説明

鎮圧機構

【課題】車輌本体にリフトアームを介して昇降可能に連結され且つ耕耘リヤカバーが耕耘上面カバーに対して回動可能とされた耕耘機に適用される鎮圧機構であって、鎮圧バネによる鎮圧力を容易に変更し得る鎮圧機構を提供する。
【解決手段】耕耘リヤカバーが外力によって耕耘爪軸から離間する開方向へ回動されるに従って該耕耘リヤカバーを前記耕耘爪軸に近接する閉方向へ向けて付勢する鎮圧力が大きくなるように配設された鎮圧バネと、前記耕耘リヤカバーに開方向への外力が付与されていない際の前記鎮圧バネの初期鎮圧力を変更可能な鎮圧バネ用アクチュエータとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌本体に昇降可能に連結される耕耘機に適用される鎮圧機構に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車輌における車輌本体に対して昇降可能に連結された耕耘機に鎮圧機構を備えることは従来から公知である。
例えば、該鎮圧機構は、下端側が前記耕耘機における耕耘リヤカバーに作動連結されたハンガーロッドと、前記耕耘リヤカバーの開方向への回動に抗して該耕耘リヤカバーを閉方向へ押動するように前記ハンガーロッドを付勢する鎮圧バネとを備えている。
【0003】
斯かる鎮圧機構においては、前記耕耘機が接地されている時や耕耘作業中において、前記耕耘リヤカバーの後端側が耕耘された耕土との接地圧にて開方向へ回動すると、前記鎮圧用圧縮バネが圧縮される。
即ち、該鎮圧機構を備えることにより、前記耕耘リヤカバーが開方向へ回動する際には、該耕耘リヤカバーは前記鎮圧用圧縮バネの鎮圧力に抗して動作することになり、従って、該耕耘リヤカバーによる均平作用を有効に維持しつつ、後方への土の飛散を有効に防止することができる。
【0004】
ところで、従来の鎮圧機構においては、前記鎮圧バネの初期鎮圧力は手動で調整されていた(例えば、特許文献1参照)。
従って、前記鎮圧バネの初期鎮圧力を調整する作業が煩雑であるという問題があった。
【0005】
又、前記鎮圧バネの初期鎮圧力を手動で調整する構成では、作業者が作業車輌を走行中に前記鎮圧バネの初期鎮圧力を調整することができない。
即ち、前記従来の構成では、作業者が作業車輌を走行させる前に、予め前記鎮圧バネの初期鎮圧力を設定しておかなければならず、該鎮圧バネの初期鎮圧力を耕耘開始時や非耕耘状態での走行時等の走行状態に応じて変更することができない。
【特許文献1】特開2000−41415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、鎮圧バネによる鎮圧力を容易に変更し得る鎮圧機構の提供を、一の目的とする。
また、本発明は、走行状態に応じて鎮圧バネによる鎮圧力を変更し得る鎮圧機構の提供を、他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記一の目的を達成する為に、車輌本体にリフトアームを介して昇降可能に連結され且つ耕耘リヤカバーが耕耘上面カバーに対して回動可能とされた耕耘機に適用される鎮圧機構であって、前記耕耘リヤカバーが外力によって耕耘爪軸から離間する開方向へ回動されるに従って該耕耘リヤカバーを前記耕耘爪軸に近接する閉方向へ向けて付勢する鎮圧力が大きくなるように配設された鎮圧バネと、前記耕耘リヤカバーに開方向への外力が付与されていない際の前記鎮圧バネの初期鎮圧力を変更可能な鎮圧バネ用アクチュエータとを備えた鎮圧機構を提供する。
【0008】
好ましくは、前記鎮圧バネ用アクチュエータはバネ力設定ダイヤルの設定値に応じて作動制御されるように構成される。
【0009】
好ましくは、前記耕耘機が接地位置よりも上方に位置する際には、前記鎮圧バネの初期鎮圧力が基準初期鎮圧力よりも大きくなるように前記鎮圧バネ用アクチュエータが作動制御されるように構成される。
好ましくは、前記耕耘機が最上げ位置に位置する際には、前記鎮圧バネの初期鎮圧力が基準初期鎮圧力よりも大きくなるように前記鎮圧バネ用アクチュエータが作動制御され得る。
【0010】
前記種々の態様において、好ましくは、前記耕耘機を非耕耘状態位置から設定耕深位置へ向けて自動高さ制御において下降させる際に、リヤカバーが接地に至るまでの間において該耕耘機が所定高さに到達するまでは、前記鎮圧バネの初期鎮圧力が基準初期鎮圧力よりも大きくなるように前記鎮圧バネ用アクチュエータが作動制御され得る。
【0011】
又、前記種々の態様において、好ましくは、自動耕深制御中において、前記リフトアームの回動角度が所定の閾値よりも高い場合には、前記鎮圧バネの初期鎮圧力が基準初期鎮圧力よりも小さくなるように前記鎮圧バネ用アクチュエータが作動制御され得る。
【0012】
さらに、前記種々の構成において、好ましくは、自動耕深制御の開始から一定時間又は一定区間においては、前記鎮圧バネの初期鎮圧力が基準初期鎮圧力よりも大きくなるように前記鎮圧バネ用アクチュエータが作動制御され得る。
好ましくは、前記一定時間又は前記一定区間内であっても、前記リフトアームの回動角度が所定の閾値よりも高い場合には、前記鎮圧バネの初期鎮圧力が前記基準初期鎮圧力以下となるように前記鎮圧バネ用アクチュエータが作動制御され得る。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る鎮圧機構によれば、耕耘リヤカバーが開方向へ回動される際に該耕耘リヤカバーを閉方向へ付勢する鎮圧バネの初期鎮圧力を、鎮圧バネ用アクチュエータによって変更させるように構成したので、初期鎮圧力を手動操作によって調整していた従来構成に比して、極めて簡便に前記鎮圧バネの初期鎮圧力の変更を行うことができる。
【0014】
又、前記鎮圧バネ用アクチュエータがバネ力設定ダイヤルの設定値に応じて作動制御されるように構成すれば、車輌本体の走行操作中においても、前記鎮圧バネの初期鎮圧力を変更することができる。従って、車輌走行中において該車輌の走行状態に適するように前記鎮圧バネの初期鎮圧力を変更できる。
【0015】
さらに、前記耕耘機が接地位置よりも上方に位置する際には、前記鎮圧バネの初期鎮圧力が基準初期鎮圧力よりも大きくなるように構成すれば、耕耘機を非耕耘状態位置に位置させた状態で車輌本体を走行させる際に、耕耘リヤカバーが振動することを有効に防止できる。
従って、斯かる状態で車輌本体を走行させている際に、意に反して自動耕深制御が作動するという誤動作を防止できると共に、騒音の低減を図ることができる。
さらに、該構成によれば、前記耕耘機を非耕耘状態位置から自動高さ制御にて下降させて設定耕深位置での自動耕深制御を開始する際に、該耕耘機が接地するより前に前記耕耘リヤカバーが開方向へ回動し、これにより、自動高さ制御から自動耕深制御へ意に反して切り替わるという不都合を有効に防止できる。
【0016】
又、自動耕深制御の開始から一定時間又は一定区間においては、前記鎮圧バネの初期鎮圧力が基準初期鎮圧力よりも大きくなるように構成すれば、耕深開始時における初期盛り現象を有効に防止することができる。
【0017】
さらに、自動耕深制御中において、リフトアームの回動角度が所定の閾値よりも高い場合には、前記鎮圧バネの初期鎮圧力が基準初期鎮圧力よりも小さくなるようにすれば、代掻き作業時において耕耘リヤカバーが深い位置までもぐることを有効に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
実施の形態1
以下、本発明に係る鎮圧機構の一実施の形態について添付図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2に、それぞれ、本実施の形態に係る鎮圧機構が適用された作業車輌の概略側面図及び概略平面図を示す。
【0019】
図1及び図2に示す如く、乗用トラクタの形態をなす前記作業車輌100は、車輌本体50と、該車輌本体50の後部に連結されたロータリー耕耘機400とを備えている。
