説明

選別装置

【課題】運転開始時の安全性の向上を図る。
【解決手段】選別装置1は、検査装置30の検査結果に応じて押出部材11を進退移動させ、被検査体Wを搬送路2a上を通過又は搬送路外に押し出して振り分け選別するものであり、検査装置30から運転開始命令を受けて押出部材11が初期位置にないことを検出手段5が検出したときは運転を禁止する。押出部材11を手動で初期位置に戻し、押出部材11が初期位置にあることを検出手段5が検出して検査装置30から運転開始命令を受けると、被検査体Wを搬送路2aに搬入させて運転を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産ラインの一部に組み込まれ、検査装置(例えば重量検出装置、金属検出装置、X線異物検出装置など)を介して順次搬送される被検査体を、その良否結果に応じて振り分け選別する選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品等を生産する生産ラインには、検査装置(例えば重量検出装置、金属検出装置、X線異物検出装置など)を介して順次搬送される被検査体を、その良否結果に応じて振り分け選別する選別装置が組み込まれている。この種の選別装置としては、例えば下記特許文献1に開示されるように、良品と判定された被検査体をそのまま搬送路上を通過させ、不良品と判定された被検査体を搬送路外に押し出して搬送方向と異なる方向へ選別する、所謂プッシャ方式により良品と不良品とに振り分けて選別するものが従来より知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−048345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の従来の選別装置において、例えば業務用チーズや加工肉等を段ボールに梱包した重々量で大型な製品を被検査体として良否選別する場合には、不良品と判定された被検査体を搬送路外に押し出す押出部材の押出面を大きくする必要があり、それに伴って押出部材の押出力も要求され、この押出部材の駆動手段としては、例えば空気圧又は油圧による駆動シリンダが用いられる。
【0005】
そして、この種の従来の選別装置では、例えば停止時における装置の清掃や被検査体の噛み込みによる非常時の停止などのように、押出部材が搬送路上の中途位置に停止して初期位置にない場合、前段の検査装置(例えば、重量検出装置、金属検出装置、X線異物検出装置など)からの運転開始命令の入力により運転を開始(再開)すると、駆動シリンダにより押出部材を初期位置(搬送路から退避した位置)に戻し、前段の検査装置から搬送されてくる被検査体の選別動作に備えている。
【0006】
ところで、押出部材の駆動手段としてエアシリンダを用いた場合には、押出部材を初期位置に戻す際に、シリンダ内が空の状態から一気に空気が供給されることになる。このため、押出部材が初期位置に戻る速度も早く、装置周囲で作業する作業従事者にとって危険であった。
【0007】
そこで、上述した危険性を回避するには、エアシリンダのエアの供給流量や圧力を調整して速度を遅くすることが考えられる。しかしながら、エアシリンダの速度を遅くすると、それに伴って選別動作も遅くなってしまい、生産能力の低下を招くという問題があった。
【0008】
このように、従来の選別装置では、運転の開始(再開)時に、被検査体を不良品と判定して押出部材を動作させるNG動作でもないのにも関わらず、エアシリンダにより押出部材を初期位置に復帰させる動作を行っている。そして、特に、押出部材の駆動手段としてエアシリンダを用いた場合には、生産能力に見合った選別能力を発揮するようにエアの供給流量や圧力が設定されており、押出部材が初期位置に戻る際の速度も早く、この押出部材の不意の初期位置復帰動作により、装置周囲で作業する作業従事者に危険が及ぶ恐れがあり、安全性に問題があった。
【0009】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、運転開始時の安全性の向上を図ることができる選別装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載された選別装置は、被検査体Wが搬入される搬送路2aに対して進退移動可能な押出部材11を備え、前記被検査体を検査する検査装置30の検査結果に応じて前記押出部材を進退移動させることにより、前記被検査体を前記搬送路上を通過又は前記搬送路外に押し出して振り分け選別する選別装置1において、
前記押出部材が前記搬送路から退避した初期位置にあるか否かを検出する検出手段5と、
