説明

配管緊急遮断装置

【課題】この発明は、地震などによる異常震動および配管の破損による異常差圧の発生を機械的に検知し、流路を確実に遮断できる配管緊急遮断装置を得る。
【解決手段】感震装置30は、一次側配管2a内の水圧を起動弁4に伝達する経路中に配設された三方向弁35と、震動観測球33が載置されて三方向弁35を閉弁し、震動観測球33が外れてスプリング36の付勢力により三方向弁35を開弁する観測球台34と、を備えている。また、感圧装置40は、ストッパ42と係合して衝突棒41をスプリング43の付勢力に抗して退避位置に保持する作動棒46と、一次側配管2a内の水圧と二次側配管2b内の水圧との差圧が所定値以上となったときに作動棒46を駆動して作動棒46とストッパ42との係合を解除し、衝突棒41を震動観測球33に衝突させるパイロット弁45と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配管に設置され、異常震動および配管内での異常差圧の発生時に配管を遮断する配管緊急遮断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の配管緊急遮断装置は、一般的に、駆動源や検知手段が電子式やガス加圧式で構成されていたので、地震などで電気やガスの供給が停止されると、全く作動できないものとなっていた。
【0003】
このような状況を鑑み、駆動源や検知手段を機械式のもので構成した配管緊急遮断装置が種々提案されている。
例えば、従来の高圧ガス緊急遮断装置は、弁棒に、震動により後退するストッパを係合させ、そのストッパの外端を感震装置に接続しており、弁棒より弁体を分離し、この弁体にはこれを弁座に圧接させる第1スプリングを、弁棒には下端を弁体に軽く圧接させる第2スプリングを装着し、かつ弁棒の上端を弁本体より外方へ突出させていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このように構成された従来の高圧ガス緊急遮断装置では、通常時は、ストッパが弁棒に係合し、弁棒の移動を阻止している。これにより、弁体を弁座に圧接させるように作用する第1スプリングの付勢力は、弁体を介してストッパにより移動が阻止されている弁棒に受けられ、弁体が弁座から離反し、流路が開放されている。そして、感震装置が作動すると、ストッパが後退して弁棒との係合が解除される。これにより、弁棒が移動可能となり、第1スプリングの付勢力により、弁体が弁座に圧接され、流路が遮断される。
【0005】
そして、復旧時には、作業者が弁棒を押して弁体を弁座から離反させて、生ガスを流路の流出側に供給し、直ちに弁棒から手を離して、流路を遮断する。これにより、弁棒が供給されたガス圧により上昇し、弁棒の弁本体からの突出量に応じて、配管の損傷によるガス漏れが発生しているか否かを判断する。そして、ガス漏れが発生していないことが確認されると、弁をリセットすることになる。
【0006】
【特許文献1】特開昭55−126171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の高圧ガス緊急遮断装置では、配管の損傷によるガス漏れの発生を検知して流路を遮断できる機能を有していないので、ガス漏れ発生時に、流路を速やかに遮断できないという問題があった。また、地震発生後、装置をリセットする際には、作業者が弁棒の弁本体からの突出量の大小からガス漏れ発生の有無を判断しなければならず、その判断基準があいまいなものとなってしまうという不具合もあった。
