説明

重合可能光開始剤及び放射線硬化性組成物

式(I):
【化1】


[式中、R1、R2及びR3は、水素、場合により置換されていることができるアルキル基及び場合により置換されていることができるアリール基より成る群から独立して選ばれるか、あるいはR1及びR3は5〜8員環の形成に必要な原子を示し;p、w、y及びzはすべて整数であり、yは1〜6の値を示し;pはwとzの和を示し;pは1〜6の値を示し;w=1〜(p−z)であり、且つz=0〜(p−w)であり;Lは、1〜14個の炭素原子を含んでなる場合により置換されていることができる(p+y)−価の連結基を示し;Aはアクリレート基、メタクリレート基、スチレン基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、マレート基、フマレート基、イタコネート基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アリルエステル基及びビニルエステル基より成る群から選ばれるラジカル重合可能な基を示し;そしてXは、化学線に暴露されるとフリーラジカル重合反応を開始させることができる少なくとも1個の基を含む光開始部分を示す]
により示される重合可能光開始剤。重合可能光開始剤を含む放射線硬化性組成物及び重合可能光開始剤の製造方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術的分野
本発明は、特に食品にやさしい放射線硬化性調製物に適した新しい種類の重合可能光開始剤ならびに光開始剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景の技術
フリーラジカル光開始剤は、化学線に暴露された時にフリーラジカルの生成によりモノマーの重合を開始させる。光開始剤は、多くの場合にUV−硬化性組成物、例えばUV−硬化性インキジェットインキ中で用いられる。
【0003】
2つの型のフリーラジカル光開始剤を区別することができる。ノリッシュI型開始剤は、励起の後に開裂してすぐに開始ラジカルを与える開始剤である。ノリッシュII型−開始剤は、化学線により活性化され、第2の化合物からの水素引き抜きによりフリーラジカルを生成する光開始剤であり、第2の化合物が実際の開始フリーラジカルとなる。この第2の化合物は共開始剤又は重合相乗剤と呼ばれる。
【0004】
光開始剤は一官能基性化合物であることができるが、多官能基性化合物、すなわち1個より多い光開始基を有する化合物であることもできる。特許文献1(COATES BROTHERS)は、多官能基性チオキサントン光開始剤を開示している。
【0005】
放射線硬化性組成物を食品包装、おもちゃ及び歯科用途で用いる場合、抽出可能な残留物の量は重大な問題であり、最少にする必要がある。低分子量化合物は通常、ポリマー網目中に完全には組み込まれず、容易に抽出されるか又は硬化した組成物から拡散する傾向がある。従って、硬化した組成物から抽出されるか又は移動する傾向が低い光開始剤の設計は、継続的な事案である。
【0006】
光開始剤の抽出を最少にする1つの方法は、比較的高い分子量を有する光開始剤を用いることである。しかしながら、高分子開始剤は反応性を失う傾向を有する。従って多くの場合、所望の硬化速度を達成するためにかなりの(considerable)量の高分子開始剤が必要であり、それにより粘度も、例えばインキジェット印刷のような放射線硬化性組成物を用いる多数の用途に望ましくないレベルまで上昇させる。放射線硬化性組成物の望ましくない粘度の上昇を克服するために、特許文献2(AGFA GRAPHICS)及び特許文献3(AGFA GRAPHICS)は、樹枝状ポリマーコアを含んでなる高分子光開始剤を含む放射線硬化性組成物を開示している。樹枝状ポリマーコアの使用は放射線硬化性組成物の低粘度を保つのに有利であるが、特に窒素不活性化の不在下で、硬化速度におけるさらなる向上が望ましい。
【0007】
抽出の問題の解決における別の方法は、光開始剤が放射線硬化性組成物の他のモノマーと共重合できるように、1個もしくはそれより多いエチレン性不飽和重合可能基を有する光開始剤を設計することである。放射線硬化性組成物中で用いるため、あるいは高分子光開始剤の製造のためのモノマーとして、エチレン性不飽和重合可能基を含んでなる多数の光開始剤が文献において開示されている。
【0008】
特許文献4(NIPPON KAYAKY)は、放射線硬化性組成物の硬化したフィルムからの開始剤の蒸発又は昇華を減少させるための、自己光重合型光重合開始剤を開示している。他の(メタ)アクリル化チオキサントンは、例えば特許文献5(BASF)及び
特許文献6(CIBA)中で開示されている。
【0009】
(メタ)アクリル化ベンゾフェノンは、例えば特許文献7(NATIONAL STARCH)及び特許文献8(DU PONT)中で開示されている。
【0010】
(メタ)アクリル化a−ヒドロキシ−ケトンは、例えば特許文献9(ASHLAND)、特許文献10(COATES BROTHERS)及び特許文献11(HUGHES AIRCRAFT)に開示されている。
【0011】
(メタ)アクリル化a−アミノケトンは、例えば特許文献12(CIBA)及び特許文献5(BASF)中で開示されている。
【0012】
(メタ)アクリル化アシルホスフィンオキシド開始剤は、例えば特許文献13(CIBA)、特許文献14(CIBA)及び特許文献15(BASF)中で開示されている。
【0013】
(メタ)アクリル化ベンジルジアルキルアセタールは、特許文献16(DAINIPPON INK)中で開示されている。
【0014】
多くの場合に、目的光開始剤の合成は(メタ)アクリロイルクロリドの使用を必要とする。(メタ)アクリロイルクロリドが高度に反応性であり、安定性が限られていることは、普通に既知である。それは多くの場合に環状二量体で汚染されており(例えば特許文献17(DAICEL CHEMICAL)を参照されたい)、かくして使用前に蒸留が必要である。(メタ)アクリロイルクロリドの高度に毒性の性質、市場での限られた入手性及び高いコストと組み合わされて、(メタ)アクリロイルクロリドを用いる合成法は、工業的規模での(メタ)アクリル化光開始剤の製造に十分に適してはいない。
【0015】
特許文献18(AGFA GRAPHICS)は、アクリル化又はメタアクリル化光開始剤の製造のために最適化された合成法を開示している。高度に毒性な、及び不安定な試薬を避けているが、食品包装用途に適した高純度の(メタ)アクリル化光開始剤を得るために単離法がまだ必要であり、製造における追加のコストを生じ、生態学的足跡(ecological footprint)を増す。
【0016】
従って、硬化した組成物から抽出されるか又は移動する傾向が有意に低下し、多様な放射線硬化性調製物との優れた適合性を有し、生態学的足跡が減少した簡単且つ原価効率の高い合成法を介して入手可能な光開始剤がまだ必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】国際公開第03/033492号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第1616921A号明細書
【特許文献3】欧州特許第1674499A号明細書
【特許文献4】日本特許第2004224993号明細書
【特許文献5】カナダ特許第2005283号明細書
【特許文献6】カナダ特許第1180486号明細書
【特許文献7】米国特許第2006142408号明細書
【特許文献8】英国特許第925117号明細書
【特許文献9】国際公開第2005/108452号パンフレット
【特許文献10】国際公開第97/17378号パンフレット
【特許文献11】欧州特許第538553A号明細書
【特許文献12】国際公開第96/20919号パンフレット
【特許文献13】国際公開第2006/056541号パンフレット
【特許文献14】国際公開第2004/103580号パンフレット
【特許文献15】オーストラリア特許第2003205731号明細書
【特許文献16】日本特許第2005082679号明細書
【特許文献17】日本特許第2002187868号明細書
【特許文献18】国際公開第2008/066289号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
発明の開示
発明の目的
本発明の目的は、簡単且つ原価効率の高い合成法を介して入手可能な新しい種類の重合可能光開始剤を提供することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、そのような重合可能光開始剤を含む放射線硬化性組成物を提供することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、そのような重合可能光開始剤を含む放射線硬化性インキ及び放射線硬化性インキジェットインキを提供することである。
【0021】
本発明のこれらの目的及び他の目的は、下記の詳細な記述において明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0022】
発明の概略
少なくとも1個のヒドロキシル基を有する光開始剤を触媒の存在下で特別なモノマーと反応させることを介し、単離の必要なく重合可能光開始剤を製造することにより、上記の問題を解決するための驚くほど簡単な方法が見出された。有機溶媒は必要でなく、それにより非生態学的な溶媒の除去が避けられる。これは例えば有機溶媒を含まない放射線硬化性インキジェットインキを可能にし、それは結局、潜在時間(latency)の増加及び欠陥ノズル(failing nozzles)の減少により、プリンターにおいて向上した噴射性能を示す。
【0023】
放射線硬化性組成物への添加のために、単に触媒を除去し、特別なモノマー中に溶解された重合可能な光開始剤をそのまま使用することにより、放射線硬化性組成物中における単離された光重合可能な光開始剤の溶解性の問題も避けることができる。
【0024】
本発明の目的は、請求項1により定義される重合可能光開始剤を用いて実現された。
【0025】
本発明のさらなる利点及び態様は、以下の記述から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0026】
定義
本発明の開示において用いられる「染料」という用語は、それが適用される媒体中で、且つ関係する周囲条件下で10mg/Lかもしくはそれより高い溶解度を有する着色剤を意味する。
【0027】
「顔料」という用語は、引用することによりその記載事項が本明細書の内容となるDIN 55943において、関係する周囲条件下で、適用媒体中に実質的に不溶性である、従ってその中で10mg/Lより低い溶解度を有する着色剤として定義されている。
【0028】
「C.I.」という用語は、本出願の開示において、カラーインデックスに関する略語として用いられる。
【0029】
「アルキル」という用語は、アルキル基中の炭素原子のそれぞれの数に関して可能なすべての変形、すなわち3個の炭素原子の場合:n−プロピル及びイソプロピル;4個の炭素原子の場合:n−ブチル、イソブチル及び第3級−ブチル;5個の炭素原子の場合:n−ペンチル、1,1−ジメチル−プロピル、2,2−ジメチルプロピル及び2−メチル−ブチルなどを意味する。
【0030】
重合可能開始剤
本発明に従う重合可能光開始剤は、式(I):
【0031】
【化1】

【0032】
[式中、
R1、R2及びR3は、水素、場合により置換されていることができるアルキル基及び場合により置換されていることができるアリール基より成る群から独立して選ばれるか、あるいはR1及びR3は5〜8員環の形成に必要な原子を示し;
p、w、y及びzはすべて整数であり、yは1〜6の値を示し;pはwとzの和を示し;pは1〜6の値を示し;w=1〜(p−z)であり、且つz=0〜(p−w)であり;
Lは、1〜14個の炭素原子を含んでなる場合により置換されていることができる(p+y)−価の連結基を示し;
Aはアクリレート基、メタクリレート基、スチレン基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、マレート基、フマレート基、イタコネート基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アリルエステル基及びビニルエステル基より成る群から選ばれるラジカル重合可能な基を示し;そして
Xは、化学線に暴露されるとフリーラジカル重合反応を開始させることができる少なくとも1個の基を含んでなる光開始部分を示す]
により示される。
【0033】
好ましい態様において、ラジカル重合可能な基Aは、アクリレート及びメタクリレート基より成る群から選ばれ、アクリレート基が特に好ましい。
【0034】
さらに別の好ましい態様において、R2及びR3は両方とも水素を示す。
【0035】
好ましい態様において、R1は水素を示す。
【0036】
より好ましい態様において、R1、R2及びR3はすべて水素を示す。
【0037】
好ましい態様において、2価の連結基Lは、場合により置換されていることができるアルキレン基及び脂肪族エーテル含有基より成る群から選ばれる。
【0038】
好ましい態様において、yは1〜4の値を示し、より好ましくは、yは2〜3の値を示す。
【0039】
好ましい態様において、pは1〜4の値を示し、より好ましくは、pは2〜3の値を示す。
【0040】
好ましい態様において、zは0の値を示す。
【0041】
好ましい2価連結基Lは、−(−CH−CH−O−)−CH−CH−であり、nは1、2、3、4、5又は6に等しい整数である。
【0042】
好ましい2価連結基Lは、−(−CH−)−であり、nは1〜14に等しい整数であり、より好ましくは、nは1、2、3、4、5又は6に等しい。
【0043】
好ましい態様において、光開始部分Xは、場合により置換されていることができるベンゾフェノン基、場合により置換されていることができるチオキサントン基、置換もしくは非置換アントラキノン基、カンファーキノン基、α−ヒドロキシアルキルフェノン基、α−アミノアルキルフェノン基、アシルホスフィンオキシド基、ビスアシルホスフィンオキシド基、アシルホスフィンスルフィド基、フェニルグリオキサレート基、ベンゾインエーテル基、ベンジルケタール基、α−ジアルコキシアセトフェノン基、カルバゾリル−O−アシル−オキシム基、α−ハロアリールケトン基及びα−ハロアリールスルホン基より成る群から選ばれる少なくとも1つの基を含む。
【0044】
好ましい態様において、光開始部分Xはα−ヒドロキシアルキルフェノン基である。
【0045】
好ましい態様において、光開始部分Xは置換ベンゾフェノン基又は非置換ベンゾフェノン基である。
【0046】
好ましい態様において、光開始部分Xは置換チオキサントン基又は非置換チオキサントン基である。
【0047】
好ましい態様において、y=1、w=1及びz=0である。
【0048】
他の好ましい態様において、y=1、w=2及びz=0である。
【0049】
他の好ましい態様において、y=2、w=1及びz=0である。
【0050】
他の好ましい態様において、y=2、w=2及びz=0である。
【0051】
好ましい態様において、本発明に従う重合可能光開始剤は式(Ib):
【0052】
【化2】

