説明

部品実装装置

【課題】汎用性を向上させるとともに生産性を向上させることができる部品実装装置を提供する。
【解決手段】部品供給部によって供給された部品を基板保持部に保持された基板に実装する部品実装装置に配設され、複数の種類の作業ヘッドに対象となる部品に応じて着脱自在に装着される部品保持ノズル71などの作業ツールを収納するツールストッカ15に設けられた収納凹部27a内において、反射型の光学センサ25による作業ツールの有無検出の際の背景部分を構成する範囲に、光学センサ25から背景部分に投射されて光学センサ25に反射される背景反射光の光量を低減させる反射特性を有する表面層を形成する。これにより、1つの光学センサ25によって多数の収納凹部27aを対象として作業ツールの有無を安定して検出することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給ステージから半導体チップなどの部品を取り出して基板に実装する部品実装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体チップなどの部品は部品供給ステージから取り出され、リードフレームや樹脂基板などの基板に実装される。このような部品の実装の形態には、部品の搭載姿勢や部品を基板に接合する方法、さらには部品の特性によって要求される実装精度などの相違によって多様なバリエーションがある。このため部品を部品供給ステージから取り出して基板に実装する実装作業を実行する部品実装装置には、実装形態に応じて異なった機能が求められる。
【0003】
このため、このような実装形態の異なる複数種類の部品を対象とする場合には、各実装形態に対応した機能を有する作業ヘッドを備えた部品実装装置が用いられ、各作業ヘッドには作業や部品種類に応じた作業ツールが交換自在に装着される。このような作業ツールは、装置内において作業ヘッドがアクセス可能な位置に配置されたツールストッカに複数の部品種に対応して収納される(特許文献1参照)。そして部品種が切り替えられる度に、作業ヘッドはツールストッカにアクセスし、ここで作業ヘッドがツール交換動作を行うことにより、作業ヘッドには部品種に応じた作業ツールが装着される。
【0004】
このツール交換動作に際しては、ツールストッカに設けられた収納凹部内における作業ツールの有無を確認する必要があることから、ツールストッカを備えた部品実装装置には、従来より作業ツールの有無を検出するためのツール検出手段が設けられている。特許文献1に示す例では、ノズル交換装置(ツールストッカ)に設けられた複数のノズル挿入孔(収納凹部)のそれぞれにノズル検出用の透過式センサを備えた例が示されている。
【特許文献1】特開平4−188742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年電子機器製造分野においては広い範囲の部品種を作業対象とすることができるよう生産設備の汎用性の向上が求められており、単一の装置においてツールストッカが収納して装備すべき作業ツールの個数も増大している。このため、上述の特許文献に示す例のように各収納凹部に作業ツール検出のためのセンサを設ける方式を採用すると多数のセンサを必要とし、設備費用のコストアップとともに制御負荷の増大を招く結果となる。
【0006】
そこで本発明は、汎用性を向上させるとともに生産性を向上させることができる部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品実装装置は、部品を供給する部品供給部と、基板を保持する基板保持部と、前記部品供給部によって供給された前記部品を受け取って前記基板保持部に保持された基板に実装する第1ヘッドと、前記基板もしくは前記第1ヘッドによって前記基板に搭載された部品に対して所定の作業を行い、部品接合用のペーストを吐出して前記基板に供給するペースト塗布機能、前記ペーストを転写して前記基板に供給するペースト転写機能および前記基板に搭載された部品を加熱しながら基板に対して押圧する加熱・押圧機能のうち少なくともいずれか1つの機能を有する作業ユニットを選択的に装着可能な第2ヘッドと、前記第1ヘッドおよび第2ヘッドがいずれもアクセス可能な領域に位置して、対象と
なる部品の種類に応じて前記第1ヘッド、第2ヘッドに交換自在に装着される複数の作業ツールを収納するための複数の収納凹部が設けられたツールストッカと、前記ツールストッカの前記収納凹部上に位置する反射型の光学センサによって当該収納凹部内における前記作業ツールの有無を検出するツール検出手段とを備え、前記収納凹部内において前記ツール検出手段による作業ツールの有無検出の際の背景部分を構成する範囲には、前記光学センサから前記背景部分に投射されて前記光学センサに反射される背景反射光の光量を低減させる反射特性を有する表面層が形成されており、前記ツール検出手段は、前記光学センサから前記作業ツールの上面に投射されて前記光学センサに反射されるツール反射光の光量と前記背景反射光の光量とに基づき前記作業ツールの有無を検出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業ツールを収納する収納凹部内においてツール検出手段による作業ツールの有無検出の際の背景部分を構成する範囲に、光学センサから背景部分に投射されて光学センサに反射される背景反射光の光量を低減させる反射特性を有する表面層を形成することにより、1つの光学センサによって多数の収納凹部を対象として作業ツールの有無を安定して検出することが可能となり、汎用性を向上させるとともに設備費用を低減して生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の部品実装装置の全体斜視図、図2は本発明の一実施の形態の部品実装装置の部分斜視図、図3は本発明の一実施の形態の部品実装装置の正面図、図4は本発明の一実施の形態の部品実装装置のユニット集合ステージの斜視図、図5は本発明の一実施の形態の部品実装装置に設けられたツールストッカの構成説明図、図6は本発明の一実施の形態の部品実装装置の設けられたツールストッカの部分断面図、図7は本発明の一実施の形態の部品実装装置の第2ヘッドに装着される作業ユニットの説明図、図8は本発明の一実施の形態の部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図、図9は本発明の一実施の形態の部品実装装置におけるツール検出動作およびツール交換動作の説明図、図10は本発明の一実施の形態の部品実装装置におけるツール検出動作の説明図である。
