説明

遠心分離機

【課題】固液分離処理を行なう浄化流路内で、固体の周方向の移動距離を短く径方向の移動がし易くして浄化(固液分離処理)を早くし、固液分離処理の効率を向上させる。また、浄化流路の幅を狭くし、液の流れの方向が中心に向かう径方向のみの一方向に定めて、濃度勾配の乱れを少なくして浄化(固液分離処理)の性能を向上させる。
【解決手段】回転駆動されるロータ4の幅は、ベース2の周方向に少なくとも16分割した幅の寸法とする。ロータ4は、被処理液5が投入される投入流路11と、この投入流路11と連通している供給流路13と、この供給流路13と連通し該供給流路13の上側に配置される浄化流路14と、この浄化流路14と連通している排出流路16とで構成されている。被処理液5の固液分離処理(浄化)は、浄化流路14内での遠心力の作用により行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削加工やワイヤ放電加工において使用される冷却用のクーラント液に含まれる金属などの固体と液体とを分離して固体と液体とをそれぞれ回収する遠心分離機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりさまざまな遠心分離機が提供されており、例えば、下記に示す特許文献1〜3が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−26509号公報
【特許文献2】特開2006−43618号公報
【特許文献3】特開2004−298855号公報
【0004】
上記特許文献1は、回転駆動される密閉型のロータに、該ロータと略相似形状を成すガイドブロックを同軸状態で収容し、前記ロータとガイドブロックとの間に、被処理液の供給経路と連通する下部間隙と、清澄液の排出経路と連通する上部間隙と、上下の間隙と連通する分離室を形成した遠心分離機である。
かかる構成により、実質的に空気空間が存在しない状態で固液分離処理ができ、培養微生物菌体や培養動植物細胞を含む被処理液を処理するのに好適な遠心分離機が提供できる、としている。
【0005】
また、上記特許文献2では、円筒状のロータ内に円柱状のコアを同心的に収納し、該コアの円柱状胴部に複数の隔壁を突設し、コアとロータとの間に形成される円筒状の空間を前記隔壁によって等配的に区画して複数の扇形空洞部を形成し、該扇形空洞部に試料を流しながらロータを回転駆動することによって該試料を連続的に遠心分離処理する連続遠心分離機において、前記隔壁の外周部における周方向幅T2の前記扇形空洞部の外周部における周方向幅T1に対する比(T2/T1)を1〜10に設定したものである。
これにより、製造用連続遠心分離の最適条件を求めるための予備試験を、実際の製造用連続遠心分離機の一部を変更してスケールダウンすることによって実現することができる、としている。
【0006】
上記特許文献3は、不水溶性油等を含有する水溶性クーラントが流入される回転筒体をもつ基体と回転筒体の上部より排出される比重の小さい不水溶性油を回収する油回収室、およびそれを排出するための排出口、回転筒体の下部に具備された、比重の大きい水溶性クーラントを回収するために水溶性クーラント回収室、およびそれを排出するための水溶性クーラント排出口を具備している。そして、回転筒体の内部を4枚の前記羽根にて区画し、また、L字形状のパイプの先端が前記羽根の内側に位置させている。
これにより、比重、あるいは見かけ上の比重が、水溶性クーラントの比重に極めて近い不水溶性油の抽出をも可能としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1では、ロータの内周面とガイドブロックの外周面との間に上下の間隙と互いに連通する分離室を形成し、この分離室に4枚の水平バッフル板と、この水平バッフル板に垂直バッフル板を格子状に組み合わせている。
そして、水平及び垂直のバッフル板により、被処理液の回転がロータの回転よりも遅れることを防止したり、供給した被処理液が固液分離部分でショートパスして排出されないように滞留時間を長くできて、固液分離処理の効率を一層高めるようにしている。
【0008】
しかしながら、この特許文献1においては、固液分離処理を行なう環状の分離室は、垂直バッフル板により8分割されていて、分割された1つの固液分離処理部分の周方向の距離が長く、そのため、周方向の固体の移動距離が長くなり、径方向の移動が少なく浄化(固液分離処理)が遅れるという問題がある。
また、下部の間隙から供給された被処理液は、分離室内で撹拌されてしまい、固液分離処理された液体と供給された固液分離処理前の被処理液とが混ざり合って固液分離処理の性能が劣るという問題も有している。
【0009】
さらに、特許文献1は、被処理液が供給される下部の間隙と、固液分離処理された液体が排出される上部の間隙とは、ガイドブロックの外周面と水平及び垂直のバッフル板の内端面との間の上下の隙間で連通している構造であることと、バッフル板にて上下方向及び周方向に区画された分離室の外側径方向はロータの内周面に閉塞されていることから、隙間を介して供給された被処理液は分離室へすべて移動せず、一部は上下方向の隙間を介して排出用の間隙に流入し、そのため、完全に固液分離処理が行なわれにくいという問題を有している。
【0010】
また、同様に、バッフル板にて上下方向及び周方向に区画された分離室の外側径方向はロータの内周面に閉塞されていることから、固液分離処理された液体が上部の排出用の間隙へと移動しにくく、そのため、全体としての固液分離処理の効率が悪いという問題を有している。
【0011】
さらに、この特許文献1は、密閉型のロータであり、被処理液をロータ内に供給する場合、排出管側から内部を吸引、脱気、負圧によって被処理液を吸引導入しているものであり、大気圧中で被処理液を供給できない構造となっている。
【0012】
特許文献2では、ロータの内周面とコアの外周面との間の空間をコアの外周面より径方向に突設させた隔壁により扇形の空洞部を形成しており、この扇形空洞部に遠心力が働き固液分離処理を行なっているものの、扇形空洞部は上下方向に長く形成されており、そのため、試料流通溝から供給された被処理液が扇形空洞部内で上下方向に撹拌され、液が混ざり合って固液分離処理の性能が劣るという問題を有している。
【0013】
上記特許文献3では、回転筒体の内部を4枚の羽根にて区画しているが、かかる場合も周方向の距離が長く、そのため、上記特許文献1と同様に、固体の周方向の移動距離が長く、径方向の移動が少なく浄化(固液分離処理)が遅れるという問題がある。
しかも、付着したスラッジが凹凸のない均一な層となるように羽根の外側の端面と、回転筒体の内周面との間に隙間を形成しているために、この隙間を介して固体の周方向の移動距離が長くなり、固液分離処理が遅れてしまう。
【0014】
上記特許文献1、2では、固液分離処理が行なわれる分離室や扇形空洞部に対して被処理液が供給される流路と固液分離処理後の液が排出される流路の内径が非常に小さく、また、固液分離処理を行なうべく遠心力は上記分離室や扇形空洞部に働くようになっており、後述するように本発明とは技術思想を異にしている。
また、特許文献1〜3では、構造が複雑であり、その分遠心分離機としてのコストがアップするという問題も有している。
【0015】
本発明は上述の問題点に鑑みて提供したものであって、少なくとも以下の目的を持った遠心分離機を提供するものである。
(1)固液分離処理を行なう浄化流路内で、固体の周方向の移動距離を短く径方向の移動がし易くして浄化(固液分離処理)を早くし、固液分離処理の効率を向上させること。
(2)浄化流路の幅を狭くして、液の流れの方向が中心に向かう径方向のみの一方向に定めて、濃度勾配の乱れを少なくして浄化(固液分離処理)の性能を向上させること。
(3)浄化流路の幅を狭くして、浄化されやすく、また、浄化性能を向上させること。
(4)固液分離処理を行なう構成を簡単にして、安価な遠心分離機を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そこで、本発明の請求項1に記載の遠心分離機では、回転の中心位置にある投入口10から投入された被処理液5が径方向の外方へ向けて供給される供給流路13と、前記供給流路13と連通し該供給流路13からの固体6が混入されている被処理液5が回転の中心方向へと径方向に移動して固液分離処理を行なう浄化流路14と、前記浄化流路14にて浄化された液を径方向の外方へ向けて排出する排出流路16とで開放型の固液分離処理部17を形成し、
