説明

酸化亜鉛被覆物品の作成方法

【課題】比較的安価な前駆体材料を使用して、フロートガラス製造過程中に大気圧化学気相堆積方法によって、酸化スズ膜を速い堆積速度で形成する方法を提供する。
【解決手段】本発明の方法は、基材上に酸化亜鉛コーティングを堆積させるための化学気相堆積方法であって、亜鉛含有化合物を含む第1の前駆体気体流と水を含む第2の前駆体気体流とを基材の表面に送達し、前記基材の表面上で前記第1及び第2の前駆体気体流を、酸化亜鉛コーティングが前記表面上に5nm/秒よりも速い堆積速度で形成されるための十分に短い時間で混合させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明基材上に酸化亜鉛コーティングを堆積させる方法に関し、より詳しくは、ガラス基材上に酸化亜鉛コーティングを堆積させる化学気相堆積方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Oと反応させて堆積させた酸化金属コーティングが、特許文献1及び2に報告されている。
【0003】
特許文献1には、太陽電池等の光導電装置や他の光起電力装置での使用に有用ないくつかの性質を有する酸化亜鉛膜を堆積させるための化学気相堆積(chemical vapor deposition:CVD)過程が開示されている。この堆積方法は、有機亜鉛化合物、酸化剤及び不活性キャリア気体を、60〜350℃の温度に加熱された基材を収容したチャンバ内に導入するステップを含む。その結果形成された酸化亜鉛膜は、約10−4〜10−2Ωcmの抵抗率を有するとされている。そのような膜は水素を含有しており、前記チャンバ内に揮発性の第3属化合物を前記有機亜鉛化合物及び酸化剤と共に導入することにより第3属元素を含有するように製造することができる。
【0004】
特許文献2には、ドープされた酸化スズコーティングを作成する方法が開示されている。この方法では、有機スズ化合物、フッ化水素酸、水及び酸素を含有する均一な気化した反応混合物をガラスのホットリボンの表面に送達し、該反応混合物を前記表面上で反応させることによりフッ素がドープされた酸化スズコーティングを形成する。このようにして堆積されたフッ素ドープ酸化スズコーティングは、ガラス基材の被覆された表面上のシート抵抗値を低下させ、かつシート抵抗値の均一性を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,751,149号明細書
【特許文献2】米国特許第5,698,262号明細書
【特許文献3】米国特許第6,268,019(B1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
比較的安価な前駆体材料を使用して、フロートガラス製造過程中に大気圧化学気相堆積方法によって、酸化スズ膜を速い堆積速度で形成できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、高温のガラス基材上に酸化亜鉛コーティングを堆積させるための大気圧化学気相堆積方法であって、亜鉛含有化合物を含む第1の前駆体気体流と、水を含む第2の前駆体気体流をそれぞれ生成するステップを含む方法を提供する。前記第1の及び第2の前駆体気体流は、制御可能な方法で混合され、前記亜鉛含有化合物と前記水との間の反応を行わせるのに十分な温度に加熱された前記ガラス基材の表面に接触させられる。前記第1及び第2の前駆体気体流の混合時間は、酸化亜鉛コーティングが前記表面上に5nm/秒よりも速い堆積速度で形成されるための十分に短い時間に制御される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
酸化亜鉛コーティング及びその堆積方法は既知であるが、フロートガラス製造ラインにおけるガラス製造工程中に熱分解性酸化亜鉛コーティングを商業的に実現可能な成長速度で形成するためのコスト効率が良い方法は従来知られていない。本発明は、そのような酸化亜鉛膜を商業的に実現可能な成長速度で作る際の従来の問題に鑑みてなされたものである。
【0009】
本発明では任意の適切な大気圧化学気相堆積方法を用いることができるが、特許文献3に開示されている堆積方法が好ましい。特許文献3の全文は、引用を以って本明細書の一部となす。特許文献3の堆積方法では、様々な種類の酸化金属膜を、商業的に有用な成長速度(例えば5nm/秒より速い速度)での堆積が可能であることが示されている。また、特許文献3の堆積方法は、反応物質の混合時間を変えることができるという利点を有しており、そのことにより、コーティング(この場合は酸化亜鉛コーティング)の性質を「調整(tuning)」することが可能である。特に、本発明は、以下により詳細に論じられるように、水の使用によって酸化亜鉛膜の成長速度を高めることができるという利点を実証する。
【0010】
