説明

配線の形成方法

【課題】プロセスの自由度が大きい配線の形成方法を提供する。
【解決手段】配線層25上に絶縁層31を形成する工程と、絶縁層31上に第1マスク層32と第2マスク層33とを形成する工程と、第2マスク層33上にレジスト層42を形成する工程と、レジスト層42をパターニングする工程と、レジスト層42をマスクとして第2マスク層33をパターニングする工程と、レジスト層42及び第2マスク層33をマスクとして第1マスク層32を途中までエッチングする工程と、レジスト層42を取り除く工程と、第2マスク層32をマスクとして第1マスク層32の残りをエッチングして第1マスク層32をパターニングする工程と、パターニングされた第1マスク層33をマスクとして絶縁層31をエッチングして配線溝36を形成する工程と、配線溝36に導電体37を埋め込んで、配線層25に接続する埋め込み配線層38を形成する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線の形成方法に関し、特にダマシン法を用いた配線の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置における素子の集積密度を向上するために、加工技術の微細化が図られている。そして、半導体素子の微細化に伴って、素子同士を接続する配線構造の微細化も行なわれている。
【0003】
また、半導体装置に対しては、集積密度の向上と共に、低消費電力化及び高速化等が要求されており、配線間絶縁層の低誘電率化が必要となっている。
【0004】
このような要求に応える配線構造を形成する手法として、低誘電率材料により形成された溝に導電体を埋め込み、余分な導電体を化学機械研磨して埋め込み配線を形成するダマシン法が広く利用されている。特に、ビアと埋め込み配線とを一緒に形成するデュアルダマシン法が、製造工程を簡素化する観点から注目されている。
【0005】
図1〜図3に、デュアルダマシン法を用いて配線を形成する従来の製造工程の一例を示す。
【0006】
まず、図1(A)に示すように、絶縁層122及びシリコン炭化物層123が積層して形成された層内に配置された配線層125上に、バリア層124と、第1絶縁層130と、第2絶縁層131とが積層して形成される。配線層125は、下層の半導体装置(図示せず)と接続されている。更に、第2絶縁層131上に、第1ハードマスク層132がシリコン酸化物を用いて形成され、この第1ハードマスク層132上に、第2ハードマスク層133がシリコン窒化物を用いて更に形成される。
【0007】
続いて、第2ハードマスク層133と、第1ハードマスク層132と、第2絶縁層131と、第1絶縁層130とを貫通するビア孔135が、配線層125の上の領域に形成される。
【0008】
次に、図1(B)に示すように、第1レジスト層140が、ビア孔135内に埋め込まれると共に第2ハードマスク層133上に形成される。
【0009】
次に、図1(C)に示すように、第2ハードマスク層133が露出するまで、第1レジスト層140のエッチバックを行なって、第1レジスト層140の表面が、第2ハードマスク層133の表面と一致するように平坦化される。
【0010】
次に、図2(D)に示すように、第2ハードマスク層133上に、BARC(Bottom Anti Reflective Coating)層141及び第2レジスト層142が形成される。続いて、ビア孔135の位置に合わせて配線溝形成用の開口部150が、パターニングによって第2レジスト層142に形成される。
【0011】
次に、図2(E)に示すように、パターニングされた第2レジスト層142をマスクとして、BARC層141及び第2ハードマスク層133が、第1マスク層132が露出するまでエッチングされて、第2ハードマスク層133がパターニングされる。
【0012】
次に、図2(F)に示すように、第2レジスト層142と、BARC層141と、ビア孔135内に埋め込まれている第1レジスト層140とが、アッシングにより取り除かれる。
【0013】
次に、図3(G)に示すように、パターニングされた第2ハードマスク層133をマスクとして、第1ハードマスク層132がエッチングされて、第1ハードマスク層132がパターニングされる。
【0014】
次に、図3(H)に示すように、第2ハードマスク層133及び第1ハードマスク層132をマスクとして、第1絶縁層130が露出するまで第2絶縁層131がエッチングされて、第2絶縁層131に配線溝136が形成される。このエッチングでは、第2ハードマスク層133が取り除かれると共に、第1ハードマスク層132もエッチングにより厚さが減少する。また、このエッチングによって、ビア孔135内に露出しているバリア層124の部分が取り除かれて、配線層125がビア孔135内に露出する。
【0015】
最後に、図3(I)に示すように、ビア孔135及び配線溝136内に導電体137が埋め込まれて、第2絶縁層131内に埋め込み配線層138が形成される。
【0016】
続いて、デュアルダマシン法を用いて配線を形成する従来の製造工程の他の例を、図4に示す。
【0017】
まず、上述したのと同様の処理が行われて、図2(E)に示す構造が形成される。
【0018】
次に、図4(A)に示すように、第1レジスト層140及び第2レジスト層142をアッシングして除去することなく、第2レジスト層142をマスクとして、第1ハードマスク層132がエッチングされて、第1ハードマスク層132にパターンが形成される。
【0019】
次に、図4(B)に示すように、第1レジスト層140と、第2レジスト層142と、BARC層141とが、アッシングにより取り除かれた後、図3(G)〜(I)に示すのと同様の工程によって、配線が形成される。
【0020】
上述した図1〜図3に示す配線の形成方法では、図3(G)に示す工程において、第1ハードマスク層132がエッチングされる際に、マスクである第2ハードマスク層133がエッチングによって取り除かれないようにしなくてはならない。そのためには、エッチングガスとして、第1ハードマスク層132のエッチング速度が、第2ハードマスク層133のエッチング速度よりも大きなガスが用いられる必要がある。このように、エッチングガスには、第2ハードマスク層133よりも第1ハードマスク層132に対するエッチング速度が高いというエッチング選択性が求められるので、使用できるエッチングガスの種類が限られる。このため、プロセスの自由度が制約される。
【0021】
