説明

選択的なエストロゲン受容体モジュレーターとしてのベンズオキサゼピン誘導体

本発明は新規ベンズオキサセキピン誘導体、それらを含有する製薬学的組成物およびそれらのエストロゲン受容体により媒介される障害および疾患の処置における使用を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
発明の分野
本発明は新規ベンズオキサゼピン誘導体、それらを含有する製薬学的組成物、およびのぼせ、膣の乾燥、骨減少、骨粗鬆症、高脂血症、認知機能の喪失、変性性脳疾患、心血管、脳血管疾患、ホルモン感受性ガンおよび過形成(女性の胸部、子宮内膜および頚部、および男性の前立腺を含む組織における)、子宮内膜症、子宮類線維、変形性関節症のようなエストロゲン受容体により媒介される障害および疾患の処置または防止におけるそれらの使用;および単独またはプロゲストゲンもしくはプロゲストゲンアンタゴニストと組み合わせた避妊薬としての使用を対象とする。本発明の化合物は選択的エストロゲン受容体モジュレーターである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
エストロゲンは生殖プロセス、および子宮、乳房の発達、および思春期に伴う他の身体的変化に必須な女性ホルモンの1群である。エストロゲンは子宮、乳房および外性器のような生殖に関与するだけでなく、中枢神経系、骨、肝臓、皮膚および尿路の組織を含む女性の全身の様々な組織に影響を有する。卵巣は女性の身体のエストロゲンの大部分を生産する。
【0003】
閉経は卵巣小胞機能の喪失およびエストロゲン生産のほぼ終了による月経の永久的停止と定義される。閉経の中年期移行は、のぼせ、子宮萎縮、心血管疾患のリスクの増大、骨粗鬆症、認知障害およびアルツハイマー病(AD)のリスクの増大を含む認知および精神的障害のような血管運動、尿生殖器、心血管、骨格筋および中枢神経系での短期および長期症状の両方を誘発するエストロゲンの減少を特徴とする。
【0004】
女性全体の75パーセントが、身体の発汗およびのぼせのような閉経の発生に伴う幾つかの血管運動症状の発現を体験する。これらの不定愁訴は閉経の数年前から始まり、女性によっては10年以上も比較的一定して続くかもしれないし、あるいは限定できる誘発する原因が無い瞬時の発作として現れるかもしれない。
【0005】
膣が関与する閉経の発生に伴う子宮の症状には、性交時の乾燥感、灼熱感(burning)、痒み、痛み、萎縮、狭窄を伴う表在性出血および排出(superficial
bleeding and discharge)がある。尿路が関与する症状には、排尿時の灼熱感、頻発する尿意促迫、再発性の尿路感染および尿失禁を含む。これらの症状は閉経時期頃にすべての女性の50パーセントまでに起こると報告され、そして閉経時から数年後さはさらに頻発する。未処置のままでおくと、問題は永久的になる恐れがある。
【0006】
心臓発作および脳卒中は、老人女性の主な罹病率および死亡率の原因である。これらの疾患による女性の罹病率は閉経後、急速に上昇する。早期閉経を体験する女性は、同じ年齢の月経のある女性よりも冠状動脈(coronary)のリスクが高い。血清エストロゲンの存在は血清の脂質に良い効果を有する。ホルモンは血管の拡張を促進し、そして新規血管の形成を強化する。すなわち閉経後の女性における血清中のエストロゲンレベルの減少は、悪い心血管効果を及ぼす。さらに血液が凝固する能力における差異は、閉経前と後の心臓疾患の発症において観察される差異の説明となる。
【0007】
骨格は骨細胞間の慎重に調節された相互作用で、骨変性および再生の連続的プロセス下にある。これらの細胞はエストロゲンにより直接影響を受ける。エストロゲンの欠乏は骨構造の損失および骨強度の減少を生じる。閉経直後の年の骨量の急速な損失は、閉経後の骨粗鬆症および骨折のリスクの増加を導く。
【0008】
またエストロゲン欠乏は、中枢神経系における変性的変化の原因の1つであり、そしてアルツハイマー病および認知の低下を導く恐れがある。最近の証拠では、エストロゲン、閉経および認知との間の関連性が示唆されている。さらに詳細には、女性におけるエストロゲン補充療法およびエストロゲンの使用は、ADの発症を防止することができ、そして認知機能を改善することが報告された。
【0009】
ホルモン補充療法(HRT)−より具体的にはエストロゲン補充療法(ERT)は通常、閉経に伴う医学的問題に取り組むために処方されており、そして防止および治療的様式の両方で、脚の骨粗鬆症および原発性心臓管系合併症(冠動脈疾患のような)を助ける。そのようなものとしてHRTは閉経後の女性の平均寿命を延ばし、そしてより良い生活の質を提供するための医学的治療であると考えられている。
【0010】
ERTは更年期症状および子宮の症状を効果的に軽減し、閉経後の女性における心臓疾患の防止および処置に有意な利点を示した。臨床的報告では、ERTがERTを受容した群 対 ERTを受容していない類似の群で心臓発作率および死亡率を下げることが示された。閉経直後に開始したERTは、数年間、骨量を維持するためにも役立つことができる。管理された調査では、ERTによる処置が75歳までの高齢の女性にも良い効果を有することが示された。
【0011】
しかし患者のコンプライアンスを下げる、ERTに付随する多くの望ましくない効果がある。静脈血栓塞栓症、胆嚢疾患、月経の再開、乳房痛、および子宮および/または乳ガンの発症リスクの上昇の可能性が、ERTに伴うリスクである。ERTを処方された女性の30%までが処方を完了せず、そして安全性を考慮した中断率は38%から70%の間であり、そして副作用(鼓脹および破綻(break−through)出血)が中断の最も重要な理由である。
【0012】
選択的エストロゲン受容体モジュレーターまたはSERMとして知られている新しいクラスの薬理学的作用物質が設計され、そしてHRTの代替として開発された。非ステロイド系ベンゾチオフェンSERMであるラロキシフェンは、骨粗鬆症を防止および処置するために米国およびヨーロッパでEvista(商標)という登録商標で販売されている。ラロキシフェンは、子宮内膜および乳房組織を悪く刺激することなく骨損失を減少し、そして骨折を防止することが示されたが、ラロキシフェンは骨損失に対する保護についてERTよりも幾分効果が低い。ラロキシフェンは独自であり、そして子宮内膜を刺激せず、そして乳ガンを防止する潜在能力を有する点でERTとは有意に異なる。またラロキシフェンはラロキシフェンで処置した患者において、全および低密度リポタンパク質コレステロールレベルの急激な、そして持続的な減少を介して、より一層特異的に心血管危険因子に対して有益なエストロゲンアゴニスト効果も示した。さらにラロキシフェンは、アテローム硬化症および血栓塞栓疾患の独立した危険因子であるホモシステインの血漿濃度も下げることが示された。
【0013】
しかしラロキシフェンはのぼせおよび膣の乾燥のような閉経に伴う症状を悪化させ、そして高齢患者の認知機能を改善しないと報告された。ラロキシフェンを摂取している患者は、プラセボまたはERT使用者のいずれかと比較してのぼせの割合が高く、そしてプラセボ使用者よりも脚の痙攣が多いが、ERTを摂取している女性はラロキシフェンまたはプラセボ使用者よりも膣出血および乳房不快の発生が高いことが報告された。
【0014】
さらにラロキシフェンも任意の他の現在利用可能なSERM化合物も、子宮内膜および乳ガンおよび出血のリスクの増加のような悪い副作用を引き起こすことなく、閉経後症候群を制御し、そしてADを防止するような現在利用可能なERTのすべての利点を提供する能力を有することは示されていない。すなわち選択的エストロゲン受容体モジュレーターであり、しかもERTのすべての利点を提供すると同時に、血管運動、子宮および認知障害または閉経に伴う全身的なエストロゲンの減少に関連する状態にも取り組む化合物の必要性が存在する。
【発明の開示】
【0015】
発明の要約
本発明は、式(I)
【0016】
【化1】