このような酸化亜鉛被覆ガラス製品は、建築物用の窓の用途において、低放射率及び/又は日照調整層として使用することができる。この透明導電性酸化物の他の潜在的な用途としては、光起電力装置、固体照明(LED及びOLED)、誘導加熱、フラットパネルディスプレイ及びタッチパネルスクリーン、RFIDタグ及び集積回路に適用される透明薄膜トランジスタ(TFT)が挙げられる。
【0011】
適切な前記亜鉛含有化合物としては、これらに限定されるものではないが、次の化学式で表される化合物がある。
Zn又はRZn−[RN(CHR(CH(CHRNR
ただし、R1−8は、同一又は異なるアルキル基又はアリール基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、フェニル又は置換フェニルなど)であり得、1つ以上のフッ素含有置換基を含み得る。
及びRは、H又はアルキル基若しくはアリール基で有り得る。
nは、0又は1であり得る。
mは、nが0の場合は1〜6であり得、nが1の場合は0〜6であり得る。
【0012】
適切な酸素含有化合物としては、これらに限定されるものではないが、有機アセテート、アルコール、分子酸素及び水(HO)があり、HO又は制御された量の水を含有するアルコールを有することが好ましい。
【0013】
また、例えば窒素やヘリウムなどの不活性キャリア気体を、本発明の反応気体流の成分として使用することができる。
【0014】
所望の化学反応を行わせるのに適切であると分かっている温度は、400℃以上、特に、500〜700℃である。
【0015】
本発明における化学的前駆体流の適切な混合時間は、1秒未満、好ましくは0.5秒未満、より好ましくは70〜100ミリ秒であることが分かっている。
【0016】
適切なガラス基材は、例えば米国特許第3,356,474号、第3,433,612号、第3,531,274号及び第3,790,361号の各明細書(これらは、引用を以って本明細書の一部となす)に開示されている公知のフロートガラス過程で製造されることが好ましい。
【実施例】
【0017】
以下の非限定的な例は、本発明の本発明のいくつかの態様を例証する。
【0018】
これらの実験で使用されるAPCVD(大気圧化学気相堆積)装置は、特許文献3に開示されているのと同様の装置である。この装置の主要な特徴は、コーティングノズルに複数の気体を別々に供給することにより、気体試薬の混合時間を制御する能力である。下記の比較例1及び例1では、コーティングノズルは、5/8インチ(1.59cm)の第1のチューブ及びその内部に圧縮嵌め(compression fitting)によって挿入された1/4インチ(0.64cm)の第2のチューブから成り混合区間の長さを調節可能な同心チューブと、排気用送風機に接続された副生成物及び未反応気体を排出するための1インチ(2.54cm)以下の外側チューブとから構成されている。このノズル構造により形成される膜は、約3/4インチ(1.91cm)の直径を有する円形である。下記の比較例2及び例2〜7では、コーティングノズルは、3/4インチ(1.91cm)の第1のチューブ及びその内部に圧縮嵌めによって挿入された1/4インチ(0.64cm)の第2のチューブとから成り混合区間の長さを調節可能な同心チューブと、排気用送風機に接続された副生成物及び未反応気体を排出するための1.25インチ(3.18cm)以下の外側チューブとから構成されている。このノズル構造により形成される膜は、約7/8インチ(2.22cm)の直径を有する円形である。
【0019】
比較例1
【0020】
7.5slpmの窒素キャリア気体中に含まれる0.034mol%のEtZn−TEEDA[TEEDA=N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン]の気体混合物を、第1のフィードチューブに170℃で供給した。第2のフィードチューブには、5slpm窒素中に含まれる0.60mol%の超高純度のOの気体混合物を170℃で供給した。第2のチューブ(secondary nozzle)は、第1の供給流と第2の供給流との混合区間の長さが23cm(114ミリ秒以下の混合時間に相当する)になるように、第1のチューブ内に挿入された。堆積に使用した基材は、厚さが2.5mmのソーダ石灰ケイ酸塩フロートガラスであった。前記基材を、675℃に抵抗加熱されたニッケルブロック上で加熱した。前記基材の温度は、赤外線高温計で測定したところ650℃であった。前記膜の堆積時間は500秒であり、形成されたZnO膜の厚さは297nmであり、堆積速度は0.6nm/sであった。形成されたZnO膜の曇り度(ヘーズ)は、Bykヘーズガードプラスヘーズメーター(BYK Haze Gard Plus Hazemeter)で測定したところ平均0.84%であった。
【0021】
例1
【0022】
