説明

部品撮像方法、部品撮像装置および同装置を備えた部品実装装置

【課題】並列搬送される適正照明強度が互いに異なる複数の部品をラインセンサにより効率良く撮像する。
【解決手段】部品撮像装置は、ラインセンサを備えるカメラ30、照明装置31及び照明制御部32を含む撮像ユニット7と、第1部品及び第2部品それぞれの適正照明強度データ44bが記憶された記憶部44と、撮像ユニット7に対するヘッドユニット6の相対移動中、一撮像ライン毎に照明装置31の照明強度が各部品の適正照明強度に交互に切り替わるように前記照明強度データ44bに基づいて照明強度を制御する撮像制御手段(主制御部41および照明制御部32)と、ラインセンサにより撮像された各部品の画像について、適正照明強度以外の照明強度で撮像されたライン画像をその照明強度と当該部品画像の部品の適正照明強度との比率に基づいて補完する画像処理部42とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品移載用のヘッドに保持された部品を撮像するための部品撮像方法、部品撮像装置およびこの部品撮像装置を備えた部品実装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、実装ヘッドにより部品供給部から部品を取り出して基板上の搭載点に実装する部品実装装置が知られている。部品実装装置は、部品撮像装置を備えている。これは、基板上への部品の実装に先立ち実装ヘッドに保持された部品を撮像することで、当該実装ヘッドによる部品の保持状態を認識して部品の搭載姿勢等の補正を行うためである。
【0003】
この種の部品実装装置に関して、例えば特許文献1が開示されている。この特許文献1に開示される部品実装装置は、ラインセンサと複数の照明部とを備えた部品撮像装置を含み、ラインセンサに対してその副走査方向に一定速度で部品を移動させながら当該部品を何れかの照明部で照射することで部品を撮像する。その際、特定の部品ついては、他の部品の1/2の速度で部品を移動させながら照明条件(照明方向)の異なる2つの照明部を交互に切り換えて画像を取り込むことで、照明条件が互いに異なるライン画像が交互に並ぶ2倍分のライン画像を取得する。そして、その画像から同一照明条件のライン画像を抽出して合成することにより、ラインセンサに対して部品を一度通過させるだけで、互いに照明条件が異なる2つの部品画像を同時に取得することを行う。
【0004】
なお、特許文献1に開示される部品実装装置は、複数の実装ヘッドが一列に配列された状態でヘッドユニットに搭載されており、このヘッドユニットにより一度に複数の部品を保持して部品供給部から基板上に搬送することで効率的に部品の実装を行う。そして、部品認識の際には、ヘッドユニットの移動に伴い各実装ヘッドに保持された各部品をラインセンサに対してその副走査方向に順次移動させることで各部品を部品撮像装置により連続的に撮像する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4381764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示される部品実装装置は、複数の実装ヘッドが1列に配置されるものであるが、近年、複数の実装ヘッドが2列に配列されたものが提案されている。
【0007】
しかし、実装ヘッドが2列に配列されものでは、部品認識の際に、列間で隣接する実装ヘッドに保持された2つの部品画像が同一のライン画像に含まれるため、当該部品の最適照明強度が互いに異なるものである場合には、何れか一方の部品については最適な照明強度で部品画像を取得することが困難となる。また、これを避けるために、照明部の照明強度を切り換えながら、ラインセンサに対して部品を複数回通過させることも考えられるが、この場合には、効率的な部品認識が妨げられてしまう。
【0008】
このような問題を解決するために、特許文献1に開示される技術を適用することが考えられる。つまり、照明強度を交互に切り換え、同じラインを2度撮像しながら両部品を撮像することで、照明強度が互いに異なるライン画像が交互に並ぶ画像を取得し、その画像から照明強度が同一のライン画像を個別に抽出して合成することで、ラインセンサに対して部品を一度通過させるだけで、互いに照明強度が異なる2つの部品画像を同時に取得することが考えられる。
【0009】
ところが、この方法では、照明強度が異なる2つの画像を得るために2倍分のライン画像が必要であり、従って、同じラインを2度撮像するために2倍の時間がかかる。そのため、効率的な部品認識の観点からは必ずしも十分とは言えず、ここに改良の余地がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、適正な照明強度が互い異なる複数の部品を効率良く撮像する技術を提供すること、並びにこの技術を用いて基板上に効率良く部品を実装することができる部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための手段として、本発明の一の局面にかかる部品撮像方法は、所定のタイミングでライン画像の撮像動作を行い、得られたライン画像を撮像ライン毎の画像として出力するラインセンサと照明手段とを用い、適正な照明強度が互いに異なる複数の部品を当該ラインセンサにより同時に撮像する部品撮像方法であって、前記複数の部品それぞれについて、部品認識に適した部品画像を得ることが可能な適正照明強度を求める撮像準備工程と、前記複数の部品が前記ラインセンサの主走査方向に並ぶように当該複数の部品を配列した状態で当該複数の部品を一体的に前記ラインセンサに対してその副走査方向に相対移動させると共に、その相対移動中、一撮像ライン毎に前記照明手段の照明強度を各部品の適正照明強度に順番に切り換えながら前記複数の部品の画像を取得する部品撮像工程と、前記複数の部品それぞれの部品画像について、適正照明強度以外の照明強度で撮像されたライン画像を、当該ライン画像が撮像された照明強度と当該部品画像の部品の適正照明強度との比率に基づいて補完する画像処理工程と、を含むものである。
【0012】