【0053】
[式中、
INIは場合により置換されていることができるベンゾフェノン基、場合により置換されていることができるチオキサントン基、置換もしくは非置換アントラキノン基、カンファーキノン基、α−ヒドロキシアルキルフェノン基、α−アミノアルキルフェノン基、アシルホスフィンオキシド基、ビスアシルホスフィンオキシド基、アシルホスフィンスルフィド基、フェニルグリオキサレート基、ベンゾインエーテル基、ベンジルケタール基、α−ジアルコキシアセトフェノン基、カルバゾリル−O−アシル−オキシム基、α−ハロアリールケトン基及びα−ハロアリールスルホン基より成る群から選ばれる基を示し;
及びLは独立して、1〜14個の炭素原子を含んでなる置換もしくは非置換2価連結基を示し;
Aは、アクリレート、メタクリレート、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレート、フマレート、イタコネート、ビニルエーテル、アリルエーテル、アリルエステル及びビニルエステルより成る群から選ばれるラジカル重合可能な官能基を示し;
nは0又は1を示し;そして
R4は、場合により置換されていることができるアルキル基を示す]
に従う光開始剤である。
【0054】
好ましい態様において、Aはアクリレート及びメタクリレートより成る群から選ばれる。
【0055】
最も好ましい態様において、R4はメチル基を示す。
【0056】
さらに別の好ましい態様において、Lは置換アルキレン基、非置換アルキレン基及び脂肪族エーテル含有基より成る群から選ばれる。
【0057】
式(I)及び(Ib)に従う典型的な光開始剤を表1に示すが、それらに限られるわけではない。
【0058】
【表1−1】

【0059】
【表1−2】

【0060】
【表1−3】

【0061】
【表1−4】

【0062】
【表1−5】

【0063】
【表1−6】

【0064】
【表1−7】

【0065】
【表1−8】

【0066】
【表1−9】

【0067】
【表1−10】

【0068】
【表1−11】

【0069】
【表1−12】

【0070】
【表1−13】

【0071】
式(II)のモノマー
本発明に従う重合可能光開始剤の製造のために、式(II):
【0072】
【化3】

【0073】
[式中、
R1、R2及びR3は、水素、場合により置換されていることができるアルキル基及び場合により置換されていることができるアリール基より成る群から独立して選ばれるか、あるいはR1及びR3は5〜8員環の形成に必要な原子を示し;
pは1〜6の値を有する整数であり;
yは1〜6の値を有する整数であり;
Lは、1〜14個の炭素原子を含んでなる場合により置換されていることができる(p+y)−価の連結基を示し;そして
Aはアクリレート基、メタクリレート基、スチレン基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、マレート基、フマレート基、イタコネート基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アリルエステル基及びビニルエステル基より成る群から選ばれるラジカル重合可能な基を示す]
に従う少なくとも1種のモノマーが用いられる。
【0074】
好ましい態様において、ラジカル重合可能な基Aは、アクリレート及びメタクリレート基より成る群から選ばれ、アクリレート基が特に好ましい。
【0075】
さらに別の好ましい態様において、R2及びR3は両方とも水素を示す。
【0076】
好ましい態様において、R1は水素を示す。
【0077】
より好ましい態様において、R1、R2及びR3はすべて水素を示す。
【0078】
好ましい態様において、2価の連結基Lは、場合により置換されていることができるアルキレン基及び脂肪族エーテル含有基より成る群から選ばれる。
【0079】
好ましい2価連結基Lは、−(−CH−CH−O−)−CH−CH−であり、nは1、2、3、4、5又は6に等しい整数である。
【0080】
好ましい2価連結基Lは、−(−CH−)−であり、nは1〜14に等しい整数であり、より好ましくは、nは1、2、3、4、5又は6に等しい。
【0081】
式(II)に従う好ましいモノマーを表2に示すが、それらに限られるわけではない。
【0082】
【表2−1】

【0083】
【表2−2】

【0084】
式(II)に従う最も好ましいモノマーは、表2中の化合物Ether−1により示される2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレートである。
【0085】
重合可能開始剤の製造方法
重合可能光開始剤の製造のために、式(II)に従うモノマー中のR1、R2、R3、L、A、p及びyに関する値は、式(I)に従う重合可能光開始剤に関して定義された値と同じである。
【0086】
重合可能光開始剤は:
a)式(II):
【0087】
【化4】

【0088】
に従うモノマーを準備し;
b)少なくとも1個のヒドロキシル基を含んでなる光開始剤を準備し;そして
c)触媒を用いて、モノマーと光開始剤の間の反応を触媒して、式(I):
【0089】
【化5】

【0090】
[式中、
R1、R2及びR3は、水素、場合により置換されていることができるアルキル基及び場合により置換されていることができるアリール基より成る群から独立して選ばれるか、あるいはR1及びR3は5〜8員環の形成に必要な原子を示し;
p、w、y及びzはすべて整数であり、yは1〜6の値を示し;pはwとzの和であり;pは1〜6の値を有し;w=1〜(p−z)であり、且つz=0〜(p−w)であり;
Lは、1〜14個の炭素原子を含んでなる場合により置換されていることができる(p+y)−価の連結基を示し;
Aはアクリレート基、メタクリレート基、スチレン基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、マレート基、フマレート基、イタコネート基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アリルエステル基及びビニルエステル基より成る群から選ばれるラジカル重合可能な基を示し;そして
Xは、化学線に暴露されるとフリーラジカル重合反応を開始させることができる少なくとも1個の基を含んでなる光開始部分を示す]
に従う重合可能光開始剤を生成する
段階を含む方法に従って製造される。
【0091】
最も好ましい態様において、反応は有機溶媒の不在下で行われる。利点は、有機溶媒を除去する必要がないことであり、それは、生態学的理由から、ならびに放射線硬化性インキジェットインキの製造の場合の両方で有利である。これらの有機溶媒は、長時間の非−印刷時間の間にインキジェットプリントヘッドのノズルにおいて蒸発する傾向がある。プリンターを再始動する時、いくつかのノズルが目詰まりしていることが明らかになる(=欠陥ノズル)。潜在時間は、ノズルに欠陥が現れるまでプリントヘッドをキャップで覆わずに放置し、使用しないでいることができる時間である。
【0092】
かくして重合可能光開始剤の製造のための本方法の大きな利点は、有機溶媒が必要でなく、反応媒体として式(I)に従うモノマーを用いることができることである。しかしながら、本発明に従う重合可能光開始剤の製造のための方法において、合成で1種もしくはそれより多い有機溶媒を用いることは依然として可能である。
【0093】
式(II)に従うモノマーは、好ましくは反応物としてのみでなく、反応媒体としても用いられる。式(II)に従うモノマーの濃度は、少なくとも1個のヒドロキシル基を含んでなる光開始剤の濃度よりずっと高いであろう。好ましくは、式(II)に従うモノマー対少なくとも1個のヒドロキシル基を含んでなる光開始剤のモル比は少なくとも2、より好ましくは少なくとも5、そして最も好ましくは少なくとも8又は10である。
【0094】
もし1に近いモル比を用い、且つ例えば他の重合可能な基のないジビニルエーテル化合物を式(II)に従うモノマーとして用いると、実質的な量の二官能基性非重合可能光開始剤も得られるであろう。あるいはまた、本方法を、かくして約0.5のモル比の使用により、二官能基性光開始剤の製造に用いることもできる。他の重合可能な基のない例えばトリビニルエーテル又はテトラビニルエーテル化合物を有する式(II)に従うモノマーを用いることにより、もっと高次の(higher)多官能基性光開始剤を製造することができる。そのような場合、反応媒体の構成のために有機溶媒は避けられないものとなる。
【0095】
反応媒体に他のモノマーを加えることも可能であり、式(II)に従う他のモノマーでさえ加えることが可能である。後者の場合、式(II)に従う種々のモノマーの濃度に依存して、種々の重合可能光開始剤の混合物を得ることができる。
【0096】
反応の完了後、放射線硬化性組成物は、式(I)に従う少なくとも1種の重合可能光開始剤、式(II)に従うモノマー及び触媒を含む。複数の場合に、触媒は、それが硬化性組成物の用途又は硬化を妨げなければ、放射線硬化性組成物中に残っていても良い。しかしながら、最も好ましくは、触媒は除去される。例えば触媒は高分子であり得、UV硬化性インキジェットインキにとって許容され得ない粘度に導き得る。
【0097】
フリーラジカル重合可能な式(II)に従う少なくとも1種のモノマーならびに少なくとも1個のヒドロキシル官能基を含んでなる光開始剤部分及び式(II)に従うモノマーから誘導される重合可能光開始剤を含む得られる組成物を、食品包装用途に適した放射線硬化性組成物の調製に直接用いることができる。
【0098】
特定の用途のために必要なら、式(I)又は(Ib)に従う重合可能光開始剤を、先行技術において既知のいずれかの方法、例えば沈殿、結晶化及び場合によりクロマトグラフィーにより単離し、精製することができる。
【0099】
少なくとも1個のヒドロキシル基を含んでなる光開始剤は、少なくとも1個のヒドロキシル基を有するいずれの既知の光開始剤であることもできる。2個又はそれより多いヒドロキシル基を有する光開始剤が、式(II)に従うモノマーと1回より多く反応することができることは、容易に理解されるであろう。少なくとも1個のヒドロキシル基を含んでなる光開始剤は、それ自身がすでに重合可能な光開始剤であることができる。後者の2つは両方とも、式(I)に従う重合可能光開始剤により包含される。これは重合可能光開始剤INI−13により例示されており、それを本明細書下記に再現し、且つ式(I)の種々の部分に分割し、ここでPGは光開始部分Xの一部を形成する余分の重合可能な基を示す。
【0100】
【化6】

【0101】
類似の例には重合可能光開始剤INI−28、INI−29、INI−34及びINI−37が含まれる。
【0102】
光開始部分Xは、表1中のINI−6により示されるような高分子性基又は本明細書下記に示される星状高分子化合物PGであることもできる。
【0103】
【化7】

