説明

酸基を含むジアルデヒド縮合物

【課題】酸基を含むジアルデヒド縮合物を提供する。
【解決手段】a)アルデヒド(このアルデヒドはC〜C12の群のジアルデヒドからなる群から選択される)、および
b)NH基を担持する少なくとも1種の化合物、
をベースとし、かつ酸基(酸基とは、スルホ基および/またはカルボキシル基ならびにそれらの塩を意味するものと理解される)を含む縮合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸基ならびにその塩を含むジアルデヒド縮合物、それを製造するための方法、皮革処理補助剤、特になめし剤および再なめし剤としてのその使用、ならびにそれを用いてなめしたり再なめしした皮革および毛皮に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイドおよびスキンから皮革および毛皮を製造するには、一般的には、複数の工程が必要である。ビームハウスにおける準備工程、たとえば脱毛、フレッシング、デライニング(delining)および戻しの工程の後の、典型的な一連の工程は、なめし、再なめし、染色、ファットリカー塗布、および仕上げからなる。それらの個々の作業は、さらなるサブユニットに分割されてもよい。
【0003】
なめし作業は、皮革の収縮温度の上昇をもたらすのに対して、再なめし作業はそれに対する影響がほとんど無い。再なめし作業とは、前なめしされた、多くの場合クロムなめしされた皮革を、色調、厚みの一様性(levelness)、柔軟性、フルネス(fullness)、および水に対する挙動(撥水性)を最適化し、なめし剤を固定させる目的で、後処理することを意味するものと理解される。さらに詳しくは、なめし、再なめし、および染色は、別々のいわゆるなめしドラムの中で、水性のなめし剤/再なめし剤溶液、または染料の分散体または溶液を用いて、実施される。
【0004】
皮革のための再なめし剤としての縮合物についてはすでに、たとえば、(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、(特許文献4)、(特許文献5)、(特許文献6)、および(特許文献7)に記載がある。
【0005】
(特許文献2)には、皮革のための再なめし剤として、メラミン、尿素、ホルムアルデヒドおよび亜硫酸水素ナトリウムから水溶性樹脂なめし剤を調製するための方法が記載されている。
【特許文献1】米国特許第3063781号明細書
【特許文献2】EP−A−63 319
【特許文献3】DE−A−19 823 155
【特許文献4】米国特許第4656059号明細書
【特許文献5】国際公開第94/10231号パンフレット
【特許文献6】GB−A−2 371 559
【特許文献7】DE−A−4 436 182
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、それらの縮合物では、それらを用いてなめした皮革において、特にフルネス、柔軟性、湿り気(damp)、風合い(hand)、しぼのしまり(grain tightness)、および可染性の面で依然として難点がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことには、本発明による縮合物は、実質的に改良された性能範囲を有していて、特に、しぼのしまり、フルネス、可染性、および風合いが改良されることが見出された。
【0008】
同時に、本発明による縮合物を用いて処理した皮革は、DIN 53 315に準拠してホルムアルデヒドが存在しない点に特徴があり、この利点は、極めて肯定的であると考えられる。
【0009】
驚くべきことには、以下のもの:
a)アルデヒド(このアルデヒドはC〜C12の群のジアルデヒドからなる群から選択される)、および
b)NH基を担持する少なくとも1種の化合物;
をベースとし、かつ酸基を含む縮合物が今や見出された。ここで、酸基とは、スルホ基および/またはカルボキシル基ならびにそれらの塩を意味するものと理解される。
【0010】
「ベースとする」という用語は、その縮合物が、a)、b)および任意成分のc)ならびに酸基を導入する反応剤に加えて、場合によってはさらなる反応剤から調製される、ということを意味している。
【0011】
