説明

部品実装方法および基板

【課題】円筒形状の部品を基板面に寝かせて実装する方法であって、基板面に対する実装部品の占有面積を抑えるとともに、実装部品の位置ズレを防止することができる部品実装方法を提供する。
【解決手段】下段円筒部品1、2を、円筒側面と基板面とが沿うように基板上に寝かせて実装して下段部品とし、その円筒側面を線接触で支持する。そして、下段部品の上部に、円筒形状の上段部品を、下段部品に接触させて実装する。基板上に実装された上段および下段部品の短手方向断面において、下段部品の断面の円の中心から基板面に対して鉛直に伸びる線分と、下段部品の断面の円の中心と下段部品を支持する点とを結んだ線分とがなす角である下段角が、上段部品の断面の円の中心から基板面に対して鉛直に伸びる線分と、上段部品と下段部品の断面の円の中心同士を結んだ線分とがなす角である上段角より大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装方法および基板に関する。
【背景技術】
【0002】
円筒形状の電子部品を基板の上の実装位置に実装する方法が提案されている。例えば、特許文献1は、基板の上に電子部品の実装位置の両脇に対応して複数のランドを形成し、ランドの上に団子状のハンダを形成し、団子状のハンダの上に電子部品を載置する方法を提案する。また、例えば、特許文献2は、基板上に台形状の取付穴を設けるとともに、取付穴の底辺近傍の当該基板上に取付ランドを設け、この取付穴に円筒形状の電子部品を載置する方法を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−038245号公報
【特許文献2】特開平08−097521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2が開示する電子部品の実装技術によっては、基板面に対する実装部品の占有面積が広くなってしまう。特に、基板に複数個の部品を実装する場合には、実装する個数分の面積が必要となる。従って、部品の占有面積を小さく抑えることができないという問題がある。また、円筒形状の部品を基板面に寝かせて実装する場合には、実装される部品の位置ズレを防止する必要がある。
【0005】
本発明は、円筒形状の部品を基板面に寝かせて実装する方法であって、基板面に対する実装部品の占有面積を抑えるとともに、実装部品の位置ズレを防止することができる部品実装方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態の部品実装方法は、円筒形状の部品を基板の上に実装する方法である。前記部品実装方法は、前記円筒形状の部品を、円筒側面と基板面とが沿うように前記基板上に寝かせて実装して下段部品とし、前記下段部品の円筒側面を、線接触、点接触、または面接触で支持する工程と、前記下段部品の上部に、円筒形状の上段部品を、前記下段部品に接触させて実装する工程とを有する。また、前記基板上に実装された前記上段および下段部品の短手方向断面において、前記下段部品の断面の円の中心から前記基板面に対して鉛直に伸びる線分と、前記下段部品の断面の円の中心と前記下段部品を支持する点とを結んだ線分とがなす角である下段角が、前記上段部品の断面の円の中心から前記基板面に対して鉛直に伸びる線分と、前記上段部品と前記下段部品の断面の円の中心同士を結んだ線分とがなす角である上段角より大きい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の部品実装方法によれば、複数個の円筒形状の部品を寝かせて基板に実装する場合に、基板面に対する実装部品の占有面積を抑えるとともに、実装部品の位置ズレを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の構成例を示す図である。
【図2】プリント配線基板に実装される円筒部品の配置位置を説明する図である。
【図3】実施例1の部品実装方法による位置ズレ防止効果を説明する図である。
【図4】実装対象の全ての円筒形状部品を並べて矩形穴に落とし込んで実装した状態のプリント配線基板の側面図である。
【図5】実施例2の構成例を示す図である。
【図6】実施例3の構成例を示す図である。
