説明

酸化膜形成方法および酸化膜形成装置

【課題】半導体基板に、電気的特性のばらつきの小さい酸化膜を形成することができる酸化膜形成方法および酸化膜形成装置を提供する。
【解決手段】ボロンをドーピングした半導体基板54が配置されたプロセスチューブ48内に、純水供給管33および導入管32によって形成される管路を通して純水を供給する。純水が気化した水蒸気の雰囲気中において半導体基板54を加熱し、半導体基板54の表面部に酸化膜を形成する。次に、純水供給管33に接続された排出ガス導入部35に窒素ガスを供給することによって、純水供給管33および導入管32によって形成される管路に窒素ガスを供給し、管路内に残留する純水をプロセスチューブ48内に排出する。次に、窒素ガス供給管34によって形成される管路を通して窒素ガスをプロセスチューブ48内に供給し、水蒸気を含まない窒素ガスのみの雰囲気中で半導体基板54を加熱し、ボロンを拡散する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板の表面部に酸化膜を形成する酸化膜形成方法および酸化膜形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の技術の酸化膜形成装置1の構成を示す模式図である。従来の技術では、半導体基板2を、所定の温度の水蒸気を含む雰囲気に所定の時間さらし、半導体基板2の表面部に酸化膜を形成している。
【0003】
従来の技術の酸化膜形成装置1は、炉3、純水供給管4、窒素ガス供給管5、酸素ガス供給管6、導入管7、石英ボート8、流量調整手段9、排気部10および制御部11を含んで構成される。
【0004】
炉3は、ヒータ部12、石英から成るプロセスチューブ13、および断熱材から成る断熱部14を含んで構成される。プロセスチューブ13は、円筒形状を有する。プロセスチューブ13は、自身の中心軸線が水平となるように設けられる。プロセスチューブ13の一端部には、側壁部15が形成されている。ヒータ部12は、プロセスチューブ13の外周部を外囲するように設けられる。ヒータ部12は、制御部11の指令に基づいて、プロセスチューブ13内の温度を制御する。断熱部14は、プロセスチューブ13の側壁部15に近接して設けられ、プロセスチューブ13内の温度を一定に保つ機能を有する。断熱部14には、貫通孔が形成されている。プロセスチューブ13の一端の側壁部15には、断熱部14の貫通孔を通って、炉3の外に突出する導入管7が設けられる。
【0005】
石英ボート8は、半導体基板2を複数枚保持する。石英ボート8は、半導体基板2を保持して、プロセスチューブ13の他端を通って、プロセスチューブ13内の所定の位置に移動する。または石英ボート8は、半導体基板2を保持して、プロセスチューブ13内からプロセスチューブ13の他端を通って、プロセスチューブ13の外に移動する。これによって、半導体基板2をプロセスチューブ13内に搬入する、または半導体基板2をプロセスチューブ13の外に搬出することができる。
【0006】
流量調整手段9は、純水の単位断面積あたりの流量を調整するニードル弁16と、純水の単位断面積あたりの流量を計測するフローメータ17と、OガスおよびNガスの単位断面積あたりの流量を調整するマスフローコントローラ(Mass Flow Controller:略称MFC)18と、窒素ガス供給管5および酸素ガス供給管6によって形成される管路を塞ぐか開放するかを制御する電磁弁19とを含んで構成される。流量調整手段9は、純水供給管4、窒素ガス供給管5および酸素ガス供給管6に設けられる。
【0007】
純水供給管4の一端は、導入管7の他端に接続される。純水供給管4の他端は、純水を供給する純水供給源20に接続される。純水供給管4のニードル弁16の設けられる位置から導入管7との接続部までの間には、純水の流れを整流する整流部21が設けられる。純水供給源20から供給される純水は、純水供給管4および導入管7によって形成される管路を通ってプロセスチューブ13内に流入する。
【0008】
酸素ガス供給管6の一端は、導入管7の他端に接続される。酸素ガス供給管6の他端は、酸素ガスを供給するOガス供給源21に接続される。Oガス供給源21から供給される酸素ガスは、酸素ガス供給管6および導入管7によって形成される管路を通ってプロセスチューブ13内に流入する。
【0009】
窒素ガス供給管5の一端は、酸素ガス供給管6の電磁弁19が設けられる位置から導入管7との接続部までの間に接続される。窒素ガス供給管5の他端は、窒素ガスを供給するNガス供給源22に接続される。Nガス供給源22から供給される窒素ガスは、窒素ガス供給管5、酸素ガス供給管6の一部および導入管7によって形成される管路を通ってプロセスチューブ13内に流入する。
【0010】
排気部10は、プロセスチューブ13に接続され、プロセスチューブ13内のガスを、プロセスチューブ13の外に排気する。
【0011】
制御部11は、ヒータ部12、排気部10、石英ボート8および流量調整手段9を制御して、プロセスチューブ13内の温度、プロセスチューブ13内のガスおよび水蒸気の量、石英ボート8の移動、ならびにプロセスチューブ13内に供給する純水などの量を制御する。
【0012】
図13は、半導体基板2の表面部に酸化膜を形成する処理の時間的流れを表すシーケンス図である。まず制御部11は、流量調整手段9を制御して、時刻t1までプロセスチューブ13内にNガスを供給させ、プロセスチューブ13内を不活性ガスであるNガスで満たす。
【0013】
時刻t1では、制御部11は、ヒータ部12を制御してプロセスチューブ13内の温度を800℃にさせるとともに、流量調整手段9を制御してOガスをプロセスチューブ13内に供給させる。また制御部11は、石英ボート8を制御して、石英ボート8に保持される処理すべき半導体基板2をプロセスチューブ13内に搬入させる。
【0014】
時刻t2では、制御部11は、ヒータ部12を制御してプロセスチューブ13内の温度を900℃に上昇させる。
【0015】
プロセスチューブ13内の温度が900℃に上昇した時刻t3に、制御部11は、流量調整手段9を制御してプロセスチューブ13内への酸素の供給を停止させるとともに、純水をプロセスチューブ13内へ供給させる。この純水は、プロセスチューブ13内において気化し、水蒸気となる。半導体基板2を水蒸気を含む雰囲気中で30分間加熱することによって、半導体基板2の表面部に酸化膜が形成される。
【0016】
時刻t3から30分経過した時刻t4になると、制御部11は、流量調整手段9を制御してプロセスチューブ13内への純水の供給を停止させるとともに、窒素ガスをプロセスチューブ13内に供給する。時刻t4から30分間、900℃のNガスの雰囲気中において、半導体基板2を熱処理する。
【0017】
時刻t4から30分間経過した時刻t5になると、制御部11は、ヒータ部12を制御してプロセスチューブ13内の温度を800℃に下降させる。
【0018】
プロセスチューブ13内の温度が800℃に下降した時刻t6に、制御部11は、石英ボート8を制御して、半導体基板2をプロセスチューブ13から搬出させる。
【0019】
以上述べた処理を行うことによって、半導体基板2の表面部に酸化膜を形成することができる(たとえば特許文献1および2参照)。
【0020】
【特許文献1】特開2000−124213号公報
【特許文献2】特開平3−195019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従来の技術の酸化膜形成装置1では、時刻t4においてプロセスチューブ13内への純水の供給を停止した後も、導入管7および純水供給管4などに純水が残留する。この残留した純水が、時刻t4以後、少しずつ蒸発してプロセスチューブ13内に流れ込む。したがって、純水供給源20から純水を供給していないにもかかわらず、時刻t4から時刻t5まで、窒素ガスと水蒸気との雰囲気中で半導体基板2の熱処理を行うことになる。酸化膜と酸化されていない部分との界面の界面準位密度は、熱処理を行うときの半導体基板2の雰囲気中の水蒸気の密度に依存する。従来の技術では、導入管7および純水供給管4から少しずつ水蒸気がプロセスチューブ13内に流入するので、半導体基板2の雰囲気中の水蒸気の密度を制御することができない。したがって、形成した酸化膜の界面準位密度がばらつくという問題が生じる。
【0022】
また、半導体基板2にドーピングした不純物を拡散するために熱処理を行う場合、窒素ガスに混入した水蒸気が原因で、不純物の拡散速度がばらつく。不純物の拡散速度がばらつくと、不純物の拡散深さがばらつき、所望する不純物の拡散領域を形成することができないという問題が生じる。
【0023】
界面準位密度および不純物の拡散領域がばらつくと、たとえば半導体表面の導電型が反転するときのフィールド反転電圧、および半導体基板2に形成するバイポーラトランジスタの電流増幅率Hfeなどの電気的特性がばらつくという問題が生じる。
【0024】
したがって本発明の目的は、半導体基板に、電気的特性のばらつきの小さい酸化膜を形成することができる酸化膜形成方法および酸化膜形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、半導体基板が収容される反応容器内の雰囲気を予め定める酸化温度にして、前記反応容器に接続される管路を通じて前記反応容器内に水を供給し、この水が気化した水蒸気によって反応容器内を酸化雰囲気にして、前記半導体基板の表面を熱酸化させる熱酸化工程と、
前記管路から反応容器内への水の供給を停止した後、前記管路を通じて反応容器内に不活性ガスを供給して、前記管路に残留する水を反応容器内に排出し、反応容器内で気化した水蒸気を反応容器外へ排出する排出工程と、
排出工程を終了させた後、前記管路を通じて反応容器内に不活性ガスを供給し、反応容器内の雰囲気を予め定める熱処理温度に保持する熱処理工程とを含むことを特徴とする酸化膜形成方法である。
【0026】