前記押出部材が前記初期位置にあることを前記検出手段が検出して前記検査装置から運転開始命令を受けたときに、前記被検査体を前記搬送路に搬入させて運転を開始する制御手段6とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載された選別装置は、請求項1の選別装置において、
前記検出手段5は、前記押出部材11が前記初期位置にあるか否かを検出する初期位置検出手段5aと、前記押出部材が前記被検査体Wを前記搬送路2a外に押し出す押出位置にあるか否かを検出する押出位置検出手段5bとからなることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載された選別装置は、請求項1の選別装置において、
前記検出手段5は、光電センサ21と反射ミラー22とからなる2組のセンサ24,25で構成され、前記押出部材11が前記初期位置にある状態で各組の光電センサと反射ミラーとが対向するように、前記搬送路2aの一側端側に前記押出部材を中心として対称配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、不意の初期位置復帰動作によって作業従事者に及ぶ危険を回避でき、安全性の向上を図ることができる。
【0014】
また、押出部材の初期位置と押出位置を検出することにより、動作速度やストロークを監視でき、動作速度やストロークが許容範囲から外れて異常が発生したときに、システムを停止制御したり、アラームを出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)本発明に係る選別装置の第1実施の形態の概略構成を示す図であって、押出部材が初期位置にあるときの状態図である。 (b)押出部材が初期位置になく搬送路上にあるときの状態図である。
【図2】(a)本発明に係る選別装置の第2実施の形態の概略構成を示す図であって、押出部材が初期位置にあるときの状態図である。 (b)押出部材が押出位置にあるときの状態図である。 (c)制御手段に入力される検出信号の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る選別装置の第3実施の形態の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者などによりなされる実施可能な他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれる。
【0017】
図1(a)は本発明に係る選別装置の第1実施の形態の概略構成を示す図であって、押出部材が初期位置にあるときの状態図、同図(b)は押出部材が初期位置になく搬送路上にあるときの状態図、図2(a)は本発明に係る選別装置の第2実施の形態の概略構成を示す図であって、押出部材が初期位置にあるときの状態図、同図(b)は押出部材が押出位置にあるときの状態図、同図(c)は制御手段に入力される検出信号の一例を示す図、図3は本発明に係る選別装置の第3実施の形態の概略構成を示す図である。
【0018】
なお、本明細書において、「選別位置」は不良品の被検査体が選別機構により選別動作される位置、「初期位置」は選別機構による不良品の被検査体の選別動作時に押出部材の移動が開始される位置であるとともに良品の被検査体をそのまま通過させるために押出部材が待機する位置、「押出位置」は選別機構による不良品の被検査体の選別動作時に移動した押出部材が被検査体を押し切った位置としてそれぞれ定義する。
【0019】
また、被検査体の搬送方向として、「良品搬送方向」とは検査装置により良品と判定された被検査体が搬送される方向(本形態では、検査装置からの被検査体の搬送方向と同方向)であり、「不良品搬送方向」とは検査装置により不良品として判定された被検査体が搬送される方向(本形態では、検査装置からの被検査体の搬送方向と直交する方向)としてそれぞれ定義する。
【0020】
本発明に係る選別装置は、生産ラインの一部に組み込まれ、上流側に配置される検査装置(例えば被検査体の重量を検出する重量検出装置、被検査体の金属混入の有無を検出する金属検出装置、被検査体の異物混入の有無を検出するX線異物検出装置などの)を介して順次搬送される被検査体を検査結果(良否結果)に応じて選別するものである。
【0021】
(第1実施の形態の選別装置)
以下、図1(a),(b)を参照しながら第1実施の形態の選別装置の構成について説明する。