【0104】
星状ポリマーのための好ましいコア分子には、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール及びジペンタエリトリトールが含まれる。
【0105】
少なくとも1個のヒドロキシル基がない光開始剤に、式(II)に従うモノマーとの反応の前に、最初にヒドロキシル基を与えることもできる。
【0106】
触媒
アルケニル−エーテル、好ましくはビニルエーテルへのアルコールの付加による非対称アセタールの製造に用いられる触媒には、十分に低いpKを有するプロトン酸、例えば塩酸、リン酸、スルホン酸、硫酸ならびにフッ素及び塩素のような電子吸引性基で置換さ
れたカルボン酸が含まれる。
【0107】
適した触媒には、スルホン酸の有機塩、例えばピリジン塩が含まれる。触媒としてのスルホン酸の使用は多数の文書中で開示されている(例えばMunro et al.著,Bioorganic and Medicinal chemistry,16(3),2008年,1279−1286;Snowden et al.著,Helvetica Chimica Acta,89(12),2006年,3071−3086,Lucatelli et al.著,Journal of Organic Chemistry,67(26),2002年,9468−9470;Wipf et al.著,Tetrahedron Letters,40(28),1999年,5139−5142)。典型的な例は、p.−トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸及びメタンスルホン酸である。
【0108】
塩酸の使用はいくつかの文書中で開示されている(例えばTrofimov et al.著,Tetrahedron Letters,49,2008年,3104−3107)。リン酸の使用は、Toshiaki et al.(Tetrahedron Letters,47,2006年,3251−3255)により開示されている。
【0109】
硫酸の使用はRappe et al.(Justus Liebigs Annalen der Chemie,601,1956年,84−111)により記載されている。
【0110】
電子吸引性置換基で置換されたカルボン酸の使用は、複数の文書中で開示されている(例えばRivillo et al.著,Angewandte Chemie,International Edition,46(38),2007年,7247−72450;国際公開第2007010483号パンフレット(Firmenich S;A.);Alvarez de Cienfuego et al.著,Tetrahedron:Asymmetry,17(2),2006年,1863−1866;米国特許第2005171062号明細書(A;;ergan Inc.))。典型的な例は、トリフルオロ酢酸及びトリクロロ酢酸である。
【0111】
スルホン酸の有機塩の使用はいくつかの文書中で開示されている(Lee et al.著,Bulletin of the Korean Chemical Society,28(4),2007年,513−514;Hattori et al.著,Organic Letters,10(5),2008年,717−720;Nakamura et al.著,Organic Letters,10(2),2008年,309−312;Nicolau et al.著,Journal of the American chemical Society,129(48),2007年,14850−14851;Nakamura et al.著,Tetrahedron,63(35),2007年,8670−8676)。スルホン酸の有機塩の典型的な例は、ピリジニウムトシレートである。時々、ルイス酸も触媒として報告された(Alper.H.著,Synthesis 1972,81)。
【0112】
いくつかの遷移金属も、アルケニルエーテルとアルコールからの非対称アセチルの合成のための触媒として有効であることが示された(Mality,G著;Synth Commun 23,1993年,1667;Iqbal,J著;Synth Commun
19,1989年,901;Kantam,M著;Synth Commun 23,1993年,2225;Bhuma,V著;Synth Commun 22,1992年,2941;Ma,S著;Tetrahedron Lett 34,1993年,5269;Molnar,A著;Tetrahedron Lett 37,1996年,
8597)。
【0113】
不均一触媒はしばしば報告された(Bongini,A著;Synthesis 1979年,618;Johnston,R著;Synthesis 1988年,393;Olah,G著;Synthesis 1983年,892;Menger,F著;J Org Chem 46,1981年,5044;Hoyer,S著;Synthesis 1986年,655;Upadhya,T著;Synth Commun 26,1996年,4539;Campelo,J著;Synth Commun 24,1994年,1345;Bandgar,B著;Synth Commun 25,1995年,2211;Kumar,P著,Synthesis 1993年,1069;Chavez,F著;Synth Commun 22,1992年,159;Patney,H著;Synth Commun 21,1991年,2329;Campelo,J著,Synth Commun 22,1992年,2335)。
【0114】
アルコールを非対称アセタールに転換するための触媒として、アセトニルトリフェニルホスホニウム誘導体も報告されている(Hon et al.著,Tetrahedron,57,5991−6001)。
【0115】
特に好ましい触媒は、電子吸引性基で置換されたカルボン酸、スルホン酸の有機塩及び不均一触媒より成る群から選ばれ、好ましくは架橋ビニルピリジン含有樹脂及び架橋スルホン酸含有樹脂の塩から選ばれる。
【0116】
最も好ましい触媒は、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ピリジニウムトシレート、架橋ポリ(ビニルピリジン)ヒドロクロリド、ポリ(ビニルピリジニウム)トシレート及びスルホン酸置換イオン交換樹脂より成る群から選ばれる。
【0117】
当該技術分野において既知のいずれかの方法により、アセタール化触媒を除去することができる。好ましくは、濾過、濾過が続く中和、イオン交換樹脂又は塩基性樹脂上の中和及び抽出により触媒を除去する。
【0118】
放射線硬化性組成物
本発明に従う放射線硬化性組成物は、式(I)又は(Ib)に従う少なくとも1種の重合可能光開始剤を含み、最も好ましくは式(II)に従う少なくとも1種のモノマーも含む。
【0119】
放射線硬化性組成物は、好ましくは式(II)に従うモノマーとして2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルクリレートを含有する。
【0120】
放射線硬化性組成物を無色の液体として、又は着色された液体として用いることができ、後者の場合、それは放射線硬化性インキと呼ばれる。
【0121】
好ましい態様において、本発明に従う放射線硬化性組成物は、放射線硬化性インキジェット組成物、より好ましくは放射線硬化性インキジェットインキである。
【0122】
放射線硬化性組成物及びインキをオフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソグラフ印刷及び他の印刷又はコーティング法において有利に用いることもできる。
【0123】
放射線硬化性組成物及びインキは、好ましくはUV線により硬化する。
【0124】
好ましい態様において、本発明に従う放射線硬化性組成物は、実質的に有機溶媒を含ま
ない。
【0125】
放射線硬化性組成物及びインキは、好ましくは非水性液又はインキである。「非水性」という用語は、水を含有してはならない液体担体を指す。しかしながら、少量の、一般に組成物又はインキの合計重量に基づいて5重量%より少量の水が存在できることもある。この水は意図的に加えられたのではなく、例えば極性有機溶媒のような他の成分を介して汚染物として調製物中に含まれた。5重量%より多量の水は、非水性液及びインキを不安定にする傾向があり、好ましくは、含水率は放射線硬化性組成物又はインキの合計重量に基づいて1重量%より低く、そして最も好ましくは、水は全く存在しない。
【0126】
放射線硬化性組成物及びインキは、好ましくは有機溶媒のような揮発性成分を含有しない。しかし、UV−硬化後の基質の表面への接着を向上させるために、少量の有機溶媒を導入するのが有利であることもあり得る。この場合、加えられる溶媒は、溶媒抵抗性(solvent resistance)及びVOCの問題を引き起こさない範囲内のいずれの量であることもでき、好ましくはそれぞれ硬化性組成物又はインキの合計重量に基づいて0.1〜10.0重量%、そして特に好ましくは0.1〜5.0重量%であることができる。
【0127】
放射線硬化性組成物及びインキは、好ましくは、1種もしくはそれより多い着色剤、好ましくは1種もしくはそれより多い有色顔料を含有する少なくとも1つのインキを含んでなるインキセット、より好ましくはインキジェットインキセットの一部である。硬化性インキセットは、好ましくは少なくとも1つのイエロー硬化性インキ(Y)、少なくとも1つのシアン硬化性インキ(C)及び少なくとも1つのマゼンタ硬化性インキ(M)ならびに好ましくは少なくとも1つのブラック硬化性インキ(K)も含んでなる。画像の色域をさらに拡大するために、硬化性CMYK−インキセットを、レッド、グリーン、ブルー及び/又はオレンジのような余分のインキで増量することもできる。カラーインキ及び/又はブラックインキの両方の全濃度(full density)及び軽濃度(light
density)インキの組み合わせによってCMYK−インキセットを増量し、粒状性を低下させることにより画質を向上させることもできる。
【0128】
顔料添加放射線硬化性インキは、好ましくは顔料を分散させるための分散剤、より好ましくは高分子分散剤を含有する。顔料添加硬化性インキは、インキの分散の質及び安定性を向上させるために、分散相乗剤を含有することができる。好ましくは、少なくともマゼンタインキは分散相乗剤を含有する。分散相乗剤の混合物を用い、分散安定性をさらに向上させることができる。
【0129】
硬化性液及びインキの粘度は、好ましくは30℃において且つ100s−1のせん断速度において100mPa.sより低い。放射線硬化性インキジェットインキ及び液の粘度は、100s−1のせん断速度及び10〜70℃の噴射温度において、好ましくは50mPa.sより低く、より好ましくは30mPa.sより低く、そして最も好ましくは2〜15mPa.sである。
【0130】
硬化性液及びインキの表面張力は、好ましくは25℃において約20mN/m〜約70mN/mの範囲内、より好ましくは25℃において約22mN/m〜約40mN/mの範囲内である。
【0131】
硬化性組成物又はインキは、組成物又はインキの熱安定性を向上させるために、さらに少なくとも1種の抑制剤を含有することもできる。
【0132】
硬化性組成物又はインキは、基質上における優れた広がり特性(spreading
characteristics)を得るために、さらに少なくとも1種の界面活性剤を含有することもできる。
【0133】
共開始剤
本発明に従う放射線硬化性組成物は、1種もしくはそれより多い共開始剤を含有することができる。共開始剤の好ましい量は、放射線硬化性組成物の合計重量の1〜30重量%、より好ましくは2〜20重量%、そして最も好ましくは5〜10重量%である。
【0134】
特に食品包装用途の場合、安全性の理由で、本発明に従う放射線硬化性組成物は、少なくとも1種のいわゆる拡散が妨げられた共開始剤(diffusion hindered co−initiator)を含有する。拡散が妨げられた共開始剤は、放射線硬化性組成物又はインキの硬化した層において、一官能基性、非重合可能共開始剤、例えばジアルキルアミノベンゾエートよりずっと低い移動性を示す共開始剤である。共開始剤の移動性を低くするために、いくつかの方法を用いることができる。1つの方法は、共開始剤の分子量を増加させ、拡散速度を低下させることであり、例えば多官能基性共開始剤又は高分子共開始剤である。他の方法は、それが重合する網目の中に組み込まれるように、その反応性を増すことであり、例えば多官能基性共開始剤及び重合可能共−開始剤である。
【0135】
拡散が妨げられた共開始剤は、好ましくは非高分子二−もしくは多官能基性共開始剤、オリゴマー又は高分子共開始剤及び重合可能共開始剤より成る群から選ばれる。非高分子二−もしくは多官能基性共開始剤は、通常300〜900ダルトンの分子量を有する。その範囲内の分子量を有する一官能基性共開始剤は、拡散が妨げられた共開始剤ではない。
【0136】
本発明に従う放射線硬化性組成物の好ましい態様において、少なくとも1種の共開始剤は、オリゴマーもしくは高分子ジアルキルアミノ置換芳香族化合物、多官能基性ジアルキルアミノ置換芳香族化合物及び少なくとも1個の重合可能エチレン性不飽和基を含んでなるジアルキルアミノ置換芳香族化合物より成る群から選ばれる拡散が妨げられたジアルキルアミノ置換芳香族化合物である。少なくとも1個の重合可能エチレン性不飽和基を含んでなるジアルキルアミノ置換芳香族化合物が特に好ましい。
【0137】
より好ましい態様において、少なくとも1個の重合可能エチレン性不飽和基を含んでなるジアルキルアミノ置換芳香族化合物は、式(C−I):
【0138】
【化8】

【0139】
[式中、
R1及びR2は独立して、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルカリール基、アリール基及びヘテロアリール基より成る群から選ばれ;
R3からR6は独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、チオアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、アラルキル基、アルカリール基、アリール基及びヘテロアリール基より成る群から選ばれ;
R7は、水素、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、アシル基、チオアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトリル基、スルホネート基、スルホンアミド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルカリール基、アリール基及びヘテロアリール基より成る群から選ばれ;
R1とR2、R1とR3、R2とR5、R3とR4、R4とR7、R5とR6及びR6とR7は、5−〜8−員環の形成に必要な原子を示すことができ;且つ但し、芳香族アミンは少なくとも1個のα−水素を有し;そして
R1からR7の少なくとも1個は、アクリレート、置換アクリレート、メタクリレート、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルエステル、アリルエーテル、ビニルエステル、ビニルエーテル、フマレート、マレート、マレイミド及びビニルニトリルより成る群から選ばれる重合可能エチレン性不飽和官能基を含む]
に従う共開始剤である。重合可能共開始剤において、好ましくは、R7は、アルデヒド、ケトン、エステル及びアミドより成る群から選ばれる電子求引性基を示し、そしてより好ましくは、R3、R4、R5及びR6はすべて水素を示す。
【0140】
R1からR7に関して用いられるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルカリール基、アリール基及びヘテロアリール基は、置換されているか又は置換されていない基であることができ、すなわち置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換もしくは非置換アルキニル基、置換もしくは非置換アラルキル基、置換もしくは非置換アルカリール基及び置換もしくは非置換(ヘテロ)アリール基を用いることができる。
【0141】
好ましい態様において、重合可能共−開始剤は式(C−II):
【0142】
【化9】

【0143】
[式中、
R1からR6は式(C−I)に関して定義したと同じ意味を有し;
XはO、S及びNR9より成る群から選ばれ;
R8及びR9は独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルカリール基、アリール基及びヘテロアリール基より成る群から選ばれ;
R1とR2、R1とR3、R2とR5、R3とR4、R5とR6、R4とR8、R6とR8及びR8とR9は、5−〜8−員環の形成に必要な原子を示すことができ;そしてR1からR6及びR8の少なくとも1個は、アクリレート、置換アクリレート、メタクリレート、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルエステル、アリルエーテル、ビニルエステル、ビニルエーテル、フマレート、マレート、マレイミド及びビニルニトリルより成る群から選ばれる重合可能エチレン性不飽和官能基を含んでなる]
に相当する。重合可能共開始剤において、好ましくは、R3、R4、R5及びR6はすべて水素を示す。
【0144】
式(C−II)を有する重合可能共開始剤の1つの好ましい態様において、R1はメチル又はエチルを示し、そしてR2はアクリレート、置換アクリレート、メタクリレート、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルエステル、アリルエーテル、ビニルエステル、ビニルエーテル、フマレート、マレート、マレイミド及びビニルニトリルより成る群から選ばれる重合可能エチレン性不飽和官能基を含んでなり;そしてより好ましくはやはり、R3、R4、R5及びR6はすべて水素を示す。
【0145】
式(C−I)を有する重合可能共開始剤の別の好ましい態様において、R1及びR2は独立してメチル又はエチルを示し、そしてR8はアクリレート、置換アクリレート、メタクリレート、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルエステル、アリルエーテル、ビニルエステル、ビニルエーテル、フマレート、マレート、マレイミド及びビニルニトリルより成る群から選ばれる重合可能エチレン性不飽和官能基を含んでなり;そしてより好ましくはやはり、R3、R4、R5及びR6はすべて水素を示す。
【0146】
より好ましい態様において、重合可能共−開始剤は式(C−III):
【0147】
【化10】

