説明

選果システム

【課題】移送装置による載置台に載置された青果物をトレイに移送する際の動作を高速でおこなうことができるものを安価に実現する。
【解決手段】載置台搬送装置51によって搬送される載置台5に載置される青果物6を、トレイ搬送装置53によって搬送されるトレイ8へ移送する移送装置を備え、載置台5に載置される青果物6を等級や階級毎に前記トレイ8に詰める、選果システムであって、載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53は、載置台5に載置される青果物6のがく片6bとトレイ8の収納部8aにおけるがく片収納位置8bとが同一方向を向くとともに、青果物6の主軸Xとトレイ8の収納軸Zとが平面視で平行するように、載置台5およびトレイ8を搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置台に載置される青果物を搬送するとともに、当該載置台に載置される青果物を等級や階級毎にトレイに詰める選果システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、載置台搬送装置によって搬送される載置台に載置される青果物をトレイ搬送装置によって搬送されるトレイへ移送する移送装置を備え、載置台に載置される青果物を等級や階級毎に前記トレイに詰める、選果システムの技術は公知となっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−52487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような選果システムでは、載置台搬送装置によって搬送される載置台に載置される青果物の向きと、トレイ搬送装置によって搬送されるトレイの収納部の向きとが定まっていないため、移送装置によって青果物をトレイに移送する際に、トレイの収納部に青果物を収納できるように青果物を吸着した移送装置の吸着部の向きを変える動作を要していた。
そして、当該選果システムでは、その移送装置による載置台に載置された青果物をトレイに移送する際の動作を高速におこなうことが困難であり、また、当該動作を高速におこなうためには高価なものとなってしまう、という問題があった。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、移送装置による載置台に載置された青果物をトレイに移送する際の動作を高速でおこなうことができるものを安価に実現することができる選果システム、を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、載置台搬送装置によって搬送される載置台に載置される青果物を、トレイ搬送装置によって搬送されるトレイへ移送する移送装置を備え、前記載置台に載置される前記青果物を等級や階級毎に前記トレイに詰める、選果システムであって、前記載置台搬送装置および前記トレイ搬送装置は、前記載置台に載置される前記青果物のがく片と前記トレイの収納部におけるがく片収納位置とが同一方向を向くとともに、前記青果物の主軸と前記トレイの収納軸とが平面視で平行するように、前記載置台および前記トレイを搬送するものである。
【0008】
請求項2においては、前記移送装置は、前記載置台からトレイに前記青果物を移送する際に前記青果物を吸着する吸着部を備え、前記載置台搬送装置と前記トレイ搬送装置とは、互いの搬送方向が平行するように配置されるとともに、前記移送装置の吸着部による前記青果物の吸着位置において、前記青果物と前記トレイの収納部とを結ぶ直線が前記載置台搬送装置および前記トレイ搬送装置の搬送方向に対して直交する位置で、その搬送動作を停止するように構成されるものである。
【0009】
請求項3においては、前記載置台搬送装置と前記トレイ搬送装置とは、前記載置台搬送装置の搬送面上にある前記載置台に載置された前記青果物の高さと、前記トレイ搬送装置にある前記載置台から移送されて前記トレイの収納部に収納される前記青果物の高さと、が同一の高さに前記載置台および前記トレイを搬送するように構成されるものである。
【0010】
請求項4においては、前記移送装置は、前記吸着部による前記載置台に載置された前記青果物の吸着が完了した際に前記青果物を上方に移動させるように構成されるものである。
【0011】
請求項5においては、前記移送装置は、前記吸着部が複数個配置され、前記青果物の吸着タイミングが前記複数の吸着部によってそれぞれ異なるように構成されるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
即ち、請求項1に係る本発明によれば、移送装置による載置台に載置された青果物をトレイに移送する際の動作を高速でおこなうことができるものを安価に実現することができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、移送装置による載置台に載置された青果物をトレイに移送する際の動作をより効率良くおこなうことができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、移送装置における吸着部の移動の制御が容易となる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、載置台に載置された青果物を移送装置の吸着部によって吸着する際に、当該青果物が傷つくことを防止することができる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、移送装置が大型化することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る選果システムの全体的な構成を示した模式図。
【図2】載置台を示した斜視図。
【図3】(a)は同じく平面図、(b)は同じく底面図。
【図4】(a)は本発明の実施形態に係る選果システムの載置台方向設定部を示した平面図、(b)は同じく断面図。
【図5】(a)は同じく平面図、(b)は同じく平面図。