一方、図4に示す配線の形成方法では、第2ハードマスク層133上に第2レジスト142を残存させた状態で、第1ハードマスク層132をエッチングするため、第2ハードマスク133がエッチングされることを防止できる。しかし、第1レジスト140を残存させた状態で第1ハードマスクのエッチングを行うことになり、第1レジスト140の側壁にエッチングの副生成物を含む堆積物が発生し、図4(A)及び(B)に示すように、第1レジストを除去した際にフェンス160として残存する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2001−77196号公報
【特許文献2】特開2002−222860号公報
【特許文献3】特許第3757213号公報
【特許文献4】特開2008−47582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
第1ハードマスクのパターニング工程において第2ハードマスクが除去されず、また第1ハードマスクのパターニング後に、エッチング副生成物を含むフェンスが形成されることを防止することができる製造フローが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題を解決するために、本明細書で開示する配線の形成方法の一形態によれば、まず、上記絶縁層上に第1マスク層を形成し、上記第1マスク層上に第2マスク層を形成する。次に、上記第2マスク層と、上記第1マスク層と、上記絶縁層とを貫通するビア孔を形成する。次に、上記ビア孔内部に第1レジスト層を形成する。次に、上記第2マスク層上及び上記第1レジスト層上に第2レジスト層を形成する。次に、上記第2レジスト層を配線パターンにパターニングし、パターニングされた上記第2レジスト層をマスクとして上記第2マスク層をエッチングする。次に、上記第2レジスト層及び上記第2マスク層をマスクとして上記第1マスク層を途中の深さまでエッチングする。次に、上記第1レジスト層及び上記第2レジスト層を除去する。次に、上記第2マスク層をマスクとして上記第1マスク層の残りの部分をエッチングする。次に、上記第1マスク層をマスクとして、上記絶縁層をエッチングして配線溝を形成する。次に、上記ビア孔及び上記配線溝内に導電体を埋め込んで、上記導電層に接続する埋め込み配線層を形成する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、第1マスク層のパターニング工程において第2マスク層が除去されることがない。また、第1マスク層のパターニング後に、エッチング副生成物を含むフェンスが形成されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(A)〜(C)は、従来の例による配線の形成方法を説明する図である。
【図2】(D)〜(F)は、従来の例による配線の形成方法を説明する図1に続く工程を示す図である。
【図3】(G)〜(I)は、従来の例による配線の形成方法を説明する図2に続く工程を示す図である。
【図4】(A)及び(B)は、従来の他の例による配線の形成方法を説明する図である。
【図5】本明細書に開示する配線の形成方法の第1実施形態を用いて製造された半導体装置の構成を示す図である。
【図6】(A)〜(C)は、本明細書に開示する配線の形成方法の第1実施形態による製造工程を示す図である。
【図7】(D)〜(F)は、本明細書に開示する配線の形成方法の第1実施形態による製造工程の図6に続く工程を示す図である。
【図8】(G)〜(I)は、本明細書に開示する配線の形成方法の第1実施形態による製造工程の図7に続く工程を示す図である。
【図9】(J)〜(L)は、本明細書に開示する配線の形成方法の第1実施形態による製造工程の図8に続く工程を示す図である。
【図10】(M)及び(N)は、本明細書に開示する配線の形成方法の第1実施形態による製造工程の図9に続く工程を示す図である。
【図11】SiO2/SiNエッチング選択性とCO混入流量との関係を示す図である。
【図12】本明細書に開示する配線の形成方法の第2実施形態を用いて製造された半導体装置の構成を示す図である。
【図13】(A)〜(C)は、本明細書に開示する配線の形成方法の第2実施形態による製造工程を示す図である。
【図14】(D)〜(F)は、本明細書に開示する配線の形成方法の第2実施形態による製造工程の図13に続く工程を示す図である。
【図15】(G)〜(I)は、本明細書に開示する配線の形成方法の第2実施形態による製造工程の図14に続く工程を示す図である。
【図16】(J)〜(L)は、本明細書に開示する配線の形成方法の第2実施形態による製造工程の図15に続く工程を示す図である。
【図17】(M)〜(O)は、本明細書に開示する配線の形成方法の第2実施形態による製造工程の図16に続く工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本明細書で開示する配線の形成方法の好ましい実施形態を、図を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【0028】
図5は、本明細書で開示する配線の形成方法の第1実施形態を用いて形成された半導体装置の構成の一例を示す図である。
【0029】
図5に示すように、単結晶シリコン基板11上には、STI(Shallow Trench Isolation)型の素子分離構造11Iで画成されたn型のウェルである素子領域11Aが形成されている。そして、pチャネルMOSトランジスタ10が、この素子領域11A内に形成される。
【0030】
シリコン基板11上には素子領域11A中のチャネル領域に対応してゲート絶縁膜12が形成される。ゲート絶縁膜12は、例えば、シリコン酸化膜あるいはシリコン酸窒化膜により形成される。
【0031】
また、ゲート絶縁膜12上にはp型にドープされた多結晶シリコンのゲート電極13が形成される。ゲート電極13の両側壁上には、側壁絶縁膜13A,13Bが形成される。
【0032】
シリコン基板11中には側壁絶縁膜13A,13Bのそれぞれ外側に、p型ソース/ドレイン領域11S,11Dが形成される。
【0033】
また、図5に示すように、pチャネルMOSトランジスタ10は、ゲート電極13下方の両側の領域にp型のソースエクステンション領域11a及びドレインエクステンション領域11bが形成される。
【0034】
p型ソースエクステンション領域11aは、ゲート電極13の下方からp型ソース領域11Sに向かって延出し、p型ソース領域11Sに接続している。同様に、ドレインエクステンション領域11bは、ゲート電極13の下方からp型ドレイン領域11Dに向かって延出し、p型ドレイン領域11Dに接続している。
【0035】
また、図5に示すように、p型ソース/ドレイン領域11S,11D上にはシリサイド層16A,16Bがそれぞれ形成される。また同様のシリサイド層16Cが、ゲート電極13上にも形成される。
