説明

金属塗料処理された装飾材

【課題】水溶性金属含有塗料組成物を用いて、金属の質感および色を有する金属塗料処理された装飾材を提供することである。
【解決手段】壁紙、壁材、床材、天井材などの建築内、外装材およびインテリア用装飾品を構成する基本構造としての基材および前記母材の表面に、金属粉末、ガラスパウダーおよびメラミンシアヌレート粉末を含む金属塗料粉末と、アクリレート結合剤とを含む水溶性金属含有塗料組成物を塗布、乾燥処理して得られる金属塗装層を含む装飾材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築用内、外装材で用いられる壁紙、壁材、床材、天井材などのインテリア用装飾品や造形物などの表面に金属含有塗料を塗装処理し、難燃性及び表面硬度を向上させて美麗な金属表面の質感及び色を得るようにした金属塗料処理された装飾材に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ビルやアパート、一般住宅及び工場などのような建築物では内、外装材で壁材、床材、天井材を用いており、室内空間にはインテリア用装飾品で造形物などを配置している。
このような室内の内、外装材及び装飾品は通常、木材、木質系集積板(MDF、HDF)マグネシウムボード(Magnesium Board)、PE樹脂板及び圧出材、PP樹脂板及び圧出材、PS樹脂板及び圧出材、ABS樹脂板及び圧出材などを主に用いており、一部にはアルミニウム板材や、鉄板及びステンレススチール板などの金属材が用いられる。
また、建築物の内装材で最も一般的に用いられる壁紙としては、紙壁紙、シルクや繊維材質壁紙がある。
しかしながら、建築物の内、外装材に主に用いられる木材や樹脂材質は火災に脆弱であって、従来の壁紙は火災時に有毒ガスを発生させる問題点がある。
最近、建築法では火災の危険性を考慮して耐火性能規定を強化しており、特に有毒ガス発生物質に対しては建築資材としての使用を厳しく規制する法案が準備されているのが実情である。
【0003】
一方、従来には建築物の内、外装材及び装飾品などの被導体に金属ペイント(Metallic paint)を塗布したり鍍金、蒸着などの方式、そして直接金属を溶かして被導体に噴射する熱スプレー(Thermo spray)方式などでその表面に金属の質感を表現する方法が知られている。
しかしながら、前記金属ペイントは、油性溶剤に金属粉末を少量添加して、染料で金属の固有色を表現する方式であるが、これは被導体に金属固有の質感や色を表現するには不足である。また、鍍金や蒸着などの方式は、一般的に鍍金対象物の種類によって複雑な前処理過程を経る必要があり、また対象物の化学的、物理的性質によって多くの制限を受ける。
熱スプレー方式は、金属の固有質感を表現できるが、金属を溶融点以上に加熱した後、スプレーする方式として高価な装備及び技術が必要であって、熱による被導体の変形及び滅失などの多くの制約を受ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の発明者は、前記従来の金属塗装塗料及び他の金属塗装方法が有している問題点を解消するために、金属が有する固有の質感及び色をそのまま生かす水溶性金属含有塗料組成物を大韓民国特許出願第2005−0021710号(出願日:2005.03.16)で出願した。
本発明の目的は、前記水溶性金属含有塗料組成物を用いて金属の質感及び色を有する金属塗料処理された装飾材を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記水溶性金属含有塗料組成物が被導体の材質や塗装方法に制約を受けない長所を用いて、多様な材質の壁紙、壁材、床材、天井材などの建築内、外装材の表面に水溶性金属含有塗料組成物を塗装処理することによって、難燃性及び表面硬度を向上させた金属塗料処理された装飾材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を実現するために、本発明の金属塗料処理された装飾材は、壁紙、壁材、床材、天井材などの建築内、外装材及びインテリア用装飾品を構成する基本構造としての基材及び前記基材の表面に金属粉末、ガラスパウダー及びメラミンシアヌレート粉末を含む金属塗料粉末と、アクリレート結合剤とを含む水溶性金属含有塗料組成物を塗布、乾燥処理して得られる金属塗装層を含む。
前記金属含有塗料組成物は、金属粉末85〜96重量%、ガラスパウダー2〜8重量%及びメラミンシアヌレート粉末2〜7重量%を含む金属塗料粉末及びその金属塗料粉末の総重量に対して30重量%のアクリレート結合剤を含む。
前記金属は、銅、青銅、黄銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、金及び銀から選択される一種である。
前記アクリレート結合剤としては、C1―C6のアクリル酸アルキルエステルを用いる。
