説明

重要負荷の自立運転制御システム

【課題】重要負荷に電力供給を行う商用系統の給電ラインが停電しても、蓄電池及び太陽電池により重要負荷に継続して電力供給を行う自立運転を可能とする。
【解決手段】一般負荷2が接続される商用系統1の給電ラインに発電機5と電力スイッチPSWを介して重要負荷4とを接続し、電力スイッチPSWと重要負荷4との接続ラインに交直変換器6を介して蓄電池7を接続するとともにパワーコンディショナー8を介して太陽光電池9を接続して、電力スイッチPSWの入力側の電圧検出(12)を行って電圧が所定値以下か否かを判定することにより、電圧が所定値に達していることを条件に電力スイッチPSWを投入して蓄電池7の制御モードを電流制御に切り換え、電圧が所定値以下に低下したことを条件に電力スイッチPSWを開放して蓄電池7の制御モードを電圧制御に切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重要負荷に電力供給を行う商用系統の給電ラインが停電したときに、蓄電池及び太陽光電池により前記重要負荷に継続して電力供給を可能にする重要負荷の自立運転制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CO2 削減を目的として太陽光発電や風力発電に代表される自然エネルギーの活用技術への取り組みが活発化している。太陽光発電を有効に活用する方法としては、通常時は商用系統と連系して電力供給を行い、商用系統停電等の非常時にBCP(Business Continuity Plan :事業継続計画)用の電源として利用することが考えられる。太陽光発電は天候によって発電出力が大きく変動するため、停電時のバックアップ電源として利用するためにはベース電力を供給する分散型電源と組み合わせて電力供給を行う必要がある。ベース電力の供給には、一定規模以上の建物では法的に設置が義務づけられている発電機(以下、「非発」ともいう) を利用することが効率的である。これにより、非常時に非発はベース電力の供給を行い、太陽光発電は非発の燃料消費を抑制するための補助的電源として活用することが可能となる。
【0003】
従来のシステムとしては、例えば太陽光電池の直流を交流に変換して電力ラインを介して出力し、電力系統と連系して負荷に交流電力を供給し、太陽光電池と蓄電池を併設することにより停電時に太陽光電池の出力変動を補償して負荷に交流電力を供給する太陽光発電用パワーコンデショナー(例えば、特許文献1参照)や、発電機電源と太陽光電池を備え、商用系統の停電時に発電機電源に切り換えて発電機電源と太陽光電池から負荷に電力を供給する発電機連系機能付系統連系形システム(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開2002−354677号公報
【特許文献2】特開2004−104851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の特許文献1で提案されている太陽光発電用パワーコンデショナーでは、日照の関係で太陽光電池の出力が少ない場合、自立負荷には実質的に蓄電池の蓄電容量しか電力が供給できない。また、特許文献2で提案されている発電機連系機能付系統連系形システムでは、停電直後の発電機電源が起動するまでの10秒から40秒程度の時間帯に電力供給が停止し、その間、太陽光電池だけでは安定した電力が供給できない。そのため、電力品質が悪化し、重要負荷にサーバなどのような高品質な電力が必要な機器が含まれる場合には、個別にUPS(Uninterruptible Power Supply :無停電電源装置)等の設備を設置することが必要になる。また、太陽光電池は、電力品質が悪化すると、単独運転検出機能が動作してトリップしてしまうことがある。そのため、発電機電源の電力品質が悪化し或いは発電機電源が燃料枯渇により停止すると、太陽光電池があってもその単独運転検出機能が動作してトリップしてしまい、太陽光電池の発電出力が有効に活用できないという問題も生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであって、簡単な制御、構成により商用系統の停電等の異常状態が長時間継続しても、重要負荷の自立運転を可能とし、高品質な電力を継続して供給できるようにするものである。
