説明

配管構造及び脱硫装置

【課題】 液体が上方から噴霧されても、低圧側導圧管の内部が液体により閉塞されるのを防止できる配管構造を提供する。
【解決手段】 低圧側導圧管320は、タンク1の内部にて上方から噴霧されて落下する液体が内部に浸入するのを防止すべく、先端部320aがタンク1の内部に配置され且つ先端部320aに下方を向いた開口部320bが配設されて構成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体のレベルを測定する(差圧式)レベル測定装置における低圧側圧力導入部の配管構造に関し、また、タンクの内部における吸収液のレベルを測定するレベル測定装置を有する脱硫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンクの下方に溜まる液体のレベルを測定するレベル測定装置として、図7(a)に示すように、排煙から硫黄酸化物を除去する脱硫装置における、タンク100の下方に溜まる吸収液のレベルを測定する差圧式のレベル測定装置101が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
脱硫装置は、タンク100の内部を通過する(図7(a)における矢印F方向にて導入され、矢印G方向にて排出される)排煙に向けて、ポンプ102を介して(図7(a)における矢印H方向に汲み上げられる)吸収液を上方の噴霧部(スプレーノズル)103から噴霧することにより、排煙に含有する硫黄酸化物を吸収液に吸収させる。
【0004】
レベル測定装置101は、密封性を有するタンク100が内圧を有していても、液面より下方側にてタンク100に接続される高圧側圧力導入部104と、液面より上方側にてタンク100に接続される低圧側圧力導入部105とから受ける各圧力に基づき、吸収液のレベルを測定することができる。
【0005】
具体的には、レベル測定装置101は、高圧側圧力導入部104を介して、タンク100の内圧及び吸収液のレベルに相当する圧力が伝達されると共に、低圧側圧力導入部105を介して、タンク100の内圧が伝達され、各圧力の差に基づき液体のレベルを測定することができる。なお、低圧側圧力導入部105には、液面より上方にてタンクの内部と連通する低圧側導圧管105aが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−12226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、タンク100の内部において上方から吸収液が噴霧されるため、図7(b)に示すように、例えば、吸収液がタンク100の内壁部100aを伝って(図7(b)におけるI矢印の経路にて)低圧側導圧管105aの内部に浸入したり、吸収液が直接(図7(b)におけるJ矢印の経路にて)低圧側導圧管105aの内部に浸入したりして、低圧側導圧管105aが吸収液により閉塞される。
【0008】
これにより、レベル測定装置101は、低圧側導圧管105aからのタンク100の内圧に相当する圧力が適正に導入されなくなるため、吸収液のレベルを誤測定することになる。さらには、吸収液のレベルを誤測定した状態で脱硫装置の運転を続けると、多方面に影響を及ぼすことにもなる。
【0009】
よって、本発明は、かかる事情に鑑み、液体が上方から噴霧されても、低圧側導圧管の内部が液体により閉塞されるのを防止できる配管構造を提供することを課題とする。さらに、本発明は、吸収液が上方から噴霧されるタンクに対しても、タンクの下方に溜まる吸収液のレベルを正確に測定することができる脱硫装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る配管構造は、タンクの下方に溜まる液体のレベルを測定すべく、液面より下方側にてタンクの内部圧力を受けるようにタンクに接続される高圧側圧力導入部と、液面より上方側にてタンクの内部圧力を受けるようにタンクに接続される低圧側圧力導入部とを備え、各圧力導入部から導入される圧力に基づき液体のレベルを測定するレベル測定装置の、低圧側圧力導入部の配管構造において、低圧側圧力導入部は、液面より上方側にてタンクの内部と連通するようにタンクに接続される低圧側導圧管を備え、低圧側導圧管は、タンクの内部にて上方から噴霧されて落下する液体が内部に浸入するのを防止すべく、先端部がタンクの内部に配置され且つ先端部に下方を向く開口部が配設されて構成されることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、液面より上方側にてタンクの内部と連通するようにタンクに接続される低圧側導圧管の先端部がタンクの内部に配置され、さらに、タンクの内部と連通するための開口部が低圧側導圧管の先端部に下方を向いて配設される。これにより、低圧側導圧管の内部が、タンクの内部にて上方から噴霧されて落下する液体に浸入されるのを防止できる。
