説明

選択されたCGRP拮抗薬、その製造方法、および薬物としてのその使用

本発明は、一般式(I)を有するCGRP拮抗薬 (式中、AおよびR1〜R3は、請求項1において示されているように定義する)、その互変異性体、ジアステレオマー、鏡像異性体、水和物、混合物および塩、並びに、それら塩の、特に無機または有機酸とのそれらの生理学上許容し得る塩の水和物;上記化合物を含有する医薬品;上記化合物の使用、上記化合物の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、下記の一般式を有するCGRP拮抗薬、その互変異性体、ジアステレオマー、鏡像異性体、その水和物、その混合物およびその塩、並びにそれらの塩、特に、その無機または有機酸との生理学上許容し得る塩の水和物;これらの化合物を含有する医薬組成物;その使用;およびこれら化合物の製造方法に関する:
【化1】

【0002】
(発明の開示)
上記一般式(I)において、
Aは、下記の式の基:
【化2】

を示し;

【化3】

は、下記の基:
【化4】

を示す。
【0003】
そして、-NR2R3は、下記の基を示す:
【化5】

【0004】
上記一般式(I)の特に好ましい化合物は、例えば、下記のとおりである:
【化6】




【0005】
【化7】



【0006】
【化8】



【0007】
【化9】



【0008】
【化10】



【0009】
【化11】



【0010】
【化12】



【0011】
【化13】



【0012】
【化14】



【0013】
【化15】



【0014】
【化16】



【0015】
【化17】



【0016】
【化18】



【0017】
【化19】



【0018】
【化20】



【0019】
【化21】



【0020】
【化22】

並びに、これらの互変異性体、ジアステレオマー、鏡像異性体、これらの水和物、これらの混合物およびこれらの塩、並びにこれらの塩の水和物があり、また、下記の化合物がある。
【0021】
(1) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ピペリジン-1-イル]-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート;
(2) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[4-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピペラジン-1-イル]-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート;
(3) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-(1'-メチル-[4,4']ビピペリジニル-1-イル)-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート;
(4) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[1,4']ビピペリジニル-1'-イル-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート;
(5) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ピペリジン-1-イル]-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート;
(6) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[4-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピペラジン-1-イル]-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート;
(7) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-(1'-メチル-[4,4']ビピペリジニル-1-イル)-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート;
(8) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[1,4']ビピペリジニル-1'-イル-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート。
これらの互変異性体、ジアステレオマー、鏡像異性体、これらの水和物、これらの混合物およびこれらの塩、並びにこれらの塩の水和物は、極めて重要である。
【0022】
一般式(I)の化合物は、原理的には既知の方法によって調製する。以下の方法は、本発明に従う一般式(I)の化合物を調製するのに有用であることが判明している。
(a) 下記の一般式:
【化23】

(式中、AおよびR1〜R3は、前記で定義したとおりである)
を有する化合物を調製するためには、下記の一般式:
【化24】

(式中、R1は、前記で定義したとおりである)
を有するピペリジンを、下記の一般式:
【化25】

(式中、Gは、同一または異なり得る離核性基(脱離基、nucleofugic group)、好ましくは、塩素原子、p-ニトロフェノキシまたはトリクロロメトキシ基を示す)
を有する炭酸誘導体、および下記の一般式:
【化26】

(式中、A、R2およびR3は、前記で定義したとおりであるが、R2およびR3は、他の遊離の保護されていない第一級または第二級脂肪族アミノ官能基を何ら含有しないことを条件とする)
を有する化合物と反応させる。
【0023】
理論的には2段階反応である上記反応は、通常、ワンポット法として、好ましくは、2つの成分(II)または(IV)の一方を等モル量の一般式(III)の炭酸誘導体と第1段階において適切な溶媒中で低めの温度にて反応させ、次いで、少なくとも等モル量の他のもう一方の成分(II)または(IV)を添加して昇温下に反応を終了させることによって実施する。ビス-(トリクロロメチル)-カーボネートとの反応は、好ましくは、少なくとも2当量(ビス-(トリクロロメチル)-カーボネート基準で)の第三級塩基、例えば、トリエチルアミン、N-エチル-ジイソプロピルアミン、ピリジン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンまたは1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エンの存在下に実施する。無水でなければならない溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンまたはアセトニトリルがある;ビス-(トリクロロメチル)-カーボネートをカルボニル成分として使用する場合は、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタンまたはトリクロロエチレンのような無水クロロ炭化水素類が好ましい。第1反応工程における反応温度は、−30〜+25℃、好ましくは−5〜+10℃であり、第2反応工程においては、反応温度は、+15℃から使用する溶媒の沸騰温度まで、好ましくは+20℃〜+70℃である(H. A. Staab and W. Rohr, "Synthesen mit heterocyclischen Amiden (Azoliden)", Neuere Methoden der Praparativen Organischen Chemie, Vol. V, p. 53 - 93, Verlag Chemie, Weinheim/Bergstr., 1967;P. Majer and R.S. Randad, J. Org. Chem. 59, 1937 - 1938 (1994);K. Takeda, Y. Akagi, A. Saiki, T. Sukahara and H. Ogura, Tetrahedron Letters 24 (42), 4569 - 4572 (1983);S.R. Sandler and W. Karo in "Organic Functional Group Preparations", Vol. II, p. 223-245, Academis Press, New York 1971も参照されたい)。
【0024】
(b) 下記の一般式:
【化27】

