性ポリウレタンや軟質ポリオレフィン、エラストマーなどの軟質な合成樹脂を用いてもよい。
【0014】
5は道路用標示体のビーム状の標識部である。ビーム状の標識部5は、長手方向を水平方向に向け、中央部分から、上方向、前方斜め下方向、後方斜め下方向の3方向へそれぞれ長方形の板体を突設させた形状に設けられたビーム51から形成されている。図5はビーム状の標識部の断面を示す図2のA−A断面図である。
図1に示すように、ビーム51は、その端部をポール11の上端に取り付けられたジョイント4に取り付けられて柱状の標識部1に固定される。ビーム51は、その両端をそれぞれ並設して設置された2個の柱状の標識部1に架け渡されて固定され、各柱状の標識部1の間を人が通過することを防止している。
本実施形態の道路用標示体は、上記のようにビーム51を架け渡した2個1組の柱状の標識部1を、車の通過を防止したい場所に単体で設置させて車止めとして利用してもよい。また走行車線と対向車線との間に本実施形態の道路用標示体を複数組並設させて車線を分離するとともに、設置した道路を歩行者が横断することを防止するように用いることもできる。この場合、並設された異なる組の柱状の標識部1間の隙間を、人が通過不能な大きさに設置させて、この間を歩行者が横断することを防止する。
本実施形態のビーム状の標識部5は押出成形によって形成され、車両などが接触した際に弾性的に曲り、その後に元の状態に復元する可撓性を有するように、熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成されているが、これに限らず、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができる。
【0015】
ビーム状の標識部5の外側面には、反射シートが貼着されて反射部53が設けられている。この反射部53によって正面からの視認性を向上させるとともに、トラックのように車高の高い車両の運転手によって斜め上方から視認される場合でも、視認性を高いものとすることができる。
本実施形態の反射部53は、正面視において、ビーム51の中央から外方へ至る程、左方向へ傾くような形状に形成されており、右方向への矢印形状に視認されるように設けられているが、これに限るものではなく、ビーム51の長手方向に対して垂直な帯状に形成させてもよく、その他の形状に形成させてもよい。
【0016】
図3は、図1の道路用標示体を構成する柱状の標識部1の断面図である。
柱状の標識部1のポール11は円筒形の中空柱状体に形成されており、その上端にジョイント4が融着によって固定され、ポール11の下端に補強用部材12が固定されている。
柱状の標識部1は、車両などに踏み倒された後に元の状態に復元する可撓性を有するように、ポール11を熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成しているが、これに限らず、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができる。
ポール11の外側面には反射シートが巻回されて全周に亘って貼り付けられた反射部13が設けられており、正面や側方からの視認性を高いものとすることができる。
【0017】
ポール11は補強用部材12が固定された下端部分をベース2の上面に設けた円形のくぼみ21に挿入させて、着脱可能に固定できるように構成されている。具体的には、ベース2に設けられた前記のくぼみ21にポール11の下端部分が挿入された後、ベース2の外側面からポール11の下端部分に向けてポール固定ねじNの雄ねじを挿入させて、ポール11を貫通させて補強用部材12に螺入させ、ベース2とポール11とを固定させている。上記のように固定させることで、前記のポール固定ねじNを取り外せば、ポール11とベース2との固定を解除でき、ポール11とベース2とを着脱自在に固定できる。本実施形態では補強用部材12が螺入されたポール固定ねじNの雄ねじ部分と強固に結合できるように、補強用部材12を硬質の樹脂材料で形成させている。また、補強用部材12を硬質の樹脂材料で形成させることで、ポール11の下端部分の変形が抑制され、道路用標示体が外力を受けてもポール11とベース2との固定が容易に外れなくなる。
ポール11とベース2との固定方法は上記の方法に限るものではなく、ポール11の下端とベース2のくぼみ21とにそれぞれ係合可能な係合部と係止部とを設け、これらの係合によって着脱可能に固定させてもよいし、ポール11とベース2とは別に形成させた固定部材をポール11とベース2とに架け渡して取り付けることでこれらを固定させてもよいし、他の方法を用いて固定させても良い。
【0018】
ジョイント4は、円筒形をアールを付けて90度の角度に曲げたようなエルボ状のL字型に形成されており、その両端において、下方向を向いた端部に下方結合部41を、水平方向を向いた端部に水平結合部42をそれぞれ形成されている。
下方結合部41は、下方に向いたジョイント4の外周面が縮径して突出するように形成されており、円筒形のポール11の中空部分に上方から挿入可能に形成されている。下方結合部41の外周面はポール11の内周面に当接するように形成され、下方結合部41とポール11とは融着によって強固に固着されている。
ジョイント4は、車両などが接触する等して変形しても元の状態に復元するように弾性を有する材料で形成するのが好ましく、本実施形態では熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成しているが、これに限らず、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができ、他の材料を用いてもよい。
