説明

道路用防護柵及び支柱とビームパイプの接合構造並びにナット保持部材

【課題】支柱の側面にブラケット及びビームパイプがボルト接合され、各ボルト接合をブラケットの中空部内へ挿入したナット保持部材が、保持したナットにより行う道路用防護柵の支柱とビームパイプの接合構造を提供する。
【解決手段】ブラケットは、外周面と支柱1と接合する側面とを備えた管材であり、その外周面にパイプ接合用ボルト孔2aが設けられ、前記側面には支柱接合用ボルト孔2bが設けられ、ビームパイプの端部近傍には、前記ブラケットのパイプ接合用ボルト孔2aと一致する位置にボルト孔3aが設けられ、ナット保持部材4、5は、外周面と支柱1と接合する側面とを備え、ブラケットの管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、ブラケットの外周面と側面に設けられた各ボルト孔2a,2bと一致する位置にナット6,7,9を回り止め状態に保持するナット嵌め込み部を有し、同ナット嵌め込み部にナットを保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路の長手方向に沿い間隔を開けて地上に建てた支柱の側面に取り付けたブラケットを介してビームパイプがボルト接合され、同ビームパイプを支柱へ取り付けるボルト接合を、ブラケット又はビームパイプの中空部内へ挿入したナット保持部材が保持したナットを利用して行った、意匠性と景観性、更には安全性が高い道路用防護柵及び支柱とビームパイプの接合構造並びにナット保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の長手方向に沿い間隔を開けて地上に建てた支柱の側面に取り付けたブラケットを介してビームパイプが支柱と同一ライン上にボルト接合されて成る所謂「センタービーム式」の道路用防護柵の支柱とビームパイプの接合構造は、例えば図14〜図19に例示した構造が知られている。
前記センタービーム式の道路用防護柵は、道路の長手方向に沿い間隔を開けて地上に建てた支柱13(端部支柱13’も含む)の左右の両側面(片側側面も含む)にブラケット14が取り付けられ、該ブラケット14を利用してビームパイプ15が前記支柱13の両側面に一連にボルト接合して取り付けられている。
【0003】
図示例の、ブラケット14は、図16〜図19に示すように、その外径がビームパイプ15より大きく、ビームパイプ15を嵌め込み可能な下方に開口部を有する断面形状がU字とする筒部140が形成されており(図19参照)、同筒部140の左右の垂直面141、141の略中央部には一本のボルトを貫通させるパイプ接合用ボルト孔14a、14aがそれぞれ一致する配置で設けられている。支柱と接合する側面142には支柱13と同じ曲率で凹み形状に湾曲した形状とされ、その中央部には支柱13とボルト接合する支柱接合用ボルト孔14bが設けられている。
【0004】
上記構成とした2つのブラケット14、14を支柱13の両側側面にあてがい、両ブラケット14の側面142の支柱接合用ボルト孔14bと支柱13の側面に設けた貫孔13aとをそれぞれ一致させて、一方ブラケット14(右側)の支柱接合用ボルト孔14bからボルト16を差し入れ、支柱13の貫孔13aと他方のブラケット14の支柱接合用ボルト孔14bへ通し、ナット17をねじ込んで締結して左右のブラケット14、14を支柱13の左右の両側面へ取り付ける(図16参照)。
そして、左右のビームパイプ15、15を支柱13に取り付けたブラケット14、14の下方に開口する開口部から差し入れ、同ビームパイプ15に設けられたボルト貫通孔15aとブラケット14に設けられたパイプ接合用ボルト孔14a、14aとを一致させ、ブラケット14の左側面側(図18参照)から水平方向に差し入れて、前記ビームパイプ15の貫通孔15a及びブラケット14の各ボルト孔14aを貫通させたボルト18へ、ブラケット14の右側からネット19をねじ込み強く締結して、左右のビームパイプ15、15の支柱13への取付けが行われている。
【0005】
したがって、ブラケット14の両側面には、図16〜図18に示すように前記ボルト18、18の頭部及びナット19、19が露出する。更に、同ブラケット14は、ビームパイプ15の上面に載置する状態で両者が締結されているので、ビームパイプ15とブラケット14の目地部に段差20が生じてしまう。よって、通行人や車両の運転手から見た見栄えが悪いし、ブラケット側面に露出したナット19及び段差20はビームパイプ15の付近を通行する人の衣服や鞄を引っ掛ける懸念がある。
【0006】
上記端部支柱13’の片側側面に取り付けたブラケット14を介してビームパイプ15をボルト接合する構造については、上述した支柱の片側部分と略同じであるため説明することは省略するが、この構造も同様に、上記段差20が生じ、ボルト18、ナット19が露出する。前記端部支柱13’の箇所は特に、通行人が衣服や鞄を引っ掛けやすい問題点がある。
【0007】
同様に、支柱の側面にブラケットを取付け、該ブラケットを利用してビームパイプを支柱へ取り付けるセンタービーム式の道路用防護柵は、例えば特許文献1又は2にも開示されている。接合構造の概要は、ブラケットの形状が管材であること以外上記図16〜図19と略同様である。つまり、支柱の側面に取り付けたブラケットの中空部内へビームパイプを挿入して嵌め合わせるため、ブラケットとビームパイプとの目地部に段差が生じてしまう。さらに両者の接合は、ブラケットを鉛直下向きに貫通するボルトを通し、下方からナットを締結してビームパイプの接合が行われている。したがって、これらの防護柵も、ブラケットの上下面にボルト頭とナットが露出するので見栄えが悪いし、露出したナット及び段差がビームパイプの付近を通行する人の衣服や鞄を引っ掛ける懸念を払拭できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−82716号公報