【図6】本発明の実施形態に係る選果システムの移送部を示した斜視図。
【図7】同じく平面図。
【図8】載置台を示した背面図。
【図9】(a)は本発明の実施形態に係る選果システムの移送部における載置台搬送装置を示した平面図、(b)は同じく平面図。
【図10】本発明の実施形態に係る選果システムの移送部を示した正面図。
【図11】本発明の実施形態に係る選果システムの移送部の載置台搬送装置を示した正面図。
【図12】同じく平面図。
【図13】本発明の実施形態に係る選果システムの移送部を示した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係る選果システム1について、図1から図12を用いて説明する。なお、図中で示す白色矢印は載置台5の搬送方向を示すものとして説明する。
【0020】
選果システム1は、載置台5に載置される青果物6を搬送するとともに、当該載置台5に載置される青果物6を等級や階級毎にトレイ8に詰めるシステムである。
【0021】
ここで、青果物6とは、イチゴ、ミニトマト、ミズナス等の可食部6a表面が比較的柔らかく、がく片6b(通称:へた)を有するものを示す(図7参照)。本実施形態では、青果物6は、いちごであるものとして説明する。青果物6の主軸Xは、青果物6のがく片6bと、可食部6aの先端部(がく片6bと反対側の先端部)と、を結ぶ仮想の直線を示す。
【0022】
またここで、青果物6が詰められるトレイ8は、プラスチック素材からなる平面視長方形の部材であり、載置台5から移送された青果物6が収納される収納部8aを複数個有して構成される。トレイ8では、24個(長手方向に6個、短手方向に4個)の収納部8a・8a・・・が配置される(図7参照)。
トレイ8の収納部8aは、略横に寝かせた青果物6が収まるような凹状にトレイ8の上面が形成されて構成される。トレイ8の収納部8aが形成される部分の下面は、収納部8aが形成されることによって凸状に形成される。
トレイ8の収納部8aは、平面視で所定角度傾斜するように配置される。本実施形態では、トレイ8の収納部8aは、その長手方向に対して平面視で左方(反時計周り)に略45度傾くように配置される。
【0023】
また、選果システム1は、図1に示すように、搬送される載置台5の向きを所定の方向に設定する載置台方向設定部20と、載置台方向設定部20において向きが所定の方向に設定された載置台5に作業者によって青果物6が載置される青果物載置部30と、青果物載置部30において載置台5に載置された青果物6の品質を計測する品質計測部40と、品質計測部40における計測結果に基づいて青果物6をその等級や階級毎に載置台5からトレイ8に移送する移送部50と、を具える。選果システム1では、主搬送装置11の上流側に載置台方向設定部20が配置され、載置台方向設定部20の下流側に、主搬送装置11に沿って上流側から、青果物載置部30、品質計測部40、移送部50、が順に配置される。
【0024】
選果システム1は、主搬送装置11の下流側端に廃棄ライン14を備える。選果システム1では、青果物6は、規格外に変形しているもの、規格外に大きすぎるものまたは小さすぎるもの、規格外に変質しているもの、傷が付いているもの、がく片6bがないもの、残留農薬が規定値以上のもの等の場合には、廃棄ライン14に搬送される。
【0025】
選果システム1は、青果物載置部30において青果物6が載置台5に正確に載置されていなかった場合に、品質計測部40の下流側から、載置台方向設定部20の上流側(主搬送装置11の上流側)に当該載置台5を戻す、リターンライン12を備える。
【0026】
選果システム1は、移送部50において青果物6がトレイ8へ移送されて青果物6が載置されていない(空の状態)載置台5を、移送部50の終端から載置台方向設定部20の上流側(主搬送装置11の上流側)に戻す、載置台戻りライン13を備える。
【0027】
選果システム1は、制御装置を備える。選果システム1の制御装置は、種々の情報を記憶する記憶手段を有し、また、種々の機構や装置等に接続されてこれを制御するものである。
【0028】
載置台5は、図2または図3に示すように、平面視において円形に形成され、上半部を成す載置部5aと、下半部を成す支持台部5bと、により構成される。載置台5は、載置部5a及び支持台部5bの平面視中央、つまり中心部には上下方向に貫通孔5cが開口されて、構成される。
載置台5の載置部5aは、青果物6が載置される部分である。載置台5の載置部5aは、貫通孔5cを取り囲むように、中心に向かって低くなる四つの傾斜面で概ね四角錘状の凹部5dが形成され、前記四つの傾斜面うち二つの傾斜面が隣り合っているコーナー部を切り欠いて形成される切欠部5eを有するように構成される。
載置台5の凹部5dの大きさは、青果物6の可食部6aが納まる大きさに構成される。
載置台5の切欠部5eは、平面視で載置部5aの中心から外周に向かって広がる扇形状に構成される。切欠部5eの大きさは青果物6のがく片6bが納まる大きに構成される。
ここで、載置台5の載置軸Yは、載置台5の切欠部5eにおける開口の中央(切欠部5eにおける側面間の中央)と、貫通孔5cを挟んで切欠部5eと反対側における二つの傾斜面が隣り合っているコーナー部と、を結ぶ仮想の直線を示す。
【0029】
載置台5の支持台部5bにおける底面と側面との境界部分には、載置台方向設定部20において載置台5の方向を設定する際に用いられる二つのガイド凹部5f・5fが設けられる。載置台5のガイド凹部5f・5fは、支持台部5bにおける底面が側面から底面視においてそれぞれ「D」状に切欠かれて形成される。載置台5のガイド凹部5f・5fは、180度周方向に位相をずらして互いに向き合うようにしてそれぞれ配置される。載置台5のガイド凹部5f・5fは、切欠部5eの開口方向から周方向に所定の角度ずらすようにして、それぞれ配置される。本実施形態では、載置台5における一方のガイド凹部5fは、載置台5の切欠部5eにおける開口の中央から右方に45度、他方のガイド凹部5fは、載置台5の切欠部5eにおける開口の中央から左方に135度、それぞれ周方向にずらすようにしてそれぞれ配置される。
