説明

選択的サブタイプアルファ2アドレナリン作用薬及びこれらの使用方法

本発明はアルファ2アドレナリン作用受容体の選択的サブタイプ変調と関連する疾患の治療方法を提供する。特に、本発明は良く特定されたN-[1-(2 及び/又は3-置換フェニル)-アルキル]-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-アミンまたこれらの医薬組成物を使用して選択的サブタイプアルファ2アドレナリン作用受容体変調と関連する疾患を治療する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は2008年5月16日に出願された米国仮特許出願第61/053,997号(その全開示がこの特別な参考として本明細書に含まれる)の利益を主張する。
本発明は一般にアルファ2Bアドレナリン作用受容体及びアルファ2Cアドレナリン作用受容体の選択的サブタイプ変調と関連する疾患の治療方法に関する。詳しくは、本発明は選択的サブタイプアルファ2アドレナリン作用受容体変調と関連する疾患を治療するための或る種のイミダゾイルアミン化合物及びこれらの医薬組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトアドレナリン作用受容体は二つの広いクラス、アルファアドレナリン作用受容体及びベータアドレナリン作用受容体に分類された内在性膜タンパク質である。両方の型はカテコールアミン、ノルエピネフリン及びエピネフリンの結合後に末梢交感神経系の作用を媒介する。
ノルエピネフリンはアドレナリン作用神経末端により生成され、一方、エピネフリンは副腎髄質により生成される。これらの化合物についてのアドレナリン作用受容体の結合アフィニティーがその分類の一つの基礎を形成する:アルファ受容体はエピネフリンよりも強く、また合成化合物イソプロテレノールよりも極めて強くノルエピネフリンを結合する傾向がある。これらのホルモンの好ましい結合アフィニティーはベータ受容体について逆にされる。多くの組織中で、アルファ受容体活性化により誘発される、機能性応答、例えば、平滑筋収縮はベータ受容体結合により誘発される応答とは反対である。
【0003】
続いて、アルファ受容体とベータ受容体の間の機能の区別が種々の動物源及び組織源からのこれらの受容体の薬理学的特性決定により更に強調され、厳密にされた。結果として、アルファアドレナリン作用受容体及びベータアドレナリン作用受容体がアルファ1サブタイプ、アルファ2サブタイプ、ベータ1サブタイプ、及びベータ2サブタイプに更に細分された。アルファ1受容体とアルファ2受容体の間の機能の差が認識され、これらの2種のサブタイプの間の選択的結合を示す化合物が開発されていた。こうして、公開された国際特許出願WO 92/0073に、アルファ1サブタイプのアドレナリン作用受容体に選択的に結合するテラゾシンのR(+)鏡像体の選択的能力が報告された。この化合物のアルファ1/アルファ2選択性が重要であると開示された。何とならば、アルファ2受容体のアゴニスト刺激がエピネフリン及びノルエピネフリンの分泌を抑制すると言われ、一方、アルファ2受容体の拮抗作用がこれらのホルモンの分泌を増大すると言われたからである。こうして、非選択的アルファ-アドレナリン作用ブロッカー、例えば、フェノキシベンズアミン及びフェントールアミンの使用が増大された血漿カテコールアミン濃度及び付随した生理学的後遺症(増大された心拍数及び平滑筋収縮)のそれらのアルファ2アドレナリン作用受容体媒介誘発により制限されると言われた。
【0004】
アルファ-アドレナリン作用受容体に関する更なる一般的な背景につき、読者の関心がRobert R. Ruffolo, Jr.著“アルファ-アドレノレセプター:分子生物学、生化学及び薬理学”(基礎的かつ臨床的薬理学シリーズにおける進歩, Karger, 1991)に向けられ、そこではアルファ1/アルファ2細分類の基礎、その分子生物学、シグナル伝達、アゴニスト構造-活性関係、受容体機能、及びアルファ-アドレナリン作用受容体アフィニティーを示す化合物についての治療適用が研究されている。
【0005】
動物組織からのアルファ受容体サブタイプのクローニング、配列決定及び発現がアルファ1A、アルファ1B及びアルファ1Dへのアルファ1アドレノレセプターの細分類をもたらした。同様に、アルファ2アドレノレセプターはまたアルファA2受容体、アルファ2B受容体、及びアルファ2C受容体に分類されていた。夫々のアルファ2受容体サブタイプはそれ自体の薬理学的特異性及び組織特異性を示すことが明らかである。一種以上のこれらのサブタイプについて或る程度の特異性を有する化合物がアルファ2受容体パン-アゴニスト(例えば、薬物クロニジン)又はパン-アンタゴニストよりも所定の指示についての特異性の治療薬であるかもしれない。
【0006】
その他の指示、例えば、緑内障、高血圧、性的機能不全、及び鬱病の治療の中で、アルファ2アドレナリン作用受容体アゴニスト活性を有する或る種の化合物が既知の鎮痛薬である。しかしながら、このような活性を有する多くの化合物はアルファ2アドレノレセプターにより変調される疾患を治療する場合に望ましい活性及び特異性を与えない。例えば、多くの化合物は痛みの治療に有効な薬剤であるとわかり、頻繁に全身有効用量で望ましくない副作用を有し、例えば、低血圧及び鎮静を生じるとわかった。これらの望ましくない副作用を生じないで痛みからの軽減を与える新しい薬物についての要望がある。更に、痛み、特に慢性の痛み、例えば、慢性の神経痛及び内臓痛に対する活性を示す薬剤についての要望がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はアルファ2アドレナリン作用受容体の選択的サブタイプ変調と関連する疾患の治療方法を提供する。特に、本発明は良く特定されたN-[1-(2 及び/又は3-置換フェニル)-アルキル]-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-アミンまたこれらの医薬組成物を使用して選択的サブタイプアルファ2アドレナリン作用受容体変調と関連する疾患を治療する方法を提供する。
