説明

配線基板、半導体装置及びその製造方法

【課題】ガラス板を含む基板本体の両面に形成された配線層同士を容易に導通可能な配線基板、前記配線基板と電気的に接続された半導体チップを有する半導体装置、及び前記半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】本半導体装置は、配線基板と、前記配線基板と電気的に接続された半導体チップと、を備え、前記配線基板は、一方の面から他方の面に貫通する開口部を有するガラス板と、前記開口部内に形成された樹脂部と、前記樹脂部を前記一方の面側から前記他方の面側に貫通し、前記一方の面側に形成された配線層と前記他方の面側に形成された配線層とを電気的に接続する貫通配線と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通配線を有する配線基板、前記配線基板と電気的に接続された半導体チップを有する半導体装置、及び前記半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、配線基板に半導体チップを搭載した半導体装置が知られている。配線基板としては、例えば、シリコンからなる基板本体に複数の配線層と複数の絶縁層とが交互に積層され、絶縁層を介して隣接する配線層同士が、隣接する配線層に挟持された絶縁層を貫通するビアホールで接続された配線基板等が用いられている。又、基板本体の材料をシリコンからガラス板に代えた配線基板が用いられる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−68117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガラス板からなる基板本体の両面に配線層を形成した配線基板において、両面に形成された配線層同士を導通させるためには、ガラス板からなる基板本体にスルーホールを形成する必要がある。しかしながら、ガラス板からなる基板本体にスルーホールを形成することは困難である。例えば、特許文献1には、レーザトリミング法やプラズマエッチング法によりガラス板にスルーホールが形成できることが示唆されているが、何れも微細化が困難であったり、加工時間が長くなったりする問題があり、ガラス板にスルーホールを形成する好適な技術は確立されていない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ガラス板を含む基板本体の両面に形成された配線層同士を容易に導通可能な配線基板、前記配線基板と電気的に接続された半導体チップを有する半導体装置、及び前記半導体装置の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本半導体装置は、配線基板と、前記配線基板と電気的に接続された半導体チップと、を備え、前記配線基板は、一方の面から他方の面に貫通する開口部を有するガラス板と、前記開口部内に形成された樹脂部と、前記樹脂部を前記一方の面側から前記他方の面側に貫通し、前記一方の面側に形成された配線層と前記他方の面側に形成された配線層とを電気的に接続する貫通配線と、を有することを要件とする。
【0007】
本配線基板は、一方の面から他方の面に貫通する開口部を有するガラス板と、前記開口部内に形成された樹脂部と、前記樹脂部を前記一方の面側から前記他方の面側に貫通し、前記一方の面側に形成された配線層と前記他方の面側に形成された配線層とを電気的に接続する貫通配線と、を有することを要件とする。
【0008】
本半導体装置の製造方法は、配線基板を製造する工程と、前記配線基板と半導体チップとを電気的に接続する工程と、を含む半導体装置の製造方法であって、前記配線基板を製造する工程は、ガラス板に一方の面から他方の面に貫通する開口部を形成する第1工程と、前記開口部内に樹脂部を形成する第2工程と、前記樹脂部を前記一方の面側から前記他方の面側に貫通する貫通孔を形成する第3工程と、前記貫通孔内に貫通配線を形成する第4工程と、前記一方の面側及び前記他方の面側に、それぞれ前記貫通配線と電気的に接続される配線層を形成する第5工程と、を有することを要件とする。
【発明の効果】
【0009】
開示の技術によれば、ガラス板を含む基板本体の両面に形成された配線層同士を容易に導通可能な配線基板、前記配線基板と電気的に接続された半導体チップを有する半導体装置、及び前記半導体装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る半導体装置を例示する平面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図(その1)である。
【図4】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図(その2)である。
【図5】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図(その3)である。
【図6】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図(その4)である。
【図7】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図(その5)である。
【図8】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図(その6)である。
【図9】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図(その7)である。
【図10】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図(その8)である。
【図11】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図(その9)である。
【図12】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図(その10)である。
【図13】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図(その11)である。
【図14】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図(その12)である。
【図15】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図(その13)である。