前記基材は、壁紙、壁材、床材、天井材などの建築内、外装材及びインテリア用装飾品を構成する基本構造である。
望ましくは、前記基材は、木材、木質系集積板、マグネシウムボード、PE樹脂板、PP樹脂板、PS樹脂板、ABS樹脂板、アルミニウム板、鉄板及びステンレススチール板などからなる。
望ましくは、前記基材は、自由に曲げることができる壁紙を含み、ポリエスター繊維、PVC繊維、ナイロン繊維などからなる製織された布、シルク、木綿或いは天然繊維から製織された布、紙からなる。
また、本発明の金属塗料処理された装飾材は、前記金属塗装層の金属質感及び色をさらに向上させるために、その表面を研磨処理して、またその表面に保護光沢層を塗布、形成することができる。
【発明の効果】
【0006】
以上で説明したように、本発明の金属塗料処理された装飾材は、水溶性金属含有塗料組成物を適用するので美麗な金属質感及び色を有する壁材、床材、天井材などの建築内、外装材及びインテリア装飾物や造形物を実現することができる。
また、本発明の壁紙は金属質感及び色のみにならず、自由に曲げることができる長所を有する。
本発明の金属塗料処理された装飾材は、ガラスパウダーの添加効果により表面の耐磨耗性が上昇して硬度が高まって、磨耗による損傷などを防止することができ、メラミン系難燃材の添加により難燃2等級に該当する難燃特性の優れた建築材として利用効果が高い。
また、本発明の金属塗料処理された装飾材は、塗装方法や被導体の材質に制約を受けず、安価な原資材を用いて高価な製品を実現することができ、その結果、製品の付加価値を高める効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の望ましい実施形態を図に基づいてより詳しく説明する。
図1乃至図3は、本発明の金属塗料処理された装飾材の例を示すものとして、本発明による金属質感及び色を表現したものである。図4は金属塗料処理された装飾材の内部構造を示している。
図に示すとおり、本発明の金属塗料処理された装飾材は、図1のような壁材、床材、天井材などの建築内、外装材1と、図2のようなインテリア用装飾品3及び図3のような壁紙5を含む。
ここで建築内、 外装材1及びインテリア用装飾品3は、木材、木質系集積板、マグネシウムボード、PE樹脂板、PP樹脂板、PS樹脂板、ABS樹脂板、アルミニウム板、鉄板及びステンレススチール板からなる基材7を基本構造とするもので、このような基材7は建築用壁材、床材、天井材及びインテリア用造形物の形態に形成することができる。
また、壁紙5は、ポリエスター繊維、PVC繊維、ナイロン繊維などで製織された布、シルク、木綿或いは天然繊維で製織された布、紙のように自由に曲げることができる製品をその基材7で用いることができる。
前記基材7には、本発明の目的を実現するために、図4に示したとおり、その表面に金属塗装層9を塗布形成する。ここで、前記基材7は、金属塗装層9の被導体になることである。
前記金属塗装層9は、金属の質感及び色を表現するために金属粉末を主成分とし、ガラスパウダー及びメラミンシアヌレート粉末を含む金属塗料粉末及びアクリレート結合剤を含む水溶性金属含有塗料組成物を前記基材7の表面に塗布、乾燥処理して得られる。
【0008】
前記水溶性金属含有塗料組成物は、低温、低速の一般攪拌器を用いて結合剤→メラミン系難燃材粉末→ガラスパウダー→金属粉末の順に攪拌器に混入して常温25℃で攪拌して製造する。
前記金属含有塗料組成物は、金属粉末85〜96重量%、ガラスパウダー2〜8重量%及びメラミンシアヌレート粉末2〜7重量%を含有する金属塗料粉末及びその金属塗料粉末の総重量に対して30重量%のアクリレート結合剤を混合して製造する。
【0009】
本発明に適用された金属粉末は、被導体に金属質感を表すために用いられたもので、銅、青銅、黄銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、金、銀などの粉末を用いることができ、特に銅を用いることが望ましい。
前記金属粉末を85%以下で用いる場合には、所望の金属の質感が十分に現れず、また96重量%以上で用いる場合には、被導体の質感が非常に厚ぼったくなったり、表面の美麗性を害してしまう。
【0010】
本発明に適用されたガラスパウダーは、遠心力法または火炎法で生産された単繊維パウダーを用いることができ、これは本発明の塗料組成物に優れた耐熱性、耐火性及び電気絶縁性を提供し、特に表面の硬度を向上させて磨耗による損傷などの不良要因を防止する。
前記ガラスパウダーを2重量%以下で用いる場合には、その本来の目的である優れた耐熱性、耐火性及び電気絶縁性を提供することができず、また8重量%以上で用いる場合には、また被導体の表面の美麗性を害してしまう。
【0011】
本発明に適用されたメラミン系難燃材としては、メラミンシアヌレート(分子式:C6993)を用いることができ、これは燃焼中の窒素ガスを放出して酸素の供給を遮断したり希釈させて燃焼の進行を抑制する作用をする。前記メラミン系難燃材を7重量%以上で用いる場合には被導体の表面の美麗性を害してしまう。
