鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置
【課題】電子制御を必要とせずに、従来の機械的制御によって高さ調整弁が独立に空気ばね高さを保とうとすることで生じる輪重変化を抑制する。
【解決手段】鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置である。それぞれの空気ばね3a〜3dに2つの高さ調整弁4a〜4d、11a〜11dを備える。一方の高さ調整弁4a〜4dは、作動軸4aa〜4daの回転角に従って高さ調整弁4a〜4dが設置されている空気ばね3a〜3dの給排気を行う。他方の高さ調整弁11a〜11dは、作動軸11aa〜11daの回転角に従って高さ調整弁11a〜11dが設置されている空気ばね3a〜3dと車両幅方向の同じ側にあって、車両進行方向の前後逆側にある他の空気ばねの給排気を行うようにした。
【効果】緩和曲線通過時の輪重変動を抑制し、曲線通過性能を向上できる。
【解決手段】鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置である。それぞれの空気ばね3a〜3dに2つの高さ調整弁4a〜4d、11a〜11dを備える。一方の高さ調整弁4a〜4dは、作動軸4aa〜4daの回転角に従って高さ調整弁4a〜4dが設置されている空気ばね3a〜3dの給排気を行う。他方の高さ調整弁11a〜11dは、作動軸11aa〜11daの回転角に従って高さ調整弁11a〜11dが設置されている空気ばね3a〜3dと車両幅方向の同じ側にあって、車両進行方向の前後逆側にある他の空気ばねの給排気を行うようにした。
【効果】緩和曲線通過時の輪重変動を抑制し、曲線通過性能を向上できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に使用される空気ばねの高さを調整する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両では、図10に示すように、車体1と台車2間に介在させた、たとえば4つの空気ばね3a〜3d毎に高さ調整弁4a〜4dが設置されている。これらの高さ調整弁4a〜4dは、たとえば車体1に設置され、その作動軸4aa〜4daに一端を取り付けたレバー5a〜5dの他端を、一端を台車2に揺動が自在なように取り付けた連結棒6a〜6dの他端に枢支した構成である。
【0003】
このような高さ調整弁4a〜4dでは、レバー5a〜5dが水平位置にあるときは空気ばね3a〜3dに対して給排気は行われない。一方、例えばレバー5a〜5dが図10(b)において右下がりに傾斜して空気ばね3a〜3d部における車体1と台車2の間隔が狭くなると、空気ダメ7から配管8を介して空気ばね3a〜3dに給気されて内圧が高められ、前記車体1と台車2の間隔を元に戻す。
【0004】
このように、鉄道車両では、高さ調整弁4a〜4dの機能により、負荷の変動に応じて空気ダメ7から空気ばね3a〜3dへの空気の供給や、空気ばね3a〜3d内の空気の外部への排出を行うことで、車両の高さが一定となるように調整している。
【0005】
ところで、曲線区間には、車両に加わる遠心力を打ち消すために、軌道にカントと呼ばれる傾斜がつけられている。そして、傾斜のついた曲線部分と平坦な直線部分の間には、緩和曲線と呼ばれる軌道ねじれ区間が存在する。
【0006】
この緩和曲線区間では、車両は、軌道のねじれを車両の1次ばねと2次ばねで吸収するが、その反力として、曲線の外軌側と内軌側の輪重に差がでる。この輪重差の割合、すなわち左右の平均輪重に対してどれだけ変動しているかを輪重変動率と呼び、(車両幅方向左側の輪重+同右側の輪重)/2を平均輪重とすると、輪重変動率は、たとえば{(平均輪重−車両幅方向右側の輪重)/平均輪重}×100%で表される。
【0007】
緩和曲線のうち、曲線出口側の緩和曲線では、先頭軸の外軌側輪重が減少し、一方で曲線通過による転向横圧も大きいため、脱線しやすい状態になる。したがって、緩和曲線での輪重変動を抑制することは、安全上極めて重要である。
【0008】
ちなみに、ねじれの厳しい緩和曲線上を低速で通過すると、高さ調整弁が動作して空気ばねの内圧が大きく変化し、外軌先頭側の空気ばねでは、内圧が低下する方に作用する。これは、図11に示すように、4個の空気ばね3a〜3dが軌道ねじれにより強制変位を受けるにも関わらず、それぞれの高さ調整弁が独立に高さを一定に保とうとして給排制御を行うためである。これにより、左右の空気ばね3aと3b、3cと3dの内圧差が大きくなり、その結果、大きな輪重変動が生じることになる。
【0009】
そこで、緩和曲線走行時において、高さ調整弁が独立に空気ばねの高さを一定に保とうとして、大きな輪重変動が生じるのを防ぐために、1車両に取り付けられた4つの高さ調整弁の動作を検知し、必要に応じて高さ調整弁の動作を遮断する技術が特許文献1で開示されている。
【特許文献1】特開2000−280900号公報
【0010】
また、2段流量特性を有する高さ調整弁本体を回転制御することで、高さ調整弁を開閉弁と同様に使用し、制御フェール時には、通常の高さ調整弁として作用する技術が非特許文献1に開示されている。