【図16】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図(その14)である。
【図17】第1の実施の形態の変形例1に係る半導体装置を例示する平面図(その1)である。
【図18】第1の実施の形態の変形例1に係る半導体装置を例示する平面図(その2)である。
【図19】第1の実施の形態の変形例1に係る半導体装置を例示する平面図(その3)である。
【図20】第1の実施の形態の変形例1に係る半導体装置を例示する平面図(その4)である。
【図21】第1の実施の形態の変形例1に係る半導体装置を例示する平面図(その5)である。
【図22】第1の実施の形態の変形例2に係る貫通配線周辺部を例示する図である。
【図23】第2の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
【図24】第2の実施の形態に係る半導体装置を例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る半導体装置の構造]
まず、第1の実施の形態に係る半導体装置の構造について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。図1を参照するに、半導体装置10は、配線基板20と、配線基板20に収容された半導体チップ40とを有する。半導体装置10の平面形状は例えば矩形状であり、その寸法は、例えば幅15mm(X方向)×奥行き15mm(Y方向)×厚さ1mm(Z方向)程度とすることができる。以下、半導体装置10を構成する配線基板20及び半導体チップ40について詳説する。なお、半導体チップ40において、回路形成面と反対側に位置する回路形成面と略平行な面を背面と称する場合がある。又、半導体チップ40において、回路形成面及び背面と略垂直な面を側面と称する場合がある。
【0013】
配線基板20は、基板本体21と、樹脂部22と、貫通配線23と、第1絶縁層24と、第1配線層25と、第2絶縁層26と、第2配線層27と、第3絶縁層28と、外部接続端子29と、第4絶縁層34と、第3配線層35と、第5絶縁層36と、第4配線層37と、第6絶縁層38とを有する。
【0014】
図2は、第1の実施の形態に係る半導体装置を例示する平面図である。但し、図2は、基板本体21、樹脂部22、貫通配線23、及び半導体チップ40のみを例示し、半導体装置10の他の構成要素は省略されている。
【0015】
図1及び図2を参照するに、基板本体21は内側に開口部21xを有する略額縁状に形成されており、開口部21x内には略矩形状の半導体チップ40が収容されている。基板本体21は、硼珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、感光性ガラス等からなるガラス板である。半導体チップ40がシリコンを含む場合には、基板本体21として、熱膨張率(CTE)がシリコンと近い硼珪酸ガラス等を用いると、半導体装置10の反りや歪み等を低減可能となり好適である。なお、半導体チップ40がシリコンを含む場合の熱膨張率(CTE)は3.4ppm/℃程度であり、硼珪酸ガラスの熱膨張率(CTE)は3.3ppm/℃程度である。基板本体21の厚さは、例えば、0.1〜1mm程度とすることができる。
【0016】
開口部21xは、基板本体21の一方の面21aから他方の面21bに貫通する孔である。開口部21xの平面形状は、例えば10mm×10mm程度の略矩形状とすることができる。なお、開口部21xはテーパー状でもよい。つまり、開口部21xの内側面は、基板本体21の一方の面21aや他方の面21bに対して傾斜(直線状又は曲線状、或いはその両方を含む形状等)していてもよい。
【0017】
樹脂部22は、開口部21xの内側面と半導体チップ40の側面とが形成する空隙部を充填するように形成されている。樹脂部22の材料としては、例えば、エポキシ系の絶縁性樹脂等を用いることができる。樹脂部22には、例えばシリカ(SiO)等のフィラーが含有されていてもよい。樹脂部22に含有されるフィラーの量を調整することにより、樹脂部22の熱膨張率を調整することもできる。樹脂部22の幅は、例えば、0.2〜数mm程度とすることができる。
【0018】
貫通孔22xは、樹脂部22を基板本体21の他方の面21b側から一方の面21a側に貫通し、更に、第1絶縁層24及び第1配線層25を貫通する貫通孔である。貫通孔22x内には貫通配線23が形成されている。貫通孔22xの平面形状は、例えば直径10〜300μm程度の略円形状とすることができる。樹脂部22内で隣接する貫通孔22xのピッチは、例えば20〜600μm程度にできる。貫通配線23の材料には、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
【0019】
半導体チップ40は、例えばシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)等を含む半導体基板(図示せず)に半導体集積回路(図示せず)が形成されたものである。半導体集積回路(図示せず)は、半導体チップ40の第1絶縁層24側に形成されており、半導体チップ40の電極パッド(図示せず)は、第1配線層25と電気的に接続されている。
【0020】
基板本体21の一方の面21a、樹脂部22の第1絶縁層24側の端面、及び半導体チップ40の回路形成面は、略面一とされている。又、基板本体21の他方の面21b、樹脂部22の第4絶縁層34側の端面、貫通配線23の第4絶縁層34側の端面、及び半導体チップ40の背面は、略面一とされている。
【0021】
第1絶縁層24は、基板本体21の一方の面21a、並びに、一方の面21aと略面一である樹脂部22の端面及び半導体チップ40の回路形成面を被覆するように形成されている。第1絶縁層24の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。第1絶縁層24の厚さは、例えば5〜50μm程度とすることができる。
【0022】
第1配線層25は、第1絶縁層24上に形成されている。第1配線層25は、第1絶縁層24を貫通し貫通配線23の一方の端面を露出する第1ビアホール24x内に充填されたビア配線、及び第1絶縁層24上に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線パターンは、所定の平面形状にパターニングされている。
【0023】
