説明

金属吸着材および金属の分離方法

【課題】希少金属や有害金属などの金属を効率よく吸着して回収する方法を提供すること。
【解決手段】ポリアリルアミンを二硫化炭素で架橋させて得られるチオウレア骨格を有するハイドロゲルを用いて希少金属や有害金属などの金属を吸着して回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は希少金属や有害金属などの金属の吸着剤、および金属を含む試料溶液から金属を分離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
希少金属(レアメタル)はいわゆるハイテク製品の製造に欠かせないが、これらの多くは埋蔵量が少なく、今後50年以内に多くの金属が枯渇する可能性がある。したがって、廃製品や海中に溶存する希少金属を効率よく回収するシステムの開発は急務の課題である。また、環境問題の観点から、水銀、鉛などの有害金属を効率よく回収するシステムの開発も急務の課題である。
【0003】
希少金属や有害金属を回収する技術の一つとして、窒素原子、ないしはカルボン酸骨格を有するポリマーによる金属吸着が試みられている(特許文献1)。例えば、チオウレア基をポリスチレン樹脂またはシリカ樹脂に担持させた金属吸着材がQuadraPureという商品名で販売されている(非特許文献1)。
しかしながら、この技術では回収量が十分ではなく、回収量の向上が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008-502470
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】シグマ・アルドリッチ社ホームページ(ホーム>有機合成>注目のテクノロジー>メタルスカベンジャー)、[online]、[平成22年1月13日検索]、インターネット<URL: http://www.sigma-aldrich.co.jp/aldrich/organic/reaxa/metal_scavengers/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、簡便かつ高効率で希少金属や有害金属などの金属を回収するための材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、ポリアリルアミンを二硫化炭素で架橋させて得られるチオウレア骨格を有するハイドロゲルを用いることにより、希少金属や有害金属などの金属を高効率で吸着して回収できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、ポリアリルアミンを二硫化炭素で架橋させて得られるチオウレア骨格を有するハイドロゲル(以下、ポリアリルアミンハイドロゲルとも呼ぶ)からなる金属(イオン)吸着剤を提供する。
本発明はまた、金属を含む試料溶液から金属を分離する方法であって、試料溶液を前記ハイドロゲルに接触させて、前記金属を前記ハイドロゲルに吸着させる工程を含むことを特徴とする方法を提供する。
本発明はさらに、白金とパラジウムを含む試料溶液を前記ハイドロゲルに接触させて、白金およびパラジウムを前記ハイドロゲルに吸着させる工程、およびチオ尿素溶液でパラジウムを選択的に前記ハイドロゲルから溶出させる工程を含む、白金とパラジウムの分離方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の材料はパラジウム、白金、金などの産業上有用でありながら埋蔵量の少ない希少金属に対して高い吸着性を示す。このことから、触媒等に用いられるこれらの金属を効率良く回収できるほか、環境中に存在する水や排水からこれらの希少金属を回収することも可能であり、資源の効率的な利用と排水の浄化に役立つ。
触媒の回収としては、医薬品や有機エレクトロニクス材料の合成に頻繁に用いられるパラジウム触媒の回収や使用済みの燃料電池用白金の回収にも有効であると期待できる。
また、有害金属も効率よく吸着して回収することができる。本発明の材料は人体に毒性の高い有害金属に対しても高い吸着能を示す。このことから、環境中に存在する水や排水からこれらの有害金属を回収することも可能であり、資源の効率的な利用と排水の浄化に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ポリアリルアミンハイドロゲルのIRスペクトルを示す図。
