説明

遠心分離フィルタ

特には生体分子である液体サンプルを濃縮するために好適なろ過装置及び、液体サンプルを濃縮、脱塩、精製及びまたは分流する方法が提供される。ある実施例ではろ過装置が、サンプルリザーバを有するハウジングと、ハウジング内に配置した実質的に垂直方向の離間した2つの膜とを含む。各膜を通過する流体を通過させてろ液収集チャンバに流入させるアンダドレンが各膜に構成上関連付けられる。膜を通過しない流体は保持液収集チャンバに収集され、逆旋回により回収され得、約90%以上の回収率が達成される。実質的に垂直方向の膜が、入手可能な膜面積を、従来のろ過装置を使用して入手し得るそれの少なくとも2.7倍に増大する。更に、2つのパネルを含む形態により、パネルが1枚の形態における最終使用ステージで入手され得る以上の有効膜面積が維持され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件出願は2007年9月24日付で提出され、ここに引用することにより本明細書の一部とする米国特許出願第11/903,577号の優先権を主張するものである。
本発明は、濃縮、脱塩、精製、分留目的での、抗体酵素、核酸、タンパク質の如き生物学的タンパク質の分離に使用し得る遠心フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
濃縮、脱塩、精製、分留目的での、抗体酵素、核酸、タンパク質の如き生物学的タンパク質の分離に使用し得る遠心フィルタは、最も一般的には、固定アングルローター型またはスウィングローターあるいは可変ローター型の遠心分離機で使用される。ろ過プロセス速度や保持液としてのサンプルの回収速度は顧客の関心度が高い。保持液サンプルの回収速度を85%以上とするには、通常、膜カプセル(サンプルホルダ)を取り外し、取り外した膜カプセルをレシーバチューブ内で逆旋回させる。
【0003】
遠心フィルタは代表的には尿、漿液、血漿、脳脊髄液、を濃縮する際に使用される。例えば、尿中の特定タンパク質の測定値は色々な病状の診断及び管理上重要であり得るが、当該タンパク質の尿中含有量はタンパク質を濃縮しないと検出し得ない程少ない場合がある。従来の遠心フィルタは一般に、サンプルリザーバを有するハウジングと、駆動力(遠心力の如き)を受けたサンプルを必ずフィルタに通過させるようハウジング内にシールしたフィルタと、濃縮したサンプルの収集チャンバとを含む。
【0004】
市販入手可能な遠心フィルタの幾つかの例には、ミリポア社から入手可能なMicrocon(商標名)タイプ、即ち、膜を円形にダイカットし、位置決めし、シリコーンガスケットで然るべくクランプしたタイプの装置が含まれる。Ultrafree(商標名)タイプ、即ち、膜を矩形にダイカットし、位置決めし、然るべく接着させたタイプの装置も市販入手可能である。このタイプでは、アンダドレンスリーブを然るべく嵌装させて膜を然るべく固定する。しかしながら、スリーブはニットライン位置に生じる応力を原因とするクラック及びリークを生じ得る。
【0005】
その他の装置例には、米国特許第5,647,990号に開示されるものがある。当該米国特許の遠心フィルタではフィルタがろ過チャンバ側壁に配置され、ろ過チャンバの底壁には濃縮ポケットが配置される。遠心力が付加されることにより生じる力のベクトルがサンプル内の高分子に作用し且つフィルタ表面をスウィーピングし、かくして高分子をフィルタ表面から遠い側の濃縮ポケット内に収集させる。
【0006】
尚その他の装置例には、米国特許第4,722,792号に例示されるものがある。当該米国特許の遠心フィルタでは、フィルタフィルムがサンプルチャンバとフィルタチャンバとの間でフィルタの軸に対して傾斜または平行配置され、かくして、固定アングルロータータイプまたはスウィングロータータイプの遠心装置での使用に拘わらず、フィルタは運転中は遠心力に対して傾斜または平行に位置決めされ、かくして閉塞が低減される。
しかしながら、従来装置では回収及びろ過の速度が所望される以下である、あるいは高価である等を含む種々の欠点がある。回収性が改善され、ろ過時間が短い、競争価格の遠心ろ過装置の如きろ過装置が提供されることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第11/903,577号
【特許文献2】米国特許第5,647,990号
【特許文献3】米国特許第4,722,792号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
回収性が改善され、ろ過時間が短く、競争価格を持つ遠心ろ過装置の如きろ過装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、従来技術の問題を解決する、特に生体分子であるサンプル液体の濃縮に特に適したろ過装置と、サンプル液体の濃縮、脱塩、精製及びまたは分別法とが提供される。詳しくは、ある実施例では本ろ過装置には、サンプルリザーバを有するハウジングと、ハウジング内に実質的に垂直に離間配置した2枚の膜と、が含まれる。各膜には、各膜を貫いた流体を通過させてろ液収集チャンバに収集させるアンダドレンが取り付けられる。膜不通過流体は保持液収集チャンバに収集された後、逆旋回ステップの如きにより回収され得、約90%を上回る回収率が実現される。膜を実質的に垂直に配向することで有効膜面積は従来のMICROCON(商標名)フィルタ装置を使用した場合に可能なそれの少なくとも2.7倍に増大する。2枚パネル構造もまた、ろ過の最終ステージ中に使用される有効膜面積を1枚パネル構造の場合のそれより大きく維持する。有効膜面積は、サンプルの保持液濃縮度が上昇し、膜面及び膜内の汚損度が高まり、液面が低下する最終ろ過ステージ中において最も必要とされる。装置のハウジングは、低コスト材料製で、特定タンパク質結合特性が小さく且つ使い捨て性のものであることが好ましい。
【0010】
当該タイプのろ過装置は代表的には以下の態様で使用される。
1.ろ過装置を容器に挿通してアセンブリとする。
2.膜にピペット先端を接触させずに溶液をピペットでろ過装置内に注入する(例えば最大容量で0.5ml)。
3.適合する遠心分離機内にアセンブリを配置し、類似装置でローターを平衡化させる。
4.適正旋回時間及び旋回速度に関する供給者の“遠心分離ガイドライン”に従い装置を旋回させる。
5.遠心分離機からアセンブリを取り外し、容器からろ過装置を分離させる。
6.分離したろ過装置を、保持液がこぼれない状態として別の容器内に反転配置し、次いで当該アセンブリを1000×G(または短時間のパルス付加)で、例えば3分間旋回させる。
7.遠心分離機からアセンブリを取り外し、容器からろ過装置を分離させ、容器にシールキャップをパチンと嵌め、製品を爾後使用のための信頼し得る様式下に保管する。
当該プロセス全体を流れダイヤグラム図で示すと以下の如くである。

ある実施例では容器の如きろ過装置が提供され、ろ過装置(サンプルホルダ)が、当該ろ過装置内でサンプル濃縮用の1方向に位置決めされ得、また、ろ過装置内でサンプル回収用の他方向(逆方向)に位置決めされ得る。
【発明の効果】
【0011】
回収性が改善され、ろ過時間が短い、競争価格の遠心ろ過装置の如きろ過装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の1実施例に従うろ過装置の垂直状態での側方断面図である。
【図2】図2は、本発明の1実施例に従うろ過装置の傾斜状態での正面方向断面図である。
【図3】図3は、本発明の1実施例に従うろ過装置の分解斜視図である。