第1配線層25は、第1ビアホール24x内に露出した半導体チップ40の電極パッド(図示せず)と電気的に接続されている。又、第1配線層25は、貫通孔22x内に形成された貫通配線23と電気的に接続されている。第1配線層25の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第1配線層25を構成する配線パターンの厚さは、例えば1〜30μm程度とすることができる。
【0024】
第2絶縁層26は、第1絶縁層24上に、第1配線層25を覆うように形成されている。第2絶縁層26の材料としては、第1絶縁層24と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。第2絶縁層26の厚さは、例えば5〜50μm程度とすることができる。
【0025】
第2配線層27は、第2絶縁層26上に形成されている。第2配線層27は、第2絶縁層26を貫通し第1配線層25の表面を露出する第2ビアホール26x内に充填されたビア配線、及び第2絶縁層26上に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線パターンは、所定の平面形状にパターニングされている。
【0026】
第2配線層27は、第2ビアホール26x内に露出した第1配線層25と電気的に接続されている。第2配線層27の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第2配線層27を構成する配線パターンの厚さは、例えば1〜30μm程度とすることができる。
【0027】
第3絶縁層28は、第2絶縁層26上に、第2配線層27を覆うように形成されている。第3絶縁層28は開口部28xを有し、開口部28x内には第2配線層27の一部が露出している。第3絶縁層28の材料としては、第1絶縁層24と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。第3絶縁層28の厚さは、例えば5〜50μm程度とすることができる。第3絶縁層28は、ソルダーレジスト層として機能する。
【0028】
開口部28x内に露出する第2配線層27は、半導体チップ(図示せず)や半導体装置(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。以降、開口部28x内に露出する第2配線層27を第1電極パッド27と称する場合がある。第1電極パッド27の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば40〜120μm程度とすることができる。第1電極パッド27のピッチは、例えば100〜200μm程度とすることができる。
【0029】
外部接続端子29は、第1電極パッド27上に形成されている。外部接続端子29は、第1電極パッド27を半導体チップ(図示せず)や半導体装置(図示せず)と電気的に接続するための端子として機能する。外部接続端子29としては、例えば、はんだボール等を用いることができる。はんだボールの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0030】
但し、本実施の形態では外部接続端子29を形成しているが、外部接続端子29は必ずしも形成する必要はない。つまり、第1電極パッド27自体を外部接続端子としてもよい。要は、必要なときに外部接続端子29を形成できるように第2配線層27の一部が第3絶縁層28から露出していれば十分である。
【0031】
なお、必要に応じ、第1電極パッド27上に金属層を形成し、金属層上に外部接続端子29を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。
【0032】
第4絶縁層34は、基板本体21の他方の面21b、並びに、他方の面21bと略面一である樹脂部22の端面及び半導体チップ40の背面を被覆するように形成されている。第4絶縁層34の材料としては、第1絶縁層24と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。第4絶縁層34の厚さは、例えば5〜50μm程度とすることができる。
【0033】
第3配線層35は、第4絶縁層34上に形成されている。第3配線層35は、第4絶縁層34を貫通し貫通配線23の他方の端面を露出する第3ビアホール34x内に充填されたビア配線、及び第4絶縁層34上に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線パターンは、所定の平面形状にパターニングされている。
【0034】
第3配線層35は、第3ビアホール34x内に露出した貫通配線23と電気的に接続されている。第3配線層35の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第3配線層35を構成する配線パターンの厚さは、例えば1〜30μm程度とすることができる。
【0035】
第5絶縁層36は、第4絶縁層34上に、第3配線層35を覆うように形成されている。第5絶縁層36の材料としては、第1絶縁層24と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。第5絶縁層36の厚さは、例えば5〜50μm程度とすることができる。
【0036】
第4配線層37は、第5絶縁層36上に形成されている。第4配線層37は、第5絶縁層36を貫通し第3配線層35の表面を露出する第4ビアホール36x内に充填されたビア配線、及び第5絶縁層36上に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線パターンは、所定の平面形状にパターニングされている。
【0037】
第4配線層37は、第4ビアホール36x内に露出した第3配線層35と電気的に接続されている。第4配線層37の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第4配線層37を構成する配線パターンの厚さは、例えば1〜30μm程度とすることができる。
【0038】
第6絶縁層38は、第5絶縁層36上に、第4配線層37を覆うように形成されている。第6絶縁層38は開口部38xを有し、開口部38x内には第4配線層37の一部が露出している。第6絶縁層38の材料としては、第1絶縁層24と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。第6絶縁層38の厚さは、例えば5〜50μm程度とすることができる。第6絶縁層38は、ソルダーレジスト層として機能する。
【0039】