【図7】実施例4の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の実施例1の構成例を示す図である。図1(A)は、複数の円筒形状部品をプリント配線基板の上に実装した状態を示す。図1(B)は、図1(A)に示す円筒形状部品およびプリント配線基板を斜め上方向から見た状態を示す。図1(C)は、円筒形状部品を実装する前のプリント配線基板を斜め上方向から見た状態を示す。
【0010】
プリント配線基板4は、第一の下段円筒部品1を落とし込んで実装するための第一の矩形穴5と、第二の下段円筒部品2を落とし込んで実装するための第二の矩形穴6が形成されている基板である。
【0011】
第一の矩形穴5は、第一の短手基板端部51、第二の短手基板端部52、第一の長手基板端部53、第二の長手基板端部54に囲われた略長方形状の穴となるように抜かれて形成されている。第一の長手基板端部53および第二の長手基板端部54の長さは、第一の下段円筒部品1の長さよりやや大きい。また、第一の短手基板端部51および第二の短手基板端部52の長さは、第一の下段円筒部品1の直径よりやや小さくなるように形成されている。
【0012】
第二の矩形穴6は、第三の短手基板端部61、第四の短手基板端部62、第三の長手基板端部63、第四の長手基板端部64に囲われた略長方形状の穴となるように抜かれて形成されている。第二の矩形穴6は、第一の矩形穴に対して略並列に離れた位置に形成されている。第三の長手基板端部63および第四の長手基板端部64の長さは、第二の下段円筒部品2の長さよりやや大きい。また、第三の短手基板端部61および第二の短手基板端部62の長さは、第二の下段円筒部品2の直径よりやや小さくなるように形成されている。
【0013】
図1(A)および図1(B)に示すように、第一の下段円筒部品1は、第一の矩形穴5に落とし込むようにしてプリント配線基板4に実装されている。第二の下段円筒部品2は、第二の矩形穴6に落とし込むようにしてプリント配線基板4に実装されている。また、上段円筒部品3は、第一の下段円筒部品1および第二の下段円筒部品2の上部に、円筒側面を接して実装されている。第一の下段円筒部品1,第二の下段円筒部品2,および上段円筒部品3は、例えば電解コンデンサなどの円筒形状の電子部品を備える。
【0014】
図2は、プリント配線基板に実装される円筒部品の配置位置を説明する図である。第一の下段円筒部品1、第二の下段円筒部品2及び上段円筒部品3は、円筒底面を有する円筒形状部品である。それぞれの円筒底面の直径はDである。プリント配線基板4には、第一の矩形穴5と第二の矩形穴6が並列に形成されている。それぞれの矩形穴は、第一乃至第四の短手基板端部の長さがWである。また、第一の矩形穴5の中心と第二の矩形穴6の中心との距離はPである。
【0015】
本実施例では、プリント配線基板4に、W<DかつP>Dとなるように第一の矩形穴5と第二の矩形穴6とを形成する。第一の下段円筒部品は、円筒側面が第一の長手基板端部53と第二の長手基板端部54とに接する位置まで第一の矩形穴5に落とし込まれる。また、第一の下段円筒部品は、第一の長手基板端部53と第二の長手基板端部54とにより支持されて実装される。これにより、第一の下段円筒部品の位置ズレが防止される。
【0016】
第二の下段円筒部品は、円筒側面が第三の長手基板端部63と第四の長手基板端部64とに接する位置まで第二の矩形穴6に落とし込まれる。また、第二の下段円筒部品は、第三の長手基板端部63と第四の長手基板端部64とにより支持されて実装される。これにより、第二の下段円筒部品の位置ズレが防止される。
【0017】
上段円筒部品3は、第一の下段円筒部品1と第二の下段円筒部品2の上部に、円筒側面を接して実装される。また、上段円筒部品3は、第一の下段円筒部品1と第二の下段円筒部品2の円筒側面に支持されて実装される。これにより、上段円筒部品3位置ズレが防止される。
【0018】
図2に示す実装状態において、上段円筒部品3と第一の下段円筒部品1との中心点を結んだ線分と、プリント配線基板面に対して鉛直となる線分がなす角は角aである。また、第一の下段円筒部品1の中心点と第一の長手基板端部53との接点を結んだ線分と、プリント配線基板面に対して鉛直となる線分がなす角は角bである。
【0019】
本実施例では、角aと角bとの関係が、角a<角bとなるように、各円筒形状部品を実装する。
実装状態において、
Sin(a)=(P/2)/D
Sin(b)=(W/2)/(D/2)=W/D
である。従って、W>P/2となる。これにより安定した実装状態となる。