【0036】
また、シリコン基板11の上には、第1絶縁層20がトランジスタ10を埋め込むように形成される。第1絶縁層20の上には、導電層である第1配線層25が形成される。この第1配線層25は、第2絶縁層22の中に配置される。
【0037】
トランジスタ10のシリサイド層16A,16Bと第1配線層25とを接続するタングステンプラグ(Wプラグ)21が、第1絶縁層20の中に配置される。
【0038】
第2絶縁層22の上には、シリコン炭化物層23が形成される。このシリコン炭化物層23の上には、第1バリア層24として例えばシリコン炭化物層が形成される。
【0039】
そして、第1バリア層24の上には第3絶縁層30が形成されており、この第3絶縁層30の上には第4絶縁層31が形成されており、この第4絶縁層31の上には第1ハードマスク層32が形成される。
【0040】
ビア孔35が、第3絶縁層30及び第1バリア層24を貫通して形成される。また、配線溝36が、第4絶縁層31及び第1ハードマスク層32内にビア孔35の位置に合わせて形成される。これらの配線溝36及びビア孔35内に導電体37が埋め込まれて、第4絶縁層31内に第2配線層としての埋め込み配線層38が形成される。
【0041】
第3絶縁層30及び第4絶縁層31は、誘電率が低いLow−k材料により形成される。埋め込み配線層38が形成されている第4絶縁層31は、図示しない隣接する配線との間の静電容量を低減する観点から、特に誘電率の低い材料を用いて形成されることが好ましい。本実施形態では、第3絶縁層30及び第4絶縁層31は無機材料を用いて形成される。第4絶縁層31としてはポーラスシリカ等、第3絶縁層の誘電率よりも低い誘電率の材料を用いることが好ましい。
【0042】
第1ハードマスク層32は、第4絶縁層31内に配線溝36を形成するためのマスクとして用いられた層であるが、埋め込み配線層38の電気的特性を良好にする観点から、第4絶縁層31の上に所定の厚さを有した状態で残されている。尚、この第1ハードマスク層32は、埋め込み配線層38の電気的特性に影響がなければ、取り除かれていても良い。
【0043】
第1配線層25は、ビア孔35内の導電体37と接続する。トランジスタ10のp型ドレイン領域11Dと埋め込み配線層38とは、Wプラグ21、第1配線層25及びビア孔35内の導電体37を介して接続する。
【0044】
第1ハードマスク層32の上には、第2バリア層34が形成される。この第2バリア層34の上には、必要に応じて、更に別の配線層等を形成しても良い。
【0045】
次に、図5に示した配線構造を有する半導体装置に関して、本明細書に開示する配線の形成方法の第1実施形態を、図6〜図11を参照して以下に説明する。
【0046】
まず、図6(A)に示すように、シリコン基板11上にトランジスタ10を備えた構造が形成される。図6(A)に示す構造は、更に、第1絶縁層20と、Wプラグ21と、第2絶縁層22と、シリコン炭化物層23と、第1配線層25とを有している。以下、図中の四角い枠で囲んだ部分において配線が形成される工程について説明する。
【0047】
次に、図6(B)に示すように、導電層である第1配線層25上に、第1バリア層24と、第3絶縁層30と、第4絶縁層31とが、プラズマCVD法により順番に積層して形成される。続いて、第4絶縁層31上に第1ハードマスク層32がプラズマCVD法により形成され、更に、この第1ハードマスク層32上に第2ハードマスク層33がプラズマCVD法により形成される。
【0048】
第3絶縁層30及び第4絶縁層31は、Low−k材料を用いて形成されることが好ましい。具体的には、Low−k材料としてシリコン酸炭化物(SiOC)やポーラスシリカ等を用いることができる。第4絶縁層31の形成材料としては、第3絶縁層30の形成材料よりも誘電率の低い材料が用いられることが好ましい。
【0049】
第1ハードマスク層32の形成材料は、樹脂からなるレジスト材に対するエッチング処理によってはエッチングされない材質であるが、第4絶縁層31をパターニングする際のマスクとして機能する材質であることが好ましい。また、第1ハードマスク層32の形成材料は、化学機械研磨法によって容易に研磨し得る材質であることが好ましい。
【0050】
また、第2ハードマスク層33の形成材料は、樹脂からなるレジスト材のエッチング処理によってはエッチングされない材質であるが、第1ハードマスク層32をパターニングする際のマスクとしては機能できる材質であることが好ましい。
【0051】
更に、第1ハードマスク層32が、第2ハードマスク層33をマスクとして、エッチングされる際には、第2ハードマスク層33のエッチング速度よりも第1ハードマスク層32のエッチング速度が高いことが好ましい。これは、第1ハードマスク層32がエッチングされてパターニングされた状態においても、第1ハードマスク層32上に第2ハードマスク層33が所定の厚さを有して残されていることが、形状精度の高い配線溝を第4絶縁層31に形成するために必要であるからである。以下、本明細書において、第1ハードマスク層32のエッチング速度/第2ハードマスク層33のエッチング速度の比の値をエッチング選択性として定義する。エッチング選択性が高いとは、第1ハードマスク層32のエッチング速度が、第2ハードマスク層33のエッチング速度よりも大きいことを意味する。また、エッチング選択性が低いとは、第1ハードマスク層32のエッチング速度が、第2ハードマスク層33のエッチング速度と同等か、又は小さいことを意味する。
【0052】
このような観点から、CF4を含むガスを用いる場合には、第1ハードマスク層32がシリコン酸化物(SiO2)を用いて形成され、第2ハードマスク層33がシリコン窒化物(SiN)又はシリコン炭化物(SiC)を用いて形成されることが好ましい。
【0053】
上述した各層の厚さとしては、例えば、第1バリア層24の厚さを30nmとし、第3絶縁層30の厚さと第4絶縁層31の厚さLとを合わせた厚さを250nmとすることができる。第3絶縁層30と第4絶縁層31との厚さの割合は、必要とされる配線溝の深さによって適宜調整される。第1ハードマスク層32及び第2ハードマスク層33の厚さに関しては、後述する。
【0054】
次に、図6(C)に示すように、エッチングを用いて、第2ハードマスク層33と、第1ハードマスク層32と、第2絶縁層31と、第1絶縁層30とを貫通するビア孔35が、第1配線層25の上の領域に形成される。ビア孔35の底には、第1バリア層24が露出する。
【0055】
次に、図7(D)に示すように、第1レジスト層40が、ビア孔35内に埋め込まれると共に第2ハードマスク層33上に形成される。
【0056】
