金属樹脂複合部材の製造装置および製造方法
【課題】樹脂部材が金属部材に適切に取着された金属樹脂複合部材を得るための製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】
製造装置Mは、金属部材であるアルミニウムパネル10を保持可能な第1成形型40と、第1成形型40との型閉めによりアルミニウムパネル10との間にキャビティ44を画成する第2成形型42とを有する。第2成形型42における第1成形型40側に開口する前記キャビティ44の開口縁部に、該第2成形型42よりも低い熱伝導性を有する断熱部材60を設ける。従って、第2成形型42におけるキャビティ44の開口縁部を該第2成形型42より低い熱伝導性に維持したもとで、該キャビティ40に樹脂Pを注入することで、樹脂部材がアルミニウムパネル10に取着された状態で成形される。
【解決手段】
製造装置Mは、金属部材であるアルミニウムパネル10を保持可能な第1成形型40と、第1成形型40との型閉めによりアルミニウムパネル10との間にキャビティ44を画成する第2成形型42とを有する。第2成形型42における第1成形型40側に開口する前記キャビティ44の開口縁部に、該第2成形型42よりも低い熱伝導性を有する断熱部材60を設ける。従って、第2成形型42におけるキャビティ44の開口縁部を該第2成形型42より低い熱伝導性に維持したもとで、該キャビティ40に樹脂Pを注入することで、樹脂部材がアルミニウムパネル10に取着された状態で成形される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属部材および該金属部材に取着した樹脂部材からなる金属樹脂複合部材を製造する製造装置および製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8は、所要形状に形成したアルミニウムパネル10の裏面10Aに、インジェクション成形された合成樹脂製の樹脂部材20を取着して構成される金属樹脂複合部材Wを示す斜視図である。この金属樹脂複合部材Wは、例えばインストルメントパネルやフロアコンソール等の車両内装部材に、アルミニウムパネル10が外側に露出した状態で取付けられる装飾パネル部材として用いられる。樹脂部材20は、図8〜図10に示すように、アルミニウムパネル10の裏側で裏面10Aに接触した状態で成形されたものである。図8に示す樹脂部材20は、相手部材(車両内装部材)へ取付けるためのアルミニウムパネル10の裏側へ立設された複数の第1取付片22および該パネル10の側方へ延出した複数の第2取付片24と、円形の第1開口部12の内縁に沿う第1縁部26と、矩形の第2開口部14の内縁に沿う第2縁部28とを、複数の連設部29で連設した単一の部材となっている。そして、アルミニウムパネル10の裏面10Aは、表面処理技術の一つである公知のエッチング処理により微細な凹凸が多数形成されており(図示せず)、樹脂部材20はアンカー効果により該パネル10に取着されている。なお符号29Aは、後述する製造装置M1で樹脂部材20を成形するに際し、該製造装置M1の注入ランナ38内で固化した樹脂から形成された余剰樹脂部であり、この余剰樹脂部29Aは前述した連設部29に立設した状態に形成されている。
【0003】
前述した金属樹脂複合部材Wは、図11に概略的に図示した製造装置M1を利用して製造される。この製造装置M1は、所謂インジェクション成形型であり、アルミニウムパネル10を保持可能な第1成形型30と、第1成形型30との型閉めによりアルミニウムパネル10の裏面10Aとの間にキャビティ34を画成する第2成形型32とを備えている。第2成形型32は、図12に示すように、前述した樹脂部材20の第1取付片22、第2取付片24、第1縁部26、第2縁部28を成形する第1〜第4の各陥凹部34A,34B,34C,34Dと、各連設部29を成形する連通部34Eとが凹設され、これら第1〜第4の各陥凹部34A,34B,34C,34Dおよび連通部34Eが第1成形型30側へ開口してキャビティ34を形成する。すなわち、キャビティ34の陥凹部34A,34B,34C,34Dは、各々の連通部34Eを介して繋がっている。また第2成形型32には、注入口36と、該注入口36およびキャビティ34の連通部34Eを空間的に連通する複数の注入ランナ38とが設けられている。
【0004】
従って、アルミニウムパネル10を保持した第1成形型30と第2成形型32とを型閉めしたもとで、注入口36に当接させた樹脂射出ノズルNから溶融した樹脂Pを射出することで、各注入ランナ38を介してキャビティ34の各連通部34Eに該樹脂Pが注入される。そして樹脂Pは、各連通部34Eから各第1〜第4の陥凹部34A,34B,34C,34D内に移動して、アルミニウムパネル10の裏面10Aに接触した状態で徐々に固化する。樹脂Pの固化によりキャビティ34内で成形された樹脂部材20の各第1取付片22、第2取付片24、第1縁部26、第2縁部28および連設部29は、アンカー効果によりアルミニウムパネル10の裏面10Aに取着される。このような金属樹脂複合部材の製造装置および製造方法は、例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2003−200453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、注入口36から注入された溶融状態の樹脂Pは、各注入ランナ38を移動する際には第2成形型32に接触すると共に、キャビティ34の各連通部34Eおよび第1〜第4の各陥凹部34A,34B,34C,34Dを移動する際には該第2成形型32およびアルミニウムパネル10の両方に接触する。このため樹脂Pは、注入後から徐々に温度が低下し、これに伴って粘度が徐々に高まっていく。そこで、前述した製造装置M1では、キャビティ34の各陥凹部34A,34B,34C,34D全体に溶融した樹脂Pを効率的に行き渡せるため、図11および図12に示すように、複数の注入ランナ38を設けている。しかるに、樹脂部材20の形状や大きさ、製造装置W1のサイズ等により、適切な位置に適切な数の注入ランナ38を設けることが困難な場合がある。従って、キャビティ34の注入ランナ38から遠い部位(例えば、図12の各S部等)においては、該部位に到達した時点で既に樹脂Pの粘度がかなり高まっている。このため樹脂Pは、アルミニウムパネル10の裏面10Aに形成された多数の前記凹凸に入り込むことなく固化するようになる。これにより、適切なアンカー効果が得られなくなり、成形された樹脂部材20がアルミニウムパネル10に強固に取着されず、第1取付片22、第2取付片24、第1縁部26、第2縁部28および連設部29が剥離し易くなる不都合が発生していた。
【0006】
従って本発明では、樹脂部材が金属部材に強固に取着された金属樹脂複合部材を得るための製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、
金属部材を保持可能な第1成形型と、前記第1成形型との型閉めにより前記金属部材との間にキャビティを画成する第2成形型とを有し、前記キャビティで樹脂部材を成形すると共に該樹脂部材を前記金属部材に取着した金属樹脂複合部材を製造する装置において、
前記第2成形型における前記第1成形型側に開口する前記キャビティの開口縁部に、該第2成形型よりも低い熱伝導性を有する断熱部材を設けたことを特徴とする。
【0008】