【0019】
ジョイント4の水平方向を向いた端部には、ジョイント4の外周面を形成する円筒形状の壁部43の内側に、板片形状に形成されて突出する結合片部47が設けられている。
図4は図1の柱状の標識部のジョイント付近を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。
図3及び図4に示すように、結合片部47は長方形状の板片が相対するように2枚並設されて形成され、各板片の隙間が円筒形状に形成された前記壁部43の軸方向に沿うように設けられている。また結合片部47は、壁部43の内周側面の上側、前方斜め下側、後方斜め下側の3カ所から中心方向へ突出するようにそれぞれ結合片部47a、47b、47c、が設けられている。
【0020】
前記結合片部47a、47b、47cは、相対する2枚の板片の隙間が、前記ビーム状の標識部5のビーム51を構成する板体の厚さに対応する大きさに形成されており、中央から三方向へ突設されたビーム51の各板体がそれぞれ前記結合片部47a、47b、47cの各板片の隙間に挿入可能に形成されている。
また、前記結合片部47a、47b、47cにはそれぞれ2枚の板片を貫通する貫通穴48が形成されており、これはビーム51を構成する板体の長手方向の両端に形成された貫通穴である挿通部52に対応した位置に設けられている。これは各結合片部47a、47b、47cの板片の隙間にビーム51の端部を挿入させたとき、前記貫通穴48と前記挿通部52との位置が揃うようになされており、これらの穴部分を挿通させたボルト・ナットを締結させてビーム状の標識部5をジョイント4に固定可能に設けられている。
ビーム状の標識部5は、貫通穴48を備えた結合片部47a、47b、47cからなる水平結合部42を介して、ジョイント4に着脱自在に固定される。
また、ジョイント4の壁部43には、前方斜め上側、後方斜め上側、下側の三カ所に、ビーム状の標識部5を水平結合部42に固定するためのボルト・ナットを挿入するためのボルト挿通穴43aが形成されており、ここから挿入させたボルトの雄ねじ部分を前記貫通穴48と前記挿通部52とに挿通させ、反対側のボルト挿通孔43aから挿入させたナットに締結させて、これらを固定させることができる。
また、各結合片部47a、47b、47cの板片にクリップナットのクリップ部分を挟ませて、そのナット部分が前記貫通穴48の位置に配置されるように前記クリップナットを取り付け、各結合片部47a、47b、47cの板片の隙間にビーム51を挿入させた後、前記ボルト挿通穴43aから挿入させたボルトを前記クリップナットのナット部分に締結させて固定させてもよい。
【0021】
本実施形態の道路用標示体は、ビーム状の標識部5が三方向へ突設される板体から形成されると共に、板体の一つが上方向に向けられることで、当該板体の上端部分が上方向へ尖る尖部54がなされている。
尖部54を設けることで、ビーム状の標識部5の座り心地が悪く腰掛けると痛みを伴うような印象を人に感じさせ、容易に人が座れないようにすることができる。これによって柱状の標識部1やビーム状の標識部5が撓み、ビーム状の標識部5に腰掛けた人が滑り落ちて怪我をするような問題を防止することができる。
尚、ここで言う上方向へ向かって尖る尖部54とは、人がその上に座ろうという気持ちを起こさせない程度になだらかでなければよいので、必ずしも上端を鋭い角度に形成させる必要はなく、本実施形態のように板体を上方に向けて突設させるような形状に設けてもよく、後述する図12に示すような形状に形成させてもよい。
【0022】
また、本実施形態の尖部54は押出成形によってビーム状の標識部5の全長に亘って形成されているが、これに限るものではなく、ビーム状の標識部5に部分的に形成させてもよい。しかし本実施形態のように、尖部54を全長に亘って形成させることで、尖部54を避けてビーム状の標識部5に座ろうとすることができないので好ましい。
また、本実施形態の尖部54は押出成形によってビーム51に一体的に形成させているが、これに限るものではなくビーム51と尖部54とを別部材で形成させてそれぞれを固定させてもよい。しかし、本実施形態のように尖部54をビーム51に一体的に形成させることで、道路用標示体に車両などが接触しても、ビーム51から尖部54が外れてしまうことがなく、ビーム状の標識部5への人の腰掛けを継続的に抑止できる。
【0023】
図6は本発明に係る道路用標示体のビーム状の標識部の実施の他の一形態を示す(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
本実施形態のビーム状の標識部5は、長手方向を水平方向に向けた三角筒形状に形成されたビーム51から形成されており、その外側面には反射シートが貼着された反射部53が設けられている。
また、ビーム51の両端には筒壁を貫通する挿通部52が形成されている。
この挿通部52はビーム51の一方の端部において三角筒形状を構成する三面の筒壁のそれぞれの面に1カ所づつ合計3カ所形成され、ビーム51の両方の端部でそれぞれ合計6カ所の挿通部52が形成されている。
【0024】
図7は図6のビーム状の標識部を架設させて固定させる柱状の標識部1のジョイント4付近を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図であり、図8は図7のジョイント4付近の断面図である。