【非特許文献1】須田義大等、鉄道車両空気ばね系の緩和曲線輪重減少抑制制御性能向上に関する研究、日本機械学会第13回交通・物流部門大会講演論文集、p195〜198
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記の特許文献1や非特許文献1で開示された技術では、何れも電子制御を必要とする。電子制御は、ノイズの影響を受けて誤動作するおそれが内在し、また多くの部品から構成されるので、その一つでも不具合があれば全体として不具合を生じるおそれがあり、従来の高さ調整弁のような機械的制御に比べて信頼性が十分であるとはいえない。また、コストも高くなる。
【0012】
本発明が解決しようとする問題点は、緩和曲線走行中における輪重変動を抑制する従来の空気ばねの制御は、電子制御を必要とするので、機械式制御と比較して、信頼性が十分であるとはいえないという点である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置は、電子制御を必要とせずに、従来の機械的制御によって高さ調整弁が独立に空気ばね高さを保とうとすることで生じる輪重変化を抑制するために、以下の構成を採用している。
【0014】
すなわち、本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置は、
それぞれの空気ばねに2つの高さ調整弁を備え、
一方の高さ調整弁は、作動軸の回転角に従って当該一方の高さ調整弁が設置されている空気ばねの給排気を行い、
他方の高さ調整弁は、作動軸の回転角に従って当該他方の高さ調整弁が設置されている空気ばねと車両幅方向の同じ側にあって、車両進行方向の前後逆側にある他の空気ばねの給排気を行うようにしたことを最も主要な特徴としている。
【0015】
本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置において、前記他方の高さ調整弁が中立位置から作動を開始するまでの不感帯を、前記一方の高さ調整弁が中立位置から作動を開始するまでの不感帯よりも大きく設定すれば、空気ばねの立ち上げ時のピッチングを防止することができるようになり望ましい。
【0016】
この場合、前記他方の高さ調整弁の不感帯は、この他方の高さ調整弁が給排気を行なう空気ばねの中立高さを基準とし、当該空気ばねの高さが前記中立高さ分以上上下に変動した範囲であるようにすれば、空気ばねの立ち上げ時のピッチングを防止がより確実に行えるようになる。
【0017】
前記他方の高さ調整弁の不感帯の設定は、たとえば他方の高さ調整弁のレバー長を、前記一方の高さ調整弁のレバー長よりも長くなすことにより可能である。
【0018】
以上の本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置において、車両幅方向の両側に設置した前記他方の高さ調整弁の連結棒同士の間隔を、前記一方の高さ調整弁の連結棒同士の間隔よりも広くなした場合には、ローリングが起こったときの他方の高さ調整弁の作動軸の回転角がより大きくなり、他方の高さ調整弁が働きやすくなる。
【0019】
また、本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置において、前記不感帯の設定に代えて、一方の高さ調整弁による給排気流量を、前記他方の高さ調整弁による給排気流量より大きくなした場合には、一方の高さ調整弁が常時動作して、(一方の高さ調整弁の流量)−(他方の高さ調整弁の流量)に相当する給排気を行うため、輪重変動を抑制することができる。また、一方の高さ調整弁の流量の方が大きいため、ピッチングが継続することもない。
【0020】
この場合は、車両幅方向の両側に設置した前記一方の高さ調整弁を車両幅方向の中央部に配置し、前記一方の高さ調整弁の連結棒同士の間隔をなくしたり、また、この車両幅方向の中央部に配置した前記一方の高さ調整弁を一体に構成したものでも良い。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、ローリングに対して従来台車と同等の性能を有し、車体ねじりに対しては、柔らかく支持する空気ばねの高さ調整装置を構成することができる。これにより、電子制御を必要とせずに緩和曲線通過時の輪重変動を抑制し、曲線通過性能を向上することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の完成に至る新しい着想から従来の問題を解決するまでの経緯と共に、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面に示す例に基づいて説明する。
【0023】
発明者は、従来から用いられている機械式制御の高さ調整弁を使用し、図1に示すように、前台車の高さ調整弁4a,4bで後台車の空気ばね3c,3dにエアを供給し、後ろ台車の高さ調整弁4c,4dで前台車の空気ばね3a,3bにエアを給排することを考えた。
【0024】