【0010】
まず図1を参照して、部品実装装置1の全体構成を説明する。部品実装装置1は基板に半導体チップなどの部品をボンディングによって実装する機能を有するものである。図1において基台2上には、部品供給ステージ3(部品供給部)、ユニット集合ステージ4および基板保持ステージ5(基板保持部)がこれらの並び方向をY方向(第1方向)に合わせて配列されている。部品供給ステージ3に備えられたウェハ保持テーブル3aには、実装対象となる部品である複数の半導体チップ6aが配列された半導体ウェハ6が保持されている。
【0011】
ユニット集合ステージ4は、直動機構(図4に示すX軸移動機構40参照)によってX方向(第2方向)に往復動する移動テーブル4aに、後述するツールストッカ15、部品回収部16,較正基準マーク17,中継ステージ18、部品認識カメラ24などの機能ユニットを集合的に配設した構成となっている。基板保持ステージ5は、基板7を保持する基板保持ステージ5aをXYテーブル機構53(図3参照)によって水平駆動する構成となっており、基板7には半導体チップ6aが実装される。
【0012】
部品供給ステージ3、ユニット集合ステージ4および基板保持ステージ5の上方には、基台2のX方向の端部に位置して、Y軸フレーム8が支持ポスト8aによって両端部を支持されてY方向に架設されている。Y軸フレーム8の前面には、以下に説明する第1ヘッド11、第2ヘッド12をリニアモータ駆動によりY方向に案内して駆動するヘッド移動機構9が組み込まれている。第1ヘッド11には半導体チップ6aを保持して基板7に搭
載する機能を有する搭載ユニット19が装着されており、第2ヘッド12には基板7に電子部品接合用の接着剤を塗布する機能を有する塗布ユニット20が装着されている。
【0013】
部品供給ステージ3、中継ステージ18および基板保持ステージ5の上方には、位置認識のために第1カメラ21、第2カメラ22、第3カメラ23が配設されている。第1カメラ21は部品供給ステージ3において取り出し対象の半導体チップ6aを撮像する。第2カメラ22は部品供給ステージ3から取り出されて中継ステージ18に位置補正のために仮置きされた半導体チップ6aを撮像する。また第3カメラ23は、基板保持ステージ5に保持された基板7を撮像して部品実装点の位置を認識する。またユニット集合ステージ4に配設された部品認識カメラ24は、部品供給ステージ3から取り出された半導体チップ6aを下方から撮像する。
【0014】
次に、図2、図3を参照して各部の構造を説明する。部品供給ステージ3はXYテーブル機構31を備えており、XYテーブル31の上面に装着された水平な移動プレート32には、複数の支持部材33が立設されている。支持部材33は、上面に半導体ウェハ6が装着保持される保持テーブル3aを支持している。半導体ウェハ6はウェハシート6bに複数の半導体チップ6aを所定配列で貼着した構成となっている。ウェハシート6bには、能動面を上向きにしたフェイスアップ姿勢で個片に分割された状態の複数の半導体チップ6aが貼着保持されている。
【0015】
部品供給ステージ3には、半導体ウェハ6から半導体チップ6aをピックアップするためのピックアップ作業位置[P1]が設定されている。第1カメラ21の位置はピックアップ作業位置[P1]に対応しており、第1カメラ21によって半導体ウェハ6を撮像した撮像結果を認識処理することにより、ピックアップ対象の半導体チップ6aの位置が検出される。ウェハ保持テーブル3aの内部においてピックアップ作業位置[P1]に対応する位置には、エジェクタ機構34が配設されている。
【0016】
エジェクタ機構34は、ウェハシート6bの下面側から半導体チップ6aをピンで突き上げることにより、半導体チップ6aのウェハシート6bからの剥離を促進する機能を有している。半導体チップ6aの取り出し時にエジェクタ機構34を昇降させてウェハシート6bの下面に当接させることにより、後述するピックアップヘッド14による半導体チップ6aのウェハシート6bからの取り出しを容易に行うことができる。
【0017】
部品取り出し動作においては、XYテーブル機構31を駆動してウェハシート6bをXY方向に水平移動させる(矢印a)ことにより、ウェハシート6bに貼着された複数の半導体チップ6aのうち、取り出し対象となる所望の半導体チップ6aをピックアップ作業位置[P1]に位置させる。なおここでは、部品供給ステージ3として、ウェハシート6bに貼着されたウェハ状態の部品を供給する方式のウェハテーブルを用いる例を示したが、複数の部品を所定の平面配列で供給する部品トレイを、ウェハテーブルと交換自在に部品供給ステージ3に配置するようにしてもよい。
【0018】
部品供給ステージ3の上方には、半導体チップ6aを吸着して保持するピックアップノズル70がノズル装着部14aに着脱自在に装着された構成のピックアップヘッド14が配設されている。ピックアップヘッド14はピックアップアーム13aによって保持されており、ピックアップアーム13aは、Y軸フレーム8の下面に縣吊して配置されたピックアップヘッド移動機構13から、部品供給ステージ3の上方に延出して設けられている。ピックアップヘッド移動機構13を駆動することにより、ピックアップアーム13aはXYZ方向に移動する(矢印b)とともに、X方向の軸廻りに回転する(矢印c)。
【0019】
これにより、ピックアップヘッド14は部品供給ステージ3の上方とユニット集合ステ
ージ4の上方との間でY方向に移動するとともに、X方向に進退する。これによりピックアップヘッド14は、部品供給ステージ3から半導体チップ6aをピックアップして、ユニット集合ステージ4に設けられた中継ステージ18に移送する動作を行う。また必要時には、ピックアップヘッド14をピックアップ作業位置[P1]の上方からX方向に退避させることが可能となっており、さらにピックアップアーム13aを回転させてピックアップヘッド14を反転させることにより、ピックアップノズル70に保持した半導体チップ6aの姿勢を表裏反転させることが可能となっている。