本実施形態のジョイント4の水平結合部42は、ジョイント4の外周面を形成する円筒形状の壁部43と、その内側に形成された壁部43より小さな三角筒形状の内壁部44から構成されている。内壁部44は、ジョイント4が90度の角度に曲がる曲部45の付近において、壁部43の内周面の一部が径の内側へ突出するとともに水平方向へ延設されるように突出して内壁部44が形成されている。
尚、本実施形態の道路用標示体の柱状の標識部1は、ジョイント4の下方結合部41に結合されたポール11より下方の各部材の形状、構成が、図1に示される道路用標示体と同様に形成されている。
【0025】
三角筒形状に形成された内壁部44は、その外側面が図7に示す三角筒形状のビーム51の内側面に対応した形状に形成され、それぞれ筒状に形成された壁部43と内壁部44との間には、ビーム51の端部を挿入して収納可能な環状のビーム挿入溝部46が形成されている。
また、内壁部44を構成する三面の筒壁にはこれを貫通する雄ねじ挿通穴44aがそれぞれの面に1カ所づつ合計3カ所形成されており、各雄ねじ挿通穴44aに対応する壁部43の位置にはこれを貫通するボルト挿通穴43aがそれぞれ形成されている。
前記の各雄ねじ挿通穴44a及びボルト挿通穴43aは、それぞれビーム状の標識部5に設けられた挿通部52に対応した位置に形成されている。即ち、ビーム51の端部をビーム挿入溝部46に挿入させたとき、前記雄ねじ挿通穴44aと、ボルト挿通穴43aと、挿通部52との位置がそれぞれ揃うようになされており、これらの穴部分に雄ねじを挿通させた固定ボルト9を内壁部44の内側に配置させたナットに締結させてビーム状の標識部5をジョイント4に固定可能に設けられている。
【0026】
本実施形態のジョイント4の内壁部44は、三角筒形状の一つの角部分を上方に向けて形成されており、ビーム状の標識部5のビーム51の角部分の一つを上方に向けて固定するように設けられている。このため、上方に向けられた角部分でビーム51の尖部54が形成され、ビーム状の標識部5の上に人が腰掛けることを抑止させる。
【0027】
図9は図8のジョイント4の内壁部44内にナットを設けた状態を示す断面図であり、図10は図9のジョイント4のビーム挿入溝部46にビーム51を挿入させた状態を示す断面図であり、図11は図10のジョイント4内のナットに固定ボルト9を締結させた状態を示す断面図である。
本実施形態のジョイント4にビーム状の標識部5を固定する際には、まず最初にジョイント4の内壁部44の内側にナットを取り付ける。
本実施形態のジョイント4は、クリップナット8を用いて内壁部44の内側にナットを固定させており、具体的には、図9に示すように、ナット部分が内壁部44の内側に挿入されるようにクリップナット8のクリップ部分を内壁部44に挟ませて、ナット部分の雌ねじの位置が雄ねじ挿通穴44aと揃うように取り付ける。
【0028】
次に図10に示すように、ジョイント4のビーム挿入溝部46にビーム51の端部を挿入させて、挿通部52の位置を雄ねじ挿通穴44aとボルト挿通穴43aの位置に揃える。
【0029】
最後に図11に示すように、ボルト挿通穴43aの外側から固定ボルト9を挿入させてクリップナット8のナット部分に締結させ、ジョイント4にビーム状の標識部5を固定させる。
本実施形態の道路用標示体は、クリップナット8を用いることで、ジョイント4の内部に容易にナットを取り付けて内装させることができると共に、柱状の標識部1を廃棄する場合などに、金属製のクリップナットを容易にジョイント4から取り外すことができるので、リサイクルのため分別作業が容易である。
【0030】
図12は本発明に係る道路用標示体のビーム状の標識部の実施の他の一形態を示す正面図と側面図である。
(イ)に示すビーム状の標識部5は、長手方向を水平方向に向け、上端部分から、前方斜め下方向、後方斜め下方向の2方向へそれぞれ長方形の板体を突設させた形状に設けられたビーム51から形成されており、前記各板体が一体に結合する上端の角部分を尖らせて尖部54を形成させている。
(ロ)に示すビーム状の標識部5は、長手方向を水平方向に向け、上端部分から、前方斜め下方向、後方斜め下方向の2方向へそれぞれ長方形の板体を突設させ、さらに各板体の下端から垂直下方向へ板体を延設させた形状に設けられたビーム51から形成されており、前記(イ)の実施形態と同様に、上端の角部分を尖らせて尖部54を形成させている。
(ハ)に示すビーム状の標識部5は、長手方向を水平方向に向けた四角筒形状に形成されたビーム51から形成されており、四角筒に設けられた4つの角部分の一つを上方に向けて尖部54を形成するようになされている。
(ニ)に示すビーム状の標識部5は、長手方向を水平方向に向けた六角筒形状に形成されたビーム51から形成されており、六角筒に設けられた6つの角部分の一つを上方に向けて尖部54を形成するようになされている。
(ホ)に示すビーム状の標識部5は、長手方向を水平方向に向けた長方形の板体に形成されたビーム51から形成されており、その表裏の板面を前方と後方とに向け、板体の上部分が尖部54を形成するようになされている。
前記の各実施形態のビーム状の標識部5の両端にはそれぞれの筒壁や板体を貫通する挿通部52が形成されており、各ビーム51の端部の形状に対応した結合片部47や内壁部44を備えたジョイント4に固定されて、2個立設された柱状の標識部1間に架設されるようになされている。そして各ビーム51に形成された尖部54によって、ビーム状の標識部5の上に人が腰掛けることを抑止している。