図1(a),(b)に示すように、第1実施の形態の選別装置1(1A)は、本装置の上流側に配置される検査装置30(例えば重量検出装置、金属検出装置、X線異物検出装置など)から搬送される被検査体Wを良品搬送方向に搬送する搬送手段2と、検査装置30において不良品と判定された被検査体Wを不良品搬送方向へ搬送する不良品搬送手段3と、検査装置30からの検査結果に基づき搬送路2a上の被検査体Wを良品搬送方向又は不良品搬送方向の何れかの方向に振り分け選別する選別機構4と、被検査体Wが初期位置にあるか否かを検出する検出手段5と、選別装置1を構成する各部を統括制御する制御手段6とを備えている。
【0022】
なお、検査装置30は、例えばボタン操作やスイッチ操作により検査開始が指示されると、被検査体Wを順次搬入して所定の検査を実行し、選別装置1に対し、運転開始命令を出力するとともに、検査終了を起点として予め被検査体W毎に設定される選別タイミング信号を検査結果(判定情報)とともに出力している。
【0023】
搬送手段2は、周回する環状の搬送ベルトが良品搬送方向と直交する方向に回動自在に軸支される搬送ベルトローラに掛け回されて構成され、搬送ベルトと搬送ベルトローラとが協働して搬送路2a上の被検査体Wを良品搬送方向に搬送する。搬送手段2は、制御手段6の制御により、検査を終えた検査装置30からの被検査体Wを搬入するとともに、良品と判定された被検査体Wを不図示の後処理部へ搬送する良品搬送手段40に搬送している。
【0024】
不良品搬送手段3は、良品搬送方向と平行して回動自在に列設された複数のローラで構成され、隣接する搬送手段2における不良品の被検査体Wの排出側(図1中における搬送路2aの下方側の側端)から選別機構4によって選別された被検査体Wを不良品搬送方向に搬送している。
【0025】
選別機構4は、押出部材11と駆動手段12とを備え、制御手段6の制御に基づく駆動手段12の駆動により押出部材11を搬送路2aと直交する方向に進退移動させ、検査装置30から搬入された被検査体Wを所定の搬送方向(良品搬送方向又は不良品搬送方向)へ振り分けて被検査体Wの選別を行っている。
【0026】
押出部材11は、例えばステンレス鋼板の板状部材で構成され、選別動作時に不良品の被検査体Wと当接する当接面の裏面側における中央部分と後述する駆動手段12の可動部材12aの先端部分とが接合して、前記当接面が搬送路2aに対して垂直となるよう立設されている。また、押出部材11における当接面は、被検査体Wの大きさや形状に左右されることなく安定して不良品搬送方向へ押し出せる程度の当接面積を有している。よって、本例の押出部材11では、図1に示すように、重々量で大型な被検査体Wであっても安定して不良品搬送方向へ排出可能とするべく良品搬送方向を長手方向とする長方形状を有しており、鉛直方向上方からみると可動部材12aとの接続形状がT字形状を成している。なお、押出部材11は、搬送される不良品である被検査体Wと当接した際に変形することなく排出可能な剛性を有する材料であれば特に限定はされない。
【0027】
駆動手段12は、空気圧又は油圧による駆動シリンダ、ステッピングモータ等のアクチュエータで構成され、不良品搬送手段3と対向して搬送路2aの外側に設けられている。駆動手段12は、不良品搬送方向に沿って進退移動して自身の駆動力を伝達して押出部材11を所定の可動範囲(搬送路幅に相当)内で移動させる可動部材12a(駆動シリンダではロッド、ステッピングモータではモータの回転力を直進方向に変換する動力伝達機構を介して接続される軸)を備えている。
【0028】
駆動手段12は、検査装置30で不良品と判定された被検査体Wに対し、検査装置30からの選別タイミング信号で押出部材11を初期位置と押出位置との間で進退移動させている。また、駆動手段12は、検査装置30で良品と判定された被検査体Wに対し、制御手段6からの待機信号により、可動部材12aを駆動させずに押出部材11を初期位置で待機させている。さらに、駆動手段12は、制御手段6から選別中断信号が入力されると、可動部材12aの駆動を中止して選別動作を中断する。
【0029】
検出手段5(5A)は、押出部材11が初期位置にあるか否か、言い換えれば、押出部材11が搬送手段2の搬送路2a上の中途位置にあるか否かを検出している。検出手段5は、例えば光電センサ21と反射ミラー22の組み合わせで構成され、図1に示すような配置に設けられる。さらに説明すると、光電センサ21は、光を投光する投光器と、光を受光する受光器とが一体化されたもので、駆動手段12側に配設される。また、反射ミラー22は、押出部材11が初期位置にある状態で光電センサ21と対向するように可動部材12aに配設される。
【0030】