【0006】
そのために本発明に係る重要負荷の自立運転制御システムは、一般負荷が接続される商用系統の給電ラインに発電機と電力スイッチを介して重要負荷とを接続し、前記電力スイッチと重要負荷との接続ラインに交直変換器を介して蓄電池を接続するとともにパワーコンディショナーを介して太陽光電池を接続して、前記電力スイッチの入力側の電圧検出を行って前記電圧が所定値以下か否かを判定することにより、前記電圧が前記所定値に達していることを条件に前記電力スイッチを投入して前記蓄電池の制御モードを電流制御に切り換え、前記電圧が前記所定値以下に低下したことを条件に前記電力スイッチを開放して前記蓄電池の制御モードを電圧制御に切り換えることを特徴とする。
【0007】
さらに、前記給電ラインと前記電力スイッチとの間に遮断器を接続し、前記遮断器と前記電力スイッチとの接続ラインに防災・保安負荷及び前記発電機を接続したことを特徴とし、前記給電ラインの停電検出を行い、前記給電ラインの停電を検出したことを条件に前記遮断器を開放して前記発電機を起動することを特徴とする。
【0008】
また、重要負荷に電力供給を行う商用系統の給電ラインが停電したときに、蓄電池及び太陽光電池により前記重要負荷に継続して電力供給を可能にする重要負荷の自立運転制御システムであって、前記給電ラインに遮断器を介して前記蓄電池及び太陽光電池並びに前記重要負荷に接続される電力スイッチと、前記電力スイッチの入力側に接続される発電機と、前記給電ラインに接続され停電を検出して前記遮断器の投入/開放及び前記発電機の起動/停止を制御する停電検出制御手段と、前記電力スイッチの入力側に接続され電圧を検出して前記電力スイッチの投入/開放及び前記蓄電池の制御モードの切り換えを制御する電圧検出制御手段とを備え、前記給電ラインの停電時に前記停電検出制御手段により前記遮断器を開放して前記発電機を起動し、前記電力スイッチの入力側の電圧低下時に前記電圧検出制御手段により前記電力スイッチを開放して前記蓄電池の制御モードを自立運転のための電圧制御に切り換えるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発電機と蓄電池と太陽光電池を組み合わせ、電力スイッチの入力側の電圧検出により電力スイッチの投入、開放を制御して蓄電池と太陽光電池による重要負荷の自立運転に連系運転からの切り換えを行うことができるので、簡単な制御、構成によりサーバー等の重要負荷に対して、高品質な電力供給を実現できる。しかも、停電直後の発電機が起動するまでの10秒から40秒程度の時間帯も高品質な電力供給が継続されるため、UPS等の設備が不要となる。また、発電機の起動中も高品質な電力供給が継続できる。さらに、太陽光電池の単独運転検出機能の動作によりトリップすることを防止し、発電機の燃料が枯渇した後も太陽光電池の出力を利用しながら高品質な電力供給を継続でき、太陽光電池の出力を最大限に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る重要負荷の自立運転制御システムの実施の形態を説明する図である。
【図2】停電検出制御の処理の流れを説明する図である。
【図3】重要負荷の自立運転の切り換え制御の処理の流れを説明する図である。
【図4】発電機の燃料監視制御の処理の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る重要負荷の自立運転制御システムの実施の形態を説明する図であり、1は商用系統、2は一般負荷、3は防災・保安負荷、4は重要負荷、5は発電機、6はインバータ、7は蓄電池、8はパワーコンディショナー、9は太陽光電池、10は制御部、11は停電検出制御部、12は電圧検出制御部、CB1、CB2は遮断器、PSWは電力スイッチを示す。