(式中、AおよびR1〜R3は、前記で定義したとおりである)
を有する化合物を調製するためには、下記の一般式:
【化28】

(式中、AおよびR1は、前記で定義したとおりである)
を有するカルボン酸を、一般式HNR2R3 (式中、R2およびR3は、前記で定義したとおりであるが、R2およびR3は、他の遊離の保護されていない第一級または第二級脂肪族アミノ官能基を何ら含有しないことを条件とする)のアミンとカップリングさせる。
基-NR2R3中にさらに存在する第一級または第二級アミノ官能基には、いずれも適切な保護基を付与する。
【0025】
上記カップリングは、ペプチド化学からの既知の方法 (例えば、Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie, Vol. 15/2参照)を使用して、例えば、カルボジイミド類、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)またはエチル-(3-ジメチルアミノプロピル)- カルボジイミド、O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N-N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)またはテトラフルオロボレート(TBTU)または1H-ベンゾチアゾール-1-イル-オキシ-トリス-(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)を使用して実施する。1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)または3-ヒドロキシ-4-オキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,3-ベンゾトリアジン(HOObt)を添加することによって、反応速度を増大させ得る。上記カップリングは、通常、等モル量の各カップリング成分およびカップリング試薬により、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチルピロリドン(NMP)またはこれらの混合物のような溶媒中で、−30℃〜+30℃、好ましくは−20〜+25℃の温度で実施する。必要ならば、N-エチル-ジイソプロピルアミン(Hunig塩基)を、好ましくは、追加の補助塩基として使用する。
いわゆる無水物法を、一般式(I)の化合物合成のさらなるカップリング法として使用する(M. Bodanszky, "Peptide Chemistry", Springer-Verlag 1988, p. 58-59;M. Bodanszky, "Principles of Peptide Synthesis", Springer-Verlag 1984, p. 21-27も参照されたい)。混合無水物法のVaughan変法(J.R. Vaughan Jr., J. Amer. Chem.Soc. 73, 3547 (1951)が好ましく、該方法においては、混合無水物を、カップリングさせるべき一般式(V)のカルボン酸とモノイソブチルカーボネートから、4-メチルモルホリンまたは4-エチルモルホリンのような塩基の存在下にイソブチルクロロカーボネートを使用して得ている。この混合無水物の調製および一般式HNR2R3のアミンとのカップリングは、ワンポット法において、上述の溶媒類を使用し、−20℃〜+25℃、好ましくは0℃〜+25℃の温度で実施する。
【0026】
(c) 下記の一般式:
【化29】

(式中、AおよびR1〜R3は、前記で定義したとおりである)
を有する化合物を調製するためには、下記の一般式:
【化30】

(式中、AおよびR1は、前記で定義したとおりであり;Nuは、離脱基、例えば、塩素、臭素またはヨウ素原子のようなハロゲン原子;アルキル成分中に1〜10個の炭素原子を有するアルキルスルホニロキシ基;必要に応じて塩素もしくは臭素原子によりまたはメチルもしくはニトロ基によりモノ-、ジ-またはトリ-置換されたフェニルスルホニロキシまたはナフチルスルホニロキシ基(各置換基は、同一または異なるものであってもよい);1H-イミダゾール-1-イル、炭素骨格中で1個または2個のメチル基により必要に応じて置換された1H-ピラゾール-1-イル)、1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル、1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル、1H-1,2,3,4-テトラゾール-1-イル、ビニル、プロパルギル、p-ニトロフェニル、2,4-ジニトロフェニル、トリクロロフェニル、ペンタクロロフェニル、ペンタフルオロフェニル、ピラニルまたはピリジニル、ジメチルアミニロキシ、2(1H)-オキソピリジン-1-イル-オキシ、2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ、フタルイミジロキシ、1H-ベンゾ-トリアゾール-1-イルオキシまたはアジド基を示す)
を有する化合物を、一般式HNR2R3 (式中、R2およびR3は、前記で定義したとおりであるが、他の遊離の保護されていない第一級または第二級脂肪族アミノ官能基が存在しないことを条件とする)のアミンとカップリングさせる。
【0027】
上記反応は、SchottenBaumannまたはEinhornの条件下に実施する、即ち、各成分を、少なくとも1当量の補助塩基の存在下に、−50℃〜+125℃、好ましくは−10℃〜+30℃の温度で必要に応じて溶媒の存在下に反応させる。使用する補助塩基は、好ましくは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化バリウム;アルカリ金属炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム;アルカリ金属酢酸塩、例えば、酢酸ナトリウムまたはカリウム;並びに、第三級アミン、例えば、ピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、キノリン、トリエチルアミン、N-エチル-ジイソプロピルアミン、N-エチル-ジシクロヘキシルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンまたは1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エンであり、使用する溶媒は、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-ピロリドンまたはこれらの混合物であり得る;アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩または酢酸塩を補助塩基として使用する場合は、水も共溶媒として反応混合物中に添加し得る。
【0028】
本発明に従う一般式(I)の新規な化合物は、1個以上のキラル中心を含有する。例えば、2個のキラル中心が存在する場合、上記化合物は、2対のジアステレオマー対掌体の形で生じ得る。本発明は、個々の異性体並びにそれらの混合物も包含する。
各ジアステレオマーは、それらの異なる物理化学特性に基づき、例えば、適切な溶媒からの分別晶出により、キラルまたは好ましくは非キラル静置相を使用する高圧液体またはカラムクロマトグラフィーにより分離し得る。
一般式(I)に包含されるラセミ体は、例えば、適切なキラル静置相(例えば、Chiral AGP、Chiralpak AD)上でのHPLCにより分離し得る。また、塩基性官能基を含有するラセミ体も、光活性酸、例えば、(+)または(-)-酒石酸、(+)または(-)-ジアセチル酒石酸、(+)または(-)-モノメチル酒石酸、または(+)-カンファースルホン酸との反応において生成するジアステレオマー光活性塩により分離し得る。
【0029】
通常の異性体分離方法によれば、一般式(I)の化合物のラセミ体を等モル量の上述の光活性酸または塩基の1種と溶媒中で反応させ、得られる各結晶質ジアステレオマー光活性塩を、それら塩の異なる溶解性を使用して分離する。この反応は、任意のタイプの溶媒中で実施し得るが、溶媒は、上記各塩の溶解性の点で十分に異なることを条件とする。好ましくは、メタノール、エタノールまたは例えば50:50容量比のそれらの混合物を使用する。その後、各光活性塩を水に溶解し、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムのような塩基により或いは適切な酸、例えば、希塩酸または希メタンスルホン酸により注意深く中和する;この方法において、相応する遊離の化合物を(+)または(-)形で得る。
また、一般式(I)に包含される2つの光活性ジアステレオマー化合物の(R)または(S)鏡像異性体単独または混合物も、(R)または(S)形状の適切な反応成分との上記合成を実施することによって得ることができる。
【0030】
一般式(II)の出発化合物は、これら化合物が文献から既に既知でない場合には、国際特許出願WO 03/104236号に記載されている方法に従って取得し得る。一般式(III)の出発化合物は、商業的に入手可能である。一般式(IV)の化合物は、ペプチド化学においてよく知られている方法により、ヒドロキシカルボン酸と一般式HNR2R3のアミンとから得ることができる。
【0031】
一般式(IV)の化合物を調製するには、下記の一般式:
【化31】