しかしながら、それぞれの群a)およびb)は、使用されるアルデヒドまたはNH基を有する化合物に関しては決定的である。このことは、その他のアルデヒド、特にモノアルデヒドは、a)の定義を満足しない限り、一つの成分としては使用されない、ということを意味する。判りやすく言えば、たとえばホルムアルデヒドは、Cモノアルデヒドであるので、本発明における縮合物のための反応剤としては不適切である、ということである。本発明による好適な縮合物は、95重量%を超える、特には99重量%を超える、成分a)、b)、c)および酸基に導入された反応剤、からなる。
【0012】
成分a)の好適なジアルデヒドは、脂肪族さらには芳香族のC〜C12−ジアルデヒドである。脂肪族、特にC〜C−ジアルデヒドが好ましい。グリオキサール、ブタンジアルデヒド、ブテンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、アジプアルデヒドおよびオクタンジアルデヒドからなる群からの1種以上の化合物が、成分a)のジアルデヒドとしては特に好ましい。
【0013】
グルタルジアルデヒドが特に好ましい。
【0014】
具体的には、NH基を含む成分b)の化合物としては、第一級のアミンおよびアミドが適している。それらは、好ましくは脂肪族または芳香族のC〜C10−アミンおよび/またはC〜C10−アミドである。シアナミド、尿素、メラミン、ウロトロピン、グアニジン、ホルモグアナミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、カプリノグアナミン、イソブチログアナミン、アクリルアミド、ベンズアミド、ジシアンジアミド(シアノグアニジン)またはそれらの混合物が、特に好適に使用される。
【0015】
メラミン、または尿素と組み合わせたメラミンが、好適に使用される。
【0016】
本発明による縮合物は、スルホ基および/またはカルボキシル基、またはそれらの塩を有している。
【0017】
好適な塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩であるが、特に好適なのはそれらのナトリウム塩またはカリウム塩の形態のものである。
【0018】
好適な酸基は、スルホ基またはそれらの塩である。
【0019】
酸基、特にスルホ基、を導入するのに好適な反応剤は、たとえば、濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、二亜硫酸アルカリ金属、二亜硫酸アルカリ土類金属もしくは二亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アルカリ金属、亜硫酸水素アルカリ土類金属もしくは亜硫酸水素アンモニウム、スルファミド酸アルカリ金属、スルファミド酸アルカリ土類金属もしくはスルファミド酸アンモニウム、またはそれら反応剤の混合物である。
【0020】
カルボキシル基を導入するためには、たとえば、アルキル基、アルケン基、アルデヒド基もしくはアルコール基の酸化;アミド、エステルもしくは塩化アシルの加水分解;カルボン酸含有化合物の導入;または塩化アシル含有、エステル含有もしくはアミド含有化合物の組み込みとそれに続けてのそれらの加水分解が適している。
【0021】
酸基を導入する場合には、特に、アミンをアルデヒドと反応させることにより発生するOH基を、酸基に、特にスルホ基に変換する。
【0022】
場合によっては、付随的に使用される成分c)として好ましいものとして、1種以上の脂肪族または芳香族アルコールがさらなる成分として付随的に使用される。たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、エタンジオール、ジエタノールアミン、グリセロール、トリエタノールアミンおよびフェノールが好ましい。
【0023】
エタノール、エタンジオール、ジエタノールアミン、グリセロール、トリエタノールアミンおよびフェノールが特に好ましい。
【0024】
酸基の量は、使用されるジアルデヒドa)の合計量を基準にして40〜180モル%とするのが好ましい。
【0025】
成分a)およびb)は以下の比率で使用するのが好ましい:
a)10〜90重量%、
b)10〜90重量%、そして
a)とb)のパーセントを合計したものが100%である。
【0026】
本発明による化合物は、500〜50000g/モル、特に2000〜15000g/モルの平均分子量を有しているのが好ましく、また20℃で50g/Lを超える、残渣の残らない水溶性または水乳化性を有しているのが好ましい。
【0027】