【0012】
図1において、一般負荷2は、商用系統1の給電ラインに接続され、給電ラインが停電その他の異常状態に陥った時には給電が遮断される。防災・保安負荷3は、例えば防災負荷や保安負荷など重要度の高い負荷であって、遮断器CB1を介して給電ラインに接続される。この防災・保安負荷3の接続ラインには、さらに遮断器CB2を介して発電機5が接続されるとともに、電力スイッチPSWを介して重要負荷4が接続され、給電ラインが停電したときには発電機5から電力供給される。重要負荷4は、例えばサーバなど、防災・保安負荷3よりさらに重要度の高い負荷である。この重要負荷4の接続ラインには、給電ラインが停電しても、発電機5が停止しても自立運転を可能にするため、インバータINV6を介して蓄電池7が接続されるとともに、パワーコンディショナーPCS8を介して太陽光電池9が接続される。
【0013】
発電機5は、重油やその他の燃料を動力源として商用系統1の給電ラインが異常状態に陥った時(停電時)に起動され、異常発生中は継続して運転されるものであり、商用系統1に代わって防災・保安負荷3及び重要負荷4に電力供給を継続する。しかし、商用系統1の給電ラインが長時間にわたり異常状態が継続して、発電機5が長時間運転を継続すると、燃料枯渇(燃料切れ)になり、運転停止に至る。
【0014】
蓄電池7は、繰り返し充放電が可能なコンデンサや二次電池などであり、インバータ6を介して重要負荷4の接続ラインに接続して、商用系統1や太陽光電池9、発電機5により適宜充電され、一般負荷2や防災・保安負荷3、重要負荷4に放電する。インバータ6は、交流と直流との間を双方向に電力変換する双方向型の電力変換装置であり、商用系統1や太陽光電池9、発電機5から蓄電池7を充電するときの動作モードでは交流を直流に変換し、重要負荷4に蓄電池7から放電するときの動作モードでは直流を交流に変換する。
【0015】
太陽光電池9は、パワーコンディショナー8を介して重要負荷4の接続ラインに接続して、一般負荷2や防災・保安負荷3、重要負荷4に独立して発電出力を供給するものである。パワーコンディショナー8は、重要負荷4の接続ラインの所定の周波数や電圧に適合していない太陽光電池9の直流出力を所定の交流電力に変換し、周波数や電圧を給電ラインの電力に適合させる。パワーコンディショナー8の出力部には、例えば電力を最大限に供給できるように電流制御方式のインバータを備えている。
【0016】
遮断器CB1は、一般負荷2が接続される商用系統1の給電ラインが給電状態にある通常の負荷運転時に投入され、商用系統1の給電ラインが停電状態になると開放(遮断)される。遮断器CB2は、遮断器CB1が投入され商用系統1の給電ラインが給電状態にあると開放され、商用系統1の給電ラインが停電状態になると投入される。この遮断器CB2が投入されると、発電機5が起動されて発電出力が防災・保安負荷3や重要負荷4に給電され、発電機5が停止すると遮断器CB2も開放される。電力スイッチPSWは、入力側の電圧が低下すると開放(遮断)され、入力側が電圧確立されると投入される。電力スイッチPSWには、例えばIGBTなどの半導体スイッチが用いられるが遮断器でもよい。
【0017】
停電検出制御部11は、商用系統1の給電ラインの停電の検出を行い、遮断器CB1、CB2の投入/開放、発電機5の起動/停止の制御を行うものである。商用系統1の給電ラインが停電すると、停電検出制御部11により、遮断器CB1を開放するとともに、遮断器CB2を投入して発電機5を起動する。商用系統1の給電ラインの停電が復旧すると、停電検出制御部11により、遮断器CB1を投入するとともに、遮断器CB2を開放して発電機5を停止する。
【0018】