(基Aは、前記で定義したとおりであり、上記合成において必要である)
を有するヒドロキシカルボン酸を、下記の一般式:
【化32】

(基Aは、前記で定義したとおりである)
を有する化合物から得ることができる。
【0032】
基Aがアミノまたはメチルアミノ基を含有していない場合は、一般式(VIII)の化合物を適切なジアゾ化試薬、好ましくは亜硝酸ナトリウムにより酸媒質中でジアゾ化することによって、一般式(VII)の化合物を得ることが可能である。鏡像異性体として純粋な化合物を使用する場合には、相応する鏡像異性体として純粋なヒドロキシカルボン酸化物が得られ、その形状は反応の進行と共に保持される。
【0033】
基Aが前記で定義したとおりである一般式(VII)の化合物のもう1つの取得方法は、下記の化合物:
【化33】

を、下記の一般式:
【化34】

(Aは、前記で定義したとおりであり;Xは、塩素、臭素またはヨウ素原子を示す)
を有する相応に置換された塩化ベンジル、臭化ベンジルまたはヨウ化ベンジルによって、文献から既知の方法(Michael T. Crimmins, Kyle A. Emmitte and Jason D. Katz, Org. Lett. 2, 2165-2167 [2000])と同様にしてアルキル化することを含む。
【0034】
その後、調製したジアステレオマー生成物を、物理化学的方法、好ましくはクロマトグラフィー法を使用して分離する。また、キラル補助剤の加水分解的開裂、一般式HNR2R3のアミンとのカップリングおよびベンジル保護基の開裂も、一般式(IV)の鏡像異性体として純粋なヒドロキシカルボン酸化合物を得る方法を提供する。
【0035】
また、基Aが前記で定義したとおりである一般式(VII)の化合物は、下記の一般式:
【化35】