【図4】図4は、本発明の1実施例に従うろ過装置のサイドパネルの内側表面の拡大図である。
【図5】図5は、図4のサイドパネルの外側表面の拡大図である。
【図6】図6は、本発明の1実施例に従うろ過装置の側壁の垂直状態での断面図である。
【図7】図7は、本発明の1実施例に従うろ過装置の垂直状態での断面図である。
【図8】図8は、保持液及びろ液を最大容量において保持したろ過装置を旋回モード時における傾斜状態で示す断面図である。
【図9】図9は、ろ過装置を収納するろ過装置の本発明の1実施例に従う逆旋回モード時における傾斜状態で示す断面図である。
【図10】図10は、成形プロセス中におけるろ過装置の位置を示す略ダイヤグラム図である。
【図11】図11は、本発明の1実施例に従う、テクスチャ付きのアンダドレン設計例の拡大図である。
【図12】図12は、本発明の1実施例に従う、斜行する流れチャンネルを有するテクスチャ付きのアンダドレン設計例の拡大図である。
【図13】図13は、本発明の1実施例に従う、流れチャンネルを形成する円筒状の隆起突出部を有するテクスチャ付きのアンダドレン設計例の拡大図である。
【図14】図14は、本発明の1実施例に従う、流れチャンネルを形成する多角形状の隆起突出部を有するテクスチャ模様付きのアンダドレン設計例の拡大図である。
【図15】図15は、本発明の1実施例に従う、5つの異なる膜−装置構成(3kDa MWCO(分子量カットオフ)、10kDa MWCO、30kDa MWCO、50kDa MWCO、100kDa MWCO)を使用して実施した装置試験における水流れ特性のプロット表示図である。
【図16】図16は、30kDa MWCO及び50kDa MWCO装置と、匹敵する商標名Microcon装置とにおける、14,000Gsでの旋回時間の関数としての水保持液量のプロット図である。
【図17】図17は、5つの全ての膜−装置構成において実施した、受け入れ可能な装置におけるエアフロー漏出の代表値が毎分0.35立方センチ(cc)未満であることを示すプロット図である。
【図18】図18は、オーバーモールドプロセスにより、受容可能な圧力一体性を実証する様式下において、2枚のパネルが成功裏に接着されて単一パネル化されることを示すプロット図である。
【図19】図19は、タンパク質の平均通過レベル(通過すべきではないタンパク質の)が、受容可能な性能水準と考えられる5%未満であることを示すプロット図である。
【図20】図20は、試験した各ろ過装置におけるタンパク質の平均回収率が、受容可能な性能水準と考えられる90%以上であることを示すプロット図である。
【図21】図21は、各ろ過装置における、サンプルの平均合計回収量が、逆旋回手順使用時における場合よりも98%大きいことを示すプロット図である。
【図22】図22は、各ろ過装置を10分間旋回させた場合に測定された平均デッドストップ容量の結果を示すプロット図である。
【図23】図23は、ろ過装置の全体形状と比較しての幅広フランジ特徴構造部の相対比率を説明する、オーバーモールドジャケットの底面図である。
【図24】図24は、ろ過装置の全体形状と比較してのフランジ特徴構造部の相対比率を説明するオーバーモールドジャケットの側面図である。
【図25】図25は、ろ過装置の、ドレン孔の位置と、旋回運転中にろ液を確実に適正排出させるために必要な幅広フランジ間の空間とを説明する側面図である。
【図26】図26は、2枚のパネルを1つのろ過装置とするプロセスの一部として使用するコアピンの拡大図である。
【図27】図27は、パネル用の整列用長孔を含むヒートシールネストの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照するに、ろ過装置10が示され、未ろ過サンプルを受けるサンプルリザーバ11と、図示される如くろ過装置10の側壁上に各々配置した第1膜12A及び第2膜12Bとを含んでいる。デッドストップ容量を画定する保持液チャンバ14が第1膜12A及び第2膜12Bの下方に設けられる。デッドストップ容量をろ過装置の中心軸位置に設けると共に、遠心分離機の方向角が変化するに従うデッドストップの容量変動を実質的に低減させ得る、全体に弧状の且つろ過装置の底部周囲から外側に突出する収集先端30(図2)を設け得る。ろ過装置10は、液体不透性で、タンパク質結合特性が低く且つ遠心分離中の重力(Gs)に耐え得る十分な強度を持つ固形材料製であることが好ましい。好適な材料には、アクリル、CYROLITE G20 HiFlo(商標名)樹脂、ESTAR HN631樹脂、KRATON(商標名)ポリマーが含まれる。特にパネル15A、15B(図3)は、オペレーターまたはユーザーがろ過装置プロセスの前後の液面高さを判定するためにろ過装置の内側キャビティを目視可能な透明プラスチック材料製とし得る。
【0014】
ろ過装置10は、パネル15A、15B(図3)に2枚の平シートを取り付け、次いで各平シートをオーバーモールドしてろ過装置のハウジングを形成する。パネル15A(図4)は、膜の支持及び保持液チャンバ14の流体連通性を提供するアンダドレン支持体16を含む。アンダドレン支持体16は、例えば、膜を貫通するろ液を捕捉し、ドレン孔を通して受け用容器に流入させるための、膜下方に位置付けられ長手方向に離間する一連の溝、チャンネル、または表面模様テクスチャを含み得る。側壁15Bも同様に構成される。各膜は、膜通過流体のみが各サイドパネルに位置付けたろ過装置のドレン孔から排出されるよう、各パネル15A及び15Bにシールされる。
【0015】
ある実施例では、各膜12A及び12Bは各アンダドレン支持体16と同中心を有し且つアンダドレン支持体に対してシールされる。アンダドレン支持体は、膜を支持すると共に膜を可能な限り平坦に維持し、他方、膜下方には流体をろ過装置のドレン孔18を貫いて流動及び通過させ得るに十分な開放空間を生じさせる幾何形状とされる。流体の力学的抵抗は可能な限り小さく維持されることが好ましい。
【0016】
図11、12、13、14には、円筒状の隆起突出部16(図13)またはパネル後方から突出する多面カラムの如き、アンダドレン支持体の好適な表面模様テクスチャ例が示される。各隆起突出部の頂面は間隔を置いて膜と接触し且つ膜を支持し、かくして遠心分離の旋回運転中の高圧発生時における膜の平面内延伸を最小化する。また表面模様は、膜を支え且つ流体を膜下方に流動させてドレン孔18から排出させ得る。アンダドレン支持体が膜を適正に支持しない幾何形状のものであると、膜の各孔が延びて細長形状化する。孔が細長くなると膜の保持特性が低下する。図11には、一連の不整隆起形状、または隆起突出部16の実施例が示される。図12には、隆起平行四辺形としての隆起突出部16が十字模様を形成する実施例が示される。図14には、やはりアンダドレン支持体を形成するために使用し得る、六角形模様状の隆起突出部16の実施例が示される。これらの模様は例示目的のみのものであり、その他の好適な模様も本発明の範囲内のものとする。
【0017】
好適な膜には微孔質膜や超多孔質膜が含まれる。後者は限外ろ過用に有益である。再生セルロース限外ろ過膜(例えば、マサチューセッツ州ベドフォードのミリポア社より入手可能な“Ultracel Amicon YM”や、“Ultracel PL”膜)は、極端に希釈した、または疎水性サンプル液を対象とするろ過装置用に最適なものである。“タイトな”マイクロ構造を持つ親水性膜を使用すると、タンパク質、DNAその他マクロ分子の、低吸着状況下における良好な保持が促進される。急速分離用のポリエーテルスルフォン限外膜(例えば、やはりミリポア社より入手可能な“Amicon PM”や“Biomax PB”)その他の、“開放”マイクロ構造を有する膜は、血清、血漿、調製組織培養液の如き高濃度サンプル液の濃縮及び脱塩を目的とするろ過装置用に特に好適である。