開口部38x内に露出する第4配線層37は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。以降、開口部38x内に露出する第4配線層37を第2電極パッド37と称する場合がある。必要に応じ、第2電極パッド37上に、金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。
【0040】
更に、第2電極パッド37上に(第2電極パッド37上に金属層が形成されている場合には、金属層の上に)はんだボールやリードピン等の外部接続端子を形成しても構わない。外部接続端子は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続するための端子となる。但し、第2電極パッド37(第2電極パッド37上に金属層が形成されている場合には、金属層)自体を、外部接続端子としてもよい。
【0041】
第2電極パッド37の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば100〜1000μm程度とすることができる。つまり、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される第2電極パッド37の径は、半導体チップ(図示せず)や半導体装置(図示せず)と電気的に接続される第1電極パッド27の径(例えば40〜120μm程度)よりも大きい。第2電極パッド37のピッチは、例えば500〜1200μm程度とすることができる。つまり、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される第2電極パッド37のピッチは、半導体チップ(図示せず)や半導体装置(図示せず)と電気的に接続される第1電極パッド27のピッチ(例えば100〜200μm程度)よりも広い。
【0042】
[第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図3〜図16は、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図である。図3〜図16において、Cは、半導体装置を切断して個片化する際の切断位置を示している(以下、切断位置Cとする)。又、図3〜図16は、便宜上、図1とは上下が反転して描かれている。
【0043】
まず、図3に示す工程では、硼珪酸ガラスや無アルカリガラス、石英ガラス、感光性ガラス等のガラス板を準備し、準備したガラス板に複数の開口部21xを形成して基板本体21を作製する。なお、図3において(A)は平面図、(B)は(A)のA−A線に沿う断面図である。
【0044】
基板本体21の幅W及び奥行きDは、例えば、それぞれ150〜1000mm程度とすることができる。基板本体21の厚さTは、例えば、0.1〜1mm程度とすることができる。開口部21xは、例えば、サンドブラスト加工や超音波加工等の方法により形成できる。なお、基板本体21として感光性ガラスを用いた場合には、紫外線を照射することにより開口部21xを形成できる。
【0045】
開口部21xの幅W及び奥行きDは、例えば、それぞれ10mm程度とすることができる。但し、開口部21xは、後述する工程(図5参照)において半導体チップ40が収容され、その後樹脂部22が形成される部分であるため、開口部21xの幅W×奥行きDは、半導体チップ40の幅×奥行きと、樹脂部22の幅とを考慮して適宜決定される。又、基板本体21の厚さTは、半導体チップ40の厚さと同程度になるように適宜決定される。なお、ガラス板に微細なスルーホール(直径数十μm程度)を形成することは困難であるが、開口部21xは微細なスルーホールに比べて遙かに大きいため容易に形成できる。
【0046】
なお、本実施の形態では、個片化前の基板本体21の平面形状が矩形である場合を例示するが、個片化前の基板本体21の平面形状は円形や楕円形等であっても構わない。又、図3では、図を簡略化するために、基板本体21に開口部21xを9個設けるように図示されているが、実際は更に多数の開口部21xを形成できる。基板本体21は、最終的には切断位置Cで切断されて個片化され、各半導体装置10の基板本体21となる。
【0047】
次に、図4に示す工程では、平板状の支持体42を準備し、支持体42の一方の面に両面粘着剤41を介して基板本体21を貼り付ける。基板本体21の開口部21x内には両面粘着剤41の一部が露出する。支持体42としては、例えば、銅板やテープ、樹脂板等を用いることができる。支持体42の厚さは、例えば、数mm程度とすることができる。
【0048】
次に、図5に示す工程では、複数の半導体チップ40を準備し、各半導体チップ40を回路形成面を両面粘着剤41側にして(フェイスダウンの状態で)、基板本体21の各開口部21xに収容する。各半導体チップ40は、両面粘着剤41により、各開口部21x内に固着される。基板本体21及び半導体チップ40には、予め位置決め用のアライメントマークが形成されている。所定の位置決め装置を用いて基板本体21及び半導体チップ40のアライメントマークを認識し、基板本体21に対して半導体チップ40を位置決めすることにより、基板本体21の各開口部21xに半導体チップ40を収容できる。各開口部21xの内側面と各半導体チップ40の側面との間には空隙部43が形成される。空隙部43の幅は、例えば、0.2〜数mm程度とすることができる。
【0049】
次に、図6に示す工程では、図5に示す空隙部43を充填するように樹脂部22を形成する。樹脂部22は、例えば、ディスペンサを用いて空隙部43に樹脂部22となる材料を塗布することにより形成できる。樹脂部22は、例えば、印刷法等により空隙部43に樹脂部22となる材料を充填することにより形成してもよい。樹脂部22の材料としては、例えば熱硬化性を有する液状又はペースト状のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等を用いることができる。樹脂部22は、空間充填性に優れた材料を用いることが好ましい。樹脂部22の材料として熱硬化性を有する液状又はペースト状のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等を用いた場合には、空隙部43に樹脂部22を充填した後、樹脂部22を硬化温度以上に加熱して硬化させる。
【0050】
次に、図7に示す工程では、両面粘着剤41及び支持体42を除去する。両面粘着剤41及び支持体42は、機械的に剥離することにより除去できる。支持体42が銅板である場合には、例えば塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去してもよい。又、両面粘着剤41は、アッシング法等により除去してもよい。
