説明

鋼線を熱処理する装置および方法

【解決手段】 本発明は、少なくとも1つの細長い部材、特に、金属部材、例えば、1以上のワイヤ(2)、特に、鋼線を、一の連続したプロセスにおいて熱処理する炉(1)に関する。当該炉は、入口(3)および出口(4)と、入口(3)と出口(4)との間に延在し、第1の軸状部分(8)を形成している1以上の炉構成部(5)とを備え、1以上の炉構成部(5)の温度を設定する1以上の加熱部(6)は、炉(1)の内部、特に、第1の軸状部分(8)の内部に配置されている。細長い部材、特に、金属部材は、第1の軸状部分(8)に沿って輸送可能である。本発明によると、第1の軸状部分(8)に接続されている少なくとも1つの第2の軸状部分(9)、および、少なくとも1つのファン(7)を備えており、ファンによって、炉(1)の内部の雰囲気は、第1の軸状部分(8)および第2の軸状部分(9)に沿って周回するように循環させる。本発明はさらに、少なくとも1つの細長い部材、特に、金属部材、例えば、1以上のワイヤ(2)、特に、鋼線を、一の連続したプロセスにおいて熱処理するモジュールに関し、炉(1)および当該モジュールを備える装置に関し、少なくとも1つの細長い金属部材、例えば、1以上のワイヤ(2)、特に、鋼線を一の連続したプロセスで熱処理する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの細長い部材、特に金属部材、例えば、1以上のワイヤ、特に、鋼線を、一の連続したプロセスで、熱処理する炉に関する。炉は、入口および出口、ならびに、入口と出口との間に延在し、第1の軸状部分を形成する1以上の炉構成部を備える。1以上の炉構成部の温度を調整するための1以上の加熱部を、炉の内部、特に、第1の軸状部分に配設している。細長い部材、特に金属部材は、第1の軸状部分に沿って輸送され得る。
【0002】
本発明はさらに、少なくとも1つの細長い部材、特に金属部材、例えば、1以上のワイヤ、特に、鋼線を、一の連続したプロセスで、熱処理するモジュールに関する。モジュールは、入口および出口、ならびに、入口と出口との間に配設されている水槽と、水槽よりも下流に配置されており、1以上の加熱デバイスを有する保持部とを備える。
【0003】
本発明はさらに、少なくとも1つの細長い金属部材、例えば、1以上のワイヤ、特に、鋼線を、一の連続したプロセスで、熱処理する装置に関する。
【0004】
本発明は最終的に、少なくとも1つの細長い金属部材、例えば、1以上のワイヤ、特に、鋼線を、一の連続したプロセスで、熱処理する方法にも関する。金属部材は、炉と、水槽および保持部を有し、下流に配置されているモジュールとを通過するように誘導され、金属部材の微細組織を調整する。
【背景技術】
【0005】
先行技術では、1以上の細長い金属部材、特に、1以上のワイヤ、例えば、鋼線を、一の連続したプロセスで、熱処理する装置を利用することが公知である。ここにおいて、「一の連続したプロセス」という表現は、少なくとも1つの細長い金属部材、例えば、鋼線等の金属ワイヤまたは帯綱等の金属長尺状部材を、非屈曲装置を利用し、熱処理装置を通過するように細長い金属部材を誘導して、曲げないことを意味する。熱処理は、具体的には、処理対象の細長い金属部材の微細組織を変形して、別の処理工程を実行し易くするために実行されるとしてよい。例えば、鋼線、特に、炭素含有量が0.5重量%から1.0重量%を超えている高炭素鋼線に熱処理を行って、パーライト微細組織を持つ鋼線を得ることが知られている。この場合、鋼線は、最初に炉を通過するように誘導して鋼線をオーステナイト化し、その後、炉とは別に用意されているモジュールにおいて微細組織のパーライトピークの範囲内の温度まで冷却される。この後、鋼線を約摂氏550度の温度で保持し、マルテンサイトを形成することなく、微細組織をパーライトに変化させるようにする(欧州特許文献第0 524 689 A1または欧州特許文献第0 216 434 A1)。
【0006】
鋼線をオーステナイト化する炉は大抵、複数の加熱部を有する。加熱部は、例えば、一のワイヤ、特に、一の鋼線、または、平行に配置した複数の鋼線の束を複数、オーステナイト化温度以上まで加熱して、微細組織がその後上述のように調整可能になるようにするガスバーナーであってよい。
【0007】
欧州特許文献第0 524 689 A1号は、オーステナイト化を行う炉と、鋼線の微細組織を冷却または調節するべく下流に配置されたモジュールとを組み合わせることを開示する。この場合には、寸法が大きい鋼線を処理する際には特に、複数の水槽を複数の空気冷却ゾーンと交互に配置する必要がある。
【0008】
鋼線等の細長い金属部材をオーステナイト化するための炉は、特に、非常に長いために、広い床面積が必要になるという欠点がある。
【0009】
例えば鋼線等をオーステナイト化する炉と共に用いられるモジュールも同様に、特に、直径が大きいワイヤを処理する際に、複数の水槽を設けて空気冷却ゾーンと交互に並べる必要があり、著しく長くなり、非常に広い床面積が必要になるという欠点がある。
【0010】