【0008】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、地震などによる異常震動および配管の破損による異常差圧の発生を機械的に検知し、流路を確実に遮断できる配管緊急遮断装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による配管緊急遮断装置は、配管の経路中に配設される常開の遮断弁と、作動時、上記配管の一次側配管内の流体を上記遮断弁に供給して該遮断弁を閉弁させる起動弁と、異常震動の発生時に作動して、上記一次側配管内の流体圧力を上記起動弁に供給して該起動弁を作動させる感震装置と、上記配管の一次側配管と二次側配管との間の差圧が所定値を超えた時に作動して、上記一次側配管内の流体圧力を上記起動弁に供給して該起動弁を作動させる感圧装置と、を備えている。そして、上記感震装置は、上記一次側配管と上記起動弁とを連結する第1の配管と、上記第1の配管の経路中に配設された第1の弁と、上記第1の弁を閉弁させる閉弁位置と開弁させる開弁位置との間を移動可能に配設された観測球台と、上記観測球台を閉弁位置から開弁位置に移動させるように付勢する第1のばね部材と、上記観測球台に載置されて上記第1のばね部材の付勢力に抗して該観測球台を閉弁位置に保持させ、異常振動の発生時には該観測球台から外れて該第1のばね部材の付勢力により該観測球台を閉弁位置から開弁位置に移動させる震動観測球と、を有する。さらに、上記感圧装置は、上記震動観測球に衝突して該震動観測球を上記観測球台から外す作動位置と該震動観測球から離反する退避位置との間を移動可能に配設された衝突棒と、上記衝突棒に固着されたストッパと、上記衝突棒を退避位置から作動位置に移動させる方向に付勢する第2のばね部材と、上記一次側配管内の流体圧力が導入される一次側槽、上記二次側配管内の流体圧力が導入される二次側槽、および該一次側槽と該二次側槽とを画成し、両槽に導入される流体圧力差に応じて変位する隔壁を有するパイロット弁と、上記隔壁に一端を固着されて該隔壁の変位に連動して動作し、上記両槽に導入される流体圧力差が所定値より小さいと上記ストッパとの係合状態を維持して上記第2のばね部材の付勢力に抗して上記衝突棒を退避位置に保持させ、当該流体圧力差が所定値を超えると上記ストッパとの係合を解除して上記第2のばね部材の付勢力により上記衝突棒を退避位置から作動位置に移動させる作動棒と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、感震装置は、震動観測球が震動で観測球台から外れると起動弁を作動させ、起動弁が一次側配管内の流体を遮断弁に供給して遮断弁を閉弁させているので、地震などの異常震動の発生時に、電気やガスの供給が停止されても、流路を確実に遮断できる。また、感圧装置が、パイロット弁の一次側槽に導入される一次側配管の流体圧力と二次側槽に導入される二次側配管の流体圧力との圧力差が所定値を超えると、作動棒とストッパとの係合を解除させ、衝突棒を震動観測球に衝突させて観測球台から外れさせる。そこで、一次側配管と二次側配管との圧力差が所定値を超えると、地震などで電気やガスの供給が停止されても、流路を確実に遮断できる。これにより、二次側配管が破損しているままで遮断弁の復旧操作を行っても、感圧装置が一次側配管と二次側配管との異常圧力差を感知して直ちに遮断弁を閉弁させ、二次側配管の破損部からの流体の漏洩を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に給水配管緊急遮断装置の全体構成を模式的に示すシステム構成図である。
【0012】
図1において、給水配管緊急遮断装置100は、給水タンク1に接続された給水配管2の経路中に配設された常開の遮断弁3と、作動時、遮断弁3を閉弁させる起動弁4と、異常震動の発生時に作動して、起動弁4を作動させる感震装置30と、一次側配管2aと二次側配管2bとの間の異常差圧の発生時に作動して、起動弁4を作動させる感圧装置40と、を備える。ここで、遮断弁3に対して、給水配管2の給水タンク1側を一次側配管2aとし、反給水タンク1側を二次側配管2bとする。
【0013】
遮断弁3は、常時開放されており、第1枝配管5を介して供給される一次側配管2a内の水で加圧されて閉じるように構成されている。また、起動弁4は、作動時、第1枝配管5の経路中に配設された常閉の弁16を開け、一次側配管2a内の水を遮断弁3に供給、加圧する。