【0030】
また、載置台5の側面(若しくは底面)には、ID認識手段が貼設される。具体的には、載置台5のID認識手段は、バーコードや二次元コードや磁気テープやICチップ等で構成される。載置台5のID認識手段には、認識番号が記される(IDが書込まれる)。載置台5のID認識手段における認識番号は、品質計測部40や移送部50において、それぞれ図示しない読取手段によって読取られる。
【0031】
選果システム1の載置台方向設定部20は、図4または図5に示すように、載置台5を搬送しながら周方向に回転させる低位置搬送装置24および高位置搬送装置25と、載置台5の搬送方向の両側をガイドする左右一対のコンベアガイド26・26とを備えて構成される。
載置台方向設定部20の低位置搬送装置24と高位置搬送装置25とは、主搬送手段2の延長上流側に、互いの搬送方向が同一方向となるように平行して並べて配置される。なお、本実施形態では、低位置搬送装置24は右側、高位置搬送装置25は左側としているが左右逆に配置してもよい。
【0032】
載置台方向設定部20の低位置搬送装置24は、搬送面が平なベルトコンベアで構成される。載置台方向設定部20の低位置搬送装置24の搬送面は、主搬送装置11の搬送ベルトの搬送面と同じ高さに配置される。載置台方向設定部20の低位置搬送装置24の左右幅はその搬送面路上に載せられた載置台5を安定して搬送できる幅としている。載置台方向設定部20の低位置搬送装置24の左側端(高位置搬送装置25側端)は、主搬送装置11の左右中心よりも左側(高位置搬送装置25側)に寄せている。
【0033】
載置台方向設定部20の高位置搬送装置25は、低位置搬送装置24の側部に配置され、高位置搬送装置25の左右幅は低位置搬送装置24の左右幅よりも短く、かつ、載置台5のガイド凹部5fの半径方向の長さよりも短く構成され、例えばVベルトで構成されている。載置台方向設定部20の高位置搬送装置25の搬送面は、低位置搬送装置24及び主搬送手段2の搬送面よりも高い位置に配置される。載置台方向設定部20の高位置搬送装置25の搬送面は、載置台5を低位置搬送装置24に載せた状態においてそのガイド凹部5fの高さよりも低くなるように配置される。
【0034】
載置台方向設定部20の低位置搬送装置24との搬送速度と高位置搬送装置25との搬送速度は、異なる速さに設定される。本実施形態では、載置台方向設定部20の低位置搬送装置24の搬送速度が高位置搬送装置25の搬送速度よりも速く設定される。
【0035】
載置台方向設定部20のコンベアガイド26・26は、低位置搬送装置24の右側方、および、高位置搬送装置25の左側方に、それぞれ配置される。載置台方向設定部20のコンベアガイド26・26は、杆状の部材であり、低位置搬送装置24と高位置搬送装置25の搬送方向の長さと同じ長さとしている。そして、載置台方向設定部20のコンベアガイド26・26は、搬送中心C1から同じ距離を離し、コンベアガイド26・26間が載置台5の直径よりも若干長くなるように配置される。このように、載置台方向設定部20のコンベアガイド26・26を配置することにより、低位置搬送装置24および高位置搬送装置25で搬送される載置台5が、これらの側方から脱落することを防止している。
【0036】
このように構成された載置台方向設定部20の低位置搬送装置24及び高位置搬送装置25始端側に、青果物6が載置されていない載置台5を載せる。このとき、載置台5が所定の方向を向いていない(本実施形態では、載置台5の切欠部5eが、搬送方向に対して右方に45度または左方に135度の方向を向いていない)場合には、載置台5の底面が、低位置搬送装置24の搬送面と高位置搬送装置25の搬送面とに接触(載置)した状態となっている。この状態では、載置台方向設定部20の低位置搬送装置24の搬送速度と高位置搬送装置25の搬送速度とに差があるため、載置台5は搬送されながら周方向に回転する(本実施形態では、載置台5は平面視で半時計周り回転する。)。
そして、載置台5は、そのガイド凹部5fが載置台方向設定部20の高位置搬送装置25の搬送面の上方に位置するまで回転すると、載置台5のガイド凹部5fの高さが高位置搬送装置25の搬送面より高いため載置台方向設定部20高位置搬送装置25と接触しなくなり、載置台方向設定部20の低位置搬送装置24の搬送面のみに載って、回転しなくなる。このように回転が止まった載置台5は、前記所定の方向(その切欠部5eが、搬送方向に対して右方に45度または左方に135度の方向)を向いた状態となって、つまり、その載置軸Yが搬送方向に対して右方に45度(左方に135度)傾いた状態となって、載置台方向設定部20の低位置搬送装置24のみよって搬送されることとなる。
以上のようにして、載置台5は、載置台方向設定部20においてその向きが前記所定の方向に設定されて、主搬送装置11の上流端に搬送される。
【0037】
選果システム1の主搬送装置11は、ベルトコンベアにより構成される。主搬送装置11の搬送ベルトの搬送面上には、載置台方向設定部20において所定の方向に向けられた青果物6が載置されていない載置台5、または、青果物載置部30において青果物6が載置された載置台5が載せられて搬送される。
【0038】
選果システム1の青果物載置部30では、主搬送装置11の上流側の両側または一側に、複数の作業者が位置して、当該作業者によって主搬送装置11により搬送される載置台5に青果物6が載置される。
詳述すると、青果物載置部30では、複数の作業者が、主搬送装置11の上流側の左右両側、または、左右一側に、搬送方向に沿って並んで位置する。前記載置台方向設定部20において向きが前記所定の方向に設定された載置台5が、主搬送装置11の搬送面に載せられて搬送されてくる。
【0039】
そして、青果物載置部30では、前記搬送されてくる載置台5の凹部5dに青果物6の可食部6aを位置させ、切欠部5eに青果物6のがく片6bを位置させて、略横に寝かせるようにして青果物6を載置部5aに載置する(図7参照)。このとき、載置台5の切欠部5eは、主搬送装置11の搬送方向に対して右方に45度または左方に135度の方向を向いた状態となって搬送されてくるため、載置台5に載置された青果物6は、そのがく片6bが主搬送装置11の搬送方向に対して左方または右方に配置されることとなる。
