説明

部品供給装置、および部品供給装置の部品再選別方法

【課題】部品供給装置のボウル状容器内を振動搬送される部品の受ける損傷を緩和ないし回避できるような構造を備えた部品供給装置を提供することである。
【解決手段】ボウルトラック3の搬送方向B下流側に形成され部品Pの選別を行う部品選別手段6が設けられた選別トラック5と、選別トラック5のボウル状容器1中心側の側面に近接する部分から選別トラック5の部品入口部まで、ボウル状容器1の内周壁に沿って円弧状に形成される第1リターン溝4とを備えている部品供給装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を振動により移送することが可能な部品供給装置、およびその部品供給装置を用いた部品再選別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品を次工程へ供給するために振動式パーツフィーダが広く用いられている。この振動式パーツフィーダは、多数の比較的小型の部品を供給する場合に好適なものであり、特に近年、半導体ICチップ、表面実装型電子部品、水晶振動片などの部品が小型化、薄型化するに従ってその部品供給装置としての重要性が高まっている。
【0003】
ここで、部品供給装置に関する技術に関しては、これまでにも多くの技術が提案されている。例えば、従来、部品整送手段または部品選別手段を備えた振動式パーツフィーダに係る技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の振動式パーツフィーダでは、部品を搬送する経路である環状体のトラックの側壁に取り付けられた部品整送手段または部品選別手段により、整送されなかった部品または選別されなかった部品をボウル状容器の周壁に形成した貫通孔を通して、トラックからボウル状容器内に戻すようにしている。そして、ボウル状容器内に戻された部品は、トラックの搬送方向上流側からトラックに供給され、ボウル状容器の周壁に沿って、再度ボウル状容器内を螺旋状に搬送されていく。
【0004】
【特許文献1】特開平10−167451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された振動式パーツフィーダによると、整送または選別されずにボウル状容器内に戻され、再度比較的長い距離を搬送される上記部品は、ボウル状容器内の振動搬送により損傷を受け得るという問題点がある。また、ボウル状容器内を再搬送された部品が、再度、整送または選別されずにボウル状容器内に戻されると、部品は再びボウル状容器内に戻される。つまり、部品は何度もボウル状容器内を循環する可能性もあり、部品の損傷が懸念される。
【0006】
本発明の課題は、上記の問題点を解決すること、すなわち部品供給装置のボウル状容器内を振動搬送される部品の受ける損傷を緩和ないし回避できるような構造を備えた部品供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、従来技術のように選別されなかった部品を、単にボウル状容器内に戻すのではなく、これら部品をできるだけ最短距離で部品選別手段が設けられた選別トラックに再度供給する経路をボウル状容器内に設けることにより、部品の再搬送距離を短縮でき、その結果、部品が振動を受ける時間を短縮でき、これにより、上記課題を解決できることを見出した。本発明は、この知見に基づき完成するに至ったのである。
【0008】
本発明に係る部品供給装置は、部品を振動により移送することが可能な部品供給装置に関する。そして、本発明に係る部品供給装置は、上記課題を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明の部品供給装置は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る部品供給装置における第1の特徴は、部品を受け入れて搬送するための半球状のボウル状容器と、前記ボウル状容器に振動を与えて部品を振動搬送するための振動発生装置と、下方から上方に向けて前記ボウル状容器の内周壁に沿って螺旋状に形成されるボウルトラックと、前記ボウルトラックの搬送方向下流側に形成され部品の選別を行う部品選別手段が設けられた選別トラックと、前記選別トラックの前記ボウル状容器中心側の側面に近接する部分から前記選別トラックの部品入口部まで、前記内周壁に沿って円弧状に形成される第1リターン溝と、を備えていることである。