この光電センサ21と反射ミラー22の組み合わせからなる検出手段5Aでは、光電センサ21の投光器から投光された光が反射ミラー22で反射され、この反射された光を受光器が受光したときに、押出部材11が初期位置にあると判断して初期位置検出信号を制御手段6に出力している。これに対し、光電センサ21の投光器から投光された光が反射ミラー22の反射により受光器に受光されなければ、押出部材11が初期位置になく搬送手段2の搬送路2a上の中途位置にあると判断して中途位置検出信号を制御手段6に出力している。
【0031】
なお、検出手段5Aとしては、上述した光電センサ21と反射ミラー22の組み合わせに限定されるものではない。例えばリミットスイッチやマイクロスイッチとこれらスイッチをオン・オフする作動部材との組み合わせ、磁石とリードスイッチの組み合わせなどで構成することもできる。
【0032】
制御手段6は、例えばCPUやROM、RAMなどのマイクロコンピュータで構成され、選別装置1を構成する各部を統括制御している。すなわち、制御手段6は、検査装置30からの運転開始命令、選別タイミング信号、検査結果を示す判定情報(良品判定情報、不良品判定情報)、検出手段5(5A)からの検出信号(初期位置検出信号、中途位置検出信号)に基づき、搬送手段2や選別機構4の駆動を制御している。
【0033】
また、制御手段6は、例えば装置の清掃や被検査体の噛み込みによる非常停止などで、不図示の停止ボタンや停止スイッチが操作されて停止の指示が入力されると、運転を停止するべく、搬送手段2を停止制御するとともに、駆動手段12に選別中断信号を出力している。
【0034】
さらに、制御手段6は、検査装置30から運転開始命令を受けたときに、検出手段5Aから初期位置検出信号が入力されているときのみ、運転(再開)するべく、搬送手段2を駆動制御するとともに、押出部材11を進退移動させる可動部材12aの駆動手段12を選別動作可能状態に制御し、搬送手段2の搬送路2aに搬入した被検査体Wを選別動作するように検査装置30からの選別タイミング信号及び判定情報に応じて駆動手段12の駆動を制御する。なお、ここでの選別動作可能状態は、選別タイミング信号及び判定情報を受けて選別動作ができる状態を示し、例えば駆動手段12に電源やエアーを供給することである。
【0035】
次に、上記構成による第1実施形態の選別装置1Aの動作について説明する。
選別装置1Aの制御手段6は、検査装置30から運転開始命令を受けると、検出手段5Aから初期位置検出信号の入力があるか否かを判別する。制御手段6は、検出手段5Aから初期位置検出信号の入力ありと判定すると、運転を開始(再開)するべく、搬送手段2を駆動制御するとともに、駆動手段12を選別動作可能状態に制御し、検査を終えた検査装置30からの被検査体Wを搬送手段2の搬送路2aに搬入させ、検査装置30からの選別タイミング信号及び判定情報に応じて駆動手段12の駆動を制御する。
【0036】
具体的に、制御手段6は、検査装置30から検査結果として良品判定情報が入力されると、駆動手段12に待機信号を出力する。これにより、図1(a)に示すように、良品として判定された被検査体Wが選別機構4を通過して良品搬送手段40に搬送されるまで押出部材11が初期位置に待機した状態に制御される。
【0037】
これに対し、制御手段6は、検査装置30から検査結果として不良品判定情報が入力されると、検査装置30からの選別タイミング信号により駆動手段12の駆動を制御する。これにより、図1(b)に示すように、不良品として判定された被検査体Wが選別位置に達したときに駆動手段12が押出部材11を押し出し、押出部材11を初期位置と押出位置との間で進退移動させ、被検査体Wが不良品搬送手段3まで排出される状態に制御される。
【0038】
ここで、選別装置1の清掃や非常時の停止などにより、制御手段6から駆動手段12に選別中断信号が入力されると、可動部材12aの駆動を中止して選別動作を中断する。また、搬送手段2は停止する。
【0039】
その後、制御手段6は、運転を再開するべく検査装置30から運転開始命令が入力された際に、押出部材11が搬送手段2の搬送路2a上に位置し、検出手段5から中途位置検出信号の入力があると判定すると、運転を禁止するべく、搬送手段2の駆動を停止制御するとともに、駆動手段12に選別中断信号を出力する。これにより、搬送手段2の駆動が停止したままとなり、押出部材11も搬送手段2の搬送路2a上に位置したままとなる。この状態から選別装置1による選別動作を開始(再開)するには、搬送手段2の搬送路2a上に位置する押出部材11を手動で初期位置に戻し、検査装置30から選別装置1に運転開始命令を出力させる。そして、制御手段6は、検査装置30から運転開始命令を受けると、検出手段5から初期位置検出信号の入力があるか否かを判別し、検出手段5から初期位置検出信号の入力があると判定すると、運転を開始(再開)するべく、搬送手段2の駆動を制御するとともに、駆動手段12を選別動作可能状態に制御する。