本発明に従えば、熱酸化工程の後に排出工程を行うことによって、熱酸化工程のときに管路に残留する水を、反応容器内に排出することができる。またこの反応容器内に排出した水が気化した水蒸気は、反応容器外に排出される。熱処理工程において、管路に水が残留していないので、管路から水および水蒸気が反応容器内に流入しない。これによって、水蒸気を含まない雰囲気中において半導体基板を熱処理温度で加熱する熱処理工程を行うことができる。
【0027】
半導体基板を水蒸気を含む雰囲気中で加熱すると、形成された酸化膜の界面準位密度がばらつくが、半導体基板を水蒸気を含まない雰囲気中で加熱処理するので、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成することができる。界面準位密度がばらつくと、半導体基板の表面部の導電型が反転するときのフィールド反転電圧がばらつくなど、半導体基板に形成する半導体素子の電気的特性がばらつくが、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成することができるので、電気的特性のばらつきの小さい半導体素子を半導体基板に形成することができる。
【0028】
また本発明は、前記排出工程および前記熱処理工程に用いられる不活性ガスを、同一のガス供給源から供給することを特徴とする。
【0029】
本発明に従えば、同一のガス供給源から、排出工程および熱処理工程に用いられる不活性ガスを供給するので、排出工程および熱処理工程に用いられる不活性ガスを供給するガス供給源を別々に設ける必要がなくなる。
【0030】
また本発明は、前記排出工程では、前記管路における不活性ガスの単位流路断面積あたりの流量は、9000L/sec・m以上かつ30000L/sec・m未満に選ばれることを特徴とする。
【0031】
排出工程において、管路を流れる不活性ガスの単位流路断面積あたりの流量が少なく、9000L/sec・m未満では、水を反応容器内に排出するために要する時間が長くなる。水を反応容器内に排出するために要する時間が長くなると、水蒸気を含む雰囲気において半導体基板を長い時間加熱するので、半導体基板の表面部に形成される酸化膜の界面準位密度がばらつく。また管路を流れる不活性ガスの単位流路断面積あたりの流量を30000L/sec・m以上にするためには、不活性ガスを供給する装置の能力を向上させる、管路の直径を変更させる、および不活性ガスの供給量と排気のバランスを保つために排気装置の排気能力を向上させる必要が生じ、設備が複雑となり、コストが高くなる。さらに、管路を流れる不活性ガスの単位流路断面積あたりの流量が多いと、不活性ガスの費用がかさみ、コストが高くなる。本発明に従えば、排出工程において、管路を流れる不活性ガスの単位流路断面積あたりの流量が9000L/sec・m以上かつ30000L/sec・m未満であるので、簡易な設備で、短い時間で管路に残留する水を反応容器内に排出し、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成することができる。
【0032】
また本発明は、前記排出工程では、前記反応容器内に1分間以上かつ5分間未満、不活性ガスを供給することを特徴とする。
【0033】
排出工程において、不活性ガスを反応容器内に供給する時間が短く、1分間未満では、管路に残留する水を十分に反応容器内に排出することができない。したがって、熱処理工程において、管路に残留した水および水蒸気が反応容器内に流入し、水蒸気を含む雰囲気中で半導体基板の熱処理を行うことになる。また不活性ガスを反応容器内に供給する時間が長く、5分以上の場合、排出工程の最中は反応容器内に水または水蒸気が積極的に排出されるので、水蒸気を含む雰囲気中において半導体基板を長い時間加熱することになる。水蒸気を含む雰囲気において半導体基板を長い時間加熱すると、半導体基板の表面部に形成される酸化膜の界面準位密度がばらつく。特に、熱処理工程に要する時間が短い場合には、半導体基板の表面部に形成される酸化膜の界面準位密度は、排出工程において半導体基板が加熱される時間に大きく依存する。本発明に従えば、排出工程では、反応容器内に1分間以上かつ5分間未満不活性ガスを供給するので、半導体基板を水蒸気を含む雰囲気に長い時間さらすことなく、管路に残留した水を反応容器内に排出することができる。
【0034】
また本発明は、前記排出工程では、前記管路を通じて前記反応容器内に不活性ガスを断続的に供給することを特徴とする。
【0035】
本発明に従えば、複数回に分けて不活性ガスを管路に流し、管路に残留する水を反応容器内に排出するので、管路に1回だけ不活性ガスを流して管路に残留する水を反応容器内に排出する場合に比べて、効率的に管路に残留する水を排出することができる。また効率的に管路に残留する水を排出することができるので、不活性ガスの流量を抑制することができる。
【0036】
また本発明は、前記半導体基板には、リンがドーピングされていることを特徴とする。
本発明に従えば、半導体基板にはリンがドーピングされており、このリンが熱処理工程において拡散する。リンの拡散速度は、半導体基板の雰囲気中に含まれる水蒸気の密度に依存する。したがって、リンの拡散速度を制御するためには、半導体基板の雰囲気中に含まれる水蒸気の密度を制御する必要がある。本発明では水蒸気を含まない不活性ガスの雰囲気中で半導体基板の熱処理を行うことができるので、水蒸気の密度に関係なくリンの拡散速度を制御することができる。これによって、所望するリンの拡散領域を形成することができる。
【0037】
また本発明は、前記半導体基板には、ボロンがドーピングされていることを特徴とする。
【0038】
本発明に従えば、半導体基板にはボロンがドーピングされており、このボロンが熱処理工程において拡散する。ボロンの拡散速度は、半導体基板の雰囲気中に含まれる水蒸気の密度に依存する。したがって、ボロンの拡散速度を制御するためには、半導体基板の雰囲気中に含まれる水蒸気の密度を制御する必要がある。本発明では水蒸気を含まない不活性ガスの雰囲気中で半導体基板の熱処理を行うことができるので、水蒸気の密度に関係なくボロンの拡散速度を制御することができる。これによって、所望するボロンの拡散領域を形成することができる。
【0039】
また本発明は、前記半導体基板には、バイポーラトランジスタのエミッタを形成するための不純物がドーピングされていることを特徴とする。
【0040】
本発明に従えば、半導体基板には、バイポーラトランジスタのエミッタを形成するための不純物がドーピングされており、この不純物が熱処理工程において拡散する。バイポーラトランジスタのエミッタを形成するための不純物を拡散する工程は、多くの場合、最終の熱処理工程となる。この最終の熱処理工程によって、酸化膜の界面準位密度に依存するバイポーラトランジスタの電気的特性が決定される。本発明では、最終の熱処理工程を、水蒸気を含まない不活性ガスの雰囲気中で行うので、界面準位密度などのばらつきを抑えて、酸化膜を形成することができる。これによって、電気的特性のばらつきの小さいバイポーラトランジスタを半導体基板に形成することができる。
【0041】
また本発明は、前記熱処理温度は、700℃以上かつ1100℃未満に選ばれることを特徴とする。
【0042】
熱処理工程において、700℃未満の低温で半導体基板を加熱する場合、半導体基板にドーピングされたリンおよびボロンなどの不純物の拡散速度が小さくなり、不純物を拡散するために多くの時間を要する。また1100℃以上の高温で半導体基板を加熱すると、半導体基板に欠陥が生じたりする。本発明に従えば、700℃以上かつ1100℃未満の雰囲気中で半導体基板を加熱して熱処理を行うので、半導体基板に欠陥を生じさせずに、短い時間で半導体基板にドーピングした不純物を拡散することができる。
【0043】
また本発明は、前記熱処理工程では、前記管路を通じて反応容器内に酸素ガスを供給することを特徴とする。
【0044】
本発明に従えば、熱処理工程では、リンおよびボロンなどの不純物をドーピングした半導体基板を、不活性ガスに加えて酸素を含む雰囲気中で加熱する。酸素を含む雰囲気中で半導体基板を加熱すると、不純物の拡散速度の大きい増速拡散が生じる。酸素を含む雰囲気中で半導体基板を加熱するので、不純物の拡散速度が大きくなり、短時間で不純物を拡散することができる。
【0045】
また本発明は、半導体基板を収容する反応容器と、
半導体基板が収容される反応容器内の雰囲気を予め定める温度にする温度調整部と、
反応容器内のガスを反応容器外へ排出する排出部と、
反応容器に接続され、反応容器内に通じる第1管路を形成する第1管路形成体と、
水の供給源から供給される水を、前記第1管路に導く第2管路を形成する第2管路形成体と、
不活性ガスの供給源から供給される不活性ガスを前記第1管路に導く第3管路を形成する第3管路形成体と、
不活性ガスの供給源から供給される不活性ガスを前記第2管路に導く第4管路を形成する第4管路形成体と、
第2管路形成体に設けられ、第2管路を流れる水の流量を調整する第1流量調整部と、
第3管路形成体に設けられ、第3管路を流れる不活性ガスの流量を調整する第2流量調整部と、
第4管路形成体に設けられ、第4管路を流れる不活性ガスの流量を調整する第3流量調整部と、
予め定める第1の時間、第2管路に水を流すように第1流量調整部を制御し、第2管路に水を流した後、第3管路に不活性ガスを流すように第2流路調整部を制御するとともに、予め定める第2の時間、第4管路に不活性ガスを流すように第3流量調整部を制御する制御部とを含むことを特徴とする酸化膜形成装置である。
【0046】