それらの縮合物は、固形物たとえば粉状物または粒状物として、あるいは水性の溶液または分散液として使用することができる。
【0028】
本発明はさらに、本発明による化合物を調製するための方法にも関するが、その特徴は、成分a)およびb)ならびにさらなる任意成分を縮合させること、および、その縮合の前、縮合中、または縮合後に、酸基を導入するための反応剤との反応を実施する点にある。
【0029】
縮合反応は、例えば、塩基性または酸性の触媒を使用して実施することもできるし、あるいは、触媒を全く使用せずに実施することもできる。
【0030】
その縮合反応は、水性溶液中、塩基性または酸性媒体中20℃〜200℃の温度で実施することができる。それらの反応剤の添加順序や反応を実施する方法は、もとより、得られる反応生成物の性質、たとえば分子量、に影響を及ぼす。
【0031】
スルホ基の導入は、縮合の前、縮合中、または縮合後に実施することができるが、それにはたとえば、
1)濃硫酸との反応、または
2)発煙硫酸との反応、または
3)クロロスルホン酸との反応、または
4)アルカリ金属二亜硫酸塩、アルカリ土類金属二亜硫酸塩もしくは二亜硫酸アンモニウムとの反応、または
5)アルカリ金属亜硫酸水素塩、アルカリ土類金属亜硫酸水素塩もしくは亜硫酸水素アンモニウムとの反応、または
6)アルカリ金属スルファミド酸塩、アルカリ土類金属スルファミド酸塩もしくはスルファミド酸アンモニウムとの反応、または
上記1)〜6)のスルホン化の可能性を混用した方法を使用する。
【0032】
好ましい実施態様においては、スルホ基の導入は二亜硫酸ナトリウムとの反応により実施するが、それには、水性媒体中、20〜200℃、好ましくは20〜150℃、特に好ましくは20〜50℃で始まり、70〜140℃で終わる温度で、二亜硫酸ナトリウムをジアルデヒド成分a)およびアミンまたはアミド成分b)の一部と反応させる。その反応後に、場合によっては、ジアルデヒド成分(a)と、20〜200℃、好ましくは60〜200℃、特に好ましくは70〜140℃で、さらに反応させる。
【0033】
本発明はさらに、ハイドまたはスキンをなめしたり、鉱物なめしをした(mineral tanned)皮革、特にクロムなめしをした皮革を再なめししたりするための、本発明による化合物および本発明による化合物を含む混合物の使用に関し、その特徴は、それらのハイドやスキンやなめし皮革を、水性リカー(aqueous liquor)の中で本発明による縮合物を用いて処理する点にある。
【0034】
本発明はさらに、本発明による化合物を使用してなめしたり、再なめしした皮革または毛皮にも関する。
【0035】
なめし剤/再なめし剤の使用は、当業者にはそれ自体公知である。
【0036】
好適な使用においては、本発明による皮革または毛皮は、市販されているなめし装置、たとえばなめしドラム、ミキサーまたはドサマット(dosamat)の中で、市販されているウェットブルー(Wet Blue)を3.8〜7.0、好ましくは4.5〜6.0のpHに調節し、次いで、本発明による再なめし剤を、単独、あるいはさらなる再なめし剤/染料/ファットリカー塗布剤との組合せにおいて2〜20%含む水性リカーの中で、それを再なめしすることにより製造される。そのように処理した皮革は、通常の方法でさらに処理することができる。
【0037】
本発明による物質を用いてなめしたり再なめしした皮革は、柔軟性に加えて、特にその脇腹領域(flank regions)における、特にフルネスおよびしぼのしまりを有している。
【0038】
本発明による物質は、さらなる添加物と組み合わせて使用することももちろん可能である。たとえば、中和剤、充填剤、緩衝剤、分散剤、消泡剤、脂肪、撥水剤、染色助剤、およびその他のなめし剤/再なめし剤が、そのようなものとして適している。
【0039】
それらの添加剤は、たとえば、なめしドラムに同時添加してもよいし、あるいは同じリカーに段階的に添加していってもよい。液状または固体状の貯蔵安定性の良好な生成物が得られるような添加剤との混合物が好ましい。
【0040】
良好な分散効果を有する添加物、たとえば、ホルムアルデヒドと、ナフタレンスルホン酸類、クレゾールスルホン酸類、フェノールスルホン酸類、ジトリルエーテルスルホン酸類、ビスヒドロキシフェニルスルホン、およびフェノール類からなる群から選択される少なくとも1種の芳香族化合物とから得られるホルムアルデヒド縮合物をベースとする添加物が、本明細書においては特に好ましい。