【図2】ポリアリルアミンハイドロゲルに対する各種金属イオン吸着に対するpHの影響を示す図。
【図3】ポリアリルアミンハイドロゲルに対する水銀イオン吸着に対するpHの影響を示す図。
【図4】ポリアリルアミンハイドロゲルに対する水銀イオン吸着に対する吸着率の時間変化を示す図。
【図5】ポリアリルアミンハイドロゲルに対する水銀イオン吸着に対する吸着量と水銀残存濃度の関係を示す図。
【図6】ポリアリルアミンハイドロゲルに対する鉛イオン吸着に対するpHの影響を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
「ポリアリルアミンを二硫化炭素で架橋させて得られるチオウレア骨格を有するハイドロゲル」としては下記の構造のハイドロゲルが挙げられる。
ここで、斜線は、ポリアリルアミンのアミノ基のうち、一部のアミノ基が架橋に関与し、残りはアミノ基のまま存在することを意味する。
【化1】

【0012】
架橋反応は、例えば、まず、ポリアリルアミンを適当な濃度(好ましくは5〜20重量%)になるように水に溶解してポリアリルアミン水溶液を調製し、これに二硫化炭素を適当な架橋度になるように加え、水酸化カリウムなどの塩基の存在下、室温〜50℃で攪拌しながら行うことができる。
架橋反応に用いるポリアリルアミンの重量平均分子量は、金属吸着に使用可能なハイドロゲルが得られる範囲であれば特に制限されないが、好ましくは5,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000である。
適当な架橋度を達成するために添加する二硫化炭素の割合は、金属吸着に使用可能なハイドロゲルが得られる範囲であれば特に制限されないが、好ましくは、ポリアリルアミンの繰り返し単位(-CH2CH(CH2NH2)-)当たり10〜20モル%である。すなわち、架橋度は10〜20%が好ましい。
【0013】
吸着対象となる希少金属の種類としては、リチウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、インジウム、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、金、タリウム、ビスマス、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムなどが挙げられる。
【0014】
吸着対象となる有害金属の種類としては、鉛、鉄、銅、カドミウム、水銀、ヒ素、マンガン、コバルト、ビスマス、ウラン、スズなどが挙げられる。
【0015】
吸着反応は例えば、上記のポリアリルアミンハイドロゲルを金属水溶液に適量(この量は金属濃度などにより適宜定めることができる)添加し、室温(室温に限定されない)で攪拌することによって行うことができる。この際、効率よく吸着させるには、金属の種類に応じて、水に溶解してイオン化しやすいpHに調整することが好ましい。例えば、金や白金やパラジウムはpH5以下が好ましい。その他の金属についても、好ましいpHを容易に調べることができる。
なお、吸着反応は、バッチ式でもよいし、カラム式、すなわち、金属水溶液を、カラムにつめたポリアリルアミンハイドロゲル層を通過させることにより行ってもよい。
【0016】
金属を吸着したポリアリルアミンハイドロゲルからの金属の単離は、例えば、バッチ式の場合、ポリアリルアミンハイドロゲルを濾過分離により回収したのち、高温、例えば、500℃で加熱してポリアリルアミンハイドロゲルを焼失させることによって行うことができる。
【0017】
また、ポリアリルアミンハイドロゲルから金属を溶出することのできる物質、例えば、チオ尿素などを用いて金属を単離することもできる。
なお、パラジウムはチオ尿素によりポリアリルアミンハイドロゲルから溶出されやすく、白金はチオ尿素によりポリアリルアミンハイドロゲルから溶出されないので、ポリアリルアミンハイドロゲルによる吸着とチオ尿素溶液による溶出を組み合わせることにより、鉱山から混合物として得られることが多いパラジウムと白金を含む試料から、パラジウムと白金を分離して得ることができるので非常に有用である。
【実施例】
【0018】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0019】
<使用した試薬および機器>