この部品撮像方法では、一撮像ライン毎に照明手段の照明強度を各部品の適正照明強度に順番に切り換えながら画像を取得するが、上記特許文献1の技術のように、当該画像から適正照明強度で撮像された各部品のライン画像を抽出して合成することは行わず、各部品の画像のうち適正照明強度以外の照明強度で撮像されたライン画像をその照明強度と適正照明強度との比率に応じて補完する。そのため、特許文献1の技術のように、ラインセンサに対する部品の移動速度を下げて(照明強度の切り換えを行わない場合に比べて速度を下げて)部品画像を取得することを行うことなく、当該複数の部品それぞれの部品画像として、全体をそれぞれ適正照明強度で撮像したものと遜色ないレベルの部品画像を取得することが可能となり、これにより当該部品の撮像を効率良く行うことが可能となる。
【0013】
なお、この方法では、例えば前記複数の部品に適正照明強度の差が大きいものが含まれると、適正照明強度が弱い部品の画像中にいわゆる飽和画素が生じ、上記比率に基づき飽和画素の画像を補完するだけでは、画像品質を保てない場合が考えられる。しかし、このような不都合は、次の方法により解決される。すなわち、前記画像処理工程では、前記部品画像のうち適正照明強度以外の照明強度で撮像されたライン画像が飽和画素を含むときには、当該飽和画素については上記比率に基づき画像を補完する代わりに、当該部品画像のうち適正照明強度で撮像されたライン画像であってかつ前記飽和画素を含むライン画像に最も近いライン画像に基づいて前記飽和画素の画像を補完する。
【0014】
この方法によれば、飽和画素の画像を適正照明強度で撮像したライン画像で補完するため、飽和画素の画像を当該飽和画素が存在しない場合と遜色ないレベルに補完することが可能となる。そのため、前記複数の部品に適正照明強度の差が大きいものが含まれていて飽和画素が発生し易いような場合でも、画像品質が著しく損なわれるという不都合を伴うことなく各部品の画像を取得することが可能となる。
【0015】
一方、本発明の一の局面にかかる部品撮像装置は、所定のタイミングでライン画像の撮像動作を行い、得られたライン画像を撮像ライン毎の画像として出力するラインセンサと、適正な照明強度が互いに異なる複数の部品を前記ラインセンサの主走査方向に配列した状態で当該ラインセンサに対してその副走査方向に一体的に相対移動させる移動手段と、前記移動手段により移動させられる部品を照明する照明手段と、前記複数の部品それぞれの照明強度であって各部品の部品認識に適した適正照明強度データが記憶された照明強度データ記憶手段と、前記相対移動中、一撮像ライン毎に前記照明手段の照明強度が各部品の適正照明強度に順番に切り換えられながら前記複数の部品の画像が取り込まれるように前記ラインセンサの走査タイミングを制御すると共に前記照明強度データ記憶手段に記憶された適正照明強度データに基づいて前記照明手段の照明強度を制御する撮像制御手段と、前記ラインセンサにより撮像された前記複数の部品それぞれの部品画像について、適正照明強度以外の照明強度で撮像されたライン画像の画像データを当該ライン画像が撮像された照明強度と当該部品画像の部品の適正照明強度との比率に基づいて補完する画像処理手段と、を備えているものである。
【0016】
この部品撮像装置によれば、ラインセンサに対する前記複数の部品の相対移動中、前記撮像制御手段が、一撮像ライン毎に前記照明手段の照明強度が各部品の適正照明強度に順番に切り換えながら前記複数の部品の画像が取得されるようにラインセンサおよび照明手段を制御し、画像処理手段が、取得された各部品の部品画像のうち適正照明強度以外の照明強度で撮像されたライン画像の画像データを前記比率に基づいてそれぞれ補完する。よって、この部品撮像装置によれば、上述した部品認識方法に基づく部品の撮像を自動化することが可能となる。
【0017】
この部品撮像装置において、前記画像処理手段は、前記部品画像のうち適正照明強度以外の照明強度で撮像されたライン画像が飽和画素を含むときに、当該飽和画素の画像データを補完する飽和画像補完手段を含み、この飽和画像補完手段は、前記飽和画素を含むライン画像の両側に位置するライン画像であって当該部品画像の部品の適正照明強度で撮像されたライン画像の画像データに基づいて前記飽和画素の画像データを補完するものであるのが好適である。
【0018】
この構成によれば、部品画像に飽和画素が生じた場合には、飽和画像補完手段が、飽和画素の画像データを適正照明強度で撮像されたライン画像の画像データに基づき補完する。そのため、飽和画素の画像を当該飽和画素が存在しない場合と遜色ないレベルに補完することが可能であり、これにより、前記複数の部品に適正照明強度の差が大きいものが含まれていて前記飽和画素が生じ易いような場合でも、画像品質が著しく損なわれるという不都合を伴うことなく各部品の部品画像を取得することが可能となる。
【0019】
より具体的な構成として、前記複数の部品として第1部品とこれよりも適正照明強度が強い第2部品とを撮像するものでは、前記照明強度データ記憶手段は、前記適正照明強度データとして前記第1部品の認識に適した第1照明強度および前記第2部品の認識に適した第2照明強度を記憶し、前記撮像制御手段は、一撮像ライン毎に前記照明手段の照明強度が前記第1照明強度と前記第2照明強度とに交互に切り換えられながら前記第1部品および前記第2部品が撮像されるように前記ラインセンサの走査タイミングおよび前記照明手段の照明強度を制御し、前記画像処理手段は、前記第1部品の部品画像のうち第2照明強度で撮像されたライン画像の画像データを前記第2照明強度に対する前記第1照明強度の比率で補完する一方で、前記第2部品の部品画像のうち第1照明強度で撮像されたライン画像の画像データを前記第1照明強度に対する前記第2照明強度の比率で補完し、前記飽和画像補完手段は、前記第1部品の部品画像のうち前記第2照明強度で撮像されたライン画像が飽和画素を含むときには、当該ライン画像に隣接するライン画像の画素のうち前記飽和画素に隣接する画素の画像データに基づき前記飽和画素の画像データを補完する。
【0020】