を有する2-アセチルアミノ-3-フェニル-アクリル酸を、強酸を使用して沸騰濃縮させ、引続き、生成させた2-ヒドロキシ-3-フェニル-アクリル酸を還元することによっても得ることができる。
【0036】
得られた一般式(I)の化合物は、これら化合物が適切な塩基官能基を含有する場合、特に製薬用途においては、無機または有機酸によってそれらの生理学上許容し得る塩に転化させ得る。適切な酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、ギ酸、コハク酸、乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸またはマレイン酸がある。
【0037】
本発明は、一般式(I)の化合物が1個のみのキラル元素を有する場合のラセミ体に関する。しかしながら、応用は、2個以上のキラル元素が一般式(I)の化合物内に存在する場合に得られる個々のジアステオマー対の対掌体またはその混合物、並びに上述のラセミ体を構成する個々の光活性鏡像異性体にも及ぶ。
また、本発明の主題には、1個以上の水素原子、例えば、1個、2個、3個、4個または5個の水素原子が重水素によって置換されている本発明に従う化合物(その塩も含む)も包含される。
【0038】
一般式(I)の新規な化合物およびその生理学上許容し得る塩は、その選択的CGRP拮抗薬特性に基づき、価値ある薬理特性を有する。本発明は、さらに、これらの化合物を含有する医薬組成物、その使用およびその製造にも関する。
上記の新規な化合物およびその生理学上許容し得る塩は、CGRP拮抗薬特性を有し、CGRPレセプター結合性試験において良好な親和性を示している。上記化合物は、以下で説明する薬理学試験系においてCGRP拮抗薬特性を示す。
【0039】
以下の試験を実施して、ヒトCGRPレセプターに対する上記化合物の親和性およびその拮抗薬特性を実証した。
A. SK-N-MC細胞(ヒトCGRPレセプターを発現する)による結合性試験
SK-N-MC細胞を、“ダルベッコ変性イーグル培地”中で培養する。培地を密集培養物から除去する。細胞をPBS緩衝液(Gibco 041-04190 M)で2回洗浄し、0.02%EDTAを混合したPBS緩衝液を添加して脱着し、遠心分離により分離する。20mlの“平衡塩類溶液”[BSS (mMで):NaCl 120、KCl 5.4、NaHCO3 16.2、MgSO4 0.8、NaHPO4 1.0、CaCl2 1.8、D-グルコース 5.5、HEPES 30、pH 7.40]中での再懸濁後に、細胞を、100×gで2回遠心分離し、BSS中に再懸濁させる。細胞数を測定した後、細胞を、Ultra-Turraxを使用して均質化し、3000×gで10分間遠心分離する。上清を廃棄し、ペレットを、1%ウシ血清アルブミンおよび0.1%バシトラシンを加えたTris緩衝液(10mM Tris、50mM NaCl、5mM MgCl2、1mM EDTA、pH 7.40)中で再遠心分離し、再懸濁する(1ml/1000000細胞)。均質化生成物を−80℃で凍結する。膜画分は、これらの条件下で6週間以上安定である。
【0040】
解凍後、均質化生成物を、アッセイ緩衝液(50mM Tris、150mM NaCl、5mM MgCl2、1mM EDTA、pH 7.40)で1:10希釈し、Ultra-Turraxにより30秒間均質化する。230μlの均質化生成物を、50pMの125I-イオドチロシル-カルシトニン-遺伝子関連ペプチド(Amersham社)および増分濃度の試験物質と一緒に総容量250μlで周囲温度にて180分間インキュベートする。インキュベーションを、細胞収集器を使用し、ポリエチレンイミン(0.1%)で処理したGF/Bガラス繊維フィルターによる急速濾過によって終了させる。タンパク質結合放射能を、ガンマカウンターを使用して測定する。非特異結合は、インキュベーション中の1μMのヒトCGRP-アルファの存在下での結合放射能と定義する。
濃度結合曲線を、コンピュータ支援非線状曲線照合法を使用して解析する。
上述した化合物は、上記試験においてIC50値 ≦ 10000nMを示す。
【0041】
B. SK-N-MC細胞中でのCGRP拮抗作用
SK-N-MC細胞(100万細胞)を250μlのインキュベーション緩衝液(HanksのHEPES、1mM 3-イソブチル-1-メチルキサンチン、1%BSA、pH 7.4)で2回洗浄し、37℃で15分間予備インキュベートする。CGRP(10μl)を作用薬として増分濃度(10-11〜10-6M)で或いはさらに該物質を3〜4通りの異なる濃度で添加した後、混合物をさらに15分間インキュベートする。
その後、細胞内cAMPを、20μlの1M HClを添加し、遠心分離(2000×g、4℃、15分間)することによって抽出する。上清を液体窒素中で凍結し、−20℃で保存する。
サンプルのcAMP含有量をラジオイムノアッセイ(Messrs. Amersham社)により測定し、拮抗作用物質のpA2値をグラフとして測定する。
一般式(I)の化合物は、上記生体外試験モデルにおいて、10-12〜10-5Mの投与量範囲でCGRP拮抗作用特性を示す。
【0042】
従って、その薬理特性の点で、一般式(I)の化合物およびその生理学上許容し得る酸との塩は、頭痛、特に、片頭痛または群発性頭痛の急性期または予防的治療に適している。さらにまた、一般式(I)の化合物は、以下の疾患に対しても正の作用を有している:非インスリン依存性糖尿病(“NIDDM”);複合性局所疼痛症候群(CRPS1);循環器疾患;モルヒネ耐性;クロストリジウム毒素によって生じる下痢;皮膚疾患、特に、日焼けのような熱および放射線誘発性皮膚損傷;炎症性疾患、例えば、特に、関節部の炎症性疾患(関節炎)、口内粘膜の神経性炎症、炎症性肺疾患、アレルギー性鼻炎、喘息;過剰の血管拡張および結果としての組織への血液供給低下に伴う疾患、例えば、ショックおよび敗血症。さらに、本発明に従う化合物は、一般的な疼痛の軽減作用も有する。
エストロゲン欠乏女性における血管拡張および血流増大によって生じる閉経期ほてり症候群並びに前立腺癌を有するホルモン治療患者は、予防的および急性期治療能力において、本出願のCGRP拮抗薬により好ましく影響を受け、この治療方法は、副作用がないことにより、ホルモン補充法とは異なる。
【0043】
相応する効果を達成するのに必要な投与量は、静脈内または皮下投与する場合、好都合には0.01〜3mg/kg体重、好ましくは0.01〜1mg/kg体重;経口投与する場合、0.01〜20mg/kg体重、好ましくは0.1〜10mg/kg体重;鼻内または吸入投与する場合、0.01〜10mg/kg体重、好ましくは0.1〜10mg/kg体重であり、各場合において1日1〜3回である。
CGRP拮抗薬および/またはCGRP放出抑制剤による治療を通常のホルモン補充法の補完法として使用する場合は、上記で特定した投与量を減らすことが推奨され、その場合、投与量は、上述の下限値の1/5から上限値の1/1までであり得る。
【0044】
本発明に従って調製した化合物は、単独でまたは必要に応じて他の片頭痛治療用活性物質と併用して、静脈内、皮下、筋肉内、直腸内、鼻内経路、吸入、経皮または経口投与し得るが、エアゾール製剤は、特に吸入に適している。併用薬は、同時または順次のいずれかで投与し得る。
【0045】
併用して使用し得る活性物質のカテゴリーとしては、例えば、アンギオテンシンIIレセプター拮抗薬、α-作用薬およびα-拮抗薬、5-HT1B/1D作用薬、AMPA拮抗薬、穏やかな鎮痛剤、抗鬱薬、制吐薬、抗けいれん薬、抗ムスカリン薬、β-遮断薬、カルシウム拮抗薬、コルチコステロイド類、麦角アルカロイド類、ヒスタミン-H1レセプター拮抗薬、ニューロキニン拮抗薬、神経安定薬、非ステロイド系抗炎症薬、NO-シンターゼ抑制薬、運動促進薬、選択性セロトニン再取込み阻害薬、または他の抗片頭痛薬があり、これらの薬剤は、1種以上の不活性な通常の担体および/または希釈剤、例えば、コーンスターチ、ラクトース、グルコース、微結晶質セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセリン、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース、または硬質油脂のような脂肪物質、或いはこれらの適切な混合物と一緒に調合して、平板錠剤またはコーティーング錠剤、カプセル剤、粉末剤、懸濁液、溶液、計量投与量エアゾール剤または座薬のような通常のガレヌス製剤とし得る。
【0046】
従って、上述の併用において使用し得る他の活性物質としては、例えば、上記非ステロイド系抗炎症薬のアセクロフェナック、アセメタシン、アセチルサリチル酸、アザチオプリン、ジクロフェナック、ジフルニサル、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、レフルノミド、ロルノキシカム、メフェナム酸、ナプロキセン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スルファサラジン、テノキシカム、ゾメピラックまたはこれらの製薬上許容し得る塩、並びにメロキシカムおよび、他の選択性COX2抑制薬、例えば、ロフェコキシブおよびセレコキシブがある。
【0047】
また、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、デュロキセチン、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、メトクロプラミド、ドンペリドン、ジフェンヒドラミン、シクリジン、プロメタジン、クロルプロマジン、ビガバトリン、チモロール、イソメテプテン、ピゾチフェン、ボトックス、ガバペンチン、トピラメート、リボフラビン、モンテルカスト、リシノプリル、プロクロロペラジン、デキサメタゾン、フルナリジン、デキスロトプロポキシフェン、メペリジン、メトプロロール、プロプラノロール、ナドロール、アテノロール、クロニジン、インドラミン、カルバマゼピン、フェニトイン、バルプロエート、アミトリプチリン、リドカインまたはジルチアゼム;および、例えば、アルモトリプタン、アビトリプタン、ドニトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタンおよびゾリミトリプタンのような他の5-HT1B/1D作用薬;並びにこれらの生理学上許容し得る塩も使用し得る。
【0048】
これら活性物質の投与量は、好都合には、最低推奨投与量の1/5から通常推奨投与量の1/1、即ち、例えば、20〜100mgのスマトリプタンである。
さらに、本発明は、例えば、例えばトリチウムによる接触水素化またはハロゲン原子のトリチウムでの置換による適切なプレカーサーのトリチウム化による適切な放射性標識化後の、抗体類の産生および精製(アフィニティークロマトグラフィーによる)並びにRIAおよびELISAアッセイにおける価値あるアジュバントとしての、さらに、神経伝達物質研究における診断または分析用アジュバントとしての本発明に従う化合物の使用にも関する。
【0049】
実験の項
一般的に、IR、1H-NMRおよび/または質量スペクトルは、調製した化合物において得ている。
特に断らない限り、Rf値は、既製品のシリカゲルTLCプレート 60 F254 (E. Merck, Darmstadt社、品目番号 1.05714)をチャンバー飽和なしで使用して求める。溶離剤に対して定める比率は、当該溶媒の容量単位に関連する。NH3に対して特定した容量単位は、水中NH3濃縮溶液を示す。
特に断らない限り、反応溶液を処理するのに使用する酸、塩基および塩溶液は、特定濃度の水性系である。
クロマトグラフィー精製においては、Millipore社製のシリカゲル(MATREXTM、35-70 μm)を使用する。
構造系について説明がない場合、物質が純粋な鏡像異性体であるかどうか或いは部分的なまたは均等に全体的なラセミ化が生じているかどうかは不明である。
【0050】
以下の略号を実験上の説明において使用する:
Cyc:シクロヘキサン
DCM:ジクロロメタン
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
EtOAc:酢酸エチル
HCl:塩酸
Hunig塩基:エチルジイソプロピルアミン
LiOH:水酸化リチウム
MeOH:メタノール
RT:周囲温度
TBME:tert.-ブチル-メチルエーテル
TBTU:2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム-テトラフルオロボレート
THF:テトラヒドロフラン
【0051】
実施例1
(R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ピペリジン-1-イル]-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート
【化36】