従って、請求項1に係る発明によれば、キャビティの開口縁部における断熱部材を設けた部位が第2成形型より低い熱伝導性に維持されるので、該キャビティに注入された樹脂における金属部材に接触した部分の温度低下が抑えられ、該樹脂の流動性の悪化防止を図ることが可能である。これにより、樹脂が金属部材の外面に沿った状態で固化するようになり、キャビティ内で成形された樹脂部材を金属部材に適切に取着させることが可能である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記キャビティは、前記樹脂部材の構成部分を成形する陥凹部と、樹脂注入用の注入ランナに連通すると共に前記陥凹部に連通し、前記構成部分に連設する連設部を成形する連通部とを有し、
前記第2成形型における第1成形型側に開口する前記連通部の開口縁部に、前記断熱部材を設けたことを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、連通部の開口縁部が断熱部材により第2成形型より低い熱伝導性に維持されるので、該連通部内において樹脂の温度低下が抑えられ、該樹脂を各陥凹部へ円滑に注入させることが可能である。また、樹脂部材の連設部を、金属部材に適切に取着させ得る。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記キャビティは、前記樹脂部材の構成部分を成形する陥凹部と、樹脂注入用の注入ランナに連通すると共に前記陥凹部に連通し、前記構成部分に連設する連設部を成形する連通部とを有し、
前記第2成形型における第1成形型側に開口する前記陥凹部の開口縁部に、前記断熱部材を設けたことを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、陥凹部の開口縁部が断熱部材により第2成形型より低い熱伝導性に維持されるので、該陥凹部内において樹脂の温度低下が抑えられ、該樹脂を陥凹部の全体へ円滑に充填させることが可能である。また、樹脂部材の各構成部分を、金属部材に適切に取着させ得る。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記第2成形型は、前記キャビティ内に注入された樹脂を加圧する押圧型部を備えたことを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、キャビティ内に注入された樹脂が、金属部材の外面に押し付けられた状態で固化される。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記断熱部材は発泡金属であることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、断熱部材が熱に強いので、高温の樹脂の接触による該断熱部材の劣化や変形が発生しない。
【0013】
請求項6に記載の発明は、金属部材を保持可能な第1成形型と該第1成形型と対をなす第2成形型とを型閉めし、前記金属部材と第2成形型との間に画成されたキャビティで樹脂部材を成形すると共に、該樹脂部材を前記金属部材に取着した金属樹脂複合部材を製造する方法において、
前記第2成形型における前記第1成形型側に開口する前記キャビティの開口縁部を、該第2成形型より低い熱伝導性に維持したもとで、該キャビティに前記樹脂部材成形用の樹脂を注入することを特徴とする
【0014】
従って、請求項6に係る発明によれば、キャビティに注入された樹脂における金属部材に接触した部分の温度低下を抑えられ、該樹脂の流動性の悪化防止を図り得る。これにより、樹脂を金属部材の外面に沿った状態で固化させ得るので、アンカー効果が適切に発現するようになり、キャビティで成形された樹脂部材を金属部材に強固に取着させることが可能である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記樹脂のキャビティへの注入完了後に、前記第2成形型に配設した押圧型部で該樹脂を加圧することを要旨とする。
従って、請求項7に係る発明によれば、キャビティに注入された樹脂を、金属部材の外面に押し付けた状態で固化させ得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る金属樹脂複合部材の製造装置によれば、キャビティの開口縁部において断熱部材を設けた部位が第2成形型より低い熱伝導性に維持されるので、該キャビティに注入された樹脂における金属部材に接触した部分の温度低下が抑えられ、該樹脂の流動性の悪化防止が図られる。これにより、樹脂が金属部材の外面に沿った状態で固化するようになり、キャビティ内で成形された樹脂部材を金属部材に適切に取着させることが可能である。
また、別の発明に係る金属樹脂複合部材の製造方法によれば、キャビティに注入された樹脂における金属部材に接触した部分の温度低下を抑えて、該樹脂の流動性の悪化防止を図るようにしたので、樹脂が金属部材の外面に沿った状態で固化するようになり、キャビティで成形された樹脂部材を金属部材に適切に取着させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明に係る金属樹脂複合部材の製造装置および製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、アルミニウムパネル10および樹脂部材20から構成される図8に示す金属樹脂複合部材Wを成形する製造装置および製造方法について説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、実施例に係る金属樹脂複合部材の製造装置Mを、形状を概略化して示した側断面図である。実施例の製造装置Mは、金属樹脂複合部材Wのアルミニウムパネル10を保持可能な第1成形型40と、第1成形型40との型閉めによりアルミニウムパネル10の裏面(外面)10Aとの間にキャビティ44を画成する第2成形型42とを備えている。この製造装置Mは、所謂インジェクション成形型であり、第2成形型42は第2フレーム43に固定され、第1成形型40は第1フレーム41に固定されている。従って製造装置Mは、第1フレーム41が第2フレーム43側へ移動することで第1成形型40が第2成形型42に近接して型閉めされ、第1フレーム41が第2フレーム43から離間する側へ移動することで第1成形型40が第2成形型42から離間して型開きされる。
【0019】
第1成形型40は、図1に示すように、モリブデン−タングステンで構成されたダイス鋼等を素材とし、アルミニウムパネル10がセットされるセット部46が形成されている。また、第1成形型40の内部には、熱媒体である水またはオイルが通過するパイプ48が埋設されており、アルミニウムパネル10を加熱または冷却することで、キャビティ44内に注入した樹脂Pを保温または冷却させ得るようになっている。
【0020】
第2成形型42は、図2に示すように、モリブデン−タングステンで構成されたダイス鋼等を素材とし、樹脂部材20の第1取付片22(構成部分)、第2取付片24(構成部分)、第1縁部26(構成部分)、第2縁部28(構成部分)を成形する第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dと、各連設部29を成形する連通部44Eとが凹設されている。すなわち、キャビティ44の第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dは、各連通部44Eを介して繋がっている。また第2成形型42には、注入口50と、該注入口50およびキャビティ44の連通部44Eを空間的に連通する複数の注入ランナ52とが設けられている。
【0021】