式中、
、R、RおよびRは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アシルオキシ、シリルオキシおよびヒドロキシで置換された低級アルキルからなる群から選択されるが、ただしR、R、RおよびRの少なくとも1つはヒドロキシ、アルコキシ、シリルオキシまたはアシルオキシであり;XはCH、COまたはSOからなる群から選択され;
R5およびR6は各々独立して、水素、ハロゲン、アルコキシ、低級アルキル、−O−(CH2−3−Cl、−O−(CH2−3−OHおよび−O−(CH2−3−NRからなる群から選択されるが、ただし存在する場合はR5またはR6の1つのみが−O−(CH2−3−NRであり;
ここでRおよびRは各々独立して、水素および低級アルキルからなる群から選択されるか、あるいはRおよびRはそれらが結合しているN原子と一緒になって5〜6員のヘテロアリールまたは5〜6員のヘテロシクロアルキル基を形成する、
の化合物、またはその製薬学的に許容され得る塩を対象とする。
【0017】
本発明の好適な態様では、RおよびRの1つがヒドロキシ、アルコキシ、シリルオキシまたはアシルオキシからなる群から選択され、そしてRおよびRがRおよびRの1つがヒドロキシ、アルコキシ、シリルオキシおよびアシルオキシからなる群から選択される。
【0018】
本発明の別の好適な態様では、RおよびRが独立して、水素 メチルおよびエチルからなる群から選択されるか、あるいはそれらが結合している窒素原子と一緒になってピロロジニル、モルホリニルまたはピペリジニルを形成する。
【0019】
1つの観点では、本発明は製薬学的に許容され得る担体および上記任意の化合物を含んでなる製薬学的組成物に関する。別の観点では、本発明は上記任意の化合物および製薬学的に許容され得る担体を混合することにより作成される製薬学的組成物に関する。さらに別の観点では、本発明は上記任意の化合物および製薬学的に許容され得る担体を混合することを含んでなる製薬学的組成物の作成法である。
【0020】
本発明は、処置が必要な個体における1もしくは複数のエストロゲン受容体により媒介される障害を処置する方法を提供し、この方法は個体に治療に有効な量の上記任意の化合物または製薬学的組成物を投与することを含んでなる。
【0021】
好適な態様では、本発明は避妊が必要な個体に、治療に有効な量の式(I)の化合物とプロゲストゲンまたはプロゲストゲンアンタゴニストとの併用療法を投与することを含んでなる避妊法を提供する。
【0022】
さらに別の観点では、本発明は処置が必要な個体における(a)のぼせ、(b)膣の乾燥、(c)骨減少、(d)骨粗鬆症、(e)高脂血症、(f)認知機能の喪失、(g)変性性脳疾患、(h)心血管疾患、(i)脳血管疾患、(j)乳ガン、(k)子宮内膜ガン、(l)頚部のガン、(m)前立腺のガン、(n)良性の前立腺過形成、(o)子宮内膜症、(p)子宮類線維、(q)変形性関節症および(r)避妊を処置するための薬剤の調製において、本明細書に記載する化合物の使用に関する。
発明の詳細な説明
本発明は式(I)
【0023】
【化2】

【0024】
式中、R、R、R、R、R、RおよびXは上記定義の通りである、
の化合物を対象とする。本発明の化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、それらはしかるべきエナンチオマーとして存在することができる。本発明の化合物は、限定するわけではないがのぼせ、膣の乾燥、骨減少、骨粗鬆症、高脂血症、認知機能の喪失、変性性脳疾患、心血管疾患、脳血管疾患を含むエストロゲンの消耗に伴う障害の処置および防止に;ホルモン感受性ガンおよび過形成(女性の胸部、子宮内膜および頚部、および男性の前立腺を含む組織における)の処置に;子宮内膜症、子宮類線維症および変形性関節症の処置および防止に;および単独またはプロゲストゲンもしくはプロゲストゲンアンタゴニストと組み合わせた避妊薬として有用なエストロゲン受容体のモジュレーターである。
【0025】
本発明の代表的な化合物を表1に列挙する。略号「OMOM」および「OPiv」は、酸素を介してアリール環に結合したそれぞれメトキシメトキシおよびピバロイル基を指す。略号「NPi」および「NMo」は、窒素を介してアルキル鎖に結合したそれぞれピペリジンおよびモルホリン基を指す。
【0026】
【表1】