【0010】
この構成によると、上記部品選別手段により選別トラックのボウル状容器中心側の側面に近接する部分の第1リターン溝に排除された部品は、ボウル状容器の内周壁に沿って円弧状に形成される第1リターン溝上を振動により搬送され、選別トラックに再度入っていくことになる。よって、部品選別手段により選別されずに排除された部品が、螺旋状に形成されたボウルトラックの内側などに落下して、ボウルトラックの搬送方向最上流部から再度、ボウル状容器内で搬送されることを防止できる。
【0011】
つまり、上記第1リターン溝をボウル状容器内に設けることにより、従来技術と比較して部品の再搬送距離を短縮でき、部品が振動を受ける時間の短縮化を実現できる。すなわち、本発明に係る部品供給装置は、ボウル状容器内を振動搬送される部品の受ける損傷を緩和ないし回避できる装置である。
【0012】
また、本発明に係る部品供給装置における第2の特徴は、前記ボウルトラックの搬送方向下流側端部は、前記第1リターン溝に接続していることである。
【0013】
この構成によると、ボウルトラック上を搬送されてきた部品は、ボウルトラックが接続する第1リターン溝に入っていく。そして、上記部品選別手段により排除された部品と共に第1リターン溝上を搬送されていく。つまり、ボウルトラックを単独で上記選別トラックに接続する場合と同様にボウルトラック上を搬送されてきた部品を選別トラックに供給できる一方、ボウル状容器の内周壁に、ボウルトラックと第1リターン溝とが並行して形成される範囲を少なくできるので、ボウル状容器を小型化できると共に、ボウル状容器の製造工程を短縮でき、ボウル状容器の製造コストを低減できる。
【0014】
また、本発明に係る部品供給装置における第3の特徴は、前記側面に近接する部分から搬送方向下流側に向けて複数の円弧状の第2リターン溝が形成され、複数の前記第2リターン溝の搬送方向下流側端部は、前記第1リターン溝に接続していることである。
【0015】
この構成によると、選別トラックの側面の広い範囲からボウル状容器中心側に排除された部品をボウル状容器の中心部近傍などに落下させることなく、容易にかつ確実にリターン溝に導くことができる。
【0016】
また、本発明に係る部品供給装置における第4の特徴は、複数の前記第2リターン溝は、相互に隣接して形成されていることである。
【0017】
この構成によると、溝が設けられていない第2リターン溝同士の間に部品選別手段により排除された部品が落下し、第2リターン溝同士の間に部品が滞留することを防止できる。
【0018】
また、本発明に係る部品供給装置における第5の特徴は、部品を前記ボウル状容器の外部から当該ボウル状容器に戻すための経路であるリターントラフを備え、前記リターントラフの搬送方向下流側端部は、前記第1リターン溝に近接して設けられていることである。
【0019】
この構成によると、リターントラフ上を戻ってきた部品を第1リターン溝に供給することができる。つまり、リターントラフ上を戻ってきた部品を、ボウル状容器の中心部近傍などに落下させて再度、比較的長い距離ボウル状容器内で搬送されることを防止できる。
【0020】
また、本発明に係る部品供給装置の部品再選別方法は、部品を振動により移送することが可能な部品供給装置を用いた部品再選別方法に関する。そして、本発明に係る部品供給装置の部品再選別方法は、上記目的を達成するために以下のような特徴を有している。
【0021】
本発明に係る部品供給装置の部品再選別方法における特徴は、部品を受け入れて搬送するための半球状のボウル状容器と、前記ボウル状容器に振動を与えて部品を振動搬送するための振動発生装置と、下方から上方に向けて前記ボウル状容器の内周壁に沿って螺旋状に形成されるボウルトラックとを備えた部品供給装置の部品再選別方法であって、前記ボウルトラックの搬送方向下流側に形成され部品の選別を行うと共に部品を搬送する選別トラックの部品選別手段により部品を選別する部品選別工程と、前記選別トラックの前記ボウル状容器中心側の側面に近接する部分から前記選別トラックの部品入口部まで前記内周壁に沿って円弧状に形成される第1リターン溝に、前記部品選別手段により選別されなかった部品を排除する部品排除工程と、排除された部品を前記第1リターン溝を介して前記選別トラックに再供給する部品再供給工程と、を備えていることである。
【0022】