更に第2成形型42は、図1および図4に示した位置および図5に示した位置との間でスライド可能なプレート状の可動型体42Aを内部に備えている。この可動型体42Aには、各注入ランナ52に対応した開口部が形成されている。すなわち、可動型体42Aが図1および図4の位置に移動した際には、該可動型体42Aに形成された各開口部が各注入ランナ52と整合して、注入口50とキャビティ44とが連通状態となる。また、可動型体42Aが図5の位置に移動した際には、該可動型体42Aに形成された各開口部が各注入ランナ52から退避するため、注入口50とキャビティ44とが非連通状態となるよう構成されている。更に、第2成形型42の内部には、熱媒体である水またはオイルが通過するパイプ54が埋設されており、キャビティ44内に注入した樹脂Pを保温または冷却させ得るよう構成されている。
【0022】
また第2成形型42は、図1〜図3に示すように、第1成形型40側に開口するキャビティ44の開口縁部に、該第2成形型42よりも低い熱伝導性を有する断熱部材60が設けられている。換言すると断熱部材60は、第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dの開口縁部および各連通部44Eの開口縁部に沿って設けられている。この断熱部材60は、第2成形型42のキャビティ44に臨む壁面全体を構成するものではなく、第2成形型42におけるアルミニウムパネル10の裏面10Aに接触する当接面部から所要深さまでの部分を構成している。これにより、第2成形型42における第1成形型40側に開口するキャビティ44の開口縁部の全体が、該第2成形型42より低い熱伝導性に維持されている。
【0023】
前述した断熱部材60は、例えばステンレス鋼発泡体等の発泡金属から形成されている。この発泡金属は、公知の如く、スポンジ等の樹脂発泡体と同じ3次元網目状構造を有する金属多孔質体であり、実施例の断熱部材60は、気孔率が70〜95%のものが採用されている。発泡金属は、構造面から連続気泡構造と閉気孔構造とに区分されるが、実施例の断熱部材60は閉気孔構造のものを採用するのが望ましい。すなわち、閉気孔構造の発泡金属においては、高温の溶融状態の樹脂Pが断熱部材60に接触しても、該樹脂Pが気孔内へ入り込む不都合が発生しないためである。なお、断熱部材60の熱伝導率は、気孔率95%のステンレス鋼発泡体から形成されたもので0.1W/m・K程度であり、ダイス鋼から形成された第2成形型42の熱伝導率が48W/m・K程度であるから、充分な断熱性能を具備している。また、発泡金属からなる断熱部材60は熱に強いので、溶融した高温の樹脂Pが接触しても劣化したり変形することがない。
【0024】
従って図3および図4に示すように、キャビティ44に注入された溶融状態の樹脂Pのアルミニウムパネル10に隣接した部分は、断熱部材60に接触していて第2成形型42には接触しない。すなわち実施例の製造装置Mは、樹脂Pにおけるアルミニウムパネル10に隣接した部分の熱が断熱部材60により第2成形型42へ伝導し難いため、該樹脂Pの温度低下を抑えると共に流動性の悪化防止を図るようになっている。これにより、キャビティ44の各連通部44Eに注入された樹脂Pは、アルミニウムパネル10の裏面10Aに接触した状態で流動し易くなっており、第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dへ円滑に注入される。
【0025】
更に第2成形型42は、図1〜図3に示すように、キャビティ44の連通部44Eに向け進退可能に移動する複数の押圧型部62を備えている。これら押圧型部62は、図2および図3に示すように、キャビティ44の連通部44Eにおいて開口側と対向する壁部に配設され、該連通部44Eの壁面を部分的に構成している。そして各押圧型部62は、図示省略した適宜の付勢手段により、連通部44Eに対して第1成形型40側へ前進した状態(図5)および連通部44Eに対して後退した状態(図1および図4)の間で移動する。従って、各押圧型部62を前進移動させると、連通部44Eに注入されている樹脂Pが押圧され、第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44D内に注入されている樹脂Pにも圧力が付与されるようになる。これにより樹脂Pは、アルミニウムパネル10の裏面10Aに押し付けられ、該裏面10Aに形成された凹凸に入り込むようになる。なお、各押圧型部62の移動量は1mm以下である。また、各押圧型部62を移動させる付勢手段は、油圧を利用したものや、モータ等による機械的なものが採用される。
【0026】
次に、前述のように構成された製造装置Mを使用した実施例の金属樹脂複合部材の製造方法について説明する。
【0027】
先ず、別途成形したアルミニウムパネル10を第1成形型40のセット部46にセットしたもとで、該第1成形型40を第2成形型42へ近接させ、製造装置Mを型閉めする(図1)。そして、前述した可動型体42Aを図1の位置に移動させて、注入口50とキャビティ44とを空間的に連通させたもとで、該注入口50に当接させた樹脂射出ノズルNから溶融した樹脂Pを注入口50へ射出する。これにより樹脂Pは、各注入ランナ52を介してキャビティ44内へ注入される。
【0028】
図4に示すように、各連通部44Eへ移動した樹脂Pは、アルミニウムパネル10の裏面10Aおよび断熱部材60に接触しながら、第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dに向けて該連通部44E内を移動する。加熱された樹脂Pが連通部44Eを移動する際には、断熱部材60が第2成形型42より低い熱伝導性を有しているので、該樹脂Pの熱が第2成形型42へ移動し難い。従って、樹脂Pの温度低下が抑えられ、該樹脂Pの流動性が悪化(粘度が低下)し難い。
【0029】
連通部44E内において温度低下が抑えられた樹脂Pは、各第1〜各第4の陥凹部44A,44B,44C,44D内に順次充填されていく。そして、各第1〜各第4の陥凹部44A,44B,44C,44D内に注入された樹脂Pのアルミニウムパネル10に隣接した部分は、断熱部材60が第2成形型42より低い熱伝導性を有しているので、温度低下が抑えられて流動性が悪化(粘度が低下)し難く、裏面10Aに形成された凹凸へ入り込むようになる。
【0030】
キャビティ44に対する樹脂Pの注入が完了したら、図5に示すように、可動型体42Aを図5の位置へ移動させ、注入口50とキャビティ44との空間的な連通を遮断する。このもとで、各押圧型部62を第1成形型40側へ前進移動させ、該キャビティ44内に注入されている樹脂Pを加圧する。これにより樹脂Pは、アルミニウムパネル10の裏面10Aに押し付けられ、裏面10Aに形成された凹凸へ押し込まれる。
【0031】
そして、第1成形型40のパイプ48および第2成形型42のパイプ54に冷却した熱媒体を流通させ、第2成形型42を冷しながらキャビティ44内の樹脂Pの固化を促進させる。樹脂Pの固化が完了したら、押圧型部62による加圧を解除すると共に、第1成形型40を第2成形型42から離間させて製造装置Mを型開きし、製造された金属樹脂複合部材Wを第2成形型42から脱型することで、樹脂部材20の成形が完了する。
【0032】