【0018】
各膜12A及び12B(図1)はろ過装置10の長手方向中心線に関して、各膜の頂部が当該長手方向中心線から膜の底部よりも長い距離において離間されるような小角度を付して配向することが好ましい。漏斗状形態が形成される。各膜のこうした位置決めは遠心分離中に接線方向流れを生じさせる上で有益である。角度は約0°以上及び約5°未満、好ましくは約3°が好適であることが分かった。
傾斜させた膜を横に2つ並べた設計例でも、遠心分離中の膜汚損量を低下させる固有の自己清浄化特性が有る。
【0019】
傾斜させた膜を横に2つ並べた設計例では、ろ過装置の先端部からろ過装置内にピペット先端を容易に嵌入させてろ過装置の底部に届かせ得る。本ろ過装置のユーザーは代表的には、a)ピペット先端を使用してろ過装置の底部に収集された保持液を所望容量抽出する、または、b)容器または類似のホルダ内でろ過装置を逆旋回させ得る。ろ過装置底部位置の、保持液サンプルを収納する空間は、通常、デッドストップ容量と称される。
【0020】
図3及び図5に示される如く、各パネル15A及び15Bは、保持液チャンバ14と流体連通し且つろ液をろ過装置のハウジング10を貫通させ、受け用容器75(図7)の如き別のハウジングに収集させる1つ以上のドレン孔18を含む。図示した実施例ではそうしたドレン孔が2つの各パネルに例示されるが、本発明は図示した実施例に限定されるものではない。各ドレン孔18を各アンダドレン支持体の溝またはチャンネルの底部に位置付けることが好ましく、ドレン孔の断面は実質的に円形であることが好ましい。ドレン孔は、ろ過装置製造中に使用され得るヒートシール操作中に収縮されまたはそうでなければ有害な変化を生じないよう、各パネル15A及び15Bの側縁部から十分な距離離間させて位置付けるべきである。ドレン孔18は相互に等間隔を有し且つ共直線上に配置されることが好ましい。
【0021】
各パネル15A及び15Bは同一でしかも相互弾発嵌合または相互押し嵌め形態を有することが好ましい。ラビリンスシールを使用して各パネルを相互にシールすることが好ましい。ラビリンスシール例は溝内リブ形態のものであり、その場合、各パネルはその各内縁部の一方に沿って形成した溝19と、他方に沿って形成したリブ20(図4)とを含む。溝19及びリブ20は、パネル15Aをパネル15Bと整列状態に持ち来すとパネル15Aのリブ20がパネル15Bの溝19と係合し、同様に、パネル15Bのリブ20がパネル15Aの溝19と係合する如き形態とされる。このラビリンス形態により、各パネルの、オーバーモールドプロセスに先立ち且つオーバーモールドプロセス全体を通しての対称整列化が助成され、かくして、自動組み立てが容易化され、組み立てプロセスのマシン故障耐性が向上する。ラビリンス整列は、サンプル容量中へのオーバーモールド材料の進入を防止する塑性流動トラップとしても機能する。溝19は深い凹所を持つ1つ以上の部分を含み得、各深い凹所は溝の相当する高い突出部を受け、かくして2枚のパネル同士の弾発嵌合を容易化する。間隔を置いた一連のウェルと合致する、間隔を置いた一連の突起の如き、弾発嵌合または押し嵌め用のその他設計例及びシールは本発明の範囲内のものとする。
【0022】
整合ピン86及び87(図3)が各パネルの外側表面に一体成形される。整合ピン86及び87は、膜装着中及び自動ピックアンドプレース操作中にろ過装置を保持するために使用するネストフィクスチャ内の整列穴に各パネルを精密に整合させ得る。自動プロセスを使用して各パネルを膜装着モジュール、膜整合モジュール、オーバーモジュール、プロセス内品質検査モジュール、内に移動させ得る。整合ピンの1つは、各パネルをネスト108(図27)内で然るべく固定し、他方、第2の整合ピン87はプロセス処理中に生じ得る熱膨張によるパネルの1方向成長を許容するよう設計される。各整合ピンは、オペレーターが水またはクリーニング溶剤で濡れたラストマー製手袋でも楽に保持できる指把持特徴構造部をも提供する。突出する整合ピンは、ユーザーによるろ過装置の誤滑落を防止する上でも役立つ。
【0023】
図3にはろ過装置10におけるオーバーモールドプロセス状況が示される。パネル15A及び15Bは、オーバーモールドジャケットを各パネルに機械的に捕捉させる上部成形フランジ17及び側方フランジ110をも含み得る。上部成形フランジ17及び側方フランジ110は、各パネルをオーバーモールドジャケットに固定し、かくして、一体且つ丈夫なろ過装置を形成するために使用するアンカーを形成する。これにより、フープ応力破壊やろ過装置バースト圧力耐性が改善される。実際、前記ろ過装置は、有効運転上必要とされるそれよりも206842.7〜551580.55Pa(30〜80psi)高い、約1723689.25Pa(約250psi)(図18)以上の高い圧力耐性を示した。各パネルはオーバーモールド材料のそれよりも溶融温度の高いポリマーから作製される。それらの材料には、ポリスチレン、アクリル、スチレン、ブタジエンコポリマー、スチレンアクリロニトリル、CYROLITE G20 HiFlo(商標名)樹脂、ESTAR HN631(商標名)樹脂、KRATON(商標名)ポリマー、が含まれ得る。これらの材料により、オーバーモールドプロセスが安定化され、前成形材料への熱伝導による前成形部品の熱変形が生じない。前成形部品が熱変形するとろ過装置全体の形態、嵌合性、機能が低下する。
【0024】
オーバーモールドジャケット111(図3)は、遠心分離中に容器の壁断面を円形に保つ一体の幅広フランジ88を含み得る。オーバーモールドジャケット(以下、単にジャケットとも称する)は、熱可塑性プラスチック材を熱溶融させ、パネルの上部成形フランジ17及び側方フランジ110を相互に機械的に錠止させることにより2枚のパネルを相互取り付けする。ジャケットは、ジャケットの、ろ過装置に流体を追加する頂部89(図1)にして、遠心分離機の旋回中の如きにおいてろ過装置を閉じるための容器キャップ80(図7及び8)を使用する頂部89位置から開始される。ジャケットの内径(図1)は、コアピンの1つ102(図26)の周囲に連続態様下に形成される。当該コアピンにより、キャップシール81(図7及び8)の形状は受容可能状態に確実に制御される。ろ過装置の長手方向軸に沿って外側表面91(図1)上に分割線が形成されるが、当該分割線は、“分割線不整合”を防止するために、内径部分に沿っては使用されない。分割線不整合は、通常は各型を2つの半分体に開く設計とした場合に生じる。オーバーモールドジャケットの内径部に分割線を形成しないことにより、キャップとろ過装置との間に望ましからざる間隙が生じないことが保証される。そうした間隙が存在しないことで、流体シールの形態、嵌合及び機能が、ジャケット及び容器キャップ位置で受け入れ可能なものであることが保証される。
【0025】
ジャケットには、ジャケット(図2)の上部112から底縁部113まで同直径に維持されるオーバーモールド材料部分が含まれる。ジャケットの底縁部には、受け用容器の内径部85(図7)と機械的に接触してジャケットを該受け用容器内で保持する一体の幅広フランジ88(図3)が含まれる。この特徴により、ろ過装置により生じる負荷または応力が受け用容器の肩部に分散され、かくして遠心分離機内での高速旋回運転が容易化される。
【0026】