前記車輌本体50は、走行機体1と、該走行機体1を支持する左右一対の前車輪2及び左右一対の後車輪3と、該走行機体1の前部に搭載されたエンジン4とを備えており、前記エンジン4からの動力によって前記後車輪3及び前記前車輪2を作動的に駆動することにより、前後進走行するように構成されている。なお、図中の符号5は前記エンジン4を覆うボンネット5である。
さらに、前記作業車輌100は、前記走行機体1の上面に設けられたキャビン6を有している。該キャビン6の内部には、操縦座席7と、かじ取りすることによって前記前車輪2の操向方向を左右に動かすように構成された操縦ハンドル(丸ハンドル)8とが設置されている。前記キャビン6の外側部には、作業者が乗降するステップ9が設けられ、該ステップ9より内側で且つ該キャビン6の底部より下側には、前記エンジン4に燃料を供給する燃料タンク10が設けられている。
【0020】
図1及び図2に示すように、前記走行機体1は、前バンパ11及び前車軸ケース12を有するエンジンフレーム13と、該エンジンフレーム13の後部にボルトにて着脱自在に固定される左右の機体フレーム15とを有している。
前記機体フレーム15の後部には、前記エンジン4の回転を適宜変速してそれぞれ後輪軸3a及び前輪軸2aを介して前記後車輪3及び前記前車輪2に伝達するためのミッションケース16が連結されている。前記後車輪3は、前記ミッションケース16の外側面から外向きに突出するように装着された後車軸ケース17を介して取付けられている。
なお、前記ミッションケース16の後端面には、前記ロータリー耕耘機400の駆動力を出力する為のPTO軸18が後向きに突出するように設けられている。
【0021】
前記ロータリー耕耘機400は、前記ミッションケース16の後部に、一対の左右ロワーリンク311,312及びトップリンク320からなる3点リンク機構300を介して連結される。
図1及び図2に示すように、前記左右ロワーリンク311,312は、前端側が前記ミッションケース16後部の左右側面のそれぞれにロワーリンクピン313を介して回動可能に連結され、且つ、後端側が前記ロータリー耕耘機400における下リンクフレーム440の前端部に下ヒッチピン314を介して連結されている。
前記トップリンク320は、前端側が下記耕耘機用昇降機構200の後部のトップリンクヒッチ210にトップリンクピン211を介して連結され、且つ、後端側が下記上リンクフレーム410の前端側に上ヒッチピン321を介して連結されている。
【0022】
図3及び図4に、それぞれ、前記車輌本体50の後部近傍の概略側面図及び概略平面図を示す。
図3及び図4に示すように、前記ミッションケース16の後部上面には、前記ロータリー耕耘機400を昇降動する為の油圧式耕耘機用昇降機構200が着脱可能に取付けられている。
油圧式の耕耘機用昇降機構200は、昇降用アクチュエータとして作用する単動形の昇降制御油圧シリンダ220と、該油圧シリンダ220におけるピストンによって作動的に回動される左右一対のリフトアーム221,222とを有している。
【0023】
進行方向に向かって左側の前記リフトアーム221は、左リフトロッド231を介して対応する左側の前記ロワーリンク311に連結されている。
進行方向に向かって右側の前記リフトアーム222は、右リフトロッド232を介して対応する右側の前記ロワーリンク312に連結されている。
つまり、前記昇降制御油圧シリンダ220によって前記左右一対のリフトアーム221,222が車輌左右方向に沿った前記回動軸回りに揺動することで、前記ロータリー耕耘機400は、前記トップリンク320及び前記一対のロワーリンク311,312の前端部回りに昇降するようになっている。
【0024】
前記右リフトロッド232には、前記ロータリー耕耘機400を前記車輌本体50に対して傾動させる傾動用アクチュエータとして作用する複動形の傾斜制御油圧シリンダ240が介挿されている。
つまり、前記傾斜制御油圧シリンダ240のピストンロッド241が進退することによって、前記ロータリー耕耘機400は、前記左右一対のリフトロッド231,232の他方(ここでは、左リフトロッド231)と該他方のリフトロッド231に対応したロワーリンク311との連結点(即ち、前記ロータリー耕耘機400の左右方向中心位置Dから一方側へ変位された位置)を支点Q(図2参照)として、傾動するようになっている。
【0025】
図5に、前記ロータリー耕耘機400の部分断面側面図であって、図2におけるV−V線に沿った断面図を示す。
又、図6に、前記ロータリー耕耘機400の概略背面図を示す。
図1、図2、図5及び図6に示すように、前記ロータリー耕耘機400は、横長筒状のメインビーム420と、前記メインビーム420の左右側端部にそれぞれ上端側が連結されたチェーンケース431及び軸受板432と、前記チェーンケース431及び前記軸受板432の下端側に左右両端部が回転自在に軸支された耕耘爪軸433と、前記耕耘爪軸433に放射状にて着脱可能に取り付けられた複数の耕耘爪434と、前記耕耘爪434の回転軌跡の上方を覆うように配置された耕耘上面カバー435と、前記耕耘爪434の回転軌跡の左右側方を覆うように配置された左右耕耘サイドカバー436と、前記耕耘爪434の回転軌跡の後方を覆うように配置された耕耘リヤカバー437と、前記メインビーム420に前端側が取付けられて後方に長く伸びる耕深調節フレーム438と、前記メインビーム420に回動可能に連結された前記上リンクフレーム410と、前記メインビーム420に一体的に連結された前記下リンクフレーム440と、前記上リンクフレーム410の後端側と前記耕深調節フレーム438の前後方向の中間部とをつなぐ伸縮調節可能な耕深調節軸439とを備えている。
【0026】
詳しくは、前記トップリンク320は、ターンバックル320aの回転にて伸縮されて、該トップリンク320の長さを変更調節可能となるように構成されている(図3及び図4参照)。前記上リンクフレーム410は、前後方向の中間部において、耕深調節支点軸411を介して前記メインビーム420に回動可能に連結されている(図1参照)。そして、前記耕深調節フレーム438は、前端側が前記メインビーム420に一体的に連結されている。
斯かる構成を備えることにより、耕深調節ハンドル439a(図1参照)を回転操作して前記耕深調節軸439を伸縮させると、前記左右一対のロワーリンク311,312及びトップリンク320にて支持される前記ロータリー耕耘機400は、前傾又は後傾姿勢に変化するようになっており、これにより、前記耕耘爪434による耕深位置hD(耕耘深さ)が手動で変更できるように構成されている。
【0027】
図1、図5及び図6に示すように、前記メインビーム420の左右中央部には、前記PTO軸18からの駆動力を入力するためのギヤケース450が配置されている。前記PTO軸18と前記ギヤケース450前面側のPTO入力軸451とは、両端に自在継手が備えられた伸縮自在な伝動軸452を介して連結されている。
前記PTO軸18からの動力は、前記ギヤケース450に内蔵されたベベルギヤ(図示せず)、前記メインビーム420に内蔵された回転軸(図示せず)、前記チェーンケース431に内蔵されたスプロケット及びチェーン(図示せず)等を介して前記耕耘爪軸433に伝達される。これにより、前記耕耘爪434が図1及び図5において反時計方向に回転される。
【0028】
図5及び図6に示すように、前記耕耘上面カバー435の後端側には、車輌左右方向に沿った枢着軸437aを介して前記耕耘リヤカバー437が回動可能に連結されている。
【0029】
図7に、前記作業車輌100の油圧回路図を示す。
図7に示すように、前記作業車輌100は、さらに、昇降用アクチュエータとして作用する前記昇降制御油圧シリンダ220及び傾動用アクチュエータとして前記昇降制御油圧シリンダ220への作動油給排を行う油圧回路500を備えている。
前記油圧回路500は、前記エンジン4によって作動的に回転駆動される作業機用油圧ポンプ501と、該油圧ポンプ501の吐出側に流体接続された分流弁505と、該分流弁505によって分岐された一方側油路及び他方側油路にそれぞれ配置された昇降制御用バルブ及び傾斜制御用バルブとを備えている。