【0014】
感震装置30は、ボックス31、蓋32、震動観測球33、観測球台34、第1の弁としての三方向弁35、第1のばね部材としてのスプリング36を備えている。三方向弁35がボックス31の底部に取り付けられている。観測球台34は受け皿34aと弁棒34bとから構成され、受け皿34aをボックス31内に位置させ、弁棒34bを三方向弁35内に挿入して装着されている。そして、震動観測球33が受け皿34aに載置されると、弁棒34bは震動観測球33の重量によりスプリング36の付勢力に抗して三方向弁35内に後退し、入口側通路35aと出口側通路35bとの間の流通を遮断している。
【0015】
また、震動観測球33が受け皿34aから落ちると、弁棒34bはスプリング36の付勢力により三方向弁35から伸長し、入口側通路35aと出口側通路35bとの間が連通される。そして、三方向弁35の入口側通路35aが、配管12、第1媒圧槽9および第2枝配管6を介して一次側配管2aに接続されている。また、出口側通路35bが、配管13を介して起動弁4に接続されている。そして、第1媒圧槽9は、隔壁9aで一次側槽9bと二次側槽9cとに画成され、一次側槽9bが第2枝配管6を介して一次側配管2aに連通されている。また、第1媒圧槽9の二次側槽9cが配管12を介して入口側通路35aと連通されている。そして、第1媒圧槽9の二次側槽9c、配管12,13、入口側通路35aおよび出口側通路35bには、オイルが充填されている。なお、第2枝配管6および配管12,13が第1の配管を構成している。
【0016】
感圧装置40は、衝突棒41、ストッパ42、第2のばね部材としてのスプリング43、パイロット弁45、作動棒46を備えている。衝突棒41は、震動観測球33に衝突して震動観測球33を受け皿34aから落下させる作動位置と、震動観測球33から離反する退避位置との間を往復移動可能に配設されている。そして、スプリング43が固定壁44と衝突棒41との間に縮設され、衝突棒41を作動位置に移動させるように付勢している。また、ストッパ42が衝突棒41に固着され、作動棒46と係合して衝突棒41を退避位置に保持する。
【0017】
パイロット弁45は、隔壁45aで一次側槽45bと二次側槽45cとに画成され、一次側槽45bが配管14、第2媒圧槽10、第3枝配管7を介して一次側配管2aに接続されている。また、第2媒圧槽10は、隔壁10aで一次側槽10bと二次側槽10cとに画成され、一次側槽10bが第3枝配管7を介して一次側配管2aに連通されている。また、第2媒圧槽10の二次側槽10cが配管14を介してパイロット弁45の一次側槽45bに連通されている。そして、パイロット弁45の二次側槽45cは、配管15、第3媒圧槽11、第4枝配管8を介して二次側配管2bに接続されている。また、第3媒圧槽11は、隔壁11aで一次側槽11bと二次側槽11cとに画成され、一次側槽11bが第4枝配管8を介して二次側配管2bに連通されている。また、第3媒圧槽11の二次側槽11cが配管15を介してパイロット弁45の二次側槽45cに連通されている。そして、第2媒圧槽10の二次側槽10c、配管14,15、パイロット弁45の一次側槽45bおよび二次側槽45cおよび第3媒圧槽11の二次側槽11cには、オイルが充填されている。
【0018】
また、作動棒46は、ストッパ42と係合して衝突棒41を退避位置に保持する作動位置と、衝突棒41から離反してストッパ42との係合が解除される退避位置との間を往復移動可能に配設されている。そして、作動棒46はその一端を隔壁45aに固着され、一次側槽45bと二次側槽45cとの差圧による隔壁45aの変位に連動して、衝突棒41に対して接離可能に配設されている。そして、一次側槽45bと二次側槽45cとの差圧が所定の大きさとなったときに、作動棒46は、作動位置から退避位置に移動する。ここで、パイロット弁45には、調圧ねじ47が取り付けられ、スプリング48の付勢力、即ち作動棒46を作動位置から退避位置に移動させる差圧を調整できるようになっている。