尚、ビーム状の標識部5のビーム51や尖部54は、前記の実施形態の形状に限るものではなく、図1や図12(ホ)に示すように板体を縦板状に上方へ突出させて尖部54を形成させた形状や、図6や図12(イ)〜(ニ)に示すように上方へ三角山形状に突出させた尖部54を形成させた形状に設けてもよく、人が腰掛けようとする気持ちを失わせる程度になだらかではない他の形状に尖部54を形成させて設けてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 柱状の標識部
11 ポール
12 補強用部材
13 反射部
2 ベース
21 くぼみ
4 ジョイント
41 下方結合部
42 水平結合部
43 壁部
43a ボルト挿通穴
44 内壁部
44a 雄ねじ挿通穴
45 曲部
46 ビーム挿入溝部
47 結合片部
48 貫通穴
5 ビーム状の標識部
51 ビーム
52 挿通部
53 反射部
54 尖部
8 クリップナット
9 固定ボルト
N 固定ねじ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線と歩道の区分標示や交通規制誘導標示等を目的として、路面に固定して用いる道路用標示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
公園や公共施設、その他人々が往来する商業施設の入口や駐車場などにおいて車両の進入を阻止、誘導するため、あるいは歩道沿いに設置して歩道への車両の乗り入れや駐停車を防ぐ目的で設置される道路用標示体については、種々の発明が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、立設用の脚部2aを下端に備えた柱用の芯材2と、その芯材2を被覆する弾性緩衝体3とを備えた柵柱であつて、前記芯材2の高さhを設定柵柱高さHよりも小に構成し、前記弾性緩衝体3に、前記芯材2を被覆する被覆部3aの上端から柵柱上端にまで達する延長部3bを一体に具備させ、前記被覆部3aとの連接部を支点とする前記延長部3bの弾性に抗した揺動変位が許容される状態に前記弾性緩衝体3を芯材2に取付けてある柵柱、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平03−018216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は図5において、2本の棚柱を立設させて、それぞれの上端を他方の棚柱方向へ延設させて一体のビーム形状に形成させ、全体を逆Uの字形状に形成させた実施形態が記載されている。このような形態は、車両などが接触しても弾性緩衝体3が揺動して容易に破壊されなくなされる。しかしながら、このような形態の棚柱は、ビーム形状部分に人が腰掛けようとすることが時折あるため、棚柱部分が揺動して座ろうとした人がビーム形状部分から転げ落ち、怪我などを負う恐れがあるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、ビーム部分への人の腰掛けを抑止する道路用標示体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る道路用標示体は、車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有するポールを備えた柱状の標識部が少なくとも2個立設され、該各柱状の標識部間にビーム状の標識部が架設されている道路用標示体であって、
前記ビーム状の標識部は弾性的に曲がる可撓性を有すると共に、上方に向かって尖る尖部を備えていることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る道路用標示体によれば、車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有するポールを備えた柱状の標識部が少なくとも2個立設させ、この各柱状の標識部間に弾性的に曲がる可撓性を有するビーム状の標識部が架設されるので、前記各柱状の標識部の間を歩行者などの人や車両などが横切ることを防止でき、高い交通規制効果を得ることができると共に、車両が衝突する等して外力を受けたときには前記各柱状の標識部やビーム状の標識部が全体的に撓んでこの外力を逃がし、道路用標示体が破壊されにくいものとなされ、さらに外力が無くなると元の形状に復元するようになされる。
また、前記ビーム状の標識部が上方に向かって尖る尖部を備えるので、座り心地が悪く腰掛けると痛みを伴うような印象を人に感じさせ、ビーム状の標識部に容易に人が座れないようにすることができる。
【0009】
また、前記尖部を備えた断面形状に前記ビーム状の標識部を形成させ、この尖部を前記ビーム状の標識部の長手方向に沿って全長に亘って形成させれば、腰掛けようとする人がこの尖部の間に座ろうとすることを防止できるので好ましい。
また、前記尖部を備えた断面形状に前記ビーム状の標識部を形成させて、該尖部を前記ビーム状の標識部に一体的に形成すれば、道路用標示体に車両などが接触しても前記尖部が前記ビーム状の標識部から外れないので、継続的にビーム部分への人の腰掛けを抑止でき、好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の道路用標示体によれば、ビーム部分への人の腰掛けを抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る道路用標示体の実施の一形態を示す(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
