配管検査装置及び配管検査方法
【課題】配管断面の計算に必要な計測データを迅速に取得する。
【解決手段】溶接部2で接合されている配管3に環状の軌道1を設置し、その軌道1に周方向移動装置6を配管3周りに移動自在に設置する。その周方向移動装置6からシャフト14沿いに測定器移動部19を配管軸方向に移動させ、その移動途中で、周方向と軸方向の移動位置を計測しながら、測定器移動部19に装備した変位計23と超音波探触子22として垂直超音波探触子を用いて配管3の外表面の変位と配管3の肉厚(板厚)を計測する。各計測結果を用いて配管3の断面形状を表示し、後に垂直超音波探触子を斜角超音波探触子に取り替えて先の計測の範囲に超音波探傷試験を実施し、その試験結果を配管3の断面形状の表示上に重ねて表示する。
【解決手段】溶接部2で接合されている配管3に環状の軌道1を設置し、その軌道1に周方向移動装置6を配管3周りに移動自在に設置する。その周方向移動装置6からシャフト14沿いに測定器移動部19を配管軸方向に移動させ、その移動途中で、周方向と軸方向の移動位置を計測しながら、測定器移動部19に装備した変位計23と超音波探触子22として垂直超音波探触子を用いて配管3の外表面の変位と配管3の肉厚(板厚)を計測する。各計測結果を用いて配管3の断面形状を表示し、後に垂直超音波探触子を斜角超音波探触子に取り替えて先の計測の範囲に超音波探傷試験を実施し、その試験結果を配管3の断面形状の表示上に重ねて表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の断面形状の測定が可能な配管検査装置及び配管検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種プラントの配管検査において、検査時間の短縮や高精度な検査のために自動検査装置を用いる場合が多い。
【0003】
一般に自動式の配管検査装置は、測定器を装着した本体と、その本体を配管外周方向に沿って走行する走行装置と、本体を配管軸方向に沿って移動して配管に対して位置合わせを行う軸方向移動装置等を備えている。
【0004】
配管の溶接部等の検査では測定器に超音波探触子を用いて自動探傷試験が行われるが、この際、手動探傷,自動探傷を問わず超音波探傷試験に加え溶接部の断面形状を測定する。これは、配管断面形状に超音波探傷試験によって検出された信号の反射源位置を記入し、検出した超音波信号が欠陥か否かを検査員が判断するためである。
【0005】
また、欠陥であった場合には詳細な欠陥高さ寸法の把握に溶接部の断面形状が必要になる。従来、配管断面形状の測定は、型取りゲージによる配管表面形状のトレースと超音波探触子による配管肉厚測定を検査員の手作業によって行い、後に配管表面形状と配管肉厚から配管断面形状を算出するという手順で行われていた。
【0006】
そして、得られた配管断面形状に超音波探傷の結果を記入するという手順で、配管断面形状を考慮して欠陥有無の判断がされる。
【0007】
自動式の検査装置の配管長手方向移動装置に、距離検出器を装備することによって配管表面変位を測定する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平10−339617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
配管断面形状に超音波探傷の結果を記入する手順の従来方法であると、手作業による測定に基づいた配管断面形状のための測定誤差や欠陥有無の判断に多くの時間がかかるという問題があった。
【0010】
また、特許文献1のものでは、自動化されるのは配管表面形状測定のみであり、配管表面形状測定と配管肉厚測定とを個々に行うという手順をふまなければ成らず、配管断面形状算出には多くの時間がかかる。
【0011】
本発明の目的は、配管の断面形状を迅速に知り得るようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的を達成するための第1の手段は、超音波探触子を前記配管の周方向と軸方向とに移動する移動手段と、前記配管の外面の形状に沿って前記超音波探触子の位置を変動させるように前記移動手段に装備されたサスペンションと、前記超音波探触子の移動位置を計測するように前記移動手段に装備された位置計測手段と、前記超音波探触子の移動と連動するように前記移動手段に装備され、前記配管の外面の形状変化を変位として計測する変位計測手段とを有する配管検査装置である。
【0013】
同じく第2手段は、配管の外周囲に装備される環状の軌道と、前記軌道に沿って移動する周方向移動装置と、前記周方向移動装置に装備されて前記配管の軸方向に長いシャフトと、前記シャフトに案内されるように前記シャフトへ移動自在に装備された測定器移動部と、前記周方向移動装置に装備され、前記測定器移動部をねじ送りするボールねじと、前記測定器移動部に前記配管の外面の形状の変化に追従して変位するように装備した探触子取付部と、前記探触子取付部に装備された超音波探触子と、前記超音波探触子を前記配管側に押し付けるように前記探触子取付部と前記測定器移動部との間に装備されたバネと、前記測定器移動部に装備されて、前記配管の外面の形状の変化を変位として計測する変位計とを備えた配管検査装置である。
【0014】
同じく第3手段は、配管の外表面の変位を測定するステップと、前記配管の肉厚を測定するステップと、前記測定した変位と前記測定した肉厚とから前記配管の断面形状を算出するステップと、前記配管の超音波探傷試験を実施するステップと、前記算出した配管断面形状に、前記超音波探傷試験結果を表示するステップとを有する配管検査方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、配管の断面形状を作成するのに必要な、配管外面の形状の計測結果と、配管の肉厚の計測結果とを同時に取得できるので、配管の断面形状の作成を迅速に達成するのに有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
発明を実施するための最良の形態は、超音波を用いた配管検査装置において、配管3の外表面に装着した着脱可能な軌道1と、前記軌道1に沿って移動し、かつ配管長手方向に伸びたシャフト14を有する周方向移動装置6と、前記シャフト14に沿って移動する測定器移動部19と、前記探測定器移動部19に弾性体(例えば、バネ21)を介して設けられた探触子取付部20と、前記探触子取付部20に設けられた超音波探触子22と、前記測定器移動部19に保持された変位計23と、前記超音波探触子22を用いた配管3の肉厚計測結果と前記変位計23を用いた配管3の外表面変位の計測結果から溶接部2と直交する配管3の軸方向断面形状を算出する手段を有する配管検査装置である。
【0017】
この配管検査装置は、前記変位計23の代わりに前記超音波探触子22の上下方向、即ち配管3の半径方向、の振幅を測定する測定装置であっても良い。
【0018】
また、この配管検査装置は、好適には前記シャフト14の先端にシャフト14の傾斜を測定するための傾斜計56或いは、前記シャフト14の先端にシャフト14のたわみを測定するための変位計を有する。
【0019】
本発明の実施における検査方法は、配管表面変位を測定するステップと、配管肉厚を測定するステップと、前記配管表面変位と前記配管肉厚とから配管断面形状を算出するステップと、配管の超音波探傷試験を実施するステップと、前記配管断面形状の表示に、前記超音波探傷試験結果を表示するステップからなる。
【実施例1】
【0020】
この実施例の検査対象は、二本の配管3が端部で相互に溶接によって接合されているその接合後の部分である。その溶接による接合跡の部分が溶接部2である。その溶接部2の近傍においては、溶接熱影響等により、接合後の配管3の断面は、例えば図8のように、接合前は平坦であった配管3の内外面が変化をきたして縮径する方向へ変位(図8では表面変位と表示してある。)する。また、溶接接合によって配管3の断面形状は、図8のように、縮径する方向へ変形し、配管3の肉厚も一様ではなくなる。
【0021】