【0051】
図6又は図7に示す工程において、基板本体21の他方の面21b側を、例えば機械的に研削して平坦化することが好ましい。平坦化により、基板本体21の他方の面21b、樹脂部22の端面、及び半導体チップ40の背面を略面一とすることが可能となり、その後の工程で絶縁層や配線層を容易に積層形成できる。
【0052】
次に、図8に示す工程では、基板本体21の一方の面21a、並びに、一方の面21aと略面一である樹脂部22の端面及び半導体チップ40の回路形成面を被覆するように第1絶縁層24を形成する。第1絶縁層24の材料としては、例えば熱硬化性を有するシート状のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂、又は、熱硬化性を有する液状又はペースト状のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。
【0053】
第1絶縁層24は、COレーザ等を用いたレーザ加工法等により第1ビアホール24xを形成しやすくするために、例えばシリカ(SiO)等のフィラーが含有された樹脂材を用いることが好ましい。第1絶縁層24に含有されるフィラーの量を調整することにより、第1絶縁層24の熱膨張率を調整することもできる。他の絶縁層についても同様である。第1絶縁層24の厚さは、例えば5〜50μm程度とすることができる。
【0054】
第1絶縁層24の材料として熱硬化性を有するシート状のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等を用いた場合には、基板本体21の一方の面21a、並びに、一方の面21aと略面一である樹脂部22の端面及び半導体チップ40の回路形成面を被覆するようにシート状の第1絶縁層24をラミネートする。そして、ラミネートした第1絶縁層24を押圧しながら硬化温度以上に加熱して硬化させる。なお、第1絶縁層24を真空雰囲気中でラミネートすることにより、第1絶縁層24中へのボイドの巻き込みを防止することができる。
【0055】
第1絶縁層24の材料として熱硬化性を有する液状又はペースト状のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等を用いた場合には、基板本体21の一方の面21a、並びに、一方の面21aと略面一である樹脂部22の端面及び半導体チップ40の回路形成面を被覆するように液状又はペースト状の第1絶縁層24を例えばスピンコート法等により塗布する。そして、塗布した第1絶縁層24を硬化温度以上に加熱して硬化させる。
【0056】
次に、図9に示す工程では、第1絶縁層24に、第1絶縁層24を貫通し半導体チップ40の電極パッド(図示せず)の表面を露出する第1ビアホール24xを形成する。第1ビアホール24xは、例えばCOレーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。レーザ加工法により形成した第1ビアホール24xは、第2絶縁層26が形成される側に開口されていると共に、半導体チップ40の電極パッド(図示せず)の表面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となる。なお、他のビアホールもレーザ加工法により形成すると同様の形状となる。第1ビアホール24xをレーザ加工法により形成した場合には、デスミア処理を行い、第1ビアホール24xの底部に露出する半導体チップ40の電極パッド(図示せず)の表面に付着した第1絶縁層24の樹脂残渣を除去することが好ましい。他のビアホールをレーザ加工法により形成する場合も同様である。
【0057】
なお、第1ビアホール24xは、第1絶縁層24として感光性樹脂を用い、フォトリソグラフィ法により第1絶縁層24をパターニングすることにより形成しても構わない。又、第1ビアホール24xは、第1ビアホール24xに対応する位置をマスクするスクリーンマスクを介してペースト状の樹脂を印刷し硬化させることにより形成しても構わない。第1ビアホール24xの径は、例えば、50μm程度とすることができる。
【0058】
次に、図10に示す工程では、第1絶縁層24上に第1配線層25を形成する。第1配線層25は、第1ビアホール24x内に充填されたビア配線、及び第1絶縁層24上に形成された配線パターンを含んでいる。第1配線層25は、第1ビアホール24x内に露出した半導体チップ40の電極パッド(図示せず)と電気的に接続される。第1配線層25の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第1配線層25は、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成することができる。なお、樹脂部22及び第1絶縁層24の貫通孔22x形成位置を開口するように配線パターンを形成しておくと、次工程において、配線パターンをマスクとして貫通孔22xを形成でき好適である。
【0059】
なお、樹脂部22は、硬化収縮により、基板本体21の一方の面21aから端面が凹んだ状態で形成される場合がある。その際、図8に示す工程で第1絶縁層24を基板本体21の一方の面21a及び樹脂部22の端面上に形成することにより、樹脂部22の端面に形成された凹部を埋めて平坦化することが可能となり、図10に示す工程で平坦な第1絶縁層24上に第1配線層25を精度よく形成することができる。又、後述の図11に示す工程で貫通孔22xを精度よく形成することができる。
【0060】
又、基板本体21の他方の面21b側については、図6又は図7に示す工程において、例えば機械的に研削していれば、基板本体21の他方の面21bと樹脂部22の端面との平坦性が確保されている。その場合には、後述の図13に示す工程で第4絶縁層34を形成することなく、基板本体21の他方の面21bや樹脂部22の端面上に直接第3配線層35を形成してもよい。
【0061】
又、後述の第2の実施の形態のように、基板本体21に半導体チップを収容しない場合には、基板本体21の一方の面21a側及び他方の面21b側を、例えば機械的に研削して平坦性を確保してもよい。
【0062】