この構成によれば、第1部品および第2部品をラインセンサに対して一度通過させるだけで、両部品の部品画像としてそれぞれ全体を適正照明強度で撮像したものと遜色ないレベルの部品画像を取得することが可能となる。また、これら第1部品と第2部品の適正照明強度差が比較的大きく飽和画素が生じ易い場合であっても、画像品質を著しく損なうことなく各部品の部品画像を取得することが可能となる。
【0021】
この場合、前記飽和画像補完手段は、前記飽和画素を含むライン画像に隣接するライン画像の画素のうち前記飽和画素に隣接する画素の画像データの平均値を前記飽和画素の画像データとするもの、又は、前記飽和画素を含むライン画像の一方側に隣接するライン画像の画素のうち前記飽和画素に隣接する複数画素の画像データの中間値と、他方側に隣接するライン画像の画素のうち前記飽和画素に隣接する複数画素の画像データの中間値との平均値を前記飽和画素の画像データとするものであるのが好適である。
【0022】
これらの構成によれば、飽和画素の画像を適正照明強度で撮像された画像と遜色ないレベルに補完することが可能となる。
【0023】
また、本発明の一の局面にかかる部品実装装置は、特定方向に並び、それぞれ部品を保持することが可能な複数の実装ヘッドと、上記した何れかの部品撮像装置と、前記複数の実装ヘッドに保持されかつ前記部品撮像装置により撮像された前記部品の画像データに基づき前記実装ヘッドによる部品の保持状態を認識した上で当該部品を前記実装ヘッドにより基板に搭載させる搭載手段と、を含み、前記部品撮像装置の前記移動手段は、前記ラインセンサの主走査方向に前記複数の実装ヘッドが並ぶ状態で当該実装ヘッドを当該当該ラインセンサに対してその副走査方向に一体的に相対移動させるものであり、前記搭載手段は、前記複数の実装ヘッドを前記基板に対して相対的に移動させることにより前記部品を前記基板上に搭載する、ことを特徴とするものである。
【0024】
この部品実装装置によれば、複数の実装ヘッドそれぞれ保持された部品が、部品撮像装置のラインセンサの主走査方向に並ぶように配列された状態で当該ラインセンサに対して一度だけ相対移動させられることにより、当該部品それぞれの部品画像として、全体を適正照明強度で撮像したものと遜色ないレベルの部品画像が取得される。そして、画像データに基づき各部品の保持状態が認識された上で、当該部品が基板上に搭載される。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明の部品撮像方法および部品撮像装置によれば、適正な照明強度が互いに異なる複数の部品であってラインセンサの主走査方向に配列された部品を、当該ラインセンサに対してその副走査方向に相対移動させながら効率良く撮像することができる。また、この部品撮像装置を備える本発明の部品実装装置によれば、上記のような複数の部品を、それらの撮像および認識を効率良く行いながら基板上に搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明にかかる部品実装装置(本発明にかかる部品撮像装置を備えた部品実装装置)を概略的に示す平面図である。
【図2】図1に示す部品実装装置を概略的に示す正面図である。
【図3】図1に示す部品実装装置に搭載される撮像ユニットを概略的に示す断面図である。
【図4】図1に示す部品実装装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。
【図5】部品認識時の撮像ユニットの制御を示すフローチャートである。
【図6】撮像ユニットによる照明強度の切り換えおよび撮像タイミングを示すタイミングチャートであり、(a)は第1部品および第2部品の適正照明強度が同一の場合のタイミングチャートを、(b)は第1部品および第2部品の適正照明強度が相違する場合のタイミングチャートをそれぞれ示す。
【図7】各部品の部品画像を示す模式図であり、(a)は第1部品および第2部品の適正照明強度が同一の場合を、(b)は第1部品および第2部品の適正照明強度が相違する場合を、それぞれ示す。
【図8】画像処理部による部品画像の補完処理を説明するための説明図である。
【図9】画像処理部(飽和画像補完部)による飽和画素の画像補完処理の方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0028】
図1及び図2は、本発明に係る部品実装装置(本発明にかかる部品撮像装置が適用される部品実装装置)を概略的に示しており、図1は平面図で、図2は正面図で、それぞれ部品実装装置を概略的に示している。なお、図1、図2及び後に説明する図面には、各図の方向関係を明確にするためにXYZ直角座標軸が示されている。
【0029】
部品実装装置は、基台1と、この基台1上に配置されてプリント配線板(PWB;Printed wiring board)等の基板3をX方向に搬送する基板搬送機構2と、部品供給部4、5と、部品実装用のヘッドユニット6と、このヘッドユニット6を駆動するヘッドユニット駆動機構と、部品認識のための撮像ユニット7等とを備える。
【0030】
前記基板搬送機構2は、基台1上において基板3を搬送する一対のコンベア2a、2aを含む。これらコンベア2a、2aは、同図の右側から基板3を受け入れて所定の実装作業位置(同図に示す位置)に搬送し、図略の保持装置により当該基板3を保持する。そして、実装作業後、この基板3を同図の左側に搬出する。
【0031】
前記部品供給部4、5は、前記基板搬送機構2の両側(Y方向両側)に配置されている。これら部品供給部4、5のうち一方側の部品供給部4には、基板搬送機構2に沿ってX方向に並ぶ複数のテープフィーダ4aが配置されている。これらテープフィーダ4aは、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状のチップ部品を収納、保持したテープが巻回されたリールを備え、このリールから間欠的にテープを繰り出しながら基板搬送機構2近傍の所定の部品供給位置に部品を供給する。一方、他方側の部品供給部5には、X方向に所定の間隔を隔ててトレイ5a、5bがセットされている。各トレイ5a、5bには、後述するヘッドユニット6による取出しが可能となるように、各々、QFP(Quad Flat Package)やBGA(Ball Grid Array)等のパッケージ型の部品が整列して載置されている。
【0032】