先行技術が抱える問題からは、例えば、1以上の鋼線をオーステナイト化するための炉と、微細組織の調整のために下流に設けられるモジュールとを組み合わせた装置が非常に広い床面積を必要とすることも分かる。
【0011】
最初に引用した種類の方法も同様の欠点を持つ。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、最初に引用した種類の炉であって、先行技術で公知の炉よりも短く、細長い部材、特に、細長い金属部材、例えば、鋼線をオーステナイト化温度またはその他の温度まで容易に加熱する炉を開示することを目的として成されている。
【0013】
本発明はさらに、最初に引用した種類のモジュールであって、例えば、鋼線の所望の微細組織を、当該鋼線が事前にオーステナイト化温度以上まで加熱されていれば、短い領域内で当該鋼線を調整可能なモジュールを開示することを目的としている。
【0014】
本発明はさらに、最初に引用した種類の装置であって、長さが短い装置を開示することを目的としている。
【0015】
本発明は最終的に、最初に引用した種類の方法であって、比較的短い領域内で所望の微細組織が調整可能となる方法を開示することを目的とする。
【0016】
本発明によると、上記の目的は、最初に引用した種類の炉が、第1の軸状部分に接続されている少なくとも1つの第2の軸状部分、および、炉内の雰囲気を第1および第2の軸状部分に沿って周回するように循環させるための少なくとも1つのファンを備えることによって達成される。
【0017】
本発明に係る炉によって実現される利点の1つとして、特に、長さが短くなる点が挙げられる。第1の軸状部分および第2の軸状部分によって、炉内の雰囲気または空気を、ファンを利用して、周回するように常に循環させる。鋼線の熱処理を行っている間、例えば、鋼線の上方で雰囲気を循環させて、大規模な対流が発生するように、例えば、15ms−1から25ms−1の間の速度で並流または向流を形成する。この対流が発生した結果、良好な熱伝達が可能となるので、炉内を通過するように誘導されている細長い金属部材を高速に加熱することが可能となる。この結果、炉の処理領域を短くすることが可能となるので、雰囲気を循環させない種類の炉に比べて、長さが短くなる。このように循環させた結果、部分負荷動作をより良好に制御することが可能となり、炉内の雰囲気は負荷の影響を受けない。
【0018】
1以上の加熱部は、第1および/または第2の軸状部分の内部に配設されるとしてよい。加熱を効率良く行い、所定の目的のために温度を調節する場合には、1以上の加熱部を第1の軸状部分の内部に配設するのが有利であることが多い。
【0019】
本発明に係る炉は、鋼線をパテント処理する際に鋼線をオーステナイト化温度以上まで加熱するべく利用されることが好ましいが、他の熱処理にも適している。例えば、硬化処理およびテンパリング処理、拡散処理または応力緩和アニーリング処理にも適している。適切な補助装置、例えば、硬化処理およびテンパリング処理のための水槽または冷却媒体を備えるモジュールを炉よりも下流に設ける。
【0020】
少なくとも1つのファンは基本的に、炉のどの場所に設けるとしてもよい。ファンは、炉の入口よりも炉の出口に近接させて配設することが好ましい。これは、炉内の雰囲気は通常、処理対象物の輸送方向とは逆方向、つまり、向流として循環し、ファンの温度負荷は、炉の入口領域よりも炉の出口領域の方が低いためである。また、雰囲気を循環させるための複数の周回するような流れについて、複数のファンを設けることも可能である。この場合、酸化ガスまたは還元ガスを対応する供給ラインを介して各周回流に供給するので、処理とは無関係に雰囲気を維持することが有利である。
【0021】
利用される加熱部は、例えば、電気加熱部等、任意の加熱部から構成されるとしてよい。加熱部は大抵、第1の軸状部分に沿って配設される。加熱部は、具体的には、ガスバーナーで構成されるとしてよく、高温燃焼ガスを処理対象物の輸送方向と垂直に、または、輸送方向を横断するように供給可能である。第1の軸状部分へのエネルギー供給は、細長い部材を横断するように複数の異なる箇所で実行され、例えば、15ms−1から25ms−1等の高速で雰囲気を循環させることによって、対流が改善され、処理対象物の加熱処理を高速化することが可能となる。炉は、ガスバーナーを設ける場合、少なくとも1つの排気口を有するとしてよく、当該排気口を介して炉内から過剰な空気を排気することができる。
【0022】
ガスバーナーを用いる場合、回収型バーナーで構成されることが好ましく、炉の廃熱を用いて燃焼ガスを加熱し、回収型バーナーに供給される燃焼用空気は、事前に摂氏130度から摂氏250度の間まで加熱されることが好ましい。これに代えて、中央事前加熱システムと共に、冷気バーナーまたは熱気バーナーを設けるとしてもよい。
【0023】
ガスバーナーを設ける場合、炉は、利用する(燃料)ガスの発熱量を測定する装置、および、ガスバーナーに供給される燃焼空気の体積流量を制御する制御部を有するという利点を持つ。複数のガスバーナーに分配または供給される複数の燃焼ガスは、量が異なるとしてよい。このため、炉内では局所的に雰囲気が異なる場合があるとしてもよい。これは、望ましくない事態であることが多く、当該装置によって防ぐ。