【0148】
[式中、
R1及びR2は独立して、メチル、エチル、プロピル及びブチルより成る群から選ばれ;Lは少なくとも1個の炭素原子を含んでなる2価の連結基を示し;そして
R10は水素、メチル、エチル、プロピル又はブチルを示す]
に相当する。
【0149】
式(C−III)に相当する重合可能共開始剤の好ましい態様において、2価の連結基Lは1〜30個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、そして最も好ましくは3〜6個の原子を含んでなる。
【0150】
重合可能共開始剤は、2個、3個もしくはそれより多くのアクリレート、置換アクリレート、メタクリレート、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリルエステル、アリルエーテル、ビニルエステル、ビニルエーテル、フマレート、マレート、マレイミド及びビニルニトリルより成る群から独立して選ばれる重合可能エチレン性不飽和官能基を含有することができる。
【0151】
モノマー及びオリゴマー
特に食品包装用途のための放射線硬化性組成物及びインキ中で用いられるモノマー及びオリゴマーは、好ましくは全くもしくはほとんど不純物を有していない、さらに特定的に毒性又は発がん性不純物を有していない精製された化合物である。不純物は通常、重合可能化合物の合成の間に得られる誘導化合物である。しかしながら、純粋な重合可能化合物にいくつかの化合物、例えば重合抑制剤又は安定剤を無害な量で故意に加えることができ
ることもある。
【0152】
フリーラジカル重合可能ないずれのモノマー又はオリゴマーも重合可能化合物として用いることができる。モノマー、オリゴマー及び/又はプレポリマーの組み合わせを用いることもできる。モノマー、オリゴマー及び/又はプレポリマーは、種々の官能価を有することができ、一−、二−、三−及びもっと高い官能価のモノマー、オリゴマー及び/又はプレポリマーの組み合わせを含む混合物を用いることができる。モノマーとオリゴマーの間の比率を変えることにより、放射線硬化性組成物及びインキの粘度を調整することができる。
【0153】
特に好ましいモノマー及びオリゴマーは、特定的引用として本明細書の内容となる欧州特許第1911814A号明細書(AGFA GRAPHICS)中で[0106]から[0115]に挙げられているものである。
【0154】
好ましい種類のモノマー及びオリゴマーは、引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる米国特許第6310115号明細書(AGFA)中に記載されているもののようなビニルエーテルアクリレートである。特に好ましい化合物は2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートであり、最も好ましくは、化合物は2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレートである。
【0155】
抑制剤
放射線硬化性組成物及びインキは、重合抑制剤を含有することができる。適した重合抑制剤には、フェノール型酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、蛍りん光体型酸化防止剤、(メタ)アクリレートモノマーにおいて通常用いられるヒドロキノンモノメチルエーテルが含まれ、ヒドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2,6−ジ−tert.ブチル−4−メチルフェノールも使用することができる。
【0156】
適した市販の抑制剤は、例えばSumitomo Chemical Co.Ltd.により製造されるSumilizerTM GA−80、SumilizerTM GM及びSumilizerTM GS;Rahn AGからのGenoradTM 16、GenoradTM 18及びGenoradTM 20;Ciba Specialty ChemicalsからのIrgastabTM UV10及びIrgastabTM UV22、TinuvinTM 460及びCGS20;Kromachem LtdからのFloorstabTM UV領域(UV−1、UV−2、UV−5及びUV−8)、Cytec Surface SpecialtiesからのAdditolTM
S領域(S100、S110、S120及びS130)である。
【0157】
抑制剤は、好ましくは重合可能抑制剤である。
【0158】
これらの重合抑制剤の過剰の添加は、硬化速度を遅くし得るので、重合を妨げることができる量を、配合前に決定するのが好ましい。重合抑制剤の量は、好ましくはインキ又は液全体の5重量%より少なく、より好ましくは3重量%より少ない。
【0159】
界面活性剤
放射線硬化性組成物及びインキは、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤はアニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性イオン性であることができ、通常、放射線硬化性組成物又はインキの合計重量に基づいて10重量%より少ない合計量で、そして特に放射線硬化性組成物又はインキの合計重量に基づいて5重量%より少ない合計量で加えられる。
【0160】
適した界面活性剤には、特定的引用として本明細書の内容となる国際公開第2008/074548号パンフレット(AGFA GRAPHICS)の[0283]節から[0291]節中に開示されているものが含まれる。
【0161】
着色剤
放射線硬化性インキ中で用いられる着色剤は染料、顔料又はそれらの組み合わせであることができる。有機及び/又は無機顔料を用いることができる。着色剤は、好ましくは顔料又は高分子染料、最も好ましくは顔料である。
【0162】
顔料は、ブラック、ホワイト、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、オレンジ、バイオレット、ブルー、グリーン、ブラウン、それらの混合物などであることができる。この有色顔料は、HERBST,Willy,et al.著,Industrial Organic Pigments,Production,Properties,Applications.第3版,Wiley−VCH,2004年,ISBN 3527305769により開示されているものから選ばれることができる。
【0163】
適した顔料は、国際公開第2008/074548号パンフレット(AGFA GRAPHCS)の[0128]節から[0138]節中に開示されている。
【0164】
適した顔料は、上記の特定の好ましい顔料の混晶を含む。混晶は固溶体とも呼ばれる。例えばある条件下で、種々のキナクリドンは互いと混ざって固溶体を形成し、それは化合物の物理的混合物及び化合物自身の両方と全く異なる。固溶体において、成分の分子は、必ずではないが通常、成分の1つの結晶格子である同じ結晶格子中に入る。得られる結晶性固体のx線回折パターンはその固体に特徴的であり、同じ割合における同じ成分の物理的混合物のパターンと明確に区別され得る。そのような物理的混合物では、成分のそれぞれのx線パターンを区別することができ、これらの線の多くの消失は固溶体の形成の基準の1つである。商業的に入手可能な例は、Ciba Specialty ChemicalsからのCinquasiaTM Magenta RT−355−Dである。
【0165】
放射線硬化性インキ中で、顔料の混合物を用いることもできる。いくつかのインキジェット用途のために、純黒インキジェットインキが好ましく、それは例えばインキ中にブラック顔料及びシアン顔料を混合することにより得られ得る。インキジェット用途には、例えば包装インキジェット印刷又は編織布インキジェット印刷のために、1個もしくはそれより多いスポットカラー(spot colors)も必要であり得る。インキジェットポスター印刷及び販売時点展示のために、シルバー及びゴールドは多くの場合に望ましい色である。
【0166】
非有機顔料をカラーインキジェットインキ中で用いることができる。特に好ましい顔料は、C.I.Pigment Metal 1,2及び3である。無機顔料の代表的な例には、赤色酸化鉄(III)、カドミウムレッド、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、酸化クロムグリーン、コバルトグリーン、アンバー、チタンブラック及び合成アイアンブラックが含まれる。
【0167】
インキジェットインキ中の顔料粒子は、インキジェット−印刷装置を介する、特に噴出ノズルにおけるインキの自由な流れを許すのに十分に小さくなければならない。最大の色濃度のため、及び沈降を遅くするためにも、小さい粒子を用いるのが望ましい。
【0168】
数平均顔料粒度は、好ましくは0.050〜1μm、より好ましくは0.070〜0.300μmそして特に好ましくは0.080〜0.200μmである。最も好ましくは、数平均顔料粒度は、0.150μmより大きくない。0.050μmより小さい平均粒度は、耐光堅牢度の低下のために、しかし主に、非常に小さい顔料粒子又はその個々の顔料分子が食品包装用途においてやはり抽出され得るためにも、あまり望ましくない。顔料粒子の平均粒度は、動的光散乱法の原理に基づいてBrookhaven Instruments Particle Sizer BI90plusを用いて決定される。酢酸エチルを用いて0.002重量%の顔料濃度にインキを希釈する。BI90plusの測定設定は:23℃、90°の角、635nmの波長及び図=補正関数(graphics=correction function)において5回の実験である。
【0169】
しかしながら、ホワイト放射線硬化性インキの場合、ホワイト顔料の数平均粒径は、好ましくは50〜500nm、より好ましくは150〜400nm、そして最も好ましくは200〜350nmである。平均直径が50nmより小さい場合、十分な隠蔽力を得ることができず、平均直径が500nmを超えると、インキの保存可能性及び噴出適切性が下がる傾向がある。数平均粒径の決定は、顔料添加インキジェットインキの希釈された試料についての、4mW HeNeレーザーを用いる633nmの波長における光子相関分光法により、最も良く行なわれる。用いられた適した粒度分析計は、Goffin−Meyvisから入手可能なMalvernTM nano−Sであった。例えば1.5mLの酢酸エチルを含有するキュベットに1滴のインキを加え、均一な試料が得られるまで混合することにより、試料を調製することができる。測定される粒度は、20秒の6回の実験から成る3回の連続的測定の平均値である。
【0170】
適したホワイト顔料は、国際公開第2008/074548号パンフレット(AGFA
GRAPHICS)の[0116]中の表2により示されている。ホワイト顔料は、好ましくは1.60より大きい屈折率を有する顔料である。ホワイト顔料を単独で、又は組み合わせて用いることができる。好ましくは、1.60より大きい屈折率を有する顔料として二酸化チタンを用いる。適した二酸化チタン顔料は、、国際公開第2008/074548号パンフレット(AGFA GRAPHICS)の[0117]及び[0118]中に開示されているものである。
【0171】
顔料は、それぞれ放射線硬化性インキの合計重量に基づいて0.01〜10重量%の範囲内、好ましくは0.1〜5重量%の範囲内で存在する。ホワイト放射線硬化性インキの場合、ホワイト顔料は、好ましくはインキ組成物の3重量%〜30重量%、そしてより好ましくは5重量%〜25重量%の量で存在する。3重量%より少ない量は、十分な被覆力を達成することができず、通常非常に劣った保存安定性及び噴出性を示す。
【0172】
一般に顔料は、分散剤、例えば高分子分散剤により、分散媒中で安定化される。しかしながら、顔料の表面を改質し、いわゆる「自己分散可能」又は「自己分散性」顔料、すなわち分散剤なしで分散媒中で分散可能である顔料を得ることができる。
【0173】
分散剤
分散剤は、好ましくは高分子分散剤である。典型的な高分子分散剤は、2種のモノマーのコポリマーであるが、3、4、5種又はそれより多種のモノマーさえ含有することができる。高分子分散剤の性質は、モノマーの性質及びポリマー中におけるそれらの分布の両方に依存する。適したコポリマー分散剤は、以下のポリマー組成を有する:
ランダム重合したモノマー(例えばモノマーA及びBがABBAABABに重合した);交互重合したモノマー(例えばモノマーA及びBがABABABABに重合した);
勾配(gradient)(テーパード(tapered))重合したモノマー(例えばモノマーA及びBがAAABAABBABBBに重合した);
それぞれのブロックのブロック長(2、3、4、5又はそれより多くさえ)が高分子分散剤の分散能力に重要であるブロックコポリマー(例えばモノマーA及びBがAAAAABBBBBBに重合した);
グラフトコポリマー(グラフトコポリマーは、主鎖に結合した高分子側鎖を有する高分子主鎖から成る);ならびに
これらのポリマーの混合形態、例えばブロック様勾配コポリマー。
【0174】
適した高分子分散剤は、特定的引用として本明細書の内容となる欧州特許第1911814A号明細書(AGFA GRAPHICS)中の「分散剤」についての節、さらに特定的に[0064]から[0070]及び[0074]から[0077]中に挙げられている。
【0175】
高分子分散剤は、好ましくは500〜30000、より好ましくは1500〜10000の数平均分子量Mnを有する。
【0176】
高分子分散剤は、好ましくは100000より小さい、より好ましくは50000より小さい、そして最も好ましくは30000より小さい重量平均分子量Mwを有する。
【0177】
高分子分散剤は、好ましくは2より小さい、より好ましくは1.75より小さい、そして最も好ましくは1.5より小さい多分散性(polydispersity)PDを有する。
【0178】
高分子分散剤の市販の例は以下である:
BYK CHEMIE GMBHから入手可能なDISPERBYKTM分散剤;
NOVEONから入手可能なSOLSPERSETM分散剤;
DEGUSSAからのTEGOTMDISPERSTM分散剤;
MUENZING CHEMIEからのEDAPLANTM分散剤;
LYONDELLからのETHACRYLTM分散剤;
ISPからのGANEXTM分散剤;
CIBA SPECIALTY CHEMICALS INCからのDISPEXTM及びEFKATM分散剤;
DEUCHEMからのDISPONERTM分散剤;及び
JOHNSON POLYMERからのJONCRYLTM分散剤。
【0179】
特に好ましい高分子分散剤には、NOVEONからのSolsperseTM分散剤、CIBA SPECIALTY CHEMICALS INCからのEfkaTM分散剤及びBYK CHEMIE GMBHからのDisperbykTM分散剤が含まれる。特に好ましい分散剤は、NOVEONからのSolsperseTM 32000、35000及び39000分散剤である。
【0180】
高分子分散剤は、好ましくは顔料の重量に基づいて2〜600重量%、より好ましくは5〜200重量%の量で用いられる。
【0181】
分散相乗剤
分散相乗剤は通常アニオン性部分及びカチオン性部分から成る。分散相乗剤のアニオン性部分は有色顔料とのある種の分子類似性を示し、分散相乗剤のカチオン性部分は、分散相乗剤のアニオン性部分の電荷を補償するために、1個もしくはそれより多いプロトン及び/又はカチオンから成る。
【0182】
相乗剤は、好ましくは高分子分散剤より少量で加えられる。高分子分散剤/分散相乗剤の比は顔料に依存し、実験的に決められるべきである。典型的には、高分子分散剤の重量%/分散相乗剤の重量%の比は、2:1〜100:1、好ましくは2:1〜20:1の間で選ばれる。
【0183】
商業的に入手可能な適した分散相乗剤には、NOVEONからのSolsperseTM 5000及びSolsperseTM 22000が含まれる。
【0184】
用いられるマゼンタインキのために特に好ましい顔料は、ジケトピロロ−ピロール顔料又はキナクリドン顔料である。適した分散相乗剤には、欧州特許第1790698A号明細書(AGFA GRAPHICS)、欧州特許第1790696A号明細書(AGFA
GRAPHICS)、国際公開第2007/060255号パンフレット(AGFA GRAPHICS)及び欧州特許第1790695A号明細書(AGFA GRAPHICS)に開示されているものが含まれる。
【0185】
C.I.Pigment Blue 15:3の分散において、スルホン化Cu−フタロシアニン分散相乗剤、例えばNOVEONからのSolsperseTM 5000の使用が好ましい。イエローインキジェットインキのための適した分散相乗剤には、欧州特許第1790697A号明細書(AGFA GRAPHICS)に開示されているものが含まれる。
【0186】
放射線硬化性インキの調製
平均粒度及び分布は、インキジェットインキに関する重要な特徴である。分散媒中で分散剤の存在下に、顔料を沈降させるか又は磨砕することにより、インキを調製することができる。
【0187】
混合装置には圧力混練機、開放混練機、遊星型ミキサー、溶解機及びDalton Universal Mixerが含まれ得る。適した磨砕及び分散装置は、ボールミル、パールミル、コロイドミル、高速分散機、ダブルローラー、ビーズミル、ペイントコンディショナー及びトリプルローラーである。超音波エネルギーを用いて分散系を調製することもできる。
【0188】
磨砕媒体として、ガラス、セラミックス、金属及びプラスチックのような多種の型の材料を用いることができる。好ましい態様において、磨砕(grinding)媒体は粒子、好ましくは実質的に球形の粒子、例えば本質的に高分子樹脂から成るビーズ又はイットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズを含んでなることができる。
【0189】
混合、磨砕及び分散のプロセスにおいて、それぞれのプロセスは、熱の蓄積を防ぐために冷却しながら且つ放射線硬化性インキのために可能な限り化学線が実質的に排除された光の条件下で行なわれる。
【0190】
インキは1種より多い顔料を含有することができ、各顔料に関して別の分散系を用いてインキを調製することができるか、あるいはまた、いくつかの顔料を混合し、分散系の調製において共磨砕することができる。
【0191】
分散プロセスを連続、バッチ又は半バッチ様式で行なうことができる。
【0192】
ミルグリンド(mill grind)の成分の好ましい量及び比は、特定の材料及び意図される用途に依存して広く変わるであろう。磨砕混合物の内容物は、ミルグリンド及び磨砕媒体を含んでなる。ミルグリンドは、顔料、高分子分散剤及び液体担体を含んでなる。インキジェットインキの場合、顔料は通常、磨砕媒体を除いて1〜50重量%でミルグリンド中に存在する。顔料対高分子分散剤の重量比は20:1〜1:2である。
【0193】
磨砕時間は広く変り得、顔料、選ばれる機械的手段及び滞留条件、初期の及び所望の最
終的な粒度などに依存する。本発明において、100nmより小さい平均粒度を有する顔料分散系を調製することができる。
【0194】
磨砕が完了した後、通常の分離法、例えば濾過、メッシュスクリーンを介する篩別などを用いて、磨砕された粒子状生成物(乾燥もしくは液体分散系形態における)から磨砕媒体を分離する。多くの場合、例えばビーズミル用のミル中に篩が組み込まれる。磨砕された顔料濃厚液を、好ましくは濾過により磨砕媒体から分離する。
【0195】
一般に、インキを濃厚ミルグリンドの形態で調製するのが望ましく、それを続いて印刷系における使用のために適した濃度に希釈する。この方法は、装置からの比較的多量の顔料添加インキの調製を可能にする。希釈により、インキを特定の用途のための所望の粘度、表面張力、色、色相、飽和濃度(saturation density)及び印刷領域被覆力に調整する。
【0196】
インキジェット印刷手段
本発明に従う硬化性組成物及びインキを、インキの小滴を噴出させる1個もしくはそれより多い印刷ヘッドにより、印刷ヘッドに相対的に動いているインキ受容体表面上に、制御されたやり方でノズルを介して噴射することができる。
【0197】
インキジェット印刷系のための好ましい印刷ヘッドは、圧電ヘッドである。圧電インキジェット印刷は、圧電セラミック変換器の、電圧がそれに適用される時の動きに基づく。電圧の適用は、印刷ヘッド中の圧電セラミック変換器の形を変化させて空隙を作り、次いでそれはインキで満たされる。再び電圧が取り除かれると、セラミックはその最初の形に膨張し、印刷ヘッドからインキの滴を噴出させる。しかしながら、本発明に従うインキジェット印刷法は圧電インキジェット印刷に制限されない。他のインキジェット印刷ヘッドを用いることができ、連続型ならびに熱的、静電的及び音響的ドロップオンデマンド(drop on demand)型のような種々の型が含まれる。
【0198】
高い印刷速度において、インキは印刷ヘッドから容易に噴出しなければならず、それはインキの物理的性質に複数のこと、例えば25℃〜110℃で変り得る噴射温度における低粘度、印刷ヘッドノズルが必要な小滴を形成できるような表面エネルギー、乾燥印刷領域への迅速な転換が可能な均一なインキを強制する。
【0199】
インキジェット印刷ヘッドは通常、動いているインキ受容体表面を横切って横方向で行ったり来たり走査される。多くの場合、インキジェット印刷ヘッドは、帰り道に印刷しない。二方向印刷は、高い面積処理量を得るために好ましい。他の好ましい印刷法は、「1回通過印刷法(single pass printing process)」による方法であり、それはインキ受容体表面の幅全体に及ぶページ幅インキジェット印刷ヘッド又は多数の互い違いのインキジェット印刷ヘッドの使用により達成され得る。1回通過印刷法では、インキジェット印刷ヘッドは通常静止したままであり、インキ−受容体表面がインキジェット印刷ヘッドの下を輸送される。
【0200】
硬化手段
本発明に従う硬化性組成物及びインキを、それらを化学線に暴露することにより、好ましくは紫外線により硬化することができる。
【0201】
インキジェット印刷において、硬化手段をインキジェットプリンターの印刷ヘッドと組み合わせて配置し、それと一緒に移動させ、硬化性組成物が噴射された直後に硬化放射線に暴露されるようにすることができる。
【0202】
そのような配置において、印刷ヘッドに連結され、且つそれと一緒に移動するのに十分に小さい放射線源を備えるのは困難であり得る。従って、光ファイバー束又は内反射性フレキシブルチューブ(internally reflective flexible
tube)のような柔軟性放射線伝導手段により放射線源に連結された静止固定放射線源、例えば硬化UV−光源を用いることができる。
【0203】
あるいはまた、放射線ヘッドの上の鏡を含む鏡の配置により、固定源から放射線ヘッドに化学線を供給することができる。
【0204】
印刷ヘッドと一緒に動かないように配置される放射線源は、硬化するべきインキ受容体表面を横切って横に、且つ印刷ヘッドの横通過路に隣接して延びる長い放射線源であることもでき、印刷ヘッドにより形成される画像の連続する列が段階的又は連続的にその放射線源の下を通過するようにすることもできる。
【0205】
発光される光の一部が光開始剤又は光開始剤系により吸収され得る限り、高圧もしくは低圧水銀ランプ、冷陰極管、ブラックライト、紫外LED、紫外レーザー及び閃光(flash light)のようないずれの紫外光源も放射線源として用いることができる。これらの中で好ましい源は、300〜400nmの主波長を有する比較的長波長UV−寄与(long wavelength UV−contribution)を示すものである。特にUV−A光源は、それを用いて光散乱が減少し、より有効な内部硬化を生ずる故に、好ましい。
【0206】
UV線は一般に、UV−A、UV−B及びUV−Cとして以下の通りに分類される:
・UV−A:400nm〜320nm
・UV−B:320nm〜290nm
・UV−C:290nm〜100nm。
【0207】
さらに、異なる波長又は照度の2種の光源を連続的又は同時に用いて、画像を硬化させることができる。例えば第1のUV源を、特に260nm〜200nmの領域内のUV−Cが豊富なように選択することができる。その場合、第2のUV源はUV−Aが豊富であり、例えばガリウムがドーピングされたランプであるか、あるいはUV−A及びUV−Bの両方が高い異なるランプであることができる。2種のUV源の使用は利点、例えば速い硬化速度及び高い硬化度を有することが見出された。
【0208】
硬化を助長するために、インキジェットプリンターは多くの場合に1個もしくはそれより多い酸素枯渇装置(oxygen depletion units)を含む。酸素枯渇装置は、硬化環境中の酸素濃度を低下させるために、調整可能な位置及び調整可能な不活性ガス濃度で、窒素又は他の比較的不活性なガス(例えばCO)のブランケット(blanket)を置く。残留酸素レベルは通常、200ppmのように低く保たれるが、一般に200ppm〜1200ppmの範囲内である。
【実施例】
【0209】
材料
以下の実施例において用いられるすべての材料は、他に特定しなければ、Aldrich Chemical Co.(Belgium)から容易に入手可能であった。用いられた水は、脱イオン水であった。
【0210】
TEGOTM RAD 2100は、DEGUSSAから入手可能なシリコーンポリエーテルアクリレート界面活性剤である。
【0211】
PET100は、AGFA−GEVAERTからP100C PLAIN/ABASとして入手可能な、帯電防止性を有するブロッキング防止層を背面上に有する100μmの下塗りされないPET基質である。
【0212】
BHTは、ALDRICH CHEMICAL COから入手可能な2,6−ジ−tert.ブチル−4−メチルフェノールに関する略語である。
【0213】
BAYERからのLewatitTM M600 MB。
【0214】
Ether−1は、Nippon Shokubai,Japanから入手可能な二官能基性モノマー、2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレートである。
【0215】
Ether−2は、Nippon Shokubai,Japanから入手可能な二官能基性モノマー、2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルメタクリレートである。
【0216】
Ether−4は、Nippon Shokubai,Japanから入手可能なビニルオキシエチルメタクリレートである。
【0217】
Ether−5は、Nippon Shokubai,Japanから入手可能なビニルオキシエチルアクリレートである。
【0218】
M600はジペンタエリトリトールヘキサアクリレートであり、Rahn AGから入手可能なMiramerTM M600に関する略語である。
【0219】
SR339Cは、SARTOMERから入手可能なSartomerTM SR339Cである:
【0220】
【化11】