またこのとき、青果物6の主軸Xと載置台5の載置軸Yとが略平行するようにして、青果物6を載置部5aに載置する。つまり、青果物6は、その主軸Xが搬送方向に対して右方に略45度または左方に135度)傾くように載置台5に載置されて下流側に搬送されることとなる。
【0040】
選果システム1の品質計測部40は、載置台5に載置されて主搬送装置11により搬送されてくる青果物6の質量を計測する質量計、青果物6を撮影するCCDカメラ等の撮影手段撮影手段、撮影手段22で撮影された画像に関する情報の画像処理を行う画像処理手段、青果物6の内部の品質を計測する投光手段および受光手段、等が配置されて構成される。
そして、品質計測部40では、青果物6の質量、青果物6の大きさ、青果物6の変質度合い、青果物6傷の有無、青果物6のがく片6bの有無、青果物6の主軸Xと載置台5の載置軸Yとが平行するように青果物6が載置台5に載置されているか、載置台5に載置される青果物6のがく片6bが主搬送装置11に対して左右どちらの方向に配置されているか(青果物6のがく片6bの配置方向)、青果物6の糖度や酸度、青果物6の残留農薬濃度、等に関する情報、および、品質計測部40に配置される読取手段によって読取られた載置台5の認識番号に関する情報、は制御装置に送信されて、その記憶手段に記憶される。
【0041】
選果システム1の移送部50は、図1に示すように、主搬送装置11の左右両側に複数配置される。
移送部50では、主搬送装置11によって搬送されてくる載置台5を主搬送装置11から各移送部50に搬送して、当該載置台5に載置される青果物6をトレイ8の収納部8aに移送する。各移送部50・50・・・に分岐させる載置台5は、これに載置される青果物6の階級や等級、および、青果物6のがく片6bの配置方向、等によって異なる。当該青果物6の階級や等級および青果物6のがく片6bの配置方向は、移送部50毎に予め設定されている。
本実施形態では、主搬送装置11の搬送方向に対して左右それぞれに3つずつ移送部50が配置される。青果物6のがく片6bが主搬送装置11の搬送方向に対して左方に配置されるものは、主搬送装置11の搬送方向に対して左側の移送部50に搬送するように設定されている。青果物6のがく片6bが主搬送装置11の搬送方向に対して右方に配置されるものは、主搬送装置11の搬送方向に対して右側の移送部50に搬送するように設定されている。
【0042】
移送部50は、図1、図6または図7に示すように、主搬送装置11の左側または右側に搬送路が分岐するように配置される載置台搬送装置51と、主搬送装置11と載置台搬送装置51との分岐部分(載置台搬送装置51の始端側)に配置される分岐装置52と、トレイ8を搬送するトレイ搬送装置と、載置台5に載置された青果物6をトレイ8に移送する移送装置60と、を有して構成される。
【0043】
移送部50の分岐装置52は、主搬送装置11と載置台搬送装置51との分岐部分において、主搬送装置11から青果物6が載置された載置台5を移送部50(載置台搬送装置51)へ搬送させるものである。移送部50の分岐装置52は、主搬送装置11に搬送される青果物6が載置された載置台5を載置台搬送装置51へ移送させる移送手段と、青果物6が載置された載置台5を平面視で時計回りに90度回転させる回転手段とを備える。
【0044】
ここで、青果物6が載置された載置台5が主搬送装置11によって搬送されてくると、移送部50に配置された読取手段によって、当該載置台5の認識番号が読取られて、当該認識番号に関する情報が制御装置に送信される。
そして、制御装置は、前記送信された認識番号に関する情報に関連付けられた、青果物6の大きさに関する情報、青果物6の糖度や酸度に関する情報、および、青果物6のがく片6bの配置方向に関する情報が、移送部50に設定された、青果物6の等級や階級、および、前記青果物6のがく片6bの配置方向、と一致するかについて判断する。
【0045】
制御装置によって前記青果物6の等級や階級等が前記移送部50の等級や階級等と一致すると判断された場合、および、青果物6のがく片6bの配置方向が前記移送部50の青果物6のがく片6bの配置方向と一致すると判断された場合には、青果物6が載置される載置台5は、移送部50の分岐装置52の移送手段により載置台搬送装置51へ移送されるとともに、回転手段によって平面視で時計回りに90度回転される。
なお、制御装置によって前記青果物6の等級や階級が、前記移送部50毎に設定された、等級や階級と一致しないと判断された場合、または、青果物6のがく片6bの配置方向が前記移送部50の青果物6のがく片6bの配置方向と一致しないと判断された場合には、そのまま主搬送装置11により下流へ搬送されて、下流側の移送部50で同様の判断がされる。
【0046】
また、制御装置は、前記送信された認識番号に関する情報に関連付けられた、青果物6の変質度合い、青果物6傷の有無、青果物6のがく片6bの有無、青果物6の残留農薬濃度、等に関する情報、に基づいて、当該青果物6が規格外のものかについて判断する。
制御装置によって前記青果物6が、規格外に変形している、規格外に大きすぎまたは小さすぎる、規格外に変質している、傷が付いている、がく片6bがない、残留農薬濃度が規定値以上、等と判断された場合には、当該青果物6が載置された載置台5は、廃棄ライン14に搬送される。
【0047】
さらに、制御装置は、前記送信された認識番号に関する情報に関連付けられた、青果物6の主軸Xと載置台5の載置軸Yとが平行するように青果物6が載置台5に載置されているかに関する情報に基づいて、当該青果物6がその主軸Xと載置台5の載置軸Yとが平行するように載置台5に載置されているかについて判断する。
制御装置によって前記青果物6が、青果物6の主軸Xと載置台5の載置軸Yとが平行するように青果物6が載置台5に載置されていないと判断された場合には、当該青果物6が載置される載置台5は、リターンライン12により載置台方向設定部20の上流に戻されて主搬送装置11で搬送され、青果物載置部30において作業者によって青果物6の載置台5に載置される位置や角度が調整される。
