説明

部品実装基板およびその製造方法

【課題】電子部品のエッジおよび側面と、配線基板の配線層との接触を防止した部品実装基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の部品実装基板10は、配線層15を有する配線基板11と、配線基板11の少なくとも一方の面11a側に実装された電子部品12と、電子部品12を収容する凹部17を有する保持部材13と、を備え、凹部17は、電子部品12の外形と略等しい形状をなし、電子部品12は、その端子16が設けられている一方の面12aと、凹部17の開口端17aとが略同一面上に配されて、凹部17内に収容され、端子16はNCP18を介して配線層15に接続されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装基板およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配線基板に電子部品を実装する方法としては、一般に、図6、7に示す方法が用いられている。
すなわち、基材101の一方の面101aに、ポリマー型導電インクからなる配線層102が設けられた配線基板100に、ICチップ110を実装する場合、配線層102に対してICチップ110の端子111を押圧することにより、配線層102とICチップ110とを電気的に接続する方法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−299411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の従来の方法では、ICチップ110を押圧して実装するため、配線層102内にICチップ110が沈み込んでしまうことがあった。これにより、ICチップ110のエッジおよび側面と、配線層102とが接触して、配線層102からなる回路がショートすることがあった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、電子部品のエッジおよび側面と、配線基板の配線層との接触を防止した部品実装基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の部品実装基板は、導電部を有する配線基板と、該配線基板の少なくとも一方の面側に実装された電子部品と、該電子部品を収容する凹部を有する保持部材と、を備えた部品実装基板であって、前記凹部は、前記電子部品の外形と略等しい形状をなし、前記電子部品は、その端子が設けられている面と、前記凹部の開口端とが略同一面上に配されて、前記凹部内に収容され、前記端子は無導電粒子ペーストを介して前記導電部に接続されたことを特徴とする。
【0006】
本発明の部品実装基板の製造方法は、導電部を有する配線基板と、該配線基板の少なくとも一方の面側に実装された電子部品と、該電子部品を収容する凹部を有する保持部材と、を備えた部品実装基板の製造方法であって、前記電子部品を、その端子が設けられている面が前記凹部の開口端側に配されるように、前記保持部材における前記電子部品の外形と略等しい形状をなす凹部内に収容した後、前記端子と前記導電部とを、無導電粒子ペーストを介して接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の部品実装基板によれば、電子部品の端子が設けられている面と、保持部材の凹部の開口端とがほぼ同一面上に配された状態で、電子部品がその凹部内に収容され、かつ、電子部品が、その端子が無導電粒子ペーストを介して配線層に接続されて、配線基板に実装されているので、配線層内に電子部品が沈み込むことがない。したがって、電子部品のエッジおよび側面と、配線層とが接触して、配線層からなる回路がショートすることがない。
【0008】
本発明の部品実装基板の製造方法によれば、電子部品の端子が設けられている面が保持部材の凹部の開口端側に配されるように、電子部品を、その外形とほぼ等しい形状をなす凹部内に収容した後、端子と配線層とを、無導電粒子ペーストを介して接続するので、保持部材に対して配線基板を押圧しても、電子部品のエッジおよび側面が、配線層と直接接触することを防止できる。したがって、配線層内に電子部品が沈み込むこともなく、電子部品のエッジおよび側面と、配線層とが接触して、配線層からなる回路がショートすることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の部品実装基板およびその製造方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0010】
図1は、本発明の部品実装基板の一実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の部品実装基板10は、配線基板11と、配線基板11の一方の面11a側に実装された電子部品12と、電子部品12を収容する凹部17を有する保持部材13とから概略構成されている。
配線基板11は、基材14と、その一方の面14aに形成された配線層(導電部)15とから構成されている。
また、電子部品12は、その一方の面12aに、端子16が突設されている。
また、保持部材13は、その凹部17が、電子部品12の外形とほぼ等しい形状をなしており、この凹部17内に電子部品12を挿入し、収容した状態で、電子部品12の端子16が設けられている一方の面12aと、凹部17の開口端17aとがほぼ同一面上に配される。
そして、電子部品12は、その端子16が無導電粒子ペースト(Non Conductive Resin Paste、NCP)18を介して配線層15に接続されて、配線基板11に実装されている。
【0011】
電子部品12としては、ICチップ、CCD素子などの光素子などが挙げられる。
【0012】
保持部材13は、絶縁材料からなり、この絶縁材料としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂などが挙げられる。
【0013】
基材14としては、少なくとも表層部には、ガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたものや、あるいはこれらに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合基材や、ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材や、あるいはこれらにマット処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理、オゾン処理、または各種易接着処理などの表面処理を施したものなどの公知のものから選択して用いられる。
【0014】
配線層(導電部)15は、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターン状にスクリーン印刷により形成されてなるものである。
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
【0015】