【0019】
つぎに、このように構成された給水配管緊急遮断装置100の動作について説明する。
まず、通常状態では、震動観測球33が受け皿34aに載置され、三方向弁35の入口側通路35aと出口側通路35bとの流通が遮断されている。また、作動棒46がストッパ42と係合し、衝突棒41が退避位置に保持されている。そして、遮断弁3は開放されており、例えば0.3MPaの水が給水タンク1から給水配管2を通って各所に給水される。
【0020】
ここで、第1媒圧槽9の一次側槽9bには、第2枝配管6を介して一次側配管2a内の水が導入されている。そして、一次側配管2a内の水圧が、隔壁9aを介して二次側槽9cおよび配管12内に充填されているオイルに伝達され、弁棒34bで受けられている。
【0021】
また、第2媒圧槽10の一次側槽10bには、第3枝配管7を介して一次側配管2a内の水が導入されている。そして、一次側配管2a内の水圧が、隔壁10aを介して二次側槽10c、配管14およびパイロット弁45の一次側槽45b内に充填されているオイルに伝達され、パイロット弁45の隔壁45aで受けられている。
【0022】
また、第3媒圧槽11の一次側槽11bには、第4枝配管8を介して二次側配管2b内の水が導入されている。そして、二次側配管2b内の水圧が、隔壁11aを介して二次側槽11c、配管15およびパイロット弁45の二次側槽45c内に充填されているオイルに伝達され、パイロット弁45の隔壁45aで受けられている。さらに、スプリング48の付勢力が隔壁45aに作用している。
【0023】
そして、パイロット弁45の隔壁45aに作用する一次側配管2aの水圧と、隔壁45aに作用する二次側配管2bの水圧とスプリング48の付勢力との和とが、つり合って、作動棒46をストッパ42と係合する作動位置に保持している。これにより、衝突棒41が退避位置に保持されている。
【0024】
ここで、地震が発生し、震動観測球33が、図1中点線で示されるように、受け皿34aから落ちると、観測球台35がスプリング36の付勢力により浮き上がり、三方向弁35の入口側通路35aと出口側通路35bとの間が連通する。そして、一次側配管2a内の水圧が第2枝配管6、第1媒圧槽9、配管12、三方向弁35および配管13を介して起動弁4に伝達される。そこで、起動弁4が作動し、第1枝配管5の経路中に配設された常閉の弁16が開けられ、一次側配管2a内の水が遮断弁3に供給される。これにより、遮断弁3は加圧されて流路を閉じ、一次側配管2aと二次側配管2bとが遮断される。
【0025】
また、二次側配管2bが損傷すると、損傷部位から水が流出され、二次側配管2b内の圧力が一次側配管2a内の圧力より低下する。そして、パイロット弁45の隔壁45aに作用する一次側配管2aの水圧と、隔壁45aに作用する二次側配管2bの水圧とスプリング48の付勢力との和とのバランスが崩れる。そこで、隔壁45aが二次側槽45c側に変位し、作動棒46が下降する。この作動棒46の下降、即ち衝突棒41からの離反により、作動棒46とストッパ42との係合が解除される。すると、衝突棒41はスプリング43の付勢力により震動観測球33側に移動し、震動観測球33に衝突する。そして、震動観測球33は受け皿34aからこぼれ落ち、三方向弁35の入口側通路35aと出口側通路35bとの間が連通する。そこで、一次側配管2a内の水圧が起動弁4に伝達され、常閉の弁16が開けられ、一次側配管2aと二次側配管2bとが遮断される。
【0026】
つぎに、この給水配管緊急遮断装置100の復旧動作について説明する。
