説明

酸化亜鉛バリスタおよびその製造方法

【課題】高い雷サージ耐量性能を有する酸化亜鉛バリスタおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】酸化亜鉛(ZnO)100mol%に対して、酸化アンチモン(Sb23)2.5〜5.0mol%と、アルミナ(Al23)0.05〜0.15mol%とを添加し、さらに酸化コバルト(CoO)と二酸化マンガン(MnO2)をそれぞれ2.0〜6.0mol%添加してなるバリスタ組成物により酸化亜鉛バリスタを作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、各種のサージやパルスノイズから電子機器等を保護するための酸化亜鉛バリスタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や産業機器等に使用される電子機器において、予期せぬサージノイズやパルス性のノイズから電子回路を保護するため、回路基板にバリスタを搭載する重要性が認識され、バリスタに対するニーズがますます高まっている。バリスタには、ラジアル部品タイプと面実装タイプがあり、用途により使い分けられている。一般的に100Vや200V等の家庭用電源を使用する機器では、ディスクバリスタ(ラジアル部品タイプのものが多い)が使用される。これは、バルクサイズの大きいものでなければ、雷サージ等の高電圧・大電流のパルスに耐えることができず、小型の積層バリスタとして構成されることが多い面実装タイプでは、十分な電子回路の保護が図れないためである。酸化亜鉛バリスタに用いる酸化亜鉛焼結体の製造方法については、例えば、特許文献1等、多くの特許出願がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−67555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年における電子機器等の省スペース化、小型化、実装コストの削減等を進める中で、これらに使用されるバリスタやその他の電子部品もラジアル部品タイプから面実装タイプに置き換えていくことが望まれている。また、実装面積の狭小化に限らず、ヒートサイクルに弱く、燃焼性を有するディスクバリスタよりも、面実装タイプのバリスタを使用することが、多様化する電子機器の仕様・用途に対応可能な点等においてメリットがある。そのため、バルクサイズの大きいバリスタではなく、高電圧・大電流に対応した面実装タイプの積層バリスタの開発が望まれ、市場要求はあるものの、その実現が難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、雷サージ耐量の高いバリスタ材料を提供し、それにより高い雷サージ耐量特性を備えた酸化亜鉛バリスタおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成し、上述した課題を解決する一手段として以下の構成を備える。すなわち、本発明の目的を達成する酸化亜鉛バリスタは、酸化亜鉛(ZnO)100mol%に対して、外掛けで酸化アンチモン(Sb23)を2.5〜5.0mol%と、アルミナ(Al23)を0.05〜0.15mol%とを添加したバリスタ組成物からなることを特徴とする。また、例えば、本発明の酸化亜鉛バリスタは、さらに、酸化亜鉛100mol%に対して、酸化コバルト(CoO)を2.0〜6.0mol%添加したことを特徴とする。さらに例えば、本発明の酸化亜鉛バリスタは、さらに、酸化亜鉛100mol%に対して、二酸化マンガンを(MnO2)2.0〜6.0mol%添加したことを特徴とする。
また、例えば、本発明の酸化亜鉛バリスタは、チップタイプの積層バリスタであることを特徴とする。