【図2】図1の道路用標示体を構成する各部材に分解した状態を示す正面図である。
【図3】図1の道路用標示体を構成する柱状の標識部の断面図である。
【図4】図1の柱状の標識部のジョイント付近を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。
【図5】ビーム状の標識部の断面を示す図2のA−A断面図である。
【図6】本発明に係る道路用標示体のビーム状の標識部の実施の他の一形態を示す(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
【図7】図6のビーム状の標識部を架設させて固定させる柱状の標識部のジョイント付近を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。
【図8】図7のジョイント付近の断面図である。
【図9】図8のジョイントの内壁部内にナットを設けた状態を示す断面図である。
【図10】図9のジョイントのビーム挿入溝部にビームを挿入させた状態を示す断面図である。
【図11】図10のジョイント内のナットにボルトを締結させた状態を示す断面図である。
【図12】本発明に係る道路用標示体のビーム状の標識部の実施の他の一形態を示す正面図と側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
まず最初に、図1および図2によって、本発明に係る道路用標示体の全体的な構成について説明する。
図面において、1は道路用標示体の柱部分を構成する柱状の標識部である。
柱状の標識部1は、ベース2の上方にポール11を突設させて構成されている
本実施形態の柱状の標識部1は、ポール11をベース2の上方から着脱自在に立設できるように構成させている。
【0013】
本実施形態のベース2はその下面を路面に当接させて設置固定されるが、路面に設置固定させる方法として、ベース2の下面に接着剤を塗布して路面へ接着固定させる方法を用いることができる。また、ベース2の設置固定方法はこれに限るものではなく、ベース部2の下面から雄ねじ部分を下方に突出させてアンカーボルトを取り付け、路面に埋設固定させたアンカーナットに螺結させて固定させてもよいし、他の固定方法を用いてもよい。
このようなベース2は、例えば射出成型により形成され、その材質としては合成樹脂、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、ABS樹脂、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA樹脂)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、硬質塩化ビニルなどの硬質な合成樹脂を使用することができ、本実施形態ではASA樹脂を用いて形成させているが、熱可塑性ポリウレタンや軟質ポリオレフィン、エラストマーなどの軟質な合成樹脂を用いてもよい。
【0014】
5は道路用標示体のビーム状の標識部である。ビーム状の標識部5は、長手方向を水平方向に向け、中央部分から、上方向、前方斜め下方向、後方斜め下方向の3方向へそれぞれ長方形の板体を突設させた形状に設けられたビーム51から形成されている。図5はビーム状の標識部の断面を示す図2のA−A断面図である。
図1に示すように、ビーム51は、その端部をポール11の上端に取り付けられたジョイント4に取り付けられて柱状の標識部1に固定される。ビーム51は、その両端をそれぞれ並設して設置された2個の柱状の標識部1に架け渡されて固定され、各柱状の標識部1の間を人が通過することを防止している。
本実施形態の道路用標示体は、上記のようにビーム51を架け渡した2個1組の柱状の標識部1を、車の通過を防止したい場所に単体で設置させて車止めとして利用してもよい。また走行車線と対向車線との間に本実施形態の道路用標示体を複数組並設させて車線を分離するとともに、設置した道路を歩行者が横断することを防止するように用いることもできる。この場合、並設された異なる組の柱状の標識部1間の隙間を、人が通過不能な大きさに設置させて、この間を歩行者が横断することを防止する。
本実施形態のビーム状の標識部5は押出成形によって形成され、車両などが接触した際に弾性的に曲り、その後に元の状態に復元する可撓性を有するように、熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成されているが、これに限らず、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができる。
【0015】
ビーム状の標識部5の外側面には、反射シートが貼着されて反射部53が設けられている。この反射部53によって正面からの視認性を向上させるとともに、トラックのように車高の高い車両の運転手によって斜め上方から視認される場合でも、視認性を高いものとすることができる。
本実施形態の反射部53は、正面視において、ビーム51の中央から外方へ至る程、左方向へ傾くような形状に形成されており、右方向への矢印形状に視認されるように設けられているが、これに限るものではなく、ビーム51の長手方向に対して垂直な帯状に形成させてもよく、その他の形状に形成させてもよい。
【0016】
図3は、図1の道路用標示体を構成する柱状の標識部1の断面図である。
柱状の標識部1のポール11は円筒形の中空柱状体に形成されており、その上端にジョイント4が融着によって固定され、ポール11の下端に補強用部材12が固定されている。