【0027】
本明細書で使用する「ハロゲン」は、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素を意味する。
【0028】
本明細書で使用する用語「アルキル」は、単独または置換基の一部として使用する場合でも、直鎖および分枝鎖を含み、好ましくは1〜8個の炭素原子を含有する鎖を含む。例えばアルキル基には限定するわけではないがメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル等を含む。他に注記しない限り、アルキルで「低級」を使用する場合、1〜4個の炭素原子の炭素鎖組成を意味する。
【0029】
本明細書で使用するように、他に注記しない限り「アルコキシ」は上記直鎖もしくは分枝鎖アルキル基の酸素エーテル基を表す。例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ヘキシルオキシ等。他に注記しない限り、アルコキシで「低級」を使用する場合、1〜4個の炭素原子を含んでなるアルコキシ基を意味する。アルコキシはメトキシメトキシも含む。
【0030】
本明細書で使用するように、他に注記しない限り「アシルオキシ」は上記直鎖もしくは分枝鎖アルキル基のカルボニルオキシ基を表す。例えばアセトキシ、プロピオニルオキシ、ピバリルオキシ等。他に注記しない限り、アシルオキシで「低級」を使用する場合、1〜4個の炭素原子を含んでなるアシルオキシ基を意味する。
【0031】
本明細書で使用するように、他に注記しない限り「シリルオキシ」は上記直鎖もしくは分枝鎖アルキル基のシリルオキシ基を表す。例えばトリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、t−ブチルシリルオキシ等。他に注記しない限り、アルコキシで「低級」を使用する場合、1〜4個の炭素原子を含んでなるアルコキシ基を意味する。
【0032】
本明細書で使用するように、他に注記しない限り用語「シクロアルキル」は任意の安定な3〜8員の単環式飽和環系、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを意味する。
【0033】
本明細書で使用するように、他に注記しない限り「ヘテロアリール」は、O、NおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、場合によりO、NおよびSからなる群から独立して選択されるさらに1〜3個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員の単環式芳香族環構造;あるいはO、NおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、場合によりO、NおよびSからなる群から独立して選択されるさらに1〜4個のヘテロ原子を含有する9もしくは10員の二環式芳香族環構造を表す。ヘテロアリール基は安定な構造を生じるように、環の任意のヘテロ原子または炭素原子で結合することができる。
【0034】
適切なヘテロアリール基の例には、限定するわけではないがピロリル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イミダゾリル、プラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラニル、フラザニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリニル、インダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、イソチアゾリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、プテリジニル等を含む。
【0035】
本明細書で使用するように、用語「ヘテロシクロアルキル」は、O、NおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、場合によりO、NおよびSからなる群から独立して選択されるさらに1〜3個のヘテロ原子を含有する5〜7員の単環式の飽和もしくは部分不飽和環構造;あるいはO、NおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、場合によりO、NおよびSからなる群から独立して選択されるさらに1〜4個のヘテロ原子を含有する9〜10員の飽和、部分的不飽和も
しくは部分芳香族の二環式環構造を表す。ヘテロシクロアルキル基は安定な構造を生じるように、環の任意のヘテロ原子または炭素原子で結合することができる。
【0036】
適切なヘテロアリール基の例には限定するわけではないが、ピロリニル、ピロリジニル、ジオキサラニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、トリチアニル、インドリニル、クロメニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロフリル等がある。好適なヘテロシクロアルキル基にはジヒドロフリル、モルホリニル、ピペリジニルおよびピロリジニルを含む。
【0037】
置換基に関して、用語「独立して」とは1より多くのそのような置換基が可能である場合、そのような置換基は互いに同じか、または異なってよいことを意味する。
【0038】
本明細書、特にスキームおよび実施例で使用する略号は次の通りである:
【0039】
【表2】

【0040】
本明細書で使用する用語「個体」は、処置、観察または実験の対象となった動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0041】
本明細書で使用する用語「治療に有効な量」は、処置する疾患または障害の症状の緩和を含め、研究者、獣医師、医師または他の臨床技術者により調査される組織系、動物またはヒトにおける生物学的または医学的応答を誘導する活性化合物または薬剤の量を意味する。本発明が1もしくは複数の式(I)の化合物、式(II)の化合物および/または式(III)の化合物およびプロゲストゲンまたはプロゲストゲンアンタゴニストを投与することを含んでなる併用療法(co−therapy)を対象とする場合、「治療に有効な量」とは合わせた効果が所望する生物学的または医学的応答を誘導するように、一緒に摂取する作用物質の組み合わせの量を意味する。例えば式(I)の化合物およびプロゲストゲンの投与を含んでなる同時療法の治療に有効な量は、一緒にまたは順次摂取した時に
治療に効果的である組み合わせ効果を有する式(I)の化合物およびプロゲストゲンの量となる。さらに当業者は上記の例のように治療に有効な量を用いた併用療法の場合、式(I)の化合物の量および/またはプロゲストゲンもしくはプロゲストゲンアンタゴニストの量は、個別に治療に効果的となることができてもできなくてもよい。
【0042】
本明細書で使用する用語「併用療法」とは、処置が必要な個体に、1もしくは複数の式(I)の化合物をプロゲストゲンもしくはプロゲストゲンアンタゴニストと共に投与することによる処置を意味し、ここで式(I)の化合物およびプロゲストゲンもしくはプロゲストゲンアンタゴニストは任意の適切な手段により同時に、順次に、別個に、または単回の製剤で投与される。式(I)の化合物(1つもしくは複数)およびプロゲストゲンもしくはプロゲストゲンアンタゴニストが別個の剤形として投与される場合、各化合物について1日あたり投与される投薬用量の数は、同じでも異なってもよい。式(I)の化合物(1つもしくは複数)およびプロゲストゲンもしくはプロゲストゲンアンタゴニストは、同じかまたは異なる投与経路を介して投与することができる。適切な投与法の例には限定するわけではないが、経口、静脈内(iv)、筋肉内(im)、皮下(sc)、経皮および直腸を含む。化合物は限定するわけではないが大脳内、心室内、脳室内、鞘内、槽内、脊髄内および/または脊髄周囲の投与経路を含む神経系に、頭蓋内または椎骨内針および/またはポンプデバイスを用いて、または用いずにカテーテルを介して送達することにより直接投与することができる。式(I)の化合物(1もしくは複数)およびプロゲストゲンもしくはプロゲストゲンアンタゴニストは、同時または選択的処方に従い、治療過程の同じか、または異なる時期に、分割または単一形態で共同作用するように(concurrently)に投与されることができる。
【0043】
本明細書で使用する用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含んでなる生成物、ならびに特定量の特定成分の組み合わせから直接的または間接的に生じる任意の生成物を包含することを意図する。
【0044】
本明細書で使用するように、用語「エストロゲン受容体により調節される疾患または障害」は、エストロゲンαにより媒介される任意の疾患または障害、エストロゲンβ受容体により媒介される任意の疾患または障害、またはエストロゲンαおよびエストロゲンβ受容体の両方により媒介される任意の疾患または障害を意味する。例えばのぼせ、膣の乾燥、骨減少、骨粗鬆症、高脂血症、認知機能の喪失、変性脳障害、心血管疾患、脳血管疾患乳ガン、子宮内膜ガン、頚ガン、前立腺ガン、良性の前立腺肥大(BPH)、子宮内膜症、子宮類線維症、変形性関節炎および避妊。
【0045】
本明細書で使用する用語「変性性脳疾患」には、元にある原因にかかわらず認知障害、痴呆およびアルツハイマー病を含む。
【0046】
本明細書で使用する用語「心血管疾患」には、上昇した血中脂質レベル、冠状動脈硬化症(coronary arthrosclerosis)および冠心臓疾患を含む。
【0047】
本明細書で使用する用語「脳血管疾患」には、異常な局所的血流および虚血性脳傷害を含む。
【0048】
式(I)の化合物は、スキーム1に概説する方法に従い調製することができる。
【0049】
【化3】