従って、実施例の製造装置Mを利用した金属樹脂複合部材Wの製造方法によれば、第2成形型42におけるキャビティ44のアルミニウムパネル10に臨む開口縁部の全体が、該開口縁部に設けた断熱部材60により第2成形型42より低い熱伝導性に維持されるので、キャビティ44に注入された樹脂Pにおけるアルミニウムパネル10の裏面10Aに接触した部分の温度低下が抑えられ、樹脂Pの流動性の悪化防止が図られる。すなわち、キャビティ44に注入された樹脂Pは、アルミニウムパネル10の裏面10Aに形成された多数の凹凸に入り込んだ状態で固化するので、アンカー効果が適切に発現するようになる。これにより、樹脂部材20の構成部分である各第1取付片22、各第2取付片24、各第1縁部26および第2縁部28は、アンカー効果によりアルミニウムパネル10に強固に取着され、該パネル10から剥離し難くなる。そして、各連設部29においても、構成部分と同様にアルミニウムパネル10に強固に固定される。しかも、キャビティ44に注入された樹脂Pを押圧型部62で加圧するので、該樹脂Pがアルミニウムパネル10の裏面10Aに形成された凹凸に押し込まれるようになり、アンカー効果を適切かつ確実に発現させることができる。
【0033】
(変更例)
(1)断熱部材60は、図6に示すように、第1成形型40側に開口するキャビティ44における第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dの開口縁部および各連通部44Eの開口縁部において、各連通部44Eの開口縁部だけに設けるようにしてもよい。これにより、第2成形型42における各連通部44Eの開口縁部が断熱部材60により第2成形型42より低い熱伝導性に維持されるので、該連通部44E内において樹脂Pの温度低下が抑えられ、該樹脂Pを第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dへ円滑に注入させることが可能であり、樹脂部材20の構成部分をアルミニウムパネル10の裏面10Aに適切に取着させ得る。
(2)断熱部材60は、図7に示すように、第1成形型40側に開口するキャビティ44における第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dの開口縁部および各連通部44Eの開口縁部において、第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dの開口縁部だけに設けるようにしてもよい。これにより、第2成形型42における第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dの開口縁部が断熱部材60により第2成形型42より低い熱伝導性に維持されるので、該陥凹部44A,44B,44C,44D内において樹脂Pの温度低下が抑えられ、該樹脂Pを各陥凹部44A,44B,44C,44Dの全体へ円滑に充填させることが可能である。また、樹脂部材20の第1取付片22、第2取付片24、第1縁部26および第2縁部28を、アルミニウムパネル10の裏面10Aに適切に取着させ得る。
(3)断熱部材60は、前記実施例の如く、第1成形型40側に開口するキャビティ44における第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dの開口縁部および各連通部44Eの開口縁部の全部に設けずに、各開口縁部の断熱部材60が必要な部位だけに設けてもよい。
(4)実施例では、樹脂部材20の構成部分として第1取付片22、第2取付片24、第1縁部26および第2縁部28を例示したが、本願における樹脂部材20の構成部分とは、金属樹脂複合部材Wを構成する上で必要不可欠な樹脂の部分を意味する。実施例の金属樹脂複合部材Wでは、相手部材へ取付けるための第1取付片22および第2取付片24と、開口部の内縁である第1縁部26および第2縁部28とが、該金属樹脂複合部材Wとして実施に供される際に必要な部分である。すなわち、樹脂部材20の構成部分は、各々の金属樹脂複合部材W毎に形状、サイズ、配設位置等が異なる。
(5)断熱部材60は、実施例で例示した発泡金属に限定されず、メッキ処理されたガルバリウム鋼等から形成したものであってもよい。
(6)押圧型部62は、第1〜第4の陥凹部44A,44B,44C,44Dに臨む壁面に設けてもよい。
(7)キャビティ44が第1成形型40にも画成される場合には、第1成形型40における該キャビティ44に臨む部位に断熱部材60を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施例の製造装置を概略的に示す縦断面図である。
【図2】製造装置における第2成形型の平面図である。
【図3】第2成形型に設けた断熱部材および押圧型部を、第2成形型を透視した状態で示す部分斜視図である。
【図4】型閉めした製造装置のキャビティ内に樹脂を注入した状態を示す断面図である。
【図5】キャビティに注入した樹脂を押圧型部で加圧した状態を示す断面図である。
【図6】変更例に係る第2成形型の平面図である。
【図7】別変更例に係る第2成形型の平面図である。
【図8】アルミニウムパネルの裏面に、アンカー効果により樹脂部材を取着した金属樹脂複合部材の一例を示す斜視図である。
【図9】(a)は、図6に示す金属樹脂複合部材の背面図であり、(b)は、金属樹脂複合部材の正面図である。
【図10】(a)は、図9(a)のXa-Xa線断面図であり、(b)は、図9(a)のXb-Xb線断面図である。
【図11】従来の製造装置を概略的に示す断面図である。
【図12】図11に図示した製造装置における第2成形型の平面図である。
【符号の説明】
【0035】
10 アルミニウムパネル(金属部材),20 樹脂部材,22 第1取付片(構成部分)
24 第2取付片(構成部分),26 第1縁部(構成部分),28 第2縁部(構成部分)
40 第1成形型,42 第2成形型,44 キャビティ,44A 第1陥凹部
44B 第2陥凹部,44C 第3陥凹部,44D 第4陥凹部,44E 連通部
50 注入口,52 注入ランナ,60 断熱部材,62 押圧型部,P 樹脂
W 金属樹脂複合部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属部材および該金属部材に取着した樹脂部材からなる金属樹脂複合部材を製造する製造装置および製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8は、所要形状に形成したアルミニウムパネル10の裏面10Aに、インジェクション成形された合成樹脂製の樹脂部材20を取着して構成される金属樹脂複合部材Wを示す斜視図である。この金属樹脂複合部材Wは、例えばインストルメントパネルやフロアコンソール等の車両内装部材に、アルミニウムパネル10が外側に露出した状態で取付けられる装飾パネル部材として用いられる。樹脂部材20は、図8〜図10に示すように、アルミニウムパネル10の裏側で裏面10Aに接触した状態で成形されたものである。図8に示す樹脂部材20は、相手部材(車両内装部材)へ取付けるためのアルミニウムパネル10の裏側へ立設された複数の第1取付片22および該パネル10の側方へ延出した複数の第2取付片24と、円形の第1開口部12の内縁に沿う第1縁部26と、矩形の第2開口部14の内縁に沿う第2縁部28とを、複数の連設部29で連設した単一の部材となっている。そして、アルミニウムパネル10の裏面10Aは、表面処理技術の一つである公知のエッチング処理により微細な凹凸が多数形成されており(図示せず)、樹脂部材20はアンカー効果により該パネル10に取着されている。なお符号29Aは、後述する製造装置M1で樹脂部材20を成形するに際し、該製造装置M1の注入ランナ38内で固化した樹脂から形成された余剰樹脂部であり、この余剰樹脂部29Aは前述した連設部29に立設した状態に形成されている。
【0003】