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば100〜150℃程度で配線層15をなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。配線層15をなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜をなす導電微粒子が互いに接触することによる形成され、この塗膜の抵抗値は10-5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0016】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型かあるいは架橋/熱可塑併用型(ただし熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型かあるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0017】
この実施形態の部品実装基板10は、電子部品12の端子16が設けられている一方の面12aと、保持部材13の凹部17の開口端17aとがほぼ同一面上に配された状態で、電子部品12がその凹部17内に収容され、かつ、電子部品12が、その端子16がNCP18を介して配線層15に接続されて、配線基板11に実装されているので、配線層15内に電子部品12が沈み込むことがない。したがって、電子部品12のエッジおよび側面と、配線層15とが接触して、配線層15からなる回路がショートすることがない。また、凹部17と電子部品12の間に多少隙間があっても、流動性の高い無導電粒子ペースト18が凹部17と電子部品12の隙間に流れ込み、配線層15をなすポリマー型導電インクが押圧されて入り込むことを防ぐことができる。
【0018】
なお、この実施形態では、配線基板11の一方の面11a側に電子部品12が実装された部品実装基板10を例示したが、本発明の部品実装基板はこれに限定されない。本発明の部品実装基板にあっては、配線基板の他方の面側にも電子部品が実装されていてもよい。
【0019】
次に、図1〜5を参照して、この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法について説明する。
図2に示すように、電子部品12の外形とほぼ等しい形状をなす凹部17が設けられた保持部材13を用意する。
次いで、図3に示すように、電子部品12を、その端子16が設けられている一方の面12aが凹部17の開口端17a側に配されるように、すなわち、端子16が凹部17から突出するように、保持部材13の凹部17内に収容する。これにより、電子部品12の端子16が設けられている一方の面12aと、凹部17の開口端17すなわち保持部材13の一方の面13aとが、ほぼ同一面上に配される。
【0020】
次いで、図4に示すように、電子部品12の一方の面12aおよび端子16、並びに、凹部17の開口端17aの周辺を覆うように、NCP18を塗布する。
次いで、図5に示すように、配線基板11を、その配線層15が保持部材13の凹部17内に収容された電子部品12の端子16に対向するように、保持部材13の一方の面13aに対向させ、図5中の矢印方向に、保持部材13に対して配線基板11を押圧することによって、電子部品12の端子16と配線基板11の配線層15とを、NCP18を介して接続する。これにより、図1に示す部品実装基板10が得られる。
【0021】
この実施形態の部品実装基板の製造方法によれば、電子部品12の端子16が設けられている一方の面12aが保持部材13の凹部17の開口端17a側に配されるように、電子部品12を、その外形とほぼ等しい形状をなす凹部17内に収容した後、端子16と配線層15とを、NCP18を介して接続するので、保持部材13に対して配線基板11を押圧しても、電子部品12のエッジおよび側面が、配線層15と直接接触することを防止できる。したがって、配線層15内に電子部品12が沈み込むこともなく、電子部品12のエッジおよび側面と、配線層15とが接触して、配線層15からなる回路がショートすることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の部品実装基板の一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の部品実装基板の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図3】本発明の部品実装基板の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図4】本発明の部品実装基板の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図5】本発明の部品実装基板の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図6】従来の部品実装基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図7】従来の部品実装基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0023】
10・・・部品実装基板、11・・・配線基板、12・・・電子部品、13・・・保持部材、14・・・基材、15・・・配線層(導電部)、16・・・端子、17・・・凹部、18・・・無導電粒子ペースト(NCP)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電部を有する配線基板と、該配線基板の少なくとも一方の面側に実装された電子部品と、該電子部品を収容する凹部を有する保持部材と、を備えた部品実装基板であって、
前記凹部は、前記電子部品の外形と略等しい形状をなし、前記電子部品は、その端子が設けられている面と、前記凹部の開口端とが略同一面上に配されて、前記凹部内に収容され、前記端子は無導電粒子ペーストを介して前記導電部に接続されたことを特徴とする部品実装基板。
【請求項2】
導電部を有する配線基板と、該配線基板の少なくとも一方の面側に実装された電子部品と、該電子部品を収容する凹部を有する保持部材と、を備えた部品実装基板の製造方法であって、
前記電子部品を、その端子が設けられている面が前記凹部の開口端側に配されるように、前記保持部材における前記電子部品の外形と略等しい形状をなす凹部内に収容した後、前記端子と前記導電部とを、無導電粒子ペーストを介して接続することを特徴とする部品実装基板の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−49059(P2009−49059A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211364(P2007−211364)
【出願日】平成19年8月14日(2007.8.14)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】