ポリアリルアミン(10.4重量%水溶液、Mw=60,000)は日東紡から購入した(PAA-H-10C)。二硫化炭素(>96.0%)は和光純薬から購入し、使用前に蒸留した。トリエチルアミン(>99%)、水酸化ナトリウム(>96.0%)、水酸化カリウム(>85.0%)は和光純薬から、1,8-diazabicyclo[5,4,0]-undec-7-ene(DBU、>98.0%)は東京化成工業から購入し、そのまま用いた。ジエチルエーテル(>99.5%)、HCl水溶液(>35.0%)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(>99.0%)は和光純薬から、酢酸(>99.7%)、酢酸ナトリウム(>98.5%)は関東化学から購入し、そのまま用いた。
テトラクロロ金(III)酸ナトリウム・2水和物(Na(AuCl4)・2H2O、>95.0%)、ヘキサクロロ白金(IV)酸・6水和物(H2PtCl6・6H2O、99.9%)、塩化パラジウム(II)(PdCl2、>99.0%)は和光純薬から購入し、そのまま用いた。
IRスペクトル(cm-1)はJasco FT/IR-5000スペクトロメーターを用いて測定した。UV/可視吸収スペクトルはHitachi U-3000 UV-visスペクトロメーターを用いて測定した。
【0020】
<ハイドロゲルの合成>
二硫化炭素(0.031mL、0.525mmol)を、ポリアリルアミンの繰り返し単位当たり15mol%となるように、ポリアリルアミン水溶液(10.4重量%水溶液1.90mL、ポリアリルアミン繰り返し単位3.50mmol)に加え、室温で2時間攪拌した。続いて、水酸化カリウム(0.18g、3.20mmol)を加え、40℃で2時間攪拌した。得られたハイドロゲルをジエチルエーテルに3日間浸漬し、未反応の二硫化炭素を除いた。
一方、未反応のポリアリルアミンとカリウム塩は水によるSoxhlet抽出で除いた。ハイドロゲルは60℃で一定重量になるまで真空乾燥し、208mg、90%の乾燥ゲルを得た。
【0021】
反応スキームは以下の通り。
【化2】

【0022】
得られたハイドロゲルのIR(赤外吸収)スペクトル(KBr)は以下の通り。IRチャートを図1に示す。
1456cm-1(−HN-C=S-NH-)、1560cm-1(−HN-C=S-NH-)、1620cm-1(−CH2NH2)、3420cm-1(−CH2NH2、−HN-C=S-NH-)
【0023】
<吸着実験>
吸着実験はバッチ式の系で室温で行った。それぞれの金属塩化物(Na(AuCl4)・2H2O、H2PtCl6・6H2O、PdCl2)をHCl水溶液に適当な量溶解して4.00mMのストック溶液を調製し、pHを少量のNaOHまたはKOHで調整した。5.0mgの乾燥ゲルを、100mLの丸底フラスコに入れた50mLの金属溶液に添加し、80rpmで24時間攪拌した。その後、上清を0.25mL取り出し、適当に希釈した後、金属濃度をUV/Visスペクトロメーターで測定した。その結果、いずれの場合も上清からは金属が検出されず、ポリアリルアミンハイドロゲルが金属を効率よく吸着することが示された。
【0024】
<ポリアリルアミンハイドロゲルの貴金属イオン吸着におけるpH効果の検定>
Na(AuCl4)・2H2O (79.56 mg, 0.2 mmol)、H2PtCl6・6H2O (103.58 mg, 0.2 mmol)、PdCl2 (35.46 mg、0.2 mmol)をそれぞれ別々にpH1〜9の緩衝液50 mlに溶かし、ポリアリルアミンハイドロゲル(CS2 15 mol%) 5 mgを加え、1日振とうした。その後、上清を0.25 ml採取し、それぞれのpH溶液10 mlで希釈し、UVスペクトルで金属の吸着量を測定した。
その結果、図2に示されるように、金及び白金イオンの吸着においてpHの減少に伴い、吸着量が増加することがわかった。また、パラジウムにおいては、PdCl2 がpH=1でしか溶解しなかったが、このときの吸着量は0.33g/gであり、シグマアルドリッチ社から金属回収剤として市販されているQuadrapureTM TUのパラジウムイオンの吸着量0.05g/gに対して、6倍以上であった。
【0025】
<金イオンの吸着における硫黄原子の効果>