次に、図11に示す工程では、樹脂部22及び第1絶縁層24に貫通孔22xを形成する。なお、図11において(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面図である。貫通孔22xは、第1配線層25に含まれる配線パターンをマスクとして、例えばCOレーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。配線パターンの開口部も貫通孔22xの一部となる。なお、第1配線層25上に貫通孔22x形成位置を開口するようにレジスト層を形成し、レジスト層をマスクとしてレーザ加工法等により貫通孔22xを形成してもよい。
【0063】
貫通孔22xの平面形状は、例えば直径10〜300μm程度の略円形状とすることができる。樹脂部22内で隣接する貫通孔22xのピッチは、例えば20〜600μm程度にできる。なお、ガラス板に貫通孔(スルーホール)を形成する場合と異なり、樹脂部22には容易に貫通孔22xを形成できる。ガラス板に貫通孔(スルーホール)を形成する場合には、例えば、1秒間に1孔程度しか形成できないが、樹脂部22に貫通孔22xを形成する場合には、例えば、1秒間に10〜100孔程度形成できる。
【0064】
次に、図12に示す工程では、貫通孔22xを充填するように貫通配線23を形成する。貫通配線23は、例えば、無電解めっき法により形成できる。貫通配線23は、貫通孔22x内にシード層を形成し、電解めっき法により形成してもよい。貫通配線23の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。
【0065】
次に、図13に示す工程では、図8に示す工程と同様にして、基板本体21の他方の面21b、並びに、他方の面21bと略面一である樹脂部22の端面、貫通配線23の端面、及び半導体チップ40の背面を被覆するように第4絶縁層34を形成する。そして、図9に示す工程と同様にして、第4絶縁層34に、第4絶縁層34を貫通し貫通配線23の端面を露出する第3ビアホール34xを形成する。更に、図10に示す工程と同様にして、第4絶縁層34上に、第3ビアホール34x内に充填されたビア配線及び第4絶縁層34上に形成された配線パターンを含む第3配線層35を形成する。
【0066】
なお、図8に示す工程の段階で、基板本体21の他方の面21b、並びに、他方の面21bと略面一である樹脂部22の端面、貫通配線23の端面、及び半導体チップ40の背面を被覆するように第4絶縁層34を形成してもよい。
【0067】
次に、図14に示す工程では、図8〜図10に示す工程と同様にして、第1絶縁層24上に第1配線層25を被覆する第2絶縁層26を形成し、更に第2絶縁層26を貫通する第2ビアホール26xを形成後、第2絶縁層26上に第2ビアホール26xを介して第1配線層25と電気的に接続される第2配線層27を形成する。又、第4絶縁層34上に第3配線層35を被覆する第5絶縁層36を形成し、更に第5絶縁層36を貫通する第4ビアホール36xを形成後、第5絶縁層36上に第4ビアホール36xを介して第3配線層35と電気的に接続される第4配線層37を形成する。
【0068】
次に、図15に示す工程では、第2絶縁層26上に、開口部28xを有する第3絶縁層28を形成する。又、第5絶縁層36上に、開口部38xを有する第6絶縁層38を形成する。具体的には、第2絶縁層26上に、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等を含む感光性樹脂を塗布し、塗布した感光性樹脂を露光及び現像することで開口部28xを形成する。第2配線層27の一部は、第3絶縁層28の開口部28x内に露出する(第1電極パッド27)。又、第5絶縁層36上に、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等を含む感光性樹脂を塗布し、塗布した感光性樹脂を露光及び現像することで開口部38xを形成する。第4配線層37の一部は、第6絶縁層38の開口部38x内に露出する(第2電極パッド37)。第3絶縁層28及び第6絶縁層38は、ソルダーレジスト層として機能する。
【0069】
なお、本実施の形態では、基板本体21の一方の面21a及び他方の面21bに絶縁層を介して2層の配線層を形成する例を示したが、基板本体21の一方の面21a及び他方の面21bに形成する配線層は1層や3層以上であってもよい。
【0070】
次に、図16に示す工程では、第1電極パッド27上に外部接続端子29を形成する。外部接続端子29としては、例えば、はんだボール等を用いることができる。はんだボールの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0071】
外部接続端子29は、例えば第1電極パッド27上に表面処理剤としてのフラックスを塗布した後、はんだボールを搭載し、240℃〜260℃程度の温度でリフローし、その後、表面を洗浄してフラックスを除去することにより形成できる。但し、前述のように、外部接続端子29は形成しなくてもよい。
【0072】
必要に応じ、第2電極パッド37上に金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。金属層は、例えば、無電解めっき法により形成することができる。
【0073】
次に、図16に示す構造体を切断位置Cで切断して個片化することにより、図1に示す半導体装置10が完成する。図16に示す構造体の切断は、ダイシングブレードを用いたダイシング等によって行うことができる。なお、個片化の際、複数の半導体チップ40を有するように切断しても構わない。その場合には、複数の半導体チップ40を有する半導体装置が作製される。
【0074】
このように、第1の実施の形態によれば、ガラス板である基板本体21を含む配線基板20に半導体チップ40を収容した半導体装置10において、基板本体21には貫通孔(スルーホール)を形成せず、樹脂部22に貫通孔22xを形成し貫通孔22xに貫通配線23を形成している。ガラス板である基板本体21に貫通孔(スルーホール)を形成する場合と比べて、樹脂部22には微細な貫通孔22xを容易に形成できるため、半導体装置10の製造工程を大幅に容易化することが可能となる。つまり、ガラス板である基板本体21の両面に形成された配線層同士を容易に導通可能となる。
【0075】
又、基板本体21として絶縁体であるガラス板を用いることにより、絶縁体でないシリコンや金属を用いた場合と異なり、表面に絶縁膜を形成する必要がなくなるため、半導体装置10の製造工程を簡略化できる。
【0076】
又、基板本体21としてガラス板を用いることにより、円形以外の形状を選択し難いシリコンと異なり、個片化前の基板本体21として円形以外の形状を選択し易く、又、パネルサイズの選択自由度を大幅に増やすことができる。
【0077】
