配管配策構造
【課題】配管を容易に配策する。
【解決手段】配管配策構造10では、チューブ28が、貫通カラー18に貫通されつつ、第1前貫通孔14、第1後貫通孔16、第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26にこの順番で貫通されることで、第1メンバ12及び第2メンバ22に貫通されて、配策される。ここで、チューブ28が配策される際に貫通カラー18に貫通された状態では、チューブ28が貫通カラー18の複数のリブ20に案内されることで、チューブ28が、第2メンバ22の後側壁22A及び前側壁22Bに干渉することなく、第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26に貫通される。このため、第1前貫通孔14及び第1後貫通孔16に貫通されたチューブ28を第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26へ容易に貫通させることができ、チューブ28を容易に配策できる。
【解決手段】配管配策構造10では、チューブ28が、貫通カラー18に貫通されつつ、第1前貫通孔14、第1後貫通孔16、第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26にこの順番で貫通されることで、第1メンバ12及び第2メンバ22に貫通されて、配策される。ここで、チューブ28が配策される際に貫通カラー18に貫通された状態では、チューブ28が貫通カラー18の複数のリブ20に案内されることで、チューブ28が、第2メンバ22の後側壁22A及び前側壁22Bに干渉することなく、第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26に貫通される。このため、第1前貫通孔14及び第1後貫通孔16に貫通されたチューブ28を第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26へ容易に貫通させることができ、チューブ28を容易に配策できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管が複数の構成部材に貫通されて配策される配管配策構造に関する。
【背景技術】
【0002】
配管配策構造としては、ORVRホースがピックアップ(ピックアップトラック)の複数の構造部材(リヤホイールエプロン等)に貫通されて配策されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような配管配策構造では、ORVRホースを複数の構造部材に容易に貫通させて配策できることが望まれている。
【特許文献1】特開2003−182636公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、配管を容易に配策できる配管配策構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の配管配策構造は、車両を構成する複数の構成部材と、前記複数の構成部材に貫通されて配策される配管と、前記一方の構成部材に設けられ、前記一方の構成部材に貫通された前記配管の前記他方の構成部材への貫通を案内する案内部材と、を備えている。
【0006】
請求項2に記載の配管配策構造は、請求項1に記載の配管配策構造において、前記他方の構成部材に設けられ、前記一方の構成部材に貫通された前記配管の前記他方の構成部材への干渉を抑制する抑制部材を備えた、ことを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の配管配策構造は、請求項1又は請求項2に記載の配管配策構造において、前記構成部材に対して前記配管を貫通方向において位置決めする位置決め手段を備えた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の配管配策構造では、配管が、車両を構成する複数の構成部材に貫通されて、配策される。
【0009】
ここで、一方の構成部材に設けられた案内部材が、一方の構成部材に貫通された配管の他方の構成部材への貫通を案内する。このため、一方の構成部材に貫通された配管を他方の構成部材へ容易に貫通させることができ、配管を容易に配策することができる。
【0010】
請求項2に記載の配管配策構造では、他方の構成部材に設けられた抑制部材が、一方の構成部材に貫通された配管の他方の構成部材への干渉を抑制する。このため、一方の構成部材に貫通された配管を他方の構成部材へ一層容易に貫通させることができ、配管を一層容易に配策することができる。
【0011】
請求項3に記載の配管配策構造では、位置決め手段が構成部材に対して配管を貫通方向において位置決めする。このため、配管を容易に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
図1には、本発明の第1の実施の形態に係る配管配策構造10が上方から見た断面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方を矢印OUTで示す。
【0013】
本実施の形態に係る配管配策構造10は、構成部材としての金属製で矩形筒状の第1メンバ12(サイドメンバ)を備えており、第1メンバ12は、車体を構成して、車両前後方向に延在されている。
【0014】
第1メンバ12には、車幅方向外側の外側壁12Aにおいて、貫通孔としての円状の第1前貫通孔14が貫通形成されると共に、車幅方向内側の内側壁12Bにおいて、貫通孔としての円状の第1後貫通孔16が貫通形成されており、第1後貫通孔16は第1前貫通孔14に対して車両前側に配置されている。
【0015】
第1メンバ12には、案内部材としての樹脂製で略円錐台形筒状の貫通カラー18が取り付けられており、貫通カラー18は第1前貫通孔14と第1後貫通孔16との間に架け渡されている。貫通カラー18の内周面には、案内部としての三角形板状(台形板状でもよい)のリブ20が複数取り付けられており、複数のリブ20は、それぞれ貫通カラー18の軸方向に平行に配置されると共に、貫通カラー18の周方向に沿って等間隔に配置されている。また、複数のリブ20に貫通カラー18径方向内側おいて接する円は、中心が貫通カラー18の中心軸上に配置されると共に、径が貫通カラー18の軸方向に沿って一定にされている(以下、当該円の径を「貫通カラー18の内径R」という)。
【0016】
配管配策構造10は、構成部材としての金属製で矩形筒状の第2メンバ22(クロスメンバ)を備えており、第2メンバ22は、車体を構成して、第1メンバ12の車幅方向内側において車幅方向に延在されている。第2メンバ22の一端は、第1メンバ12の第1前貫通孔14及び第1後貫通孔16より車両前側部分に結合されており、これにより、第1メンバ12と第2メンバ22とがT字状に交差されている。