12slpmの窒素キャリア気体中に含まれる0.096mol%のEtZn−TEEDA[TEEDA=N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン]の気体混合物を、第1のフィードチューブに160℃で供給した。第2のフィードチューブには、3slpm窒素中に含まれる6.92mol%の水の気体混合物を160℃で供給した。第2のチューブは、第1の供給流と第2の供給流との混合区間の長さが18cm(76ミリ秒以下の混合時間に相当する)になるように、第1のチューブ内に挿入された。堆積に使用した基材は、厚さが1.1mmのホウケイ酸塩フロートガラスであった。前記基材を、675℃に抵抗加熱されたニッケルブロック上で加熱した。前記基材の温度は、赤外線高温計で測定したところ650℃であった。前記膜の堆積時間は60秒であり、形成されたZnO膜の厚さは531nmであり、堆積速度は8.8nm/sであった。形成されたZnO膜の曇り度は、Bykヘーズガードプラスヘーズメーターで測定したところ平均2.65%であった。
【0023】
例2
【0024】
15slpmの窒素キャリア気体中に含まれる1.04mol%のEtZn−TEEDAの気体混合物を、第1のフィードチューブに170℃で供給した。第2のフィードチューブには、5slpm窒素中に含まれる8.30mol%の水の気体混合物を170℃で供給した。第2のチューブは、第1の供給流と第2の供給流との混合区間の長さが81cm(71ミリ秒以下の混合時間に相当する)になるように、第1のチューブ内に挿入された。堆積に使用した基材は、厚さが1.1mmのホウケイ酸塩フロートガラスであった。前記基材を、675℃に抵抗加熱されたニッケルブロック上で加熱した。前記基材の温度は、赤外線高温計で測定したところ650℃であった。前記膜の堆積時間は3秒であり、形成されたZnO膜の厚さは287nmであり、堆積速度は95.7nm/sであった。形成されたZnO膜の曇り度は、Bykヘーズガードプラスヘーズメーターで測定したところ平均4.0%であった。
【0025】
比較例2
【0026】
12slpmの窒素キャリア気体中に含まれる0.096%のEtZn−TEEDAの気体混合物を、第1のフィードチューブに160℃で供給した。第2のフィードチューブには、3slpmの窒素中に含まれる3.46mol%の水の気体混合物を160℃で供給した。第2のチューブは、第1の供給流と第2の供給流との混合区間の長さが18cm(400ミリ秒以下の混合時間に相当する)になるように、第1のチューブ内に挿入された。堆積に使用した基材は、厚さが1.1mmのホウケイ酸塩フロートガラスであった。前記基材を、675℃に抵抗加熱されたニッケルブロック上で加熱した。前記基材の温度は、赤外線高温計で測定したところ650℃であった。前記膜の堆積時間は60秒であった。これらの条件下では、前記基材上に膜は堆積しなかった。
【0027】
例3
【0028】
12slpmの窒素キャリア気体中に含まれる0.29%のEtZn−TEEDAの気体混合物を、第1のフィードチューブに160℃で供給した。第2のフィードチューブには、3slpm窒素中に含まれる0.58mol%の水の気体混合物を160℃で供給した。第2のチューブは、第1の供給流と第2の供給流との混合区間の長さが18cm(76ミリ秒以下の混合時間に相当する)になるように、第1のチューブ内に挿入された。堆積に使用した基材は、厚さが1.1mmのホウケイ酸塩フロートガラスであった。前記基材を、525℃に抵抗加熱されたニッケルブロック上で加熱した。前記基材の温度は、赤外線高温計で測定したところ500℃であった。前記膜の堆積時間は20秒であり、形成されたZnO膜の厚さは467nmであり、堆積速度は23.4nm/sであった。
【0029】
例4
【0030】
12slpmの窒素キャリア気体中に含まれる0.29%のEtZn−TEEDAの気体混合物を、第1のフィードチューブに160℃で供給した。第2のフィードチューブには、3slpm窒素中に含まれる1.16mol%の水の気体混合物を160℃で供給した。第2のチューブは、第1の供給流と第2の供給流との混合区間の長さが18cm(76ミリ秒以下の混合時間に相当する)になるように、第1のチューブ内に挿入された。堆積に使用した基材は、厚さが1.1mmのホウケイ酸塩フロートガラスであった。前記基材を、525℃に抵抗加熱されたニッケルブロック上で加熱した。前記基材の温度は、赤外線高温計で測定したところ500℃であった。前記膜の堆積時間は20秒であり、形成されたZnO膜の厚さは502nmであり、堆積速度は25.1nm/sであった。
【0031】
例5
【0032】
12slpmの窒素キャリア気体中に含まれる0.29%のEtZn−TEEDAの気体混合物を、第1のフィードチューブに160℃で供給した。第2のフィードチューブには、3slpm窒素中に含まれる4.65mol%の水の気体混合物を160℃で供給した。第2のチューブは、第1の供給流と第2の供給流との混合区間の長さが18cm(76ミリ秒以下の混合時間に相当する)になるように、第1のチューブ内に挿入された。堆積に使用した基材は、厚さが1.1mmのホウケイ酸塩フロートガラスであった。前記基材を、525℃に抵抗加熱されたニッケルブロック上で加熱した。前記基材の温度は、赤外線高温計で測定したところ500℃であった。前記膜の堆積時間は20秒であり、形成されたZnO膜の厚さは549nmであり、堆積速度は27.4nm/sであった。
【0033】
例6
