説明

配線基板およびそれを用いた半導体装置

【課題】半導体チップの電極パッドの配列が疎ピッチである場合の、半導体チップの実装時におけるインナーリードへの応力集中を緩和して、インナーリードの断線が抑制される配線基板を提供する。
【解決手段】可撓性の絶縁性基材1と、絶縁性基材上に配列され、半導体チップ2が搭載される領域に配置された端部によりインナーリード4を形成する複数本の導体配線と、各導体配線におけるインナーリードに設けられた突起電極5とを備える。インナーリードに対応する形状およびピッチでインナーリードと整列させて配置され、突起電極に対応するダミー突起電極7が設けられたダミーインナーリード6と、1本または隣接する複数本のダミーインナーリードの組に対応して設けられた1本の幹導体配線8と、幹導体配線から分岐して対応する組の各ダミーインナーリードと接続された分岐配線9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばテープキャリア基板のような、柔軟な絶縁性の基材上に導体配線が配列され、各導体配線上に半導体チップとの接続用の突起電極が形成された配線基板、およびそれを用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テープキャリア基板を使用したパッケージモジュールは、COF(Chip On Film)等として知られている。テープキャリア基板は、主たる要素として、可撓性のある絶縁性のフィルム基材と、そのフィルム基材上に形成された多数本の導体配線を含む。COFは、そのようなテープキャリア基板上に半導体チップを搭載し、その電極パッドを導体配線と接続して半導体チップを実装することにより作製される。
【0003】
テープキャリア基板における半導体チップが搭載される領域に位置する導体配線の端部領域、すなわちインナーリードに突起電極が形成された構造が、特許文献1に記載されている。突起電極を介してテープキャリア基板の導体配線と半導体チップの電極パッドとを接続することにより、半導体チップの実装における接続信頼性が高められる。フィルム基材としては一般的にポリイミドが使用され、導体配線および突起電極としては銅が使用される。必要に応じて導体配線の所定部分には金属めっき被膜が形成される。
【0004】
COFは、例えば液晶パネル等の表示パネル駆動用ドライバーの実装に用いられる。表示パネル駆動用ドライバーの実装に用いられるテープキャリア基板の一例を図5に示す。このテープキャリア基板に半導体チップが実装された状態の断面図を図6に示す。
【0005】
図5において、1は可撓性の絶縁性基材であり、半導体チップ2および半導体チップ2に設けられた電極パッド3が破線で示される。絶縁性基材1上における半導体チップ2の搭載領域に、インナーリード4a〜4dが配置されている。インナーリード4a〜4dは、絶縁性基材1上に設けられた導体配線の一部であり、他端が外部端子(図示せず)を形成している。各インナーリード4a〜4dの端部には、突起電極5が設けられている。図6に示されるように、各突起電極5は、半導体チップ2の電極パッド3と対向するように配置され、突起電極5を介して電極パッド3とインナーリード4a〜4dが接続される。インナーリード4a〜4dと半導体チップ2の接合部は保護樹脂14により封止されている。
【0006】
このような、入力、出力2方向のデュアルインラインパッケージを構成するためのテープキャリア基板は、表示パネル駆動用ドライバーのような用途の場合、入力端子数と出力端子数が極端に異なるのが一般的である。図5において、インナーリード4a、4bは出力側、インナーリード4c、4dは入力側である。例えば、入力側の60〜80本に対して、出力側には400〜800本の端子が並ぶ。
【0007】
このテープキャリア基板に半導体チップ2を実装する際には、図7に示すように、ボンディングステージ10上にテープキャリア基板を載置し、ボンディングツール11により半導体チップ2を保持して、フェイスダウンボンディングを行う。ボンディングツール11により、加圧、加熱(約250℃)、および矢印Xの方向の超音波振動の印加により、突起電極5と半導体チップ2の電極パッドとを接合する。
【特許文献1】特開2004−327936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、テープキャリア基板に半導体チップをフェイスダウンボンディングにより実装する際には、加圧、加熱、および超音波振動の印加に伴い、インナーリードと突起電極の界面に応力が集中して、インナーリードの断線が発生し易い。特に、半導体チップの端部に対応するインナーリードや、疎ピッチに配列されたインナーリードにおいては、インナーリードと突起電極の界面に応力が集中し、断線し易い。