本発明の目的を達成する酸化亜鉛バリスタの製造方法は、酸化亜鉛(ZnO)100mol%に対して、外掛けで酸化アンチモン(Sb23)を2.5〜5.0mol%と、アルミナ(Al23)を0.05〜0.15mol%とを添加してなるバリスタ原料を準備する工程と、前記バリスタ原料を900±200℃で2時間保持し、昇降温度速度200±100℃/hrで仮焼きする工程とを備えることを特徴とする。また、例えば、本発明の酸化亜鉛バリスタの製造方法は、さらに、前記仮焼きの後、バリスタ原料を平均粒径0.7±0.4μmに粉砕する工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高い雷サージ耐量性能を有したバリスタ材料からなる高雷サージ耐量特性を備えた酸化亜鉛バリスタを提供できる。例えば、4000〜5000Aの雷サージ耐量を備えた酸化亜鉛バリスタを実現することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態例に係る酸化亜鉛バリスタ(チップバリスタ)の製造工程を時系列で示すフローチャートである。
【図2】図1に示す工程に従い完成させた実施の形態例に係る酸化亜鉛バリスタ(チップバリスタ)の断面構造を示す図である。
【図3】実施の形態例に係る酸化亜鉛バリスタ(チップバリスタ)と比較例とについて雷サージ試験を行った結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態例について添付図面等を参照して詳細に説明する。最初に、本実施の形態例に係る酸化亜鉛バリスタのバリスタ素体の材料設計アプローチについて説明する。具体的には、1.ZnO比抵抗の大幅な低抵抗化、2.ZnO粒子形の均一化、微細化、および、3.粒界抵抗、粒界形成の均質化というアプローチを行った。
【0010】
1.ZnO比抵抗の大幅な低抵抗化について:
バリスタの主原料となる酸化亜鉛(ZnO)は、半導体セラミックスとして知られており、ドナーとアクセプタが存在する。ドナーであるAlやGa等をドープすることで低抵抗化が可能となるが、ZnOはZ軸方向に結晶軸があり、過剰にドナーを添加するとエピタキシャルな粒成長を起こしてしまう。バリスタにおいて、このようなエピタキシャルな粒子成長を異常粒成長というが、この異常粒成長は回路保護に重要とされる制限電圧性能を大幅に劣化させる。そのため、いくら比抵抗を下げても異常粒成長により雷サージ電流が局所的に集中し、所望の性能を確保することができない。
【0011】
このような点から、現在までに進められてきたバリスタ開発においては、ドナーの添加量として、例えば、アルミナ(Al23)0.0005〜0.005mol%が適切であるとされている。ZnO比抵抗の低抵抗化にあたっては、どのようにして異常粒成長を防止しつつ、ドナーの添加量を増やすかが重要となる。
【0012】
2.ZnO粒子形の均一化、微細化について:
一般的に粒子の大きさは粒子径と表現されるが、ここでは、三次元的な表現をするために「粒子形」としている。粒子形を微細化するということは、出発原料として0.5μm程度の粒形に調整されたZnOについて、その粒形を成長させないことである。粒成長を抑制するため、一般的には、粒成長抑制元素として酸化アンチモン(Sb23)を使用する。しかし、酸化アンチモンを過剰に添加すると、焼結温度が上昇するため、結果として性能を低下させることになる。したがって、現在までに進められてきたバリスタ開発においては、酸化アンチモンを添加する最適な範囲を、0〜1.5mol%とするのが通説である。
【0013】
3.粒界抵抗、粒界形成の均質化について:
上記の2.において、ZnOの微細化が可能となった場合、ZnOの表面積の増大により粒界形成が難しくなる。適切な粒界形成には適切な遷移金属の添加量が必要となる。現在の技術では、焼き上がり後、3.0μm以上という粒に対しては、1.0mol%以下が望ましいとされている。それ以上の添加は不純物として機能し、性能を劣化させることになる。
【0014】
次に、上記アプローチの実現のために行った試作およびその検証結果について説明する。
A.ドナーの増量、異常粒成長を抑える酸化アンチモンの過剰添加、焼成温度を下げるアルミナの選択について:
バリスタのサージ性能を向上させるためには、ZnOの比抵抗の低抵抗化が避けられない。そこで、アルミナを、従来より適切とされている量に比べて過剰に添加するとともに、異常粒成長を抑えるために酸化アンチモンの添加量もまた過剰にした。
【0015】
異常粒成長は、通常、酸化亜鉛の反応温度である900℃を超えた温度に達したときに加速度的に進む。そこで、Sb23を添加することにより、400℃付近でSb24がZnO表面を取り囲み、600℃付近でパイロクロア結晶相を粒界、3重点に形態を変えて形成される。さらに900℃を超えてZnOが異常粒成長を引き起こす温度に達したとき、パイロクロアからスピネルに形態を変えた結晶相を形成することで、異常粒成長を抑制することが可能となる。