【0008】
本発明の一実施態様において、アルファ2Bアドレナリン作用受容体及びアルファ2Cアドレナリン作用受容体の選択的サブタイプ変調と関連する疾患の治療方法が提供される。このような方法は、例えば、治療を要する対象に治療有効量の下記の構造を有する少なくとも一種の化合物、又はこれらのあらゆる組み合わせ、或いはこれらの医薬上許される塩、水和物、溶媒和物、結晶形態、異性体、互変異性体、鏡像体、及びジアステレオマーを含む医薬組成物を投与することにより行ない得る。
【0009】
【化1】

【0010】
式中、
夫々のR1 は独立にアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、トリフルオロメチル、-N(R3)2、-CN、-CO2R4、-C(O)N(R3)2、-CH2OH、-OCHF2、又は-OCF3であり、
R2 はアルキル、シクロアルキル、又はアリールアルキルであり、
R3 及びR4 は夫々独立にH又は低級アルキルであり、かつ
nは1〜5である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以上の一般の記載及び以下の詳細な説明の両方が例示かつ説明であるにすぎず、特許請求された本発明を限定しないことが理解されるべきである。本明細書に使用される、単数の使用は特に詳しくことわらない限り複数を含む。本明細書に使用される、“又は”は特にことわらない限り“及び/又は”を意味する。更に、“含む”という用語だけでなく、その他の形態、例えば、“含む”、及び“含まれる”の使用は、限定ではない。本明細書に使用される節の見出しは編成目的のためにすぎず、記載される主題を限定すると見なされるべきではない。
【0012】
特別な定義が提示されない限り、本明細書に記載される分析化学、合成有機及び無機化学と関連して利用される命名法、並びにこれらの実験操作及び技術は当業界で知られているものである。通常の化学記号はこのような記号により表されるフルネームと互換可能に使用される。こうして、例えば、“水素”及び“H”という用語は同じ意味を有すると理解される。通常の技術が化学合成、化学分析、及び製剤化に使用されてもよい。
【0013】
本明細書に使用される“アルキル”は1個から約100個までの炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖ヒドロカルビル基を表す。数の範囲、例えば、“1から100まで”又は“C1-C100”は、それが本明細書に現れる時はいつでも、所定の範囲の夫々の整数を表し、例えば、“C1-C100アルキル”はアルキル基が100個まで(100個を含む)の炭素原子、1個のみの炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子等を含んでもよいことを意味するが、“アルキル”という用語はまた炭素原子の数の範囲が表示されない場合を含む。“置換アルキル”はアルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、オキソ、アルコキシ、メルカプト、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロン、アミノ、低級アルキルアミノ、低級アルキルジアミノ、アミド、アジド、-C(O)H、-C(O)R5、-CH2OR5(式中、R5はH又は低級アルキルである)、-C(O)-、-S-、-S(O)2、-OC(O)-O-、アシル、オキシアシル、カルボキシル、カルバメート、スルホニル、スルホンアミド、スルフリル、等を含む置換基を有するアルキル部分を表す。
【0014】
本明細書に使用される“低級アルキル”は1個から約6個までの炭素原子を有するアルキル部分を表す。
【0015】
本明細書に使用される“アルケニル”は少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を有し、かつ約2個から約100個までの範囲の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖ヒドロカルビル基を表し、また“置換アルケニル”は先に示された1個以上の置換基を更に有するアルケニル基を表す。本明細書に使用される“低級アルケニル”は2個から約6個までの炭素原子を有するアルケニル部分を表す。
【0016】
本明細書に使用される“アルキニル”は少なくとも一つの炭素-炭素三重結合を有し、かつ約2個から約100個までの範囲の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖ヒドロカルビル基を表し、また“置換アルキニル”は先に示された1個以上の置換基を更に有するアルキニル基を表す。本明細書に使用される“低級アルキニル”は2個から約6個までの炭素原子を有するアルキニル部分を表す。
【0017】
本明細書に使用される“シクロアルキル”は典型的には約3個から約8個までの範囲の炭素原子を含む環状(即ち、環を含む)アルキル部分を表し、また“置換シクロアルキル”は先に示された1個以上の置換基を更に有するシクロアルキル基を表す。