【0034】
12slpmの窒素キャリア気体中に含まれる0.29%のEtZn−TEEDAの気体混合物を、第1のフィードチューブに160℃で供給した。第2のフィードチューブには、3slpm窒素中に含まれる6.92mol%の水の気体混合物を160℃で供給した。第2のチューブは、第1の供給流と第2の供給流との混合区間の長さが18cm(76ミリ秒以下の混合時間に相当する)になるように、第1のチューブ内に挿入された。堆積に使用した基材は、厚さが1.1mmのホウケイ酸塩フロートガラスであった。前記基材を、525℃に抵抗加熱されたニッケルブロック上で加熱した。前記基材の温度は、赤外線高温計で測定したところ500℃であった。前記膜の堆積時間は20秒であり、形成されたZnO膜の厚さは581nmであり、堆積速度は29nm/sであった。
【0035】
例7
【0036】
12slpmの窒素キャリア気体中に含まれる0.29%のEtZn−TEEDAの気体混合物を、第1のフィードチューブに160℃で供給した。第2のフィードチューブには、3slpm窒素中に含まれる13.84mol%の水の気体混合物を160℃で供給した。第2のチューブは、第1の供給流と第2の供給流との混合区間の長さが18cm(76ミリ秒以下の混合時間に相当する)になるように、第1のチューブ内に挿入された。堆積に使用した基材は、厚さが1.1mmのホウケイ酸塩フロートガラスであった。前記基材を、525℃に抵抗加熱されたニッケルブロック上で加熱した。前記基材の温度は、赤外線高温計で測定したところ500℃であった。前記膜の堆積時間は20秒であり、形成されたZnO膜の厚さは588nmであり、堆積速度は29.4nm/sであった。
【0037】
上記したように、比較例1の気体混合物は、ジエチル亜鉛TEEDAと反応するために、窒素キャリア気体中に含まれる0.60mol%の超高純度のOを使用した。297nmのZnO膜厚を達成するためには、500秒の堆積時間が必要であった。したがって、わずか0.6nm/sの膜成長速度が観察された。
【0038】
例1では、本発明の方法に従って、Oの代わりに水を使用した。60秒の堆積時間で531nmの膜厚が形成された。つまり、膜成長速度は、9nm/sをわずかに下回る速度であった。
【0039】
例2の気体混合物は、本発明の方法による例1よりも大幅に高い割合の水を含んでいる(例1では6.92mol%、例2では8.30mol%)。また、例2では、比較例1及び本発明の方法による例1よりも多いモルパーセント(mol%)の亜鉛前駆体を使用した(比較例1では0.034mol%。例1では0.096mol%、例2では1.04mol%)。上記の成分割合を有する例2の気体混合物では、わずか3秒で、287nmの厚さのZnO膜が堆積した。例2の膜の曇り度は、例1の膜よりも高かった。
【0040】
比較例2では、前駆体混合区間の長さ及び前駆体混合(滞留)時間を増加させた場合の影響を浮き彫りにしている。この例では、混合区間での滞留時間は大幅に増加したが、また、化学的な前反応が行われたと考えられるが、膜は形成されなかった。
【0041】
本発明の方法に従った例3及び4は、堆積温度が本発明を実施するための好ましい範囲の下限であり、かつ、前駆体濃度がより低い場合でも、高品質の酸化亜鉛膜を商業的に実現可能な速度で形成できることを示している。
【0042】
例5は、例3及び4と非常に類似しているが、水の濃度が例3及び4よりも高くなっており、この場合もやはり、膜堆積速度に対する水の有益な効果を示している。
【0043】
同様に、例6及び7は、水の割合を著しく増加させた場合の、膜厚及び成長速度に対する水の効果を示している。
【0044】
明らかに、HOを、気体混合物内での割合が比較的高い状態で使用すると、適切な亜鉛前駆体材料と迅速かつ効率的に反応し、商業的に有用な速度で亜鉛膜が形成される。
【0045】
以上、本発明の様々な実施形態及び実施例を説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲内で様々な形態で実施可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に酸化亜鉛コーティングを堆積させるための化学気相堆積方法であって、
(a)亜鉛含有化合物を含む第1の前駆体気体流を生成するステップと、
(b)水を含む第2の前駆体気体流を生成するステップと、
(c)前記第1及び第2の前駆体気体流を、被覆されるガラス基材の表面の近傍の位置に送達するステップと、
(d)前記第1及び第2の前駆体気体流を互いに混合して前駆体混合物を生成し、該前駆体混合物を、前記亜鉛含有化合物と前記水との間の反応を行わせるのに十分な温度にある前記基材の表面に接触させるステップとを含み、
前記第1及び第2の前駆体気体流が、酸化亜鉛コーティングが前記表面上に5nm/秒よりも速い堆積速度で形成されるための十分に短い時間で混合されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記ガラス基材が、400℃以上の温度に加熱されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記ガラス基材が、500〜700℃の温度に加熱されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、