【0016】
一方、アンチモンの過剰添加は、上述したようにバリスタの焼成温度を上昇させるが、アルミナをドナーとして選択することによって、アルミナが焼結助剤としても作用する。このことから、アンチモンを過剰に添加しても焼成温度の上昇を抑制することができるということを確認した。
【0017】
表1は、酸化アンチモン(Sb23)とアルミナ(Al23)の添加量の検討結果を示している。具体的には、ZnOを100mol%として、Sb23の添加量を0.5〜6.0mol%、Al23を0.0005〜0.2mol%の範囲で各試料を作成し、耐サージ耐量(A)で検証した結果である。
【0018】
【表1】

【0019】
アンチモンの添加量が5.0mol%以上であって、アルミナの添加量が0.005mol%以下の場合、素体であるZnOの低抵抗化が進まない。その結果、耐サージ特性に優れず、焼成が得られなくなり評価ができなかった。また、アンチモンの添加量が1.5mol%以下の場合には、異状粒成長の出現により、耐サージ性能が得られなかった。このような検証の結果、Sb23は2.5〜5.0mol%、Al23は0.05〜0.15mol%の範囲(表1において太線で囲んだ部分)で添加した試料については、耐サージ耐量が5000A以上となり、最適な添加範囲を特定できた。
【0020】
B.遷移金属の過剰添加について:
上記A.に示したように、アルミナとアンチモンの添加量を多くすることで、雷サージ性能に優れるバリスタ素体材料を得ることができた。しかしながら、粒子の微細化でZnOの比表面積が増加し、粒界抵抗が低下したことに起因する問題が発生した。これは、遷移金属の不足と考えられる。
【0021】
遷移金属は、ZnOの表面に置換固溶し、価数を変えて粒界にダブルショットキー障壁という抵抗膜を形成することでバリスタ性能が出現する、という重要な機能を果たしている。上述したように、ZnOの粒界が細かくなることで比表面積が増大する。したがって、ZnOの周辺を取り囲み特性を生む遷移金属の添加量も増加する必要がある。ここでは、かかるメカニズムにしたがって、通常の添加量に対して2倍以上の遷移金属を添加することによって、ZnOを取り囲むのに十分な遷移金属が補償され、漏れ電流を改善することができた。
【0022】
表2は、遷移金属としての酸化コバルト(CoO)と二酸化マンガン(MnO2)の添加量について検討した結果を示している。具体的には、ZnOを100mol%として、CoOの添加量を0.5〜7.0mol%、MnO2を0.5〜7.0mol%の範囲で各試料を作成し、漏れ電流(μA)で検証した結果である。
【0023】
【表2】

【0024】
CoO,MnO2それぞれの添加量が1.0mol%以下の場合は、比表面積の増大に対して十分な粒界形成がされないため、漏れ電流は大きくなった。このような検証により、CoOとMnO2については、それぞれ2.0〜6.0mol%の範囲(表2において太線で囲んだ部分)で添加した試料については、漏れ電流において良好な特性が得られ、最適な範囲を特定できた。
【0025】
上述した検証の結果、本実施の形態例に係るバリスタ材料組成として最適な範囲は、表3に示すようになる。この組成によって、雷サージ耐量性能に優れた面実装バリスタを作製することが可能となる。なお、表3では、Al23について、Al(NO33・9H2Oでの添加をAl23に換算して表示している。
【0026】
【表3】

【0027】
製造プロセスについて:
次に、本実施の形態例に係るチップバリスタ(酸化亜鉛バリスタ)の製造プロセスについて説明する。図1は、本実施の形態例に係る酸化亜鉛バリスタ(チップバリスタ)の製造工程を時系列で示すフローチャートである。最初の工程(ステップS1)で、表3に示すバリスタ材料の組成に基づき原料の調合を行う。ここでは、メジアン平均粒径3μm程度の酸化亜鉛(ZnO)100mol%に対して、酸化ビスマス(Bi23)を0.2mol%、酸化コバルト(CoO)を4.0mol%、二酸化マンガン(MnO2)を4.0mol%、酸化アンチモン(Sb23)を3.5mol%、酸化クロム(Cr23)を1.0mol%、ホウ酸(H3BO3)を1.0mol%、酸化アルミニウム(Al23)を0.1mol%秤量した。