電圧検出制御部12は、電力スイッチPSWの入力側である、防災・保安負荷3の接続ラインの電圧の検出を行い、電力スイッチPSWの投入/開放、蓄電池7の制御モードの切り換えの制御を行うものである。防災・保安負荷3の接続ラインの電圧が低下して所定値以下になると、電圧検出制御部12により、電力スイッチPSWを開放するとともに、蓄電池7の制御モードを連系運転時の電流制御から自立運転時の電圧制御に切り換える。防災・保安負荷3の接続ラインの電圧が確立して所定値に達すると、電圧検出制御部12により、電力スイッチPSWの左右(入力側と出力側)の系統を同期投入して、蓄電池7の制御モードを自立運転時の電圧制御から連系運転時の電流制御に切り換える。
【0019】
以上のように本実施形態では、重要負荷4に蓄電池7と太陽光電池9とを接続して、これらを電力スイッチPSWを介して商用系統1の給電ラインや発電機5に接続し、この電力スイッチPSWの投入/開放に伴い、蓄電池7の制御モードを自立運転時の電圧制御と連系運転時の電流制御との切り換えを行う。ここで、電力スイッチPSWの制御、蓄電池7の制御モードの切り換えは、電力スイッチPSWの入力側の電圧検出に基づいて電圧検出制御部12が行うのに対し、これとは関係なく、他方では、商用系統1の給電ラインの停電の検出に基づいて遮断器CB1、CB2の投入/開放、発電機5の起動/停止を行っている。
【0020】
つまり、停電検出制御部11と電圧検出制御部12とは全く独立した検出、制御を行っている。このことにより、停電に伴う制御、連系運転と自立運転との切り換え制御をそれぞれが独立的に簡便に行うことができる。しかも、電圧検出制御部12によりその入力側の電圧の判定による簡単な制御アルゴリズムで、結果的には、商用系統1の給電ラインの停電だけでなく、発電機5の起動遅れや燃料切れによる停止などにも対応した制御を行うことができる。さらに、蓄電池7と太陽光電池9とを組み合わせて使用するので、太陽光電池9が単独運転検出機能の動作によりトリップすることもなく、太陽光電池9の出力を有効に活用することができる。
【0021】
図1(B)に示す制御部10は、全体を監視制御するものであり、図1(A)に示す停電検出制御部11、電圧検出制御部12を含むものとしてこれらと別の実施形態を示したものである。制御部10は、停電検出信号11′、電力スイッチPSWの入力側である、防災・保安負荷3の接続ラインの電圧検出信号12′、遮断器CB1、CB2の開閉状態信号cb1′、cb2′、電力スイッチPSWの開閉状態信号psw′、発電機5の運転状態信号5′、インバータ6の運転状態信号6′、蓄電池7の運転状態信号7′、パワーコンディショナー8の運転状態信号8′、太陽光電池9の運転状態信号9′をそれぞれ入力して監視する。そして、これらの入力結果に基づき、遮断器CB1、CB2、電力スイッチPSWの投入/開放や、発電機5の起動/停止、インバータ6の交直変換、蓄電池7の充放電、パワーコンディショナー8の交流変換を制御する。
【0022】
本実施形態の重要負荷の自立運転制御システムでは、上記のような構成により平常運転時に遮断器CB1、電力スイッチPSWを投入して、商用系統1の給電ラインから太陽光電池9の出力と合わせて一般負荷2、重要負荷4、防災・保安負荷3に給電すると共に、蓄電池7にも給電して所定の蓄電残存容量になるまで充電する。そして、商用系統1の給電ラインが停電すると、遮断器CB1及び電力スイッチPSWを開放して、太陽光電池9と蓄電池7との自立運転により重要負荷4にのみ電力供給を継続する。同時に遮断器CB2を投入し発電機5を起動し、発電機5の電圧が確立すると、電力スイッチPSWを投入して、発電機5から太陽光電池9の出力と合わせて重要負荷4、防災・保安負荷3に給電すると共に、蓄電池7にも給電して所定の蓄電残存容量になるまで適宜充電するように構成している。
【0023】
また、商用系統1の給電ラインが長時間にわたり停電状態にあって、発電機5が長時間
運転を継続し、燃料枯渇(燃料切れ)になり発電機5が停止或いはその出力が低下すると、電圧低下の検出に基づき電力スイッチPSWを開放して、蓄電池7と太陽光電池9との自立運転により重要負荷4にのみ電力供給を継続する。したがって、重要負荷4は、商用系統1の給電ラインの停電状態が長時間にわたり継続し、発電機5の燃料が枯渇しても、さらに引き続き蓄電池7と太陽光電池9から電力給電を継続することができる。また、蓄電池7と太陽光電池9とを併設することにより、太陽光電池9が単独運転検出機能が動作してトリップしてしまうのを回避することができ、太陽光電池9の発電出力を十分に活用することができる。