前記ヘッドユニット6は、部品供給部4、5から部品を取り出して基板3上に実装するものであり、基板搬送機構2および部品供給部4,5等の上方に配置されている。
【0033】
前記ヘッドユニット6は、前記ヘッドユニット駆動機構により一定の領域内でX方向およびY方向に移動可能とされている。このヘッドユニット駆動機構は、基台1上に設けられる一対の高架フレームにそれぞれ固定され、Y方向に互いに平行に延びる一対の固定レール8と、これら固定レール8に支持されてX方向に延びるユニット支持部材11と、このユニット支持部材11に螺合挿入されてY軸サーボモータ10により駆動されるボールねじ軸9とを含む。また、ユニット支持部材11に固定され、ヘッドユニット6をX方向に移動可能に支持する固定レール13と、ヘッドユニット6に螺合挿入されてX軸サーボモータ15を駆動源として駆動されるボールねじ軸14とを含む。つまり、ヘッドユニット駆動機構は、X軸サーボモータ15の駆動によりボールねじ軸14を介してヘッドユニット6をX方向に移動させる共に、Y軸サーボモータ10の駆動によりボールねじ軸9を介してユニット支持部材11をY方向に移動させ、その結果、ヘッドユニット6を一定の領域内でX方向およびY方向に移動させる。
【0034】
前記ヘッドユニット6は、先端にそれぞれ部品吸着用のノズル16aを備える複数本の実装ヘッド16と、これら実装ヘッド16をヘッドユニット6に対して昇降(Z方向の移動)およびノズル中心軸回りに回転(図2中のR方向の回転)させるためのサーボモータを駆動源とするヘッド駆動機構等とを備える。
【0035】
前記実装ヘッド16は合計12個であり、6個ずつ前後2列に振り分けられ、それぞれ(列毎に)X方向に一列に配列された状態でヘッドユニット6に搭載されている。以下の説明では、適宜上、図1中下側(部品実装装置の前(正面)側)の実装ヘッド16の列を前列、上側(部品実装装置の後側)の実装ヘッド16の列を後列と呼び、また、前列の実装ヘッド16を前列ヘッド16、後列の実装ヘッド16を後列ヘッド16と呼ぶ。
【0036】
なお、当実施形態では、前列の各実装ヘッド16と後列の各実装ヘッド16とはX方向についてそれぞれ同じ位置に位置する配列となっている。但し、これら実装ヘッド16の配列は、前列の実装ヘッド16と後列の実装ヘッド16とが多少X方向にずれた千鳥状の配列であってもよい。
【0037】
各実装ヘッド16のノズル16aは、それぞれ電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置および大気の何れかに連通可能とされている。つまり、前記ノズル16aに負圧が供給されることで当該ノズル16aによる部品の吸着保持が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品の吸着保持が解除される。
【0038】
前記撮像ユニット7は、前記実装ヘッド16による部品の保持状態を画像認識するために、部品供給部4、5から取り出された部品を実装に先立ち撮像するものであり、前記基台1上であって前記トレイ5a、5bの間の位置に配置されている。
【0039】
前記撮像ユニット7は、基台1上に固定的に配置されており、図3に示すように、実装ヘッド16に保持された部品Cをその下側から撮像するカメラ30と、部品に対して撮像用の照明を与える照明装置31(本発明の照明手段に相当する)と、照明装置31を制御する照明制御部32(図4に示す)とを含む。
【0040】
前記カメラ30は、複数の撮像素子が一列に並ぶラインセンサおよびレンズ等を備えたカメラで、撮像ユニット7は、前記撮像素子がY方向に並ぶように上記基台1上に固定されている。ラインセンサは、所定のタイミングでライン画像の撮像動作を行い、得られたライン画像を撮像ライン毎の画像データとして出力するものである。このラインセンサの素子数(受光素子長)は、前列ヘッド16および後列ヘッド16のうち互いにY方向に隣接するものに保持された部品を同時に撮像可能な数に設定されている。これにより、ヘッドユニット6を前記撮像素子の配列方向(主走査方向)と直交する方向(副走査方向;X方向)に一度だけ撮像ユニット7に対して通過させることで、前列及び後列の各実装ヘッド16に保持された部品をその下側から撮像可能となっている。
【0041】
前記照明装置31は、カメラ30の上方に配置されている。この照明装置31は、その上端部中央に配置される第1照明部31a、照明装置31の内側部に配置される第2照明部31b、照明装置31の上端部であって第1照明部31aの外側に配置される第3照明部31cの3種類の照明部を備えている。
【0042】
前記第1照明部31aは、同図に示すように中央に開口部を有し、上方へ向けて先広がりとなる漏斗形のフレームの内面に複数のLED33を備えたものであり、これらLED33を点灯させることにより撮像ユニット7の上方に位置する部品Cに対してその下側から斜め方向に照明光を照射する。
【0043】
第2照明部31bは、上記第1照明部31aの下側に配置されており、横向きに並ぶ複数のLED34とハーフミラー35とを含む。そして、前記LED34からの光をハーフミラー35で90°屈折させることにより撮像ユニット7の上方に位置する部品Cに対してその真下から前記カメラ30の光軸と平行な方向へ照明光を照射する。
【0044】
第3照明部31cは、前記第1照明部31aを取り囲むように複数のLED36を内向きに備えており、これらLED36を点灯させることにより、撮像ユニット7の上方に位置する部品Cに対してその側方から照明光を照射する。
【0045】
なお、この部品実装装置は、図4に示すように、その動作を統括的に制御する制御手段40をさらに備えている。この制御手段40は、論理演算を実行するCPU、そのCPUを制御する種々のプログラムなどを記憶するROM、種々のデータを一時的に記憶するRAMおよびHDD等から構成されている。この制御手段40は、その機能構成として、主制御部41、画像処理部42および記憶部44を含む。
【0046】