【0017】
第2メンバ22には、車両後側の後側壁22Aにおいて、貫通孔としての円状の第2前貫通孔24が貫通形成されると共に、車両前側の前側壁22Bにおいて、貫通孔としての円状の第2後貫通孔26が貫通形成されており、第2後貫通孔26は第2前貫通孔24に対して車幅方向内側に配置されている。
【0018】
第1メンバ12及び第2メンバ22には、配管としての金属製で円管状のチューブ28が貫通されて配策されており、チューブ28は、貫通カラー18に貫通された状態で、第1前貫通孔14、第1後貫通孔16、第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26にこの順番で貫通されている。
【0019】
貫通カラー18の内径Rは、チューブ28の外径Cに比し、α(例えば1mm)だけ大きくされており、チューブ28が貫通カラー18に対して何れの方向に傾斜されても、チューブ28が貫通カラー18の複数のリブ20に当接して貫通カラー18に対する傾斜を制限されることで、チューブ28が第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22A及び第2後貫通孔26全周の前側壁22Bに干渉しないようにされている。
【0020】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0021】
以上の構成の配管配策構造10では、チューブ28が、第1メンバ12に取り付けられた貫通カラー18に貫通されつつ、第1メンバ12の第1前貫通孔14、第1後貫通孔16、第2メンバ22の第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26にこの順番で貫通されることで、チューブ28が、第1メンバ12及び第2メンバ22に貫通されて、配策される。
【0022】
ここで、貫通カラー18の内径Rがチューブ28の外径Cに比しαだけ大きくされている。このため、チューブ28が配策される際に、チューブ28が貫通カラー18に貫通された状態では、チューブ28が貫通カラー18の複数のリブ20に案内される(複数のリブ20によって貫通カラー18に対する傾斜を制限される)ことで、チューブ28が、第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22A及び第2後貫通孔26全周の前側壁22Bに干渉することなく、第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26に貫通される。これにより、第1メンバ12の第1前貫通孔14及び第1後貫通孔16に貫通されたチューブ28を第2メンバ22の第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26へ容易に貫通させることができ、チューブ28を容易に配策することができる。
【0023】
さらに、上述の如く、チューブ28が第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22A及び第2後貫通孔26全周の前側壁22Bに干渉することがない。このため、チューブ28を配策作業により傷付けることを防止できる。
【0024】
しかも、第2メンバ22に、第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26の周囲において、チューブ28の傷付きを防止する傷付防止部材(グロメット等)を組み付ける必要がない。このため、部品点数を低減することができる。さらに、第2メンバ22の第2前貫通孔24周囲及び第2後貫通孔26周囲に傷付防止部材を組み付ける作業を不要にできると共に、上述の如くチューブ28を容易に配策できるため、組付工数を低減できると共に、組付時間を短縮できる。
【0025】
[第2の実施の形態]
図2には、本発明の第2の実施の形態に係る配管配策構造50が上方から見た断面図にて示されている。
【0026】
本実施の形態に係る配管配策構造50は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0027】
本実施の形態に係る配管配策構造50では、貫通カラー18の複数のリブ20に、第1前貫通孔14側端において、位置決め手段を構成する嵌合溝52が形成されており、嵌合溝52は貫通カラー18の第1前貫通孔14側及び径方向内側に開放されている。
【0028】
チューブ28の外周には、位置決め手段を構成する円環状の嵌合スプール54が一体に設けられており、嵌合スプール54が複数のリブ20の嵌合溝52に嵌合されることで、チューブ28が、第1メンバ12から第2メンバ22へ向かう方向への移動を阻止されて、位置決めされている。
【0029】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0030】
さらに、貫通カラー18の複数のリブ20の嵌合溝52にチューブ28の嵌合スプール54が嵌合されることで、チューブ28が、第1メンバ12から第2メンバ22へ向かう方向への移動を阻止されて、位置決めされている。このため、チューブ28を容易に固定することができる。
【0031】
[第3の実施の形態]
図3には、本発明の第3の実施の形態に係る配管配策構造60が上方から見た断面図にて示されている。
【0032】
本実施の形態に係る配管配策構造60は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0033】
本実施の形態に係る配管配策構造60では、第2メンバ22の後側壁22Aに、抑制部材としての樹脂製またはゴム製で略円錐台形筒状のグロメット62が取り付けられており、グロメット62は、第2メンバ22後側壁22Aの第2前貫通孔24の全周を被覆すると共に、第2メンバ22前側壁22Bの第2後貫通孔26に向かうに従い徐々に径を小さくされている。
【0034】
チューブ28の外周には、径大部としての円環状のスプール64が一体に設けられており、スプール64は、外径S(最大外径)がチューブ28の外径Cに比し大きくされると共に、第2メンバ22の第2後貫通孔26に対して反第2前貫通孔24側のチューブ28に配置されている。
【0035】
貫通カラー18の内径Rは、スプール64の外径Sに比し、α(例えば1mm)だけ大きくされており、チューブ28が貫通カラー18のみに貫通された際に、チューブ28が貫通カラー18に対して何れの方向に傾斜されても、チューブ28が貫通カラー18の複数のリブ20に当接して貫通カラー18に対する傾斜を制限されることで、チューブ28がグロメット62の第2前貫通孔24側縁(反第2後貫通孔26側縁)内に配置されるようにされている。
【0036】
