説明

配合物及びその使用

請求されるものは、a)分散性を有し、ポリエーテル側鎖を有する分岐鎖コームポリマー、ナフタレンスルホネート−ホルムアルデヒド縮合物及びメラミンスルホネート−ホルムアルデヒド縮合物から選択される少なくとも1つの成分と、b)重縮合物とを含有する配合物である。成分a)の典型的な代表例として、ポリカルボン酸エーテル、ポリカルボン酸エステル及び非荷電コポリマーがあげられる。主要な成分a)及びb)に加えて、消泡剤及び界面活性剤又は低電荷を有するポリマー、中性ポリマー若しくはポリビニルアルコールのような更なる添加剤を配合物に含めることができ、このことは、建設用化学製品の水性懸濁液の流動性を調節するのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、水硬結合剤の分散体用の配合物、特に石膏含有組成物である。
【0002】
セメント質及び石膏組成物用の従来の分散剤は、典型的には、良好な減水を達成するが、これらは長時間にわたって作業性を保持する能力に限界がある。作業性保持の延長のための代替的な方法は、遅延混合物の使用である。この筋書きにおいて、作業性保持の利点は、多くの場合に凝結時間及び初期強度を犠牲にして達成される。したがって、これらの分散体の有用性は、分子設計における本質的な限界により制限されている。
【0003】
有用な分散体は、水硬化系において経時的にその化学構造が静止的なものである。これらの性能は、ポリマー分子内に固定されているモノマーモル比により制御されている。減水効果又は分散効果は、水硬化粒子表面への分散体吸着によって観察される。より大きな表面積を作り出す摩耗及び水和生成物形成のために分散体への需要が経時的に増加するので、これら従来の分散剤は対応することができず、作業性が失われる。
【0004】
典型的には、延長作業性の問題は、水硬化性組成物に対する再調質(更なる水の添加)又はより広範囲の減水剤の添加のいずれかにより解決される。水の添加は低い強度をもたらし、したがって水硬化性結合剤の含有量に関して「機能過多」な混合物の必要性を生み出す。
【0005】
多様な種類の有機化合物が、液状水硬結合剤組成物の特定の特性を有利に変えるために使用されてきた。「高流動化剤」と集合的に呼ぶことができる1つの部類の成分は、液状結合剤組成物を流体化又は可塑化して、より流動性の高い混合物を得る。モルタル及びコンクリートに使用される骨材が、結合剤ペーストから隔離されないように調節された流動性が望ましい。あるいは、高流動化剤は、硬化後により高い圧縮強さの発生を有する硬化組成物を多くの場合にもたらす望ましい粘稠度を有する組成物を得るために、セメント組成物が低い水:結合剤の比を使用して製造されうるようにすることができる。
【0006】
良好な高流動化剤は、それが添加される液状水硬結合剤組成物を流体化するばかりでなく、望ましい期間にわたって流動性のレベルも維持するべきである。この期間は、液状組成物を、例えば作業現場に行く間に、レディーミックストラックにおいて流体に保持するのに十分な長さであるべきである。別の重要な態様は、作業現場でトラックから排出する時間及びセメント組成物が所望の最終形態に作業されるのに必要な時間に関する。一方、水硬混合物は、あまり長い間流体のままでいることができず、これは凝固が大きく遅延してはならないことを意味し、それは作業の実施を遅らせ、最終硬化生成物の特性に悪影響を示すからである。
【0007】
高流動化剤の従来の例として、メラミンスルホネート/ホルムアルデヒド縮合物、ナフタレンスルホネート/ホルムアルデヒド縮合物及びリグノスルホネート、多糖類、ヒドロキシカルボン酸及びこれらの塩、並びに炭水化物があげられる。
【0008】
大部分の場合において、流動化剤は、最も重要な種としてオキシアルキレングリコールアルケニルエーテル及び不飽和ジカルボン酸誘導体に基づいたコポリマーの多成分生成物である。欧州特許EP0736553B1は、少なくとも3つのサブユニット、特に1つの不飽和ジカルボン酸誘導体、1つのオキシアルキレングリコールアルケニルエーテル及び追加的にエステル単位のような1つの疎水性構造単位を含む、そのようなコポリマーを開示する。第3の構造単位は、ポリプロピレンオキシド誘導体及びポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシド誘導体によりそれぞれ表すこともできる。
【0009】
ドイツ国公開出願DE19543304A1は、a)水溶性スルホン酸含有、カルボン酸含有又は硫酸基含有セルロース誘導体、b)スルホン酸含有及び/若しくはカルボン酸含有ビニル−(コ)−ポリマー、並びに/又はアミノプラストビルダー若しくアクリル含有化合物及びホルムアルデヒドに基づく縮合物を含む建設分野の水含有混合物用の添加剤を開示する。この添加剤は、十分な水保持能力及びレオロジー変性特性を示す。したがって、この添加剤は、セメント、石灰、石膏、硬石膏及び他の水硬結合剤成分を含有する建築用化学組成物に適している。
【0010】
鉱物又は瀝青質結合剤に基づく水性懸濁液用の添加剤として使用される不飽和モノカルボン酸誘導体又はジカルボン酸誘導体、オキシアルキレングリコールアルケニルエーテル、ビニルポリアルキレングリコール、ポリシロキサン又はエステル化合物に基づいたコポリマーが、US6,777,517B1に記載されている。そのような添加剤の使用は、水/結合剤比の低下をもたらし、建築材料混合物から個別の構成成分が隔離されない流動性の高い建築材料をもたらす。この米国特許のコポリマーは、無機及び有機固体の水性懸濁液、特にセメント、焼き石膏、石灰、硬石膏又は硫酸カルシウムに基づいた他の建築材料のような鉱物又は瀝青質結合剤に基づいた懸濁液用の添加剤として有用である。
【0011】
従来技術により開示されたものも、セメント含有混合物用の可塑剤として使用可能なエチレン性不飽和エーテルのコポリマーである(EP0537870A1)。これらのコポリマーは、エーテルコモノマー、追加のコモノマーとして、オレフィン性不飽和モノカルボン酸又はそのエステル若しくは塩、あるいはオレフィン性不飽和硫酸を含有する。これらのコポリマーは、1〜50単位の非常に短いエーテル側鎖を示す。短い側鎖は、建設用化学物質それ自体のスランプ低下が低減されたセメント含有物質においてコポリマーの十分な可塑効果を引き起こす。
【0012】
US6,139,623B1は、消泡剤と、界面活性剤と、イオン結合及びオキシアルキレン基を形成することによりセメント固定メンバーとして機能する基が結合している炭素含有主鎖を有するコポリマーとを乳化して形成される水硬セメント組成物に使用される、エマルション混合物を開示する。エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EP/PO)型コームポリマー及び消泡剤を含むこの混合物は、コンクリートのような水硬セメント組成物において予測可能な空気調節を可能にする。用語「セメント組成物」は、ペースト、モルタル、油井用セメントグラウトのようなグラウト及び水硬セメント結合剤を含むコンクリート組成物を意味する。典型的な消泡剤は、リン酸エステル、ホウ酸エステル及び脱泡性を有するポリオキシアルキレンコポリマーである。表面活性成分(界面活性剤)は、エマルション混合物を安定化すると言われており、炭水化物のエステル化脂肪酸エステル、ポリアルキレン基を有するC2〜C20アルコール又はこれらの混合物からなる群より選択される。
【0013】
US2006/0281886は、a)オレフィン性不飽和モノカルボン酸コモノマー又はそのエステル若しくは塩、或いはオレフィン性不飽和スルホン酸コモノマー又はその塩である成分と、b)好ましくはエーテル化合物により表される成分の2つのモノマー成分を含むコポリマーを開示する。これら2つのモノマーコポリマーは、好ましくは、水硬結合剤含有組成物において高流動化剤として使用することができる。ここでは、コポリマーを、コポリマーの追加的な構造単位でもある脱泡成分と組み合わせて使用可能なことを代替的に開示している。したがって、脱泡成分はコポリマーに化学的に結合されうる又はブレンドに遊離形態で存在しうる。一般的な態様において、従来技術は、硫酸カルシウム含有結合剤系に典型的な添加剤として、ポリカルボン酸エーテル(PCE)のような分散剤(可塑剤)の使用を教示する。これは、減水はもとより圧縮強さのような物理的特性の向上ももたらす。加えて、建設用化学組成物の作業性及び好ましくはレオロジー挙動が改善される。一方、PCE系分散剤の添加は、結合剤成分に明確な空気飛沫同伴を引き起こし、組成物の物理的特性を悪化する。別の否定的な一面は、結合剤系の製造の際の泡形成である。これらの欠点を克服するために、脱泡剤成分を追加の添加剤として分散剤に使用する。しかし、脱泡剤は、水性配合物において低い可溶性を示し、不十分な安定性を引き起こす。更に、配合物の脱泡性は、脱泡剤と分散剤の相分離がもたらされるので経時的に減少する。
【0014】
上記高流動化剤の異なる特性及び利用可能性に基づいて、現在の技術のものよりも改善された、混合物として適した新たな配合物を作り出すことが更に望ましい。したがって、液状結合剤組成物に優れた流動化特性及び減水性を付与する、硫酸カルシウム結合剤含有組成物用の新たな配合物を提供することが、本発明の目的である。更に、提供されるコポリマーの特性、性能及び効果は恣意的である。
【0015】
石膏プラスターボードの製造において、乾燥費用を削減するために、水/石膏値を可能な限り低く確立することが必要である。加えて、石膏混合物は、プレートの必要な切断強度が可能な限り短時間後にコンベアベルト上において付与されるように、可能な限り素早く凝固するべきである。このために、特にポリカルボン酸エーテルに基づいた分散体が開発された(DE102006027035A1;US7,070,648B1)。
【0016】
US2008/017078は、硫酸カルシウムに基づいた結合剤系用の液体混合組成物及び使用方法を教示する。開示された混合物は、コポリマー分散成分、消泡剤成分、界面活性剤成分及び水の水性組成物を含む。成分は、ブレンドでありうるか又は物理的若しくは化学的に結合していることができ、硫酸カルシウム化合物含有建設用化学組成物の分散剤として使用可能な安定した液体系をもたらすことができる。この文書に開示されている混合組成物、特に分散剤としてのその適用は、含有した水性組成物との混合物が常に均一な可塑効果を誘導するので現在の技術における更なる改善を表し、液状建築用化学石膏物質における水と空気の両方の含有量を低減するので物理的特性における改善を表す。更に、混合物は、保存安定性及び均質性の改善を示す。
【0017】
発泡性の固体及び速乾性石膏生成物用の石膏混合物、並びに改質剤及び分散剤を使用して石膏スラリーを作製する方法は、US2009/0101045、US2006/0281837、US2006/0280899、US2006/0280898、US2006/0278135、US2006/0278134、US2006/0278130、US2006/0278127、US2005/0250888、US2005/0239924及びUS2006/0280970に開示されている。これらの文書に記述されている分散剤は、オレフィン性不飽和モノカルボン酸反復単位及び第2反復単位としてエーテル結合によりポリエーテルに結合しているビニル又はアリル基の2つの反復単位を有する分散剤であるポリカルボン酸エステル分散剤を表す。
【0018】
これらの文書のいずれかに示されている結果は、そのような分散剤を使用して、ポリカルボン酸エーテルのような高流動化剤により既知の有利な物理的特性を達成できることを確認する。
【0019】
したがって、水硬結合剤用の適切で十分に確立された分散成分に基づく経済的で効果的な新たな配合物を提供することが、本発明の目的であり、この分散剤は、コンクリート及び他の水硬結合剤に基づいた系のための可塑剤/減水剤として特に適しており、簡素な方法により安価で製造することができる。
【0020】
したがって、本発明により提供されるものは、水硬結合剤、好ましくは硫酸カルシウム含有混合物及び水に対して作業性を広げる配合物であり、混合物に分散成分の組み合わせを導入することを含む。主題の配合物は、水硬凝結組成物より良好な作業性及び流動性を達成し、低い水/水硬結合剤値を確立する。
【0021】
詳細な説明
本発明は、
a)分散性を有し、ポリエーテル側鎖を有する分岐鎖コームポリマーを少なくとも含有する化合物、ナフタレンスルホネート−ホルムアルデヒド縮合物(「BNS」)及びメラミンスルホネート−ホルムアルデヒド縮合物(「MSF」)からなる群より選択される、少なくとも1つの成分と、
b)下記:
(I)芳香族又は複素環式芳香族のサブユニットを有する少なくとも1つの構造単位及び少なくとも1つのポリエーテル側鎖、並びに
(II)芳香族又は複素環式芳香族のサブユニットを有する少なくとも1つのリン酸塩化構造単位、並びに
(III)芳香族又は複素環式芳香族のサブユニットを有する少なくとも1つの構造単位
を含有する重縮合物と
を含有する配合物であって、
構造単位(II)と構造単位(III)が、構造単位(II)のOP(OH)2基が構造単位(III)においてHに代わっている点においてのみ異なっており、構造単位(III)が構造単位(I)と同じではなく、配合物が、水硬結合剤、好ましくは硫酸カルシウム結合剤系含有組成物用の混合物として適している
前記配合物に関する。
【0022】
本発明の用語「水硬結合剤」は、セメント、好ましくはCEM I、CEM II、CEM III、CEM IV及びCEM Vにより表されるポルトランドセメント、白色セメント、生石灰及びアルミナセメントを意味する。
【0023】
本発明の用語「潜在水硬結合剤」は、フライアッシュ、高炉スラグ、メタカオリン、マイクロシリカ、トラス化合物、アルモケイ酸塩、凝灰岩、ホムリト、ケイ藻土及びオイルシェルの群から選択される少なくとも1つの代表例を意味する。
【0024】
本発明の用語「硫酸カルシウム化合物」は、石膏、硬石膏、硫酸カルシウム二水和物及び硫酸カルシウム半水和物のような無水及び水和形態の硫酸カルシウムを意味する。
【0025】
本発明の用語「石膏」も硫酸カルシウムとして知られており、これにより硫酸カルシウムを、結晶水を有する又は有さない多様な無水及び水和形態で使用することができる。天然石膏は、硫酸カルシウム二水和物により表され、天然結晶水非含有形態の硫酸カルシウムは、用語「硬石膏」により表される。天然形態の他に、硫酸カルシウムは、用語「合成石膏」により特徴付けられる技術的な方法の典型的な副産物である。そのような技術的な方法の一例として排煙脱硫があげられる。合成石膏は、半水和物形態(CaSO4 2O)を得るリン酸とフッ化水素の生成方法における副産物でもありうる。石膏(CaSO4・2H2O)を、水和の水を追い出すことによりか焼することができる。多様なか焼手順による生成物は、アルファ又はベータ半水和物である。ベータ硫酸カルシウム半水和物は、開放ユニットにおける素早い加熱による水の素早い蒸発及び空洞の形成によってもたらされる。アルファ半水和物は、密閉オートクレーブにおける石膏の排水により生成される。この場合に形成される結晶形態は高密度であり、したがってこの結合剤は、ベータ半水和物よりも少ない量の水を必要とする。一方、半水石膏を水で再水和すると二水和物結晶になる。通常、石膏の水和は、数分から数時間を必要とし、数時間から数日間かけて水和するセメントと対照的に明らかに短い作業性の期間を示す。これらの特性は、多様な適用分野において水硬結合剤として石膏をセメントよりも魅力的にしており、それは、硬化石膏最終生成物が特徴的な硬度及び圧縮強さを示すからである。
【0026】
硫酸カルシウム半水和物は、少なくとも2つの結晶形態を生成することができ、これによりαか焼石膏は、通常、密閉オートクレーブにおいて排水(脱水)される。多様な適用分野において、βか焼石膏は、経済面におけるその利用可能性によって選択されうる。しかし、これらの利点は、βか焼石膏が作業性のため及びスラリーを所定の流動性にするために多量の水を必要とするので逆転する場合がある。硬化又は乾燥した石膏は、その結晶マトリックスに残った水に基づく特定の弱点を持つ傾向がある。したがって、その生成物は、少量の水で作製された石膏生成物よりも低い強度を示す。
【0027】
一般に、石膏のみならず他の水硬結合剤の作業性も、分散剤を添加する水硬性の態様において改善されうる。これに関連して、本発明の配合物は、その成分の分散性のために適切な分散剤を表す。
【0028】
1.成分a)
本発明の配合物の成分a)は、分散性を有し、ポリエーテル側鎖を有する分岐鎖コームポリマーを少なくとも含有する化合物、ナフタレンスルホネート−ホルムアルデヒド縮合物(「BNS」)及びメラミンスルホネート−ホルムアルデヒド縮合物(「MSF」)からなる群より選択される。
【0029】
分散剤作用を有する成分a)としてポリエーテル側鎖を有する分岐鎖コームポリマーを含有する配合物は、極めて効果的であることが見出されている。したがって、成分a)がポリカルボン酸エーテルa1)、ポリカルボン酸エステルa2)、非荷電コポリマーa3)又はこれらの混合物であることは、好ましい実施態様として見ることができる。一般に、そして成分a)の分散性に追加的に、脱泡性及び表面活性の活動を示すポリカルボン酸エステルa2)が好ましい。
【0030】
1.1 コポリマーa1
本発明の意味において成分a1)として適しているそのようなポリエーテル含有コポリマーは、WO2006/133933A2において以前に記載されている。これらのコポリマーは、第1モノマー成分が、オレフィン性不飽和モノカルボン酸コモノマー又はそのエステル若しくは塩、並びに/又はオレフィン性不飽和スルホン酸コモノマー若しくはその塩であり、第2モノマー成分が、一般式(I):
【化1】