図23及び24には、ジャケットの全体形状に比較した、一体の幅広フランジ88の相対比率が示される。幅広フランジ88(図24)の幅(例えば約6.4mm(約0.250インチ))は、側方から見た場合、2枚のパネルを融合させて1つのろ過装置としたオーバーモールドジャケットのシールの幅115(例えば約3.7mm(約0.144インチ))よりも広い。幅広フランジ88は、応力が適切に分散され且つ受け用容器の内径部85(図7)に伝達されることを保証するために、ジャケットの外径116(図24)の少なくとも65%である必要がある。ドレン孔18からろ液を排出させるために十分な空間117(図25)が必要とされることから、幅広フランジ88の幅はジャケットの外径の少なくとも80%以上とすべきではない。
【0027】
幅広フランジ88の移行部118(図25)が、オーバーモールドジャケットのシール119の、ろ過装置の直径の半分に略等しい位置から開始される。ジャケットの前記シールからの移行部の曲線は応力集中を最小化するよう意図的に緩くされる。幅広フランジ88の外径は、ジャケットの上部リム位置の外径と同じである。これにより、ろ過装置を図9に示す如く同じ受け用容器内で反転させた状態で旋回させ得る。
【0028】
幅広フランジ88は、10,000Gに等しい、またはそれ以上であり得る遠心分離機旋回負荷運転中に、ろ過装置を然るべく保持するために十分な材料的支持を提供する。実験によれば、幅広フランジにより、ろ過装置を16,000Gの如き高い遠心旋回負荷の下で損傷させることなく1時間旋回させ得ることが示された。幅広フランジを用いない場合、幾つかのろ過装置は塑性変形し、受け用容器の底部内に崩壊した。崩壊したろ過装置を分析した結果、幅広フランジは受け用容器の壁を可能な限り円形に維持し、また、ろ過装置と、受け用容器の支持用リム、即ち内径部85との間の接触応力を、当該受け用容器の塑性降伏応力以下に分散させる上で必要であったことが分かった。
【0029】
ジャケットの頂部89(図1)位置におけるジャケット壁は、遠心分離旋回プロセス中に容器キャップ80の発生する応力による分割破断を防止するに十分な厚さとする必要がある。好適な厚さは約0.1mm(0.004インチ)である。容器キャップ80をろ過装置上に押し嵌めして液体シールを確立するとフープ応力が生じる。ろ過装置を遠心分離機内で16,000Gあるいはそれ以上が発生する速度下に旋回させると、弾発嵌合特徴部と組み合わせた容器キャップの質量によりろ過装置内に引張フープ応力が生じる。当該応力が十分大きいとろ過装置の側壁がニットラインに沿って破断する。ニットラインは、オーバーモールドプロセス中に2つ以上のプラスチック溶融流れが合致して相互に溶融する連結部に対して参照される。
【0030】
ジャケット111(図3)は、異なる着色添加剤を使用して作製し得、これにより、異なるろ過装置形態の色による差別化が可能となる。
ろ過装置が破損しないことを保証するために、ジャケット壁は、a)所望されざるキャップ開放を招く弾性変形、b)同様に所望されざるサンプル流体の漏出を招く塑性変形及び破壊、を防止するに十分な厚さとすべきである。タンパク質結合性の低い材料としてスチレンブタジエンコポリマーを選択する場合、壁厚を少なくとも約0.9mm(0.035インチ)とするのが好適であることが分かった。
【0031】
ジャケットの頂部89(図1)位置のジャケット壁厚を増大すると、ろ過装置の内容積(図1)が所望されざる水準に低下する。当該内容積が0.45μl未満のものは商業的に望ましくない。内容積が0.5μlであるろ過装置が、望ましく且つ商業的に戦略的価値を有すると考えられる。
【0032】
あるテストケースにおいて、型ベース温度を約32.2〜51.7℃(90〜125°F)のに上昇するとニットラインはずっと有効に相互溶融し、強度が増大した。使用する任意の追加的な熱が、各パネルの底部を溶融及び崩壊させる原因とならないことが保証されるように十分注意する必要がある。
【0033】
ろ過装置の2枚のパネルは、各パネルのノーズ位置及び各パネルの中心位置での全体圧力を指示するに十分厚く且つ堅固である必要がある。最新の幾何形状及びスチレンブタジエン材料を使用した実験によれば、受け入れがたい変形及び崩壊を防止するには少なくとも約1.5mm(0.0585インチ)の壁厚が必要であることが分かった。この壁厚及び好適な壁強度は、各パネルをろ過装置として完成させるオーバーモールドプロセス中にパネルをスチール製のコアピン102(図26)で支持した場合でさえ必要であった。膜表面に最も近いピンの表面103は、膜がコアピン102(図26)と接触しないことが保証されるよう除去された。膜の保持層は、膜がコアピンと接触すると破壊され得、オーバーモールド型キャビティから部品を取り出す際に擦傷を受け得る。
【0034】
膜がパネルから引き離されてコアピン102の表面による擦傷を受けないよう、コアピンには、オーバーモールド型キャビティの空気をコアピンの中心を通って排気させ得る通気口104を形成する。この独特のコアピン形態により、装着した膜を過剰に加圧して膜をパネルから吹き外さない様式下での、ろ過装置のオーバーモールドが可能となる。
【0035】
オーバーモールド型キャビティのポートの冷却設計に対しては特に注意を払う必要がある。幾つかの実験に際し、オーバーモールド材料の、ベースモールドでは約32.2℃(90°F)であった温度が約19.5度(35°F)上昇して約51.7℃(125°F)になっただけで、追加の熱がパネル内に流入し、パネルが溶解し始め、コアピン上に崩壊したことが観察された。ある場合には、熱の影響は、各パネルをオーバーモールド型キャビティから僅かに浮かせ、かくして漏出したプラスチックをパネルの外壁を覆って流動させるに十分なものであった。ある場合には、プラスチックの漏出はろ過装置が尚、良好な品質を保つに十分小さいものであった。最悪の場合では、流動するプラスチックが上方のドレン孔にまで達してドレン孔を部分的に充填した。これは、ドレン孔を貫く流れを制限するので望ましくないと考えられる。
【0036】
前成形パネルにおける熱の悪影響は、オーバーモールド型キャビティ及びコアピンの熱的冷却を改善し、且つ、プラスチック射出ポート92(図1及び23)位置に、狭幅の縁部ゲートに代えて弁ゲートを使用することにより解決され得る。狭幅の縁部ゲートは熱を更に発生する高レベルの剪断流れをプラスチックに創出させる。この剪断流れはもっと流れ断面積の大きい弁ゲートを使用することで低減させ得る。大きな流れ断面積により、剪断熱の悪影響が減少され、かくしてオーバーモールド型キャビティの充填がずっと容易化され得る。
【0037】
弁ゲートは射出成形において、オーバーモールド型キャビティ内にホットランナーからの溶融プラスチックポリマーの流れを送るために使用される。成形結果を最良化するためには、当該ポリマーの流れを、オーバーモールド型キャビティ内のコアピン95(図10)及び105(図26)の如き固体表面に向けて送るべきである。この流れは、仕上げ品の表面を粗化させる材料の流跡やジェッティングを防止するために、分散及び乱流状態で旋回させる必要がある。
【0038】
オーバーモールドにおける熱の悪影響は、冷却ラインを製品表面に接近して配置すること及び、コアピン内の熱冷却ラインを増大させることによっても解決され得る。これは、通常は水またはポリプロピレングリコール溶液の如き代表的な冷却流体を使用することで達成され得る。
熱の悪影響は、熱伝導度のずっと高い型インサートを使用することによっても解決され得る。高熱伝導度材料は、低熱伝導度材料を使用する場合よりもずっと効率的に各製品を除熱し得る。そうしたインサートは通常はオーバーモールド型キャビティ内に締着され、スチールの1種を使用する場合よりもずっと効率的に、前成形品からの伝熱を助成する。代表的なインサートは、ベリリウム、銅、アルミニュームの如き金属を使用して作製し得る。
