説明

配線回路基板

【課題】 第1連絡部と第2連絡部との配置密度を低く抑えることができながら、第1連絡部と第2連絡部との設計の自由を高めることのできる配線回路基板を提供すること。
【解決手段】
第1ベース絶縁層41と第2ベース絶縁層42と第1導体パターン21と第2導体パターン22とを備え、第1導体パターン21は、第1ベース絶縁層41の上、かつ、第2ベース絶縁層42の下に形成される素子側連絡部31と、それに連続する素子側端子25とを備え、第2導体パターン21は、第2ベース絶縁層42の上に形成されるヘッド側連絡部37と、それに連続するヘッド側端子35とを備え、2つのピエゾ素子4が、素子側端子25と電気的に接続されるように設けられており、素子側端子25は、間隔を隔てるように2対設けられており、各ピエゾ素子4を、2対の素子側端子25間に架設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板、詳しくは、ハードディスクドライブに用いられる回路付サスペンション基板として好適に用いられる配線回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
回路付サスペンション基板は、金属支持基板と、その上に形成されるベース絶縁層と、その上に形成され、磁気ヘッドと接続するためのヘッド側端子を有する導体パターンとを備えている。そして、この回路付サスペンション基板では、磁気ヘッドを実装して、磁気ヘッドをヘッド側端子部と接続させて、ハードディスクドライブに用いられる。
【0003】
そのような回路付サスペンション基板には、近年、種々の電子素子、具体的には、例えば、ピエゾ素子(圧電素子)を有し、磁気ヘッドの位置および角度を精細に調節するためのマイクロアクチュエータなどを搭載することが提案されている。
【0004】
例えば、フレキシャと、その上に積層される絶縁層と、その上に積層される配線パターンと、配線パターンに接続される磁気ヘッドと、配線パターンに接続されるマイクロアクチュエータとを備えるヘッドサスペンションアセンブリが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
特許文献1で提案されるヘッドサスペンションアセンブリでは、配線パターンの端子(磁気ヘッド用端子およびアクチュエータ用端子)が、絶縁層の上に形成されており、それらに、磁気ヘッドおよびマイクロアクチュエータが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2009−004689号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のヘッドサスペンションアセンブリでは、磁気ヘッド用端子と、アクチュエータ用端子とが、ともに同一の絶縁層の上に形成されている。そのため、かかる絶縁層の上において、ヘッド用端子とアクチュエータ用端子とを高い密度で形成しなければならず、そうすると、それらの間で短絡し易くなるという不具合がある。
【0008】
一方、短絡を防止しようとすると、かかる絶縁層の上において、ヘッド用端子とアクチュエータ用端子とを配置するためのスペースを広く確保する必要があるが、そうすると、絶縁層が形成される回路付サスペンション基板のコンパクト化を図ることができないという不具合がある。
【0009】
本発明の目的は、第1連絡部と第2連絡部との配置密度を低く抑えることができながら、第1連絡部と第2連絡部との設計の自由を高めることのできる配線回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の配線回路基板は、絶縁層と、前記絶縁層の上に形成される導体層とを備える配線回路基板であり、前記絶縁層は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に形成される第2絶縁層とを備え、前記導体層は、第1導体パターンと、第2導体パターンとを備え、前記第1導体パターンは、第1絶縁層の上、かつ、前記第2絶縁層の下に形成される第1連絡部と、前記第1連絡部に連続して、外部の電子素子に対して電気的に接続されるように構成され、前記電子素子が架設されるように互いに間隔を隔てて設けられる少なくとも1対の第1端子とを備え、前記第2導体パターンは、前記第2絶縁層の上に形成される第2連絡部と、前記第2連絡部に連続して、外部のスライダに設けられる磁気ヘッドに電気的に接続されるように構成される第2端子とを備えていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の配線回路基板では、前記第1導体パターンは、前記第1連絡部と電気的に接続される第1配線を備え、前記第2導体パターンは、前記第2連絡部と電気的に接続される第2配線を備え、前記第1配線および前記第2配線は、前記第2絶縁層の上に形成されていることが好適であり、または、前記第1絶縁層の上に形成されていることが好適である。
【0012】
また、本発明の配線回路基板では、前記第1絶縁層の下に形成される金属支持基板を備え、前記金属支持基板には、内側に前記電子素子が配置されるように、厚み方向を貫通する開口部が形成されていることが好適である。
【0013】
また、本発明の配線回路基板では、前記開口部は、前記スライダの少なくとも一部と厚み方向に重複するように、形成されていることが好適である。
【0014】
また、本発明の配線回路基板では、前記電子素子が、ピエゾ素子であることが好適である。
【0015】
また、本発明の配線回路基板は、回路付サスペンション基板として用いられることが好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の配線回路基板では、第1連絡部と第2連絡部とが、第1絶縁層の上と第2絶縁層の上とに、それぞれ形成されている。
【0017】
そのため、第1連絡部および第2連絡部のレイアウトの設計上の自由を高めることができるとともに、それらに連続する第1端子および第2端子を、短絡を生じないような配置密度でそれぞれ形成することができる。
【0018】
その結果、コンパクト化を図りながら、第1端子および第2端子の接続信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の配線回路基板の第1実施形態としての回路付サスペンション基板(素子用配線供給側部分およびヘッド用配線外部側部分が第2ベース絶縁層の上に形成される態様)の平面図を示す。
【図2】図2は、図1に示す回路付サスペンション基板のジンバル部の拡大平面図を示す。
【図3】図3は、図2に示すジンバル部のA−A線に沿う断面図を示す。
【図4】図4は、図2に示すジンバル部の拡大平面図であって、カバー絶縁層が省略される平面図を示す。
【図5】図5は、図2に示すジンバル部の拡大平面図であって、第2ベース絶縁層と、その上に形成される第1導体パターンおよび第2導体パターンと、カバー絶縁層とが省略される平面図を示す。
【図6】図6は、図1に示す回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、(a)は、金属支持基板を用意する工程、(b)は、第1ベース絶縁層を形成する工程、(c)は、素子側連絡部と素子側端子とを形成する工程、(d)は、第2ベース絶縁層を形成する工程を示す。
【図7】図7は、図6に引き続き、図1に示す回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、(e)は、第1導体パターンと第2導体パターンとを形成する工程、(f)は、カバー絶縁層を形成する工程、(g)は、第1基板開口部および第2基板開口部を形成する工程を示す。
【図8】図8は、図2に示すジンバル部のステージを揺動させた状態の平面図を示す。
【図9】図9は、本発明の配線回路基板の第2実施形態としての回路付サスペンション基板(素子用配線供給側部分およびヘッド用配線外部側部分が第1ベース絶縁層の上に形成される態様)のジンバル部の拡大平面図を示す。
【図10】図10は、図9に示すジンバル部のB−B線に沿う断面図を示す。
【図11】図11は、ヘッド側連絡部の斜視図を示す。
