説明

遠隔操作型アクチュエータ

【課題】 細長形状のガイド部の先端に設けられた把持具の姿勢を遠隔操作で変更することができ、その遠隔操作機構は比較的簡単な構成であり、かつガイド部の形状を問わない遠隔操作型アクチュエータを提供する。
【解決手段】 細長形状のガイド部3と、その先端に姿勢変更自在に取付けられた先端部材2と、先端部材2に設けられた開閉式の把持具1と、先端部材2に回転自在に設けられた回転部材13と、回転部材13の回転動作を把持具1の開閉動作に変換する回転・開閉変換機構14とを備える。ガイド部3は、回転部材13に回転を伝達する回転軸22と、両端に貫通したガイド孔30aとを内部に有する。先端が先端部材2に接して進退動作することにより先端部材2を姿勢変更させる姿勢操作部材31をガイド孔30a内に進退自在に挿通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医療用等の用途で用いられ、開閉式把持具の開閉操作および姿勢変更を遠隔操作で行える遠隔操作型アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡下外科手術では、患者の体表に複数個の小さな穴を開け、これらの穴に取付けた筒状のトラカールに内視鏡、手術器具等を挿通して処置を行う。この内視鏡下外科手術に使用される手術器具の一つに、細長い筒状のガイド部の先端に鋏状の開閉式把持具を設けた把持用手術器具がある。把持用手術器具は、把持具によって血管、神経、患部組織等を把持するものであり、把持具の開閉等を手元で遠隔操作できるようになっている(例えば特許文献1、2)。特許文献1のものは、手動により、把持具の開閉動作の他、把持具の2軸方向の姿勢変更動作、および中心軸回りの回転動作を行える。特許文献2のものは、モータ等を動力源として、把持具の開閉動作の他、把持具の2軸方向の姿勢変更動作を行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−154164号公報
【特許文献2】特開2005−169011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の把持用手術器具は、ガイド部に対して把持具を屈曲させることはできるが、ガイド部自体は真っ直ぐなものに限られていた。それは、ガイド部の内部に把持具の各種操作のためのシャフトやリンクが挿通されているため、構造的にガイド部を真っ直ぐに保つ必要があったからである。
【0005】
しかし、体表に開けられる穴の数を最小限に抑えるためには、ガイド部が真っ直ぐではなく、湾曲している方が良い場合がある。ガイド部が真っ直ぐであると、穴から離れた箇所を処置するときに、ガイド部が処置箇所以外の部位に接触する可能性があるが、ガイド部が湾曲していれば、処置箇所以外の部位との接触を回避することができる。つまり、ガイド部が湾曲している方が、真っ直ぐであるよりも、一つの穴に対する処置範囲を広くとることができる。
【0006】
この発明は、細長形状のガイド部の先端に設けられた把持具の姿勢を遠隔操作で変更することができ、その遠隔操作機構が比較的簡単な構成であり、かつガイド部の形状を問わない遠隔操作型アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる遠隔操作型アクチュエータは、細長形状のガイド部と、このガイド部の先端に先端部材連結部を介して姿勢変更自在に取付けられた先端部材と、この先端部材に設けられた開閉式の把持具と、前記先端部材に回転自在に設けられた回転部材と、前記回転部材の回転動作を前記把持具の開閉動作に変換する回転・開閉変換機構と、前記回転部材に回転力を与える把持用駆動源と、前記先端部材の姿勢を操作する姿勢変更用駆動源とを備える。前記ガイド部は、前記把持用駆動源の回転を前記回転部材に伝達する回転軸と、両端に貫通したガイド孔とを内部に有し、先端が前記先端部材に接して進退動作することにより前記先端部材を姿勢変更させる姿勢操作部材を前記ガイド孔内に進退自在に挿通し、この姿勢操作部材を前記姿勢変更用駆動源で進退動作させることを特徴とする。姿勢操作部材として、可撓性を有する材料を用いることができる。
【0008】
この構成によれば、把持用駆動源により回転軸を介して回転部材を回転させると、この回転部材の回転が回転・開閉変換機構により把持具の開閉動作に変換されて、把持具が開閉する。開閉する把持具で、被把持物の把持および解放が行われる。また、姿勢変更用駆動源により姿勢操作部材を進退させると、この姿勢操作部材の先端が先端部材に対し作用することにより、ガイド部の先端に先端部材連結部を介して姿勢変更自在に取付けられた先端部材が姿勢変更する。姿勢操作部材はガイド孔に挿通されているため、姿勢操作部材が長手方向と交差する方向に位置ずれすることがなく、常に先端部材に対し適正に作用することができ、先端部材の姿勢変更動作が正確に行われる。姿勢操作部材が可撓性を有する場合は、ガイド部が湾曲した形状でも姿勢変更動作が確実に行われる。把持用駆動源および姿勢変更用駆動源は、先端部材から離れた位置に設けられており、上記把持具の開閉および先端部材の姿勢変更は遠隔操作で行われる。
【0009】
この発明において、前記ガイド部は湾曲した箇所を有していてもよい。
姿勢操作部材を可撓性のものとすることで、ガイド部に湾曲した箇所があってもガイド孔内で進退させることが可能になる。
【0010】
この発明において、前記把持用駆動源および前記姿勢変更用駆動源の両方またはいずれか一方を、前記ガイド部の基端が結合された駆動部ハウジング内に設けてもよい。
把持用駆動源および姿勢変更用駆動源の両方またはいずれか一方を駆動部ハウジング内に設ければ、駆動部ハウジングの外部に設けられる部品点数を減らして、遠隔操作型アクチュエータ全体の構成を簡略にできる。
【0011】
また、前記把持用駆動源および前記姿勢変更用駆動源を、前記ガイド部の基端が結合された駆動部ハウジング外に設けてもよい。
把持用駆動源および姿勢変更用駆動源を駆動部ハウジング外に設ければ、駆動部ハウジングを小型化できる。そのため、駆動部ハウジングを持って遠隔操作型アクチュエータを操作する際の取扱性を向上させられる。
【0012】
前記把持用駆動源および前記姿勢変更用駆動源の両方またはいずれか一方を、前記ガイド部の基端が結合された駆動部ハウジング外に設ける場合、前記把持用駆動源および前記姿勢変更用駆動源のうち前記駆動部ハウジング外に設けた駆動源の駆動力を、前記回転軸または前記姿勢操作部材へ可撓性ケーブルで伝達するのが良い。
駆動部ハウジング外に設けた駆動源の駆動力を、回転軸または姿勢操作部材へ可撓性ケーブルで伝達すれば、駆動部ハウジング外に設けた駆動源と駆動部ハウジングとの位置関係についての融通性が高く、遠隔操作型アクチュエータを操作しやすい。
【0013】
この発明において、前記先端部材連結部は、前記ガイド部側の案内部と前記先端部材側の被案内部とが、前記回転部材の中心線上に曲率中心が位置する球面状または円筒状の案内面で接する場合、前記回転部材と前記回転軸との連結箇所の中心が前記案内面の曲率中心と同位置であるのが良い。
回転部材と回転軸との連結箇所の中心が案内面の曲率中心と同位置であると、先端部材の姿勢変更によって回転軸に対して押し引きする力がかからないので、先端部材が円滑に姿勢変更できる。
【0014】
この発明において、前記姿勢変更用駆動源の動作量を検出する動作量検出器を設け、この動作量検出器の検出値から前記先端部材の姿勢を検出する姿勢検出手段を設けるのが良い。
この構成によれば、姿勢検出手段の検出結果に基づき適正な先端部材姿勢制御を行うことができる。
【0015】
この発明において、前記把持用駆動源が電動アクチュエータである場合には、この電動アクチュエータへの供給電力を計測して前記把持具の把持力を検出する把持力検出手段を設けるのが良い。
この構成によれば、把持力検出手段の検出結果に基づき、把持用駆動源の出力を制御することにより、把持具の把持力を適正に保つことができる。
【0016】