【0024】
原則的には、1以上の加熱部を配設する炉構成部を1以上設けることが可能である。温度を独立して調整可能な炉構成部を炉が複数有することが有利である。この理由は、例えば、熱処理を施している鋼線は炉の入口の領域では低温であるので、最初の炉構成部において後続の複数の炉構成部よりも高い温度が必要となる。2番目以降の炉構成部では、鋼線は基本的に、既に温められており、この鋼線の温度分布を均一にすることのみを保証すべきである。この点に関して、炉構成部において温度調節を行うための制御回路を設けることが好ましい。この構成によって、炉の内部またはそれぞれの炉構成部に沿って最適な温度プロフィールをそれぞれ調節することが可能になる。温度プロフィールの調節に関して、多くの例において、炉構成部を2個から10個、特に、2個から6個とすることが有利である。
【0025】
炉を通過するように誘導されている処理対象物に関して循環している雰囲気の対流を良好なものとするべく、第1の軸状部分は、循環している雰囲気の方向を変換させるための凹部をさらに備えるとしてよい。このようにして、炉内の雰囲気は、例えば、炉内を通過するように誘導されている処理対象物に対して向流として循環させられるだけでなく、炉内を通過するように誘導されている処理対象物を選択的に横断するようにも流れ、処理対象物が高速に加熱されるので、炉の長さを短くすることが可能となる。凹部に代えて、同一機能または同様機能を持つ手段を設けることも可能である。例えば、凹部と同様に、1以上の箇所においてバッフルを配設して、炉を通過するように輸送または誘導している処理対象物に向けて循環する雰囲気の方向を変更しつつ、第1の軸状部分の上部断面および下部断面を直線状の側壁で構成することが可能である。任意の適切な手段を利用して、循環している雰囲気の方向を変化させるとしてよい。
【0026】
凹部について、流入側で約90度の角度を持つことが基本的には理想であるが、例えば、向流として雰囲気を同時に循環させる場合には実現不可能である。しかし、所望の効果は、凹部の角度が流入側で30度と60度との間である場合に実現可能である。これは、凹部に代えて同一機能または同様機能を持つ手段を設ける場合でも同じである。
【0027】
形状については、短いだけでなく低く、第1の軸状部分が水平方向に延在し、少なくとも1つの第2の軸状部分が第1の軸状部分の真下に配置されることが特に好ましい。2つの軸状部分が直接接続されていない場合には、中間部材によって互いに離して設けられ、雰囲気を周回するように循環させ得るようにすることは言うまでもない。例えば、2つの軸状部分は、大部分が間に配置されたセラミックプレートによって互いに離して設けられているとしてよい。このような構成では、炉の動作中の熱均衡を効率的なものとするという利点がある。
【0028】
炉は、第1の軸状部分および少なくとも1つの第2の軸状部分が、炉内の雰囲気を周回するように循環させるべく、炉の入口および炉の出口の領域において、合流するように構成されることが好ましい。残りの領域では、軸状部分は、上述したように互いに離れて設けられている。このような構成によって、炉全体の雰囲気を循環させることによって得られる対流効果を用いることが可能となる。このため、少なくとも第1の軸状部分は炉の長さのうち少なくとも65%、好ましくは、少なくとも75%にわたって延在している必要がある。しかし、炉を拡散処理に用いる場合には、少なくとも第1の軸状部分が炉の出口まで延在せず、炉の出口より前で終端することが有利である。このような構成とすることで、後続の熱処理用の保持ゾーンを、第1の軸状部分の終端と炉の出口との間に組み込むことができるためである。
【0029】
炉および下流に設けている任意のその他の装置の動作中、熱均衡を効率的にし、エネルギーのコストを低減する場合、炉および回収型のバーナーの廃熱を利用するべく1以上の熱交換機を設けることが好ましい。廃熱は、例えば、乾燥炉を加熱するために用いることができる。例えば、槽加熱部または加熱チャンバ等の外部システムについて排気ガスまたは燃焼排ガスの熱容量を利用することに代えて、ガスバーナー、特に、回収型のバーナーに供給される外気を、熱交換機を用いて、例えば、ステンレススチール製の耐酸性の外気チャネルを排気口または煙突に設けることによって、燃焼排ガスで事前に加熱することができる。この結果、炉の熱損失は、炉の表面から外囲空間への熱損失に低減され、煙突の排気口で必要な燃焼排ガスの最低温度と外気温度との差に、比熱と、排気ガスまたは燃焼排ガスの量とを乗算した値となる。また、熱交換面によって燃焼排ガスを外部および内部の両方で利用することも可能である。ガス/空気の混合物は、部分負荷動作中に組成が変わらないので、排気ガスの量と外気の量との比率もまた一定であり、流速を低減することによって燃焼排ガスの温度および熱交換面の加熱面の応力が変化しても、燃焼空気温度および煙突の排気口の温度はわずかにずれるのみである。
