説明

鉛フリー高温用接合材料

【課題】 本発明材は、接合温度は通常のはんだ接合温度と同じであるにも関わらず、接合後はリフローより高い温度でも高温強度を確保しつつ、余分の溶融Snが流れ出さない接合部を得られる材料を提供する。
【解決手段】 Snおよび/またはSnCu合金よりなる粉末と、銅、酸化銅、酸化第二銅、表面酸化層を有す銅微粉末との少なくとも1種または2種以上の粉末を混合してなる材料を用いることを特徴とする鉛フリー高温用接合材料。上記に記載のCu、酸化銅、酸化第二銅、および表面酸化層を有す銅微粉末が、1μm未満の粒径を有することを特徴とする鉛フリー高温用接合材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的なはんだ付け温度以上の高温環境下で使用される鉛フリー高温用接合材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高温はんだは、一般的な接合用はんだ材料であるSn−Pb系はんだ合金のはんだ付け温度域でも接続部の強度を確保することができる。そのため、例えば、半導体装置内部は代表的な高温はんだのPb−5Snはんだ(融点:310〜314℃)にて、はんだ付けした後、半導体装置自身を基板に接続するリフローはんだ付けには半導体装置内部のはんだ付け部を溶かさないために融点の低い、汎用のSn−37Pb共晶はんだ(融点:183℃)で接続する温度階層接続が適用されている。
【0003】
近年、環境問題対応として、EU圏で電子機器などに含まれるPbなどの特定有害物質を規制するRoHS指令などにより、製品の鉛フリー化が求められている。リフロー用はんだとしては、Sn−37Pb共晶はんだに代わり、Sn−Ag−Cu系共晶系合金(融点:227℃)が実用化されている。しかし、これらリフローはんだ以上の融点を有すことが求められる高温はんだについては、Au−20Sn(融点:280℃)が知られているが、Pb−Sn系はんだに対してコストや機械的特性の点で劣っているため殆ど使用されておらず、他の成分系についても実用化には至っていないため、RoHS指令において
もPb高温はんだについては適用除外項目となっている。
【0004】
また、高温はんだ合金の開発に関しては、例えば特開2003−260587号公報(特許文献1)には、Sn−Cu系はんだが記載されている。この方法によると、Sn粉末とCu粉末とを混合した材料をはんだペーストとして用い、高温はんだ付け時には、Sn粉末が溶けてはんだ付けに寄与すると同時に、Cu粉末と反応して高融点のSn−Cu金属間化合物相が生成する。この化合物相はリフロー時には溶けずにはんだ付け部の強度を保つ働きをするものである。
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の発明によると、実用的に使用される粉末は10μm程度の大きさであるため、Cu粉末はすべて反応せず接合部Sn粉末とCu粉末との界面に生成する金属間化合物相の組織はCu粉末の表面に形成されるため粗く、強度にばらつきが生じる。更に、強度重視のためにはCu粉末を多く使用しなければならないため、Sn粉末の影響が大きい、はんだ付け特性が低下するなどの問題がある。また、金属間化合物の生成は融液状態のSnと固体状態のCuとの拡散反応によるため強度維持に寄与するCu6 Sn5 金属間化合物相の生成速度が遅く反応させるのに時間がかかるなどの問題
もある。
【0006】
一方、粉末を微細化した粒子をはんだ材に添加して特性改善に用いることも検討されているが、例えばWO2006/126564号公報(特許文献2)に示すように、1μm未満の粒子をはんだ付け後の組織を微細化する目的で添加されており、上述した特許文献2のような金属間化合物の接合部を得るための合金反応を目的とした添加はされていないのが現状である。
【0007】
そこで、発明者らは、特開2008−178909号公報(特許文献3)にて、2種類の元素A及びBからなる合金で、元素Aが元素Bより融点が高く、元素Bからなる常温安定相と元素A及びBからなる常温安定相AmBn(m,nは合金系による固有の数値)を有する合金において元素Aを元素Bからなる常温安定相中に過飽和固溶させることによって作製した接合材料を用い、過飽和固溶体が分解して常温安定相AmBnが析出する温度に保持して溶解接合させることによってPb−Sn共晶はんだやSn−Ag−Cu鉛フリーはんだのリフロー温度においても接合強度を維持できることを見出した。