グロメット62の第2後貫通孔26側縁(反第2前貫通孔24側縁)の内径G(最小内径)は、スプール64の外径Sに比し、α(例えば1mm)だけ大きくされており、チューブ28が貫通カラー18及びグロメット62に対して何れの方向に傾斜されても、チューブ28が貫通カラー18のリブ20及びグロメット62の第2後貫通孔26側縁に当接して貫通カラー18及びグロメット62に対する傾斜を制限されることで、チューブ28が第2メンバ22の第2後貫通孔26周囲の前側壁22Bに干渉しないようにされている。
【0037】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0038】
以上の構成の配管配策構造60では、チューブ28が、第1メンバ12に取り付けられた貫通カラー18及び第2メンバ22に取り付けられたグロメット62に貫通されつつ、第1メンバ12の第1前貫通孔14、第1後貫通孔16、第2メンバ22の第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26にこの順番で貫通されることで、チューブ28が、第1メンバ12及び第2メンバ22に貫通されて、配策される。
【0039】
ここで、貫通カラー18の内径Rがスプール64の外径Sに比しαだけ大きくされている。このため、チューブ28が配策される際に、チューブ28が貫通カラー18に貫通された状態では、チューブ28が貫通カラー18の複数のリブ20に案内される(複数のリブ20によって貫通カラー18に対する傾斜を制限される)ことで、チューブ28が、第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22Aに干渉することなく、第2前貫通孔24(グロメット62)に貫通される。
【0040】
さらに、グロメット62の第2後貫通孔26側縁の内径Gがスプール64の外径Sに比しαだけ大きくされている。このため、チューブ28が配策される際に、チューブ28が貫通カラー18及びグロメット62に貫通された状態では、チューブ28が貫通カラー18のリブ20及びグロメット62の第2後貫通孔26側縁に案内される(リブ20及びグロメット62の第2後貫通孔26側縁によって貫通カラー18及びグロメット62に対する傾斜を制限される)ことで、チューブ28が、第2メンバ22の第2後貫通孔26全周の前側壁22Bに干渉することなく、第2後貫通孔26に貫通される。
【0041】
これにより、第1メンバ12の第1前貫通孔14及び第1後貫通孔16に貫通されたチューブ28を第2メンバ22の第2前貫通孔24へ容易に貫通させることができると共に、第1前貫通孔14、第1後貫通孔16及び第2前貫通孔24に貫通されたチューブ28を第2メンバ22の第2後貫通孔26へ容易に貫通させることができ、チューブ28を容易に配策することができる。
【0042】
さらに、上述の如くチューブ28が第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22A及び第2後貫通孔26全周の前側壁22Bに干渉することがないのみならず、グロメット62が第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22Aを被覆している。このため、チューブ28を配策作業により傷付けることを防止できる。
【0043】
しかも、第2メンバ22に、第2後貫通孔26の周囲において、チューブ28の傷付きを防止する傷付防止部材(グロメット等)を組み付ける必要がない。このため、部品点数を低減することができる。さらに、第2メンバ22の第2後貫通孔26周囲に傷付防止部材を組み付ける作業を不要にできると共に、上述の如くチューブ28を容易に配策できるため、組付工数を低減できると共に、組付時間を短縮できる。
【0044】
[第4の実施の形態]
図4には、本発明の第4の実施の形態に係る配管配策構造70が上方から見た断面図にて示されている。
【0045】
本実施の形態に係る配管配策構造70は、上記第3の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0046】
本実施の形態に係る配管配策構造70は、構成部材としての金属製で矩形筒状の第3メンバ72(サイドメンバ)を備えており、第3メンバ72は、車体を構成して、第1メンバ12の車幅方向内側及び第2メンバ22の車両前側において車両前後方向に延在されている。第3メンバ72の車両後側端は、第2メンバ22の第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26より車幅方向内側部分に結合されており、これにより、第2メンバ22と第3メンバ72とがT字状に交差されている。
【0047】
第3メンバ72には、車幅方向外側の外側壁72Aにおいて、貫通孔としての円状の第3前貫通孔74が貫通形成されると共に、車幅方向内側の内側壁72Bにおいて、貫通孔としての円状の第3後貫通孔76が貫通形成されており、第3後貫通孔76は第3前貫通孔74に対して車両前側に配置されている。
【0048】
第3メンバ72の外側壁72Aには、抑制部材としての樹脂製またはゴム製で略円錐台形筒状のグロメット78が取り付けられており、グロメット78は、第3メンバ72外側壁72Aの第3前貫通孔74の全周を被覆すると共に、第3メンバ72内側壁72Bの第3後貫通孔76に向かうに従い徐々に径を小さくされている。
【0049】
チューブ28は、第1メンバ12、第2メンバ22及び第3メンバ72に貫通されて、配策されており、チューブ28は、貫通カラー18、グロメット62及びグロメット78に貫通された状態で、第1前貫通孔14、第1後貫通孔16、第2前貫通孔24、第2後貫通孔26、第3前貫通孔74及び第3後貫通孔76にこの順番で貫通されている。また、スプール64は、第3メンバ72の第3後貫通孔76に対して反第3前貫通孔74側のチューブ28に配置されている。
【0050】
貫通カラー18の内径Rは、スプール64の外径Sに比し、α(例えば1mm)だけ大きくされると共に、グロメット62の第2後貫通孔26側縁(反第2前貫通孔24側縁)の内径G(最小内径)は、スプール64の外径Sに比し、α(例えば1mm)だけ大きくされており、チューブ28が貫通カラー18及びグロメット62のみに貫通された際には、チューブ28が貫通カラー18及びグロメット62に対して何れの方向に傾斜されても、チューブ28が貫通カラー18のリブ20及びグロメット62の第2後貫通孔26側縁に当接して貫通カラー18及びグロメット62に対する傾斜を制限されることで、チューブ28がグロメット78の第3前貫通孔74側縁(反第3後貫通孔76側縁)内に配置されるようにされている。
【0051】
グロメット78の第3後貫通孔76側縁(反第3前貫通孔74側縁)の内径T(最小内径)は、スプール64の外径Sに比し、α(例えば1mm)だけ大きくされており、チューブ28が貫通カラー18及びグロメット78に対して何れの方向に傾斜されても、チューブ28が貫通カラー18のリブ20及びグロメット78の第3後貫通孔76側縁に当接して貫通カラー18及びグロメット78に対する傾斜を制限されることで、チューブ28が第3メンバ72の第3後貫通孔76周囲の内側壁72Bに干渉しないようにされている。