この発明において、前記ガイド部が、このガイド部の外郭となる外郭パイプを有し、前記ガイド孔を、前記外郭パイプ内に設けられたガイドパイプの内径孔とすることができる。
この構成であれば、外郭パイプによりガイド部の内部を保護しつつ、ガイド部を中空状にして軽量化を図れる。
【0017】
上記構成において、前記外郭パイプ内に前記回転軸を回転自在に支持する複数の転がり軸受を設ける場合、これら複数の転がり軸受の外径面を前記ガイドパイプで支持することができる。
ガイドパイプを転がり軸受の支持に利用することで、余分な部材を用いずに転がり軸受の外径面を支持できる。
【0018】
前記ガイド部内の前記回転軸を回転自在に支持する前記転がり軸受を設ける場合、前記外郭パイプの内部を通過する冷却液により前記転がり軸受を冷却する冷却手段を設けてもよい。
回転部材、回転軸等の回転する部材は、回転摩擦により発熱する。それに伴い、転がり軸受が加熱される。冷却手段を設ければ、転がり軸受や他の発熱箇所を冷却液により冷却することができる。外郭パイプの内部に冷却液を通過させれば、冷却液供給用の管を別に設ける必要がなく、ガイド部を簡素化および小径化できる。
さらに、前記冷却液により転がり軸受を潤滑する効果も得られる。冷却液を転がり軸受の潤滑に兼用させれば、転がり軸受に一般的に使用されているグリス等を使用しなくてもよく、しかも別に潤滑装置を設けなくて済む。
【0019】
前記冷却液は、水もしくは生理食塩水であるのが望ましい。
冷却液が水もしくは生理食塩水であれば、先端部材を生体内に挿入して操作する場合に、仮に冷却液が遠隔操作型アクチュエータの外部に漏れても、生体に与える影響が少ない。
【0020】
この発明において、前記把持具は互いに径方向に開閉自在な一対の把持片を有し、前記回転・開閉変換機構は、前記一対の把持片の両方またはいずれか一方を径方向に案内する把持片案内部材と、前記回転部材と一体に回転し、この回転部材の中心線上に中心が位置する渦巻き状の溝が形成された渦巻き溝付き部材と、前記把持片案内部材により径方向に案内された把持片に設けられ、前記渦巻き状の溝に摺動自在に係合する突起とでなる構成とすることができる。前記回転部材と前記渦巻き溝付き部材とは、互いに一体に形成された同一部材であってもよい。
この構成によれば、回転部材を回転させると、それと一体の渦巻き溝付き部材が回転する。渦巻き溝付き部材の渦巻き状の溝には、把持片案内部材により径方向に案内された把持片の突起が摺動自在に係合している。そのため、渦巻き溝付き部材の回転に伴い、上記把持片の突起が渦巻き状の溝に沿って移動し、渦巻き状の溝における突起が係合している箇所の径が変化する。把持片は把持片案内部材によって径方向以外の移動が拘束されているため、渦巻き溝付き部材の回転により、把持片は径方向に移動する。それにより、一対の把持片の径方向の相対距離が変る。すなわち、一対の把持片が開閉する。
【0021】
また、前記把持具は互いに径方向に開閉自在な一対の把持片を有し、前記回転・開閉変換機構は、前記一対の把持片の両方またはいずれか一方を径方向に案内する把持片案内部材と、中心線が前記回転部材と同一で、この回転部材と一体に回転するピニオンと、前記把持片案内部材により径方向に案内された把持片と一体に設けられ、前記ピニオンと噛み合うラックとでなる構成としてもよい。前記回転部材と前記ピニオンとは、互いに一体に形成された同一部材であってもよい。
この構成によれば、回転部材を回転させると、それと一体にピニオンが回転する。ピニオンは、把持片案内部材により径方向に案内される把持片と一体に設けたラックに噛み合っている。そのため、ピニオンの回転に伴い、ラックが径方向と平行な方向に移動する。それにより、一対の把持片の径方向の相対距離が変る。すなわち、一対の把持片が開閉する。
【0022】
さらに、前記把持具は互いに径方向に開閉自在な一対の把持片を有し、前記回転・開閉変換機構は、前記一対の把持片の両方またはいずれか一方を径方向に回動自在に支持する把持片支持部材と、中心線が前記回転部材と同一で、この回転部材と一体に回転するウォームと、前記把持片支持部材に支持された把持片と一体にこの把持片と回動中心線を一致させて設けられ、前記ウォームと噛み合うウォームホイールとでなる構成としてもよい。前記回転部材と前記ウォームとは、互いに一体に形成された同一部材であってもよい。
この構成によれば、回転部材を回転させると、それと一体にウォームが回転する。ウォームは、把持片支持部材により径方向に回動自在に支持された把持片と一体のウォームホイールに噛み合っている。そのため、ウォームの回転に伴い、ウォームホイールが上記把持片の回動中心線の回りに回動することで、ウォームホイールと一体の把持片も回動する。それにより、一対の把持片の径方向の相対距離が変る。すなわち、一対の把持片が開閉する。
【0023】
この発明において、前記回転・開閉変換機構に、前記一対の把持片の開閉幅を機械的に抑制する幅抑制手段を設けるのが望ましい。
一対の把持片の開閉幅を機械的に抑制する幅抑制手段を設けることで、故障等により把持具が規定動作範囲以上に開閉することを防げる。それにより、把持具で患者に損傷を与えることを無くすことができ、安全性が高まる。
【0024】
この発明において、前記先端部材が、前記ガイド部の先端に前記回転軸の中心線回りに回動自在に取付けられ、かつ前記ガイド部の先端との間に生じる接触部位での回転抵抗力により前記回転軸の中心線回りの回転が規制されている場合、前記回転軸の回転によって前記回転部材が受ける回転力が、前記回転抵抗力により回転を阻止する力を超えるように前記把持用駆動源により前記回転軸を回転させることにより、前記把持用駆動源によって前記先端部材を回転させることが可能になる。
先端部材がガイド部の先端との間に生じる接触部位での回転抵抗力とは、先端部材連結部の摩擦抵抗や姿勢操作部材と先端部材との摩擦抵抗のことである。通常では、回転部材の回転動作は回転・開閉変換機構により把持具の開閉動作に変換させられるが、回転・開閉変換機構が機能停止状態で回転部材を回転させると、回転部材の回転力が先端部材全体に伝達され、その回転力が上記回転抵抗力を超えた時点で先端部材が回転部材の中心線回りに回転する。回転・開閉変換機構の機能停止状態は、例えば、回転・開閉変換機構に、一対の把持片の開閉幅を機械的に抑制する幅抑制手段が設けられている場合であれば、幅抑制手段により一対の把持片の開閉幅を機械的に抑制した状態にすることにより実現できる。この場合、既存の部材だけで、先端部材を回転部材の中心線回りに遠隔操作で回転させることが可能になる。
【0025】
この発明の遠隔操作型アクチュエータは、上記の作用・効果を有するため、例えば内視鏡下手術で使用する手術器具に好適である。
【発明の効果】
【0026】
この発明の遠隔操作型アクチュエータは、細長形状のガイド部と、このガイド部の先端に先端部材連結部を介して姿勢変更自在に取付けられた先端部材と、この先端部材に設けられた開閉式の把持具と、前記先端部材に回転自在に設けられた回転部材と、前記回転部材の回転動作を前記把持具の開閉動作に変換する回転・開閉変換機構と、前記回転部材に回転力を与える把持用駆動源と、前記先端部材の姿勢を操作する姿勢変更用駆動源とを備え、前記ガイド部は、前記把持用駆動源の回転を前記回転部材に伝達する回転軸と、両端に貫通したガイド孔とを内部に有し、先端が前記先端部材に接して進退動作することにより前記先端部材を姿勢変更させる姿勢操作部材を前記ガイド孔内に進退自在に挿通し、この姿勢操作部材を前記姿勢変更用駆動源で進退動作させるため、細長形状のガイド部の先端に設けられた把持具の姿勢を遠隔操作で変更することができ、その遠隔操作機構は比較的簡単な構成であり、かつガイド部の形状を問わない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の実施形態にかかる遠隔操作型アクチュエータの概略構成を示す図である。
【図2】この発明の異なる実施形態にかかる遠隔操作型アクチュエータの概略構成を示す図である。
【図3】(A)は図1に示す遠隔操作型アクチュエータの先端部材およびガイド部の破断側面図、(B)はその正面図、(C)はそのIIIC−IIIC断面図である。