【0008】
上記発明は、一般のはんだ付け時の接合強度を確保することを目的としており、元素AをCu、元素BをSnとした材料ではSn相が一定の割合で残存する。そのため、例えば半導体素子とヒートシンクを接合する接合材や高温環境下に曝される部材を接合するための材料として、急冷凝固したSnCu粉末を使用する場合、リフロー温度より更に高温となり、液相状態のSnが接合部より流れ出す可能性がある。
【特許文献1】特開2003−260587号公報
【特許文献2】WO2006/126564号公報
【特許文献3】特開2008−178909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上より、リフロー温度よりさらに高温側で、はんだ付け性を確保しつつ、溶融Sn液相が流れ出さず、強度を維持できる実用的な非Pb接合材は無いのが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した特許文献3による急冷凝固したSnCu合金粉末に、直径が1μm未満の大きさ(以下、サブミクロンという)のCu系粉末を適量混合する。サブミクロンの粉末は比表面積が大きく反応性が高いため、過飽和固溶体からの析出反応に加えて更に添加Cu系粉末と余分Snとの反応により、接合部のCu6 Sn5 やCu3 Snを含む組織割合を増加させる。これにより接合温度は通常のはんだ接合温度と同じであるにも関わらず、接合後はリフローより高い温度でも高温強度を確保しつつ、液相状態のSnが流れ出さない接合部が得られる。
【0011】
但し、Cuのサブミクロン粉末は、粉砕、気相反応等いずれの製造方法を採用してもコスト高となるが、より安価な酸化銅(Cu2 O、CuO)や表面酸化したCuでも比表面積が大きくなるサブミクロン粉末を用いた場合は、酸化層の影響を一般的な粉末よりも少なくでき、溶融Snと接触してCu6 Sn5 やCu3 Snと言ったCuとSnの反応による金属間化合物の形成が起こる。更に、はんだ用フラックスを添加した場合、はんだ用フラックスがはんだ粉末表面の酸化層だけでなく酸化銅の還元作用も同時に作用することで、より効果が高くなる。
【0012】
以上より、酸化銅や表面酸化したCu粉末でもサブミクロン粉末を使用した場合には過飽和析出反応に加えて上述の添加Cu粉末と余分Snとの反応により、接合部全体をCu6 Sn5 やCu3 Snを含む組織割合を増加させられる。これにより、接合温度は通常のはんだ接合温度と同じであるにも関わらず、接合後はリフローより高い温度でも溶融せずに高温強度を確保し、Snの流れ出しを防止できる接合部を得られることを見出した。
【0013】
その発明の要旨とするところは、
(1)Snおよび/またはSnCu合金よりなる粉末と、銅、酸化銅、酸化第二銅、表面酸化層を有す銅微粉末との少なくとも1種または2種以上の粉末を混合してなる材料を用いることを特徴とする鉛フリー高温用接合材料。
(2)前記(1)に記載のCu、酸化銅、酸化第二銅、および表面酸化層を有す銅微粉末が、1μm未満の粒径を有することを特徴とする鉛フリー高温用接合材料。
【0014】
(3)Snおよび/またはSnCu合金よりなる粉末と、銅、酸化銅、酸化第二銅、表面酸化層を有す銅微粉末との少なくとも1種または2種以上の粉末を混合してなる材料に、フラックスを混合して用いることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の鉛フリー高温用接合材料。
(4)SnCu粉末の合金比が、Cuが38%以下で残部がSnと不可避的不純物からなり、急冷凝固にて製造されたことを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の鉛フリー高温用接合材料。
【0015】
(5)Snおよび/またはSnCu合金よりなる粉末と、銅、酸化銅、酸化第二銅、表面酸化層を有す銅微粉末との少なくとも1種または2種以上の粉末を混合する割合を7.00:3.00〜9.95:0.05としたことを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の鉛フリー高温用接合材料。
(6)Snおよび/またはSnCu合金よりなる粉末と、銅、酸化銅、酸化第二銅、表面酸化層を有す銅微粉末との少なくとも1種または2種以上の粉末を混合してなる材料に、フラックスを重量比で1〜30%添加することを特徴とする、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の鉛フリー高温用接合材料にある。