〔式中、R1は、下記:
【化2】

を表し、
2は、H又はC原子1〜5個の脂肪族炭化水素残基を表し、R3は、非置換又は置換アリール残基、好ましくはフェニルであり、R4は、H又はC原子1〜20個の脂肪族炭化水素残基、C原子5〜8個の脂環式炭化水素残基、C原子6〜14個の置換アリール残基又は下記:
【化3】

の一連のメンバーであり、
ここで、R5及びR7は、それぞれ、アルキル、アリール、アラルキル又はアルカリール残基を表し、
6は、アルキリデン、アリーリデン、アラルキリデン又はアルカリーリデン残基を表し、
pは、0、1、2、3又は4であり、
m、nは、互いに独立して、2、3、4又は5を意味し、
x及びyは、互いに独立して、整数≦350を示し、
そして
zは、0〜200である〕
のコモノマーである、2つのモノマー成分からなる。
【0031】
これに関連して、(I)コポリマーa1)において、成分1)及び2)を表すコモノマー単位は、それぞれの場合において、内部分子の差を有さず、並びに/又は(II)コポリマーa1)は、成分1)及び2)のポリマー混合物を表し、この場合、コモノマー単位は、基R1及び/若しくはR2及び/若しくはR3及び/若しくはR4及び/若しくはR5及び/若しくはR6及び/若しくはR7及び/若しくはm及び/若しくはn及び/若しくはx及び/若しくはy及び/若しくはzに関して内部分子の差を有し、考察される差は、特に組成及び側鎖の長さに関する。
【0032】
コポリマーに関して、WO2006/133933A2の開示は、実質的に本開示と一体である。
【0033】
特に、本発明は、コポリマーa1)がコモノマー成分1)を30〜99mol%の割合で含有し、コモノマー成分2)を70〜1mol%の割合で含有する配合物を含む。コモノマー成分1)を40〜90mol%の割合で含有し、コモノマー成分2)を60〜10mol%の割合で含有するコポリマーa1)が、これに関連して特に有利であることが見出された。
【0034】
コモノマー成分1)は、好ましくは、アクリル酸又はその塩であり、コモノマー成分2)は、pが0又は1である場合、ビニル又はアリル基及び残基R1としてポリエステルを含有する修飾でありうる。
【0035】
更に、本発明の文脈において、コモノマー成分1)が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、並びにこれらの適切な塩及びそのアルキル又はヒドロキシアルキルエステルの群から誘導される場合に有利であると考慮することができる。
【0036】
加えて、コポリマーa1)は、追加の構造基を共重合形態で有することができ、これも本発明において考慮される。この場合、追加の構造基は、スチレン、アクリルアミド及び/又は疎水性化合物でありえ、エステル構造単位、ポリプロピレンオキシド及びポリプロピレンオキシド/ポリエチレンオキシド単位が特に好ましい。コポリマーa1)は、前記の追加の構造基を5mol%まで、好ましくは0.05〜3.0mol%、特に0.1〜1.0mol%の割合で含有するべきである。
【0037】
加えて、式(I)がアリル又はビニル基を含有するポリエステルを表す場合、有利である。
【0038】
カルボン酸エステル修飾a2)及びその可能な形態に関して、参照は特にEP0753488B1に対してなされ、この文書に記載されている分散剤に関する内容は本開示と一体の部分である。
【0039】
好ましいコームポリマーとしてポリカルボン酸エステルa2)を考慮すると、本発明は、このエステルa2)を、主要成分として代表的なカルボン酸モノマー型を含有するモノマー混合物(I)の重合により製造可能なポリマーであると特定する。本発明の成分a2)の重要な態様は、そのようなポリカルボン酸エステル型の消泡性及び/又は脱泡性及び/又は表面活性において見られる必要がある。このために、本発明の配合物は、成分a)として分散性を有する消泡剤/表面活性剤と重縮合成分b)との組み合わせも含む。より好ましい実施態様において、モノマー混合物(I)は、一般式(II):
【化4】

〔式中、R1は、水素原子又はCH3基を表し、R2Oは、2〜4個の炭素原子を有する少なくとも2つのオキシアルキレン基の1つの代表例又は混合物を表し、R3は、水素原子又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表し、そしてmは、1〜250の数を表し、付加されるオキシアルキレン基のモルの平均数を表す〕の(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノマー(a)、
追加的に、モノマー(b)として、一般式(III):
【化5】

〔式中、R4は、水素原子又はCH3基を表し、そしてM1は、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基又は有機アミンを表す〕の(メタ)アクリル酸、並びに場合により、モノマー(a)及び(b)と共重合しているモノマー(c)を含有する。モノマー(a)は、5〜98質量%の量、モノマー(b)は2〜95質量%の割合、モノマー(c)は50質量%までの割合で、モノマー混合物(I)に存在することができ、ここでモノマー(a)、(b)及び(c)のそれぞれの割合は、合計で100質量%になる。
【0040】
モノマー(a)の典型的な代表例として、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート又はこれらの混合物が可能である。
【0041】
モノマー(b)では、アクリル酸、メタクリル酸、一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及びその有機アミン塩からなる群の代表例、並びに前記代表例の少なくとも2つの混合物が好ましいと考慮される。
【0042】
モノマー(c)に関して、本発明の配合物は、1〜20個の炭素原子の脂肪族アルコールと不飽和カルボン酸とのエステルの少なくとも1つの代表例を含有するべきである。不飽和カルボン酸としては、特に、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、(メタ)アクリル酸又は一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩若しくはこれらの有機アミン塩が特に適している。マレイン酸、フマル酸又はシトラコン酸のような不飽和ジカルボン酸と脂肪族C1〜C20アルコール、C2〜C4グリコール又は(アルコキシ)ポリアルキレングリコールとのモノエステル又はジエステルが、本発明のモノマー(c)の好ましい代表例である。
【0043】
1.2 コポリマーa2
本発明の文脈において、成分a2)は、以下のモノマーの少なくとも1つから作製されるコポリマーでありうる:
A)加水分解性残基を含有するエチレン性不飽和モノマー、
B)鎖長さが1〜30単位の少なくとも1つのC2〜C4オキシアルキレン側基を有するエチレン性不飽和モノマー、
C)鎖長さが31〜350単位の少なくとも1つのC2〜C4オキシアルキレン側基を有するエチレン性不飽和モノマー。
【0044】
本発明の好ましい実施態様において、成分B)及びC)は、請求される配合物のコポリマーa2)において同時に表される。
【0045】
本発明のモノマーA)、B)及びC)の少なくとも1つの構築であるこのコポリマー修正において、成分A)のエチレン性不飽和モノマーは、少なくとも1つの無水物若しくはイミド及び/又は少なくとも1つの無水マレイン酸若しくはマレイミドでありうる。しかし成分A)のエチレン性不飽和モノマーは、加水分解性残基を含有するエステル官能基を有するアクリル酸エステルを含むこともできる。この場合、エステル官能基が少なくとも1つのヒドロキシプロピル又はヒドロキシエチル基であるときに、好ましいと考慮されるべきである。
【0046】
しかし更なる実施態様において、コポリマーa2)は、加水分解性基を有する2つ以上のエチレン性不飽和モノマーを含むことができる。ここで、成分A)のエチレン性不飽和モノマーは、残基として、少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和モノマーの代表例、少なくとも1つの加水分解性基の代表例又は両方の混合物を有することが特に推奨される。これに関して、加水分解性基は、少なくとも1つのC2〜C20アルコール官能基を有するべきである。本発明は、加水分解性残基が少なくとも1つのC1〜C20アルキルエステル、1つのC1〜C20アミノアルキルエステル、1つのC2〜C20アルコール、1つのC2〜C20アミノアルコール又は1つのアミドである可能性も含む。
【0047】
本発明は、成分B)又はC)の少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーがC2〜C8アルキルエーテル基を有することを更に含む。この場合、エチレン性不飽和モノマーは、ビニル、アリル又は(メチル)アリルエーテル残基を有することができるか、そうでなければ不飽和C2〜C8アルコールから誘導されうる。後に示された不飽和C2〜C8アルコールの場合、少なくとも1つのビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール又はメチルブテノールが、代表例として特に好ましく可能性のあるものである。
【0048】
しかし成分B)又はC)のエチレン性不飽和モノマー側基は、少なくとも1つのC4オキシアルキレン単位を含有することもできる。
【0049】
全体的に、記載されたばかりの修飾に関連して、コームポリマーa2)を考慮すると、成分B)又はC)の少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーは、特に加水分解性であるC2〜C8カルボン酸エステルを有しえると記述することができる。更に、本発明は、オキシアルキル側基が少なくとも1つのエチレンオキシド、1つのプロピレンオキシド、1つのポリエチレンオキシド、1つのポリプロピレンオキシド又はこれらの混合物を有する修飾を含む。
【0050】
最後に、成分C)のコポリマーa2)は、少なくとも1つの非イオン性(「非荷電」)及び/若しくは1つの非加水分解性モノマー残基又はこれらの混合物を有することができる。
【0051】
1.3 コポリマーa3
成分a)に関して詳細に記載したばかりの2つの修飾、すなわちポリカルボン酸エーテル及びポリカルボン酸エステルとしての形態に加えて、本発明はコームポリマーa)の第3の修飾も含み、これは非イオン性(非荷電)コポリマーa3)である。ここで、一般式(IV)の代表例が好ましく、
【化6】

【0052】
式中、Qは、少なくとも1つの加水分解性残基を有するエチレン性不飽和モノマーを表し、Gは、O、C(O)−O又はO−(CH2)p−Oを意味し、pは2〜8であり、ここで1つのポリマーにおいてGの修飾の混合物が可能であり;R1及びR2は、互いに独立して、少なくとも1つのC2〜C8アルキルを意味し;R3は、(CH2cを含み、cは2〜5の整数であり、ここで同じポリマー分子におけるR3の代表例の混合物が可能であり;R5は、一連のH、直鎖若しくは分岐鎖、飽和若しくは不飽和C1〜C20脂肪族炭化水素残基、C5〜C8脂環式炭化水素残基又は置換若しくは非置換C6〜C14アリール残基から選択される少なくとも1つの代表例を意味し;mは、1〜30であり、nは、31〜350であり、wは1〜40であり;yは、0〜1であり、そしてzは、0〜1であり、ここで合計(y+z)は>0である。
【0053】
しかし、非イオン性コポリマーa3)は、代替的に、一般式(V):
【化7】

〔式中、Xは、加水分解性残基を表し、Rは、H又はCH3を表し、そしてG、p、R1、R2、R3、R5、m、n、w、y、z及び(y+z)は、式(IV)において記述された意味を有する〕の代表例でもありうる。
【0054】
非イオン性コポリマーa3)の構造が式(V)に対応する場合、好ましい実施態様において、加水分解性残基は、一連のアルキルエステル、アミノアルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステル、アミノヒドロキシアルキルエステル又はアミドの少なくとも1つの代表例でありうる。
【0055】
非イオン性コポリマーa3)として考慮される第3の代替案として、本発明は、一般式(VI):
【化8】