【0030】
本発明に係る炉は、例えば、全体が煉瓦によって構成されているか、または、煉瓦のみによって構成されているとしてよい。しかし、炉は、所定の高さまで煉瓦によってのみ構成され、上方には筐体を取り外し可能な方法で取り付けることが好ましい。このような構成によって、不具合が発生した場合、または、サービスおよびメンテナンス時に、炉を開くことが可能となり、大きな問題を発生させることなく炉の内部で必要な作業を実行することが可能となる。この場合、取り外し可能な絶縁部材を、取り外し可能に取り付けられている筐体の下方に配置して、煉瓦のみで構成されている炉と同様に、外囲環境に対して炉を適切に絶縁する。
【0031】
本発明はさらに、最初に引用した種類のモジュールであって、水槽の長さを調整可能とし、保持部の長さを水槽の方向に増減することができるモジュールを提供することを目的とする。
【0032】
本発明に係るモジュールが達成し得る利点の1つとして、非常に短い構造を持ちつつも、例えば、直径が最高で10mmの鋼線のパテント処理において所望の微細組織を調整することを可能とする点が挙げられる。さらに、当該モジュールは、水槽の長さが可変で調節可能であることにより、処理対象物の寸法を考慮に入れることができ、オーステナイト化温度からの冷却を希望に応じて調節可能であるので、適応可能範囲が広い。処理する鋼線の寸法が大きくなると、下流に保持部を配置した水槽を1つのみ用意すれば十分であり、保持部では、処理対象物を所与の温度に保持して、微細組織の変化を完了させる。この場合、保持部は、水槽の方向に長さを増減させることが可能であり、処理対象物は常に、水槽から出た後に定められた雰囲気内で輸送できる。
【0033】
水槽は、細長い構造を持つことが好ましい。鋼線のパテント処理に関して、例えば、水槽は、それぞれの長さを別箇に調整可能な複数の部分が平行に配置されているという利点を持つ。この場合、保持部は、対応して長さを増減可能な複数の部分を備えるように構成される。この結果、例えば、寸法が異なる鋼線の束を複数、上記の利点を断念することなく熱処理を実行する目的で、モジュール内を平行に通過するように誘導することが可能となる。
【0034】
水槽において所与の目的を実現するべく所定の条件を調節および維持することを目的として、複数の供給ラインおよび、可能であれば、少なくとも1つの排出ラインをそれぞれ、冷却媒体の調整のために、水槽またはその一部の長さ方向に沿って設けるとしてよい。
【0035】
モジュールを封止し、水槽またはその一部の長さは、特に、手動での調整、および/または、外部からの自動制御が可能であることが有益である。このような構成により、処理対象物の寸法が変化すれば、これに応じて水槽の長さを容易に適応させることができる。
【0036】
水槽またはその一部の長さは、無限に調整可能であるか、または、部分毎に別箇に調整可能であるとしてよく、部分の距離は、特に、モジュールの入口から出口へ対数的に、小さくなる。この結果、水槽の長さの最適値は、鋼線の略全ての寸法について容易に調整が可能である。
【0037】
本発明はさらに、最初に引用した種類の装置であって、本発明に係る炉および本発明に係るモジュールを備える装置を提供することを目的とする。
【0038】
本発明に係る装置によって実現される利点の1つとして、構造が短く、または、小型であるので、短い範囲内で、例えば、鋼線のパテント処理、または、一般的には、処理対象物の所望の微細組織の調整を行うことができる。
【0039】
炉は、モジュールの入口および水槽に気密に接続することが好ましい。この結果、非常に高温で炉から排出される処理対象物は、水槽に浸漬される前に、制御されていない雰囲気、または、制御不可能な雰囲気との接触が回避され得る。
【0040】
さらに、巻取部を有する引き込み装置と、少なくとも1つのストリップとを設けることが有益である。少なくとも1つのストリップは、当該装置を通過するように延在し、当該装置の横方向の領域に配置されることが好ましい。この結果、ワイヤ等を挿入するための引込開始部分は、当該装置内に容易に引き込むことができる。ストリップは、当該装置内に恒久的に配置され、超合金で構成されることが有益である。
【0041】
本発明はさらに、最初に引用した種類の方法であって、炉内の雰囲気を常に周回するように循環させる方法を提供することを目的とする。
【0042】
本発明に係る方法では、炉内の雰囲気を循環させることによって良好な対流が形成され、処理対象物を非常に短い部分において水槽に浸漬させる前に所望の温度まで加熱することができることが特に有益である。
【0043】
雰囲気は、できる限り効果的に所望の対流効果を実現するべく、最高で50ms−1、好ましくは15ms−1から25ms−1の速度で循環させることが有益である。
【0044】
雰囲気は、細長い金属部材の輸送方向に対する向流として循環させることが有益である。しかし、当然のことながら、輸送方向に循環させることも可能である。
【0045】
鋼線のパテント処理について、特に、細長い金属部材を、制御されていない雰囲気または制御不可能な雰囲気との望ましくない接触を回避するべく、炉からモジュールへと制御された雰囲気内で誘導することが好ましい。