【図4】(A)は同遠隔操作型アクチュエータの把持片の側面図、(B)はその平面図である。
【図5】同遠隔操作型アクチュエータの回転部材の正面図である。
【図6】同遠隔操作型アクチュエータの先端部材と回転軸との連結構造を示す図である。
【図7】(A)は同遠隔操作型アクチュエータの把持用駆動機構および姿勢変更用駆動機構の破断断面図に制御系を組み合わせて表示した図、(B)はそのVIIB−VIIB断面図である。
【図8】(A)は把持機構の構成が異なる遠隔操作型アクチュエータの先端部材およびガイド部の破断側面図、(B)はその正面図、(C)はそのVIIIC−VIIIC断面図である。
【図9】(A)はさらに把持機構の構成が異なる遠隔操作型アクチュエータの先端部材およびガイド部の破断側面図、(B)はその正面図、(C)はそのIXC−IXC断面図である。
【図10】図1に示す遠隔操作型アクチュエータに冷却手段を設けた場合の概略構成を示す図である。
【図11】(A)はガイド部の内部構造が異なる遠隔操作型アクチュエータの先端部材およびガイド部の破断側面図、(B)はその正面図、(C)はそのXIC−XIC断面図である。
【図12】(A)はさらにガイド部の内部構造が異なる遠隔操作型アクチュエータの先端部材およびガイド部の破断側面図、(B)はその正面図、(C)はそのXIIC−XIIC断面図である。
【図13】(A)はさらにガイド部の内部構造が異なる遠隔操作型アクチュエータの先端部材およびガイド部の破断側面図、(B)はその正面図、(C)はそのXIIIC−XIIIC断面図である。
【図14】(A)は図12および図13に示す遠隔操作型アクチュエータの把持用駆動機構および姿勢変更用駆動機構の破断側面図、(B)はそのXIVB−XIVB断面図である。
【図15】この発明のさらに異なる実施形態にかかる遠隔操作型アクチュエータの概略構成を示す図である。
【図16】同遠隔操作型アクチュエータの把持用駆動機構および姿勢変更用駆動機構の構成を示す図である。
【図17】同把持用駆動機構の把持用ケーブルの断面図である。
【図18】同姿勢変更用駆動機構の姿勢変更用ケーブルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1および図2は、この発明のそれぞれ異なる実施形態にかかる遠隔操作型アクチュエータの概略構成を示す図である。これらの図において、各遠隔操作型アクチュエータは、開閉式の把持具1を保持する先端部材2と、この先端部材2が先端に姿勢変更自在に取付けられた細長形状のガイド部3と、このガイド部3の基端が結合された駆動部ハウジング4aと、この駆動部ハウジング4a内の把持用駆動機構4bおよび姿勢変更用駆動機構4cを制御するコントローラ5とを備える。駆動部ハウジング4aは、内蔵の把持用駆動機構4bおよび姿勢変更用駆動機構4cと共に駆動部4を構成する。
【0029】
図3〜図6と共に、先端部材2およびガイド部3の内部構造について説明する。図3は図1の遠隔操作型アクチュエータについて示すが、図1のようにガイド部3が真っ直ぐな形状である場合も、図2のようにガイド部3が湾曲した形状である場合も、先端部材2およびガイド部3の内部構造は基本的に同じである。
【0030】
先端部材2は、略円筒状のハウジング11を有し、このハウジング11の内部に、転がり軸受12により回転部材13が回転自在に支持されている。そして、回転部材13の先端側に、回転・開閉変換機構14を介して把持具1が設けられている。把持具1と回転・開閉変換機構14とで把持手段80Aを構成する。
【0031】
把持具1は、互いに径方向に開閉自在な一対の把持片81を有する。各把持片81は、ハウジング11の先端部の内周に設けた把持片案内部材82の案内溝82aに沿って、径方向に進退自在に案内されている。把持片案内部材82は、先端部材2のハウジング11に対して、例えば圧入または溶接により固定されている。図4に示すように、把持片81は、本体部81aの基端に前記案内溝82aの方向と交差する方向の両側に張り出す張出部81bが設けられ、この張出部81bが把持片案内部材82の裏面に係合することで、把持片81が先端側へ抜けないように支持されている。
【0032】
回転・開閉変換機構14は、前記把持片案内部材82と、渦巻き溝付き部材としての前記回転部材13と、把持片81の基端面に設けた突起83とでなる。図5に示すように、回転部材13の先端面には、突起83を案内するカム溝として、この回転部材13の中心線CL上に中心が位置する渦巻き状の溝84が形成されており、この渦巻き状の溝84に各把持片81の突起83が摺動自在に係合している。この例の渦巻き状の溝84は、先端側から見て左巻きである。なお、図5では、視覚的に分かりやすいように、渦巻き状の溝84である部分は白地のままとし、渦巻き状の溝84以外の部分は格子状のハッチングを付けてある。渦巻き状の溝84が形成された渦巻き溝付き部材(図示せず)を、回転部材13と別体で設けてもよい。その場合、渦巻き溝付き部材は、回転部材13と一体に回転するものとする。
【0033】
把持用駆動機構4bにより回転部材13を回転させると、把持片81の突起83が渦巻き状の溝84に沿って移動し、渦巻き状の溝84における突起83が係合している箇所の径が変化する。把持片81は把持片案内部材82によって径方向以外の移動が拘束されているため、回転部材13の回転により、把持片81は径方向に移動する。それにより、一対の把持片81の径方向の相対距離が変る。すなわち、一対の把持片81が開閉する。この例の場合、先端側から見て回転部材13を右回りに回転させると一対の把持片81が開き、左回りに回転させると一対の把持片81が閉じる。
【0034】
渦巻き状の溝84の内径端の近傍および外径端の近傍に、突起83の移動範囲を規制する内径側ストッパ85、外径側ストッパ86がそれぞれ設けられている。内径側ストッパ85および外径側ストッパ86は、例えば渦巻き状の溝84の底部から先端側に突出させたピンとされる。あるいは、渦巻き状の溝84の溝深さを浅くすることで、突起83の移動を規制してもよい。
【0035】
内径側ストッパ85および外径側ストッパ86を設けることにより、これらストッパ85,86よりも内径側および外径側へ突起83が移動することが規制される。それにより、一対の把持片81の開閉幅が抑制される。すなわち、内径側ストッパ85および外径側ストッパ86は、一対の把持片81の開閉幅を機械的に抑制する幅抑制手段としての役割をする。
【0036】
この把持手段80Aは、一対の把持片81が共に径方向に移動することで把持具1を開閉させるが、いずれか一方の把持片81だけが径方向に移動させることで把持具1を開閉させる構成としてもよい。
【0037】
先端部材2は、先端部材連結部15を介してガイド部3の先端に取付けられる。先端部材連結部15は、先端部材2を姿勢変更自在に支持する手段であり、球面軸受からなる。具体的には、先端部材連結部15は、ハウジング11の基端の内径縮径部からなる被案内部11aと、ガイド部3の先端に固定された抜け止め部材21の鍔状部からなる案内部21aとで構成される。図3に示すように、両者11a,21aの互いに接する各案内面F1,F2は、回転部材13の中心線CL上に曲率中心Oが位置し、基端側ほど径が小さい球面とされている。これにより、ガイド部3に対して先端部材2が抜け止めされるとともに、姿勢変更自在に支持される。この例は、曲率中心Oを通るX軸回りに先端部材2が姿勢変更する構成であるため、案内面F1,F2が、点Oを通るX軸を中心線とする円筒面であってもよい。
【0038】
ガイド部3は、駆動部ハウジング4a内の把持用駆動源41(図7)の回転力を前記回転部材13へ伝達する回転軸22を有する。この例では、回転軸22はワイヤとされ、ある程度の弾性変形が可能である。ワイヤの材質としては、例えば金属、樹脂、グラスファイバー等が用いられる。ワイヤは単線であっても、撚り線であってもよい。図6に示すように、回転部材13と回転軸22とは、自在継手等の継手23を介して回転伝達可能に接続されている。継手23は、回転部材13の閉塞した基端に設けられた溝13aと、回転軸22の先端に設けられ前記溝13aに係合する突起22aとで構成される。上記溝13aと突起22aとの連結箇所の中心は、前記案内面F1,F2の曲率中心Oと同位置である。