また、溶接部2やその近傍の配管3部分には、溶接しない部分に比較して溶接の影響で欠陥が発生しやすい。そのため、その欠陥の有無を非破壊検査によって検査しなければならない。非破壊検査の一例として、超音波探傷装置を用いて検査することが知られている。その検査結果で欠陥が発見された場合、その欠陥が配管3のどの位置に存在するかを把握することは、溶接による変形後の配管断面を把握しなければ、困難である。
【0022】
したがって、溶接部2近傍を検査対象とした場合には、溶接接合等により変形した溶接部2を含む配管3の断面の形状を把握することが重要な課題として浮上する。
【0023】
本発明に係る配管検査装置は、その配管3の接合後の断面を把握するためのデータを迅速に取得できる。その本発明に係る配管検査装置の第1実施例を以下に説明する。即ち、溶接によって大きく変形した個所を避けるようにして、円形の配管の外周面に配管3と同心円状に環状の軌道1を設置する。軌道1は半割り二分割になっていて、その半割りの各分割端を機械的に結合することで配管3の外周囲に環状に軌道1が組み立てられている。
【0024】
軌道1には外周囲にラック13が環状に設けられていて、そのラック13は後述の周方向移動装置駆動用ピニオン8と噛み合っている。軌道1には、ラック13を避けるようにラック13の両脇にねじ穴4が、図2のように、周囲三箇所に等角度分布の配置で形成されている。各ねじ穴4には、ねじ5が螺合していて、そのねじ5を軌道1の内側に突き出るように回転させ、その突き出し量を加減することで配管3と同心状に軌道1を配管3へねじ5を介して装着できる。軌道1の両側面には、溝10が形成され、後述のボールプランジャ11,12のボール部分が溝10に接して軌道1から次に述べる周方向移動装置が脱落しないように構成されている。
【0025】
その軌道1には、軌道1に沿って配管3の外周囲を移動する周方向移動装置が、後述する超音波探触子22を配管3の周方向へ移動させる移動手段として設置されている。周方向移動装置は、以下の構成を有する。即ち、図1,図2,図3のように、周方向移動装置の外殻を構成するフレームには、周方向移動装置駆動用モータ7が設置され、その周方向移動装置駆動用モータ7の回転出力軸にはラック13と噛みあう周方向移動装置駆動用ピニオン8が固定され、その周方向移動装置駆動用モータ7で周方向移動装置駆動用ピニオン8が回転駆動自在とされる。
【0026】
周方向移動装置のフレームには、ボールプランジャ11,12が軌道1を挟むように設置され、各ボールプランジャ11,12の回転自在なボール部分が軌道1の溝10に接して溝10から脱落しないようにされている。周方向移動装置駆動用モータ7には、そのモータ回転量を計測する周方向移動装置位置検出用エンコーダ9が、周方向移動装置6や後述する超音波探触子22の周方向の移動位置を計測する位置計測手段として装備されている。
【0027】
このような周方向移動装置6は、周方向移動装置駆動用モータ7により周方向移動装置駆動用ピニオン8を回転駆動すると、周方向移動装置駆動用ピニオンがラック13に噛みあっているので、軌道1に沿って配管3の外周囲を配管3や軌道1と同心円状に移動できる。その移動量でスタートした位置からみた移動位置が判明するので、周方向移動装置駆動用モータ7のモータ回転量を周方向移動装置位置検出用エンコーダ9で計測して、計測した結果を位置情報を表す出力信号として出力している。
【0028】
周方向移動装置6には、超音波探触子22を配管3の軸方向に移動させる移動手段が装備されている。その軸方向への移動手段は、本実施例では以下のように構成されている。即ち、図1,図3のように、配管3の軸心と平行で、且つ互いにおいても平行な二本のシャフト14の一端部が周方向移動装置6のフレームに設置され、二本のシャフト14の各他端部は相互に連結固定されて平行間隔が維持されている。
【0029】
各シャフト14には、測定器移動部19がシャフト14の長さ方向、即ち配管3の軸方向(配管の長さ方向)に滑走して移動自在に組みあわされている。このように、測定器移動部19そのものは、シャフト14沿いに滑走移動するフレームである。その測定器移動部19には、各シャフト14と平行なボールねじ15が螺合していて、ボールねじ15の回転によって測定器移動部19がシャフト14に沿ってねじ送りできる。そのボールねじ15には、図1,図3のように、ボールねじ駆動用モータ16の回転出力軸が各歯車17,18を介して接続され、ボールねじ駆動用モータ16でボールねじ15を回転駆動できるようにされている。
【0030】
そのボールねじ駆動用モータ16は周方向移動装置6のフレームに設置されている。そのボールねじ駆動用モータ16には、そのモータ回転量を計測する測定器移動部位置検出用エンコーダ24が、後述する超音波探触子22の配管3軸方向(配管の長手方向)の移動位置を計測する位置計測手段として装備されている。
【0031】
このような軸方向への移動手段は、ボールねじ駆動用モータ16でボールねじ15を回転駆動させ、その回転の方向に応じて測定器移動部19が配管3の軸方向(配管の長さ方向)へ移動し、超音波探触子22の配管3軸方向の移動位置を変えることが出来る。その移動位置はボールねじ駆動用モータ16のモータ回転量に応じて変化するので、そのボールねじ駆動用モータ16のモータ回転量を測定器移動部位置検出用エンコーダ24で計測して、計測結果をスタートした位置から見た位置情報を表す信号として出力している。
【0032】
このような軸方向の移動手段が超音波探触子22と変位計23とを同時に同方向へ移動させることが出来るように、超音波探触子22と変位計23とが共通の測定器移動部19に装着されている。配管3の外面の形状変化を変位として計測する変位計測手段として採用した変位計23は、非接触式のレーザー変位計,接触式のポテンショメータのいずれであっても構わない。
【0033】
測定器移動部19には探触子取付部20が配管3の半径方向へ自在に移動するようにガイド構造を介して装着されている。その探触子取付部20には、探触子取付部20と測定器移動部19との間に装備したバネ21によって配管3の外表面方向へ常時押し出す力が付勢されている。その探触子取付部20の配管3寄りの部位には、超音波探触子22が着脱自在に装着されている。このような構成では、バネ21は、超音波探触子22が配管3の外表面の形状の変化に追従して配管3の半径方向へ移動することを許容するので、超音波探触子22のバネサスペンションの機能を果す。
【0034】
測定器移動部19には、変位計測位置が配管3の外表面になるように姿勢を調整した変位計23が装着されている。この実施例では、図1のように、接触式の変位計を採用しているので、配管3の外表面に変位計23の計測端部が接していて、その端部が配管3の外表面の形状の変化に応じて配管3の半径方向へ変位して、その変位に対応した出力を計測結果を表す信号として出力している。
【0035】
図4に本発明の配管検査装置のシステムのブロック図を示す。本検査装置のシステムは、周方向移動装置位置検出用エンコーダ9および測定器移動部位置検出用エンコーダ24からの出力信号に基づいて得られる配管3の位置座標における配管断面形状を、超音波探触子22による配管の肉厚計測結果、変位計23による配管表面変位から算出,記録するための、演算部54,記録部53,検査結果を表示するための表示部51,検査範囲など入力するための入力部52を有している。また本検査装置のシステムは、超音波探触子
22に超音波を発進させたり、超音波を受信したりさせるパルサレシーバ,カウンタボード,A/Dボードなどを有している。演算部54はコンピュータであって、周方向移動装置駆動用モータ7やボールねじ駆動用モータ16を制御している。周方向移動装置位置検出用エンコーダ9や測定器移動部位置検出用エンコーダ24の出力信号はカウンタボードを介して演算部54に入力されている。変位計23の出力信号もA/Dボードを介して演算部54に入力されている。超音波探触子から超音波を配管に対して送受信して得られた受信情報はパルサレシーバやA/Dボードを介して演算部54に入力されている。
【0036】