【0046】
細長い金属部材は、先行技術によると、膜沸騰によって水槽で冷却されることが好ましい。このため、水槽には適切な添加剤を混ぜ合わせる。この点において、水または添加剤を、接続されている計量部および制御回路によって、冷却媒体の温度を一定に維持し、同時に水槽内の添加剤の含有量を一定または所定範囲内に維持するべく、追加するとしてよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明のその他の特徴、利点および効果は、後述する実施形態例から得られる。実施形態例の各特徴は、他の特徴と関連して言及されているとしても、上述した本発明の概略と組み合わせることが可能である。図面は以下の通りである。
【図1】炉の概略側面図である。
【図2】図1の炉を長手軸に垂直に切断した断面図である。
【図3】炉の別の実施形態を示す図である。
【図4】図3の炉を長手軸に垂直に切断した断面図である。
【図5】水槽および保持部を備えるモジュールを示す図である。
【図6】引き込み装置の概略側面図である。
【図7】図6の引き込み装置の概略上面図である。
【図8】炉の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1および図2は、本発明に係る炉1の第1の例を示す図である。炉1は、細長い構造を持ち、入口3および出口4を両端に持つ。炉1は、鋼線に対して熱処理、特に、パテント処理を実行する装置の一部を形成するとしてよい。鋼線の束は、入口3の領域において導入され、出口4の領域において炉1から出ていく。炉1は、基部が煉瓦で構成されており、基部の周囲には封止部が設けられており、上部構造を担持している。上部構造は、封止部の一部を有し、絶縁部を有する。図2を参照すると、第1の軸状部分8は、炉1の下部に形成されている。第2の軸状部分9は、炉1の上部または上部構造に形成されている。第1の軸状部分8および第2の軸状部分9は、実質的に炉1の全長にわたって延在しており、互いに平行である。第1の軸状部分8および第2の軸状部分9は、入口3および出口4の領域において互いに接続されており、炉1内の雰囲気を周回するように循環させることができる。この結果、例えば、オーステナイト化温度以上に加熱するべく、第1の軸状部分8を通るように誘導されて図示していない装置によって内部で加熱される鋼線は、非常に短い範囲内で所望温度にすることが可能となる。第2の軸状部分9は、上部構造内に配置されており、図示されているように、第1の軸状部分8よりも上方にある。しかし、第2の軸状部分9は、第1の軸状部分8に隣接させて配置するとしてもよいし、または、封止部の外部まで延在するとしてもよい。
【0049】
図3および図4は、炉1の第2の好ましい例を示す図である。炉1は、再度説明すると、入口3および出口4を備える。入口3および出口4は、取り外し可能な遮蔽部で閉じられているか、または、閉じることが可能である。遮蔽部はそれぞれ、略中心に位置している1以上の開口を有しており、ワイヤ2またはワイヤ2の複数の束の導入を可能とし、後に炉1から出すことができるようにする。炉1は、細長い形状を持ち、複数の炉構成部5を備える。ガスバーナー、特に、回収型のバーナー等、複数の加熱部6を、各炉構成部5に設ける。ガスバーナーには、中央主要ガスラインを介して、燃焼ガスおよび燃焼空気が供給される。しかし、各ガスバーナーに別個に供給することも可能である。図3および図4に示した概略図によると、炉1は、第1の軸状部分8を備えている。第1の軸状部分8に沿って、ワイヤ2またはワイヤ2の1以上の束を誘導することができる。このために、適切なワイヤ誘導部を設ける。第1の軸状部分8の下方に、3つの第2の軸状部分9がさらに設けられている。第1の軸状部分8は、入口3および出口4の近傍の終端領域を除き、炉1の長手軸に沿って第2の軸状部分9から完全に分離されている第1の軸状部分8は、入口3の領域および出口4の領域における屈曲部によって、第2の軸状部分9に合流している。屈曲部は、ワイヤ2、または、可能であれば、平行に誘導されるワイヤ2の1以上の束の輸送方向Rの領域において、終端している。第1の軸状部分8の幅にわたって延在するセラミック部材14によって容易に、実質的に長手軸の領域において、第2の軸状部分9と第1の軸状部分8とを分離することができている。また、1つの第2の軸状部分9、または、複数の別箇の第2の軸状部分9に合流する複数の第1の軸状部分8を提供することも一般的に可能である。セラミック部材14は出来る限り薄く構成されることが多いので、煉瓦部分13はさらに織布を含み、セラミック部材は、煉瓦部分13によって横方向に支持され、同時に織布に載置させる。これによって、セラミック部材14は、薄い場合に、発生する機械的応力に耐えることができる。この結果、第2の軸状部分9を3個設ける構成となるが、第2の軸状部分9は1つのみであってもよい。また、特定の部分のみに織布を設けることも可能である。