【0018】
本明細書に使用される“アリール”は6個から14個までの範囲の炭素原子を有する芳香族基を表し、また“置換アリール”は先に示された1個以上の置換基を更に有するアリール基を表す。
【0019】
本明細書に使用される“アリールアルキル”はアリール置換アルキル基を表し、また“置換アリールアルキル”は先に示された1個以上の置換基を更に有するアリールアルキル基を表す。
【0020】
本明細書に使用される“ヘテロアリール”は環構造の一部として1個以上のヘテロ原子(例えば、N、O、S、等)を含み、かつ環構造中に合計で5個から14個までの範囲の原子(即ち、炭素原子及びヘテロ原子)を有する芳香族部分を表す。“置換複素環”は先に示された1個以上の置換基を更に含む複素環基を表す。
【0021】
本明細書に使用される“複素環”は環構造の一部として1個以上のヘテロ原子(例えば、N、O、S、等)を含み、かつ3個から14個までの範囲の炭素原子を有する非芳香族環状(即ち、環を含む)基を表し、また“置換複素環”は先に示された1個以上の置換基を更に含む複素環基を表す。
【0022】
本明細書に使用される“ハロゲン”又は“ハライド”はフッ化物、塩化物、臭化物又はヨウ化物を表す。
【0023】
本発明の化合物の幾つかは1個以上の非対称中心を含んでもよいことが当業者にすぐに明らかであり、その結果、これらの化合物は鏡像体形態だけでなく、ジアステレオマー形態で存在してもよい。本発明の範囲は、それが特に詳しく示されない限り、全ての鏡像体、ジアステレオマー及びラセミ混合物を含む。本発明の化合物の幾つかは医薬上許される酸又は塩基と塩を形成してもよく、本明細書に記載された化合物のこのような医薬上許される塩がまた本発明の範囲内にある。
加えて、構造1により表される化合物は互変異性体変換を受けることができ、以下に示される互変異性体構造により示し得る。構造1を参照して、下記の互変異性体が可能である。
【0024】
【化2】

【0025】
構造1の全ての互変異性体が本発明の範囲内にある。
本発明はアルファ2Bアドレナリン作用受容体及びアルファ2Cアドレナリン作用受容体の選択的サブタイプ変調と関連する疾患の治療方法を提供する。このような方法は、例えば、治療を要する対象に治療有効量の下記の構造を有する少なくとも一種の化合物、又はこれらのあらゆる組み合わせ、或いはこれらの医薬上許される塩、水和物、溶媒和物、結晶形態、異性体、互変異性体、鏡像体、及びジアステレオマーを含む医薬組成物を投与することにより行ない得る。
【0026】
【化3】

【0027】
式中、
夫々のR1 は独立にアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、トリフルオロメチル、-N(R3)2、-CN、-CO2R4、-C(O)N(R3)2、-CH2OH、-OCHF2、又は-OCF3であり、
R2 はアルキル、シクロアルキル、又はアリールアルキルであり、
R3 及びR4 は夫々独立にH又は低級アルキルであり、かつ
nは1〜5である。
【0028】
或る実施態様において、本発明の方法に使用される化合物として、夫々のR1 が独立にアルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、又はメトキシである化合物が挙げられる。或る実施態様において、夫々のR1 がクロロである。
或る実施態様において、本発明の方法に使用される化合物として、R2 がアルキル又はアリールアルキルである化合物が挙げられる。或る実施態様において、R2 がC1-C6 アルキルである。別の実施態様において、R2 がアリールアルキルである。
本発明の方法により使用される例示の化合物として、以下に示される構造を有する化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
【化4】

【0030】
本発明の方法に使用される化合物は当業者に公知の種々の方法で調製されてもよい。一つの合成経路が下記のスキームAに示される。適当に置換された芳香族アルデヒドの還元アミン化続いてイミダゾリンとのカップリング反応が所望の化合物を与える(Hart, D. J. ら著J. Org. Chem. 48: 289-294, 1983)。その合成はイミダゾリンが適当な脱離基、例えば、メチルチオール(R' = (O)COMeを含む) 又はスルホン酸 (R' = Hを含む)を含む場合に効率良く進行する。実験の詳細が実施例(以下を参照のこと)に示される。
スキームA
【0031】
【化5】

【0032】
或る実施態様において、本明細書に記載される本発明の方法は本明細書に記載された化合物のプロドラッグを使用する。プロドラッグは薬物それ自体の誘導体であり、これらは投与後に生理学上活性な種への変換を受ける。その変換は生理環境中の加水分解のように自然であってもよく、又は酵素により触媒されてもよい。一般にプロドラッグに関する多くの科学文献の中から、先の例が引用される:プロドラッグのデザイン (Bundgaard H. 編集) 1985 Elsevier Science Publishers B. V. (Biomedical Division), 第1章; プロドラッグのデザイン:種々の官能基及び化学物体に関する生体内可逆的誘導体 (Hans Bundgaard); Bundgaard ら著Int. J. of Pharmaceutics 22 (1984) 45-56 (Elsevier); Bundgaard ら著Int. J. of Pharmaceutics 29 (1986) 19-28 (Elsevier)。