本実施の形態においては、前記昇降制御用バルブは、上昇制御電磁弁502及び下降制御電磁弁503を有している。また、前記傾斜制御用バルブは、傾斜制御電磁弁504を有している。
なお、前記油圧回路500は、図7に示すように、リリーフ弁や流量調整弁、チェック弁、オイルクーラ、オイルフィルタ等も備えている。
【0030】
次に、前記キャビン6内に配置された各種操作手段の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、前記操縦ハンドル8は、前記操縦座席7の前方に位置する操縦コラム19上に設けられている。
前記キャビン6内には、前記操縦座席7,前記操縦ハンドル8及び前記操縦コラム19に加えて、前記エンジン4の回転数(出力)を調節するためのスロットルレバー617と、前記走行機体1を制動操作するための左右ブレーキペダル20と、前記エンジンから前記前車輪2及び前記後車輪3への動力伝達の係脱操作を行う為のクラッチペダル21と、車輌本体50の走行速度を変速操作する為の走行変速レバー24と、前記エンジン4から前記後車輪3への動力伝達経路に介挿されるディファレンシャル機構をロック操作する為のデフロックペダル25と、前記PTO軸18からの出力回転数を変速操作する為のPTO変速レバー23とが配置されている。
【0031】
さらに、前記キャビン6内には、作業機昇降レバー22,傾斜設定器623及び耕深設定器626が配置されている。
図8に、前記ロータリー耕耘機400の模式側面図を示す。なお、図8(a)は自動耕深制御時のロータリー耕耘機400の昇降状態を示しており、図8(b)は自動高さ制御時のロータリー耕耘機400の昇降状態を示している。
【0032】
前記作業機昇降レバー22は、前記ロータリー耕耘機400の設定高さ位置(目標高さ位置)hS(図8(b)参照)を手動で変更操作するための上下位置操作手段として作用する。
前記上下位置操作手段は、前記設定高さ位置として、前記リフトアーム221,222の設定リフト角度(目標リフト角度)θS(図8(b)参照)を設定し得るように構成される。
【0033】
図9に、前記ロータリー耕耘機400の模式背面図を示す。
前記傾斜設定器623は、前記ロータリー耕耘機400の傾斜状態tSを設定する傾斜設定手段として作用する。
具体的には、該傾斜設定器623は、図9に示すように、前記車輌本体50に対する前記ロータリー耕耘機400の左右方向に関する相対的な設定左右傾斜角度(目標左右傾斜角度)φsを予め設定する為のものであり、例えば、可変抵抗器を含み得る。
【0034】
前記耕深設定器626は、前記ロータリー耕耘機400における耕耘爪434の設定耕深位置(目標耕深位置)hR(図8(a)参照)を設定する耕深深さ設定手段として作用する。
詳細は後述するが、前記ロータリー耕耘機400の耕深位置は、前記耕耘上面カバー435に対する前記耕耘リヤカバー437の回動角度に基づいて制御されるようになっている。従って、前記耕深深さ設定手段は、前記設定耕深位置として、前記耕耘上面カバー435に対する前記耕耘リヤカバー437の設定回動角度(目標回動角度)θR(図8(a)参照)を設定し得るように構成され、例えば、可変抵抗器を含み得る。なお、前記設定回動角度θRは、例えば、鉛直Vを基準にした回動角度とすることができる。
【0035】
ここで、前記ロータリー耕耘機の位置制御について説明する。
本実施の形態において、前記作業車輌は、前記ロータリー耕耘機に対して、自動高さ制御、自動耕深制御及び自動傾き制御を含む位置制御を行うように構成されている。
即ち、該作業車輌は、前記位置制御を司る制御手段として作用するコントローラ600を有している。
【0036】
なお、前記自動高さ制御は、前記ロータリー耕耘機400の位置制御中であって、前記自動耕深制御の非作動時において前記ロータリー耕耘機400の昇降制御を行うものである。
即ち、前記ロータリー耕耘機400が最上昇位置に位置している状態から前記作業機昇降レバー22を下降操作した際や、前記ロータリー耕耘機400の耕耘作業状態から前記作業機昇降レバー22を上昇操作した際に、該自動高さ制御が実行される。
該自動高さ制御の実行時には、前記コントローラ600は、前記リフト角センサ627の検出リフト角度θLに基づく検出高さ位置hLが前記作業機昇降レバー22にて設定された設定高さ位置hSとなるように、前記昇降制御油圧シリンダ220の自動高さ制御量を算出し、該算出された自動高さ制御量にて前記昇降制御油圧シリンダ220を駆動させる。
【0037】
前記自動耕深制御は、耕耘作業時において前記ロータリー耕耘機400の昇降制御を行うものである。
例えば、前記自動高さ制御にて下降する前記ロータリー耕耘機400が接地すると、若しくは、前記耕深設定器626によって設定された設定耕深位置hRに到達すると、前記自動高さ制御から該自動耕深制御に移行される。
該自動耕深制御の実行時には、前記コントローラ600は、前記リヤカバーセンサ624の検出回動角度θDに基づく検出耕深位置hDが前記耕深設定器626にて設定された設定耕深位置hRとなるように前記昇降制御油圧シリンダ220の自動耕深制御量を算出し、該算出された自動耕深制御量にて前記昇降制御油圧シリンダ220を駆動させる。
【0038】
前記自動傾き制御は、前記ロータリー耕耘機400の位置制御中においては常時作動するようになっている。
即ち、前記自動高さ制御又は前記自動耕深制御の何れが実行されているかに拘わらず、該自動傾き制御は実行される。
該自動傾き制御の実行時には、前記コントローラ600は、前記作業機ポジションセンサ622の検出傾斜角度φに基づく検出傾斜位置tが前記傾斜設定器623にて設定された設定傾斜状態tSとなるように前記傾斜制御油圧シリンダ240の自動傾き制御量を算出し、該算出された自動傾き制御量にて前記傾斜制御油圧シリンダ240を駆動させる。
【0039】
図10に、前記コントローラ600のブロック図を示す。
図10に示すように、該コントローラ600は、前記昇降用アクチュエータとして作用する前記昇降制御油圧シリンダ220と、前記傾動用アクチュエータとして作用する前記傾斜制御油圧シリンダ240と、前記上下位置操作手段として作用する前記作業機昇降レバー22と、前記ロータリー耕耘機400の前記車輌本体に対する上下位置を検出する上下位置検出手段と、前記耕深深さ設定手段として作用する前記耕深設定器626と、前記ロータリー耕耘機400の耕深位置を検出する耕深位置検出手段として作用するリヤカバーセンサ624と、前記傾斜設定手段として作用する前記傾斜設定器623と、前記ロータリー耕耘機400の傾斜状態を検出する傾斜状態検出手段として作用する作業機ポジションセンサ622とに電気的に接続されている。
【0040】
前述の通り、前記リヤカバーセンサ624が、前記ロータリー耕耘機400の耕深位置hDを検出する耕深位置検出手段として作用する。
即ち、前記ロータリー耕耘機400の耕深位置hD(図8(a)参照)に応じて、前記耕耘上面カバー435に対する前記耕耘リヤカバー437の回動位置が変化する。従って、前記リヤカバーセンサ624によって、前記耕耘上面カバー435に対する前記耕耘リヤカバー437の回動位置を検出することによって、前記ロータリー耕耘機400の耕深位置hDを検出することができる。
詳しくは、前記リヤカバーセンサ624は、前記耕耘上面カバー435に対する前記耕耘リヤカバー437の回動位置として、前記耕耘上面カバー435に対する前記耕耘リヤカバー437の回動角度θD(図8(a)参照)を検出し得るように構成され、この検出回動角度θDは、例えば、鉛直Vを基準にした回動角度とすることができる。
該リヤカバーセンサ624は、例えば、ポテンショメータ型とされる。
【0041】
本実施の形態においては、前記リヤカバーセンサ624は、前記耕耘上面カバー435の後部上面に配置されている。
そして、該リヤカバーセンサ624は、前記耕耘リヤカバー437に連結されたリヤカバー側フィードバックアーム437cと該リヤカバー側フィードバックアーム437cに作動連結されたセンサ側フィードバックアーム437bとを介して、前記耕耘リヤカバー437の回動角度を検出し得るようになっている(図2、図5、図6及び図8参照)。