前記固液分離処理部17の浄化流路14の周方向の幅を、周方向に少なくとも16分割した幅の寸法とし、前記固液分離処理部17をロータ4として、該ロータ4を回転駆動していることを特徴としている。
【0017】
請求項2に記載の遠心分離機では、前記固液分離処理部17の供給流路13及び浄化流路14は、共に同一平面に並設していることを特徴としている。
【0018】
請求項3に記載の遠心分離機では、前記固液分離処理部17の供給流路13の上層に連通部18を介して前記浄化流路14を設けた2段構成としていることを特徴としている。
【0019】
請求項4に記載の遠心分離機では、前記固液分離処理部17の供給流路13の上層に連通部18を介して前記浄化流路14を設けた2段構成とし、該浄化流路14を回転の中心の方向に高くなるように傾斜していることを特徴としている。
【0020】
請求項5に記載の遠心分離機では、回転の中心位置にある投入口10から投入された被処理液5が径方向の外方へ向けて供給される供給流路13と、前記供給流路13と連通し該供給流路13からの固体6が混入されている被処理液5が回転の中心方向へと径方向に移動して固液分離処理を行なう浄化流路14と、前記浄化流路14にて浄化された液を径方向の外方へ向けて排出する排出流路16とで開放型の固液分離処理部17を形成し、
前記固液分離処理部17の浄化流路14の周方向の幅を、周方向に少なくとも16分割した幅の寸法とし、前記固液分離処理部17を回転の中心に対して両側に配置して、直線状または十字状に配置したロータ4を構成し、該ロータ4を回転駆動していることを特徴としている。
【0021】
請求項6に記載の遠心分離機では、回転の中心位置にある投入口10から投入された被処理液5が径方向の外方へ向けて供給される供給流路13と、前記供給流路13と連通し該供給流路13からの固体6が混入されている被処理液5が回転の中心方向へと径方向に移動して固液分離処理を行なう浄化流路14と、前記浄化流路14にて浄化された液を径方向の外方へ向けて排出する排出流路16とで開放型の固液分離処理部17を形成し、
前記固液分離処理部17の浄化流路14の周方向の幅を、周方向に少なくとも16分割から32分割した範囲の幅の寸法とし、周方向に16分割から32分割した範囲の位置に回転の中心部分から前記固液分離処理部17を放射状にそれぞれ配置したロータ4を構成し、該ロータ4を回転駆動していることを特徴としている。
【0022】
請求項7に記載の遠心分離機では、回転の中心位置にある投入口10から固体6が混入されている被処理液5が投入される略円筒状のロータ4を形成し、
前記ロータ4を周方向に16分割から32分割した範囲の位置に、回転の中心部分から放射状に隔壁51を該ロータ4内にそれぞれ配設し、
隣り合う前記隔壁51の間に、
前記投入口10から投入された被処理液5が径方向の外方へ向けて供給される供給流路13と、前記供給流路13と連通し該供給流路13からの被処理液5が回転の中心方向へと径方向に移動して固液分離処理を行なう浄化流路14と、前記浄化流路14にて浄化された液を径方向の外方へ向けて排出する排出流路16とで開放型の固液分離処理部17をそれぞれ形成していることを特徴としている。
【0023】
請求項8に記載の遠心分離機では、前記被処理液5が供給される第1の供給流路13及び第1の浄化流路14からなる第1の固液分離処理部17を設け、前記第1の浄化流路14にて固液分離処理された液が供給される第2の供給流路13aと、この第2の供給流路13aからの液を更に固液分離処理する第2の浄化流路14aからなる第2の固液分離処理部17aを前記第1の固液分離処理部17の上側に設けていることを特徴としている。
【0024】
請求項9に記載の遠心分離機では、前記固液分離処理部17の供給流路13の下層に連通部18を介して前記浄化流路14を設け、前記浄化流路14の下層に浄化した液を排出する排出流路16を設けていることを特徴としている。
【0025】
請求項10に記載の遠心分離機では、回転の中心位置付近から供給された被処理液5が径方向の外方へ向けて供給される供給流路13と、前記供給流路13と連通し該供給流路13からの固体6が混入されている被処理液5が回転の中心方向へと径方向に移動して固液分離処理を行なう浄化流路14とで開放型の固液分離処理部17を形成し、
前記固液分離処理部17の浄化流路14の周方向の幅を、周方向に少なくとも16分割から32分割した範囲の幅の寸法とし、
周方向に16分割から32分割した範囲の位置に回転の中心部分から前記固液分離処理部17を直線状、十字状、放射状のいずれかの形状でそれぞれ配置して回転駆動されるロータ4を構成し、
一端側に前記ロータ4の中心部分から前記各供給流路13に被処理液5を供給するための供給部71に備え、他端側から前記被処理液5を供給するための供給ポンプ73を介設した供給パイプ70をロータ4の下面側に配設し、
前記ロータ4の中心部分に前記各浄化流路14から固液分離処理された液が排出される排出部76に一端側を配置して、他端側から固液分離処理された液を外部へ排出するための排出ポンプ78を介設した排出パイプ77を前記ロータ4の上面側に配設していることを特徴としている。
【0026】
請求項11に記載の遠心分離機では、前記排出ポンプ78を介設した排出パイプ77の代わりに、サイホンの原理を用いて固液分離処理された液を外部へ排出するサイホン管81を設けていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明の請求項1に記載の遠心分離機によれば、固液分離処理部17の浄化流路14の周方向の幅を、周方向に少なくとも16分割した幅の寸法としているので、供給流路13を経て浄化流路14へ固体6の一部は移動するが、浄化流路14では、該浄化流路14の外側ほど浄化が進まず、回転の中心側ほど浄化が進んでいる。遠心力により固体6は周方向に移動するが浄化流路14の幅が狭いために直ぐに壁20にぶつかって遠心力により外側壁12へ移動していくことで、浄化が進む。浄化流路14の幅が非常に広い場合には、固体6が壁20に当たらずに周方向に移動するので、浄化が遅れることになる。
また、浄化流路14の幅が狭い場合は、液の流れの方向が回転の中心に向かう径方向のみの一方向に定まっているので、被処理液5の固液の濃度勾配の乱れが少ない。すなわち、浄化性能が良い。
また、供給流路13内では被処理液5による攪拌が生じていたが、浄化流路14内では、供給された被処理液による攪拌が起こらず、浄化流路14内で固液分離処理が行なわれ、そのため、浄化性能が良く、固液分離処理された液は排出流路16を経て外部へ排出(回収)される。
また、ロータ4の構成は、供給流路13、浄化流路14及び排出流路16からなる構成としているので、簡単な構成で遠心分離機本体1を製造でき、そのため、安価な遠心分離機を提供することができる。
さらに、浄化流路14の周方向の幅を狭くしていることで、固体6の周方向の移動距離を短くして径方向の移動がし易くしているものであり、そのため、浄化(固液分離処理)が早くなり、固液分離処理の効率を向上させることができる。
【0028】
請求項2に記載の遠心分離機によれば、前記固液分離処理部17の供給流路13及び浄化流路14は、共に同一平面に並設していることで、請求項1の場合と同様の効果を奏するものである。
【0029】
請求項3に記載の遠心分離機によれば、前記固液分離処理部17の供給流路13の上層に連通部18を介して前記浄化流路14を設けた2段構成としているので、請求項1の効果に加えて、浄化性能を劣化させずに、周方向のスペースを有効に活用することができる。すなわち、ベース2の周方向に固液分離処理部17を放射状に配置する場合、多くの固液分離処理部17を配置でき、供給流路13と浄化流路14とを同一平面に並設した場合と比べて全体として被処理液の浄化量を約2倍に向上させることができる。
【0030】
請求項4に記載の遠心分離機によれば、前記固液分離処理部17の供給流路13の上層に連通部18を介して前記浄化流路14を設けた2段構成とし、該浄化流路14を回転の中心の方向に高くなるように傾斜して設けても、請求項1及び請求項3の効果と同様の効果を奏する。
【0031】