【0009】
図5におけるインナーリードは、出力側中央部12aのインナーリード4a、出力側端部12bのインナーリード4b、入力側中央部13aのインナーリード4c、入力側端部13bのインナーリード4dに分けられる。
【0010】
出力側中央部12aでは配線密度が高く、インナーリード4aは均一ピッチで配列されている。出力側端部12bのインナーリード4b、および入力側端部13bのインナーリード4dは、インナーリード4aよりも太く形成されている。これは、上述のように、半導体チップの端部に対応するインナーリードにおいてはインナーリードと突起電極の界面に応力が集中し易いので、断線を抑制するためである。
【0011】
入力側中央部13aでは、上述のとおり、半導体チップの電極パッドの配列が疎ピッチであるため、対応するインナーリード4cの配線密度が低く、インナーリード4cの配列は均一ピッチではない。そのため、疎ピッチ部分では。テープキャリア基板に半導体チップを実装する際の加圧、加熱、および超音波振動の印加に伴う応力集中により、インナーリードの断線が顕著である。
【0012】
本発明は、半導体チップの電極パッドの配列が疎ピッチである場合に、対応するインナーリードの突起電極の配列に起因して発生する半導体チップの実装時におけるインナーリードへの応力集中を緩和して、インナーリードの断線が抑制される配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の配線基板は、可撓性の絶縁性基材と、前記絶縁性基材上に配列され、半導体チップが搭載される領域に配置された端部によりインナーリードを形成する複数本の導体配線と、前記各導体配線における前記インナーリードに設けられた突起電極とを備える。上記課題を解決するために本発明の配線基板は、前記インナーリードに対応する形状およびピッチで前記インナーリードと整列させて配置され、前記突起電極に対応するダミー突起電極が設けられたダミーインナーリードと、1本または隣接する複数本の前記ダミーインナーリードの組に対応して設けられた1本の幹導体配線と、前記幹導体配線から分岐して対応する組の前記各ダミーインナーリードと接続された分岐配線とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の配線基板によれば、半導体チップの電極パッドに疎ピッチな配列の領域があっても、対応する領域のインナーリードおよび突起電極は全体として均一でより密なピッチをもって配列される。従って、疎ピッチ配列に起因して発生する、半導体チップの実装時におけるインナーリードへの応力集中が緩和され、インナーリードの断線が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の配線基板において、前記幹導体配線の配線幅Waと、当該幹導体配線に接続された前記ダミーインナーリードの本数n、および前記ダミーインナーリードの配線幅Wcとが、下記の式(1)で表される関係を満足することが好ましい。
【0016】
Wa ≧ Wc×n/4 ・・・(1)
ただし、Wa > Wc
【0017】
また、前記分岐配線の配線幅Wbと、当該分岐配線と接続された前記ダミーインナーリードの本数n、および前記ダミーインナーリードの配線幅Wcとが、下記の式(2)で表される関係を満足することが好ましい。
【0018】
Wb ≧ Wc×n/3 ・・・(2)
ただし、Wb > Wc
【0019】
また、上記いずれかの構成において、前記幹導体配線の配線幅Waと、当該幹導体配線から分岐した前記分岐配線の配線幅Wbと、当該分岐配線と接続された前記ダミーインナーリードの配線幅Wcとが、下記の式(3)の関係を満足することが好ましい。
【0020】
Wa > Wb ≧ Wc ・・・(3)
【0021】
また、上記いずれかの構成において、前記半導体チップの一辺に対応して配置された、前記インナーリードおよび前記ダミーインナーリードについて、最狭の配線幅をWmin、最大の配線幅をWmax、最小ピッチをPminとしたとき、下記の式(4)で表される関係が成立するように各寸法が設定されることが好ましい。
【0022】
Pmin ≧ 60μmの場合、Wmax ≧ 1.2×Wmin、
Pmin < 60μmの場合、Wmax ≧ 1.5×Wmin ・・・(4)
【0023】