【0033】
本発明の方法により使用される化合物のアルファ2アドレナリン作用活性が受容体選択及び増幅技術(RSAT)アッセイと称されるアッセイで実証され、これがMessierらによる1995年の刊行物、Pharmacol. Toxicol. 76, 308-311頁(参考として本明細書に含まれる)に記載されており、また以下に記載される。
【0034】
RSATアッセイは集密細胞の混合集団中の受容体を含む細胞の選択的増殖をもたらす接触抑制の受容体媒介損失を測定する。細胞数の増加が適当なトランスフェクトされたマーカー遺伝子、例えば、β-ガラクトシダーゼ(その活性が96ウェルフォーマットで容易に測定し得る)で評価される。Gプロテイン、Gqを活性化する受容体がこの応答を誘発する。アルファ2受容体(これらは通常Giに結合する)が、Gq/i5と称される、Gi受容体認識ドメインを有するハイブリッドGqプロテインで同時発現された場合にRSAT応答を活性化する。
【0035】
NIH-3T3細胞が15cmの皿に2x106の細胞の密度で塗布され、10%のウシ血清を補給されたダルベッコ改良イーグル培地中で管理される。1日後に、細胞がリン酸カルシウム沈殿によりp-SV-β-ガラクトシダーゼをコードする哺乳類発現プラスミド(5-10μg)、受容体(1-2μg)及びGプロテイン(1-2μg)で同時トランスフェクトされる。サケ精子DNA40μgがまたトランスフェクション混合物中に含まれてもよい。新しい培地が翌日に添加され、1-2日後に、細胞が回収され、50アッセイアリコート中で凍結される。細胞が解凍され、100μlが96ウェル皿中で3回反復で種々の濃度の薬物の100μLアリコートに添加される。インキュベーションが37℃で72-96時間続く。食塩加リン酸緩衝液で洗浄した後に、色素産生基質(食塩加リン酸緩衝液中の3.5mM o-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド及び0.5%ノニデットP-40からなる)200μLを添加し、30℃で一夜インキュベートし、光学密度を420nmで測定することにより、β-ガラクトシダーゼ酵素活性が測定される。吸光度が酵素活性の目安であり、これは細胞数に依存し、受容体媒介細胞増殖を反映する。効力又は固有の活性が夫々の受容体サブタイプについて薬物の最大効果対標準完全アゴニストの最大効果の比として計算される。ブリモニジン(その化学構造が以下に示される)が、アルファ2B受容体及びアルファ2C受容体についての標準アゴニストとして使用される。
【0036】
【化6】

【0037】
本発明の方法により使用される幾つかの例示の化合物によるRSATアッセイの結果が、これらの例示の化合物の化学構造と一緒に、下記の表1に開示される。
【0038】
【化7】

【0039】
本明細書に開示された方法はアルファ2アドレナリン作用アゴニストによる治療に応答性である神経の症状及び疾患を治療するのに有益である。或る実施態様において、本発明の方法が急性の痛み及び慢性の痛みを含む、痛みの治療に有益である。
【0040】
“急性の痛み”は損傷、例えば、切断、圧潰、火傷、又は化学的刺激、例えば、チリペッパー中の活性成分である、カプサイシンへの暴露後に経験される刺激によりもたらされる即時の、通常高閾値の痛みを意味する。
【0041】
“慢性の痛み”は急性の痛み以外の痛み、例えば、神経痛、内臓痛(クローン病及び刺激性腸症候群(IBS)によりもたらされるものを含む)、及び関連痛(これらに限定されない)を意味する。
【0042】
慢性の痛み(例えば、癌、関節炎、及び多くの神経障害からの痛み)及び急性の痛み(例えば、即時の機械的刺激、例えば、組織切開、ピンチ、突き刺し、又は圧潰により生じた痛み)は異なる神経繊維及び神経受容体又は慢性の刺激後のこれらの神経の再配置もしくは機能の変化により大きな程度に媒介される異常な神経の現象であることが知られている。急性の痛みの感覚は、主としてC繊維と称される求心神経繊維(これらは機械的刺激、熱的刺激、及び化学的刺激について高い閾値を通常有する)により、実に迅速に伝達される。慢性の痛みのメカニズムは完全には理解されていないが、急の組織損傷は初期の刺激後の数分又は数時間以内に二次的な症候(痛み応答を誘発するのに必要な刺激の位置的な大きさの減少を含む)を生じ得る。この現象(これは典型的には最初の刺激の部位から発している(しかし、その部位より大きい)領域で生じる)が、痛覚過敏と称される。その二次的な応答が機械的又は熱的刺激に対する顕著に高められた敏感性を生じ得る。
【0043】
A求心繊維(Aβ繊維及びAδ繊維)はC繊維よりも低い閾値で刺激でき、慢性の痛みの感覚に関係していることが明らかである。例えば、通常の条件下で、これらの繊維の低閾値の刺激(例えば、軽度のブラシ掛け又は軽く触れること)は痛みがない。しかしながら、或る条件下、例えば、神経損傷後の条件下で、又は帯状ヘルペスとして知られているヘルペスウイルス媒介症状では、このような軽度の触れること又は衣類のブラシ掛けの適用でさえもが非常に痛みがあり得る。この症状が異痛と称され、Aβ求心神経により少なくとも一部媒介されることが明らかである。C繊維はまた慢性の痛みの感覚に関係しているかもしれないが、そうである場合には経時のニューロンの持続性の発射が慢性の痛みの感覚を今もたらす或る種の変化をもたらす。
【0044】