前記のように配管を構成することで、車体のローリングに対しては、従来通りに作用するが、ねじりに対しては、従来の高さ調整弁の配管構成と異なり、ねじり変位がなくなる方向に作用し、曲線区間でのローリング剛性を維持しつつ、緩和曲線のねじりに対してスムーズな動作を行なうことができるようになる。
【0025】
しかしながら、高さ調整弁による空気ばねの給気と排気を前後の台車で逆にすると、ローリングに対しては従来と同等の性能を有し、ねじりに対しては輪重変動を抑制できるものの、車体がピッチングすると、ピッチングが増大する方向に作用するという欠点がある。
【0026】
そこで、発明者は、図10(a)に示す従来の配管構成の高さ調整弁と、図1に示す給排が前後の台車で逆の配管構成とした高さ調整弁を併用することを考えた。このようにした場合には、通常走行では従来の配管構成の高さ調整弁が動作し、緩和曲線通過時のように大きな軌道ねじれによって高さ調整弁に大きな回転角がつく場合には、従来と逆の配管構成とした高さ調整弁が動作し、ねじりに対して柔軟になり、軌道ねじれによる輪重変動を大幅に抑制できることを知見した。
【0027】
本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置は、このような知見に基づいてなされたものであり、図2に示すように、それぞれの空気ばね3a(〜3d)に2つの高さ調整弁4a(〜4d)と11a(〜11d)を備えさせている。
【0028】
そして、一方の高さ調整弁4a(〜4d)は、従来と同様、その作動軸4aa(〜4da)の回転角に従って当該高さ調整弁4a(〜4d)が設置されている空気ばね3a(〜3d)の給排気を行うように配管構成している。
【0029】
これに対して、他方の高さ調整弁11a(〜11d)は、その作動軸11aa(〜11da)の回転角に従って当該高さ調整弁11a(〜11d)が設置されている空気ばね3a(〜3d)と車両幅方向の同じ側にあって、車両進行方向の前後逆側にある他の空気ばねの給排気を行うように配管構成している。
【0030】
このような本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置の効果を確認するために、発明者は、図3に示すように、1車両を模擬したモデルの、レール相当部13をアクチュエータ12によって傾斜させ、カントのついた曲線を低速で走行した場合の輪重変動を模擬できる試験機を用いて、緩和曲線通過時の輪重変動を、高さ調整弁の特性を変化させて測定した。
【0031】
車両特性を下記表1に、カントが105mm、曲線区間の長さが100m、カント逓減倍率(カントをA、カントがなくなるまでの距離をBとした場合、B/A)が300、400、600倍の曲線を、5km/hの速度で走行させた場合の、出口緩和曲線の輪重変動測定結果を図4に示す。なお、図4は、従来の配管構成の高さ調整弁の不感帯は±5mmで作動時間遅れは1秒、従来と逆の配管構成とした高さ調整弁の不感帯は±30mmで作動時間遅れは2.3秒としたものを使用した結果である。
【0032】
【表1】
【0033】
図4より、出口側緩和曲線での輪重変動は、従来の配管構成の高さ調整弁を使用した場合(△印)と比較して、従来の配管構成と並列に従来と逆の配管構成とした高さ調整弁を使用した場合(▲印)には抑制できていることが分かる。特にカント逓減倍率が小さい場合に、輪重変動を大幅に抑制できている。
【0034】
本発明装置では、従来と逆の配管構成とした高さ調整弁11a〜11dが中立位置から作動を開始するまでの不感帯を、たとえば図5に示すように、この高さ調整弁11a〜11dが給排気を行なう空気ばねの中立高さを基準とし、当該空気ばねの高さが前記中立高さ分以上上下に変動した範囲であるように設定して、従来の配管構成の高さ調整弁4a〜4dの不感帯よりも大きく設定することが望ましい。
【0035】
このような設定とすれば、従来と逆の配管構成とした高さ調整弁11a〜11dは、軌道ねじれによってレバーに大きな回転角がついたときのみ作動し、直線区間の走行時のようにレバーに大きな回転角が生じないときには、従来の配管構成の高さ調整弁4a〜4dの動作により高さ調整が行え、空気ばねの立ち上げ時のピッチングを効果的に防止できる。
【0036】
このような従来と逆の配管構成とした高さ調整弁11a〜11dの不感帯の設定は、図6に示すように、たとえば高さ調整弁11a〜11dのレバー5a〜5dの長さを、従来の配管構成の高さ調整弁4a〜4dのレバー5a〜5dの長さよりも長くすることにより可能である。
【0037】
以上の本発明装置では、図7に示したように、車両幅方向の両側に設置した従来と逆の配管構成とした高さ調整弁11a〜11dの連結棒6a〜6d同士の間隔L1を、車両幅方向の両側に設置した前記一方の高さ調整弁の連結棒6a〜6d同士の間隔L2よりも広くすることが望ましい。このようにした場合には、ローリングが起こったときの前記高さ調整弁11a〜11dの作動軸の回転角がより大きくなるので、他方の高さ調整弁11a〜11dが働きやすくなる。この高さ調整弁11a〜11dの連結棒6a〜6d同士の間隔L1は広いほうが望ましいが、車両幅との関係で自ずと制限されることは言うまでもない。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示された技術的思想の範疇において適宜変更可能なことは言うまでもない。