次に、図7(E)に示すように、第2ハードマスク層33が露出するまで、第1レジスト層40のエッチバックを行なう。
【0057】
次に、図7(F)に示すように、第2ハードマスク層33上に、BARC層41及び第2レジスト層42が形成される。続いて、ビア孔35の位置に合わせて第2レジスト層42がパターニングされて、配線溝形成用の開口部50が第2レジスト層42に形成される。パターニングされた第2レジスト層42は、埋め込み配線層38の配線パターンを有する。
【0058】
次に、図8(G)に示すように、パターニングされた第2レジスト層42をマスクとして、BARC層41がエッチングされる。BARC層41は、例えば、CF4を含むガスを用いてプラズマエッチングされる。
【0059】
続いて、パターニングされた第2レジスト層42及びBARC層41をマスクとして、第2ハードマスク層33が、第1ハードマスク層32が露出するまでエッチングされて、第2ハードマスク層33がパターニングされる。第2ハードマスク層33は、例えば、CH22/O2/Arを含むガスを用いてプラズマエッチングされる。この時、ビア孔35内に埋め込まれた第1レジスト層40の一部も除去される。
【0060】
次に、図8(H)に示すように、パターニングされた第2レジスト層42と、BARC層41と、第2ハードマスク層33とをマスクとして、第1ハードマスク層32が途中の深さまでエッチングされる。第1ハードマスク層32は、例えば、CF4を含むガスを用いて、第1ハードマスク層32の途中の深さまでプラズマエッチングされる。図8(H)に示す例では、第1ハードマスク層32は、開口部50に露出している部分が、その厚さがt2になるまでエッチングされる。
【0061】
第2ハードマスク層33は、第2レジスト層42及びBARC層41に覆われているので、第1ハードマスク層32が途中の深さまでエッチングされる際には、厚さは減少しない。そのため、第2ハードマスク層33の厚さは、図6(B)の工程において形成された厚さt1のままである。
【0062】
また、第1ハードマスク層32は、CF4と共に、C46、C48、CHF3、CH22、H2、N2、O2及びArの内の少なくとも1つのガスを用いてプラズマエッチングされることが、パターン形状の精度を高める上で好ましい。
【0063】
具体的には、図8(H)に示す工程では、ガス流量として、CF4を3.38×10-2Pa・m3/秒(200sccm)、CHF3を8.45×10-3〜1.69×10-2Pa・m3/秒(50〜100sccm)用いることができる。また、このプラズマエッチングでは、プロセス圧力として3.99〜13.3Pa(30〜100mTorr)を用いることができる。更に、このプラズマエッチングでは、例えば500Wの電力を用いてプラズマが発生される。
【0064】
図8(H)に示す工程において、第1ハードマスク層32は、開口部50に露出している部分の厚さt2が30〜60nmの範囲になるまで、エッチングされることが好ましい。下層である第4絶縁層31がエッチング又はアッシングによる損傷を受けることを防止する上で、厚さt2は30nm以上であることが好ましい。一方、後の工程において、第1ハードマスク層32の残りの部分をエッチングにより取り除く観点から、厚さt2は60nm以下であることが好ましい。
【0065】
また、図8(H)に示す工程において、厚さt2を30〜60nmの範囲にすることと関係して、図6(B)の工程において第2ハードマスク層33が形成される厚さt1は、23〜90nmの範囲であることが好ましい。この理由については、後述する。
【0066】
図8(H)に示す工程では、第1ハードマスク層32が途中の深さまでしかエッチングされないので、図8(H)に示すように、開口部50内に突出する第1レジスト40の量が小さい。
【0067】
次に、図8(I)に示すように、第2レジスト層42と、BARC層41と、ビア孔35内に埋め込まれている第1レジスト層40とが、アッシングにより除去される。
【0068】
図8(I)に示す工程では、開口部50内への突出量の小さい第1レジスト40が、アッシングにより除去されるので、開口部50内にフェンスが発生することを抑制できる。
【0069】
次に、図9(J)に示すように、パターニングされた第2ハードマスク層33をマスクとして第1ハードマスク層32の残りの厚さt2の部分が全てエッチングされて、第1ハードマスク層32がパターニングされる。第1ハードマスク層32の残りの厚さt2の部分は、例えば、エッチング選択性が低いCF4を含むガスを用いてプラズマエッチングされる。また、図9(J)に示す例では、第2ハードマスク層33は、その厚さの最大部分における厚さがt1からt3になるまでエッチングされる。
【0070】
また、第1ハードマスク層32の残りの厚さt2の部分は、CF4と共に、C46、C48、CHF3、CH22、H2、N2、O2及びArの内の少なくとも1つのガスを用いてプラズマエッチングされることが、パターン形状の精度を高める上で好ましい。又は、第1ハードマスク層32の残りの厚さt2の部分は、CF4を含まないガスを用いてプラズマエッチングされても良い。
【0071】
更に、第1ハードマスク層32の残りの厚さt2の部分は、CF4及びCOを含むガスを用いてプラズマエッチングされることが、第2ハードマスク層33よりも第1ハードマスク層32に対するエッチング速度が高いエッチング選択性が得られる観点から好ましい。この理由については、後述する。
【0072】
図9(J)の工程では、上記エッチングガスを用い、プロセス圧力として6.65〜13.3Pa(50〜100mTorr)を用いることができる。更に、このプラズマエッチングでは、例えば300Wの電力を用いてプラズマが発生される。
【0073】
また、図9(J)の工程において、第2ハードマスク層33の厚さt3と、第2ハードマスク層33が形成された当初の厚さt1(図6(B)参照)と、第1ハードマスク層32の残りの厚さt2(図8(H)参照)とは、次の関係式(1)を満たすことが好ましい。下記式(1)について、後に説明する。
【0074】
t1/2−t3/2 < t2 < t1−t3 (1)
【0075】
次に、図9(K)に示すように、パターニングされた第2ハードマスク層33及び第1ハードマスク層32をマスクとして、第4絶縁層31が第3絶縁層30が露出するまでエッチングされて、配線溝36が形成される。第4絶縁層31は、例えば、CF4を含むガスを用いてプラズマエッチングされる。また、このエッチングによって、ビア孔35内に露出している第1バリア層24の部分が取り除かれて、第1配線層25がビア孔35内に露出する。続いて、図9(K)に示す配線構造は、ウエット洗浄された後、ビア孔35及び配線溝36の内壁上にバリアメタル層及びシード層(図示せず)が形成される。このシード層としては、例えば銅を用いることができる。