【0039】
図10にはパネルのノーズ部内に生じ得る漏出を、シールとして作用する突出部93をパネルの外側表面上に追加することにより解決する状況が示される。このシール特徴部はパネルの外側表面中に一体成形され、機械的なO−リングシールと同様に機能し得る。オーバーモールド型キャビティをパネルを覆う状態で閉じると、オーバーモールド型キャビティ壁は一体成形したシール特徴部と密着する。当該シール特徴部はろ過装置のドレン孔18内へのプラスチック漏出を防止する。
【0040】
コアピン102(図26)は硬質スチール材から作製することが好ましい。ロックウェル硬さ32〜34RcのP20スチールで作製したコアピンは、小数のろ過装置を満足裡に製造するに十分であり得るが、当該コアピンは結局は変形され得、ろ過装置の、ハウジング破壊圧力で測定されるところのハウジング破壊強度を損なわせる。従って、コアピン材料は、耐性が更に大きい、ロックウェル硬さ53〜54RcのH13スチールであることが好ましい。かくして、材料硬さと、コアピンの設計形状とは、商業スケールでろ過装置を成功裏に製造するためには注意深く制御する必要がある。
【0041】
オーバーモールドプロセスにおいてろ過装置を確実に良好に製造する上で、以下の要因を制御することも極めて重要である。
A.コアピンを、コアピンの表面103(図26)が膜の保持表面と接触して当該表面を損傷させないようパネルをしっかりと保持する設計及び形状とすること。
【0042】
B.コアピン用材料を、連続的な成形運転中における適切冷却が保証される設計、形状とし且つ選択すること。冷却が不適切であるとパネルが熱変形する。
C.コアピン用材料を、連続的な成形運転中に所望されざる変形が生じないことも保証される設計、形状とし且つ選択すること。コアピンの設計形状に、全体形状を補強し且つ横断方向への変形を低減させる支持グリップ106を含ませることにより、剛性化が成功裏に達成された。コアピン102の端部105は、パネルのノーズ部をオーバーモールド型キャビティ内に押し込んで各パネルをオーバーモールド型キャビティ96内に適正座着させ、オーバーモールド中に各パネルが射出弁ゲート97から押し出されないようにするに十分な強さ及び十分な剛性を有すべきである。
【0043】
D.前成形した各パネルの支持用の整合ピンと、オーバーモールドしたパネルの凹所99との間の逃げ98(図10)は最小化されるべきである。これは、オーバーモールド工程中に各パネルを射出弁ゲートから離動させないために必要である。
E.前成形した各パネルと、オーバーモールド型キャビティとの間の逃げ間隙100(図10)を注意深く制御し且つ最小に維持することにより、各パネルの外壁に沿ったオーバーモールド材料の所望されざる漏出を防止すること。
【0044】
F.各パネルと、オーバーモールド型キャビティとの間のシール界面の寸法形状を、良好なシャットオフ品質が保証されるよう極めて注意深く制御することにより、ドレン孔18(図3)及び膜12A及び12B(図1)内へのプラスチック漏出を防止すること。
G.オーバーモールドに際して使用するプロセスパラメータを調節することにより、各パネルとオーバーモールド型キャビティとの間のシール界面を横断しての、ポリマー材料の所望されざる漏出を防止する上での改善を徐々に提供させ得る。これらのプロセスパラメーターは、a)成形中の樹脂停止温度、b)型ベースの温度、c)成形中の背圧使用、から成る。しかしながら、これらのプロセスパラメータの調節は、各パネルとオーバーモールド型キャビティとの間のシール界面の適正な寸法付けに対する代替法とはならない。
【0045】
H.コアピンを、コアピン102の表面103(図26)と、パネルに取り付けた膜12A及び12B(図1)との間に、オーバーモールドプロセス中に前記表面と膜とが接触しない十分な逃げを保証するべき寸法及び形状とすること。そうした接触はろ過装置の全体性能を損なわせ得る深刻な損傷を膜の保持層に生じさせ得る。
I.コアピンを、コアピン102の先端105位置に、各パネルの先端内に一体成形したドーム特徴部25(図1及び6)を支持するに十分な逃げをも保証するべき寸法形状とすること。
【0046】
パネルを良好に前成形するために、各パネルの、ドレン孔付近でノーズ92(図23)位置に射出成形の弁ゲートを位置決めし、ろ過装置全体の構造的一体性を確実に最良化させる必要がある。パネルのノーズ位置に弁ゲートを配置することによりプラスチック材料が型内に流入し、アンダドレン支持体構造内に、膜装着領域を横断しない材料のニットラインが優先的に位置決めされる。ニットラインが膜装着領域に形成されると、ろ過装置の保持性能が損なわれる。膜材料を装着する際の加熱プロセスにより、ニットラインは所望されざる様式下に開放され、かくして流体がシール周囲に漏出する。
【0047】
膜片は、必要とされる膜片間寸法精度を実現する合致ダイセットを使用して自動ダイカットされる。膜片の自動ダイカット、装着、シール、のプロセスはこれらろ過装置の製造上極めて重要である。自動製造プロセスにより、膜片の保持層に生じ得る表面損傷が低減される。自動プロセスは、これらのろ過装置を手作りするプロセスに比較してその労力を低減させる。自動製造プロセス使用時には、オペレータ間変動による悪影響もまた低減される。
【0048】
特にろ過装置の頂部89(図1)は、ろ過装置における連続リムを形成するよう設計するべきである。ろ過装置の内径90は、1つのコアピン102(図26)上に形成する必要がある。これにより、円滑で且つ一貫した1つのシール表面が確実に形成され、これが、ろ過装置と容器キャップとの間における良質なシール形成を保証する。オーバーモールド成形では割り型使用が設計条件となることから、型半分体に関する分割ラインをプラスチックのニットラインから90°離して位置決めする必要がある。この設計によれば残留成形応力、ニットライン、及び分割ラインの整列が防止される。この特徴により、ろ過装置は遠心分離旋回中のずっと高い応力に耐え得る。応力耐性が高まることで、旋回速度を一層高め得、ろ過装置時間を更に短縮させることが可能である。これらの特徴の組み合わせにより、顧客に“他では得られない価値“が提供される。
【0049】
ラビリンスシール特徴部、即ち溝19及びリブ20(図4)は、a)組み立て中の2枚のパネル15A及び15B(図3)の整列を容易化し、b)オーバーモールド中のプラスチック進入を制御及び防止するべく、各パネルの縁部内に設計上特別に組み込まれる。上述した如く、例示したラビリンスシール特徴部は、パネルの中心線の一方側における凸状のリブ20(図4)と、前記中心線の他方側における同一の凹状の溝19とを含む。当該ラビリンスシール特徴部は、各サイドパネルの中心軸を中心する対称形状であることが好ましく、それにより、組み合わせて1つのろ過装置とする2枚のサイドパネルを一つのオーバーモールド型キャビティで作製可能となる。これにより、同じ組み合わせを別個の2つの型を用いる場合よりもコストが削減され得る。ラビリンスシール特徴部は、組み合わせた2枚の各パネルの形成する内容積と、各パネルを包囲する外側空間との間に蛇行通路をも創出する。蛇行通路は、オーバーモールド型キャビティを閉じた時に各パネル縁部を封止させ、オーバーモールドプラスチック材を流動させて2枚のパネルを相互にシールさせる上で役立つ。蛇行通路は、ろ過装置内へのオーバーモールドプラスチック材の流入を防止する。
【0050】