【0221】
SR9003は、SARTOMERから入手可能なSartomerTM SR9003である:
【0222】
【化12】

【0223】
SR8335は、SARTOMERから入手可能なSartomerTM 8335である:
【0224】
【化13】

【0225】
SR508は、SARTOMERから入手可能なSartomerTM SR508である:
【0226】
【化14】

【0227】
Type IIは、以下の構造:
【0228】
【化15】

【0229】
に従う重合可能なチオキサントン誘導体であり、以下の通りに製造することができる:
【0230】
【化16】

【0231】
ジフェニルスルフィド−2,4’−ジカルボン酸:
31.08g(202ミリモル)のチオサリチル酸及び50g(202ミリモル)の4−ヨード−安息香酸を410mLの10%NaOHに加えた。12.3gの銅粉末及び2.04gの亜鉛粉末を加え、混合物を激しく撹拌しながら6時間還流させた。発泡を抑制するのは困難であった。反応混合物を室温に冷ました。銅及び亜鉛粉末を濾過により除去した。反応混合物を800mLの水で希釈し、600mLの2N HClで中和した。沈殿したジフェニルスルフィド−2,4’−ジカルボン酸を濾過により単離し、水で3回洗浄し、乾燥した。55gのジフェニルスルフィド−2,4’−ジカルボン酸が単離された。(融点 235−237℃)
【0232】
9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−カルボン酸:
52.74(192ミリモル)のジフェニルスルフィド−2,4’−ジカルボン酸を1Lの濃硫酸中に溶解し、反応を室温で24時間続けさせた。反応混合物を12Lの熱湯にゆっくり加えた。混合物を100℃にさらに1時間保った。混合物を室温に冷ました。混合物から沈殿した粗9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−カルボン酸を濾過により単離し、水で3回及びエタノールで1回洗浄し、乾燥した。41.76gの粗9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−カルボン酸を417mLの2N NaOH中に溶解し、室温で30分間撹拌し、600mLの2N HClを用いてゆっくり酸性化した。混合物を30分間撹拌し、沈殿した9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−カルボン酸を濾過により単離し、水で2回及びエタノールで2回洗浄し、乾燥した。31.5g(64%)の9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−カルボン酸が単離された(融点:310−316℃)。
【0233】
【化17】

【0234】
9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−カルボン酸(2.0g,7.8ミリモル)、アセトニトリル(30mL)、ジメチルアセトアミド(20mL)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.3g,0.78ミリモル)及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(0.02g,0.0634ミリモル)を含有する反応混合物を加熱還流した。この温度で、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(1.3g,6.34ミリモル)を加え、混合物を還流温度で24時間撹拌した。混合物を室温に冷まし、濾過して、残留物である溶解しなかった9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−カルボン酸を除去した。濾液を減圧下で蒸発させた。残留油をメチル−tert−ブチルエーテル(100mL)中に溶解し、水酸化ナトリウムの水溶液(1N)及び蒸留水の混合物(1/4)で抽出した。有機層を分離し、MgSO上で乾燥し、濾過し、蒸発させて2.5gの褐色の油を与えた。
【0235】
COINI−1は、以下の構造:
【0236】
【化18】

【0237】
を有する重合可能共開始剤であり、以下の通りに製造することができる:
【0238】
【化19】

【0239】
4.2g(215ミリモル)の85%KOHを100mLのエタノール中に溶解した。温度は30℃に上昇した。30g(178ミリモル)の4−ジメチルアミノ安息香酸を加え、混合物を90分間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物を300mLのメチルtert.−ブチルエーテルで処理し、濾過により単離し、乾燥した。9.4g(47ミリモル)の4−ジメチルアミノ安息香酸カリウム塩を、40mLのジメチルアセトアミド中の10g(56ミリモル)の2−ブロモエチルアクリレートの溶液に加えた。1gのBHTを加え、混合物を60℃に2時間加熱した。反応物を室温に冷ました。生成する臭化カリウムを濾過により除去し、150mLのメチルtert.−ブチルエーテルを加えた。混合物を150mLの水で抽出した。有機画分を単離し、MgSO上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。残留物を150mLのメチルtert.−ブチルエーテル中に再溶解し、150mLの1M NaHCO−溶液で抽出した。有機層をMgSO上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。残留物を水で処理した。媒体から沈殿したCOINI−2を濾過により単離し、乾燥した。4.3gのCOINI−2が単離された。
【0240】
STIN−1は、Ciba Specialty Chemicalsにより供給されるIrgacureTM 2959である:
【0241】
【化20】