【0039】
ガイド部3は、このガイド部3の外郭となる外郭パイプ25を有し、この外郭パイプ25の中心に前記回転軸22が位置する。回転軸22は、それぞれ軸方向に離れて配置された複数の転がり軸受26によって回転自在に支持されている。各転がり軸受26間には、これら転がり軸受26に予圧を発生させるためのばね要素27A,27Bが設けられている。ばね要素27A,27Bは、例えば圧縮コイルばねである。転がり軸受26の内輪に予圧を発生させる内輪用ばね要素27Aと、外輪に予圧を発生させる外輪用ばね要素27Bとがあり、これらが交互に配置されている。前記抜け止め部材21は、固定ピン28により外郭パイプ25のパイプエンド部25aに固定され、その先端内周部で転がり軸受29を介して回転軸22の先端部を回転自在に支持している。パイプエンド部25aは、外郭パイプ25と別部材とし、溶接等により結合してもよい。
【0040】
外郭パイプ25の内径面と回転軸22の間には、両端に貫通する1本のガイドパイプ30が設けられ、このガイドパイプ30の内径孔であるガイド孔30a内に、姿勢操作部材31が進退自在に挿通されている。この例では、姿勢操作部材31は、ワイヤ31aと、その両端に設けた柱状ピン31bとでなる。先端部材2側の柱状ピン31bの先端は球面状で、先端部材2のハウジング11の基端面に当接している。駆動部ハウジング4a側の柱状ピン31bの先端も球面状で、後記レバー43b(図7)の側面に当接している。
【0041】
上記姿勢操作部材31が位置する周方向位置に対し180度の位相の位置には、先端部材2のハウジング11の基端面とガイド部3の外郭パイプ25の先端面との間に、例えば圧縮コイルばねからなる復元用弾性部材32が設けられている。この復元用弾性部材32は、先端部材2を所定姿勢側へ付勢する作用をする。
【0042】
また、外郭パイプ25の内径面と回転軸22の間には、前記ガイドパイプ30とは別に、このガイドパイプ30と同一ピッチ円C上に、複数本の補強シャフト34が配置されている。これらの補強シャフト34は、ガイド部3の剛性を確保するためのものである。ガイドパイプ30と補強シャフト34の配列間隔は等間隔とされている。ガイドパイプ30および補強シャフト34は、外郭パイプ25の内径面におよび前記転がり軸受26の外径面に接している。これにより、転がり軸受26の外径面を支持している。
【0043】
図7は、駆動部ハウジング4a内の把持用駆動機構4bおよび姿勢変更用駆動機構4cを示す。把持用駆動機構4bは、コントローラ5により制御される把持用駆動源41を備える。把持用駆動源41は、例えば電動モータであり、その出力軸41aが前記回転軸22の基端に結合させてある。姿勢変更用駆動機構4cは、コントローラ5により制御される姿勢変更用駆動源42を備える。姿勢変更用駆動源42は、例えば電動リニアアクチュエータであり、図7(A)の左右方向に移動する出力ロッド42aの動きが、増力伝達機構43を介して前記姿勢操作部材31に伝達される。
【0044】
増力伝達機構43は、支軸43a回りに回動自在なレバー43bを有し、このレバー43bにおける支軸43aからの距離が長い作用点P1に出力ロッド42aの力が作用し、支軸43aからの距離が短い力点P2で姿勢操作部材31に力を与える構成であり、姿勢変更用駆動源42の出力が増力して姿勢操作部材31に伝達される。増力伝達機構43を設けると、小さな出力のリニアアクチュエータでも姿勢操作部材31に大きな力を与えることができるので、リニアアクチュエータの小型化が可能になる。前記回転軸22は、レバー43bに形成された開口44を貫通させてある。
【0045】
把持用駆動機構4bには、電動アクチュエータである把持用駆動源41に供給される電力量を検出する供給電力計45が設けられている。この供給電力計45の検出値は、把持力検出手段46に出力される。把持力検出手段46は、供給電力計45の出力により、把持具1の把持力を検出する。把持力検出手段46は、上記把持力と供給電力計45の出力信号との関係を演算式またはテーブル等により設定した関係設定手段(図示せず)を有し、入力された出力信号から前記関係設定手段を用いて把持力を検出する。検出された把持力を示す信号は、コントローラ5に送られる。この把持力検出手段46は、コントローラ5に設けられたものであっても、あるいは外部の制御装置に設けられたものであってもよい。
【0046】
また、姿勢変更用駆動機構4cには、姿勢変更用駆動源42の動作量を検出する動作量検出器47が設けられている。この動作量検出器47の検出値は、姿勢検出手段48に出力される。姿勢検出手段48は、動作量検出器47の出力により、先端部材2のX軸(図3)回りの傾動姿勢を検出する。姿勢検出手段48は、上記傾動姿勢と動作量検出器47の出力信号との関係を演算式またはテーブル等により設定した関係設定手段(図示せず)を有し、入力された出力信号から前記関係設定手段を用いて傾動姿勢を検出する。検出された傾動姿勢を示す信号は、コントローラ5に送られる。この姿勢検出手段48は、コントローラ5に設けられたものであっても、あるいは外部の制御装置に設けられたものであってもよい。
【0047】
コントローラ5には、把持具1の開閉指令信号を出力する把持用操作具5a(図1、図2)と、先端部材2の姿勢変更指令信号を出力する姿勢変更用操作具5b(図1、図2)とが設けられている。コントローラ5は、電子演算回路(図示せず)と制御プログラム(図示せず)とを内蔵し、前記把持用操作具5aおよび姿勢変更用操作具5bからの指令信号と、前記把持力検出手段46および姿勢検出手段48からの検出信号とに基づき、把持用駆動源41および姿勢変更用駆動源42を制御する。
【0048】
この遠隔操作型アクチュエータの動作を説明する。
把持用操作具5aを操作すると、把持用駆動源41が回転し、その回転が回転軸22を介して回転部材13に伝達される。回転部材13の回転が、回転・開閉変換機構14により把持具1の開閉動作に変換されることで、把持具1が開閉する。この動作中、電動アクチュエータである把持用駆動源41への供給電力を供給電力計45で計測し、その計測値から把持力検出手段46が把持具1の把持力を検出する。コントローラ5は、検出された把持力の大きさに基づき、把持用駆動源41の出力を制御する。例えば、把持力が大きすぎる場合は把持用駆動源41の出力を低下させ、逆に把持力が小さすぎる場合は把持用駆動源41の出力を増加させる。これにより、把持具1の把持力を適正に保つことができる。
【0049】
また、姿勢変更用操作具5bを操作すると、姿勢変更用駆動源42により姿勢操作部材31が進退させられて、姿勢操作部材31の先端が先端部材2に対し作用する。それにより、ガイド部3の先端に先端部材連結部15を介して姿勢変更自在に取付けられた先端部材2が姿勢変更する。例えば、姿勢変更用駆動源42により姿勢操作部材31を先端側へ進出させると、姿勢操作部材31によって先端部材2のハウジング11が押されて、先端部材2は図3(A)において先端側が下向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。逆に、姿勢変更用駆動源42により姿勢操作部材31を後退させると、復元用弾性部材32の弾性反発力によって先端部材2のハウジング11が押し戻され、先端部材2は図3(A)において先端側が上向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。その際、先端部材連結部15には、姿勢操作部材31の圧力、復元用弾性部材32の弾性反発力、および抜け止め部材21からの反力が作用しており、これらの作用力の釣り合いにより先端部材2の姿勢が決定される。先端部材2の姿勢は、動作量検出器47の検出値から、姿勢検出手段48によって検出される。そのため、遠隔操作で先端部材2の姿勢を適正に制御できる。
【0050】