【0050】
したがって適当に置換された式(II)の化合物(既知の化合物または既知の方法により調製した化合物)を、DiBAl−H等のような適切な還元剤と、ジクロロメタン、THF、トルエン等のような有機溶媒中で、低温、好ましくは−78℃で反応させて対応する式(III)の化合物を得る。
【0051】
式(III)の化合物はヒドロキシルアミン塩酸塩と、ピリジン−エタノール等のような適切な塩基−溶媒混合物中で高温で反応させて、式(IVI)の化合物を得る。
【0052】
式(VI)の化合物は水素化リチウムと、エーテル、THF、ジオキサン等のような適切な溶媒中で還流温度で反応させて式(V)の化合物を得る。場合により式(V)の化合物(式中、R1およびR2のいずれか1つ、およびR3およびR4のいずれか1つはメトキシである)はピリジン塩酸塩と高温で、好ましくは200℃で反応させて、メトキシ基が対応するフェノールに転換された化合物を得る。この生成物をさらにtert−ブチルジメチルシリルクロライド等のようなシリルクロライドと、トリエチルアミン等のような適切な塩基の存在下、およびTHF、DMF、DMAC等のような適切な有機溶媒中で反応させて、ビスTBS−保護フェノールを得る。
【0053】
式(V)の化合物は、スルホニルクロライド(X=SOについて)の酸クロライド(X=COについて)、ベンジルブロミド(X=CHについて)のような適切な求電子剤と、ジクロロメタン、THF、ピリジン等のような適切な有機溶媒中、トリエチルアミン等のような適切な塩基の存在下で反応させて下記(I)の化合物を得る。場合によりR1およびR2のいずれか1つ、およびR3およびR4のいずれか1つがメトキシメチレンオキシまたはtert−ブチルシリルオキシである式(I)の化合物は、濃塩酸とTHF−イソプロパノール等のような適切な有機溶媒混合物中で反応させて、遊離ビスフェノールを得ることができる。
【0054】
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために説明し、そして添付する特許請求の範囲で説明する本発明を限定することは意図せず、そしてそのように解釈されるべきではない。
【実施例】
【0055】
実施例1
7−メトキシ−3−(4−メトキシ−フェニル)−クロメン−4−オン
【0056】
【化4】

【0057】
フォルモノネチン(formononetin)(25.2g、93.9ミリモル)を無水DMF(125mL)およびアセトン(125mL)の混合物に溶解した。無水炭酸カリウム(13.0g、93.9ミリモル)および硫酸ジメチル(8.90mL、93.9ミリモル)を順次加え、そして混合物を70℃で4時間加熱した。冷却した後、反応混合物を水(1リットル)に注いだ。生じた黄色い沈殿物を濾過により集め、そして真空下で乾燥させて表題化合物(25.5g、96%)を得た。
MS(m/Z)=283(MH+)
【0058】
実施例2
7−メトキシ−3−(4−メトキシ−フェニル)−クロマン−4−オン
【0059】
【化5】

【0060】
7−メトキシ−3−(4−メトキシ−フェニル)−クロメン−4−オン(13.0g、46.0ミリモル)を乾燥THF(400mL)に溶解し、そして−78℃に冷却した。DIBAL−H(1.5M、79mL、0.18モル)を20分間にわたり滴下し、そして反応物を−78℃で1時間撹拌した。反応混合物をRochelleの溶液(150mL)でクエンチし、そして22℃で24時間撹拌した。反応混合物をCHClで抽出した(200ml×2)。有機層をHOで洗浄し(500mL×3)、NaSOで乾燥させ、そして真空下で濃縮して、表題化合物を黄色い半固体として定量的収率で得た。
MS(m/Z)=285(MH+)
【0061】
実施例3
7−メトキシ−3−(4−メトキシ−フェニル)−クロマン−4−オンオキシム
【0062】
【化6】

【0063】
1:1のピリジンおよびエタノール混合物(20mL)に溶解した7−メトキシ−3−(4−メトキシ−フェニル)−クロマン−4−オン(13.14g、46.22ミリモル)およびヒドロキシルアミン塩酸塩(12.85g、184ミリモル)の混合物を、アルゴン下で1時間、加熱還流した。混合物を水(100mL)に注ぎ、そして沈殿物を吸引濾過により集め、オキシム(11.9g、86%)を白色固体として得た。
MS(m/Z)=300(MH+)
【0064】
実施例4
3−メトキシ−7−(4−メトキシ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン
【0065】
【化7】

【0066】
エーテル中のLAH(53.0mL、1.0M、53.0ミリモル)溶液を、アルゴン下でTHF(15mL)中の7−メトキシ−3−(4−メトキシ−フェニル)−クロマン−4−オンオキシム(2.0mg、6.7ミリモル)溶液で処理した。反応混合物を6時間、加熱還流し、次いで−5℃で慎重にRochelleの溶液(45mL)を加えてクエンチした。周囲温度で一晩撹拌した後、混合物をエーテルで抽出した。有機層を濃縮し、そして残基をフラッシュクロマトグラフィー(5%エーテル/クロロホルム)により精製して、1.2g(63%)の生成物を無色のガムとして得た。
MS(m/Z)=286(MH+)
【0067】
実施例5
7−メトキシ−3−(3−メトキシ−フェニル)−クロメン−4−オン
【0068】
【化8】

【0069】
7−ヒドロキシ−3−(3−メトキシ−フェニル)−クロメン−4−オン(26.4g、98.3ミリモル)を無水DMF(125mL)およびアセトン(100mL)の混合物に溶解した。無水炭酸カリウム(13.6g、98.3ミリモル)および硫酸ジメチル(9.5mL、100ミリモル)を順次加え、そして混合物を70℃で4時間加熱した。冷却した後、反応混合物を水(1リットル)に注いだ。生じた黄色い沈殿物を濾過により集め、そして真空下で乾燥させて表題化合物(25.4g、91%)を得た。
MS(m/Z)=283(MH+)
【0070】
実施例6
7−メトキシ−3−(3−メトキシ−フェニル)−クロマン−4−オン
【0071】
【化9】