【0012】
また、本発明に係る配管構造においては、低圧側導圧管は、少なくとも先端部側の部位が、タンクに固定される外管と、外管の内部に配置される内管とを備えて構成され、外管は、先端部がタンクの内部に配置され且つ先端部に下方を向く外管開口部が配設されて構成され、内管は、先端部が外管開口部から突出して配置され且つ先端部に下方を向く内管開口部が配設されて構成され、さらに、外管がタンクに固定される状態にてタンクの外部から外管に挿抜可能な構成を採用してもよい。
【0013】
かかる構成によれば、低圧側導圧管の先端部側のうち、タンクに固定される外管においては、先端部がタンクの内部に配置され、且つ、先端部にタンクの内部と連通するための外管開口部が下方を向いて配設される。そして、低圧側導圧管の先端部側のうち、外管の内部に配置される内管においては、先端部が外管開口部から突出して配置され、且つ、先端部にタンクの内部と連通するための内管開口部が下方を向いて配設される。
【0014】
さらに、外管がタンクに固定される状態にて、内管がタンクの外部から外管に挿抜可能であるため、低圧側導圧管の先端部の開口部、即ち、外管開口部及び内管開口部が液体に堆積されたり、閉塞されたりした場合、内管を外管から抜き出すことにより、低圧側導圧管の内部が液体に堆積されたり、閉塞されたりした状態を解除でき、その後、液体を除去した内管や、新たな内管を外管に挿入することができる。
【0015】
また、本発明に係る配管構造においては、内管は、可撓性を有し、外管は、内管の先端部を外管開口部から突出して配置させるべく、内管が挿入される際に、内管を変形させつつ案内する案内部を備えてもよい。
【0016】
かかる構成によれば、可撓性を有する内管が外管に挿入される際に、案内部が内管を変形させつつ、内管の先端部が外管開口部から突出して配置するように案内する。したがって、内管を外管に挿入(装着)する作業を容易にすることができる。
【0017】
また、本発明に係る配管構造においては、外管は、内管開口部が下方を向く状態を維持すべく、先端部の内周部が内管の外周部を係止するような構成を採用してもよい。
【0018】
かかる構成によれば、外管における先端部の内周部が内管の外周部を係止するため、内管開口部が下方を向く状態を維持することができる。したがって、内管開口部が液体で閉塞されるのをより防止できる。
【0019】
また、本発明に係る脱硫装置は、硫黄酸化物を吸収する吸収液により対象ガスから硫黄酸化物を除去すべく、内部を通過する対象ガスに向けて噴霧され、対象ガスと接触しながら落下する吸収液を下方に溜めるタンクと、タンクの内部における吸収液のレベルを測定するレベル測定装置とを備え、レベル測定装置は、液面より下方側にてタンクの内部圧力を受けるようにタンクに接続される高圧側圧力導入部と、液面より上方側にてタンクの内部圧力を受けるようにタンクに接続される低圧側圧力導入部とを備え、各圧力導入部から導入される圧力に基づき吸収液のレベルを測定するように構成される脱硫装置において、低圧側圧力導入部は、液面より上方側にてタンクの内部と連通するようにタンクに接続される低圧側導圧管を備え、低圧側導圧管は、タンクの内部にて上方から噴霧されて落下する液体が内部に浸入するのを防止すべく、先端部がタンクの内部に配置され且つ先端部に下方を向く開口部が配設されて構成されることを特徴とする。
【0020】
かかる構成によれば、液面より上方側にてタンクの内部と連通するようにタンクに接続される低圧側導圧管の先端部がタンクの内部に配置され、さらに、タンクの内部と連通するための開口部が低圧側導圧管の先端部に下方を向いて配設される。これにより、低圧側導圧管の内部がタンクにて上方から噴霧されて落下する吸収液に浸入されるのを防止できるため、低圧側導圧管の内部が吸収液により閉塞されるのを防止できる。
【発明の効果】
【0021】
以上の如く、本発明に係る配管構造によれば、液体が上方から噴霧されても、低圧側導圧管の内部がタンクにおいて上方から噴霧される液体に浸入されるのを防止できるため、低圧側導圧管の内部が液体により閉塞されるのを防止できるという優れた効果を奏する。
【0022】
また、本発明に係る脱硫装置によれば、吸収液が上方から噴霧されるタンクに対しても、低圧側導圧管の内部が吸収液により閉塞されるのを防止できるため、タンクの下方に溜まる吸収液のレベルを正確に測定することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る脱硫装置の全体概要図を示す。