各パネルにおけるドレン孔18の形状及び位置は、特に、デッドストップ容量、受け入れ可能な流体量、受け入れ可能な型耐性、における変動を低減させるよう設計される。ドレン孔形成に使用するコアピンは、各側部に5°の抜き勾配を持つ設計とされる。当該抜き勾配によりコアピン強度が向上され、各コアピンを、成形した各パネルから容易に分離させることが可能となる。抜き勾配は勾配穴をも創出し、当該勾配穴の大きく開放した側部が各パネルの内側部分に配置される。ドレン孔は尚、その横断面が実質的に円形である。ドレン孔は、流体が放出表面に向けて外側に移動してろ過装置から出る方向に徐々に狭くなる。勾配穴は、ドレン孔を通過する流体流れを縮流効果を利用して改善させる。
【0051】
縮流効果は、ベルヌーイの定理において、流体流れの断面積はニュートン流体がオリフィスを通過するに従い狭幅化または狭窄化されると予測されるところの、オリフィスを通過する層流に関して説明されるものである。流体流れは、勾配穴の表面が流体流れのストリームラインを追随する場合に効率化される。流れの分離頻度が低下し、かくして循環流体流れの発生が低減される。流体の再循環流れが低減されることで、流体流れ中の、フォーム形成の原因となり得る同伴気泡の形成量が低減され得る。受け用容器内のろ液中にフォームが形成されると、遠心分離を停止させた場合に流体が吸引されてジャケットに戻る原因となり得ることから望ましくない。
【0052】
保持液チャンバ14(図4)は、保持液サンプルを収集及び回収し得るデッドストップ容量を画定する。保持液チャンバは、デッドストップ容量をろ過装置の中心線位置に位置付けると共に、遠心分離機の角度方向変化に伴うデッドストップ容量変動を減少させるべく、内壁から突出するマウンド形突出部またはドーム特徴部25(例えば図4及び6)の如き3次元的な不連続部を含むことが好ましい。詳しくは、ろ過装置底部位置の漏斗形態と、前記不連続部とにより、保持液はデッドストップ容量の底部位置のもっと小さい空間内に配置される。流体をそうした小空間内に配置することで、ピペットを使用してろ過装置から流体をより完全に除去する操作が容易化される。ろ過装置に当該構造が無い場合はユーザーはデッドストップ容量の底部でピペットを横断方向に1回以上前後移動させなければならない。更に、漏斗形態及び不連続部とにより、遠心分離機内でろ過装置の角度方向が変化した場合のデッドストップ容量変動も低減される。
【0053】
マウンド形突出部25の如き不連続部の高さ及び形状は以下の如く決定される。ろ過装置を受け用チューブ内に配置し、自由度2を成す異なる方向に向ける。自由度2の一方では、ろ過装置の中心軸が、遠心分離機で使用する固定アングルローターの方向と整列する。固定アングルは代表的には垂直から35〜45°の間である。試行錯誤を経た上で、デッドストップ容量変動が最小となる不連続部の最適高さ及び形状を決定する。
【0054】
自由度2の他方では、ろ過装置が受け用容器内で且つ固定アングルロータ内に配置される。当該状況下においてろ過装置は尚、その中心軸上で1〜360°の間の無限角度位置で回転される。従って、最極を成す2方向として、a)2つの膜平面が可能な限り垂直方向に位置決めされる前方向と、b)2つの膜平面が、代表的には35〜45°の間であり得るローター角に可能な限り接近して位置決めされる側方向と、を選択する。再度の試行錯誤を経た上で、デッドストップ容量の変動を最小化させる突出部の高さ及び形状を決定する。ドーム特徴部25の好適高さは約0.5mm(0.020インチ)である。
【0055】
表2には本発明に従う各実施例の遠心分離ろ過装置と、従来のミリポア社製の商標名Microconろ過装置との性能比較試験結果が要約される。当該試験に際しては、異なる2つの膜形態、即ち、30kDa膜と、50kDa膜とが考慮された。結果によると、有効膜面積が増大されていることから予測された如く、本発明のろ過装置では商標名Microconろ過装置におけるよりもずっと早く水がろ過されたことが示された。プロットによれば、商標名Microconろ過装置では、水ろ過装置はフィルタ上流側に水が残留しない乾燥状況となるまで継続されたことが示される。本発明のろ過装置では水は設計上のデッドストップ容量が達成されるまで継続ろ過された。これらのデータは、本発明のろ過装置が、サンプル回収が損なわれ得る乾燥状況までろ過される心配無く、所定のデッドストップ容量までサンプルのろ過及び濃縮に使用され得ることを実証している。
【0056】
ある実施例では、保持液は逆旋回運転を使用して回収される。その場合、ろ過装置10(図9)は、反転させた状態でビンその他好適なハウジングの如き受け用容器75内に配置されて遠心力の如き駆動力を受け、保持液が保持液チャンバ14から受け用容器75に強制流入される。図9に最もよく示されるように、受け用容器75は、前方旋回モード(図8)及び逆旋回モード(図9)の何れにおいてもろ過装置10を収受するに十分な幅の直径の円筒状断面を有することが好ましい。受け用容器75は、好ましくは環状の肩部85を含み得、当該肩部が受け用容器75内へのろ過装置の挿通量を制限する(旋回モードまたは逆旋回モードの何れでも)ストッパを提供するための、受け用容器75内の小内径部分を形成する。かくして、図8の旋回モードではろ過装置10の上方フランジ76は受け用容器75の外側に残り、図9の逆旋回モードではろ過装置10の底部が図示される如く受け用容器75の外側に残る。ろ過装置10を受け用容器75内にこのように位置決めした場合、ろ過装置10の下方には、逆旋回運転中に得られる十分な液体製品を受ける十分な容量77が残されるべきである。
【0057】
容器内の肩部の設計及び形状はろ過装置の形状的フィット性及び機能上極めて重要である。遠心分離における最大負荷レベルは、円周方向に連続する設計構成のリング85を使用する場合に達成され得る。肩部を不連続的な設計構成とした場合は遠心分離負荷レベルがずっと低下し得る。遠心分離負荷が低レベルであると、遠心分離機内でろ過装置操作をより高速で実施する能力が低下する。
【0058】
ホルダまたは受け用容器は、当該受け用受け用容器75に図示の如く一体取り付けし得るキャップ80を含むことが好ましい。キャップは、ろ過装置10がジャケット内に位置決めされない場合に該受け用受け用容器75を、そしてろ過装置10が図8に示す如く旋回モード下にろ過装置内に位置決めされる場合はろ過装置10を、キャップ閉めするべく寸法付けされる。この目的上、キャップ80は、その外径がろ過装置上部及びろ過装置上部の何れの内径よりも若干小さい第1の小円筒状部分81と、当該第1の小円筒状部分81の外径よりも大きい外径の第2の大円筒状部分82とを含み得る。第2の大円筒状部分82(図9)の直径は、受け用容器75(図7)の内側に貫入するに尚、十分小さいが、しかしろ過装置10(図8)の内側に貫入しない程度に十分大きいことが好ましい。ろ過装置10はその内径部に円周方向の凹状容量90(図1)を有することが好ましい。当該凹状容量は、キャップ80の挿入、保持、弾発嵌合を容易化するポケットを形成する。
【0059】
遠心分離時間には特に制限はなく、一般に約1〜10分間の幅がある。ろ過装置及び受け用容器75は、組み立て及び使用のための機器と共にパッケージキット形態でエンドユーザーに提供され得る。
ある実施例ではサンプル回収が、ピペット及びその先端を、ハウジング、詳しくは、保持液チャンバ14に挿通してろ液を除去することで実施され得る。
【0060】
本発明のある実施例に従うろ過装置を製造するための好適な方向は以下の如きものである。
1)各パネルを先行成形すること。