主制御部41は、記憶部44に記憶されている実装プログラム44aに従い、前記サーボモータ10、15、ヘッドユニット6および撮像ユニット7等を統括的に制御すると共に、実装ヘッド16に吸着保持された部品の画像認識やそのための各種画像処理および演算処理等を行うものである。特に、部品認識の際には、部品に応じて前記撮像ユニット7による部品撮像時の部品に対する光の照射方向(すなわち照明部)を選択すると共に、カメラ30による撮像タイミングおよび照明装置31の点灯タイミングを制御すべく撮像ユニット7にタイミング信号を出力する。この信号は、一定の時間間隔で出力されるように撮像ユニット7に対するヘッドユニット6の移動速度に基づいて予め定められており、その出力タイミングは実装プログラム44aに組み込まれている。
【0047】
また、主制御部41は、部品認識の際、記憶部44に予め記憶されている照明強度データ44bに基づき照明装置31の照明強度(光度)が制御されるように、撮像ユニット7に内蔵された照明制御部32に制御信号を出力する。なお、照明強度データ44bとは、部品(品種)毎に、その部品の認識に最適な部品画像を得ることが可能な適正照明強度(つまり、最適な照度で部品を撮像することが可能な照明強度)を定めたデータであり、主制御部41が当該データを照明制御部32に出力することで、前記照明制御部32は、当該データに基づき照明装置31の照明強度を制御する。なお、照明強度の制御方式は、LED33、34、36への供給電流値の変更、又はパルス幅変調(PWM)の何れも適用可能であるが、当実施形態では後者が適用されており、照明制御部32は、前記LED33、34、36の点灯時間を変更することにより照明強度を切り換える(図6参照)。
【0048】
前記画像処理部42(本発明の画像処理手段)は、後に詳述するように、前列の実装ヘッド16に保持された部品の適正照明強度と後列の実装ヘッド16に保持された部品の適正照明強度が互いに異なる場合に、前記カメラ30により撮像された部品画像のうち、適正照明強度以外の照明強度で撮像されたライン画像を補完するものである。この画像処理部42は、飽和画像補完部42a(本発明の飽和画像補完手段)を含んでおり、この飽和画像補完部42aは、前記カメラ30により撮像された部品画像のライン画像中に飽和画素が含まれている場合に、その飽和画素の画像を補完するものである。この画像処理部42(飽和画像補完部42a)による画像補完処理の内容については後に詳述する。
【0049】
なお、この実施形態では、撮像ユニット7、ヘッドユニット6、ヘッドユニット駆動機構および制御手段40等が本発明の部品撮像装置に相当し、そのうちヘッドユニット6およびヘッドユニット駆動機構等が部品撮像装置の移動手段に相当し、主制御部41および照明制御部32等が本発明の撮像制御手段に相当する。また、ヘッドユニット駆動機構および制御手段40等が本発明の搭載手段に相当する。
【0050】
次に、前記制御手段40の制御に基づく一連の実装動作について説明すると共に、実装ヘッド16に吸着保持された部品の部品認識処理について詳述する。
【0051】
この部品実装装置では、まず、ヘッドユニット6が部品供給部4、5上に移動し、各実装ヘッド16により部品が吸着保持される。部品吸着後、ヘッドユニット6が撮像ユニット7上を通過する、具体的には、ヘッドユニット6が撮像ユニット7上をX方向に一度通過することで、前後各列の実装ヘッド16にそれぞれ保持されている部品が撮像ユニット7により撮像され、当該画像に基づき各実装ヘッド16に保持された部品の吸着状態が認識される。そして、各実装ヘッド16に保持された部品のなかに不良部品や補正不可能な吸着状態のものがある場合には、当該部品が廃棄対象として登録された上で、ヘッドユニット6が基板3上に移動し、前記廃棄対象以外の部品が順次基板3上に実装される。このとき、上記部品認識結果に応じてヘッドユニット6の位置および実装ヘッド16の回転角度等が制御されることで、基板3上の各搭載点に部品が適切に実装される。
【0052】
こうして基板3上に部品が実装されると、ヘッドユニット6が図外の部品廃棄ボックス上へ移動し、上記廃棄対象の部品を廃棄する。これにより実装動作の一サイクルが終了し、必要に応じてこの動作が繰り返されることで所要部品が基板3上に実装される。
【0053】
図5は、この部品実装動作におけるカメラ30及び照明装置31の制御を示すフローチャートである。なお、ここでは、前列ヘッド16による保持部品の適正照明強度は互いに同一であり、後列ヘッド16による保持部品の適正照明強度は互いに同一であるものとする。
【0054】
各実装ヘッド16による部品の吸着が完了すると、照明制御部32がこれに内蔵されたライン数カウンタをクリアし(ステップS1)、主制御部41が前後各列の実装ヘッド16に保持される部品の照明強度データ44bを読み出して撮像ユニット7に出力すると共に当該撮像ユニット7に対して前記タイミング信号の出力を開始する(ステップS3)。
【0055】
次に、照明制御部32は、照明強度データ44bに基づき2部品の照明強度が同一か否か、すなわち前列ヘッド16の保持部品の適正照明強度と後列ヘッド16の保持部品の適正照明強度が同一か否かを判断する(ステップS5)。ここで、2部品の適正照明強度が同一である場合には(ステップS5でYES)、照明制御部32は、タイミング信号の検出を待って前記ライン数カウンタをカウンタアップ(インクリメント)した後、照明装置31を点灯させる(ステップS19〜S23)。詳しくは、照明装置31を前記照明強度データ44bに対応する時間だけ点灯させる。カメラ30は、前記タイミング信号に同期して撮像走査を行う。これにより前記各列それぞれの保持部品に適した照明強度の下で前記カメラ30により一撮像ライン分の画像が取得される。
【0056】
照明制御部32は、次いで上記ライン数カウンタが指定値に達したか(ステップS25)、すなわち前後各列の実装ヘッド16に保持されている全ての部品がカメラ30上を通過したかを判断し、ここでNOと判断した場合にはステップS19に移行する。これにより部品の撮像が継続される。他方、YESと判断した場合には、照明制御部32は主制御部41に終了信号を出力し、主制御部41は当該終了信号の入力に基づきタイミング信号の出力を停止する。これにより撮像ユニット7による部品の撮像動作が終了する。
【0057】