姿勢操作部材31はガイド孔30aに挿通されているため、姿勢操作部材31が長手方向と交差する方向に位置ずれすることがなく、常に先端部材2に対し適正に作用することができ、先端部材2の姿勢変更動作が正確に行われる。姿勢操作部材31は大半が可撓性のワイヤ31aからなるため、図2のようなガイド部3が湾曲した形状でも姿勢変更動作が確実に行われる。さらに、回転部材13と回転軸22との連結箇所の中心が案内面F1,F2の曲率中心Oと同位置であるため、先端部材2の姿勢変更によって回転軸22に対して押し引きする力がかからず、先端部材2が円滑に姿勢変更できる。
【0051】
把持用駆動源41および姿勢変更用駆動源42は、先端部材2から離れた位置に設けられており、上記把持具1の開閉および先端部材2の姿勢変更は遠隔操作で行われる。把持用駆動源41の回転を回転部材13へ伝達する回転軸22、および姿勢変更用駆動源42の進退動作を先端部材2へ伝達する姿勢操作部材31は、いずれも全体または大半がワイヤ31aからなるため、ガイド部3の内部を簡素な構成とすることができる。それにより、ガイド部3の外径を小さくすることが可能になっている。なお、把持用駆動源41や姿勢変更用駆動源42を設ける代わりに、把持具1の開閉や先端部材2の姿勢変更を手動により遠隔操作してもよい。
【0052】
この遠隔操作型アクチュエータは、例えば内視鏡下外科手術における把持用手術器具として使用されるものであり、手術時には、ガイド部3の中間部よりも先が患者の体内に挿入される。このため、上記のように先端部材2の姿勢を遠隔操作で変更できれば、常に把持具1を適正な姿勢に保持した状態に保ことができ、把持具1により血管等の被把持物を精度良く把持することができる。
【0053】
細長形状であるガイド部3には、回転軸22および姿勢操作部材31を保護状態で設ける必要があるが、外郭パイプ25の中心部に回転軸22を設け、外郭パイプ25と回転軸22との間に、姿勢操作部材31を収容したガイドパイプ30と補強シャフト34とを円周方向に並べて配置した構成としたことにより、回転軸22および姿勢操作部材31を保護し、かつ内部を中空して軽量化を図りつつ剛性を確保できる。また、全体のバランスも良い。
【0054】
回転軸22を支持する転がり軸受26の外径面を、ガイドパイプ30と補強シャフト34とで支持させたため、余分な部材を用いずに転がり軸受26の外径面を支持できる。また、ばね要素27A,27Bにより転がり軸受26に予圧がかけられているため、ワイヤからなる回転軸22を高速回転させることができる。そのため、把持具1の開閉動作を迅速に行える。ばね要素27A,27Bは隣合う転がり軸受26間に設けられているので、ガイド部3の径を大きくせずにばね要素27A,27Bを設けることができる。
【0055】
この実施形態では、把持用駆動源41および姿勢変更用駆動源42が共通の駆動部ハウジング4a内に設けられている。そのため、遠隔操作型アクチュエータ全体の構成を簡略にできる。把持用駆動源41および姿勢変更用駆動源42のいずれか一方だけを駆動部ハウジング4a内に設けてもよい。また、後で説明するように、把持用駆動源41および姿勢変更用駆動源42を駆動部ハウジング4aの外に設けてもよい。
【0056】
図8は、把持手段の異なる構成を示す。この把持手段80Bは、互いに径方向に開閉自在な一対の把持片81を有する把持具1と、回転部材13の回転を把持具1の開閉動作に変換する回転・開閉変換機構14とでなる。
【0057】
ハウジング11の先端部の内周には、径方向である一対の把持片81の並び方向と平行な案内溝82aを有する一対の把持片案内部材82が設けられている。この把持片支持部材82は、例えば溶接によりハウジング11に固定される。把持具1の一対の把持片81は、それぞれ本体部81aの基端の一側面から前記並び方向に延びる基部81cが一体に設けられ、各基部81bの外側面に形成されたガイド部81dが、前記一対の把持片案内部材82の案内溝82aにそれぞれ摺動自在に係合している。これにより、一対の把持片81が径方向に案内されると共に、把持片81が先端側へ抜けないように支持される。
【0058】
回転部材13は、先端部の外周に歯88を有するピニオンとして形成されている。また、把持片81の基部81cは、内側面に上記ピニオンの歯88と噛み合う歯89を有するラックとして形成されている。回転・開閉変換機構14は、前記把持片案内部材14と、ピニオンとしての回転部材13と、ラックとしての基部81cとで構成される。外周に歯88を有するピニオン(図示せず)を、回転部材13と別体で設けてもよい。その場合、ピニオンは、回転部材13と一体に回転するものとする。また、内側面に歯89を有するラック(図示せず)を、把持片81と別体で設けてもよい。その場合、ラックは、把持片81と一体に前記並び方向に案内されるものとする。
【0059】
把持用駆動機構4bにより回転部材13を回転させると、ピニオンとラックのそれぞれの歯88,89の噛み合いにより、把持片81が並び方向に移動する。それにより、一対の把持片81の径方向の相対距離が変る。すなわち、一対の把持片81が開閉する。この例の場合、先端側から見て回転部材13を右回りに回転させると一対の把持片81が閉じ、左回りに回転させると一対の把持片81が開く。なお、いずれか一方の把持片81だけを径方向に移動させることで把持具1を開閉させる構成としてもよい。
【0060】
図9は、把持手段のさらに異なる構成を示す。この把持手段80Cは、互いに径方向に開閉自在な一対の把持片81を有する把持具1と、回転部材13の回転を把持具1の開閉動作に変換する回転・開閉変換機構14とでなる。
【0061】
把持具1の一対の把持片81は、その基部81eが、互いに平行な各回動中心軸90に回動自在に支持されて、先端側が径方向に開閉するようになっている。回動中心軸90は、ハウジング11の先端部の内周に設けた一対の把持片支持部材82間に架け渡して設けてあり、先端部材2の中心線CLに垂直な直線と平行である。把持片支持部材82は、例えば溶接によりハウジング11に固定されている。
【0062】
回転部材13は、先端部の外周に歯91を有するウォームとして形成されている。また、把持片81の基部81eは、前記回動中心軸90を中心とする円弧状の外周面に上記歯91と噛み合う歯92を有するウォームホイールとして形成されている。回転・開閉変換機構14は、前記把持片案内部材82と、ウォームとしての回転部材13と、ウォームホイールとしての基部81eとで構成される。外周に歯91を有するウォーム(図示せず)を、回転部材13と別体で設けてもよい。その場合、ウォームは、回転部材13と一体に回転するものとする。また、外周面に歯92を有するウォームホイール(図示せず)を、把持片81と別体で設けてもよい。その場合、ウォームホイールは、把持片81と一体に回動するものとする。
【0063】
把持用駆動機構4bにより、回転部材13を回転させると、ウォームとウォームホイールのそれぞれの歯91,92の噛み合いにより、把持片81が回動中心軸90回りに回動する。それにより、一対の把持片81の径方向の相対距離が変る。すなわち、一対の把持片81が開閉する。この例の場合、ウォームの歯91の向きは表示されていないが、例えば先端側から見て回転部材13を右回りに回転させると一対の把持片81が閉じ、左回りに回転させると一対の把持片81が開く。なお、いずれか一方の把持片81だけを回動させることで把持具1を開閉させる構成としてもよい。
【0064】
この遠隔操作型アクチュエータは、ガイド部3が中空状であることを利用して、ガイド部3および先端部材2内の転がり軸受26,12(図3等)を冷却する冷却手段50を図10のように設けることができる。すなわち、冷却手段50は、遠隔操作型アクチュエータの外部に設けた冷却液供給装置51と、この冷却液供給装置51から供給される冷却液がガイド部3および先端部材2内で循環する冷却液循環管52とで構成される。冷却液循環管52は、冷却液供給装置51からガイド部3までの外部分52aと、ガイド部3および先端部材2の内部を通る内部分52bとでなり、内部分52bでは、ガイド部3の外郭パイプ25(図3等)および先端部材2のハウジング11(図3等)が冷却液循環管52になっている。
【0065】