【0028】
ステップS2では、上記ステップS1で秤量したバリスタ原料を粉砕・整粒する。具体的には、ボールミルで10mmφのアルミナメディアを用いて24時間、粉砕し、粒を揃えた。そして、ステップS3で仮焼きをする。ここでは、反応性や粒径を調整するために、バリスタ原料を900℃で2時間保持し、200℃/hrの昇降温速度で熱処理を行った。なお、バリスタ原料の保持温度は900±200℃でもよい。また、昇降温度速度を200±100℃/hrとすることもできる。この仮焼きによって、バリスタ電圧やサージ性能におけるバラツキを抑えることができる。
【0029】
ステップS4において、上記ステップS3で仮焼きしたバリスタ原料を粉砕・整粒する。ここでは、ボールミルで10mmφのアルミナメディアを用いて24時間、粉砕して粒を揃えた(例えば、平均粒径0.7±0.4μmに粉砕する)。続くステップS5では、スラリーを作製する。具体的には、重合度3000のポリビニルブチラール(PVB)、フタル酸エステル系可塑剤、ポリカルボン酸系分散材、PEG#600の離型材、エタノール/トルエン系希釈溶剤を加え、ボールミルで10mmφのアルミナメディアを用い、24時間、混合してスラリーを作製した。
【0030】
ステップS6では、シートを作製する。ここでは、ドクターブレードによって成膜し、50μmのグリーンシートを作製した。続くステップS7において、Ag/Pd電極ペーストを用いて内部電極パターンを印刷し、内部電極を形成したグリーンシートを含む20層の積層体をホットプレスで熱圧着し、積層を行った。そして、ステップS8でダイシング、すなわち、積層グリーンシートを5.7mm×5.0mmの製品サイズに合わせて切断した。
【0031】
ステップS9では、ダイシング後の積層体を500℃で10時間保持し、昇降温速度50℃/hrで脱バインダーを行った。ステップS10において、1050℃で2時間、昇降温速度200℃/hrで焼成を行い、続くステップS11では、焼成後の積層体を700℃で10分間保持し、昇温速度200℃/hr、降温速度50℃/hrでアニール処理した。
【0032】
ステップS12において、研磨剤、φ5mm SiCメディアと水を用いて、遠心バレルにて素子のR形成(面取り)を行い、次のステップS13で、外部電極を形成した。具体的には、バレル処理後の素子にAgガラスペーストを用いて端子電極を形成し、600℃で焼付けを行った。ステップS14では、端子電極にNi層、Sn層の順に電解メッキによりメッキ層を形成した。そして、ステップS15において、最終製品に対するバリスタ電圧、漏れ電流等の電気的特性を検査した。
【0033】
図2は、上記の工程を経て完成した本実施の形態例に係るチップバリスタの断面構造を示している。図2に示すように、チップバリスタ20は、内部電極23を配した積層体21からなり、その端部には端子電極25が形成され、それを覆うように2つのメッキ層(Ni層27とSn層29)が形成されている。
【0034】
次に、本実施の形態例に係るチップバリスタの電気的性能を比較例との対比において説明する。比較例としてのサンプルは、表4に示すバリスタ組成を有し、その製造工程は、上述した本実施の形態例に係るチップバリスタと同様である。なお、表4においても、Al23については、Al(NO33・9H2Oでの添加をAl23に換算して表示している。
【0035】
【表4】

【0036】
<雷サージ試験>
図3は、本実施の形態例に係るチップバリスタと比較例とについて、雷サージ試験を行った結果を示すグラフである。図3に示すように、比較例は雷サージ耐量2000Aが限界であったが、本実施の形態例に係るチップバリスタは、5000Aまで雷サージ耐量の性能を確保することができた。なお、一般的なディスクタイプ(14mmφ)のバリスタは、4000〜5000A程度の雷サージ耐量があるため、本実施の形態例に係るチップバリスタは、ディスクタイプと同等あるいはそれ以上の性能があるといえる。
【0037】
<基本性能>
表5は、ディスクバリスタ(14mmφ)と、上記の比較例と、本実施の形態例に係るチップバリスタとについて、それらの基本性能をまとめて示している。
【0038】
【表5】

【0039】