【0020】
図3に示すように、ユニット集合ステージ4および基板保持ステージ5は、ベースプレート52の上面に設けられており、ベースプレート52は基台2の上面に立設された複数の支持ポスト51によって下方から支持されている。ここでユニット集合ステージ4の詳細構造について、図4を参照して説明する。図4においてX軸移動機構40は、移動テーブル4aをX方向に移動させる機能を有しており、ベース部41に以下に説明する機構要素を配設して構成されている。ベース部41の上面にはX方向にガイドレール42aが配設されており、ガイドレール42aにスライド自在に嵌合したスライダ42bは、移動テーブル4aの下面に固着されている。
【0021】
ベース部41の両端部に立設されたブラケット43a、43bには、送りねじ45が軸支されており、送りねじ45はブラケット43bに保持されたモータ44によって回転駆動される。送りねじ45は移動テーブル4aの下面に結合されたナット部材(図示省略)に螺合しており、モータ44を正逆方向に回転駆動することにより、移動テーブル4aはX方向に往復移動する(矢印g)。これにより、移動テーブル4aに配設された以下の機能ユニットを一体的にX方向に移動させることができ、これらの機能ユニットを第1ヘッド11、第2ヘッド12がアクセス可能な領域に位置させることが可能となっている。
【0022】
移動テーブル4aには、ツールストッカ15、部品回収部16、較正基準マーク17、中継ステージ18および部品認識カメラ24が集合的に配設されている。ここでツールストッカ15の構造および動作機能を図5を参照して説明する。図5(a)に示すように、ツールストッカ15は作業ツールを収納する複数の収納凹部27aが所定配列(ここでは格子配列)で設けられた収納ブロック27の上面に、係止プレート28をX方向にスライド自在に配設した構成となっている。収納凹部27aは段付部27bを有する円筒穴形状の凹部であり、段付部27bに作業ツールに設けられた鍔部(例えば図5(b)に示す部品保持ノズル71に設けられた鍔部71b)を載置した姿勢でこれらの作業ツールを収納する。
【0023】
係止プレート28には、収納凹部27aの列位置に対応して列状の装着開口部28aが設けられており、装着開口部28aには収納凹部27aのピッチ毎に係止爪部28bが両側から内側方向に延出して設けられている。図5(b)の(イ)に示すように、係止爪部28bが隣接する2つの収納凹部27aの中間に位置するように係止プレート28をX方向に移動させることにより、鍔部71bは装着開口部28aを上下方向(矢印k)に通過可能となる。
【0024】
これに対し、(ロ)に示すように、係止爪部28bが収納凹部27aの位置に一致するように係止プレート28をX方向に移動させることにより、収納凹部27a内に収納された部品保持ノズル71の鍔部71bは、上側から係止爪部28bによって係止される状態となる。すなわち、装着部19aに装着された部品保持ノズル71を収納凹部27a内に位置させた状態から、搭載ユニット19を上昇させることにより、部品保持ノズル71のみを収納凹部27a内に残留させることができる。このような動作を組み合わせることにより、搭載ユニット19に装着された部品保持ノズル71を下降させて収納凹部27aに収納し、また収納凹部27aに収納された部品保持ノズル71を搭載ユニット19によっ
て取り出すことができ、これにより搭載ユニット19に装着される部品保持ノズル71を対象とする部品に応じて交換することが可能となっている。
【0025】
ツールストッカ15には、図4に示すように、搭載ユニット19に装着される部品保持ノズル71など、部品種に応じて交換されて使用される複数の作業ツールが各部品種毎に収納される。個々に収納される作業ツールには、ピックアップヘッド14に装着されるピックアップノズル70、図7に示す転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57にそれぞれ装着される転写ツール72、加熱・押圧ツール73が含まれる。そしてツールストッカ15を第1ヘッド11、第2ヘッド12がアクセス可能な領域に移動させた状態において、第1ヘッド11、第2ヘッド12をユニット集合ステージ4に移動させることにより、搭載ユニット19、転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57に装着される部品保持ノズル71、転写ツール72、加熱・押圧ツール73を、対象とする部品種に応じたものに交換することができるようになっている。すなわちX軸移動機構40は、ツールストッカ15をY方向(第1方向)と直交するX方向(第2方向)へ移動させて、第1ヘッド11および第2ヘッド12がいずれもアクセス可能な領域に位置させるストッカ移動手段となっている。
【0026】
すなわち、本実施の形態に示す部品実装装置1においては、第1ヘッド11および第2ヘッド12がいずれもアクセス可能な位置に、対象となる部品の種類に応じて第1ヘッド11の搭載ユニット19に交換自在に装着される部品保持ツール19aおよび対象となる部品の種類に応じて第2ヘッド12に選択的に装着される作業ユニット、すなわち転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57に交換自在に装着される転写ツール72、加熱・押圧ツール73などの作業ツールを収納したツールストッカ15が配置された構成となっている。このような構成を採用することにより、複数の部品種を対象として交換用の作業ツールが多数必要とされる場合にあっても、ツール交換機能に要する機構部の占有面積を極力小さくして、装置のコンパクト化を図ることが可能となっている。
【0027】
部品回収部16は、部品供給ステージ3から取り出された後に、不良部品や混入した異種部品など基板7への実装が不適と判断された部品を廃棄回収する機能を有している。較正基準マーク17は、X軸移動機構40を継続して駆動する際に熱伸縮によって生じる機構的な位置誤差を、上方に配設された第2カメラ22によって撮像して較正するために設けられた基準マークである。