この構成によると、上記部品選別手段により選別されなかった部品は、選別トラックのボウル状容器中心側の側面に近接する部分の第1リターン溝に排除される。そして、排除された部品は、ボウル状容器の内周壁に沿って円弧状に形成される第1リターン溝上を振動により搬送され、選別トラックに再度入っていくことになる。よって、部品選別手段により選別されずに排除された部品が、ボウル状容器の中心部近傍などに落下して再度、比較的長い距離ボウル状容器内で搬送されることを防止できる。
【0023】
つまり、上記第1リターンに選別されなかった部品を排除し、第1リターン溝を介して部品を選別トラックに再供給することにより、従来技術と比較して部品の再搬送距離を短縮でき、部品が振動を受ける時間の短縮化を実現できる。すなわち、ボウル状容器内を振動搬送される部品の受ける損傷を緩和ないし回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明に係る部品供給装置の実施形態の説明とともに、本発明に係る部品供給装置の部品再選別方法の実施形態についても説明する。
【0025】
(第1実施形態)
まず、本発明に係る部品供給装置の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る部品供給装置100を示す模式図である。図2は、供給対象の部品を示す斜視図である。図1に示すように、部品供給装置100は、部品を受け入れて搬送するための半球状のボウル状容器1と、ボウル状容器1に振動を与えて部品を振動搬送するための振動発生装置2とを備え、ボウル状容器1には、下方から上方に向けてボウル状容器1の内周壁に沿って螺旋状に形成される部品搬送路の1つであるボウルトラック3が設けられている。
【0026】
また、振動発生装置2は、振動を発生する圧電バネ部(不図示)と、振動をボウル状容器1に伝える可動台(不図示)と、圧電バネ部を介して可動台を支持する固定台(不図示)とを備えている。次に、図2に示すように、供給対象の部品Pは、長さL、幅W、厚さTを有する直方体からなるもので、長さL、幅W、及び厚さTの関係は、T<W<Lの関係を有している。一般に部品Pの大きさは、長さLが1.6mm〜8mm程度であり、幅Wが1.0mm〜5.0mm程度であり、厚さTが0.3mm〜1.7mm程度である。尚、部品Pは、上記形状および寸法に限られることはない。
【0027】
ここで、部品供給装置100の振動発生装置2により発振された振動が、振動発生装置2の上部に載置されたボウル状容器1に与えられ、ボウル状容器1の内周壁に沿って設けられたボウルトラック3が振動する。ボウル状容器1内に受け入れられた部品Pは、振動発生装置2からの振動により螺旋状に形成された部品搬送路であるボウルトラック3上を螺旋状に振動搬送されていく。
【0028】
次に、図3は、図1に示す部品供給装置100の平面模式図である。図3に示すように、本実施形態に係る部品供給装置100のボウル状容器1には、下方から上方に向けてボウル状容器1の内周壁に沿って螺旋状に形成されるボウルトラック3と、ボウルトラック3の搬送方向B下流側に形成され部品Pの選別を行う部品選別手段6が設けられた選別トラック5と、選別トラック5のボウル状容器1中心側の側面に近接する部分から選別トラック5の部品入口部まで、ボウル状容器1の内周壁に沿って円弧状に形成される第1リターン溝4とが設けられている。
【0029】
また、選別トラック5のボウル状容器1中心側の側面とボウルトラック3との間に形成され第1リターン溝4まで延在するボウル状容器1の上面10には、第1リターン溝4に向けて下向きの傾斜(傾斜方向F)がつけられている。また、部品選別手段6は、圧縮空気源(不図示)から送られてきた圧縮空気を噴射する空気噴射装置である。また、ボウルトラック3と第1リターン溝4と選別トラック5とから部品Pを搬送するための部品搬送トラックが構成され、選別トラック5は、部品搬送トラックのうちの最下流側に設けられている。さらに、ボウルトラック3の搬送方向B下流側端部は、第1リターン溝4のA部で第1リターン溝4に接続している。
【0030】
ボウル状容器中心部11に受け入れられた部品Pは、振動発生装置2からの振動により螺旋状に形成されたボウルトラック3に導かれる。そして、部品Pは、ボウル状容器1の周壁に沿って螺旋状に形成されたボウルトラック3上を下方から上方に向かって振動搬送される。そして、部品Pは、ボウルトラック3が第1リターン溝4に合流するA部で、第1リターン溝4に入り、第1リターン溝4上を振動搬送される。これら振動搬送の過程で、部品Pは、所定姿勢に整理されていく。