【0039】
たとえば以上の例では、2つの高さ調整弁の不感帯の設定を変えたものについて説明したが、従来の配管構成の高さ調整弁による給排気流量を、従来と逆の配管構成とした高さ調整弁による給排気流量より大きくなしても同様の作用効果を奏する。また、1つの高さ調整弁によって図5に示したような流量特性を実現できるのであれば、空気ばねに当該高さ調整弁を1個ずつ設置したものでも良い。
【0040】
また、図8に示したように車両幅方向の両側に設置した前記一方の高さ調整弁4a〜4dを車両幅方向の中央部に配置し、前記一方の高さ調整弁4a〜4dの連結棒6a〜6d同士の間隔を0にしても良い。さらに、図9に示したように車両幅方向の中央部に配置した前記一方の高さ調整弁を一体に構成し、2つの高さ調整弁の流量特性を維持した1つの高さ調整4a,4cとしても良い。
【0041】
ただし、その場合、他の高さ調整弁11a〜11dが車体1のローリングに対応しなければならないため、他の高さ調整弁11a〜11dの不感帯をある程度小さくする必要がある。そのため、他の高さ調整弁11a〜11dの不感帯が大きい場合には使用できず、他の高さ調整弁11a〜11dの流量特性が一方の高さ調整弁4a〜4dの流量よりも少なくなるようにした場合に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】前台車の高さ調整弁で後台車の空気ばねにエアを供給し、後ろ台車の高さ調整弁で前台車の空気ばねにエアを給排する場合の車両の説明図である。
【図2】本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置の説明図で、前台車を側面から見た図である。
【図3】1車両を模擬した試験機を示した図である。
【図4】従来の配管構成の高さ調整弁と、従来の配管構成と並列に従来と逆の配管構成の高さ調整弁を用いた場合の出口緩和曲線の輪重変動測定結果を示す図である。
【図5】本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置の1空気ばね当たりの高さ調整弁の流量特性を示した図である。
【図6】従来と逆の配管構成とした高さ調整弁不感帯の設定の一例を示した図である。
【図7】車両幅方向の両側に設置した従来と逆の配管構成とした高さ調整弁の連結棒同士の間隔L1と、車両幅方向の両側に設置した前記一方の高さ調整弁の連結棒同士の間隔L2の関係について説明した図である。
【図8】本発明の他の例について示した図7と同様の図である。
【図9】本発明のさらに他の例について示した図7と同様の図である。
【図10】従来の高さ調整装置を説明する図で、(a)は概略全体図、(b)は要部拡大図である。
【図11】緩和曲線での空気ばねの挙動を説明する図である。
【符号の説明】
【0043】
3a〜3d 空気ばね
4a〜4d、11a〜11d 高さ調整弁
4aa〜4da、11aa〜11da 作動軸
5a〜5d レバー
6a〜6d 連結棒
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に使用される空気ばねの高さを調整する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両では、図10に示すように、車体1と台車2間に介在させた、たとえば4つの空気ばね3a〜3d毎に高さ調整弁4a〜4dが設置されている。これらの高さ調整弁4a〜4dは、たとえば車体1に設置され、その作動軸4aa〜4daに一端を取り付けたレバー5a〜5dの他端を、一端を台車2に揺動が自在なように取り付けた連結棒6a〜6dの他端に枢支した構成である。
【0003】
このような高さ調整弁4a〜4dでは、レバー5a〜5dが水平位置にあるときは空気ばね3a〜3dに対して給排気は行われない。一方、例えばレバー5a〜5dが図10(b)において右下がりに傾斜して空気ばね3a〜3d部における車体1と台車2の間隔が狭くなると、空気ダメ7から配管8を介して空気ばね3a〜3dに給気されて内圧が高められ、前記車体1と台車2の間隔を元に戻す。
【0004】
このように、鉄道車両では、高さ調整弁4a〜4dの機能により、負荷の変動に応じて空気ダメ7から空気ばね3a〜3dへの空気の供給や、空気ばね3a〜3d内の空気の外部への排出を行うことで、車両の高さが一定となるように調整している。
【0005】
ところで、曲線区間には、車両に加わる遠心力を打ち消すために、軌道にカントと呼ばれる傾斜がつけられている。そして、傾斜のついた曲線部分と平坦な直線部分の間には、緩和曲線と呼ばれる軌道ねじれ区間が存在する。
【0006】
この緩和曲線区間では、車両は、軌道のねじれを車両の1次ばねと2次ばねで吸収するが、その反力として、曲線の外軌側と内軌側の輪重に差がでる。この輪重差の割合、すなわち左右の平均輪重に対してどれだけ変動しているかを輪重変動率と呼び、(車両幅方向左側の輪重+同右側の輪重)/2を平均輪重とすると、輪重変動率は、たとえば{(平均輪重−車両幅方向右側の輪重)/平均輪重}×100%で表される。