【0028】
中継ステージ18は、部品供給ステージ3と基板保持ステージ5との間に配置されてツールストッカ15と一体的に設けられた形態となっており、中継ステージ18には、部品供給ステージ3からピックアップヘッド14によって取り出された半導体チップ6aが位置補正のために載置される。中継ステージ18には中継位置[P2]が設定されており、第2カメラ22は中継位置[P2]に対応して配置されている。X軸移動機構40によって中継ステージ18を移動させることにより、中継ステージ18に載置された半導体チップ6aを中継位置[P2]に位置させて第2カメラ22によって撮像することができ、これにより中継ステージ18に載置された半導体チップ6aの位置が検出される。部品認識カメラ24は撮像面24aを中継ステージ18に隣接させて配置されており、同様にX軸移動機構40を駆動することにより、撮像面24aを部品認識位置[P3]に位置させることができる。中継ステージ18に仮置きされて位置認識の後に取り出された半導体チップ6aは、部品認識位置[P3]にて部品認識カメラ24によって撮像され位置検出が行われる。
【0029】
さらに、ユニット集合ステージ4には、中継ステージ18の表面をクリーニングするためのクリーニングユニット46が配設されている。図4に示すように、クリーニングユニット46は移動テーブル4aを装置手前側(図2において左側)に移動させた状態におい
て、水平な棒状のクリーニング部材46aが中継ステージ18の上方に位置するように配置されている。クリーニング部材46aの下面には下方に延出したブラシ46bが中継ステージ18の上面に摺接するように設けられており、この状態でX軸移動機構40を駆動して移動テーブル4aを往復動させることにより、中継ステージ18の表面に付着堆積した異物がブラシ46bによって除去される。クリーニング部材46aの内部には吸引孔が設けられており、吸引配管46cを介してクリーニング部材46aの内部を真空吸引する(矢印h)ことにより、ブラシ46bによって除去された微細な異物を吸引して排出することができる。
【0030】
基板保持ステージ5は、XYテーブル機構53上に基板7を保持する基板保持テーブル5aを設けた構成となっている。基板保持ステージ5には、半導体チップ6aを基板保持テーブル5aに保持された基板7に実装するための実装作業位置[P4]が設定されており、第3カメラ23は実装作業位置[P4]に対応して配置されている。第3カメラ23によって基板7を撮像することにより、基板7に設定された部品実装点7aの位置が検出される。そしてXYテーブル機構53を駆動することにより、基板保持テーブル5aは基板7とともにXY方向に水平移動し(矢印f)、基板7に設定された任意の部品実装点7aを実装作業位置[P4]に位置させることができる。
【0031】
次に、第1ヘッド11、第2ヘッド12について説明する。図2においてY軸フレーム8に設けられたヘッド移動機構9の前面には、第1ヘッド11および第2ヘッド12をY方向にガイドするための2条のガイドレール9aが設けられており、これらのガイドレール9aの間には以下に説明する第1ヘッド11および第2ヘッド12をY方向に駆動するためのリニアモータを構成する固定子9bが配設されている。ガイドレール9aには図示しないスライダがY方向にスライド自在に嵌合しており、このスライダは垂直な移動プレート11a、12aの背面に固着されている。
【0032】
移動プレート11a、12aの背面には、固定子9bに対向してリニアモータを構成するする可動子(図示省略)が配設されている。これらのリニアモータを駆動することにより、第1ヘッド11および第2ヘッド12はガイドレール9aによってガイドされて、それぞれY方向に移動する(矢印d)。移動プレート11a、12aの前面には、それぞれ昇降機構11b、12bが配設されており、昇降機構11b、12bの前面には昇降プレート11c、12cが垂直方向にスライド自在に配設されている。昇降機構11b、12bを駆動することにより、昇降プレート11c、12cはそれぞれ昇降する(矢印e)。昇降プレート11cには、下部に部品保持ノズル71を備えた搭載ユニット19が着脱自在に装着されており、昇降プレート12cには、2基の塗布ユニット20が着脱自在に装着されている。
【0033】
搭載ユニット19は部品保持ノズル71によって実装対象の部品である半導体チップ6aを保持する機能を有しており、第1ヘッド11をY方向に水平移動させて昇降プレート11cが昇降することにより、搭載ユニット19は部品供給ステージ3から供給された半導体チップ6aを、基板保持ステージ5に保持された基板7に搭載する。ここでは、搭載ユニット19が装着された第1ヘッド11による実装形態として、ピックアップヘッド14によって部品供給ステージ3から取り出され中継ステージ18上に載置された半導体チップ6aを搭載ユニット19によって保持して基板7に搭載するプリセンタ実装形態と、部品供給ステージ3の半導体チップ6aを直接搭載ユニット19によって保持して基板7に搭載するダイレクト実装形態と、ピックアップヘッド14によって部品供給ステージ3から取り出され表裏反転状態でピックアップヘッド14に保持された半導体チップ6aを搭載ユニット19によって保持して基板7に搭載するフェイスダウン実装形態とを選択的に実行できるようになっている。すなわち搭載ユニット19が装着された第1ヘッド11は、部品供給ステージ3によって供給された半導体チップ6aを受け取って、基板保持ス
テージ5に保持された基板7に搭載する機能を有している。
【0034】
第2ヘッド12に装着された塗布ユニット20は、部品接着用の樹脂接着剤であるペーストを収納したシリンジ20aおよびペーストを吐出する塗布ノズル20bを備えている。第2ヘッド12を基板保持ステージ5に保持された基板7の上方に移動させて、塗布ユニット20による塗布動作を行わせることにより、塗布ノズル20bから吐出したペーストを基板7の部品実装点7aに塗布する。なお第2ヘッド12には、図2に示す塗布ユニット20以外にも、以下に説明する転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57の2種類の作業ユニットが対象となる部品種の実装形態に応じて選択的に装着される。