【図12】図12は、図9に示す回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、(a)は、金属支持基板を用意する工程、(b)は、第1ベース絶縁層を形成する工程、(c)は、第1導体パターンと外部側端子とヘッド用配線外部側部分とを形成する工程、(d)は、第2ベース絶縁層を形成する工程を示す。
【図13】図13は、図11に引き続き、図9に示す回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、(e)は、ヘッド用連絡部とヘッド用端子とを形成する工程、(f)は、カバー絶縁層を形成する工程、(g)は、第1基板開口部および第2基板開口部を形成する工程を示す。
【図14】図14は、本発明の配線回路基板の第3実施形態としての回路付サスペンション基板のジンバル部の断面図を示す。
【図15】図15は、図14に示す回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、(a)は、金属支持基板を用意する工程、(b)は、第1ベース絶縁層を形成する工程、(c)は、第1導体パターンと外部側端子とヘッド用配線外部側部分とを形成する工程、(d)は、第2ベース絶縁層を形成する工程を示す。
【図16】図16は、図15に引き続き、図14に示す回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、(e)は、ヘッド用連絡部とヘッド用端子とを形成する工程、(f)は、カバー絶縁層を形成する工程、(g)は、第1基板開口部および第2基板開口部を形成する工程を示す。
【図17】図17は、本発明の配線回路基板の第4実施形態としての回路付サスペンション基板のジンバル部の断面図を示す。
【図18】図18は、図17に示す回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、(a)は、金属支持基板を用意する工程、(b)は、第1ベース絶縁層を形成する工程、(c)は、第1導体パターンと外部側端子とヘッド用配線外部側部分とを形成する工程、(d)は、第2ベース絶縁層を形成する工程を示す。
【図19】図19は、図18に引き続き、図17に示す回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、(e)は、ヘッド用連絡部とヘッド用端子とを形成する工程、(f)は、カバー絶縁層を形成する工程、(g)は、第1基板開口部および第2基板開口部を形成する工程を示し、(h)は、第2基板開口部内に露出される第1ベース絶縁層をエッチングする工程を示す。
【図20】図20は、本発明の配線回路基板の第5実施形態としての回路付サスペンション基板のジンバル部の断面図を示す。
【図21】図21は、図20に示す回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、(a)は、金属支持基板を用意する工程、(b)は、第1ベース絶縁層を形成する工程、(c)は、第1導体パターンと外部側端子とヘッド用配線外部側部分とを形成する工程、(d)は、第2ベース絶縁層を形成する工程を示す。
【図22】図22は、図21に引き続き、図20に示す回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、(e)は、ヘッド用連絡部とヘッド用端子とを形成する工程、(f)は、カバー絶縁層を形成する工程、(g)は、第1基板開口部および第2基板開口部を形成する工程を示し、(h)は、第2基板開口部内に露出される第1ベース絶縁層をエッチングする工程を示す。
【図23】図23は、本発明の配線回路基板の第6実施形態としての回路付サスペンション基板のジンバル部の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の配線回路基板の第1実施形態としての回路付サスペンション基板(素子用配線供給側部分およびヘッド用配線外部側部分が第2ベース絶縁層の上に形成される態様)の平面図、図2は、図1に示す回路付サスペンション基板のジンバル部の拡大平面図、図3は、図2に示すジンバル部のA−A線に沿う断面図、図4は、図2に示すジンバル部の拡大平面図であって、カバー絶縁層が省略される平面図、図5は、図2に示すジンバル部の拡大平面図であって、第2ベース絶縁層と、その上に形成される第1導体パターンおよび第2導体パターンと、カバー絶縁層とが省略される平面図、図6および図7は、図1に示す回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図、図8は、図2に示すジンバル部のステージを揺動させた状態の平面図を示す。
【0021】
なお、図1、図2および図8において、後述するベース絶縁層39およびカバー絶縁層40は、後述する導体層6、スライダ3およびピエゾ素子4の相対配置を明瞭に示すため、省略している。
【0022】
図1および図2に示すように、この回路付サスペンション基板1は、磁気ヘッド2を搭載するスライダ3(図3参照)および電子素子としてのピエゾ素子4を実装して、ハードディスクドライブに搭載される。
【0023】
この回路付サスペンション基板1では、金属支持基板5に導体層6が支持されている。
【0024】
金属支持基板5は、回路付サスペンション基板1の外形形状に対応する形状に形成され、長手方向に延びる平面視略矩形平帯状に形成されており、本体部7と、本体部7の先側(長手方向一側、以下同じ)に形成されるジンバル部8とを一体的に備えている。
【0025】
本体部7は、平面視略矩形状に形成されている。
【0026】
ジンバル部8は、本体部7の先端から先側に延びるように形成されている。また、ジンバル部8には、厚み方向を貫通する平面視略矩形状の第1基板開口部9が形成されている。
【0027】
ジンバル部8は、第1基板開口部9の幅方向(長手方向に直交する方向)外側に仕切られるアウトリガー部10と、アウトリガー部10に連結されるタング部11とを備えている。
【0028】
アウトリガー部10は、本体部7の幅方向両端部から先側に向かって直線状に延びるように形成されている。
【0029】
タング部11は、アウトリガー部10の幅方向内側に設けられ、アウトリガー部10の先端部から幅方向内側斜め後方に向かって延びる第1連結部12を介して、アウトリガー部10に連結されている。
【0030】
タング部11は、幅方向両側に向かって開く平面視略H字状に形成されている。すなわち、タング部11は、先後方向中央部の幅方向両端部が切り欠かれ(開口され)ている。
【0031】
具体的には、タング部11は、幅方向に長く延びる平面視略矩形状の基部13と、基部13の先側に間隔を隔てて配置され、幅方向に長く延びる平面視略矩形状のステージ14と、基部13およびステージ14の幅方向中央部を連結し、先後方向に長い平面視略矩形状の中央部15とを一体的に備えている。
【0032】
タング部11において、切り欠かれた部分は、開口部としての第2基板開口部16とされている。
【0033】
第2基板開口部16は、中央部15の幅方向両側に形成されており、各第2基板開口部16は、金属支持基板5の厚み方向を貫通するように形成されている。
【0034】
ステージ14の先後方向中央部は、スライダ3が実装される実装領域27(破線)として仕切られている。実装領域27は、幅方向に長い平面視略矩形状に形成されている。また、スライダ搭載領域53(後述)の先端部に含まれる。
【0035】
また、ステージ14は、第2連結部18によって、アウトリガー部10に接続されている。
【0036】
第2連結部18は、各アウトリガー部10の先端と、ステージ14の幅方向両端とを湾曲状に連結する湾曲部19と、各アウトリガー部10の先端およびステージ14の先端の幅方向中央を連結するE字部20とを備えている。
【0037】
湾曲部19は、アウトリガー部10の先端から幅方向内方斜め先側に向かって湾曲状に延び、ステージ14の幅方向両端に至っている。
【0038】
E字部20は、平面視略E字状をなし、具体的には、両アウトリガー部10の先端から先側に向かって延び、その後、幅方向内側に屈曲し、幅方向内側に延びて合一となった後、後側に屈曲して、ステージ14の先端の幅方向中央に至っている。
【0039】