【0242】
STIN−2は、Ciba Specialty Chemicalsにより供給されるDarocurTM 1173である:
【0243】
【化21】

【0244】
STIN−3は、Ciba Specialty Chemicalsにより供給されるIrgacureTM 184である:
【0245】
【化22】

【0246】
STIN−4は、Ciba Specialty Chemicalsにより供給されるIrgacureTM 127である:
【0247】
【化23】

【0248】
STIN−5は、ノリッシュI型光開始剤(CASRN 110430−09−6)であり:
【0249】
【化24】

【0250】
以下の通りに製造することができる:
【0251】
【化25】

【0252】
5.6g(25ミリモル)の2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン(STIN−1)及び60mgのBHTを100mLのアセトン中に溶解した。19g(0.1375モル)のKCOを加え、反応混合物を−5℃に冷却した。9.5mL(12.7g,0.1モル)の3−クロロプロピオニルクロリドを30分かけて加えた。反応混合物を10時間還流させ、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノンの4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトンへの転換率を、上記で開示された通りにGCにより決定した。10時間後、転換率は94.3%であることが証明された。通常の単離法を用いて4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトンを単離することができる。
【0253】
STIN−6は、以下の通りに製造される1−{4−[2−(2,3−ジヒドロキシ−プロピルスルファニル)−エトキシ]−フェニル}−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オンである:
【0254】
【化26】

【0255】
メタノール(70mL)中の3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(3.2g,
0.03モル)の溶液に、メタノール(40mL)中のメタノール中のナトリウムメトキシド(30重量%)(6.1mL,0.033モル)の溶液を滴下し、反応混合物を室温で30分間撹拌した。トルエン−4−スルホン酸 2−[4−(2−ヒドロキシ−2メチル−プロピオニル)−フェノキシ]−エチルエステル(11.4g,0.03モル)を加え、反応混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留油をジクロロメタン(100mL)で処理し、濾過した。溶媒の蒸発は黄色油を与え、それをProchrom LC80カラム上で、溶離剤としてジクロロメタン/酢酸エチル(50/50)を用い、シリカとしてKromasil Si60 10μmを用いて精製し、4.7gの淡黄色の固体を与えた。
【0256】
STIN−7はCASRN 15121−78−5である,製造:Harris et
al.著,Synthetic Communications,19(3−4),1989年,529−35。
【0257】
STIN−8は、Aldrichにより供給されるCASRN 13020−57−0である。
【0258】
STIN−9は、CASRN 38933−94−7である,製造:Gustowski et al.著,J.Am.Chem.Soc.,108(24),1986年,7553−60。
【0259】
STIN−10は、以下の通りに製造されるN,N−ビス−(2−ヒドロキシ−エチル)−2−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−アセトアミドである:
【0260】
【化27】

【0261】
(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−酢酸 メチルエステル(5.0g,16.6ミリモル)、ジエタノールアミン(6.3g,60ミリモル)及び水酸化カリウム(0.05g,0.8モル)の溶液を105℃に加熱した。反応混合物を90分間撹拌した。反応混合物を30℃に冷まし、0℃の蒸留水を分けて加えた。粗N,N−ビス−(2−ヒドロキシ−エチル)−2−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−アセトアミドが媒体から沈殿し、それを濾過により単離した。粗N,N−ビス−(2−ヒドロキシ−エチル)−2−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−アセトアミドを蒸留水(50mL)と酢酸(1mL)の混合物で処理した。N
,N−ビス−(2−ヒドロキシ−エチル)−2−(9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)−アセトアミドを濾過により単離し、蒸留水及びメタノールで洗浄して4.35gの黄色の固体を与えた。
【0262】
STIN−11は、以下の通りに製造される[4−(3−ジヒドロキシ−プロポキシ)フェニル]フェニル−メタノンである:
【0263】
【化28】

【0264】
メタノール(20mL)中の4−ヒドロキシベンゾフェノン(7.5g,38ミリモル)の溶液に、メタノール中のナトリウムメトキシドの溶液(30重量%)(7mL,38ミリモル)を滴下し、反応混合物を室温で30分間撹拌した。3−ブロモ−1−プロパノール(5.3g,38ミリモル)を分けて加え、反応混合物を還流温度で24時間撹拌した。反応混合物を室温に冷まし、溶媒を減圧下で除去した。残留物を蒸留水(300mL)で処理し、粗[4−(3−ジヒドロキシ−プロポキシ)フェニル]フェニル−メタノンを濾過により単離した。乾燥の後、粗[4−(3−ジヒドロキシ−プロポキシ)フェニル]フェニル−メタノンをトルエン(300mL)中で還流において処理した。室温に冷ました後、[4−(3−ジヒドロキシ−プロポキシ)フェニル]フェニル−メタノンを濾過により単離し、5gの固体を与えた。
【0265】
STIN−12は、9−オキソ−9H−チオキサンテン−1−カルボン酸−3−(4−アクリロイルオキシ−ブトキシ)2−ヒドロキシ−プロピルエステルであり:
【0266】
【化29】

【0267】
以下の通りに製造された:
【0268】
【化30】

【0269】
9−オキソ−9H−チオキサンテン−1−カルボン酸(3.8g,15ミリモル)、アセトニトリル(40mL)、ジメチルスルホキシド(23mL)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.5g,1.5ミリモル)及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(0.03g,0.122ミリモル)を含有する反応混合物を加熱還流した。この温度で、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(2.4g,12.2ミリモル)を加え、混合物を還流温度で24時間撹拌した。混合物を室温に冷まし、濾過して、残留物である溶解しなかった9−オキソ−9H−チオキサンテン−1−カルボン酸を除去した。濾液を減圧下で蒸発させた。ジメチルスルホキシドを含有する残留油を蒸留水中に入れた。1時間撹拌した後、水層をデカンテーションした。残留物をジクロロメタン(100mL)中に溶解し、水酸化ナトリウムの水溶液(1N)及び蒸留水の混合物(1/2)で抽出した。有機層を分離し、MgSO上で乾燥し、濾過し、蒸発させて4.9gの黄色の油を与えた。生成物をSVP D40 Merck Npカラム上で、溶離剤としてジクロロメタン/酢酸エチル(80/20)を用いて精製し、2.6gの黄色の油を与えた。
【0270】
STIN−13は、9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−カルボン酸−3−(4−アクリロイルオキシ−ブトキシ)2−ヒドロキシ−プロピルエステルであり:
【0271】
【化31】

【0272】
以下の通りに製造された:
【0273】
【化32】

【0274】
9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−カルボン酸(2.0g,7.8ミリモル)、アセトニトリル(30mL)、ジメチルアセトアミド(20mL)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.3g,0.78ミリモル)及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(0.02g,0.0634ミリモル)を含有する反応混合物を加熱還流した。この温度で、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(1.3g,6.34ミリモル)を加え、混合物を還流温度で24時間撹拌した。混合物を室温に冷まし、濾過して、残留物である溶解しなかった9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−カルボン酸を除去した。濾液を減圧下で蒸発させた。残留油をメチル−tert−ブチルエーテル(100mL)中に溶解し、水酸化ナトリウムの水溶液(1N)及び蒸留水の混合物(1/4)で抽出した。有機層を分離し、MgSO上で乾燥し、濾過し、蒸発させて2.5gの褐色の油を与えた。
【0275】
STIN−14は、2−ベンゾイル−安息香酸 3−(4−アクリロイルオキシ−ブトキシ)−2−ヒドロキシ−プロピルエステルであり:
【0276】
【化33】

【0277】
以下の通りに製造された:
【0278】
【化34】

【0279】
2−ベンゾイル安息香酸(40.0g)、アセトニトリル(300mL)、ジメチルアセトアミド(10mL)、テトラブチルアンモニウムブロミド(5.6g)及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(0.3g)を含有する反応混合物を加熱還流した。この温度で、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(28.0g)を加え、混合物を還流温度で16時間撹拌した。混合物を室温に冷まし、溶媒を減圧下で蒸発させた。残留油をメチル−tert−ブチルエーテル(300mL)中に溶解し、水酸化ナトリウムの水溶液(1N)及び蒸留水の混合物(1/2.4)で3回抽出した。有機層を分離し、MgSO上で乾燥し、濾過し、蒸発させて、45.2gの褐色の油を与えた。
【0280】
STIN−15は、Aldrichにより供給されるCASRN 1137−42−4である:
【0281】
【化35】

【0282】
STIN−16は、以下の通りに製造される2−(4−ベンゾイル−フェノキシ)−N,N−ビス−(2−ヒドロキシ−エチル)−アセトアミドである:
【0283】
【化36】

【0284】
(4−ベンゾイル−フェノキシ)−酢酸 メチルエステル(10.8g,0.040モル)、ジエタノールアミン(15.8g,0.15モル)及び水酸化カリウム(0.10g,0.0015モル)の溶液を105℃に加熱した。反応混合物を1時間撹拌した。反応混合物を室温に冷まし、0℃の蒸留水を加えた。粗2−(4−ベンゾイル−フェノキシ)−N,N−ビス−(2−ヒドロキシ−エチル)−アセトアミドが油として沈殿した。水相をデカンテーションした。油を酢酸エチル(200mL)中に溶解し、蒸留水(50mL)で3回抽出した。有機層を分離し、MgSO上で乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発させて、12.8gの白色の固体を与えた。
【0285】
STIN−17は、9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−カルボン酸 2−ヒドロキシ−3−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−プロピルエステルであり:
【0286】
【化37】

【0287】
以下の通りに製造される:
【0288】
【化38】

【0289】
9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−カルボン酸(7.7g,30ミリモル)、アセトニトリル(115mL)、ジメチルアセトアミド(77mL)、テトラブチルアンモニウムブロミド(1.0g,3ミリモル)及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(0.05g,0.244ミリモル)を含有する反応混合物を加熱還流した。この温度で、グリシジルメタクリレート(3.5g,24.4ミリモル)を加え、混合物を還流温度で16時間撹拌した。混合物を室温に冷まし、濾過して、残留物である溶解しなかった9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−カルボン酸を除去した。濾液を減圧下で蒸発させた。残留油をメチル−tert−ブチルエーテル(100mL)中に溶解し、水酸化ナトリウムの水溶液(1N)及び蒸留水の混合物(2.3/1)で抽出した。有機層を分離し、MgSO上で乾燥し、濾過し、蒸発させて5.9gの褐色の油を与えた。生成物をProchrom LC80カラム上で、シリカとしてKromasil Si60 10μmを用い、且つ溶離剤としてジクロロメタン/酢酸エチル(80/20)を用いて精製し、1.1gの黄色の油を与えた。
【0290】
STIN−18は、[4−(2,3−ジヒドロキシ−プロポキシ)−フェニル]フェニル−メタノンであり:
【0291】
【化39】

【0292】
以下の通りに製造される:
【0293】
【化40】

【0294】
ジメチルアセトアミド(300mL)中の4−ヒドロキシベンゾフェノン(79.3g,0.4モル)の溶液に、メタノール中のナトリウムメトキシドの溶液(30重量%)(74mL,0.04モル)を滴下し、反応混合物を室温で30分間撹拌した。3−クロロ−1,2−プロパンジオール(47.3g,0.43モル)を分けて加え、反応混合物を還流温度で24時間撹拌した。反応混合物を室温に冷まし、溶媒を減圧下で除去した。残留物をジクロロメタン(250mL)中に溶解し、水酸化ナトリウムの水溶液(1N)と蒸留水の混合物(1/6)で2回抽出した。有機層を分離し、MgSO上で乾燥し、濾過し、蒸発させて、40.9gの黄色の固体を与えた。
【0295】
STIN−19は、2−ベンゾイル−安息香酸 2−ヒドロキシ−3−アリルオキシ−プロピルエステルであり:
【0296】
【化41】