〔式中、R4は、少なくとも1つのC1〜C20アルキル又はC2〜C20ヒドロキシアルキル基を意味し、そして基G、p、R、R1、R2、R3、c、R4、R5、並びにm、n、w、y、z及び(y+z)は、式(IV)及び(V)において記述された意味を有する〕の少なくとも1つの代表例を特定する。
【0056】
この式(VI)において、pは4であり、R4はC24OH又はC36OHであり、基R5はそれぞれHを表し、mは5〜30であり、nは31〜250であり、wは1.5〜30であり、yは0〜1であり、zは0〜1であり、そして(y+z)は>0であることが、好ましい選択肢であると考慮されるべきである。
【0057】
更に、前記式(IV)、(V)及び(VI)において、wと合計(y+z)のモル比が1:1〜20:1、好ましくは2:1〜12:1であることが、好ましい実施態様であると考慮されるべきである。
【0058】
式(VI)に対応するコポリマーa3)の第3の修飾の代表例は、特に非イオン性ポリエーテル−ポリエステルコポリマーであるべきである。
【0059】
用語「非イオン性」及び「非荷電」は、本文脈において同義語であると理解されるべきである。
【0060】
本発明の配合物にそれぞれ含有されている成分a)、並びにその好ましい代表例a1)、a2)及び/又はa3)にかかわりなく、本発明は、配合物が、それぞれの場合において配合物全体に基づいて成分a)を5〜95質量%、好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは15〜40質量%の割合で含有することを特定する。
【0061】
1.4 スルホン化縮合物
スルホン酸基含有sトリアジン又はナフタレン−ホルムアルデヒド縮合物は、従来技術の文書において広範囲に開示されており、コンクリートのようなセメントに基づいた系のための減水剤又は可塑剤として頻繁に使用されている。
【0062】
ナフタレン−ホルムアルデヒドスルホネート(「NFS」)としても知られているβナフタレン−スルホネート−ホルムアルデヒド縮合物(「BNS」)は、吸着過程によりもたらされる静電反発力によりセメント粒子を分散する。
【0063】
BNS又はNFSは、高い分散性、低い発泡性及び広い範囲の減水性を有するセメント粒子を作製するのに適しており、したがって、セメントのような水硬結合剤又は亜硫酸カルシウム系結合剤を保って、セメントの移動性及び作業性を改善することが可能である。BNSは、コンクリートの現場打ち、先行製作、ポンプ圧送及び養生用の広範囲の混合物であり、BNSは、セメント及び他の水硬結合剤に対して良好な適合性を有し、鉄筋に対して腐食性がなく、非毒性であり、無公害である。したがって、高速道路、橋梁、トンネル、工業用建物、プレストレス力部品及びハイレンジコンクリートのように建設産業において広範囲に適用されている。
【0064】
通常、可塑剤又は分散剤として適しているそのような縮合物は、ナフタレンスルホン酸のような芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの、大気圧及び100℃までの温度下での反応により製造される。
【0065】
BNSの製造及び使用は、現在の技術において良く知られており、例えばEP0214412A1及びDE−PS2007603に開示されている。
【0066】
BNSの効果及び特性は、通常0.7〜3.5までのホルムアルデヒドとナフタレン成分のモル比を変えることにより修飾することができる。ホルムアルデヒドとスルホン化ナフタレン成分の比は、好ましくは0.8〜3.5〜1である。
【0067】
BNS縮合物は、水硬結合剤含有組成物に0.01〜6.0質量%までの量で添加される。
【0068】
メラミン−スルホネート−ホルムアルデヒド縮合物(「MFS」)は、乾燥モルタル混合物、注入可能モルタル及び他のセメント結合建設材料のような水硬結合剤含有組成物の処理における流動性向上剤として広く使用されている。
【0069】
メラミンは、これに関連してs−トリアジンの代表例として使用され、そのためこれらの向上剤はMFS樹脂として知られている。これらのみならず既に記述されたBNSの代表例は、硬化建築材料の加工において又は機能性において生じるあらゆる望ましくない副作用なしで、建設用化学混合物に強力な液化効果を生じる。
【0070】
BASF Construction Polymers GmbH(ドイツ)のMelmentシリーズの製品のようなメラミン−ホルムアルデヒド−スルファイトに基づいた市販の流動性向上剤は、セメントのような水硬結合剤の質量に対して約0.3〜1.2質量%の低い投与量でも優れた液化効果を生じる。
【0071】
MFS生成物の液化効果は、例えば界面活性剤様ポリマー構造を有するBNS生成物又は流動性向上剤の場合に通常あてはまる水及び結合剤系の表面張力の低下がなく、達成される。MFS樹脂の利点は、再混合過程のモルタルに気泡が導入されず、モルタル密度及び強度が硬化後に悪影響を受けないという事実に起因すると推測される。
【0072】
加えて、MFS樹脂は、良好な凝集力を有する新たなモルタル混合物をもたらし、それにより、流動性が極限である場合でも、建設用組成物内において分離現象が生じない。この現象は、「隔離」とも呼ばれ、自己流動性平滑組成物の生成において特に危惧されており、このことは特に自己平坦化スクリードの場合に当てはまり、それは最終材料の浮遊及び粗粒の沈降に起因する非均一層構造のスクリードをもたらすからである。
【0073】
BNS技術と同じようにMFSにも、広範囲の従来技術が存在する。これに関連して、代表的な文書としてDE19609614A1、DE4411797A1、EP0059353A1及びDE19538821A1が記述される。
【0074】
DE19609614A1は、アミノ−s−トリアジンに基づいた水溶性重縮合物及びセメント、石灰及び石膏に基づいた水性結合剤含有懸濁液における可塑剤としてのその使用を開示する。これらの重縮合物は、2つの縮合工程が可能であり、前縮合工程においてアミノ−s−トリアジン、ホルムアルデヒド成分及びスルファイトが1〜0.5:5.0〜01:1.5のモル比で縮合される。メラミンは、アミノ−s−トリアジンの好ましい代表例である。更に適切な代表例として、尿素、チオ尿素、ジシアンジアミド又はグアニジン及びグアニジン塩の群から選択されるアミノプラスト形成剤があげられる。
【0075】
DE4411797A1によると、少なくとも2つのアミノ基を示すアミノ−s−トリアジンに基づいたスルファニル酸含有縮合物は、ホルムアルデヒドを使用して製造される。スルファニル酸は、アミノ−s−トリアジン1モルあたり1.0〜1.6molの量で使用され、アルカリ金属水酸化物の水溶液又はアルカリ土類金属水酸化物で中和される。追加の工程において、ホルムアルデヒドは、5.0〜7.0のpH値及び50℃〜90℃の温度でアミノ−s−トリアジン1モルあたり3.0〜4.0molの量により添加される。溶液の最終粘度は、80℃で10〜60cStである。
【0076】
EP0059353A1によると、メラミン/アルデヒド樹脂の高度に濃縮された低粘度の水溶液は、最初の工程においてメラミン及びアルデヒドを、アルカリスルフェート、アルカリ土類スルフェート若しくはアルカリ(土類)スルホネート又は他の適切なアミノ化合物を含む群から選択される成分とアルカリ媒質中で反応させ前縮合物にすることにより可能である。この混合物を、追加の加工工程において、アミノ酸又はアミノ炭酸のような別のアミノ化合物と反応させ、最終的に樹脂溶液をアルカリ性pH値にする。
【0077】
DE19538821A1は、少なくとも2つのアミノ基を有するアミノ−s−トリアジン、ホルムアルデヒド、高含有量のスルホン酸基及び低含有量のホルメートに基づいた縮合物を開示する。そのような生成物は、この文書に従って、アミノ−s−トリアジン、ホルムアルデヒド及びスルファイトを、水溶液において1:3.0:6.0:1.51:2.0のモル比により、60〜90℃の温度、9.0〜13.0のpH値で、スルファイトが存在しなくなるまで反応させることにより製造することができる。追加の工程において、縮合過程は、3.0〜6.5のpH値及び60〜80℃の温度で、80℃で縮合物が5〜50nm2/sの粘度を示すまで実施される。最後に、縮合物を、7.5〜12.0のpH値にするか又はpH≧10.0及び60〜100℃の温度で熱的に処理する。
【0078】
本発明によると、BNS及び/又はMFS分散剤は、水硬結合剤成分に対して0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の量で使用される。スルホン酸基とメラミン成分のモル比は、1.0〜2.0であり、ホルムアルデヒドとメラミン成分のモル比は、2.5〜5.0である。好ましくは、メラミンとスルホン酸とホルムアルデヒドのモル比は、1:1.1:1.5:3.3:3.6である。
【0079】
BNS成分を考慮すると、ホルムアルデヒドとナフタレンスルホン酸のモル比は、1.3〜1:3〜1である。
【0080】
2.重縮合生成物b)
現在の技術について既に考察したように、分散剤の形態の混合物は、加工性、すなわち混練性、塗布性、噴霧性、ポンプ圧送性又は流動性を改善するために、水性スラリー又は粘土、ケイ酸塩粉末、白亜、カーボンブラック、砕石及び水硬結合剤のような紛状無機若しくは有機物質に添加される。そのような混合物は、固体集塊の形成を防止し、既に存在する及び水和により新たに形成された粒子を分散することができ、このようにして加工性を改善する。この効果は、セメント、石灰、石膏、半水和物又は硬石膏のような水硬結合剤を含有する建設材料混合物の製造を特に目的として利用される。
【0081】
前記結合剤に基づいたこれらの建設材料混合物を直ぐに使用できる加工可能な形態に変換するために、原則として、相当多量な混合水が、続く水和又は硬化過程に必要とされる以上に必要となる。過剰量によりコンクリート体に形成され、後に水を蒸発させる空隙の割合は、有意に乏しい機械的強度及び抵抗をもたらす。
【0082】
この過剰な割合の水を所定の加工一貫性に低減するため及び/又は加工性を所定の水/結合剤比に改善するため、一般に減水剤又は可塑剤と呼ばれる混合物が使用される。実際には、特に重縮合物及びコポリマーがそのような作用物質として使用される。
【0083】
WO2006/042709は、5〜10個のC原子又はヘテロ原子を有し、少なくとも1つのオキシエチレン又はオキシプロピレン基を有する芳香族又は芳香族複素環式化合物(A)と、ホルムアルデヒド、グリオキシル酸及びベンズアルデヒド又はこれらの混合物からなる群より選択されるアルデヒド(C)に基づいた、従来使用されている重縮合物と比較して可塑効果が改善された無機結合剤懸濁液をもたらし、この効果を長期間にわたって維持する(「スランプ保持」)重縮合物を記載する。特定の実施態様において、これらは、リン酸塩化重縮合物でもありうる。しかし使用されるリン酸塩化モノマーは、これらを別個に製造及び精製する必要があるので比較的高価である。
【0084】
あるいは、リン酸塩化重縮合物に基づいた、水硬結合剤用の経済的な分散剤が開発されており、この分散剤は、コンクリート用の可塑剤/減水剤として特に適しており、簡単な方法及び低価格で製造することができる(2008年8月に仮出願されたEP081659155.3の非開示先行技術)。
【0085】
この目的は、
(I)芳香族又は芳香族複素環及びポリエーテル側鎖を有する少なくとも1つの構造単位と、
(II)芳香族又は芳香族複素環を有する少なくとも1つのリン酸塩化構造単位と、
(III)芳香族又は芳香族複素環を有する少なくとも1つの構造単位と
を含有し、
構造単位(II)及び構造単位(III)が、構造単位(II)のOP(OH)2基が構造単位(III)のHに代わっている点においてのみ異なっており、構造単位(III)が構造単位(I)と同じではない
重縮合体により達成される。
【0086】
請求される配合物の成分b)の構造単位(I)、(II)及び(III)を、以下の一般式によってより詳細に記載することができる。
【化9】

式中、
Aは、同一又は異なって、5〜10個のC原子を有する置換又は非置換の芳香族又は芳香族複素環式化合物により表され、
Bは、同一又は異なって、N、NH又はOにより表され、
BがNの場合、nは2であり、BがNH又はOである場合、nは1であり、
1及びR2は、互いに独立して、同一又は異なって、分岐鎖若しくは直鎖C1〜C10アルキル基、C5〜C8シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はHにより表され、
aは、同一又は異なって、1〜300の整数により表され、
Xは、同一又は異なって、分岐鎖若しくは直鎖C1〜C10アルキル基、C5〜C8シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はHにより表され、
【化10】

【0087】
(VII)及び(IX)では、それぞれの場合において、
式中、
Dは、同一又は異なって、5〜10個のC原子を有する置換又は非置換の芳香族複素環式化合物により表され、
Eは、同一又は異なって、N、NH又はOにより表され、
EがNの場合、mは2であり、EがNH又はOの場合、mは1であり、
3及びR4は、互いに独立して、同一又は異なって、分岐鎖若しくは直鎖C1〜C10アルキル基、C5〜C8シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はHにより表され、
bは、同一又は異なって、0〜300の整数により表され、
Mは、互いに独立して、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン及び/又はHであり、
cは、1であるか又はアルカリ土類金属イオンの場合では、1/2である。
【0088】
好ましい実施態様において、重縮合物は、更なる構造単位(X)を含有し、これは以下の式:
【化11】