このような各種信号入力を受けて、演算部54では、次のような処理を実行する。その実行内容を本配管検査装置を配管断面形状算出と記録の後に超音波探傷試験を実施し、超音波探傷試験結果を算出した配管断面形状上に重ねて表示する配管検査方法をまじえて以下に解説する。
【0037】
図5に配管断面形状作成,記録の流れ図を示す。まず、超音波探触子22を配管の半径方向へ超音波の送受信方向を定めた垂直超音波探触子に付け替えておく。次に、周方向検査範囲X1≦X≦X2と周方向検査範囲Y1≦Y≦Y2との配管検査範囲及び現在の周方向位置Xと軸方向位置Yを入力部52から演算部54へ入力する(ステップS101)。そして、周方向検査範囲X1≦X≦X2内の、現在の周方向位置Xにおいて、測定器移動部19を移動させては、その移動に伴う配管軸方向位置Yを測定器移動部位置検出用エンコーダの出力信号に基づいて読み込む(ステップS102)。
【0038】
そして、その移動毎に変位計23からの出力信号に基づく配管3の外表面変位の読み込みと、垂直超音波探触子から配管3の肉厚方向(配管半径方向)に超音波を入射し、配管底面(配管3の内周面)で反射し再び超音波探触子で受信させて、超音波の入射から戻ってくるまでの往復の伝播時間に、配管3の材料中の超音波の音速を乗じた往復の伝播経路の半分として算出されるビーム路程から、配管肉厚方向変位及び配管3の肉厚を読み込む(ステップS103)、ステップS101からステップS103をY=Y2となるまで繰り返す(ステップS104のY1≦Y≦Y2)、Y=Y2となった場合(ステップS104のY=Y2)に周方向位置Xでの各軸方向位置での配管3の外表面の変位位置から配管半径方向の配管3の肉厚を持って配管3の内周面と定義して配管断面形状を得る(図8参照)。この結果を記録部53へ保存させる(ステップS105)。
【0039】
続いて、現在の周方向位置Xの判定(ステップS106)を行い、周方向位置XがX1≦X≦X2内である場合(ステップS106のX1≦X≦X2内)は、周方向移動装置駆動用モータ7に周方向移動装置6を予め定めたΔXだけ周方向に移動させ(ステップ
S107)、ステップS102からステップS105までを繰り返す。X=X2となった場合(ステップS106のX=X2)は、超音波探傷試験(ステップS108)に移る。
【0040】
ステップS108での処理が終了した後に、演算部54での処理は一時停止する。超音波探傷試験に移る前に超音波探触子22を垂直超音波探触子から探傷用の斜角超音波探触子に、探触子取付部20へ付け替える。斜角超音波探触子は、超音波を斜めに配管3の肉厚中に送受信する構造の探触子であり、配管の半径方向へ進展した亀裂などの開口欠陥に対して検出感度が高いという特性がある。垂直超音波探触子でも欠陥を検出することが出来るが、好ましくは、超音波探傷試験時には、上述のように超音波探触子22を検出したい欠陥の性状に合わせて付け替えることが好ましい。
【0041】
このように、配管の超音波探傷試験を実施する際、図1に示した超音波探触子22を配管肉厚測定用の垂直超音波探触子から、配管探傷用の斜角超音波探触子に代え、その後に演算部54を働かした上、超音波探傷試験を実施する。図6に超音波探傷試験の流れ図を示す。まず、演算部54に探傷範囲として入力部52から周方向位置Xと周方向検査範囲X1≦X≦X2、及び軸方向位置Yと軸方向検査範囲Y1≦Y≦Y2、並びに超音波探触子22から配管3に対して送受信する超音波屈折角αを入力する(ステップS201)。ここでの検査範囲は、図5中のステップS101で指定した検査範囲内であればどの範囲でも構わない。
【0042】
続いて、図5の流れで作成した周方向検査範囲X1≦X≦X2内の、現在の周方向位置Xにおける配管断面形状を記録部より呼び出し、表示部に表示する(ステップS202)。そして、その表示されている配管断面形状に超音波探触子からの反射源位置を重ねて表示する(ステップS203)。反射源の表示方法については、後に後述する。
【0043】
続いて、ステップS202からステップS203をY=Y2となるまで繰り返す(ステップS204のY1≦Y≦Y2)、Y=Y2となった場合(ステップS204のY=Y2)は、この結果を記録部53に保存させる(ステップS205)。続いて、現在の周方向位置Xの判定(ステップS206)を行い、周方向位置XがX1≦X≦X2内である場合
(ステップS206のX1≦X≦X2内)は、周方向移動装置駆動用モータ7によりΔXだけ周方向に移動させ(ステップS207)、ステップS202からステップS205までのステップを繰り返す。X=X2となった場合(ステップS106のX=X2)は、終了となる。
【0044】
図7に配管3の肉厚中の欠陥から超音波が反射して超音波探触子に受信した、その反射源位置の表示の流れ図を示す。まず、現在の軸方向位置Yを読み込む(ステップS301)。続いて軸方向位置Y、屈折角αおよびビーム路程Wから、YR=Y+WSINα,ZR=WCOSαにより反射源位置Rを算出する(ステップS302)。そして、表示部51に反射源位置[R(YR,ZR)]を先に計測済みの配管の断面形状と重ねて表示する。(ステップS303)。図10は、図5,図6,図7の流れによって得られた配管断面形状への超音波反射源の表示の例で、×印が反射源を表し斜めの線が超音波の伝播経路を表す。検査員は図10のような表示部での表示画像から裏面(配管3の内周面)の形状による反射源であるのか、欠陥と思われる疑わしい反射源であるかを判断する。
【0045】
尚、ビーム路程Wとは、入射した超音波がきずなどの反射源で反射し、超音波探触子に戻って来るまでの時間に配管の材料中の超音波の音速を乗じて、超音波の入射から受信までの往復の伝播経路の半分として算出される。
【実施例2】
【0046】
図11は本発明の第2の実施例を示すもので、各シャフト14には、第1の実施例と同様に、シャフトの長さ方向へ移動自在に装着した測定器移動部19が取付けられる。その測定器移動部19には、探触子取付部20がガイド構造を介して配管3の半径方向へ移動自在に装着される。その探触子取付部20は、探触子取付部20と測定器移動部19との間に装着したバネ21によって、常に配管3の方向へ押し出される勢力が付与されている。
【0047】
その探触子取付部20と測定器移動部19との間には、探触子取付部20の配管3の半径方向への動きに基づく変位を計測するエンコーダ55が設けられる。このエンコーダ
55は、測定器移動部19に対して探触子取付部20が配管3の半径方向へ変位するその変位を計測する変位計として採用されている。その変位は、配管3の半径方向へ直線的に変位するので、変位計の一例としてリニアエンコーダが採用できる。
【0048】
その他の構成などの技術的事項は、第1の実施例と同様である。このような第2実施例によれば、配管の軸方向(配管の長さ方向)へ測定器移動部19が移動することに伴って、配管3の外表面を配管軸方向へ滑走する超音波探触子22が配管3の外表面の形状の変化、例えば凸凹など、に応じて配管3の半径方向へ往復移動する。そのため、超音波探触子22が取付けられている探触子取付部20も配管3の半径方向へ往復移動する。このように探触子取付部20も配管3の半径方向へ往復移動すると、エンコーダ55は、配管3の外表面形状に沿って超音波探触子22が移動するのに伴って探触子取付部20の配管3の半径方向への往復変位量を配管3の半径方向への振幅量として測定する。すなわち、エンコーダ55は配管3の外表面形状の変位を測定する変位計として機能するわけである。
【0049】
このような第2の実施例の構成であると、第1の実施例における変位計23の配管3に接する可動部分が探触子取付部20と兼用できて簡単な構成になる。この構成であると、エンコーダ55を用いることで配管の外表面形状の大きな変化に対応可能である。本実施例での配管検査装置を用いた配管検査方法は第1の実施例と同様である。
【実施例3】
【0050】
図12は本発明の第3の実施例を示すもので、第1の実施例における各シャフト14の先端にシャフト14の傾斜を測定する傾斜計56を設置してある。その他の構成は第1の実施例と同じである。
【0051】