【0041】
使用される充填剤は、無機充填剤、たとえばシリケート、ゼオライトもしくはタルクであってもよいし;有機充填剤、たとえばデンプン、変性デンプンまたはリグニンスルホネートからなる群から選択されるものも使用できる。
【0042】
本発明はさらに、以下のものを含む混合物にも関する:
(i)少なくとも1種の本発明による縮合物、
(ii)少なくとも1種の分散剤、特に、ホルムアルデヒドと、ナフタレンスルホン酸類、クレゾールスルホン酸類、フェノールスルホン酸類、ジトリルエーテルスルホン酸類、ビスヒドロキシフェニルスルホン、およびフェノール類からなる群からの少なくとも1種の芳香族化合物とから得られる、ホルムアルデヒド縮合物をベースとするもの、ならびに
(iii)少なくとも1種の充填剤、特にリグニンスルホネート。
【0043】
上記成分の比率は、好ましくは
(i)30〜80重量%、特に50〜75重量%、
(ii)10〜60重量%、特に15〜40重量%、
(iii)10〜60重量%、特に15〜40重量%、
であり、いずれの場合においても、上記混合物の(i)〜(iii)成分の合計を基準にしている。
【0044】
本発明による混合物は、固形物として存在しても、液状調合物として存在してもよいが、水性溶液として存在しているのが好ましい。固形物としては、その混合物は粉状物または粒状物として存在するのが好ましく、混合物を基準にして、(i)〜(iii)の合計が、90重量%を超える、特には95重量%を超えるような量とすることが好ましい。
【0045】
液状調合物中の固形分含量は、30〜70重量%であるのが好ましいが、固形分は特に、成分(i)〜(iii)が90重量%を超える、好ましくは95重量%を超える量を占める。
【0046】
本発明はさらに、製紙および織物用途における補助薬剤としての、本発明による物質の使用、または本発明による混合物の使用に関する。
【0047】
本発明との関連では、上で開示された一般的な範囲、好ましい範囲、および相互において相対的に好ましい範囲が、好ましい範囲として開示されていると考えるべきである。
【0048】
[実施例]
実施例1:
1400gの水を30℃でまず導入し、撹拌しながら798gの二亜硫酸ナトリウムを添加する。252gのメラミンおよび10gのホウ砂をその溶液に加え、その反応バッチを100℃に加熱する。2時間かけて、1088gの50%グルタルジアルデヒド溶液を98〜102℃で計量添加し、その反応混合物を3時間撹拌して、透明な溶液を形成させる。ロータリーエバポレーターを用いてこのものを蒸発乾固させ、微粉砕する。
【0049】
実施例2:
410gの水性50%グルタルジアルデヒド溶液を、最初は30℃の、1100gの38%二亜硫酸ナトリウム溶液の中に計量添加する。その温度が上昇して55℃となる。94.6gのメラミンおよび22.5gの尿素を添加した後、その混合物を95℃で2時間加熱し、その後、205gの50重量%濃度のグルタルジアルデヒド水溶液を30分かけて計量導入し、94〜98℃で10時間撹拌を続ける。蒸発乾固させ、スプレー乾燥を180℃で実施する。
【0050】
実施例3:
400gの二亜硫酸ナトリウムを700gの水に溶解させ、次いで63gのメラミン、5gのホウ砂、および45gの尿素を添加する。加熱を実施し、544gの50%グルタルジアルデヒド溶液を計量添加するが、温度は最初は70℃とし、95℃を超えないようにする。103〜108℃で2時間撹拌を行う。蒸発乾固させ、微粉砕する。
【0051】
実施例4:
最初に室温で1000gの水を導入し、475gの二亜硫酸ナトリウムを添加する。最初は30℃で、540gの25%グルタルジアルデヒド溶液の添加を行う。150gのメラミンおよび75gのエタンジオールを添加してから、撹拌を55℃で15分間実施する。加熱して95℃とし、30分かけて、80gのグリオキサールと10gのメタンスルホン酸を添加する。95〜98℃で、6時間撹拌を続ける。ロータリーエバポレーターを用いて蒸発乾固させ、100℃での乾燥を行う。
【0052】
実施例5:
最初に、180gのフェノールスルホン酸を、1270gの36.5%二亜硫酸ナトリウム溶液に室温で加える。最初は30℃で、490gの50%グルタルジアルデヒド溶液を添加する。温度が上昇して70℃となる。140gのメラミンおよび60gのフェノールを添加してから、加熱して95℃とし、撹拌を6時間行う。ロータリーエバポレーターを用いて蒸発乾固させ、100℃での乾燥を行う。