柱状の標識部1は、車両などに踏み倒された後に元の状態に復元する可撓性を有するように、ポール11を熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成しているが、これに限らず、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができる。
ポール11の外側面には反射シートが巻回されて全周に亘って貼り付けられた反射部13が設けられており、正面や側方からの視認性を高いものとすることができる。
【0017】
ポール11は補強用部材12が固定された下端部分をベース2の上面に設けた円形のくぼみ21に挿入させて、着脱可能に固定できるように構成されている。具体的には、ベース2に設けられた前記のくぼみ21にポール11の下端部分が挿入された後、ベース2の外側面からポール11の下端部分に向けてポール固定ねじNの雄ねじを挿入させて、ポール11を貫通させて補強用部材12に螺入させ、ベース2とポール11とを固定させている。上記のように固定させることで、前記のポール固定ねじNを取り外せば、ポール11とベース2との固定を解除でき、ポール11とベース2とを着脱自在に固定できる。本実施形態では補強用部材12が螺入されたポール固定ねじNの雄ねじ部分と強固に結合できるように、補強用部材12を硬質の樹脂材料で形成させている。また、補強用部材12を硬質の樹脂材料で形成させることで、ポール11の下端部分の変形が抑制され、道路用標示体が外力を受けてもポール11とベース2との固定が容易に外れなくなる。
ポール11とベース2との固定方法は上記の方法に限るものではなく、ポール11の下端とベース2のくぼみ21とにそれぞれ係合可能な係合部と係止部とを設け、これらの係合によって着脱可能に固定させてもよいし、ポール11とベース2とは別に形成させた固定部材をポール11とベース2とに架け渡して取り付けることでこれらを固定させてもよいし、他の方法を用いて固定させても良い。
【0018】
ジョイント4は、円筒形をアールを付けて90度の角度に曲げたようなエルボ状のL字型に形成されており、その両端において、下方向を向いた端部に下方結合部41を、水平方向を向いた端部に水平結合部42をそれぞれ形成されている。
下方結合部41は、下方に向いたジョイント4の外周面が縮径して突出するように形成されており、円筒形のポール11の中空部分に上方から挿入可能に形成されている。下方結合部41の外周面はポール11の内周面に当接するように形成され、下方結合部41とポール11とは融着によって強固に固着されている。
ジョイント4は、車両などが接触する等して変形しても元の状態に復元するように弾性を有する材料で形成するのが好ましく、本実施形態では熱可塑性ポリウレタン樹脂で形成しているが、これに限らず、軟質ポリオレフィン、エラストマー、などを好適に用いることができ、他の材料を用いてもよい。
【0019】
ジョイント4の水平方向を向いた端部には、ジョイント4の外周面を形成する円筒形状の壁部43の内側に、板片形状に形成されて突出する結合片部47が設けられている。
図4は図1の柱状の標識部のジョイント付近を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図である。
図3及び図4に示すように、結合片部47は長方形状の板片が相対するように2枚並設されて形成され、各板片の隙間が円筒形状に形成された前記壁部43の軸方向に沿うように設けられている。また結合片部47は、壁部43の内周側面の上側、前方斜め下側、後方斜め下側の3カ所から中心方向へ突出するようにそれぞれ結合片部47a、47b、47c、が設けられている。
【0020】
前記結合片部47a、47b、47cは、相対する2枚の板片の隙間が、前記ビーム状の標識部5のビーム51を構成する板体の厚さに対応する大きさに形成されており、中央から三方向へ突設されたビーム51の各板体がそれぞれ前記結合片部47a、47b、47cの各板片の隙間に挿入可能に形成されている。
また、前記結合片部47a、47b、47cにはそれぞれ2枚の板片を貫通する貫通穴48が形成されており、これはビーム51を構成する板体の長手方向の両端に形成された貫通穴である挿通部52に対応した位置に設けられている。これは各結合片部47a、47b、47cの板片の隙間にビーム51の端部を挿入させたとき、前記貫通穴48と前記挿通部52との位置が揃うようになされており、これらの穴部分を挿通させたボルト・ナットを締結させてビーム状の標識部5をジョイント4に固定可能に設けられている。
ビーム状の標識部5は、貫通穴48を備えた結合片部47a、47b、47cからなる水平結合部42を介して、ジョイント4に着脱自在に固定される。
また、ジョイント4の壁部43には、前方斜め上側、後方斜め上側、下側の三カ所に、ビーム状の標識部5を水平結合部42に固定するためのボルト・ナットを挿入するためのボルト挿通穴43aが形成されており、ここから挿入させたボルトの雄ねじ部分を前記貫通穴48と前記挿通部52とに挿通させ、反対側のボルト挿通孔43aから挿入させたナットに締結させて、これらを固定させることができる。
また、各結合片部47a、47b、47cの板片にクリップナットのクリップ部分を挟ませて、そのナット部分が前記貫通穴48の位置に配置されるように前記クリップナットを取り付け、各結合片部47a、47b、47cの板片の隙間にビーム51を挿入させた後、前記ボルト挿通穴43aから挿入させたボルトを前記クリップナットのナット部分に締結させて固定させてもよい。
【0021】