中央部15は、幅方向に湾曲可能な幅狭に形成されている。
【0040】
導体層6は、第1導体パターン21と、第2導体パターン22とを備えている。
【0041】
第1導体パターン21および第2導体パターン22は、本体部7とジンバル部8とにわたって形成されている。
【0042】
第1導体パターン21は、ピエゾ素子4および電源23(仮想線)を電気的に接続しており、本体部7とジンバル部8とにおいて、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(4つ)形成されている。
【0043】
また、第1導体パターン21は、電源23(仮想線)に接続するための供給側端子24と、ピエゾ素子4に接続するための第1端子としての素子側端子25と、供給側端子24および素子側端子25を電気的に接続する素子用配線26とを一体的に備えている。
【0044】
供給側端子24は、本体部7の後端部に設けられ、平面視略矩形状をなし、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(4つ)並列配置されている。
【0045】
素子側端子25は、図2および図5に示すように、ジンバル部8に設けられており、より具体的には、厚み方向に投影したときに、第2基板開口部16内に設けられている。素子側端子25は、平面視略矩形状をなし、幅方向および先後方向に互いに間隔を隔てて複数(4つ)整列配置されている。
【0046】
詳しくは、素子側端子25は、各第2基板開口部16を挟むように対をなして設けられ、1対の素子側端子25が、2組設けられている。各1対の素子側端子25は、各第2基板開口部16の先側および後側にそれぞれ設けられている。
【0047】
すなわち、各素子側端子25は、先側に配置される素子側先端子29と、素子側先端子29の後側に間隔を隔てて対向配置される素子側後端子30とを備えている。
【0048】
素子側先端子29は、ステージ14の幅方向両外側部の後端縁から後方に向かって突出して、第2基板開口部16内に臨むように形成されている。素子側先端子29は、中央部15の幅方向両外側において、互いに間隔を隔てて複数(2つ)並列配置されている。また、素子側先端子29は、厚み方向に投影したときに、スライダ搭載領域53(後述)の投影面内に配置されている。
【0049】
詳しくは、素子側先端子29は、ステージ14の後端部の素子用配線26(後述)が、ステージ14の後端縁から後側に向かって突出し、かつ、幅方向両外側に膨出するように形成されている。
【0050】
なお、後述するが、図3および図5が参照されるように、素子側先端子29の周端部には、ステージ14の後端部の素子用配線26の下に形成されるベース絶縁層39(後述する第1ベース絶縁層41の突出端部49)が連続して平面視矩形枠状に形成されており、素子側先端子29が、突出端部49(後述)の枠内に落ち込んでいる。これにより、素子側先端子29の裏面(下面)は、枠状のベース絶縁層39から露出している。
【0051】
また、素子側後端子30は、図2および図5に示すように、基部13の幅方向両外側部の先端縁から先方に向かって突出して、第2基板開口部16内に臨むように形成されている。素子側後端子30は、中央部15の幅方向両外側において、互いに間隔を隔てて複数(2つ)並列配置されている。
【0052】
詳しくは、素子側後端子30は、基部13の先端部の素子用配線26(後述)が、基部13の先端縁から先側に向かって突出し、かつ、幅方向両外側に膨出するように形成されている。なお、後述するが、図3および図5が参照されるように、素子側後端子30の周端部には、基部13の先端部の素子用配線26の下に形成されるベース絶縁層39(後述する第1ベース絶縁層41の突出端部49)が連続して平面視略矩形枠状に形成されており、素子側後端子30が、突出端部49(後述)の枠内に落ち込んでいる。これにより、素子側後端子30の裏面(下面)は、枠状のベース絶縁層39から露出している。
【0053】
素子用配線26は、図1および図2に示すように、本体部7およびジンバル部8において、幅方向に間隔を隔てて複数(4つ)形成されている。
【0054】
具体的には、各素子用配線26の後端は、供給側端子24に連続している。詳しくは、素子用配線26は、本体部7の後端部において、供給側端子24から先側に向かって延び、本体部7の先後方向途中において、幅方向両側に向かって2束に分岐状に屈曲する。その後、各素子用配線26は、本体部7の先後方向途中において、幅方向両端部において先側に屈曲し、本体部7の先端部に向けて、幅方向外端縁に沿って延び、ジンバル部8において、第1基板開口部9を通過した後、第1連結部12において、幅方向内側と、後方斜め幅方向内側とに2束にさらに分岐する。
【0055】
幅方向内側に分岐した各素子用配線26は、第2基板開口部16を横切るように、幅方向内側に向かって延びて、中央部15の先後方向途中に集束する。その後、各素子用配線26は、先側に屈曲し、続いて、中央部15に沿って先側に延び、その後、ステージ14の後端部において、幅方向両側に向かって2束に分岐状に屈曲した後、ステージ14の周端縁に沿って延び、その後、導通部28(後述)を介して、後側に延び、素子側先端子29に至る。
【0056】
一方、後方斜め幅方向内側に分岐した各素子用配線26は、第1連結部12に沿って後方斜め幅方向内側に延び、基部13の幅方向両端部に至り、幅方向内側に屈曲した後、その後、導通部28(後述)を介して、先側に向かって延び、素子側後端子30に至る。
【0057】
なお、素子用配線26において、素子側端子25に連続する部分が、第1連絡部としての素子側連絡部31(図2の破線)とされ、素子側連絡部31以外の部分が、第1配線としての素子用配線供給側部分32(図2の実線)とされている。
【0058】
素子側連絡部31は、図5に示すように、基部13およびステージ14において、導通部28から先側および後側にそれぞれ延び、素子側端子25(素子側先端子29および素子側後端子30)に至る素子用配線26として形成されている。
【0059】
すなわち、ステージ14における素子側連絡部31は、導通部28から後側に延び、素子側先端子29に至る部分として形成されるとともに、基部13における素子側連絡部31は、導通部28から先側に延び、素子側後端子30に至る部分として形成されている。
【0060】
第2導体パターン22は、図1および図2に示すように、リード・ライト基板33(仮想線)および磁気ヘッド2(図3参照)を電気的に接続している。
【0061】
第2導体パターン22は、リード・ライト基板33に接続するための外部側端子34と、磁気ヘッド2に接続するための第2端子としてのヘッド側端子35と、外部側端子34およびヘッド側端子35を電気的に接続するヘッド用配線36とを一体的に備えている。
【0062】
外部側端子34は、本体部7の後端部に設けられ、具体的には、平面視略矩形状をなし、素子側端子25の後側に間隔を隔てて配置され、幅方向に間隔を隔てて複数(4つ)並列配置されている。
【0063】
ヘッド側端子35は、本体部7の先端部に設けられ、平面視略矩形状をなし、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(4つ)並列配置されている。
【0064】
ヘッド用配線36は、本体部7およびジンバル部8にわたって設けられ、幅方向に互いに間隔を隔てて複数(4つ)配置されている。
【0065】
また、ヘッド用配線36は、素子用配線26に沿って長手方向に延びている。具体的には、ヘッド用配線36の後端は、外部側端子34に連続している。詳しくは、ヘッド用配線36は、本体部7の後端部において、外部側端子34から先側に向かって、供給側端子24を迂回するように延び、本体部7の先後方向途中において、幅方向両側に向かって2束に分岐状に屈曲する。その後、ヘッド用配線36は、本体部7の先後方向途中において、幅方向両端部において先側に屈曲し、本体部7の先端部に向けて、幅方向外端縁に沿って延び、ジンバル部8において、第1基板開口部9を通過した後、第1連結部12および第2基板開口部16を順次横切るように、幅方向内側に向かって延びて、中央部15の先後方向途中に集束する。その後、ヘッド用配線36は、先側に屈曲し、続いて、中央部15に沿って先側に延び、その後、ステージ14の後端部において、幅方向両側に向かって2束に分岐状に屈曲した後、ステージ14の周端縁に沿って延び、その後、先側、幅方向内側および後側に順次折り返された後、ヘッド側端子35に至る。