【図2】同実施形態に係る脱硫装置の低圧側導圧管における要部概略図であって、図1のA領域における正面図を示す。
【図3】同実施形態に係る脱硫装置の低圧側導圧管における要部概要図であって、(a)は外管の縦断面図、(b)は内管の全体斜視図を示す。
【図4】同実施形態に係る脱硫装置の低圧側導圧管における、内管を外管に挿入する説明図であって、要部概略正面図を示す。
【図5】本発明の他の実施形態に係る低圧側導圧管における、内管を外管に挿入する説明図であって、(a)及び(b)は要部概略正面図、(c)は要部概略縦断面図を示す。
【図6】本発明のさらに他の実施形態に係る脱硫装置の低圧側導圧管における、内管を外管に挿入する説明図であって、要部概略正面図を示す。
【図7】従来における脱硫装置における概要図であって、(a)は全体図、(b)はE領域における縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る配管構造及び脱硫装置における一実施形態について、図1〜図4を参酌して説明する。
【0025】
本実施形態に係る脱硫装置は、図1に示すように、硫黄酸化物を吸収するスラリ状の吸収液により対象ガス(例えば、ボイラ等から排出される排ガス)から硫黄酸化物を除去すべく、内部を通過する対象ガスに向けて噴霧され、対象ガスと接触しながら落下する吸収液を下方に溜めるタンク1と、タンク1の内部において上方から吸収液を噴霧するための噴霧手段2とを備える。
【0026】
そして、脱硫装置は、タンク1の内部における吸収液のレベルを測定するレベル測定装置3を備える。また、脱硫装置は、スラリ状の吸収剤(吸収液、又は、吸収液を濃縮したもの)をタンク1に適宜供給する吸収剤供給ライン4と、水をタンク1に適宜供給する補給水ライン5と、タンク1から吸収液(硫黄酸化物を吸収した吸収液)を適宜抜き出す吸収液抜出ライン6とを備える。
【0027】
なお、かかる脱硫装置は、一般的に、湿式排煙脱硫装置と呼ばれ、タンク1の内部を通過する対象ガスが吸収液(炭酸カルシウム)と接触することにより、対象ガスに含有する硫黄酸化物が吸収液に吸収され、対象ガスの脱硫処理が行われる。
【0028】
そして、硫黄酸化物を吸収した吸収液がタンク1の下方に溜まり、ブロワ(図示していない)が下方に溜まる吸収液中に空気を供給することにより、硫酸カルシウム(石膏)が生成され、不要な硫酸カルシウムを排出すべく吸収液の一部が吸収液抜出ライン6を介して抜き出される。
【0029】
タンク1は、下方に吸収液を溜める液溜部11と、対象ガスを導入する(図1における矢印B方向にて導入する)ための入口部12と、対象ガスを排出する(図1における矢印C方向にて排出する)ための出口部13とを備える。また、タンク1は、密封性を有し、さらに、入口部12から対象ガスを強制的に導入されるため、内部が陽圧となる(内圧を有する)。
【0030】
入口部12は、タンク1の上下方向の中間部に接続され、出口部13は、タンク1の上端部に接続される。なお、入口部12は、液溜部11の中にガスノズルを配置させて、対象ガスを吸収液の中で噴出する構成の場合でもよい。
【0031】
噴霧手段2は、液溜部11の吸収液を汲み上げる(図1における矢印D方向にて汲み上げる)ポンプ21と、汲み上げられた吸収液を噴霧する噴霧部22とを備える。そして、ポンプ21は、汲み上げた吸収液を、噴霧部22に送液可能であると共に、弁61の開閉(流調弁61の開度)により、吸収液抜出ライン6にも送液可能である。
【0032】
噴霧部22は、タンク1の内部の上方に多数のスプレーノズルが配設されて構成される。また、噴霧部22は、タンク1の入口部12よりも上方であって、タンク1の出口部13よりも下方に配置される。そして、噴霧部22は、上方に向けて吸収液を噴射するように、スプレーノズルの向きが設定されてなる。
【0033】
レベル測定装置3は、液面より下方側にてタンク1の内部圧力を受けるようにタンク1に接続される高圧側圧力導入部31と、液面より上方側にてタンク1の内部圧力を受けるようにタンク1に接続される低圧側圧力導入部32と、各圧力導入部31,32から導入される圧力に基づき吸収液のレベルを測定するように構成される差圧測定手段33とを備える。
【0034】
高圧側圧力導入部31は、タンク1の側面にフランジ接続されるダイアフラムシール(薄い膜)を備える。そして、本実施形態においては、高圧側圧力導入部31は、差圧測定手段33と一体型のダイアフラム付き圧力導入部としている。なお、高圧側圧力導入部31は、液体の圧力を一旦ダイアフラムで受け、封入液を充填した細いパイプ(キャピラリーチューブ)を介して差圧測定手段33に圧力を伝える場合でもよい。
【0035】