本実施形態の道路用標示体は、ビーム状の標識部5が三方向へ突設される板体から形成されると共に、板体の一つが上方向に向けられることで、当該板体の上端部分が上方向へ尖る尖部54がなされている。
尖部54を設けることで、ビーム状の標識部5の座り心地が悪く腰掛けると痛みを伴うような印象を人に感じさせ、容易に人が座れないようにすることができる。これによって柱状の標識部1やビーム状の標識部5が撓み、ビーム状の標識部5に腰掛けた人が滑り落ちて怪我をするような問題を防止することができる。
尚、ここで言う上方向へ向かって尖る尖部54とは、人がその上に座ろうという気持ちを起こさせない程度になだらかでなければよいので、必ずしも上端を鋭い角度に形成させる必要はなく、本実施形態のように板体を上方に向けて突設させるような形状に設けてもよく、後述する図12に示すような形状に形成させてもよい。
【0022】
また、本実施形態の尖部54は押出成形によってビーム状の標識部5の全長に亘って形成されているが、これに限るものではなく、ビーム状の標識部5に部分的に形成させてもよい。しかし本実施形態のように、尖部54を全長に亘って形成させることで、尖部54を避けてビーム状の標識部5に座ろうとすることができないので好ましい。
また、本実施形態の尖部54は押出成形によってビーム51に一体的に形成させているが、これに限るものではなくビーム51と尖部54とを別部材で形成させてそれぞれを固定させてもよい。しかし、本実施形態のように尖部54をビーム51に一体的に形成させることで、道路用標示体に車両などが接触しても、ビーム51から尖部54が外れてしまうことがなく、ビーム状の標識部5への人の腰掛けを継続的に抑止できる。
【0023】
図6は本発明に係る道路用標示体のビーム状の標識部の実施の他の一形態を示す(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
本実施形態のビーム状の標識部5は、長手方向を水平方向に向けた三角筒形状に形成されたビーム51から形成されており、その外側面には反射シートが貼着された反射部53が設けられている。
また、ビーム51の両端には筒壁を貫通する挿通部52が形成されている。
この挿通部52はビーム51の一方の端部において三角筒形状を構成する三面の筒壁のそれぞれの面に1カ所づつ合計3カ所形成され、ビーム51の両方の端部でそれぞれ合計6カ所の挿通部52が形成されている。
【0024】
図7は図6のビーム状の標識部を架設させて固定させる柱状の標識部1のジョイント4付近を示す、(イ)は正面図であり、(ロ)は(イ)のA−A断面図であり、図8は図7のジョイント4付近の断面図である。
本実施形態のジョイント4の水平結合部42は、ジョイント4の外周面を形成する円筒形状の壁部43と、その内側に形成された壁部43より小さな三角筒形状の内壁部44から構成されている。内壁部44は、ジョイント4が90度の角度に曲がる曲部45の付近において、壁部43の内周面の一部が径の内側へ突出するとともに水平方向へ延設されるように突出して内壁部44が形成されている。
尚、本実施形態の道路用標示体の柱状の標識部1は、ジョイント4の下方結合部41に結合されたポール11より下方の各部材の形状、構成が、図1に示される道路用標示体と同様に形成されている。
【0025】
三角筒形状に形成された内壁部44は、その外側面が図7に示す三角筒形状のビーム51の内側面に対応した形状に形成され、それぞれ筒状に形成された壁部43と内壁部44との間には、ビーム51の端部を挿入して収納可能な環状のビーム挿入溝部46が形成されている。
また、内壁部44を構成する三面の筒壁にはこれを貫通する雄ねじ挿通穴44aがそれぞれの面に1カ所づつ合計3カ所形成されており、各雄ねじ挿通穴44aに対応する壁部43の位置にはこれを貫通するボルト挿通穴43aがそれぞれ形成されている。
前記の各雄ねじ挿通穴44a及びボルト挿通穴43aは、それぞれビーム状の標識部5に設けられた挿通部52に対応した位置に形成されている。即ち、ビーム51の端部をビーム挿入溝部46に挿入させたとき、前記雄ねじ挿通穴44aと、ボルト挿通穴43aと、挿通部52との位置がそれぞれ揃うようになされており、これらの穴部分に雄ねじを挿通させた固定ボルト9を内壁部44の内側に配置させたナットに締結させてビーム状の標識部5をジョイント4に固定可能に設けられている。
【0026】
本実施形態のジョイント4の内壁部44は、三角筒形状の一つの角部分を上方に向けて形成されており、ビーム状の標識部5のビーム51の角部分の一つを上方に向けて固定するように設けられている。このため、上方に向けられた角部分でビーム51の尖部54が形成され、ビーム状の標識部5の上に人が腰掛けることを抑止させる。
【0027】
図9は図8のジョイント4の内壁部44内にナットを設けた状態を示す断面図であり、図10は図9のジョイント4のビーム挿入溝部46にビーム51を挿入させた状態を示す断面図であり、図11は図10のジョイント4内のナットに固定ボルト9を締結させた状態を示す断面図である。
本実施形態のジョイント4にビーム状の標識部5を固定する際には、まず最初にジョイント4の内壁部44の内側にナットを取り付ける。
本実施形態のジョイント4は、クリップナット8を用いて内壁部44の内側にナットを固定させており、具体的には、図9に示すように、ナット部分が内壁部44の内側に挿入されるようにクリップナット8のクリップ部分を内壁部44に挟ませて、ナット部分の雌ねじの位置が雄ねじ挿通穴44aと揃うように取り付ける。
【0028】