請求項5に記載の遠心分離機によれば、前記固液分離処理部17の浄化流路14の周方向の幅を、周方向に少なくとも16分割した幅の寸法とし、前記固液分離処理部17を回転の中心に対して両側に配置して、固液分離処理部17を直線状または十字状に配置しているので、1つの固液分離処理部17の場合と比べて、2倍または4倍の浄化能力を持たせることができる。
また、ロータ4の構成は、供給流路13、浄化流路14及び排出流路16からなる構成としているので、簡単な構成で遠心分離機本体1を製造でき、そのため、安価な遠心分離機を提供することができる。
さらに、浄化流路14の周方向の幅を狭くしていることで、固体6の周方向の移動距離を短くして径方向の移動がし易くしているものであり、そのため、浄化(固液分離処理)が早くなり、固液分離処理の効率を向上させることができる。
【0032】
請求項6に記載の遠心分離機によれば、前記固液分離処理部17の浄化流路14の周方向の幅を、周方向に少なくとも16分割から32分割した範囲の幅の寸法とし、周方向に16分割から32分割した範囲の位置に回転の中心部分から前記固液分離処理部17を放射状にそれぞれ配置しているので、浄化流路14内での被処理液5の固液の濃度勾配の乱れが少なく、また、浄化流路14内での被処理液5が混ざり合うことがなく(流れ場の乱れが無く)、確実に浄化が進み、浄化性能が良い。
また、ロータ4の構成は、供給流路13、浄化流路14及び排出流路16からなる構成としているので、簡単な構成で遠心分離機本体1を製造でき、そのため、安価な遠心分離機を提供することができる。
さらに、浄化流路14の周方向の幅を狭くしていることで、固体6の周方向の移動距離を短くして径方向の移動がし易くしているものであり、そのため、浄化(固液分離処理)が早くなり、固液分離処理の効率を向上させることができる。
【0033】
請求項7に記載の遠心分離機によれば、回転の中心位置にある投入口10から固体6が混入されている被処理液5が投入される略円筒状のロータ4を形成し、前記ロータ4を周方向に16分割から32分割した範囲の位置に、回転の中心部分から放射状に隔壁51を該ロータ4内にそれぞれ配設し、隣り合う前記隔壁51の間に、前記投入口10から投入された被処理液5が径方向の外方へ向けて供給される供給流路13と、前記供給流路13と連通し該供給流路13からの被処理液5が回転の中心方向へと径方向に移動して固液分離処理を行なう浄化流路14と、前記浄化流路14にて浄化された液を径方向の外方へ向けて排出する排出流路16とで開放型の固液分離処理部17をそれぞれ形成しているので、請求項6の効果に加えて、ロータ4の周方向の面積を全面にわたって有効利用でき、被処理液5の浄化量を向上させることができる。
また、ロータ4の構成は、供給流路13、浄化流路14及び排出流路16からなる構成としているので、簡単な構成で遠心分離機本体1を製造でき、そのため、安価な遠心分離機を提供することができる。
さらに、浄化流路14の周方向の幅を狭くしていることで、固体6の周方向の移動距離を短くして径方向の移動がし易くしているものであり、そのため、浄化(固液分離処理)が早くなり、固液分離処理の効率を向上させることができる。
【0034】
請求項8に記載の遠心分離機によれば、前記被処理液5が供給される第1の供給流路13及び第1の浄化流路14からなる第1の固液分離処理部17を設け、前記第1の浄化流路14にて固液分離処理された液が供給される第2の供給流路13aと、この第2の供給流路13aからの液を更に固液分離処理する第2の浄化流路14aからなる第2の固液分離処理部17aを前記第1の固液分離処理部17の上側に設けているので、2つの浄化流路14、14aにより浄化性能を一層向上させることができる。
【0035】
請求項9に記載の遠心分離機によれば、前記固液分離処理部17の供給流路13の下層に連通部18を介して前記浄化流路14を設け、前記浄化流路14の下層に浄化した液を排出する排出流路16を設けている場合でも、請求項1の効果と同様の効果を奏する。
【0036】
請求項10に記載の遠心分離機によれば、浄化流路14内での被処理液5の固液の濃度勾配の乱れが少なく、また、浄化流路14内での被処理液5が混ざり合うことがなく(流れ場の乱れが無く)、確実に浄化が進み、浄化性能が良い。
また、ロータ4の構成は、供給流路13及び浄化流路14からなる構成とし、また、供給パイプ70及び排出パイプ77を加えて遠心分離機本体1を構成しているので、簡単な構成で遠心分離機本体1を製造でき、そのため、安価な遠心分離機を提供することができる。
さらに、浄化流路14の周方向の幅を狭くしていることで、固体6の周方向の移動距離を短くして径方向の移動がし易くしているものであり、そのため、浄化(固液分離処理)が早くなり、固液分離処理の効率を向上させることができる。
また、遠心分離機本体1への被処理液5の供給と、固液分離処理された液の排出は供給ポンプ73及び排出ポンプ78にて行なっているので、連続して自動的に固液分離処理を行なうことができる。
【0037】
請求項11に記載の遠心分離機によれば、固液分離処理された液は自動的にサイホン管81を介して外部へ排出されていき、請求項10のように排出ポンプ78を使用しないので、請求項10の効果に加えて、省エネルギー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(a)(b)は本発明の第1の実施の形態における遠心分離機の平面図及び断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における遠心分離機の他の例を示す平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における遠心分離機のさらに他の例を示す平面図である。
【図4】(a)〜(c)は本発明の第1の実施の形態における供給流路及び浄化流路での被処理液の流れを示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における遠心分離機の別の例を示す断面図である。
【図6】(a)(b)は本発明の第2の実施の形態における遠心分離機の平面図及び断面図である。
【図7】(a)(b)は本発明の第3の実施の形態における遠心分離機の平面図及び断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態における供給流路及び浄化流路での被処理液の流れを示す説明図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態における供給流路及び浄化流路での被処理液の流れを示す説明図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態における供給流路及び浄化流路での被処理液の流れを示す説明図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態における供給流路及び浄化流路での被処理液の流れを示す説明図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態における供給流路及び浄化流路での被処理液の流れを示す説明図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態における浄化流路での浄化作用を示す説明図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態における浄化流路での浄化作用を示す説明図である。
【図15】本発明の実施の形態におけるロータの高速回転時に弁が開くようにした弁装置の断面図である。
【図16】本発明の実施の形態におけるロータの高速回転時に弁が開いた状態を示す弁装置の断面図である。
【図17】本発明の実施の形態におけるロータの低速回転時に弁が開くようにした弁装置の断面図である。
【図18】本発明の実施の形態におけるロータの低速回転時に弁が開いた状態を示す弁装置の断面図である。
【図19】(a)(b)は本発明の第4の実施の形態における遠心分離機の平面図及び断面図である。
【図20】本発明の実施の形態における固液分離処理した液と固体とを回収する場合の遠心分離機の断面図である。
【図21】本発明の第5の実施の形態における遠心分離機の断面図である。
【図22】本発明の第6の実施の形態における遠心分離機の断面図である。
【図23】本発明の第7の実施の形態における遠心分離機の断面図である。
