説明

重合触媒

下記の化学式Aを有する遷移金属錯体であり:
【化1】


ここで一価のR基、R基はR,−OR,−NR,及び−NHRであり:一価のR,R,R,R,及びR基及び二価のR基は(1)脂肪族炭化水素、(2)脂環式炭化水素、(3)芳香族炭化水素、(4)アルキル置換芳香族炭化水素、(5)複素環基、及び(6)前記基(1)〜(5)のヘテロ置換誘導体、であり;Mは周期表の第3−11族の金属かあるいはランタニド金属であり;Eはリンあるいは砒素であり;Xは陰イオン基であり、Lは中性ドナー基であり;X基及びL基の数が金属Mの価数及び酸化状態を満足するようnが1あるいは2であり、yおよびzがそれぞれゼロあるいは整数である。nは好適には2であり、その2つの得られたR基は好適には結合する。この錯体は任意的に活性剤とともに使用することによりオレフィンを重合させる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、遷移金属ベースの重合触媒、およびオレフィンの重合及び共重合に前記触媒を用いることに関するものである。
【0002】
1−オレフィン、例えば、エチレンあるいはプロピレンを重合するために所定の遷移金属化合物を使用することは従来技術として十分に確立されている。チーグラーナッタ触媒、例えば、ハロゲン化チタンをトリエチルアルミニウムのような有機金属化合物と反応させて生成される触媒を使用することは、ポリオレフィンを製造するための多くの工業的プロセスの基礎である。過去30年間で、技術的進歩はチーグラーナッタ触媒の発展に導かれ、この非常に高い活性により、非常に低濃度の残留触媒を含有するオレフィンポリマー及びコポリマーが工業的重合プロセスにおいて直接生成可能となった。生成されたポリマーに残留する残留触媒の量は非常に少ないためほとんどの工業的利用においてはこれを分離及び除去する必要がない状態である。このプロセスは気相中、あるいは液化炭化水素希釈剤の溶液中または懸濁液中で、あるいは、プロピレンの場合には塊で、モノマーを重合化することにより実施可能である。
【0003】
汎用ポリエチレンは多様な型あるいは等級で工業的に生成可能である。遷移金属ベースの触媒によるエチレンのホモ重合はいわゆるポリエチレンの「高密度」等級の生成を導く。これらのポリマーは比較的高い剛性を有し且つ固有剛性が必要な物品を製造するのに利用される。高級1−オレフィン(例えばブテン、ヘキセンあるいはオクテン)とエチレンを工業的に共重合することにより、密度あるいは別の重要な物理的特性の異なる広範囲なコポリマーを生成する。遷移金属ベースの触媒を使用した高級1−オレフィンとエチレンの共重合により生成された特に重要なコポリマーは0.91−0.93の範囲の密度を有するコポリマーである。「直鎖状低密度ポリエチレン」として従来一般的に記載されるこれらのコポリマーは多くの面で、いわゆるエチレンの高圧遊離基触媒重合により生成される「低密度」ポリエチレンに類似する。このポリマー及びコポリマーは軟質インフレートフィルムの製造に広範に使用される。
【0004】
ポリプロピレンは更に多様な異なる型及び等級で工業的に生成される。遷移金属ベースの触媒でプロピレンをホモ重合することにより多岐にわたり利用可能な等級の生成物を導く。エチレンとプロピレンのコポリマー、エチレンと高級1−オレフィンのターポリマーは、また有用な材料である。
【0005】
近年では、所定のメタロセン触媒(例えばアルモキサンで活性化されたビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド)の使用は潜在的に高い活性を有する触媒を提供している。別のメタロセン誘導体は良好な活性、分子量、及び立体規則性制御を備えたポリプロピレンを製造するのに潜在的に有用であることが明らかとなった。しかしながら、この型のメタロセン触媒は多くの欠点を有しており、例えば、市販のモノマー、希釈剤及びプロセスガス流と併用した場合の不純物に対する高い感受性、高活性にするために高価なアルモキサンを多量に使用する必要性、適切な担体上に触媒をとりつける困難性、タクチック方法においてプロピレンを重合するのに適切なより複雑な触媒構造物を生成する際の合成困難性が挙げられる。
【0006】
本発明の目的は不飽和モノマーを重合するため、任意的に活性剤を伴って利用可能な新規の遷移金属錯体を提供することである。本発明の更なる目的はモノマー、例えばオレフィンを重合するための触媒システム及び方法を提供することであり、特にエチレンのみあるいはプロピレンのみを重合するため、あるいは高活性を備えた高級1−オレフィンとエチレンと共重合するための触媒システム及び方法を提供することである。
【0007】
本発明の一つの態様として、以下の化学式Aを有する新規な遷移金属錯体を提供し:
【0008】
【化1】

【0009】
ここで、一価のR基、R基は別々にR,−OR,−NR,及び−NHRから選択され:
この一価のR,R,R,R,及びR及び二価のRは(1)脂肪族炭化水素、(2)脂環式炭化水素、(3)芳香族炭化水素、(4)アルキル置換芳香族炭化水素、(5)複素環基、及び(6)前記基(1)〜(5)のヘテロ置換誘導体、から別々に選択され;
Mは周期表の第3−11族の金属かあるいはランタニド金属であり;Eはリンあるいは砒素であり;Xは陰イオン基であり、Lは中性ドナー基であり;X基及びL基の数が金属Mの価数及び酸化状態を満足するようnが1あるいは2であり、yおよびzがそれぞれゼロあるいは整数である。
【0010】
この一価のR,R,R,R,及びR基及び二価のR基は(1)脂肪族炭化水素、(2)脂環式炭化水素、(3)芳香族炭化水素、(4)アルキル置換芳香族炭化水素、(5)複素環基、及び(6)前記基(1)〜(5)のヘテロ置換誘導体として上述のように定義される。これらの定義された基は好適には1−30、より好適には2−20、最適には2−12の炭素原子を含む。適切な一価脂肪族炭化水素基の例として、メチル、エチル、エテニル、ブチル、ヘキシル、イソプロピル、t−ブチル基がある。適切な一価の脂環式炭化水素基の例として、アダマンチル、ノルボルニル、シクロペンチル及びシクロヘキシル基がある。適切な一価の芳香族炭化水素基の例として、フェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントレニル、アントラセニル基がある。適切な一価のアルキル置換芳香族炭化水素基の例として、ベンジル、トリル、メシチル、2,6−ジイソプロピルフェニル及び2,4,6−トリイソプロピル基がある。適切な一価の複素環基の例として、2−ピリジニル、3−ピリジニル、2−チオフェニル、2−フラニル、2−ピロリル、2−キノリニル基がある。二価のR基に関しては、例えば上述の一価の基のいずれかから選択され、ここで前記一価の基上にある水素原子のうちの一つが原子価結合により置換され 二価のR基上の第二結合を形成する。
【0011】
前記R,R,R,R,R基及びR基のヘテロ置換誘導体を形成するのに適切な置換基は、例えば、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、ニトロ、アミノ、シアノ、アルコキシ、メルカプト、ヒドロキシル及びシリル基がある。アルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、フェノキシ(すなわち−OC)、トリルオキシ(すなわち−OC(CH))、キシリルオキシ、メシチルオキシ基がある。アミノ基の例として、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ基がある。メルカプト基の例として、チオメチル、チオフェニル基がある。シリル基の例として、トリメチルシリル及びトリエチルシリル基がある。前記の基(1)−(5)のヘテロ置換誘導体の適切な例として2−クロロエチル、2−ブロモシクロヘキシル、2−ニトロフェニル、4−エトキシフェニル、4−クロロ−2−ピリジニル、4−ジメチルアミノフェニル及び4−メチルアミノフェニル基がある。
【0012】
及びRは、必要であれば、一つの一体型二価の基Rを形成可能であり、ここでRは二価の基−R’−、−O−R’−,−O−R’−O−,−N−(R)R’−,−N(R)−,−N(R)−R’−N(R)−,−Si(R−R’−Si(R−,及び−Si(R−からそれぞれ選択され;且つここで二価の基R’、R’及びR’は二価の(1)脂肪族炭化水素、(2)脂環式炭化水素、(3)芳香族炭化水素、(4)アルキル置換芳香族炭化水素、(5)複素環基、及び(6)前記基(1)〜(5)のヘテロ置換誘導体からそれぞれ選択され、更にRは上述のように定義される。
【0013】
及びRは一体型ユニットRを形成可能であるが、それらは分離基であることが好ましい。好ましくはR及びRは分離した、同一基である。好ましくはR及びRは分離した、同一の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、あるいはアルキル置換芳香族炭化水素基である。
【0014】
n=2である場合、遷移金属M上に2つのリンあるいは砒素含有リガンドが存在する。このような状態のもとで、2つの分離R基(R’、R”)及び2つの分離R基(R’、R”)が存在する。これらの基の対、R’とR”あるいはR’とR”の内の少なくとも一つの基が結合することが好ましい。例えば、R’とR”が結合し、下記の化学式Bに示されるようにRを形成し得る。
【0015】
【化2】