次に図10に示すように、ジョイント4のビーム挿入溝部46にビーム51の端部を挿入させて、挿通部52の位置を雄ねじ挿通穴44aとボルト挿通穴43aの位置に揃える。
【0029】
最後に図11に示すように、ボルト挿通穴43aの外側から固定ボルト9を挿入させてクリップナット8のナット部分に締結させ、ジョイント4にビーム状の標識部5を固定させる。
本実施形態の道路用標示体は、クリップナット8を用いることで、ジョイント4の内部に容易にナットを取り付けて内装させることができると共に、柱状の標識部1を廃棄する場合などに、金属製のクリップナットを容易にジョイント4から取り外すことができるので、リサイクルのため分別作業が容易である。
【0030】
図12は本発明に係る道路用標示体のビーム状の標識部の実施の他の一形態を示す正面図と側面図である。
(イ)に示すビーム状の標識部5は、長手方向を水平方向に向け、上端部分から、前方斜め下方向、後方斜め下方向の2方向へそれぞれ長方形の板体を突設させた形状に設けられたビーム51から形成されており、前記各板体が一体に結合する上端の角部分を尖らせて尖部54を形成させている。
(ロ)に示すビーム状の標識部5は、長手方向を水平方向に向け、上端部分から、前方斜め下方向、後方斜め下方向の2方向へそれぞれ長方形の板体を突設させ、さらに各板体の下端から垂直下方向へ板体を延設させた形状に設けられたビーム51から形成されており、前記(イ)の実施形態と同様に、上端の角部分を尖らせて尖部54を形成させている。
(ハ)に示すビーム状の標識部5は、長手方向を水平方向に向けた四角筒形状に形成されたビーム51から形成されており、四角筒に設けられた4つの角部分の一つを上方に向けて尖部54を形成するようになされている。
(ニ)に示すビーム状の標識部5は、長手方向を水平方向に向けた六角筒形状に形成されたビーム51から形成されており、六角筒に設けられた6つの角部分の一つを上方に向けて尖部54を形成するようになされている。
(ホ)に示すビーム状の標識部5は、長手方向を水平方向に向けた長方形の板体に形成されたビーム51から形成されており、その表裏の板面を前方と後方とに向け、板体の上部分が尖部54を形成するようになされている。
前記の各実施形態のビーム状の標識部5の両端にはそれぞれの筒壁や板体を貫通する挿通部52が形成されており、各ビーム51の端部の形状に対応した結合片部47や内壁部44を備えたジョイント4に固定されて、2個立設された柱状の標識部1間に架設されるようになされている。そして各ビーム51に形成された尖部54によって、ビーム状の標識部5の上に人が腰掛けることを抑止している。
尚、ビーム状の標識部5のビーム51や尖部54は、前記の実施形態の形状に限るものではなく、図1や図12(ホ)に示すように板体を縦板状に上方へ突出させて尖部54を形成させた形状や、図6や図12(イ)〜(ニ)に示すように上方へ三角山形状に突出させた尖部54を形成させた形状に設けてもよく、人が腰掛けようとする気持ちを失わせる程度になだらかではない他の形状に尖部54を形成させて設けてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 柱状の標識部
11 ポール
12 補強用部材
13 反射部
2 ベース
21 くぼみ
4 ジョイント
41 下方結合部
42 水平結合部
43 壁部
43a ボルト挿通穴
44 内壁部
44a 雄ねじ挿通穴
45 曲部
46 ビーム挿入溝部
47 結合片部
48 貫通穴
5 ビーム状の標識部
51 ビーム
52 挿通部
53 反射部
54 尖部
8 クリップナット
9 固定ボルト
N 固定ねじ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有するポールを備えた柱状の標識部が少なくとも2個立設され、該各柱状の標識部間にビーム状の標識部が架設されている道路用標示体であって、
前記ビーム状の標識部は弾性的に曲がる可撓性を有すると共に、上方に向かって尖る尖部を備えていることを特徴とする道路用標示体。
【請求項2】
前記ビーム状の標識部が前記尖部を備えた断面形状に形成され、該尖部が前記ビーム状の標識部の長手方向に沿って全長に亘り一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の道路用標示体。
【請求項1】
車両の接触によって弾性的に曲がる可撓性を有するポールを備えた柱状の標識部が少なくとも2個立設され、該各柱状の標識部間にビーム状の標識部が架設されている道路用標示体であって、
前記ビーム状の標識部は弾性的に曲がる可撓性を有すると共に、上方に向かって尖る尖部を備えていることを特徴とする道路用標示体。
【請求項2】
前記ビーム状の標識部が前記尖部を備えた断面形状に形成され、該尖部が前記ビーム状の標識部の長手方向に沿って全長に亘り一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の道路用標示体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−236602(P2011−236602A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107808(P2010−107808)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】
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