【発明の効果】
【0016】
本発明材は、接合温度は通常のはんだ接合温度と同じであるにも関わらず、接合後はリフローより高い温度でも高温強度を確保しつつ、余分の溶融Snが流れ出さない接合部を得られる材料を提供するものであり、高温はんだ、高温部材接合用ロウ材、高温に曝される貫通孔に充填する封孔材等に対応した、鉛フリー高温用接合材として用いることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明について詳細に説明する。
Sn粉末はアトマイズ法や粉砕法等で製造したものを用いれば良い。SnCu粉末は、Snと38質量%以下のCu合金組成を有するようにアトマイズ法やメルトスパン法および水中紡糸法などの急冷法によって作製する。そのときの形状については特に限定するものではなく、粉末、線、棒、薄帯、板等でもよい。本発明の組成範囲のSnCu合金中では、急冷しなければSn相とCu6 Sn5 金属間化合物が平衡状態図に従った割合で存在する。
【0018】
しかし、急冷することによって本来の組成比よりもCuがSn相に強制固溶され、見かけ上Sn相比が増大し、かつこのSn固溶体は、本来のSn相とほぼ同等の230℃近傍で溶融し、良好なはんだ付けに寄与すると共に溶融したSn相は、Cu及び/または酸化銅、及び/または酸化第二銅、及び/または表面酸化層を有すCu粉末と金属間化合物を形成する反応が起こる。
【0019】
急冷する方法は上述したように、アトマイズ法やメルトスパン法などがあるが、特に、ヘリウムガスアトマイズ法やメルトスパン法が急冷手段としては有効である。しかし、遠心噴霧やアルゴンアトマイズ、窒素ガスアトマイズは、はんだ粉末を量産的に製造する手段としては非常に有効であり、その冷却速度はアトマイズされた後の粉末粒径に依存するため、手段であっても細粒については、本発明の範疇に帰属するものである。また、例えば水中紡糸法によれば線材が得られる。また、中紡糸法と矯正または引抜き加工をすれば棒線が得られる。
【0020】
SnCu系合金中のCu含有量は38%以下が最適である。その理由は、ぬれ性を確保して、はんだ付けに寄与するSn固溶体量とはんだ付け後の強度維持に寄与するCu6 Sn5 金属間化合物量とのバランスで決定される。本発明材量の目的に適用するには、Cu量が38%を超えると急冷法であっても、Cu6 Sn5 金属間化合物生成量が大幅に多くなり、はんだ付けに寄与するSn固溶体量が減少し、ぬれ性が劣化して良好なはんだ付けが困難となるため、その上限を38%とした。また、Cu量が10%未満では、はんだ付け後の強度維持に寄与するCu6 Sn5 金属間化合物量を確保するためCu及び/または酸化銅、酸化第二銅、表面酸化層を有すCu粉末サブミクロン粉末の混合量が増加する傾向にあるため、好ましくは10〜32%とする。
【0021】
Cu及び/または酸化銅、酸化第二銅、表面酸化層を有すサブミクロンのCu粉末はSnCuと同様の手法で作製後に粉砕等によりサブミクロンにする手法、もしくは気相中の反応や液相中の反応から直接得る手法、真空もしくは減圧下で金属を溶融させた蒸気より直接得る手法等がある。いずれの場合もSnまたはSnCu粉末と均一に分散させること、並びにSnとCuの金属間化合物を生成させる反応を促進するために比表面積を確保することが必要であり、本発明の材料として適用するためには、サブミクロン以下の粒径を有することが求められる。上記サブミクロン以下の粒径とは1μm以下である必要がある。1μmを超えるとSnまたはSnCu粉末と混合する際に均一に分散すること並びに反応を促進するための比表面積の確保が困難となる。したがって、1μm以下とした。
【0022】
フラックスは、ロジン系や塩化物系フラックスで還元作用が150〜350℃で有効となるものであれば、一般的なはんだ付け用フラックスを用いてよい。フラックスは、はんだペーストの粘度を調整すると共に通常はんだボールの酸化皮膜を除去し、ぬれ性を確保するために用いられるが、本発明では酸化銅/酸化第二銅/表面酸化層を持つCu系粉末の還元作用を得るためにも用いられる。
【0023】