例えば、前記リヤカバーセンサ624が前記車輌本体50に配設されている場合等のように、該リヤカバーセンサ624が前記耕耘リヤカバー437から離間配置される態様においては、フィードバックワイヤを介して、該リヤカバーセンサ624と前記耕耘リヤカバー437とを作動連結させることも可能である。
【0042】
本実施の形態においては、前記上下位置検出手段としてリフト角センサ627が備えられている。
該リフト角センサ627は、前記ロータリー耕耘機400の対機体高さ(前記車輌本体50に対する前記ロータリー耕耘機400の相対高さ)hL(図8(b)参照)を検出し得るように構成されている。
具体的には、該リフト角センサ627は、前記リフトアーム221,222のリフト角度θL(図8(b)参照)を検出するように構成されており、例えば、ポテンショメータ型のものが使用され得る。
該リフト角センサ627は、前記耕耘機用昇降機構200と前記左リフトアーム221との連結箇所に配置されている(図3及び図4参照)。
【0043】
前記作業機ポジションセンサ622は、前記車輌本体50に対する前記ロータリー耕耘機400の左右方向に関する相対的な傾斜角度φ(図9参照)を検出するように構成されており、例えば、ポテンショメータ型のものが使用され得る。
該作業機ポジションセンサ622は、詳細は図示していないが、例えば、前記耕耘上面カバー435の上方に位置する前記メインビーム420の左右中央箇所に配置され得る。
【0044】
さらに、本実施の形態においては、前記コントローラ600は、機体ローリングセンサ621にも電気的に接続されている。
該機体ローリングセンサ621は、前記車輌本体50の左右方向に関する傾斜角度を検出する為のものであり、例えば、振子式のものが使用され得る。
本実施の形態においては、該機体ローリングセンサ621は、前記耕耘機用昇降機構200の上面で且つ前記操縦座席7の後方の箇所に配置されている(図1〜図4参照)。
【0045】
そして、該コントローラ600は、前記種々の設定手段及びセンサからの信号を入力して、前記昇降用アクチュエータ及び前記傾動用アクチュエータへ制御信号を出力するように構成されている。
詳しくは、該姿勢制御コントローラ600は、図10に示すように、前記各種センサ等から入力される信号に基づいて演算処理を実行する制御演算手段を含む中央処理装置601(以下CPUという)と、後述する制御プログラムを格納したり、後述する制御条件を記憶するROM602と、前記CPU601の演算中に生成されるデータを一時的に保持するRAM603とを備えている。
【0046】
なお、前記制御条件には、例えば、制御ゲイン,不感帯幅又は遮断周波数幅を例示することができる。
前記制御ゲインは、前記昇降用アクチュエータ及び/又は前記傾動用アクチュエータへの制御信号に乗算される制御係数のことをいう。
従って、制御ゲインが小とされるに従って制御精度が緩和(低減)されることになる。
【0047】
又、前記不感帯幅は、検出値と設定値(目標値)との偏差に対する許容範囲のことをいう。
即ち、検出値と設定値との偏差が前記不感帯幅の範囲内にあれば、対応するアクチュエータを非作動とし、且つ、前記偏差が前記不感帯幅の範囲を超えれば、検出値を設定値に追従させるように対応するアクチュエータを作動させる。
従って、不感帯幅が大とされるに従って制御精度が緩和されることになる。
【0048】
又、前記遮断周波数幅とは、前記姿勢制御コントローラ600の入力経路及び/又は出力経路に介挿されるフィルタによって遮断される信号の周波数の範囲のことをいう。
従って、遮断周波数幅が大とされるに従って制御精度が緩和される。
該フィルタとしては、低域フィルタ(ローパスフィルタ、LPF)、高域フィルタ(ハイパスフィルタ、HPF)、帯域フィルタ(バンドパスフィルタ、BPF)、又は帯域消去フィルタ(バンドエリミネ−ションフィルタ、BEF)を採用することができる。
【0049】
斯かるコントローラ600は電源印加用キースイッチ611を介してバッテリ612に接続されている。前記キースイッチ611は、前記エンジン4を始動するためのスタータ613に接続される。
【0050】
なお、本実施の形態においては、前記コントローラ600には、図10に示すように、前記エンジン4の回転を制御する電子ガバナコントローラ614が接続されている。
該電子ガバナコントローラ614には、前記エンジン4の燃料を調節するガバナ615と、前記エンジン4の回転数を検出するエンジン回転センサ616とが接続されている。
【0051】
前記電子ガバナコントローラ614は、作業者にて前記スロットルレバー617が手動操作されると、該スロットルレバー617の回動位置を検出するスロットルポテンショメータ618の検出情報に基づいて、該スロットルレバー617の設定回転数と前記エンジン4の回転数とが一致するように、スロットルソレノイド619にて燃料調節ラック(図示省略)の位置を自動的に調節する制御を実行する。これにより、前記エンジン4の回転は、負荷の変動に拘わらず、前記スロットルレバー617の位置に応じた所定回転数に維持され得る。
【0052】
さらに、本実施の形態においては、前記コントローラ600には、車速センサ628が接続されている。
前記車速センサ628は、前後四輪2,3の回転速度(前記車輌本体50の車速v)を検出するためのものである。
【0053】
ここで、前記コントローラ600による前記ロータリー耕耘機400の位置制御方法の一例を説明する。
図11に、前記コントローラ600の位置制御プログラムのフローチャートを示す。
【0054】
最上昇位置に位置する前記作業機昇降レバー22を下方操作したとき、或いは、図示しない自動制御スイッチをON操作すると、該位置制御プログラムが作動する(スタート)。
まず、前記コントローラ600は、前記ロータリー耕耘機400の検出高さ位置hLが設定高さ位置hSより高いか否かを判断する(ステップS11)。
具体的には、該ステップS11では、前記リフト角センサ627から読み込まれた検出リフト角度θLに基づく検出高さ位置hLが前記作業機昇降レバー22の設定リフト角度θSに基づく設定高さ位置hSより高いか否かを判断する。
例えば、前記ロータリー耕耘機400が非耕耘状態位置に位置する状態から前記作業機昇降レバー22を下方操作した場合には、該ステップS11にてYESと判断される。
これに対し、前記ロータリー耕耘機400が自動耕深制御中において、前記作業機昇降レバー22を上方操作した場合には、該ステップS11にてNOと判断される。
【0055】
前記ステップS11でYESと判断された場合、前記自動耕深制御中か否かを判断する(ステップS12)。
具体的には、前記姿勢制御コントローラ600は、一旦、自動耕深制御モードになれば、自動耕深制御モードの解除信号が入力されない限り、自動耕深制御中と記憶するようになっている。
従って、後述するステップS14を介してステップS17から前記ステップS11へのリターン動作中においては、該ステップS12においてYESと判断される。
これに対し、非耕耘作業状態位置から前記ロータリー耕耘機400を下降操作させて自動耕深制御を開始させようとする際には、該ステップS12においてNOと判断される。
【0056】
前記ステップS12でNOと判断した場合、前記リヤカバーセンサ624による検出耕深位置hDが前記耕深設定器626による設定耕深位置hRよりも深いか否かを判断する(ステップS13)。
そして、ステップS13でYESと判断した場合には、ステップS14に移行する。一方、ステップS13でNOと判断した場合には、ステップS16へ移行する。
即ち、図示の位置制御プログラムにおいては、前記ロータリー耕耘機400の検出耕深位置hDが設定耕深位置hRに到達した時点で、自動高さ制御モードから自動耕深制御モードへ移行するようになっている。
【0057】
前記ステップS12でYESの場合、若しくは、前記ステップS13でYESの場合には、前記自動耕深制御及び前記自動傾き制御を行う(ステップS14)。
この際、該自動耕深制御及び該自動傾き制御は、前記制御ゲイン、前記不感帯幅及び/又は前記遮断周波数幅を含む制御条件を用いて実行される。