【特許文献2】実開平7−6428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術として図14〜図19に例示して説明した支柱とビームパイプの接合構造、及び上記特許文献1及び2に開示された防護柵は、それぞれ個性的なブラケットを使用して、ビームパイプへの取付け、及び支柱への取付けを行っている。しかし、いずれの従来技術も、結局はブラケットとビームパイプとの目地部に段差が生じ、ブラケットの上下面に複数個のナットが露出して見栄えが悪く、ビームパイプ付近を通行する人の衣服や鞄を引っ掛ける懸念がある点では共通し、改善が求められる。
【0010】
本発明の目的は、支柱の側面に取り付けたブラケットを介してビームパイプをボルト接合するセンタービーム式の道路用防護柵におけるブラケットと支柱との接合、及びブラケットとビームパイプへの接合構造を改良し、少なくともブラケットの上面にボルト孔やナット並びに段差等の突出物を露出させない構成とし、もっては意匠性、景観性に優れ、ビームパイプに付近を通行する人の衣服や鞄を引っ掛ける虞のない道路用防護柵及び支柱とビームパイプの接合構造並びにナット保持部材を提供することにある。
本発明の次の目的は、ブラケットを支柱の側面に取り付けるボルト接合、及びビームパイプをブラケットへ取り付けるボルト接合をそれぞれ、ブラケットの端部から中空部内へ挿入したナット保持部材のナットを利用して行った道路用防護柵及び支柱とビームパイプの接合構造並びにナット保持部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る支柱とビームパイプの接合構造は、
支柱の側面にビームパイプをブラケットの中空部内へ挿入したナット保持部材が保持したナットを利用してボルト接合する支柱とビームパイプの接合構造であって、
前記支柱には、前記ブラケットをボルト接合するための貫孔が設けられており、
前記ブラケットは、外周面と支柱と接合する側面とを備えた管材であり、その外周面に前記ビームパイプとボルト接合するためのパイプ接合用ボルト孔が設けられ、前記側面には支柱とボルト接合する支柱接合用ボルト孔が設けられており、
前記ビームパイプの端部近傍には、前記ブラケットに設けたパイプ接合用ボルト孔と一致する位置にボルト孔が設けられており、
前記ナット保持部材は、外周面と側面とを備え、ブラケットの管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、ブラケットの外周面と側面に設けられた各ボルト孔と一致する位置にナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部を有し、同ナット嵌め込み部にナットを保持されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載した支柱とビームパイプの接合構造において、
ブラケットの中空部内へ挿入されるナット保持部材は、外周面にビームパイプとのボルト接合に供するナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部を有し、側面には支柱とのボルト接合に供するナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部を有しており、ブラケットのパイプ接合用ボルト孔及び支柱接合用ボルト孔と合致する位置に前記各ナット嵌め込み部が配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載した支柱とビームパイプの接合構造において
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの外径よりも若干大きく形成され、当該ナット嵌め込み部へ嵌め込まれたナットは、当該ナット嵌め込み部の中で回らない程度に緩く保持されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した支柱とビームパイプの接合構造において、
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの抜け止めを防止する係止部を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載した支柱とビームパイプの接合構造において、
ナット保持部材は、合成樹脂で形成されていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載した支柱とビームパイプの接合構造において、
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットを横向きにスライドさせて嵌め込むことが可能に開口部の一部を切り欠いたナット挿入部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一に記載した支柱とビームパイプの接合構造において、
ビームパイプとブラケットを接合するボルトはその頭部が平らに形成されており、ビームパイプの外側下部から上向き乃至斜め上向き方向に挿入してナット保持部材のナットへねじ込まれていることを特徴とする。
【0017】
請求項8に記載した発明に係る道路用防護柵は、
道路に沿い間隔をあけて地上に建てた支柱側面にブラケットがボルト接合されると共に、前記ブラケットとビームパイプとがボルト接合され、前記各ボルト接合を、ブラケットの中空部内へ挿入したナット保持部材が保持したナットにより行う道路用防護柵であって、
前記支柱には、前記ブラケットをボルト接合するための貫孔が設けられており、
前記ブラケットは、外周面と支柱と接合する側面とを備えた管材であり、その外周面に前記ビームパイプとボルト接合するためのパイプ接合用ボルト孔が設けられ、前記側面には支柱とボルト接合する支柱接合用ボルト孔が設けられており、
前記ビームパイプの端部近傍には、前記ブラケットに設けたパイプ接合用ボルト孔と一致する位置にボルト孔が設けられており、
前記ナット保持部材は、外周面と側面とを備え、ブラケットの管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、ブラケットの外周面と側面に設けられた各ボルト孔と一致する位置にナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部を有し、同ナット嵌め込み部にナットを保持されていることを特徴とする。