本発明に従えば、制御部が第1流量調整部を制御することによって、半導体基板が収容された反応容器内に、第1の時間、第2管路を通って水が供給される。反応容器内に供給された水が気化した水蒸気によって、半導体基板の表面が酸化する。次に制御部が第3流量調整部を制御することによって、予め定める第2の時間、第1管路および第2管路に通じる第4管路に不活性ガスを流すとともに、第2流量調整部を制御することによって、不活性ガスを反応容器内に供給し、半導体基板を熱処理する。第4管路に不活性ガスを流すことによって、第1管路および第2管路に残留する水を反応容器内に排出することができる。また反応容器内に排出された水が気化した水蒸気は、排出部によって反応容器外に排出される。第1管路および第2管路に残留する水を反応容器内に排出して、半導体基板を熱処理するので、水蒸気を含まない雰囲気中において半導体基板を熱処理することができる。
【0047】
また本発明は、前記第2管路形成体には、第1流量調整部と第1管路との間に、液落下ノズル部、および液落下ノズル部の鉛直方向下方で、液落下ノズル部の吐出口から吐出する水を受ける液受部が設けられ、前記第4管路形成体は、第1流量調整部と液落下ノズル部との間で第2管路形成体に接続されることを特徴とする。
【0048】
本発明に従えば、第4管路形成体は、水が残留し易い液落下ノズル部および液受部よりも上流側の第2管路形成体に接続される。したがって、制御部が第3流量調整部を制御し、予め定める第2の時間、第2管路に通じる第4管路に不活性ガスを流すことによって、液落下ノズル部および液受部に残留する水を、反応容器内に排出することができる。これによって、水蒸気を含まない雰囲気中において半導体基板を熱処理することができる。
【0049】
また本発明は、前記液落下ノズル部の吐出口の内径は、0.3mm以上かつ1.0mm未満に選ばれることを特徴とする。
【0050】
液落下ノズル部の吐出口の内径が小さく、0.3mm未満であれば、液落下ノズル部の吐出口から吐出する水の流量が少なく、反応容器内に所望する量の水を供給することができない。反応容器内に所望する量の水を供給することができないので、所望する膜厚の酸化膜を形成することができない。また半導体基板にドーピングした不純物の拡散速度は、水蒸気の密度に依存するので、反応容器内に所望する量の水を供給することができない場合、不純物を所望する領域に拡散することができない。逆に液落下ノズル部の吐出口の内径が大きく、1.0mm以上であれば、液落下ノズル部の吐出口から過剰に水が吐出し、反応容器内に過剰な量の水が供給される。反応容器内に過剰な量の水が供給されると、半導体基板に水滴の跡が形成されたり、酸化膜の膜厚が厚くなりすぎたりする。本発明に従えば、液落下ノズル部の吐出口の内径は、0.3mm以上かつ1.0mm未満なので、所望する量の水を反応容器内に供給することができ、所望する膜厚の酸化膜、および所望する不純物の拡散領域を形成することができる。
【0051】
また本発明は、前記液受部の内周面は、鉛直方向下方に向かうに連れて近接するように傾斜することを特徴とする。
【0052】
本発明に従えば、液受部の内周面は、鉛直方向下方に向かうに連れて近接するので、液落下ノズル部から落下する液滴は、液受部の鉛直下方に流れ易くなる。したがって、液受部に水が溜まり難くなり、第2管路に不活性ガスを流すことによって、確実に第2管路に残留する水を反応容器内に排出することができる。これによって、水蒸気を含まない雰囲気中において半導体基板を熱処理することができる。
【0053】
また本発明は、前記第1管路形成体は、反応容器から離反するに連れて鉛直方向上方に傾斜することを特徴とする。
【0054】
本発明に従えば、第1管路形成体は、反応容器に近づくに連れて鉛直方向下方に傾斜するので、第1管路内の水は、第1管路内に残留せずに、反応容器内に流入する。これによって、水蒸気を含まない雰囲気中において半導体基板を熱処理することができる。
【0055】
また本発明は、前記第1管路形成体の内周面は、中心軸が水平方向に延び、反応容器から離反するに連れて内径が小さくなるテーパ形状を有することを特徴とする。
【0056】
本発明に従えば、第1管路形成体の内周面は、中心軸が水平方向に延び、反応容器から離反するに連れて内径が小さくなるテーパ形状を有するので、第1管路内の水は、第1管路内に残留せずに、反応容器内に流入する。これによって、水蒸気を含まない雰囲気中において半導体基板を熱処理することができる。
【発明の効果】
【0057】
本発明によれば、管路に残留した水を反応容器内に排出する排出工程を行うので、熱処理工程において、水蒸気を含まない雰囲気中で半導体基板を加熱処理することができる。これによって、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成することができる。界面準位密度がばらつくと、半導体基板の表面部の導電型が反転するときのフィールド反転電圧がばらつくなど、半導体基板に形成する半導体素子の電気的特性がばらつくが、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成することができるので、電気的特性のばらつきの小さい半導体素子を半導体基板に形成することができる。これによって、歩留りを向上することができる。
【0058】
また本発明によれば、同一のガス供給源から、排出工程および熱処理工程に用いられる不活性ガスを供給するので、排出工程および熱処理工程に用いられる不活性ガスを供給するガス供給源を別々に設ける必要がなくなる。したがって、排出工程および熱処理工程に用いられる不活性ガスを供給するガス供給源を別々に設ける場合に比べて、酸化膜を形成するための装置が簡易になる。
【0059】
また本発明によれば、排出工程において、管路を流れる不活性ガスの単位流路断面積あたりの流量が9000L/sec・m以上かつ30000L/sec・m未満であるので、簡易な設備で、短い時間で管路に残留する水を反応容器内に排出することができる。これによって、簡易な設備かつ短時間で、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成することができ、電気的特性のばらつきの小さい半導体素子を半導体基板に形成することができる。
【0060】
また本発明によれば、排出工程では、反応容器内に1分間以上かつ5分間未満不活性ガスを供給するので、半導体基板を水蒸気を含む雰囲気に長い時間さらすことなく、管路に残留した水を反応容器内に排出することができる。したがって、熱処理工程において、水蒸気を含まない雰囲気中で半導体基板を加熱処理することができ、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成することができる。これによって、電気的特性のばらつきの小さい半導体素子を半導体基板に形成することができる。
【0061】
また本発明によれば、複数回に分けて不活性ガスを管路に流し、管路に残留する水を反応容器内に排出するので、管路に1回だけ不活性ガスを流して管路に残留する水を反応容器内に排出する場合に比べて、効率的に管路に残留する水を排出することができる。効率的に管路に残留する水を排出することができるので、不活性ガスの流量を抑制することができる。これによって、半導体基板の表面に酸化膜を形成するためのコストを抑制することができる。
【0062】
また本発明によれば、熱処理工程において、水蒸気を含まない雰囲気中で半導体基板を加熱処理することができるので、半導体基板にドーピングされたリンの拡散速度を制御することができ、所望するリンの拡散領域を形成することができる。
【0063】
また本発明によれば、熱処理工程において、水蒸気を含まない雰囲気中で半導体基板を加熱処理することができるので、半導体基板にドーピングされたボロンの拡散速度を制御することができ、所望するボロンの拡散領域を形成することができる。
【0064】
また本発明によれば、熱処理工程において、水蒸気を含まない雰囲気中で半導体基板を加熱処理することができるので、半導体基板にドーピングされたバイポーラトランジスタのエミッタを形成するための不純物の拡散速度を制御することができ、所望するエミッタの拡散領域を形成することができる。これによって、電流増幅率Hfeなどの電気的特性のばらつきの小さいバイポーラトランジスタを半導体基板に形成することができる。
【0065】
またバイポーラトランジスタのエミッタを形成するための不純物を拡散する工程は、多くの場合、最終の熱処理工程である。この最終の熱処理工程を、水蒸気を含まない雰囲気中で行うので、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成することができる。したがって、フィールド反転電圧などの電気的特性のばらつきの小さいバイポーラトランジスタを半導体基板に形成することができる。
【0066】
また本発明によれば、700℃以上かつ1100℃未満の雰囲気で半導体基板を加熱して熱処理を行うので、半導体基板に欠陥を生じさせずに、半導体基板にドーピングした不純物を、短い時間で所望する領域に拡散することができる。
【0067】
また本発明によれば、熱処理工程では、リンおよびボロンなどの不純物をドーピングした半導体基板を、不活性ガスに加えて酸素を含む雰囲気中で加熱するので、不純物の拡散速度が大きい増速拡散が生じ、所望する不純物の拡散領域を、短時間で形成することができる。
【0068】
また本発明によれば、制御部が第1流量調整部を制御することによって、半導体基板が収容された反応容器内に、第1の時間、第2管路を通って水が供給される。反応容器内に供給された水が気化した水蒸気によって、半導体基板の表面が酸化する。次に制御部が第3流量調整部を制御することによって、予め定める第2の時間、第1管路および第2管路に通じる第4管路に不活性ガスを流すとともに、第2流量調整部を制御することによって、不活性ガスを反応容器内に供給し、半導体基板を熱処理する。第4管路に不活性ガスを流すことによって、第1管路および第2管路に残留する水を反応容器内に排出することができる。また反応容器内に排出された水が気化した水蒸気は、排出部によって反応容器外に排出される。第1管路および第2管路に残留する水を反応容器内に排出して、半導体基板を熱処理するので、水蒸気を含まない雰囲気中において半導体基板を熱処理することができる。これによって、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成することができ、フィールド反転電圧などの電気的特性のばらつきの小さい半導体素子を半導体基板に形成することができる。