【0040】
このように、第1実施の形態の選別装置1Aは、検査装置30から運転開始信号が入力されたときに、押出部材11が初期位置にないことを検出手段5が検出すると、運転を禁止するべく、搬送手段2による被検査体Wの搬送及び駆動手段12による押出部材11の進退移動を中止している。その後、押出部材11を初期位置まで手動で戻し、検出手段5が初期位置にある押出部材11を検出し、検査装置30から運転開始命令を受けると、運転を開始(再開)するべく、搬送手段2を駆動するとともに、駆動手段12を選別動作可能状態にして、被検査体Wを搬入させ、検査装置30からの選別タイミング信号及び判定情報(検査結果)に応じて押出部材11を進退移動し、被検査体Wを良品又は不良品に振り分け選別している。
【0041】
これにより、押出部材11の不意の初期位置復帰動作により作業従事者に危険が及ぶのを回避でき、安全性の向上を図ることができる。
【0042】
(第2実施の形態の選別装置)
以下、図2(a)〜(c)を参照しながら第2実施の形態の選別装置の構成について説明する。なお、図2において、第1実施の形態の選別装置と同一の構成要素には同一番号を付し、その説明を省略している。
【0043】
第2実施の形態の選別装置は、第1実施の形態の選別装置1Aにおける検出手段5に関して、押出部材11が初期位置にあるか否かの検出に加え、押出部材11の動作を監視する機能を備えている。
【0044】
このため、第2実施の形態の選別装置1Bにおける検出手段5(5B)は、押出部材11が初期位置にあるか否かを検出する初期位置検出手段5aと、押出部材11が押出位置にあるか否かを検出する押出位置検出手段5bとを備えている。
【0045】
さらに説明すると、初期位置検出手段5aは、図2(a),(b)に示すように、駆動手段12側に配設された光電センサ21と、押出部材11が初期位置にある状態で光電センサ21と対向して押出部材11に配設された反射ミラー22とからなる。また、押出位置検出手段5bは、駆動手段12側に初期位置検出手段5aの光電センサ21と押出部材11のストローク分だけ距離を隔てて配設された光電センサ23と、初期位置検出手段5aと兼用される反射ミラー22とからなる。
【0046】
この第2実施の形態の選別装置1Bの検出手段5Bは、制御手段6の制御に基づく駆動手段12の駆動により押出部材11を進退移動させた際に、初期位置検出手段5aが押出部材11の初期位置を検出して初期位置検出信号を制御手段6に出力する。また、押出位置検出手段5bが押出部材11の押出位置を検出して押出位置検出信号を制御手段6に出力する。図2(c)はその際の検出信号の一例を示している。そして、制御手段6は、図2(c)に示すように、初期位置検出手段5aから初期位置検出信号S1が入力され、所定時間t後に押出位置検出手段5bから押出位置検出信号S2が入力されると、これらの検出信号S1,S2間の時間tから押出部材11のストロークや動作時間を監視し、ストロークが正しくない又は動作時間が許容範囲から外れて異常が発生したときに、制御手段6の制御によりシステム(生産ライン上の装置:選別装置1、検査装置30を含む)を停止制御したり、アラームを出力している。
【0047】
このように、第2実施の形態の選別装置は、押出部材11が初期位置にあるか否かに加え、押出位置にあるか否かを検出する検出手段5Bを備えた構成なので、押出部材11の動作速度やストロークを監視することができ、押出部材11の動作速度やスロトークに異常が発生した場合には、システム停止やアラームなどを出力させることができる。
【0048】
(第3実施の形態の選別装置) 以下、図3を参照しながら第3実施の形態の選別装置の構成について説明する。なお、図3において、第1実施の形態の選別装置と同一の構成要素には同一番号を付し、その説明を省略している。
【0049】
第3実施の形態の選別装置1(1C)は、第1実施の形態の選別装置1Aにおける検出手段5に関して、押出部材11が初期位置にあるか否かの検出に加え、危険エリアに物体があるか否かを検出する機能を備えている。
【0050】
このため、第3実施の形態の選別装置1Cにおける検出手段5(5C)は、図3に示すように、選別機構4の周囲の危険エリアに配置される光電センサ21と反射ミラー22とからなる2組のセンサ24,25で構成される。さらに説明すると、2組のセンサ24,25は、押出部材11が初期位置にある状態で各組同士の光電センサ21と反射ミラー22とが対向するように、搬送手段2の搬送路2aの一側端側に押出部材11を中心として対称配置されている。各組の光電センサ21は、光を投光する投光器と、光を受光する受光器とが一体化されたもので、搬送手段2の搬送路2aの片側側端面(図3の例では、搬送路2aの上方側の側端面)の固定部材26に駆動手段12から所定間隔をおいて取り付けられている。また、各組の反射ミラー22は、押出部材11が初期位置にある状態で、同じ組の光電センサ21と対向するように可動部材12aに配設される。