Na(AuCl4)・2H2O (79.56 mg , 0.2 mmol)をpH=1のHCl水溶液50 mlに溶かし、それぞれ別々にCS2 5 mol%,10 mol%,15 mol%のゲル5 mgを加え、1日浸とうした。その上清溶液を0.25 ml採取し、pH=1のHCl水溶液10mlで希釈し、UVスペクトルで金の吸着量を測定した。
その結果、表1に示されるように、ゲル合成の際のCS2の仕込み量、すなわち、チオウレア骨格への導入量が増加するに従い、吸着量が増加することがわかった。これにより、金イオンの吸着において側鎖アミノ基に対しチオカルボニル基の硫黄原子がより効果的に機能していることがわかった。
【0026】
【表1】

【0027】
<パラジウムの選択的脱着>
次に、ポリアリルアミンハイドロゲルにより吸着された金属のチオ尿素による脱着を行った。実験方法としては、金属を吸着したゲルをチオ尿素の硫酸水溶液に加え、2日間振とうした後、溶液中の金属イオン濃度をUV測定により決定した。
表2に示すように、パラジウムは100%脱着され、白金は0%であった。この結果を利用すれば、効率のよい金属回収が行える。すなわち、白金、パラジウムの混合物を吸着し、チオ尿素による脱着を行えば、パラジウムを選択的に脱着でき、白金はゲル中に残るため、白金とパラジウムを簡便に分離できる材料として利用可能となる。
【0028】
【表2】

【0029】
<水銀の吸着挙動>
1. pHの効果
HgCl2を4mMの濃度でpH1〜9の緩衝液 10 mlに溶かし、ポリアリルアミンハイドロゲル(CS2 15 mol%) 13 mgを加え、室温で20時間攪拌した。その後、上清を0.25 ml採取し、1.0 M HCL水溶液10 mlで希釈し、UVスペクトルで水銀の吸着量を測定した。
その結果、いかなるpHにおいても、非常に高い吸着率(94 %以上)で吸着していることが分かった(図3)。通常の吸着樹脂の場合、水銀吸着においてpHの影響を受けることが多いが、本ポリマーはpHの影響を受けないことから、様々なpHの廃液等からの水銀回収に適しているといえる。
【0030】
2. 含硫黄ポリアリルアミンハイドロゲルの硫黄含有量の効果
次に、水銀吸着におけるハイドロゲル中の硫黄含有量の効果について検討した(表3)。合成時における二硫化炭素(CS2)の仕込み量を30〜50 mol %に増加させたゲルの硫黄含有量を元素分析により求めたところ、CS2の仕込み比を増加させるに従い硫黄含有量が増加することが確認された(runs 1-3)。この結果はCS2の仕込み量の増加に伴い架橋密度(チオカルボニル基)が増加していることを示すものである。
これらのゲルを用い水銀イオンの吸着率を比較したところ、40 mol%のCS2仕込み量のゲルが最も高い吸着率を示した。この結果から、水銀吸着においては、硫黄含有量が多いほうが効果的であること、また硫黄含有量が多くなりすぎると、親水性が低くなることから、仕込み比40 mol%程度の親水性が適当であることが示唆された。
【0031】
【表3】

【0032】
3. 水銀吸着における吸着速度
HgCl2を4mMの濃度でpH7の緩衝液 10 mlに溶かし、ポリアリルアミンハイドロゲル(CS2 40
mol%) 13 mgを加え、室温で攪拌した。各時点において、上清を0.25 ml採取し、それぞれのpH溶液10 mlで希釈し、UVスペクトルで水銀の吸着量を測定した。
水銀吸着率の時間変化を図4に示す。反応時間180分で吸着平衡に達することが分かった。
【0033】
4. 最大吸着量
水銀吸着における濃度の効果を検討し、最大吸着量を求めた。その結果、図5に示すように最大の吸着量は、乾燥ゲル1gあたり水銀を2.4g吸着できることが分かった。
【0034】
表4に他のポリマーの水銀最大吸着量の比較を示したが、本研究で得られた最大吸着量は圧倒的に高いことが分かる。さらに、市販水銀吸着樹脂であるQuadrapureTMの最大吸着量を求めたところ、ポリマー1gあたり0.44g水銀であったことから、本ポリマーは市販樹脂の約5倍吸着量が高いことが明らかとなった。この理由として、本ポリマーは重量あたりの吸着部位(チオカルボニル基とアミノ基)が占める割合が高いことが挙げられる。このように、世界最高の吸着能を持つ本ポリマーを水浄化に利用できれば、これまでにない浄化剤としての実用化が期待できる。
【0035】
【表4】

【0036】
5.低濃度水銀水溶液での吸着挙動