まず、感震装置30が作動し、感圧装置40が作動していない場合には、水は二次側配管2b内に充満している。そこで、第1媒圧槽9の一次側槽9bと一次側配管2aとの間を遮断し、一次側槽9b内の水を排水する。これにより、配管12,13内のオイルの圧力が低下し、起動弁4が非作動状態となり、弁16が閉弁状態となる。そこで、一次側配管2a内の水の供給が停止され、遮断弁3が開弁され、流路が開放される。ついで、震動観測球33を受け皿34aに載置し、三方向弁35を閉弁して、初期状態に復帰する。
【0027】
また、感圧装置40が作動している場合には、例えば二次側配管2bに損傷が発生し、その損傷部から水が漏洩していることになる。そこで、二次側配管2bの損傷部の修理が終了した後、まず、第2媒圧槽10の一次側槽10bと一次側配管2aとの間を遮断し、一次側槽10b内の水を排水する。これにより、配管14内のオイルの圧力が低下し、パイロット弁45の隔壁45aがバランスのとれた状態に復帰する。そこで、作動棒46をストッパ42に係合させ、衝突棒41を退避位置に戻す。ついで、第1媒圧槽9の一次側槽9bと一次側配管2aとの間を遮断し、一次側槽9b内の水を排水する。これにより、配管12,13内のオイルの圧力が低下し、起動弁4が非作動状態となり、弁16が閉弁状態となる。そこで、一次側配管2a内の水の供給が停止され、遮断弁3が開弁され、流路が開放される。ついで、震動観測球33を受け皿34aに載置し、三方向弁35を閉弁して、初期状態に復帰する。
【0028】
このように、この実施の形態1では、感震装置30が、震動観測球33を観測球台34に載置しておき、震動が所定値より大きくなると震動観測球33が観測球台34から落下して三方向弁35を開弁し、一次側配管2a内の水圧を起動弁4に供給するように構成されている。そこで、感震装置30には、電子式やガス加圧式で構成された駆動源や検知手段がなく、地震などで電気やガスの供給が停止されても、所定値以上の震動を検知して、遮断弁3を確実に閉弁することができる。これにより、大きな地震が発生すれば、遮断弁3が確実に閉弁されるので、二次側配管2bが地震で損傷しても、水が二次側配管2bの破損部から放出されるようなことが未然に回避される。
【0029】
また、感圧装置40が、一次側配管2aの水圧と二次側配管2bの水圧とを隔壁45aで画成された一次側槽45bと二次側槽45cとに導入し、両者の差圧が所定値を超えると、隔壁45aに固着された作動棒46を駆動してストッパ42との係合を解除し、衝突棒41を震動観測球33に衝突させて、震動観測球33を観測球台34から落下させるように構成されている。そこで、感圧装置40には、電子式やガス加圧式で構成された駆動源や検知手段がなく、地震などで電気やガスの供給が停止されても、所定値以上の差圧を検知して、遮断弁3を確実に閉弁することができる。これにより、二次側配管2bが何らかの原因で損傷しても、水が二次側配管2bの破損部から放出されるようなことが未然に回避される。
【0030】
また、感震装置30と感圧装置40とを備えているので、遮断弁3の復旧操作を行っても、一次側配管2aと二次側配管2bとの間に大きな圧力差が生じていれば、遮断弁3は直ちに閉弁される。そこで、地震後の遮断弁3の復旧操作時に、二次側配管2bが破損していても、水が二次側配管2bの破損部から放出されるようなことが未然に回避される。
【0031】
また、第1乃至第3媒圧槽9,10,11を用いているので、一次側配管2aおよび二次側配管2bの圧力の急峻な変動が第1乃至第3媒圧槽9,10,11で緩和されて起動弁4やパイロット弁45に伝達される。そこで、一次側配管2aおよび二次側配管2bの圧力の急峻な変動に伴う誤動作の発生が抑制される。
また、第1乃至第3媒圧槽9,10,11の二次側の作動媒体にオイルを用いているので、寒冷地においても、作動媒体の凍結に伴う動作不良の発生が抑制される。
【0032】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2に給水配管緊急遮断装置の全体構成を模式的に示すシステム構成図である。
【0033】