【0048】
移送部50の載置台搬送装置51は、主搬送装置11から分岐装置52によって移送された青果物6が載置された載置台5を搬送するものであり、ベルトコンベアによって構成される。移送部50の載置台搬送装置51は、その搬送方向が主搬送装置11の搬送方向に対して直交するように配置される。
【0049】
移送部50の載置台搬送装置51では、青果物6および当該青果物6が載置される載置台5は、前述のように、載置台方向設定部20において載置台5の向きが設定され、移送部50の分岐装置52の回転手段によって載置台5が回転されることによって、青果物6のがく片6bおよび載置台5の切欠部5eが載置台搬送装置51の搬送方向に対して右方に135度の方向を向くようにして搬送される。つまり、移送部50の載置台搬送装置51では、青果物6の主軸X、および、当該青果物6が載置される載置台5の載置軸Yが、それぞれ載置台搬送装置51の搬送方向に対して右方に略135度または左方に45度傾くようにして、青果物6および当該青果物6が載置される載置台5は、搬送される。
【0050】
移送部50のトレイ搬送装置53は、ベルトコンベアによって構成され、その搬送方向が載置台搬送装置51の搬送方向と同一方向となるように、載置台搬送装置51に平行して並べて配置される。移送部50のトレイ搬送装置53は、載置台搬送装置51の搬送方向に対して右方に配置される。
【0051】
移送部50のトレイ搬送装置53では、トレイ8は、収納部8aのがく片収納位置8bがトレイ搬送装置53の搬送方向に対して右方に135度の方向を向くようにしてトレイ搬送装置53の搬送面上に載せられて搬送される。つまり、移送部50のトレイ搬送装置53では、トレイ8は、その収納軸Zがトレイ搬送装置53の搬送方向に対して右方に略135度または左方に45度傾くようにしてトレイ搬送装置53の搬送面上に載せられて搬送される。
ここで、トレイ8のがく片収納位置8bとは、トレイ8の収納部8aに青果物6が収納されたときに青果物6のがく片6bが位置する部分を示す。また、トレイ8の収納軸Zとは、トレイ8の収納部8aにおける、がく片収納位置8bの中央と、収納部8aに青果物6が収納されたときにその先端部が位置する部分とを、を結ぶ仮想の直線を示す。
【0052】
移送部50の移送装置60は、載置台搬送装置51によって搬送される載置台5に載置される青果物6をトレイ搬送装置53によって搬送されるトレイ8へ移送するものであり、制御装置に接続される。
移送部50の移送装置60は、載置台5に載置された青果物6をトレイ8へ移すものであり、主として移送レール61、シリンダブラケット62、上下シリンダ63、支持部64、吸着シリンダ65および吸着部66を具備する。
【0053】
移送部50の移送装置60の移送レール61は、載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向に対して左右方向にまたがるように(直交するように)、載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の上方に配置される。
移送部50の移送装置60のシリンダブラケット62は、移送レール61の下面に、載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向に対して直交する方向(矢印Aの方向)に摺動可能に支持される。
移送部50の移送装置60のシリンダブラケット62には上下シリンダ63が固定される。
移送部50の移送装置60の上下シリンダ63には上下方向(矢印Bの方向)に向かって伸縮可能なアームが突設され、当該アームの先端(下端)には支持部64が固定され、支持部64には吸着シリンダ65が固定される。
移送部50の移送装置60の吸着シリンダ65にはアームが突設され、当該アームの先端(下端)には吸着部66が固定される。移送部50の移送装置60の吸着シリンダ65のアームは、平面視で載置台搬送装置51上の載置台5の載置軸Y(青果物6の主軸X)とトレイ搬送装置53上のトレイ8の収納軸Zとに平行(矢印Cの方向)で、やや下方に伸縮可能に構成される。
移送部50の移送装置60の吸着部66は、図示せぬポンプまたはエジェクタと接続され、当該ポンプまたはエジェクタにより空気を吸引することにより、吸着部66の先端に青果物6を吸着することができる。移送部50の移送装置60の吸着部66は、載置台搬送装置51によって搬送されてくる載置台5に載置された青果物6のがく片6b側からこれを吸着するように構成される。
【0054】
以下では、上述の如く構成された移送部50の移送装置60における青果物6のパック詰め作業について説明する。
【0055】
まず、移送部50の載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53によって、青果物6が載置された載置台5およびトレイ8がそれぞれ所定の位置まで搬送される。
このとき、載置台5の切欠部5eと、青果物6のがく片6bと、トレイ8の収納部8aにおけるがく片収納位置8bとが、同一方向(移送部50の載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向に対して右方に135度の方向)を向くように、それぞれ搬送される。
また、青果物6の主軸Xと、当該青果物6が載置される載置台5の載置軸Yと、トレイ8の収納軸Zと、が平面視で平行するように、それぞれ搬送される。
【0056】
次に、移送部50の移送装置60のシリンダブラケット62を摺動させ、上下シリンダ63のアームを下方に伸ばし、吸着シリンダ65のアームを載置台5に載置される青果物6に向かって伸ばすことで、吸着部66の先端部を、当該青果物6(青果物6のがく片6b)に近接させる。このとき、載置台5の切欠部5eの外側から貫通孔5cに向かうようにして、移送部50の移送装置60の吸着部66を移動させる。