【0052】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0053】
以上の構成の配管配策構造70では、チューブ28が、第1メンバ12に取り付けられた貫通カラー18、第2メンバ22に取り付けられたグロメット62及び第3メンバ72に取り付けられたグロメット78に貫通されつつ、第1メンバ12の第1前貫通孔14、第1後貫通孔16、第2メンバ22の第2前貫通孔24、第2後貫通孔26、第3メンバ72の第3前貫通孔74及び第3後貫通孔76にこの順番で貫通されることで、チューブ28が、第1メンバ12、第2メンバ22及び第3メンバ72に貫通されて、配策される。
【0054】
ここで、貫通カラー18の内径Rがスプール64の外径Sに比しαだけ大きくされている。このため、チューブ28が配策される際に、チューブ28が貫通カラー18に貫通された状態では、チューブ28が貫通カラー18の複数のリブ20に案内される(複数のリブ20によって貫通カラー18に対する傾斜を制限される)ことで、チューブ28が、第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22Aに干渉することなく、第2前貫通孔24(グロメット62)に貫通される。
【0055】
さらに、グロメット62の第2後貫通孔26側縁の内径Gがスプール64の外径Sに比しαだけ大きくされている。このため、チューブ28が配策される際に、チューブ28が貫通カラー18及びグロメット62に貫通された状態では、チューブ28が貫通カラー18のリブ20及びグロメット62の第2後貫通孔26側縁に案内される(リブ20及びグロメット62の第2後貫通孔26側縁によって貫通カラー18及びグロメット62に対する傾斜を制限される)ことで、チューブ28が、第2メンバ22の第2後貫通孔26全周の前側壁22B及び第3メンバ72の第3前貫通孔74全周の外側壁72Aに干渉することなく、第2後貫通孔26及び第3前貫通孔74(グロメット78)に貫通される。
【0056】
しかも、グロメット78の第3後貫通孔76側縁の内径Tがスプール64の外径Sに比しαだけ大きくされている。このため、チューブ28が配策される際に、チューブ28が貫通カラー18、グロメット62及びグロメット78に貫通された状態では、チューブ28が貫通カラー18のリブ20及びグロメット78の第3後貫通孔76側縁に案内される(リブ20及びグロメット78の第3後貫通孔76側縁によって貫通カラー18及びグロメット78に対する傾斜を制限される)ことで、チューブ28が、第3メンバ72の第3後貫通孔76全周の内側壁72Bに干渉することなく、第3後貫通孔76に貫通される。
【0057】
これにより、第1メンバ12の第1前貫通孔14及び第1後貫通孔16に貫通されたチューブ28を第2メンバ22の第2前貫通孔24へ容易に貫通させることができると共に、第1前貫通孔14、第1後貫通孔16及び第2前貫通孔24に貫通されたチューブ28を第2メンバ22の第2後貫通孔26へ容易に貫通させることができる。さらに、第1前貫通孔14、第1後貫通孔16、第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26に貫通されたチューブ28を第3メンバ72の第3前貫通孔74へ容易に貫通させることができると共に、第1前貫通孔14、第1後貫通孔16、第2前貫通孔24、第2後貫通孔26及び第3前貫通孔74に貫通されたチューブ28を第3メンバ72の第3後貫通孔76へ容易に貫通させることができる。このため、チューブ28を容易に配策することができる。
【0058】
さらに、上述の如くチューブ28が第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22A、第2後貫通孔26全周の前側壁22B、第3メンバ72の第3前貫通孔74全周の外側壁72A及び第3後貫通孔76全周の内側壁72Bに干渉することがないのみならず、グロメット62が第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22Aを被覆すると共に、グロメット78が第3メンバ72の第3前貫通孔74全周の外側壁72Aを被覆している。このため、チューブ28を配策作業により傷付けることを防止できる。
【0059】
しかも、第2メンバ22の第2後貫通孔26周囲及び第3メンバ72の第3後貫通孔76周囲に、チューブ28の傷付きを防止する傷付防止部材(グロメット等)を組み付ける必要がない。このため、部品点数を低減することができる。さらに、第2メンバ22の第2後貫通孔26周囲及び第3メンバ72の第3後貫通孔76周囲に傷付防止部材を組み付ける作業を不要にできると共に、上述の如くチューブ28を容易に配策できるため、組付工数を低減できると共に、組付時間を短縮できる。
【0060】
なお、本実施の形態では、チューブ28を第1メンバ12、第2メンバ22及び第3メンバ72の3つの部材に貫通させた構成としたが、チューブ28を4つ以上の部材に貫通させた構成としてもよい。この場合、チューブ28が4番目以降に貫通される部材にも、第2メンバ22及び第3メンバ72と同様にグロメット62、78を設けることで、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0061】
また、上記第3の実施の形態及び第4の実施の形態において、上記第2の実施の形態と同様に、貫通カラー18の複数のリブ20に嵌合溝52を設けると共に、チューブ28に嵌合スプール54を設けて、嵌合溝52に嵌合スプール54を嵌合させることで、チューブ28を位置決めした構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る配管配策構造を示す上方から見た断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る配管配策構造を示す上方から見た断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る配管配策構造を示す上方から見た断面図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係る配管配策構造を示す上方から見た断面図である。
【符号の説明】
【0063】
10 配管配策構造
12 第1メンバ(構成部材)
18 貫通カラー(案内部材)
22 第2メンバ(構成部材)
28 チューブ(配管)
50 配管配策構造
52 嵌合溝(位置決め手段)
54 嵌合スプール(位置決め手段)
60 配管配策構造
62 グロメット(抑制部材)
70 配管配策構造