【0066】
なお、ヘッド用配線36において、ヘッド側端子35に連続する部分が、第2連絡部としてのヘッド側連絡部37とされ、ヘッド側連絡部37以外の部分が、第2配線としてのヘッド用配線外部側部分38とされている。
【0067】
ヘッド側連絡部37は、ステージ14のヘッド用配線36において、後側に折り返された後、先後方向に延びて、ヘッド側端子35に至る部分とされている。
【0068】
そして、この回路付サスペンション基板1は、図3に示すように、金属支持基板5と、金属支持基板5の上に形成されるベース絶縁層39と、ベース絶縁層39の上に形成される導体層6と、ベース絶縁層39の上に、導体層6を被覆するように形成されるカバー絶縁層40とを備えている。
【0069】
金属支持基板5は、回路付サスペンション基板1の外形形状に対応する形状に形成されている。金属支持基板5は、例えば、ステンレス、42アロイ、アルミニウム、銅−ベリリウム、りん青銅などの金属材料から形成されている。好ましくは、ステンレスから形成されている。金属支持基板5の厚みは、例えば、15〜50μm、好ましくは、15〜30μmである。
【0070】
ベース絶縁層39は、図3に示すように、本体部7およびジンバル部8にわたって形成されており、導体層6が形成される部分に対応するパターンで形成されている。なお、ベース絶縁層39は、図4および図5に示すように、第1基板開口部9および第2基板開口部16においても、導体層6が形成される部分に対応するパターンに形成されている。
【0071】
ベース絶縁層39は、第1絶縁層としての第1ベース絶縁層41と、第1ベース絶縁層41の上に形成される第2絶縁層としての第2ベース絶縁層42とを備えている。
【0072】
第1ベース絶縁層41は、図3および図5に示すように、本体部7およびジンバル部8にわたって、金属支持基板5の上面に設けられている。
【0073】
また、第1ベース絶縁層41には、第2基板開口部16内において、ステージ14の後端縁から後側に向かって突出する先側突出部50と、基部13の先端縁から先側に向かって突出する後側突出部51とが形成されている。先側突出部50の突出端部49、および、後側突出部51の突出端部49は、内側に第1ベース開口部43が形成される平面視略矩形枠状に形成されている。
【0074】
第1ベース開口部43は、平面視略矩形状をなし、第1ベース絶縁層41の厚み方向を貫通するように形成されている。
【0075】
第2ベース絶縁層42は、図3および図4が参照されるように、本体部7およびジンバル部8にわたって、第1ベース絶縁層41の上面に設けられている。第2ベース絶縁層42は、厚み方向に投影したときに、第1ベース絶縁層41(第2基板開口部16内に配置される第1ベース絶縁層41を除く)と実質的に同一外形で形成されている。
【0076】
また、第2ベース絶縁層42の上面には、第2導体パターン22(ヘッド側端子35、外部側端子34(図1参照)およびヘッド用配線36(ヘッド側連絡部37およびヘッド用配線外部側部分38))と、第1導体パターン21の一部(素子用配線供給側部分32および供給側端子24(図1参照))とが、形成されている。
【0077】
さらに、第2ベース絶縁層42には、4つの導通部28に対応する4つの第2ベース開口部44が形成されている。各第2ベース開口部44は、平面視略円形状をなし、第2ベース絶縁層42の厚み方向を貫通するように形成されている。
【0078】
なお、第1ベース絶縁層41および第2ベース絶縁層42は、第2連結部18を形成するパターンとしても形成されている。
【0079】
第1ベース絶縁層41および第2ベース絶縁層42は、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂などの絶縁材料から形成されている。好ましくは、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0080】
第1ベース絶縁層41および第2ベース絶縁層42の厚みは、それぞれ、例えば、1〜35μm、好ましくは、3〜15μmである。
【0081】
導体層6は、ベース絶縁層39の上面において、上記したように、第1導体パターン21および第2導体パターン22を備える配線回路パターンとして形成されている。
【0082】
なお、第1導体パターン21は、後で詳述する導通部28を含んでいる。
【0083】
また、第1導体パターン21において、素子側先端子29および素子側後端子30は、その中央部が、第1ベース絶縁層41の第1ベース開口部43内に落ち込むように形成され、それにより、素子側先端子29および素子側後端子30の下面が、第1ベース絶縁層41から下方に露出している。
【0084】
なお、素子側先端子29の中央部の下面は、その周端部に形成される第1ベース絶縁層41の下面と、幅方向および先後方向において面一に形成されている。また、素子側後端子30の中央部の下面は、その周端部に形成される第1ベース絶縁層41の下面と、幅方向および先後方向において面一に形成されている。
【0085】
導体層6は、例えば、銅、ニッケル、金、はんだまたはこれらの合金などの導体材料から形成されている。好ましくは、銅から形成されている。
【0086】
第1導体パターン21および第2導体パターン22の厚みは、例えば、3〜50μm、好ましくは、5〜20μmである。また、供給側端子24、素子側端子25、外部側端子34およびヘッド側端子35の幅および長さ(長手方向長さ)は、例えば、15〜1000μm、好ましくは、20〜800μmである。
【0087】
カバー絶縁層40は、本体部7およびジンバル部8にわたって形成され、ベース絶縁層39の上に、導体層6を被覆するように形成されている。具体的には、カバー絶縁層40は、第2ベース絶縁層42の上に、素子用配線26(後述する素子用配線供給側部分32)およびヘッド用配線36(後述するヘッド側連絡部37およびヘッド用配線外部側部分38)を被覆し、供給側端子24(図1参照)および外部側端子34(図1参照)を露出するパターンに形成されている。
【0088】
カバー絶縁層40は、ベース絶縁層39を形成する絶縁材料と同様の絶縁材料から形成されている。カバー絶縁層40の厚みは、例えば、1〜40μm、好ましくは、3〜10μmである。
【0089】
次に、素子側連絡部31および導通部28について詳述する。
【0090】
但し、4つの素子側連絡部31および4つの導通部28のうち、中央部15の幅方向一方側(左側)において、第2基板開口部16の先側に設けられる素子側連絡部31および導通部28のみを例示して説明するが、残り3つの素子側連絡部31および残り3つの導通部28については、上記と同様の形状に形成されている。
【0091】
素子側連絡部31は、図3および図5に示すように、第1ベース絶縁層41の上、かつ、第2ベース絶縁層42の下に形成されている。具体的には、素子側連絡部31は、第1ベース絶縁層41の上面において、第2ベース絶縁層42に被覆されるように、先後方向に延びるパターンに形成されている。
【0092】
また、素子側連絡部31の後端部は、素子側先端子29に連続しており、これにより、素子側連絡部31は、素子側先端子29と電気的に接続されている。
【0093】
素子側連絡部31の先端部は、導通部28を介して素子用配線供給側部分32(図2参照)と電気的に接続されている。
【0094】
導通部28は、第2ベース開口部44に対応するように形成されている。
【0095】
詳しくは、導通部28は、平面視略円形状をなし、第2ベース絶縁層42の第2ベース開口部44内に充填される下部45と、下部45の上端から第2ベース開口部44の周囲の第2ベース絶縁層42の上面を被覆する上部46とを連続して備えている。
【0096】
下部45は、第2ベース絶縁層42の第2ベース開口部44から露出する素子側連絡部31の上面に連続して形成されている。
【0097】
上部46は、下部45の上面と、第2ベース開口部44の周囲の第2ベース絶縁層42の上面とに形成されている。また、上部46には、素子用配線供給側部分32の外端縁(図2参照)が連続している。