ここで、移送部50の移送装置60の前記ポンプ等により空気を吸引し、移送装置60の吸着部66の先端部に青果物6のがく片6bを吸着させる。
次に、移送部50の移送装置60の上下シリンダ63のアームを上方に縮め、吸着シリンダ65のアームを縮め(載置台5と反対方向に駆動させ)、シリンダブラケット62をトレイ搬送装置53側に摺動させ、吸着部66に吸着した青果物6をトレイ8上まで移動させる。
最後に、移送部50の移送装置60の前記ポンプ等による空気の吸引を終了し、青果物6をトレイ8の収納部8aに収納する。このとき、青果物6は、そのがく片6bをトレイ8の収納部8aにおけるがく片収納位置8bに位置させるとともに、青果物6の主軸Xとトレイ8の収納軸Zとが略平行させ、略横に寝かせるようにして収納される。
上記作業を繰り返すことで、トレイ8に複数の青果物6・6・・・を並べて詰めることができる。なお、上記作業は、トレイ8の収納部8aのうち移送部50のトレイ搬送装置53の搬送方向の最も下流側に位置する収納部8aの列(トレイ搬送装置53の搬送方向に対して直交する方向に配置された収納部8a・8a・・・)から順次おこなわれる。
【0057】
以上のようにして、選果システム1の移送部50では、載置台5の切欠部5eと、青果物6のがく片6bと、トレイ8の収納部8aにおけるがく片収納位置8bとが、同一方向(載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向に対して右方に135度の方向)を向くように、それぞれ搬送される。
また、選果システム1の移送部50では、青果物6の主軸Xと、当該青果物6が載置される載置台5の載置軸Yと、トレイ8の収納軸Zと、が平面視で平行するように、それぞれ搬送される。
【0058】
このため、選果システム1では、移送部50の移送装置60は、その吸着部36の移動方向が、載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向に対して直交する方向、上下方向、および、載置台5の載置軸Y(青果物6の主軸X)とトレイ8の収納軸Zに平行方向のみの移動方向で、載置台5に載置された青果物6をトレイ8に移送することができる。
つまり、選果システム1では、移送部50の移送装置60の吸着部66によって載置台5に載置される青果物6を吸着する際に、または、移送装置60の吸着部66が当該青果物6を吸着した後に、吸着部66の向きを変えることなく、載置台5に載置された青果物6をトレイ8に移送することができる。
したがって、選果システム1によれば、移送部50の移送装置60による載置台5に載置された青果物6をトレイ8に移送する際の動作を高速でおこなうことができるものを安価に実現することができる。
【0059】
なお、選果システム1の移送部50では、前記載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53によって搬送される、載置台5の切欠部5eと、青果物6のがく片6bと、トレイ8の収納部8aにおけるがく片収納位置8bとが向く方向、は、青果物6の品質や品種、または、トレイ8の仕様等に合わせて、適宜変更できるものとする。
また、選果システム1の移送部50では、前記載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53によって搬送される、青果物6の主軸Xと、当該青果物6が載置される載置台5の載置軸Yと、トレイ8の収納軸Zと、が傾く角度は、青果物6の品質や品種、または、トレイ8の仕様等に合わせて、適宜変更できるものとする。
【0060】
選果システム1は、図8または図9に示すように、移送部50の載置台搬送装置51によって搬送される載置台5の向きを所定の方向に向くように調整する調整手段70を備えてもよい。
選果システム1の調整手段70は、載置台5の載置軸Y(青果物6の主軸X)が移送部50の載置台搬送装置51の搬送方向に対して右方に略135度または左方に45度傾くとともに、載置台5の切欠部5e(青果物6のがく片6b)が移送部50の載置台搬送装置51の搬送方向に対して右方に135度の方向を向くように、載置台5の向きを調整する手段である。
例えば、選果システム1の調整手段70は、載置台5に磁性体71を備え、移送部50の載置台搬送装置51に磁石72を備え、移送部50の載置台搬送装置51に搬送される載置台5の磁性体71が、移送部50の載置台搬送装置51の磁石72によって引付けられることによって、載置台5の向きを調整するように構成される。
【0061】
選果システム1の調整手段70における磁性体71は、鉄やニッケルの素材で構成され、載置台5の切欠部5eの開口から平面視で時計回りに略135度ずれた載置台5の支持台部5bの側面に、貼設される。
【0062】
選果システム1の調整手段70における磁石72は、移送部50の移送装置60の近傍において移送部50の載置台搬送装置51の搬送方向の左側におけるその搬送面の上側方に配設されるとともに、移送部50の載置台搬送装置51によって搬送される載置台5の磁性体71を引付けることができるように構成される。
【0063】
移送部50の載置台搬送装置51は、その磁石72が配置される場所まで載置台5を搬送すると、その搬送動作が停止するように構成される。
そして、移送部50の載置台搬送装置51の磁石72が配置される場所まで載置台5が搬送されて、載置台搬送装置51の搬送動作が停止すると、載置台5の磁性体71が移送部50の載置台搬送装置51の磁石72の磁力によって引付けられて、載置台5の向きが、載置台5の載置軸Y(青果物6の主軸X)が移送部50の載置台搬送装置51の搬送方向に対して右方に略135度または左方に45度傾くとともに、載置台5の切欠部5e(青果物6のがく片6b)が移送部50の載置台搬送装置51の搬送方向に対して右方に135度の方向を向くこととなる。
【0064】