【0024】
蓄電池7は、このように商用系統1の給電ラインが異常状態に陥り、さらにそれが長時間にわたることにより発電機5の燃料が枯渇しても、重要負荷4への給電を確保することを第1に使用される。そのため、上記のように所定の蓄電残存容量を保持するように充電されるが、平常運転時には、負荷の平準化運転を行うようにしてもよい。すなわち、一般負荷2や重要負荷4、防災・保安負荷3の増大に伴い、商用系統1の給電ラインから給電量が増大し上限となる所定の給電量を越える場合には、蓄電池7から放電して負荷の平準化を行う。そして、蓄電池7は、太陽光電池9が発電した余剰電力により充電されるとともに、各負荷への給電量が所定の水準まで低下しているときに商用系統1の給電ラインから充電される。このような連系運転によりピークカット運転や電力変動補償運転等の各種制御を行うと、契約電力を削減することができる。
【0025】
太陽光電池9を備えることにより、その発電出力が負荷の電力供給と蓄電池7の充電に活用され、蓄電池7は、所定の蓄電残存容量になるまで太陽光電池9の発電出力、商用系統1の給電ラインから供給される電力、さらに発電機5の発電出力により充電される。したがって、商用系統1の給電ラインの異常時も、蓄電池7は、所定の蓄電残存容量になるまで太陽光電池9の発電出力、発電機5の発電出力により充電される。なお、太陽光電池9に代えて風力発電機や他の自然エネルギー発電装置を組み合わせた場合にも同様である。
【0026】
さらに、本発明に係る重要負荷の自立運転制御システムの実施の形態の制御を処理の流れにより説明する。図2は停電検出制御の処理の流れを説明する図、図3は重要負荷の自立運転の切り換え制御の処理の流れを説明する図、図4は発電機の燃料監視制御の処理の流れを説明する図である。
【0027】
停電検出制御部11により商用系統1の給電ラインの停電を検出して実行される停電検出制御の処理は、例えば図2に示すようにまず、商用系統1の給電ラインが停電の状態にあるか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11の判定処理により停電と判定された場合(YESの場合)には、遮断器CB1が閉の状態にあるか否かを判定し(ステップS12)、ステップS11の判定処理により停電ではないと判定された場合(NOの場合)には、遮断器CB1が開の状態にあるか否かを判定する(ステップS16)。
【0028】
商用系統1の給電ラインが直前まで停電ではなかった場合、遮断器CB1が閉の状態にあるが、逆に以前からの停電であってその停電の状態が継続している場合には、停電が発生した時点で既に、遮断器CB1が開放されていることになる。したがって、ステップS12の判定処理では、この時点で停電になったのか、以前からの停電の状態が継続しているのかを判定している。
【0029】
それに対して、ステップS16の判定処理では、商用系統1の給電ラインが停電と判定されたときとは逆に、この時点で停電が復旧したのか、以前から停電にはなっていなかったのかを判定している。すなわち、直前まで停電であってこの時点で停電が復旧した場合には、遮断器CB1が開の状態にあるが、以前から停電にはなっていない場合、遮断器C
B1は投入された状態にあるので、この時点でも遮断器CB1は閉の状態になっていることになる。
【0030】
次に、ステップS12の判定処理により遮断器CB1が閉の状態にない(開の状態)と判定された場合(NOの場合)には、遮断器CB1を開の状態のままにしてステップS11の処理に戻る。遮断器CB1が閉の状態にあると判定された場合(YESの場合)には、遮断器CB1を開放して給電ラインを遮断する(ステップS13)。しかる後、例えば遮断器CB1の補助接点の状態から遮断器CB1が開放されたか否かを判定し(ステップS14)、遮断器CB1が開放されると、遮断器CB2を投入して発電機5を起動する(ステップS15)。しかる後、ステップS11の処理に戻り、同様の処理を繰り返し実行する。