このような冷却手段50を設ければ、冷却液により、発熱箇所である転がり軸受26,12を冷却することができる。外郭パイプ25内に冷却液を通過させるため、冷却循環用の管を別に設ける必要がなく、ガイド部3を簡素化および小径化できる。また、前記冷却液を転がり軸受26,12の潤滑に兼用させてもよい。そうすれば、軸受に一般的に使用されているグリス等を使用しなくてもよく、しかも別に潤滑装置を設けなくて済む。
【0066】
上記冷却液は、水もしくは生理食塩水であるのが望ましい。冷却液が水もしくは生理食塩水であれば、先端部材2を生体内に挿入して操作する場合に、仮に冷却液が遠隔操作型アクチュエータの外部に漏れても、生体に与える影響が少ないからである。冷却液を水もしくは生理食塩水とする場合、冷却液と接する部品の材質は、耐腐食性に優れたステンレスであるのが望ましい。この遠隔操作型アクチュエータを構成する他の各部品も、ステンレス製であってもよい。
【0067】
図11は、先端部材2の姿勢を変更する機構が異なる実施形態を示す。把持具1および先端部材2は図3〜図5の実施形態と同じ構成である。図11の遠隔操作型アクチュエータは、外郭パイプ25内の互いに180度の位相にある周方向位置に2本のガイドパイプ30を設け、そのガイドパイプ30の内径孔であるガイド孔30a内に前記同様の姿勢操作部材31が進退自在に挿通してある。2本のガイドパイプ30間には、ガイドパイプ30と同一ピッチ円C上に複数本の補強シャフト34が配置されている。復元用弾性部材32は設けられていない。案内面F1,F2は、曲率中心が点Oである球面、または点Oを通るX軸を中心線とする円筒面である。
【0068】
駆動部4(図示せず)には、2つの姿勢操作部材31をそれぞれ個別に進退操作させる2つの姿勢変更用駆動源42(図示せず)が設けられており、これら2つの姿勢変更用駆動源42を互いに逆向きに駆動することで先端部材2の姿勢変更を行う。例えば、図11における上側の姿勢操作部材31を先端側へ進出させ、かつ下側の姿勢操作部材31を後退させると、上側の姿勢操作部材31によって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は図11(A)において先端側が下向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。逆に、両姿勢操作部材31を逆に進退させると、下側の姿勢操作部材31によって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は図11(A)において先端側が上向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。その際、先端部材連結部15には、上下2つの姿勢操作部材31の圧力、および抜け止め部材21からの反力が作用しており、これらの作用力の釣り合いにより先端部材2の姿勢が決定される。この構成では、2つの姿勢操作部材31で先端部材2のハウジング11に加圧されるため、1つ姿勢操作部材31だけで加圧される前記実施形態に比べ、先端部材2の姿勢安定性を高めることができる。
【0069】
図12は、先端部材2の姿勢を変更する機構がさらに異なる実施形態を示す。把持具1および先端部材2は図3〜図5の実施形態と同じ構成である。図12の遠隔操作型アクチュエータは、外郭パイプ25内の互いに120度の位相にある周方向位置に3本のガイドパイプ30を設け、そのガイドパイプ30の内径孔であるガイド孔30a内に前記同様の姿勢操作部材31が進退自在に挿通してある。3本のガイドパイプ30間には、ガイドパイプ30と同一ピッチ円C上に複数本の補強シャフト34が配置されている。復元用弾性部材32は設けられていない。案内面F1,F2は曲率中心が点Oである球面であり、先端部材2は任意方向に傾動可能である。
【0070】
駆動部4には、3つの姿勢操作部材31(31U,31L,31R)をそれぞれ個別に進退操作させる3つの姿勢変更用駆動源42(42U,42L,42R)(図14)が設けられており、これら3つの姿勢変更用駆動源42を互いに連係させて駆動することで先端部材2の姿勢変更を行う。
例えば、図12における上側の1つの姿勢操作部材31Uを先端側へ進出させ、かつ他の2つの姿勢操作部材31L,31Rを後退させると、上側の姿勢操作部材31Uによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は図12(A)において先端側が下向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。このとき、各姿勢操作部材31の進退量が適正になるよう、各姿勢変更用駆動源42が制御される。各姿勢操作部材31を逆に進退させると、左右の姿勢操作部材31L,31Rによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は図12(A)において先端側が上向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。
また、上側の姿勢操作部材31Uは静止させた状態で、左側の姿勢操作部材31Lを先端側へ進出させ、かつ右側の姿勢操作部材31Rを後退させると、左側の姿勢操作部材31Lによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は右向き、すなわち図12(A)において紙面の裏側向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。左右の姿勢操作部材31L,31Rを逆に進退させると、右の姿勢操作部材31Rによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は左向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。
このように姿勢操作部材31を円周方向の3箇所に設けることにより、先端部材2を上下左右の2軸(X軸、Y軸)の方向に姿勢変更することができる。その際、先端部材連結部15には、3つの姿勢操作部材31の圧力、および抜け止め部材21からの反力が作用しており、これらの作用力の釣り合いにより先端部材2の姿勢が決定される。この構成では、3つの姿勢操作部材31で先端部材2のハウジング11に加圧されるため、さらに先端部材2の姿勢安定性を高めることができる。姿勢操作部材31の数をさらに増やせば、先端部材2の姿勢安定性をより一層高めることができる。
【0071】
図13はさらに異なる実施形態を示す。この遠隔操作型アクチュエータのガイド部3は、外郭パイプ25の中空孔24が、中心部の円形孔部24aと、この円形孔部24aの外周における互いに120度の位相をなす周方向位置から外径側へ凹んだ3つの溝状部24bとでなる。溝状部24bの先端の周壁は、断面半円形である。そして、円形孔部24aに回転軸22と転がり軸受26とが収容され、各溝状部24bに姿勢操作部材31(31U,31L,31R)が収容されている。
【0072】
外郭パイプ25を上記断面形状としたことにより、外郭パイプ25の溝状部24b以外の箇所の肉厚tを厚くなり、外郭パイプ25の断面2次モーメントが大きくなる。すなわち、ガイド部3の剛性が高まる。それにより、先端部材2の位置決め精度を向上させられるとともに、切削性を向上させられる。また、溝状部24bにガイドパイプ30を配置したことにより、ガイドパイプ30の円周方向の位置決めを容易に行え、組立性が良好である。
【0073】
図12および図13のように姿勢操作部材31が周方向の3箇所に設けられている場合、姿勢変更駆動機構4cを例えば図14のように構成することができる。すなわち、各姿勢操作部材31(31U,31L,31R)をそれぞれ個別に進退操作させる3つの姿勢変更用駆動源42(42U,42L,42R)を左右並列に配置すると共に、各姿勢変更用駆動源42に対応するレバー43b(43bU,43bL,43bR)を共通の支軸43a回りに回動自在に設け、各レバー43bにおける支軸43aからの距離が長い作用点P1(P1U,P1L,P1R)に各姿勢変更用駆動源42の出力ロッド42a(42aU,42aL,42aR)の力が作用し、支軸43aからの距離が短い力点P2(P2U,P2L,P2R)で姿勢操作部材31に力を与える構成としてある。これにより、各姿勢変更用駆動源42の出力が増力して対応する姿勢操作部材31に伝達させることができる。なお、回転軸22は、上側の姿勢操作部材31U用のレバー43bUに形成された開口44を貫通させてある。