【0007】
緩和曲線のうち、曲線出口側の緩和曲線では、先頭軸の外軌側輪重が減少し、一方で曲線通過による転向横圧も大きいため、脱線しやすい状態になる。したがって、緩和曲線での輪重変動を抑制することは、安全上極めて重要である。
【0008】
ちなみに、ねじれの厳しい緩和曲線上を低速で通過すると、高さ調整弁が動作して空気ばねの内圧が大きく変化し、外軌先頭側の空気ばねでは、内圧が低下する方に作用する。これは、図11に示すように、4個の空気ばね3a〜3dが軌道ねじれにより強制変位を受けるにも関わらず、それぞれの高さ調整弁が独立に高さを一定に保とうとして給排制御を行うためである。これにより、左右の空気ばね3aと3b、3cと3dの内圧差が大きくなり、その結果、大きな輪重変動が生じることになる。
【0009】
そこで、緩和曲線走行時において、高さ調整弁が独立に空気ばねの高さを一定に保とうとして、大きな輪重変動が生じるのを防ぐために、1車両に取り付けられた4つの高さ調整弁の動作を検知し、必要に応じて高さ調整弁の動作を遮断する技術が特許文献1で開示されている。
【特許文献1】特開2000−280900号公報
【0010】
また、2段流量特性を有する高さ調整弁本体を回転制御することで、高さ調整弁を開閉弁と同様に使用し、制御フェール時には、通常の高さ調整弁として作用する技術が非特許文献1に開示されている。
【非特許文献1】須田義大等、鉄道車両空気ばね系の緩和曲線輪重減少抑制制御性能向上に関する研究、日本機械学会第13回交通・物流部門大会講演論文集、p195〜198
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記の特許文献1や非特許文献1で開示された技術では、何れも電子制御を必要とする。電子制御は、ノイズの影響を受けて誤動作するおそれが内在し、また多くの部品から構成されるので、その一つでも不具合があれば全体として不具合を生じるおそれがあり、従来の高さ調整弁のような機械的制御に比べて信頼性が十分であるとはいえない。また、コストも高くなる。
【0012】
本発明が解決しようとする問題点は、緩和曲線走行中における輪重変動を抑制する従来の空気ばねの制御は、電子制御を必要とするので、機械式制御と比較して、信頼性が十分であるとはいえないという点である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置は、電子制御を必要とせずに、従来の機械的制御によって高さ調整弁が独立に空気ばね高さを保とうとすることで生じる輪重変化を抑制するために、以下の構成を採用している。
【0014】
すなわち、本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置は、
それぞれの空気ばねに2つの高さ調整弁を備え、
一方の高さ調整弁は、作動軸の回転角に従って当該一方の高さ調整弁が設置されている空気ばねの給排気を行い、
他方の高さ調整弁は、作動軸の回転角に従って当該他方の高さ調整弁が設置されている空気ばねと車両幅方向の同じ側にあって、車両進行方向の前後逆側にある他の空気ばねの給排気を行うようにしたことを最も主要な特徴としている。
【0015】
本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置において、前記他方の高さ調整弁が中立位置から作動を開始するまでの不感帯を、前記一方の高さ調整弁が中立位置から作動を開始するまでの不感帯よりも大きく設定すれば、空気ばねの立ち上げ時のピッチングを防止することができるようになり望ましい。
【0016】
この場合、前記他方の高さ調整弁の不感帯は、この他方の高さ調整弁が給排気を行なう空気ばねの中立高さを基準とし、当該空気ばねの高さが前記中立高さ分以上上下に変動した範囲であるようにすれば、空気ばねの立ち上げ時のピッチングを防止がより確実に行えるようになる。
【0017】
前記他方の高さ調整弁の不感帯の設定は、たとえば他方の高さ調整弁のレバー長を、前記一方の高さ調整弁のレバー長よりも長くなすことにより可能である。
【0018】
以上の本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置において、車両幅方向の両側に設置した前記他方の高さ調整弁の連結棒同士の間隔を、前記一方の高さ調整弁の連結棒同士の間隔よりも広くなした場合には、ローリングが起こったときの他方の高さ調整弁の作動軸の回転角がより大きくなり、他方の高さ調整弁が働きやすくなる。
【0019】
また、本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置において、前記不感帯の設定に代えて、一方の高さ調整弁による給排気流量を、前記他方の高さ調整弁による給排気流量より大きくなした場合には、一方の高さ調整弁が常時動作して、(一方の高さ調整弁の流量)−(他方の高さ調整弁の流量)に相当する給排気を行うため、輪重変動を抑制することができる。また、一方の高さ調整弁の流量の方が大きいため、ピッチングが継続することもない。
【0020】