【0020】
図1および図2を参照した説明から、本実施例の部品実装方法は、円筒形状の部品を基板の上に実装する方法である。この部品実装方法は、円筒形状の部品を、円筒側面と基板面とが沿うようにプリント配線基板4上に寝かせて実装して下段部品(下段部品円筒部品1、2)とし、この下段部品の円筒側面を線接触で支持する工程を有する。また、この部品実装方法は、下段部品の上部に、円筒形状の上段部品(上段円筒部品3)を、下段部品に接触させて実装する工程を有する。そして、図2に示すように、基板上に実装された上段および下段部品の短手方向断面において、下段角(角b)が上段角(角a)より大きい。短手方向断面は、短手方向に切ったときの断面である。下段角は、下段部品の断面の円の中心から基板面に対して鉛直に伸びる線分と、下段部品の断面の円の中心と下段部品を支持する点とを結んだ線分とがなす角である。上段角は、上段部品の断面の円の中心から基板面に対して鉛直に伸びる線分と、上段部品と下段部品の断面の円の中心同士を結んだ線分とがなす角である。
【0021】
そして、上記下段部品の円筒側面を支持する工程は、プリント配線基板4に設けられた矩形穴(第一および第二の矩形穴)に下段部品の一部を落とし込み、該矩形穴の長手方向に平行な端部(第一乃至第四の長手基板端部)において下段部品を線接触で支持する。
【0022】
図3は、実施例1の部品実装方法による位置ズレ防止効果を説明する図である。図3(A)は、実施例1の部品実装方法に従って円筒部品が実装されたプリント配線基板を示す。図3(A)、(B)の矢印は、プリント配線基板4に円筒形状部品が実装された状態における、各部に加わる加重ベクトルを示す。
【0023】
上段円筒部品3に、プリント配線基板面に鉛直となる方向に加重ベクトル7が加わった場合を想定する。加重ベクトル7は、上段円筒部品3の中心点から、第一の下段円筒部品1との接点へ向かう加重ベクトル31と、第二の下段円筒部品2との接点へ向かう加重ベクトル32とに分解される。
【0024】
本実施例では、角a<角bとなるよう構成されている。従って、加重ベクトル31は、第一の下段円筒部品1の中心点から、第一の長手基板端部53との接点へ向かう加重ベクトル55と、第二の長手基板端部54との接点へ向かう加重ベクトル56とに分解される。第二の下段円筒部品2との接点へ向かう加重ベクトル32は、第二の下段円筒部品2の中心点から、第三の長手基板端部63との接点へ向かう加重ベクトルと、第四の長手基板端部64との接点へ向かう加重ベクトルとに分解される。これにより、上段円筒部品への加重ベクトルは、下段円筒部品と矩形穴との複数の接点に分散して、下段円筒部品を矩形穴に密着させる方向に作用する。その結果、位置ズレなどが防止され、安定した部品実装が可能となる。
【0025】
図3(B)は、図3(A)を参照して説明した本実施例とは逆に、角a>角bとした場合の、各円筒形状部品及びプリント配線基板4にかかる加重ベクトルを示す。図3(B)に示すような実装状態において、上段円筒部品3に対して加重ベクトル7が加わった場合を想定する。図3(B)中に示すように、加重ベクトル31は、第一の下段円筒部品1の中心点から、第一の長手基板端部53との接点へ向かう加重ベクトル55と、第二の長手基板端部54との接点とは逆の方向へ向かう加重ベクトル57とに分解される。図3(B)中に示す加重ベクトル57は、第一の下段円筒部品1を第一の矩形穴5から外に出す方向に作用する。従って、加重や押圧などのストレスに対して不安定な実装状態となる。
【0026】
以下に、図2および図4を参照して、本実施例の部品実装方法による占有面積の削減効果を説明する。図2に示すように、本実施例の部品実装方法によって、プリント配線基板4に円筒形状部品が実装された状態において、各々の円筒形状部品が占有する部品幅は、E=P+Dである。
【0027】
図4は、実装対象の全ての円筒形状部品を並べて矩形穴に落とし込んで実装した状態のプリント配線基板の側面図である。図4に示す円筒形状部品1乃至3が占有する部品幅Fは、F=3×Dである。
ここで、
W<D
W>P/2
である。従って、
E=P+D<2×D+D=3×D=Fである。
【0028】
上述したことから、本実施例の部品実装方法によって実装された各々の円筒形状部品が占有する部品幅Eは、図4に示す実装状態における部品幅Fより小さい。その結果、本実施例の部品実装方法によれば、円筒形状部品の占有面積を小さく抑えることができる。