【図24】本発明の第8の実施の形態における遠心分離機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の遠心分離機本体1を示し、図1(a)は遠心分離機本体1の平面図を、図1(b)は断面図をそれぞれ示している。
図1は、後述する遠心分離機の原理的な実施形態を示し、この遠心分離機本体1は、円板状のベース2と、このベース2の下面の中心部に一体的に固着されているシャフト3と、前記ベース2の上面の中心より端部側に固定され、内部を略逆S字状としたロータ4とで構成されている。
【0040】
前記シャフト3は、モータ(図示せず)により直接または間接的に回転駆動され、シャフト3が回転することで、ロータ4はベース2と共に回転して、ロータ4にて被処理液が固液分離処理される。
【0041】
そして、ロータ4は、円筒状または四角筒状のパイプで折曲して形成しており、上端の投入口10から投入された被処理液(矢印参照)が下方に向けて流れる投入流路11と、この投入流路11と連通し被処理液がロータ4の外側壁12の内面に至るまでの供給流路13と、この供給流路13と連通部18を介して連通し該供給流路13の上層に形成されベース2の中心方向に向かって移動してくる液が固液分離処理される浄化流路14と、この浄化流路14と連通し、外側の端部に設けた排出口15から外部へ固液分離処理された液を排出(回収)する排出流路16とで構成されている。なお、上記供給流路13、浄化流路14及び排出流路16とで固液分離処理部17を構成している。
【0042】
ここで、ロータ4の幅は、遠心分離機本体1としての大きさ、つまりベース2の大きさである直径を15cm〜50cm程度の範囲とした場合、ベース2を周方向に16分割〜32分割した場合の幅の寸法としている。
また、以下に示す各実施形態においても、浄化流路14または浄化流路14を含む固液分離処理部17の周方向の幅寸法を、ベース2を周方向に16分割〜32分割した場合の幅の寸法とする。
【0043】
ロータ4を回転させ、投入口10より投入された被処理液5は投入流路11を介して供給流路13に供給され、この供給流路13に被処理液5が流れていき、被処理液5は連通部18を介して浄化流路14へ移動し、該浄化流路14において被処理液5にかかる遠心力により固体と液体とに分離され、遠心力により固体が外側壁12の内面に集積される。そして、固液分離処理された液体が浄化流路14から排出流路16へと流れて、該排出流路16を介して排出口15より外部へ排出される。
【0044】
ここで、供給流路13内では、スラッジ(固体)が混入されている被処理液5が供給されない状態では、遠心力により浄化(固液分離処理)がされるものの、被処理液5は供給流路13内に連続して供給されるために、浄化作用は発揮し得ない。
しかし、被処理液5が連続して供給されている状態で、浄化流路14内においては、遠心力により固液分離処理が行なわれており、供給流路13からの被処理液5に混入しているスラッジが浄化流路14内に移動していっても、遠心力により固液分離処理が行なわれる。そのため、供給流路13内では被処理液5による攪拌が生じていたが、浄化流路14内では供給された被処理液5による攪拌が起こらず、浄化流路14内で浄化され、浄化された液が排出流路16を経て外部へ排出される。
【0045】
このように、本実施形態では、供給流路13内では連続して被処理液5が供給されるために、該供給流路13内では被処理液5が攪拌されるが、浄化流路14内では供給された被処理液5による攪拌が起こらず、浄化流路14内で固液分離処理が行なわれ、そのため、浄化性能が良く、固液分離処理された液は排出流路16を経て外部へ排出(回収)される。
【0046】
図1に示す遠心分離機本体1のロータ4は、被処理液5が供給される供給流路13と、固液分離処理がされる浄化流路14との上下2層構造としていたが、図2及び図3に示すように平面構造としても良い。
図2は、円筒状または四角筒状のパイプで略U字状でロータ4を構成した場合を示し、供給流路13と浄化流路14とは連通部18を介して連通し、浄化流路14は供給流路13に対して同一平面に形成したものである。
【0047】
また、図3は、供給流路13に対して浄化流路14を略180°折曲して形成し、供給流路13と浄化流路14とが平行で且つ同一平面に形成したものである。なお、図2及び図3では、ロータ4の排出流路16は図示省略している。
【0048】
図4はロータ4の浄化流路14の幅が狭い場合における浄化(固液分離処理)がされ易いことや、浄化性能が良い理由を説明するための図である。図4(a)に示すように、被処理液は供給流路13を通り、遠心力により外側壁12側に液及びスラッジ6が移動していき、スラッジ(固体)6(図中の●印)が集積されていく。
【0049】
図4(b)は浄化流路14を示しており、連通部18を介して浄化流路14へスラッジ6の一部は移動する。浄化流路14では、外側壁12側ほど浄化が進まず、図の右側ほど浄化が進んでいる。遠心力によりスラッジ6は周方向に移動するが浄化流路14の幅が狭いために直ぐに壁20にぶつかって遠心力により外側壁12へ移動していくことで、浄化が進む。そのため、固液分離処理の効率を向上させることができる。
浄化流路14の幅が非常に広い場合には、スラッジ6が壁20に当たらずに周方向に移動するので、浄化が遅れることになる。
【0050】
また、図4(c)に示すように、浄化流路14の幅が狭い場合は、液の流れの方向が図の矢印に示すように、中心に向かう径方向のみの一方向に定まっているので、被処理液5の固液の濃度勾配の乱れが少ない。すなわち、浄化性能が良い。
なお、浄化性能が良い等の一層詳細な理由については後述する。
【0051】
また、浄化流路14の幅が狭ければ浄化が進むことや浄化性能が良いということから、供給流路13及び浄化流路14の上下方向の寸法は、特に幅とほぼ同じ寸法だけでなく、例えば、1.5倍〜3倍程度大きい寸法でも良い。
【0052】
なお、図2及び図3では、浄化流路14内でも浄化性能が良く、上述した効果を奏するが、同一平面に供給流路13及び浄化流路14を並設しているために、ベース2の周方向に沿って多数の固液分離処理部17を配設しようとすると、スペース的に有効利用とは言い難い。
そこで、図1、図5に示すように、供給流路13の上側に浄化流路14を配設することで、浄化性能を劣化させずに、周方向のスペースを有効に活用することができる。すなわち、ベース2の周方向に固液分離処理部17を放射状に配置する場合、多くの固液分離処理部17を配置でき、図2及び図3の場合と比べて全体として被処理液の浄化量を約2倍に向上させることができる。
【0053】
図1(b)において、ロータ4の供給流路13に対して浄化流路14を上下に平行に配置していたが、両流路13、14を平行配置することに限定されるものではない。例えば、図5に示すように、供給流路13に対して浄化流路14を斜めに配置するようにしても良い。
また、供給流路13に対する浄化流路14の角度θは、0°〜89°の範囲の任意の角度でも良く、また、供給流路13も斜めに配置するようにしても良い。本実施形態においても、図1の場合と同様の効果を奏する。
【0054】
(第2の実施の形態)
先の実施形態のように、幅の狭い供給流路13及び浄化流路14を有するロータ4をベース2の中心に対して1つだけを配置している場合では、時間単位当たりの被処理液の処理能力の効率が悪い。そこで、図6に示すように、供給流路13、浄化流路14及び排出流路16とで構成される固液分離処理部17を4つ設けたロータ4の形状としても良い。もちろん、十字状のロータ4でなく、直線状のロータ4の形状として、両側にそれぞれ固液分離処理部17を設けたものでも良い。
【0055】
本実施形態におけるロータ4は、中心に投入口10を有し、投入流路11の下部を中心にして四方に被処理液が移動するように固液分離処理部17が設けられている。固液分離処理部17等の構成及び作用は図1の場合と同様である。
したがって、本実施形態において、図1に比較して4倍の固液分離処理の能力があり、固液分離処理の効率を上げることができる。
【0056】
(第3の実施の形態)
図7は第3の実施形態を示し、ロータ4の投入流路11を中心にしてベース2を少なくとも16分割(本実施形態では16分割)するように固液分離処理部17を形成したものである。投入流路11から径方向に外側に向かって形成した固液分離処理部17の構造は、先の実施形態と同様であり、供給流路13、浄化流路14及び排出流路16とで固液分離処理部17が構成される。