この場合は、車両幅方向の両側に設置した前記一方の高さ調整弁を車両幅方向の中央部に配置し、前記一方の高さ調整弁の連結棒同士の間隔をなくしたり、また、この車両幅方向の中央部に配置した前記一方の高さ調整弁を一体に構成したものでも良い。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、ローリングに対して従来台車と同等の性能を有し、車体ねじりに対しては、柔らかく支持する空気ばねの高さ調整装置を構成することができる。これにより、電子制御を必要とせずに緩和曲線通過時の輪重変動を抑制し、曲線通過性能を向上することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の完成に至る新しい着想から従来の問題を解決するまでの経緯と共に、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面に示す例に基づいて説明する。
【0023】
発明者は、従来から用いられている機械式制御の高さ調整弁を使用し、図1に示すように、前台車の高さ調整弁4a,4bで後台車の空気ばね3c,3dにエアを供給し、後ろ台車の高さ調整弁4c,4dで前台車の空気ばね3a,3bにエアを給排することを考えた。
【0024】
前記のように配管を構成することで、車体のローリングに対しては、従来通りに作用するが、ねじりに対しては、従来の高さ調整弁の配管構成と異なり、ねじり変位がなくなる方向に作用し、曲線区間でのローリング剛性を維持しつつ、緩和曲線のねじりに対してスムーズな動作を行なうことができるようになる。
【0025】
しかしながら、高さ調整弁による空気ばねの給気と排気を前後の台車で逆にすると、ローリングに対しては従来と同等の性能を有し、ねじりに対しては輪重変動を抑制できるものの、車体がピッチングすると、ピッチングが増大する方向に作用するという欠点がある。
【0026】
そこで、発明者は、図10(a)に示す従来の配管構成の高さ調整弁と、図1に示す給排が前後の台車で逆の配管構成とした高さ調整弁を併用することを考えた。このようにした場合には、通常走行では従来の配管構成の高さ調整弁が動作し、緩和曲線通過時のように大きな軌道ねじれによって高さ調整弁に大きな回転角がつく場合には、従来と逆の配管構成とした高さ調整弁が動作し、ねじりに対して柔軟になり、軌道ねじれによる輪重変動を大幅に抑制できることを知見した。
【0027】
本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置は、このような知見に基づいてなされたものであり、図2に示すように、それぞれの空気ばね3a(〜3d)に2つの高さ調整弁4a(〜4d)と11a(〜11d)を備えさせている。
【0028】
そして、一方の高さ調整弁4a(〜4d)は、従来と同様、その作動軸4aa(〜4da)の回転角に従って当該高さ調整弁4a(〜4d)が設置されている空気ばね3a(〜3d)の給排気を行うように配管構成している。
【0029】
これに対して、他方の高さ調整弁11a(〜11d)は、その作動軸11aa(〜11da)の回転角に従って当該高さ調整弁11a(〜11d)が設置されている空気ばね3a(〜3d)と車両幅方向の同じ側にあって、車両進行方向の前後逆側にある他の空気ばねの給排気を行うように配管構成している。
【0030】
このような本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置の効果を確認するために、発明者は、図3に示すように、1車両を模擬したモデルの、レール相当部13をアクチュエータ12によって傾斜させ、カントのついた曲線を低速で走行した場合の輪重変動を模擬できる試験機を用いて、緩和曲線通過時の輪重変動を、高さ調整弁の特性を変化させて測定した。
【0031】
車両特性を下記表1に、カントが105mm、曲線区間の長さが100m、カント逓減倍率(カントをA、カントがなくなるまでの距離をBとした場合、B/A)が300、400、600倍の曲線を、5km/hの速度で走行させた場合の、出口緩和曲線の輪重変動測定結果を図4に示す。なお、図4は、従来の配管構成の高さ調整弁の不感帯は±5mmで作動時間遅れは1秒、従来と逆の配管構成とした高さ調整弁の不感帯は±30mmで作動時間遅れは2.3秒としたものを使用した結果である。
【0032】
【表1】
【0033】
図4より、出口側緩和曲線での輪重変動は、従来の配管構成の高さ調整弁を使用した場合(△印)と比較して、従来の配管構成と並列に従来と逆の配管構成とした高さ調整弁を使用した場合(▲印)には抑制できていることが分かる。特にカント逓減倍率が小さい場合に、輪重変動を大幅に抑制できている。
【0034】
本発明装置では、従来と逆の配管構成とした高さ調整弁11a〜11dが中立位置から作動を開始するまでの不感帯を、たとえば図5に示すように、この高さ調整弁11a〜11dが給排気を行なう空気ばねの中立高さを基準とし、当該空気ばねの高さが前記中立高さ分以上上下に変動した範囲であるように設定して、従来の配管構成の高さ調整弁4a〜4dの不感帯よりも大きく設定することが望ましい。
【0035】