又、基板本体21として透明なガラス板を用いることにより、不透明なシリコンや金属を用いた場合と異なり、例えば基板本体21の一方の面21a側に設けたアライメントマークを、他方の面21b側から透視して利用することができる。
【0078】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、第1の実施の形態とは異なる基板本体21の開口部形状や貫通配線23の形成位置等を例示する。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0079】
図17〜図21は、第1の実施の形態の変形例1に係る半導体装置を例示する平面図である。但し、図17〜図21は、個片化前の半導体装置を例示している。又、図17〜図21は、基板本体21、樹脂部22、貫通配線23、及び半導体チップ40のみを例示し、半導体装置の他の構成要素は省略されている。
【0080】
図17に示すように、貫通配線23は複数列としてもよい。図17の例では、貫通配線23をY軸と平行な方向に複数列形成しているが、X軸と平行な方向に複数列形成してもよいし、X軸と平行な方向及びY軸と平行な方向に複数列形成してもよい。又、図17の例では、貫通配線23をY軸と平行な方向に2列形成しているが、貫通配線23をX軸と平行な方向やY軸と平行な方向に3列以上形成してもよい。
【0081】
又、図18に示すように、開口部21x内に複数の半導体チップを収容してもよい。図18の例では、2つの半導体チップ(半導体チップ40a及び40b)を収容しているが、3つ以上の半導体チップを収容してもよい。又、複数の半導体チップは同一機能を有するものでも、異なる機能を有するものでもよい。又、複数の半導体チップは同一形状でも、異なる形状でもよい。又、隣接する半導体チップ間に充填された樹脂部22に貫通配線23を設けてもよい。
【0082】
又、図19に示すように、開口部21xには半導体チップ40のみを収容し、開口部21xとは別に貫通配線23形成用の開口部21yを設けてもよい。図19の例では、開口部21xのX方向の両脇に、一方の面21aから他方の面21bに貫通する開口部21yを形成し、開口部21y内を樹脂部22で充填して樹脂部22に貫通配線23を設けている。開口部21xと開口部21yとの間に位置する基板本体21の幅は、例えば、0.5mm程度とすることができる。
【0083】
又、図20に示すように、図19の開口部21xのY方向の両脇に、更に一方の面21aから他方の面21bに貫通する開口部21zを形成し、開口部21z内を樹脂部22で充填して樹脂部22に貫通配線23を設けてもよい。
【0084】
又、図21に示すように、図20において隣接する開口部21y及び隣接する開口部21zをそれぞれ一体化してもよい。この場合には、樹脂部22に設けられた2列の貫通配線23の間が切断位置Cとなる。つまり、図21に示す構造体を切断位置Cで切断して個片化すると、2列の貫通配線23が設けられた開口部21y及び21zはそれぞれ切断位置Cで分離され、分離された各1列の貫通配線23が隣接する半導体装置に帰属する。個片化により、開口部21y及び21zを充填する樹脂部22の一部は、基板本体21の側面から露出する。
【0085】
図21の場合には、ダイシングを行う部分の一部に樹脂部22が含まれるため、ガラス板を切断する部分が減少し、ダイシングを容易に行うことができる。又、隣接する開口部21y及び隣接する開口部21zをそれぞれ一体化して形成してから個片化するため、半導体装置の小型化に寄与できる。
【0086】
このように、基板本体21の開口部形状や貫通配線23の形成位置、半導体チップ40を収容する個数等は適宜選択できる。例えば、貫通配線23を形成する樹脂部22は開口部21x内に形成してもよいし、開口部21xとは別に開口部21yや開口部21zを設け、開口部21yや開口部21z内に樹脂部22を形成してもよい。
【0087】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、貫通配線を同軸構造とする例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0088】
図22は、第1の実施の形態の変形例2に係る貫通配線周辺部を例示する図である。なお、図22において(A)は平面図、(B)は(A)のD−D線に沿う断面図である。図22を参照するに、樹脂部22には貫通孔22xが形成され、貫通孔22x内には貫通配線53が形成されている。
【0089】
貫通配線53は、遮蔽部53a及び信号伝送部53bを有する。遮蔽部53aは、貫通孔22xの内側面を覆うように、平面形状が略円環状に形成されている。遮蔽部53aは、半導体装置の基準電位(GND)と電気的に接続されている。遮蔽部53aの形成する円環内には絶縁材料からなる樹脂部52が充填されている。樹脂部52には、貫通孔52xが形成され、貫通孔52x内には信号伝送部53bが形成されている。
【0090】
樹脂部52の材料は、例えば、樹脂部22と同様とすることができる。貫通配線53の材料は、例えば、貫通配線23と同様とすることができる。貫通配線53は、図2や図17〜図21等に示す貫通配線23に代えて形成することができる。1つの半導体装置に、貫通配線23と貫通配線53とが併存しても構わない。
【0091】
このように、第1の実施の形態の変形例2では、第1の実施の形態と同様の効果を奏するが、更に以下の効果を奏する。すなわち、絶縁材料からなる樹脂部52を介して信号伝送部53bの周囲を遮蔽部53aで囲み、遮蔽部53aを半導体装置の基準電位(GND)と電気的に接続した所謂同軸構造の貫通配線53を用いることにより、信号伝送部53bを流れる信号に対して外来ノイズをシールド(遮蔽)する効果を奏する。又、隣接して配置される貫通配線53間に生じる電気的結合(容量結合)を低減することが可能となり、貫通配線53自体がノイズ源となることを防止できる。
【0092】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、配線基板上に半導体チップを搭載した半導体装置を例示する。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0093】
図23は、第2の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。図23を参照するに、半導体装置60は、配線基板70と、配線基板70上に搭載された半導体チップ40とを有する。配線基板70の層構成は、配線基板20の層構成と同様であるが、基板本体21に開口部21xは形成されていない。以下、第1の実施の形態との相違点について詳説する。