【0018】
請求項9記載の発明は、請求項8に記載した道路用防護柵において、
支柱の左右両側面に取り付けられるブラケットの一方のブラケットには、その端部から中空部内にナット保持部材が嵌め込まれて位置決めされ、同一方のブラケットを支柱の一側側面にあてがい、ブラケットの支柱接合用ボルト孔と支柱に設けられた貫孔とを一致させており、他方のブラケットを支柱の他側側面にあてがい、同他方のブラケットの支柱接合用ボルト孔と前記支柱の他側側面の貫孔とを一致させ、他方のブラケットの支柱接合用ボルト孔からボルトを挿入し、前記支柱の貫孔と一方のブラケットの支柱接合用ボルト孔に通し、同一方のブラケット内に位置決めされたナット保持部材の側面に保持されたナットにねじ込んで左右のブラケットが支柱の両側面に取り付けられ、他方のブラケットの中空部内に端部からナット保持部材が嵌め込まれており、
前記支柱の左右両側面へ取り付けた各ブラケットの外周に前記ビームパイプの中空部がそれぞれ挿入され、同ビームパイプに設けられたボルト孔と、各ブラケットのパイプ接合用ボルト孔とを一致させ、該ビームパイプの外側下部に位置するボルト孔から頭部を平らに形成したボルトを上向き乃至斜め上向き方向に差し入れ、ブラケット内へ位置決めされた前記ナット保持部材が保持したナットへねじ込み接合されていることを特徴とする。
【0019】
請求項10に記載した発明に係るナット保持部材は、
管材の中空部内へ挿入されるナット保持部材であって、
前記ナット保持部材は、外周面と側面とを備え、前記管材の管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、外周面と側面にはナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部を有し、
前期ナット保持部材の各ナット嵌め込み部が、前記管材の外周面と側面とに設けられた各ボルト孔と合致する配置であることを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項10に記載したナット保持部材において、
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの外径よりも若干大きく形成され、当該ナット嵌め込み部へ嵌め込まれたナットは、当該ナット嵌め込み部の中で回らない程度に緩く保持されていることを特徴とする。
【0020】
請求項12記載の発明は、請求項10又は11のいずれか一に記載したナット保持部材において、
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの抜け止めを防止する係止部を備えることを特徴とする。
【0021】
請求項13記載の発明は、請求項10〜12のいずれか一に記載したナット保持部材において、
ナット保持部材は、合成樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項14記載の発明は、請求項10〜13のいずれか一に記載したナット保持部材において、
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットを横向きにスライドさせて嵌め込むことが可能に開口部の一部を切り欠いたナット挿入部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1〜9に記載した道路用防護柵及び支柱とビームパイプの接合構造は、支柱にブラケットを接合する貫孔を設け、支柱の側面に取り付けられるブラケットは、その外周面にビームパイプとボルト接合するためのパイプ接合用ボルト孔を設け、その支柱と接合する側面には支柱とボルト接合する支柱接合用ボルト孔を設けた構造とし、前記ビームパイプは、その端部近傍に前記ブラケットに設けたパイプ接合用ボルト孔と一致する位置にボルト孔を設けた構造である。更に、前記ブラケットの中空部内へ挿入される前記ナット保持部材は、ブラケットの管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、ブラケットの外周面と側面に設けられた各ボルト孔と一致する位置にナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部を有し、同ナット嵌め込み部にナットを保持する構造である。
【0024】
そして、上記構成の支柱とビームパイプを接合して成る道路用防護柵は、下記の要領で構築される。
支柱の左右両側面に取り付けられるブラケットの一方のブラケットには、端部から中空部内にナット保持部材が嵌め込まれて位置決めされ、同一方のブラケットを支柱の一側側面に当てがい、ブラケットの支柱接合用ボルト孔と支柱の貫孔とを一致させる。支柱の他側側面に他方のブラケットをあてがい、他方のブラケットの支柱接合用ボルト孔と支柱の貫孔とを一致させた状態で、他方のブラケットの支柱接合用ボルト孔からボルトを挿入し、支柱の貫孔と一方のブラケットの支柱接合用ボルト孔に通し、同一方のブラケット内に位置決めされたナット保持部材のナットにねじ込んで支柱へ接合する。この段階において、左右のブラケットを支柱に取り付けるボルトは完全にブラケット内へ収納され外側から隠れて見えない状態である。
【0025】
次に、ビームパイプをブラケットへ取り付けるボルト接合は、前記支柱の左右両側面へ取り付けた両ブラケットの外周に左右のビームパイプの中空部内をそれぞれ挿入し、同ビームパイプに設けたボルト孔と、各ブラケットのパイプ接合用ボルト孔とを一致させ、他方のブラケットの支柱接合用ボルト孔からボルトを挿入し、前記支柱の貫孔と一方のブラケットの支柱接合用ボルト孔に通し、ブラケット内へ位置決めされた前記ナット保持部材が保持したナットへねじ込み締結して行える。また、ビームパイプをブラケットへ取り付けるボルトはその頭頂部が平らに形成されており、同ボルトは車道の外寄り下面側から上向きにねじ込まれてブラケットの上下面に突き出ない構成である。
【0026】