このような設定とすれば、従来と逆の配管構成とした高さ調整弁11a〜11dは、軌道ねじれによってレバーに大きな回転角がついたときのみ作動し、直線区間の走行時のようにレバーに大きな回転角が生じないときには、従来の配管構成の高さ調整弁4a〜4dの動作により高さ調整が行え、空気ばねの立ち上げ時のピッチングを効果的に防止できる。
【0036】
このような従来と逆の配管構成とした高さ調整弁11a〜11dの不感帯の設定は、図6に示すように、たとえば高さ調整弁11a〜11dのレバー5a〜5dの長さを、従来の配管構成の高さ調整弁4a〜4dのレバー5a〜5dの長さよりも長くすることにより可能である。
【0037】
以上の本発明装置では、図7に示したように、車両幅方向の両側に設置した従来と逆の配管構成とした高さ調整弁11a〜11dの連結棒6a〜6d同士の間隔L1を、車両幅方向の両側に設置した前記一方の高さ調整弁の連結棒6a〜6d同士の間隔L2よりも広くすることが望ましい。このようにした場合には、ローリングが起こったときの前記高さ調整弁11a〜11dの作動軸の回転角がより大きくなるので、他方の高さ調整弁11a〜11dが働きやすくなる。この高さ調整弁11a〜11dの連結棒6a〜6d同士の間隔L1は広いほうが望ましいが、車両幅との関係で自ずと制限されることは言うまでもない。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示された技術的思想の範疇において適宜変更可能なことは言うまでもない。
【0039】
たとえば以上の例では、2つの高さ調整弁の不感帯の設定を変えたものについて説明したが、従来の配管構成の高さ調整弁による給排気流量を、従来と逆の配管構成とした高さ調整弁による給排気流量より大きくなしても同様の作用効果を奏する。また、1つの高さ調整弁によって図5に示したような流量特性を実現できるのであれば、空気ばねに当該高さ調整弁を1個ずつ設置したものでも良い。
【0040】
また、図8に示したように車両幅方向の両側に設置した前記一方の高さ調整弁4a〜4dを車両幅方向の中央部に配置し、前記一方の高さ調整弁4a〜4dの連結棒6a〜6d同士の間隔を0にしても良い。さらに、図9に示したように車両幅方向の中央部に配置した前記一方の高さ調整弁を一体に構成し、2つの高さ調整弁の流量特性を維持した1つの高さ調整4a,4cとしても良い。
【0041】
ただし、その場合、他の高さ調整弁11a〜11dが車体1のローリングに対応しなければならないため、他の高さ調整弁11a〜11dの不感帯をある程度小さくする必要がある。そのため、他の高さ調整弁11a〜11dの不感帯が大きい場合には使用できず、他の高さ調整弁11a〜11dの流量特性が一方の高さ調整弁4a〜4dの流量よりも少なくなるようにした場合に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】前台車の高さ調整弁で後台車の空気ばねにエアを供給し、後ろ台車の高さ調整弁で前台車の空気ばねにエアを給排する場合の車両の説明図である。
【図2】本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置の説明図で、前台車を側面から見た図である。
【図3】1車両を模擬した試験機を示した図である。
【図4】従来の配管構成の高さ調整弁と、従来の配管構成と並列に従来と逆の配管構成の高さ調整弁を用いた場合の出口緩和曲線の輪重変動測定結果を示す図である。
【図5】本発明の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置の1空気ばね当たりの高さ調整弁の流量特性を示した図である。
【図6】従来と逆の配管構成とした高さ調整弁不感帯の設定の一例を示した図である。
【図7】車両幅方向の両側に設置した従来と逆の配管構成とした高さ調整弁の連結棒同士の間隔L1と、車両幅方向の両側に設置した前記一方の高さ調整弁の連結棒同士の間隔L2の関係について説明した図である。
【図8】本発明の他の例について示した図7と同様の図である。
【図9】本発明のさらに他の例について示した図7と同様の図である。
【図10】従来の高さ調整装置を説明する図で、(a)は概略全体図、(b)は要部拡大図である。
【図11】緩和曲線での空気ばねの挙動を説明する図である。
【符号の説明】
【0043】
3a〜3d 空気ばね
4a〜4d、11a〜11d 高さ調整弁
4aa〜4da、11aa〜11da 作動軸
5a〜5d レバー
6a〜6d 連結棒
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置であって、
それぞれの空気ばねに2つの高さ調整弁を備え、
一方の高さ調整弁は、作動軸の回転角に従って当該一方の高さ調整弁が設置されている空気ばねの給排気を行い、
他方の高さ調整弁は、作動軸の回転角に従って当該他方の高さ調整弁が設置されている空気ばねと車両幅方向の同じ側にあって、車両進行方向の前後逆側にある他の空気ばねの給排気を行うようにしたことを特徴とする鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項2】