その他の実施態様において、本発明の方法は慢性の痛み(これは起源が内臓、炎症、関連痛又は神経であってもよいが、これらに限定されない)、神経痛、角膜痛を含む痛み、緑内障、上昇した眼内圧の低下、虚血性神経障害及びその他の神経変性疾患、下痢、及び鼻鬱血を含むが、これらに限定されない、症状及び疾患を治療するのに有益である。慢性の痛みは関節炎(慢性関節リウマチ)、脊椎炎、痛風性関節炎、骨関節炎、若年性関節炎、及び自己免疫疾患(エリテマトーデスが挙げられるが、これに限定されない)を含むが、これらに限定されない症状の結果として生じることがあり、又はこれらの症状に付随してもよい。内臓痛として、癌により生じ、又は、例えば、化学療法もしくは放射線療法による癌の治療に付随する痛みが挙げられるが、これに限定されない。
【0045】
加えて、本明細書に開示された化合物は活動亢進性排尿、利尿、禁断症状を含む筋肉痙直、視神経障害、脊髄性虚血及び卒中を含む神経変性疾患、記憶不全及び認識不全、注意不足障害、躁病、不安、鬱病を含む精神病、高血圧、鬱血性心不全、心臓虚血及び鼻鬱血、慢性胃腸炎症、クローン病、胃炎、刺激性腸症候群(IBS)、機能性消化不良及び潰瘍性大腸炎を治療するのに有益である。本明細書に開示されたアルファ2B/2C特異性又は選択的化合物の活性は高度に有利である。何とならば、哺乳類へのこれらの化合物の投与が鎮静又は重大な心血管作用(例えば、血圧又は心拍数の変化)をもたらさないからである。
【0046】
本発明の方法により治療し得る更なる疾患として、下記の症状の神経変性特徴が挙げられるが、これらに限定されない。
黄班症/網膜変性 非滲出性年齢関連黄班変性(ARMD)、滲出性年齢関連黄班変性(ARMD)、脈絡膜新生血管形成、糖尿病性網膜症、中心漿液性脈絡網膜症、類のう胞黄班浮腫、糖尿病性黄班浮腫、近視性網膜変性
【0047】
ブドウ膜炎/網膜炎/脈絡炎/その他の炎症性疾患 急性多病巣板状色素上皮障害、ベーチェット病、バードショット(Birdshot)脈絡網膜症、感染症(梅毒、ライム病、結核、トキソプラズマ症)、中間ブドウ膜炎(毛様体扁平部炎)、多病巣脈絡膜炎、多発性一過性白班点症候群(MEWDS)、眼のサルコイドーシス、後強膜炎、ほ行性脈絡膜炎、網膜下の線維症及びブドウ膜炎症候群、フォークト-小柳-原田症候群、点状内部脈絡膜症、急性後多病巣板状色素上皮症、急性網膜色素上皮炎、急性黄班視神経網膜障害
血管疾患/滲出性疾患 糖尿病性網膜症、網膜動脈閉塞症、中心網膜静脈閉塞、播種性血管内凝固障害、分岐網膜静脈閉塞、高血圧性眼底変化、眼の虚血症候群、網膜小動脈瘤、コーツ病、中心か周囲毛細血管拡張、半網膜静脈閉塞、乳頭静脈炎、中心網膜動脈閉塞、分岐網膜動脈閉塞、頚動脈疾患(CAD)、糖衣状分枝血管炎、鎌状細胞網膜症及びその他の異常ヘモグロビン症、網膜色素線条、家族性滲出性硝子体網膜炎、イールス病
外傷性/手術上/環境上 交感神経性眼炎、ブドウ膜炎の網膜疾患、網膜剥離、トラウマ、レーザー、PDT、光凝固、術中の潅流低下、放射線網膜症、骨髄移植網膜症
増殖性疾患 増殖性硝子体網膜症及び網膜上膜
【0048】
感染性疾患 眼のヒストプラズマ症、眼のトキソカラ症、推定眼ヒストプラズマ症候群(POHS)、眼内炎、トキソプラズマ症、HIV感染症関連網膜疾患、HIV感染症関連脈絡膜疾患、HIV感染症関連ブドウ膜疾患、ウイルス性網膜炎、急性網膜壊死、進行性外部網膜壊死、真菌性網膜疾患、眼の梅毒、眼の結核、び慢性片側亜急性視神経網膜炎、ハエ幼虫症
遺伝病 色素性網膜炎、網膜ジストロフィーと関連する全身性疾患、先天性定常夜間視覚消失、円錐体ジストロフィー、スタルガルタ病及び黄色班眼底、ベスト病、網膜色素上皮のパターンジストロフィー、X結合型網膜分離、ソースビー眼底ジストロフィー、良性同心性黄班障害、ビエッティ結晶性ジストロフィー、弾性線維偽黄色腫
網膜引き裂き/穴 網膜剥離、黄班穴、巨大網膜引き裂き
腫瘍 腫瘍と関連する網膜疾患、RPEの先天性栄養過度、後ブドウ膜メラノーマ、脈絡膜血管腫、脈絡膜骨腫、脈絡膜転移、網膜及び網膜色素上皮の複合型過誤腫、網膜芽細胞腫、眼底の血管増殖性腫瘍、網膜星状細胞腫、眼内リンパ系腫瘍。
【0049】
本発明の方法はまた緑内障、上昇した眼内圧、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、精神分裂、虚血性神経損傷、例えば、卒中又は脊髄損傷を含む神経変性疾患、並びに緑内障、黄班変性、糖尿病性網膜症、網膜ジストロフィー、レーベルの視神経障害、その他の視神経障害、多発性硬化症としばしば関連する視神経炎、網膜静脈閉塞で起こるような、また光力学的治療及びLASIXのような処置後に起こるような網膜損傷の治療に有益である。
【0050】
更なる実施態様において、本発明の方法は中枢神経系(CNS)運動障害を治療するのに有益である。本明細書に使用される“運動障害”は、対象が感覚運動ゲートの不足とは独立の不随意の、望ましくない運動を経験するあらゆる症状であり、即ち、その運動は感覚のインプット情報に応答する異常な運動アウトプットの結果ではない。本発明の方法により治療し得るCNS運動障害として、L-ドーパ誘発運動障害、遅発性ジスキネジア、頸部ジストニー、脊髄斜頸、眼瞼痙攣/メージュ病、不穏下肢症候群、特発性震え、硬直(パーキンソン病関連又はそれ以外の特定の)、運動失調障害、又は痙直が挙げられるがこれらに限定されない。
【0051】
本発明の化合物は医薬有効用量で投与される化合物及び/又は医薬上許される組成物を使用する。このような用量は通常所望の治療効果を得るのに必要な最小用量であり、例えば、慢性の痛みの治療において、この量は痛みにより生じた不快を許容できるレベルに低下するのに必要なおよその量であろう。一般に、このような用量は1-1000mg/日の範囲、更に好ましくは10-500mg/日の範囲であろう。しかしながら、所定の場合に投与すべき化合物及び/又は組成物の実際の量は妥当な状況、例えば、痛みの重度、患者の年齢及び体重、患者の一般的な肉体状態、痛みの原因、及び投与の経路を考慮して医師により決められるであろう。