低圧側圧力導入部32は、図2及び図3に示すように、液面より上方側にてタンク1の内部と連通するようにタンク1に接続される低圧側導圧管320を備える。なお、低圧側導圧管320は、噴霧部22(具体的にはスプレーノズル)よりも下方側の位置でタンク1に接続されている。
【0036】
低圧側導圧管320は、吸収液が内部に浸入するのを防止すべく、先端部320aがタンク1の内部に配置され且つ先端部320aに下方を向く開口部320bが配設されて構成される。即ち、低圧側導圧管320は、先端部320aがタンク1の壁部14から内方に突出して配置され、且つ、先端部320aにタンク1の内部と連通するための開口部320bが下方を向いて配設されて構成される。
【0037】
具体的には、低圧側導圧管320は、少なくとも先端部320a側が、タンク1に固定される外管321と、外管321の内部に配置される内管322とを備えて構成され、外管321は、先端部321aがタンク1の内部に(タンク1の壁部14から内方に突出して)配置され且つ先端部321aに下方を向く外管開口部321bが配設されて構成され、内管322は、先端部322aが外管開口部321bから突出して配置され且つ先端部322aに下方を向く内管開口部322bが配設されて構成される。
【0038】
そして、低圧側導圧管320は、内管322を挿抜するための挿抜口部321cをタンク1の外部に配置される部位に備え、外管321がタンク1に固定される状態にて、内管322が挿抜口部321cから外管321に挿抜可能に構成される。
【0039】
外管321は、可撓性を有する内管322の、先端部322aを外管開口部321bから突出して配置させるべく、内管322が挿入される際に、内管322を変形させつつ案内する案内部321dを備え、さらに、内管開口部322bが下方を向く状態を維持すべく、先端部321aの内周部が内管322の外周部を係止するように構成される。
【0040】
具体的には、外管321は、湾曲状に形成され、案内部321dを有する先端部321aと、一端部が先端部321aに連設され、他端部に挿抜口部321cを有する直管部321eと、直管部321eと差圧測定手段33との間を接続させる基部321fとを備え、先端部321a(外管開口部321b及び案内部321d)の内周部は、内管322の先端部322aの外周部を係止する。
【0041】
なお、外管321は、先端部321a及び直管部321fの部位に、内管321が配置される二重管構造である。また、外管321は、挿抜口部321cを封止すべく、直管部321eに着脱可能な封止部材321gを備える。そして、外管321は、例えば、鋼管、管継手(エルボ、T字管チーズ、プラグ)、及び管フランジで構成される。
【0042】
ここで、外管321は、固定手段7を介して、タンク1と固定され、固定手段7は、タンク1(タンク1の壁部14)から外方に突設される管部71と、管部71の端部に配設される第1フランジ部72と、外管321の外周部に固定される第2フランジ部73とを備える。
【0043】
具体的には、固定手段7は、管部71が外管321(直管部321e)に内挿された状態にて、第1フランジ部72及び第2フランジ部73がボルト・ナット(図示していない)で固定されることにより、タンク1と外管321とを固定する。なお、管部71と直管部321eは、それぞれ円筒状に形成され、互いの軸線が異なる位置(偏心して)に配置される。
【0044】
内管322は、先端部322aに設けられる内管開口部(以下、「第1内管開口部」ともいう)322bとは別に第2内管開口部322cを備え、第1内管開口部322a及び第2内管開口部322cを介して、タンク1の内部と差圧測定手段33とを連通させる。
【0045】
また、内管322は、外径が外管321(先端部321a及び直管部321e)の内径と略同一に形成され、外管321に内接して配置される。そして、内管322は、外管321の先端部321a(特に、案内部321d)に係止されることにより、外管321に対する位置ズレが規制されている。なお、内管322は、例えば、合成樹脂可撓管(CD管、PF管)で形成される。
【0046】
第2内管開口部322cは、直管部321eと基部321fとが接続される位置に対応して配置される。また、第2内管開口部322cは、第1内管開口部322bと略同一の開口面積となるように形成される。
【0047】
差圧測定手段33は、高圧側圧力導入部31に接続される、即ち、ダイアフラムと一体的に形成される高圧側接続部(採番及び図示しない)と、低圧側圧力導入部32(低圧側導圧管320)に接続される低圧側接続部(採番及び図示しない)とを備え、高圧側圧力導入部31を介して伝達される圧力(タンク1の内圧及び吸収液のレベルに相当する圧力)と、低圧側圧力導入部32(低圧側導圧管320)を介して伝達される圧力(タンク1の内圧)との差に基づき吸収液のレベルを測定可能に構成される。