一方、ステップS5でNOと判断した場合、すなわち前列ヘッド16の保持部品の照明強度と後列ヘッド16の保持部品の適正照明強度が同一でないと判断した場合(ステップS5でNO)には、照明制御部32は、タイミング信号の検出を待って前記ライン数カウンタをカウンタアップ(インクリメント)した後(ステップS7,S9)、当該カウンタ値が偶数であるか否かを判断する(ステップS11)。
【0058】
ここで、NOと判断した場合には、照明制御部32は、実装ヘッド16のうち前列ヘッド16に保持された部品(以下、第1部品と称する)の照明強度データ44bに対応する時間だけ照明装置31を点灯させる。カメラ30は、前記タイミング信号に同期して撮像走査を行う。これにより第1部品に適した照明強度の下で前記カメラ30により一撮像ライン分の画像が取得される。一方、ステップS11でYESと判断した場合には、照明制御部32は、実装ヘッド16のうち後列ヘッド16に保持された部品(以下、第2部品と称する)の照明強度データ44bに対応する時間だけ照明装置31を点灯させる。これにより第2部品に適した照明強度の下で前記カメラ30により一撮像ライン分の画像が取得される。
【0059】
次に、照明制御部32は、上記ライン数カウンタが指定値に達したか、すなわち前後各列の実装ヘッド16に保持されている全ての部品がカメラ30上を通過したかを判断し(ステップS17)、ここでNOと判断した場合にはステップS7に移行する。これにより部品の撮像が継続される。他方、YESと判断した場合には、照明制御部32は主制御部41に終了信号を出力し、主制御部41は当該終了信号の入力に基づきタイミング信号の出力を停止する。これにより撮像ユニット7による部品の撮像動作が終了する。
【0060】
図6は、上述した主制御部41及び照明制御部32の制御に基づく撮像ユニット7の撮像動作をタイミングチャートで示したものである。第1部品の照明強度データと第2部品の照明強度データとが同一の場合には、同図(a)に示すように、タイミング信号に同期して、全ラインについて同一の照明強度で照明装置31が点灯させられながらカメラ30により一撮像ラインずつ部品が撮像される。これに対して、第1部品の照明強度データと第2部品の照明強度データとが異なる場合には、図6(b)に示すように、一撮像ライン毎に交互に異なる照明強度で照明装置31が点灯させられながら、つまり、照明装置31の照明強度が第1部品の適正照明強度(以下、第1照明強度と称す)と第2部品の適正照明強度(以下、第2照明強度と称す)とに交互に切り換えられながらカメラ30により一撮像ラインずつ部品画像が撮像されることとなる。
【0061】
こうして撮像ユニット7により撮像された各部品の画像データは、カメラ30から画像処理部42に出力される。画像処理部42は、この画像データに所定の画像処理を施し、主制御部41は、その画像に基づき部品を認識する。
【0062】
ここで、第1部品の照明強度データと第2部品の照明強度データとが同一の場合には、図6(a)に示すように照明装置31の照明強度が制御されることで、例えば図7(a)に示すように、第1部品の部品画像G1および第2部品の部品画像G2は、何れも部品全体が適切な照度で撮像された画像となる。これに対して、第1部品の照明強度データと第2部品の照明強度データとが異なる場合には、図6(b)に示すように照明装置31の照明強度が制御される結果、第1部品の部品画像G1および第2部品の部品画像G2は、例えば図7(b)に示すように、適切な照明強度で撮像されたライン画像と不適接な照明強度で撮像されたライン画像とが交互に並んだ画像となる。
【0063】
そこで、画像処理部42は、図6(b)に示す照明装置31の制御(図5のステップS7〜S17の処理)に基づき部品が撮像された場合には、第1部品の部品画像G1のうち第2照明強度で撮像されたライン画像を当該第2照明強度と第1照明強度との比率に基づいて補完する一方で、第2部品の部品画像G2のうち第1照明強度で撮像されたライン画像を第1照明強度と第2照明強度との比率に基づいて補完する。
【0064】
具体的には、撮像ユニット7は、奇数の撮像ラインについては第1照明強度で部品を撮像し、偶数の撮像ラインについては第2照明強度で部品を撮像するように制御されるため(図5のステップS11〜S15参照)、画像処理部42は、第1部品の部品画像G1については、その画像のうち適正な照明強度で撮像されていない偶数のライン画像を補完する一方、第2部品の部品画像G2については、適正な照明強度で撮像されていない奇数のライン画像を補完する。例えば、第1部品の適正照明強度が「4」、第2部品の適正照明強度が「6」の場合には、図8に示すように、画像処理部42は、第1部品の部品画像G1については、当該部品画像G1のうち偶数のライン画像の各画素の画像データを第2照明強度に対する第1照明強度の比率で補完、つまり画像データに係数2/3を乗ずることにより当該偶数のライン画像の画像データを減補完する。他方、第2部品の部品画像G2については、当該部品画像G2のうち奇数のライン画像の各画素の画像データを第1照明強度に対する第2照明強度の比率で補完、つまり画像データに係数3/2を乗ずることにより当該奇数のライン画像の画像データを増補完する。これにより画像処理部42は、第1、第2部品の部品画像G1、G2を、図7(a)に示すような部品画像と遜色ないレベルの画像に補完する。
【0065】
なお、上記のように第1部品の適正照明強度が「4」、第2部品の適正照明強度が「6」である場合、第1部品の部品画像G1のうち適正な照明強度(「4」)よりも強い照明強度(「6」)で撮像される偶数のライン画像中にはいわゆる飽和画素、つまり、受光レベルがその上限値を超えるために受光素子が飽和状態となり画像が白くなる画素が発生し得る。そのため、画像処理部42は、第1部品の部品画像G1に基づき飽和画素の有無を判別し、飽和画素が有る場合には、さらに前記飽和画像補完部42aが飽和画素の画像の補完処理を行う。
【0066】
具体的には、図9に示すように、例えば偶数のライン画像である第2ライン画像(2)中に飽和画素が存在する場合、飽和画像補完部42aは、第2ライン画像(2)に隣接する第1ライン画像(1)及び第3ライン画像(3)、つまり、第2ライン画像(2)に隣接する、適正な照明強度で撮像されたライン画像の各画素のうち前記飽和画素に隣接する画素51〜53、61〜63の各画素の画像データの平均値を前記飽和画素の画像データとする。これにより、第1部品の部品画像G1中に、いわゆる飽和画素による白抜け部分が生じることが防止される。