【0029】
例えば、円筒形状部品の円筒底面の直径をD=10mmとして、本実施例の部品実装方法を適用した場合について説明する。短手基板端部の長さをそれぞれW=8mm、矩形穴の中心どうしの距離をP=12mmとする。これにより、W<DかつP>DかつW>P/2という条件が満たされる。また、角aは約37度、角bは約53度となるので、角a<角bという条件も満たされる。このとき、図2中のhは16mm、Hは18mm、Eは22mmとなる。また、円筒底面の長さをL=40mmとした場合、占有面積は40mm(L)×22mm(E)=880mmとなる。
【0030】
これに対し、本実施例の形態を適用せず、3つの円筒部品を基板上に並べて実装した場合、占有面積は40mm(L)×30mm(3×D)=1200mmとなる。従って、本実施例の適用により、プリント配線基板上の円筒形状部品の占有面積が小さく抑えられることがわかる。
【0031】
以上説明した実施例1の部品実装方法によれば、円筒形状部品をプリント配線基板面からの高さ方向に多重に実装することによって、円筒形状部品の占有面積を小さく抑えることができる。また、実施例1の部品実装方法によれば、円筒形状部品が、支持している矩形穴から外に出され難くなり、位置ズレなどが防止される。その結果、安定した部品実装が可能となる。
【0032】
図5は、本発明の実施例2の構成例を示す図である。図5(A)は、複数の円筒形状部品をプリント配線基板の上に実装した状態を示す。図5(B)は、図5(A)に示す円筒形状部品およびプリント配線基板を斜め上方向から見た状態を示す。なお、図5(A)中の矢印は、上段円筒部品に上方向から加重が加えられた際の、各円筒形状部品およびプリント配線基板にかかる加重ベクトルを示す。
【0033】
プリント配線基板4上に、第一の縦型円筒部品10、第二の縦型円筒部品11、第三の縦型円筒部品21および第四の縦型円筒部品22が実装されている。本実施例では、実施例1と異なり、プリント配線基板4に第二の下段円筒部品2(図1)は実装されない。第一乃至第四の縦型円筒部品は、いずれも、底面にある端子が基板にハンダ付けされており、横方向の加重に対して位置ズレや傾きなどが防止されて実装されている。
【0034】
第一の下段円筒部品1は、円筒側面が第一の縦型円筒部品10、第二の縦型円筒部品11及びプリント配線基板4と接することによって、位置ズレなどが防止されて実装される。また、上段円筒部品3は、第一の下段円筒部品1、第一の縦型円筒部品21及び第二の縦型円筒部品22に円筒側面を接することによって、位置ズレなどが防止されて実装されている。
【0035】
図5(A)に示すように、上段円筒部品3と第一の下段円筒部品1との中心点を結んだ線分と、プリント配線基板面に対して鉛直となる線分がなす角は角aである。また、第一の下段円筒部品1の中心点と、第一の縦型円筒部品10との接点を結んだ線分と、プリント配線基板面に対して鉛直となる線分がなす角は角bである。本実施例においても、角aと角bとの関係が、角a<角bとなるように、各円筒形状部品を実装する。
【0036】
すなわち、実施例2の部品実装方法は、円筒形状の部品を、円筒側面と基板面とが沿うようにプリント配線基板4上に寝かせて実装して下段部品(下段部品円筒部品1)とし、この下段部品の円筒側面を点接触で支持する工程を有する。また、この部品実装方法は、下段部品の上部に、円筒形状の上段部品(上段円筒部品3)を、下段部品に接触させて実装する工程を有する。そして、図5(A)に示すように、基板上に実装された上段および下段部品の短手方向断面において、下段角(角b)が上段角(角a)より大きい。
【0037】
また、下段部品の円筒側面を支持する工程は、下段部品の円筒側面を、プリント配線基板4上に立たせて実装された円筒形状の部品(第一および第二の縦型円筒部品)に点接触させて支持する工程を有する。また、上段部品を実装する工程は、上段部品の円筒側面を、プリント基板4上に立たせて実装された円筒形状の部品(第一および第二の縦型円筒部品)に点接触させて支持する工程を有する。
【0038】
図5(B)中に示すように、上段円筒部品3にプリント配線基板面に鉛直となる方向に、加重ベクトル7が加わった場合を想定する。加重ベクトル7は、上段円筒部品3の中心点から、第一の下段円筒部品1との接点へ向かう加重ベクトル31と、第一及び第二の縦型円筒部品22との接点へ向かう加重ベクトル32とに分解される。