【0031】
また、ステップS16の判定処理により遮断器CB1が開の状態でないと判定された場合(NOの場合)には、遮断器CB1を閉の状態のままにしてステップS11の処理に戻る。遮断器CB1が開の状態にあると判定された場合(YESの場合)には、遮断器CB2を開放して発電機5を停止する(ステップS17)。さらに、例えば遮断器CB2の補助接点の状態から遮断器CB2が開放されたか否かを判定し(ステップS18)、遮断器CB2が開放されると、遮断器CB1を投入する(ステップS19)。しかる後、ステップS11の処理に戻り、同様の処理を繰り返し実行する。
【0032】
電圧検出制御部12により電力スイッチPSWの入力側である、防災・保安負荷3の接続ラインの電圧を検出して実行される重要負荷の自立運転の切り換え制御の処理は、例えば図3に示すようにまず、検出された電圧が基準値以上か否かを判定する(ステップS21)。ステップS21の判定処理により、検出された電圧が基準値以上であると判定された場合(YESの場合)には、電力スイッチPSWがオフの状態にあるか否かを判定し(ステップS22)、ステップS21の判定処理により、検出された電圧が基準値以上ではないと判定された場合(NOの場合)には、電力スイッチPSWがオンの状態にあるか否かを判定する(ステップS24)。
【0033】
電力スイッチPSWがオフの状態にあるときは、蓄電池7及び太陽光電池9により重要負荷の自立運転をしているときであり、電力スイッチPSWがオンの状態にあるときは、商用系統1の給電ラインや発電機5の出力に基づく連系運転をしているときである。ここで、重要負荷の自立運転のときには蓄電池7の制御モードが電圧制御に、連系運転のときは蓄電池7の制御モードが電流制御に切り換えられる。
【0034】
したがって、ステップS22の判定処理により電力スイッチPSWがオフの状態にないと判定された場合(NOの場合)には、そのまま連系運転を継続してステップS21の処理に戻る。ステップS22の判定処理により電力スイッチPSWがオフの状態にあると判定された場合(YESの場合)には、電力スイッチPSWを投入して蓄電池7の制御モードを電流制御に切り換えることにより連系運転に切り換える(ステップS23)。しかる後、ステップS21の処理に戻り、同様の処理を繰り返し実行する。
【0035】
また、ステップS24の判定処理により電力スイッチPSWがオンの状態にないと判定された場合(NOの場合)には、電力スイッチPSWをオフの状態にしたままで重要負荷の自立運転を継続してステップS21の処理に戻る。ステップS24の判定処理により電力スイッチPSWがオンの状態にあると判定された場合(YESの場合)には、電力スイッチPSWを開放して蓄電池7の制御モードを電圧制御に切り換えることにより重要負荷の自立運転に切り換える(ステップS25)。しかる後、ステップS21の処理に戻り、同様の処理を繰り返し実行する。
【0036】
また、商用系統1の給電ラインの停電が長時間わたり継続して、発電機5が長時間にわたり運転されると、燃料切れが生じる。この場合には、発電機5が運転不能になるので、例えば図4に示すような発電機の燃料監視制御の処理が行われる。この制御処理では、燃料枯渇か否かを判定し(ステップS31)、燃料枯渇と判定された場合には、遮断器CB2を開放して(ステップS32)、発電機5を停止する(ステップS33)。
【0037】
燃料枯渇か否かは、例えば燃料タンクのレベルにより残量で判定される。また、非常停止など発電機5の異常事態による運転停止の場合を含めてもよい。さらに、燃料切れにより、発電機5の出力が徐々に低下するのを検出して判定してもよい。本実施形態では、燃料枯渇により発電機5が直ちに停止することなく、その出力が徐々に低下しても、電圧検出制御部12により電圧の判定に基づき電力スイッチPSWの開放に伴う自立運転が行われる。したがって、遮断器CB2は、最終的に発電機5の停止により開放し、それまでの間は、防災・保安負荷3に給電を継続させるようにすることも可能である。