(1a) (R)-2-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-1-メトキシカルボニル-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート
0.62g (5.07ミリモル)のDMAP、1.02g (5.06ミリモル)の4-ニトロフェニルクロロホルメートおよび20mLのピリジンの混合物をRTで40分間撹拌し、この混合物に、20mLのピリジン中に溶解させた1.50g (5.04ミリモル)のメチル(R)-3-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-2-ヒドロキシ-プロピオネートを滴下により添加し、混合物をRTで2時間撹拌した。1.2g (5.52ミリモル)の2',3'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-ピリジン4,4'-(1'H)-キナゾリンを添加した後、混合物をRTで1夜撹拌し、60mLのTBMEと混合し、1M KHSO4溶液で3回、15% K2CO3溶液で6回洗浄した。有機相をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上で精製した。
収率:1.20g (理論値の44%)
MS:(M+H)+ = 541/543 (Cl)
Rf = 0.61 (シリカゲル、DCM/Cyc/MeOH/NH3 70:15:15:2)
【0052】
(1b) (R)-2-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-1-カルボキシ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート
1.20g (2.22ミリモル)の(R)-2-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-1-メトキシカルボニル-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレートと50mlのTHFの混合物を、100mg (4.09ミリモル)のLiOHの水溶液と混合し、RTで4時間撹拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、水と混合し、水性相をEtOAcで2回抽出した。その後、水性相を、1モルの塩酸を添加して酸性化し、DCMにより徹底的に抽出した。寄せ合せた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下に濃縮した。
収率:0.90g (理論値の77%)
MS:(M+H)+ = 525/527 (Cl)
Rf = 0.17 (シリカゲル、DCM/Cyc/MeOH/NH3 70:15:15:2)
(1c) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ピペリジン-1-イル]-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート
80mg (0.24ミリモル)のTBTUと0.05mL (0.28ミリモル)のHunig塩基を、15mLのTHF中の100mg (0.19ミリモル)の(R)-2-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-1-カルボキシ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレートの溶液に添加し、RTで30分間撹拌した。その後、混合物を、5mLのTHF中に溶解させた40mg (0.21ミリモル)の1-メチル-4-ピペリジン-4-イル-ピペラジンと混合し、反応混合物をRTで4時間撹拌した。30mLのEtOAcを添加した後、反応混合物を20mLの15% K2CO3溶液で2回洗浄した。有機相をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、DCMからDCM/MeOH/NH3 50:45:5への勾配)により精製した。
収率:40mg (理論値の31%)
MS:(M+H)+ = 692/694 (Cl)
Rf = 0.36 (シリカゲル、DCM/Cyc/MeOH/NH3 70:15:15:2)
【0053】
実施例2
(R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[4-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピペラジン-1-イル]-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート
【化37】