【0051】
この第3実施の形態の選別装置1Cの検出手段5Cは、押出部材11が初期位置にあるときに、何れか一方の組のセンサ24(又は25)の投光器と受光器との間に物体(例えば装置周囲で作業する作業従事者の身体の一部)が侵入して光を遮ると、危険エリアに物体があると判断して物体検出信号を制御手段6に出力する。そして、制御手段6は、検出手段5Cから初期位置検出信号及び物体検出信号が入力されると、運転を禁止するべく、搬送手段2の駆動を停止制御するとともに駆動手段12に待機信号を出力する。これにより、搬送手段2の駆動が停止し、押出部材11が初期位置で待機したままとなる。
【0052】
このように、第3実施の形態の選別装置1Cは、図3に示すような2組のセンサ24,25で構成される検出手段5Cにより、押出部材11が初期位置にあっても、何れか一方の組のセンサ24(又は25)の投光器と受光器との間に物体(人体)が侵入すると、運転を禁止するべく、搬送手段11による被検査体Wの搬送及び駆動手段12による押出部材11の駆動を中止する安全スイッチとして機能する。
【0053】
これにより、押出部材11が初期位置にある場合でも、押出部材11近傍の危険エリアに物体(人)の存在を検出すれば、押出部材11を中止制御するので、装置周囲で作業する作業従事者に危険を及ぼすことなく、安全性を確保することができる。
【0054】
ところで、上述した実施の形態の選別装置1(1A,1B,1C)では、検査装置30から運転開始命令を受けた場合、(1)押出部材11が初期位置にない状態、(2)押出部材11が初期位置にあっても危険エリアに物体(人体)が存在する状態のときには、運転を禁止するべく、搬送手段2を停止制御するとともに駆動手段12による可動部材12aの駆動を中止制御しているが、制御手段6から検査装置30に対して運転禁止信号を出力し、この運転禁止信号を検査装置30が受けたときに検査装置30の運転も停止するようにしても良い。
【符号の説明】
【0055】
1(1A,1B,1C) 選別装置
2 搬送手段
2a 搬送路
3 不良品搬送手段
4 選別機構
5(5A,5B,5C) 検出手段
6 制御手段
11 押出部材
12 駆動手段
12a 可動部材
21,23 光電センサ
22 反射ミラー
24,25 センサ
26 固定部材
30 検査装置
40 良品搬送手段
W 被検査体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体(W)が搬入される搬送路(2a)に対して進退移動可能な押出部材(11)を備え、前記被検査体を検査する検査装置(30)の検査結果に応じて前記押出部材を進退移動させることにより、前記被検査体を前記搬送路上を通過又は前記搬送路外に押し出して振り分け選別する選別装置(1)において、
前記押出部材が前記搬送路から退避した初期位置にあるか否かを検出する検出手段(5)と、
前記押出部材が前記初期位置にあることを前記検出手段が検出して前記検査装置から運転開始命令を受けたときに、前記被検査体を前記搬送路に搬入させて運転を開始する制御手段(6)とを備えたことを特徴とする選別装置。
【請求項2】
前記検出手段(5)は、前記押出部材(11)が前記初期位置にあるか否かを検出する初期位置検出手段(5a)と、前記押出部材が前記被検査体(W)を前記搬送路(2a)外に押し出す押出位置にあるか否かを検出する押出位置検出手段(5b)とからなることを特徴とする請求項1記載の選別装置。
【請求項3】
前記検出手段(5)は、光電センサ(21)と反射ミラー(22)とからなる2組のセンサ(24,25)で構成され、前記押出部材(11)が前記初期位置にある状態で各組の光電センサと反射ミラーとが対向するように、前記搬送路(2a)の一側端側に前記押出部材を中心として対称配置されたことを特徴とする請求項1記載の選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−193000(P2012−193000A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56912(P2011−56912)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】