【0035】
昇降プレート11c、12cには、それぞれ光学センサ25、26が検出面を垂直下向きにした姿勢で装着されている。光学センサ25、26はいずれも反射型の光学センサであり、光学センサ25、26をツールストッカ15の収納凹部27a上に位置させることにより、当該収納凹部27a内における作業ツールの有無を検出することができるようになっている。光学センサ25、26および光学センサ25、26からの受光信号を受信して作業ツールの有無を検出する処理を行う検出処理部63(図8参照)は、ツールストッカ15の収納凹部上に位置する反射型の光学センサ25、26によって当該収納凹部27a内における作業ツールの有無を検出するツール検出手段となっている。本実施の形態に示す部品実装装置1では、光学センサ25、26による作業ツールの検出を安定して行うことができるよう、収納凹部27aの内面に光学センサ25、26から投射された検出光をツール検出に適した反射率で反射させるための表面層27dが形成されている。
【0036】
すなわち図6に示すように、段付部27b、底部27cを含んだ収納凹部27aの内面には、入射光の反射を抑制する特性を有する表面層27dが形成されており、表面層27dは光学センサ25,26から投射されて光学センサ25,26に反射される反射光の光量を低減させる反射特性を有している。これにより、収納凹部27a内における検出対象の有無によって、反射光の光量に明確な差異を設けることが可能となり、作業ツール有無の検出確度を向上させることが可能となっている。
【0037】
表面層27dの形成方法としては、例えば黒色など暗色の塗料の塗膜を収納凹部27aの内面に形成する方法、収納ブロック27を構成する金属素材に対して黒染め処理などの表面処理を施すことにより暗色の表面被膜を形成する方法、さらには収納凹部27aの内面を粗化して光を散乱させることにより反射光を低減させる方法など、各種の方法を用いることができる。また図6(a)に示す例では、収納ブロック27に形成された収納凹部27aの内面に直接表面層27dを形成する例を示したが、図6(b)に示すように、収納凹部27aの内面形状に倣う嵌込部材29を作成し、段付き部29b、底部29cを含んだ嵌込部材29の内面に表面層29dを形成するようにしてもよい。
【0038】
なお、表面層27dの目的は上述したように、収納凹部27a内における作業ツールの有無の検出確度を向上させることにあることから、必ずしも収納凹部27aの内面の全範囲に表面層27dを形成する必要はなく、光学センサ25、光学センサ26による作業ツールの有無検出の際の背景部分を構成する範囲に表面層27dが形成されていれば足りる。例えば、収納凹部27aの内面のうち、底部27cのみに表面層27dが形成されていればよい。
【0039】
底部27cのみに表面層27dを形成する方法としては、図6(c)に示すように、収納ブロック27を構成する部材を収納凹部27aの開口部が加工された上部27eと、上面が底部27cを構成する下部27fとに分割した構成としておき、下部27fの上面のみに表面層27dを形成しておくようにすると表面層27dの形成工程を簡略化することが可能となる。上部27eと下部27fとを組み合わせることにより、作業ツールの有無
検出の際の背景部分となる底部27cのみに表面層27dを形成することができる。
【0040】
すなわち本実施の形態に示すツールストッカ15では、収納凹部27a内において光学センサ25、26による作業ツールの有無検出の際の背景部分を構成する範囲には、光学センサ25、26から背景部分に投射されて光学センサ25、26に反射される背景反射光の光量を低減させる反射特性を有する表面層27dが形成された形態となっている。
【0041】
なお本実施の形態においては、光学センサ25、26を第1ヘッド11、第2ヘッド12にそれぞれ設けた例を示したが、独立のツール検出用ヘッドをツールストッカ15の上方に位置して設けてもよい。すなわち第1ヘッド11、第2ヘッド12のY方向の移動と位置的な干渉が生じない位置に同様の反射型の光学センサを配置し、X軸移動機構40によってツールストッカ15をX方向に移動させることにより、ツールストッカ15の各収納凹部27a内における作業ツールの有無を検出する。なお、この場合にはツールストッカ15における収納凹部27aの列位置に対応して光学センサをY方向に移動させるようにする。図4に示す例では、収納凹部27aは2列設けられていることから、各列の上方に光学センサが位置するようY方向の位置を切り換える機構が必要となる。
【0042】
次に図7を参照して、第2ヘッド12に選択的に装着される作業ユニットについて説明する。図7(a)、(b)は、第2ヘッド12に転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57を装着した状態をそれぞれ示している。転写ユニット54は基板7にペースト56を転写により供給する機能を有するものであり、対象とする部品が小サイズで必要とされるペースト56の供給量が少量であるような場合に選択的に第2ヘッド12に装着される。
【0043】
図7(a)に示すように、転写ユニット54は装着部54aに着脱自在に装着される転写ツール72を備えており、ペースト56を転写膜の形態で供給する転写テーブル55とともに用いられる。転写テーブル55は、平滑な塗膜形成面55aを有する略円板形状の容器であり、塗膜形成面55aには部品接着用のペースト56の塗膜が所定の膜厚で形成されている。転写ユニット54によってペースト56を転写により供給する際には、まず転写ツール72を転写テーブル55に対して下降させて転写ツール72の下端部にペースト56を付着させる。次いで第2ヘッド12を移動させて転写ユニット54を基板保持テーブル5aに保持された基板7の上方に移動させ(矢印i)、転写ツール72を下降させてペースト56を転写ツール72によって基板7の上面に転写により供給する。
【0044】