72 第3メンバ(構成部材)
78 グロメット(抑制部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管が複数の構成部材に貫通されて配策される配管配策構造に関する。
【背景技術】
【0002】
配管配策構造としては、ORVRホースがピックアップ(ピックアップトラック)の複数の構造部材(リヤホイールエプロン等)に貫通されて配策されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような配管配策構造では、ORVRホースを複数の構造部材に容易に貫通させて配策できることが望まれている。
【特許文献1】特開2003−182636公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、配管を容易に配策できる配管配策構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の配管配策構造は、車両を構成する複数の構成部材と、前記複数の構成部材に貫通されて配策される配管と、前記一方の構成部材に設けられ、前記一方の構成部材に貫通された前記配管の前記他方の構成部材への貫通を案内する案内部材と、を備えている。
【0006】
請求項2に記載の配管配策構造は、請求項1に記載の配管配策構造において、前記他方の構成部材に設けられ、前記一方の構成部材に貫通された前記配管の前記他方の構成部材への干渉を抑制する抑制部材を備えた、ことを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の配管配策構造は、請求項1又は請求項2に記載の配管配策構造において、前記構成部材に対して前記配管を貫通方向において位置決めする位置決め手段を備えた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の配管配策構造では、配管が、車両を構成する複数の構成部材に貫通されて、配策される。
【0009】
ここで、一方の構成部材に設けられた案内部材が、一方の構成部材に貫通された配管の他方の構成部材への貫通を案内する。このため、一方の構成部材に貫通された配管を他方の構成部材へ容易に貫通させることができ、配管を容易に配策することができる。
【0010】
請求項2に記載の配管配策構造では、他方の構成部材に設けられた抑制部材が、一方の構成部材に貫通された配管の他方の構成部材への干渉を抑制する。このため、一方の構成部材に貫通された配管を他方の構成部材へ一層容易に貫通させることができ、配管を一層容易に配策することができる。
【0011】
請求項3に記載の配管配策構造では、位置決め手段が構成部材に対して配管を貫通方向において位置決めする。このため、配管を容易に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
図1には、本発明の第1の実施の形態に係る配管配策構造10が上方から見た断面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方を矢印OUTで示す。
【0013】
本実施の形態に係る配管配策構造10は、構成部材としての金属製で矩形筒状の第1メンバ12(サイドメンバ)を備えており、第1メンバ12は、車体を構成して、車両前後方向に延在されている。
【0014】
第1メンバ12には、車幅方向外側の外側壁12Aにおいて、貫通孔としての円状の第1前貫通孔14が貫通形成されると共に、車幅方向内側の内側壁12Bにおいて、貫通孔としての円状の第1後貫通孔16が貫通形成されており、第1後貫通孔16は第1前貫通孔14に対して車両前側に配置されている。
【0015】
第1メンバ12には、案内部材としての樹脂製で略円錐台形筒状の貫通カラー18が取り付けられており、貫通カラー18は第1前貫通孔14と第1後貫通孔16との間に架け渡されている。貫通カラー18の内周面には、案内部としての三角形板状(台形板状でもよい)のリブ20が複数取り付けられており、複数のリブ20は、それぞれ貫通カラー18の軸方向に平行に配置されると共に、貫通カラー18の周方向に沿って等間隔に配置されている。また、複数のリブ20に貫通カラー18径方向内側おいて接する円は、中心が貫通カラー18の中心軸上に配置されると共に、径が貫通カラー18の軸方向に沿って一定にされている(以下、当該円の径を「貫通カラー18の内径R」という)。
【0016】
配管配策構造10は、構成部材としての金属製で矩形筒状の第2メンバ22(クロスメンバ)を備えており、第2メンバ22は、車体を構成して、第1メンバ12の車幅方向内側において車幅方向に延在されている。第2メンバ22の一端は、第1メンバ12の第1前貫通孔14及び第1後貫通孔16より車両前側部分に結合されており、これにより、第1メンバ12と第2メンバ22とがT字状に交差されている。
【0017】
第2メンバ22には、車両後側の後側壁22Aにおいて、貫通孔としての円状の第2前貫通孔24が貫通形成されると共に、車両前側の前側壁22Bにおいて、貫通孔としての円状の第2後貫通孔26が貫通形成されており、第2後貫通孔26は第2前貫通孔24に対して車幅方向内側に配置されている。
【0018】
第1メンバ12及び第2メンバ22には、配管としての金属製で円管状のチューブ28が貫通されて配策されており、チューブ28は、貫通カラー18に貫通された状態で、第1前貫通孔14、第1後貫通孔16、第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26にこの順番で貫通されている。
【0019】
貫通カラー18の内径Rは、チューブ28の外径Cに比し、α(例えば1mm)だけ大きくされており、チューブ28が貫通カラー18に対して何れの方向に傾斜されても、チューブ28が貫通カラー18の複数のリブ20に当接して貫通カラー18に対する傾斜を制限されることで、チューブ28が第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22A及び第2後貫通孔26全周の前側壁22Bに干渉しないようにされている。
【0020】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0021】
以上の構成の配管配策構造10では、チューブ28が、第1メンバ12に取り付けられた貫通カラー18に貫通されつつ、第1メンバ12の第1前貫通孔14、第1後貫通孔16、第2メンバ22の第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26にこの順番で貫通されることで、チューブ28が、第1メンバ12及び第2メンバ22に貫通されて、配策される。
【0022】