【0098】
上部46は、カバー絶縁層40に被覆されている。
【0099】
これにより、導通部28は、素子側連絡部31を介して素子側端子25と電気的に接続されるとともに、素子用配線供給側部分32を介して供給側端子24(図1参照)と電気的に接続されている。つまり、素子側端子25および素子側連絡部31は、導通部28を介して、素子用配線供給側部分32および供給側端子24と電気的に接続されて(導通して)いる。
【0100】
そして、この回路付サスペンション基板1には、図2および図3に示すように、スライダ搭載領域53(図2の仮想線)においてスライダ3が搭載され、第2基板開口部16内においてピエゾ素子4が実装される。
【0101】
スライダ搭載領域53は、回路付サスペンション基板1上において、その左右方向両端部がステージ14の左右方向両端部よりも左右方向内側に配置され、その先端部がステージ14の先後方向略中央(各ヘッド側端子35の後側)に配置され、その後端部が第2基板開口部16の先後方向略中央に配置されるように、平面視略矩形状に区画されている。
【0102】
スライダ3は、平面視略矩形状をなし、スライダ3の先端部の下面が、実装領域27に、公知の接着剤からなる接着剤層47を介して接着される。なお、接着剤層47の厚みは、例えば、ベース絶縁層39およびカバー絶縁層40の総厚み以上である。
【0103】
これにより、スライダ3の先端部は、実装領域27に固定される。
【0104】
また、スライダ3の後端部は、厚み方向に投影したときに、素子側先端子29を含むように形成されている。
【0105】
詳しくは、スライダ3の先端縁は、ヘッド側端子35の後端縁に沿って配置され、具体的には、ヘッド側端子35の後側に微小間隔を隔てて配置される。そして、スライダ3の先端部に搭載される磁気ヘッド2は、ヘッド側端子35とはんだボール48とに接触される。その後、はんだボール48が溶融されて、ヘッド側端子35とはんだボール48とがはんだ付けされることにより、ヘッド側端子35とはんだボール48とが電気的に接続される。
【0106】
一方、スライダ3の後端縁は、素子側先端子29および素子側後端子30の間と、中央部15の先後方向途中とを、幅方向に横切るように配置される。
【0107】
ピエゾ素子4は、先後方向に伸縮可能であって、先後方向に長い平面視略矩形状に形成され、スライダ3の下側に間隔を隔てて配置されている。
【0108】
また、ピエゾ素子4は、厚み方向に投影したときに、中央部15を挟むように対をなして設けられている。各ピエゾ素子4は、第2基板開口部16内に配置されている。
【0109】
詳しくは、ピエゾ素子4は、第2基板開口部16内において先後方向に対向される2組の1対の素子側端子25間に架設されるように、実装されている。
【0110】
より具体的には、各ピエゾ素子4の先端部の上面が、素子側先端子29の下面に接合されるとともに、各ピエゾ素子4の後端部の上面が、素子側後端子30の下面に接合されている。
【0111】
これにより、各ピエゾ素子4は、素子側先端子29および素子側後端子30にそれぞれ電気的に接続されるとともに、それらにそれぞれ固定される。
【0112】
また、ピエゾ素子4は、厚み方向に投影したときに、その一部が、スライダ3と重複しており、具体的には、ピエゾ素子4の先端部が、スライダ3の後端部に含まれている。
【0113】
そして、ピエゾ素子4は、電源23(図1)から第1導体パターン21を介して電気が供給され、その電圧が制御されることによって、伸縮する。
【0114】
なお、図3では、ピエゾ素子4の先後方向中央の上面に、第2基板開口部16を横切る素子用配線26およびヘッド用配線36に対応する第1ベース絶縁層41の下面が載置されるように図示されているが、実際には、それらの間には微小間隔が設けられている。
【0115】
次に、この回路付サスペンション基板1を製造する方法について、図6および図7を参照して説明する。
【0116】
まず、この方法では、図6(a)に示すように、平板状の金属支持基板5を用意する。
【0117】
次いで、図6(b)および図5に示すように、第1ベース絶縁層41を金属支持基板5の上に形成する。
【0118】
第1ベース絶縁層41は、例えば、金属支持基板5の上に、感光性の絶縁材料のワニスを塗布して乾燥させた後、露光および現像して、加熱硬化することにより、第1ベース開口部43が形成されるパターンで形成する。
【0119】
なお、第1ベース絶縁層41は、後の工程(図7(g)参照)で第1基板開口部9(図1および図2参照)および第2基板開口部16が形成される金属支持基板5の上にも形成する。
【0120】
次いで、図6(c)および図5に示すように、素子側連絡部31および素子側端子25を、第1ベース絶縁層41の上に、アディティブ法またはサブトラクティブ法などのパターン形成法によって形成する。
【0121】
次いで、図6(d)および図4に示すように、第2ベース絶縁層42を、第1ベース絶縁層41の上に、素子側連絡部31および素子側端子25を被覆し、かつ、第2ベース開口部44が形成されるパターンで形成する。
【0122】
第2ベース絶縁層42は、例えば、金属支持基板5、第1ベース絶縁層41、素子側連絡部31および素子側端子25の上に、感光性の絶縁材料のワニスを塗布して乾燥させた後、露光および現像して、加熱硬化することにより、上記したパターンで形成する。
【0123】
次いで、図7(e)および図4に示すように、導通部28と、素子用配線26(素子用配線供給側部分32)と、供給側端子24(図1参照)と、第2導体パターン22(外部側端子34、ヘッド側端子35およびヘッド用配線36)とを、第2ベース絶縁層42の上に、アディティブ法またはサブトラクティブ法などのパターン形成法によって形成する。
【0124】
次いで、図7(f)に示すように、カバー絶縁層40を、第2ベース絶縁層42の上に、素子用配線供給側部分32およびヘッド用配線外部側部分38を被覆するパターンで形成する。
【0125】
具体的には、第1ベース絶縁層41、第2ベース絶縁層42、第1導体パターン21および第2導体パターン22の上に、感光性の絶縁材料のワニスを塗布して乾燥させた後、露光および現像して、加熱硬化することにより、上記したパターンで形成する。
【0126】
次いで、図7(g)に示すように、金属支持基板5を、例えば、エッチングなどによって外形加工するとともに、金属支持基板5に第1基板開口部9(図1および図2参照)および第2基板開口部16を形成する。
【0127】
続いて、図3に示すように、磁気ヘッド2が設けられたスライダ3を、接着剤層47を介して実装領域27に実装するとともに、2つのピエゾ素子4を、2組の1対の素子側端子25(素子側先端子29および素子側後端子30)間を架設するように、各素子側端子25に接合する。
【0128】
その後、図1が参照されるように、電源23を、供給側端子24に接続するとともに、リード・ライト基板33を、外部側端子34に接続する。
【0129】
これにより、回路付サスペンション基板1を得る。
【0130】
次に、ピエゾ素子4の伸縮によるスライダ3の揺動について、図8を参照して説明する。
【0131】
まず、ピエゾ素子4は、電気が電源23(図1)から素子側端子25を介して供給され、電気の電圧が制御されることによって、一方が収縮する。すると、一方のピエゾ素子4を固定する素子側先端子29および素子側後端子30が相対的に近接する。つまり、ステージ14に支持される一方の素子側先端子29が、基部13に支持される一方の素子側後端子30に対して後側に移動する。
【0132】
これと同時に、電気が電源23(図1)から素子側端子25を介して供給され、電気の電圧が制御されることによって、他方のピエゾ素子4が伸長する。すると、他方のピエゾ素子4を固定する素子側先端子29および素子側後端子30が相対的に離間する。つまり、ステージ14に支持される他方の素子側先端子29が、基部13に支持される他方の素子側後端子30に対して、先側に移動する。
【0133】
これにより、中央部15の先端および先後方向途中が、幅方向一方側に湾曲しながら、ステージ14が、中央部15の後端を支点として、幅方向一方側に向かって揺動する。これとともに、スライダ3が幅方向一方側に向かって揺動する。