【0031】
第1リターン溝4上を振動搬送された部品Pは、次に、部品選別手段6が設けられた選別トラック5に入り、選別トラック5上を振動搬送される。部品Pは、選別トラック5に設けられた部品選別手段6の設置部を通過する際、不適切な姿勢の部品Pは、部品選別手段6から噴射された空気によりボウル状容器1の上面10に吹き飛ばされて排除される。
【0032】
ここで、不適切な姿勢の部品Pが吹き飛ばされて排除される工程について説明する。例えば、部品選別手段6が設けられた選別トラック5は、ボウル状容器1の中心に対して径外方向に上向き傾斜したトラック形状となっている。そして、傾斜した選別トラック5の傾斜上部に孔が設けられ、その孔から圧縮空気が噴射するようになっている。この選別トラック5を、長さL方向が上下方向となった姿勢の部品Pが通過すると吹き飛ばされるが、幅W方向が上下方向となった姿勢の部品Pは吹き飛ばされない。よって、部品選別手段6により幅W方向が上下方向となった姿勢の部品Pを選別することができる(部品選別工程)。選別された部品Pは、方向Eに向けて排出される。
【0033】
一方、部品選別手段6により選別されなかった長さL方向が上下方向となった姿勢の部品Pは、第1リターン溝4に向けて下向きの傾斜(傾斜方向F)がつけられた、ボウル状容器1の上面10を介して第1リターン溝4に排除される(部品排除工程)。尚、部品選別手段6の数量を1つとし、部品選別手段6から噴射される圧縮空気の噴射方向と、選別トラック5のボウル状容器1中心側の側面とが交差する位置に近接する部分から第1リターン溝4が形成されていれば、ボウル状容器1の上面10に傾斜をつける必要はなく、選別されなかった部品Pは、直接、第1リターン溝4に排除される。
【0034】
第1リターン溝4に排除された部品Pは、再度、所定姿勢に整理されながら、振動発生装置2からの振動により円弧状に形成された第1リターン溝4上を振動搬送され(搬送方向D)、選別トラック5に再供給される(部品再供給工程)。
【0035】
以上のとおり、本実施形態の構成によると、部品選別手段6により選別されずに排除された部品Pは、螺旋状に形成されたボウルトラック3の内側であるボウル状容器中心部11などに落下して、ボウルトラック3の最上流部から再度、ボウル状容器1内で搬送されることは回避される。つまり、上記のような第1リターン溝4をボウル状容器1内に設けることにより、部品Pの再搬送距離を短縮でき、部品Pが振動を受ける時間の短縮化を実現できる。すなわち、本実施形態の係る部品供給装置100は、ボウル状容器1内を振動搬送される部品Pの受ける損傷を緩和ないし回避できる部品供給装置である。
【0036】
また、ボウルトラック3の搬送方向B下流側端部を、第1リターン溝4のA部で第1リターン溝4に接続させることにより、ボウル状容器1の内周壁に、ボウルトラック3と第1リターン溝4とが並行して形成される範囲を少なくできるので、ボウル状容器1を小型化できると共に、ボウル状容器1の製造工程を短縮でき、ボウル状容器1の製造コストを低減できる。尚、必ずしもボウルトラック3の搬送方向B下流側端部を第1リターン溝4に接続させる必要はなく、ボウルトラック3の搬送方向B下流側端部を、第1リターン溝4と共に選別トラック5に接続してもよい。
【0037】
また、選別トラック5は、ボウルトラック3と第1リターン溝4と選別トラック5とからなる部品搬送トラックの最下流側に設けられているが、必ずしもこの位置に限られることはなく、ボウルトラック3の径外方向であるボウルトラック3の外側であれば、ボウル状容器1の内周壁に適宜、設けることができる。言い換えれば、必ずしも部品Pがボウル状容器1から排出される位置近傍に選別トラック5を設ける必要はない。
【0038】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る部品供給装置の第2実施形態について説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係る部品供給装置101の平面模式図である。尚、本実施形態の説明において、上記第1実施形態に係る部品供給装置100と同様の構成部材については、同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0039】