煉瓦部分13は、第2の軸状部分8の高さにわたって延在しており、セラミック部材14および取り外し可能な絶縁部材16と共に、第1の軸状部分8を少なくとも部分的に画定している部分12を担持している。取り外し可能に取り付けられている筐体15は、絶縁部材16の上方に配置されている。上側の縁部の領域にある取り外し可能に取り付けられている筐体15と、筐体の下方に配置されている取り外し可能な絶縁部材16とを組み合わせることによって、炉1は、煉瓦のみで構成される炉とは対照的に、例えば、サービスまたはメンテナンス作業のために上側から開くことが可能となる。ファン7は、炉1のうち出口4に隣接した端部領域に配置されている。ファン7は、炉1の内部の雰囲気を第1の軸状部分8および第2の軸状部分9に沿って周回するように循環させ、つまり、図3の矢印で示すように、輸送方向Rに対して向流を循環させる。加熱対象の材料に対して出来る限り良好な流を形成するべく、第1の軸状部分8は凹部10を備えており、雰囲気または再循環した空気が所与の部分においてワイヤ2に斜めに当たるようにする。炉1は、短くなるだけでなく、エネルギー効率が非常に高くなる。これは、第1の軸状部分8が単に、例えば、コーディエライトで構成されているセラミック部材14によって、第2の軸状部分9とは離れているためである。例えば、雰囲気または再循環した空気を調整するべく第1の軸状部分8にガスを導入することができるので、小さい排気口11をさらに設けて再循環した過剰な空気を排出させて、望ましくない圧力の増大を回避する。各炉構成部5の温度は、専用の制御回路を用いて、回収型のバーナーを制御することによって、調整することができる。また、特に、いわゆる低負荷動作を実現することが可能である。これは、ワイヤ2、または、可能であれば、ワイヤ2の1以上の束は、再循環した空気が循環することによって、低い負荷で十分に加熱が可能であるためである。ガスバーナーを利用する場合、元々悪かった熱伝達特性がさらに劣化するので、大きな問題となる。
【0050】
図5は、水槽18および保持部19を備えるモジュール17を示す図である。保持部19は、水槽18の直ぐ下流に配置されている。モジュール17は、モジュールの両端にそれぞれ入口20および出口21が配置されている。鋼線をパテント処理する装置において、モジュールの入口20は、図3の炉の直ぐ下流に配置される。つまり、炉の出口4から出てくるワイヤ2が、当該装置の周囲の雰囲気と接触することなく、モジュール17の水槽18に直ぐに浸漬するように配置される。この結果、オーステナイト化温度まで加熱された鋼線が水槽18に浸漬する前に変化するという問題が回避される。水槽18は、図5ではモジュール17全体と同様に概略を示すにとどまっているが、長さを変更可能である。このため、例えば、外部クランクを設けることが可能である。このクランクによって、堰部は常に調整可能である。また、水槽18を、要求または冷却部に必要な長さに応じて注水可能な複数の部分に分割することも可能である。しかし、水槽18は、互いに独立して制御可能な複数の平行な部分を備えることも可能である。各部分の長さは可変である。保持部19は、複数の保持ゾーンを有する。保持ゾーンはそれぞれ、互いに独立して動作可能であり、1以上の加熱デバイスを有する。加熱デバイスにより、各保持ゾーンの所定の温度を調整することができる。この温度は、例えば、鋼線をパテント処理するために必要な温度であり、摂氏500度と摂氏600度との間の温度に対応する。驚くべきことに、一の水槽18と、複数の温度制御保持ゾーンを備える保持部19とを組み合わせるだけで、少なくとも最高で15mmまでの断面を持つ鋼線にパテント処理を行うのには十分であることが分かった。モジュール17の全長にわたる温度を正確に制御するために、保持部19は、水槽18の長さが調整可能なことに応じて、長さを増減可能な部材を含むように構成されている。このような部材は、例えば、内側に絶縁部を含む延長可能なパネルとして実現されるとしてよい。保持部19はさらに、水槽18に隣接している端部において、伸縮方式で一部または全体を延長可能に構成されるとしてよい。このような構成によって、ワイヤ2は、水槽18から現れるやいなや、長さに関係なく、直ぐに温度制御ゾーンに輸送され得る。また、両者間には、制御されていない空間または制御不可能な空間は存在しない。
【0051】
図6および図7は、炉1およびモジュール17から構成されている装置に関連して用意され引き込み装置22を示す図である。炉1およびモジュール17は、引き込み装置22に接続されている。当該装置は、特に、鋼線を熱処理するために用いられるとする。引き込み装置22は、2つの巻取部23および24を備えており、巻取部23および24の上に、ストリップ25が横方向に巻き回されている。巻取部23および24は共に、モーターを有しており、ストリップ25は、要求に応じて、ある方向または逆の方向に移動させることができる。上述したように、引き込み装置22は全体として、炉1およびモジュール17を備える装置の不可欠な構成要素を形成しているとしてよい。モジュール17は、炉に接続されており、水槽18および保持部19を含む。