【0076】
図9(K)の工程において、第1ハードマスク層32がシリコン酸化物により形成されており、第4絶縁層31がLow−k材料により形成される場合、第4絶縁層31のエッチングをCF4を含むガスを用いて行なうと、両層のエッチング速度はほぼ等しくなる。
【0077】
従って、第1ハードマスク層32が当初に形成された厚さS(図6(B)参照)は、第4絶縁層31の厚さLよりも大きいことが、第1ハードマスク層32をマスクとして第4絶縁層31をエッチングする上で好ましい。厚さSを厚さLよりも大きく形成することによって、第4絶縁層31のエッチング後も、第1ハードマスク層32が第4絶縁層31上に所定の厚さで残される。
【0078】
第1ハードマスク層32は、図9(K)に示すように、エッチングによって開口部50側の端部の肩が削られて、厚さが薄くなっている。この肩の削れを考慮すると、エッチングされた第1ハードマスク層32は、その厚さの最大部分における厚さが少なくとも30nmあることが、第1ハードマスク層32をマスクとして、第4絶縁層31に配線溝を形状精度良くエッチングする上で好ましい。この場合、第1ハードマスク層32の厚さSは、第4絶縁層31の厚さLよりも少なくとも30nm大きいことが好ましい。例えば、第4絶縁層31の厚さLを120nmとした場合、第1ハードマスク層32の厚さSとして少なくとも150nmが必要である。
【0079】
更にここで、上述した第1ハードマスク層32の厚さSを用いて、図8(H)の工程によって、第1ハードマスク層32がエッチングされる深さの具体例を以下に述べる。まず、第2ハードマスク層33の厚さt1(図6(B)参照)は、エッチング選択性等を考慮して100nm程度に形成される。そこで、第2ハードマスク層33の厚さt1を80nmとし、厚さt3(図9(J)参照)を30nmとした場合、上記式(2)を用いて計算すると、25nm<t2<50nmという範囲にt2が得られる。そして、第1ハードマスク層32の厚さSを上述したように150nmした場合には、第1ハードマスク層32は、図8(H)の工程によって、100〜125nmの深さ(S−t2)だけエッチングされることになる。即ち、第1ハードマスク層32は2/3以上が取り除かれることになる。
【0080】
次に、図9(L)に示すように、バリアメタル層及びシード層が形成されたビア孔35及び配線溝36内に導電体37が埋め込まれる。導電体37は、第1ハードマスク層32上にも積層される。導電体37としては、例えば銅、アルミニウム、銀等を用いることができる。
【0081】
次に、図10(M)に示すように、化学機械研磨法を用いて、第1ハードマスク層32が露出するまで余分な導電体37を研磨して、第1配線層25と電気的に接続する埋め込み配線層である第2配線層38が形成される。図10(M)に示す工程では、第1ハードマスク層32が途中の深さまで研磨されて、第1ハードマスク層32が残されていても良い。
【0082】
又は、図10(M)に示す工程では、第4絶縁層31が露出するまで、第1ハードマスク層32を全て研磨しても良い。
【0083】
最後に、図10(N)に示すように、第1ハードマスク層32及び第2配線層38の上に第2バリア層34が形成される。この第2バリア層34の上には、必要に応じて、更に別の配線層等が形成され得る。
【0084】
次に、図9(J)の工程において、第1ハードマスク層32の残りの厚さt2の部分が、CF4及びCOを含むガスを用いてプラズマエッチングされることが、エッチング選択性の観点から好ましい理由を以下に説明する。
【0085】
上述した図9(K)に示す工程において、パターニングされた第1ハードマスク層31をマスクとして、第4絶縁層31をエッチングして配線溝が形成される。このエッチングの初期の段階では、第1ハードマスク層31上に第2ハードマスク層33が所定の厚さを有した状態で残っていることが、形状精度の高い配線溝を形成する上で好ましい。
【0086】
従って、図9(J)に示す工程において、第1ハードマスク層32の残りの厚さt2の部分がエッチングされる際には、マスクである第2ハードマスク層33がエッチングによって完全には取り除かれないようにしなくてはならない。そのためには、エッチングガスとして、第1ハードマスク層32に対するエッチン速度が、第2ハードマスク層33に対するエッチング速度よりも大きなエッチングガスが用いられる必要がある。
【0087】
また、このようなエッチング選択性を有するエッチングガスを用いることにより、図6(B)の工程において第2ハードマスク層33が形成される厚さt1を薄くすることも可能となる。厚さの薄い第2ハードマスク層33をマスクとして第1ハードマスク層32をエッチングすることにより、パターン精度を向上させることができる。
【0088】
上述したエッチング選択性の具体例について、第1ハードマスク層32がシリコン酸化物により形成されており、第2ハードマスク層33がシリコン窒化物により形成される場合を例として、図11を参照して以下に説明する。
【0089】
図11には、シリコン酸化物(SiO2)のエッチング速度と、シリコン窒化物(SiN)のエッチング速度との比(エッチング選択性:SiO2/SiN Selectivity)と、CF4に対するCO混入流量との関係が示されている。
【0090】
図11に示すように、CF4が100%の場合には、エッチング選択性は約1であり、シリコン酸化物とシリコン窒化物とはほぼ同じエッチング速度を有している。
【0091】
そして、CF4が一定の流量の下でCO混入流量が増加していくと、シリコン酸化物のエッチング速度がシリコン窒化物のエッチング速度よりも高くなっていくので、CO混入流量の増加と共にエッチング選択性は増大する。
【0092】
更に、CO混入流量が増加していくと、エッチングガス中のCF4の割合が低下して、シリコン酸化物のエッチング速度が低下する。このため、エッチング選択性は約2で一定となっていく。
【0093】
従って、CF4ガスの流量が1.69×10-2Pa・m3/秒一定の下では、シリコン酸化物のエッチング速度を維持しつつ且つ高いエッチング選択性を得る観点から、COガスの混入流量は3.38×10-2〜5.07×10-2Pa・m3/秒の範囲にあることが好ましい。以上がエッチング選択性の説明である。
【0094】
次に、第2ハードマスク層33が形成される厚さt1を23〜90nmの範囲とすることが好ましい理由を、以下に説明する。
【0095】