図13のように、周方向移動装置6が(1)の状態では、シャフト14が水平(配管3の軸方向に平行)を保ちながら、Y1 の位置からY2 の位置まで配管軸方向に超音波探触子22や変位計23が移動する。この場合の変位計23による配管3の外表面変位の計測結果と、測定器移動部位置検出用エンコーダ24で計測した変位計23の配管軸方向の移動位置計測結果との関係は、各計測結果を参照して表示すると、図14のようになる。
【0052】
一方、図13で周方向移動装置6が(2)の状態では、シャフト14には測定器移動部19や探触子取付部20や変位計23や超音波探触子22等の自重の影響によって配管3の軸心に対して傾斜が生じる。この場合の変位計23による配管3の外表面の変位計測結果と測定器移動部位置検出用エンコーダ24で計測した変位計23の配管軸方向の移動位置計測結果との関係は、各計測結果を参照して表示すると、図16のようになり、測定器移動部19等がY1 の位置からY2 の位置まで移動するにしたがって、シャフト14の傾斜の影響を受け配管表面変位は増加していく。
【0053】
このような状態で、超音波探触子22からの配管3の肉厚によって配管断面形状を算出すると、実際とは異なる形状となってしまう。そこで次のような補正処理を演算部で施してから表示部に配管断面形状を表示する。
【0054】
即ち、シャフト14は剛体棒であるため、Y1 の位置からY2 の位置まで移動した場合に、傾斜する角度θは一定で、その角度θは傾斜計56によって計測され、その計測結果の情報は演算部に入力されて後述の補正処理の処理過程で用いられる。
【0055】
ここで、任意の配管軸方向位置Yでの傾斜による配管表面変位の増加δは、δ=Ytanθで与えられる。その補正処理過程では、補正前では図15のように表される配管外表面変位の計測結果のデータからδを引くことよって傾斜した場合の配管表面変位が図14のようにシャフト14がYの値のグラフ基軸と一致するように補正し、補正後のデータで配管の外表面の変位とYの値との関係を表示部に、図14のように表示できる。その他の作用は、第1実施例と同じである。
【0056】
以上に説明した如く、本発明の各実施例による配管検査装置によれば、配管表面形状測定と配管表面形状からの配管の肉厚(板厚ともいう)測定とを同時に行うことが出来、迅速に配管断面形状の算出に必要なデータを取得でき、配管断面を決定することが迅速に達成できる。
【0057】
そのため、超音波探傷試験結果を迅速に配管断面形状に反映して表示でき、検査員の検査業務を正確且つ迅速に支援できる。このように、各実施例によれば、配管断面形状算出の精度向上と欠陥有無の判断の迅速化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、配管の断面の形状を計測する配管検査装置に利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施例による配管検査装置の解説図にして、(a)図は配管に装着した状態の一部断面表示による全体図、(b)図は(a)図の要部拡大断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例による配管検査装置の一部断面表示による正面図である。
【図3】本発明の第1の実施例による配管検査装置の上平面図である。
【図4】本発明の第1の実施例による配管検査装置のシステムのブロック線図である。
【図5】本発明の第1の実施例による配管検査装置による配管の断面形状の計算に必要なデータ収集過程を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の第1の実施例による超音波探傷試験のフローチャート図である。
【図7】本発明の第1の実施例による超音波探傷試験の反射源位置表示のフローチャート図である。
【図8】本発明の第1の実施例で表示される配管断面形状の例示図である。
【図9】本発明の第1の実施例で表示される配管断面形状とビーム路程とビーム屈折角と反射源位置との関係を表した図である。
【図10】本発明の第1の実施例で表示される配管断面形状に、超音波探傷結果の反射源位置を表示した表示例である。
【図11】本発明の第2の実施例による配管検査装置の配管に装着した状態の部分図である。
【図12】本発明の第3の実施例による配管検査装置の配管に装着した状態の部分である。
【図13】本発明の第3の実施例による配管検査装置での正面図(a)およびシャフトが水平状態の状態図(b)、シャフトが傾斜した状態の状態図(c)である。
【図14】本発明の第3の実施例による配管検査装置でのシャフトが水平の場合の配管軸方向位置と配管外表面変位との関係を表すグラフである。
【図15】本発明の第3の実施例による配管検査装置でのシャフトが傾斜した場合の配管軸方向位置と配管外表面変位との関係を表すグラフである。
【符号の説明】
【0060】
1…軌道、2…溶接部、3…配管、4…ねじ穴、5…ねじ、6…周方向移動装置、7…周方向移動装置駆動用モータ、8…周方向移動装置駆動用ピニオン、9…周方向移動装置位置検出用エンコーダ、10…溝、11,12…ボールプランジャ、13…ラック、14…シャフト、15…ボールねじ、16…ボールねじ駆動用モータ、17,18…歯車、
19…測定器移動部、20…探触子取付部、21…バネ、22…超音波探触子、23…変位計、24…測定器移動部位置検出用エンコーダ、51…表示部、52…入力部、53…記録部、54…演算部、55…エンコーダ、56…傾斜計。
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の断面形状の測定が可能な配管検査装置及び配管検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種プラントの配管検査において、検査時間の短縮や高精度な検査のために自動検査装置を用いる場合が多い。
【0003】
一般に自動式の配管検査装置は、測定器を装着した本体と、その本体を配管外周方向に沿って走行する走行装置と、本体を配管軸方向に沿って移動して配管に対して位置合わせを行う軸方向移動装置等を備えている。
【0004】
配管の溶接部等の検査では測定器に超音波探触子を用いて自動探傷試験が行われるが、この際、手動探傷,自動探傷を問わず超音波探傷試験に加え溶接部の断面形状を測定する。これは、配管断面形状に超音波探傷試験によって検出された信号の反射源位置を記入し、検出した超音波信号が欠陥か否かを検査員が判断するためである。
【0005】
また、欠陥であった場合には詳細な欠陥高さ寸法の把握に溶接部の断面形状が必要になる。従来、配管断面形状の測定は、型取りゲージによる配管表面形状のトレースと超音波探触子による配管肉厚測定を検査員の手作業によって行い、後に配管表面形状と配管肉厚から配管断面形状を算出するという手順で行われていた。
【0006】
そして、得られた配管断面形状に超音波探傷の結果を記入するという手順で、配管断面形状を考慮して欠陥有無の判断がされる。
【0007】
自動式の検査装置の配管長手方向移動装置に、距離検出器を装備することによって配管表面変位を測定する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平10−339617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
配管断面形状に超音波探傷の結果を記入する手順の従来方法であると、手作業による測定に基づいた配管断面形状のための測定誤差や欠陥有無の判断に多くの時間がかかるという問題があった。
【0010】
また、特許文献1のものでは、自動化されるのは配管表面形状測定のみであり、配管表面形状測定と配管肉厚測定とを個々に行うという手順をふまなければ成らず、配管断面形状算出には多くの時間がかかる。
【0011】