上記構成としたので、ブラケットがビームパイプの中空部内へ完全に収納されて前記ビームパイプとブラケットの目地部に段差が生じることがなくフラットなビームパイプが一連に連結できるし、歩道の外側から見ても、車道側から見ても、ボルトの頭やナットの露出が極力少なくなって、視界に入りにくく、見た目の意匠性、及び景観性に優れる。のみならず、ビームパイプの上面側に通行人が当たって負傷しやすい突起物を可及的に排除した構成であるので、ビームパイプに接触した人の衣服や鞄を引掛ける心配が無く安全性の高い支柱とビームパイプの接合構造及び道路用防護柵を実現できる。
【0027】
請求項10〜14に記載した発明は、ブラケットを支柱に取り付けるボルト接合、ビームパイプをブラケットに取り付けるボルト接合に用いられるナット保持部材であり、同ナット保持部材は、ブラケットなどの管材の管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状であるので、同ナット保持部材のナットをブラケットの支柱接合用ボルト孔の位置を一致させる位置決め操作が容易である。しかもナット保持部材のナットは回り止め状態に保持され、同ナットの脱落を防止する係止部をも備えているので、ビームパイプのボルト孔から挿入したボルトを、ナット保持部材のナットへねじ込み接合する作業を容易に迅速に行え、道路用防護柵の構築作業を短期間で高品質に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明が実施される支柱にビームパイプが取り付けて成る道路用防護柵を示した立面図である。
【図2】図1のII−II矢視の拡大した平面図である。
【図3】図2のIII−III矢視断面図である。
【図4】図3のIV−IV矢視の拡大した側面図である。
【図5】本発明による道路用防護柵を構成する支柱とビームパイプ及びブラケット並びにナット保持部材を分解して関係配置に示した説明用の斜視図である。
【図6】ナット保持部材の詳しい斜視図である。
【図7】ナット保持部材の平面図である。
【図8】図7のV−V矢視断面図である。
【図9】他のナット保持部材の詳しい斜視図である。
【図10】図9のナット保持部材の平面図である。
【図11】図10のVI−VI矢視断面図である。
【図12】図9のナット保持部材の異なる形態を示す斜視図である。
【図13】実施例2に示す道路用防護柵を構成する端部支柱とビームパイプ及びブラケット並びにナット保持部材を分解して関係配置に示した説明用の斜視図である。
【図14】従来の道路用防護柵を例示した立面図である。
【図15】図14の側面図である。
【図16】図14のVII−VII矢視の拡大した平面図である。
【図17】図14の支柱部分を拡大した正面図である。
【図18】図15の拡大側面図である。
【図19】従来のブラケットの構成を示す参考斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
支柱1の側面にビームパイプ3をブラケット2の中空部内へ挿入したナット保持部材4、5が保持したナット6、9を利用してボルト接合する支柱とビームパイプの接合構造として実施する。
前記支柱1には、前記ブラケット2をボルト接合するための貫孔1aが設けられている。
前記ブラケット2には、外周面と支柱と接合する側面とを備えた管材であり、その外周面に前記ビームパイプ3とボルト接合するためのパイプ接合用ボルト孔2aが設けられ、その側面には支柱とボルト接合する支柱接合用ボルト孔2bが設けられている。
前記ビームパイプ3の端部近傍には、前記ブラケット2に設けたパイプ接合用ボルト孔2aと一致する位置にボルト孔3aが設けられている。
前記ナット保持部材4、5は、外周面と側面とを備え、ブラケット2の管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、ブラケット2の外周面と側面に設けられたパイプ接合用ボルト孔2a及び支柱接続用ボルト孔2bと一致する位置にナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部41、42、51を有し、同ナット嵌め込み部41、42、51にナット6、7、9を保持している。
なお、上記でいう「移動が制限される」とは、ブラケット2の管軸に直交する各方向への移動が制限されることであるが、ブラケット2の中空部内へ納める挿入に必要なガタつきは許容される意味である。
【0030】
上記構成の支柱とビームパイプを接合して成る道路用防護柵は、
前記一方のブラケット2Rには、その端部から中空部内にナット保持部材4が嵌め込まれて位置決めされており、同一方のブラケット2Rを支柱1の一側側面にあてがい、ブラケット2Rの支柱接合用ボルト孔2bと支柱1に設けられた貫孔1aとを一致させ、他方のブラケット2Lを支柱1の他側側面にあてがい、同ブラケット2Lの支柱接合用ボルト孔2bと前記支柱1の他側側面の貫孔1aとを一致させ、他方のブラケット2Lの支柱接続用ボルト孔2bからボルト8を挿入し、前記支柱1の貫孔1aと一方のブラケット2Rの支柱接続用ボルト孔2bに通し、同一方のブラケット2に位置決めされたナット保持部材4のナット7にねじ込んでブラケット2R、2Lが支柱1の両側面に取り付けられる。そして、他方のブラケット2Lの中空部内には、その端部からナット保持部材5が嵌め込まれる。
【0031】
前記支柱1の両側面に取り付けたブラケット2R、2Lの外周に前記ビームパイプ3R、3Lの中空部をそれぞれ挿入し、同ビームパイプ3R、3Lに設けられたボルト孔3a,3aと、各ブラケット2R、2Lのパイプ接合用ボルト孔2a、2aとを一致させ、該ビームパイプ3R、3Lの外側下部に位置するボルト孔3aから頭部を平らに形成したボルト10を上向き乃至斜め上向き方向に差し入れ、ブラケット2R、2L内へ位置決めされた前記ナット保持部材4、5が保持したナット6、9へねじ込み接合して構築される。
【0032】