【0057】
次に、本実施形態の原理について説明する。なお、先の第1の実施形態、第2の実施形態も原理は同じである。先ず、図8に示すように、遠心分離機本体1を停止させた状態で液面22まで被処理液5を投入口10から図中矢印に示すように投入する。
投入された被処理液5は、投入流路11、供給流路13、浄化流路14及び排出流路16を通って排出口15より固液分離処理部17の外部へ流れ出る。
【0058】
次に、被処理液5の供給を停止してロータ4を回転させると、被処理液5に遠心力が作用し、図9に示すように、供給流路13及び浄化流路14内に被処理液5が残る(図9のドット状の部分)。
この状態で、図10に示すように、ハッチングで示した部分の体積の被処理液5を加えると、遠心力により新たに加えた被処理液5(ハッチングの部分)は、図11に示すように、供給流路13の径方向の外方に向かって進む。そのため、供給流路13及び浄化流路14に残っている被処理液5(ドット状の部分)が移動し、ロータ4の中心側の浄化流路14に残っている被処理液5の一部が浄化流路14から排出流路16へと上方に移動する。そして、この上方へ移動した被処理液5が遠心力により排出流路16を介して排出口15から外部へ排出されることになる。
【0059】
ロータ4を回転させて、上述のように図9の状態から図10に示す新たに被処理液5(ハッチングの部分)を投入し、図11に示す浄化流路14の被処理液5(ドット状の部分)の一部が外部へ排出される間に被処理液5には遠心力が作用していることで、被処理液5内に混濁しているスラッジ6にも遠心力が働いている。
そのため、スラッジ6は図12に示すように遠心力によりロータ4の径方向の外方へと移動し、スラッジ6はロータ4の最外側である外側壁12の内面側に移動してスラッジ6が集積する。
【0060】
ここで、スラッジ(固体)6に作用する力は、スラッジ6の質量mと浄化流路14の半径rに比例し、角速度ωの2乗に比例する。スラッジ6に作用する力、すなわち、遠心力Fは、以下の式で表される。
F=mrω2
そして、浄化流路14内で、「スラッジ6の移動距離>被処理液5の移動距離」ならば、被処理液5は完全に浄化(固液分離)する。しかし、被処理液5の流量を大きくした場合、「スラッジ6の移動距離<被処理液5の移動距離」となれば、完全に浄化できない。そこで、被処理液5の固液分離が完全に出来るように、ロータ4の回転数と浄化流路14の径方向の長さを適宜設定する。
【0061】
次に、浄化流路14の周方向の幅を狭くしていることで、固液分離(浄化)の性能が向上することについて説明する。図13は、浄化流路14の部分を示しており、左側の浄化流路24は、4分割した90°の流路であり、右側の流路は図7に示すのと同様に16分割した場合の幅の狭い浄化流路14である。浄化流路14、24の下層にそれぞれ位置する供給流路13の幅(構造)も浄化流路14、24の幅と同じとしている。
図中のA、B、C、Dの同心円は被処理液5の固液の濃度勾配(A層、B層、C層、D層)を表し、上層の浄化流路14、24であるから、D層が出口付近で最も浄化された箇所である。図中の●がスラッジ(固体)6である。
【0062】
(1)スラッジ(固体)の観点から説明する。
浄化流路14、24において、B層に存在する固体であるスラッジ6に働く力が矢印aとすると、浄化流路24では、周方向の幅が広いために、スラッジ6は直ぐに浄化流路24の側壁に当たらないために、B層内にとどまっている。
浄化流路14では、周方向の幅が狭いために、スラッジ6はB層の側壁にぶつかってA層へ移動し、B層の浄化が進んでいる。
【0063】
このように、周方向の幅が狭い浄化流路14では、スラッジ6の周方向の移動距離が短く、径方向の外方への移動が早く、そのため、浄化されやすくなり、固液分離処理の効率を向上させることができる。
これに対して、周方向の幅が広い浄化流路24では、スラッジ6の周方向の移動距離が長く、径方向の外方への移動が遅く、そのため、浄化が遅れることになる。
【0064】
(2)次に、流れ場の観点から説明する。
図13の右側の浄化流路14では、周方向の幅が狭いために、被処理液5の流れの方向(矢印b)がロータ4の中心に向かう径方向のみの一方向に定まっていて、そのため、被処理液5の固液の濃度勾配のA層、B層、C層、D層の乱れが少ない。すなわち、浄化性能が良い。
左側の浄化流路24は、周方向の幅が広いために、被処理液5の流れの方向(矢印c、d、e)が定まっておらず、被処理液5の固液の濃度勾配が乱れる。すなわち、周方向の幅が狭い浄化流路14の場合と比べて浄化性能が悪い。
【0065】
すなわち、浄化流路14は、周方向の幅が狭いために、被処理液5はA層、B層、C層、D層へと順に移動するので、流れ場の乱れが無く(被処理液5が混ざり合うことが無く)、確実に浄化が進むことになる。
これに対して、浄化流路24は、周方向の幅が広い通路のため、供給流路13から浄化流路24へ移動する連通部18からロータ4の回転中心付近の出口まで移動するときの流れ場が周方向の幅が狭い浄化流路14のようにはならないので、浄化流路24内で被処理液5が混ざり合って浄化の性能が劣る。
【0066】
(3)被処理液の供給時に供給流路13での液体の挙動が360°一様でない場合について説明する。
被処理液5の供給時に供給流路13での液体の挙動が360°一様でない場合、その影響が浄化流路14に及び、浄化流路14でロータ4の中心への流れの乱れ、すなわち、速い遅いが生じる。そのため、周方向の幅が広い浄化流路24では、浄化流路24内で液体が混ざり合って浄化の性能が劣る。
しかし、周方向の幅が狭い浄化流路14では、ロータ4の中心への流れの乱れ、すなわち、速い遅いが生じても、一旦それぞれの流路(浄化流路14)に入ってしまえば、液体がロータ4の中心に真っ直ぐ向かうので、浄化が進むのであり、浄化性能が良い。
【0067】
次に、図14により供給流路13及び浄化流路14内での径方向の浄化作用について説明する。図14において○は水を示し、●は固体であるスラッジ6を示している。新たに被処理液5が供給されない場合は、被処理液5の水は、A線より左側で移動はないが、被処理液5に混濁しているスラッジ6のbとdは遠心力により左側に移動する。このとき、供給流路13内の水cに作用するベクトルv3と浄化流路14内の水aに作用するベクトルv1は水同士互いにつながっているので相殺し、水は移動しない。
新たに被処理液5(ハッチングの部分)が投入されると、新たな水eのベクトルv5によってすべての水a、cと固体(スラッジ6)b、dが移動する。なお、図中の矢印は、ベクトルを表しており、ベクトルの長さは、水、固体それぞれに作用する力の大きさを表しており、水より密度が大である固体b、dには水より大きいベクトルが作用している。また、ベクトルの矢印は作用する力の方向を示す。
【0068】
新たに加えられた水eのベクトルv5が各水a、cと固体b、dに作用し、供給流路13内の水cに作用するベクトルv3は浄化流路14の水aのベクトルv1と相殺されているが、ベクトルv5により左方へ移動し、また、供給流路13内の固体dはベクトルv4にベクトルv5が加わって左方へ移動する。
また、浄化流路14内の水aにはベクトルv1は相殺されて無いに等しいが、ベクトルv5が右の方向に加わって右方へ移動して排出され、浄化流路14内の固体bは、ベクトルv2とベクトルv5の差で左方へ移動する。これにより、新たな水eのベクトルv5の力により浄化流路14内の固体は左方へ移動し、水は右方へ移動することで、浄化流路14内で固液分離が行なわれ、固液分離された水は浄化流路14から外部へ排出される。
【0069】
このように本実施形態では、浄化流路14内での被処理液5の固液の濃度勾配の乱れが少なく、また、浄化流路14内での被処理液5が混ざり合うことがなく(流れ場の乱れが無く)、確実に浄化が進み、浄化性能が良い。
【0070】
次に、固液分離処理部17の外側壁12の内面に集積されたスラッジ6を外部へ排出する手段について説明する。図15はロータ4の高速回転時に弁が開いてスラッジ6を外部へ排出するようにした弁装置30の断面図を示している。
【0071】