図4に示すように、本実施形態の部品供給装置101には、選別トラック5のボウル状容器1中心側の側面に近接する部分から搬送方向C下流側に向けて複数の円弧状の第2リターン溝9が形成され、複数の第2リターン溝9の搬送方向C下流側端部は、第1リターン溝4に接続している。また、複数の第2リターン溝9は、相互に隣接して形成されている。
【0040】
選別トラック5上の部品Pのうち、選別トラック5に設けられた複数の部品選別手段6のいずれかにより選別されなかった部品Pは、複数の第2リターン溝9のうちのいずれかに落下する。つまり、選別トラック5の側面の広い範囲からボウル状容器1中心側に排除された部品Pをボウル状容器中心部11などに落下させることなく、容易にかつ確実に第2リターン溝を経由して第1リターン溝4に導くことができる。尚、部品選別手段6の数量は、適宜決定される。
【0041】
さらに、複数の第2リターン溝9が、相互に隣接して形成されているため、溝が設けられていない第2リターン溝9同士の間に部品Pが落下し、第2リターン溝9同士の間に部品Pが滞留することを防止できる。尚、必ずしも第2リターン溝9同士が相互に隣接して形成されている必要はなく、例えば、隣り合う第2リターン溝9の間が、隣り合う第2リターン溝9のうちのいずれかに向けて下向きの傾斜がつけられた面に形成されていてもよいし、隣り合う第2リターン溝9のいずれにも向けて下向きの傾斜がつけられた形状に形成されていてもよい。これにより、部品Pは、ボウル状容器1の振動で第2リターン溝9に落下する。
【0042】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る部品供給装置の第3実施形態について説明する。図5は、本発明の第3実施形態に係る部品供給装置102の平面模式図である。尚、本実施形態の説明において、上記第1実施形態に係る部品供給装置100と同様の構成部材については、同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0043】
図5に示すように、本実施形態の部品供給装置102は、部品Pを前記ボウル状容器1の外部からボウル状容器1に戻すための経路であるリターントラフ7を備えている。そして、リターントラフ7の搬送方向G下流側端部は、第1リターン溝4に近接している。また、部品供給装置102には、上記第1、第2実施形態の部品供給装置100、101の選別トラック5に相当する、ボウルトラック3の搬送方向B下流側に形成され部品Pの選別を行う部品選別手段(不図示)が設けられた選別トラック8が、リターントラフ7に隣接して設けられている。
【0044】
そして、第1リターン溝4は、選別トラック8のボウル状容器1中心側の側面に近接する部分Xから選別トラック8の部品P入口部まで、ボウル状容器1の内周壁に沿って円弧状に形成されるリターン溝である。
【0045】
ここで、選別トラック8は、部品Pを選別するだけでなく部品Pを次工程の装置(不図示)まで直線状に振動搬送するためのものでもある。選別トラック8の下方には、選別トラック8に振動を付与するための振動発生装置(不図示)が配置される。この振動発生装置により、選別トラック8上の部品Pは、次工程の装置に向けて振動搬送される。
【0046】
また、リターントラフ7は、選別トラック8に設けられた部品選別手段により、選別されずに排除された部品Pや、上記次工程の装置から戻されてきた部品Pをボウル状容器1の第1リターン溝4に再供給するためのものであり、搬送ベルトを備えたベルトコンベヤとなっている。
【0047】
部品供給装置102にリターントラフ7を設け、リターントラフ7の搬送方向G下流側端部を第1リターン溝4に近接させることにより、リターントラフ7上を戻ってきた部品Pを第1リターン溝4に供給することができる。つまり、リターントラフ7上を戻ってきた部品Pを、ボウル状容器中心部11などに落下させて再度、比較的長い距離ボウル状容器1のボウルトラック3上を搬送されることを防止できる。
【0048】
尚、リターントラフ7をベルトコンベヤとせず、リターントラフ7の下方に、リターントラフ7に振動を付与するための振動発生装置を配置して、リターントラフ7上の部品Pをボウル状容器1方向に振動搬送してもよい。また、この振動発生装置は、選別トラック8の下方に配置された振動発生装置と同一として、1つの振動発生装置でリターントラフ7および選別トラック8に振動を付与してもよい。