このように、選果システム1が調整手段70を備えることにより、より確実に、載置台5の切欠部5eおよび青果物6のがく片6bと、トレイ8の収納部8aにおけるがく片収納位置8bとが、同一方向(移送部50の載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向に対して右方に135度の方向)を向くように、青果物6および当該青果物6が載置される載置台5を搬送することができる。またより確実に、青果物6の主軸Xおよび当該青果物6が載置される載置台5の載置軸Yと、トレイ8の収納軸Zと、が平面視で平行するように、青果物6および当該青果物6が載置される載置台5を搬送することができる。
【0065】
移送部50の載置台搬送装置51は、図7に示すように、これに搬送される載置台5の載置部5aと、移送部50の移送部50の移送装置60の吸着部66による青果物6の吸着位置と、を結ぶ直線が、移送部50の載置台搬送装置51の搬送方向に対して直交する位置に載置台5が搬送されたときに、その搬送動作が停止するように構成される。
移送部50のトレイ搬送装置53は、これに搬送されるトレイ8の収納部8aのうち青果物6が収納されていない最も下流側の収納部8aと、移送部50の移送装置60の吸着部66による青果物6の吸着位置と、を結ぶ直線が、トレイ搬送装置53の搬送方向に対して直交する位置にトレイ8が搬送されたときに、その搬送動作が停止するように構成される。
つまり、移送部50の載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53は、移送部50の移送装置60の吸着部66による青果物6の吸着位置において、青果物6とトレイ8の収納部8aとを結ぶ直線が、移送部50の載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向に対して直交する位置で、搬送動作を停止するように構成される。
そして、移送部50の載置台搬送装置51とトレイ搬送装置53とは、互いの搬送方向が平行するように配置される。
【0066】
このため、選果システム1では、移送部50の移送装置60の吸着部66によって載置台5に載置される青果物6を吸着する際における、移送部50の吸着部66の移動方向(移送部50の載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向に対して直交する方向)を、最短距離に構成することができる。
したがって、選果システム1によれば、移送部50の移送装置60による載置台5に載置された青果物6をトレイ8に移送する際の動作をより効率良くおこなうことができる。
【0067】
なお、移送部50の載置台搬送装置51は、移送部50の移送装置60による青果物6のトレイ8への移送が終了すると、その搬送動作が再開されるように構成される。
また、移送部50のトレイ搬送装置53は、青果物6が収納された収納部8aの属するすべての列に青果物6が収納されると、その搬送動作が再開されるように構成される。
【0068】
図10に示すように、移送部50では、移送装置60の載置台搬送装置51とトレイ搬送装置53とは、載置台搬送装置51の搬送面上にある載置台5に載置された青果物6の高さと、トレイ搬送装置53にある前記載置台5から移送されてトレイ8の収納部8aに収納される青果物6の高さと、が同一の高さに青果物6が載置される載置台5およびトレイ8を搬送するように構成される。
【0069】
このため、選果システム1では、移送部50の移送装置60における吸着部66の上下方向の移動距離が、載置台5に載置された青果物6を吸着する際と、青果物6をトレイ8の収納部8aに収納する際と、で同一の距離となり、移送装置60における吸着部66の移動の制御が容易となる。
【0070】
図11または図12に示すように、移送部50のトレイ搬送装置53の搬送面上にトレイガイド80を備える構成としてもよい。
移送部50のトレイガイド80は、トレイ搬送装置53の搬送面上に配置されたトレイ8の位置がトレイ搬送装置53の搬送方向に対して左右方向にずれることを防止するものである。移送部50のトレイガイド80は、スポンジ素材またはゴム素材からなる凸条部材であり、トレイ搬送装置53の搬送方向に沿って配置される。
そして、トレイ8の下面における凸状部分間(収納部8a・8aの下面間)にトレイガイド80が位置するように、移送部50のトレイ搬送装置53の搬送面上にトレイ8を載せる。
斯かる状態でトレイ8が移送部50のトレイ搬送装置53の搬送方向に対して左右方向にずれようとしたときに、トレイガイド80とトレイ8の下面の凸状部分と当接して、その位置がずれることが防止される。
このように、移送部50のトレイ搬送装置53の搬送面上にトレイガイド80を備える構成とすることにより、トレイ搬送装置53の搬送面上に配置されたトレイ8の位置が、搬送途中にトレイ搬送装置53の搬送方向に対して左右方向にずれることや、載置台5から青果物6が移送されたときの衝撃でトレイ搬送装置53の搬送方向に対して左右方向にずれることを防止することができる。
【0071】
なお、移送部50のトレイガイド80の高さは、前記トレイ8をトレイ搬送装置53の搬送面上に載せたときに、トレイ8の下面とトレイガイド80が当接してトレイ8が浮上がらないような高さに構成される。
また、移送部50のトレイガイド80は、複数配置してもよく、上端部が丸みを帯びたもの(例えば、円柱状の凸条)や角張るもの(例えば、三角柱状の凸条)でもよく、また、トレイ搬送装置53の搬送面上に載せられたトレイ8におけるトレイ搬送装置53の搬送方向側の長さよりも短い間隔で複数の突起をその搬送方向に沿って配置して構成してもよく、トレイ8の仕様に合わせてその数量や構成を適宜選択できるものとする。
【0072】
また、移送部50の移送装置60は、その吸着部66による載置台5に載置された青果物6の吸着が完了した際に当該青果物6を上方に移動させるように構成される。
例えば、移送部50の移送装置60は、その吸着部66による青果物6の吸着が完了したことを感知することができる真空センサを備える。移送部50の移送装置60の真空センサは、吸着部66による青果物6の吸着の完了を感知したら、その旨の情報を制御装置に送信する。そして、制御装置は、前記青果物6の吸着の完了を感知した旨の情報に基づいて移送装置60の上下シリンダのアームを上方に縮めて、当該青果物6を上方に移動させる。