前述した金属樹脂複合部材Wは、図11に概略的に図示した製造装置M1を利用して製造される。この製造装置M1は、所謂インジェクション成形型であり、アルミニウムパネル10を保持可能な第1成形型30と、第1成形型30との型閉めによりアルミニウムパネル10の裏面10Aとの間にキャビティ34を画成する第2成形型32とを備えている。第2成形型32は、図12に示すように、前述した樹脂部材20の第1取付片22、第2取付片24、第1縁部26、第2縁部28を成形する第1〜第4の各陥凹部34A,34B,34C,34Dと、各連設部29を成形する連通部34Eとが凹設され、これら第1〜第4の各陥凹部34A,34B,34C,34Dおよび連通部34Eが第1成形型30側へ開口してキャビティ34を形成する。すなわち、キャビティ34の陥凹部34A,34B,34C,34Dは、各々の連通部34Eを介して繋がっている。また第2成形型32には、注入口36と、該注入口36およびキャビティ34の連通部34Eを空間的に連通する複数の注入ランナ38とが設けられている。
【0004】
従って、アルミニウムパネル10を保持した第1成形型30と第2成形型32とを型閉めしたもとで、注入口36に当接させた樹脂射出ノズルNから溶融した樹脂Pを射出することで、各注入ランナ38を介してキャビティ34の各連通部34Eに該樹脂Pが注入される。そして樹脂Pは、各連通部34Eから各第1〜第4の陥凹部34A,34B,34C,34D内に移動して、アルミニウムパネル10の裏面10Aに接触した状態で徐々に固化する。樹脂Pの固化によりキャビティ34内で成形された樹脂部材20の各第1取付片22、第2取付片24、第1縁部26、第2縁部28および連設部29は、アンカー効果によりアルミニウムパネル10の裏面10Aに取着される。このような金属樹脂複合部材の製造装置および製造方法は、例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2003−200453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、注入口36から注入された溶融状態の樹脂Pは、各注入ランナ38を移動する際には第2成形型32に接触すると共に、キャビティ34の各連通部34Eおよび第1〜第4の各陥凹部34A,34B,34C,34Dを移動する際には該第2成形型32およびアルミニウムパネル10の両方に接触する。このため樹脂Pは、注入後から徐々に温度が低下し、これに伴って粘度が徐々に高まっていく。そこで、前述した製造装置M1では、キャビティ34の各陥凹部34A,34B,34C,34D全体に溶融した樹脂Pを効率的に行き渡せるため、図11および図12に示すように、複数の注入ランナ38を設けている。しかるに、樹脂部材20の形状や大きさ、製造装置W1のサイズ等により、適切な位置に適切な数の注入ランナ38を設けることが困難な場合がある。従って、キャビティ34の注入ランナ38から遠い部位(例えば、図12の各S部等)においては、該部位に到達した時点で既に樹脂Pの粘度がかなり高まっている。このため樹脂Pは、アルミニウムパネル10の裏面10Aに形成された多数の前記凹凸に入り込むことなく固化するようになる。これにより、適切なアンカー効果が得られなくなり、成形された樹脂部材20がアルミニウムパネル10に強固に取着されず、第1取付片22、第2取付片24、第1縁部26、第2縁部28および連設部29が剥離し易くなる不都合が発生していた。
【0006】
従って本発明では、樹脂部材が金属部材に強固に取着された金属樹脂複合部材を得るための製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、
金属部材を保持可能な第1成形型と、前記第1成形型との型閉めにより前記金属部材との間にキャビティを画成する第2成形型とを有し、前記キャビティで樹脂部材を成形すると共に該樹脂部材を前記金属部材に取着した金属樹脂複合部材を製造する装置において、
前記第2成形型における前記第1成形型側に開口する前記キャビティの開口縁部に、該第2成形型よりも低い熱伝導性を有する断熱部材を設けたことを特徴とする。
【0008】
従って、請求項1に係る発明によれば、キャビティの開口縁部における断熱部材を設けた部位が第2成形型より低い熱伝導性に維持されるので、該キャビティに注入された樹脂における金属部材に接触した部分の温度低下が抑えられ、該樹脂の流動性の悪化防止を図ることが可能である。これにより、樹脂が金属部材の外面に沿った状態で固化するようになり、キャビティ内で成形された樹脂部材を金属部材に適切に取着させることが可能である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記キャビティは、前記樹脂部材の構成部分を成形する陥凹部と、樹脂注入用の注入ランナに連通すると共に前記陥凹部に連通し、前記構成部分に連設する連設部を成形する連通部とを有し、
前記第2成形型における第1成形型側に開口する前記連通部の開口縁部に、前記断熱部材を設けたことを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、連通部の開口縁部が断熱部材により第2成形型より低い熱伝導性に維持されるので、該連通部内において樹脂の温度低下が抑えられ、該樹脂を各陥凹部へ円滑に注入させることが可能である。また、樹脂部材の連設部を、金属部材に適切に取着させ得る。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記キャビティは、前記樹脂部材の構成部分を成形する陥凹部と、樹脂注入用の注入ランナに連通すると共に前記陥凹部に連通し、前記構成部分に連設する連設部を成形する連通部とを有し、
前記第2成形型における第1成形型側に開口する前記陥凹部の開口縁部に、前記断熱部材を設けたことを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、陥凹部の開口縁部が断熱部材により第2成形型より低い熱伝導性に維持されるので、該陥凹部内において樹脂の温度低下が抑えられ、該樹脂を陥凹部の全体へ円滑に充填させることが可能である。また、樹脂部材の各構成部分を、金属部材に適切に取着させ得る。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記第2成形型は、前記キャビティ内に注入された樹脂を加圧する押圧型部を備えたことを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、キャビティ内に注入された樹脂が、金属部材の外面に押し付けられた状態で固化される。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記断熱部材は発泡金属であることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、断熱部材が熱に強いので、高温の樹脂の接触による該断熱部材の劣化や変形が発生しない。
【0013】
請求項6に記載の発明は、金属部材を保持可能な第1成形型と該第1成形型と対をなす第2成形型とを型閉めし、前記金属部材と第2成形型との間に画成されたキャビティで樹脂部材を成形すると共に、該樹脂部材を前記金属部材に取着した金属樹脂複合部材を製造する方法において、
前記第2成形型における前記第1成形型側に開口する前記キャビティの開口縁部を、該第2成形型より低い熱伝導性に維持したもとで、該キャビティに前記樹脂部材成形用の樹脂を注入することを特徴とする
【0014】