【0048】
例えば、差圧測定手段33は、測定した吸収液のレベルに応じた電流を出力する差圧伝送器や、測定した吸収液のレベルを表示する差圧レベル計で構成される。
【0049】
本実施形態に係る脱硫装置(配管構造)の構成は以上の通りであり、次に、本実施形態に係る脱硫装置(配管構造)の作用について説明する。
【0050】
まず、内管322を外管321に挿入するには、図4(a)に示すように、外管321の挿抜口部321cに、内管322を先端部322aから挿入する。そして、内管322を押し込み続けると、内管322の先端部322aが案内部321dに案内される。
【0051】
すると、内管322が可撓性を有するため、図4(b)に示すように、内管322の先端部322aが案内部321dに案内されるのに伴い、内管322の先端部322aが外管321の先端部321aに対応して湾曲状に変形する。そして、内管322の先端部322aが外管321の外管開口部321bから突出するまで、内管322をさらに押し込み、その後、図4(c)に示すように、封止部材321gを挿抜口部321cに装着する。
【0052】
このとき、外管321の先端部321aの内周部が内管322の先端部322aの外周部を係止するため、第1内管開口部322bが下方を向く状態を維持して、上方から噴霧する吸収液が第1内管開口部322bに浸入するのを防止する。併せて、内管322の先端部322aが外管321の先端部321aに内接されるため、内管322が外管321に対して相対変位する(位置ズレを起こす)のを防止している。
【0053】
ここで、外管開口部321bや第1内管開口部322bが下方を向いているのにも関わらず、スラリ状の吸収液が各開口部321b,322b付近に堆積する場合、挿抜口部321cから封止部材321gを取り外し、内管322の内部を確認したり、棒状の冶具で内管322の内部を掃除したりすることができる。
【0054】
さらには、挿抜口部321cを介して、内管322を外管321から抜き出すことにより、第1内管開口部322bに堆積する(第1内管開口部322bを閉塞する)吸収液を排除することができる。なお、内管322を外管321から抜き出す際には、内管322を外管321に挿入する手順と反対の手順により行う。そして、抜き出した内管322から吸収液を排除して再び外管321に挿入したり、新たな内管322を外管321に挿入したりする。
【0055】
以上より、本実施形態に係る脱硫装置は、低圧側導圧管320の先端部320a(外管321の先端部321a及び内管322の先端部322a)がタンク1の内部に配置され、さらに、タンク1の内部と連通するための開口部320b(外管開口部321b及び第1内管開口部322b)が低圧側導圧管320の先端部320aに下方を向いて配設される。
【0056】
したがって、低圧側導圧管320の内部がタンク1において上方から噴霧される吸収液に浸入されるのを防止できるため、低圧側導圧管320の内部が吸収液により閉塞されるのを防止でき、その結果、タンク1の下方に溜まる吸収液のレベルを正確に測定することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る脱硫装置は、内管322の先端部322aが外管321の外管開口部321bから突出して配置され、且つ、外管321がタンク1に固定される状態にて、内管322が挿抜口部321cから外管321に挿抜できる。
【0058】
したがって、外管開口部321b及び第1内管開口部322bが吸収液に堆積されたり、閉塞されたりした場合、内管322を外管321から抜き出すことにより、低圧側導圧管320の内部が吸収液に堆積されたり、閉塞されたりした状態を容易に解除することができる。
【0059】
また、上記実施形態に係る脱硫装置は、可撓性を有する内管322が外管321に挿入される際に、案内部321dが内管322を変形させつつ、内管322の先端部322aが外管開口部321bから突出して配置するように案内する。したがって、内管322を外管321に挿入(装着)する作業を容易にすることができる。
【0060】
また、上記実施形態に係る脱硫装置は、外管321の先端部321aの内周部が内管322の先端部322aの外周部を係止するため、第1内管開口部322bが下方を向く状態を維持することができる。したがって、第1内管開口部322bが吸収液に堆積されたり、閉塞されたりするのをより防止できる。
【0061】
なお、本発明に係る配管構造及び脱硫装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0062】