【0072】
7−メトキシ−3−(3−メトキシ−フェニル)−クロメン−4−オン(13.0g、46.0ミリモル)を乾燥THF(400mL)に溶解し、そして−78℃に冷却した。DIBAL−H(1.5M、79mL、0.18モル)を20分間にわたり滴下し、そして反応物を−78℃で1時間撹拌した。反応混合物はRochelleの溶液(150mL)でクエンチし、そして22℃で24時間撹拌した。反応混合物をCHClで抽出した(200ml×2)。有機層をHOで洗浄し(500mL×3)、NaSOで乾燥させ、そして真空下で濃縮して、表題化合物を黄色い半固体として定量的収率で得た。
MS(m/Z)=285(MH+)
【0073】
実施例7
7−メトキシ−3−(3−メトキシ−フェニル)−クロマン−4−オンオキシム
【0074】
【化10】

【0075】
1:2のピリジンおよびエタノール混合物(75mL)に溶解した7−メトキシ−3−(4−メトキシ−フェニル)−クロマン−4−オン(8.31g、29.2ミリモル)およびヒドロキシルアミン塩酸塩(8.12g、117ミリモル)の混合物を、アルゴン下で1時間、加熱還流した。混合物を水(100mL)に注ぎ、そして沈殿物を吸引濾過により集め、オキシム(3.64g、42%)を白色固体として得た。
MS(m/Z)=300(MH+)
【0076】
実施例8
3−メトキシ−7−(3−メトキシ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン
【0077】
【化11】

【0078】
エーテル中のLAH(100mL、1.0M、100ミリモル)溶液を、アルゴン下でTHF(15mL)中の7−メトキシ−3−(4−メトキシ−フェニル)−クロマン−4−オンオキシム(2.0mg、6.7ミリモル)溶液で処理した。反応混合物を6時間、加熱還流し、次いで−5℃で慎重にRochelleの溶液(100mL)を加えてクエンチした。周囲温度で一晩撹拌した後、混合物をエーテルで抽出した。有機層を濃縮し、そして残基をフラッシュクロマトグラフィー(5%エーテル/クロロホルム)により精製
して、1.34g(39%)の生成物を黄色い油として得た。
MS(m/Z)=286(MH+)
【0079】
実施例9
7−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン−3−オール
【0080】
【化12】

【0081】
3−メトキシ−7−(3−メトキシ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン(1.3g、4.56ミリモル、7−メトキシ−3−(3−メトキシ−フェニル)−クロマン−4−オンオキシムから実施例24に記載のように調製した)およびピリジン塩酸塩(5.3g、45.6ミリモル)の溶液を、200℃で窒素下にて3時間加熱した。残渣をMeOHに溶解し、そしてNaOMe(8.2ミリモル、MeOH中の25%、36ミリモル)で処理し、そして濃縮乾固した。残渣をTHF/MeOH(5:1)に溶解し、そして白色固体を濾過により取り出し(3回)、真空下で濃縮した後、表題化合物を茶色い油として定量的収率で得た。
MS(m/Z)=256(M−H)
【0082】
実施例10
3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−7−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン
【0083】
【化13】

【0084】
実施例9からの粗生成物をDMF(13mL)に溶解し、そしてTBSCl(1.5g、10.0ミリモル)およびイミダゾール(1.86g、27.4ミリモル)で処理し、そして室温で2時間撹拌した。混合物を水に注ぎ、そしてエーテルで抽出した。合わせた抽出物を真空下で濃縮し、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィー(5〜10%エーテル/ペンタン)により精製して、生成物を茶色い油として得た(1.35g、ビス−メトキシ化合物から61%)。
MS(m/Z)=486(MH+)
【0085】
実施例11
7−(4−ヒドロキシ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン−3−オール
【0086】
【化14】

【0087】
3−メトキシ−7−(4−メトキシ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン(1.0g、3.5ミリモル)およびピリジン塩酸塩(6.0g、52ミリモル)の溶液を、200℃で窒素下にて3時間加熱した。残渣をMeOHに溶解し、そしてNaOMe(52ミリモル)で処理し、そして濃縮乾固した。残渣をTHF/MeOH(5:1)に溶解し、そして白色固体を濾過により取り出し(3回)、真空下で濃縮した後、表題化合物を茶色い油として定量的収率で得た。
MS(m/Z)=256(M−H)
【0088】
実施例12
3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−7−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン
【0089】
【化15】

【0090】
実施例11からの粗生成物をDMF(20mL)に溶解し、そしてTBSCl(1.58g、10.5ミリモル)およびイミダゾール(768mg、11.3ミリモル)で処理し、そして室温で12時間撹拌した。混合物を水に注ぎ、そしてエーテルで抽出した。合わせた抽出物を真空下で濃縮し、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィー(DCM)により精製して、生成物(0.73g、ビス−メトキシ化合物から43%)を得た。
MS(m/Z)=486(MH+)
【0091】
実施例13
3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−7−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−9−[4−(2−クロロ−エトキシ)−ベンジル]−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン
【0092】
【化16】

【0093】
実施例10からの物質(650mg、1.34ミリモル)、1−ブロモメチル−4−(2−クロロ−エトキシ)−ベンゼン(468mg、1.88ミリモル)および無水炭酸カリウム(259mg、1.88ミリモル)の混合物を、乾燥DMF(12mL)に溶解し、そして70℃で2時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、そしてエーテルで抽出した。有機抽出物を濃縮し、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、290mg(32%)の表題化合物を生成した。
MS(m/Z)=654(MH+)
【0094】
実施例14
3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−7−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−9−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル]−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン
【0095】
【化17】

【0096】
実施例13からの物質を、乾燥DMF(10mL)に溶解し、そしてヨウ化カリウム(80mg、0.49ミリモル)およびピペリジン(1.1mL、11ミリモル)で処理した。混合物を60℃で一晩加熱し、冷却し、飽和重炭ナトリウム溶液上に注ぎ、そしてエーテルで抽出した。合わせた抽出物を濃縮し、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して(70%エーテル/ペンタン)、表題化合物をペースト状の固体として得た(83mg、27%)。
MS(m/Z)=703(MH+)
【0097】
実施例15
7−(3−ヒドロキシ−フェニル)−9−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル]−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン−3−オール
【0098】
【化18】

【0099】
実施例14からの物質(83mg、0.12ミリモル)をMeOHおよびTHFの混合
物(1;1、2mL)に溶解し、HCl(1N、0.5mL、0.5ミリモル)で処理し、そして50℃にて2時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣をペンタン/エーテル(1;1、2×50ml)で洗浄し、そして真空下で乾燥して表題化合物を生成した(32mg、57%)。
MS(m/Z)=475(MH+)
【0100】
実施例16
3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−7−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−9−[4−(2−クロロ−エトキシ)−ベンジル]−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン
【0101】
【化19】