従って、請求項6に係る発明によれば、キャビティに注入された樹脂における金属部材に接触した部分の温度低下を抑えられ、該樹脂の流動性の悪化防止を図り得る。これにより、樹脂を金属部材の外面に沿った状態で固化させ得るので、アンカー効果が適切に発現するようになり、キャビティで成形された樹脂部材を金属部材に強固に取着させることが可能である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記樹脂のキャビティへの注入完了後に、前記第2成形型に配設した押圧型部で該樹脂を加圧することを要旨とする。
従って、請求項7に係る発明によれば、キャビティに注入された樹脂を、金属部材の外面に押し付けた状態で固化させ得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る金属樹脂複合部材の製造装置によれば、キャビティの開口縁部において断熱部材を設けた部位が第2成形型より低い熱伝導性に維持されるので、該キャビティに注入された樹脂における金属部材に接触した部分の温度低下が抑えられ、該樹脂の流動性の悪化防止が図られる。これにより、樹脂が金属部材の外面に沿った状態で固化するようになり、キャビティ内で成形された樹脂部材を金属部材に適切に取着させることが可能である。
また、別の発明に係る金属樹脂複合部材の製造方法によれば、キャビティに注入された樹脂における金属部材に接触した部分の温度低下を抑えて、該樹脂の流動性の悪化防止を図るようにしたので、樹脂が金属部材の外面に沿った状態で固化するようになり、キャビティで成形された樹脂部材を金属部材に適切に取着させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明に係る金属樹脂複合部材の製造装置および製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、アルミニウムパネル10および樹脂部材20から構成される図8に示す金属樹脂複合部材Wを成形する製造装置および製造方法について説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、実施例に係る金属樹脂複合部材の製造装置Mを、形状を概略化して示した側断面図である。実施例の製造装置Mは、金属樹脂複合部材Wのアルミニウムパネル10を保持可能な第1成形型40と、第1成形型40との型閉めによりアルミニウムパネル10の裏面(外面)10Aとの間にキャビティ44を画成する第2成形型42とを備えている。この製造装置Mは、所謂インジェクション成形型であり、第2成形型42は第2フレーム43に固定され、第1成形型40は第1フレーム41に固定されている。従って製造装置Mは、第1フレーム41が第2フレーム43側へ移動することで第1成形型40が第2成形型42に近接して型閉めされ、第1フレーム41が第2フレーム43から離間する側へ移動することで第1成形型40が第2成形型42から離間して型開きされる。
【0019】
第1成形型40は、図1に示すように、モリブデン−タングステンで構成されたダイス鋼等を素材とし、アルミニウムパネル10がセットされるセット部46が形成されている。また、第1成形型40の内部には、熱媒体である水またはオイルが通過するパイプ48が埋設されており、アルミニウムパネル10を加熱または冷却することで、キャビティ44内に注入した樹脂Pを保温または冷却させ得るようになっている。
【0020】
第2成形型42は、図2に示すように、モリブデン−タングステンで構成されたダイス鋼等を素材とし、樹脂部材20の第1取付片22(構成部分)、第2取付片24(構成部分)、第1縁部26(構成部分)、第2縁部28(構成部分)を成形する第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dと、各連設部29を成形する連通部44Eとが凹設されている。すなわち、キャビティ44の第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dは、各連通部44Eを介して繋がっている。また第2成形型42には、注入口50と、該注入口50およびキャビティ44の連通部44Eを空間的に連通する複数の注入ランナ52とが設けられている。
【0021】
更に第2成形型42は、図1および図4に示した位置および図5に示した位置との間でスライド可能なプレート状の可動型体42Aを内部に備えている。この可動型体42Aには、各注入ランナ52に対応した開口部が形成されている。すなわち、可動型体42Aが図1および図4の位置に移動した際には、該可動型体42Aに形成された各開口部が各注入ランナ52と整合して、注入口50とキャビティ44とが連通状態となる。また、可動型体42Aが図5の位置に移動した際には、該可動型体42Aに形成された各開口部が各注入ランナ52から退避するため、注入口50とキャビティ44とが非連通状態となるよう構成されている。更に、第2成形型42の内部には、熱媒体である水またはオイルが通過するパイプ54が埋設されており、キャビティ44内に注入した樹脂Pを保温または冷却させ得るよう構成されている。
【0022】
また第2成形型42は、図1〜図3に示すように、第1成形型40側に開口するキャビティ44の開口縁部に、該第2成形型42よりも低い熱伝導性を有する断熱部材60が設けられている。換言すると断熱部材60は、第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dの開口縁部および各連通部44Eの開口縁部に沿って設けられている。この断熱部材60は、第2成形型42のキャビティ44に臨む壁面全体を構成するものではなく、第2成形型42におけるアルミニウムパネル10の裏面10Aに接触する当接面部から所要深さまでの部分を構成している。これにより、第2成形型42における第1成形型40側に開口するキャビティ44の開口縁部の全体が、該第2成形型42より低い熱伝導性に維持されている。
【0023】
前述した断熱部材60は、例えばステンレス鋼発泡体等の発泡金属から形成されている。この発泡金属は、公知の如く、スポンジ等の樹脂発泡体と同じ3次元網目状構造を有する金属多孔質体であり、実施例の断熱部材60は、気孔率が70〜95%のものが採用されている。発泡金属は、構造面から連続気泡構造と閉気孔構造とに区分されるが、実施例の断熱部材60は閉気孔構造のものを採用するのが望ましい。すなわち、閉気孔構造の発泡金属においては、高温の溶融状態の樹脂Pが断熱部材60に接触しても、該樹脂Pが気孔内へ入り込む不都合が発生しないためである。なお、断熱部材60の熱伝導率は、気孔率95%のステンレス鋼発泡体から形成されたもので0.1W/m・K程度であり、ダイス鋼から形成された第2成形型42の熱伝導率が48W/m・K程度であるから、充分な断熱性能を具備している。また、発泡金属からなる断熱部材60は熱に強いので、溶融した高温の樹脂Pが接触しても劣化したり変形することがない。
【0024】
従って図3および図4に示すように、キャビティ44に注入された溶融状態の樹脂Pのアルミニウムパネル10に隣接した部分は、断熱部材60に接触していて第2成形型42には接触しない。すなわち実施例の製造装置Mは、樹脂Pにおけるアルミニウムパネル10に隣接した部分の熱が断熱部材60により第2成形型42へ伝導し難いため、該樹脂Pの温度低下を抑えると共に流動性の悪化防止を図るようになっている。これにより、キャビティ44の各連通部44Eに注入された樹脂Pは、アルミニウムパネル10の裏面10Aに接触した状態で流動し易くなっており、第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dへ円滑に注入される。