また、上記いずれかの構成において、前記半導体チップの一辺に対応して配置された前記幹導体配線の本数をN、前記ダミーインナーリードの本数をn、1本の前記幹導体配線に対して前記分岐配線を介して接続された前記ダミーインナーリードの本数をAとしたとき、下記の式(5)で表される関係が成立するように前記幹導体配線および前記ダミーインナーリードが設けられることが好ましい。
【0024】
A = n/N ・・・(5)
【0025】
また、上記いずれかの構成において、前記半導体チップの一辺に対応して配置された、前記ダミーインナーリードを含む全ての前記インナーリード部の導体配線について、前記導体配線の最小間隔の配線ピッチをPmin、最大間隔の配線ピッチをPmaxとしたとき、下記の式(6)で表される関係が成立することが好ましい。
【0026】
Pmin ≦ 30μmの場合、Pmax ≧ 3.0×Pmin、
30μm < Pmin ≦ 60μmの場合、Pmax ≧ 2.0×Pmin、
Pmin > 60μmの場合、Pmax > 1.0×Pmin
・・・(6)
【0027】
本発明の半導体装置は、上記いずれかの構成を有する配線基板と、前記配線基板上に搭載された半導体チップとを備え、前記半導体チップの電極パッドが前記突起電極を介して前記インナーリードと接続された構成とすることができる。
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における配線基板を示す平面図である。1は、可撓性の絶縁性基材である。絶縁性基材1上の半導体チップ2、および半導体チップ2に設けられた電極パッド3が破線で示されている。絶縁性基材1上における半導体チップ2の搭載領域に、複数のインナーリード4が配置されている。インナーリード4は、絶縁性基材1上に設けられた導体配線の一部であり、他端が外部端子(図示せず)を形成している。各インナーリード4の端部には、突起電極5が設けられている。各突起電極5は、半導体チップ2の電極パッド3と対向するように配置されている。なお、図1における左側が入力側、右側は出力側である。
【0030】
入力側のインナーリード4の間にダミーインナーリード6が、インナーリード4と整列させて配置されている。ダミーインナーリード6は、インナーリード4に対応する形状およびピッチを有する。すなわち、少なくとも実質的にインナーリード4と同一寸法に形成される。ダミーインナーリード6には、突起電極5に対応するダミー突起電極7が設けられている。入力側のインナーリード4は出力側に比べて本数が少ないが、ダミーインナーリード6が配置されることにより、入力側におけるインナーリード4とダミーインナーリード6を合わせた配列、従って、突起電極5とダミー突起電極7を合わせた配列は、全体として均一で出力側と同等のピッチとなっている。
【0031】
ダミーインナーリード6はインナーリード4とは異なり、外部端子を有する完全な導体配線の一部ではなく、インナーリード4に相当する部分のみが形成されたものである。一方、ダミー突起電極7を電解めっきにより形成するためには、ダミーインナーリード6を給電ラインに接続する必要がある。但し、ダミーインナーリード6は外部端子まで個別に接続する必要はないので、全てのダミーインナーリード6を給電ラインまで延在させるのは、配線の配置効率が悪い。そこで、1本または隣接する複数本のダミーインナーリード6の組に対して1本の幹導体配線8が設けられ、幹導体配線8から分岐した分岐配線9が、対応する組の各ダミーインナーリード6と接続されている。幹導体配線8が給電ラインに接続されることにより、全てダミーインナーリード6に給電可能となっている。
【0032】
以上のように本実施の形態によれば、半導体チップの電極パッドの配列に疎密があっても、疎ピッチで配列された電極パッドに対応する領域のインナーリードおよび突起電極を、密ピッチで配列された電極パッドに対応する領域と実質的に同等のピッチで配列することができる。それにより、突起電極の疎ピッチ配列に起因して発生する、半導体チップの実装時におけるインナーリードへの応力集中が緩和され、インナーリードの断線が抑制される。
【0033】
(実施の形態2)
図2は、実施の形態2において解決しようとする課題を説明するための平面図である。同図において、図1に示した要素と同一の要素には、図1と同一の参照番号が付されている。図2の配線基板では、インナーリード4、ダミーインナーリード6、幹導体配線8および分岐配線9が、全て均一ピッチ、かつ同一の配線幅で形成されている。これにより、実施の形態1で説明した、半導体チップの実装時におけるインナーリードへの応力集中が緩和され、インナーリードの断線が抑制される効果は、相応に得られる。