〔式中、
Yは、互いに独立して、同一又は異なって、重縮合物の(VII)、(VIII)、(IX)又更なる構成成分により表され、
5は、同一又は異なって、H、CH3、COOMc又は5〜10個のC原子を有する置換若しくは非置換の芳香族若しくは芳香族複素環式化合物により表され、
6は、同一又は異なって、H、CH3、COOMc又は5〜10個のC原子を有する置換若しくは非置換の芳香族若しくは芳香族複素環式化合物により表される〕
によって表される。
【0089】
ここで、構造単位(X)のR5及びR6は、互いに独立して、好ましくはH、COOMc及び/又はメチルにより表される。
【0090】
本発明のリン酸塩化重縮合物の構造単位(VII)、(VIII)、(IX)及び(X)のモル比は、広範囲に変わりうる。これは、構造単位〔(VII)+(VIII)+(IX)〕:(X)のモル比が、1:0.8〜3、好ましくは1:0.9〜2、特に好ましくは1:0.95〜1.2である場合に好都合であることが証明されている。
【0091】
成分b)の構造単位(VII):〔(VIII)+(IX)〕のモル比は、通常は1:15〜15:1、好ましくは1:10〜10:1、より好ましくは1:5〜3:1である。
【0092】
好ましい実施態様において、構造単位(VIII):(IX)のモル比は、1:0.005〜1:10、好ましくは1:0.01〜1:1、特に1:0.01〜1:0.2、より好ましくは1:0.01〜1:0.1に調整される。
【0093】
重縮合物の構造単位(VII)、(VIII)及び(IX)の基A及びDは、一般に、フェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、ナフチル、2−ヒドロキシナフチル、4−ヒドロキシナフチル、2−メトキシナフチル、4−メトキシナフチル、好ましくはフェニルにより表され、A及びDが互いに独立して選択され、またそれぞれの場合、前記化合物の混合物を構成することが可能である。基B及びEは、互いに独立して、好ましくはOにより表される。
【0094】
基R1、R2、R3及びR4は、互いに独立して選択されえ、好ましくはH、メチル、エチル又はフェニルにより表され、特に好ましくはH又はメチルにより表され、とりわけ好ましくはHにより表される。
【0095】
構造単位(VII)の「a」は、好ましくは5〜280、特に10〜160、特に好ましくは12〜120の整数により表され、構造単位(VIII)及び(IX)のbは、0〜10、好ましくは1〜7、特に好ましくは1〜5の整数により表される。
【0096】
長さがa及びbによりそれぞれ確定されているそれぞれの基は、ここでは、均一な構成単位から成るが、異なる構成単位の混合物も好都合である。更に、構造単位(VII)又は(VIII)及び(IX)の基は、互いに独立して、それぞれ同じ長さの鎖を有することができ、a及びbは、それぞれ数字により表される。しかし、原則として、異なる長さの鎖を有する混合物がそれぞれの場合に存在するとき、これにより重縮合物の構造単位の基は、bと無関係にaに異なる数値を有することが好都合である。
【0097】
頻繁に、本発明のリン酸塩化重縮合物は、4000g/mol〜150000g/mol、好ましくは10000〜100000g/mol、特に好ましくは20000〜75000g/molの質量平均分子量を有する。
【0098】
原則として、本発明のリン酸塩化重縮合物は、2〜90質量%の水及び98〜10質量%の溶解乾燥物質、好ましくは40〜80質量%の水及び60〜20質量%の溶解乾燥物質、より好ましくは45〜75質量%の水及び55〜25質量%の溶解乾燥物質を含有する水性溶液として請求配合物に存在する。乾燥物質は、実質的に、無水リン酸塩化重縮合物を含み、脱泡剤及び他の補助剤のような更なる成分も有利に存在することができる。
【0099】
更なる実施態様において、重縮合物b)は、それぞれの場合に配合物全体に基づいて5〜100質量%、好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは15〜40質量%の割合で配合物に存在する。
【0100】
特定の実施態様において、本発明は、リン酸塩化重縮合物のナトリウム、カリウム、アンモニウム及び/又はカルシウム塩、好ましくはナトリウム及びカルシウム塩を更に考慮する。
【0101】
本発明は、リン酸塩化重縮合物の製造方法にも関し、重縮合及びリン酸塩化が反応混合物において実施されることが必須であると考慮される。これは、反応溶液に形成されるリン酸塩化成分が精製も単離も必要がないことを意味すると、理解されるべきである。リン酸塩化は、重縮合の前、間又は後に実施することができる。ここではリン酸塩化と重縮合の両方を同じ反応容器において実施することが好ましいと、考慮されるべきである。
【0102】
好ましい実施態様において、重縮合物成分b)に関する反応混合物は、少なくとも、
(Ia)ポリエーテル側鎖及び芳香族又は芳香族複素環を有するモノマーと、
(IIIa)芳香族又は芳香族複素環単位を有するモノマー((IIIa)が反応の際に部分的にリン酸塩化し、モノマー(IIa)及び/又は重縮合物の構造単位(IIa)を形成する)と、
(IVa)アルデヒド基及びリン酸塩化剤を有するモノマーと
を含有し、
構造単位(IIIa)は構造単位(Ia)と同じではない。
【0103】
モノマー(Ia)、(IIa)、(IIIa)及び(IVa)、並びに重縮合物における構造単位(IIa)は、好ましくは以下の一般式により表される:
−モノマー(Ia):
式(VIIa)
【化12】

式中、
Aは、同一又は異なって、5〜10個のC原子を有する置換又は非置換の芳香族又は芳香族複素環式化合物により表され、
Bは、同一又は異なって、N、NH又はOにより表され、
BがNの場合、nは2であり、BがNH又はOである場合、nは1であり、
1及びR2は、互いに独立して、同一又は異なって、分岐鎖若しくは直鎖C1〜C10アルキル基、C5〜C8シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はHにより表され、
aは、同一又は異なって、1〜300の整数により表され、
Xは、同一又は異なって、分岐鎖若しくは直鎖C1〜C10アルキル基、C5〜C8シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はHにより表され、
−モノマー(IIa):
式(VIIIa)
【化13】

【0104】
−モノマー(IIIa):
式(IXa)
【化14】

【0105】
式(VIIIa)及び(IXa)では、それぞれの場合において、
Dは、同一又は異なって、5〜10個のC原子を有する置換又は非置換の芳香族複素環式化合物により表され、
Eは、同一又は異なって、N、NH又はOにより表され、
EがNの場合、mは2であり、EがNH又はOの場合、mは1であり、
3及びR4は、互いに独立して、同一又は異なって、分岐鎖若しくは直鎖C1〜C10アルキル基、C5〜C8シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はHにより表され、
bは、同一又は異なって、0〜300の整数により表され、
−モノマー(IVa):
式(Xa)
【化15】