ここで、貫通カラー18の内径Rがチューブ28の外径Cに比しαだけ大きくされている。このため、チューブ28が配策される際に、チューブ28が貫通カラー18に貫通された状態では、チューブ28が貫通カラー18の複数のリブ20に案内される(複数のリブ20によって貫通カラー18に対する傾斜を制限される)ことで、チューブ28が、第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22A及び第2後貫通孔26全周の前側壁22Bに干渉することなく、第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26に貫通される。これにより、第1メンバ12の第1前貫通孔14及び第1後貫通孔16に貫通されたチューブ28を第2メンバ22の第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26へ容易に貫通させることができ、チューブ28を容易に配策することができる。
【0023】
さらに、上述の如く、チューブ28が第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22A及び第2後貫通孔26全周の前側壁22Bに干渉することがない。このため、チューブ28を配策作業により傷付けることを防止できる。
【0024】
しかも、第2メンバ22に、第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26の周囲において、チューブ28の傷付きを防止する傷付防止部材(グロメット等)を組み付ける必要がない。このため、部品点数を低減することができる。さらに、第2メンバ22の第2前貫通孔24周囲及び第2後貫通孔26周囲に傷付防止部材を組み付ける作業を不要にできると共に、上述の如くチューブ28を容易に配策できるため、組付工数を低減できると共に、組付時間を短縮できる。
【0025】
[第2の実施の形態]
図2には、本発明の第2の実施の形態に係る配管配策構造50が上方から見た断面図にて示されている。
【0026】
本実施の形態に係る配管配策構造50は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0027】
本実施の形態に係る配管配策構造50では、貫通カラー18の複数のリブ20に、第1前貫通孔14側端において、位置決め手段を構成する嵌合溝52が形成されており、嵌合溝52は貫通カラー18の第1前貫通孔14側及び径方向内側に開放されている。
【0028】
チューブ28の外周には、位置決め手段を構成する円環状の嵌合スプール54が一体に設けられており、嵌合スプール54が複数のリブ20の嵌合溝52に嵌合されることで、チューブ28が、第1メンバ12から第2メンバ22へ向かう方向への移動を阻止されて、位置決めされている。
【0029】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0030】
さらに、貫通カラー18の複数のリブ20の嵌合溝52にチューブ28の嵌合スプール54が嵌合されることで、チューブ28が、第1メンバ12から第2メンバ22へ向かう方向への移動を阻止されて、位置決めされている。このため、チューブ28を容易に固定することができる。
【0031】
[第3の実施の形態]
図3には、本発明の第3の実施の形態に係る配管配策構造60が上方から見た断面図にて示されている。
【0032】
本実施の形態に係る配管配策構造60は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0033】
本実施の形態に係る配管配策構造60では、第2メンバ22の後側壁22Aに、抑制部材としての樹脂製またはゴム製で略円錐台形筒状のグロメット62が取り付けられており、グロメット62は、第2メンバ22後側壁22Aの第2前貫通孔24の全周を被覆すると共に、第2メンバ22前側壁22Bの第2後貫通孔26に向かうに従い徐々に径を小さくされている。
【0034】
チューブ28の外周には、径大部としての円環状のスプール64が一体に設けられており、スプール64は、外径S(最大外径)がチューブ28の外径Cに比し大きくされると共に、第2メンバ22の第2後貫通孔26に対して反第2前貫通孔24側のチューブ28に配置されている。
【0035】
貫通カラー18の内径Rは、スプール64の外径Sに比し、α(例えば1mm)だけ大きくされており、チューブ28が貫通カラー18のみに貫通された際に、チューブ28が貫通カラー18に対して何れの方向に傾斜されても、チューブ28が貫通カラー18の複数のリブ20に当接して貫通カラー18に対する傾斜を制限されることで、チューブ28がグロメット62の第2前貫通孔24側縁(反第2後貫通孔26側縁)内に配置されるようにされている。
【0036】
グロメット62の第2後貫通孔26側縁(反第2前貫通孔24側縁)の内径G(最小内径)は、スプール64の外径Sに比し、α(例えば1mm)だけ大きくされており、チューブ28が貫通カラー18及びグロメット62に対して何れの方向に傾斜されても、チューブ28が貫通カラー18のリブ20及びグロメット62の第2後貫通孔26側縁に当接して貫通カラー18及びグロメット62に対する傾斜を制限されることで、チューブ28が第2メンバ22の第2後貫通孔26周囲の前側壁22Bに干渉しないようにされている。
【0037】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0038】
以上の構成の配管配策構造60では、チューブ28が、第1メンバ12に取り付けられた貫通カラー18及び第2メンバ22に取り付けられたグロメット62に貫通されつつ、第1メンバ12の第1前貫通孔14、第1後貫通孔16、第2メンバ22の第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26にこの順番で貫通されることで、チューブ28が、第1メンバ12及び第2メンバ22に貫通されて、配策される。
【0039】
ここで、貫通カラー18の内径Rがスプール64の外径Sに比しαだけ大きくされている。このため、チューブ28が配策される際に、チューブ28が貫通カラー18に貫通された状態では、チューブ28が貫通カラー18の複数のリブ20に案内される(複数のリブ20によって貫通カラー18に対する傾斜を制限される)ことで、チューブ28が、第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22Aに干渉することなく、第2前貫通孔24(グロメット62)に貫通される。
【0040】
さらに、グロメット62の第2後貫通孔26側縁の内径Gがスプール64の外径Sに比しαだけ大きくされている。このため、チューブ28が配策される際に、チューブ28が貫通カラー18及びグロメット62に貫通された状態では、チューブ28が貫通カラー18のリブ20及びグロメット62の第2後貫通孔26側縁に案内される(リブ20及びグロメット62の第2後貫通孔26側縁によって貫通カラー18及びグロメット62に対する傾斜を制限される)ことで、チューブ28が、第2メンバ22の第2後貫通孔26全周の前側壁22Bに干渉することなく、第2後貫通孔26に貫通される。