【0297】
以下の通りに製造された:
【0298】
【化42】

【0299】
2−ベンゾイル安息香酸(14.7g,65ミリモル)、アセトニトリル(100mL)、テトラブチルアンモニウムブロミド(2.1g,6.5ミリモル)及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(0.1g,0.65モル)を含有する反応混合物を60℃に加熱した。この温度で、アリルグリシジルエーテル(7.4g,65ミリモル)を加え、混合物を還流温度で24時間撹拌した。混合物を室温に冷まし、溶媒を減圧下で蒸発させた。残留油を酢酸エチル(180mL)中に溶解し、水酸化ナトリウムの水溶液(1N)及び蒸留水の混合物(1/6)で2回抽出した。有機層を分離し、MgSO上で乾燥し、濾過し、蒸発させて、21.6gの褐色の油を与えた。
【0300】
STIN−20は、LAMBERTIからEsacureTM Oneの商品名の下に入手可能な二官能基性α−ヒドロキシケトンである。
【0301】
測定法
1.H−NMRスペクトルの測定
H−NMRスペクトルは以下の通りに記録された:100mgの各予備−調製物の試料を0.7mLのCDCl中に溶解した。シフト参照標準としてTMSを加えた。スペクトルを600MHz Varian分光計上で記録した(スペクトルウィンドウ 10924Hz(〜18ppm),取得時間 5秒,緩和遅延(relaxation delay) 10秒,パルス幅 45度,トランジエント(transients)の数:32)。
【0302】
2.F−NMRスペクトルの測定
F−NMRスペクトルは以下の通りに記録された:100mgの各予備−調製物の試料を0.7mLのCDCl中に溶解した。標準として2mgの4−フルオロ−安息香酸
エチルエステルを加えた。スペクトルを400MHz Varian分光計上で記録した(スペクトルウィンドウ 50000Hz(〜132ppm),取得時間 0.6秒,緩和遅延 10秒,パルス幅:45度,トランジエントの数:16)。
【0303】
3.粘度の測定
Brookfield DV−II+粘度計を用い、25℃において6RPMで調製物の粘度を測定した。
【0304】
4.硬化度
UV光を用いる硬化の直後に、コーティングについて硬化度を調べた。硬化したコーティングをQチップによりこする。表面が損傷を受けなかったら、コーティングは完全に硬化している。硬化したコーティングのいくらかが損傷を受け得たら、コーティングは部分的にしか硬化していない。硬化したコーティング全体が損傷を受けたら、コーティングは硬化していない。
【0305】
5.硬化速度
試料の硬化に必要なランプの最大出力のパーセンテージとして硬化速度を定義した。数が低いほど、硬化速度が高い。試料は、Q−チップを用いる引っ掻きが視覚的損傷を引き起こさない時点に完全に硬化したと考えられた。
【0306】
ランプの最大出力の100%より高いパーセンテージは、ランプの最大出力において試料を完全に硬化するために、コンベアベルトの速度を下げなければならないことを意味する。パーセンテージが高いほど、ベルトを遅くしなければならない。160%の硬化速度は、ランプの最大出力における12.5m/分のベルト速度を意味する。150%〜200%のパーセンテージは、実際の使用の限界(edge)にあると考えられる。200%より高いパーセンテージは、実際の使用のための範囲外であると考えられ、もっと高いパーセンテージは測定されない。
【実施例1】
【0307】
この実施例は、特に簡単な合成法により本発明に従う重合可能開始剤に転換することができるヒドロキシル基を含有する広範囲の光開始剤を例示する。
【0308】
イオン交換樹脂の予備処理:
25gのLewatitTM M600 MBを75mLの1N水酸化ナトリウム溶液で処理し、2時間撹拌した。濾過によりイオン交換樹脂を単離し、水で数回洗浄し、一定
の重量になるまで乾燥した。
【0309】
合成:
表3に規定される量のヒドロキシル基を含有する光開始剤(=出発開始剤)を、表3に規定される量の2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート(Ether−1)中に溶解し、2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレートに対して1モル%のBHTを加え、続いてヒドロキシル含有光開始部分に対して5モル%のトリフルオロ酢酸を加えた。表3に規定される特定の反応時間の間、50℃で反応を続けさせた。25gの予備処理されたイオン交換樹脂を加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。濾過によりイオン交換樹脂を除去した。H−NMRを用いて転換の程度を決定した。19F−NMRを用いて残留触媒の存在を決定した。得られる重合可能開始剤をEther−1中に溶解し、予備−調製物と呼んだ。
【0310】
【表3】

【0311】
H−NMR−分析から、ヒドロキシル基を含有する光開始剤が完全に非対称アセタールに転換したことが明らかになった。19F−NMR分析から、触媒は非常に優れており、イオン交換樹脂で処理したら完全に予備−調製物から除去されたことが明らかになった。微量(0.01%w/wかもしくはそれより少量)が検出可能なこともあった。
【0312】
本発明に従ういくつかの開始剤のH−NMR−指定(assignment)を下記に例示する。
【0313】
【化43】

【0314】
【化44】

【0315】
ならびに反応物のいくつかのH−NMR−指定を下記に例示する:
【0316】
【化45】

【実施例2】
【0317】
この実施例は、式(II)に従う種々のビニルエーテルモノマーを用いて、本発明に従う重合可能開始剤を製造することができることを例示する。
【0318】
合成:
表4に規定される量のヒドロキシル含有光開始性光開始剤(=出発開始剤)を、表4に規定される量のビニルエーテル含有モノマー中に溶解し、ビニルエーテル含有モノマーに対して1モル%のBHTを加え、続いてヒドロキシル含有光開始部分に対して5モル%のトリフルオロ酢酸を加えた。規定される反応時間の間、50℃で反応を続けさせた。25gの予備処理されたイオン交換樹脂を加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。濾過によりイオン交換樹脂を除去した。H−NMRを用いて転換の程度を決定した。19F−NMRを用いて残留触媒の存在を決定した。得られる重合可能開始剤を、反応物として用いられたモノマー中に溶解し、予備−調製物と呼んだ。
【0319】
【表4】

【0320】
H−NMR−分析から、ヒドロキシル含有光開始部分からのヒドロキシル官能基が完全に非対称アセタールに転換したことが明らかになった。19F−NMR分析から、触媒は非常に優れており、イオン交換樹脂で処理したら完全に予備−調製物から除去されたことが明らかになった。微量(0.01%w/wかもしくはそれより少量)が検出可能なこともあった。
【実施例3】
【0321】
この実施例は、ヒドロキシル基を含有する光開始剤を本発明に従う重合可能光開始剤に転換するための触媒の必要性を例示する。
【0322】
合成:
4種の出発開始剤の1組を、表5に規定される通りに反応させた。TLCクロマトクラフィーを用いて転換の程度を決定した。
【0323】
【表5】

【0324】
表5から、ヒドロキシル含有光開始剤を本発明に従う重合可能光開始剤に転換するために、触媒が必要であることが明らかになる。
【実施例4】
【0325】
この実施例は、ヒドロキシル含有光開始剤を本発明に従う重合可能開始剤に転換するための触媒としての、架橋された樹脂の使用の可能性を例示する。
【0326】
合成:
a)4−ヒドロキシ−ベンゾフェノン(STIN−15)の誘導体化
【0327】
【化46】

【0328】
触媒としての架橋されたポリ(ビニルピリジン)トシレート:
7.5g(38ミリモル)の4−ヒドロキシ−ベンゾフェノンを30mLの2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート中に溶解した。40mgのBHTを加えた。2%のジビニルベンゼンで架橋された0.9gの架橋ポリ(ビニルピリジン)トシレート(Aldrichにより供給された)を加えた。反応混合物を55℃に加熱し、16時間反応を続けさせた。TLC分析は、フェノール性基の完全な転換を示した(Partisil KC18F,Whatmanにより供給された,溶離剤:MeOH/NaCl 0.5M;R=0.39)。濾過により触媒を除去し、2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート中のINI−1の溶液を、放射線硬化性組成物の調製に直接用いることができる。
【0329】
触媒としての架橋されたポリ(ビニルピリジン)クロロハイドレート:
7.5g(38ミリモル)の4−ヒドロキシ−ベンゾフェノンを30mLの2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート中に溶解した。40mgのBHTを加えた。2%のジビニルベンゼンで架橋された0.9gの架橋ポリ(ビニルピリジン)クロロハイドレート(Aldrichにより供給された)を加えた。反応混合物を55℃に加熱し、16時間反応を続けさせた。TLC分析は、フェノール性基の完全な転換を示した(Partisil KC18F,Whatmanにより供給された,溶離剤 MeOH/NaCl 0.5M 80/20)。濾過により触媒を除去し、2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート中のINI−1の溶液を、放射線硬化性組成物の調製に直接用いることができる。
【0330】
B)STIN−1の誘導体化:
【0331】
【化47】

【0332】
触媒としての架橋されたポリ(ビニルピリジン)トシレート:
7.5g(38ミリモル)のSTIN−1を30mLの2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート中に溶解した。70mgのBHTを加えた。反応混合物を55℃に加熱した。2%のジビニルベンゼンで架橋された0.9gの架橋ポリ(ビニルピリジン)トシレート(Aldrichにより供給された)を加え、16時間反応を続けさせた。TLC分析は、第1級アルコール及び第3級アルコールの両方の完全な転換を示した(Partisil KC18F,Whatmanにより供給された,溶離剤:MeOH/NaCl 0.5M;R=0.37)。濾過により触媒を除去し、2−(2−ビニルオキ
シエトキシ)エチルアクリレート中のINI−4の溶液を、放射線硬化性組成物の調製に直接用いることができる。
【0333】
c)STIN−4の誘導体化:
【0334】
【化48】

【0335】
225g(0.66モル)のSTIN−4を900mLの2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート中に55℃で溶解した。1.5gのBHTを加えた。反応混合物を室温に冷ました。STIN−4は部分的に媒体から沈殿した。2%のジビニルベンゼンで架橋された9.5gの架橋ポリ(ビニルピリジン)トシレート(Aldrichにより供給された)を加え、反応を室温で24時間続けさせた。TLC分析は、ヒドロキシル基の完全な転換を示した(Partisil KC18F,Whatmanにより供給された,溶離剤:MeOH/NaCl 0.5M;R=0.46)。濾過により触媒を除去し、2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート中のINI−28の溶液を、放射線硬化性組成物の調製に直接用いることができる。
【実施例5】
【0336】
開始剤PGの製造を用いて、高分子光開始剤の設計のための本発明の適用性を例示する。
【0337】
【化49】

【0338】
合成:
段階1:コハク酸 モノ−{2−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ]−エチル}エステル
【0339】
【化50】

【0340】
アセトニトリル(500mL)中のSTIN−1(44.9g,0.2モル)の懸濁液に、トリエチルアミン(44.5g,0.44モル)を加え、透明な溶液を得た。無水コハク酸(22.0g,0.22モル)を加え、反応混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒の蒸発後、残留油を蒸留水(500mL)と水酸化ナトリウムの水溶液(1N)(110mL)の混合物中に溶解し、酢酸エチル(500mL)で抽出した。有機層を分離し、塩酸の水溶液を用いて水層をpH=1に酸性化し、ジクロロメタン(500mL)で2回抽出した。有機層を分離し、MgSO上で乾燥し、濾過し、蒸発させた。残留物をn−ヘキサンで処理し、3℃に15時間冷却した。粗コハク酸 モノ−{2−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ]−エチル}エステルを濾過により単離した。生成物をProchrom LC80カラム上で、溶離剤としてジクロロメタン/酢酸エチル(75/25)及びシリカとしてKromasil Si60 10mmを用いて精製し、20.6gの淡黄色の固体を与えた。
【0341】
段階2:ペンタエリトリトール エトキシレートのエステル化
【0342】
【化51】

【0343】
トルエン(350mL)中のコハク酸 モノ−{2−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ]−エチル}エステル(48.6g,0.15モル)の溶液に、ペンタエリトリトール エトキシレート 15/4(29.9g,0.0375モル)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(34.0g,0.165モル)及びジメチルアミノピリジン(4.6g,0.0375モル)を加え、反応混合物を加熱
還流し、且つこの温度で24時間撹拌した。反応混合物を室温に冷まし、沈殿した残留物を濾過により取り出した。沈殿した残留物をアセトンで洗浄した。溶媒の蒸発の後、残留物を酢酸エチル(300mL)中に溶解し、蒸留水(250mL)と塩酸の水溶液(6N)(50mL)の混合物で抽出した。有機層を単離し、MgSO上で乾燥し、濾過し、蒸発させて、83gの黄色の油を与えた。
【0344】
段階3:ヒドロキシル基の転換:
【0345】
【化52】

【0346】
高分子a−ヒドロキシケトン ノリッシュI型光開始剤(7.5g,0.017モル)、2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート(30mL)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(0.0.4g,0.00017モル)を含有する混合物を55℃で30分間撹拌し、透明な溶液を得た。室温に冷ました後、トリフルオ
ロ酢酸(0.1g,0.85モル)を加え、反応混合物を55℃に加熱し、3.5時間撹拌した。反応混合物を、予備処理されたLewatitTM M600 MBで1時間処理した。濾過によりイオン交換樹脂を除去し、Ether−1中のPGの35.5重量%溶液を与えた(FVEEA−20)。
【実施例6】
【0347】
この実施例は、最終的な調製物中で用いられるのに好ましいモノマー中で本発明に従う開始剤を製造する可能性を例示する。
合成:
【0348】
【化53】

【0349】
4−ヒドロキシ−ベンゾフェノン(STIN−15)に対して5モル%のトリフルオロ酢酸を、表6に規定される混合物に加えた。完了するまで反応を続けさせた。薄層クロマトグラフィー(Partisil KC18F,Whatmanにより供給された,溶離剤:MeOH/NaCl 0.5M;R=0.39)を用いて転換の程度を決定した。種々のモノマー中で完全な転換を得るための反応時間及び温度を表6に示す。25gの予備処理されたイオン交換樹脂の添加により触媒を除去し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。濾過によりイオン交換樹脂を除去した。
【0350】
【表6】