ロータ4の外側壁12の肉厚を厚くし、この外側壁12に両側に貫通する略くさび状または円錐状の排出孔28を穿孔している。そして、弁装置30は、前記排出孔28に外側壁12の外側から挿入及び離脱自在として先端を略くさび形状または円錐状のノズル31と、外側壁12の側面に固定されている略コ字型の支持体32と、この支持体32の内面とノズル31の基部の端面との間に介装されている圧縮バネ33と、ノズル31の基部と外側壁12との間に斜めに架橋されている2つの圧縮バネ34、35とで構成されている。
【0072】
ロータ4が停止している場合や、固液分離処理を行なうべく所定の回転数で回転させている状態では、圧縮バネ33の付勢力によりノズル31は外側壁12の排出孔28に挿入密着しており、排出孔28はノズル31により完全に閉じている状態となっている。
ここで、圧縮バネ33によりノズル31を押す力kx(k:定数、x:圧縮長さ)と、質量Mのノズル31に働く遠心力Mrω2 (r:回転半径、ω:角速度)との関係において、kx>Mrω2 の場合に、図15に示すように排出孔28は閉じられている。
【0073】
固液分離処理を行なっているロータ4の回転数より、さらにロータ4を高速回転させて、上記の式で、kx<Mrω2 が成立した時に、図16に示すように、ノズル31に作用する遠心力が圧縮バネ33が押す力に打ち勝ち、ノズル31は外方へ移動することで、排出孔28が開き、この開いた排出孔28から遠心力により外側壁12内のスラッジ6が外部へ排出されることになる。
そして、集積されたスラッジ6が排出されたであろう時間の経過後に、ロータ4の回転を低速へ、あるいは停止させることで、図15に示すように、ノズル31が排出孔28に挿入され、排出孔28が閉じられる。
【0074】
なお、上記番号の34、35は、圧縮バネとしているが、引っ張りバネでも良く、また、無くても良い。
【0075】
図17は他の弁装置40の実施形態を示し、ロータ4が低速回転の場合に開くようにしたものである。図17に示すように、外側壁12に穿孔した略くさび形状または円錐状の排出孔28の形状は図15の場合とは逆方向であり、浄化流路14側の径の方が外側より大きく形成されている。
この実施形態の弁装置40は、前記排出孔28に外側壁12の内側から挿入及び離脱自在として先端を略くさび形状または円錐状のノズル41と、供給流路13と浄化流路14とを上下に区画している区画部42の先端側の端面と前記ノズル41の基部の端面との間に介装している圧縮バネ43と、外側壁12の内面とノズル41の基部の周囲に形成したフランジ44との間に介装している圧縮コイルバネ45とで構成されている。なお、圧縮コイルバネ45は、ノズル41の外周面に装着されている。
【0076】
固液分離処理を行なっている状態でのロータ4の回転では、角速度ωが大となって、上記の式kx<Mrω2 が成立し、圧縮コイルバネ45がノズル41を右方へ押す力よりも、ノズル41に作用する遠心力の方が大きくなり、ノズル41は排出孔28に挿入密着し、排出孔28は完全に閉じる。
そして、固液分離処理を行なうロータ4の回転速度より遅くなると、ωが小さくなり、上記の式は、kx>Mrω2 となり、圧縮コイルバネ45がノズル41を右方に押す力がノズル41に働く遠心力より大きくなり、図18に示すように、ノズル41は排出孔28から離脱し、排出孔28は開く。
【0077】
排出孔28が開くことで、ロータ4の低速回転による遠心力が外側壁12の内側に集積しているスラッジ6に働き、スラッジ6は排出孔28から外部へ排出されることになる。
スラッジ6の排出後に、ロータ4を回転させて固液分離処理を行なうべく回転速度になると、ノズル41は排出孔28に挿入されて、図17に示すように完全に閉じられる。
【0078】
なお、図17における圧縮バネ43は、引っ張りバネを用いることも可能である。また、図15及び図17に示す弁装置30、40は、図2及び図3に示す遠心分離機本体1にも適用することができる。
また、図示例では弁装置30、40を一箇所に設けた場合を示していたが、もちろん、任意の数の弁装置30、40をロータ4の周囲に設けるようにしている。
【0079】
また、弁装置30、40を用いずに、ロータ4の外側壁12の肉厚を薄くし、該外側壁12の周面に多数の穴をあけて、この穴からスラッジ6を遠心力により排出するようにしても良い。この場合は、穴の径はスラッジ6の粒径より少し大きくしておく。例えば、ワイヤ放電加工の場合では、穴の径は0.1mm程度である。また、この穴から被処理液が多く排出される可能性もあるので、穴径はあまり大きくはしないようにする。
また、ロータ4の外側壁12に電磁バルブを装着し、スラッジ6の排出の時に電磁バルブを開放してスラッジ6の排出を行なうようにしても良い。この場合、投入口10からの被処理液の投入は停止する。また、上記電磁バルブの代わりに、遠心クラッチ式のバルブを用いても良い。
【0080】
(第4の実施の形態)
図19に第4の実施形態における遠心分離機本体1を示す。図7では、投入口10を中心に固液分離処理部17を放射状に形成していたが、図7に示すように、隣り合う固液分離処理部17の間のスペースがあいている状態となっている。
そこで、本実施形態では、ロータ4の全面にわたって有効に使うようにしたものであり、投入口10を中心にして隔壁51を放射状に外方へ向けて形成し、該16枚の隔壁51によりロータ4を少なくとも16分割(本実施形態では、16分割)して、16の固液分離処理部17を形成したものである。
【0081】
遠心分離機本体1の各固液分離処理部17の構成は、図7の場合と同様であり、図19(b)に示すように、遠心分離機本体1の軸方向と同方向にベース2上に立設された隔壁51により供給流路13、浄化流路14及び排出流路16が上下方向に形成されている。
そして、固液分離処理部17を構成している供給流路13、浄化流路14及び排出流路16は、上から見た場合は図19に示すように扇形に形成された構成となっている。
【0082】
本実施形態では、各固液分離処理部17の外側は、図7に示す固液分離処理部17の場合と比べて周方向の幅が広くなっているが、固液分離処理部17を周方向に少なくとも16分割していることで、浄化性能が図7の場合と比べて特に劣るということもない。
本実施形態の固液分離処理部17は、扇形としていることで、外側に至るほど周方向の幅が広くなっているので、周方向の面積を有効に活用でき、ロータ4の回転数が図7の場合と同じとしても、図7の場合と比べて被処理液5の処理能力(浄化量)を向上させることができる。
【0083】
図7及び図19においては、遠心分離機本体1の周方向に沿って16の固液分離処理部17、あるいは16分割して固液分離処理部17を形成していたが、遠心分離機本体1の径方向の大きさにもよるが、16分割から32分割の範囲内で適宜固液分離処理部17を形成することができる。
【0084】
図20は、遠心分離機本体1により固液分離処理した液とスラッジ6とをそれぞれ個別に回収するための構造を示している。上面を開口した円筒状の筐体53の底部54の中央部にはシャフト3を介してロータ4を回転させるモータ55が配設されており、シャフト3とロータ4には三角で示した軸受56、57が設けられている。
【0085】
筐体53の側壁60の内周面には液回収部61と、固体回収部62が設けられている。液回収部61は上面を開口し断面を略コ字型としており、リング状に形成されていて、ロータ4の外周面より少し外側に位置し、且つ固液分離処理部17の排出口15より少し下方に配置されている。
また、固体回収部62も上面が開口し断面を略コ字型として、リング状に形成されており、ロータ4の外周面より少し外側に位置し、且つ固液分離処理部17の弁装置30より少し下方に配置されている。なお、弁装置30は一例として図15に示すのを示しているが、図17に示す弁装置40でも良いことはもちろんである。
【0086】
遠心分離機本体1のモータ55を駆動してロータ4を回転させ、投入口10より被処理液を投入していくことで、上述したように固液分離処理部17の浄化流路14にて固液分離処理が行なわれ、浄化された液は排出流路16を介して排出口15より排出され、この排出口15から排出された液は液回収部61にて回収される。
ここで、投入口10より投入される被処理液は、手動で投入可能であり、被処理液の量はロータ4の回転速度や、固液分離処理部17の径方向の長さに応じて適宜設定できる。また、開放型のロータ4であるため、遠心分離機本体1の構造を密閉式などの従来例と比べて簡単にできる。
【0087】