支柱の一側側面に取り付けられる一方のブラケット2Rの中空部内へ挿入されるナット保持部材4は、外周面部にビームパイプ3とのボルト接合に供するナット6を回り止め状態に保持するナット嵌め込み部41を有し、側面には支柱1とのボルト接合に供するナット7を回り止め状態に保持するナット嵌め込み部42を有しており、前記各ナット嵌め込み部41、42にナット6、7を保持した構成とする。
【0033】
また、多方のブラケット2Lの中空部内へ挿入されるナット保持部材5は、短尺形状とされ、外周面部にのみビームパイプ3とのボルト接合に供するナット9を回り止め状態に保持するナット嵌め込み部51を有しており、前記ナット嵌め込み部51にナット9を保持した構成とする。
各ナット保持部材4、5は、合成樹脂で形成することが望ましい。
【実施例1】
【0034】
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
本発明の道路用防護柵は、図1〜図5に示したとおり、道路に沿って長手方向に間隔を開けて地上に建てた支柱1の側面に取り付けたブラケット2を介してビームパイプ3がボルト接合され支柱1へ取り付ける所謂センタービーム式の構成である。
本実施例では特に、ビームパイプ3の長さの中間部に位置する中間支柱1(以下、単に支柱1と云う)の両側面に左右のブラケット2R、2Lを取付け、同左右のブラケット2R、2Lへ左右のビームパイプ3R、3Lを取り付けるボルト接合構造に好適に実施される。
【0035】
本発明の接合構造として、前記支柱1には、図5に示すとおり、ブラケットを接合するための貫孔1aが設けられている。
この支柱1の両側面に取り付けられるブラケット2R、2Lの構成は、図2〜図5に示したとおり、円筒形状の管材であり、ビームパイプ3より小径とされ、長さは70mm程度である。その外周面にはビームパイプ3とのボルト接合に供するパイプ接合用ボルト孔2aが設けられている。支柱1の一側面と接続する側面の中央位置には、支柱1とボルト接合に供する支柱接合用ボルト孔2bが設けられており、その形状は支柱1と同じ曲率で内側へ円弧状に湾曲して同支柱1と密接に当接可能に形成されている。
【0036】
前記支柱1の左右の両側面に上記ブラケット2R、2Lを介し、同支柱1を挟んで同一ライン上に取り付けられるビームパイプ3R、3Lには、その端部近傍の位置であって、上記ブラケット2のパイプ接合用ボルト孔2aと一致する位置にボルト孔3aが設けられている。因みに上記ブラケット2のパイプ接合用ボルト孔2aとビームパイプ3のボルト孔3aとは図4、図5に示すように、支柱1へ取り付けた際に各ボルト孔が下側にくる配置に設けられている。
【0037】
次に、ブラケット2の中空部内へ嵌め込まれるナット保持部材4、5の構成及び接合構造について説明する。
本実施例で使用するナット保持部材4、5は2種類ある。
先ず、図5に示した支柱1の右側側面に取り付けられるブラケット2Rの中空部内へ挿入するナット保持部材4の構成を図6〜図8に基づいて説明する。
ナット保持部材4は、その外周形状がブラケット2の中空部内へ密接に嵌め込むことができる外径の中実棒状体に形成されて、ブラケット2の管軸に対して直交する各方向への移動が制限されている。具体的にはビームパイプの内周面へ接触した形状を示しているが、抜け落ちない程度のガタを有する形状であっても良い。
このナット保持部材4は、外周面と側面とを備えた構造である。前記外周面部には、上記ブラケット2のパイプ接合用ボルト孔2aと一致する位置に、ナット6を回り止め状態に拘束するナット嵌め込み部41が直径線方向への貫通孔として、且つ、ナット6を回り止め状態に拘束する六角孔形状に形成されている。また、支柱1と接合する側面部には上記ブラケット2の支柱接合用ボルト孔2bと一致する位置にナット7を回り止め状態に拘束するナット嵌め込み部42が軸線方向への貫通孔として、六角孔形状に形成されている。このナット嵌め込み部41、42を貫通形態に設けた理由は、成形部材40の使用材料量を減量化し、軽量化する肉盗みにより、製造原価を引き下げるためである。また、使用するナットが六角形以外の多角形状であれば、ナット嵌め込み部の形状も同様の形状に対応した形状とする。
【0038】
このナット嵌め込み部41、42には、外周面から一定の深さ位置にナット6、7の受け座41a、42aが垂直な段部形状に設けられている。したがって、前記ナット嵌め込み部41、42へ挿入したナット6、7は、前記受け座41a、42a上に底面が座って、ボルト接合時に供回りをしない回り止め状態に支持される。前記回り止めの手段として、ナット嵌め込み部41、42の六角孔は、ナット6、7よりは少し大径で、回り止め状態に保持するに足りる大きさに形成されている。その故にまた、受け座41a、42a上に底面が座ったナット6、7は、六角孔との隙間の範囲で多少ぐらつく余裕をもって保持される。前記ナット嵌め込み部41、42には、同ナット嵌め込み部41、42内へ挿入されたナット6、7が不用意に浮上して抜け外れる不都合を防ぐため、ナット保持部材4には、ナット6、7の上面を押さえる係止部41b、42bが、次のように設けられている。
【0039】
要するに係止部41b、42bは、図6、図7に示すとおり、ナット嵌め込み部41、42の開口面と略同じ高さ位置で六角形の一つの辺の中央部位に、成形部材40の構成材料を弾性変形可能な形状に成形した構成で設けられている。つまり、ナット6、7は、ナット嵌め込み部41、42の弾性変形可能な形状の係止部41a、42aを押しのけてナット嵌め込み部41、42の中へ挿入されると、直ちに係止部41a、42aが働いて止め、ナット6、7が不用意に浮上したり抜け外れることを防止する。しかし、この係止部41a、42aを少し押しのけることにより、用済みのナット6、7は簡単に抜き外して回収できる構成である。
要するに、上記ナット保持部材4は、その管軸方向と周方向に、ブラケット2に予め設けられたパイプ接合用ボルト孔2aと支柱接合用ボルト孔2b(図5)の配置と対応する配置でナット6、7をしっかりと保持できる長さと外径の成形部材40を主体として構成されている。
【0040】
次に、図5の支柱1の左側側面に取り付けられるブラケット2Lの中空部内へ挿入するナット保持部材5の構成を図9〜図11に基づいて説明する。
ナット保持部材5の構成は、上述したナット保持部材4と略同様の構成であり、以下に相違点のみ説明する。