SnCu粉末と、Cu及び/または酸化銅、酸化第二銅、表面酸化層を有すCu粉末との混合比を7.00:3.00〜9.95:0.05とする。Cu及び/または酸化銅、酸化第二銅、表面酸化層を有すCu粉末の混合比は、SnCu粉末のSn量とのバランスで決定される。しかし、7.00:3.00未満では、Cuが余剰となり、接合部にCuのクラスターが形成される。これは、250℃といった、通常のはんだ付け温度で溶融しないため接合に寄与せず、接合部全体の強度が低下する。9.95:0.05以上では、溶融・凝固後の接続部組織におけるCuSn金属間化合物の形成が不十分となり、残存Sn相が多くなりすぎ、CuSn金属間化合物でSn相を囲む接合部を得ることが困難となることから、7.00:3.00〜9.95:0.05とする。
【0024】
フラックスは、はんだペーストの粘度を調整すると共に、溶融・凝固後の接続部組織におけるCuSn金属間化合物の形成促進させる。粉末表面の酸化層や酸化物の還元効果を発揮するためには、粉末混合材に対する重量比で1%以上必要である。但し30%を超えるとフラックス残渣が接合部組織内部に残るため、これがボイドとなり、接合部全体の強度が低下する。
【0025】
上記フラックスとしては、例えばロジン系フラックス、塩化亜鉛等を含む水溶性フラックス等で、部品およびパターン表面の酸化物除去、はんだ付け中の再酸化防止並びに溶融はんだの表面張力低下の作用を有し、はんだ付け性を向上させるものをいう。さらに、フラックスの作用をさらに強化させ、はんだ付け性を向上させる酸無水物等の活性剤を添加しても良い。
【0026】
以上の範囲で制御された、接合材は通常のはんだ付け温度で十分な接合部を形成できる。かつ、得られた接合部はCuSn金属間化合物で形成されるため通常のはんだ付け温度で、接合強度を確保するとともに、液相のSnはCuSn金属間化合物で囲まれるため、流れ出しなどの悪影響を及ぼさない。
【0027】
図1は、Sn25Cuはんだ粉末とCu2 Oサブミクロン粉末を混合(混合比9:1)、塩化物系フラックスを重量比15%添加してペースト化、これを大気中で250℃にて加熱して形成した接合部の電子顕微鏡による断面観察状態を示す写真である。この図に示すように、図1(a)は混合状態を示す電子顕微鏡による断面写真であり、図1(b)は混合した後250℃で加熱、凝固後の電子顕微鏡による断面写真である。このように、結果を電子顕微鏡にて断面観察を実施し、成分についてはEDSにて分析を行い、組織の同定を行った。混合状態では、Sn25Cuはんだ粉末とCu2 Oサブミクロン粉末が反応せず、粉末外側にCu2 Oサブミクロン粉末が凝集しているが、フラックス混合したペーストを加熱した場合、反応が進み全てCu6 Sn5 相となっていることが分かる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明について実施例により具体的に説明する。
図2は、本発明に係るSnCu粉末とCu2 Oサブミクロン粉末とフラックスとの混合ペーストを加熱してCu板同士を接合、その断面を研磨し電子顕微鏡により断面観察した状態を示す写真である。すなわち、Sn25Cu粉末とCu2 Oサブミクロン粉末を9.5:0.5で混合ペーストを作製し本発明材とした。Cu板の間に本発明材を塗布し、250℃で加熱して15分間保持した後、室温まで冷却してCu板同士を接合した。その接合断面を割出して研磨し、電子顕微鏡にて観察したものである。
【0029】
この図2に示すように、Cu板上でぬれ広がり、Cuとの界面にCu3 Sn、内部はCu6 Sn5 相となる接合部が得られた。この接合部はSnが見られないため融点が415℃以上となる。よって、本発明材は250℃加熱で部材を接合でき、かつ通常のはんだ付け温度以上の耐熱性を持ち、余分のSn相が無い接合部が得られた。同様に本発明材と比較材についてそれぞれ接合後、断面に沿って切断し、金属顕微鏡並びに走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察を行った。その結果を表1に示す。
【0030】
表1に示す、ぬれ性はCu板と接合部が面接触、かつSnとCuが十分に拡散していることを示すCu3 Sn金属間化合物を形成しているのを○とし、点接触のみの場合は△、点接触も無いのをぬれ性無しの×とした。接合強度は、上記接合材(接合面積5mm2 )を350℃に再加熱し15分保持後、Cu板に加重を掛けて接合部の高温せん断試験を実施、せん断力5.0N以上を○とし、それ未満を強度不足の×とした。
【0031】
【表1】

表1に示すNo.1〜13は本発明例であり、No.14〜20は比較例である。
【0032】