本発明の目的は、配管の断面形状を迅速に知り得るようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的を達成するための第1の手段は、超音波探触子を前記配管の周方向と軸方向とに移動する移動手段と、前記配管の外面の形状に沿って前記超音波探触子の位置を変動させるように前記移動手段に装備されたサスペンションと、前記超音波探触子の移動位置を計測するように前記移動手段に装備された位置計測手段と、前記超音波探触子の移動と連動するように前記移動手段に装備され、前記配管の外面の形状変化を変位として計測する変位計測手段とを有する配管検査装置である。
【0013】
同じく第2手段は、配管の外周囲に装備される環状の軌道と、前記軌道に沿って移動する周方向移動装置と、前記周方向移動装置に装備されて前記配管の軸方向に長いシャフトと、前記シャフトに案内されるように前記シャフトへ移動自在に装備された測定器移動部と、前記周方向移動装置に装備され、前記測定器移動部をねじ送りするボールねじと、前記測定器移動部に前記配管の外面の形状の変化に追従して変位するように装備した探触子取付部と、前記探触子取付部に装備された超音波探触子と、前記超音波探触子を前記配管側に押し付けるように前記探触子取付部と前記測定器移動部との間に装備されたバネと、前記測定器移動部に装備されて、前記配管の外面の形状の変化を変位として計測する変位計とを備えた配管検査装置である。
【0014】
同じく第3手段は、配管の外表面の変位を測定するステップと、前記配管の肉厚を測定するステップと、前記測定した変位と前記測定した肉厚とから前記配管の断面形状を算出するステップと、前記配管の超音波探傷試験を実施するステップと、前記算出した配管断面形状に、前記超音波探傷試験結果を表示するステップとを有する配管検査方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、配管の断面形状を作成するのに必要な、配管外面の形状の計測結果と、配管の肉厚の計測結果とを同時に取得できるので、配管の断面形状の作成を迅速に達成するのに有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
発明を実施するための最良の形態は、超音波を用いた配管検査装置において、配管3の外表面に装着した着脱可能な軌道1と、前記軌道1に沿って移動し、かつ配管長手方向に伸びたシャフト14を有する周方向移動装置6と、前記シャフト14に沿って移動する測定器移動部19と、前記探測定器移動部19に弾性体(例えば、バネ21)を介して設けられた探触子取付部20と、前記探触子取付部20に設けられた超音波探触子22と、前記測定器移動部19に保持された変位計23と、前記超音波探触子22を用いた配管3の肉厚計測結果と前記変位計23を用いた配管3の外表面変位の計測結果から溶接部2と直交する配管3の軸方向断面形状を算出する手段を有する配管検査装置である。
【0017】
この配管検査装置は、前記変位計23の代わりに前記超音波探触子22の上下方向、即ち配管3の半径方向、の振幅を測定する測定装置であっても良い。
【0018】
また、この配管検査装置は、好適には前記シャフト14の先端にシャフト14の傾斜を測定するための傾斜計56或いは、前記シャフト14の先端にシャフト14のたわみを測定するための変位計を有する。
【0019】
本発明の実施における検査方法は、配管表面変位を測定するステップと、配管肉厚を測定するステップと、前記配管表面変位と前記配管肉厚とから配管断面形状を算出するステップと、配管の超音波探傷試験を実施するステップと、前記配管断面形状の表示に、前記超音波探傷試験結果を表示するステップからなる。
【実施例1】
【0020】
この実施例の検査対象は、二本の配管3が端部で相互に溶接によって接合されているその接合後の部分である。その溶接による接合跡の部分が溶接部2である。その溶接部2の近傍においては、溶接熱影響等により、接合後の配管3の断面は、例えば図8のように、接合前は平坦であった配管3の内外面が変化をきたして縮径する方向へ変位(図8では表面変位と表示してある。)する。また、溶接接合によって配管3の断面形状は、図8のように、縮径する方向へ変形し、配管3の肉厚も一様ではなくなる。
【0021】
また、溶接部2やその近傍の配管3部分には、溶接しない部分に比較して溶接の影響で欠陥が発生しやすい。そのため、その欠陥の有無を非破壊検査によって検査しなければならない。非破壊検査の一例として、超音波探傷装置を用いて検査することが知られている。その検査結果で欠陥が発見された場合、その欠陥が配管3のどの位置に存在するかを把握することは、溶接による変形後の配管断面を把握しなければ、困難である。
【0022】
したがって、溶接部2近傍を検査対象とした場合には、溶接接合等により変形した溶接部2を含む配管3の断面の形状を把握することが重要な課題として浮上する。
【0023】
本発明に係る配管検査装置は、その配管3の接合後の断面を把握するためのデータを迅速に取得できる。その本発明に係る配管検査装置の第1実施例を以下に説明する。即ち、溶接によって大きく変形した個所を避けるようにして、円形の配管の外周面に配管3と同心円状に環状の軌道1を設置する。軌道1は半割り二分割になっていて、その半割りの各分割端を機械的に結合することで配管3の外周囲に環状に軌道1が組み立てられている。
【0024】
軌道1には外周囲にラック13が環状に設けられていて、そのラック13は後述の周方向移動装置駆動用ピニオン8と噛み合っている。軌道1には、ラック13を避けるようにラック13の両脇にねじ穴4が、図2のように、周囲三箇所に等角度分布の配置で形成されている。各ねじ穴4には、ねじ5が螺合していて、そのねじ5を軌道1の内側に突き出るように回転させ、その突き出し量を加減することで配管3と同心状に軌道1を配管3へねじ5を介して装着できる。軌道1の両側面には、溝10が形成され、後述のボールプランジャ11,12のボール部分が溝10に接して軌道1から次に述べる周方向移動装置が脱落しないように構成されている。
【0025】
その軌道1には、軌道1に沿って配管3の外周囲を移動する周方向移動装置が、後述する超音波探触子22を配管3の周方向へ移動させる移動手段として設置されている。周方向移動装置は、以下の構成を有する。即ち、図1,図2,図3のように、周方向移動装置の外殻を構成するフレームには、周方向移動装置駆動用モータ7が設置され、その周方向移動装置駆動用モータ7の回転出力軸にはラック13と噛みあう周方向移動装置駆動用ピニオン8が固定され、その周方向移動装置駆動用モータ7で周方向移動装置駆動用ピニオン8が回転駆動自在とされる。
【0026】
周方向移動装置のフレームには、ボールプランジャ11,12が軌道1を挟むように設置され、各ボールプランジャ11,12の回転自在なボール部分が軌道1の溝10に接して溝10から脱落しないようにされている。周方向移動装置駆動用モータ7には、そのモータ回転量を計測する周方向移動装置位置検出用エンコーダ9が、周方向移動装置6や後述する超音波探触子22の周方向の移動位置を計測する位置計測手段として装備されている。
【0027】
このような周方向移動装置6は、周方向移動装置駆動用モータ7により周方向移動装置駆動用ピニオン8を回転駆動すると、周方向移動装置駆動用ピニオンがラック13に噛みあっているので、軌道1に沿って配管3の外周囲を配管3や軌道1と同心円状に移動できる。その移動量でスタートした位置からみた移動位置が判明するので、周方向移動装置駆動用モータ7のモータ回転量を周方向移動装置位置検出用エンコーダ9で計測して、計測した結果を位置情報を表す出力信号として出力している。
【0028】
周方向移動装置6には、超音波探触子22を配管3の軸方向に移動させる移動手段が装備されている。その軸方向への移動手段は、本実施例では以下のように構成されている。即ち、図1,図3のように、配管3の軸心と平行で、且つ互いにおいても平行な二本のシャフト14の一端部が周方向移動装置6のフレームに設置され、二本のシャフト14の各他端部は相互に連結固定されて平行間隔が維持されている。
【0029】