【0074】
図11〜図13の実施形態のように、先端部材連結部15の案内面F1,F2が球面状であるなど、ガイド部3と先端部材2とを回転部材13の中心線CL回りに回転自在に連結する構成のものであって、かつ復元用弾性部材32が設けられていない場合、把持用駆動源41の動力で先端部材2を回転部材13の中心線CL回りに回転させることが可能である。詳しく説明する。
先端部材2が姿勢停止状態では、先端部材2とガイド部3の先端との間に、先端部材連結部15の案内面F1,F2間の摩擦抵抗や姿勢操作部材31と先端部材2との摩擦抵抗が回転抵抗力として作用して、先端部材2が回転部材13の中心線CL回りに回転しないように拘束されている。通常では、把持用駆動源41により回転部材13を回転させた場合、回転部材13の回転動作は回転・開閉変換機構14により把持具1の開閉動作に変換させられる。しかし、回転・開閉変換機構14が機能停止状態で回転部材13を回転させると、回転部材13の回転力が把持片81を介して先端部材2のハウジング11に伝達される。そして、ハウジング11の回転力が上記回転抵抗力を超えた時点で、先端部材2が回転部材13の中心線CL回りに回転する。
【0075】
図11〜図13の各例では、回転・開閉変換機構14が図3〜図5に示す構成と同じであり、一対の把持片81の開閉幅を機械的に抑制する幅抑制手段として、渦巻き状の溝84の内径端の近傍および外径端の近傍に、把持片81の突起83の移動範囲を規制する内径側ストッパ85、外径側ストッパ86がそれぞれ設けられている。この場合、突起83が内径側ストッパ85に当接した状態、すなわち把持具1が閉じた状態で、回転部材13を先端側から見て左回りに回転させると、先端部材2も回転部材13の中心線CL回りに左回りに回転する。また、突起83が外径側ストッパ86に当接した状態、すなわち把持具1が全開の状態で、回転部材13を先端側から見て右回りに回転させると、先端部材2も回転部材13の中心線CL回りに右回りに回転する。
【0076】
図8〜図13の各実施形態はガイド部3が直線形状である例を示すが、この発明の遠隔操作型アクチュエータは、姿勢操作部材31が可撓性を有する場合も適用可能であり、ガイド部3が湾曲した形状でも先端部材2の姿勢変更動作が確実に行われるので、図2のようにガイド部3を初期状態で湾曲形状としてもよい。あるいは、ガイド部3の一部分のみを湾曲形状としてもよい。ガイド部3が湾曲形状であれば、遠隔操作型アクチュエータが内視鏡下外科手術の把持用手術器具として使用される場合、患者の体表に開けられた手術器具挿入用の穴と処置箇所との間に位置する処置箇所以外の部位を避けることができる。つまり、ガイド部3が湾曲している方が、真っ直ぐであるよりも、一つの穴に対する処置範囲を広くとることができることがある。それにより、手術器具挿入用の穴の数を最小限に抑えることができ、患者の負担を軽減できる。
【0077】
ガイド部3を湾曲形状とする場合、外郭パイプ25、ガイドパイプ30、および補強シャフト34を湾曲形状とする必要がある。また、回転軸22は変形しやすい材質を用いるのが良く、例えば形状記憶合金が適する。
【0078】
図15〜図18は、把持用駆動機構および姿勢変更用駆動機構の構成が異なる実施形態を示す。前記各実施形態は、把持用駆動機構4bの把持用駆動源41および姿勢変更用駆動機構4cの姿勢変更用駆動源42が駆動部ハウジング4a内に設けられているのに対し、図15〜図18の実施形態は、把持用駆動源41および姿勢変更用駆動源42が駆動部ハウジング4aとは別の駆動源ハウジング60に設けられている。
【0079】
この実施形態の把持用駆動機構61は、駆動源ハウジング60に設けた把持用駆動源41の出力軸41aの回転を、可撓性ケーブルである把持用ケーブル62のインナワイヤ64(図17)により、駆動部ハウジング4a内の回転軸22の基端へ伝達する。把持用ケーブル62は、例えば図17に示す構造をしている。すなわち、可撓性のアウタチューブ63の中心に、可撓性のインナワイヤ64が、複数の転がり軸受66によって回転自在に支持されている。そして、インナワイヤ64の両端が、把持用駆動源41の出力軸41aおよび回転軸22の基端にそれぞれ繋がれている。各転がり軸受66間には、これら転がり軸受66に予圧を発生させるためのばね要素67A,67Bが設けられている。ばね要素67A,67Bは、例えば圧縮コイルばねである。転がり軸受66の内輪に予圧を発生させる内輪用ばね要素67Aと、外輪に予圧を発生させる外輪用ばね要素67Bとがあり、これらが交互に配置されている。このように、ばね要素67A,67Bにより転がり軸受66に予圧をかけることにより、インナワイヤ64を高速回転させることができる。市販されているフレキシブルシャフトを使用しても良い。
【0080】
また、この実施形態の姿勢変更用駆動機構71は、駆動源ハウジング60に設けた姿勢変更用駆動源42の動作を、可撓性ケーブルである姿勢変更用ケーブル72を介して駆動部ハウジング4a内の駆動機構部78へ伝達する。駆動機構部78は、前記実施形態の姿勢変更用駆動機構4cから姿勢変更用駆動源42を除いたものに相当し、姿勢変更用駆動機構4cにおける姿勢変更用駆動源42の出力ロッド42aの代わりに、先端がレバー43bに当接した状態で駆動部ハウジング4aに対して進退する進退部材75が設けられている。進退部材75は、例えばボールねじ等のねじ機構75aにより回転運動を直進運動に変換させることで、駆動部ハウジング4aに対して進退させる。その場合、姿勢変更用駆動源42はロータリアクチュエータであって、この姿勢変更用駆動源42の回転を、姿勢変更用ケーブル72のインナワイヤ74(図18)により進退部材75へ伝達する。
【0081】
姿勢変更用ケーブル72は、前記把持用ケーブル62と同じ構造であり、例えば図18に示す構造をしている。すなわち、可撓性のアウタチューブ73の中心に、可撓性のインナワイヤ74が、複数の転がり軸受76によって回転自在に支持されている。そして、インナワイヤ74の両端が、姿勢変更用駆動源42の出力軸42aおよび進退部材75にそれぞれ繋がれている。各転がり軸受76間には、これら転がり軸受76に予圧を発生させるためのばね要素77A,77Bが設けられている。ばね要素77A,77Bは、例えば圧縮コイルばねである。転がり軸受76の内輪に予圧を発生させる内輪用ばね要素77Aと、外輪に予圧を発生させる外輪用ばね要素77Bとがあり、これらが交互に配置されている。このように、ばね要素77A,77Bにより転がり軸受76に予圧をかけることにより、インナワイヤ74を高速回転させることができる。市販されているフレキシブルシャフトを使用しても良い。
【0082】
図15に示すように、把持用駆動源41および姿勢変更用駆動源42を制御するコントローラ5は、駆動源ハウジング60に接続されている。先端部材2およびガイド部3は、前記各実施形態のいずれかと同じ構成である。
【0083】
この実施形態のように、把持用駆動源41および姿勢変更用駆動源42を駆動部ハウジング4aの外部に設けることにより、駆動部ハウジング4aを小型化することができる。そのため、駆動部ハウジング4aを持って遠隔操作型アクチュエータを操作する際の取扱性を向上させることができる。
【0084】
以上、医療用の遠隔操作型アクチュエータについて説明したが、この発明はそれ以外の用途の遠隔操作型アクチュエータにも適用できる。例えば、特殊な雰囲気下で行われる精密機械の組立等に用いる遠隔操作型アクチュエータに適用できる。
【符号の説明】
【0085】
1…把持具
2…先端部材
3…ガイド部
4a…駆動部ハウジング
5…コントローラ
11a…被案内部
12,26…転がり軸受
13…回転部材(渦巻き溝付き部材、ピニオン、ウォーム)
14…回転・開閉変換機構
15…先端部材連結部
21a…案内部