【0102】
実施例12からの物質(287mg、0.59ミリモル)、1−ブロモメチル−4−(2−クロロ−エトキシ)−ベンゼン(176mg、0.71ミリモル)および無水炭酸カリウム(96mg、0.69ミリモル)の混合物を、乾燥DMF(12mL)に溶解し、そして70℃で2時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、そしてエーテルで抽出した。有機抽出物を濃縮し、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、190mg(49%)の表題化合物を生成した。
MS(m/Z)=654(MH+)
【0103】
実施例17
9−[4−(2−クロロ−エトキシ)−ベンジル]−7−(4−ヒドロキシ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン−3−オール
【0104】
【化20】

【0105】
実施例16からの物質(37mg、0.057ミリモル)をMeOHおよびTHFの混合物(1;1、10mL)に溶解し、HCl(1N、1.0mL、1.0ミリモル)で処理し、そして55℃にて2時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、残渣をペンタン/エーテル(1;1、2×50ml)で洗浄し、そして真空下で乾燥して、19mg(78%)の表題化合物を茶色い固体として生成した。
MS(m/Z)=426(MH+)
【0106】
実施例18
7−(4−ヒドロキシ−フェニル)−9−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル]−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン−3−オール
【0107】
【化21】

【0108】
この物質は、実施例16からピペリジンによるクロライドの置換(実施例14に記載のように)、続いてTBS基の酸性加水分解(実施例15に記載のように)による2段階で調製した。
MS(m/Z)=475(MH+)
【0109】
実施例19
[4−(2−クロロ−エトキシ)−フェニル]−[3−メトキシ−7−(4−メトキシ−フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル]−メタノン
【0110】
【化22】

【0111】
実施例4からの物質(87mg、0.30ミリモル)、4−(2−クロロ−エトキシ)−ベンゾイルクロライド(110mg、0.50ミリモル)およびトリエチルアミン(0.04mL、0.30ミリモル)の溶液(4mLの乾燥THF中)を、周囲温度で一晩撹拌した。水を加え、そして混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を濃縮し、そして残渣をprep tlc(1:1 エーテル/ペンタン)により精製して36mgの表題化合物を得た。
MS(m/Z)=468(MH+)
【0112】
実施例20
[3−メトキシ−7−(4−メトキシ−フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル]−[4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−メタノン
【0113】
【化23】

【0114】
この実施例19からの物質(36mg、0.077ミリモル)を、乾燥DMF(2mL)に溶解し、そしてピペリジン(0.19mL、1.9ミリモル)およびヨウ化カリウム(14mg、0.085ミリモル)で処理した。生じた混合物を50℃で一晩加熱し、冷却し、そして酢酸エチルで抽出した。真空下で濃縮した後、残渣をprep tlc(5% MeOH/DCM)により精製して表題化合物を生成した(35mg、88%)。
MS(m/Z)=517(MH+)
【0115】
実施例21
3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−7−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−9−[3−(2−クロロ−エトキシ)−ベンジル]−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン
【0116】
【化24】

【0117】
実施例12からの物質(488mg、1.01ミリモル)、1−ブロモメチル−3−(2−クロロ−エトキシ)−ベンゼン(296mg、1.19ミリモル)およびトリエチルアミン(0,30mL、2.15ミリモル)の混合物を、乾燥DMF(3mL)に溶解し、そして70℃で0.5時間、そして室温で一晩撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、そしてエーテルで抽出した。有機抽出物を濃縮し、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を生成した。
MS(m/Z)=654(MH+)
【0118】
実施例22
9−[3−(2−クロロ−エトキシ)−ベンジル]−7−(4−ヒドロキシ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン−3−オール
【0119】
【化25】

【0120】
実施例21からの物質(955mg、1.46ミリモル)の混合物をTBAF(2.9mL、THF中の1.0M、2.9ミリモル)で処理し、そして室温で一晩撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を得た(460mg、74%)。
MS(m/Z)=424(M−H)
【0121】
実施例23
9−[3−(2−クロロ−エトキシ)−ベンジル]−3−メトキシメトキシ−7−(4−メトキシメトキシ−フェニル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン
【0122】
【化26】

【0123】
実施例22からの物質(460mg、1.08ミリモル)の混合物を乾燥THF(10mL)に溶解し、水素化ナトリウム(97mg、鉱物油中の60%、2.43ミリモル)、クロロメチルメチルエーテル(0.19mL、技術等級、〜2.5ミリモル)で処理し、そして室温で一晩撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、そしてDCMで抽出した。有機抽出物を真空下で濃縮し、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して(0〜10% MeOH/DCM)、表題化合物を得た(460mg、74%)。
MS(m/Z)=514(MH+)
【0124】
実施例24
3−メトキシメトキシ−7−(4−メトキシメトキシ−フェニル)−9−[3−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル]−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン
【0125】
【化27】

【0126】
実施例23で調製した物質(0.23ミリモルのスケール)について、実施例20に記載した手順を使用して、表題化合物を調製した。
MS(m/Z)=563(MH+)
【0127】
実施例25
7−(4−ヒドロキシ−フェニル)−9−[3−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル]−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン−3−オール
【0128】
【化28】

【0129】
実施例24からの物質を、イソプロパノール、THFおよび濃HClの混合物で室温にて処理して、66%の全収率で表題化合物に誘導した(実施例23で生成した物質から2段階にわたる)。
MS(m/Z)=475(MH+)
【0130】
実施例26
{3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−7−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−7,8−ジヒドロ−6H−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル}−[3−(2−クロロ−エトキシ)−フェニル]−メタノン
【0131】
【化29】

【0132】
実施例10からの物質(216mg、0.45ミリモル)、3−(2−クロロ−エトキシ)−ベンゾイルクロライド(0.96ミリモル)およびトリエチルアミン(1.00mL、7.2ミリモル)の溶液(4mLの乾燥1,2−ジクロロエタン中)を、45℃で0.33時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、そして残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を得た。
MS(m/Z)=668(MH+)
【0133】
実施例27
{3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−7−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−7,8−ジヒドロ−6H−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル}−[3−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−メタノン
【0134】
【化30】

【0135】
この実施例26からの物質(177mg、0.26ミリモル)を乾燥DMF(2mL)に溶解し、そしてピペリジン(0.50mL、5.1ミリモル)およびヨウ化カリウム(48mg、0.29ミリモル)で処理した。生じた混合物を50℃で一晩加熱し、冷却し、そして酢酸エチルで抽出した。真空下で濃縮した後、残渣をprep tlc(5% MeOH/DCM)により精製して表題化合物を生成した。
MS(m/Z)=717(MH+)
【0136】
実施例28
[3−ヒドロキシ−7−(3−ヒドロキシ−フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル]−[3−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−メタノン
【0137】
【化31】