引き込み装置22のストリップ25は、炉1およびモジュール17を通過するように延在しており、横方向に配置され、特に、図3の炉1の第1の軸状部分8または図5のモジュール17において横方向に配置され、装置の動作中に鋼線の誘導の邪魔にならないようにする。このような構成とすることによって、ストリップ25が占める空間はほとんど必要ないので、空間が狭くなることはない。ストリップ25は、高温に耐性を持つように超合金で構成することが好ましい。ストリップ25は基本的に、可能な限り、巻取部23に巻き回される。巻取部24に接続するのは、ストリップ25の端部のみとする。生産が開始されると、最終的にワイヤ2を装置内に挿入するためのいわゆる引込開始部分をストリップ25に取り付ける。この場合、引込開始部分は、ストリップ25を巻き取ることによって、装置を端から端まで輸送する必要がある。引込開始部分は、巻取部24でもストリップに取り付けられている。ワイヤ2は、引込開始部分が装置内を通過すれば、引き込むことが可能である。さらに、モーターを持つ補助巻取部を設ける。既に装置内を誘導されたワイヤ2またはワイヤ束は、この補助巻取部26に一時的に巻き回すことができる。補助巻取部26はこの後、炉1内でワイヤが停止しないように、溶接処理を実行するまで、ワイヤ2を移動させ続ける。
【0052】
図8は、本発明に係る炉1の別の例を非常に簡略化して示す。炉1は、拡散炉として構成されており、1以上のファン7、好ましくは2つのファン7を備える。ファン7は、第1の軸状部分8および2つの第2の軸状部分9に沿って再循環した空気を循環させる。つまり、炉1内を誘導されるワイヤ2に関して向流となるように循環させる。加熱部、好ましくは、電気的またはガスを用いて加熱される加熱部、例えば、電気ダンパレジスタを第2の軸状部分9に配置する。炉1は、入口側に、装置内を誘導されるワイヤ2に対して加熱媒体が垂直に作用し、ワイヤ2が短時間または短い範囲内で所望の温度まで到達することができるゾーンを持つ。続くゾーンでは、ワイヤ2の温度を維持するのみでよく、ファン7を用いて雰囲気を循環させることによって行う。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの細長い部材、特に、金属部材、例えば、1以上のワイヤ(2)、特に、鋼線を、一の連続したプロセスにおいて熱処理する炉(1)であって、
入口(3)および出口(4)と、
前記入口(3)と前記出口(4)との間に延在し、第1の軸状部分(8)を形成している1以上の炉構成部(5)と
を備え、
前記1以上の炉構成部(5)の温度を調整する1以上の加熱部(6)は、前記炉(1)の内部、特に、前記第1の軸状部分(8)の内部に配置されており、
前記細長い部材、特に、金属部材は、前記第1の軸状部分(8)に沿って輸送され、
前記炉は、前記第1の軸状部分(8)に接続されている少なくとも1つの第2の軸状部分(9)と、少なくとも1つのファン(7)とを備えており、前記少なくとも1つのファン(7)によって、前記炉(1)の内部の雰囲気は、前記第1の軸状部分(8)および前記第2の軸状部分(9)に沿って周回するように循環させる炉(1)。
【請求項2】
前記ファン(7)は、前記入口(3)よりも前記出口(4)に近接して配置されている請求項1に記載の炉(1)。
【請求項3】
前記加熱部(6)は、ガスバーナーによって構成される請求項1または請求項2に記載の炉(1)。
【請求項4】
前記ガスバーナーは、回収型バーナーとして構成される請求項3に記載の炉(1)。
【請求項5】
供給される燃料ガスの発熱量を測定するデバイス、および、前記ガスバーナーに供給される燃焼空気の体積流量を制御する制御部を設ける請求項3または請求項4に記載の炉(1)。
【請求項6】
前記炉構成部(5)の温度を調整するべく制御回路が設けられる請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の炉(1)。
【請求項7】
2個から10個、特に、2個から6個の炉構成部(5)を設ける請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の炉(1)。
【請求項8】
前記第1の軸状部分(8)は、循環させられている前記雰囲気の方向を変える凹部(10)を有する請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載の炉(1)。
【請求項9】
前記凹部(10)は、流入側において角度が約30度から60度である請求項8に記載の炉(1)。
【請求項10】
前記第1の軸状部分(8)は、水平方向に延在し、前記少なくとも1つの第2の軸状部分(9)は、前記第1の軸状部分(8)の真下に配置されている請求項1から請求項9のうちいずれか一項に記載の炉(1)。
【請求項11】
前記第1の軸状部分(8)および前記少なくとも1つの第2の軸状部分(9)は、前記入口(3)および前記出口(4)の領域において互いに合流している請求項1から請求項10のうちいずれか一項に記載の炉(1)。
【請求項12】