各シャフト14には、測定器移動部19がシャフト14の長さ方向、即ち配管3の軸方向(配管の長さ方向)に滑走して移動自在に組みあわされている。このように、測定器移動部19そのものは、シャフト14沿いに滑走移動するフレームである。その測定器移動部19には、各シャフト14と平行なボールねじ15が螺合していて、ボールねじ15の回転によって測定器移動部19がシャフト14に沿ってねじ送りできる。そのボールねじ15には、図1,図3のように、ボールねじ駆動用モータ16の回転出力軸が各歯車17,18を介して接続され、ボールねじ駆動用モータ16でボールねじ15を回転駆動できるようにされている。
【0030】
そのボールねじ駆動用モータ16は周方向移動装置6のフレームに設置されている。そのボールねじ駆動用モータ16には、そのモータ回転量を計測する測定器移動部位置検出用エンコーダ24が、後述する超音波探触子22の配管3軸方向(配管の長手方向)の移動位置を計測する位置計測手段として装備されている。
【0031】
このような軸方向への移動手段は、ボールねじ駆動用モータ16でボールねじ15を回転駆動させ、その回転の方向に応じて測定器移動部19が配管3の軸方向(配管の長さ方向)へ移動し、超音波探触子22の配管3軸方向の移動位置を変えることが出来る。その移動位置はボールねじ駆動用モータ16のモータ回転量に応じて変化するので、そのボールねじ駆動用モータ16のモータ回転量を測定器移動部位置検出用エンコーダ24で計測して、計測結果をスタートした位置から見た位置情報を表す信号として出力している。
【0032】
このような軸方向の移動手段が超音波探触子22と変位計23とを同時に同方向へ移動させることが出来るように、超音波探触子22と変位計23とが共通の測定器移動部19に装着されている。配管3の外面の形状変化を変位として計測する変位計測手段として採用した変位計23は、非接触式のレーザー変位計,接触式のポテンショメータのいずれであっても構わない。
【0033】
測定器移動部19には探触子取付部20が配管3の半径方向へ自在に移動するようにガイド構造を介して装着されている。その探触子取付部20には、探触子取付部20と測定器移動部19との間に装備したバネ21によって配管3の外表面方向へ常時押し出す力が付勢されている。その探触子取付部20の配管3寄りの部位には、超音波探触子22が着脱自在に装着されている。このような構成では、バネ21は、超音波探触子22が配管3の外表面の形状の変化に追従して配管3の半径方向へ移動することを許容するので、超音波探触子22のバネサスペンションの機能を果す。
【0034】
測定器移動部19には、変位計測位置が配管3の外表面になるように姿勢を調整した変位計23が装着されている。この実施例では、図1のように、接触式の変位計を採用しているので、配管3の外表面に変位計23の計測端部が接していて、その端部が配管3の外表面の形状の変化に応じて配管3の半径方向へ変位して、その変位に対応した出力を計測結果を表す信号として出力している。
【0035】
図4に本発明の配管検査装置のシステムのブロック図を示す。本検査装置のシステムは、周方向移動装置位置検出用エンコーダ9および測定器移動部位置検出用エンコーダ24からの出力信号に基づいて得られる配管3の位置座標における配管断面形状を、超音波探触子22による配管の肉厚計測結果、変位計23による配管表面変位から算出,記録するための、演算部54,記録部53,検査結果を表示するための表示部51,検査範囲など入力するための入力部52を有している。また本検査装置のシステムは、超音波探触子
22に超音波を発進させたり、超音波を受信したりさせるパルサレシーバ,カウンタボード,A/Dボードなどを有している。演算部54はコンピュータであって、周方向移動装置駆動用モータ7やボールねじ駆動用モータ16を制御している。周方向移動装置位置検出用エンコーダ9や測定器移動部位置検出用エンコーダ24の出力信号はカウンタボードを介して演算部54に入力されている。変位計23の出力信号もA/Dボードを介して演算部54に入力されている。超音波探触子から超音波を配管に対して送受信して得られた受信情報はパルサレシーバやA/Dボードを介して演算部54に入力されている。
【0036】
このような各種信号入力を受けて、演算部54では、次のような処理を実行する。その実行内容を本配管検査装置を配管断面形状算出と記録の後に超音波探傷試験を実施し、超音波探傷試験結果を算出した配管断面形状上に重ねて表示する配管検査方法をまじえて以下に解説する。
【0037】
図5に配管断面形状作成,記録の流れ図を示す。まず、超音波探触子22を配管の半径方向へ超音波の送受信方向を定めた垂直超音波探触子に付け替えておく。次に、周方向検査範囲X1≦X≦X2と周方向検査範囲Y1≦Y≦Y2との配管検査範囲及び現在の周方向位置Xと軸方向位置Yを入力部52から演算部54へ入力する(ステップS101)。そして、周方向検査範囲X1≦X≦X2内の、現在の周方向位置Xにおいて、測定器移動部19を移動させては、その移動に伴う配管軸方向位置Yを測定器移動部位置検出用エンコーダの出力信号に基づいて読み込む(ステップS102)。
【0038】
そして、その移動毎に変位計23からの出力信号に基づく配管3の外表面変位の読み込みと、垂直超音波探触子から配管3の肉厚方向(配管半径方向)に超音波を入射し、配管底面(配管3の内周面)で反射し再び超音波探触子で受信させて、超音波の入射から戻ってくるまでの往復の伝播時間に、配管3の材料中の超音波の音速を乗じた往復の伝播経路の半分として算出されるビーム路程から、配管肉厚方向変位及び配管3の肉厚を読み込む(ステップS103)、ステップS101からステップS103をY=Y2となるまで繰り返す(ステップS104のY1≦Y≦Y2)、Y=Y2となった場合(ステップS104のY=Y2)に周方向位置Xでの各軸方向位置での配管3の外表面の変位位置から配管半径方向の配管3の肉厚を持って配管3の内周面と定義して配管断面形状を得る(図8参照)。この結果を記録部53へ保存させる(ステップS105)。
【0039】
続いて、現在の周方向位置Xの判定(ステップS106)を行い、周方向位置XがX1≦X≦X2内である場合(ステップS106のX1≦X≦X2内)は、周方向移動装置駆動用モータ7に周方向移動装置6を予め定めたΔXだけ周方向に移動させ(ステップ
S107)、ステップS102からステップS105までを繰り返す。X=X2となった場合(ステップS106のX=X2)は、超音波探傷試験(ステップS108)に移る。
【0040】
ステップS108での処理が終了した後に、演算部54での処理は一時停止する。超音波探傷試験に移る前に超音波探触子22を垂直超音波探触子から探傷用の斜角超音波探触子に、探触子取付部20へ付け替える。斜角超音波探触子は、超音波を斜めに配管3の肉厚中に送受信する構造の探触子であり、配管の半径方向へ進展した亀裂などの開口欠陥に対して検出感度が高いという特性がある。垂直超音波探触子でも欠陥を検出することが出来るが、好ましくは、超音波探傷試験時には、上述のように超音波探触子22を検出したい欠陥の性状に合わせて付け替えることが好ましい。
【0041】
このように、配管の超音波探傷試験を実施する際、図1に示した超音波探触子22を配管肉厚測定用の垂直超音波探触子から、配管探傷用の斜角超音波探触子に代え、その後に演算部54を働かした上、超音波探傷試験を実施する。図6に超音波探傷試験の流れ図を示す。まず、演算部54に探傷範囲として入力部52から周方向位置Xと周方向検査範囲X1≦X≦X2、及び軸方向位置Yと軸方向検査範囲Y1≦Y≦Y2、並びに超音波探触子22から配管3に対して送受信する超音波屈折角αを入力する(ステップS201)。ここでの検査範囲は、図5中のステップS101で指定した検査範囲内であればどの範囲でも構わない。
【0042】
続いて、図5の流れで作成した周方向検査範囲X1≦X≦X2内の、現在の周方向位置Xにおける配管断面形状を記録部より呼び出し、表示部に表示する(ステップS202)。そして、その表示されている配管断面形状に超音波探触子からの反射源位置を重ねて表示する(ステップS203)。反射源の表示方法については、後に後述する。
【0043】