【0069】
また本発明によれば、第4管路形成体は、水が残留し易い液落下ノズル部および液受部よりも上流側の第2管路形成体に接続されるので、第2管路に通じる第4管路に不活性ガスを流すことによって、液落下ノズル部および液受部に残留する水を、反応容器内に排出することができる。したがって、水蒸気を含まない雰囲気中において半導体基板を熱処理することができ、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成することができる。これによって、電気的特性のばらつきの小さい半導体素子を半導体基板に形成することができる。
【0070】
また本発明によれば、液落下ノズル部の吐出口の内径は、0.3mm以上かつ1.0mm未満なので、所望する量の水を反応容器内に供給することができ、所望する膜厚の酸化膜、および所望する不純物の拡散領域を形成することができる。これによって、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成することができ、電気的特性のばらつきの小さい半導体素子を半導体基板に形成することができる。
【0071】
また本発明によれば、液受部の内周面は、鉛直方向下方に向かうに連れて近接するので、液落下ノズル部から落下する液滴は、液受部の鉛直下方に流れ易くなる。したがって、液受部に水が溜まり難くなり、第2管路に不活性ガスを流すことによって、確実に第2管路に残留する水を反応容器内に排出することができる。したがって、水蒸気を含まない雰囲気中において半導体基板を熱処理することができ、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成することができる。これによって、電気的特性のばらつきの小さい半導体素子を半導体基板に形成することができる。
【0072】
また本発明によれば、第1管路形成体は、反応容器に近づくに連れて鉛直方向下方に傾斜するので、第1管路内の水は、第1管路内に残留せずに、反応容器内に流入する。したがって、水蒸気を含まない雰囲気中において半導体基板を熱処理することができ、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成することができる。これによって、電気的特性のばらつきの小さい半導体素子を半導体基板に形成することができる。
【0073】
また本発明によれば、第1管路形成体の内周面は、中心軸が水平方向に延び、反応容器から離反するに連れて内径が小さくなるテーパ形状を有するので、第1管路内の水は、第1管路内に残留せずに、反応容器内に流入する。したがって、水蒸気を含まない雰囲気中において半導体基板を熱処理することができ、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成することができる。これによって、電気的特性のばらつきの小さい半導体素子を半導体基板に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
図1は、本発明の第1の実施の形態の酸化膜形成装置31の構成を示す模式図である。酸化膜形成装置31は、第1管路形成体である導入管32、第2管路形成体である純水供給管33、第3管路形成体である窒素ガス供給管34、第4管路形成体である排出ガス導入管35、酸素ガス供給管36、第1流量調整部である純水量調整部37、第2流量調整部である窒素ガス量調整部38、第3流量調整部である排出ガス量調整部41、酸素ガス量調整部42、炉43、石英ボート44、排出部である排気部45および制御部46を含んで構成される。
【0075】
制御部46は、制御プログラムが記録された記録部と制御プログラムを実行する中央処理装置(Central Processing Unit:略称CPU)とを含んで構成される。制御部46は、制御プログラムを実行し、純水量調整部37、窒素ガス量調整部38、排出ガス量調整部41、酸素ガス量調整部42、石英ボート44、および排気部45を制御する。
【0076】
炉43は、温度調整部であるヒータ部47、反応容器であるプロセスチューブ48、および断熱材から成る断熱部51を含んで構成される。プロセスチューブ48は、石英から成る。プロセスチューブ48は、円筒形状を有する円筒部52と、円筒部52の中心軸線L1の延びる方向の一端部に設けられる側壁部53と、円筒部52の他端部に設けられる開閉可能な蓋体とを含んで構成される。プロセスチューブ48は、円筒部52の中心軸線L1が水平となるように設けられる。ヒータ部47は、プロセスチューブ48の外周部を外囲するように設けられる。ヒータ部47は、制御部46の指令に基づいて、プロセスチューブ48内の温度を制御する。断熱部51は、プロセスチューブ48の側壁部53に近接して設けられる。断熱部51は、熱容量が大きく、プロセスチューブ48内の温度を一定に保つ機能を有する。断熱部51には、貫通孔が形成されている。
【0077】
導入管32の一端は、プロセスチューブ48の側壁部53に接続される。導入管32は、プロセスチューブ48の側壁部53から、断熱部51に形成された貫通孔を通って炉43の外に突出する。
【0078】
図2は、導入管32とプロセスチューブ48とが接続される部分を模式的に示す断面図である。導入管32は、略円筒形状を有する。導入管32は、プロセスチューブ48から離反するに連れて鉛直上方に傾斜する。具体的には、導入管32の中心軸線L2は、鉛直方向と、プロセスチューブ48の円筒部52の中心軸線L1とを含む仮想一平面内において、中心軸線L1から予め定める角度θ1傾く。導入管32の傾きが小さく、予め定める角度θ1が5°未満であれば、導入管32によって形成される管路内の純水がスムーズにプロセスチューブ48内に流れ難くなる。また導入管32の傾きが大きく、予め定める角度が60°以上であれば、導入管32とプロセスチューブ48の側壁部53との空間が小さくなり、断熱部51を配置することが困難になる。したがって、予め定める角度θ1は、5°以上かつ60°未満に選ばれる。
【0079】
石英ボート44は、半導体基板54を複数枚保持する保持部55と駆動部とを含んで構成される。駆動部は、モータを含んで構成され、制御部46の指令に基づいて、保持部55をプロセスチューブ48の円筒部52の中心軸線L1方向に移動させる。制御部46が駆動部を制御することによって、保持部55は、プロセスチューブ48の蓋体を通って、プロセスチューブ48内の所定の位置に移動する。または制御部46が駆動部を制御することによって、保持部55は、プロセスチューブ48内からプロセスチューブ48の蓋体を通って、プロセスチューブ48の外に移動する。これによって、半導体基板54をプロセスチューブ48内に搬入する、または半導体基板54をプロセスチューブ48の外に搬出することができる。
【0080】
半導体基板54は、その厚み方向の表面がプロセスチューブ48の円筒部52の中心軸線L1に対して垂直、または水平になるように、保持部55に保持される。
【0081】
純水供給管33は、プロセスチューブ48から延びる導入管32の他端から鉛直方向上方に延びる鉛直部分と、鉛直部分の鉛直方向の上方の一端から水平方向に延びる水平部分とを含んで構成される。
【0082】
純水供給管33の鉛直部分には、整流部58が設けられる。整流部58は、液落下ノズル部56と、この液落下ノズル部56の鉛直方向下方に設けられ、液落下ノズル部56の吐出口から吐出する純水を受ける液受部57とを含んで構成される。液落下ノズル部56の純水が吐出する吐出口の内径φが小さく、0.3mm未満であれば、吐出口から吐出する純水の流量が小さくなる。また吐出口の内径φが大きく、1.0mm以上であれば、吐出口から過剰の純水が吐出し、過剰の純水がプロセスチューブ48内に流れ込むことになる。したがって、液落下ノズル部56の吐出口の内径φは、0.3mm以上かつ1.0mm未満に選ばれる。本実施の形態では、液落下ノズル部56の吐出口の内径φは、0.5mmに選ばれる。
【0083】
液受部57の内周面61は、鉛直方向下方に向かうに連れて近接するように傾斜する。本実施の形態では、液受部57の内周面61は、鉛直方向最下部を除いて、頂点が鉛直方向の下方側に位置する半球形状である。したがって、液落下ノズル部56の吐出口から吐出する純水は、重力によって液受部57の最下部に流れ込む。これによって、液受部57に純水が滞留し難くなり、液受部57に純水が残留し難くなる。
【0084】
純水を供給する純水供給源62は、純水供給管33の他端に接続される。純水供給源62から供給される純水は、純水供給管33および導入管32によって形成される管路を通ってプロセスチューブ48内に流入する。
【0085】
純水量調整部37は、純水供給管33の水平部分に設けられる。純水量調整部37は、純水の流量を調整するニードル弁63と、純水の流量を計測するフローメータ64とを含んで構成される。フローメータ64は、ニードル弁63に対して、純水が流れる方向の上流側に設けられる。制御部46は、純水量調整部37を制御することによって、フローメータ64の計測結果に基づいてプロセスチューブ48内に流入する純水の量を制御する。
【0086】
窒素ガス供給管34の一端は、プロセスチューブ48から延びる導入管32の他端に接続される。窒素ガスを供給するNガス供給源65は、窒素ガス供給管34の他端に接続される。Nガス供給源65から供給される窒素ガスは、窒素ガス供給管34および導入管32によって形成される管路を通ってプロセスチューブ48内に流入する。
【0087】