【0012】
前記アクリル系結合剤としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸へキシルなどのC1−C6のアクリル酸アルキルエステルを用いることができ、この中で特に望ましいものはアクリル酸メチル(CH2=CHCOOCH3)である。
【0013】
前記のようにして得られた本発明による水溶性金属含有塗料組成物は、各々相違な特性を有する金属粉末及びガラスパウダー、メラミン系難燃材粉末をアクリル系結合剤と結合するので、金属が有する特有の質感及び色を表現し、同時にガラスパウダーが有する絶縁性、耐熱性及びメラミン系難燃材粉末の吸着能力及び難燃性を有し、被導体の表面が美麗にして、かつ耐磨耗性などを有する多機能性塗料組成物である。
【0014】
このようにして得られた水溶性金属含有塗料組成物は、基材7に一般なスプレー、筆塗装、パター塗装などの塗装方法によって塗布でき、特別に塗装方法に制約を受けない。
また、本発明による水溶性金属含有塗料組成物は、木材、金属、ポリビニルクロライド(PVC)、ウレタン、メラミン発泡フォーム及び紙や布などのある素材にも適用ができ、適用対象にも制約を受けない。
【0015】
前記水溶性金属含有塗料組成物は、基材7に塗布された後、3〜24時間乾燥させて、完全硬化後、金属加工用サンドペーパー、ブラシ、グラインダーなどで研磨されるので美麗な金属の質感及び色を有する金属塗装層9になる。
前記金属塗装層9の表面には、また金属質感及び色をさらに向上させるために保護光沢層11を塗布、形成することができる。
前記保護光沢層11としては、内装材である場合、水溶性ウレタン及び難燃材を含む製品を用い、外装材である場合、フッ素樹脂製品を用いるのが良い。
【0016】
本発明による適用例は、図1乃至図3を通じてよく分かる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の金属塗料処理された装飾材の一例として建築内、外装材を示す図である。
【図2】本発明の金属塗料処理された装飾材の一例としてインテリア装飾物を示す図である。
【図3】本発明の金属塗料処理された装飾材の一例として壁紙を示す図である。
【図4】本発明の金属塗料処理された装飾材の断面構成図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁紙、壁材、床材、天井材などの建築内、外装材及びインテリア用装飾品を構成する基本構造としての基材及び前記基材の表面に、金属粉末、ガラスパウダー及びメラミンシアヌレート粉末を含む金属塗料粉末と、アクリレート結合剤を含む水溶性金属含有塗料組成物とを塗布、乾燥処理して得られる金属塗装層を含むことを特徴とする金属塗料処理された装飾材。
【請求項2】
前記金属含有塗料組成物は、金属粉末85〜96重量%、ガラスパウダー2〜8重量%及びメラミンシアヌレート粉末2〜7重量%を含む金属塗料粉末と、その金属塗料粉末の総重量に対して30重量%のアクリレート結合剤とを含むことを特徴とする請求項1記載の金属塗料処理された装飾材。
【請求項3】
前記金属は、銅、青銅、黄銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、金及び銀から選択される一種であることを特徴とする請求項1記載の金属塗料処理された装飾材。
【請求項4】
前記アクリレート結合剤として、C1―C6のアクリル酸アルキルエステルを用いることを特徴とする請求項1記載の金属塗料処理された装飾材。
【請求項5】
前記基材は、木材、木質系集積板、マグネシウムボード、PE樹脂板、PP樹脂板、PS樹脂板、ABS樹脂板、アルミニウム板、鉄板及びステンレススチール板などからなることを特徴とする請求項1記載の金属塗料処理された装飾材。
【請求項6】
前記基材は、ポリエスター繊維、PVC繊維、ナイロン繊維などからなる製織された布、シルク、木綿或いは天然繊維から製織された布、紙であることを特徴とする請求項1記載の金属塗料処理された装飾材。
【請求項7】
前記金属塗装層の表面に塗布、乾燥処理して得られる保護光沢層をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の金属塗料処理された装飾材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−289942(P2006−289942A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289692(P2005−289692)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(505321916)
【Fターム(参考)】