【0016】
この二価のR基は二価のR基に関して上述した二価の基から好適に選択される。
【0017】
ここで、本発明は更に遷移金属錯体を提供し、ここでn=2で且つ以下の、
【0018】
【化3】

【0019】
の2つのユニット上のR基が結合しRを形成することにより化学式Aは以下の化学式Bとなる。
【0020】
【化4】

【0021】
ここで、二価のR基は二価の−R’−,−O−R’−,−O−R’−O−,−N−(R)R’−,−N(R)−,−N(R)−R’−N(R)−,−Si(R−R’−Si(R−及び−Si(R−から選択され;二価のR’,R’、及びR’は(1)脂肪族炭化水素、(2)脂環式炭化水素、(3)芳香族炭化水素、(4)アルキル置換芳香族炭化水素、(5)複素環基、及び(6)前記基(1)〜(5)のヘテロ置換誘導体からそれぞれ選択される。
【0022】
Mは好適には第3〜11族遷移金属であり、より好適には第5〜7族遷移金属である。最適にはMはバナジウムである。Mはまた第3〜6族遷移金属にも成り得る。
【0023】
二価のR基として使用される適切な例として、−CH−,−CHCH−,−CHCHCH−,トランス−1,2−シクロペンタン,トランス−1,2−シクロヘキサン,2,3−ブタン,1,1’−ビフェニル,1,1’−ビナフチル,−N(Me)−,N(Et)−,1,1’−ビフェノール,及び−Si(Me)−である。
【0024】
二価のR基は(1)脂肪族炭化水素、(2)脂環式炭化水素、(3)芳香族炭化水素、(4)アルキル置換芳香族炭化水素、(5)複素環基、及び(6)前記基(1)〜(5)のヘテロ置換誘導体からそれぞれ選択されるものとして上述のように定義される。R基はアルキル置換あるいはヘテロ置換芳香族炭化水素基であることが好ましい。より好適には、R基はアルキル置換あるいはヘテロ置換された二価の1,2−フェニレン基である。この1,2−フェニレン基は好適には化学式Aにおいて酸素原子に結合される環状炭素原子におけるオルトの位置に前記アルキル置換基あるいはヘテロ原子を有する。この1,2−フェニレン基は前記1,2−フェニレン基の残りの位置のうちの一つ以上に任意的に置換される。
【0025】
定義された一価のR,R,R,R,R基及び二価のR’,R’,R’,R,R及びR基のうちのいずれかが複素環である場合、ヘテロ原子として環に存在する一つあるいは複数の原子は、例えば酸素、窒素、硫黄、リン、あるいはケイ素となり得る。
【0026】
Eは好適にはリンである。
【0027】
Mは周期表の第3族〜11族から選択され、より好適には第3族〜第7族から選択される。また、第3族〜6族からも選択可能である。Mは好適にはバナジウムである。
【0028】
陰イオン基Xは、例えば、ハロゲン化物、好適には塩化物あるいは臭化物;あるいは炭化水素基、例えば、メチル、ベンジルあるいはフェニル;カルボン酸塩、例えば、酢酸塩あるいはアセチルアセテート;酸化物;アミド、例えば、ジエチルアミド;アルコキシド、例えば、メトキシド、エトキシドあるいはフェノキシド;アセチルアセトナート;あるいは水酸基がある。あるいは、例えば、X基は非配位、あるいは弱配位陰イオンであり、例えばテトラフルオロホウ酸、フッ化ホウ酸アリールあるいはトリフラートとなり得る。これら陰イオン基Xは同一か異なっており、且つそれぞれモノアニオン、ジアニオン、あるいはトリアニオンである。
【0029】
中性ドナー基Lは例えば、溶媒和分子、例えば、ジエチルエーテルあるいはTHF(テトラヒドロフラン);アミン、例えば、ジエチルアミン、トリメチルアミンあるいはピリジン;ホスフィン、例えば、トリメチルホスフィンあるいはトリフェニルホスフィン;オレフィン;水;共役ジエンあるいは非共役ジエンである。
【0030】
化学式A及びBにおけるyの値はnの値、陰イオン基Xの電荷及び金属Mの酸化状態に依存する。例えば、Mが+4の酸化状態にあるチタンであり、nが2の場合に、Xがモノアニオン(例えば塩化物)であればyは2であり、あるいはXがジアニオン(例えば酸化物)であればyは1であり;Mが+4の酸化状態にあるチタンであり、nが1の場合に、全てのX基がモノアニオン(たとえば塩化物)であればyは3でありあるいは一つのX基のうちの一つがジアニオン(例えば酸化物)でありもう片方はモノアニオンである場合にyは2である。nが2であることが好ましい。
【0031】
特に好ましい錯体化合物は以下の化学式を有する。
【0032】
【化5】