【0034】
しかし、この構成の場合、ダミーインナーリード6に形成されたダミー突起電極7の高さが、インナーリード4に形成された突起電極5よりも低くなる傾向がある。その原因は、突起電極形成のための電解めっきの工程において、ダミーインナーリード6に対する給電の電流密度が、インナーリード4に対する給電の電流密度よりも低くなることである。すなわち、インナーリード4から延在する導体配線と幹導体配線8は同一の配線幅であるにもかかわらず、導体配線からは1本のインナーリード4に対して給電が行われるのに対して、幹導体配線8からは、複数本(図2では4個)のダミーインナーリード6に対する給電が行われるからである。突起電極5の高さとダミー突起電極7の高さに生じる差異により突起電極の高さがばらつくと、半導体チップを実装する際に一部の突起電極5に対する応力集中が発生してインナーリード4が断線したり、電極パッドと突起電極5の接合不良が発生したりするおそれがある。
【0035】
そこで、本実施の形態における配線基板では、幹導体配線8の配線幅Waが、分岐するダミーインナーリード6の本数nに応じて、図3に示すように調整される。
【0036】
すなわち、幹導体配線8の配線幅Waと、当該幹導体配線8に接続されたダミーインナーリード6の本数n、およびダミーインナーリード6の配線幅Wcが、下記の式(1)で表される関係を満足するように各寸法を設定する。
【0037】
Wa ≧ Wc×n/4、
ただし、Wa > Wc ・・・(1)
【0038】
これにより、電解めっき時の各ダミーインナーリード6とインナーリード4の給電の電流密度の差が低減され、ダミー突起電極7と突起電極5の高さの差が、実用上問題の無い程度に改善される。
【0039】
(実施の形態3)
実施の形態3における配線基板について、図3を参照して説明する。実施の形態2においては、幹導体配線8の配線幅Waが、分岐するダミーインナーリード6の本数nに応じて調整され、それにより、ダミーインナーリード6とインナーリード4の給電の電流密度の差が低減される。但し、分岐配線9の配線幅Wbの影響により、ダミーインナーリード6に対する給電密度が十分に改善されない場合がある。すなわち、幹導体配線8の配線幅Waを広げることにより向上させた給電能力が、分岐配線9の配線幅Wbがそれに応じた太さをもたないために、電流密度が制限されてしまう場合である。そのような状態の発生を回避するために、本実施の形態では、以下のように分岐配線9の配線幅Wbを調整する。
【0040】
すなわち、分岐配線の配線幅Wbと、当該分岐配線と接続されたダミーインナーリード6の本数n、およびダミーインナーリード6の配線幅Wcとが、下記の式(2)で表される関係を満足するように各寸法を設定する。
【0041】
Wb ≧ Wc×n/3、
ただし、Wb > Wc ・・・(2)
【0042】
これにより、幹導体配線8の給電能力が制限されることなく、電解めっき時の各ダミーインナーリード6とインナーリード4の給電の電流密度の差が十分に低減されて、ダミー突起電極7と突起電極5の高さの差が、実用上問題の無い程度に改善される。
【0043】
なお、上記のように分岐配線9の配線幅Wbを調整する際には、幹導体配線の配線幅Waとの関係を下記のように調整することが望ましい。
【0044】
すなわち、幹導体配線8の配線幅Waと、当該幹導体配線8から分岐した分岐配線9の配線幅Wbと、当該分岐配線9と接続されたダミーインナーリード6の配線幅Wcとが、下記の式(3)の関係を満足するように各寸法を設定する。
【0045】
Wa > Wb ≧ Wc ・・・(3)
【0046】
これにより、分岐配線9の配線幅Wbを、幹導体配線8の配線幅Waとの関係において有効で無駄のない範囲に設定することができる。
【0047】
(実施の形態4)
実施の形態4における配線基板について、図4を参照して説明する。インナーリード4およびダミーインナーリード6は、均一な突起電極を形成し、かつ半導体チップ実装時の応力集中に起因する断線を防止するためには、配線幅Wおよび配列のピッチPが均一であることが望ましいが、他の条件との関係で、必ずしも完全に均一に設定することが可能あるいは適切であるとは限らない。そこで、本実施の形態においては、下記のように、配列のピッチPと配線幅Wの関係を規定する。
【0048】
すなわち、半導体チップの一辺に対応して配置された、インナーリード4およびダミーインナーリード6について、最狭の配線幅をWmin、最大の配線幅をWmax、最小ピッチをPminとしたとき、下記の式(4)で表される関係が成立するように各寸法を設定する。