前記炉(1)および前記回収型バーナーの廃熱を利用する1以上の熱交換機を設ける請求項1から請求項11のうちいずれか一項に記載の炉(1)。
【請求項13】
前記炉(1)は、上側の縁部に取り外し可能に取り付けられている筐体(15)を有する請求項1から請求項12のうちいずれか一項に記載の炉(1)。
【請求項14】
取り外し可能な絶縁部材(16)は、前記取り外し可能に取り付けられている筐体(15)の下方に配置されている請求項13に記載の炉(1)。
【請求項15】
少なくとも1つの細長い部材、特に、金属部材、例えば、1以上のワイヤ(2)、特に、鋼線を、一の連続したプロセスにおいて熱処理するモジュール(17)であって、
前記モジュール(17)は、
入口(20)および出口(21)と、
前記入口と前記出口との間に配置されている水槽(18)と、
前記水槽の下流に配置され、1以上の加熱デバイスを有する保持部(19)と
を備え、
前記水槽(18)は、長さが可変で調節され、前記保持部(19)は、対応して前記水槽(18)の方向において長さを増減するモジュール(17)。
【請求項16】
前記水槽(18)は、細長く構成されており、長さが可変で別々に調節する複数の平行な部分を有し、
前記保持部(19)は、対応して長さを増減する複数の部分を有する請求項15に記載のモジュール(17)。
【請求項17】
冷却媒体を調整するべく、前記水槽(18)またはその一部の長さに沿って、複数の供給ライン、および、可能であれば、少なくとも1つの排出ラインを設ける請求項15または請求項16に記載のモジュール(17)。
【請求項18】
前記モジュール(17)は、封止されており、前記水槽(18)またはその一部の長さは、特に、手動での調整および外部からの自動制御の少なくとも一方を行う請求項15から請求項17のうちいずれか一項に記載のモジュール(17)。
【請求項19】
前記水槽(18)またはその一部の長さは、無限に変化させて調節するか、または、部分毎に別々に調整され、前記部分の距離は、特に、前記入口(20)から前記出口(21)へと対数的に小さくなる請求項15から請求項18のうちいずれか一項に記載のモジュール(17)。
【請求項20】
少なくとも1つの細長い金属部材、例えば、1以上のワイヤ(2)、特に、鋼線を一の連続したプロセスで熱処理する装置であって、
請求項1から請求項14のうちいずれか一項に記載の炉(1)と、
請求項15から請求項19のうちいずれか一項に記載のモジュール(17)と
を備える装置。
【請求項21】
前記炉(1)は、前記モジュール(17)の前記入口(20)および前記水槽(18)に気密に接続されている請求項20に記載の装置。
【請求項22】
巻取部(23、24)および少なくとも1つのストリップ(25)を有する引き込み装置(22)を設け、前記少なくとも1つのストリップ(25)は、前記装置を通過するように延在し、前記装置の横領域に配置されるのが好ましい請求項20または請求項21に記載の装置。
【請求項23】
少なくとも1つの細長い金属部材、例えば、1以上のワイヤ(2)、特に、鋼線を一の連続したプロセスで熱処理する方法であって、
前記金属部材は、炉(1)、および、下流に配置されており、水槽(18)と保持部(19)とを有するモジュール(17)を通過するように誘導され、前記金属部材の微細組織を調節し、
前記炉(1)の内部の雰囲気は常に周回するように循環させられている方法。
【請求項24】
前記雰囲気は、最高で50ms−1、好ましくは15ms−1から25ms−1の速度で循環させられている請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記雰囲気は、前記細長い金属部材の輸送方向(R)に関する向流として循環させられる請求項23または請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記細長い金属部材は、前記炉(1)から前記モジュール(17)へと、制御された雰囲気内を、誘導される請求項23から請求項25のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記細長い金属部材は、膜沸騰によって、前記水槽(18)において冷却される請求項23から請求項26のうちいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−518986(P2013−518986A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551438(P2012−551438)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【国際出願番号】PCT/AT2011/000039
【国際公開番号】WO2011/094775
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(512159856)シーピーエー コンピューター プロセス オートメーション ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】