図2において、感圧装置40Aは、配管12,13を連通する第2の配管としての配管17、配管17の経路中に配設された第2の弁としての常閉の弁18、パイロット弁45、作動棒46を備えている。そして、作動棒46は、その一端を隔壁45aに固着され、他端を弁18に接続されている。この作動棒46は、一次側槽45bと二次側槽45cとの差圧による隔壁45aの変位に連動して動作し、一次側槽45bと二次側槽45cとの差圧が所定の大きさとなったときに、弁18を開弁させる構造になっている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0034】
このように構成された給水配管緊急遮断装置200では、二次側配管2bが損傷すると、二次側配管2b内の圧力が一次側配管2a内の圧力より低下する。そして、パイロット弁45の隔壁45aに作用する一次側配管2aの水圧と、隔壁45aに作用する二次側配管2bの水圧とスプリング48の付勢力との和とのバランスが崩れる。そこで、隔壁45aが二次側槽45c側に変位し、作動棒46が下降する。この作動棒46の下降により、弁18が開弁される。すると、一次側配管2a内の水圧が、第2枝配管6、第1媒圧槽9、配管12,17,13を介して起動弁4に伝達され、常閉の弁16が開けられる。これにより、遮断弁3が閉弁され、一次側配管2aと二次側配管2bとが遮断される。
なお、感震装置30による遮断弁3の閉弁動作は上記実施の形態1と同様である。
【0035】
この実施の形態2によれば、上記実施の形態1の効果に加え、衝突棒41を震動観測球33に衝突させて震動観測球33を受け皿34aから落とすための大掛かりな機構が不要となり、低価格化が図られる。
【0036】
なお、上記各実施の形態では、給水配管に適用するものとして説明しているが、この発明は、給水配管に限定されるものではなく、例えば高圧ガス配管に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の実施の形態1に給水配管緊急遮断装置の全体構成を模式的に示すシステム構成図である。
【図2】この発明の実施の形態2に給水配管緊急遮断装置の全体構成を模式的に示すシステム構成図である。
【符号の説明】
【0038】
2 給水配管、2a 一次側配管、2b 二次側配管、3 遮断弁、4 起動弁、6 第2枝配管(第1の配管)、9 第1媒圧槽、10 第2媒圧槽、11 第3媒圧槽、12 配管(第1の配管)、13 配管(第1の配管)、17 配管(第2の配管)、18 弁(第2の弁)、30 感震装置、33 震動観測球、34 観測球台、35 三方向弁(第1の弁)、36 スプリング(第1のばね部材)、40 感圧装置、41 衝突棒、42 ストッパ、43 スプリング(第2のばね部材)、45,45A パイロット弁、45a 隔壁、45b 一次側槽、45c 二次側槽、46 作動棒。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の経路中に配設される常開の遮断弁と、
作動時、上記配管の一次側配管内の流体を上記遮断弁に供給して該遮断弁を閉弁させる起動弁と、
異常震動の発生時に作動して、上記一次側配管内の流体圧力を上記起動弁に供給して該起動弁を作動させる感震装置と、
上記配管の一次側配管と二次側配管との間の差圧が所定値を超えた時に作動して、上記一次側配管内の流体圧力を上記起動弁に供給して該起動弁を作動させる感圧装置と、を備え、
上記感震装置は、上記一次側配管と上記起動弁とを連結する第1の配管と、上記第1の配管の経路中に配設された第1の弁と、上記第1の弁を閉弁させる閉弁位置と開弁させる開弁位置との間を移動可能に配設された観測球台と、上記観測球台を閉弁位置から開弁位置に移動させるように付勢する第1のばね部材と、上記観測球台に載置されて上記第1のばね部材の付勢力に抗して該観測球台を閉弁位置に保持させ、異常振動の発生時には該観測球台から外れて該第1のばね部材の付勢力により該観測球台を閉弁位置から開弁位置に移動させる震動観測球と、を有し、