【0033】
本発明において化学式A及び化学式Bを有する錯体化合物はそれ自体に触媒活性を有するかあるいは、活性剤を使用することによって工業的な重合プロセスに使用する際に十分な活性を有する。従って、本発明は更に不飽和モノマーの重合のための触媒システムからなり、この不飽和モノマーは
(a)上述にて定義された化学式Aあるいは化学式Bを有する錯体化合物、および任意的に
(b)活性化合物
とからなる。
【0034】
本発明の触媒システムに使用される活性化合物は有機アルミニウム化合物及び有機ホウ素化合物から適切に選択される。適切な有機アルミニウム化合物はトリアルキル−あるいはトリアリール−アルミニウム化合物、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムおよびアルモキサンを含む。アルモキサンは典型的なオリゴマー化合物として当業界において公知であり、アルキルアルミニウム化合物に対して水の添加を制御することにより生成され、例えばトリメチルアルミニウムがある。このような化合物は直鎖状、環状あるいはその混合物からなる。市販されるアルモキサンは一般的に直鎖状、環状およびかご形化合物の混合物からなる。環状アルモキサンは化学式[R16AlO]sで表され、直鎖状アルモキサンは化学式R17(R18AlO)sで表され、ここでsは2−50の数であり、R16、R17、R18は炭化水素基を表し、好適にはC−Cのアルキル基、例えばメチル、エチルあるいはブチル基である。
【0035】
適切な有機ホウ素化合物の例として、ジメチルフェニルアンモニウムテトラ(フェニル)ボレート、トリチルテトラ(フェニル)ボレート、トリフェニルボロン、ジメチルフェニルアンモニウム テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス[(ビス−3,5−トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム、H(OEt)[(ビス−3,5−トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロンがある。有機アルミニウム化合物及び有機ホウ素化合物の混合物も使用される。
【0036】
本発明の触媒の生成において、使用される有機アルミニウム化合物及び有機ホウ素化合物から選択される活性化合物の量は単純な試験、例えば、少量のモノマーを重合させ生成された触媒の活性を決定するのに使用可能な少量の試験サンプルを生成することにより簡単に決定される。通常使用される量としては化学式AあるいはBの化合物に存在するMの原子1つ当り、アルミニウムあるいはホウ素が0.1−20,000原子、好適には1−2000原子を生成するのに十分な量である。
【0037】
欧州特許第1238989号明細書には、
(b−1)CdCl型あるいはCdI型層状結晶構造を有するイオン結合化合物;
(b−2)粘土、粘土鉱物、あるいはイオン交換層状化合物;
(b−3)ヘテロポリ−化合物;及び
(b−4)ハロゲン化ランタノイド化合物
から選択される活性剤(ルイス酸)を使用することが記載される。
【0038】
本発明の活性触媒に使用される活性剤は所望であれば欧州特許第1238989号明細書に記載されるタイプでありうる。このルイス酸は少なくとも一つの電子対を受け取ることができ、且つ遷移金属錯体と反応することによりイオン対を形成することができる化合物である。このルイス酸は上述の(b−1)CdCl型あるいはCdI型層状結晶構造を有するイオン結合化合物;(b−2)粘土、粘土鉱物、あるいはイオン交換層状化合物;(b−3)ヘテロポリ−化合物;及び(b−4)ハロゲン化ランタノイド化合物を含む。ルイス酸は更にSiO、Al、天然および合成ゼオライトを含みこれらは加熱あるいは同様の処理により形成されるルイス酸ポイントを有するものであり、更にこれらの錯体及び混合物を含む。
【0039】
米国特許第6399535号明細書はオレフィンを重合することができる配位触媒システムが記載され:
予備触媒(I)として、(A)触媒担体―活性剤凝集体(II)と接触させることにより活性化可能な、あるいは(B)有機金属化合物と接触させた上で、触媒担体―活性剤凝集体(II)と接触させることにより活性化可能な中間体に変換可能な、少なくとも一つの非メタロセン、非拘束配置、二座配位子含有遷移金属化合物あるいは三座配位子含有遷移金属化合物であり、この遷移金属は周期表の第3−10族から選択される少なくとも一つであり;
(A)SiO,Al,MgO,AlPO,TiO,ZrOおよびCrから選択される少なくとも一つの無機酸化物と(B)層間の空間と充分なルイス酸性度を有する少なくとも一つのイオン含有層状材料との合成からなる触媒担体―活性剤凝集体(II)と密接に接触する際に、触媒担体―活性剤凝集体内に存在する際、予備触媒が触媒担体―活性剤凝集体と接触する際に予備触媒を活性化させ、前記層状材料は陽イオン成分および陰イオン成分を有し、ここで陽イオン成分は層状材料の空間内に存在し、前記層状材料はエチレンモノマーを重合させるため配位触媒システムの活性を向上させるのに充分な量で凝集体内において無機酸化物成分と密接に合併され、これは1時間当り触媒システムのグラム当りポリエチレンのKgとして表され、同じ予備触媒を使用するが触媒担体−活性剤凝集体において成分Aあるいは成分Bのいずれかがない状態の触媒システムの活性と比較され;予備触媒及び触媒担体―活性剤凝集体が密接に接触する量に十分な量として、予備触媒のミクロモル対触媒担体―活性剤凝集体のグラムの比率がおよそ5:1〜500:1である。層状材料は、例えばスメクタイト粘土である。本発明の触媒システムは、必要であれば米国特許第6399535号明細書に記載される触媒担体―活性剤凝集体を使用することが可能である。
【0040】
活性剤化合物に加えて、触媒活性を促進可能な所定のハロゲン化合物の触媒量を使用することが有利である。この型の促進剤として、錯体の遷移金属がバナジウムである場合に特に有利である。米国特許第5191042号は有機アルミニウム化合物と活性化される所定のバナジウムをベースとする触媒は多様なハロゲン化有機化合物、例えば四塩化炭素、ヘキサクロロエチレン、臭化ベンジル、塩化ベンジル、および2,3−あるいは1,3−ジクロロプロピレンを使用して促進可能である。この方法に使用可能なハロゲン化有機化合物の他の例として、トリクロロ酢酸エチル、クロロホルム(CHCl)及びn−塩化ブチルがある。米国特許第5191042号明細書はまたクーパーの文献(T.Aクーパー、ジャーナル.エーエム.ケミストリーソサイエティー.4158(1973))を参照し、これによると、表1において標準条件下で所定のバナジウム化合物を酸化させるハロゲン化合物の能力に基づく有機ハロゲン化合物活動指数が定義されている。例えば、四塩化炭素は20℃でテトラヒドロフランにおいて反応度1が割り当てられ、且つ別の記載されたハロゲン化有機化合物は四塩化炭素に対しておよそ0.02〜200以上の反応度を有する。ハロゲン化促進剤を使用する必要がある場合には、およそ0.01〜およそ30までの範囲のクーパー指数を有するものを使用することが好適である。このような促進剤の利用、特にバナジウムをベースとする触媒と組み合わせて使用することは従来から公知であり、更にこのような促進剤を使用することが詳細に記載される引例として、米国特許第5191042号明細書及びこの分野における別の引例に参照される。本発明において、促進剤としていずれかのハロゲン化有機化合物を使用することが可能であるが、上述の化合物が好適である。
【0041】
本発明の触媒は、必要であれば、担体上で利用される。適切な担体として、例えば、シリカ、アルミナ、あるいはジルコニア、マグネシア、塩化マグネシウム、あるいはポリマーかプレポリマー、例えばポリエチレン、ポリスチレンあるいはポリ(アミノスチレン)がある。
【0042】
以下に本発明の触媒として、あるいは本発明の触媒システムの遷移金属成分として使用可能な遷移金属錯体の例を示す。
【0043】
【化6】