【0134】
一方、図示しないが、一方のピエゾ素子4を伸長させ、他方のピエゾ素子4を収縮させれば、スライダ3が上記と逆向きに揺動する。
【0135】
そして、この回路付サスペンション基板1では、素子側連絡部31とヘッド側連絡部37とが、第1ベース絶縁層41の上と第2ベース絶縁層42の上とに、それぞれ形成されている。
【0136】
そのため、素子側連絡部31とヘッド側連絡部37とのレイアウトの設計上の自由を高めることができるとともに、それらに連続する素子側端子25およびヘッド側端子35を、短絡を生じないような配置密度でそれぞれ形成することができる。
【0137】
その結果、コンパクト化を図りながら、素子側端子25およびヘッド側端子35の接続信頼性の向上を図ることができる。
【0138】
さらに、この回路付サスペンション基板1では、ピエゾ素子4が、素子側先端子29と素子側後端子30とに架設されているので、ピエゾ素子4の伸長および収縮によって、基部13およびステージ14を相対的に離間または近接させることにより、スライダ3を幅方向両側に確実に揺動させることができる。
【0139】
また、この回路付サスペンション基板1では、ピエゾ素子4が、金属支持基板5の第2基板開口部16内に配置されているので、薄型化を図ることができる。
【0140】
しかも、ピエゾ素子4は、スライダ3の後端部と重複しているので、基部13およびステージ14の相対的な離間または近接に対して、スライダ3を精度よく揺動させることができる。
(第2実施形態)
図9〜図13を参照して、回路付サスペンション基板の第2実施形態を説明する。なお、図9〜図13において、上記した第1実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0141】
図9は、本発明の配線回路基板の第2実施形態としての回路付サスペンション基板(素子用配線供給側部分およびヘッド用配線外部側部分が第1ベース絶縁層の上に形成される態様)のジンバル部の拡大平面図、図10は、図9に示すジンバル部のB−B線に沿う断面図、図11は、ヘッド側連絡部の斜視図、図12および図13は、図9に示す回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図を示す。
【0142】
なお、図11において、カバー絶縁層40は、ベース絶縁層39および導体層6の相対配置を明瞭に示すため、省略している。
【0143】
上記した第1実施形態では、素子用配線供給側部分32とヘッド用配線外部側部分38とを、ともに第2ベース絶縁層42の上に形成しているが、例えば、図9〜図11に示すように、ともに、第1ベース絶縁層41の上に形成することもできる。
【0144】
さらに、例えば、図9〜図11に示すように、第2ベース絶縁層42に第2ベース開口部44を形成せず、さらに、導通部28を設けることなく、ヘッド用配線外部側部分38を、第2ベース絶縁層42の端面に沿って形成させることにより、ヘッド側連絡部37と接続させることもできる。
【0145】
次に、図9〜図11を参照して、第2実施形態のヘッド側連絡部37とヘッド側端子35とを詳述する。
【0146】
図9および図10に示すように、第1ベース絶縁層41は、本体部7およびジンバル部8にわたって、金属支持基板5の上面に設けられている。
【0147】
第1ベース絶縁層41の上面には、素子用配線26(素子側連絡部31および素子用配線供給側部分32)と、ヘッド用配線36のヘッド用配線外部側部分38とが、形成されている。
【0148】
また、第1ベース絶縁層41の上面には、第2ベース絶縁層42が、素子用配線26(素子用配線供給側部分32および素子側連絡部31)とヘッド用配線外部側部分38とを被覆するパターンで形成されている。
【0149】
また、図9〜図11に示すように、ステージ14の先端部において、ヘッド側端子35およびヘッド側連絡部37に対応する第2ベース絶縁層42は、幅方向に長い略箱形状に形成されており、第2ベース絶縁層42の先端面および上面には、ヘッド側連絡部37が、連続して形成されている。
【0150】
つまり、ヘッド側連絡部37は、ヘッド用配線外部側部分38の後端部から、第2ベース絶縁層42の先端面に沿って上側に延び、その後、後側に屈曲して、第2ベース絶縁層42の上面において後側に延び、ヘッド側端子35に至るように、形成されている。
【0151】
また、ヘッド側端子35およびヘッド側連絡部37の上には、図10に示すように、カバー絶縁層40が形成されている。
【0152】
カバー絶縁層40は、第1ベース絶縁層41および第2ベース絶縁層42の上に、ヘッド側端子35およびヘッド側連絡部37を被覆するように、形成されている。
【0153】
次に、この回路付サスペンション基板1を製造する方法について、図12および図13を参照して説明する。
【0154】
まず、この方法では、図12(a)に示すように、金属支持基板5を用意する。
【0155】
次いで、図12(b)に示すように、第1ベース絶縁層41を金属支持基板5の上に形成する。
【0156】
次いで、図12(c)に示すように、第1導体パターン21(供給側端子24(図1)、素子側端子25および素子用配線26)と、外部側端子34(図1)と、ヘッド用配線外部側部分38とを、第1ベース絶縁層41の上に形成する。
【0157】
次いで、図12(d)および図11に示すように、第2ベース絶縁層42を、第1ベース絶縁層41の上に、上記したパターンで形成する。
【0158】
次いで、図13(e)および図11に示すように、ヘッド側端子35と、ヘッド側連絡部37とを、第2ベース絶縁層42の上に形成する。
【0159】
次いで、図13(f)に示すように、カバー絶縁層40を、第1ベース絶縁層41および第2ベース絶縁層42の上に、ヘッド側連絡部37を被覆するパターンで形成する。
【0160】
次いで、図13(g)に示すように、金属支持基板5を、例えば、エッチングなどによって外形加工するとともに、金属支持基板5に第1基板開口部9(図9)および第2基板開口部16を形成する。
【0161】
その後、図10に示すように、磁気ヘッド2が設けられたスライダ3を、実装領域27に実装するとともに、2つのピエゾ素子4を、2組の1対の素子側端子25間を架設するように、各素子側端子25に接合する。
【0162】
続いて、図1が参照されるように、電源23を、供給側端子24に接続するとともに、リード・ライト基板33を、外部側端子34に接続する。
【0163】
これにより、回路付サスペンション基板1を得る。
(第3実施形態)
図14〜図16を参照して、回路付サスペンション基板の第3実施形態を説明する。なお、図14〜図16において、上記した第1実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0164】
図14は、本発明の配線回路基板の第3実施形態としての回路付サスペンション基板のジンバル部の断面図を示す。図15および図16は、図14に示す回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図である。
【0165】
上記した第1実施形態では、先側突出部50の突出端部49、および、後側突出部51の突出端部49を、平面視略枠形状に形成し、素子側先端子29および素子側後端子30を、対応する突出端部49の枠内に落ち込むように形成している。
【0166】
対して、第3実施形態では、図14に示すように、先側突出部50および後側突出部51に突出端部49を形成しないで、素子側先端子29を先側突出部50よりも後側へ突出するように形成し、素子側後端子30を後側突出部51よりも前側へ突出するように形成する。
【0167】
詳しくは、第3実施形態では、素子側先端子29は、第1ベース絶縁層41の先側突出部50の上に形成される素子側連絡部31の後端部に連続して、第1ベース絶縁層41の先側突出部50の後端面に沿うように下側へ延び、その下端部において後側へ屈曲されて後側へ延びている。素子側先端子29の下面は、先側突出部50の下面と面一となるように形成されている。
【0168】