【0058】
具体的には、前記コントローラ600は、前記リヤカバーセンサ624にて検出された検出上下回動角度θDと前記耕深設定器626によって設定された設定回動角度θRとの偏差に基づき、前記耕深位置hDが前記設定耕深位置hRと等しくなるように、前記制御条件を用いて前記昇降制御油圧シリンダ220の制御量を算出し、該制御量にて前記昇降制御油圧シリンダ220を作動させて前記ロータリー耕耘機400の自動耕深制御を行う。
同様に、該姿勢制御コントローラ600は、前記作業機ポジションセンサ622にて検出された検出傾斜角度φと前記傾斜設定器623によって設定された設定傾斜角度との偏差に基づき、前記検出傾斜位置tが前記設定傾斜位置tSと等しくなるように、前記制御条件を用いて前記傾斜制御油圧シリンダ240の制御量を算出し、該制御量にて前記傾斜制御油圧シリンダ240を作動させて前記ロータリー耕耘機400の自動傾き制御を行う。
このようにして、ステップS14で自動耕深制御及び自動傾き制御が実行されると、ステップS17へ移行する。
【0059】
前記ステップS11でNOと判断した場合、若しくは、前記ステップS13でNOと判断した場合には、前記自動高さ制御及び前記自動傾き制御を行う(ステップS16)。
具体的には、前記コントローラ600は、前記リフト角センサ627にて検出された検出リフト角度θLと前記作業機昇降レバー22の設定リフト角度θSとの偏差に基づき、前記検出高さ位置hLが前記設定高さ位置hSと等しくなるように、前記制御条件を用いて前記昇降制御油圧シリンダ220の制御量を算出し、該制御量にて前記昇降制御油圧シリンダ220を作動させて前記ロータリー耕耘機400の自動高さ制御を行う。
又、該姿勢制御コントローラ600は、前記ステップS14におけると同様に方法で、自動傾き制御を行う。
このようにして、ステップS16で自動高さ制御及び自動傾き制御が実行されると、ステップS17へ移行する。
【0060】
ステップS17では、位置制御作動中か否かを判断する。
ステップS17でYESと判断した場合にはステップS11〜ステップS16までの動作を順次繰り返す。一方、NOと判断した場合には前記位置制御を終了する。
【0061】
ここで、本実施の形態に係る鎮圧機構700について説明する。
前記鎮圧機構700は、前記耕耘爪軸433から離間する開方向への前記耕耘リヤカバー437の回動動作に抗して該耕耘リヤカバー437を閉方向へ付勢するように配設された鎮圧バネ710の初期鎮圧力(前記耕耘リヤカバー437に開方向への外力が付与されていない際の前記鎮圧バネ710の付勢力)を鎮圧バネ用アクチュエータ750によって変更し得るように構成されている。
【0062】
具体的には、図5に示すように、該鎮圧機構700は、前記耕耘リヤカバー437に作動連結されたハンガーロッド720と、前記鎮圧バネ710と、前記鎮圧バネ710の下端位置を画する下側バネ座板730と、前記鎮圧バネ710の上端位置を画する上側バネ座板740と、前記下側バネ座板730又は前記上側バネ座板740の少なくとも一方を前記鎮圧バネ710に対して相対移動させる前記鎮圧用アクチュエータ750と、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750の作動制御を司る鎮圧バネ用制御手段とを備えている。
【0063】
前記ハンガーロッド720は、前記耕耘リヤカバー437の前記枢着軸437a回りの回動に連動して軸線方向に移動し得るように、下端部が該耕耘リヤカバー437に作動連結されている。
本実施の形態においては、図5に示すように、前記ハンガーロッド720の下端部は前記耕耘リヤカバー437に車輌左右方向に沿った回動軸線回り回動可能に連結されている。なお、図示の形態においては、前記耕耘リヤカバー437の後部上面にはブラケット462が設けられている。該ブラケット462には車輌左右方向に沿うように支持軸721が支持されており、該ハンガーロッド720の下端部は該支軸721に連結されている。
【0064】
一方、前記ハンガーロッド720の上端部は、前記耕耘リヤカバー437の回動動作に連動して該ハンガーロッド720が軸線方向に移動することを許容する状態で、前記耕耘上面カバー435に支持されている。
本実施の形態においては、図5に示すように、前記耕耘上面カバー435の上面後部に、後方へ延びる左右一対のハンガーフレーム441が立設されている。該各ハンガーフレーム441には、車輌左右方向に沿った軸線回り回動自在とされた受圧軸体442が配置されている。該受圧軸体442には、車輌左右方向に沿った軸線と直交する方向に貫通孔が設けられている。そして、前記ハンガーロッド720の上端部は、前記受圧軸体442の前記貫通孔に摺動可能に挿通されている。
【0065】
前記鎮圧バネ710は、前記耕耘リヤカバー437の開方向への回動に伴って前記ハンガーロッド720が軸線方向上方へ移動する際に、圧縮されるように配設されている。
本実施の形態においては、図5に示すように、該鎮圧バネ710は前記ハンガーロッド720に外挿されている。
【0066】
前記下側バネ座板730は、前記耕耘リヤカバー437の開方向への回動に伴う前記ハンガーロッド720の上方への移動によって前記鎮圧バネ710を圧縮させるように、該鎮圧バネ710の下端部と係合している。
又、前記上側バネ座板740は、前記下側バネ座板730による前記鎮圧バネ710の圧縮を許容するように、該鎮圧バネ710の上端部と係合している。
【0067】
前述の通り、前記下側バネ座板730及び前記上側バネ座板740の少なくとも一方は前記鎮圧バネ用アクチュエータ750によって前記鎮圧バネ710に対して相対移動させられる。
即ち、前記下側バネ座板730及び前記上側バネ座板740の少なくとも一方は、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750によって前記鎮圧バネ710を圧縮又は伸長させるように移動可能とされている。
【0068】
本実施の形態においては、図5に示すように、前記下側バネ座板730は、前記ハンガーロッド720に対して下方へは移動不能な状態で該ハンガーロッド720に支持されている。
具体的には、該下側バネ座板730は前記ハンガーロッド720に軸線方向移動可能に外挿されており、該ハンガーロッド720に固設された位置決めピン731によって下方への移動が規制されている。
なお、当然ながら、前記位置決めピン731を前記ハンガーロッド720の軸線方向に関して異なる位置で該ハンガーロッド720に固設可能とすることができ、これにより、前記鎮圧バネ710の下端位置を適宜変更して該鎮圧バネ710の初期鎮圧力を変更させることができる。
【0069】
これに対し、前記上側バネ座板740は、前記ハンガーロッド720に軸線方向移動可能な状態で、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750に連結されている。
即ち、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750を初期状態にすることで、前記上側バネ座板740は前記下側バネ座板730に対して所定の位置(基準位置)に保持される。該上側バネ座板740が前記基準位置に保持された状態においては、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力は、基準初期鎮圧力に保持される。
そして、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750を作動させて、前記上側バネ座板740を前記基準位置から前記下側バネ座板730に近接する方向(以下、圧縮方向という)へ移動させるに従って、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力が前記基準鎮圧力より大きい状態に変更されるようになっている。