【0041】
これにより、第1メンバ12の第1前貫通孔14及び第1後貫通孔16に貫通されたチューブ28を第2メンバ22の第2前貫通孔24へ容易に貫通させることができると共に、第1前貫通孔14、第1後貫通孔16及び第2前貫通孔24に貫通されたチューブ28を第2メンバ22の第2後貫通孔26へ容易に貫通させることができ、チューブ28を容易に配策することができる。
【0042】
さらに、上述の如くチューブ28が第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22A及び第2後貫通孔26全周の前側壁22Bに干渉することがないのみならず、グロメット62が第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22Aを被覆している。このため、チューブ28を配策作業により傷付けることを防止できる。
【0043】
しかも、第2メンバ22に、第2後貫通孔26の周囲において、チューブ28の傷付きを防止する傷付防止部材(グロメット等)を組み付ける必要がない。このため、部品点数を低減することができる。さらに、第2メンバ22の第2後貫通孔26周囲に傷付防止部材を組み付ける作業を不要にできると共に、上述の如くチューブ28を容易に配策できるため、組付工数を低減できると共に、組付時間を短縮できる。
【0044】
[第4の実施の形態]
図4には、本発明の第4の実施の形態に係る配管配策構造70が上方から見た断面図にて示されている。
【0045】
本実施の形態に係る配管配策構造70は、上記第3の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0046】
本実施の形態に係る配管配策構造70は、構成部材としての金属製で矩形筒状の第3メンバ72(サイドメンバ)を備えており、第3メンバ72は、車体を構成して、第1メンバ12の車幅方向内側及び第2メンバ22の車両前側において車両前後方向に延在されている。第3メンバ72の車両後側端は、第2メンバ22の第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26より車幅方向内側部分に結合されており、これにより、第2メンバ22と第3メンバ72とがT字状に交差されている。
【0047】
第3メンバ72には、車幅方向外側の外側壁72Aにおいて、貫通孔としての円状の第3前貫通孔74が貫通形成されると共に、車幅方向内側の内側壁72Bにおいて、貫通孔としての円状の第3後貫通孔76が貫通形成されており、第3後貫通孔76は第3前貫通孔74に対して車両前側に配置されている。
【0048】
第3メンバ72の外側壁72Aには、抑制部材としての樹脂製またはゴム製で略円錐台形筒状のグロメット78が取り付けられており、グロメット78は、第3メンバ72外側壁72Aの第3前貫通孔74の全周を被覆すると共に、第3メンバ72内側壁72Bの第3後貫通孔76に向かうに従い徐々に径を小さくされている。
【0049】
チューブ28は、第1メンバ12、第2メンバ22及び第3メンバ72に貫通されて、配策されており、チューブ28は、貫通カラー18、グロメット62及びグロメット78に貫通された状態で、第1前貫通孔14、第1後貫通孔16、第2前貫通孔24、第2後貫通孔26、第3前貫通孔74及び第3後貫通孔76にこの順番で貫通されている。また、スプール64は、第3メンバ72の第3後貫通孔76に対して反第3前貫通孔74側のチューブ28に配置されている。
【0050】
貫通カラー18の内径Rは、スプール64の外径Sに比し、α(例えば1mm)だけ大きくされると共に、グロメット62の第2後貫通孔26側縁(反第2前貫通孔24側縁)の内径G(最小内径)は、スプール64の外径Sに比し、α(例えば1mm)だけ大きくされており、チューブ28が貫通カラー18及びグロメット62のみに貫通された際には、チューブ28が貫通カラー18及びグロメット62に対して何れの方向に傾斜されても、チューブ28が貫通カラー18のリブ20及びグロメット62の第2後貫通孔26側縁に当接して貫通カラー18及びグロメット62に対する傾斜を制限されることで、チューブ28がグロメット78の第3前貫通孔74側縁(反第3後貫通孔76側縁)内に配置されるようにされている。
【0051】
グロメット78の第3後貫通孔76側縁(反第3前貫通孔74側縁)の内径T(最小内径)は、スプール64の外径Sに比し、α(例えば1mm)だけ大きくされており、チューブ28が貫通カラー18及びグロメット78に対して何れの方向に傾斜されても、チューブ28が貫通カラー18のリブ20及びグロメット78の第3後貫通孔76側縁に当接して貫通カラー18及びグロメット78に対する傾斜を制限されることで、チューブ28が第3メンバ72の第3後貫通孔76周囲の内側壁72Bに干渉しないようにされている。
【0052】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0053】
以上の構成の配管配策構造70では、チューブ28が、第1メンバ12に取り付けられた貫通カラー18、第2メンバ22に取り付けられたグロメット62及び第3メンバ72に取り付けられたグロメット78に貫通されつつ、第1メンバ12の第1前貫通孔14、第1後貫通孔16、第2メンバ22の第2前貫通孔24、第2後貫通孔26、第3メンバ72の第3前貫通孔74及び第3後貫通孔76にこの順番で貫通されることで、チューブ28が、第1メンバ12、第2メンバ22及び第3メンバ72に貫通されて、配策される。
【0054】
ここで、貫通カラー18の内径Rがスプール64の外径Sに比しαだけ大きくされている。このため、チューブ28が配策される際に、チューブ28が貫通カラー18に貫通された状態では、チューブ28が貫通カラー18の複数のリブ20に案内される(複数のリブ20によって貫通カラー18に対する傾斜を制限される)ことで、チューブ28が、第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22Aに干渉することなく、第2前貫通孔24(グロメット62)に貫通される。
【0055】
さらに、グロメット62の第2後貫通孔26側縁の内径Gがスプール64の外径Sに比しαだけ大きくされている。このため、チューブ28が配策される際に、チューブ28が貫通カラー18及びグロメット62に貫通された状態では、チューブ28が貫通カラー18のリブ20及びグロメット62の第2後貫通孔26側縁に案内される(リブ20及びグロメット62の第2後貫通孔26側縁によって貫通カラー18及びグロメット62に対する傾斜を制限される)ことで、チューブ28が、第2メンバ22の第2後貫通孔26全周の前側壁22B及び第3メンバ72の第3前貫通孔74全周の外側壁72Aに干渉することなく、第2後貫通孔26及び第3前貫通孔74(グロメット78)に貫通される。