【0052】
本発明の方法は哺乳類、特にヒトの痛みの治療に有益である。或る場合には、患者があらゆる許される形態、例えば、錠剤、液体、カプセル、粉末等で化合物及び/又は医薬組成物を経口投与されるであろう。しかしながら、特に患者が吐き気を患っている場合に、その他の経路が望ましく、又は必要であるかもしれない。このようなその他の経路として、送出の経皮様式、非経口様式、皮下様式、鼻内様式、鞘内様式、筋肉内様式、静脈内様式、及び直腸内様式が例外なく挙げられるかもしれない。更に、医薬組成物は時間の所定の期間にわたって活性化合物の放出を遅延するように、又は治療の経過中の所定の時間で放出される活性化合物の量を慎重に制御するように設計し得る。
【0053】
別の実施態様において、本発明の方法は構造1の少なくとも一種の化合物をその医薬上許される担体中に含む医薬組成物を使用する。“医薬上許される”という表現は担体、希釈剤又は賦形剤が組成物のその他の成分と適合性であり、かつそのレシピエントに有害であってはならないことを意味する。
【0054】
本明細書に使用される“治療有効量”という用語は研究者、獣医、医師又はその他の臨床医により探求されている治療を要する対象の生物学的応答又は医療応答を誘発する医薬組成物の量を意味する。或る実施態様において、治療を要する対象が哺乳類である。或る実施態様において、哺乳類がヒトである。
【0055】
本発明の医薬組成物は固体、溶液、エマルション、分散液、ミセル、リポソーム等の形態で使用でき、その場合、得られる組成物が腸内適用又は非経口適用に適した有機又は無機の担体又は賦形剤と混合して、活性成分として、本発明の少なくとも一種の化合物を含む。記載された化合物は、例えば、錠剤、ペレット、カプセル、座薬、溶液、エマルション、懸濁液、及び使用に適したあらゆるその他の形態のための通常の無毒性の、医薬上許される担体と合わされてもよい。使用し得る担体として、グルコース、ラクトース、アカシアゴム、ゼラチン、マンニトール、澱粉ペースト、三ケイ酸マグネシウム、タルク、トウモロコシ澱粉、ケラチン、コロイドシリカ、ジャガイモ澱粉、尿素、中間鎖長トリグリセリド、デキストラン、及び製剤製造、固体形態、半固体形態、又は液体形態中の使用に適したその他の担体が挙げられる。加えて、助剤、安定剤、増粘剤及び着色剤並びに香料が使用されてもよい。本明細書に記載された化合物はその方法又は症状に所望の効果を生じるのに充分な量で医薬組成物中に含まれる。
【0056】
本発明の医薬組成物は経口使用に適した形態、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液、分散可能な粉末もしくは顆粒、エマルション、硬質もしくは軟質カプセル、又はシロップ或いはエリキシル剤として適した形態であってもよい。経口使用に意図される組成物は医薬組成物の製造について当業界で知られているあらゆる方法に従って調製されてもよく、このような組成物は医薬上すばらしく、かつ嗜好性の製剤を与えるために甘味料、例えば、蔗糖、ラクトース、又はサッカリン、風味料、例えば、ペパーミント、冬緑油又はチェリーオイル、着色剤及び防腐剤からなる群から選ばれた一種以上の薬剤を含んでもよい。無毒性の医薬上許される賦形剤と混合して本明細書に記載された化合物を含む錠剤がまた既知の方法により製造されてもよい。使用される賦形剤は、例えば、(1) 不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム、(2) 造粒剤及び崩壊剤、例えば、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉又はアルギン酸、(3) 結合剤、例えば、トラガカントゴム、トウモロコシ澱粉、ゼラチン又はアカシア、及び(4) 滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであってもよい。錠剤は被覆されなくてもよく、又はそれらは胃腸道中の崩壊及び吸収を遅延し、それにより一層長い期間にわたって持続作用を与えるために既知の技術により被覆されてもよい。例えば、時間遅延物質、例えば、グリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートが使用されてもよい。
【0057】
或る場合には、経口使用のための製剤が硬質ゼラチンカプセルの形態であってもよく、この場合、本発明の化合物が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合される。それらはまた軟質ゼラチンカプセルの形態であってもよく、この場合、本発明の化合物が水又は油媒体、例えば、落花生油、液体パラフィン、もしくはオリーブオイルと混合される。
【0058】
医薬組成物は無菌の注射可能な懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は既知の方法に従って好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して製剤化されてもよい。無菌の注射可能な製剤はまた無毒性の非経口で許される希釈剤又は溶媒中の無菌の注射可能な溶液又は懸濁液、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよい。無菌の固定油が溶媒又は懸濁媒体として通常使用される。この目的のために、合成モノグリセリドもしくはジグリセリド、脂肪酸(オレイン酸を含む)、ゴマ油、ヤシ油、落花生油、綿実油、等のような天然産植物油、又はオレイン酸エチル等のような合成脂肪ビヒクルを含む、あらゆる銘柄の固定油が使用されてもよい。緩衝剤、防腐剤、酸化防止剤、等が必要により混入し得る。