また加熱・押圧ユニット57は、搭載ユニット19によって基板7に搭載された後の半導体チップ6aを加熱しながら所定の押圧力で加圧する機能を有するものであり、DAF(ダイアタッチフィルム)が予め貼着された半導体チップ6aを実装対象とする場合に用いられる。加熱・押圧ユニット57は装着部57aに着脱自在に装着される加熱・押圧ツール73備えており、加熱・押圧ユニット57を第2ヘッド12に装着しておくことにより、図7(b)に示すように、第1ヘッド11が搭載ユニット19によって半導体チップ6aを基板7に搭載した後に、第2ヘッド12を直ちに基板7へ移動させて、加熱・押圧ツール73を半導体チップ6aに当接させて加熱・押圧を行うことができる(矢印j)。これにより、搭載ユニット19は半導体チップ6aを基板7に搭載した後に直ちに次の半導体チップ6aを搭載するための作業動作に移行することができ、搭載ユニット19によって加熱・押圧を含めた全ての作業動作を行う場合と比較して、作業効率を大幅に向上させることができる。
【0045】
すなわちここでは第2ヘッド12は、基板7もしくは第1ヘッド11によって基板7に搭載された半導体チップ6aに対して、ペースト塗布、ペースト転写、加熱・押圧などの所定の作業を行う機能を有しており、第1ヘッド11と第2ヘッド12とは交互に基板7上の作業位置にアクセスする。そして、Y軸フレーム8に設けられたヘッド移動機構9、
すなわち固定子9bと第1ヘッド11、第2ヘッド12に備えられた可動子とで構成されるリニアモータは、第1ヘッド11および第2ヘッド12を部品供給ステージ3および基板保持ステージ5の並び方向であるY方向に移動させて、交互に基板7上の作業位置にアクセスさせる共通のヘッド移動機構となっている。
【0046】
なお上記構成例では、第2ヘッド12に交換自在に装着される作業ユニットとして、それぞれ部品接合用のペースト56を塗布ノズル20bから吐出して基板7に供給するペースト塗布機能、ペースト56を転写ツール72によって転写して基板7に供給するペースト転写機能、基板7に搭載された半導体チップ6aを加熱しながら基板7に対して押圧する加熱・押圧機能を、それぞれ個別に有する単一機能の塗布ユニット20、転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57を用いる例を示したが、これらの機能のうち2つを兼ね備えた複数機能の作業ユニットを用いてもよい。
【0047】
すなわち、本発明においては、第2ヘッド12は、ペースト塗布機能、ペースト転写機能および加熱・押圧機能のうち少なくともいずれか1つの機能を有する作業ユニットを選択的に装着可能となっている。そして、搭載ユニット19、転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57に部品種に応じて着脱自在に装着される部品保持ノズル71、転写ツール72、加熱・押圧ツール73は、前述のようにユニット集合ステージ4に配置されたツールストッカ15に収納されており(図4参照)、第1ヘッド11、第2ヘッド12をツールストッカ15にアクセスさせることにより、搭載ユニット19、転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57に装着される部品保持ノズル71、転写ツール72、加熱・押圧ツール73を、対象とする部品種に応じたものに交換することができるようになっている。
【0048】
次に、図8を参照して制御系の構成を説明する。図8において、制御部60は、機構制御部61を介して以下の機構部を制御する。これにより、部品供給ステージ3から半導体チップ6aを取り出し、さらに取り出した半導体チップ6aを基板保持ステージ5に保持された基板7に実装するための各動作が実行される。まず、部品供給ステージ3、ユニット集合ステージ4、基板保持ステージ5を制御することにより、部品供給ステージ3におけるXYテーブル機構31やエジェクタ機構34による部品供給動作が制御され、またユニット集合ステージ4におけるX軸移動機構40の動作が制御され、さらに基板保持ステージ5におけるXYテーブル機構53の動作が制御される。
【0049】
次いで、ヘッド移動機構9、第1ヘッド11、第2ヘッド12、ピックアップヘッド移動機構13を制御することにより、部品供給ステージ3から半導体チップ6aを取り出すピックアップ動作や、取り出された半導体チップ6aを基板7に移送搭載してボンディングする実装動作が実行される。すなわちピックアップヘッド移動機構13を制御することによりピックアップ動作が実行され、また搭載ユニット19が装着された第1ヘッド11をヘッド移動機構9と併せて制御することにより、半導体チップ6aを基板7に移送搭載する搭載動作が実行される。
【0050】
また塗布ユニット20、転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57の3種類の作業ユニットが選択的に装着された第2ヘッド12をヘッド移動機構9と併せて制御することにより、部品接着用のペーストを塗布ノズル19aから吐出して基板に供給するペースト塗布機能、ペーストを転写ツール72によって転写して基板に供給するペースト転写機能および基板7に搭載された半導体チップ6aを加熱しながら基板7に対して押圧する加熱・押圧機能のいずれかが実行される。なおペースト転写機能を実行する際には、転写テーブル55が併せて制御される。
【0051】
上述の各種動作制御に際しては、制御部60が認識処理部62を制御することにより、以下の各カメラによる撮像結果の認識処理が行われる。第1カメラ21による撮像結果を
認識処理することにより、部品供給ステージ3に保持された半導体ウェハ6における半導体チップ6aの位置が検出され、この検出結果に基づいて制御部60がXYテーブル機構31を制御することにより、ピックアップ対象の半導体チップ6aをピックアップ作業位置[P1]に正しく位置合わせすることができる。また第2カメラ22による撮像結果を認識処理することにより、中継ステージ18に載置された状態における半導体チップ6aの位置が検出され、この検出結果に基づいて制御部60が第1ヘッド11およびX軸移動機構40を制御することにより、ピックアップ対象の半導体チップ6aに対して部品保持ノズル71を正しく位置合わせすることができる。
【0052】