窒素ガス量調整部38は、窒素ガス供給管34に設けられる。窒素ガス量調整部38は、窒素ガスの流量を調整する第1マスフローコントローラ(Mass Flow Controller:略称MFC)66と第1電磁弁67とを含んで構成される。第1電磁弁67は、窒素ガス供給管34によって形成される管路を塞ぐか開放するかを制御する。第1MFC66は、第1電磁弁67に対して、窒素ガスが流れる方向の上流側に設けられる。制御部46は、窒素ガス量調整部38を制御することによって、プロセスチューブ48内に流入する窒素ガスの量を調整する。
【0088】
酸素ガス供給管36の一端は、窒素ガス供給管34に接続される。具体的には、酸素ガス供給管36の一端は、第1電磁弁67に対して、窒素ガスが流れる方向の下流側に接続される。酸素ガスを供給するOガス供給源68は、酸素ガス供給管36の他端に接続される。Oガス供給源68から供給される酸素は、酸素ガス供給管36、窒素ガス供給管34の一部および導入管32によって形成される管路を通ってプロセスチューブ48内に流入する。
【0089】
酸素ガス量調整部42は、酸素ガス供給管36に設けられる。酸素ガス量調整部42は、酸素ガスの流量を調整する第2MFC71と第2電磁弁72とを含んで構成される。第2電磁弁72は、酸素ガス供給管36によって形成される管路を塞ぐか開放するかを制御する。第2MFC71は、第2電磁弁72に対して、酸素ガスが流れる方向の上流側に設けられる。制御部46は、酸素ガス量調整部42を制御することによって、プロセスチューブ48内に流入する酸素ガスの量を調整する。
【0090】
排出ガス導入管35は、窒素ガス供給管34から分岐して、純水供給管33に接続される。具体的には、排出ガス導入管35の一端は、第2MFC71とNガス供給源65との間に接続される。排出ガス導入管35の他端は、純水供給管33の水平部分に接続される。より具体的には、排出ガス導入管35の他端は、ニードル弁63に対して、純水が流れる方向の下流側に接続される。Nガス供給源65から供給される窒素ガスは、排出ガス導入管35、純水供給管33および導入管32によって形成される管路を通ってプロセスチューブ48内に流入する。
【0091】
排出ガス量調整部41は、排出ガス導入管35に設けられる。排出ガス量調整部41は、窒素ガスの流量を調整する第3MFC73と第3電磁弁74とを含んで構成される。第3電磁弁74は、排出ガス導入管35によって形成される管路を塞ぐか開放するかを制御する。第3MFC73は、第3電磁弁74に対して、窒素ガスが流れる方向の上流側に設けられる。制御部46は、排出ガス量調整部41を制御することによって、排出ガス導入管35、純水供給管33および導入管32によって形成される管路を通ってプロセスチューブ48内に流入する窒素ガスの量を調整する。
【0092】
排気部45は、制御部46の指令にしたがって、プロセスチューブ48内のガスを、プロセスチューブ48の外へ排出する。
【0093】
以下不純物がドーピングされた半導体基板54の表面に酸化膜を形成し、不純物を拡散する手順について説明する。半導体基板54にドーピングされた不純物は、本実施の形態ではボロンである。
【0094】
図3は、ボロンがドーピングされた半導体基板54の表面部に酸化膜を形成し、ボロンを拡散する処理の時間的流れを表すシーケンス図である。シーケンス図の横軸は、時間を表す。図4は、ボロンがドーピングされた半導体基板54の表面部に酸化膜を形成し、ボロンを拡散する処理を行うときに、制御部46が行う処理を表すフローチャートである。制御部46が窒素ガス量調整部38を制御して、Nガス供給源65から窒素ガスをプロセスチューブ48内に流入させるとともに、排気部45を制御してプロセスチューブ48内のガスをプロセスチューブ48外に排気させているときに、時刻t1になると、ステップs0からステップs1に移る。
【0095】
ステップs1では、制御部46は、まず窒素ガス量調整部38を制御して、プロセスチューブ48内への窒素ガスの供給を停止させる。次に制御部46は、ヒータ部47を制御して、プロセスチューブ48内の温度を予め定める第1の温度T1にさせる。予め定める温度T1は、たとえば800℃に選ばれる。次に制御部46は、酸素ガス量調整部42を制御して、プロセスチューブ48内への酸素ガスの供給を開始させる。次に制御部46は、石英ボート44の駆動部を制御して、半導体基板54が保持部55に保持された石英ボート44を、プロセスチューブ48内に移動させ、半導体基板54をプロセスチューブ48内に搬入させる。半導体基板54がプロセスチューブ48内に搬入され、時刻t2になると、ステップs2に移る。
【0096】
ステップs2では、制御部46は、ヒータ部47を制御してプロセスチューブ48内の温度を酸化温度である予め定める第2の温度T2にさせる。予め定める第2の温度は、800℃以上かつ1050℃未満に選ばれる。本実施の形態では、予め定める第2の温度T2は、900℃に選ばれる。プロセスチューブ48内が予め定める第2の温度T2となる時刻t3になると、ステップs2からステップs3に移る。
【0097】
ステップs3では、熱酸化工程を開始する。制御部46は、まず酸素ガス量調整部42を制御して、プロセスチューブ48内への酸素ガスの供給を停止させる。次に制御部46は、純水量調整部37を制御して、プロセスチューブ48内に純水を供給させる。時刻t3から予め定める第1の時間経過した時刻t4になると、ステップs3からステップs4に移る。予め定める第1の時間は、たとえば30分間に選ばれる。
【0098】
時刻t3から時刻t4までの30分間に、プロセスチューブ48内に供給された純水は、気化して水蒸気となる。半導体基板54は、この気化した水蒸気の雰囲気中で30分間、900℃で加熱される。これによって、半導体基板54の表面部に酸化膜が形成される。
【0099】
ステップs4では、排出工程を開始する。制御部46は、まず純水量調整部37を制御して、プロセスチューブ48内への純水の供給を停止させる。次に制御部46は、窒素ガス量調整部38を制御して、プロセスチューブ48内に窒素ガスを供給させる。次に制御部46は、排出ガス量調整部41を制御して、窒素ガスを排出ガス導入管35、純水供給管33および導入管32によって形成される管路を通してプロセスチューブ48内に供給させる。この排出ガス導入管35および純水供給管33によって形成される管路を通る窒素ガスの単位流路断面積あたりの流量は、9000L/sec・m以上かつ30000L/sec・m未満に選ばれる。排出ガス導入管35および純水供給管33によって形成される管路には、予め定める第2の時間窒素ガスを流し続ける。予め定める第2の時間は、1分間以上かつ5分間未満に選ばれる。本実施の形態では、窒素ガスを1分間、排出ガス導入管35および純水供給管33によって形成される管路に流し続ける。時刻t4から1分経過した時刻t5になると、ステップS4からステップs5に移る。
【0100】
時刻t4から時刻t5までのの1分間に、純水供給管33および導入管32によって形成される管路には、窒素ガスが流れる。これによって、時刻t4に純水の供給を停止したときに純水供給管33および導入管32によって形成される管路に残留する純水が、プロセスチューブ48内に排出される。
【0101】
ステップs5では、熱処理工程であるドライブイン工程を開始する。時刻t5になると制御部46は、まずヒータ部47を制御してプロセスチューブ48内の温度を熱処理温度である予め定める第3の温度T3にさせる。予め定める第3の温度T3は、700℃以上かつ1100℃未満に選ばれる。本実施の形態では、予め定める第3の温度T3は、たとえば900℃に選ばれる。次に制御部46は、排出ガス量調整部41を制御して、排出ガス導入管35から純水供給管33および導入管32によって形成される管路を通してプロセスチューブ48内に流入する窒素ガスの供給を停止させる。時刻t5から予め定める第3の時間経過した時刻t6になると、ステップs5からステップs6に移る。予め定める第3の時間は、30分間に選ばれる。
【0102】
時刻t5から時刻t6までの30分間、窒素ガスをプロセスチューブ48内に供給することによって、半導体基板54を900℃の窒素ガスの雰囲気中で30分間加熱する。プロセスチューブ48内の窒素ガスの圧力は、たとえば80kPa以上かつ300kPa未満に選ばれる。排出工程の後にドライブイン工程を行うので、ドライブイン工程を開始する時刻t5には、純水は、純水供給管33および導入管32によって形成される管路に残留していない。したがって、ドライブイン工程の最中に、純水または水蒸気が純水供給管33および導入管32によって形成される管路からプロセスチューブ48内に流入しない。また排気部45がプロセスチューブ48内の水蒸気をプロセスチューブ48外に排気している。これによって、水蒸気を含まない、900℃の窒素ガスの雰囲気中で半導体基板54を30分間加熱し、ドーピングしたボロンを拡散することができる。
【0103】
ステップs6では、制御部46は、ヒータ部47を制御して、プロセスチューブ48内を予め定める第4の温度T4にさせる。予め定める第4の温度T4は、800℃に選ばれる。プロセスチューブ48内の温度が予め定める第4の温度T4となる時刻t7になると、ステップs6からステップs7に移る。
【0104】
ステップs7では、制御部46は、石英ボート44の駆動部を制御して、半導体基板54が保持部55に保持された石英ボート44を、プロセスチューブ48の外に移動させ、半導体基板54をプロセスチューブ48から搬出させる。次にステップs7に移り、ボロンがドーピングされた半導体基板54の表面部に酸化膜を形成し、ボロンを拡散する処理を終了する。
【0105】
以上述べたように、ドライブイン工程の前に、排出ガス導入管35によって形成される管路を通して、純水供給管33および導入管32によって形成される管路に窒素ガスを流し、純水供給管33および導入管32によって形成される管路に残留した純水をプロセスチューブ48内に排出する排出工程を行う。排出工程を行うことによって、ドライブイン工程を開始する時刻t5には、純水供給管33および導入管32によって形成される管路に純水が残留していない。したがって、ドライブイン工程の最中に、純水供給管33および導入管32によって形成される管路から純水および水蒸気がプロセスチューブ48内に流入しない。これによってドライブイン工程においては、水蒸気を含まない、900℃の窒素ガスのみの雰囲気中において半導体基板54を加熱処理することができる。