【0025】
更に第2成形型42は、図1〜図3に示すように、キャビティ44の連通部44Eに向け進退可能に移動する複数の押圧型部62を備えている。これら押圧型部62は、図2および図3に示すように、キャビティ44の連通部44Eにおいて開口側と対向する壁部に配設され、該連通部44Eの壁面を部分的に構成している。そして各押圧型部62は、図示省略した適宜の付勢手段により、連通部44Eに対して第1成形型40側へ前進した状態(図5)および連通部44Eに対して後退した状態(図1および図4)の間で移動する。従って、各押圧型部62を前進移動させると、連通部44Eに注入されている樹脂Pが押圧され、第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44D内に注入されている樹脂Pにも圧力が付与されるようになる。これにより樹脂Pは、アルミニウムパネル10の裏面10Aに押し付けられ、該裏面10Aに形成された凹凸に入り込むようになる。なお、各押圧型部62の移動量は1mm以下である。また、各押圧型部62を移動させる付勢手段は、油圧を利用したものや、モータ等による機械的なものが採用される。
【0026】
次に、前述のように構成された製造装置Mを使用した実施例の金属樹脂複合部材の製造方法について説明する。
【0027】
先ず、別途成形したアルミニウムパネル10を第1成形型40のセット部46にセットしたもとで、該第1成形型40を第2成形型42へ近接させ、製造装置Mを型閉めする(図1)。そして、前述した可動型体42Aを図1の位置に移動させて、注入口50とキャビティ44とを空間的に連通させたもとで、該注入口50に当接させた樹脂射出ノズルNから溶融した樹脂Pを注入口50へ射出する。これにより樹脂Pは、各注入ランナ52を介してキャビティ44内へ注入される。
【0028】
図4に示すように、各連通部44Eへ移動した樹脂Pは、アルミニウムパネル10の裏面10Aおよび断熱部材60に接触しながら、第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dに向けて該連通部44E内を移動する。加熱された樹脂Pが連通部44Eを移動する際には、断熱部材60が第2成形型42より低い熱伝導性を有しているので、該樹脂Pの熱が第2成形型42へ移動し難い。従って、樹脂Pの温度低下が抑えられ、該樹脂Pの流動性が悪化(粘度が低下)し難い。
【0029】
連通部44E内において温度低下が抑えられた樹脂Pは、各第1〜各第4の陥凹部44A,44B,44C,44D内に順次充填されていく。そして、各第1〜各第4の陥凹部44A,44B,44C,44D内に注入された樹脂Pのアルミニウムパネル10に隣接した部分は、断熱部材60が第2成形型42より低い熱伝導性を有しているので、温度低下が抑えられて流動性が悪化(粘度が低下)し難く、裏面10Aに形成された凹凸へ入り込むようになる。
【0030】
キャビティ44に対する樹脂Pの注入が完了したら、図5に示すように、可動型体42Aを図5の位置へ移動させ、注入口50とキャビティ44との空間的な連通を遮断する。このもとで、各押圧型部62を第1成形型40側へ前進移動させ、該キャビティ44内に注入されている樹脂Pを加圧する。これにより樹脂Pは、アルミニウムパネル10の裏面10Aに押し付けられ、裏面10Aに形成された凹凸へ押し込まれる。
【0031】
そして、第1成形型40のパイプ48および第2成形型42のパイプ54に冷却した熱媒体を流通させ、第2成形型42を冷しながらキャビティ44内の樹脂Pの固化を促進させる。樹脂Pの固化が完了したら、押圧型部62による加圧を解除すると共に、第1成形型40を第2成形型42から離間させて製造装置Mを型開きし、製造された金属樹脂複合部材Wを第2成形型42から脱型することで、樹脂部材20の成形が完了する。
【0032】
従って、実施例の製造装置Mを利用した金属樹脂複合部材Wの製造方法によれば、第2成形型42におけるキャビティ44のアルミニウムパネル10に臨む開口縁部の全体が、該開口縁部に設けた断熱部材60により第2成形型42より低い熱伝導性に維持されるので、キャビティ44に注入された樹脂Pにおけるアルミニウムパネル10の裏面10Aに接触した部分の温度低下が抑えられ、樹脂Pの流動性の悪化防止が図られる。すなわち、キャビティ44に注入された樹脂Pは、アルミニウムパネル10の裏面10Aに形成された多数の凹凸に入り込んだ状態で固化するので、アンカー効果が適切に発現するようになる。これにより、樹脂部材20の構成部分である各第1取付片22、各第2取付片24、各第1縁部26および第2縁部28は、アンカー効果によりアルミニウムパネル10に強固に取着され、該パネル10から剥離し難くなる。そして、各連設部29においても、構成部分と同様にアルミニウムパネル10に強固に固定される。しかも、キャビティ44に注入された樹脂Pを押圧型部62で加圧するので、該樹脂Pがアルミニウムパネル10の裏面10Aに形成された凹凸に押し込まれるようになり、アンカー効果を適切かつ確実に発現させることができる。
【0033】
(変更例)
(1)断熱部材60は、図6に示すように、第1成形型40側に開口するキャビティ44における第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dの開口縁部および各連通部44Eの開口縁部において、各連通部44Eの開口縁部だけに設けるようにしてもよい。これにより、第2成形型42における各連通部44Eの開口縁部が断熱部材60により第2成形型42より低い熱伝導性に維持されるので、該連通部44E内において樹脂Pの温度低下が抑えられ、該樹脂Pを第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dへ円滑に注入させることが可能であり、樹脂部材20の構成部分をアルミニウムパネル10の裏面10Aに適切に取着させ得る。
(2)断熱部材60は、図7に示すように、第1成形型40側に開口するキャビティ44における第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dの開口縁部および各連通部44Eの開口縁部において、第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dの開口縁部だけに設けるようにしてもよい。これにより、第2成形型42における第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dの開口縁部が断熱部材60により第2成形型42より低い熱伝導性に維持されるので、該陥凹部44A,44B,44C,44D内において樹脂Pの温度低下が抑えられ、該樹脂Pを各陥凹部44A,44B,44C,44Dの全体へ円滑に充填させることが可能である。また、樹脂部材20の第1取付片22、第2取付片24、第1縁部26および第2縁部28を、アルミニウムパネル10の裏面10Aに適切に取着させ得る。
(3)断熱部材60は、前記実施例の如く、第1成形型40側に開口するキャビティ44における第1〜第4の各陥凹部44A,44B,44C,44Dの開口縁部および各連通部44Eの開口縁部の全部に設けずに、各開口縁部の断熱部材60が必要な部位だけに設けてもよい。
(4)実施例では、樹脂部材20の構成部分として第1取付片22、第2取付片24、第1縁部26および第2縁部28を例示したが、本願における樹脂部材20の構成部分とは、金属樹脂複合部材Wを構成する上で必要不可欠な樹脂の部分を意味する。実施例の金属樹脂複合部材Wでは、相手部材へ取付けるための第1取付片22および第2取付片24と、開口部の内縁である第1縁部26および第2縁部28とが、該金属樹脂複合部材Wとして実施に供される際に必要な部分である。すなわち、樹脂部材20の構成部分は、各々の金属樹脂複合部材W毎に形状、サイズ、配設位置等が異なる。