第2ハードマスク層33は、上述した図9(J)の工程においてエッチングされる。このエッチングによって、マスクされている第1ハードマスク層32がエッチングされないように、マスクとしての第2ハードマスク層33は、エッチング後も、第1ハードマスク層32上に所定の厚さを有して残っている必要がある。
【0096】
従って、上述した図9(J)の工程でのエッチング後も第2ハードマスク層33が第1ハードマスク層32上に所定の厚さで残っているためには、厚さt1と、厚さt2とは、次の関係式(2)を満たすことが好ましい。
【0097】
t1=a×t2/R (2)
【0098】
ここで、aは、1以上のパラメータであり、このaが第1ハードマスク層32上に残す第2ハードマスク層33の厚さを決定する。aとしては、プロセスの変動を考慮して、例えば1.5を用いることができる。
【0099】
また、Rは、第1ハードマスク層32のエッチング速度と、第2ハードマスク層33のエッチング速度との比(第1ハードマスク層32のエッチング速度/第2ハードマスク層33のエッチング速度)である。比Rは、上述したように、1〜2の範囲にある。
【0100】
そこで、パラメータaを1.5とし、厚さt2を30〜60nmとし、比Rを1〜2として、上記式(2)を用いて計算すると、厚さt1として23〜90nmの範囲が得られる。
【0101】
詳述すると、比Rが1の場合には、厚さt1として45〜90nmの範囲が得られる。比Rが2の場合には、厚さt1として23〜45nmの範囲が得られる。以上が、第2ハードマスク層33が形成される厚さt1の説明である。
【0102】
次に、上記式(1)の説明を行なう。
【0103】
上述したように、図9(J)の工程でのエッチング後も第2ハードマスク層33が、第1ハードマスク層32上に所定の厚さt3で残っていることが好ましい。そのためには、エッチング速度の比R(第1ハードマスク層32のエッチング速度/第2ハードマスク層33のエッチング速度)が1の場合には、厚さt2はt1−t3となる。また、エッチング速度の比Rが2の場合には、厚さt2はt1/2−t3/2となる。
【0104】
エッチング速度の比Rは、上述したように、1〜2の範囲にある場合には、厚さt2は、t1/2−t3/2とt1−t3との間の範囲になるため、上記式(1)の関係が得られる。
【0105】
更に、厚さt3に対する好ましい寸法について以下に述べる。第2ハードマスク層33は、図9(J)に示すように、エッチングによって開口部50側の端部の肩が削られて、厚さが薄くなっている。この肩の削れを考慮すると、エッチングされた第2ハードマスク層33は、その厚さの最大部分における厚さt3が少なくとも30nmあることが、第2ハードマスク層33をマスクとして、第4絶縁層31に配線溝が、形状精度良くエッチングされる上で好ましい。以上が、上記式(1)の説明である。
【0106】
上述した本実施形態の配線の形成方法によれば、図8(H)の工程において、第2ハードマスク層33の上に形成された第2レジスト層42をマスクとして、第1ハードマスク層32が途中の深さまでエッチングされる。そのため、第2ハードマスク層33の厚さが維持された状態で、第1ハードマスク層32が途中の深さまでエッチングされる。そして、図9(J)の工程において、この第2ハードマスク層33をマスクとして、第1ハードマスク層32の残りの部分がエッチングされる。そのため、図9(J)の工程において、エッチング選択性が高いC46又はC48といったガス以外にも、エッチング選択性が低いガス、例えばCF4、を用いてプラズマエッチングができるので、プロセスの自由度が大きい。
【0107】
一方、CF4を含まずに、C46/O2/Ar、又はC48/O2/Arを用いたエッチングでは、エッチングパターンにおける局所的なエッチング速度が不均一となり易い。また、これらのガスを用いたエッチングでは、複数のウエハを枚葉式に処理すると、最初と最後ではエッチング速度が異なってくるという不具合が生じる場合がある。
【0108】
しかし、本実施形態の配線の形成方法によれば、図9(J)に示す工程において、CF4を含むガス用いてプラズマエッチングができるので、エッチングパターンの形状精度が高められるため、プロセスの安定性も向上する。
【0109】
また、本実施形態の配線の形成方法によれば、埋め込み配線層を形成する過程において、図4に示すようなフェンスが発生することが防止される。
【0110】
次に、本明細書に開示する第2実施形態の配線の形成方法を、図を参照しながら以下に説明する。第2実施形態では、第1実施形態の第1ハードマスク層の下側に、更に第3ハードマスク層を挿入する点が、第1実施形態と相違する。図12は第2実施例を用いて製造した半導体装置の断面構造を示す図であり、膜39が第3ハードマスク層に相当する。
【0111】
図12に示す構造の製造方法を説明する。まず、図13(A)に示すように、シリコン基板11上にトランジスタ10を備えた構造が形成される。図13(A)に示す構造は、更に、第1絶縁層20と、Wプラグ21と、第2絶縁層22と、シリコン炭化物層23と、第1配線層25とを有している。以下、図中の四角い枠で囲んだ部分について、配線が形成される工程を説明する。
【0112】
次に、図13(B)に示すように、導電層である第1配線層25上に、第1バリア層24と、第3絶縁層30と、第4絶縁層31とが、プラズマCVD法により順番に積層して形成される。続いて、第4絶縁層31上に第3ハードマスク層39がプラズマCVD法により形成される。更に、第3ハードマスク層39上に第1ハードマスク層32がプラズマCVD法により形成され、更にまた、この第1ハードマスク層32上に第2ハードマスク層33がプラズマCVD法により形成される。
【0113】
Low−k材により形成される第4絶縁層31、及び銅により形成される導電体37は、一般に、化学機械研磨法による研磨速度が速いので、容易に研磨され得る。そのため、上述した図10(M)の工程において、第1ハードマスク層32を化学機械研磨法を用いて研磨して行くと、プロセスの変動等によって第4絶縁層31まで研磨されてしまう場合がある。そこで、本実施形態では、第4絶縁層31が研磨されることを防止するために、第4絶縁層31と第1ハードマスク層32との間に、第1ハードマスク層32を化学機械研磨により除去する工程においてストッパとして機能する第3ハードマスク層39が形成される。化学機械研磨法による第1ハードマスク層32の研磨速度は、第3ハードマスク層39の研磨速度よりも大きいことが好ましい。
【0114】
第1ハードマスク層32がシリコン酸化膜である場合には、第3ハードマスク層39の形成材料としては、例えば、シリコン炭化物(SiC、SiCH)を用いることができる。
【0115】