【0039】
本実施例においては、角a<角bとなるように円筒形状部品が実装されている。従って、加重ベクトル31は、第一の下段円筒部品1の中心点から、第一および第二の縦型円筒部品との接点へ向かう加重ベクトル55と、プリント配線基板4との接点へ向かう加重ベクトル56に分解される。これにより、第一の下段円筒部品1が、複数の接点に密着させる方向に力が作用する。
【0040】
実施例2の部品実装方法によれば、複数の円筒形状部品がプリント配線基板面からの高さ方向に多重に実装されて占有面積が小さく抑えられる。さらに、加重ベクトルが加わっても、円筒形状部品が、支持しているプリント配線基板から浮き上がったり、他の円筒形状部品を乗り越えたりし難くなり、位置ズレなどが防止される。その結果、安定した部品実装が可能となる。
【0041】
図6は、本発明の実施例3の構成例を示す図である。実施例3は、上段円筒部品30の径が、第一及び第二の下段円筒部品1の径より大きい。その他の構成は、実施例1と同様である。すなわち、角a<角bとなるように円筒形状部品が実装されている。
【0042】
図6中に示すように、上段円筒部品30に加重ベクトル7が加わった場合を想定する。加重ベクトル7は、上段円筒部品30の中心点から、第一の下段円筒部品1との接点へ向かう加重ベクトル31と、第二の下段円筒部品2との接点へ向かう加重ベクトル32とに分解される。
【0043】
本実施例では、角a<角bとなるよう構成されている。従って、加重ベクトル31は、第一の下段円筒部品1の中心点から、第一の長手基板端部53との接点へ向かう加重ベクトル55と、第二の長手基板端部54との接点へ向かう加重ベクトル56とに分解される。これにより、上段円筒部品への加重ベクトルは、下段円筒部品と矩形穴との複数の接点に分散して、下段円筒部品を矩形穴に密着させる方向に作用する。その結果、位置ズレなどが防止され、安定した部品実装が可能となる。なお、前述した実施例2および後述する実施例4においても、実施例3と同様に、下段円筒部品の径より径が大きい上段円筒部品を実装するようにしてもよい。
【0044】
実施例3の部品実装方法によれば、円筒形状部品をプリント配線基板面からの高さ方向に多重に実装することによって、円筒形状部品の占有面積を小さく抑えることができる。また、実施例3の部品実装方法によれば、円筒形状部品が、支持している矩形穴から外に出され難くなり、位置ズレなどが防止される。その結果、安定した部品実装が可能となる。
【0045】
図7は、本発明の実施例4の構成例を示す図である。プリント配線基板4上には、第一の曲面凹部58及び第二の曲面凹部68が形成されている。また、各円筒形状部品は、角a<角bとなるように実装される。
【0046】
第一の曲面凹部58は、第一の長手基板端部53から第二の長手基板端部54の範囲において、第一の下段円筒部品1の円筒側面に沿って面接触するよう形成されている。第二の曲面凹部68は、第三の長手基板端部63から第四の長手基板端部64の範囲において、第二の下段円筒部品2の円筒側面に沿って面接触するよう形成されている。
【0047】
すなわち、本実施例の部品実装方法は、円筒形状の部品を、円筒側面と基板面とが沿うようにプリント配線基板4上に寝かせて実装して下段部品(下段部品円筒部品1、2)とし、この下段部品の円筒側面を面接触で支持する工程を有する。また、この部品実装方法は、下段部品の上部に、円筒形状の上段部品(上段円筒部品3)を、下段部品に接触させて実装する工程を有する。そして、図7に示すように、基板上に実装された上段および下段部品の短手方向断面において、下段角(角b)が上段角(角a)より大きい。
【0048】
そして、下段部品の円筒側面を支持する工程は、プリント配線基板4に設けられた曲面凹部(58,68)に下段部品の一部を落とし込み、該曲面凹部が有する曲面において下段部品を面接触で支持する。
【0049】
図7に示すように、上段円筒部品3にプリント配線基板面に鉛直となる方向に、加重ベクトル7が加わった場合を想定する。加重ベクトル7は、上段円筒部品3の中心点から、第一の下段円筒部品1との接点へ向かう加重ベクトル31と、第一及び第二の縦型円筒部品22との接点へ向かう加重ベクトル32とに分解される。
【0050】