前記他方の高さ調整弁が中立位置から作動を開始するまでの不感帯が、前記一方の高さ調整弁が中立位置から作動を開始するまでの不感帯よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項3】
前記他方の高さ調整弁の不感帯は、この他方の高さ調整弁が給排気を行なう空気ばねの中立高さを基準とし、当該空気ばねの高さが前記中立高さ分以上上下に変動した範囲であることを特徴とする請求項2に記載の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項4】
前記他方の高さ調整弁の不感帯の設定を、該他方の高さ調整弁のレバー長を、前記一方の高さ調整弁のレバー長よりも長くなすことにより行うことを特徴とする請求項2または3に記載の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項5】
車両幅方向の両側に設置した前記他方の高さ調整弁の連結棒同士の間隔が、前記一方の高さ調整弁の連結棒同士の間隔よりも広くなされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項6】
前記一方の高さ調整弁による給排気流量が、前記他方の高さ調整弁による給排気流量より大きくなされていることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項7】
車両幅方向の両側に設置した前記一方の高さ調整弁を車両幅方向の中央部に配置し、前記一方の高さ調整弁の連結棒同士の間隔をなくしたことを特徴とする請求項6に記載の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項8】
車両幅方向の中央部に配置した前記一方の高さ調整弁を一体に構成したことを特徴とする請求項7に記載の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項1】
鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置であって、
それぞれの空気ばねに2つの高さ調整弁を備え、
一方の高さ調整弁は、作動軸の回転角に従って当該一方の高さ調整弁が設置されている空気ばねの給排気を行い、
他方の高さ調整弁は、作動軸の回転角に従って当該他方の高さ調整弁が設置されている空気ばねと車両幅方向の同じ側にあって、車両進行方向の前後逆側にある他の空気ばねの給排気を行うようにしたことを特徴とする鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項2】
前記他方の高さ調整弁が中立位置から作動を開始するまでの不感帯が、前記一方の高さ調整弁が中立位置から作動を開始するまでの不感帯よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項3】
前記他方の高さ調整弁の不感帯は、この他方の高さ調整弁が給排気を行なう空気ばねの中立高さを基準とし、当該空気ばねの高さが前記中立高さ分以上上下に変動した範囲であることを特徴とする請求項2に記載の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項4】
前記他方の高さ調整弁の不感帯の設定を、該他方の高さ調整弁のレバー長を、前記一方の高さ調整弁のレバー長よりも長くなすことにより行うことを特徴とする請求項2または3に記載の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項5】
車両幅方向の両側に設置した前記他方の高さ調整弁の連結棒同士の間隔が、前記一方の高さ調整弁の連結棒同士の間隔よりも広くなされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項6】
前記一方の高さ調整弁による給排気流量が、前記他方の高さ調整弁による給排気流量より大きくなされていることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項7】
車両幅方向の両側に設置した前記一方の高さ調整弁を車両幅方向の中央部に配置し、前記一方の高さ調整弁の連結棒同士の間隔をなくしたことを特徴とする請求項6に記載の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【請求項8】
車両幅方向の中央部に配置した前記一方の高さ調整弁を一体に構成したことを特徴とする請求項7に記載の鉄道車両用空気ばねの高さ調整装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−269076(P2007−269076A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94733(P2006−94733)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】
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