実施例(1c)と同様にして、上記生成物を、100mg (0.19ミリモル)の(R)-2-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-1-カルボキシ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレートと40mg (0.22ミリモル)の1-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピペラジンから得た。
収率:20mg (理論値の15%)
MS:(M+H)+ = 692/694 (Cl)
Rf = 0.30 (シリカゲル、DCM/Cyc/MeOH/NH3 70:15:15:2)
【0054】
実施例3
(R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-(1'-メチル-[4,4']ビピペリジニル-1-イル)-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート
【化38】

実施例(1c)と同様にして、上記生成物を、100mg (0.19ミリモル)の(R)-2-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-1-カルボキシ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレートと40mg (0.22ミリモル)の1-メチル-[4,4']ビピペリジニルから得た。
収率:10mg (理論値の8%)
MS:(M+H)+ = 691/693 (Cl)
Rf = 0.37 (シリカゲル、DCM/Cyc/MeOH/NH3 70:15:15:2)
【0055】
実施例4
(R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[1,4']ビピペリジニル-1'-イル-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート
【化39】

実施例(1c)と同様にして、上記生成物を、100mg (0.19ミリモル)の(R)-2-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-1-カルボキシ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレートと40mg (0.23ミリモル)の[1,4']ビピペリジニルから得た。
収率:40mg (理論値の31%)
MS:(M+H)+ = 677/679 (Cl)
Rf = 0.46 (シリカゲル、DCM/Cyc/MeOH/NH3 70:15:15:2)
【0056】
実施例5
(R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ピペリジン-1-イル]-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート
【化40】

(5a) (R)-2-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-1-メトキシカルボニル-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート
実施例(1a)と同様にして、上記生成物を、1.5g (5.04ミリモル)のメチル(R)-3-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-2-ヒドロキシ-プロピオネートと1.2g (5.50ミリモル)の1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジンから得た。
収率:0.85g (理論値の31%)
MS:(M+H)+ = 542/544 (Cl)
Rf = 0.56 (シリカゲル、DCM/Cyc/MeOH/NH3 70:15:15:2)
【0057】
(5b) (R)-2-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-1-カルボキシ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート
実施例(1b)と同様にして、上記生成物を、850mg (1.57ミリモル)の(R)-2-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-1-メトキシカルボニル-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレートと80mg (3.27ミリモル)のLiOHから得た。
収率:570mg (理論値の69%)
MS:(M+H)+ = 528/530 (Cl)
Rf = 0.10 (シリカゲル、DCM/Cyc/MeOH/NH3 70:15:15:2)
(5c) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ピペリジン-1-イル]-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート
実施例(1c)と同様にして、上記生成物を、100mg (0.19ミリモル)の(R)-2-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-1-カルボキシ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレートと40mg (0.21ミリモル)の1-メチル-4-ピペリジン-4-イル-ピペラジンから得た。
収率:70mg (理論値の53%)
MS:(M+H)+ = 693/695 (Cl)
Rf = 0.46 (シリカゲル、DCM/Cyc/MeOH/NH3 70:15:15:2)
【0058】
実施例6
(R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[4-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピペラジン-1-イル]-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート
【化41】

実施例(1c)と同様にして、上記生成物を、100mg (0.19ミリモル)の(R)-2-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-1-カルボキシ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレートと40mg (0.22ミリモル)の1-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピペラジンから得た。
収率:50mg (理論値の38%)
MS:(M+H)+ = 693/695 (Cl)
Rf = 0.34 (シリカゲル、DCM/Cyc/MeOH/NH3 70:15:15:2)
【0059】
実施例7
(R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-(1'-メチル-[4,4']ビピペリジニル-1-イル)-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート
【化42】

実施例(1c)と同様にして、上記生成物を、100mg (0.19ミリモル)の(R)-2-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-1-カルボキシ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレートと40mg (0.22ミリモル)の1-メチル-[4,4']ビピペリジニルから得た。
収率:40mg (理論値の30%)
MS:(M+H)+ = 692/694 (Cl)
Rf = 0.38 (シリカゲル、DCM/Cyc/MeOH/NH3 70:15:15:2)
【0060】
実施例8
(R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[1,4']ビピペリジニル-1'-イル-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート
【化43】