【0138】
実施例27からの物質を実施例17に記載のように脱保護して表題化合物を生成した。MS(m/Z)=489(MH+)
【0139】
実施例29
エストロゲン受容体フラッシュプレートアッセイ
このアッセイは、放射標識エストロゲンのエストロゲン受容体への結合を監視する。これはBioMek2000(ベックマン:Beckman)で行う。プレートはシンチレーションカウンターで読み(パッカード:PackardのTopCount)、カウントの低下は化合物の受容体への結合の表示である。アッセイはAllan,et al.,Anal.Biochem.(1999),275(2),243−247により記載された手順に従い行った。
【0140】
1日目に、5mMのジチオスレイトール(DTT、パンベラ(Panvera))、0.5μgのマウス抗−エストロゲン受容体モノクローナル抗体(SRA−1010、ストレスゲン(Stressgen))および50ngの精製ヒトエストロゲン受容体α(パンベラ)を含有する100μLのエストロゲンスクリーニングバッファー(ESB、パンベラ)を、ヤギ抗−マウス抗体(NENライフサイエンス(Life Science))を架橋結合した96ウェルのFlashPlate Plusプレートの各ウェルに加えた。プレートを密閉し、そして4℃で一晩インキュベーションした。
【0141】
2日目に各ウェルを、室温にて200μLのPBS、pH7.2で3回洗浄した。次いで各ウェルにESBおよび5mM ジチオスレイトール(DTT)で希釈した98μLの
放射標識エストロゲン(0.5nM、これは120Ci/ミリモルバッチについて6nCiに等しい、アマシャム(Amersham))を加えた。次いで個別のウェルに、30(容量/容量)%のジメチルスルフォキシド/50mM HEPES、pH7.5で希釈した2.5μLの試験化合物を加えた。ウェルを3回、吸引により混合し、プレートを密閉し、そして室温で1時間インキュベーションした。次いでウェルを1分間、TopCountシンチレーションカウンター(パッカード)でカウントした。
【0142】
実施例30
エストロゲン受容体β蛍光偏光アッセイ
このアッセイは、エストロゲンの蛍光類似体(Fluormone ES2、パンベラ)のエストロゲン受容体への結合を監視する。プレートは偏光モードに設定できる蛍光計で読む。賦形剤対照に比べて減少した蛍光は、化合物の受容体への結合の表示である。
【0143】
この手順を通して、96ウェルプレートの各ウェルの反応に気泡が入ることを避けることが重要である。(反応の表面上の気泡は光流を破壊し、偏光反応に影響する。)しかし各ウェルに加えた時に反応成分を効果的に混合することも重要である。
【0144】
氷上で、アッセイバッファー(パンベラ)の2X標準混合物、10nM DTTおよび40nM ES2を調製した。氷上で、アッセイバッファー(パンベラ)の2X反応混合物、および20nM hER−β(パンベラ)および40nM ES2も調製した。
【0145】
試験化合物の希釈物は、30(容量/容量)%のジメチルスルフォキシド/50mM HEPES、pH7.5中に調製した。この時点で、希釈は最終的に必要な濃度の40Xであった。
【0146】
次いで標準混合物を50μLで各ウェルに加えた。反応混合物は48μLですべてのウェルに加えた。化合物の希釈物を2.5μLで適切なウェルに加えた。反応混合物はマニュアルのピペットを使用して混合し、アルミホイルのロールの接着カバーをプレートに配置し、そしてプレートを室温で1時間インキュベーションした。
【0147】
次いでプレート上の各ウェルを、LjL Analystで265nmの励起波長、そして538の発光波長で読んだ。
【0148】
本発明の代表的化合物は、エストロゲン受容体αおよびエストロゲン受容体βに対する結合について上記の手順に従い試験し、結果を表6に列挙した。
【0149】
【表3】

【0150】
実施例31
MCF−7細胞増殖アッセイ
このアッセイはWelshons,et al.,(Breast Cancer Res.Treat.,1987,10(2),169−75)により記載された手順に従い、わずかな変更を加えて行った。
【0151】
簡単に説明すると、MCF−7細胞(ノースウエスタン大学のC.Jordan博士から)を、ウシインスリンおよび非必須アミノ酸(シグマ:Sigma)を補充した10%FBS(ハイクローン:Hyclone)中のRPMI1640フェノールレッドフリー培地(ギブコ;Gibco)中で維持した。細胞は最初に4−ヒドロキシタモキシフェン(10−8M)で処理し、そして37℃で24時間静置した。タモキシフェンでのインキュベーション後、細胞を種々の濃度の化合物で処理した。
【0152】
アゴニスト様式で試験する化合物を、変動させた濃度で培養基に加えた。アンタゴニスト様式で処理する化合物を同様に調製し、そして10nMの17β−エストラジオールを培養基に加えた。細胞を37℃で24時間インキュベーションした。インキュベーション後、0.1μCiの14C−チミジン(56mCi/ミリモル、アマシャム)を培養基に
加え、そして細胞を37℃で24時間、さらにインキュベーションした。次いで細胞をハンクス緩衝化塩溶液(HBSS)(ギブコ)で2回洗浄し、そしてシンチレーションカウンターでカウントした。賦形剤対照細胞に比べて、化合物処置した細胞中の14C−チミジンの増加が細胞増殖の増加パーセントとして報告された。
【0153】
実施例32
経口組成物の具体的態様として、100mgの化合物#25を十分に細かく分割したラクトースに配合して、サイズO硬質ゲルカプセルを充填するために580〜590mgの総量を提供する。
【0154】
前述の明細書は具体的説明の目的で提供された実施例を含め、本発明の原理を教示するが、本発明の実施は、添付する特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にあるようなすべての通常の変更、適合および/または修飾を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