式中、
7は、同一又は異なって、H、CH3、COOH及び/又は5〜10個のC原子を有する置換若しくは非置換の芳香族若しくは芳香族複素環式化合物により表され、
8は、同一又は異なって、H、CH3、COOH及び/又は5〜10個のC原子を有する置換若しくは非置換の芳香族若しくは芳香族複素環式化合物により表される。
【0106】
本発明は、反応手順の異なる変形を提供する。一つの可能性は、最初にモノマー(IIIa)をリン酸塩化剤と反応させ、そのようにして得たモノマー(IIa)をモノマー(Ia)、(IIIa)及び(IVa)と重縮合に付すことからなる。モノマー(IIIa)は、ここでは、リン酸塩化反応の際に不完全な反応によって生じうるか又はリン酸塩化反応後に反応混合物に意識的に加えることができる。
【0107】
しかし、モノマー(Ia)、(IIIa)及び(IVa)を重縮合に付し、次に得られた重縮合物をリン酸塩化剤と反応させることも可能である。更になる実施態様において、モノマー(Ia)、(IIIa)及び(IVa)とリン酸塩化剤を同時に反応させる。
【0108】
特に、ここでポリリン酸及び/又は五酸化リンは、リン酸塩化剤として適していることが証明された。
【0109】
原則として、重縮合は、酸触媒の存在下で実施され、これは、好ましくは硫酸、メタン硫酸、パラトルエン硫酸又はこれらの混合物である。
【0110】
重縮合及びリン酸塩化は、有利には、20〜140℃の温度及び1〜10barの圧力で実施される。特に、80〜110℃の温度範囲が、好都合であることが証明されている。反応の持続時間は、温度、使用されるモノマーの化学的性質及び所望の架橋の程度に応じて0.1〜24時間でありうる。例えば反応混合物の粘度を測定することにより決定することもできる、所望の程度の架橋が達成されたら、反応混合物を冷却する。
【0111】
特定の実施態様によると、反応混合物は、縮合及びリン酸塩化反応の終了後、8〜13のpH及び60〜130℃の温度の熱後処理に付される。有利には5分間から5時間続く熱後処理の結果、反応溶液におけるアルデヒド含有量、特にホルムアルデヒド含有量を低減することが実質的に可能である。
【0112】
更なる特定の実施態様において、本発明は、縮合及びリン酸塩化反応の終了後、反応混合物を10〜900mbarの圧力で真空後処理に付して、アルデヒド含有量を低減することを考慮する。しかし更に、ホルムアルデヒド含有量を低減する当業者に既知の他の方法を使用することもできる。例として、少量の重亜硫酸ナトリウム、エチレン尿素及び/又はポリエチレンイミンの添加があげられる。
【0113】
これらの方法により得られたリン酸塩化重縮合物を、成分b)として直接使用することができる。より良好な保存寿命及びより良好な生成物特性を得るために、反応溶液を塩基性化合物で処理することが有利である。したがって、反応の終了後に反応混合物を塩基性ナトリウム、カリウム、アンモニウム又はカルシウム化合物と反応させることが好ましいと、考慮されるべきである。ここで水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム又は水酸化カルシウムは、特に好都合であることが証明されており、反応混合物を中和するのに好ましいと考慮される。しかし、他のアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、並びに有機アミンの塩が、リン酸塩化重縮合物の塩として適している。
【0114】
しかし更に、本発明はリン酸塩化重縮合物の混合塩の製造も提供する。これらは、重縮合物を少なくとも2つの塩基性化合物と反応させることにより都合良く製造することができる。
【0115】
このように、適切なアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を標的選択することによって、中和により本発明の重縮合物の塩を製造することが可能であり、これを用いて無機結合剤、特にコンクリートの水性懸濁液の加工性の持続時間に影響を与えることができる。ナトリウム塩の場合では加工性の経時的な低減が観察されるが、同一ポリマーのカルシウム塩の場合ではこの挙動の完全な逆転が生じ、始めに少量の減水(小さなスランプ)が生じ、時間と共に増加する。この結果、リン酸塩化重縮合物のナトリウム塩は、例えばコンクリート、モルタル又は石膏スラリーのような結合剤含有材料の加工性に経時的な減少をもたらすが、対応するカルシウム塩は、加工性を経時的に改善する。使用されるリン酸塩化重縮合物のナトリウム及びカリウム塩の量を適切に選択することによって、結合剤含有材料の加工性の発生を時間の関数として調節することができる。好都合には、ナトリウム及びカリウム塩から構成される対応するリン酸塩化重縮合物は、塩基性カルシウム及びナトリウム化合物、特に水酸化カルシウム及び水酸化ナトリウムの混合物との反応により製造される。
【0116】
本発明によると、使用される触媒を分離することもできる。これは、中和の際に形成される塩を介して都合良く実施することができる。硫酸が触媒として使用され、反応溶液が水酸化カルシウムで処理される場合、形成される硫酸カルシウムを、例えば濾過による簡単な方法で分離することができる。
【0117】
更に、反応溶液のpHを1.0〜4.0、特に1.5〜2.0に調整することによって、リン酸塩化重縮合物を相分離により塩水溶液から分離し、単離することができる。次にリン酸塩化重縮合物を所望の量の水に取ることができる。
【0118】
しかし、透析、限外濾過又はイオン交換体の使用のような当業者に既知の他の方法も、触媒の分離に適している。
【0119】
驚くべきことに、配合物の成分b)として本発明のリン酸塩化重縮合物を用いることによって、従来技術において既知の重縮合物と比較して効率の改善が見出された。追加的な好ましい効果として、他の分散剤と比較して、多様な構造組成物の凝結及び硬化の遅延が有意に減少したことが、成分b)の投与量と関係なく観察される。重縮合物成分b)の効果はもとより孔構造の好都合な影響を、驚くべきことに、本発明の配合物においても観察することができる。
【0120】
加えて、本発明のリン酸塩化重縮合物を、中間体の更なる精製の必要がない、非常に経済的な方法で製造できることが、特に有利であることが証明されている。特に、廃棄する必要がある廃棄物が本発明の方法において形成されない。このように、請求される方法は、環境の観点から従来技術と比較して更に進歩している。得られる反応混合物を、場合により塩基性化合物の処理後に、目的の配合物に直接入れることができる。
【0121】
3.追加の成分及び態様
特定の実施態様において、請求配合物は、成分a)及びb)に加えて少なくとも1つの消泡剤c)及び/又は表面活性効果を有する成分d)を含有し、成分c)及びd)は、構造的に互いに異なっている。
【0122】
消泡剤c)は、好ましくは、 鉱油、植物油、シリコーン油、シリコーン含有エマルション、脂肪酸、脂肪酸エステル、有機改質ポリシロキサン、ホウ酸エステル、アルコキシレート、ポリオキシアルキレンコポリマー、エチレンオキシド(EO)−プロピレンオキシド(PD)ブロックポリマー、脱泡性を有するアセチレンジオール及び式:P(O)(O−R83-x(O−R9x(式中、Pはリンを表し、Oは酸素を表し、R8及びR9は、独立して、C2〜C20アルキル又はアリール基であり、そしてxは0、1、2であり、C2〜C8のアルキル基が好ましい)を有するリン酸エステルからなる群より選択される。
【0123】
好ましくは、前記消泡剤c)は、トリアルキルホスフェート、より好ましくはトリイソブチルホスフェート、ポリオキシプロピレンコポリマー及びグリセリン/アルコールアセテートを含む。
【0124】
本発明は、前記消泡剤c)がトリアルキルホスフェートとポリオキシプロピレンコポリマーの混合物を含む混合物を、追加的に含む。
【0125】
配合物の第2の任意成分、すなわち界面活性剤は、好ましくは、エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)ブロックコポリマー、スチレン/マレイン酸コポリマー、脂肪アルコールアルコキシレート、アルコールエトキシレートR10−(EO)−H(ここでR10は、1〜25個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基である)アセチレンジオール、モノアルキルポリアルキレン、エトキシル化ノニルフェノール、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルスルホネート、アルキルエーテルカルボキシレートからなる群より選択される。
【0126】
より好ましくは、界面活性剤成分d)は、2〜20個の炭素原子の炭素鎖長さからなるポリアルキレン基を有するアルコールを含み、特定の炭素鎖長さはC3〜C12である。
【0127】
有利には、本発明の配合物は、消泡剤成分c)を遊離形態又は分散成分a)及び/又はb)に結合して含有する水性組成物を含む。消泡剤が分散成分に結合している場合、これは物理的又は化学的に結合しえ、この場合、重合及び/又はグラフト形態で化学的に結合していることが好ましい。化学的に結合している場合、消泡剤c)を、コポリマー分散成分a1)、a2)、a3)の第3のコモノマーとして考慮することもできる。遊離形態では、消泡剤c)は、配合物のブレンド成分である。このように、消泡剤成分c)は、分散成分a1)、a2)及び/若しくはa3)に物理的及び/若しくは化学的に結合している、並びに/又は遊離形態の成分であり、したがってブレンドの構成成分である。
【0128】
更なる実施態様では、それぞれの場合において配合物の総質量に基づいて、消泡剤成分c)は0.01〜10質量%の量で存在する及び/又は表面活性成分d)は、0.01〜10質量%の量で存在する。好ましい実施態様によると、消泡剤c)及び/又は表面活性成分d)が、互いに独立して、それぞれの場合に配合物の総質量に基づいて、それぞれの場合に0.01〜5質量%の量で存在することを特徴とする、請求項52〜61のいずれか1項に記載の消泡配合物である。本発明は、配合物が、成分a)及びb)、並びに任意のc)及び/又はd)に加えて、低電荷を有するポリマー、中性ポリマー又はポリビニルアルコールからなる群より選択される少なくとも1つの更なる成分e)を含有する実施態様を追加的に含む。この成分e)、特に水硬結合剤として硫酸カルシウムを含有する系におけるその特定の役割は、非公開仮出願欧州特許EP08171022.0.において教示されている。成分e)は、特定の粘土含有量を有する石膏組成物において主要な役割を果たす。
【0129】
粘土含有形態の石膏、特に天然石膏を使用する場合、使用される相当量の分散剤(流動化剤)が粘土鉱物に吸収又は吸着され、その結果、これらは石膏混合物における半水石膏の流動化に利用可能ではなくなることが観察されうる。
【0130】
この問題を解決するために、分散剤と競合して粘土粒子の表面により強力に結合し、この方法により分散剤が利用できなくなるように遮蔽するか又は粘土粒子を大きく凝集する、いわゆる犠牲物質を使用する試みがなされた。
【0131】
記述された欧州特許によると、粘土含有石膏混合物の分散のために、側鎖にエチレンオキシド(EO)単位を有する分岐鎖コームポリマーに基づいた配合物が提供されている。これらの配合物は、特に天然石膏に含有されているような粘土鉱物を、その表面が分散剤の吸着に利用できなくなるのに十分な程度に遮蔽することができる。これらは、液状で未硬化の石膏混合物の流動化及び粘稠性に悪影響を及ぼさず、石膏生成物の乾燥に使用される温度に対して安定しており、悪臭の問題が生じない。
【0132】
これに関連して、粘土含有石膏組成物を考慮すると、粘土含有石膏混合物の少なくとも1つの成分のために活性結合部位を有する加水分解性モノマーAに基づいているコポリマー成分a2)が好ましい。
【0133】
本発明の成分e)を用いると、粘土粒子の表面は、ポリマー主鎖の軟性EO側鎖の集群を介してより効果的に被覆されうるか又は粘土粒子は、それ自体、全体的により良好に凝集されうる。低電荷密度のため、成分e)は、主に粘土に吸着され、半水石膏のような結合剤に吸着されない。
【0134】
明らかに、効果において些細ではない役割を、「犠牲物質」の側鎖により果たす。これらはEO単位を含まなければならないが、側鎖は、ポリエチレンオキシド(PO)単位を追加的に有することもできる。同じことが、本発明の配合物に含有される主要物質である、分散剤特性を有するコームポリマーに当てはまり、これは、EO単位若しくはPO単位のいずれか又は両方をその側鎖に含有することができる。
【0135】
ここで、混合修飾を少なくとも1つの、すなわち同じ側鎖にそれぞれ実施することもできる。
【0136】
全体的に、化学的な観点から、本発明の配合物に犠牲物質として場合により含有される成分e)は、粘土含有石膏に慣用的に使用される分散剤と些細な程度でしか異ならず、それは、とりわけポリカルボン酸エーテルからも構成されるからである。しかし差は電荷状態からなり、それは低又は中性電荷の代表例しか犠牲物質として可能ではないからである。換言すると、特に石膏生成物の製造は、とりわけ、低電荷又は中性ポリマー画分が主に粘土鉱物を遮蔽し、したがって残りの分散剤含有量が実際の流動化剤作用を発揮することを可能にするコポリマー混合物からなる分散剤の助けを借りて実施することもできる。
【0137】
本発明による、主に成分e)に基づいた配合物の有利な作用は、実質的に全ての粘土含有石膏混合物において示される。しかし、肯定的な作用は、一連の硫酸カルシウム、硫酸カルシウム半水和物又は硫酸カルシウム半水和物、硬石膏及び石膏の少なくとも1つの代表例を含有する石膏系において特に際立っている。
【0138】
石膏混合物における粘土画分は、好ましくは、膨張性、特に水膨張性であり、一連のスメクタイト、モンモリロナイト、ベントナイト、バーミキュライト、ヘクトライトから又は一連のカオリン、長石及び例えばイライトのような雲母、並びにこれらの混合物から誘導されるべきである。
【0139】
本質的に、石膏混合物における粘土含有量が特定の限界を超えないように注意を払うべきである。このため、本発明は、それぞれ石膏成分に基づいて≦10質量%、好ましくは≦6質量%、好ましくは≦4質量%、特に好ましくは0.5〜3質量%の、石膏混合物における粘土含有量を推奨する。
【0140】
ポリマー成分e)では、ここでもそれぞれ石膏成分に基づいて0.01〜0.40質量%、好ましくは0.02〜0.30質量%、好ましくは0.03〜0.15質量%、特に好ましくは0.5〜0.10質量%の割合が推奨される。
【0141】
本発明の更なる実施態様において、配合物は、成分e)をそれぞれの場合に配合物の総質量に基づいて1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%の量、特に好ましくは10〜30質量%の量で含有する。
【0142】
本発明の文脈において、石膏混合物の粘土粒子と反応するポリマー成分e)は特に重要である。成分e)としての低電荷ポリマーの場合、これは分岐鎖の、好ましくはポリエーテルからなる側鎖であるべきである。好ましくはEO側鎖を有し、83mol%まで、好ましくは75mol%までのカルボキシレート含有量を有するポリカルボン酸エーテル及び/又はポリカルボン酸エステルが、この文脈において特に好ましいと考慮されるべきである。
【0143】
既に記述されたように、配合物の成分a)は、有利には、少なくとも1つのポリカルボキシレート誘導体(エーテル、エステル)を含むべきであり、特にこれが低電荷量を有する場合、その特定の特性のために、例えば石膏に必要な程度で吸着することができない。このために、ポリカルボン酸エーテル及びエステルの一般的に知られている分散剤作用は、特に、この場合では必要な程度で生じない。したがって、電荷担持成分の含有量は、そのような代表例の分散剤作用にとって重要である。コポリマー成分a1)、a2)及びa3)、並びにその化学的性質に応じてある程度は成分e)も、分散剤作用に関して互いに競合することができるので、コポリマー成分a)がその分散剤作用を最大に示すことができ、成分e)がその電荷特性のために可能な限り少ない分散剤作用を有するが、代わりに粘土粒子に最大限に吸着するように、本発明の配合物におけるそれぞれの含有量を選択することは全体的に有利である。
【0144】
ポリエーテル側鎖を有する低電荷ポリマーが成分e)として使用される場合、これは、一連のポリエーテルモノアクリレート、ポリエーテルモノメタクリレート、ポリエーテルモノアリルエーテル、ポリエーテルモノマレエート、モノビニル化ポリエーテル又はこれらの混合物から選択される少なくとも1つのモノマーから作製されるべきである。ポリエーテルの場合、これは、500〜10000、好ましくは750〜7500、特に1000〜5000の分子量を有するアルキレンオキシドポリマーでありうる。代表的なアルキレンオキシドポリマーとして、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はこれらの混合物に基づいたものを記述することができる。
【0145】
一連のポリプロピレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、アルコキシ又はアリールオキシポリエチレングリコールアクリレート、アルコキシ又はアリールオキシポリエチレングリコールメタクリレート、アルコキシ又はアリールオキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、オキシエチレン及びオキシプロピレンブロック又はランダムコポリマーのアクリレート、メタクリレート及びモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノマレエート、ポリプロピレングリコールモノマレエート、並びにこれらの任意の混合物から選択される少なくとも1つのモノマーから構築される低電荷ポリマーは、特に適していることが見出された。
【0146】
低電荷を有するポリマーe)が、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸又はこれらの無水物からなる一連より選択されるカルボン酸基を担持することは、好ましい実施態様として見ることができる。
【0147】
本発明によると、低電荷ポリマーは、カルボン酸及び/又はスルホン酸基も担持することができる。この場合、本発明は、カルボン酸基が好ましくは一連のアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸又はこれらの無水物の少なくとも1つの代表例であることを特定する。2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、ビニルスルホン酸、アリルエーテルスルホン酸、2−スルホエチルメタクリル酸、スチレンスルホン酸、メタリル−スルホン酸、ナトリウム、カリウム及びアンモニウム塩、並びにこれらの任意の混合物が、スルホン酸基を利用可能にする化合物の好ましい代表例である。AMPS及びビニルスルホン酸が特に好ましいと考慮されるべきである。
【0148】
成分e)としての中性ポリマーの場合、これらは、一連のアクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステル、並びにこれらの炭素原子5個までのヒドロキシアルキルエステルから特に選択される中性モノマー構成単位から作製されるべきである。この場合に特に適しているものは、ヒドロキシアルキルアクリレート及びヒドロキシプロピルアクリレート、並びにヒドロキシエチルメタクリレート及びヒドロキシプロピルメタクリレートである。
【0149】
また、可能なものは、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、スチレン及びメチルスチレンである。
【0150】
更なる実施態様において、本発明は、追加の更なる成分f)としてケイ酸カルシウム水和物(C−S−H)含有組成物を含有する配合物に関する。
【0151】
水硬結合剤を含む建築材料混合物用の混合物が、水硬結合剤の凝結時間を短縮する硬化促進剤も含有することは、当業者には良く知られている。WO02/070425によると、特に分散(微細に又は特に微細に分散した)形態で存在するケイ酸カルシウム水和物(C−S−H)をそのような硬化促進剤として使用することができる。しかし、市販のC−S−H又は対応するC−S−H分散体は、ほとんど効果のない効果促進剤として考慮されるだけの場合もある。
【0152】
2008年9月の非公開仮出願EP08163468.5により、可塑剤として作用する、更には良好な硬化促進剤として良好な性能を示す組成物が提供されている。
【0153】
本発明によると、C−S−H含有組成物は、水溶性カルシウム含有化合物と水溶性ケイ酸塩含有化合物との反応により製造可能であり、水溶性カルシウム含有化合物と水溶性ケイ酸塩含有化合物との反応は、好ましくは水硬結合剤用の分散剤であり、成分a)及び/又はb)の少なくとも1つの代表例から選択される水溶性コポリマーを好ましく含有する水溶液の存在下で実施される。
【0154】
原則的に、比較的僅かに水溶性である化合物だけがそれぞれの場合に水溶性カルシウム化合物及び水溶性ケイ酸塩化合物として適しているが、(水に完全に又は実質的に完全に溶解する)容易に水に溶ける化合物が、それぞれの場合に好ましい。しかし、対応する反応物(水溶性カルシウム化合物又は水溶性ケイ酸塩化合物のいずれか)との反応に十分な反応性が水性環境に存在することを、確実にしなければならない。反応は水溶液において生じるが、水溶性無機化合物(C−S−H)は、通常は反応生成物として存在することが、おそらく想定される。
【0155】
本発明の文脈において、コームポリマーは、ある程度一定間隔で直鎖主鎖に比較的長い側鎖を有する(それぞれの場合に少なくとも200g/mol、特に好ましくは少なくとも400g/molの分子量を有する)ポリマーを意味することが理解されるべきである。これらの側鎖の長さは、頻繁にはほぼ等しいが、(例えば、異なる長さの側鎖を有するポリエーテルマクロモノマーが重合単位の形態で組み込まれるとき)互いに大きく異なる場合もある。
【0156】
原則的に成分f)は、促進剤として作用し、好ましい実施態様では、無機及び有機成分を含有する。無機成分は、マグネシウム及びアルミニウムのような外来イオンを含有可能な改質微細分散ケイ酸カルシウム水和物(C−S−H)として考慮することができる。C−S−Hを、コームポリマー可塑剤(有機成分)の存在下で製造することができる。通常、微細分散形態のC−S−Hを含有する懸濁液が得られ、この懸濁液は、最初に可塑剤として作用し、次に水硬結合剤の硬化過程を効果的に促進する。
【0157】
無機成分は、大部分の場合において、以下の実験式により(その粒径、比表面積などに関するのではなく)その組成に関して記載することができる:
a CaO、SiO2、b Al23、c H2O、d X、e W
Xは、アルカリ金属である。
Wは、アルカリ土類金属である。
【0158】
0.1≦a≦2 好ましくは 0.66≦a≦1.7
0≦b≦1 好ましくは 0≦b≦0.1
1≦c≦6 好ましくは 1≦c≦6.0
0≦d≦1 好ましくは 0≦d≦0.4
0≦e≦2 好ましくは 0≦e≦0.1
【0159】
本発明によると、C−S−Hは、0.5〜2.0、好ましくは0.7〜1.8、より好ましくは1.6〜1.7のカルシウム/ケイ素(Ca/Si)モル比を示す。C−S−Hの平均粒径は、Malvern Companyの装置Master Sizer 2000による光散乱で測定して10μm未満、好ましくは1μm未満、より好ましくは0.2μm未満である。更なる好ましい実施態様において、C−S−Hの平均粒径は、0.01μm超、好ましくは0.1μm〜1.0μm、より好ましくは0.2μm〜0.5μmである。
【0160】
換言すると、この製造方法に使用される分散剤は、配合物の分散成分a)及び/又はb)の代表例と同一でありうる。この製造方法において分散剤は、C−S−H化合物の小さい粒径分布を達成するために必要である。
【0161】
好ましくは、C−S−H含有組成物は、摩砕の際の酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び/又は水酸化カルシウムと二酸化ケイ素との反応により製造可能であり、反応は、好ましくは水硬結合剤用の分散剤であり、成分a)及び/又はb)の少なくとも1つの代表例から選択される水溶性コポリマーを好ましく含有する水溶液の存在下で実施される。
【0162】
本発明の更に好ましい実施態様において、水溶性カルシウム化合物は、水硬結合剤用の可塑剤として適した水溶性コームポリマーを含有する水溶液と第1工程において混合され、それにより好ましくは溶液として存在する混合物が得られ、それに水溶性ケイ酸塩化合物が続く第2工程において添加される。
【0163】
水溶液は、水に加えて1つ以上の更なる溶媒を含有することもできる。
【0164】
更に好ましい実施態様において、分散剤を、好ましくは成分a)及び/又はb)から選択されるものを含有する水溶液は、更に、水溶性カルシウム化合物及び水溶性ケイ酸塩化合物をそれに溶解した成分として有する。
【0165】
一般に、使用される成分は、以下の比率で使用される:
i)0.01〜75、好ましくは0.01〜5質量%の水溶性カルシウム化合物、
ii)0.01〜75、好ましくは0.01〜5質量%の水溶性ケイ酸塩化合物、
iii)0.001〜60、好ましくは0.1〜15質量%の、水硬化性結合剤用の可塑剤として適した水溶性コームポリマー(好ましくは、成分a)及び/又はb))、
iv)24〜99、好ましくは90〜99質量%の水。
【0166】
頻繁には、水溶液は、ケイ酸塩及びカルシウムイオンに加えて、好ましくは溶解塩化アルミニウム及び/又は溶解塩化マグネシウムの形態で提供される更なる溶解イオンをも含有する。
【0167】
水溶性分散剤は、コームポリマーでありえ、エーテル官能基及び酸官能基を有する側鎖を主鎖に含有するコポリマーとして存在することができる。
【0168】
原則として、水溶性コームポリマーは、酸モノマー及びポリエーテルマクロモノマーの存在下でフリーラジカル重合により生成されるコポリマーとして存在し、これによりコポリマーの全ての構造単位の合計で少なくとも45mol%、好ましくは少なくとも80mol%が、重合単位の形態の酸モノマー及びポリエーテルマクロモノマーの組み込みにより生成される。酸モノマーは、フリーラジカル重合が可能であり、少なくとも1つの炭素二重結合を有し、少なくとも1つの酸官能基を含有し、水性媒体中で酸として反応するモノマーを意味すると理解されるべきである。更に、酸モノマーは、また、フリーラジカル重合が可能であり、少なくとも1つの炭素二重結合を有し、加水分解反応の結果として少なくとも1つの酸官能基を水性媒質に形成し、水性媒体中で酸として反応するモノマーを意味すると理解されるべきである(例えば、無水マレイン酸)。
【0169】
本発明の文脈において、ポリエーテルマクロモノマーは、フリーラジカル重合が可能であり、少なくとも1つの炭素二重結合を有し、少なくとも2つのエーテル酸素原子を有する化合物であるが但し、コポリマーに存在するポリエーテルマクロモノマー構造単位は、少なくとも2つのエーテル酸素原子を含有する側鎖を有する。
【0170】
更なる詳細では、本明細書で請求される配合物の成分a)及びb)の記載が参照される。
【0171】
多くの場合に、水溶性カルシウム化合物は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、重炭酸カルシウム、臭化カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩素酸カルシウム、フッ化カルシウム、グルコン酸カルシウム、水酸化カルシウム、次亜塩素酸カルシウム、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、乳酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム二水和物、硫化カルシウム、酒石酸カルシウム及び/若しくはアルミン酸カルシウム、ケイ酸三カルシウム、並びに/又はケイ酸二カルシウムとして存在する。
【0172】
水溶性カルシウム化合物は、好ましくは、塩化カルシウム、硝酸カルシウム及び/又はギ酸カルシウムとして存在する。
【0173】
多くの場合に、水溶性ケイ酸塩化合物は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水ガラス、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸、メタケイ酸ナトリウム及び/又はメタケイ酸カリウムとして存在する。
【0174】
水溶性ケイ酸塩化合物は、好ましくはメタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム及び/又は水ガラスとして存在する。
【0175】
原則的に、ケイ酸カルシウム(但し、可溶性である)を、ケイ酸塩供給源及びカルシウム供給源の両方として使用することができる。しかし多くの場合、これは好ましくない。原則として、異なる種類の種が、水溶性ケイ酸塩化合物及び水溶性カルシウム化合物として使用される。
【0176】
本発明によると、配合物は液体又は粉末であり、好ましくは再分散剤粉末である。
【0177】
配合物の粉末形態は、当業者に既知の任意の方法によって達成することができる。好ましいものは噴霧乾燥法であり、これは、本発明の配合物を再分散剤粉末として得るためにも適している。
【0178】
4.使用方法
配合物それ自体の他に、配合物の使用方法は、本発明の更なる実施態様を記述する。
【0179】
これに関連して、建設化学に使用される水性懸濁液、特に水硬及び/又は潜在水硬結合剤を含有する水性懸濁液の流動性を調節する配合物の使用が、一番の関心事である。配合物は、特に、分散性を有する組成物として使用される。水性懸濁液を考慮すると、これらの組成物が、セメント及び硫酸カルシウム系化合物、特に硫酸カルシウム半水和物、硬石膏又は石膏からなる群より選択される少なくとも1つの代表例を水硬結合剤として含有することは、更なる実施態様である。本発明の水性懸濁液は、好ましくは、乾燥モルタル組成物又は床仕上用組成物に基づいている。更なる実施態様において、床仕上用組成物は、硫酸カルシウム若しくはセメント又はこれらの混合物を含有し、好ましくは自己平坦化床仕上用組成物である。
【0180】
特定の使用と無関係に、本発明の配合物は、それぞれの場合に懸濁液の組成物全体に基づいて、0.001〜8.0質量%、特に0.005〜5.0質量%、好ましくは0.01〜2.0質量%、特に好ましくは0.05〜1.0質量%の量で使用されるべきである。
【0181】
最後に、本発明は、配合物が、好ましくは流動性調節性及び/又は分散性を有する他の混合物又は組成物と一緒に、より好ましくは配合物の成分a)及び/又は重合生成物b)の種類の少なくとも1つの分散剤と一緒に使用される選択肢を含む。
【0182】
このことは、成分a)と成分b)の組み合わせを、本発明の配合物として使用できること、加えて、この配合物を、他の化合物、添加剤、混合物又は組成物と一緒に使用できることを意味する。その結果、成分a)及びb)を配合物の実質的な構成成分として、加えて、そのような配合物と一緒にした単一の化合物として使用することができる。この種類の使用は段階的に実施することができ、それは、配合物又は追加の分散剤のいずれかが、水硬結合剤含有組成物に使用の第1工程において添加されること及び配合物の成分の追加的な量が、続く方法工程において添加されることを意味する。
【0183】
以下の実施例は、請求される配合物、それに含まれる成分及びその使用の利点を強調する。
【0184】
実施例
1.コーム分岐鎖重縮合物(成分b)の調製
実施例1.1
撹拌機及び加熱マントルを備えた反応器に、600部のポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(平均分子量5000g/mol)、47.2部の濃メタンスルホン酸、12部の水、110部のα−フェニル−ω−ヒドロキシポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)ホスフェート(平均分子量368g/mol)及び14.7部のパラホルムアルデヒドを充填する。この反応混合物を115℃で3時間撹拌する。冷却後、830部の水を加え、反応混合物を50%水酸化ナトリウム溶液で中和して、6.5〜7のpH値にする。樹脂は、固体濃度が40質量%の明黄色で明澄なポリマー水溶性である。ポリマー分散剤の撹拌した溶液(500rpm)に、消泡剤及び界面活性剤を周囲温度(25℃)で加える。第2表に示されている材料の量は、溶液の質量パーセントである。
【0185】
実施例1.2
撹拌機及び加熱マントルを備えた反応器に、26部のポリリン酸を充填し、90℃に加熱する。15分以内に、44.2部の2−フェノキシエタノールを反応器に投入する。1時間後、400部のポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(平均分子量5000g/mol)、31.4部の濃メタンスルホン酸、20部の水及び12.6部のパラホルムアルデヒドを加える。この反応混合物を105℃で6時間撹拌する。冷却後、550部の水を加え、反応混合物を50%水酸化ナトリウム溶液で中和して、6.5〜7のpH値にする。樹脂は、固体濃度が40質量%の明褐色で明澄なポリマー水溶性である。ポリマー分散剤の撹拌した溶液(500rpm)に、消泡剤及び界面活性剤を周囲温度(25℃)で加える。第2表に示されている材料の量は、溶液の質量パーセントである。
【0186】
実施例1.3
撹拌機及び加熱マントルを備えた反応器に、51.6部のポリリン酸を充填し、90℃に加熱する。15分以内に、90部の2−フェノキシエタノールを反応器に投入する。1時間後、322部のポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(平均分子量5000g/mol)、300部のポリ(エチレンオキシド)モノフェニルエーテル(平均分子量2000g/mol)、42.1部の濃メタンスルホン酸、16.8部の水及び28.5部のパラホルムアルデヒドを加える。この反応混合物を105℃で6時間撹拌する。冷却後、800部の水を加え、反応混合物を50%水酸化ナトリウム溶液で中和して、6.5〜7のpH値にする。樹脂は、固体濃度が40質量%の明褐色で明澄なポリマー水溶性である。ポリマー分散剤の撹拌した溶液(500rpm)に、消泡剤及び界面活性剤を周囲温度(25℃)で加える。第2表に示されている材料の量は、溶液の質量パーセントである。
【0187】
2.分散剤成分a)と重縮合物成分b)の配合物
実施例E1からE20まで(第1表及び第2表を参照)は、重縮合物成分b)と当量(質量%)の分散剤a)とを混合することにより調製した。Melflux PCE 239L 35% N.D.、Melflux 2500L 45% N.D.、Melflux 2453L 44% N.D.、VP2661/493L 40% N.D.、Melflux 2424L 50% N.D.、Melflux AP 120L 40%及びSokalan DS5009Xは、BASF Construction Polymers GmbH(ドイツ)から入手可能なポリカルボン酸エーテル分散体である。Melcrete 500Lは、BASF Construction Polymers GmbHから入手可能なナフタレンスルホネート分散剤(BNS)である。Melment L 15Gは、BASF Construction Polymers GmbHから入手可能なメラミンスルホネート−ホルムアルデヒド縮合物(MFS)である。非イオン性ポリマーN1及びN2は、セメント組成物の流動性を維持することができ、依然として未公開の米国特許出願第12/477637号に従って合成される。
【0188】
【表1】