即ち、上記ナット保持部材4よりも短尺形状に形成されている。これは図2、図3に示すとおり、後述するが支柱1と左右のブラケット2R、2Lを取り付けるボルト8の頭部8aが接触しない長さ範囲とされるからである。
その外周面部には、上記ブラケット2Lのパイプ接合用ボルト孔2aと一致する位置に、ナット9を回り止め状態に拘束するナット嵌め込み部51が直径線方向への貫通孔として、且つ、ナット9を回り止め状態に拘束する六角孔形状に形成されている。このナット保持部材5は、支柱1との接合には使用しないため側面部にナット嵌め込み部は設けられていない。図示例では外周面部にナット嵌め込み部51が一カ所のみ設けられているが、この限りではなく、適宜複数個設けて使用できる。
また、受け座51a、係止部51bも上記ナット保持部材4と同様の位置と構成で設けた外径の成形部材50を主体として構成されている点も同様である。
ナット保持部材5の肉盗み例を図12に示した。なお、上記ナット保持部材4についてもナット保持部材5と同様に適宜肉盗みを行う。つまり、ブラケットなどの管材の管軸に直交する各方向への移動を制限する形状であればどのように肉盗みしても良い。よって、ナット保持部材4及びナット保持部材5の形状は、適宜行われる肉盗みによって様々な形状が考えられるため一様に定まらない。
【0041】
本実施例の成形部材40、50は、大量生産に適して安価に軽く製造でき、取り扱いが容易であるように、熱硬化性又は熱可塑性の合成樹脂、例えばフェノール樹脂やエポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等々を使用して成形することができる。また、低・中発泡ないし高発泡のポリスチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等で成形して実施することも好適である。非発泡の合成樹脂製として実施することもできるし、木製や金属製として製作し実施することもできる。
ナット保持部材4、5の形状はこの限りではなく、図示することは省略したがナット嵌め込み部41、42、51は、ナット6、7、9を横向きにスライドさせて嵌め込むことが可能に開口部の一部を切り欠いたナット挿入部を形成して実施することも好適に実施される。
【0042】
次に、上記構成とされた各ナット嵌め込み部41、42、51にナット6、7、9を保持したナット保持部材4、5を用いて支柱1の両側側面にブラケット2R、2Lをボルト接合して構築する道路用防護柵を図2〜図5に基づいて説明する。
特に図5に示すように、先ず、支柱1の右側側面に取り付けるブラケット2Rの中空部内には、上記ナット保持部材4が挿入され、ブラケット2Rのパイプ接合用ボルト孔2aとナット保持部材4のナット嵌め込み部41に保持されたナット6の位置、及びブラケット2Rの支柱接合用ボルト孔2bとナット保持部材4のナット嵌め込み部42に保持されたナット7の位置とをそれぞれ一致させて位置決めが行われている。
上記ナット保持部材4を位置決めしたブラケット2Rを支柱1の右側側面にあてがい、同ブラケット2Rの支柱接合用ボルト孔2bと支柱1の貫孔1aとを一致させる。
【0043】
前記支柱1の左側側面に左側のブラケット2Lをあてがい、ブラケット2Lの支柱接合用ボルト孔2bと支柱1の貫孔1aとを一致させ、同ブラケット2Lの支柱接合用ボルト孔2bからボルト8を挿入して、前記支柱1の貫孔1aとブラケット2Rの支柱接合用ボルト孔2bに通し、同ブラケット2Rの中空部内へ挿入されたナット保持部材4に保持されたナット7にねじ込み接合して、支柱1の左右の両側面にブラケット2R、2Lを取り付ける。
その後、左側ブラケット2Lの中空部内へ、外周面にのみナット嵌め込み部を設けた短尺形状のナット保持部材5を挿入し、ブラケット2Lのパイプ接合用ボルト孔2aとナット嵌め込み部51に保持されたナット9の位置とを一致させて位置決めして嵌め込まれている。
【0044】
上記のように支柱1の左右の両側面に取り付けられたブラケット2R、2Lの外周が、上記左右のビームパイプ3R、3Lの中空部に収まるようにそれぞれ挿入され、ブラケット2R、2Lの各パイプ接合用ボルト孔2a、2aとビームパイプ3R、3Lの各ボルト孔3a、3aとがそれぞれ一致するように位置決めされる。この構成は要するにブラケット2R、2Lがビームパイプ3R、3Lの中空部内へ完全に収納されるので、前記ビームパイプ3とブラケット2の目地部に段差などの突起物が生じることが一切無くフラットなビームパイプ3を一連に連結でき、視覚的にシンプルでスマートな意匠感を実現できる利点がある。因みに、このとき、全てのボルト孔はビームパイプ3の下方にくる配置とされている。
上記のように配置した状態でビームパイプ3R、3Lの外側下部に位置するボルト孔3a、3aからボルト10、10を上向き方向に差し入れ、ブラケット2R、2Lの中空部内へ予め位置決めしたナット保持部材4、5が保持するナット6、9へねじ込み接合して、支柱1の左右の両側面へビームパイプ3R、3Lを同一ライン上に接合してセンタービーム式の道路用防護柵を完成させる。
【0045】
上記ボルト10は、その頭頂部が平らで頭部が薄く形成されており、車道の外寄り下面側から上向き方向にねじ込まれている(図3及び図4参照)。したがって、歩道の外側から見ても、車道側から見ても、ボルト10の頭やナットの露出が極力少なくなって、視界に入りにくく、見た目の意匠性、及び景観性に優れる。のみならず、ビームパイプ3R、3Lの上面側及び側面側の突起物を可及的に排除した構成であるので、ビームパイプ3に接触した人の衣服や鞄を引掛ける心配が無く安全性の高い道路用防護柵を実現できる。
【実施例2】
【0046】
本発明は実施例1に示す、道路用防護柵の中央箇所に位置する中央支柱1において、その左右の両側面にブラケット2R、2L及びビームパイプ3R、3Lをボルト接合する接合構造に限らず、図1に示した道路用防護柵の端部に立設される端部支柱1’の片側側面にブラケット2が取り付けられ一方からのビームパイプ3をボルト接合する場合においても、略同様の技術的思想に基づいて実施することができる。