遠心分離機本体1を一定の時間駆動していることで、固液分離処理部17の外側壁12の内側には多くのスラッジ6が集積されてくる。そこで、所定の時間の経過後に、弁装置30であれば、ロータ4を現在の回転速度より高速回転させて、弁装置30を開いて、スラッジ6が固体回収部62にて回収される。
また、弁装置40であれは、ロータ4を現在の回転速度より低速回転させて、弁装置40を開いて、スラッジ6が固体回収部62にて回収される。
【0088】
(第5の実施の形態)
図21は第5の実施形態を示し、浄化性能を一層向上させたものである。すなわち、固液分離処理部17を上下方向に2段設けたものであり、下段の供給流路13及び浄化流路14で構成される固液分離処理部17の上段に各流路と連通するように供給流路13a、浄化流路14a及び排出流路16aからなる固液分離処理部17aを配置したものである。
【0089】
投入口10から投入された被処理液は、下段の固液分離処理部17の浄化流路14で浄化され、さらにこの浄化流路14を経て上段の固液分離処理部17aの供給流路13aに液が移動し、されに上段の浄化流路14aにて液が浄化される。浄化流路14aで浄化された液は排出流路16を経て移動し、排出口15aから外部へ排出される。
【0090】
このように、本実施形態では、固液分離処理部17、17aを2段で構成し、各固液分離処理部17、17aの浄化流路14、14aにて固液分離処理を行なっているので、浄化性能を一層向上させることができる。なお、固液分離処理部17を複数層設けるようにしても良い。
【0091】
なお、図21では、固液分離処理部17を上下方向に2段設けていたが、図2及び図3の場合に適用する場合には、水平方向に固液分離処理部17を2段設ける。この水平方向に2段設けた固液分離処理部17を遠心分離機本体1の周方向に沿って複数設けてもよいことはもちろんである。
かかる場合にも浄化性能を一層向上させることができる。
【0092】
(第6の実施の形態)
図22は第6の実施形態を示し、先の各実施形態では、固液分離処理部17の排出流路16を浄化流路14の上側に設けていたが、本実施形態では、排出流路16を固液分離処理部17の下側に設けたものである。
本実施形態では、上側に供給流路13を設け、この供給流路13の下側に浄化流路14を設け、さらにこの浄化流路14の下側に排出流路16を設けたものである。浄化機能及び浄化性能は先の実施形態と同様である。また、かかる構造の固液分離処理部17を図21の場合と同様に2段構成にして、浄化性能を一層向上させるようにしても良い。
【0093】
なお、上記各実施形態において、ロータ4の構成は、投入流路11、供給流路13、浄化流路14及び排出流路16からなる構成としているので、従来例の密閉型の遠心分離機の場合と比べて、簡単な構成で遠心分離機本体1を製造でき、そのため、安価な遠心分離機を提供することができる。
また、前記弁装置30、40、液回収部61、固体回収部62は各実施形態における遠心分離機本体1に適用できるものである。さらに、液回収部61にて回収した液は、浄化性能が良いために、回収した液自体を直ぐに切削加工や、ワイヤ放電加工用のクーラント液として使用できる。
【0094】
(第7の実施の形態)
図23は第7の実施形態を示し、ロータ4の下部から被処理液5を供給し、ロータ4の上部から固液分離処理した液を排出(回収)するようにしたものであり、電動で自動的に被処理液5の供給と、固液分離処理された液を排出するようにしたものである。
また、固液分離処理部17は、直線状、十字状や、図7に示すような少なくとも16分割して複数形成されている。
【0095】
ベース2の中央部には穴64が穿孔されており、この穴64の下側に円筒状のシャフト3aが設けられている。そして、このシャフト3aは上下の軸受65、66にて軸支されており、シャフト3aはベルト67を介してモータ68と連結されている。
モータ68が回転することでベルト67を介してシャフト3aが回転駆動され、シャフト3aと一体化しているベース2が回転し、これによりロータ4が回転駆動される。
【0096】
略く字型に折曲形成した供給パイプ70の一端側はシャフト3a及びベース2の穴64を貫通し、先端部は断面を略T字状に形成した供給部71が設けられている。この供給部71は、図7に示す遠心分離機本体1に対応した場合には、円盤状に形成され、各固液分離処理部17の供給流路13に臨む形で供給部71の先端に供給口72がそれぞれ形成されている。
また、供給パイプ70の他端側には被処理液5をロータ4側に供給するための供給ポンプ73が介設されている。なお、供給ポンプ73の他端は、被処理液5を貯溜した槽(図示せず)に浸かっていて、供給ポンプ73を駆動することで槽内の被処理液5を吸い上げてロータ4側へ供給するようになっている。
【0097】
また、浄化流路14は、供給流路13に対して傾斜して形成されているが、図6に示すように、浄化流路14を供給流路13に対して上下に平行に設けるようにしても良い。
ロータ4の回転中心部分に対応した浄化流路14の先端側は、各浄化流路14の先端側の排出部分は連通しており、この部分を排出部76とする。そして、この排出部76に排出パイプ77の一端側が配置されており、排出パイプ77の他端側には固液分離処理した液を外部へ排出(回収)するための排出ポンプ78が介設されている。
【0098】
しかして、供給ポンプ73を駆動して槽内の被処理液5は供給パイプ70内へ供給され、供給パイプ70の先端に設けた供給部71の各供給口72からロータ4の各供給流路13へ被処理液5がそれぞれ供給される。ロータ4はモータ68にてベルト67を介して回転駆動され、供給流路13内では上述したように被処理液5が径方向の外方に向かって移動していく。
供給ポンプ73にて被処理液5が連続して供給流路13へ供給されていき、被処理液5が供給された量だけ浄化流路14内では遠心力に抗して浄化された液が排出部76に向かって移動する。
【0099】
浄化流路14にて浄化された液は、排出部76へと移動し、この排出部76内に配置されている排出パイプ77を介して外部へ排出される。
また、固液分離処理部17にて固液分離処理されたスラッジ6は、上記と同様に外側壁12の内面に集積されていき、所定の時間の経過後に弁装置30または弁装置40にて外部へ排出される。
【0100】
なお、本実施形態では、浄化流路14またはこの浄化流路14を含めた固液分離処理部17の周方向の幅を16分割から32分割の範囲の幅で構成するようにしても良く、浄化流路14内でも固液分離処理の働きは上記実施形態と同様である。
したがって、浄化流路14内での被処理液5の固液の濃度勾配の乱れが少なく、また、浄化流路14内での被処理液5が混ざり合うことがなく(流れ場の乱れが無く)、確実に浄化が進み、浄化性能が良い。
【0101】
また、ロータ4の構成は、供給流路13及び浄化流路14からなる構成とし、また、供給パイプ70及び排出パイプ77を加えて遠心分離機本体1を構成しているので、簡単な構成で遠心分離機本体1を製造でき、そのため、安価な遠心分離機を提供することができる。
【0102】
さらに、浄化流路14の周方向の幅を狭くしていることで、スラッジ6の周方向の移動距離を短くして径方向の移動がし易くしているものであり、そのため、浄化(固液分離処理)が早くなり、固液分離処理の効率を向上させることができる。
また、遠心分離機本体1への被処理液5の供給と、固液分離処理された液の排出は供給ポンプ73及び排出ポンプ78にて行なっているので、連続して自動的に固液分離処理を行なうことができる。
【0103】
(第8の実施の形態)
次に、第8の実施形態を図24により説明する。本実施形態は、固液分離処理された液の排出手段として図23に示す排出ポンプ78及び排出パイプ77の代わりにサイホン管81を用いたものである。
このサイホン管81は、周知のようにサイホンの原理を用いて固液分離処理された液を自動的に排出するようにしたものであり、サイホン管81の一端側をロータ4の排出部76に位置させ、サイホン管81の他端側を外部に位置させている。
【0104】
略S字状に形成したサイホン管81の一端側の入力端82と他端側の出力端83とは高さ位置を同じ位置に配置し、予めサイホン管81内には液を充填させておく。そして、入力端82の位置より液が高い位置にある場合には液の重力によりサイホン管81内の液が外部へ排出されることになる。
これにより、固液分離処理された液は自動的にサイホン管81を介して外部へ排出されていき、図23の場合と比べて排出ポンプ78を使用しないので、第7の実施形態の効果に加えて、省エネルギー化を図ることができる。