22…回転軸
25…外郭パイプ
30…ガイドパイプ
30a…ガイド孔
31…姿勢操作部材
41…把持用駆動源
42…姿勢変更用駆動源
45…供給電力計
46…把持力検出手段
47…動作量検出器
48…姿勢検出手段
50…冷却手段
62…把持用ケーブル(可撓性ケーブル)
72…姿勢変更用ケーブル(可撓性ケーブル)
80A,80B,80C…把持手段
81…把持片
81c…基部(ラック)
81e…基部(ウォームホイール)
82…把持片案内部材
83…突起
84…渦巻き状の溝
85…内径側のストッパ(幅抑制手段)
86…外径側のストッパ(幅抑制手段)
F1,F2…案内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長形状のガイド部と、このガイド部の先端に先端部材連結部を介して姿勢変更自在に取付けられた先端部材と、この先端部材に設けられた開閉式の把持具と、前記先端部材に回転自在に設けられた回転部材と、前記回転部材の回転動作を前記把持具の開閉動作に変換する回転・開閉変換機構と、前記回転部材に回転力を与える把持用駆動源と、前記先端部材の姿勢を操作する姿勢変更用駆動源とを備え、
前記ガイド部は、前記把持用駆動源の回転を前記回転部材に伝達する回転軸と、両端に貫通したガイド孔とを内部に有し、先端が前記先端部材に接して進退動作することにより前記先端部材を姿勢変更させる姿勢操作部材を前記ガイド孔内に進退自在に挿通し、この姿勢操作部材を前記姿勢変更用駆動源で進退動作させることを特徴とする遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1において、前記ガイド部は、湾曲した箇所を有する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記把持用駆動源および前記姿勢変更用駆動源の両方またはいずれか一方を、前記ガイド部の基端が結合された駆動部ハウジング内に設けた遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、前記把持用駆動源および前記姿勢変更用駆動源を、前記ガイド部の基端が結合された駆動部ハウジング外に設けた遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項5】
請求項1または請求項2において、前記把持用駆動源および前記姿勢変更用駆動源の両方またはいずれか一方を、前記ガイド部の基端が結合された駆動部ハウジング外に設け、前記把持用駆動源および前記姿勢変更用駆動源のうち前記駆動部ハウジング外に設けた駆動源の駆動力を、前記回転軸または前記姿勢操作部材へ可撓性ケーブルで伝達する遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記先端部材連結部は、前記ガイド部側の案内部と前記先端部材側の被案内部とが、前記回転部材の中心線上に曲率中心が位置する球面状または円筒状の案内面で接し、前記回転部材と前記回転軸との連結箇所の中心が前記案内面の曲率中心と同位置である遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記姿勢変更用駆動源の動作量を検出する動作量検出器を設け、この動作量検出器の検出値から前記先端部材の姿勢を検出する姿勢検出手段を設けた遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記把持用駆動源は電動アクチュエータであり、この電動アクチュエータへの供給電力を計測して前記把持具の把持力を検出する把持力検出手段を設けた遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記ガイド部が、このガイド部の外郭となる外郭パイプを有し、前記ガイド孔が、前記外郭パイプ内に設けられたガイドパイプの内径孔である遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項10】
請求項9において、前記外郭パイプ内に前記回転軸を回転自在に支持する複数の転がり軸受を設け、これら複数の転がり軸受の外径面を前記ガイドパイプで支持した遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項11】
請求項10において、前記外郭パイプの内部を通過する冷却液により前記転がり軸受を冷却する冷却手段を設けた遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項12】
請求項11において、前記冷却液は、水もしくは生理食塩水である遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項において、前記把持具は互いに径方向に開閉自在な一対の把持片を有し、前記回転・開閉変換機構は、前記一対の把持片の両方またはいずれか一方を径方向に案内する把持片案内部材と、前記回転部材と一体に回転し、この回転部材の中心線上に中心が位置する渦巻き状の溝が形成された渦巻き溝付き部材と、前記把持片案内部材により径方向に案内された把持片に設けられ、前記渦巻き状の溝に摺動自在に係合する突起とでなる遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項14】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項において、前記把持具は互いに径方向に開閉自在な一対の把持片を有し、前記回転・開閉変換機構は、前記一対の把持片の両方またはいずれか一方を径方向に案内する把持片案内部材と、中心線が前記回転部材と同一で、この回転部材と一体に回転するピニオンと、前記把持片案内部材により径方向に案内された把持片と一体に設けられ、前記ピニオンと噛み合うラックとでなる遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項15】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項において、前記把持具は互いに径方向に開閉自在な一対の把持片を有し、前記回転・開閉変換機構は、前記一対の把持片の両方またはいずれか一方を径方向に回動自在に支持する把持片支持部材と、中心線が前記回転部材と同一で、この回転部材と一体に回転するウォームと、前記把持片支持部材に支持された把持片と一体にこの把持片と回動中心線を一致させて設けられ、前記ウォームと噛み合うウォームホイールとでなる遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項16】
請求項1ないし請求項15のいずれか1項において、前記回転・開閉変換機構に、前記一対の把持片の開閉幅を機械的に抑制する幅抑制手段を設けた遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項17】
請求項1ないし請求項16のいずれか1項において、前記先端部材は、前記ガイド部の先端に前記回転軸の中心線回りに回動自在に取付けられ、かつ前記ガイド部の先端との間に生じる接触部位での回転抵抗力により前記回転軸の中心線回りの回転が規制され、前記回転軸の回転によって前記回転部材が受ける回転力が、前記回転抵抗力により回転を阻止する力を超えるように前記把持用駆動源により前記回転軸を回転させることにより、前記把持用駆動源によって前記先端部材を回転させることを可能にした遠隔操作型アクチュエータ。
【請求項18】
請求項1ないし請求項17のいずれか1項において、内視鏡下手術で使用する医療用の遠隔操作型アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−62784(P2011−62784A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216593(P2009−216593)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】