これとは反対に、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750を作動させて、前記上側バネ座板740を前記基準位置を基準にして前記下側バネ座板730から離間する方向(以下、伸長方向という)へ移動させると、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力が前記基準鎮圧力より小さくなるようになっている。
【0070】
前記鎮圧バネ用制御手段は、前述の通り、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750の作動制御を司るようになっている。
本実施の形態においては、図10に示すように、前記コントローラ600が該鎮圧バネ用制御手段を兼用している。
【0071】
詳しくは、該コントローラ600は、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750と、前記基準位置に対する前記上側バネ座板740の移動距離を検出する位置センサ755と、作業者によって操作可能なバネ力設定ダイヤル760とに電気的に接続されている。
なお、本実施の形態においては、図10に示すように、前記位置センサ755は前記鎮圧バネ用アクチュエータ750に内蔵されている。
又、バネ力設定ダイヤル760は、作業者が車輌本体の走行操作中に操作可能な場所、例えば、前記キャビン6内に配設されている。
【0072】
前記コントローラ600は、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力が前記バネ力設定ダイヤル760による設定値となるように、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750を作動させ得るようになっている。
即ち、前記ROM602には、前記上側バネ座板740の前記基準位置からの移動量と前記初期鎮圧力の変化割合との関係が記憶されている。
従って、前記バネ力設定ダイヤル760によって鎮圧バネ710の初期付勢力を基準初期付勢力よりも△Uだけ大に設定した場合には、前記CPU601は、前記位置センサ760からの検出値を参照しつつ、△Uに対応した距離だけ前記上側バネ座板740が圧縮方向へ移動するように、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750を作動させる。
【0073】
このように、本実施の形態においては、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750を作動させることによって、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力を調整し得るように構成されている。
従って、手動操作で初期鎮圧力の調整を行っていた従来構成に比して、極めて操作性良く前記鎮圧バネの初期鎮圧力の変更を行うことができる。
特に、本実施の形態においては、車輌本体50の走行操作中に作業者が操作可能な場所に前記バネ力設定ダイヤル760が配設されている。従って、作業車輌100の走行中であっても、所望により前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力を変更させることができる。
【0074】
さらに、本実施の形態においては、前記コントローラ600は、耕耘開始時,通常の耕耘状態,代掻き状態又は非耕耘状態を含む車輌走行状態に応じて、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力を自動的に変更し得るように構成されている。
図12に、耕耘開始時,通常の耕耘状態,代掻き状態又は非耕耘状態のそれぞれにおける前記鎮圧バネの鎮圧力可変範囲を示す。
【0075】
まず、通常の耕耘状態の場合について説明する。
前記ROM602には前記基準位置が記憶されている。そして、前記CPU601は、自動耕深制御中においては、前記位置センサ755からの信号に基づき、前記上側バネ座板740が該基準位置に位置するように、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750を作動させるようになっている。
斯かる状態においては、前記鎮圧バネ710の鎮圧力は、前記耕耘リヤカバー437の回動位置に応じて、基準初期鎮圧力と該耕耘リヤカバー437最開時の鎮圧力との間で変動する(図12参照)。
【0076】
次に、非耕耘状態において、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力を変更制御する為の構成について説明する。
図13に、前記ロータリー耕耘機400の高さと前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力との関係を示す。
図13に示すように、前記コントローラ600は、前記ロータリー耕耘機400が所定の閾値高さhCよりも高い場合には、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力が前記基準初期鎮圧力よりも大とされた非耕耘時用初期鎮圧力となるように前記鎮圧バネ用アクチュエータ750を作動させる。
【0077】
具体的には、前記ROM602には前記閾値高さhCに対応した閾値リフト角度θCが記憶されており、前記CPU601は、前記リフト角センサ627から読み込まれた検出リフト角度θLに基づき、前記ロータリー耕耘機400の検出高さ位置hLが閾値高さhCより高いかを判断し得るようになっている。
さらに、前記ROM602には、非耕耘時用初期鎮圧力として、前記上側バネ座板740の前記基準位置からの移動量(非耕耘時用移動量)が記憶されている。そして、前記CPU601は、前記検出高さ位置hLが前記閾値高さhCよりも高いと判断した場合には、前記位置センサ755からの検出値が前記非耕耘時用移動量に対応した値となるように、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750を作動させ、これにより、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力を前記非耕耘時用初期鎮圧力に設定するようになっている。
【0078】
斯かる状態においては、前記鎮圧バネ710の鎮圧力は、前記耕耘リヤカバー437の回動位置に応じて、非耕耘時用初期鎮圧力と耕耘リヤカバー437最開時の鎮圧力との間で変動する(図12参照)。
【0079】
このように、前記ロータリー耕耘機400の非耕耘状態時においては、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力を前記基準初期鎮圧力よりも大とされた前記非耕耘時用初期鎮圧力に変更することにより、該ロータリー耕耘機400を上げ位置に位置させた状態で車輌本体100を走行させる際に、前記耕耘リヤカバー437が振動することを有効に防止できる。
前述の通り、前記ロータリー耕耘機400の自動耕深制御は、前記耕耘リヤカバー437の回動角度に基づいて行われる。従って、本実施の形態におけるように、該ロータリー耕耘機400を上げ位置に位置させた状態で車輌本体100を走行させる際の前記耕耘リヤカバー437の振動を防止することにより、意に反して自動耕深制御が作動する等の誤動作を防ぐことができる。
又、斯かる状態での前記耕耘リヤカバー437の振動を防止することにより、車輌走行時の騒音も有効に低減できる。
【0080】
さらに、斯かる構成においては、前記ロータリー耕耘機400を非耕耘状態位置から設定耕深位置まで下降させる際に、自動高さ制御から自動耕深制御へ切り替えるべき時点より前に、前記耕耘リヤカバーが意に反して開方向へ回動することを防止できる。
即ち、斯かる構成によれば、耕深作業の開始時に、前記ロータリー耕耘機を自動高さ制御にて非耕耘状態位置から下降させる際に、該ロータリー耕耘機が接地するより前に前記耕耘リヤカバーが開方向へ回動し、これにより、自動高さ制御から自動耕深制御へ意に反して切り替わるという不都合を有効に防止できる。
【0081】