【0094】
図24は、第2の実施の形態に係る半導体装置を例示する平面図である。但し、図24は、基板本体21、樹脂部22、及び貫通配線23のみを例示し、半導体装置60の他の構成要素は省略されている。図23及び図24を参照するに、略矩形状である基板本体21には、貫通配線23形成用の開口部21yのみが形成されており、図2等に示す開口部21xは形成されていない。開口部21yは、所定の間隔でY軸に平行な方向に2列形成されている。各開口部21y内には樹脂部22が充填されており、樹脂部22には貫通配線23が形成されている。なお、各開口部21y内に複数列の貫通配線23を形成してもよい。又、貫通配線23形成用開口部は、図20や図21のような位置に形成してもよい。
【0095】
配線基板70の第1電極パッド27と半導体チップ40の電極パッド(図示せず)とは、外部接続端子29を介して電気的に接続されている。配線基板70と半導体チップ40との隙間に、アンダーフィル樹脂を充填しても構わない。
【0096】
半導体装置60を製造するには、まず、配線基板20と同様の製造工程で配線基板70を作製する(但し、開口部21xは形成せずに開口部21yを形成する)。そして、半導体チップ40を準備し、半導体チップ40の電極パッド(図示せず)が配線基板70の外部接続端子29と接触するように、半導体チップ40を配線基板70上に配置する。そして、半導体チップ40を配線基板70上に配置した状態でリフロー炉に入れ、外部接続端子29の材料であるはんだ等を溶融させた後硬化させる。これにより、配線基板70の第1電極パッド27と半導体チップ40の電極パッド(図示せず)とは外部接続端子29を介して電気的に接続され、半導体装置60が完成する。
【0097】
このように、半導体チップはガラス板である基板本体を含む配線基板に収容する形態ではなく、ガラス板である基板本体を含む配線基板に搭載する形態であってもよい。
【0098】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0099】
例えば、図17や図18に示す例は、図19〜図21に示す例と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0100】
10、60 半導体装置
20、70 配線基板
21 基板本体
21a 基板本体の一方の面
21b 基板本体の他方の面
21x、21y、21z、28x、38x 開口部
22、52 樹脂部
22x、52x 貫通孔
23、53 貫通配線
24 第1絶縁層
24x 第1ビアホール
25 第1配線層
26 第2絶縁層
26x 第2ビアホール
27 第2配線層
28 第3絶縁層
29 外部接続端子
34 第4絶縁層
34x 第3ビアホール
35 第3配線層
36 第5絶縁層
36x 第4ビアホール
37 第4配線層
38 第6絶縁層
40、40a、40b 半導体チップ
41 両面粘着剤
42支持体
43 空隙部
53a 遮蔽部
53b 信号伝送部
、W
、D 奥行き
厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板と電気的に接続された半導体チップと、を備え、
前記配線基板は、一方の面から他方の面に貫通する開口部を有するガラス板と、
前記開口部内に形成された樹脂部と、
前記樹脂部を前記一方の面側から前記他方の面側に貫通し、前記一方の面側に形成された配線層と前記他方の面側に形成された配線層とを電気的に接続する貫通配線と、を有する半導体装置。
【請求項2】
前記半導体チップは、前記開口部内に収容されている請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記樹脂部は、前記開口部の内側面と前記半導体チップの側面とが形成する空隙部を充填するように形成されている請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記配線基板は、前記ガラス板を前記一方の面から前記他方の面に貫通する他の開口部を更に有し、
前記他の開口部は、前記樹脂部で充填されており、
前記貫通配線は、前記他の開口部を充填する前記樹脂部に形成されている請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記他の開口部を充填する前記樹脂部の一部は、前記ガラス板の側面から露出している請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体チップは、前記配線基板上に搭載されている請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記貫通配線は、信号伝送部と、絶縁材料を介して前記信号伝送部の周囲を囲む遮蔽部とを含む請求項1乃至6の何れか一項記載の半導体装置。
【請求項8】
一方の面から他方の面に貫通する開口部を有するガラス板と、
前記開口部内に形成された樹脂部と、
前記樹脂部を前記一方の面側から前記他方の面側に貫通し、前記一方の面側に形成された配線層と前記他方の面側に形成された配線層とを電気的に接続する貫通配線と、を有する配線基板。
【請求項9】
配線基板を製造する工程と、前記配線基板と半導体チップとを電気的に接続する工程と、を含む半導体装置の製造方法であって、
前記配線基板を製造する工程は、ガラス板に一方の面から他方の面に貫通する開口部を形成する第1工程と、
前記開口部内に樹脂部を形成する第2工程と、
前記樹脂部を前記一方の面側から前記他方の面側に貫通する貫通孔を形成する第3工程と、
前記貫通孔内に貫通配線を形成する第4工程と、
前記一方の面側及び前記他方の面側に、それぞれ前記貫通配線と電気的に接続される配線層を形成する第5工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1工程と前記第2工程との間に、前記開口部内に前記半導体チップを収容する工程を更に有し、
前記第2工程では、前記開口部の内側面と前記半導体チップの側面とが形成する空隙部を充填するように樹脂部を形成する請求項9記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−256675(P2012−256675A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128215(P2011−128215)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】