2)膜ロール素材から膜片をダイカットすること。
3)熱、圧力、時間、を使用してパネル上で膜片を然るべく位置決めしたパネルサブアセンブリを形成すること。
4)パネルサブアセンブリを目視検査し、パネル上での膜片の適正整列、膜片装着の全体的品質、汚れや異物がないこと、を確認すること。
5)パネルサブアセンブリを、オーバーモールドのオーバーモールド型キャビティA96(図10)及びB(図10)内に配置すること。
6)オーバーモールドのオーバーモールド型キャビティA及びBを閉じ、各パネルを接触させ、各パネルのラビリンス縁部をシールすること。
【0061】
7)オーバーモールドのオーバーモールド型キャビティ内に、コアピンを、a)各パネルがろ過装置の底部内に押し込まれ且つ然るべく固定されるように、b)装着した膜片を損傷しないように、c)仕上げ済みろ過装置の寸法条件が維持されるように、して挿通させること。
8)オーバーモールド型キャビティ内に成形プラスチックを射出すること。
9)ろ過装置を開き、オーバーモールド型キャビティA及びB内からろ過装置を抜き出すこと。
【0062】
10)コアピンからろ過装置を排出させること。
11)ガス圧低下機器を用いて膜装着プロセスの一体性を検証すること。
12)ろ過装置を設備に移動してろ過装置側部上に目盛りを正常にパッド印刷すること。
13)ろ過装置を好適に設計した柔軟なポーチ及びカートンでパッケージすること。
【0063】
ろ過装置を用いてサンプルを濃縮する好適な方法は以下の如きものである。
1)ろ過装置及び受け用容器をパッケージから取り出すこと。
2)ろ過装置を受け用容器内に挿通すること。
3)ろ過装置のリザーバ内にサンプル溶液をピペット先端が膜と接触しないようにしてピペット供給(例えば、最大で0.5ml)すること。受け用容器に装着したキャップを引き寄せてろ過装置上に然るべく弾発嵌合させ、キャップとピペット先端が膜と接触しないようにろ過装置との間に良好なシールを保証させること。
4)ろ過装置と受け用容器とを、適合する遠心分離機内に配置し、類似のろ過装置を使用してローターを注意深く平衡化させること。
【0064】
5)用途上の正確な旋回時間及び速度に関する供給者の“遠心分離ガイドライン”に従い遠心分離機内でろ過装置を旋回させること。
6)当該旋回プロセス完了後、ろ過装置及び受け用容器を遠心分離機から取り出し、ろ過装置を持ち上げ、ろ過装置の中身をこぼさないようにして受け用容器の外側に分離させること。
【0065】
7)ろ過装置を、保持液チャンバ14の中身を落下または失わせないようにして新規の受け用容器内に反転配置し、ろ過装置及び受け用容器のアセンブリを1000G(または短いパルス)下に3分間旋回させて濃縮物を容器に移すこと。
8)ろ過装置及び受け用容器を遠心分離機から取り出し、ろ過装置を受け用容器から分離させ、受け用容器にキャップを嵌め、爾後の使用に備えて信頼下に製品を保管すること。
【0066】
図15及び表1には先に説明したろ過プロセスを使用した水流れ性能の試験結果が示される。この結果は、ろ過装置が水サンプルを意図通りにうまくろ過し、サンプルを特定のデッドストップ容量に濃縮させたことを実証するものである。各ろ過装置によるろ過においてサンプル乾燥は生じなかった。サンプルは、ろ過により乾燥されるのではなく、ろ過装置底部位置のデッドストップ容量内に濃縮され、保持物はピペットまたは逆旋回運転を使用して除去された。当該データは、100kろ過装置の如き高開口率膜の場合、3kDa MWCOを有する膜を収納するろ過装置の如き低開口率膜を有するろ過装置よりも流量がずっと高いことも示している。
【0067】
サンプルを乾燥させる恐れなくサンプル溶液を既知の濃縮容量またはデッドストップ容量に濃縮させる能力はユーザーにとって価値が大きい。本ろ過装置を使用することで、顧客は濃縮プロセスを連続的に監視する必要のない安定様式下にサンプルを濃縮させ得る。本来、顧客は、特定時間遠心分離機を旋回させる間、現場から離れていても、サンプルが所望通り濃縮されることに自信を持てる。デッドストップ容量の無い別のろ過装置を使用する場合、ユーザーには、サンプルが乾燥してサンプル及びその後の分析上の有益性が損なわれ得るリスクが生じる。
【0068】
【表1】

【0069】
表1には図15を裏付けるデータが示される。当該データは、分子量カットオフ(MWCO)の値の異なる5つの(3kDa、10kDa、30kDa、50kDa、100kDa)の、PTIで製造したAmicon Ultra(商標名)0.5mlろ過装置の水流れ性能を実証するものである。
この結果は、製造したろ過装置の大半が、目標性能レベルを発揮したことを実証している。大抵の場合タンパク質回収率は90%以上であった。タンパク質回収率が90%未満であった場合、ろ過装置を分析すると膜の保持層が損傷を受けていたことが示された。ある場合では膜がコアピンと接触して損傷を受け、ある場合は膜片がパネルへの装着プロセスに際して不整合に取り付けられたため、タンパク質が漏出した。その他の場合では、膜はその装着またはろ過装置取り付け位置での手動取り扱いにより損傷を受けた。
【0070】
図16には本発明のろ過装置のろ過速度がMicrocon(商標名)タイプのろ過装置のそれよりもずっと高速であることが明瞭に示される。当該データは、本発明のろ過装置が、ろ過サンプル流体を乾燥状態を防止する既知のデッドストップ容量にろ過させるのに対し、Microconろ過装置ではサンプル容量は大抵の場合望ましくない乾燥状態までろ過される。
【0071】
図17〜22には各パネル用の、可能な限り製造用成形工具に近い状態を模擬するための、4キャビティ付きの1つの型から成るパイロットモールドを使用して各ろ過装置について実施した場合の試験結果が示される。同様に、パネル取り扱いシステムを除き、可能な限り製造用工具に近い状態を模擬するための、2キャビティ付きの1つの型から成るパイロットろ過装置ツールを使用した。パイロット運転では各パネルは手動でろ過装置ツール内に装填されるが、製造運転時には各パネルはロボットを使用して製造型内に装填される。
【0072】
各図には、パイロットモールドを使用して製造した各ろ過装置のサンプルについて実施した試験結果が示される。試験は、関心対象としての5つの膜ろ過装置形態を表す各ろ過装置について実施した。試験は、a)空気漏れ試験、b)タンパク質の通過率、c)タンパク質の回収率、d)14000Gの下で10分間旋回した後のデッドストップ容量、e)合計サンプル回収量、f)ハウジング破壊圧、から構成された。
【0073】
【表2】

【0074】
パネルに関心対象としての各膜を装着し、次いでパネルをオーバーモールドしてろ過装置とした。次いで各ろ過装置を圧力漏れテスタを使用してシール一体性について試験した。約206900Pa(30psi)の空気圧を各ろ過装置に付加し、空気の膜横断漏出率を測定した。図17には異なる5つの全ての膜−パネル形態において、膜の装着上の一体性が受け入れ可能なものであることが実証されることが示される。次いで、各パネルを注意深くパッケージ化し、ろ過装置として最終的にオーバーモールドするための成形施設に搬送した。
【0075】
図17には毎分当たりの代表的な空気漏れ量が0.35立方センチ(cc)未満であったことも示される。各パーツの合否に関する当該限界は、タンパク質保持性能が受け入れ可能であることに基いて受け入れ可能と判定されたn=50以上のろ過装置における結果の評価に基づき決定された。当該限界は、サンプル個体数の管理上限(平均値以上の3つの標準偏差)を表す。
【0076】