【0053】
実施例6:
ホルムアルデヒドとジトリルエーテルスルホン酸との縮合物をベースとする合成なめし補助剤(「補助剤1」)の溶液110gを、実施例2に従って得られた反応生成物の溶液180gに添加する。その混合物を160℃でスプレー乾燥機にかけて粉体に変え、それにより得られた生成物70gをタルク30gとドライブレンドする。
【0054】
同様な方法で、さらなる配合物を調製する(使用量は、最終配合物の固形分含量を基準としたものである)。
【0055】
【表1】

【0056】
比較例1:EP−A−063319(実施例1)からの比較例配合物
34部の尿素、30部のホルムアルデヒドおよび15部のメラミンの縮合物の65%濃度の水性溶液(粘度:85秒、4mmフォードカップ、20℃)92部を、52部の亜硫酸水素ナトリウムと30部の尿素と共に50部の水の中で、90℃で2時間撹拌する。その後で、30%濃度のホルムアルデヒド溶液50部を滴下により加え、40部の水を用いて希釈し、90℃で5時間撹拌する。
【0057】
比較例2:市販されている樹脂なめし剤
680部のホルマリン(30%濃度)を96部の水を用いて希釈し、100部の二亜硫酸ナトリウムを50℃で添加する。32部のメラミンを加え、15分間撹拌し、69部のホルマリンを加えて95℃への加熱を行う。95℃で2時間撹拌してから、400部の水を用いて希釈し、120部の硫酸ナトリウムを添加し、その混合物をスプレー乾燥により固形物に変える。
【0058】
使用例1:モデル再なめし配合
ウェットブルー(Wet Blue)(牛、100g)をドラム中で100%の水(いずれの場合も、表記されるパーセントはウェットブルー(Wet Blue)の重量を基準にしてものである)、1%のギ酸ナトリウム、および0.8%の重炭酸ナトリウムと共に、40℃で一夜撹拌する。そのリカーを排出、洗浄の後、100%の水と5%の試験配合物(表記されるパーセントは固形分含量を基準としたもの)と共にドラム中で、40℃で2時間撹拌する。最後に、そのドラムの中で、300%の水および10%の市販の脂肪リカー混合物と共にその皮革を50℃で90分間撹拌する。2.5%のギ酸(85%濃度)を添加してから、ドラム中での処理をさらに15分行い、洗浄、乾燥のための皮革の広げ(setting out)、つり下げ(hanging)を行う。
【0059】
【表2】

【0060】
得られた皮革について、DIN53315「ディテクション・オブ・フリー・ホルムアルデヒド・イン・レザー(Detection of free formaldehyde in leather)」試験法に従って、試験を実施した。
【0061】
使用例2:自動車用皮革のための再なめし
原材料:ウェットブルー(Wet Blue)、牛、除毛厚み(shaved thickness)1.2mm、重量約2kg。表記されている量は除毛重量基準である。
【0062】
【表3】

【0063】
なめし台(horse)の上でなめし、押し広げ、クランプ吊りでオイル濡らし、コンディショニング、ステーキング(stake)、一夜ミル(mill)。
【0064】
実施例6bからの本発明による生成物を使用して得られたグレー色の皮革は、特に、均質なしぼのしまりおよび微細なミルパターンの点で特徴がある。首および脇腹部分の、しぼのゆるい空領域(empty regions)は、比較例2による生成物を使用して同様に製造した皮革の場合に比較して、実質的に小さい。DIN53315に準拠した対照測定においては、本発明による皮革ではホルムアルデヒドは全く検出されなかったが、それに対して、比較例2の皮革では58ppmが検出された。
【0065】
使用例3:靴の甲革のための再なめし
原材料:ウェットブルー(Wet Blue)、牛、脱毛厚み1.4mm;表記されている量は除毛重量基準である。
【0066】
【表4】

【0067】
なめし台の上でなめし、押し広げ、60℃で2分間真空乾燥、吊り下げにより乾燥、積み重ね(stacking)、60℃で30秒間真空乾燥。
【0068】
実施例2からの生成物を使用して得られる皮革は、特にフルネスおよび乾燥風合いの点で特徴がある。それは、本発明による生成物を使用せずにまたは比較例2からの生成物を使用して同様に処理して得られた皮革に比べて、しぼが実質的により密である。DIN53315に準拠した対照測定においては、試験生成物なし、または本発明による生成物を用いた場合には、ホルムアルデヒドは全く検出されなかったが、それに対して、比較例2の生成物を用いると44ppmが検出された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アルデヒド(このアルデヒドはC〜C12の群のジアルデヒドからなる群から選択される)、および