実施例(1c)と同様にして、上記生成物を、100mg (0.19ミリモル)の(R)-2-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-1-カルボキシ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレートと40mg (0.23ミリモル)の[4,4']ビピペリジニルから得た。
収率:40mg (理論値の31%)
MS:(M+H)+ = 678/680 (Cl)
Rf = 0.44 (シリカゲル、DCM/Cyc/MeOH/NH3 70:15:15:2)
【0061】
以下の実施例は、活性物質として一般式(I)のいずれかの所望化合物を含有する調合製剤の調製を説明する。
実施例I
1mgの活性物質を含有する粉末吸入用のカプセル剤
組成:
粉末吸入用の1カプセルは、下記を含有する:
活性成分 1.0mg
ラクトース 20.0mg
硬質ゼラチンカプセル 50.0mg
71.0mg
調製方法
活性成分を吸入物質として必要な粒度に粉砕する。粉砕活性成分をラクトースと均質に混合する。混合物を硬質ゼラチンカプセル内に移す。
【0062】
実施例II
1mgの活性物質を含有するRespimatR用の吸入溶液
組成:
1回の吸入は、下記を含有する:
活性成分 1.0mg
ベンズアルコニウムクロライド 0.002mg
エデト酸二ナトリウム 0.0075mg
精製水(適量) 15.0μl
調製方法
活性成分とベンズアルコニウムクロライドを水に溶解し、RespimatRカートリッジに移す。
【0063】
実施例III
1mgの活性物質を含有するネブライザー用の吸入溶液
組成:
1バイアルは、下記を含有する:
活性成分 0.1g
塩化ナトリウム 0.18g
ベンズアルコニウムクロライド 0.002g
精製水(適量) 20.0ml
調製方法
活性成分、塩化ナトリウムおよびベンズアルコニウムクロライドを水に溶解する。
【0064】
実施例IV
1mgの活性物質を含有する推進ガス作動型計量エアゾール
組成:
1回の吸入は、下記を含有する:
活性成分 1.0mg
レシチン 0.1%
推進ガス (適量) 50.0μl
調製方法
微細化活性成分をレシチンと推進ガスの混合物中に均質に懸濁させる。懸濁液を、計量バルブを有する加圧容器内に移す。
【0065】
実施例V
1mgの活性成分を含有する鼻腔内スプレー
組成:
活性成分 1.0mg
塩化ナトリウム 0.9mg
ベンズアルコニウムクロライド 0.025mg
エデト酸二ナトリウム 0.05mg
精製水 (適量) 0.1ml
調製方法
活性成分と各賦形剤を水に溶解し、適切な容器に移す。
【0066】
実施例VI
5ml当り5mgの活性成分を含有する注射可能溶液
組成:
活性成分 5mg
グルコース 250mg
ヒト血清アルブミン 10mg
グリコフロール 250mg
注射用水 (適量) 5ml
調製
グリコフロールとグルコースを注射用水(WfI)に溶解する;ヒト血清アルブミンを添加する;活性成分を加熱して溶解させる;WfIで特定容量に調製する;窒素ガス下にアンプル中に移す。
【0067】
実施例VII
20ml当り100mgの活性成分を含有する注射可能溶液
組成:
活性成分 100mg
二水素リン酸カリウム = KH2PO4 12mg
水素リン酸二ナトリウム = Na2HPO4.2H2O 2mg
塩化ナトリウム 180mg
ヒト血清アルブミン 50mg
Polysorbate 80 20mg
注射用水 (適量) 20ml
調製
Polysorbate 80、塩化ナトリウム、二水素リン酸カリウムおよび水素リン酸二ナトリウムを注射用水(WfI)に溶解する;ヒト血清アルブミンを添加する;活性成分を加熱して溶解させる;WfIで特定容量に調製する;アンプル中に移す。
【0068】
実施例VIII
10mの活性成分を含有する凍結乾燥製剤
組成:
活性成分 10mg
マンニトール 300mg
ヒト血清アルブミン 20mg
調製
マンニトールを注射用水(WfI)に溶解する;ヒト血清アルブミンを添加する;活性成分を加熱して溶解させる;WfIで特定容量に調製する;バイアルに移す;凍結乾燥させる。
凍結乾燥製剤用の溶媒:
Polysorbate 80 = Tween 80 20mg
マンニトール 200mg
注射用水 (適量) 10ml
調製
Polysorbate 80とマンニトールを注射用水(WfI)に溶解する;アンプル中に移す。
【0069】
実施例IX
20mgの活性成分を含有する錠剤
組成:
活性成分 20mg
ラクトース 120mg
トウモロコシ澱粉 40mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
Povidone K 25 18mg
調製
活性成分、ラクトースおよびトウモロコシ澱粉を均質に混合する;Povidoneの水溶液で造粒する;ステアリン酸マグネシウムと混合する;錠剤プレスで圧縮する;錠剤質量 200mg。
【0070】
実施例X
20mgの活性成分を含有するカプセル剤
組成:
活性成分 20mg
トウモロコシ澱粉 80mg
高分散性シリカ 5mg
ステアリン酸マグネシウム 2.5mg
調製
活性成分、トウモロコシ澱粉およびシリカを均質に混合する;ステアリン酸マグネシウムと混合する;混合物をカプセル充填機内でサイズ3の硬質ゼラチンカプセル中に充填する。
【0071】
実施例XI
50mgの活性成分を含有する座薬
組成:
活性成分 50mg
硬質脂肪(Adeps solidus) (適量) 1700mg
調製
硬質油脂を約38℃で溶融させる;粉砕活性成分を溶融硬質油脂中に均質に分散させる;約35℃に冷却した後、溶融物を冷却モールド中に注入する。
【0072】
実施例XII
1ml当り10mgの活性成分を含有する注射可能溶液
組成:
活性成分 10mg
マンニトール 50mg
ヒト血清アルブミン 10mg
注射用水 (適量) 1ml
調製
マンニトールを注射用水(WfI)に溶解する;ヒト血清アルブミンを添加する;活性成分を加熱して溶解させる;WfIで特定容量に調製する;窒素ガス下にアンプル中に移す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式を有するCGRP拮抗薬、その互変異性体、ジアステレオマー、鏡像異性体、その水和物、その混合物およびその塩、並びにそれら塩の水和物:
【化1】