【0105】
なお、上記第7、第8の実施形態においては、供給流路13及び浄化流路14にて固液分離処理部17を構成している。
【0106】
さらに、上記各実施形態において、浄化流路14の周方向の幅を狭くしていることで、スラッジ6の周方向の移動距離を短くして径方向の移動がし易くしているものであり、そのため、浄化(固液分離処理)が早くなり、固液分離処理の効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0107】
1 遠心分離機本体
2 ベース
3 シャフト
4 ロータ
5 被処理液
6 スラッジ(固体)
10 投入口
11 投入流路
12 外側壁
13 供給流路
13a 第2の供給流路
14 浄化流路
14a 第2の浄化流路
15 排出口
16 排出流路
17 固液分離処理部
17a 第2の固液分離処理部
18 連通部
51 隔壁
70 供給パイプ
71 供給部
73 供給ポンプ
76 排出部
77 排出パイプ
78 排出ポンプ
81 サイホン管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転の中心位置にある投入口(10)から投入された被処理液(5)が径方向の外方へ向けて供給される供給流路(13)と、前記供給流路(13)と連通し該供給流路(13)からの固体(6)が混入されている被処理液(5)が回転の中心方向へと径方向に移動して固液分離処理を行なう浄化流路(14)と、前記浄化流路(14)にて浄化された液を径方向の外方へ向けて排出する排出流路(16)とで開放型の固液分離処理部(17)を形成し、
前記固液分離処理部(17)の浄化流路(14)の周方向の幅を、周方向に少なくとも16分割した幅の寸法とし、
前記固液分離処理部(17)をロータ(4)として、該ロータ(4)を回転駆動していることを特徴とする遠心分離機。
【請求項2】
前記固液分離処理部(17)の供給流路(13)及び浄化流路(14)は、共に同一平面に並設していることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離機。
【請求項3】
前記固液分離処理部(17)の供給流路(13)の上層に連通部(18)を介して前記浄化流路(14)を設けた2段構成としていることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離機。
【請求項4】
前記固液分離処理部(17)の供給流路(13)の上層に連通部(18)を介して前記浄化流路(14)を設けた2段構成とし、該浄化流路(14)を回転の中心の方向に高くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離機。
【請求項5】
回転の中心位置にある投入口(10)から投入された被処理液(5)が径方向の外方へ向けて供給される供給流路(13)と、前記供給流路(13)と連通し該供給流路(13)からの固体(6)が混入されている被処理液(5)が回転の中心方向へと径方向に移動して固液分離処理を行なう浄化流路(14)と、前記浄化流路(14)にて浄化された液を径方向の外方へ向けて排出する排出流路(16)とで開放型の固液分離処理部(17)を形成し、
前記固液分離処理部(17)の浄化流路(14)の周方向の幅を、周方向に少なくとも16分割した幅の寸法とし、
前記固液分離処理部(17)を回転の中心に対して両側に配置して、直線状または十字状に配置したロータ(4)を構成し、該ロータ(4)を回転駆動していることを特徴とする遠心分離機。
【請求項6】
回転の中心位置にある投入口(10)から投入された被処理液(5)が径方向の外方へ向けて供給される供給流路(13)と、前記供給流路(13)と連通し該供給流路(13)からの固体(6)が混入されている被処理液(5)が回転の中心方向へと径方向に移動して固液分離処理を行なう浄化流路(14)と、前記浄化流路(14)にて浄化された液を径方向の外方へ向けて排出する排出流路(16)とで開放型の固液分離処理部(17)を形成し、
前記固液分離処理部(17)の浄化流路(14)の周方向の幅を、周方向に少なくとも16分割から32分割した範囲の幅の寸法とし、
周方向に16分割から32分割した範囲の位置に回転の中心部分から前記固液分離処理部(17)を放射状にそれぞれ配置したロータ(4)を構成し、該ロータ(4)を回転駆動していることを特徴とする遠心分離機。
【請求項7】
回転の中心位置にある投入口(10)から固体(6)が混入されている被処理液(5)が投入される略円筒状のロータ(4)を形成し、
前記ロータ(4)を周方向に16分割から32分割した範囲の位置に、回転の中心部分から放射状に隔壁(51)を該ロータ(4)内にそれぞれ配設し、
隣り合う前記隔壁(51)の間に、
前記投入口(10)から投入された被処理液(5)が径方向の外方へ向けて供給される供給流路(13)と、前記供給流路(13)と連通し該供給流路(13)からの被処理液(5)が回転の中心方向へと径方向に移動して固液分離処理を行なう浄化流路(14)と、前記浄化流路(14)にて浄化された液を径方向の外方へ向けて排出する排出流路(16)とで開放型の固液分離処理部(17)をそれぞれ形成していることを特徴とする遠心分離機。
【請求項8】
前記被処理液(5)が供給される第1の供給流路(13)及び第1の浄化流路(14)からなる第1の固液分離処理部(17)を設け、前記第1の浄化流路(14)にて固液分離処理された液が供給される第2の供給流路(13a)と、この第2の供給流路(13a)からの液を更に固液分離処理する第2の浄化流路(14a)からなる第2の固液分離処理部(17a)を前記第1の固液分離処理部(17)の上側に設けていることを特徴とする請求項1、請求項3〜請求項7のいずれかに記載の遠心分離機。
【請求項9】
前記固液分離処理部(17)の供給流路(13)の下層に連通部(18)を介して前記浄化流路(14)を設け、前記浄化流路(14)の下層に浄化した液を排出する排出流路(16)を設けていることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離機。
【請求項10】
回転の中心位置付近から供給された被処理液(5)が径方向の外方へ向けて供給される供給流路(13)と、前記供給流路(13)と連通し該供給流路(13)からの固体(6)が混入されている被処理液(5)が回転の中心方向へと径方向に移動して固液分離処理を行なう浄化流路(14)とで開放型の固液分離処理部(17)を形成し、
前記固液分離処理部(17)の浄化流路(14)の周方向の幅を、周方向に少なくとも16分割から32分割した範囲の幅の寸法とし、
周方向に16分割から32分割した範囲の位置に回転の中心部分から前記固液分離処理部(17)を直線状、十字状、放射状のいずれかの形状でそれぞれ配置して回転駆動されるロータ(4)を構成し、
一端側に前記ロータ(4)の中心部分から前記各供給流路(13)に被処理液(5)を供給するための供給部(71)に備え、他端側から前記被処理液(5)を供給するための供給ポンプ(73)を介設した供給パイプ(70)をロータ(4)の下面側に配設し、
前記ロータ(4)の中心部分に前記各浄化流路(14)から固液分離処理された液が排出される排出部(76)に一端側を配置して、他端側から固液分離処理された液を外部へ排出するための排出ポンプ(78)を介設した排出パイプ(77)を前記ロータ(4)の上面側に配設している
ことを特徴とする遠心分離機。
【請求項11】
前記排出ポンプ(78)を介設した排出パイプ(77)の代わりに、サイホンの原理を用いて固液分離処理された液を外部へ排出するサイホン管(81)を設けていることを特徴とする請求項10に記載の遠心分離機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−92798(P2011−92798A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246012(P2009−246012)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(598088240)京滋興産株式会社 (2)
【出願人】(504255685)国立大学法人京都工芸繊維大学 (203)
【Fターム(参考)】