本実施例2は、要するに実施例1で説明した、図5の右側の構成と略同様であり、その具体的な構成を、図13に基づいて説明する。
ここで使用するナット保持部材4は、図6〜図8に示したものと同様の構成のものであるため、ナット保持部材4の説明は省略する。
【0047】
つまり、外周面部と側面とにナット6、7を回り止め状態に保持するナット嵌め込み部41、42を有するナット保持部材4を、上記ブラケット2の中空部内へ挿入し、ブラケット2のパイプ接合用ボルト孔2aとナット嵌め込み部41に保持したナット6の位置、及びブラケットの支柱接合用ボルト孔2bとナット嵌め込み部42に保持したナット7の位置とをそれぞれ一致させて位置決めを行う。
上記ナット保持部材4を位置決めしたブラケット2を、端部支柱1’の片側側面にあてがい、ブラケット2に設けた前記支柱接合用ボルト孔2bと端部支柱1’の貫孔1a’とを一致させ、同端部支柱1’の他側側面の貫孔1a’から前記ブラケット2の支柱接合用ボルト孔2bへ向かってボルト8’を通し、ブラケット2の中空部内へ挿入した前記ナット保持部材4に保持されたナット7にねじ込んで締結することにより、端部支柱1’の片側側面にブラケット2を取付けている。
上記ボルト8’は、その頭部を平らに形成したボルトを使用しているため、通行人が接触して鞄等に引っ掛ける虞を最小限にできる。
【0048】
上記のように端部支柱1’に取り付けられたブラケット2は、その外周に一方から伸びるビームパイプ3の中空部が挿入され、ビームパイプ3のボルト孔3aとブラケット2のパイプ接合用ボルト孔2aとを一致させ、該ビームパイプ3の外側下部に位置するボルト孔3aから頭部を平らに形成したボルト10’を上向き方向に差し入れ、ブラケット2の中空部内へ予め挿入したナット保持部材4が保持するナット6へねじ込み締結して、センタービーム式の道路用防護柵の構築が行われる。したがって、支柱端部1’においてもビームパイプ3の上面側の突起物を可及的に排除し、ビームパイプ3に接触した人の衣服や鞄を引掛ける心配が無く、長さ方向の全体にわたって安全性の高い道路用防護柵を実現できる。
【0049】
つまり、本発明は上記実施例1及び実施例2に記載したように、ブラケット2の中空部内へナット保持部材4(5)を挿入し、ブラケット2の外周にビームパイプ3の中空部を挿入してナット保持部材4(5)に保持したナット6(9)を利用してボルト接合する構成により、道路用防護柵の全体にわたってシンプルでスマートな意匠感の道路用防護柵を提供することができる。
【0050】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施例の構成に限定されない。その目的と要旨を逸脱しない範囲において、当業者が必要に応じて行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のため言及する。例えば本実施例ではビームパイプの中空部内にナット保持部材を嵌め込んだブラケットを挿入する場合を示したが、逆にブラケットの中空部内へナット保持部材を嵌め込んだビームパイプを挿入して実施することも可能である。この場合においても、ナットがビームパイプの外周面に突出することがないため通行人の衣服や鞄に引っ掛ける虞がなく安全であることや、ナット保持部材を利用するので支柱とブラケットのボルト接合及びブラケットビームパイプとブラケットのボルト接合が容易に迅速に行える効果を奏する。
【符号の説明】
【0051】
1 中間支柱(端部支柱)
1a 貫孔
2(2R、2L)ブラケット
2a パイプ接合用ボルト孔
2b 支柱接合用ボルト孔
3(3R、3L)ビームパイプ
3a ボルト孔
4 ナット保持部材
41、42 嵌め込み部
41a、42a 受け座
41b、42b 係止部
5 ナット保持部材
51 嵌め込み部
51a 受け座
51b 係止部
6、7、9 ナット
8、10 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱の側面にビームパイプをブラケットの中空部内へ挿入したナット保持部材が保持したナットを利用してボルト接合する支柱とビームパイプの接合構造であって、
前記支柱には、前記ブラケットをボルト接合するための貫孔が設けられており、
前記ブラケットは、外周面と支柱と接合する側面とを備えた管材であり、その外周面に前記ビームパイプとボルト接合するためのパイプ接合用ボルト孔が設けられ、前記側面には支柱とボルト接合する支柱接合用ボルト孔が設けられており、
前記ビームパイプの端部近傍には、前記ブラケットに設けたパイプ接合用ボルト孔と一致する位置にボルト孔が設けられており、
前記ナット保持部材は、外周面と側面とを備え、ブラケットの管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、ブラケットの外周面と側面に設けられた各ボルト孔と一致する位置にナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部を有し、同ナット嵌め込み部にナットを保持されていることを特徴とする、支柱とビームパイプの接合構造。
【請求項2】
ブラケットの中空部内へ挿入されるナット保持部材は、外周面にビームパイプとのボルト接合に供するナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部を有し、側面には支柱とのボルト接合に供するナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部を有しており、ブラケットのパイプ接合用ボルト孔及び支柱接合用ボルト孔と合致する位置に前記各ナット嵌め込み部が配置されることを特徴とする、請求項1に記載した支柱とビームパイプの接合構造。
【請求項3】
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの外径よりも若干大きく形成され、当該ナット嵌め込み部へ嵌め込まれたナットは、当該ナット嵌め込み部の中で回らない程度に緩く保持されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した支柱とビームパイプの接合構造。