【0067】
以上説明したように、この部品実装装置では、前列ヘッド16に保持される第1部品および後列ヘッド16に保持される第2部品であって互いに適正照明強度が異なる部品を同時に撮像ユニット7により撮像して画像認識することができる。特に、この部品認識装置では、照明装置31の照明強度を第1部品の適正照明強度(第1照明強度)と第2部品の適正照明強度(第2照明強度)とに交互に切り換えられながらカメラ30により一撮像ラインずつ部品画像を撮像するが、従来(特許文献1の技術)のように、当該画像から適正な照明強度で撮像されたライン画像を部品毎に抽出して合成することは行わず、各部品の画像のうち適正な照明強度以外の照明強度で撮像されたライン画像をその照明強度と適正照明強度との比率に応じて補完する。そのため、従来(特許文献1の技術)のように、ラインセンサに対する部品の移動速度を下げて(照明強度の切り換えを行わない場合に比べて速度を下げて)部品画像を取得することを行うことなく、第1部品および第2部品それぞれの部品画像として、全体を適正照明強度で撮像したものと遜色ないレベルの部品画像を取得することができる。
【0068】
従って、この部品実装装置によると、適正照明強度が互いに異なる第1部品および第2部品を、撮像ユニット7により効率的に撮像、認識することが可能であり、これによって基板3上に対する部品の実装作業を効率的に行うことができる。
【0069】
しかも、この部品実装装置では、ライン画像中にいわゆる飽和画素が含まれる場合には、当該ライン画像に隣接するライン画像であって適正な照明強度で撮像されたライン画像に基づき当該飽和画素の画像データを補完するため、上記飽和画素が発生した場合でも適正な照明強度で撮像された画像と遜色ないレベルの画像を取得することができる。そのため、第1部品と第2部品の照明強度差が比較的大きいために飽和画素が発生し易いような場合でも、画像品質が著しく損なわれるという不都合を伴うことなく良好な部品画像を取得することができる。
【0070】
ところで、以上説明した部品実装装置は、本発明にかかる部品実装装置(本発明にかかる部品撮像装置が適用される部品実装装置、本発明にかかる部品撮像方法が使用される部品実装装置)の好ましい実施形態の一例であって、その具体的な構成等は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0071】
例えば、上記実施形態では、飽和画像補完部42aは、飽和画素を含むライン画像(第2ライン画像(2))に隣接するライン画像(第1、第3のライン画像(1)、(3))の画素のうち前記飽和画素に隣接する画素(画素51〜53、61〜63)の画像データの平均値を前記飽和画素の画像データとすることで当該飽和画素の画像を補完するが、これに限らず、例えば、飽和画素を含むライン画像の一方側に隣接するライン画像の画素のうち前記飽和画素に隣接する画素(図9の例では画素51〜53)の画像データの中間値と、他方側に隣接するライン画像の画素のうち前記飽和画素に隣接する画素(図9の例では画素61〜63)の画像データの中間値との平均値を前記飽和画素の画像データとすることで当該飽和画素の画像を補完するものであってもよい。要は、飽和画像補完部42aは、飽和画素を含むライン画像の両側に位置するライン画像であって当該部品画像の部品の適正照明強度で撮像されたライン画像の画像データに基づいて前記飽和画素の画像を補完する構成であればよい。
【0072】
また、上記実施形態(図5)では、主制御部41および照明制御部32による撮像ユニット7の制御について、前列ヘッド16それぞれに保持される各部品(第1部品)の照明強度データが同一で、後列ヘッド16それぞれに保持される各部品(第2部品)の照明強度データが同一である場合を前提として説明したが、勿論、このような前提を外してもよい。この場合には、前列ヘッド16および後列ヘッド16のうちY方向に隣接するもの同士を一組として、ヘッドユニット6が撮像ユニット7上方を通過する間、各一組のヘッドに保持される部品毎に、図5のステップS5〜ステップS27の処理に基づいて部品を撮像させるようにすればよい。
【0073】
また、上記実施形態では、撮像ユニット7が基台1上に固定的に配置され、ヘッドユニット6がこの撮像ユニット7上方を移動することで各実装ヘッド16の保持部品が撮像ユニット7により撮像されるが、本発明は、このような構成以外に、ヘッドユニット6に撮像ユニットが搭載され、ヘッドユニット6において撮像ユニットがX方向に移動することにより各実装ヘッド16の保持部品が当該撮像ユニットにより撮像されるタイプの部品実装装置についても適用可能である。
【0074】
また、この実施形態の部品実装装置は、上記の通り、本発明にかかる部品撮像装置(部品撮像方法)が適用された部品実装装置でもあるが、本発明にかかる部品撮像装置や部品撮像方法は、部品実装装置に限らず、例えば部品供給部からヘッドにより部品を吸着保持し、その部品の吸着状態等を撮像ユニットにより撮像、認識した上で試験部に搬送して通電試験等の部品の試験を行う部品試験装置についても適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
6 ヘッドユニット
7 撮像ユニット
16 実装ヘッド
30 カメラ
31 照明装置
32 照明制御部
40 制御手段
41 主制御部
42 画像処理部
42a 飽和画像補完部
44 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のタイミングでライン画像の撮像動作を行い、得られたライン画像を撮像ライン毎の画像として出力するラインセンサと照明手段とを用い、適正な照明強度が互いに異なる複数の部品を当該ラインセンサにより同時に撮像する部品撮像方法であって、
前記複数の部品それぞれについて、部品認識に適した部品画像を得ることが可能な適正照明強度を求める撮像準備工程と、