【0189】
【表2】

【0190】
3.表面活性を有する分散剤の成分a)と、重縮合物b)と、消泡剤の成分c)との配合物
以下の混合物(試験溶液)において、消泡剤A1は、Pluriol(登録商標)P2000として市販されているポリプロピレングリコールであり、消泡剤A2は、Degressal(登録商標)SD23として市販されているアルコキシル化アルコールであり、消泡剤A3は、Degressal(登録商標)SD30として市販されているカルボン酸エステルであり、全てBASF SE(ドイツ、ルートヴィクスハーフェン)のものである。界面活性剤S1は、BASF SE(ドイツ、ルートヴィクスハーフェン)からLutensol(登録商標)T06として市販されているエトキシル化オキソアルコールであった。界面活性剤S2(成分a)は、EP0306449A2に従って合成したスチレン/マレイン酸コポリマーである。
【0191】
【表3】

【0192】
4.成分a)のナフタレンスルホネート及び重縮合物b)からなる配合物の粘度
分散剤溶液の粘度を、25℃で毛管粘度計を用いて測定した。溶液は、第1表及び第3表で示したように、25質量%のBNS溶液と25質量%の分散剤溶液とを混合することにより調製した。
【0193】
【表4】

【0194】
第3表から分かるように、混合物E3、E4及びE5の粘度は、純粋な縮合物C7、C8及びC9と比較して僅かしか高くない。混合物E3、E4及びE5は、経時的に低い粘度を保持するが、BNSとポリカルボン酸エーテルの混合物は、非注入性ゲルを形成し始める。C4と異なり、E3、E4及びE5の混合物は、水硬結合剤用の分散剤として使用可能である(適用試験については下記を参照)。
【0195】
5.平坦薄層に基づいた石膏
指針処方:
アルファ半水和物 300g
砂(0〜0.2mm) 350g
石灰岩充填剤 150g
クエン酸 0.10g
Starvis 3003F 0.32g
水 174.6g
混合物(高流動化剤) 0.15質量%(固形分の質量)
混合手順及び測定:
液体混合物及び水の必要量を計量して混合カップに入れた。その後、合わせた固体をカップに加え、調理用ミキサーによりレベル2で60秒間混合した。流動値を60秒後にVicatリングにより測定した。
【0196】
【表5】

【0197】
第4表に例示されているように、本発明の混合物は、優れた消泡性を示す。平坦薄層の表面は、実施例C8と比較して欠陥及びへこみがないことが見出された。
【0198】
6.石膏流動試験
混合手順及び測定:
液体混合物の必要量を計量して混合カップに入れ、水を、第4表に示されている水対スタッコ比に達するまで加えた。促進剤と一緒にしたスタッコ(多様な供給源から400g)を篩にかけて15秒以内に水に入れ、その後、Hobart(登録商標)ミキサーにより高速(285rpm)で15秒間混合する。60秒後、流動値をシリンダー(高さ:10cm、直径:5cm)で測定した。凝固時間は、いわゆるナイフカット試験により決定した。
【0199】
【表6】

【0200】
第5表に示したように、本発明の混合物E26は、重縮合物分散剤C8と比較すると優れた分散剤能力を示す。重縮合剤C8及びポリカルボン酸エーテルC2を含有する混合物E31は、純粋なポリカルボン酸エーテルC2として低量の促進剤の使用を示す。
【0201】
【表7】