【請求項4】
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの抜け止めを防止する係止部を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した支柱とビームパイプの接合構造。
【請求項5】
ナット保持部材は、合成樹脂で形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した支柱とビームパイプの接合構造。
【請求項6】
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットを横向きにスライドさせて嵌め込むことが可能に開口部の一部を切り欠いたナット挿入部が形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載した支柱とビームパイプの接合構造。
【請求項7】
ビームパイプとブラケットを接合するボルトはその頭部が平らに形成されており、ビームパイプの外側下部から上向き乃至斜め上向き方向に挿入してナット保持部材のナットへねじ込まれていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載した支柱とビームパイプの接合構造。
【請求項8】
道路に沿い間隔をあけて地上に建てた支柱側面にブラケットがボルト接合されると共に、前記ブラケットとビームパイプとがボルト接合され、前記各ボルト接合を、ブラケットの中空部内へ挿入したナット保持部材が保持したナットにより行う道路用防護柵であって、
前記支柱には、前記ブラケットをボルト接合するための貫孔が設けられており、
前記ブラケットは、外周面と支柱と接合する側面とを備えた管材であり、その外周面に前記ビームパイプとボルト接合するためのパイプ接合用ボルト孔が設けられ、前記側面には支柱とボルト接合する支柱接合用ボルト孔が設けられており、
前記ビームパイプの端部近傍には、前記ブラケットに設けたパイプ接合用ボルト孔と一致する位置にボルト孔が設けられており、
前記ナット保持部材は、外周面と側面とを備え、ブラケットの管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、ブラケットの外周面と側面に設けられた各ボルト孔と一致する位置にナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部を有し、同ナット嵌め込み部にナットを保持されていることを特徴とする、道路用防護柵。
【請求項9】
支柱の左右両側面に取り付けられるブラケットの一方のブラケットには、その端部から中空部内にナット保持部材が嵌め込まれて位置決めされ、同一方のブラケットを支柱の一側側面にあてがい、ブラケットの支柱接合用ボルト孔と支柱に設けられた貫孔とを一致させており、他方のブラケットを支柱の他側側面にあてがい、同他方のブラケットの支柱接合用ボルト孔と前記支柱の他側側面の貫孔とを一致させ、他方のブラケットの支柱接合用ボルト孔からボルトを挿入し、前記支柱の貫孔と一方のブラケットの支柱接合用ボルト孔に通し、同一方のブラケット内に位置決めされたナット保持部材の側面に保持されたナットにねじ込んで左右のブラケットが支柱の両側面に取り付けられ、他方のブラケットの中空部内に端部からナット保持部材が嵌め込まれており、
前記支柱の左右両側面へ取り付けた各ブラケットの外周に前記ビームパイプの中空部がそれぞれ挿入され、同ビームパイプに設けられたボルト孔と、各ブラケットのパイプ接合用ボルト孔とを一致させ、該ビームパイプの外側下部に位置するボルト孔から頭部を平らに形成したボルトを上向き乃至斜め上向き方向に差し入れ、ブラケット内へ位置決めされた前記ナット保持部材が保持したナットへねじ込み接合されていることを特徴とする、請求項8に記載した道路用防護柵。
【請求項10】
管材の中空部内へ挿入されるナット保持部材であって、
前記ナット保持部材は、外周面と側面とを備え、前記管材の管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、外周面と側面にはナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部を有し、
前期ナット保持部材の各ナット嵌め込み部が、前記管材の外周面と側面とに設けられた各ボルト孔と合致する配置であることを特徴とする、ナット保持部材。
【請求項11】
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの外径よりも若干大きく形成され、当該ナット嵌め込み部へ嵌め込まれたナットは、当該ナット嵌め込み部の中で回らない程度に緩く保持されていることを特徴とする、請求項10に記載したナット保持部材。
【請求項12】
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの抜け止めを防止する係止部を備えることを特徴とする、請求項10又は11のいずれか一に記載したナット保持部材。
【請求項13】
ナット保持部材は、合成樹脂で形成されていることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一に記載したナット保持部材。
【請求項14】
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットを横向きにスライドさせて嵌め込むことが可能に開口部の一部を切り欠いたナット挿入部が形成されていることを特徴とする、請求項10〜13のいずれか一に記載したナット保持部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−52379(P2011−52379A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199512(P2009−199512)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】