続いて、ステップS202からステップS203をY=Y2となるまで繰り返す(ステップS204のY1≦Y≦Y2)、Y=Y2となった場合(ステップS204のY=Y2)は、この結果を記録部53に保存させる(ステップS205)。続いて、現在の周方向位置Xの判定(ステップS206)を行い、周方向位置XがX1≦X≦X2内である場合
(ステップS206のX1≦X≦X2内)は、周方向移動装置駆動用モータ7によりΔXだけ周方向に移動させ(ステップS207)、ステップS202からステップS205までのステップを繰り返す。X=X2となった場合(ステップS106のX=X2)は、終了となる。
【0044】
図7に配管3の肉厚中の欠陥から超音波が反射して超音波探触子に受信した、その反射源位置の表示の流れ図を示す。まず、現在の軸方向位置Yを読み込む(ステップS301)。続いて軸方向位置Y、屈折角αおよびビーム路程Wから、YR=Y+WSINα,ZR=WCOSαにより反射源位置Rを算出する(ステップS302)。そして、表示部51に反射源位置[R(YR,ZR)]を先に計測済みの配管の断面形状と重ねて表示する。(ステップS303)。図10は、図5,図6,図7の流れによって得られた配管断面形状への超音波反射源の表示の例で、×印が反射源を表し斜めの線が超音波の伝播経路を表す。検査員は図10のような表示部での表示画像から裏面(配管3の内周面)の形状による反射源であるのか、欠陥と思われる疑わしい反射源であるかを判断する。
【0045】
尚、ビーム路程Wとは、入射した超音波がきずなどの反射源で反射し、超音波探触子に戻って来るまでの時間に配管の材料中の超音波の音速を乗じて、超音波の入射から受信までの往復の伝播経路の半分として算出される。
【実施例2】
【0046】
図11は本発明の第2の実施例を示すもので、各シャフト14には、第1の実施例と同様に、シャフトの長さ方向へ移動自在に装着した測定器移動部19が取付けられる。その測定器移動部19には、探触子取付部20がガイド構造を介して配管3の半径方向へ移動自在に装着される。その探触子取付部20は、探触子取付部20と測定器移動部19との間に装着したバネ21によって、常に配管3の方向へ押し出される勢力が付与されている。
【0047】
その探触子取付部20と測定器移動部19との間には、探触子取付部20の配管3の半径方向への動きに基づく変位を計測するエンコーダ55が設けられる。このエンコーダ
55は、測定器移動部19に対して探触子取付部20が配管3の半径方向へ変位するその変位を計測する変位計として採用されている。その変位は、配管3の半径方向へ直線的に変位するので、変位計の一例としてリニアエンコーダが採用できる。
【0048】
その他の構成などの技術的事項は、第1の実施例と同様である。このような第2実施例によれば、配管の軸方向(配管の長さ方向)へ測定器移動部19が移動することに伴って、配管3の外表面を配管軸方向へ滑走する超音波探触子22が配管3の外表面の形状の変化、例えば凸凹など、に応じて配管3の半径方向へ往復移動する。そのため、超音波探触子22が取付けられている探触子取付部20も配管3の半径方向へ往復移動する。このように探触子取付部20も配管3の半径方向へ往復移動すると、エンコーダ55は、配管3の外表面形状に沿って超音波探触子22が移動するのに伴って探触子取付部20の配管3の半径方向への往復変位量を配管3の半径方向への振幅量として測定する。すなわち、エンコーダ55は配管3の外表面形状の変位を測定する変位計として機能するわけである。
【0049】
このような第2の実施例の構成であると、第1の実施例における変位計23の配管3に接する可動部分が探触子取付部20と兼用できて簡単な構成になる。この構成であると、エンコーダ55を用いることで配管の外表面形状の大きな変化に対応可能である。本実施例での配管検査装置を用いた配管検査方法は第1の実施例と同様である。
【実施例3】
【0050】
図12は本発明の第3の実施例を示すもので、第1の実施例における各シャフト14の先端にシャフト14の傾斜を測定する傾斜計56を設置してある。その他の構成は第1の実施例と同じである。
【0051】
図13のように、周方向移動装置6が(1)の状態では、シャフト14が水平(配管3の軸方向に平行)を保ちながら、Y1 の位置からY2 の位置まで配管軸方向に超音波探触子22や変位計23が移動する。この場合の変位計23による配管3の外表面変位の計測結果と、測定器移動部位置検出用エンコーダ24で計測した変位計23の配管軸方向の移動位置計測結果との関係は、各計測結果を参照して表示すると、図14のようになる。
【0052】
一方、図13で周方向移動装置6が(2)の状態では、シャフト14には測定器移動部19や探触子取付部20や変位計23や超音波探触子22等の自重の影響によって配管3の軸心に対して傾斜が生じる。この場合の変位計23による配管3の外表面の変位計測結果と測定器移動部位置検出用エンコーダ24で計測した変位計23の配管軸方向の移動位置計測結果との関係は、各計測結果を参照して表示すると、図16のようになり、測定器移動部19等がY1 の位置からY2 の位置まで移動するにしたがって、シャフト14の傾斜の影響を受け配管表面変位は増加していく。
【0053】
このような状態で、超音波探触子22からの配管3の肉厚によって配管断面形状を算出すると、実際とは異なる形状となってしまう。そこで次のような補正処理を演算部で施してから表示部に配管断面形状を表示する。
【0054】
即ち、シャフト14は剛体棒であるため、Y1 の位置からY2 の位置まで移動した場合に、傾斜する角度θは一定で、その角度θは傾斜計56によって計測され、その計測結果の情報は演算部に入力されて後述の補正処理の処理過程で用いられる。
【0055】
ここで、任意の配管軸方向位置Yでの傾斜による配管表面変位の増加δは、δ=Ytanθで与えられる。その補正処理過程では、補正前では図15のように表される配管外表面変位の計測結果のデータからδを引くことよって傾斜した場合の配管表面変位が図14のようにシャフト14がYの値のグラフ基軸と一致するように補正し、補正後のデータで配管の外表面の変位とYの値との関係を表示部に、図14のように表示できる。その他の作用は、第1実施例と同じである。
【0056】
以上に説明した如く、本発明の各実施例による配管検査装置によれば、配管表面形状測定と配管表面形状からの配管の肉厚(板厚ともいう)測定とを同時に行うことが出来、迅速に配管断面形状の算出に必要なデータを取得でき、配管断面を決定することが迅速に達成できる。
【0057】
そのため、超音波探傷試験結果を迅速に配管断面形状に反映して表示でき、検査員の検査業務を正確且つ迅速に支援できる。このように、各実施例によれば、配管断面形状算出の精度向上と欠陥有無の判断の迅速化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、配管の断面の形状を計測する配管検査装置に利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施例による配管検査装置の解説図にして、(a)図は配管に装着した状態の一部断面表示による全体図、(b)図は(a)図の要部拡大断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例による配管検査装置の一部断面表示による正面図である。
【図3】本発明の第1の実施例による配管検査装置の上平面図である。
【図4】本発明の第1の実施例による配管検査装置のシステムのブロック線図である。
【図5】本発明の第1の実施例による配管検査装置による配管の断面形状の計算に必要なデータ収集過程を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の第1の実施例による超音波探傷試験のフローチャート図である。
【図7】本発明の第1の実施例による超音波探傷試験の反射源位置表示のフローチャート図である。
【図8】本発明の第1の実施例で表示される配管断面形状の例示図である。
【図9】本発明の第1の実施例で表示される配管断面形状とビーム路程とビーム屈折角と反射源位置との関係を表した図である。