また、第3ハードマスク層39の厚さとしては、20〜60nm、であることが好ましく、例えば30nmとする。第3ハードマスク層39の厚さが20nm以上であることにより、研磨を第3ハードマスク層39上で確実に止めることができる。また、第3ハードマスク層39の厚さが60nm以下であることが、第3ハードマスク層39を形成する時間を低減する上で好ましい。
【0116】
次に、図13(C)に示すように、パターニング及びエッチングを用いて、第2ハードマスク層33と、第1ハードマスク層32と、第3ハードマスク層39と、第2絶縁層31と、第1絶縁層30とを貫通するビア孔35が、第1配線層25の上の領域に形成される。ビア孔35の底には、第1バリア層24が露出する。
【0117】
次に、図14(D)に示すように、第1レジスト層40が、ビア孔35内に埋め込まれると共に第2ハードマスク層33上に形成される。
【0118】
次に、図14(E)に示すように、第2ハードマスク層33が露出するまで、第1レジスト層40のエッチバックを行なって、第1レジスト層40の表面が、第2ハードマスク層33の表面と一致するように平坦化される。
【0119】
次に、図14(F)に示すように、第2ハードマスク層33上に、BARC層41及び第2レジスト層42が形成される。続いて、ビア孔35の位置に合わせて第2レジスト層42がパターニングされて、配線溝形成用の開口部50が第2レジスト層42に形成される。パターニングされた第2レジスト層42は、埋め込み配線層38の配線パターンを有する。
【0120】
次に、図15(G)に示すように、パターニングされた第2レジスト層42をマスクとして、BARC層41が、第2ハードマスク層33が露出するまでエッチングされると、BARC層41がパターニングされると共に開口部50が深くなる。
【0121】
続いて、パターニングされた第2レジスト層42及びBARC層41をマスクとして、第2ハードマスク層33が、第1ハードマスク層32が露出するまでエッチングされて、第2ハードマスク層33がパターニングされる。
【0122】
次に、図15(H)に示すように、パターニングされた第2レジスト層42と、BARC層41と、第2ハードマスク層33とをマスクとして、第1ハードマスク層32が途中の深さまでエッチングされる。
【0123】
図15(H)に示す工程では、第1ハードマスク層32が途中の深さまでしかエッチングされないので、図15(H)に示すように、開口部50内に突出する第1レジスト40の量が小さい。
【0124】
次に、図15(I)に示すように、第2レジスト層42と、BARC層41と、ビア孔35内に埋め込まれている第1レスト層40とが、アッシングにより除去される。
【0125】
図15(I)に示す工程では、開口部50内への突出量の小さい第1レジスト40が、アッシングにより除去されるので、開口部50内にフェンスが発生することを抑制できる。
【0126】
次に、図16(J)に示すように、パターニングされた第2ハードマスク層33をマスクとして第1ハードマスク層32の残りの厚さの部分が全てエッチングされて、第1ハードマスク層32がパターニングされる。
【0127】
次に、図16(K)に示すように、第2ハードマスク33及び第1ハードマスク32をマスクとして、開口部50に露出している第3ハードマスク層39の部分がエッチングされて取り除かれる。その結果、開口部50には、第4絶縁層31が露出する。第3ハードマスク層39は、例えば、CF4を含むガスを用いてプラズマエッチングされる。また、このエッチングによって、第2ハードマスク33が取り除かれると共に、ビア孔35内に露出している第1バリア層24の部分が取り除かれて、第1配線層25がビア孔35内に露出する。
【0128】
次に、図16(L)に示すように、パターニングされた第1ハードマスク層32及び第3ハードマスク層39をマスクとして、第4絶縁層31が第3絶縁層30が露出するまでエッチングされて、配線溝36が形成される。続いて、図16(L)に示す配線構造は、ウエット洗浄された後、ビア孔35及び配線溝36の内壁上にバリアメタル層及びシード層(図示せず)が形成される。このシード層としては、例えば銅を用いることができる。
【0129】
次に、図17(M)に示すように、バリアメタル層及びシード層が形成されたビア孔35及び配線溝36内に導電体37が埋め込まれる。導電体37は、第1ハードマスク層32上にも積層される。導電体37としては、例えば銅、アルミニウム、銀等を用いることができる。
【0130】
次に、図17(N)に示すように、化学機械研磨法を用いて、第3ハードマスク層39が露出するまで、余分な導電体37及び第1ハードマスク層32を研磨して、第1配線層25と電気的に接続する埋め込み配線層である第2配線層38が形成される。
【0131】
最後に、図17(O)に示すように、第3ハードマスク層39及び第2配線層38の上に第2バリア層34が形成される。この第2バリア層34の上には、必要に応じて、更に別の配線層等が形成され得る。
【0132】
上述した本実施形態の配線の形成方法によれば、第1ハードマスク層32よりも化学機械研磨法による研磨速度が低い第3ハードマスク層39が第4絶縁層31の上に形成されるので、図17(N)の工程において第4絶縁層31が研磨されることが防止される。
【0133】
また、上述した本実施形態の配線の形成方法によれば、前述した第1実施形態と同様に、プロセスの自由度が大きく、且つプロセスの高安定性という効果が奏される。
【0134】
本発明では、上述した各実施形態の配線の形成方法は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。例えば、上述した各実施形態では、絶縁層が第3絶縁層30及び第4絶縁層31の2層により形成されていたが、絶縁層は、一層のみにより形成されていても良い。
【0135】
また、上述した各実施形態では、各層が、プラズマCVD法を用いて形成されていたが、各層は、熱分解CVD法、スパッタリング法などの他の成膜手法を用いて形成しても良い。
【0136】
以上の上述した複数の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0137】
(付記1)
導電層上に絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層上に第1マスク層を形成する工程と、
前記第1マスク層上に第2マスク層を形成する工程と、
前記第2マスク層と、前記第1マスク層と、前記絶縁層とを貫通するビア孔を形成する工程と、
前記ビア孔内部に第1レジスト層を形成する工程と、
前記第2マスク層上及び前記第1レジスト層上に第2レジスト層を形成する工程と、
前記第2レジスト層を配線パターンにパターニングする工程と、