好ましくは、前記コントローラ600は、前記ロータリー耕耘機400が最上げ位置に位置した際には、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力を前記非耕耘時用初期鎮圧力より大とされた最上げ時用初期鎮圧力に設定することができる。
通常、前記作業車輌100を路上で高速走行させる場合には、前記ロータリー耕耘機400は最上げ位置に位置される。従って、斯かる構成を備えることにより、前記作業車輌100の高速走行時において、前記耕耘リヤカバー437の振動を有効に防止でき、これにより、制御の誤動作や騒音を有効に防止することができる。
【0082】
次に、耕耘開始時において、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力を変更制御する為の構成について説明する。
図14に、自動耕深制御の開始時における前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力の変更状態を示す。
前記コントローラ600は、自動耕耘制御の開始時点から一定時間又は一定区間においては、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力が前記基準初期鎮圧力よりも大とされた自動耕耘開始時用初期鎮圧力となるように前記鎮圧バネ用アクチュエータ750を作動させるようになっている(図14参照)。
【0083】
具体的には、前記ROM602には、前記自動耕耘開始時用初期鎮圧力として、前記上側バネ座板740の前記基準位置からの移動量(自動耕耘開始時用移動量)が記憶されている。
そして、前記CPU601は、自動耕耘制御の開始時点から一定時間又は一定区間においては、前記位置センサ755からの検出値が前記自動耕耘開始時用移動量に対応した値となるように、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750を作動させ、これにより、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力を前記自動耕耘開始時用初期鎮圧力に設定するようになっている。
【0084】
なお、前記自動耕深制御の開始時点は、例えば、前記ステップS13(前記リヤカバーセンサ624による検出耕深位置hDが前記耕深設定器626による設定耕深位置hRよりも深いか否か)においてYESと判断した時点とすることができる。
これに代えて、非耕耘状態位置から自動高さ制御モードで下降させられる前記耕耘機400が接地した時点で、自動高さ制御から自動耕深制御に切り替える態様においては、前記リヤカバーセンサ624が前記耕耘リヤカバー437の開方向への回動を検出した時点を、前記自動耕深制御の開始時点とすることができる。
【0085】
又、前記一定時間は、前記コントローラ600に付設、若しくは、該コントローラ600に電気的に接続されたタイマーによって測定される。
さらに、前記自動耕耘開始時用初期鎮圧力に設定する区間を一定区間とする場合には、前記車速センサ628の検出値と前記タイマーとによって該一定区間を判断することができる。
【0086】
斯かる状態においては、前記鎮圧バネ710の鎮圧力は、前記耕耘リヤカバー437の回動位置に応じて、自動耕耘開始時用初期鎮圧力と耕耘リヤカバー437最開時の鎮圧力との間で変動する(図12参照)。
【0087】
このように、耕耘開始から一定時間又は一定区間においては、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力を前記基準初期鎮圧力よりも大とされた前記自動耕耘開始時用初期鎮圧力に変更することにより、前記耕耘リヤカバー437による均平効果を強化して、耕耘開始時における初期盛り現象の発生を有効に防止することができる。
【0088】
次に、代掻き状態における前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力の変更について説明する。
代掻き作業時において、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力が大とされていると、前記耕耘リヤカバー437の位置が深くなってしまう。
斯かる不都合を防止する為に、前記コントローラ600は、代掻き作業時においては、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力が前記基準初期鎮圧力よりも小とされた代掻き作業用初期鎮圧力となるように、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750を作動させる。
斯かる状態においては、前記鎮圧バネ710の鎮圧力は、前記耕耘リヤカバー437の回動位置に応じて、代掻き作業用初期鎮圧力と耕耘リヤカバー437最開時の鎮圧力との間で変動する(図12参照)。
【0089】
具体的には、前記ROMには代掻き作業用の閾値リフト角度θC’が記憶されている。そして、前記CPU601は、自動耕深作業中において、前記リフト角センサ627の検出値θLが前記閾値リフト角度θC’よりも高い場合には、代掻き作業中であると判断し、これにより、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力が前記代掻き作業用初期鎮圧力になるように前記鎮圧バネ用アクチュエータ750の作動制御を行うようになっている。
【0090】
斯かる構成を備えることにより、代掻き作業時に前記鎮圧バネ710の鎮圧力が過大となり、前記耕耘リヤカバー437が深い位置までもぐることを有効に防止できる。
【0091】
なお、本実施の形態においては、前記鎮圧機構700は、さらに、前記受圧軸体740よりも上方に位置するように、前記ハンガーロッド720に軸線方向移動可能に外挿された下降規制板770と、該下降規制板770よりも上方に位置するように前記ハンガーロッド720に設けられた下降規制ピン771とを備えている。
斯かる下降規制板770及び下降規制ピン771は、前記ロータリー耕耘機400の上げ状態における前記ハンガーロッド720の下方への移動端、即ち、前記耕耘リヤカバー437の閉方向(前記耕耘爪軸へ近接する方向)への回動端(最閉位置)を画している。
なお、前記耕耘リヤカバー437の最閉位置は、前記下降規制ピン771及び前記下降規制板770の係合に代えて、若しくは、加えて、前記耕耘上面カバー435に設けられたストッパー(図示せず)と前記耕耘リヤカバー437の内周面との係合によって画することもできる。
【0092】
斯かるハンガー機構700を備えた前記ロータリー耕耘機400は以下のように作動する。
即ち、前記昇降用アクチュエータによって前記ロータリー耕耘機400が地面から離れるように持上げられると、前記耕耘リヤカバー437の後端側が前記枢着軸437a回りに下方側(閉方向)に回動する。
この際、前記ハンガーロッド720は前記受圧軸体442に案内された状態で下方側へ移動するが、前記ロータリー耕耘機400が最上げ位置に位置されると、前記下降規制ピン771が前記下降規制板770に当接し且つ該下降規制板770が前記受圧軸体442に当接することで、該ハンガーロッド720の下方側への移動が停止される。従って、前記ロータリー耕耘機400を最上げ位置に位置させた際には、前記耕耘リヤカバー437はその後端側を最下降させた最閉位置に維持される。
【0093】
一方、前記ロータリー耕耘機400が耕地上面に降ろされて前記耕耘爪434が着地しているときや耕耘作業中においては、前記耕耘リヤカバー437の後端側が、耕耘された耕土との接地圧にて前記枢着軸437a回りに上方に回動することになる。
この際、前記ハンガーロッド720は前記受圧軸体442に案内された状態で上方側へ移動する。斯かるハンガーロッド720の上方側への移動によって、前記鎮圧バネ710が圧縮される。
即ち、前記耕耘リヤカバー437が前記枢着軸437a回りに開方向へ回動する際に、前記耕耘リヤカバー437は前記鎮圧バネ710の鎮圧力に抗して動作することになり、従って、前記耕耘リヤカバー437の後方への土の飛散を有効に防止しつつ、該耕耘リヤカバーによる均平作用を有効に維持することができる。