表1に示すように、本発明例No.5〜7はSn粉末のみにCu系サブミクロン粉末を混合したもので、No.8〜9はCu系サブミクロン粉末を2種または3種混合したのち、Snおよび/またはSnCu合金粉末と混合したもの、No.10〜13はSn粉とSnCu粉を混合したのち、Cu系サブミクロン粉末を混合したものである。
【0033】
表1に示すように、比較例No.14はSnおよび/またはSnCu合金粉末中のCuが高いために、250℃でのぬれ性がなく、350℃での接合強度が弱い。比較例No.15はSnおよび/またはSnCu合金粉末中のCuが低いために、250℃でのぬれ性はあるが、350℃での接合強度が弱い。比較例No.16はサブミクロン粉末の粒径が大きいために、250℃でのぬれ性は点接触のみであり、350℃での接合強度が弱い。
【0034】
比較例No.17はサブミクロン粉末の混合がないために、250℃でのぬれ性はあるが、350℃での接合強度が弱い。比較例No.18はサブミクロン粉末の粒径が大きく、サブミクロン粉末との混合比が低く、かつフラックがないために、250℃でのぬれ性がなく、350℃での接合強度が弱い。
【0035】
比較例No.19はSnおよび/またはSnCu合金粉末中のCuが高く、250℃でのぬれ性がない。また、サブミクロン粉末との混合比が低いために、350℃での接合強度が弱い。比較例No.20はSnおよび/またはSnCu合金粉末中のCuが高く、250℃でのぬれ性が点接触になり、サブミクロン粉末との混合比が低く、かつフラックまたは活性剤が高いために、350℃での接合強度が弱い。これに対し、本発明例であるNo.1〜13は本発明の条件をいずれも満足していることから、ぬれ性および接合強度の優れていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】SnCu粉末とCu2 Oサブミクロン粉末を混合、フラックスを添加、および加熱して接合部を形成した電子顕微鏡による断面観察した状態を示す写真である。
【図2】本発明に係るSnCu粉末とCu2 Oサブミクロン粉末とフラックスとの混合ペーストを加熱してCu板同士を接合、その断面を研磨し電子顕微鏡により断面観察した状態を示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Snおよび/またはSnCu合金よりなる粉末と、銅、酸化銅、酸化第二銅、表面酸化層を有す銅微粉末との少なくとも1種または2種以上の粉末を混合してなる材料を用いることを特徴とする鉛フリー高温用接合材料。
【請求項2】
請求項1に記載のCu、酸化銅、酸化第二銅、および表面酸化層を有す銅微粉末が、1μm未満の粒径を有することを特徴とする鉛フリー高温用接合材料。
【請求項3】
Snおよび/またはSnCu合金よりなる粉末と、銅、酸化銅、酸化第二銅、表面酸化層を有す銅微粉末との少なくとも1種または2種以上の粉末を混合してなる材料に、フラックスを混合して用いることを特徴とする、請求項1または2に記載の鉛フリー高温用接合材料。
【請求項4】
SnCu粉末の合金比が、Cuが38%以下で残部がSnと不可避的不純物からなり、急冷凝固にて製造されたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉛フリー高温用接合材料。
【請求項5】
Snおよび/またはSnCu合金よりなる粉末と、銅、酸化銅、酸化第二銅、表面酸化層を有す銅微粉末との少なくとも1種または2種以上の粉末を混合する割合を7.00:3.00〜9.95:0.05としたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉛フリー高温用接合材料。
【請求項6】
Snおよび/またはSnCu合金よりなる粉末と、銅、酸化銅、酸化第二銅、表面酸化層を有す銅微粉末との少なくとも1種または2種以上の粉末を混合してなる材料に、フラックスを重量比で1〜30%添加することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の鉛フリー高温用接合材料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−62736(P2011−62736A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216387(P2009−216387)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000180070)山陽特殊製鋼株式会社 (601)
【Fターム(参考)】