【0044】
【化7】

【0045】
本発明の触媒あるいは触媒システムは必要であれば、規定される遷移金属化合物のうちの一つ以上から構成される。
【0046】
上記一つ以上の規定される遷移金属化合物に加えて、本発明の触媒あるいは触媒システムは更に一つ以上の別の型の遷移金属化合物あるいは触媒、例えば従来のチーグラーナッタ触媒システムに使用される型の遷移金属化合物、メタロセンベースの触媒、あるいは加熱活性化担持酸化クロム触媒(例えばフィリップス型触媒)を含む。本発明の触媒あるいは触媒システムは1−オレフィンのみを生成する別の触媒と一緒に、重合反応器の内部あるいは外部で使用可能であり、更にこのようにしてエチレンあるいはプロピレンのコポリマー及びこれらの1−オレフィンを生成する。1−オレフィンを生成するのに適切な触媒は、1−ブテンのみ、1−ヘキセンのみ、あるいは1−オレフィンの分布(例えばシュルツ−フローリ分布)を生成する。
【0047】
必要であれば、触媒あるいは触媒システムは担体の存在下でそのまま形成されるか、あるいは担体は同時にあるいは、連続して、一つ以上の触媒成分と予め含浸させるかあるいは予め混合させる。本発明の触媒及び触媒システムは必要であれば、不均一触媒、例えば、ハロゲン化マグネシウム担持チーグラーナッタ触媒、フィリップス型(酸化クロム)担持触媒、あるいは担持メタロセン触媒に担持される。担持触媒の形成は例えば本発明の遷移金属化合物を適当な不活性希釈剤中で、例えば揮発性炭化水素中でアルモキサンと処理し、担体粒子を生成物と懸濁させ揮発性希釈剤を蒸発させる。生成された担持触媒は好適には易流動性粒子形状である。使用される担体の量は非常に広い範囲が可能であり、例えば、遷移金属化合物中に存在する金属1グラム当り、100,000〜1グラムである。
【0048】
本発明は更に1−オレフィン、シクロオレフィン、あるいはジエンの重合あるいは共重合方法であり、重合条件下においてオレフィンモノマーを本発明の重合触媒と接触させる方法からなる。
【0049】
本発明の重合方法を使用するホモポリマーの生成に利用される適切なモノマーは、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン及びスチレンである。好適なモノマーはエチレン及びプロピレンである。
【0050】
本発明の重合方法を使用するコポリマーの生成に利用される適切なモノマーはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1,1−オクテン、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、ブタジエンあるいはヘキサジエンのようなジエン、及びノルボルネンのような環状オレフィンがある。
【0051】
本発明における特に好適な方法は、エチレン及びまたはプロピレンと、1−オレフィン、アクリル酸エステル、ビニルエステル、及びビニル芳香族化合物から選択されるコモノマーとの共重合である。適切なコモノマーの例として、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、及びスチレンがある。
【0052】
好適な重合方法はエチレンのホモ重合、あるいはプロピレンのホモ重合、あるいはエチレンとプロピレン、ブテン、ヘキセン−1及び4−メチルペンテン−1のうちの一つ以上との共重合である。
【0053】
また好適には、エチレン及びまたはプロピレンと1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、及びスチレン、ジエン、環状オレフィン、ノルボルネン及び置換ノルボルネンから選択されるコモノマーとの共重合方法である。
【0054】
重合条件は、例えば、凝集相、溶解相、スラリー相、あるいは気相である。必要であれば、触媒は高圧/高温処理条件下でエチレンを重合化するのに使用され、ここで高分子材料は超臨界エチレン融解物として形成される。好適には、重合は気相流動床あるいはかくはん床条件下で実施される。
【0055】
スラリー相重合条件あるいは気相重合条件は特に高密度レベルのポリエチレンの生成に有利である。これらの方法において重合条件はバッチ式、連続式あるいは半連続式となり得る。スラリー相方法及び気相方法において、触媒は通常固体粒子の形状で重合帯域に供給される。この固体は例えば、化学式A、あるいはB及び活性剤の錯体から形成される非希釈固体触媒システム、あるいは固体錯体のみである。後者の場合、活性剤は重合帯域に、例えば固体錯体とは別にあるいは共に溶液として供給される。好適にはスラリー重合及び気相重合に使用される触媒システムあるいは触媒システムの遷移金属錯体成分は担体に担持される。最適には、触媒システムは担体に担持された後に重合帯域に導入される。適切な担体は、例えば、塩化マグネシウム、シリカ、アルミナ、ジルコニア、タルク、多孔質珪藻土、あるいはマグネシアがある。担体の含浸は従来技術により実施可能であり、適切な希釈剤あるいは溶媒中に触媒成分の溶液あるいは懸濁液を形成し、担体を共にスラリー化することにより実施される。触媒とこうして含浸された担体は次に希釈液から、例えば濾過あるいは蒸発技術により分離される。
【0056】
スラリー相重合方法において、固体粒状触媒、あるいは担持触媒は重合帯域に乾燥粉末としてあるいは重合希釈剤中の懸濁液のいずれかで供給される。好適には粒子は重合希釈剤中の懸濁液として重合帯域に供給される。重合帯域は例えばオートクレーブあるいは類似の反応器、あるいは連続ループ反応器、例えばフィリップス製法によるポリエチレンの製造において公知の型などがある。本発明の重合方法はスラリー条件下で実施される際に、重合は好適には0℃以上の温度で実施され、最適には15℃以上の温度で実施される。重合温度は好適には、ポリマーが重合希釈剤の存在下で軟化あるいは焼結し始める温度以下で維持される。もし温度が後者の温度以上に上昇する場合には、容器の汚染が生じる。これらの規定された温度範囲内に重合を調整するために、生成されたポリマーの平均分子量を制御することが有効である。分子量を制御するための更なる有効な手段として、連鎖移動剤として作用する水素ガスの存在下で重合を実施することである。通常、使用される水素濃度を高くすると、生成されるポリマーの平均分子量が減少する。
【0057】
ポリマーあるいはコポリマーの平均分子量を制御する手段として水素ガスを使用することは、本発明の重合方法において通常適用される。例えば、水素は、気相、スラリー相あるいは溶液相重合条件を利用して生成されたポリマーあるいはコポリマーの平均分子量を減少させるのに利用可能である。所望の平均分子量を得るために使用される水素ガスの量は単純に「試行錯誤」の重合試験により決定可能である。
【0058】
気相重合方法を実施する方法は、従来から公知である。この方法は通常、触媒層、あるいは触媒を含む標的ポリマー層(すなわち、重合方法において生成したい目的物と同一あるいは類似の物理的特性を有するポリマー)を攪拌し、(例えば、かき混ぜる、振動させる、あるいは流動させることによって)、更にそれに対して気相で少なくとも部分的にモノマー流を供給し、この条件下でモノマーの少なくとも一部分が層において触媒と接触して重合される。この層は通常冷却ガス(例えば再循環気体モノマー)、及び/または揮発性液体(例えば揮発性不活性化炭化水素、あるいは濃縮させて液体を形成する気体モノマー)を添加して冷却される。気相方法により生成される、及び気相方法から分離されるポリマーは重合帯域で固体を直接形成し、且つ液体を全くあるいは実質含まない。当業者によく知られているように、気相重合方法における重合帯域内に液体が入り込むとしても、液体の量は重合帯域に存在するポリマーの量に比較して少ない。この方法はポリマーが溶媒中に溶解して形成される「液相」方法及び、ポリマーが液体希釈剤中に懸濁液として形成される「スラリー相」方法と対照的である。
【0059】
気相方法はバッチ、半−バッチ、あるいはいわゆる「連続」条件下で実施可能である。モノマーが重合触媒を含む攪拌された重合帯域に連続して再循環され、補給モノマーが提供され重合モノマーに置換され、更に連続的にあるいは断続的に生成されたポリマーが重合帯域からポリマー生成速度と匹敵する速度で回収され、新鮮な触媒が重合帯域に加えられ重合帯域から回収された触媒を生成されたポリマーに置換されるような条件下で実施することが好ましい。
【0060】
本発明の重合方法において、作業条件は好適には気相流動床あるいは攪拌床重合条件である。
【0061】
気相重合条件下における本発明の触媒を使用する際に、触媒、あるいは触媒を形成するために使用される一つ以上の成分は、例えば、液体形態で、例えば、不活性液体希釈剤中の溶液として、重合反応帯内に導入される。ここで、例えば、遷移金属成分、あるいは活性剤成分、あるいはこれらの成分の両方が液体希釈剤に溶解あるいはスラリー化され、更に、重合帯内に供給される。このような状況下でその成分を含有する液体は、微細液滴として重合帯内に吹き付けられる。この液滴の直径は好適には1−1000ミクロンの範囲内である。欧州特許出願公開第0593083号明細書に記載される開示は本明細書に組み入れられるが、重合触媒を気相重合中に導入する方法が記載される。欧州特許出願公開第0593083号明細書に記載される方法は、必要であれば本発明の重合方法に適切に利用可能である。
【0062】
本発明は遷移金属錯体を形成するのに適切な、以下の化学式Cを有する新規な化合物を提供し、
【0063】
【化8】

【0064】
ここで、R、R、RおよびEは上述した定義と同じであり、更にR20及びR21はRに関して定義された一価の基かあるいは水素である。
【0065】
好適にはリガンドは以下の化学式であらわされる。
【0066】
【化9】