【0049】
また、選別トラック8は、上記第1、第2実施形態に係る振動発生装置2により振動が付与される選別トラック5と同様に、ボウルトラック3の外側のボウル状容器1の内周壁に沿って形成された選別トラックとしてもよい。この場合、選別トラックと上記次工程の装置との間を結ぶ装置は、搬送ベルトを備えたベルトコンベヤなどを用いることになる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1実施形態に係る部品供給装置を示す模式図である。
【図2】供給対象の部品を示す斜視図である。
【図3】図1に示す部品供給装置の平面模式図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る部品供給装置の平面模式図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る部品供給装置の平面模式図である。
【符号の説明】
【0052】
1:ボウル状容器
2:振動発生装置
3:ボウルトラック
4:第1リターン溝
5:選別トラック
6:部品選別手段
9:第2リターン溝
100:部品供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を受け入れて搬送するための半球状のボウル状容器と、
前記ボウル状容器に振動を与えて部品を振動搬送するための振動発生装置と、
下方から上方に向けて前記ボウル状容器の内周壁に沿って螺旋状に形成されるボウルトラックと、
前記ボウルトラックの搬送方向下流側に形成され部品の選別を行う部品選別手段が設けられた選別トラックと、
前記選別トラックの前記ボウル状容器中心側の側面に近接する部分から前記選別トラックの部品入口部まで、前記内周壁に沿って円弧状に形成される第1リターン溝と、を備えていることを特徴とする、部品供給装置。
【請求項2】
前記ボウルトラックの搬送方向下流側端部は、前記第1リターン溝に接続していることを特徴とする、請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記側面に近接する部分から搬送方向下流側に向けて複数の円弧状の第2リターン溝が形成され、
複数の前記第2リターン溝の搬送方向下流側端部は、前記第1リターン溝に接続していることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
複数の前記第2リターン溝は、相互に隣接して形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の部品供給装置。
【請求項5】
部品を前記ボウル状容器の外部から当該ボウル状容器に戻すための経路であるリターントラフを備え、
前記リターントラフの搬送方向下流側端部は、前記第1リターン溝に近接して設けられていることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の部品供給装置。
【請求項6】
部品を受け入れて搬送するための半球状のボウル状容器と、前記ボウル状容器に振動を与えて部品を振動搬送するための振動発生装置と、下方から上方に向けて前記ボウル状容器の内周壁に沿って螺旋状に形成されるボウルトラックとを備えた部品供給装置の部品再選別方法であって、
前記ボウルトラックの搬送方向下流側に形成され部品の選別を行うと共に部品を搬送する選別トラックの部品選別手段により部品を選別する部品選別工程と、
前記選別トラックの前記ボウル状容器中心側の側面に近接する部分から前記選別トラックの部品入口部まで前記内周壁に沿って円弧状に形成される第1リターン溝に、前記部品選別手段により選別されなかった部品を排除する部品排除工程と、
排除された部品を前記第1リターン溝を介して前記選別トラックに再供給する部品再供給工程と、を備えていることを特徴とする、部品供給装置の部品再選別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−93052(P2010−93052A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261476(P2008−261476)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】