【0106】
窒素ガスに加えて水蒸気を含む雰囲気中で半導体基板54を加熱すると、水蒸気の密度に応じて、酸化膜の界面準位密度が変化するが、本実施の形態では、窒素ガスのみの雰囲気中において半導体基板54を加熱するので、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成することができる。界面準位密度がばらつくと、半導体基板54の表面部の導電型が反転するときのフィールド反転電圧がばらつくなど、半導体基板に形成する半導体素子の電気的特性がばらつくが、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成することができるので、電気的特性のばらつきの小さい半導体素子を半導体基板に形成することができる。
【0107】
また窒素ガスに加えて水蒸気を含む雰囲気中で半導体基板54を加熱すると、水蒸気の密度に応じて、半導体基板54にドーピングされたボロンの拡散速度も変化するが、本実施の形態では、窒素ガスのみの雰囲気中において半導体基板54を加熱するので、拡散速度のばらつきを小さくすることができる。これによって、所望するボロンの拡散領域を半導体基板54に形成することができる。
【0108】
また本実施の形態では、排出ガス導入管35の一端を窒素ガス供給管34に接続するので、1つのNガス供給源65から、排出ガス導入管35および窒素ガス供給管34によって形成される管路にそれぞれ窒素ガスを供給することができる。したがって、排出ガス導入管35および窒素ガス導入管32によって形成される管路に窒素ガスをそれぞれ供給するガス供給源を2つ別々に設ける必要がなくなる。これによって、酸化膜形成装置31の構造を簡素化することができ、酸化膜形成装置31を作成するコストを抑制することができる。
【0109】
また本実施の形態では、排出工程において、排出ガス導入管35、純水供給管33および導入管32によって形成される管路を通ってプロセスチューブ48内に流入する窒素ガスの単位断面積あたりの流量を、9000L/sec・m以上かつ30000L/sec・m未満に制御する。排出ガス導入管35によって形成される管路に供給する窒素ガスの単位断面積あたりの流量を変化させて、1分間窒素ガスを流した後の、純水供給管33および導入管32によって形成される管路内の純水の状態を目視観察した結果を表1に示す。
【0110】
【表1】

【0111】
表1において記号「×」は、純水供給管33および導入管32によって形成される管路内に純水が残留していることを表し、記号「△」は、純水供給管33および導入管32によって形成される管路内に純水がほぼ残留していないことを表し、記号「○」は、純水供給管33および導入管32によって形成される管路内に純水が残留していないことを表す。
【0112】
実験の結果、排出ガス導入管35によって形成される管路に供給する窒素ガスの単位断面積あたりの流量が少なく、3000または6000L/sec・mであれば、純水をプロセスチューブ48内に完全に排出することができず、純水供給管33および導入管32によって形成される管路に純水が残留することがわかった。排出ガス導入管35によって形成される管路に供給する窒素ガスの単位断面積あたりの流量が、9000L/sec・mであれば、純水供給管33および導入管32によって形成される管路内の純水をほぼ排出することができることがわかった。したがって、排出ガス導入管35によって形成される管路に供給する窒素ガスの単位断面積あたりの流量が少なく、9000L/sec・m未満であれば、純水供給管33および導入管32によって形成される管路の純水を排除するために、1分よりもさらに長い時間が必要となる。
【0113】
排出ガス導入管35によって形成される管路に供給する窒素ガスの単位断面積あたりの流量が少なく、純水供給管33および導入管32によって形成される管路に純水が残留してしまうと、ドライブイン工程の最中に、残留した純水が気化して水蒸気になり、プロセスチューブ48内に流入する。したがって、窒素ガスに加えて水蒸気を含む雰囲気中で半導体基板54を加熱することになり、酸化膜の界面準位密度がばらついたり、フィールド反転電圧がばらついたりなどする。
【0114】
また排出ガス導入管35によって形成される管路に供給する窒素ガスの単位断面積あたりの流量を、30000L/sec・m以上にするためには、ガスを供給する装置の能力の向上、管路の直径の変更、およびガス供給量と排気のバランスを保つために排気部45の排出能力の向上などを行う必要が生じ、設備が複雑となり、コストが高くなる。さらに、管路を流れる不活性ガスの単位流路断面積あたりの流量が多いと、不活性ガスの費用がかさみ、コストが高くなる。本実施の形態では、排出ガス導入管35によって形成される管路に供給する窒素ガスの単位断面積あたりの流量が9000L/sec・m以上かつ30000L/sec・m未満であるので、簡易な設備で、短い時間で純水をプロセスチューブ48内に排出することができる。
【0115】
また本実施の形態では、排出ガス導入管35によって形成される管路に窒素ガスを1分間以上かつ5分間未満供給する。排出ガス導入管35によって形成される管路に窒素ガスを1分未満の間供給しただけでは、純水供給管33および導入管32によって形成される管路内の純水を完全にプロセスチューブ48内に排出することができず、純水が管路内に残留してしまう。この残留した純水がドライブイン工程の最中に気化してプロセスチューブ48内に流入すると、前述したように酸化膜の界面準位密度がばらついたり、フィールド反転電圧がばらついたりなどする。また5分間以上排出ガス導入管35によって形成される管路に窒素ガスを供給すると、この間中、純水または水蒸気が強制的にプロセスチューブ48内に排出され、5分以上水蒸気の雰囲気中で半導体基板54が加熱処理される。長い時間水蒸気の雰囲気中で半導体基板54を加熱処理すると、酸化膜の界面準位密度がばらついたり、フィールド反転電圧がばらついたりなどする。本実施の形態では、排出ガス導入管35によって形成される管路に窒素ガスを1分間以上かつ5分間未満供給するので、半導体基板54を長い時間水蒸気の雰囲気にさらすことなく、純水供給管33および導入管32によって形成される管路内の純水を確実に除去することができる。
【0116】
また本実施の形態では、700℃以上かつ1100℃未満の雰囲気中でドライブイン工程を行う。700℃未満の低温で半導体基板54を加熱する場合、半導体基板54にドーピングされたボロンの拡散速度が小さくなり、所望する領域に不純物を拡散するために多くの時間を要する。また1100℃以上の高温で半導体基板54を加熱すると、半導体基板に欠陥が生じたりする。本実施の形態では、700℃以上かつ1100℃未満の雰囲気中でドライブイン工程を行うので、半導体基板54に欠陥を生じさせずに、短い時間でボロンを所望する領域に拡散することができる。
【0117】
また本実施の形態では、排出ガス導入管35の他端は、整流部58よりも純水が流れる方向の上流側に接続されるので、純水が残留し易い整流部58に残留する純水を、確実にプロセスチューブ48内に排出することができる。
【0118】
また本実施の形態では、液落下ノズル部56の純水が吐出する吐出口の内径φは、0.3mm以上かつ1.0mm未満に選ばれる。液落下ノズル部56の吐出口の内径φが小さく、0.3mm未満であれば吐出口から吐出する純水の流量が小さくなり、所望する量の純水をプロセスチューブ48内に供給することができない。また吐出口の内径φが大きく、1.0mm以上であれば、吐出口から過剰の純水が吐出し、過剰の純水がプロセスチューブ48内に流れ込むことになる。過剰の純水がプロセスチューブ48内に流れ込むと、酸化膜の膜厚が所望する厚さよりも厚くなったり、半導体基板54の表面に水蒸気の跡が形成されたりする。したがって、本実施の形態では、液落下ノズル部56の吐出口の内径φは、0.3mm以上かつ1.0mm未満に選ばれる。これによって、半導体基板54の表面に水蒸気の跡を付けずに、所望する膜厚の酸化膜を形成することができる。
【0119】
また本実施の形態では、液受部57の内周面61は、鉛直方向最下部を除いて、頂点が鉛直方向の下方側に位置する半球形状を有する。液落下ノズル部56の吐出口から吐出する純水は、重力によって液受部57の最下部に流れ込む。したがって、液受部57に純水が滞留し難くなり、液受部57に純水が残留し難くなる。これによって、ドライブイン工程の最中に整流部58からプロセスチューブ48内に純水または水蒸気が流れ込まなくなる。
【0120】
本実施の形態では、不活性ガスとして窒素ガスを用いるとしたけれども、ArガスおよびHeガスなどの反応性に乏しいガスを用いてもよい。
【0121】
また本実施の形態では、ボロンがドーピングされた半導体基板54に酸化膜を形成し、ボロンを拡散するとしたけれども、リンがドーピングされた半導体基板54に酸化膜を形成し、リンを拡散してもよい。この場合であっても、水蒸気を含まない窒素ガスのみの雰囲気中においてドライブイン工程を行うことができるので、所望するリンの拡散領域を形成したり、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成したりすることができ、前述した効果と同様の効果を得ることができる。またバイポーラトランジスタのベースおよびコレクタを形成する不純物の拡散工程が終わった後、エミッタを形成するための不純物がドーピングされた半導体基板54に、酸化膜を形成し、このエミッタを形成するための不純物を拡散してもよい。エミッタと酸化膜との界面の界面準位密度のばらつきを抑えてバイポーラトランジスタを半導体基板54に形成することができるので、界面準位密度に影響されるフィールド反転電圧などの電気的特性のばらつきの小さいバイポーラトランジスタを形成することができる。