【0067】
本発明の更なる実施態様において触媒活性種を生成する方法を提供することであり、
(a)以下の化学式Cを有するリガンドと、
【0068】
【化10】

【0069】
(b)遷移金属化合物M(L)nと、及び任意に、
(c)活性剤とを一緒に反応させる方法であり、
ここで、R、R、RおよびEは上述した定義と同じであり、更にR20及びR21はRと同様の一価の基かあるいは水素であり、遷移金属Mは周期表第3−11族から選択され、好適にはバナジウムであり、Lはハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基;ヘテロアルキル基、置換ヘテロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、置換へテロシクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換へテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ボリル基、シリル基、アミノ基、アミン基、ヒドリド基、アリル基、ジエン基、セレニウム基、亜ホスフィン基、ホスフィン基、カルボン酸基、チオ基、1,3−ジオネート、シュウ酸塩、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、エーテル、チオエーテル、及びこれらの組み合わせ;及び中性ドナー基、例えばエーテル、アミン、チオエーテル、ホスフィンなどからそれぞれ選択され、任意で2つ以上のL基が環状構造内で共に結合され、且つnが1,2,3,4,5あるいは6であることを特徴とする。
【0070】
上記活性剤は、本明細書全体を通して記載される活性剤のいずれかである。反応は好適には炭化水素溶媒中で実施される。触媒種は本発明の触媒に関して上述した方法でモノマーを重合するのに使用される。
【0071】
本発明は更に下記の実施例を参照して記載される。実施例においては気体/水分−感受性材料におけるすべての操作が標準シュレンクライン技術を使用する従来の真空/不活性雰囲気(窒素)あるいは不活性雰囲気グローブ・ボックス内において実施される。
【0072】
実施例1:触媒合成
実施例1a
1−tブチル−2−(メトキシメトキシ)ベンゼンの合成
下記の反応は効率的なガス排出戸棚(フュームカップボード)で実施した。急速攪拌あるいは冷却した(0℃)ナトリウム懸濁液(5.52g、240mmol)に対して、乾燥THF(80ml)中で窒素雰囲気下において、2−t−ブチルフェノール(38.8ml,200mmol)を徐々に加えた。この懸濁液を室温で3時間攪拌し、更にグリーン溶液が還流冷却器を装着した2口フラスコ内に濾過した。また別に、塩化アセチル(21.98g,280mmol)を窒素雰囲気下、0℃でZnCl(50mg)を含有するジメトキシメタン(22.83g,300mmol)に非常にゆっくりと加えた。この混合物を次に室温で1.5時間攪拌しメトキシクロロメタンを生成させ、これを部分的に脱プロトン化アルコール溶液に対して加えた。この混合物を室温で1時間白い沈殿物が形成されるまで攪拌した。この反応物を次に水(100ml)で急冷し、EtOAc(50ml)で希釈した。この有機層を分離し、1M NaOH(2×75ml)、3M NaCl(1×100ml)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、更に溶媒を真空で一晩除去することにより、黄色の溶液として、粗製1−tブチル−2−(メトキシメトキシ)ベンゼンを得た。この生成物は更にカラムクロマトグラフィー[アルミナ(中性、+3%HO);ヘキサン](33.41g,172mmol,86%収率)で精製した。H NMR(CDCI):δ7.35−6.65(m,4H,Ar−H),5.27(s,2H,OCHO),3.54(s,3H,OCH),1.43(s,9H,C(CH).
【0073】
実施例1b
2−tブチル−6−(ジフェニル亜ホスフィン)フェノール(「化合物1」)の合成
エーテル(50ml)中において1−t−ブチル−2−(メトキシメトキシ)ベンゼン(9.714g,50mmol)のスラリーに対して、n−ブチルリチウム(ヘキサン20ml、50mmol中2.5M)を加え、更にその混合物を12時間攪拌した。クロロジフェニルホスフィン(10.8ml,60mmol)を−78℃で溶液中に滴ごとに加えた。この混合物を次に室温で2時間攪拌した。脱ガスされた2M HCl(50ml)を加えた後に脱気水(150ml)、エーテル(100ml)を加えた。この層は分離されかつ溶媒は有機フラクションから除去した。この粗製黄色油をTHF(50ml)中で溶解しかつ5M HCl(50ml)を添加した。この混合物を50℃で3時間攪拌し且つ加熱した。冷却後、エーテル(30ml)及び水(100ml)を添加し、HClの白色沈殿を得た。この沈殿物を濾過により収集し、THF(75ml)で攪拌しさらにアンモニア水(100ml)を徐々に添加した。この層を分離し有機フラクションを更にアンモニア水(3×50ml)、塩水(75ml)で洗浄し、かつNaSOで乾燥した。この溶液を濾過し更に溶媒を除去して濃厚な油を生成した。これを更に精製されカラムクロマトグラフィー[アルミナ(中性、+3%HO);ヘキサン]により精製し、濃厚油(10.533g,32mmol,63%収率)として(「化合物1」)を生成した。C2223OPのためのMicro Anal. Calcd:C,79.02;H,6.93.Found:C,78.90;H,6.81.H NMR(C):δ7.32−7.22(several m,5H,Ar−H),7.02−6.95(several m,7H,Ar−H)6.72(t,1H,J(HH)=7.6Hz,Ar−H)1.50(s,9H,C(CH)).13C{H}NMR(C):δ158.9(d,J(PC)=20Hz,Ar−C,),136.5,135.6,133.7,133.5,133.0,129.6,129.1,129.0,128.8,121.5,120.1(Ar−C),35.2(C(CH)),29.8(C(CH)).31P{H}NMR(C):δ−32.5(s).MS(m/z):334[M]+
【0074】
実施例1c
1−tブチル−3−(ジフェニル亜ホスフィン)フェノキシドナトリウム.THF(以下「リガンド1のナトリウム誘導体」とする)の合成
THF(50ml)を(化合物1)(4.11g,12.3mmol)及びNaH(1.08g,45mmol)の混合物に添加した。得られたスラリーは60℃、12時間攪拌した。室温まで冷却した後、溶液を濾過し、過剰NaHはTHF(20ml)で洗浄した。このTHF溶液をおよそ15mlになる量まで減少させヘプタン(60ml)を添加し、室温で12時間以上経て白色結晶を形成した。この結晶を濾過し、ペンタン(2×20ml)で洗浄し、真空下で乾燥して、リガンド1のナトリウム誘導体を得た(3.58g、8.35mmol,68%収率)。C2630PNaのためのAnal.Calcd:C,72.88;H,7.06.Found:C,72.96;H,6.97.H NMR(C):δ7.52−7.44(m,5H,PC+C),7.15−7.04(m,6H,PC),6.82−6.76(m,1H,C),6.63−6.57(m,1H,C),3.17−3.12(m,4H,OCHCH),1.64(s,9H,C(CH),1.21−1.13(m,4H,OCHCH).13C{H}NMR(C):δ171.0(d,J(PC)=17Hz,Ar−C),139.1(d,J(PC)=6Hz,Ar−C),136.6(Ar−C),134.0(d,J(PC)=18Hz,Ar−C),130.7(Ar−C),127.4(d,J(PC)=24Hz,Ar−C),122.7(d,J(PC)=17Hz,Ar−C),112.3(Ar−C),67.6(CHCHO),34.8(C(CH)),30.0(C(CH)),25.0(CHCHO).31P{H}NMR(C):δ−17.8(s).
【0075】
実施例2
(リガンド1)MCl(M=Ti,Zr)の合成−基本手順
THF中のリガンド1のナトリウム誘導体の溶液(2当量)をTHF中でMCl(THF)溶液(1当量)に遷移し室温で12時間攪拌した。この溶媒を除去し更に残留物はジクロロメタン(2×20ml)で抽出した。溶媒を除去した後にオレンジ色の沈殿物を得て、これをペンタン(20ml)で洗浄し更に真空下で乾燥し錯体を得た。
【0076】
実施例2a
(リガンド1)TiCl(「錯体1A」)の合成
リガンド1のナトリウム誘導体(0.428g,1mmol)とTiCl(THF)(0.167g,0.5mmol)を反応させることにより、錯体(錯体1A)がオレンジ色固体(0.357g,0.45mmol,91%収率)として得た。H NMR(C):δ8.07−7.98(br t,2H,Ar−H),7.65−7.62(br t,2H,Ar−H),7.30−7.21(m,3H,Ar−H),7.03−6.65(m,19H,Ar−H),1.67(s,9H,C(CH),1.26(s,9H,C(CH).31P{H}NMR(C):δ11.9(s),9.5(s).
【0077】
実施例2b
(リガンド1)ZrCl(「錯体1B」)の合成
リガンド1のナトリウム誘導体(2.142g,5.0mmol)とZrCl(THF)(0.943g,2.5mmol)の反応により(錯体1B)(1.816g,2.2mmol,88%収率)を得た。H NMR(C):δ7.32−7.25(br+m,8H,Ar−H),7.00−6.66(m,16H,Ar−H),1.46(s,18H,C(CH).31P{H}NMR(C):δ−1.6(s)
【0078】
実施例3
錯体1A及び1Bを使用するエチレン重合−基本手順
重合は5μMの錯体(予備触媒)を(5mlのトルエン溶液中で)添加して、2バールのエチレン圧力下、25℃において100mlトルエン含有500当量のMAOを生成した。重合反応を30分連続させ10%HCl/MeOHを添加して終了させた。不溶性ポリマーは300mlMeOHを添加して分離し、濾過しMeOHで洗浄した。
【0079】
実施例3a
錯体1Aのエチレン重合。上述の手順によりポリエチレンを2.0g回収し、これは390gmmol−1−1bar−1の活性に相当する。
【0080】
実施例3b
錯体1Bのエチレン重合。上述の手順によりポリエチレンを7.3g回収し、これは1460gmmol−1−1bar−1の活性に相当する。
【0081】
実施例4
錯体1Bのプロピレン重合。
【0082】
重合反応は錯体1B(10mlトルエン中2.5μM)を100mlヘプタン含有MAO(1000当量)及びTIBAL(25当量)とを2バールのプロピレン圧下、0℃において添加することにより開始した。この重合反応を30分連続させ2M HCl(50ml)を添加して終了した。この層を分離しこの有機フラクションを更に2M HCl(2×30ml)、水(30ml)、乾燥(MgSO)で洗浄し、濾過し、更に溶媒を除去し、12時間真空乾燥させたポリプロピレンを回収した。このポリマーの収率は5.3gであり、2125gmmol−1−1bar−1の活性を有した。
【0083】
実施例の注釈:
Ac=酢酸塩
MAO=メチルアルミノキサン
TIBAL=トリイソブチルアルミニウム
【0084】
実施例5
反応スキーム
【0085】
【化11】