素子側後端子30は、第1ベース絶縁層41の後側突出部51の上に形成される素子側連絡部31の先端部に連続して、第1ベース絶縁層41の後側突出部51の先端面に沿うように下側へ延び、その下端部において先側へ屈曲されて先側へ延びている。素子側後端子30の下面は、後側突出部51の下面と面一となるように形成されている。
【0169】
第3実施形態において、回路付サスペンション基板1を製造するには、まず、図15(a)に示すように、金属支持基板5を用意する。
【0170】
次いで、図15(b)に示すように、第1ベース絶縁層41を、先側突出部50および後側突出部51に突出端部49を形成しない以外は上記した第1実施形態と同様のパターンで、金属支持基板5の上に形成する。
【0171】
次いで、図15(c)に示すように、第1導体パターン21(供給側端子24(図1)、素子側端子25および素子用配線26)と、外部側端子34(図1)と、ヘッド用配線外部側部分38とを、第1ベース絶縁層41の上に形成する。このとき、上記したように、素子側先端子29は、先側突出部50よりも後側へ突出するように形成され、素子側後端子30は、後側突出部51よりも前側へ突出するように形成される。
【0172】
次いで、図15(d)および図11に示すように、第2ベース絶縁層42を、第1ベース絶縁層41の上に、上記したパターンで形成する。
【0173】
次いで、図16(e)および図11に示すように、ヘッド側端子35と、ヘッド側連絡部37とを、第2ベース絶縁層42の上に形成する。
【0174】
次いで、図16(f)に示すように、カバー絶縁層40を、第1ベース絶縁層41および第2ベース絶縁層42の上に、ヘッド側連絡部37を被覆するパターンで形成する。
【0175】
次いで、図16(g)に示すように、金属支持基板5を、例えば、エッチングなどによって外形加工するとともに、金属支持基板5に第1基板開口部9および第2基板開口部16を形成する。
【0176】
これにより、回路付サスペンション基板1を得る。
【0177】
第3実施形態においても、上記した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第4実施形態)
図17〜図19を参照して、回路付サスペンション基板の第4実施形態を説明する。なお、図17〜図19において、上記した第3実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0178】
図17は、本発明の配線回路基板の第3実施形態としての回路付サスペンション基板のジンバル部の断面図を示す。図15および図16は、図14に示す回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図である。
【0179】
上記した第3実施形態において、先側突出部50の上に形成される素子側連絡部31と素子側先端子29との段差LD、および、後側突出部51の上に形成される素子側連絡部31と素子側後端子30との段差LDは、適宜調整することができる。
【0180】
例えば、図17に示すように、第4実施形態では、先側突出部50の上に形成される素子側連絡部31と素子側先端子29との段差LD、および、後側突出部51の上に形成される素子側連絡部31と素子側後端子30との段差LDを、第3実施形態の約半分の長さにする。
【0181】
第4実施形態において、回路付サスペンション基板1を製造するには、まず、図18(a)に示すように、金属支持基板5を用意する。
【0182】
次いで、図18(b)に示すように、第1ベース絶縁層41を、先側突出部50の後端部、および、後側突出部51の先端部に段差52を形成する以外は上記した第1実施形態と同様のパターンで、金属支持基板5の上に形成する。
【0183】
なお、先側突出部50の後端部、および、後側突出部51の先端部に段差52を形成するには、遮光部分と透過部分と半透過部分とからなる階調パターンを有するフォトマスクを用いて、感光性の絶縁材料を階調露光し、その後、現像する。階調露光では、第1ベース絶縁層41を形成しない部分に遮光部分を対向させ、第1ベース絶縁層41を形成する部分に透過部分を対向させ、第1ベース絶縁層41を形成する部分のうち、段差52を形成する部分に半透過部分を対向させる。
【0184】
次いで、図18(c)に示すように、第1導体パターン21(供給側端子24(図1)、素子側端子25および素子用配線26)と、外部側端子34(図1)と、ヘッド用配線外部側部分38とを、第1ベース絶縁層41の上に形成する。このとき、上記したように、素子側先端子29および素子側後端子30は、段差52の上に形成される。
【0185】
次いで、図18(d)および図11に示すように、第2ベース絶縁層42を、第1ベース絶縁層41の上に、上記したパターンで形成する。
【0186】
次いで、図19(e)および図11に示すように、ヘッド側端子35と、ヘッド側連絡部37とを、第2ベース絶縁層42の上に形成する。
【0187】
次いで、図19(f)に示すように、カバー絶縁層40を、第1ベース絶縁層41および第2ベース絶縁層42の上に、ヘッド側連絡部37を被覆するパターンで形成する。
【0188】
次いで、図19(g)に示すように、金属支持基板5を、例えば、エッチングなどによって外形加工するとともに、金属支持基板5に第1基板開口部9および第2基板開口部16を形成する。
【0189】
次いで、図19(h)に示すように、第2基板開口部16内に露出される第1ベース絶縁層41(先側突出部50および後側突出部51の下側半分、および、段差52)をエッチングして、素子側先端子29および素子側後端子30の下面を露出させる。
【0190】
これにより、回路付サスペンション基板1を得る。
【0191】
第4実施形態においても、上記した第3実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第5実施形態)
図20〜図22を参照して、回路付サスペンション基板の第5実施形態を説明する。なお、図20〜図22において、上記した第4実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0192】
図20は、本発明の配線回路基板の第5実施形態としての回路付サスペンション基板のジンバル部の断面図を示す。図21および図22は、図20に示す回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図である。
【0193】
上記した第4実施形態において、図20に示すように、先側突出部50の上に形成される素子側連絡部31と素子側先端子29との段差LD(図17参照)、および、後側突出部51の上に形成される素子側連絡部31と素子側後端子30との段差LD(図17参照)を形成しないようにすることもできる。
【0194】
第5実施形態において、回路付サスペンション基板1を製造するには、まず、図21(a)に示すように、金属支持基板5を用意する。
【0195】
次いで、図21(b)に示すように、第1ベース絶縁層41を、先側突出部50の後端部、および、後側突出部51の先端部に段差52(図18(b)参照)を形成しないようにする以外は、上記した第4実施形態と同様のパターンで、金属支持基板5の上に形成する。
【0196】
次いで、図21(c)に示すように、第1導体パターン21(供給側端子24(図1)、素子側端子25および素子用配線26)と、外部側端子34(図1)と、ヘッド用配線外部側部分38とを、第1ベース絶縁層41の上に形成する。
【0197】
次いで、図21(d)および図11に示すように、第2ベース絶縁層42を、第1ベース絶縁層41の上に、上記したパターンで形成する。
【0198】
次いで、図22(e)および図11に示すように、ヘッド側端子35と、ヘッド側連絡部37とを、第2ベース絶縁層42の上に形成する。
【0199】
次いで、図22(f)に示すように、カバー絶縁層40を、第1ベース絶縁層41および第2ベース絶縁層42の上に、ヘッド側連絡部37を被覆するパターンで形成する。
【0200】
次いで、図22(g)に示すように、金属支持基板5を、例えば、エッチングなどによって外形加工するとともに、金属支持基板5に第1基板開口部9および第2基板開口部16を形成する。
【0201】