【0038】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、商用系統1の給電ラインの停電検出を行ったが、この停電検出は、給電ラインの異常状態の検出、給電量の検出、その他の給電状態の検出を行うものであってもよい。給電ラインの異常検出では、例えば電圧の異常(UVR:不足電圧リレーやOVR:過電圧リレー)、周波数の異常(UFRやOFR)が検出される。また、重要負荷4の接続ラインにインバータINV6を介して蓄電池7を接続し、パワーコンディショナーPCS8を介して太陽光電池9を接続する構成で示したが、インバータINV6とパワーコンディショナーPCS8を共通化した構成としてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…商用系統、2…一般負荷、3…防災・保安負荷、4…重要負荷、5…発電機、6…インバータ、7…蓄電池、8…パワーコンディショナー、9…太陽光電池、10…制御部、11…停電検出制御部、12…電圧検出制御部、CB1、CB2…遮断器、PSW…電力スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般負荷が接続される商用系統の給電ラインに発電機と電力スイッチを介して重要負荷とを接続し、前記電力スイッチと重要負荷との接続ラインに交直変換器を介して蓄電池を接続するとともにパワーコンディショナーを介して太陽光電池を接続して、前記電力スイッチの入力側の電圧検出を行って前記電圧が所定値以下か否かを判定することにより、前記電圧が前記所定値に達していることを条件に前記電力スイッチを投入して前記蓄電池の制御モードを電流制御に切り換え、前記電圧が前記所定値以下に低下したことを条件に前記電力スイッチを開放して前記蓄電池の制御モードを電圧制御に切り換えることを特徴とする重要負荷の自立運転制御システム。
【請求項2】
前記給電ラインと前記電力スイッチとの間に遮断器を接続し、前記遮断器と前記電力スイッチとの接続ラインに防災・保安負荷及び前記発電機を接続したことを特徴とする請求項1に記載の重要負荷の自立運転制御システム。
【請求項3】
前記給電ラインの停電検出を行い、前記給電ラインの停電を検出したことを条件に前記遮断器を開放して前記発電機を起動することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の重要負荷の自立運転制御システム。
【請求項4】
重要負荷に電力供給を行う商用系統の給電ラインが停電したときに、蓄電池及び太陽光電池により前記重要負荷に継続して電力供給を可能にする重要負荷の自立運転制御システムであって、
前記給電ラインに遮断器を介して前記蓄電池及び太陽光電池並びに前記重要負荷に接続される電力スイッチと、
前記電力スイッチの入力側に接続される発電機と、
前記給電ラインに接続され停電を検出して前記遮断器の投入/開放及び前記発電機の起動/停止を制御する停電検出制御手段と、
前記電力スイッチの入力側に接続され電圧を検出して前記電力スイッチの投入/開放及び前記蓄電池の制御モードの切り換えを制御する電圧検出制御手段と
を備え、前記給電ラインの停電時に前記停電検出制御手段により前記遮断器を開放して前記発電機を起動し、前記電力スイッチの入力側の電圧低下時に前記電圧検出制御手段により前記電力スイッチを開放して前記蓄電池の制御モードを自立運転のための電圧制御に切り換えるようにしたことを特徴とする重要負荷の自立運転制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−10412(P2011−10412A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149661(P2009−149661)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】