図18は、オーバーモールドプロセスにより、2枚のパネルが、受け入れ可能な圧力一体性が実証される様式下に成功裏に接着されて1つのろ過装置を形成したことを示す。当該データは、関心対象である5つの全ての膜を使用して製造したn=100のろ過装置についての平均ハウジング破壊圧力、または1724000Pa(250psi)以上であったことを表す。少なくともn=20のろ過装置が、各膜−パネル形態(3kDa MWCO、10kDa MWCO、30kDa MWCO、50kDa MWCO、100kDa MWCO)のを使用して試験された。
図19には、タンパク質の平均通過量(通過すべきではないタンパク質)が5%未満、即ち、性能上受け入れ可能なレベルと考えられるものであることが示される。少なくともn=24のろ過装置が、5つの異なる膜−パネル形態の各々を使用して試験された。
【0077】
図20には、試験したろ過装置についてのタンパク質の平均回収量が90%以上であったことが示される。少なくともn=24のろ過装置が、5つの異なる膜−パネル形態の各々を使用して試験された。
図21には、これらのろ過装置についてのサンプルの平均合計回収量が、逆旋回手順を使用した場合98%以上であったことが示される。少なくともn=24のろ過装置が、5つの異なる膜−パネル形態の各々を使用して試験された。
【0078】
図22には、これらのろ過装置を10分間遠心分離運転した場合に得られたデッドストップの平均容量が示される。この結果によると、3つの膜−パネル形態(30kDa MWCO、50kDa MWCO、100kDa MWCO)では10分以内にデッドストップ容量が実現され得ることが示される。2つの膜−パネル形態(3kDa MWCO、10kDa MWCO)では、ろ液は10分以内にデッドストップ容量に降下しなかった。これら2つの膜は、膜構造が他の3つの膜のそれよりもずっと緻密であったため、予測通り、同量の流体に対する必要ろ過時間は長くなった。3k MWCO膜を使用して製造したろ過装置は、代表的なタンパク質溶液のろ過に際し、20μlのデッドストップ容量を生じさせるには代表的に少なくとも16分間を要する。10k MWCO膜を使用して製造したろ過装置は、代表的なタンパク質溶液のろ過に際し、20μlのデッドストップ容量を生じさせるには代表的に少なくとも12分間を要する。
【符号の説明】
【0079】
10 ろ過装置
11 サンプルリザーバ
12A 第1膜
12B 第2膜
14 保持液チャンバ
15A、15B パネル
16 アンダドレン支持体
17 上部成形フランジ
18 ドレン孔
19 溝
20 リブ
25 マウンド形突出部/ドーム特徴部
30 収集先端部
75 受け用容器
76 上方フランジ
80 キャップ
81 小円筒状部分
82 大円筒状部分
83 突出部
85 支持用リム
85 肩部
86、87 整合ピン
88 幅広フランジ
89 頂部
90 凹状容量
91 外側表面
92 プラスチック射出ポート
95 コアピン
97 射出弁ゲート
99 凹所
100 逃げ間隙
102 コアピン
103 表面
104 通気口
105 端部
106 支持グリップ
108 ネスト
110 側方フランジ
111 ジャケット
112 上部
113 底縁部
115 シールの幅
116 外径
117 空間
118 移行部
119 シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ過装置であって、サンプルリザーバを有するハウジングと、ろ液チャンバと、サンプルリザーバとろ液チャンバとの間にシール状態で位置決めした一対の離間した膜と、を含み、各前記膜がハウジングの垂直中心線から約0°以上且つ約5°未満の角度を成すろ過装置。
【請求項2】
各膜がハウジングの垂直中心線から約1°以上且つ約5°未満の角度を成す請求項1のろ過装置。
【請求項3】
ハウジングが、サンプルリザーバの底部位置にデッドストップチャンバを更に含む請求項1のろ過装置。
【請求項4】
デッドストップチャンバが不連続部を含む請求項3のろ過装置。
【請求項5】
各膜がパネル上で支持される請求項1のろ過装置。
【請求項6】
各パネルが外側壁と、2つ以上の円筒状の突出部を該外側壁上に有する請求項5のろ過装置。
【請求項7】
各パネルが、0°及び5°の間の抜き勾配を有する1つ以上の流体ドレン孔を有する請求項5のろ過装置。
【請求項8】
各パネルが、その下流側位置にフランジを有するオーバーモールドジャケットにより包囲される請求項5のろ過装置。
【請求項9】
ハウジングが、該ハウジングの上部位置に一体のフランジを更に含む請求項1のろ過装置。
【請求項10】
フランジの内径部に円周方向に形成した凹状の容量を更に含む請求項9のろ過装置。
【請求項11】
ハウジングが一対のパネルを含み、各パネルが膜の一方を支持し、各パネルが装着表面位置で相互に装着され、各膜が、前記装着表面から1°及び5°の間の角度を成す状態で各パネルにより支持される請求項1のろ過装置。
【請求項12】
装着表面がラビリンス形態のシールを含む請求項11のろ過装置。
【請求項13】
各パネルが長手方向の中心線を有し、該中心線の一方側には隆起部分を有し、他方側には凹状部分を有し、一方の前記パネルの凹状部分が他方のパネルの隆起部分を相互錠止係合状態下に受ける請求項11のろ過装置。
【請求項14】
オーバーモールドジャケットが、異なる形態の装置を視覚的に識別及び区別させ得る着色剤を含む請求項8のろ過装置。
【請求項15】
各パネルが、ポリスチレン、スチレンブタジエンコポリマー、アクリル、ポリカーボネート、スチレンアクリロニトリル、から成る群から選択したポリマーで作製される請求項5のろ過装置。
【請求項16】
ろ過装置であって、
中央ジャケットと、
中央ジャケットの周囲で相互に錠止されると共に、シールした膜を有する第1及び第2のサイドパネルと、
を含むろ過装置。
【請求項17】
各サイドパネルが、アンダドレンと、複数のドレン孔と、を含む請求項16のろ過装置。
【請求項18】
複数のドレン孔の各々が0°及び5°の間の抜き勾配を有する請求項16のろ過装置。
【請求項19】
各サイドパネル及び中央ジャケットが、相互に、サンプルリザーバと、ろ液チャンバと、デッドストップチャンバと、を画定する請求項16のろ過装置。
【請求項20】
ろ過装置及び容器の組み合わせであって、ろ過装置が、中央ジャケットと、該中央ジャケットの周囲で相互に錠止されると共に、シールした膜を有する第1及び第2のサイドパネルと、を含み、前記容器が、駆動力を受けた場合にサンプルチャンバ内でサンプルを濃縮する上で有効な第1の方向と、駆動力を受けた場合に、濃縮されたサンプルを回収する上で有効な第2の方向において前記ろ過装置を受ける形態を有する内容積部分を含むろ過装置及び容器の組み合わせ。
【請求項21】
容器が、内側容量内に環状の肩部を含み、該環状の肩部の直径がろ過装置の外径よりも小さく、従って、第1の方向または第2の方向の何れの場合でも、ろ過装置が肩部と接触する請求項20のろ過装置及び容器の組み合わせ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2010−540927(P2010−540927A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526890(P2010−526890)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/010145
【国際公開番号】WO2009/042023
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】