前記亜鉛含有化合物が次の化学式で表されることを特徴とする方法。
Zn又はRZn−[RN(CHR(CH(CHRNR
ただし、R1−8は、同一又は異なる、例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、フェニル又は置換フェニルなどのアルキル基又はアリール基であり得、1つ以上のフッ素含有置換基を含み得る。
及びRは、H又はアルキル基若しくはアリール基であり得る。
nは、0又は1であり得る。
mは、nが0の場合は1〜6であり得、nが1の場合は0〜6であり得る。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記亜鉛含有化合物及び水が、1秒未満の時間で混合されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記亜鉛含有化合物及び水が、0.5秒未満の時間で混合されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記亜鉛含有化合物及び水が、70〜100ミリ秒の時間で混合されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記酸化亜鉛コーティングの堆積速度が、20nm/秒よりも速いことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記前駆体混合物のモルパーセント(mol%)が、3〜14mol%であることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項4に記載の方法であって、
前記亜鉛含有化合物が、MeZn、MeZn−TMPDA[TMPDA=N,N,N´,N´−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン]、MeZn−TEEDA[TEEDA=N,N,N´,N´−テトラエチルエチレンジアミン]、MeZn−TMEDA[TMEDA=N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン]、EtZn、EtZn−TEEDA、EtZn−TMPDA、及びEtZn−TMEDAから成る群より選択される1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
基材上に酸化亜鉛コーティングを堆積させるための化学気相堆積方法であって、
(a)亜鉛含有化合物を含む第1の前駆体気体流を生成するステップと、
(b)水含有酸素源を含む第2の前駆体気体流を生成するステップと、
(c)前記第1及び第2の前駆体気体流を、被覆されるガラス基材の表面の近傍の位置に送達するステップと、
(d)前記第1及び第2の前駆体気体流を互いに混合して前駆体混合物を生成し、該前駆体混合物を、前記亜鉛含有化合物と前記水との間の反応を行わせるのに十分な温度にある前記基材の表面に接触させるステップとを含み、
前記第1及び第2の前駆体気体流が、酸化亜鉛コーティングが前記表面上に5nm/秒よりも速い堆積速度で形成されるための十分に短い時間で混合されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記水含有酸素源が、所定量の水を含むアルコールであることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記アルコールが2−ブタノールであり、前記水の所定量が1〜10mol%であることを特徴とする方法。

【公表番号】特表2010−502832(P2010−502832A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526591(P2009−526591)
【出願日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/010669
【国際公開番号】WO2008/027087
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(506299179)ピルキングトン・グループ・リミテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】Pilkington Group Limited
【住所又は居所原語表記】Prescot Road, St. Helens, Merseyside WA10 3TT, Great Britain
【出願人】(508326415)アルキーマ・インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】ARKEMA, INC.
【Fターム(参考)】