【0202】
第6表に示されているように、本発明の混合物E7−1及びE7−2は、FGDスタッコにおいて優れた分散剤能力を示し、ポリカルボン酸エーテル分散剤C3と比較して、促進剤の必要性の有意な低減を示す。混合物E8−1及びE8−2は、純粋な重縮合物C8よりも高い流動値を示す。安価な分散剤BNS及びMFSを含有する混合物E9及びE12は、重縮合物C8と同じ投与量で良好な流動値を示す。
【0203】
【表8】

【0204】
第7表に示されているように、本発明の混合物E26及びE13は、天然スタッコBにおいて流動性を有する。同じ投与量で、比較例混合物C3は流動性がなく、一方でC2は、同じ流動値になるまで有意に高い水対スタッコ比を必要とする。
【0205】
【表9】

【0206】
第8表に示されているように、本発明の混合物は、天然スタッコCにおいて優れた分散剤能力を示し、ポリカルボン酸エーテル分散剤C3と比較して、促進剤の必要性の低減を示す。混合物E26及びE15は、同様に促進剤の低い必要性を有するが、重縮合物C8と同様に高い流動性を有する。
【0207】
7.適用試験:
モルタル試験系における経時的な減水及び延展値の変化
混合手順及び測定:
600gのセメント粉末をRILEM−Mixerで均質化する。第9表に示されている水対セメント比に達するのに必要量の水を加え、140rpm(レベルI)で30秒間混合する。撹拌の際に漏斗を介して砂を加え、140rpm(レベルI)で30秒間混合する。容器の縁を清浄にして、必要量の液体混合物を、1.5分間の混合中断の後に加える。混合を285rpm(レベルII)で60秒間続け、その後、流動値(延展値)をDIN EN 1015−3に従ってHaegermannシリンダーにより決定する。
【0208】
モルタルは、Karlstadt CEM I 42.5Rに基づき、砂対セメント比の2.2を有する。砂は、30%のケイ砂及び70%の標準砂の混合物からなる。
【0209】
【表10】

【0210】
低価格の分散剤BNSを含有する混合物E16は、BNSよりもはるかに低い投与量レベルで縮合物C7と同様の流動性を示す。図9が示すように、混合物E18、特にE13及びE20は、セメント性結合剤組成物の流動性を、90分を越えて保持する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)分散性を有し、ポリエーテル側鎖を有する分岐鎖コームポリマーを少なくとも含有する化合物、ナフタレンスルホネート−ホルムアルデヒド縮合物(「BNS」)及びメラミンスルホネート−ホルムアルデヒド縮合物(「MSF」)からなる一連の化合物から選択される、少なくとも1つの成分と、
b)下記:
(I)芳香族又は複素環式芳香族のサブユニットを有する少なくとも1つの構造単位及び少なくとも1つのポリエーテル側鎖、並びに
(II)芳香族又は複素環式芳香族のサブユニットを有する少なくとも1つのリン酸化構造単位、並びに
(III)芳香族又は複素環式芳香族のサブユニットを有する少なくとも1つの構造単位
を含有する重縮合物と
を含有し、
構造単位(II)及び構造単位(III)は、構造単位(II)のOP(OH)2基が構造単位(III)のHと置き換わっている点においてのみ異なっており、構造単位(III)は構造単位(I)と同じではない
配合物。
【請求項2】
成分a)がポリカルボン酸エーテルa1)、ポリカルボン酸エステルa2)、非荷電コポリマーa3)又はこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1記載の配合物。
【請求項3】
成分a)が、
1)少なくとも1つのオレフィン性不飽和モノカルボン酸コモノマー又はそのエステル若しくは塩、並びに/又はオレフィン性不飽和スルホン酸コモノマー又はその塩と、
2)一般式(I):
【化1】

〔式中、R1は、下記:
【化2】

を表し、
2は、H又は1〜5個のC原子を有する脂肪族炭化水素基を表し、R3は、非置換又は置換されたアリール基、好ましくはフェニルであり、R4は、H又は1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜8個のC原子を有する脂環式炭化水素基、6〜14個のC原子を有する置換アリール基若しくは下記:
【化3】

の一連の代表例であり、
ここで、R5及びR7は、それぞれ、アルキル、アリール、アラルキル又はアルカリール基を表し、
6は、アルキリデン、アリーリデン、アラルキリデン又はアルカリーリデン基を表し、
pは、0、1、2、3又は4であり、
m、nは、互いに独立して、2、3、4又は5を示し、
x及びyは、互いに独立して、整数≦350を示し、そして
zは、0〜200である〕
の少なくとも1つのコモノマーと
からなるコポリマーa1)であり、
(I)コポリマーa1)において、成分1)及び2)を表すコモノマー単位が、それぞれの場合において、内部分子の差を有さず、並びに/又は(II)コポリマーa1)が、成分1)及び2)のポリマー混合物を表し、この場合、コモノマー単位が、基R1及び/若しくはR2及び/若しくはR3及び/若しくはR4及び/若しくはR5及び/若しくはR6及び/若しくはR7及び/若しくはm及び/若しくはn及び/若しくはx及び/若しくはy及び/若しくはzに関して内部分子の差を有し、考察される差が、特に組成及び側鎖の長さに関する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の配合物。
【請求項4】
コポリマーa1)が、コモノマー成分1)を30〜99mol%の割合で含有し、コモノマー成分2)を70〜1mol%の割合で含有することを特徴とする、請求項3記載の配合物。
【請求項5】
コポリマーa1)が、コモノマー成分1)を40〜90mol%の割合で含有し、コモノマー成分2)を60〜10mol%の割合で含有することを特徴とする、請求項3又は4に記載の配合物。
【請求項6】
コモノマー成分1)がアクリル酸又はその塩を表し、コモノマー成分2)が、p=0又は1の場合、ビニル又はアリル基を含有し、R1としてポリエーテルを含有することを特徴とする、請求項3から5までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項7】
コモノマー成分1)が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、並びにこれらの適切な塩及びこれらのアルキルエステル又はヒドロキシアルキルエステルからなる群より生じることを特徴とする、請求項3から6までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項8】
コポリマーa1)が、追加の構造基を共重合形態で有することを特徴とする、請求項3から7までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項9】
追加の構造基が、スチレン、アクリルアミド及び/又は疎水性化合物であり、エステル構造単位、ポリプロピレンオキシド及びポリプロピレンオキシド/ポリエチレンオキシド単位が特に好ましいことを特徴とする、請求項8記載の配合物。
【請求項10】
コポリマーa1)が、追加の構造基を5mol%まで、好ましくは0.05〜3.0mol%、特に0.1〜1.0mol%の割合で含有することを特徴とする、請求項8又は9に記載の配合物。
【請求項11】
式(1)が、アリル基又はビニル基を含有するポリエーテルを表すことを特徴とする、請求項3から10までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項12】
ポリカルボン酸エステルa2)が、カルボン酸モノマー型の代表例を主要成分として含有するモノマー混合物(I)の重合により製造されうるポリマーであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の配合物。
【請求項13】
ポリカルボン酸エステルa2)が、消泡剤、脱泡剤又は界面活性剤であることを特徴とする、請求項12記載の配合物。
【請求項14】
モノマー混合物(I)が、一般式(II):
【化4】

〔式中、R1は、水素原子又はCH3基を表し、R2Oは、2〜4個の炭素原子を有する少なくとも2つのオキシアルキレン基の1つの代表例又は混合物を表し、R3は、水素原子又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表し、そしてmは、1〜250の数を表し、付加されるオキシアルキレン基のモルの平均数を表す〕の(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートモノマー(a)、
追加的に、モノマー(b)として、一般式(III):
【化5】

〔式中、R4は、水素原子又はCH3基を表し、そしてM1は、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す〕の(メタ)アクリル酸、並びに場合により、モノマー(a)及び(b)と共重合しているモノマー(c)を含有することを特徴とする、請求項12記載の配合物。
【請求項15】
モノマー(a)が5〜98質量%の量、モノマー(b)が2〜95質量%の量、モノマー(c)が50質量%までの量で、モノマー混合物(I)において存在し、モノマー(a)、(b)及び(c)のそれぞれの量が合計で100質量%になることを特徴とする、請求項14記載の配合物。
【請求項16】
モノマー(a)が、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート又はこれらの混合物であることを特徴とする、請求項12及び14又は15に記載の配合物。
【請求項17】
モノマー(b)が、アクリル酸、メタクリル酸、一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及びこれらの有機アミン塩、並びにこれらの混合物からなる群より選択される代表例であることを特徴とする、請求項12及び14から16までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項18】
モノマー(c)が、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族アルコールと不飽和カルボン酸とのエステルの少なくとも1つの代表例であることを特徴とする、請求項12及び14から17までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項19】
不飽和カルボン酸が、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、(メタ)アクリル酸又は一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩若しくはこれらの有機アミン塩であることを特徴とする、請求項18記載の配合物。
【請求項20】
マレイン酸、フマル酸又はシトラコン酸のような不飽和ジカルボン酸と、脂肪族C1〜C20アルコール、C2〜C4グリコール又は(アルコキシ)ポリアルキレングルコールとのモノエステル又はジエステルが存在することを特徴とする、請求項18記載の配合物。
【請求項21】
成分a2)が、以下のモノマー:
A)加水分解性基を含むエチレン性不飽和モノマー(この加水分解性モノマーは配合物を含む最終組成物の少なくとも1つの成分のために活性結合部位を有する);
B)鎖長さが1〜30単位の少なくとも1つのC2〜C4オキシアルキレン側基を有するエチレン性不飽和モノマー;
C)鎖長さが31〜350単位の少なくとも1つのC2〜C4オキシアルキレン側基を有するエチレン性不飽和モノマー
の少なくとも1つに基づいているコポリマーであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の配合物。
【請求項22】
成分B)及びC)がコポリマーa2)において同時に表されることを特徴とする、請求項21記載の配合物。
【請求項23】
成分A)のエチレン性不飽和モノマーが、少なくとも1つの無水物若しくはイミド及び/又は少なくとも1つの無水マレイン酸若しくはマレイミドを含むことを特徴とする、請求項21又は22に記載の配合物。
【請求項24】
成分A)のエチレン性不飽和モノマーが、加水分解性基を含有するエステル官能基を有するアクリレートを含むことを特徴とする、請求項21から23までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項25】
エステル官能基が、少なくとも1つのヒドロキシプロピル基又はヒドロキシエチル基であることを特徴とする、請求項24記載の配合物。
【請求項26】
成分A)のコポリマーa2)が、加水分解性基を持つ2つ以上のエチレン性不飽和モノマーを有することを特徴とする、請求項21から25までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項27】
成分A)のエチレン性不飽和モノマーが、基として、少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和モノマーの代表例、少なくとも1つの加水分解性基の代表例又はこの2つの混合物を有することを特徴とする、請求項26記載の配合物。
【請求項28】
加水分解性基が、少なくとも1つのC2〜C20アルコール官能基を有することを特徴とする、請求項26又は27に記載の配合物。
【請求項29】
加水分解性基が、少なくとも1つのC1〜C20アルキルエステル、C1〜C20アミノアルキルエステル又はアミドであることを特徴とする、請求項26から28までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項30】
成分B)又はC)の少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーが、C2〜C8アルキルエーテル基を有することを特徴とする、請求項21から29までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項31】
エチレン性不飽和モノマーが、ビニル基、アリル基又は(メチル)アリルエーテル基を有するか又は不飽和C2〜C8アルコールから誘導されることを特徴とする、請求項30記載の配合物。
【請求項32】
不飽和C2〜C8アルコールが、ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール又はメチルブテノールからなる一連の少なくとも1つの代表例であることを特徴とする、請求項31記載の配合物。
【請求項33】
成分B)又はC)のエチレン性不飽和モノマー側基が、少なくとも1つのC4オキシアルキレン単位を有することを特徴とする、請求項21から32までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項34】
成分B)又はC)の少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーが、特に加水分解性であるC2〜C8カルボン酸エステルを有することを特徴とする、請求項21から33までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項35】
オキシアルキレン側基が、少なくとも1つのエチレンオキシド、1つのプロピレンオキシド、1つのポリエチレンオキシド、1つのポリプロピレンオキシド又はこれらの混合物を有することを特徴とする、請求項21から34までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項36】
成分C)のコポリマーa2)が、少なくとも1つの非イオン性及び/又は1つの非加水分解性モノマー基又はこれらの混合物を有することを特徴とする、請求項21から35までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項37】
非イオン性コポリマーa3)が、一般式(IV):
【化6】

〔式中、Qは、少なくとも1つの加水分解性基を有するエチレン性不飽和モノマーを表し、Gは、O、C(O)−O又はO−(CH2p−Oを示し、pは2〜8であり、ポリマーにおいてGの変種の混合物が可能であり;R1及びR2は、互いに独立して、少なくとも1つのC2〜C8アルキルを示し;R3は、(CH2cを含み、cは2〜5の整数であり、同じポリマー分子においてR3の代表例の混合物が可能であり;R5は、H、直鎖若しくは分岐鎖、飽和若しくは不飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基、C5〜C8脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換のC6〜C14アリール基からなる一連のものより選択される少なくとも1つの代表例を示し;mは、1〜30であり、nは、31〜350であり、wは1〜40であり;yは、0〜1であり、そしてzは、0〜1であり、合計(y+z)は>0である〕の代表例であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の配合物。
【請求項38】
非イオン性コポリマーa3)が、一般式(V):
【化7】

〔式中、Xは、加水分解性基を表し、Rは、H又はCH3を表し、G、p、R1、R2、R3、R5、m、n、w、y、z及び(y+z)は、式(IV)において記述された意味を有する〕の代表例であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の配合物。
【請求項39】
加水分解性基が、アルキルエステル、アミノアルキルエステル、ヒドロキシルアルキルエステル、アミノヒドロキシアルキルエステル又はアミドからなる一連の少なくとも1つの代表例であることを特徴とする、請求項38記載の配合物。
【請求項40】
非イオン性コポリマーa3)が、一般式(VI):
【化8】