パターニングされた前記第2レジスト層をマスクとして前記第2マスク層をエッチングする工程と、
前記第2レジスト層及び前記第2マスク層をマスクとして前記第1マスク層を途中の深さまでエッチングする工程と、
前記第1レジスト層及び前記第2レジスト層を除去する工程と、
前記第2マスク層をマスクとして前記第1マスク層の残りの部分をエッチングする工程と、
前記第1マスク層をマスクとして、前記絶縁層をエッチングして配線溝を形成する工程と、
前記ビア孔及び前記配線溝内に導電体を埋め込んで、前記導電層に接続する埋め込み配線層を形成する工程と、
を備えた配線の形成方法。
【0138】
(付記2)
前記第1マスク層は、シリコン酸化物を含む付記1に記載の配線の形成方法。
【0139】
(付記3)
前記第2マスク層は、シリコン窒化物又はシリコン炭化物を含む付記2に記載の配線の形成方法。
【0140】
(付記4)
前記第1マスク層を途中の深さまでエッチングする工程、又は前記第1マスク層の残りの部分をエッチングする工程は、CF4を含むガスを用いる付記1〜3の何れか一項に記載の配線の形成方法。
【0141】
(付記5)
前記第1マスク層の残りの部分をエッチングする工程は、CF4及びCOを含むガスを用いる付記1〜4の何れか一項に記載の配線の形成方法。
【0142】
(付記6)
前記第1マスク層を途中の深さまでエッチングする工程、又は前記第1マスク層の残りの部分をエッチングする工程は、CF4と共に、C46、C48、CHF3、CH22、H2、N2、O2及びArの内の少なくとも1つのガスを用いる付記4または5に記載の配線の形成方法。
【0143】
(付記7)
前記第1マスク層を形成する工程の前に、
更に、前記絶縁層上に第3マスク層を形成する工程を備えており、
前記第1マスク層を形成する工程は、前記第3マスク層上に前記第1マスク層を形成する付記1〜6の何れか一項に記載の配線の形成方法。
【0144】
(付記8)
前記埋め込み配線層を形成する工程は、前記ビア孔内、前記配線溝内、及び前記第1マスク上に導電体を形成する工程と、
前記第1マスク上の前記導電体を化学機械研摩除去する工程を含み、
前記化学機械研磨法による前記第1マスク層の研磨速度が、前記第3マスク層の研磨速度よりも大きい付記7に記載の配線の形成方法。
【0145】
(付記9)
前記第3マスク層は、シリコン炭化物を含む付記7又は8に記載の配線の形成方法。
【0146】
(付記10)
前記絶縁層は、前記導電層上に形成された第1絶縁層と、前記第1絶縁膜層上に形成された第2絶縁層とを含み、
前記第2絶縁層の誘電率は、前記第1絶縁層の誘電率よりも低い付記9に記載の配線の形成方法。
【0147】
(付記11)
前記第2マスク層を形成する工程は、厚さt1の前記第2マスク層を形成し、
前記第1マスク層を途中の深さまでエッチングする工程は、前記第1マスク層の厚さがt2になるまで前記第1マスク層をエッチングし、
前記第1マスク層の残りの部分をエッチングする工程は、前記第2マスク層の厚さがt3になるまで前記第2マスク層をエッチングし、
t1と、t2と、t3とは、t1/2−t3/2 < t2 < t1−t3なる関係を満たす付記1〜10の何れか一項に記載の配線の形成方法。
【0148】
(付記12)
前記第2マスク層を形成する工程は、厚さが23nm〜90nmの範囲の前記第2マスク層を形成し、
前記第1マスク層を途中の深さまでエッチングする工程は、前記第1マスク層の厚さが30nm〜60nmの範囲になるまで、前記第1マスク層をエッチングする付記1〜10の何れか一項に記載の配線の形成方法。
【0149】
(付記13)
前記第1マスク層をパターニングする工程では、CF4ガスの流量が1.69×10-2Pa・m3/秒であり、COガスの流量が3.38×10-2〜5.07×10-2Pa・m3/秒の範囲にある付記1〜12の何れか一項に記載の配線の形成方法。
【符号の説明】
【0150】
20 第1絶縁層
22 第2絶縁層
23 シリコン炭化物層
24 第1バリア層
25 第1配線層(導電層)
30 第3絶縁層(絶縁層)
31 第4絶縁層(絶縁層)
32 第1ハードマスク層(第1マスク層)
33 第2ハードマスク層(第2マスク層)
34 第2バリア層
35 ビア孔
36 配線溝
37 導電体
38 第2配線層(埋め込み配線層)
39 第3ハードマスク層
40 第1レジスト層
41 BARC層
42 第2レジスト層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電層上に絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層上に第1マスク層を形成する工程と、
前記第1マスク層上に第2マスク層を形成する工程と、
前記第2マスク層と、前記第1マスク層と、前記絶縁層とを貫通するビア孔を形成する工程と、
前記ビア孔内部に第1レジスト層を形成する工程と、
前記第2マスク層上及び前記第1レジスト層上に第2レジスト層を形成する工程と、
前記第2レジスト層を配線パターンにパターニングする工程と、
パターニングされた前記第2レジスト層をマスクとして前記第2マスク層をエッチングする工程と、
前記第2レジスト層及び前記第2マスク層をマスクとして前記第1マスク層を途中の深さまでエッチングする工程と、
前記第1レジスト層及び前記第2レジスト層を除去する工程と、
前記第2マスク層をマスクとして前記第1マスク層の残りの部分をエッチングする工程と、
前記第1マスク層をマスクとして、前記絶縁層をエッチングして配線溝を形成する工程と、
前記ビア孔及び前記配線溝内に導電体を埋め込んで、前記導電層に接続する埋め込み配線層を形成する工程と、
を備えた配線の形成方法。
【請求項2】
前記第1マスク層は、シリコン酸化物を含む請求項1に記載の配線の形成方法。
【請求項3】
前記第2マスク層は、シリコン窒化物又はシリコン炭化物を含む請求項2に記載の配線の形成方法。
【請求項4】
前記第1マスク層を途中の深さまでエッチングする工程、又は前記第1マスク層の残りの部分をエッチングする工程は、CF4を含むガスを用いる請求項1〜3の何れか一項に記載の配線の形成方法。
【請求項5】
前記第1マスク層の残りの部分をエッチングする工程は、CF4及びCOを含むガスを用いる請求項1〜4の何れか一項に記載の配線の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−161166(P2010−161166A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1841(P2009−1841)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】