【0086】
1−t−ブチル−2−メトキシメトキシベンゼン(錯体「5.1」)の合成:
注釈#1参照
下記の反応を効率的なガス排出戸棚(フュームカップボード)で実施した。有効コンデンサを装着したフラスコ中に1.5リットルの脱ガスHPLCグレードthf(テトラヒドロフラン)に溶解させた2−t−ブチルフェノール(322g,2.1モル)の溶液に対して、大きな塊のナトリウム(52g、過剰)を添加し、更にこの反応混合物は3時間反応させ次に一晩還流させて、反応を終了した。MOMCl溶液は有効両面コンデンサ、均圧滴下漏斗、及び水槽の窒素注入口を装着させた3リットルの三つ口フラスコ内において、室温でAcCl(205g、2.6モル)をジメトキシメタン(229g、3.0モル)に対してZnCl(2g)の触媒量にて徐々に添加した。注意すべきMOMClは発癌物質として公知であり、その反応は発熱性である!!AcClの添加後にこの反応混合物を30分間攪拌し、さらに滴下漏斗を隔壁に取り替えた。ナトリウムフェノラートthf溶液をカニューレにより添加し、反応混合物を1時間攪拌して反応を完了した。反応混合物は500mlsの2M NaOH溶液を添加して非活性化させ更に60分攪拌させて、過剰MOMClを分解した。エーテル(500mls)を添加し更にその層を分離させた。この有機層を蒸留水3×500mlsで洗浄し更にMgSOで乾燥させ、濾過させ、エーテルをRota−Vap.で除去した。未反応フェノールは溶離溶媒としてヘキサンを使用する塩基性アルミナカラムに通過させて除去した。回収材料(化合物「5.1」)を減圧下でフラッシュ蒸留により精製し、67−68℃0.4mmHgであった。収率は287g(74%)であった。H−NMR(250MHz,CDCI)δ1.420(s,9H,C(CH),3.519(s,3H,OMe),5.253(s,2H,OCHO),6.92−7.33(m,4H,Ar−H).
【0087】
(3−t−ブチル−2−メトキシメトキシフェニル)フェニルホスフィンオキシドの合成 (「化合物5.6」):
反応はN化で完了した。
【0088】
乾燥トルエン200mls中のPhPCl溶液(14.0g,78.2mmole)に対して、iPrNH(15.82g,21.9mls,156mmole)を加え、そのスラリーを一晩攪拌した。この沈降iPrNH.HClを濾過により除去しトルエン中の「化合物5.4」が残留した。「化合物5.2」のスラリーはBuLi(31.3mls,2.5M,78.2mmole)をエーテル100mls中の「化合物5.1」溶液(15.2g,78.2mmole)に添加して一晩、室温で攪拌することにより形成した。この化合物5.2のスラリーを、−78℃に冷却された「化合物5.4」のトルエン溶液に添加し、この溶液を室温まで暖め、1時間攪拌しその場所で「化合物5.5」を生成した。この反応は蒸留HO100mls及び2M HCl100mlsを添加し、4時間攪拌して非活性化させた。この有機層を分離し蒸留水2×100mlsで洗浄し更にNaSOで乾燥させた。この溶媒はRoto−Vap.で除去した。この粗生成物は溶離溶媒としてのエーテル(R0.29エーテル)でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。ペール黄色油の収率は19.3g(77.5%)であった。31P{H}−NMR(101MHz,CDCI)δ17.91ppm.
【0089】
1,2−エタンジルビス{(3−t−ブチル−2−メトキシメトキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド}(「化合物5.7」)の生成
以下に記載される注釈#2参照:
反応はN下で完了した。
THF50mls、−20℃(氷/アセトン)中の「化合物5.6」(10.0g、31.42mmole)溶液に対して、BuLi(12.25ml,2.5M,30.63mmole)を徐々に添加し、更にこのオレンジ溶液を室温まで暖め、1時間反応させた後に−20℃まで冷却した。エチレングリコールジ−p−トシレート(5.56g,15.0mmole)を15分以上ロットに添加し次にそのスラリーを室温まで暖め、1時間攪拌した後2時間還流した。この反応混合物を室温まで冷却し更に蒸留HOを添加して非活性化させた。この生成物をDCM(ジクロロメタン)で抽出し、更に混合DCM抽出物をHO3×50mlsで洗浄し更にNaSOで乾燥した。このDCMを真空下で除去し、残留物はヘキサンで一晩粉砕させた。この粗生成物は濾過により回収した。FW662.75であり、収率は45%であった。31P{H}−NMR(101MHz,CDCI)35.41ppm及び35.69ppmであった。構造決定に適切な結晶をヘキサンで層状化した「化合物5.7」のベンゼン溶液から分離しジアステレオマー対のRS/SRの存在を示した。31P{H}−NMR(101MHz,CDCI)δ35.69ppm.
【0090】
1,2−エタンジルビス{(3−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド}(「化合物5.8」)の生成:
「化合物5.7」のサンプル(6g,9.05mmole)をHOAc50mlsで溶解し及びHO5mlsを添加した。反応混合物を加熱し2時間還流し、冷却させた生成物をEtOAcで抽出し、この抽出物を50mlsHO希釈NHし、HOで希釈した。このEtOAc層はNaSOで乾燥し、濾過し、その溶媒を真空下で除去した。この残留物を室温下、MeOHで抽出し不溶物質を残し、更に第2のフラクションはMeOH溶液を−78℃まで冷却することにより回収した。上記から分離した「化合物5.7」(RS/SR)における別の脱保護によりMeOH不溶生成物を生成した。FW574.64、収率(MeOH sol.RR/SS)1.5g(28.8%)、31P{H}−NMR(101MHz,CDCI)δ46.70ppm。収率(MeOH insol.RS/SR)2.2g(42.3%)、31P{H}−NMR(101MHz,CDCI)δ46.79ppm.
【0091】
1,2−エタンジルビス{(3−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィン}の生成(「化合物5.9」): 反応はN下で完了した。
thf5ml中の「化合物5.8」(RR/SS)溶液(0.72g、1.25mmole)に対してAlH[濃縮HSO(0.613g,0.33ml,6.25mmole)をthf50mls中のLiAlHのスラリー(0.474g,12.5mmole)に徐々に添加し、一晩スラリー化し、沈降し、濾過することにより形成された]を添加し、更にこの反応混合物を加熱して2時間還流させ、冷却し、HOAc、次にHOを徐々に添加することにより不活性化させた。この生成物はエーテル内に抽出して回収した。このエーテル層はHO3×50mlsで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、更に真空下で乾燥させた。ラセミ化が見られた。31P{H}−NMR(101MHz,CDCI)−δ43.26とδ−43.33ppm. FW 542.64.この生成物はMeOHで抽出して分離させ、MeOH insol.RS/SR,収率0.28g(41%)31P{H}−NMR(101MHz,CDCI)δ−43.33ppm、及びMeOH sol.RR/SS、収率0.21g(30.9%)31P{H}−NMR(101MHz,CDCI)δ−43.25ppm.を得た。これらのアサイメントは「化合物5.8」(RS/SR)を部分的に還元させて、主要生成物を31P{H}−NMRδ−43.33で提供する一方で「化合物5.8」(RR/SS)の部分的な還元は主要生成物を31P{H}−NMRδ−43.25で提供した。
【0092】
注釈
#1 ヒッバート方法、エフ.スパイアーズ、ケー.ジェー.、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティー−パーキン・トランサクションズ2,1989,377−380
#2 ワイフ,アール.エル.のモディファイド・メソッド;バヌート,エー.ビー.;バンドーン,ジェイ.エー.バンリューウェン,ピー.,合成,1983,71−73.
【0093】
実施例6
「[OPPO]VO(OPr)」すなわち実施例5で生成された「化合物5.9」リガンドを使用するα−オレフィンの重合
エチレン重合。フィッシャー−ポーター反応器は窒素雰囲気下において乾燥へプタン(200ml)で充填した。この反応器を室温で2バールのエチレン圧力下で設置し、DMAC(ヘキセン中1M)を添加した。ここで使用されたトリクロロ酢酸エチルを更に添加した。この触媒はVO(OPr)のトルエン溶液を「化合物5.9」リガンドのトルエン溶液(実施例5で生成された)に(1:1モル比で)添加することにより生成し、DMAC(30当量)を添加して2分攪拌して活性化させた。この反応混合物を5分間攪拌した後、触媒を注入した。この重合反応は2M HClとMeOHを添加することにより終了し更にポリマーを濾過により回収し、MeOHで洗浄し更に60℃で真空下で乾燥した。DMACはジメチルアルミニウムクロリドである。
【0094】
試験1 触媒添加量 =5.0μmol
DMAC =0.85mmol
トリクロロ酢酸エチル =0.0mmol
実行時間 =1時間
発熱量 =2.5℃
ポリマー収率 =1.93g
活性 =193g/mmol.h.bar
【0095】
試験2 触媒添加量 =5.0μmol
DMAC =0.85mmol
トリクロロ酢酸エチル =1.0mmol
実行時間 =15分
発熱量 =43℃
ポリマー収率 =10.23g
活性 =4092g/mmol.h.bar
【0096】
試験3 触媒添加量 =0.5μmol
DMAC =0.99mmol
トリクロロ酢酸エチル =1.0mmol
実行時間 =1時間
発熱量 =3.2℃
ポリマー収率 =0.72g
活性 =720g/mmol.h.bar