【0351】
表6から、特定の用途のために必要なら、広範囲のモノマー混合物中で本発明に従う開始剤を製造することができることが明らかになる。しかしながら、やはりヒドロキシル基を含有するモノマーが選ばれ、且つそれが大量に加えられると、これは重合可能光開始剤への比較的低い転換率を生じ得ることは、熟練者にとって明らかであろう。そのような場合、ヒドロキシル基を含有するモノマーは、好ましくはヒドロキシル基を含有する光開始剤の重合可能光開始剤への完全な転換の後に加えられる。
【実施例7】
【0352】
この実施例は、単独の開始剤として用いられる場合の、本発明に従う重合可能ノリッシュI型光開始剤の光反応性を例示する。
【0353】
放射線硬化性組成物の調製
表7に従って、比較用放射線硬化性組成物COMP−1〜COMP−3ならびに本発明の放射線硬化性組成物INV−1〜INV−4を調製した。重量%(wt%)は、放射線硬化性組成物の合計重量に基づいた。フタル酸ジブチルを、抽出可能な残留物の分析を可能にするための内部参照標準として放射線硬化性組成物に加えた。先行実施例中で調製された予備−調製物を、放射線硬化性組成物中で直接用いた。比較用開始剤は、純粋な化合物として用いられた。
【0354】
【表7】

【0355】
評価及び結果
本発明の放射線硬化性組成物INV−1〜INV−4及び比較用放射線硬化性組成物COMP−1〜COMP−3の硬化度を評価した。バーコーター及び10μmのワイアバー(wired bar)を用い、本発明の放射線硬化性組成物INV−1〜INV−4及び比較用放射線硬化性組成物COMP−1〜COMP−3をPET100基質上にコーティングした。Fusion VPS/I600ランプ(D−バルブ)が備えられたFusion DRSE−120コンベアを用いてコーティングを硬化させ、コンベアはコンベアベルト上のUV−ランプの下に20m/分の速度で試料を輸送した。ランプは全出力で用いられた。窒素不活性化を用いて試料を硬化させた。コーティングされた試料をコンベアベルト上に置く前に、コーティングされた試料を金属板上に載せ、板の上に非UV−吸収性石英ガラス窓を有する1cmの高さの金属枠を置いて、コーティングされた試料を内側に有する密封された室が形成されるようにした。次いで室内に純粋な窒素ガスを30秒間導入することにより、室内に捕獲された空気を窒素ガスで置き換えた。硬化度を決定し
た。
【0356】
結果を表8にまとめる。
【0357】
【表8】

【0358】
表8から、本発明に従う光開始剤が、技術の現状におけるノリッシュI型開始剤に匹敵する完全に硬化したコーティングを生ずることが明らかになる。
【実施例8】
【0359】
この実施例は、技術の現状における重合可能開始剤及び共開始剤と組み合わせて用いられる場合の、本発明に従うノリッシュI型開始剤の光反応性を例示する。
【0360】
放射線硬化性組成物の調製
表9に従って、比較用放射線硬化性組成物COMP−4ならびに本発明の放射線硬化性組成物INV−5〜INV−11を調製した。重量%(wt%)は、放射線硬化性組成物の合計重量に基づいた。フタル酸ジブチルを、抽出可能な残留物の分析を可能にするための内部参照標準として放射線硬化性組成物に加えた。先行実施例中で調製された予備−調製物を、放射線硬化性組成物中で直接用いた。
【0361】
【表9】

【0362】
評価及び結果
フリーラジカル硬化性液COMP−4及びINV−5〜INV−11を、バーコーター及び10mmのワイアバーを用い、PET100基質上にコーティングした。Fusion VPS/I600ランプ(D−バルブ)が備えられたFusion DRSE−120コンベアを用いて各コーティングされた試料を硬化させ、コンベアはコンベアベルト上のUV−ランプの下に20m/分の速度で試料を輸送した。硬化速度及び粘度を決定した。
【0363】
結果を表10にまとめる。
【0364】
【表10】

【0365】
表10から、本発明に従う重合可能なノリッシュI型光開始剤が、技術の現状における開始系に匹敵する感度の高い放射線硬化性組成物を生ずることが明らかになる。
【実施例9】
【0366】
この実施例は、重合可能なノリッシュI型開始剤及び重合可能な共開始剤と組み合わされた、本発明に従う重合可能なノリッシュII型開始剤の光反応性を例示する。
【0367】
放射線硬化性組成物の調製
表11及び表12に従って、比較用放射線硬化性組成物COMP−5ならびに本発明の放射線硬化性組成物INV−12〜INV−22を調製した。重量%(wt%)は、放射線硬化性組成物の合計重量に基づいた。フタル酸ジブチルを、抽出可能な残留物の分析を可能にするための内部参照標準として放射線硬化性組成物に加えた。先行実施例中で調製された予備−調製物を、放射線硬化性組成物中で直接用いた。
【0368】
【表11】

【0369】
【表12】

【0370】
評価及び結果
フリーラジカル硬化性組成物COMP−5及びINV−12〜INV−22を、バーコーター及び10mmのワイアバーを用い、PET100基質上にコーティングした。Fusion VPS/I600ランプ(D−バルブ)が備えられたFusion DRSE−120コンベアを用いて各コーティングされた試料を硬化させ、コンベアはコンベアベルト上のUV−ランプの下に20m/分の速度で試料を輸送した。硬化速度を決定した。
【0371】
結果を表13にまとめる。
【0372】
【表13】

【0373】
表13から、本発明に従うすべてのノリッシュII型開始剤が、周囲雰囲気下で、実用的な範囲内に完全に硬化したコーティングを生ずることが明らかになる。同じ分光吸収に関し、硬化速度は技術の現状における重合可能開始剤を用いる場合に匹敵する。
【実施例10】
【0374】
この実施例は、本発明に従う光開始剤の使用による抽出可能な残留物の減少を例示する。
【0375】
評価及び結果
バーコーター及び10μmのワイアバーを用い、本発明の放射線硬化性組成物INV−1、INV−5、INV−11及びINV−17ならびに比較用放射線硬化性組成物COMP−4をPET100基質上にコーティングした。Fusion VPS/I600ランプ(D−バルブ)が備えられたFusion DRSE−120コンベアを用いて、各コーティングされた試料を硬化させ、コンベアはコンベアベルト上のUV−ランプの下に20m/分の速度で試料を輸送した。ランプは全出力で用いられた。窒素不活性化条件下で試料を硬化させた。コーティングされた試料をコンベアベルト上に置く前に、コーティングされた試料を金属板上に載せ、板の上に非UV−吸収性石英ガラス窓を有する1cmの高さの金属枠を置いて、コーティングされた試料を内側に有する密封された室が形成されるようにした。次いで室内に純粋な窒素ガスを30秒間導入することにより、室内に捕獲された空気を窒素ガスで置き換えた。すべての硬化した試料は、完全に硬化したことが見出された。
【0376】
COMP−4ならびにINV−1、INV−5、INV−11及びINV−17の7.068cmの2つの試料を50mLのビーカー中に入れ、超音波を用いて30分間、4.5mLのアセトニトリルで抽出した。抽出物を5mLのメスフラスコに移した。試料を少量のアセトニトリルで2回濯ぎ、濯ぎ溶媒を5mLのメスフラスコに、体積が5mLに調整されるまで移した。溶液を十分に混合し、0.45mmのフィルター上で濾過した。各試料の10mLをHPLC上に注入した。
【0377】
抽出された試料と同じ条件下で溶離される既知の濃度の各比較用及び本発明の開始剤の参照標準試料と比較して、濃度を決定した。
【0378】
各試料に関して、10g/mの合計コーティング重量を仮定した。
【0379】
Alltechにより供給されるAlltime C18 5mmカラム(150x3.2mm)を用いた。40℃の温度で0.5mL/分の流量を用いた。抽出された開始剤の検出のために、254nmにおけるDAD検出器を用いた。
【0380】
HPLC−法は、溶離剤Aとして水及び溶離剤BとしてCHCNを用いる表14に従う同じ溶離剤組成物を、すべての試料に関して用いた。
【0381】
【表14】

【0382】
結果を表15にまとめる。
【0383】
【表15】

【0384】
表15から、本発明に従う開始剤が抽出可能な残留物の量を有意に減少させることが明らかなはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

により示され、且つ
式中、
R1、R2及びR3は、水素、場合により置換されていることができるアルキル基及び場合により置換されていることができるアリール基より成る群から独立して選ばれるか、あるいはR1及びR3は5〜8員環の形成に必要な原子を示し;
p、w、y及びzはすべて整数であり、yは1〜6の値を示し;pはwとzの和を示し;pは1〜6の値を示し;w=1〜(p−z)であり、且つz=0〜(p−w)であり;
Lは、1〜14個の炭素原子を含んでなる場合により置換されていることができる(p+y)−価の連結基を示し;
Aはアクリレート基、メタクリレート基、スチレン基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、マレート基、フマレート基、イタコネート基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アリルエステル基及びビニルエステル基より成る群から選ばれるラジカル重合可能な基を示し;そして
Xは、化学線に暴露されるとフリーラジカル重合反応を開始させることができる少なくとも1個の基を含んでなる光開始部分を示す
重合可能光開始剤。
【請求項2】
R2及びR3が両方とも水素を示す請求項1に従う重合可能光開始剤。
【請求項3】
R1が水素を示す請求項1又は2に従う重合可能光開始剤。
【請求項4】
光開始部分Xが、場合により置換されていることができるベンゾフェノン基、場合により置換されていることができるチオキサントン基、置換もしくは非置換アントラキノン基、カンファーキノン基、α−ヒドロキシアルキルフェノン基、α−アミノアルキルフェノン基、アシルホスフィンオキシド基、ビスアシルホスフィンオキシド基、アシルホスフィンスルフィド基、フェニルグリオキサレート基、ベンゾインエーテル基、ベンジルケタール基、α−ジアルコキシアセトフェノン基、カルバゾリル−O−アシル−オキシム基、α−ハロアリールケトン基及びα−ハロアリールスルホン基より成る群から選ばれる少なくとも1つの基を含む請求項1〜3のいずれか1つに従う重合可能光開始剤。
【請求項5】
2価の連結基Lが、場合により置換されていることができるアルキレン基及び脂肪族エーテル含有基より成る群から選ばれる請求項1〜4のいずれか1つに従う重合可能光開始剤。
【請求項6】
式(Ib):
【化2】

[式中、
INIは、場合により置換されていることができるベンゾフェノン基、場合により置換されていることができるチオキサントン基、置換もしくは非置換アントラキノン基、カンファーキノン基、α−ヒドロキシアルキルフェノン基、α−アミノアルキルフェノン基、アシルホスフィンオキシド基、ビスアシルホスフィンオキシド基、アシルホスフィンスルフィド基、フェニルグリオキサレート基、ベンゾインエーテル基、ベンジルケタール基、α−ジアルコキシアセトフェノン基、カルバゾリル−O−アシル−オキシム基、α−ハロアリールケトン基及びα−ハロアリールスルホン基より成る群から選ばれる基を示し;
及びLは独立して、1〜14個の炭素原子を含んでなる置換もしくは非置換2価連結基を示し;
Aは、アクリレート、メタクリレート、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレート、フマレート、イタコネート、ビニルエーテル、アリルエーテル、アリルエステル及びビニルエステルより成る群から選ばれるラジカル重合可能な官能基を示し;
nは0又は1を示し;そして
R4は、場合により置換されていることができるアルキル基を示す]
を有する請求項1に従う重合可能光開始剤。
【請求項7】
R4がメチル基を示す請求項6に従う重合可能光開始剤。
【請求項8】
が置換アルキレン基、非置換アルキレン基及び脂肪族エーテル含有基より成る群から選ばれる請求項6又は7に従う重合可能光開始剤。
【請求項9】
ラジカル重合可能な基Aがアクリレート基である請求項1〜8のいずれか1つに従う重合可能光開始剤。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つにより定義される式(I)又は(Ib)に従う重合可能光開始剤を含んでなる放射線硬化性組成物。
【請求項11】
式(II):
【化3】

[式中、R1、R2、R3、L、A、p及びyは、請求項1〜9のいずれか1つにおいて式(I)に従う重合可能光開始剤に関して定義されたと同じ意味を有する]
に従う少なくとも1種のモノマーを含んでなる請求項10に従う放射線硬化性組成物。
【請求項12】
式(II)に従うモノマーが2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレートである請求項11に従う放射線硬化性組成物。
【請求項13】
放射線硬化性組成物が放射線硬化性インキである請求項11又は12に従う放射線硬化性組成物。
【請求項14】
放射線硬化性組成物が放射線硬化性インキジェット組成物である請求項11〜13のいずれか1つに従う放射線硬化性組成物。
【請求項15】
実質的に有機溶媒を含まない請求項11〜14のいずれか1つに従う放射線硬化性組成物。
【請求項16】
a)請求項11又は15で定義された式(II)に従うモノマーを準備し;
b)少なくとも1個のヒドロキシル基を含んでなる1種もしくはそれより多い光開始剤を準備し;そして
c)触媒を用いて、請求項1〜9のいずれか1つにより定義される式(I)又は(Ib)に従う重合可能光開始剤へのモノマーと光開始剤の間の反応を触媒する
段階を含んでなる重合可能光開始剤の製造方法。
【請求項17】
触媒がトリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ピリジニウムトシレート、架橋ポリ(ビニルピリジン)ヒドロクロリド、ポリ(ビニルピリジニウム)トシレート及びスルホン酸置換イオン交換樹脂より成る群から選ばれる請求項16に従う方法。
【請求項18】
有機溶媒の不在下で反応を行う請求項16〜17のいずれか1つに従う方法。

【公表番号】特表2012−512819(P2012−512819A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541287(P2011−541287)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066155
【国際公開番号】WO2010/069758
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(507253473)アグフア・グラフイクス・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (21)
【Fターム(参考)】