【0056】
しかも、グロメット78の第3後貫通孔76側縁の内径Tがスプール64の外径Sに比しαだけ大きくされている。このため、チューブ28が配策される際に、チューブ28が貫通カラー18、グロメット62及びグロメット78に貫通された状態では、チューブ28が貫通カラー18のリブ20及びグロメット78の第3後貫通孔76側縁に案内される(リブ20及びグロメット78の第3後貫通孔76側縁によって貫通カラー18及びグロメット78に対する傾斜を制限される)ことで、チューブ28が、第3メンバ72の第3後貫通孔76全周の内側壁72Bに干渉することなく、第3後貫通孔76に貫通される。
【0057】
これにより、第1メンバ12の第1前貫通孔14及び第1後貫通孔16に貫通されたチューブ28を第2メンバ22の第2前貫通孔24へ容易に貫通させることができると共に、第1前貫通孔14、第1後貫通孔16及び第2前貫通孔24に貫通されたチューブ28を第2メンバ22の第2後貫通孔26へ容易に貫通させることができる。さらに、第1前貫通孔14、第1後貫通孔16、第2前貫通孔24及び第2後貫通孔26に貫通されたチューブ28を第3メンバ72の第3前貫通孔74へ容易に貫通させることができると共に、第1前貫通孔14、第1後貫通孔16、第2前貫通孔24、第2後貫通孔26及び第3前貫通孔74に貫通されたチューブ28を第3メンバ72の第3後貫通孔76へ容易に貫通させることができる。このため、チューブ28を容易に配策することができる。
【0058】
さらに、上述の如くチューブ28が第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22A、第2後貫通孔26全周の前側壁22B、第3メンバ72の第3前貫通孔74全周の外側壁72A及び第3後貫通孔76全周の内側壁72Bに干渉することがないのみならず、グロメット62が第2メンバ22の第2前貫通孔24全周の後側壁22Aを被覆すると共に、グロメット78が第3メンバ72の第3前貫通孔74全周の外側壁72Aを被覆している。このため、チューブ28を配策作業により傷付けることを防止できる。
【0059】
しかも、第2メンバ22の第2後貫通孔26周囲及び第3メンバ72の第3後貫通孔76周囲に、チューブ28の傷付きを防止する傷付防止部材(グロメット等)を組み付ける必要がない。このため、部品点数を低減することができる。さらに、第2メンバ22の第2後貫通孔26周囲及び第3メンバ72の第3後貫通孔76周囲に傷付防止部材を組み付ける作業を不要にできると共に、上述の如くチューブ28を容易に配策できるため、組付工数を低減できると共に、組付時間を短縮できる。
【0060】
なお、本実施の形態では、チューブ28を第1メンバ12、第2メンバ22及び第3メンバ72の3つの部材に貫通させた構成としたが、チューブ28を4つ以上の部材に貫通させた構成としてもよい。この場合、チューブ28が4番目以降に貫通される部材にも、第2メンバ22及び第3メンバ72と同様にグロメット62、78を設けることで、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0061】
また、上記第3の実施の形態及び第4の実施の形態において、上記第2の実施の形態と同様に、貫通カラー18の複数のリブ20に嵌合溝52を設けると共に、チューブ28に嵌合スプール54を設けて、嵌合溝52に嵌合スプール54を嵌合させることで、チューブ28を位置決めした構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る配管配策構造を示す上方から見た断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る配管配策構造を示す上方から見た断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る配管配策構造を示す上方から見た断面図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係る配管配策構造を示す上方から見た断面図である。
【符号の説明】
【0063】
10 配管配策構造
12 第1メンバ(構成部材)
18 貫通カラー(案内部材)
22 第2メンバ(構成部材)
28 チューブ(配管)
50 配管配策構造
52 嵌合溝(位置決め手段)
54 嵌合スプール(位置決め手段)
60 配管配策構造
62 グロメット(抑制部材)
70 配管配策構造
72 第3メンバ(構成部材)
78 グロメット(抑制部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を構成する複数の構成部材と、
前記複数の構成部材に貫通されて配策される配管と、
前記一方の構成部材に設けられ、前記一方の構成部材に貫通された前記配管の前記他方の構成部材への貫通を案内する案内部材と、
を備えた配管配策構造。
【請求項2】
前記他方の構成部材に設けられ、前記一方の構成部材に貫通された前記配管の前記他方の構成部材への干渉を抑制する抑制部材を備えた、ことを特徴とする請求項1記載の配管配策構造。
【請求項3】
前記構成部材に対して前記配管を貫通方向において位置決めする位置決め手段を備えた、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の配管配策構造。
【請求項1】
車両を構成する複数の構成部材と、
前記複数の構成部材に貫通されて配策される配管と、
前記一方の構成部材に設けられ、前記一方の構成部材に貫通された前記配管の前記他方の構成部材への貫通を案内する案内部材と、
を備えた配管配策構造。
【請求項2】
前記他方の構成部材に設けられ、前記一方の構成部材に貫通された前記配管の前記他方の構成部材への干渉を抑制する抑制部材を備えた、ことを特徴とする請求項1記載の配管配策構造。
【請求項3】
前記構成部材に対して前記配管を貫通方向において位置決めする位置決め手段を備えた、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の配管配策構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2007−186000(P2007−186000A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−3758(P2006−3758)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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