前記複数の部品が前記ラインセンサの主走査方向に並ぶように当該複数の部品を配列した状態で当該複数の部品を一体的に前記ラインセンサに対してその副走査方向に相対移動させると共に、その相対移動中、一撮像ライン毎に前記照明手段の照明強度を各部品の適正照明強度に順番に切り換えながら前記複数の部品の画像を取得する部品撮像工程と、
前記複数の部品それぞれの部品画像について、適正照明強度以外の照明強度で撮像されたライン画像を、当該ライン画像が撮像された照明強度と当該部品画像の部品の適正照明強度との比率に基づいて補完する画像処理工程と、を含むことを特徴とする部品撮像方法。
【請求項2】
請求項1に記載の部品撮像方法において、
前記画像処理工程では、前記部品画像のうち適正照明強度以外の照明強度で撮像されたライン画像が飽和画素を含むときには、当該飽和画素については上記比率に基づき画像を補完する代わりに、当該部品画像のうち適正照明強度で撮像されたライン画像であってかつ前記飽和画素を含むライン画像に最も近いライン画像に基づいて前記飽和画素の画像を補完することを特徴とする部品撮像方法。
【請求項3】
所定のタイミングでライン画像の撮像動作を行い、得られたライン画像を撮像ライン毎の画像として出力するラインセンサと、
適正な照明強度が互いに異なる複数の部品を前記ラインセンサの主走査方向に配列した状態で当該ラインセンサに対してその副走査方向に一体的に相対移動させる移動手段と、
前記移動手段により移動させられる部品を照明する照明手段と、
前記複数の部品それぞれの照明強度であって各部品の部品認識に適した適正照明強度データが記憶された照明強度データ記憶手段と、
前記相対移動中、一撮像ライン毎に前記照明手段の照明強度が各部品の適正照明強度に順番に切り換えられながら前記複数の部品の画像が取り込まれるように前記ラインセンサの走査タイミングを制御すると共に前記照明強度データ記憶手段に記憶された適正照明強度データに基づいて前記照明手段の照明強度を制御する撮像制御手段と、
前記ラインセンサにより撮像された前記複数の部品それぞれの部品画像について、適正照明強度以外の照明強度で撮像されたライン画像の画像データを当該ライン画像が撮像された照明強度と当該部品画像の部品の適正照明強度との比率に基づいて補完する画像処理手段と、を備えていることを特徴とする部品撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の部品撮像装置において、
前記画像処理手段は、前記部品画像のうち適正照明強度以外の照明強度で撮像されたライン画像が飽和画素を含むときに、当該飽和画素の画像データを補完する飽和画像補完手段を含み、
この飽和画像補完手段は、前記飽和画素を含むライン画像の両側に位置するライン画像であって当該部品画像の部品の適正照明強度で撮像されたライン画像の画像データに基づいて前記飽和画素の画像データを補完することを特徴とする部品撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の部品撮像装置において、
前記複数の部品として第1部品とこれよりも適正照明強度が強い第2部品とを撮像するものであって、
前記照明強度データ記憶手段は、前記適正照明強度データとして前記第1部品の認識に適した第1照明強度および前記第2部品の認識に適した第2照明強度を記憶し、
前記撮像制御手段は、一撮像ライン毎に前記照明手段の照明強度が前記第1照明強度と前記第2照明強度とに交互に切り換えられながら前記第1部品および前記第2部品が撮像されるように前記ラインセンサの走査タイミングおよび前記照明手段の照明強度を制御し、
前記画像処理手段は、前記第1部品の部品画像のうち第2照明強度で撮像されたライン画像の画像データを前記第2照明強度に対する前記第1照明強度の比率で補完する一方で、前記第2部品の部品画像のうち第1照明強度で撮像されたライン画像の画像データを前記第1照明強度に対する前記第2照明強度の比率で補完し、
前記飽和画像補完手段は、前記第1部品の部品画像のうち前記第2照明強度で撮像されたライン画像が飽和画素を含むときには、当該ライン画像に隣接するライン画像の画素のうち前記飽和画素に隣接する画素の画像データに基づき前記飽和画素の画像データを補完することを特徴とする部品撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の部品撮像装置において、
前記飽和画像補完手段は、前記飽和画素を含むライン画像に隣接するライン画像の画素のうち前記飽和画素に隣接する画素の画像データの平均値を前記飽和画素の画像データとすることを特徴とする部品撮像装置。
【請求項7】
請求項5に記載の部品撮像装置において、
前記飽和画像補完手段は、前記飽和画素を含むライン画像の一方側に隣接するライン画像の画素のうち前記飽和画素に隣接する複数画素の画像データの中間値と、他方側に隣接するライン画像の画素のうち前記飽和画素に隣接する複数画素の画像データの中間値との平均値を前記飽和画素の画像データとすることを特徴とする部品撮像装置。
【請求項8】
特定方向に並ぶそれぞれ部品を保持可能な複数の実装ヘッドと、
請求項3乃至7の何れか一項に記載の部品撮像装置と、
前記複数の実装ヘッドに保持されかつ前記部品撮像装置により撮像された前記部品の画像データに基づき前記実装ヘッドによる部品の保持状態を認識した上で当該部品を前記実装ヘッドにより基板に搭載させる搭載手段と、を含み、
前記部品撮像装置の前記移動手段は、前記ラインセンサの主走査方向に前記複数の実装ヘッドが並ぶ状態で当該実装ヘッドを当該当該ラインセンサに対してその副走査方向に一体的に相対移動させるものであり、
前記搭載手段は、前記複数の実装ヘッドを前記基板に対して相対的に移動させることにより前記部品を前記基板上に搭載する、ことを特徴とする部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−256732(P2012−256732A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129143(P2011−129143)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】