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式Aを有する遷移金属錯体であり:
【化1】

ここで一価のR基、R基は別々に−R,−OR,−NR,及び−NHRから選択され:
一価のR,R,R,R,及びR基及び二価のR基は(1)脂肪族炭化水素、(2)脂環式炭化水素、(3)芳香族炭化水素、(4)アルキル置換芳香族炭化水素、(5)複素環基、及び(6)前記基(1)〜(5)のヘテロ置換誘導体、から別々に選択され;
Mは周期表の第3−11族の金属かあるいはランタニド金属であり;Eはリンあるいは砒素であり;Xは陰イオン基であり、Lは中性ドナー基であり;X基及びL基の数が金属Mの価数及び酸化状態を満足するようnが1あるいは2であり、yおよびzがそれぞれゼロあるいは整数であることを特徴とする遷移金属錯体。
【請求項2】
n=2であり、以下の2つのユニットにおけるR基は、
【化2】

化学式Aが以下の化学式Bとなるように結合してR基を形成し、
【化3】

更に、この二価のR基は二価の基−R’−、−O−R’−,−O−R’−O−、−N−(R)R’−、−N(R)−、−N(R)−R’−N(R)−、−Si(R−R’−Si(R−、及び−Si(R−から選択され;二価の基R’、R’及びR’は二価の(1)脂肪族炭化水素、(2)脂環式炭化水素、(3)芳香族炭化水素、(4)アルキル置換芳香族炭化水素、(5)複素環基、及び(6)前記基(1)〜(5)のヘテロ置換誘導体からそれぞれ選択されることを特徴とする請求項1記載の遷移金属錯体。
【請求項3】
Mは第3−7族の遷移金属である請求項1または2記載の遷移金属錯体。
【請求項4】
Mは第3−6族の遷移金属である請求項3記載の遷移金属錯体。
【請求項5】
Mはチタン、バナジウムあるいはクロムである請求項1乃至4のいずれかに記載の遷移金属錯体。
【請求項6】
Mはバナジウムである請求項2記載の遷移金属錯体。
【請求項7】
Eはリンである請求項1乃至6のいずれかに記載の遷移金属錯体。
【請求項8】
陰イオン基Xはハロゲン化物、炭化水素基、カルボン酸塩、酸化物、アミド、アルコキシド;アセチルアセトナート;水酸基、及びテトラフルオロホウ酸塩、フッ化ホウ酸アリールあるいはトリフラートから選択される非配位、あるいは弱配位陰イオンから選択されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の遷移金属錯体。
【請求項9】
陰イオン基Xはモノアニオン、ジアニオン、あるいはトリアニオンである請求項1乃至8のいずれかに記載の遷移金属錯体。
【請求項10】
中性ドナー基Lは溶媒和分子、アミン、ホスフィン、オレフィン、水、共役ジエンあるいは非共役ジエンから選択される請求項1乃至9のいずれかに記載の遷移金属錯体。
【請求項11】
以下から選択される化学式を有する請求項1乃至10のいずれかに記載の遷移金属錯体。
【化4】

【請求項12】
(1)請求項1乃至11のいずれかに記載の化学式Aを有する錯体化合物と、及び任意で
(2)活性化合物とからなる不飽和モノマーを重合するための触媒システム。
【請求項13】
化学式Aの化合物は、請求項2に開示の化学式Bの化合物である請求項12記載の触媒システム。
【請求項14】
活性化合物は有機アルミニウム化合物及び有機ホウ素化合物から選択される請求項12または13に記載の触媒システム。
【請求項15】
活性化合物はトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、アルモキサン、ジメチルフェニルアンモニウムテトラ(フェニル)ボレート、トリチルテトラ(フェニル)ボレート、トリフェニルボロン、ジメチルフェニルアンモニウム テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス[(ビス−3,5−トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム、H(OEt)[(ビス−3,5−トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロンから選択される請求項14記載の触媒システム。
【請求項16】
任意の活性剤は、
(1)CdCl型あるいはCdI型層状結晶構造を有するイオン結合化合物;
(2)粘土、粘土鉱物、あるいはイオン交換層状化合物;
(3)ヘテロポリ−化合物;及び
(4)ハロゲン化ランタノイド化合物
から選択されるルイス酸により提供される請求項12又は13記載の重合触媒システム。
【請求項17】
ハロゲン化有機化合物からなる促進剤が存在する請求項12乃至16のいずれかに記載の重合触媒システム。
【請求項18】
促進剤は四塩化炭素、ヘキサクロロエチレン、臭化ベンジル、塩化ベンジル、トリクロロ酢酸エチルおよび2,3−あるいは1,3−ジクロロプロピレン、クロロホルム(CHCl)及びn−塩化ブチルから選択される請求項17記載の重合触媒システム。
【請求項19】
触媒はシリカ、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、塩化マグネシウム、あるいはポリマーあるいはプレポリマーから選択される担体上に存在する請求項12乃至18のいずれかに記載の重合触媒システム。
【請求項20】
規定された触媒に加えて、1−オレフィンを重合するための1つ以上の別の触媒が存在する請求項12乃至19のいずれかに記載の重合触媒。
【請求項21】
規定された触媒に加えて、チーグラーナッタ触媒システム、メタロセンベースの触媒、あるいは加熱活性化担持酸化クロム触媒から選択される1つ以上の別の遷移金属触媒が存在する請求項12乃至20のいずれかに記載の重合触媒。
【請求項22】
1−オレフィン、シクロオレフィン、あるいはジエンの重合あるいは共重合方法であり、重合条件下においてオレフィンモノマーを請求項12乃至21のいずれかに記載の重合触媒システムと接触させる重合あるいは共重合方法。
【請求項23】
前記方法は1−オレフィンをホモ重合するための方法であり、且つモノマーはエチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン及びスチレンから選択される請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記方法は1−オレフィンを共重合するための方法であり、且つモノマーはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、1−オクテン、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、ブタジエン、ヘキサジエン、及びノルボルネンから選択される請求項22の方法。
【請求項25】
エチレン及びまたはプロピレンと、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、及びスチレン、ジエン、環状オレフィン、ノルボルネン及び置換ノルボルネンから選択されるコモノマーとの共重合からなる請求項22の方法。
【請求項26】
気相、スラリー相、あるいは溶解相重合条件下で実施される請求項22乃至25のいずれか一つに記載の方法。
【請求項27】
水素ガスの存在下で前記方法を実施することにより生成されたポリマーの平均分子量を修正する求項22乃至26のいずれか一つに記載の方法。
【請求項28】
遷移金属錯体を形成するのに適切な、以下の化学式Cを有し、
【化5】

ここで、R、R、RおよびEは請求項1あるいは2に開示されるものであり、更にR20及びR21はRで開示される一価の基かあるいは水素である化合物。
【請求項29】
以下の化学式を有する化合物。
【化6】

【請求項30】
(a)以下の化学式Cを有するリガンドと、
【化7】

(b)遷移金属成分M(L)nと、及び任意に、
(c)活性剤とを一緒に反応させることからなる触媒活性種の生成方法であり、
ここで、R、R、RおよびEは上述した定義と同じであり、更にR20及びR21はRのために定義した一価の基かあるいは水素であり、遷移金属Mは周期表第3−11族から選択され、好適にはバナジウムであり、Lはハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、アルキル基、置換アリル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基;ヘテロアルキル基、置換ヘテロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、置換へテロシクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換へテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ボリル基、シリル基、アミノ基、アミン基、ヒドリド基、アリル基、ジエン基、セレニウム基、亜ホスフィン基、ホスフィン基、カルボン酸基、チオ基、1,3−ジオネート、シュウ酸塩、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、エーテル、チオエーテル、及びこれらの組み合わせ;及び中性ドナー基、例えばエーテル、アミン、チオエーテル、ホスフィンなどからそれぞれ選択され、任意で2つ以上のL基が環状構造内で共に結合され、且つnが1,2,3,4,5あるいは6であることを特徴とする方法。
【請求項31】
反応は炭化水素溶媒中で実施される触媒活性種の生成方法。
【請求項32】
重合条件下においてオレフィンモノマーを請求項30または31に記載の触媒活性種と接触させることからなる1−オレフィン、シクロオレフィン、あるいはジエンの重合及び共重合方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)下記の化学式Aを有する遷移金属錯体であり:
【化1】

ここで一価のR基、R基は別々に−R,−OR,−NR,及び−NHRから選択され:
一価のR,R,R,R,及びR基及び二価のR基は(1)脂肪族炭化水素、(2)脂環式炭化水素、(3)芳香族炭化水素、(4)アルキル置換芳香族炭化水素、(5)複素環基、及び(6)前記基(1)〜(5)のヘテロ置換誘導体、から別々に選択され;
Mは周期表の第3−11族の金属かあるいはランタニド金属であり;Eはリンあるいは砒素であり;Xは陰イオン基であり、Lは中性ドナー基であり;X基及びL基の数が金属Mの価数及び酸化状態を満足するようyおよびzがそれぞれゼロあるいは整数である遷移金属錯体と、
2)下記を条件とする、活性化合物であり、
(A)Mはバナジウムであるとき、n=1または2であり、さらに
(B)Mはバナジウムでないとき、n=2であり、以下2つのユニットにおけるR基は、
【化2】