【図10】本発明の第1の実施例で表示される配管断面形状に、超音波探傷結果の反射源位置を表示した表示例である。
【図11】本発明の第2の実施例による配管検査装置の配管に装着した状態の部分図である。
【図12】本発明の第3の実施例による配管検査装置の配管に装着した状態の部分である。
【図13】本発明の第3の実施例による配管検査装置での正面図(a)およびシャフトが水平状態の状態図(b)、シャフトが傾斜した状態の状態図(c)である。
【図14】本発明の第3の実施例による配管検査装置でのシャフトが水平の場合の配管軸方向位置と配管外表面変位との関係を表すグラフである。
【図15】本発明の第3の実施例による配管検査装置でのシャフトが傾斜した場合の配管軸方向位置と配管外表面変位との関係を表すグラフである。
【符号の説明】
【0060】
1…軌道、2…溶接部、3…配管、4…ねじ穴、5…ねじ、6…周方向移動装置、7…周方向移動装置駆動用モータ、8…周方向移動装置駆動用ピニオン、9…周方向移動装置位置検出用エンコーダ、10…溝、11,12…ボールプランジャ、13…ラック、14…シャフト、15…ボールねじ、16…ボールねじ駆動用モータ、17,18…歯車、
19…測定器移動部、20…探触子取付部、21…バネ、22…超音波探触子、23…変位計、24…測定器移動部位置検出用エンコーダ、51…表示部、52…入力部、53…記録部、54…演算部、55…エンコーダ、56…傾斜計。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波探触子を前記配管の周方向と軸方向とに移動する移動手段と、
前記配管の外面の形状に沿って前記超音波探触子の位置を変動させるように前記移動手段に装備されたサスペンションと、
前記超音波探触子の移動位置を計測するように前記移動手段に装備された位置計測手段と、
前記超音波探触子の移動と連動するように前記移動手段に装備され、前記配管の外面の形状変化を変位として計測する変位計測手段と、
を有する配管検査装置。
【請求項2】
請求項1において、前記超音波探触子を用いて計測した前記配管の肉厚と、前記変位計測手段を用いて計測した前記変位とに基づいて前記配管の断面形状を作成し、表示する手段を有する配管検査装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、前記変位計測手段として、前記超音波探触子の位置の変動を計測する手段を備えている配管検査装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2又は請求項3において、前記移動手段は、前記配管の軸方向に長いシャフトを前記超音波探触子の移動のガイドとして備え、前記シャフトに前記シャフトの傾斜を測定する傾斜計を設けてある配管検査装置。
【請求項5】
配管の外周囲に装備される環状の軌道と、
前記軌道に沿って移動する周方向移動装置と、
前記周方向移動装置に装備されて前記配管の軸方向に長いシャフトと、
前記シャフトに案内されるように前記シャフトへ移動自在に装備された測定器移動部と、
前記周方向移動装置に装備され、前記測定器移動部をねじ送りするボールねじと、
前記測定器移動部に前記配管の外面の形状の変化に追従して変位するように装備した探触子取付部と、
前記探触子取付部に装備された超音波探触子と、
前記超音波探触子を前記配管側に押し付けるように前記探触子取付部と前記測定器移動部との間に装備されたバネと、
前記測定器移動部に装備されて、前記配管の外面の形状の変化を変位として計測する変位計とを備えた配管検査装置。
【請求項6】
請求項5において、前記超音波探触子を用いて計測した前記配管の肉厚と、前記変位計を用いて計測した前記変位とに基づいて前記配管の断面形状を作成し、表示する手段とを有する配管検査装置。
【請求項7】
請求項6において、前記超音波探触子として、肉厚測定用の垂直超音波探触子と探傷用の超音波探触子とを前記探触子取付部に対して取替え装着自在に有する配管検査装置。
【請求項8】
請求項7において、前記配管の断面形状に、前記探傷用の超音波探触子を用いた前記配管の探傷試験結果による反射源位置を表示する手段を備えている配管検査装置。
【請求項9】
配管の外表面の変位を測定するステップと、
前記配管の肉厚を測定するステップと、
前記測定した変位と前記測定した肉厚とから前記配管の断面形状を算出するステップと、
前記配管の超音波探傷試験を実施するステップと、
前記算出した配管断面形状に、前記超音波探傷試験結果を表示するステップと、
を有する配管検査方法。
【請求項1】
超音波探触子を前記配管の周方向と軸方向とに移動する移動手段と、
前記配管の外面の形状に沿って前記超音波探触子の位置を変動させるように前記移動手段に装備されたサスペンションと、
前記超音波探触子の移動位置を計測するように前記移動手段に装備された位置計測手段と、
前記超音波探触子の移動と連動するように前記移動手段に装備され、前記配管の外面の形状変化を変位として計測する変位計測手段と、
を有する配管検査装置。
【請求項2】
請求項1において、前記超音波探触子を用いて計測した前記配管の肉厚と、前記変位計測手段を用いて計測した前記変位とに基づいて前記配管の断面形状を作成し、表示する手段を有する配管検査装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、前記変位計測手段として、前記超音波探触子の位置の変動を計測する手段を備えている配管検査装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2又は請求項3において、前記移動手段は、前記配管の軸方向に長いシャフトを前記超音波探触子の移動のガイドとして備え、前記シャフトに前記シャフトの傾斜を測定する傾斜計を設けてある配管検査装置。
【請求項5】
配管の外周囲に装備される環状の軌道と、
前記軌道に沿って移動する周方向移動装置と、
前記周方向移動装置に装備されて前記配管の軸方向に長いシャフトと、
前記シャフトに案内されるように前記シャフトへ移動自在に装備された測定器移動部と、
前記周方向移動装置に装備され、前記測定器移動部をねじ送りするボールねじと、
前記測定器移動部に前記配管の外面の形状の変化に追従して変位するように装備した探触子取付部と、
前記探触子取付部に装備された超音波探触子と、
前記超音波探触子を前記配管側に押し付けるように前記探触子取付部と前記測定器移動部との間に装備されたバネと、
前記測定器移動部に装備されて、前記配管の外面の形状の変化を変位として計測する変位計とを備えた配管検査装置。
【請求項6】
請求項5において、前記超音波探触子を用いて計測した前記配管の肉厚と、前記変位計を用いて計測した前記変位とに基づいて前記配管の断面形状を作成し、表示する手段とを有する配管検査装置。
【請求項7】
請求項6において、前記超音波探触子として、肉厚測定用の垂直超音波探触子と探傷用の超音波探触子とを前記探触子取付部に対して取替え装着自在に有する配管検査装置。
【請求項8】
請求項7において、前記配管の断面形状に、前記探傷用の超音波探触子を用いた前記配管の探傷試験結果による反射源位置を表示する手段を備えている配管検査装置。
【請求項9】
配管の外表面の変位を測定するステップと、
前記配管の肉厚を測定するステップと、
前記測定した変位と前記測定した肉厚とから前記配管の断面形状を算出するステップと、
前記配管の超音波探傷試験を実施するステップと、
前記算出した配管断面形状に、前記超音波探傷試験結果を表示するステップと、
を有する配管検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−187593(P2007−187593A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−6882(P2006−6882)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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