例えば、上記実施形態に係る配管構造及び脱硫装置においては、低圧側導圧管320の先端部320a側が外管321及び内管322からなる二重管構造である場合を説明したが、かかる場合に限られず、例えば、低圧側導圧管の先端部側は、単管構造である場合でもよく、また、三重管構造や四重管構造である場合でもよく、或いは、同径に形成される複数の内管が外管の内部に並設される場合でもよい。
【0063】
また、上記実施形態に係る配管構造及び脱硫装置においては、内管322が可撓性を有する場合を説明したが、かかる場合に限られず、内管が可撓性を有していない場合でもよい。例えば、図5に、かかる構成を採用した低圧側導圧管320’の一実施例を示す。
【0064】
低圧側導圧管320’は、先端部側が、タンク1に固定される外管321’と、外管321’の内部に配置される内管322’とを備えて構成され、外管321’は、直管状の先端部321a’が下方半分側を切削されて形成されることにより、外管開口部321b’が下方を向くように設けられ、内管322’は、先端部322a’が下方に向けて湾曲するように形成されることにより、内管開口部322b’が下方を向くように設けられる。
【0065】
そして、外管321’がタンク1に固定される状態にて、内管322’がタンク1の外部(挿抜口部321c’)から外管321’に挿抜可能とすべく、図5(a)に示すように、内管322’は、先端部322a’が外管321’の内部を通過可能に形成される。
【0066】
さらに、図5(b)及び(c)に示すように、外管321’の基部側に設けられる第3フランジ部81と、内管322’の基端部に設けられる第4フランジ部82がボルト・ナット(図示していない)にて固定される固定手段8を介して、内管322’が外管321’に位置決めされると共に固定される。
【0067】
これにより、外管321’の先端部321a’がタンク1から内方に突出して配置され、且つ、外管321’の先端部321a’に、タンク1の内部と連通するための外管開口部321b’が下方を向いて設けられると共に、内管322’の先端部322a’が外管開口部321b’から突出して配置され、且つ、内管322’の先端部322a’に、タンク1の内部と連通するための内管開口部322b’が下方を向いて設けられる。
【0068】
また、上記実施形態に係る配管構造及び脱硫装置においては、外管321に案内部321dを有する場合を説明したが、かかる場合に限られず、外管に案内部を有することなく、内管の先端部を外管開口部から突出して配置される場合でもよい。例えば、図6に、かかる構成を採用した低圧側導圧管320''の一実施例を示す。
【0069】
低圧側導圧管320''は、先端部側が、タンク1に固定される外管321''と、外管321''の内部に配置される内管322''とを備えて構成され、外管321''は、直管状の先端部321a''が下半分側を切削されて形成されることにより、外管開口部321b''が下方を向くように設けられ、内管322''は、先端部322a''が外管開口部321b''まで挿入されるのに伴い、先端部322a''が外管開口部321b''から落下して変形するように構成される。例えば、内管322''は、先端部322a''のみが鋼管で形成され、それ以外の部位(基端部を含む基部側の部位)が合成樹脂可撓管で形成される。
【0070】
かかる低圧側導圧管320''においては、まず、図6(a)に示すように、内管322''を挿抜口部321c''から外管321''に挿入する。そして、図6(b)に示すように、内管322''の先端部322a''を、外管321''の先端部321a''付近まで押し込む。このとき、内管322''は、先端部322a''が外管321''に支持されているため直管状の形状を維持している。
【0071】
そして、内管322''をさらに押し込むと、内管322''の先端部322a''が外管開口部321b''に到達するため、外管321''が内管322''の先端部322a''を支持できない。したがって、図6(c)に示すように、内管322''の先端部322a''が外管開口部321a''から落下するようにして変形する。
【0072】
これにより、外管321''の先端部321a''がタンク1の内部に配置され、且つ、外管321''の先端部321a''に、タンク1の内部と連通するための外管開口部321b''が下方を向いて設けられ、内管322''の先端部322a''が外管開口部321b''から突出して配置され、且つ、内管322''の先端部322a''に、タンク1の内部と連通するための内管開口部322b''が下方を向いて設けられる。
【0073】