【0049】
Pmin ≧ 60μmの場合、Wmax ≧ 1.2×Wmin、
Pmin < 60μmの場合、Wmax ≧ 1.5×Wmin ・・・(4)
【0050】
これにより、半導体チップの電極パッドの配列に疎密があっても、疎ピッチで配列された電極パッドに対応する領域のインナーリードおよび突起電極を、密ピッチで配列された電極パッドに対応する領域と実質的に同等のピッチで配列することができる。それにより、突起電極の疎ピッチ配列に起因して発生する、半導体チップの実装時におけるインナーリードへの応力集中が緩和され、インナーリードの断線が抑制される。
【0051】
なお、上記のようにインナーリード4およびダミーインナーリード6の配線幅および配列のピッチを実用上十分な範囲に均一化するためには、1本の幹導体配線8から分岐させるダミーインナーリード6の本数を、下記のように調整することが望ましい。
【0052】
すなわち、半導体チップの一辺に対応して配置された幹導体配線8の本数をN、ダミーインナーリード6の本数をn、1本の幹導体配線8に対して分岐配線9を介して接続されたダミーインナーリード6の本数をAとしたとき、下記の式(5)で表される関係が成立するように設定する。
【0053】
A = n/N ・・・(5)
【0054】
これにより、インナーリード4およびダミーインナーリード6の配線幅および配列のピッチを、実用上十分な範囲に均一化することが容易になる。
【0055】
(実施の形態5)
実施の形態5における配線基板について、図4を参照して説明する。上述のように、インナーリード4およびダミーインナーリード6は、均一な突起電極を形成し、かつ半導体チップ実装時の応力集中に起因する断線を防止するためには、配列のピッチPが均一であることが望ましいが、他の条件との関係で、必ずしも完全に均一に設定することが可能であるとは限らず、また完全に均一に設定することが適切であるとは限らない。そこで、本実施の形態においては、下記のように配列のピッチPを規定する。
【0056】
すなわち、半導体チップの一辺に対応して配置された、インナーリード4およびダミーインナーリード6について、その最小間隔の配線ピッチをPmin、最大間隔の配線ピッチをPmaxとしたとき、下記の式(6)で表される関係が成立するように配線ピッチを設定する。
【0057】
Pmin ≦ 30μmの場合、Pmax ≧ 3.0×Pmin、
30μm < Pmin ≦ 60μmの場合、Pmax ≧ 2.0×Pmin、
Pmin > 60μmの場合、Pmax > 1.0×Pmin
・・・(6)
【0058】
これにより、インナーリード4およびダミーインナーリード6の配線幅および配列のピッチを、実用上十分な範囲に均一化することが容易になる。
【0059】
なお、以上の実施の形態においては、インナーリード4から延在する導体配線とは別に、ダミーインナーリード6に接続するための独立した幹導体配線8が設けられ、電解めっき時のダミーインナーリード6に対する給電が、幹導体配線8を介して行われるように構成された。これに対して、インナーリード4から延在する導体配線を幹導体配線として分岐させ、電解めっき時に、インナーリード4およびダミーインナーリード6に対して共通の幹導体配線から給電するように構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の配線基板によれば、半導体チップの電極パッドの配列が疎ピッチであっても、半導体チップの実装時におけるインナーリードへの応力集中に起因するインナーリードの断線が抑制されるので、テープキャリア基板を使用したパッケージモジュールの製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施の形態1における配線基板の平面図
【図2】実施の形態2における配線基板の作用を説明するために対比される配線基板の平面図
【図3】実施の形態2および3における配線基板の構成を説明するための平面図
【図4】実施の形態4および5における配線基板の構成を説明するための平面図
【図5】従来例の配線基板の平面図
【図6】同配線基板に半導体チップが実装された半導体装置を示す断面図
【図7】半導体チップを配線基板に実装する際の接合工程を示す断面図
【符号の説明】
【0062】
1 絶縁性基材
2 半導体チップ
3 電極パッド
4、4a〜4d インナーリード
5 突起電極
6 ダミーインナーリード
7 ダミー突起電極