【0059】
本明細書に記載された医薬組成物はまた薬物の直腸投与のための座薬の形態で投与されてもよい。これらの組成物は本明細書に記載された化合物を好適な非刺激性賦形剤、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコールの合成グリセリドエステル(これらは常温で固体であるが、直腸腔中で液化し、かつ/又は溶解して薬物を放出する)と混合することにより調製されてもよい。
【0060】
個々の対象が症候の重度の広い変化を呈することがあり、また夫々の薬物がその特異な治療特性を有するので、夫々の対象について使用される投与の正確な様式及び用量が医師の自由裁量にゆだねられる。
以下の実施例は本発明を説明することのみを目的とし、本発明を限定すると何ら見なされるべきではない。
【実施例】
【0061】
N-[1-(2,3-ジクロロ-フェニル)-プロピル]-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン (化合物-3)
【0062】
【化8】

【0063】
1-(2,3-ジクロロ-フェニル)-プロピル-メタンアミン (2): THF (10.0 mL)中の2,3-ジクロロ-3-ベンズアルデヒド (中間体-1) (1.65 g, 9.04 ミリモル, アルドリッチから市販) の溶液にリチウムビス (トリメチルシリル)-アミド (THF中1.0 M, 12.2 mL, 12.2 ミリモル) を0℃でシリンジにより添加した。得られる溶液を0℃で2.5時間撹拌した。THF中のエチルマグネシウムブロミドの溶液 (3.0 M, 6.3 mL, 18.9 ミリモル) をシリンジにより添加した。その溶液を16時間にわたって67℃で加熱した。その反応混合物を砕いた氷に慎重に注いだ。塩化アンモニウム(水溶液)及びロッチェル塩(水溶液)をこの混合物に添加した。その水層をクロロホルム/イソプロパノール (3:1, 200 mL)で3回抽出した。溜めた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。その混合物を濾過し、溶媒を真空で除去した。残渣をシリカゲルによるクロマトグラフィーにより精製して1-(2,3-ジクロロ-フェニル)-プロピル-メタンアミン (中間体-2)を得た。生成物の質量は0.43g(2.10 ミリモル, 収率22% )であった。
【0064】
N-[1-(2,3-ジクロロ-フェニル)-プロピル]-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン (化合物-3) (AGN-217696): エタノール(10.0 mL) 中の1-(2,3-ジクロロ-フェニル)-プロピル-メタンアミン (中間体-2) (0.43 g, 2.10 ミリモル) 及び4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-スルホン酸 (0.30 g, 1.96 ミリモル, アスタテクから市販) の混合物をシールされた管中で16時間にわたって90℃で加熱した。その反応混合物を室温に冷却した。エタノールを真空で除去した。残渣を重炭酸ナトリウム(水溶液)で塩基性にし、pHを水酸化ナトリウム(2 M)で約10に調節した。その水層をクロロホルム/イソプロパノール (3:1, 100 mL)で3回抽出した。溜めた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。その混合物を濾過した。アミノ変性シリカゲルを濾液に添加し、溶媒を真空で除去した。アミノ変性シリカゲルによるクロマトグラフィー(ジクロロメタン中3.5%のメタノール)により精製してN-[1-(2,3-ジクロロ-フェニル)-プロピル]-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン (化合物-3)を固体 (0.205 g, 0.753 ミリモル, 収率36%)として得た。1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 7.40 (dd, J = 7.8, 1.8 Hz, 1H), 7.35 (dd, J = 7.8, 1.8 Hz, 1H), 7.25 (t, J = 7.8, 1H), 4.82 (dd, J = 9.0, 4.5 Hz, 1H), 3.43 (bs, 4H), 1.90-1.79 (m, 1H), 1.68-1.58 (m, 1H), 1.00 (t, J = 7.2, 3H).
化合物1、2、及び4を同様に調製した。
【0065】
N-[1-(2,3-ジクロロ-フェニル)-エチル]-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン (化合物-1): 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 7.43-7.39 (m, 2H), 7.27 (t, J = 7.80, 1H), 5.00 (q, J = 6.60, 1H), 3.48-3.41 (m, 4H), 1.44 (d, J = 6.60, 3H). [α]D20 + 102 ( c 0.838 、CHCl3中).