さらに第3カメラ23による撮像結果を認識処理することにより、基板保持テーブル5aに保持された状態における基板7の部品実装点7aの位置が検出され、この検出結果に基づいて制御部60がXYテーブル機構53を制御することにより、部品実装点7aを実装作業位置[P4]に対して位置合わせして、部品保持ノズル71に保持された半導体チップ6aを部品実装点7aに正しく搭載することができる。そして部品認識カメラ24による撮像結果を認識処理することにより、部品保持ノズル71に保持された状態における半導体チップ6aの位置が検出され、搭載ユニット19による搭載動作においては、この検出結果を加味して搭載時の位置補正が行われる。
【0053】
検出処理部63は、光学センサ25、26からの出力される受光信号に基づき、ツールストッカ15の収納凹部27a内における作業ツールの有無を検出する。すなわち光学センサ25、26が受光した反射光の光量を予め設定されたしきい値と比較することにより、作業ツールの有無の判定を行う。第1ヘッド11、第2ヘッド12をツールストッカ15にアクセスさせて、搭載ユニット19、転写ユニット54、加熱・押圧ユニット57に装着された作業ツールの交換を行う場合には、制御部60は検出処理部63による作業ツールの有無の検出結果に基づき、第1ヘッド11、第2ヘッド12の動作制御を行う。すなわち作業ツールを新たに装着するツール再装着動作において作業ツール無しが検出された場合には、当該収納凹部27aについてはツール再装着動作の対象とせず、他の収納凹部27aに第1ヘッド11、第2ヘッド12を移動させる。また既装着の作業ツールをツールストッカ15に戻すツール戻し入れ動作において作業ツール有りが検出された場合には、当該収納凹部27aについてはツール戻し入れ動作の対象とせず、他の収納凹部27aに第1ヘッド11、第2ヘッド12を移動させる。
【0054】
このツール検出動作の例について、図9、図10を参照して説明する。ここでは、第1ヘッド11に装着された搭載ユニット19におけるツール交換に際して実行されるツール検出動作の例について説明する。図9(a)において、ツールストッカ15に設けられた複数の収納凹部27aには、ピックアップノズル70、部品保持ノズル71、転写ツール72、加熱・押圧ツール73などの各種の作業ツールが、予め設定されたツール配列データにしたがって収納されている。搭載ユニット19においては、装着部19aに既装着であった作業ツールが取り外された状態にあり、この搭載ユニット19に新たに部品保持ノズル71を装着するツール交換を行う。
【0055】
このツール交換に際しては、X軸移動機構40を駆動して移動テーブル4aとともにツールストッカ15をX方向に移動させ(矢印l)、第1ヘッド11がアクセス可能な領域に位置させる。次いでヘッド移動機構を駆動して、第1ヘッド11を搭載ユニット19とともにツールストッカ15の上方に移動させ、昇降プレート11cに装着された光学センサ25をツール交換の対象となる作業ツールを保持した収納凹部27a上に位置させた後、以下に説明するツール検出動作を行う。
【0056】
すなわち、図10(a)に示すように、光学センサ25から検出光を下方に投射する(矢印n)。このとき、収納凹部27a内に検出対象の部品保持ノズル71が存在する場合
には、投射された検出光は本体部71aや鍔部71bの金属光沢面によってツール反射光として反射される(矢印o)。そしてこのツール反射光を光学センサ25が受光し、この受光によって出力される受光信号を検出処理部63が受信して予め設定されたしきい値と比較することにより、検出処理部63は作業ツール有りの検出信号を制御部60に対して伝達する。
【0057】
これに対し、収納凹部27a内に検出対象の部品保持ノズル71が存在しない場合には、光学センサ25から下方に投射された検出光は収納凹部27a内の底部27cなどの内面に入射する(矢印p)。このとき収納凹部27a内面には反射光を低減させる反射特性を有する表面層27dが形成されていることから、検出対象の部品保持ノズル71の背景部分から光学センサ25に対して反射される背景反射光(矢印q)の光量は、図10(a)に示すツール反射光の光量よりも格段に小さいものとなる。そしてこの背景反射光を光学センサ25が受光し、この受光によって出力される受光信号を検出処理部63が受信して予め設定されたしきい値と比較することにより、検出処理部63は作業ツール無しの検出信号を制御部60に対して伝達する。
【0058】
すなわち本実施の形態に示すツール検出手段は、光学センサ25,26から作業ツールの上面に投射されて光学センサ25,26に反射されるツール反射光の光量と、収納凹部27a内に検出対象の部品保持ノズル71が存在しない場合における背景反射光の光量とに基づき、収納凹部27a内における作業ツールの有無を検出するようになっている。この作業ツールの有無の検出において、収納凹部27aの内面に前述の表面層27dを形成することにより、背景反射光とツール反射光の光量の差を大きくすることができ、作業ツールの有無を判定するためのしきい値を十分な判定マージンを確保した上で設定することができる。
【0059】
そしてこのようにしてツール交換対象の収納凹部27aにおける作業ツールの有無を確認したならば、搭載ユニット19によるツール交換動作を実行する。すなわち対象となる収納凹部27aに作業ツール(ここでは部品保持ノズル71)が存在することが確認されたならば、装着部19aが当該収納凹部27aの直上に位置するように搭載ユニット19およびツールストッカ15を移動させる。この移動は、前述のヘッド移動機構9およびストッカ移動手段であるX軸移動機構40を駆動することにより行われる。
【0060】
次いで搭載ユニット19を昇降させて(矢印m)、装着部19aに部品保持ノズル71を装着するツール装着動作を行わせる。これにより、搭載ユニット19を対象とするツール交換動作が完了する。このとき、予め対象となる収納凹部27aにおける作業ツールの有無の確認が行われていることから、作業ツールが存在しない収納凹部27aを対象としてツール装着動作を行う誤動作や、既に作業ツールが収納されている収納凹部27aに対して重ねてツール収納動作を行う誤動作などを確実に防止することが可能となっている。
【0061】