化学式Aが以下の化学式Bとなるように結合してR基を形成し、
【化3】

更に、この二価のR基は二価の基−R’−、−O−R’−、−O−R’−O−、−N−(R)R’−、−N(R)−、−N(R)−R’−N(R)−、−Si(R−R’−Si(R−、及び−Si(R−から選択され;二価の基R’、R’及びR’は二価の(1)脂肪族炭化水素、(2)脂環式炭化水素、(3)芳香族炭化水素、(4)アルキル置換芳香族炭化水素、(5)複素環基、及び(6)前記基(1)〜(5)のヘテロ置換誘導体からそれぞれ選択される活性化合物とからなる重合触媒。
【請求項2】
Mは第3−7族の遷移金属である請求項1記載の重合触媒。
【請求項3】
Mは第3−6族の遷移金属である請求項2記載の重合触媒。
【請求項4】
Mはチタン、バナジウムあるいはクロムである請求項1乃至3のいずれかに記載の重合触媒。
【請求項5】
Mはバナジウムである請求項1記載の重合触媒。
【請求項6】
Eはリンである請求項1乃至5のいずれかに記載の重合触媒。
【請求項7】
陰イオン基Xはハロゲン化物、炭化水素基、カルボン酸塩、酸化物、アミド、アルコキシド;アセチルアセトナート、水酸基、及びテトラフルオロホウ酸塩、フッ化ホウ酸アリールあるいはトリフラートから選択される非配位、あるいは弱配位陰イオンから選択される請求項1乃至6のいずれかに記載の重合触媒。
【請求項8】
陰イオン基Xはモノアニオン、ジアニオン、あるいはトリアニオンである請求項1乃至7のいずれかに記載の重合触媒。
【請求項9】
中性ドナー基Lは溶媒和分子、アミン、ホスフィン、オレフィン、水、共役ジエンあるいは非共役ジエンから選択される請求項1乃至8のいずれかに記載の重合触媒。
【請求項10】
以下から選択される化学式を有する請求項1乃至9のいずれかに記載の重合触媒化合物。
【化4】

【請求項11】
遷移金属錯体は、化学式Bの化合物である請求項10記載の重合触媒。
【請求項12】
活性化合物は有機アルミニウム化合物及び有機ホウ素化合物から選択される請求項1乃至11のいずれかに記載の重合触媒。
【請求項13】
活性化合物はトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、アルモキサン、ジメチルフェニルアンモニウムテトラ(フェニル)ボレート、トリチルテトラ(フェニル)ボレート、トリフェニルボロン、ジメチルフェニルアンモニウム テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス[(ビス−3,5−トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム、H(OEt)[(ビス−3,5−トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びトリス(ペンタフルオロフェニル)ボロンから選択される請求項12記載の重合触媒。
【請求項14】
任意の活性剤は、
(1)CdCl型あるいはCdI型層状結晶構造を有するイオン結合化合物;
(2)粘土、粘土鉱物、あるいはイオン交換層化化合物;
(3)ヘテロポリ−化合物;及び
(4)ハロゲン化ランタノイド化合物
から選択されるルイス酸により生成される請求項1乃至13のいずれかに記載の重合触媒。
【請求項15】
ハロゲン化有機化合物からなる促進剤が存在する請求項1乃至14のいずれかに記載の重合触媒。
【請求項16】
促進剤は四塩化炭素、ヘキサクロロエチレン、臭化ベンジル、塩化ベンジル、トリクロロ酢酸エチルおよび2,3−あるいは1,3−ジクロロプロピレン、クロロホルム(CHCl)及びn−塩化ブチルから選択される請求項15記載の重合触媒システム。
【請求項17】
触媒はシリカ、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、塩化マグネシウム、あるいはポリマーあるいはプレポリマーから選択される担体上に存在する請求項1乃至16のいずれかに記載の重合触媒。
【請求項18】
規定された触媒に加えて、1−オレフィンを重合するための1つ以上の別の触媒が存在する請求項1乃至17のいずれかに記載の重合触媒。
【請求項19】
1−オレフィンを重合するための1つ以上の別の触媒は、チーグラーナッタ触媒システム、メタロセンベースの触媒、あるいは加熱活性化担持酸化クロム触媒から選択される請求項18記載の重合触媒。
【請求項20】
1−オレフィン、シクロオレフィン、あるいはジエンの重合あるいは共重合方法であり、重合条件下においてオレフィンモノマーを請求項1乃至19のいずれかに記載の重合触媒と接触させる重合あるいは共重合方法。
【請求項21】
前記方法はホモ重合するための方法であり、且つモノマーはエチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン及びスチレンから選択される請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記方法は1−オレフィンを共重合するための方法であり、且つモノマーはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、1−オクテン、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、ブタジエン、ヘキサジエン、及びノルボルネンから選択される請求項20記載の方法。
【請求項23】
エチレン及びまたはプロピレンと、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、及びスチレン、ジエン、環状オレフィン、ノルボルネン及び置換ノルボルネンから選択されるコモノマーとの共重合からなる請求項20記載の方法。
【請求項24】
気相、スラリー相、あるいは溶解相重合条件下で実施される請求項20乃至23のいずれか一つに記載の方法。
【請求項25】
水素ガスの存在下で前記方法を実施することにより生成されたポリマーの平均分子量を修正する請求項20乃至24のいずれか一つに記載の方法。
【請求項26】
以下の化学式を有する化合物であって。
【化5】

Rは第3ブチルである化合物。
【請求項27】
1)下記の化学式Aを有する遷移金属錯体であり:
【化6】

ここで一価のR基、R基は別々に−R,−OR,−NR,及び−NHRから選択され:
一価のR,R,R,R,及びR基及び二価のR基は(1)脂肪族炭化水素、(2)脂環式炭化水素、(3)芳香族炭化水素、(4)アルキル置換芳香族炭化水素、(5)複素環基、及び(6)前記基(1)〜(5)のヘテロ置換誘導体、から別々に選択され;
Mは周期表の第3−7族の金属かあるいはランタニド金属であり;Eはリンあるいは砒素であり;Xは陰イオン基であり、Lは中性ドナー基であり;X基及びL基の数が金属Mの価数及び酸化状態を満足するようyおよびzがそれぞれゼロあるいは整数である遷移金属錯体であり、
下記を条件とし、
(A)Mはバナジウムであるとき、n=1または2であり、さらに
(B)Mはバナジウムでないとき、n=2であり、以下の2つのユニットにおけるR基は、
【化7】

化学式Aが以下の化学式Bとなるように結合してR基を形成し、
【化8】

更に、この二価のR基は二価の基−R’−、−O−R’−、−O−R’−O−、−N−(R)R’−、−N(R)−、−N(R)−R’−N(R)−、−Si(R−R’−Si(R−、及び−Si(R−から選択され;二価の基R’、R’及びR’は二価の(1)脂肪族炭化水素、(2)脂環式炭化水素、(3)芳香族炭化水素、(4)アルキル置換芳香族炭化水素、(5)複素環基、及び(6)前記基(1)〜(5)のヘテロ置換誘導体からそれぞれ選択される遷移金属錯体。
【請求項28】
Mは第3−6族の遷移金属である請求項27記載の錯体。
【請求項29】
Mはチタン、バナジウムあるいはクロムである請求項27記載の錯体。
【請求項30】
Mはバナジウムである請求項27記載の錯体。
【請求項31】
Eはリンである請求項27乃至30のいずれかに記載の錯体。
【請求項32】
陰イオン基Xはハロゲン化物、炭化水素基、カルボン酸塩、酸化物、アミド、アルコキシド;アセチルアセトナート;水酸基、及びテトラフルオロホウ酸、フッ化ホウ酸アリールあるいはトリフラートから選択される非配位、あるいは弱配位陰イオンから選択される請求項27乃至31のいずれかに記載の錯体。
【請求項33】
陰イオン基Xはモノアニオン、ジアニオン、あるいはトリアニオンである請求項27乃至32のいずれかに記載の錯体。
【請求項34】
以下から選択される化学式を有する錯体。
【化9】


【公表番号】特表2006−520833(P2006−520833A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505975(P2006−505975)
【出願日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001141
【国際公開番号】WO2004/083221
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(505229003)イノビーン ヨーロッパ リミテッド (20)
【Fターム(参考)】