〔式中、R4は、少なくとも1つのC1〜C20アルキル基又はC2〜C20ヒドロキシアルキル基を示し、そして基G、p、R、R1、R2、R3、c、R4、R5、並びにm、n、w、y、z及び(y+z)は、式(IV)及び(V)において記述された意味を有する〕の少なくとも1つの代表例であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の配合物。
【請求項41】
pが4であり、R4がC24OH又はC36OHを示し、基R5がそれぞれHを表し、mが5〜30であり、nが31〜250であり、wが1.5〜30であり、yが0〜1であり、zが0〜1であり、そして(y+z)が>0であることを特徴とする、請求項40記載の配合物。
【請求項42】
w対合計(y+z)のモル比が、1:1〜20:1、好ましくは2:1〜12:1であることを特徴とする、請求項37から41までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項43】
コポリマーa3)が、非イオン性ポリエーテル−ポリエステルコポリマーであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の配合物。
【請求項44】
成分b)の構造単位(I)、(II)、(III)が、以下の式:
【化9】

〔式中、
Aは、同一又は異なっており、5〜10個のC原子を有する置換又は非置換の芳香族又は複素環式芳香族の化合物により表され、
Bは、同一又は異なっており、N、NH又はOにより表され、
BがNの場合、nは2であり、BがNH又はOである場合、nは1であり、
1及びR2は、互いに独立して、同一又は異なっており、分岐鎖若しくは直鎖C1〜C10アルキル基、C5〜C8シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はHにより表され、
aは、同一又は異なっており、1〜300の整数により表され、
Xは、同一又は異なっており、分岐鎖若しくは直鎖C1〜C10アルキル基、C5〜C8シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はHにより表される〕、
【化10】

〔式中、
(VIII)及び(IX)では、それぞれの場合において、
Dは、同一又は異なっており、5〜10個のC原子を有する置換又は非置換の複素環式芳香族化合物により表され、
Eは、同一又は異なっており、N、NH又はOにより表され、
EがNの場合、mは2であり、EがNH又はOの場合、mは1であり、
3及びR4は、互いに独立して、同一又は異なっており、分岐鎖若しくは直鎖C1〜C10アルキル基、C5〜C8シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はHにより表され、
bは、同一又は異なっており、0〜300の整数により表され、
Mは、互いに独立して、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン及び/又はHであり、
cは、1であるか、又はアルカリ土類金属イオンの場合にである〕
により表されることを特徴とする、請求項1から43までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項45】
成分b)が、以下の式:
【化11】

〔式中、
Yは、互いに独立して、同一又は異なっており、重縮合物b)の(VII)、(VIII)、(IX)又は更なる構成成分により表され、
5は、同一又は異なっており、H、CH3、COOMc又は5〜10個のC原子を有する置換若しくは非置換の芳香族若しくは複素環式芳香族の化合物により表され、
6は、同一又は異なっており、H、CH3、COOMc又は5〜10個のC原子を有する置換若しくは非置換の芳香族若しくは複素環式芳香族の化合物により表され、
Mは、互いに独立して、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン及び/又はHであり、
cは、1であるか、又はアルカリ土類金属イオンの場合にである〕
により表される更なる構造単位(X)を含有することを特徴とする、請求項44記載の配合物。
【請求項46】
成分b)の構造単位(X)におけるR5及びR6が、互いに独立して、同一又は異なっており、H、COOMc及び/又はメチルにより表されることを特徴とする、請求項45記載の配合物。
【請求項47】
成分b)の構造単位〔(VII)+(VIII)+(IX)〕:(X)のモル比が、1:0.8〜3であることを特徴とする、請求項1から46までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項48】
成分b)の構造単位(VII):〔(VIII)+(IX)〕のモル比が、1:15〜15:1、好ましくは1:10〜10:1であることを特徴とする、請求項1から47までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項49】
成分b)の構造単位(VIII):(IX)のモル比が、1:0.005〜1:10であることを特徴とする、請求項1から48までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項50】
重縮合物b)が、2〜90質量%の水及び98〜10質量%の溶解乾燥物質を含有する水溶液に存在することを特徴とする、請求項1から49までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項51】
成分a)が、それぞれの場合に配合物全体に基づいて5〜95質量%、好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは15〜40質量%の割合で存在することを特徴とする、請求項1から50までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項52】
成分b)が、それぞれの場合に配合物全体に基づいて5〜100質量%、好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは15〜40質量%の割合で存在することを特徴とする、請求項1から51までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項53】
成分a)及びb)に加えて成分c)として少なくとも1つの消泡剤、及び/又は表面活性効果を有する成分d)を含有し、成分c)及びd)が構造的に互いに異なっていることを特徴とする、請求項1から52までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項54】
消泡剤成分c)が、鉱油、植物油、シリコーン油、シリコーン含有エマルション、脂肪酸、脂肪酸エステル、有機改質ポリシロキサン、ホウ酸エステル、アルコキシレート、ポリオキシアルキレンコポリマー、エチレンオキシド(EO)−プロピレンオキシド(PO)ブロックポリマー、消泡性を有するアセチレンジオール、式:P(O)(O−R83-x(O−R9x(式中、Pはリンであり、Oは酸素であり、R8及びR9は、独立して、C2〜C20アルキル基又はアリール基を示し、そしてxは0、1、2である)のリン酸エステルからなる群の少なくとも1つの代表例であることを特徴とする、請求項53記載の配合物。
【請求項55】
消泡成分c)が、トリアルキルホスフェート、ポリオキシプロピレンコポリマー及び/又はグリセリン/アルコールアセテートからなる一連の少なくとも1つの代表例であることを特徴とする、請求項53又は54に記載の配合物。
【請求項56】
消泡成分c)が、トリイソブチルホスフェートであることを特徴とする、請求項53から55までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項57】
消泡剤成分c)が、トリアルキルホスフェートとポリオキシプロピレンコポリマーの混合物を表すことを特徴とする、請求項53から56までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項58】
成分d)が、エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)ブロックコポリマー、スチレン/マレイン酸コポリマー、脂肪酸アルコールアルコキシレート、アルコールエトキシレートR10−(EO)−H(ここでR10は、1〜25個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基である)、アセチレンジオール、モノアルキルポリアルキレン、エトキシル化ノニルフェノール、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルスルホネート又はアルキルエーテルカルボキシレートからなる一連の少なくとも1つの代表例であることを特徴とする、請求項53記載の配合物。
【請求項59】
成分d)が、ポリアルキレン基を有するアルコールを含み、その際、ポリアルキレン基が2〜20個の炭素原子の炭素鎖長さを有することを特徴とする、請求項53から58までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項60】
ポリアルキレン基が、3〜12個の炭素原子の炭素鎖長さを有することを特徴とする、請求項59記載の配合物。
【請求項61】
消泡成分c)を遊離形態、分散剤成分a)に結合して又はこれらの2つの形態の混合物として含有することを特徴とする、請求項53及び58から60までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項62】
それぞれの場合において配合物の総質量に基づいて、消泡剤成分c)が0.01〜10質量%の量で存在すること及び/又は表面活性成分d)が0.01〜10質量%の量で存在することを特徴とする、請求項53から61までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項63】
消泡剤c)及び/又は表面活性成分d)が、互いに独立して、それぞれの場合に配合物の総質量に基づいて、それぞれの場合に0.01〜5質量%の量で存在することを特徴とする、請求項53から62までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項64】
成分a)及びb)、並びに場合によりc)及び/又はd)に加えて、成分e)として低電荷を有するポリマー、中性ポリマー又はポリビニルアルコールからなる一連より選択される少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする、請求項1から63までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項65】
成分e)を、それぞれの場合に配合物の総質量に基づいて、1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%の量、特に好ましくは10〜30質量%の量で含有することを特徴とする、請求項64記載の配合物。
【請求項66】
低電荷を有するポリマーが、分岐しており、側鎖が好ましくはポリエーテル及び/又はポリエステルからなることを特徴とする、請求項64又は65に記載の配合物。
【請求項67】
低電荷を有するポリマーが、好ましくはEO側鎖を有する及び/又は83mol%まで、好ましくは75mol%までのカルボキシレートの割合を有するポリカルボン酸エーテル及び/又はポリカルボン酸エステルであることを特徴とする、請求項64から66までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項68】
低電荷を有するポリマーe)が、ポリエーテルモノアクリレート、ポリエーテルモノメタクリレート、ポリエーテルモノアリルエーテル、ポリエーテルモノマレエート、モノビニル化ポリエーテル又はこれらの混合物からなる一連より選択される少なくとも1つのモノマーから構成されることを特徴とする、請求項64から67までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項69】
ポリエーテルが、500〜10000,好ましくは750〜7500、特に1000〜5000の分子量を有するアルキレンオキシドポリマーであることを特徴とする、請求項68記載の配合物。
【請求項70】
アルキレンオキシドが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はこれらの混合物であることを特徴とする、請求項69記載の配合物。
【請求項71】
低電荷を有するポリマーe)が、ポリプロピレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、アルコキシ−又はアリールオキシポリエチレングリコールアクリレート、アルコキシ−又はアリールオキシポリエチレングリコールメタクリレート、アルコキシ−又はアリールオキシポリエチレングリコールモノビニルエーテル、オキシアルキレン又はオキシプロピレンブロック又はランダムコポリマーのアクリレート、メタクリレート及びモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノマレエート、ポリプロピレングリコールモノマレエート、並びにこれらの任意の混合物からなる一連より選択される少なくとも1つのモノマーから構成されることを特徴とする、請求項64から70までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項72】
低電荷を有するポリマーe)が、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸又はこれらの無水物からなる一連より選択されるカルボン酸基を持っていることを特徴とする、請求項64から71までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項73】
低電荷を有するポリマーe)が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、ビニルスルホン酸、アリルエーテルスルホン酸、2−スルホエチルメタクリル酸、スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、これらのナトリウム、カリウム及びアンモニウム塩、並びにこれらの任意の混合物、特にAMPS及びビニルスルホン酸からなる一連より選択されるスルホン酸基を有することを特徴とする、請求項64から72までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項74】
中性ポリマーe)が、アルキルアクリレート及びアルキルメタクリレート、並びに5個までの炭素原子を有するこれらのヒドロキシアルキルエステル、特にヒドロキシエチルアクリレート及びヒドロキシプロピルアクリレート又はヒドロキシエチルメタクリレート及びヒドロキシプロピルメタクリレート、並びに酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、スチレン及びメチルスチレンからなる一連より特に選択される中性モノマー構造単位から構成されることを特徴とする、請求項64から73までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項75】
追加の更なる成分f)として、ケイ酸カルシウム水和物(C−S−H)含有組成物を含有することを特徴とする、請求項1から74までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項76】
C−S−Hが、0.5〜2.0、好ましくは0.7〜1.8、より好ましくは1.6〜1.7のカルシウム/ケイ素(Ca/Si)モル比を示すことを特徴とする、請求項75記載の配合物。
【請求項77】
C−S−Hの平均粒径が、Malvern Companyの装置Master Sizer 2000による光散乱で測定して10μm未満、好ましくは1μm未満、より好ましくは0.2μm未満であることを特徴とする、請求項75又は76に記載の配合物。
【請求項78】
C−S−Hの平均粒径が、0.01μm超、好ましくは0.1μm〜1.0μm、より好ましくは0.2μm〜0.5μmであることを特徴とする、請求項75又は76に記載の配合物。
【請求項79】
C−S−H含有組成物が、水溶性カルシウム含有化合物と水溶性ケイ酸塩含有化合物との反応により製造可能であり、その際、水溶性カルシウム含有化合物と水溶性ケイ酸塩含有化合物との反応が、好ましくは水硬結合剤用の分散剤であり、成分a)及び/又はb)の少なくとも代表例から選択される水溶性コポリマーを好ましく含有する水溶液の存在下で実施されることを特徴とする、請求項75から78までのいずれ1項に記載の配合物。
【請求項80】
C−S−H含有組成物が、摩砕の際の酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び/又は水酸化カルシウムと二酸化ケイ素との反応により製造可能であり、その際、反応が、好ましくは水硬結合剤用の分散剤であり、成分a)及び/又はb)の少なくとも代表例から選択される水溶性コポリマーを好ましく含有する水溶液の存在下で実施されることを特徴とする、請求項75から78までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項81】
液体又は粉末、好ましくは再分散剤粉末であることを特徴とする、請求項1から80までのいずれか1項に記載の配合物。
【請求項82】
水性懸濁液の流動性を調節する配合物が、建築化学製品含有系に、特に水硬及び/又は潜在水硬結合剤を特に分散剤として含有する水性懸濁液に添加されることを特徴とする、請求項1から81までのいずれか1項に記載の配合物の使用方法。
【請求項83】
配合物が、セメント及び硫酸カルシウム系化合物、特に硫酸カルシウム半水和物、硬石膏又は石膏からなる群より選択される少なくとも1つの代表例を水硬結合剤として含有する水性懸濁液として使用されることを特徴とする、請求項82記載の使用方法。
【請求項84】
配合物が、それぞれの場合に懸濁液の組成物全体に基づいて、0.001〜8.0質量%、特に0.005〜5.0質量%、好ましくは0.01〜2.0質量%、特に好ましくは0.05〜1.0質量%の量で使用されることを特徴とする、請求項82又は83に記載の使用方法。
【請求項85】
配合物が、好ましくは流動性調節性及び/又は分散性を有する他の添加剤、混合物又は組成物と一緒に、より好ましくは配合物の成分a)及び/又は重合生成物b)の種類の少なくとも1つの分散剤と一緒に使用されることを特徴とする、請求項82から84までのいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項86】
水性懸濁液が、乾燥モルタル組成物又は床仕上用組成物に基づいていることを特徴とする、請求項82から85までのいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項87】
床仕上用組成物が、硫酸カルシウム、セメント又はこれらの混合物を含有し、好ましくは自己平坦化床仕上用組成物であることを特徴とする、請求項86記載の使用方法。

【公表番号】特表2013−503926(P2013−503926A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527277(P2012−527277)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062168
【国際公開番号】WO2011/029711
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(500487262)ビーエーエスエフ コンストラクション ポリマース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【氏名又は名称原語表記】BASF Construction Polymers GmbH
【Fターム(参考)】