上記感圧装置は、上記震動観測球に衝突して該震動観測球を上記観測球台から外す作動位置と該震動観測球から離反する退避位置との間を移動可能に配設された衝突棒と、上記衝突棒に固着されたストッパと、上記衝突棒を退避位置から作動位置に移動させる方向に付勢する第2のばね部材と、上記一次側配管内の流体圧力が導入される一次側槽、上記二次側配管内の流体圧力が導入される二次側槽、および該一次側槽と該二次側槽とを画成し、両槽に導入される流体圧力差に応じて変位する隔壁を有するパイロット弁と、上記隔壁に一端を固着されて該隔壁の変位に連動して動作し、上記両槽に導入される流体圧力差が所定値より小さいと上記ストッパとの係合状態を維持して上記第2のばね部材の付勢力に抗して上記衝突棒を退避位置に保持させ、当該流体圧力差が所定値を超えると上記ストッパとの係合を解除して上記第2のばね部材の付勢力により上記衝突棒を退避位置から作動位置に移動させる作動棒と、を有することを特徴とする配管緊急遮断装置。
【請求項2】
媒圧槽が、上記第1の配管の上記一次側配管と上記第1の弁との間の経路中、上記パイロット弁の一次側槽と上記一次側配管との間の流体圧力の導入経路中、さらには上記パイロット弁の二次側槽と上記二次側配管との間の流体圧力の導入経路中のそれぞれに介装されていることを特徴とする請求項1記載の配管緊急遮断装置。
【請求項3】
配管の経路中に配設される常開の遮断弁と、
作動時、上記配管の一次側配管内の流体を上記遮断弁に供給して該遮断弁を閉弁させる起動弁と、
異常震動の発生時に作動して、上記一次側配管内の流体圧力を上記起動弁に供給して該起動弁を作動させる感震装置と、
上記配管の一次側配管と二次側配管との間の差圧が所定値を超えた時に作動して、上記一次側配管内の流体圧力を上記起動弁に供給して該起動弁を作動させる感圧装置と、を備え、
上記感震装置は、上記一次側配管と上記起動弁とを連結する第1の配管と、上記第1の配管の経路中に配設された第1の弁と、上記第1の弁を閉弁させる閉弁位置と開弁させる開弁位置との間を移動可能に配設された観測球台と、上記観測球台を閉弁位置から開弁位置に移動させるように付勢する第1のばね部材と、上記観測球台に載置されて上記第1のばね部材の付勢力に抗して該観測球台を閉弁位置に保持させ、異常振動の発生時には該観測球台から外れて該第1のばね部材の付勢力により該観測球台を閉弁位置から開弁位置に移動させる震動観測球と、を有し、
上記感圧装置は、上記第1の配管の上記第1の弁の上記一次側配管側と上記起動弁側とを連通する第2の配管と、上記第2の経路中に配設された第2の弁と、上記一次側配管内の流体圧力が導入される一次側槽、上記二次側配管内の流体圧力が導入される二次側槽、および該一次側槽と該二次側槽とを画成し、両槽に導入される流体圧力差に応じて変位する隔壁を有するパイロット弁と、上記隔壁に一端を固着されて該隔壁の変位に連動して動作し、上記両槽に導入される流体圧力差が所定値より小さいと上記第2の弁を閉弁状態に保持させ、当該流体圧力差が所定値を超えると上記第2の弁を開弁させる作動棒と、を有することを特徴とする配管緊急遮断装置。
【請求項4】
媒圧槽が、上記第1の配管の上記第1の弁の上記一次側配管側の上記第2の配管との連結部と上記一次側配管との間の経路中、上記パイロット弁の一次側槽と上記一次側配管との間の流体圧力の導入経路中、さらには上記パイロット弁の二次側槽と上記二次側配管との間の流体圧力の導入経路中のそれぞれに介装されていることを特徴とする請求項1記載の配管緊急遮断装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−197905(P2007−197905A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−14062(P2006−14062)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】