b)NH基を担持する少なくとも1種の化合物、
をベースとし、かつ酸基(酸基とは、スルホ基および/またはカルボキシル基ならびにそれらの塩を意味するものと理解される)を含む縮合物。
【請求項2】
脂肪族ジアルデヒド、好ましくはC〜C−ジアルデヒドが、成分a)のジアルデヒドとして使用されることを特徴とする、請求項1に記載の縮合物。
【請求項3】
グリオキサール、ブタンジアルデヒド、ブテンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、アジプアルデヒドおよびオクタンジアルデヒドからなる群からの1種以上の化合物、特にグルタルジアルデヒドが、成分a)のジアルデヒドとして使用されることを特徴とする、請求項1または2に記載の縮合物。
【請求項4】
第一級アミドおよび/またはアミド、特に脂肪族または芳香族C〜C10−アミンおよび/またはC〜C10−アミド、特にシアナミド、尿素、メラミン、ウロトロピン、グアニジン、ホルモグアナミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、カプリノグアナミン、イソブチログアナミン、アクリルアミド、ベンズアミド、ジシアンジアミド(シアノグアニジン)またはそれらの混合物、特にメラミンおよび/または尿素が、NH基を含む成分b)の化合物として使用されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の縮合物。
【請求項5】
アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩、特にナトリウムまたはカリウム塩が、前記酸基の塩として好適であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の縮合物。
【請求項6】
さらなる成分として、1種以上の芳香族または脂肪族アルコールが成分c)として使用されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の縮合物。
【請求項7】
さらなる成分として、メタノール、エタノール、プロパノール、エタンジオール、ジエタノールアミン、グリセロール、トリエタノールアミンおよびフェノールからなる群からの1種以上の化合物が成分c)として使用されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の縮合物。
【請求項8】
成分a)およびb)ならびに任意にさらなる成分を縮合させ、前記縮合の前、途中、または後に、酸基を導入する反応剤との反応を実施することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の縮合物を調製するための方法。
【請求項9】
(i)請求項1に記載の少なくとも1種の縮合物、
(ii)少なくとも1種の分散剤、特に、ホルムアルデヒドと、ナフタレンスルホン酸、クレゾールスルホン酸、フェノールスルホン酸、ジトリルエーテルスルホン酸、ビスヒドロキシフェニルスルホン、およびフェノールからなる群からの少なくとも1種の芳香族化合物との縮合物をベースとする分散剤、ならびに
(iii)少なくとも1種の充填剤、特にリグニンスルホネート
を含む混合物。
【請求項10】
ハイドもしくはスキンをなめすため、または、鉱物なめしをされた皮革を水性リカー中で再なめしするための、請求項1〜8の少なくとも1項に記載の縮合物、または請求項9に記載の混合物の使用。
【請求項11】
請求項1〜9の少なくとも1項に記載の少なくとも1種の縮合物を用いてなめすか、または再なめしをした皮革または毛皮。
【請求項12】
紙または織物用途の補助薬剤としての、請求項1〜9の少なくとも1項に記載の縮合物の使用。

【公開番号】特開2008−1904(P2008−1904A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−165658(P2007−165658)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】