表5から、本実施の形態例に係るチップバリスタによって、従来技術によるバリスタよりも大きな雷サージ耐量性能を得られることが分かる。また、制限電圧に関しても顕著な改善が見られた。なお、制限電圧は、制限電圧以上の電圧が保護対象とする回路に進入しないことを示す特性である。電子回路は、できるだけ低い電圧に曝されることが望ましいのであり、制限電圧は、その値が小さいほど回路保護能力に優れている。
【0040】
一般的には素子径が大きいほど制限電圧は低くなる。本実施の形態例に係るチップバリスタでは、従来得られなかった粒形の均一性を確保した結果、表5に示すように、ディスクバリスタ(14mmφ)よりも10%程度低い制限電圧を得ることができた。
【0041】
以上説明したように本実施の形態例によれば、バリスタ原料として酸化亜鉛100mol%に対して酸化アンチモンを2.5〜5.0mol%、アルミナを0.05〜0.15mol%の範囲で添加するとともに、酸化コバルトと二酸化マンガンそれぞれを2.0〜6.0mol%の範囲で添加してなる組成の酸化亜鉛バリスタとすることで、従来のバリスタよりも大きく、現状の要求に応えることのできる5000Aまでの雷サージ耐量性能を確保することができる。
【0042】
また、本実施の形態例に係る酸化亜鉛バリスタは、漏れ電流においても良好な特性が得られるだけでなく、制限電圧を低くすることができるので、回路保護素子として優れた特性を有する酸化亜鉛バリスタを実現可能となる。特に、市場要求はあったものの実現されていなかった、100〜200V商用電源周りの回路保護に使用できる面実装バリスタを提供することができる。
【0043】
さらに、本実施の形態例に係る酸化亜鉛バリスタは、例えば、家電製品(テレビ、エアコン、冷蔵庫等)、産業機器における雷誘導雷サージ保護、人や設備を媒体として発生するESDパルスから自動車のECU(電子制御ユニット)、AV機器、携帯端末等の回路保護、さらには、ロードダンプサージ、イグニッションサージ、スイッチングサージ等、自動車特有の異常パルス電圧を吸収して車載機器の回路を保護するための素子として、幅広い分野において利用できる。
【符号の説明】
【0044】
20 チップバリスタ
21 積層体
23 内部電極
25 端子電極
27 Niメッキ層
29 Snメッキ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化亜鉛(ZnO)100mol%に対して、外掛けで酸化アンチモン(Sb23)を2.5〜5.0mol%と、アルミナ(Al23)を0.05〜0.15mol%とを添加したバリスタ組成物からなることを特徴とする酸化亜鉛バリスタ。
【請求項2】
さらに、酸化亜鉛100mol%に対して、酸化コバルト(CoO)を2.0〜6.0mol%添加したことを特徴とする請求項1に記載の酸化亜鉛バリスタ。
【請求項3】
さらに、酸化亜鉛100mol%に対して、二酸化マンガンを(MnO2)2.0〜6.0mol%添加したことを特徴とする請求項1または2に記載の酸化亜鉛バリスタ。
【請求項4】
前記酸化亜鉛バリスタは、チップタイプの積層バリスタであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の酸化亜鉛バリスタ。
【請求項5】
酸化亜鉛(ZnO)100mol%に対して、外掛けで酸化アンチモン(Sb23)を2.5〜5.0mol%と、アルミナ(Al23)を0.05〜0.15mol%とを添加してなるバリスタ原料を準備する工程と、
前記バリスタ原料を900±200℃で2時間保持し、昇降温度速度200±100℃/hrで仮焼きする工程とを備えることを特徴とする酸化亜鉛バリスタの製造方法。
【請求項6】
さらに、前記仮焼きの後、バリスタ原料を平均粒径0.7±0.4μmに粉砕する工程を備えることを特徴とする請求項5に記載の酸化亜鉛バリスタの製造方法。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−146462(P2011−146462A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4821(P2010−4821)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000105350)コーア株式会社 (201)
【Fターム(参考)】