(式中、Aは、下記の式の基:
【化2】

を示し;

【化3】

は、下記の基:
【化4】

を示し;そして、
-NR2R3は、下記の基:
【化5】

を示す)。
【請求項2】
明細書の表中に(1)から(258)まで漸次番号付けしている請求項1記載の一般式(I)を有する化合物、その互変異性体、ジアステレオマー、鏡像異性体、その水和物、その混合物およびその塩、並びにそれら塩の水和物。
【請求項3】
請求項1記載の一般式(I)を有する下記の化合物、その互変異性体、ジアステレオマー、鏡像異性体、その水和物、その混合物およびその塩、並びにそれら塩の水和物:
(1) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ピペリジン-1-イル]-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート;
(2) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[4-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピペラジン-1-イル]-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート;
(3) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-(1'-メチル-[4,4']ビピペリジニル-1-イル)-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート;
(4) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[1,4']ビピペリジニル-1'-イル-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-キナゾリン'-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート;
(5) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ピペリジン-1-イル]-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート;
(6) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[4-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピペラジン-1-イル]-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート;
(7) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-(1'-メチル-[4,4']ビピペリジニル-1-イル)-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート;
(8) (R)-1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチル-ベンジル)-2-[1,4']ビピペリジニル-1'-イル-2-オキソ-エチル1',2'-ジヒドロ-2'-オキソスピロ-4H-3',1-ベンゾキサジン-4,4'-ピペリジン-1-カルボキシレート。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物の無機または有機酸との生理学上許容し得る塩。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物または請求項4記載の生理学上許容し得る塩を、任意成分としての1種以上の不活性担体および/または希釈剤と一緒に含有する医薬組成物。
【請求項6】
頭痛、特に片頭痛および群発性頭痛の急性期または予防的治療用の医薬組成物の製造における、請求項1〜4の少なくとも1項記載の化合物の使用。
【請求項7】
非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)の治療用の医薬組成物の製造における、請求項1〜4の少なくとも1項記載の化合物の使用。
【請求項8】
CRPS1 (複合性局所疼痛症候群);循環器疾患;モルヒネ耐性;クロストリジウム毒素によって生じる下痢;皮膚疾患、特に、日焼けのような熱および放射線誘発性皮膚損傷;炎症性疾患、例えば、特に、関節炎のような関節部の炎症性疾患、口内粘膜の神経性炎症、炎症性肺疾患、アレルギー性鼻炎、喘息;過剰の血管拡張および結果としての血液循環低下に伴う疾患、例えば、ショックおよび敗血症の治療用;一般的な疼痛の軽減用;またはエストロゲン欠乏女性における血管拡張および血流増大によって生じる閉経期ほてりおよび前立腺癌を有するホルモン治療患者の症候群の予防的または急性期治療処置用の医薬組成物の製造における、請求項1〜4の少なくとも1項記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1〜4の少なくとも1項記載の化合物を、非化学的方法により、1種以上の担体および/または希釈剤中に混入することを特徴とする、請求項5記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項10】
(a) 下記の一般式:
【化6】

(式中、AおよびR1〜R3は、請求項1における定義と同じである)
を有する化合物を調製するために、下記の一般式:
【化7】

(式中、R1は、請求項1における定義と同じである)
を有するピペリジンを、下記の一般式:
【化8】

(式中、Gは、同一または異なり得る離核性基を示す)
を有する炭酸誘導体、および下記の一般式:
【化9】

(式中、A、R2およびR3は、請求項1における定義と同じであるが、R2およびR3は、他の遊離の保護されていない第一級または第二級脂肪族アミノ官能基を何ら含有しないことを条件とする)
を有する化合物と反応させるか:或いは、
(b) 下記の一般式:
【化10】

(式中、AおよびR1〜R3は、請求項1における定義と同じである)
を有する化合物を調製するために、下記の一般式:
【化11】

(式中、AおよびR1は、請求項1における定義と同じである)
を有するカルボン酸を、一般式HNR2R3 (式中、R2およびR3は、請求項1における定義と同じであるが、R2およびR3は、他の保護されていない第一級または第二級脂肪族アミノ官能基を何ら含有しないことを条件とする)のアミンとカップリングさせるか;或いは、
(c) 下記の一般式:
【化12】

(式中、AおよびR1〜R3は、請求項1における定義と同じである)
を有する化合物を調製するために、下記の一般式:
【化13】

(式中、AおよびR1は、請求項1における定義と同じであり、Nuは、離脱基を示す)
を有する化合物を、一般式HNR2R3 (式中、R2およびR3は、請求項1における定義と同じであるが、他の遊離の保護されていない第一級または第二級脂肪族アミノ官能基が存在しないことを条件とする)のアミンとカップリングさせ;そして、
必要に応じて、上述の反応において使用したあらゆる保護基を開裂させ、および/または使用した如何なるプレカーサー官能基もそのようにして得られた化合物中で転化させ、および/または、必要に応じて、そのようにして得られた一般式(I)の化合物をその立体異性体に変換させ、および/またはそのようにして得られた一般式(I)の化合物を、その塩に、特に製薬使用のためのその生理学上許容し得る塩に転化させることを特徴とする、請求項1〜4の少なくとも1項記載の一般式(I)の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2007−532602(P2007−532602A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507731(P2007−507731)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003816
【国際公開番号】WO2005/100360
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】