(+)-(S)-N-[1-(2,3-ジクロロ-フェニル)-エチル]-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン (化合物-2): 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 7.43-7.39 (m, 2H), 7.27 (t, J = 7.80, 1H), 5.00 (q, J = 6.60, 1H), 3.48-3.41 (m, 4H), 1.44 (d, J = 6.60, 3H). [α]D20 + 102 ( c 0.838 、CHCl3中).
【0066】
N-[1-(2,3-ジクロロ-フェニル)-3-フェニル-プロピル]-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-アミン (化合物-4): 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 7.44 (dd, J = 7.80, 1.50, 1H), 7.31 (dd, J = 8.10, 1.50, 1H), 7.27-7.22 (m, 2H), 7.18-7.13 (m, 4H), 4.66 (dd, J = 8.70, 4.50, 1H), 3.40 (bs, 4H), 2.88-2.79 (m, 1H), 2.71-2.61 (m, 1H), 2.09-1.90 (m, 2H).
本発明がこれらの特別な実施例に関して記載されたが、その他の改良及び変化が本発明の精神から逸脱しないで可能であることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を要する対象に治療有効量の下記の構造を有する少なくとも一種の化合物、又はこれらのあらゆる組み合わせ、或いはこれらの医薬上許される塩、水和物、溶媒和物、結晶形態、異性体、プロドラッグ、互変異性体、鏡像体、及びジアステレオマーを含む医薬組成物を投与することを特徴とする、アルファ2Bアドレナリン作用受容体及びアルファ2Cアドレナリン作用受容体の選択的サブタイプ変調と関連する疾患の治療方法。
【化1】

[式中、
夫々のR1 は独立にアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、トリフルオロメチル、-N(R3)2、-CN、-CO2R4、-C(O)N(R3)2、-CH2OH、-OCHF2、又は-OCF3であり、
R2 はアルキル、シクロアルキル、又はアリールアルキルであり、
R3 及びR4 は夫々独立にH又は低級アルキルであり、かつ
nは1〜5である]
【請求項2】
夫々のR1 が独立にアルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、又はメトキシである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
夫々のR1 がクロロである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
R2 がアルキル又はアリールアルキルである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
R2 がC1 -C6 アルキルである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
R2 がアリールアルキルである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
nが1又は2である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
化合物が下記の構造を有する請求項1記載の方法。
【化2】

【請求項9】
疾患が眼の疾患である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
眼の疾患が緑内障、上昇した眼内圧、視神経障害、角膜痛、糖尿病性網膜症、網膜ジストロフィー、黄班変性、非滲出性年齢関連黄班変性(ARMD)、滲出性年齢関連黄班変性(ARMD)、レーバー視神経障害、視神経炎(しばしば多発性硬化症、網膜静脈閉塞、虚血性神経障害及びその他の神経変性疾患と関連する)、脈絡膜新生血管形成、中心漿液性脈絡網膜症、類のう胞黄班浮腫、糖尿病性黄班浮腫、近視性網膜変性、急性多病巣板状色素上皮障害、ベーチェット病、バードショット脈絡網膜症、中間ブドウ膜炎(毛様体扁平部炎)、多病巣脈絡膜炎、多発性一過性白班点症候群(MEWDS)、眼のサルコイドーシス、後強膜炎、ほ行性脈絡膜炎、網膜下の線維症及びブドウ膜炎症候群、フォークト-小柳-原田症候群、点状内部脈絡膜症、急性後多病巣板状色素上皮症、急性網膜色素上皮炎、急性黄班視神経網膜障害、並びに光力学的治療及びレーザー補助in situ角膜曲率形成術(LASIX)の如き処置後に生じる眼の疾患である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
疾患が慢性の痛み、内臓痛、神経痛、癌の痛み、術後の痛み、異痛、神経痛、カウザルギー、虚血性神経障害、神経変性疾患、下痢、鼻鬱血、筋肉硬直、利尿、禁断症状、神経変性疾患、視神経障害、脊髄虚血、卒中、記憶及び認識の不足、注意不足障害、精神病、躁病、不安、鬱病、高血圧、鬱血性心不全、心臓虚血、関節炎、脊椎炎、痛風性関節炎、骨関節炎、若年性関節炎、自己免疫疾患、エリテマトーデス、慢性胃腸炎症、クローン病、胃炎、刺激性腸症候群(IBS)、機能性消化不良、潰瘍性大腸炎、異痛、又はこれらの組み合わせである、請求項1記載の方法。
【請求項12】
疾患が慢性の痛みである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
疾患が神経痛である、請求項11記載の方法。
【請求項14】
疾患が内臓痛である、請求項11記載の方法。
【請求項15】
疾患が中枢神経系(CNS)運動障害である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
疾患がL-ドーパ誘発運動障害、遅発性ジスキネジア、頸部ジストニー、脊髄斜頸、眼瞼痙攣/メージュ病、不穏下肢症候群、特発性震え、硬直(パーキンソン病関連又はそれ以外の特定の)、運動失調障害、又は痙直である、請求項15記載の方法。

【公表番号】特表2011−520893(P2011−520893A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509591(P2011−509591)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/043478
【国際公開番号】WO2009/140204
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(390040637)アラーガン インコーポレイテッド (117)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】