式中、
、R、RおよびRは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アシルオキシ、シリルオキシおよびヒドロキシで置換された低級アルキルからなる群から選択されるが、ただしR、R、RまたはRの少なくとも1つはヒドロキシ、アルコキシ、シリルオキシまたはアシルオキシであり;
XはCH、COまたはSOからなる群から選択され;
R5およびR6は各々独立して、水素、ハロゲン、アルコキシ、低級アルキル、−O−(CH2−3−Cl、−O−(CH2−3−OHおよび−O−(CH2−3−NRからなる群から選択されるが、ただし存在する場合はR5またはR6の1つのみが−O−(CH2−3−NRであり;
ここでRおよびRは各々独立して、水素および低級アルキルからなる群から選択されるか、あるいはRおよびRはそれらが結合しているN原子と一緒になって5〜6員のヘテロアリールまたは5〜6員のヘテロシクロアルキル基を形成する、
の化合物、またはその製薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
XがCHであり、
が水素であり、
がヒドロキシ、アルコキシ、メトキシメトキシ、アシルオキシおよびシリルオキシからなる群から選択され、
およびRがRおよびRの1つが水素であり、そしてもう1つがヒドロキシ、アルコキシ、シリルオキシ、メトキシメトキシまたはアシルオキシからなる群から選択されるように選択され、
およびRが水素、ハロゲン、アルコキシ、低級アルキル、または−O−(CH2−3−Clまたは−O−(CH2−3−NRからなる群から選択されるが、ただし存在する場合はRまたはRの1つのみが−O−(CH2−3−NRであり、
およびRが独立して、水素およびメチルからなる群から選択されるか、あるいはそれらが結合している窒素原子と一緒になってピロロジニル、モルホリニルまたはピペリジニルを形成する、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
XがCHであり、
が水素であり、
がヒドロキシ、アルコキシ、メトキシメトキシ、アシルオキシおよびシリルオキシ
からなる群から選択され、
およびRがRおよびRの1つが水素であり、そしてもう1つがヒドロキシ、アルコキシ、シリルオキシ、メトキシメトキシまたはアシルオキシからなる群から選択されるように選択され、
およびRが水素、−O−(CH−Clまたは−O−(CH−NRからなる群から選択されるが、ただし存在する場合はRまたはRの1つのみが−O−(CH−NRであり、
およびRが独立して、水素およびメチルからなる群から選択されるか、あるいはそれらが結合している窒素原子と一緒になってピロロジニル、モルホリニルまたはピペリジニルを形成する、
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
XがCHであり、
が水素であり、
がヒドロキシ、アシルオキシおよびシリルオキシからなる群から選択され、
およびRがRおよびRの1つが水素であり、そしてもう1つがヒドロキシ、シリルオキシまたはアシルオキシからなる群から選択されるように選択され、
およびRが水素、−O−(CH−Clまたは−O−(CH−NRからなる群から選択されるが、ただし存在する場合はRまたはRの1つのみが−O−(CH−NRであり、
およびRがそれらが結合している窒素原子と一緒になってピロロジニル、モルホリニルまたはピペリジニルを形成する、
請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
XがCHであり、
が水素であり、
がヒドロキシであり、
およびRがRおよびRの1つが水素であり、そしてもう1つがヒドロキシであるように選択され、
およびRが1つが水素であり、そしてもう1つが−O−(CH−NRであるように選択され、
およびRがそれらが結合している窒素原子と一緒になってモルホリニルまたはピペリジニルを形成する、
請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
XがCOであり、
が水素であり、
がヒドロキシ、アルコキシ、メトキシメトキシ、アシルオキシおよびシリルオキシからなる群から選択され、
およびRがRおよびRの1つが水素であり、そしてもう1つがヒドロキシ、アルコキシ、シリルオキシ、メトキシメトキシまたはアシルオキシからなる群から選択されるように選択され、
およびRが水素、ハロゲン、アルコキシ、低級アルキル、または−O−(CH2−3−Clまたは−O−(CH2−3−NRからなる群から選択されるが、ただし存在する場合はRまたはRの1つのみが−O−(CH2−3−NRであり、
およびRが独立して、水素およびメチルからなる群から選択されるか、あるいはそれらが結合している窒素原子と一緒になってピロロジニル、モルホリニルまたはピペリジニルを形成する、
請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
XがCOであり、
が水素であり、
がヒドロキシ、アルコキシ、メトキシメトキシ、アシルオキシおよびシリルオキシからなる群から選択され、
およびRがRおよびRの1つが水素であり、そしてもう1つがヒドロキシ、アルコキシ、シリルオキシ、メトキシメトキシまたはアシルオキシからなる群から選択されるように選択され、
R5およびR6が水素、−O−(CH−Clまたは−O−(CH−NRからなる群から選択されるが、ただし存在する場合はRまたはRの1つのみが−O−(CH−NRであり、
およびRが独立して、水素およびメチルからなる群から選択されるか、あるいはそれらが結合している窒素原子と一緒になってピロロジニル、モルホリニルまたはピペリジニルを形成する、
請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
XがCOであり、
が水素であり、
がヒドロキシ、アシルオキシおよびシリルオキシからなる群から選択され、
およびRがRおよびRの1つが水素であり、そしてもう1つがヒドロキシ、シリルオキシまたはアシルオキシからなる群から選択されるように選択され、
およびRが水素、−O−(CH−Clまたは−O−(CH−NRからなる群から選択されるが、ただし存在する場合はRまたはRの1つのみが−O−(CH−NRであり、
およびRがそれらが結合している窒素原子と一緒になってピロロジニル、モルホリニルまたはピペリジニルを形成する、
請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
XがCOであり、
が水素であり、
がヒドロキシであり、
およびRがR3およびR4の1つが水素であり、そしてもう1つがヒドロキシであるように選択され、
およびRが1つが水素であり、そしてもう1つが−O−(CH−NRであるように選択され、
およびRがそれらが結合している窒素原子と一緒になってモルホリニルまたはピペリジニルを形成する、
請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
[3−ヒドロキシ−7−(3−ヒドロキシ−フェニル)−7,8−ジヒドロ−6H−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン−9−イル]−[3−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−メタノン。
【請求項11】
7−(4−ヒドロキシ−フェニル)−9−[3−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル]−6,7,8,9−テトラヒドロ−5−オキサ−9−アザ−ベンゾシクロヘプテン−3−オール。
【請求項12】
製薬学的に許容され得る担体および請求項1に記載の化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物および製薬学的に許容され得る担体を混合することにより作成される製薬学的組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物および製薬学的に許容され得る担体を混合することを含んでなる製薬学的組成物の作成法。
【請求項15】
処置が必要な個体におけるエストロゲン受容体により媒介される障害を処置する方法であって、個体に治療に有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含んでなる上記方法。
【請求項16】
エストロゲン受容体により媒介される障害が、のぼせ、膣の乾燥、骨減少、骨粗鬆症、高脂血症、認知機能の喪失、変性性脳疾患、心血管疾患、脳血管疾患、胸部組織のガン、胸部組織の過形成、子宮内膜のガン、子宮内膜の過形成、頚部のガン、頚部の過形成、前立腺のガン、前立腺の過形成、子宮内膜症、子宮類線維、変形性関節症および避妊からなる群から選択される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
エストロゲン受容体により媒介される障害が、骨粗鬆症、のぼせ、膣の乾燥、乳ガンおよび子宮内膜症からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
処置が必要な個体におけるエストロゲン受容体により媒介される障害を処置する方法であって、個体に治療に有効な量の請求項12に記載の組成物を投与することを含んでなる上記方法。
【請求項19】
治療に有効な量の請求項1に記載の化合物およびプロゲストゲンまたはプロゲストゲンアンタゴニストとの併用療法を含んでなる避妊法。

【公表番号】特表2008−509999(P2008−509999A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527837(P2007−527837)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/026944
【国際公開番号】WO2006/023242
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】