また、上記実施形態に係る配管構造及び脱硫装置においては、液体が粘性の高いスラリ状の吸収液である場合を説明したが、かかる場合に限られず、粘性の低い液体の場合でもよい。
【0074】
また、上記実施形態に係る配管構造及び脱硫装置においては、外管321が固定手段7によりタンク1に固定される場合を説明したが、かかる場合に限られず、例えば、外管がタンクに直接溶接されて固定される場合でもよい。
【0075】
また、上記実施形態に係る配管構造及び脱硫装置においては、高圧側圧力導入部31がタンク1の側面にフランジ接続されるダイアフラムシール(薄い膜)を備える場合を説明したが、かかる場合に限られず、例えば、高圧側圧力導入部が液面より下方側にてタンク1の内部と連通するようにタンク1に接続される(高圧側)導圧管を備える場合でもよい。
【0076】
また、上記実施形態に係る配管構造及び脱硫装置においては、噴霧部22が上方に向けて噴射するように、スプレーノズルの向きが設定されてなる場合を説明したが、かかる場合に限られず、例えば、噴霧部が側方又は下方に向けて噴射するように、スプレーノズルの向きが設定されてなる場合でもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…タンク、3…レベル測定装置、31…高圧側圧力導入部、32…低圧側圧力導入部、320…低圧側導圧管、320a…先端部、320b…開口部、321…外管、321a…先端部、321b…外管開口部、321d…案内部、322a…先端部、322b…内管開口部(第1内管開口部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクの下方に溜まる液体のレベルを測定すべく、液面より下方側にてタンクの内部圧力を受けるようにタンクに接続される高圧側圧力導入部と、液面より上方側にてタンクの内部圧力を受けるようにタンクに接続される低圧側圧力導入部とを備え、各圧力導入部から導入される圧力に基づき液体のレベルを測定するレベル測定装置の、低圧側圧力導入部の配管構造において、
低圧側圧力導入部は、液面より上方側にてタンクの内部と連通するようにタンクに接続される低圧側導圧管を備え、
低圧側導圧管は、タンクの内部にて上方から噴霧されて落下する液体が内部に浸入するのを防止すべく、先端部がタンクの内部に配置され且つ先端部に下方を向く開口部が配設されて構成されることを特徴とする配管構造。
【請求項2】
低圧側導圧管は、少なくとも先端部側の部位が、タンクに固定される外管と、外管の内部に配置される内管とを備えて構成され、外管は、先端部がタンクの内部に配置され且つ先端部に下方を向く外管開口部が配設されて構成され、内管は、先端部が外管開口部から突出して配置され且つ先端部に下方を向く内管開口部が配設されて構成され、さらに、外管がタンクに固定される状態にてタンクの外部から外管に挿抜可能に構成される請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
内管は、可撓性を有し、外管は、内管の先端部を外管開口部から突出して配置させるべく、内管が挿入される際に、内管を変形させつつ案内する案内部を備える請求項2に記載の配管構造。
【請求項4】
外管は、内管開口部が下方を向く状態を維持すべく、先端部の内周部が内管の外周部を係止するように構成される請求項3に記載の配管構造。
【請求項5】
硫黄酸化物を吸収する吸収液により対象ガスから硫黄酸化物を除去すべく、内部を通過する対象ガスに向けて噴霧され、対象ガスと接触しながら落下する吸収液を下方に溜めるタンクと、タンクの内部における吸収液のレベルを測定するレベル測定装置とを備え、レベル測定装置は、液面より下方側にてタンクの内部圧力を受けるようにタンクに接続される高圧側圧力導入部と、液面より上方側にてタンクの内部圧力を受けるようにタンクに接続される低圧側圧力導入部とを備え、各圧力導入部から導入される圧力に基づき吸収液のレベルを測定するように構成される脱硫装置において、
低圧側圧力導入部は、液面より上方側にてタンクの内部と連通するようにタンクに接続される低圧側導圧管を備え、
低圧側導圧管は、タンクの内部にて上方から噴霧されて落下する液体が内部に浸入するのを防止すべく、先端部がタンクの内部に配置され且つ先端部に下方を向く開口部が配設されて構成されることを特徴とする脱硫装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−93109(P2012−93109A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238451(P2010−238451)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】