次いで、図22(h)に示すように、第2基板開口部16内に露出される第1ベース絶縁層41をエッチングして、素子側先端子29および素子側後端子30の下面を露出させる。なお、このエッチングにより、第2基板開口部16内に露出される第1ベース絶縁層41(第4実施形態における先側突出部50および後側突出部51に対応する部分)は、全てエッチングされる。
【0202】
これにより、回路付サスペンション基板1を得る。
【0203】
第5実施形態においても、上記した第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第6実施形態)
図21〜図23を参照して、回路付サスペンション基板の第6実施形態を説明する。なお、図21〜図23において、上記した第1実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0204】
図23は、本発明の配線回路基板の第6実施形態としての回路付サスペンション基板のジンバル部の断面図を示す。
【0205】
上記した第1実施形態では、先側突出部50の突出端部49、および、後側突出部51の突出端部49を、平面視略枠形状に形成し、素子側先端子29および素子側後端子30を、対応する突出端部49の枠内に落ち込むように形成している。
【0206】
対して、第6実施形態では、図23に示すように、素子側先端子29および素子側後端子30を、対応する突出端部49の枠内に落ち込まないように、先後方向に沿って延びる断面視略直線形状に形成する。
【0207】
第6実施形態において、回路付サスペンション基板1を製造するには、上記した第5実施形態と同様に、まず、図21(a)に示すように、金属支持基板5を用意する。
【0208】
次いで、図21(b)に示すように、第1ベース絶縁層41を、金属支持基板5の上に形成する。
【0209】
次いで、図21(c)に示すように、第1導体パターン21(供給側端子24(図1)、素子側端子25および素子用配線26)と、外部側端子34(図1)と、ヘッド用配線外部側部分38とを、第1ベース絶縁層41の上に形成する。
【0210】
次いで、図21(d)および図11に示すように、第2ベース絶縁層42を、第1ベース絶縁層41の上に、上記したパターンで形成する。
【0211】
次いで、図22(e)および図11に示すように、ヘッド側端子35と、ヘッド側連絡部37とを、第2ベース絶縁層42の上に形成する。
【0212】
次いで、図22(f)に示すように、カバー絶縁層40を、第1ベース絶縁層41および第2ベース絶縁層の上に、ヘッド側連絡部37を被覆するパターンで形成する。
【0213】
次いで、図22(g)に示すように、金属支持基板5を、例えば、エッチングなどによって外形加工するとともに、金属支持基板5に第1基板開口部9および第2基板開口部16を形成する。
【0214】
そして、第6実施形態では、図22(h)に示すように、第2基板開口部16内に露出される第1ベース絶縁層41を部分的にエッチングして、素子側先端子29および素子側後端子30の下面を部分的に露出する第1ベース開口部43(図23参照)を形成する。
【0215】
これにより、回路付サスペンション基板1を得る。
【0216】
なお、第6実施形態では、ピエゾ素子4は、第1ベース開口部43内に充填される導電性接着剤層Aを介して、素子側先端子29および素子側後端子30に電気的に接続される。
【0217】
第6実施形態においても、上記した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(その他の変形例)
なお、上記した第1実施形態では、第1ベース絶縁層41を、本体部7およびジンバル部8にわたって設けているが、例えば、図5の仮想線で示すように、ジンバル部8における素子側連絡部31のみに対応するように、素子側連絡部31の下に形成することもできる。
【0218】
また、上記した第1実施形態では、金属支持基板5を回路付サスペンション基板1の長手方向全体にわたって形成しているが、例えば、図示しないが、ジンバル部8に形成することなく、本体部7のみに形成することもできる。その場合には、ジンバル部8は、ベース絶縁層39、導体層6およびカバー絶縁層40から形成される。
【0219】
さらに、上記した第1実施形態では、本発明の配線回路基板を、回路付サスペンション基板1として説明しているが、例えば、図示しないが、金属支持基板5を補強層として備える、補強層付フレキシブル配線回路基板、あるいは、金属支持基板5を備えないフレキシブル配線回路基板とすることもできる。
【符号の説明】
【0220】
1 回路付サスペンション基板
2 磁気ヘッド
3 スライダ
4 ピエゾ素子(電子素子)
5 金属支持基板
6 導体層
16 第2基板開口部
21 第1導体パターン
22 第2導体パターン
25 素子側端子(第1端子)
31 素子側連絡部(第1連絡部)
32 素子用配線供給側部分(第1配線)
35 ヘッド側端子(第2端子)
37 ヘッド側連絡部(第2連絡部)
38 ヘッド用配線外部側部分(第2配線)
41 第1ベース絶縁層(第1絶縁層)
42 第2ベース絶縁層(第2絶縁層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、前記絶縁層の上に形成される導体層とを備える配線回路基板であり、
前記絶縁層は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に形成される第2絶縁層とを備え、前記導体層は、第1導体パターンと、第2導体パターンとを備え、
前記第1導体パターンは、
第1絶縁層の上、かつ、前記第2絶縁層の下に形成される第1連絡部と、
前記第1連絡部に連続して、外部の電子素子に対して電気的に接続されるように構成され、前記電子素子が架設されるように互いに間隔を隔てて設けられる少なくとも1対の第1端子と
を備え、
前記第2導体パターンは、
前記第2絶縁層の上に形成される第2連絡部と、
前記第2連絡部に連続して、外部のスライダに設けられる磁気ヘッドに電気的に接続されるように構成される第2端子と
を備えていることを特徴とする、配線回路基板。
【請求項2】
前記第1導体パターンは、前記第1連絡部と電気的に接続される第1配線を備え、
前記第2導体パターンは、前記第2連絡部と電気的に接続される第2配線を備え、
前記第1配線および前記第2配線は、前記第2絶縁層の上に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の配線回路基板。
【請求項3】
前記第1導体パターンは、前記第1連絡部と電気的に接続される第1配線を備え、
前記第2導体パターンは、前記第2連絡部と電気的に接続される第2配線を備え、
前記第1配線および前記第2配線は、前記第1絶縁層の上に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の配線回路基板。
【請求項4】
前記第1絶縁層の下に形成される金属支持基板を備え、
前記金属支持基板には、内側に前記電子素子が配置されるように、厚み方向を貫通する開口部が形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の配線回路基板。
【請求項5】
前記開口部は、前記スライダの少なくとも一部と厚み方向に重複するように、形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の配線回路基板。
【請求項6】
前記電子素子が、ピエゾ素子であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の配線回路基板。
【請求項7】
回路付サスペンション基板として用いられることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の配線回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−62012(P2013−62012A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−151723(P2012−151723)
【出願日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】