(5)断熱部材60は、実施例で例示した発泡金属に限定されず、メッキ処理されたガルバリウム鋼等から形成したものであってもよい。
(6)押圧型部62は、第1〜第4の陥凹部44A,44B,44C,44Dに臨む壁面に設けてもよい。
(7)キャビティ44が第1成形型40にも画成される場合には、第1成形型40における該キャビティ44に臨む部位に断熱部材60を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施例の製造装置を概略的に示す縦断面図である。
【図2】製造装置における第2成形型の平面図である。
【図3】第2成形型に設けた断熱部材および押圧型部を、第2成形型を透視した状態で示す部分斜視図である。
【図4】型閉めした製造装置のキャビティ内に樹脂を注入した状態を示す断面図である。
【図5】キャビティに注入した樹脂を押圧型部で加圧した状態を示す断面図である。
【図6】変更例に係る第2成形型の平面図である。
【図7】別変更例に係る第2成形型の平面図である。
【図8】アルミニウムパネルの裏面に、アンカー効果により樹脂部材を取着した金属樹脂複合部材の一例を示す斜視図である。
【図9】(a)は、図6に示す金属樹脂複合部材の背面図であり、(b)は、金属樹脂複合部材の正面図である。
【図10】(a)は、図9(a)のXa-Xa線断面図であり、(b)は、図9(a)のXb-Xb線断面図である。
【図11】従来の製造装置を概略的に示す断面図である。
【図12】図11に図示した製造装置における第2成形型の平面図である。
【符号の説明】
【0035】
10 アルミニウムパネル(金属部材),20 樹脂部材,22 第1取付片(構成部分)
24 第2取付片(構成部分),26 第1縁部(構成部分),28 第2縁部(構成部分)
40 第1成形型,42 第2成形型,44 キャビティ,44A 第1陥凹部
44B 第2陥凹部,44C 第3陥凹部,44D 第4陥凹部,44E 連通部
50 注入口,52 注入ランナ,60 断熱部材,62 押圧型部,P 樹脂
W 金属樹脂複合部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部材を保持可能な第1成形型と、前記第1成形型との型閉めにより前記金属部材との間にキャビティを画成する第2成形型とを有し、前記キャビティで樹脂部材を成形すると共に該樹脂部材を前記金属部材に取着した金属樹脂複合部材を製造する装置において、
前記第2成形型における前記第1成形型側に開口する前記キャビティの開口縁部に、該第2成形型よりも低い熱伝導性を有する断熱部材を設けた
ことを特徴とする金属樹脂複合部材の製造装置。
【請求項2】
前記キャビティは、前記樹脂部材の構成部分を成形する陥凹部と、樹脂注入用の注入ランナに連通すると共に前記陥凹部に連通し、前記構成部分に連設する連設部を成形する連通部とを有し、
前記第2成形型における第1成形型側に開口する前記連通部の開口縁部に、前記断熱部材を設けた請求項1記載の金属樹脂複合部材の製造装置。
【請求項3】
前記キャビティは、前記樹脂部材の構成部分を成形する陥凹部と、樹脂注入用の注入ランナに連通すると共に前記陥凹部に連通し、前記構成部分に連設する連設部を成形する連通部とを有し、
前記第2成形型における第1成形型側に開口する前記陥凹部の開口縁部に、前記断熱部材を設けた請求項1または2記載の金属樹脂複合部材の製造装置。
【請求項4】
前記第2成形型は、前記キャビティ内に注入された樹脂を加圧する押圧型部を備えた請求項1〜3の何れか一項に記載の金属樹脂複合部材の製造装置。
【請求項5】
前記断熱部材は発泡金属である請求項1〜4の何れか一項に記載の金属樹脂複合部材の製造装置。
【請求項6】
金属部材を保持可能な第1成形型と該第1成形型と対をなす第2成形型とを型閉めし、前記金属部材と第2成形型との間に画成されたキャビティで樹脂部材を成形すると共に、該樹脂部材を前記金属部材に取着した金属樹脂複合部材を製造する方法において、
前記第2成形型における前記第1成形型側に開口する前記キャビティの開口縁部を、該第2成形型より低い熱伝導性に維持したもとで、該キャビティに前記樹脂部材成形用の樹脂を注入する
ことを特徴とする金属樹脂複合部材の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂のキャビティへの注入完了後に、前記第2成形型に配設した押圧型部で該樹脂を加圧する請求項6記載の金属樹脂複合部材の製造方法。
【請求項1】
金属部材を保持可能な第1成形型と、前記第1成形型との型閉めにより前記金属部材との間にキャビティを画成する第2成形型とを有し、前記キャビティで樹脂部材を成形すると共に該樹脂部材を前記金属部材に取着した金属樹脂複合部材を製造する装置において、
前記第2成形型における前記第1成形型側に開口する前記キャビティの開口縁部に、該第2成形型よりも低い熱伝導性を有する断熱部材を設けた
ことを特徴とする金属樹脂複合部材の製造装置。
【請求項2】
前記キャビティは、前記樹脂部材の構成部分を成形する陥凹部と、樹脂注入用の注入ランナに連通すると共に前記陥凹部に連通し、前記構成部分に連設する連設部を成形する連通部とを有し、
前記第2成形型における第1成形型側に開口する前記連通部の開口縁部に、前記断熱部材を設けた請求項1記載の金属樹脂複合部材の製造装置。
【請求項3】
前記キャビティは、前記樹脂部材の構成部分を成形する陥凹部と、樹脂注入用の注入ランナに連通すると共に前記陥凹部に連通し、前記構成部分に連設する連設部を成形する連通部とを有し、
前記第2成形型における第1成形型側に開口する前記陥凹部の開口縁部に、前記断熱部材を設けた請求項1または2記載の金属樹脂複合部材の製造装置。
【請求項4】
前記第2成形型は、前記キャビティ内に注入された樹脂を加圧する押圧型部を備えた請求項1〜3の何れか一項に記載の金属樹脂複合部材の製造装置。
【請求項5】
前記断熱部材は発泡金属である請求項1〜4の何れか一項に記載の金属樹脂複合部材の製造装置。
【請求項6】
金属部材を保持可能な第1成形型と該第1成形型と対をなす第2成形型とを型閉めし、前記金属部材と第2成形型との間に画成されたキャビティで樹脂部材を成形すると共に、該樹脂部材を前記金属部材に取着した金属樹脂複合部材を製造する方法において、
前記第2成形型における前記第1成形型側に開口する前記キャビティの開口縁部を、該第2成形型より低い熱伝導性に維持したもとで、該キャビティに前記樹脂部材成形用の樹脂を注入する
ことを特徴とする金属樹脂複合部材の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂のキャビティへの注入完了後に、前記第2成形型に配設した押圧型部で該樹脂を加圧する請求項6記載の金属樹脂複合部材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−94842(P2010−94842A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265561(P2008−265561)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
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