【0122】
また本実施の形態では、導入管32は、略円筒形状を有し、プロセスチューブ48から離反するに連れて鉛直方向上方に傾斜するとしたけれども、導入管32の内周面は、純水をプロセスチューブ48内に流入させ易い形状であればよい。たとえば導入管32の内周面が、プロセスチューブ48から離反するに連れて内径が小さくなるテーパ形状であってもよい。
【0123】
図5は、テーパ形状の内周面75を有する導入管32とプロセスチューブ48とが接続される部分を模式的に示す断面図である。テーパ角度θ2は、10°以上かつ120°未満に選ばれる。テーパ角度θ2が小さく、10°未満であれば、導入管32によって形成される管路内の純水がスムーズにプロセスチューブ内に流入せず、導入管32によって形成される管路内に純水が残留するおそれがある。またテーパ角度θ2が大きく、120°以上であれば、導入管32とプロセスチューブ48の側面との空間が小さくなり、断熱部51を配置することが困難になる。テーパ角度θ2が10°以上かつ120°未満の内周面75を有する導入管32をプロセスチューブ48に接続することによって、断熱部51を容易に配置することができ、導入管32によって形成される管路に純水が残留し難くなる。
【0124】
また本実施の形態では、排出工程において、排出ガス導入管35に継続的に窒素ガスを供給するとしたけれども、窒素ガスを複数回に分けて断続的に排出ガス導入管35に供給するようにしてもよい。複数回に分けて窒素ガスを排出ガス導入管35に供給し、純水供給管33および導入管32に残留する水をプロセスチューブ48内に排出するので、排出ガス導入管35に1回だけ窒素ガスを流して純水供給管33および導入管32に残留する水をプロセスチューブ48内に排出する場合に比べて、効率的に純水供給管33および導入管32に残留する水を排出することができる。効率的に純水供給管33および導入管32に残留する水を排出することができるので、窒素ガスの流量を抑制することができる。これによって、半導体基板54の表面に酸化膜を形成するためのコストを抑制することができる。
【0125】
本発明の第2の実施の形態の酸化膜形成装置31は、第1の実施の形態の酸化膜形成装置31と異なり、ドライブイン工程において、窒素ガスに加えて酸素ガスをプロセスチューブ48内に供給する。また第2の実施の形態の酸化膜形成装置31は、バイポーラトランジスタのベースおよびコレクタを形成する不純物が拡散され、エミッタ領域を形成するリンがドーピングされた半導体基板54の表面部に酸化膜を形成し、エミッタ領域を形成するリンを拡散する。本発明の第2の実施の形態の酸化膜形成装置31は、前述した第1の実施の形態の酸化膜形成装置31と同様の構成である。したがって、第1の実施の形態と同様の構成については説明を省略し、異なる構成についてだけ説明する。
【0126】
図6は、エミッタ領域を形成するリンがドーピングされた半導体基板54の表面部に酸化膜を形成し、リンを拡散する処理の時間的流れを表すシーケンス図である。シーケンス図の横軸は、時間を表す。図7は、エミッタ領域を形成するリンがドーピングされた半導体基板54の表面部に酸化膜を形成し、リンを拡散する処理を行うときに、制御部46が行う処理を表すフローチャートである。
【0127】
第2の実施の形態は、第1の実施の形態と、ドライブイン工程が異なる。したがって、図7のフローチャートのステップu0〜ステップu4は、図4のフローチャートのステップs0〜ステップs4とそれぞれ同じであり、図7のフローチャートのステップu6〜ステップu8は、図4のフローチャートのステップs6〜ステップs8とそれぞれ同じである。
【0128】
ステップu5では、ドライブイン工程を開始する。時刻t5になると制御部46は、まずヒータ部47を制御してプロセスチューブ48内の温度を予め定める第3の温度T3にさせる。予め定める第3の温度T3は、700℃以上かつ1100℃未満に選ばれる。本実施の形態では、予め定める第3の温度T3は、900℃に選ばれる。次に制御部46は、排出ガス量調整部41を制御して、排出ガス導入管35から純水供給管33および導入管32によって形成される管路を通してプロセスチューブ48内に流入する窒素ガスの供給を停止させる。次に制御部46は、酸素ガス量調整部42を制御して、プロセスチューブ48内の酸素ガスを予め定める密度にするように、酸素ガスをプロセスチューブ48内に供給させる。プロセスチューブ48内の酸素ガスの予め定める密度は、0.45mol/m以上かつ4.5mol/m未満に選ばれる。時刻t5から予め定める第3の時間経過した時刻t6になると、ステップu5からステップu6に移る。予め定める第3の時間は、30分間に選ばれる。
【0129】
時刻t4から酸素ガスをプロセスチューブ48内に供給することによって、窒素ガスおよび酸素ガスを含む雰囲気中において半導体基板54を加熱し、リンを拡散することができる。
【0130】
酸素ガスを含む雰囲気中では、半導体基板54にドーピングされた不純物が増速拡散する。したがって、不純物の拡散速度が大きくなり、酸素ガスを含まない雰囲気中で不純物を拡散させる場合に比べて、短時間で不純物を所望する領域に拡散することができる。
【0131】
またステップu0〜ステップu8までの処理を行うことによって形成される酸化膜の界面準位密度は、ドライブイン工程における半導体基板54の雰囲気中の酸素密度に依存する。したがって、界面準位密度に依存するバイポーラドランジスタの電気的な諸特性も、ドライブイン工程における半導体基板54の雰囲気中の酸素密度に依存する。
【0132】
図8は、エミッタ抵抗とドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度との関係を表すグラフである。縦軸は、エミッタ領域の抵抗値を表し、横軸は、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度を表す。図8に示すように、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度を高くすると、エミッタ抵抗の小さいバイポーラトランジスタが形成される。したがって、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度を制御することによって、所望するエミッタ抵抗を有するバイポーラトランジスタを形成することができる。
【0133】
図9は、閾値電圧Vthとドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度との関係を表すグラフである。縦軸は、閾値電圧Vthを表し、横軸は、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度を表す。閾値電圧Vthは、トランジスタのベースとコレクタとを短絡し、ベースおよびコレクタに対して負の電圧をエミッタに印加したときに、コレクタとエミッタとの間に電流が流れ出すときの電圧のことである。図9に示すように、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度を高くすると、閾値電圧Vthの高いバイポーラトランジスタが形成される。したがって、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度を制御することによって、所望する閾値電圧Vthを有するバイポーラトランジスタを形成することができる。
【0134】
図10は、NPN型のバイポーラトランジスタの電流増幅率Hfeと、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度との関係を表すグラフである。縦軸は、電流増幅率Hfeを表し、横軸は、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度を表す。図10に示すように、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度を高くすると、電流増幅率Hfeの高いバイポーラトランジスタが形成される。したがって、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度を制御することによって、所望する電流増幅率Hfeを有するバイポーラトランジスタを形成することができる。
【0135】
図11は、NPN型のバイポーラトランジスタの電流増幅率Hfe比と、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度との関係を表すグラフである。電流増幅率Hfe比とは、コレクタに流れる電流が10μAのときの電流増幅率Hfeを、コレクタに流れる電流が1mAのときの電流増幅率Hfeで除した値である。縦軸は、電流増幅率Hfe比を表し、横軸は、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度を表す。図11に示すように、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度を高くすると、電流増幅率Hfe比の低いバイポーラトランジスタが形成される。したがって、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度を制御することによって、所望する電流増幅率Hfe比を有するバイポーラトランジスタを形成することができる。
【0136】