角a<角bであるので、加重ベクトル31は、第一の長手基板端部53方向と第二の長手基板端部54方向に分解可能となり、第一の曲面凹部58による接触面に分散して加重される。また、加重ベクトル32は、第三の長手基板端部63方向と第四の長手基板端部64方向に分解可能となり、第一の曲面凹部68による接触面に分散して加重される。
【0051】
実施例4の部品実装方法によれば、円筒形状部品をプリント配線基板面からの高さ方向に多重に実装することによって、円筒形状部品の占有面積を小さく抑えることができる。また、実施例4の部品実装方法によれば、円筒形状部品が、支持している曲面凹部から外に出され難くなり、位置ズレなどが防止される。その結果、安定した部品実装が可能となる。
【符号の説明】
【0052】
1 第一の下段円筒部品
2 第二の下段円筒部品
3 上段円筒部品
4 プリント配線基板
5 第一の矩形穴
6 第二の矩形穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状の部品を基板の上に実装する方法であって、
前記円筒形状の部品を、円筒側面と基板面とが沿うように前記基板上に寝かせて実装して下段部品とし、前記下段部品の円筒側面を、線接触、点接触、または面接触で支持する工程と、
前記下段部品の上部に、円筒形状の上段部品を、前記下段部品に接触させて実装する工程とを有し、
前記基板上に実装された前記上段および下段部品の短手方向断面において、前記下段部品の断面の円の中心から前記基板面に対して鉛直に伸びる線分と、前記下段部品の断面の円の中心と前記下段部品を支持する点とを結んだ線分とがなす角である下段角が、前記上段部品の断面の円の中心から前記基板面に対して鉛直に伸びる線分と、前記上段部品と前記下段部品の断面の円の中心同士を結んだ線分とがなす角である上段角より大きい
ことを特徴とする部品実装方法。
【請求項2】
前記下段部品の円筒側面を支持する工程は、前記基板に設けられた矩形穴に前記下段部品の一部を落とし込み、該矩形穴の長手方向に平行な端部において前記下段部品を線接触で支持する工程を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の部品実装方法。
【請求項3】
前記下段部品の円筒側面を支持する工程は、前記下段部品の円筒側面を、前記基板上に立たせて実装された円筒形状の部品に点接触させて支持する工程を有し、
前記上段部品を実装する工程は、前記上段部品の円筒側面を、前記基板上に立たせて実装された円筒形状の部品に点接触させて支持する工程を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の部品実装方法。
【請求項4】
前記下段部品の円筒側面を支持する工程は、前記基板に設けられた曲面凹部に前記下段部品の一部を落とし込み、該曲面凹部が有する曲面において前記下段部品を面接触で支持する工程を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の部品実装方法。
【請求項5】
前記上段部品の径が、前記下段部品の径より大きい
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の部品実装方法。
【請求項6】
円筒形状の部品が実装される基板であって、
前記円筒形状の部品の実装状態において、
前記基板上に、円筒側面と基板面とが沿うように前記基板上に寝かせて実装される円筒形状の下段部品と、
前記下段部品の上部に接触して実装される円筒形状の上段部品とを備え、
前記下段部品の円筒側面は、線接触、点接触、または面接触で支持され、
前記基板上に実装される前記上段および下段部品の短手方向断面において、前記下段部品の断面の円の中心から前記基板面に対して鉛直に伸びる線分と、前記下段部品の断面の円の中心と前記下段部品を支持する点とを結んだ線分とがなす角である下段角が、前記上段部品の断面の円の中心から前記基板面に対して鉛直に伸びる線分と、前記上段部品と前記下段部品の断面の円の中心同士を結んだ線分とがなす角である上段角より大きい
ことを特徴とする基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−244000(P2012−244000A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113728(P2011−113728)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】