8 幹導体配線
9 分岐配線
10 ボンディングステージ
11 ボンディングツール
12a 出力側中央部
12b 出力側端部
13a 入力側中央部
13b 入力側端部
14 保護樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の絶縁性基材と、
前記絶縁性基材上に配列され、半導体チップが搭載される領域に配置された端部によりインナーリードを形成する複数本の導体配線と、
前記各導体配線における前記インナーリードに設けられた突起電極とを備えた配線基板において、
前記インナーリードに対応する形状およびピッチで前記インナーリードと整列させて配置され、前記突起電極に対応するダミー突起電極が設けられたダミーインナーリードと、
1本または隣接する複数本の前記ダミーインナーリードの組に対応して設けられた1本の幹導体配線と、
前記幹導体配線から分岐して対応する組の前記各ダミーインナーリードと接続された分岐配線とを備えたことを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記幹導体配線の配線幅Waと、当該幹導体配線に接続された前記ダミーインナーリードの本数n、および前記ダミーインナーリードの配線幅Wcとが、下記の式(1)で表される関係を満足する請求項1に記載の配線基板。
Wa ≧ Wc×n/4 ・・・(1)
ただし、Wa > Wc
【請求項3】
前記分岐配線の配線幅Wbと、当該分岐配線と接続された前記ダミーインナーリードの本数n、および前記ダミーインナーリードの配線幅Wcとが、下記の式(2)で表される関係を満足する請求項1または2に記載の配線基板。
Wb ≧ Wc×n/3 ・・・(2)
ただし、Wb > Wc
【請求項4】
前記幹導体配線の配線幅Waと、当該幹導体配線から分岐した前記分岐配線の配線幅Wbと、当該分岐配線と接続された前記ダミーインナーリードの配線幅Wcとが、下記の式(3)の関係を満足する請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線基板。
Wa > Wb ≧ Wc ・・・(3)
【請求項5】
前記半導体チップの一辺に対応して配置された、前記インナーリードおよび前記ダミーインナーリードについて、最狭の配線幅をWmin、最大の配線幅をWmax、最小ピッチをPminとしたとき、下記の式(4)で表される関係が成立するように各寸法が設定された請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線基板。
Pmin ≧ 60μmの場合、Wmax ≧ 1.2×Wmin、
Pmin < 60μmの場合、Wmax ≧ 1.5×Wmin ・・・(4)
【請求項6】
前記半導体チップの一辺に対応して配置された前記幹導体配線の本数をN、前記ダミーインナーリードの本数をn、1本の前記幹導体配線に対して前記分岐配線を介して接続された前記ダミーインナーリードの本数をAとしたとき、下記の式(5)で表される関係が成立するように前記幹導体配線および前記ダミーインナーリードが設けられた請求項1〜5のいずれか1項に記載の配線基板。
A = n/N ・・・(5)
【請求項7】
前記半導体チップの一辺に対応して配置された、前記ダミーインナーリードを含む全ての前記インナーリード部の導体配線について、前記導体配線の最小間隔の配線ピッチをPmin、最大間隔の配線ピッチをPmaxとしたとき、下記の式(6)で表される関係が成立するように前記導体配線が形成された請求項1〜6のいずれか1項に記載の配線基板。
Pmin ≦ 30μmの場合、Pmax ≧ 3.0×Pmin、
30μm < Pmin ≦ 60μmの場合、Pmax ≧ 2.0×Pmin、
Pmin > 60μmの場合、Pmax > 1.0×Pmin
・・・(6)
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の配線基板と、前記配線基板上に搭載された半導体チップとを備え、前記半導体チップの電極パッドが前記突起電極を介して前記インナーリードと接続された半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−142103(P2007−142103A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333004(P2005−333004)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】