なお上記例では、ツール交換動作に際してツール検出動作を実行する例を示したが、ツール検出を行うタイミングは適宜設定可能である。例えば、任意のタイミングにてツールストッカ15の全ての収納凹部27aを対象としてツール検出動作を行い、各収納凹部27aについての検出結果をデータテーブルとして記憶させておくようにしてもよい。この場合には、ツール交換を実行するたびに記憶されたデータテーブルを参照してツール交換の対象となる収納凹部27aに作業ツールが存在するか否かを確認する。
【0062】
上記説明したように、本発明は作業ツールを収納する収納凹部27a内においてツール検出手段による作業ツールの有無検出の際の背景部分を構成する範囲に、光学センサ25,26から背景部分に投射されて光学センサ25,26に反射される背景反射光の光量を低減させる反射特性を有する表面層27dを形成するようにしたものである。これにより
、単一の光学センサによって多数の収納凹部27aを対象として作業ツールの有無を安定して検出することが可能となり、汎用性を向上させるとともに設備費用を低減して生産性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の部品実装装置は、汎用性を向上させるとともに生産性を向上させることができるという特徴を有し、リードフレームや樹脂基板などに部品を実装する分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の全体斜視図
【図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の部分斜視図
【図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置の正面図
【図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置のユニット集合ステージの斜視図
【図5】本発明の一実施の形態の部品実装装置に設けられたツールストッカの構成説明図
【図6】本発明の一実施の形態の部品実装装置の設けられたツールストッカの部分断面図
【図7】本発明の一実施の形態の部品実装装置の第2ヘッドに装着される作業ユニットの説明図
【図8】本発明の一実施の形態の部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
【図9】本発明の一実施の形態の部品実装装置におけるツール検出動作およびツール交換動作の説明図
【図10】本発明の一実施の形態の部品実装装置におけるツール検出動作の説明図
【符号の説明】
【0065】
1 部品実装装置
3 部品供給ステージ(部品供給部)
4 ユニット集合ステージ
4a 移動テーブル
5 基板保持ステージ(基板保持部)
5a 基板保持テーブル
6 半導体ウェハ
6a 半導体チップ
7 基板
9 ヘッド移動機構
11 第1ヘッド
12 第2ヘッド
13 ピックアップヘッド移動機構
14 ピックアップヘッド
15 ツールストッカ
18 中継ステージ
19 搭載ユニット
20 塗布ユニット
20b 塗布ノズル
21 第1カメラ
22 第2カメラ
23 第3カメラ
24 部品認識カメラ
27a 収納凹部
27d 表面層
31 XYテーブル機構
40 X軸移動機構
53 XYテーブル機構
54 転写ユニット
55 転写テーブル
56 ペースト
57 加熱・押圧ユニット
70 ピックアップノズル
71 部品保持ノズル
72 転写ツール
73 加熱・押圧ツール
[P1] ピックアップ作業位置
[P2]中継位置
[P3]部品認識位置
[P4]実装作業位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を供給する部品供給部と、基板を保持する基板保持部と、前記部品供給部によって供給された前記部品を受け取って前記基板保持部に保持された基板に実装する第1ヘッドと、
前記基板もしくは前記第1ヘッドによって前記基板に搭載された部品に対して所定の作業を行い、部品接合用のペーストを吐出して前記基板に供給するペースト塗布機能、前記ペーストを転写して前記基板に供給するペースト転写機能および前記基板に搭載された部品を加熱しながら基板に対して押圧する加熱・押圧機能のうち少なくともいずれか1つの機能を有する作業ユニットを選択的に装着可能な第2ヘッドと、
前記第1ヘッドおよび第2ヘッドがいずれもアクセス可能な領域に位置して、対象となる部品の種類に応じて前記第1ヘッド、第2ヘッドに交換自在に装着される複数の作業ツールを収納するための複数の収納凹部が設けられたツールストッカと、
前記ツールストッカの前記収納凹部上に位置する反射型の光学センサによって当該収納凹部内における前記作業ツールの有無を検出するツール検出手段とを備え、
前記収納凹部内において前記ツール検出手段による作業ツールの有無検出の際の背景部分を構成する範囲には、前記光学センサから前記背景部分に投射されて前記光学センサに反射される背景反射光の光量を低減させる反射特性を有する表面層が形成されており、
前記ツール検出手段は、前記光学センサから前記作業ツールの上面に投射されて前記光学センサに反射されるツール反射光の光量と前記背景反射光の光量とに基づき前記作業ツールの有無を検出することを特徴とする部品実装装置。
【請求項2】
前記光学センサは前記第1ヘッドおよび第2ヘッドにそれぞれ配設されており、
さらに前記第1ヘッドおよび第2ヘッドを前記部品供給部と基板保持部の並び方向である第1方向へ移動させて前記基板上の作業位置にアクセスさせる共通のヘッド移動機構と、
前記ツールストッカを前記第1方向と直交する第2方向へ移動させて前記第1ヘッドおよび第2ヘッドがいずれもアクセス可能な領域に位置させるストッカ移動手段とを備え、
前記ヘッド移動機構および前記ストッカ移動手段を駆動することにより、前記光学センサを前記ツールストッカの前記収納凹部上に位置させることを特徴とする請求項1記載の部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−129549(P2010−129549A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298960(P2008−298960)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】