水銀の排出基準は他の金属に比べ特に厳しいため(排出基準:0.005 ppm)、実際の廃液濃度(0.2 ppm)での吸着挙動を調べた。塩化水銀水溶液(0.2 ppm、pH = 7)にポリアリルアミンハイドロゲル(CS2 30 mol%) 50 mgを加え、室温にて48時間攪拌した。吸着後の溶液の水銀濃度をICP-MSにより測定したところ、0.01 ppm未満であることが分かった。
【0037】
<鉛の吸着挙動>
PbCl2を4mMの濃度でpH1〜6の緩衝液 10 mlに溶かし、ポリアリルアミンハイドロゲル(CS2 15 mol%) 13 mgを加え、室温で20時間振とうした。その後、上清を0.25 ml採取し、1.0 M HCl水溶液10 mlで希釈し、UVスペクトルで鉛の吸着量を測定した。
結果を図6に示す。鉛吸着の場合は、pH2で低い吸着率を示し(原因不明)、pH5で最大の吸着率であった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、廃家電製品からの希少金属のリサイクル、海水中・工業排水からの希少金属の回収、医薬品や有機エレクトロニクス材料、携帯電話の電子基板等に用いられるパラジウム触媒の回収、使用済みの燃料電池用白金のリサイクルなどに有用である。
また、環境中に放出された有害金属の回収にも有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアリルアミンを二硫化炭素で架橋させて得られるチオウレア骨格を有するハイドロゲルからなる金属吸着剤。
【請求項2】
金属が、リチウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、インジウム、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、金、タリウム、ビスマス、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムからなる群から選ばれる1種類以上の希少金属である、請求項1に記載の金属吸着剤。
【請求項3】
金属が、鉛、鉄、銅、カドミウム、水銀、ヒ素、マンガン、コバルト、ビスマス、ウラン、スズからなる群から選ばれる1種類以上の有害金属である、請求項1に記載の金属吸着剤。
【請求項4】
金属を含む試料溶液から金属を分離する方法であって、試料溶液を、ポリアリルアミンを二硫化炭素で架橋させて得られるチオウレア骨格を有するハイドロゲルに接触させて、前記金属を前記ハイドロゲルに吸着させる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
金属が、リチウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、インジウム、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、金、タリウム、ビスマス、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムからなる群から選ばれる1種類以上の希少金属である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
金属が、鉛、鉄、銅、カドミウム、水銀、ヒ素、マンガン、コバルト、ビスマス、ウラン、スズからなる群から選ばれる1種類以上の有害金属である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
白金とパラジウムを含む試料溶液を、ポリアリルアミンを二硫化炭素で架橋させて得られるチオウレア骨格を有するハイドロゲルに接触させて、白金およびパラジウムを前記ハイドロゲルに吸着させる工程、およびチオ尿素溶液でパラジウムを選択的に前記ハイドロゲルから溶出させる工程を含む、白金とパラジウムの分離方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−183376(P2011−183376A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293044(P2010−293044)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 刊行物名 ネットワークポリマー 第30巻 第4号 発行所 合成樹脂工業協会 発行日 平成21年8月10日
【出願人】(504145364)国立大学法人群馬大学 (352)
【Fターム(参考)】