以上述べたように、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度を制御することによって、所望する電気的特性を有するバイポーラトランジスタを形成することができる。この酸素ガスの密度が小さく、0.45mol/m未満であれば、酸素ガスをプロセスチューブ48内に供給することによってバイポーラトランジスタの電気的特性が変化する効果がほとんど現れない。逆に酸素ガスの密度が大きく、0.45mol/m以上にしたとしても、閾値電圧Vthは、飽和して変化しなくなるので、酸素ガスの密度をこれ以上高くする効果がない。本実施の形態では、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度を、0.45mol/m以上かつ4.5mol/m未満に制御するので、所望する電気的特性を有するバイポーラトランジスタを形成することができる。
【0137】
また第1の実施の形態の酸化膜形成装置31と同様に、水蒸気を含まない雰囲気中でドライブイン工程を行うことができるので、界面準位密度のばらつきの小さい酸化膜を形成することができ、電気特性のばらつきの小さいバイポーラトランジスタを形成することができる。これによって、歩留りを向上することができる。
【0138】
本実施の形態では、半導体基板54にバイポーラトランジスタを形成するとしたけれども、バイポーラトランジスタに限らず、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor
Field Effect Transistor)およびJFET(Junction Field Effect Transistor)などの電界効果トランジスタを、半導体基板54に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の第1の実施の形態の酸化膜形成装置31の構成を示す模式図である。
【図2】導入管32とプロセスチューブ48とが接続される部分を模式的に示す断面図である。
【図3】ボロンがドーピングされた半導体基板54の表面部に酸化膜を形成し、ボロンを拡散する処理の時間的流れを表すシーケンス図である。
【図4】ボロンがドーピングされた半導体基板54の表面部に酸化膜を形成し、ボロンを拡散する処理を行うときに、制御部46が行う処理を表すフローチャートである。
【図5】テーパ形状の内周面75を有する導入管32とプロセスチューブ48とが接続される部分を模式的に示す断面図である。
【図6】エミッタ領域を形成するリンがドーピングされた半導体基板54の表面部に酸化膜を形成し、リンを拡散する処理の時間的流れを表すシーケンス図である。
【図7】エミッタ領域を形成するリンがドーピングされた半導体基板54の表面部に酸化膜を形成し、リンを拡散する処理を行うときに、制御部46が行う処理を表すフローチャートである。
【図8】エミッタ抵抗とドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度との関係を表すグラフである。
【図9】閾値電圧Vthとドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度との関係を表すグラフである。
【図10】NPN型のバイポーラトランジスタの電流増幅率Hfeと、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度との関係を表すグラフである。
【図11】NPN型のバイポーラトランジスタの電流増幅率Hfe比と、ドライブイン工程中のプロセスチューブ48内の酸素ガスの密度との関係を表すグラフである。
【図12】従来の技術の酸化膜形成装置1の構成を示す模式図である。
【図13】半導体基板2の表面部に酸化膜を形成する処理の時間的流れを表すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0140】
31 酸化膜形成装置
32 導入管
33 純水供給管
34 窒素ガス供給管
34 排出ガス導入管
36 酸素ガス供給管
37 純水量調整部
38 窒素ガス量調整部
41 排出ガス量調整部
42 酸素ガス量調整部
43 炉
44 石英ボート
45 排気部
46 制御部
47 ヒータ部
48 プロセスチューブ
54 半導体基板
56 液落下ノズル部
57 液受部
58 整流部
62 純水供給源
63 ニードル弁
64 フローメータ
65 Nガス供給源
66 第1MFC
67 第1電磁弁
68 Oガス供給源
71 第2MFC
72 第2電磁弁
73 第3MFC
74 第3電磁弁
75 導入管の内周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板が収容される反応容器内の雰囲気を予め定める酸化温度にして、前記反応容器に接続される管路を通じて前記反応容器内に水を供給し、この水が気化した水蒸気によって反応容器内を酸化雰囲気にして、前記半導体基板の表面を熱酸化させる熱酸化工程と、
前記管路から反応容器内への水の供給を停止した後、前記管路を通じて反応容器内に不活性ガスを供給して、前記管路に残留する水を反応容器内に排出し、反応容器内で気化した水蒸気を反応容器外へ排出する排出工程と、
排出工程を終了させた後、前記管路を通じて反応容器内に不活性ガスを供給し、反応容器内の雰囲気を予め定める熱処理温度に保持する熱処理工程とを含むことを特徴とする酸化膜形成方法。
【請求項2】
前記排出工程および前記熱処理工程に用いられる不活性ガスを、同一のガス供給源から供給することを特徴とする請求項1記載の酸化膜形成方法。
【請求項3】
前記排出工程では、前記管路における不活性ガスの単位流路断面積あたりの流量は、9000L/sec・m以上かつ30000L/sec・m未満に選ばれることを特徴とする請求項1または2記載の酸化膜形成方法。
【請求項4】
前記排出工程では、前記反応容器内に1分間以上かつ5分間未満、不活性ガスを供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の酸化膜形成方法。
【請求項5】
前記排出工程では、前記管路を通じて前記反応容器内に不活性ガスを断続的に供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の酸化膜形成方法。
【請求項6】
前記半導体基板には、リンがドーピングされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の酸化膜形成方法。
【請求項7】
前記半導体基板には、ボロンがドーピングされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の酸化膜形成方法。
【請求項8】
前記半導体基板には、バイポーラトランジスタのエミッタを形成するための不純物がドーピングされていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の酸化膜形成方法。
【請求項9】
前記熱処理温度は、700℃以上かつ1100℃未満に選ばれることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1つに記載の酸化膜形成方法。
【請求項10】
前記熱処理工程では、前記管路を通じて反応容器内に酸素ガスを供給することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1つに記載の酸化膜形成方法。
【請求項11】
半導体基板を収容する反応容器と、
半導体基板が収容される反応容器内の雰囲気を予め定める温度にする温度調整部と、
反応容器内のガスを反応容器外へ排出する排出部と、
反応容器に接続され、反応容器内に通じる第1管路を形成する第1管路形成体と、
水の供給源から供給される水を、前記第1管路に導く第2管路を形成する第2管路形成体と、
不活性ガスの供給源から供給される不活性ガスを前記第1管路に導く第3管路を形成する第3管路形成体と、
不活性ガスの供給源から供給される不活性ガスを前記第2管路に導く第4管路を形成する第4管路形成体と、
第2管路形成体に設けられ、第2管路を流れる水の流量を調整する第1流量調整部と、
第3管路形成体に設けられ、第3管路を流れる不活性ガスの流量を調整する第2流量調整部と、
第4管路形成体に設けられ、第4管路を流れる不活性ガスの流量を調整する第3流量調整部と、
予め定める第1の時間、第2管路に水を流すように第1流量調整部を制御し、第2管路に水を流した後、第3管路に不活性ガスを流すように第2流路調整部を制御するとともに、予め定める第2の時間、第4管路に不活性ガスを流すように第3流量調整部を制御する制御部とを含むことを特徴とする酸化膜形成装置。
【請求項12】
前記第2管路形成体には、第1流量調整部と第1管路との間に、液落下ノズル部、および液落下ノズル部の鉛直方向下方で、液落下ノズル部の吐出口から吐出する水を受ける液受部が設けられ、前記第4管路形成体は、第1流量調整部と液落下ノズル部との間で第2管路形成体に接続されることを特徴とする請求項11記載の酸化膜形成装置。
【請求項13】
前記液落下ノズル部の吐出口の内径は、0.3mm以上かつ1.0mm未満に選ばれることを特徴とする請求項12記載の酸化膜形成装置。
【請求項14】
前記液受部の内周面は、鉛直方向下方に向かうに連れて近接するように傾斜することを特徴とする請求項12または13記載の酸化膜形成装置。
【請求項15】
前記第1管路形成体は、反応容器から離反するに連れて鉛直方向上方に傾斜することを特徴とする請求項11〜14のいずれか1つに記載の酸化膜形成装置。
【請求項16】
前記第1管路形成体の内周面は、中心軸が水平方向に延び、反応容器から離反するに連れて内径が小さくなるテーパ形状を有することを特徴とする請求項11〜14のいずれか1つに記載の酸化膜形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−42937(P2007−42937A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226765(P2005−226765)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】