このように、移送部50の移送装置60が、吸着部66による載置台5に載置された青果物6の吸着が完了した際に当該青果物6を上方に移動させるように構成されることにより、載置台5に載置された青果物6を吸着部66によって吸着する際に、吸着部66が青果物6を吸着してもなお吸着シリンダ65のアームが載置台5側に伸びることによって青果物6が載置台5側に押込まれて当該青果物6が傷つくことを防止することができる。
【0073】
また、移送部50の移送装置60は、複数個の吸着部66・66・・・が配置される構成としてもよい。
例えば、移送装置60が、複数個の吸着部66・66・・・を備え、四個の青果物6・6・・・を一度に吸着して、これをトレイ8の収納部8a・8a・・・に一度の収納する構成とする。
しかしながら、このような複数個の吸着部66・66・・・が配置され、複数個の青果物6・6・・・を一度に吸引する構成では、一度に青果物6吸引するため、その吸引する際の空気量が多量となり、コンプレッサやタンク等は容量の大きいものを要する。このため、移送装置60が大型化するという問題があった。
【0074】
移送部50の移送装置60は、吸着部66による青果物6の吸着タイミングが、複数の吸着部66・66・・・によってそれぞれ異なるように構成される。
例えば、図13に示すように、移送部50の移送装置60は、載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向に沿って配置される、六個の吸着部66・66・・・を備える。移送部50の移送装置60は、六個の吸着部66・66・・・が下流側に配置される吸着部66から順に0.5秒毎に間隔を空けて青果物6・6・・・を吸着していくように構成される。
ここで、移送部50の移送装置60の吸着部66が青果物6を吸着するまでは吸引する空気量が多く、一端その吸着が完了すると吸引する空気量は微少となる。
このため、移送部50の移送装置60が複数個の吸着部66・66・・・が配置される構成であっても、当該複数の複数の吸着部66・66・・・による青果物6・6・・・の吸着タイミングが、各々の吸着部66・66・・・によって異なるように構成することにより、コンプレッサやタンク等に容量の大きいものを要さず、移送装置60が大型化することを抑制することができる。
【0075】
なお、移送部50の載置台搬送装置51に搬送される複数の載置台5・5・・・に載置されたそれぞれの青果物6・6・・・同士の間隔と、トレイ8の収納部8a・8a・・・同士における移送部50のトレイ搬送装置53の搬送方向側の間隔とが、一致しない場合には、移送部50の移送装置60を、その吸着部66・66・・・における載置台搬送装置51およびトレイ搬送装置53の搬送方向の間隔を変更可能に構成し、吸着部66・66・・・による青果物6・6・・・の吸着後、トレイ8の収納部8a・8a・・・におけるトレイ搬送装置53の搬送方向側の間隔に合わせるように当該青果物6・6・・・を移送するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 選果システム
5 載置台
5a 載置部
6 青果物
8 トレイ
8a 収納部
20 載置台方向設定部
30 青果物載置部
40 品質計測部
50 移送部
51 載置台搬送装置
53 トレイ搬送装置
60 移送装置
63 吸着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台搬送装置によって搬送される載置台に載置される青果物を、トレイ搬送装置によって搬送されるトレイへ移送する移送装置を備え、前記載置台に載置される前記青果物を等級や階級毎に前記トレイに詰める、選果システムであって、
前記載置台搬送装置および前記トレイ搬送装置は、前記載置台に載置される前記青果物のがく片と前記トレイの収納部におけるがく片収納位置とが同一方向を向くとともに、前記青果物の主軸と前記トレイの収納軸とが平面視で平行するように、前記載置台および前記トレイを搬送する、選果システム。
【請求項2】
前記移送装置は、前記載置台からトレイに前記青果物を移送する際に前記青果物を吸着する吸着部を備え、
前記載置台搬送装置と前記トレイ搬送装置とは、互いの搬送方向が平行するように配置されるとともに、前記移送装置の吸着部による前記青果物の吸着位置において、前記青果物と前記トレイの収納部とを結ぶ直線が前記載置台搬送装置および前記トレイ搬送装置の搬送方向に対して直交する位置で、その搬送動作を停止するように構成される、請求項1に記載の選果システム。
【請求項3】
前記載置台搬送装置と前記トレイ搬送装置とは、前記載置台搬送装置の搬送面上にある前記載置台に載置された前記青果物の高さと、前記トレイ搬送装置にある前記載置台から移送されて前記トレイの収納部に収納される前記青果物の高さと、が同一の高さに前記載置台および前記トレイを搬送するように構成される、請求項1または請求項2に記載の選果システム。
【請求項4】
前記移送装置は、前記吸着部による前記載置台に載置された前記青果物の吸着が完了した際に前記青果物を上方に移動させるように構成される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の選果システム。
【請求項5】
前記移送装置は、前記吸着部が複数個配置され、前記青果物の吸着タイミングが前記複数の吸着部によってそれぞれ異なるように構成される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の選果システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−179507(P2012−179507A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42386(P2011−42386)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】