なお、前記鎮圧バネ710による前記鎮圧力は、前記耕耘リヤカバー437が前記枢着軸437a回りに開方向へ回動するに従って大きくなる。つまり、前記鎮圧バネ710による前記鎮圧力は、前記耕耘リヤカバー437の回動位置に応じて、前記初期鎮圧力と前記耕耘リヤカバー437が開方向へ最大に回動された場合の鎮圧力との間で変動する。
そして、斯かる鎮圧バネ710の初期鎮圧力が、前述の通り、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750によって可変とされている。
【0094】
ここで、前記コントローラ600による前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力の制御方法の一例を説明する。
図15に、前記コントローラ600の鎮圧バネ制御プログラムのフローチャートを示す。
なお、図中、図11に示す位置制御プログラムと同一ステップについては同一符号を付して、その説明を省略する。
【0095】
該鎮圧バネ制御プログラムにおいては、前記コントローラ600は、前記ステップS13でのYESの判断によって、自動耕深制御の開始を検出し、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750を作動させて、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力を自動耕深制御時用初期鎮圧力に変更する。
即ち、該鎮圧バネ制御プログラムにおいては、前記コントローラ600は、前記リヤカバーセンサ624が前記耕深設定器626によって設定された回動角度を超えるような前記耕耘リヤカバー437の開方向への回動を検出した時点を、自動耕深制御の開始時点として判断し、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力を自動耕深制御時用初期鎮圧力に変更するようになっている。
【0096】
そして、該コントローラ600はステップS14において自動耕深制御及び自動傾き制御を行いつつ、ステップS22において一定時間又は一定区間が経過したか否かを判断する。
【0097】
前記ステップS22においてYESの場合には、前記コントローラ600は、前記鎮圧バネの初期鎮圧力が自動耕耘開始時用初期鎮圧力から基準初期鎮圧力へ変更されるように、前記鎮圧バネ用アクチュエータ750を作動させる。
その後、前記コントローラ600は、代掻き作業か否かを判断し(ステップS24)、YESの場合には前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力を基準初期鎮圧力から代掻き作業用初期鎮圧力に変更した状態で前記ステップS17へ移行する。一方、前記ステップS24において、NOの場合には、前記基準初期鎮圧力の状態で、前記ステップS17へ移行する。
なお、ステップS24における判断は、前述の通り、前記リフト角センサ627の検出値が前記代掻き作業用閾値リフト角θC’より上か否かによって判断される。
【0098】
前記ステップS22においてNOの場合にも、前記コントローラ600は、代掻き作業か否かを判断する(ステップS26)。そして、YESの場合には、該コントローラ600は、自動耕耘開始時用初期鎮圧力を代掻き作業用初期鎮圧力に変更して(ステップS25)、ステップS17へ移行する。これに対し、ステップS26における判断がNOの場合には、ステップS21にて設定された自動耕耘開始時用初期鎮圧力の状態でステップS17へ移行する。
該ステップS17でYESと判断した場合にはステップS11〜ステップS16までの動作を順次繰り返す。一方、NOと判断した場合には前記位置制御を終了する。
【0099】
一方、自動高さ制御の際(ステップS16)には、前記コントローラ600は、耕耘機の高さ位置hLが所定の閾値高さhCよりも高いか否かを判断する(ステップS31)。
例えば、前記コントローラ600は、前記リフト角センサ627の検出値θLが前記閾値リフト角度θCより上か否かによって、前記ロータリー耕耘機400の高さ位置hLが前記閾値高さhCよりも高いか否かを判断する。
【0100】
ステップS31においてYESの場合には、前記コントローラは、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力を非耕耘時用初期鎮圧力に設定する(ステップS32)。
その後、該コントローラは、耕耘機の高さ位置hLが最上げ位置か否かを判断し(ステップS33)、YESの場合には、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力を最上げ時用初期鎮圧力に変更してから(ステップS34)、前記ステップS17の判断を行う。これに対し、NOの場合には、非耕耘時用初期鎮圧力の状態で、前記ステップS17の判断を行う。
【0101】
ステップS31においてNOの場合、即ち、前記ロータリー耕耘機400の高さ位置hLが前記閾値高さhCより低い場合には、前記コントローラ600は、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力を基準初期鎮圧力に設定した状態で、前記ステップS17の判断を行う。
【0102】
斯かる鎮圧バネ制御プログラムによれば、耕耘開始時,通常の耕耘状態,代掻き状態又は非耕耘状態を含む車輌走行状態に応じて、前記鎮圧バネ710の初期鎮圧力を自動的に適した状態に変更することができる。
なお、斯かる鎮圧バネ制御プログラムの作動中において、前記バネ力設定ダイヤル760による設定信号が入力された場合には、前記コントローラ600は、該入力信号を優先して前記鎮圧バネ用アクチュエータ750の作動制御を行うように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係る姿勢制御装置が適用される作業車輌の概略側面図である。
【図2】図2は、図1に示す作業車輌の概略平面図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示す作業車輌における車輌本体の後部近傍の概略側面図である。
【図4】図4は、図3の概略平面図である。
【図5】図5は、図2におけるV−V線に沿った概略断面図であり、前記作業車輌におけるロータリー耕耘機の部分断面側面図である。
【図6】図6は、図5に示すロータリー耕耘機の概略背面図である。
【図7】図7は、前記作業車輌における油圧回路図である。
【図8】図8は、前記ロータリー耕耘機の模式側面図であり、図8(a)は自動耕深制御時の該ロータリー耕耘機の昇降動作を示しており、図8(b)は自動高さ制御時の該ロータリー耕耘機の昇降動作を示している。
【図9】図9は、前記ロータリー耕耘機の模式背面図であり、自動傾き制御時に該ロータリー耕耘機の傾動動作を示している。
【図10】図10は、前記ロータリー耕耘機の位置制御を司るコントローラのブロック図である。
【図11】図11は、前記コントローラにおける位置制御プログラムのフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の一実施の形態に係る鎮圧機構における鎮圧バネの鎮圧力可変範囲を示すグラフであり、耕耘開始時,通常の耕耘状態,代掻き状態又は非耕耘状態のそれぞれにおける前記鎮圧バネの鎮圧力可変範囲を示している。
【図13】図13は、前記ロータリー耕耘機の高さ位置と前記鎮圧バネの初期鎮圧力との関係を示すグラフである。
【図14】図14は、自動耕深制御の開始時における前記鎮圧バネの初期鎮圧力の変更状態を示すグラフである。
【図15】図15は、前記コントローラにおける鎮圧バネ制御プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0104】
50 車輌本体
221,222 リフトアーム
400 耕耘機
434 耕耘爪
435 耕耘上面カバー
437 耕耘リヤカバー
600 制御手段
700 鎮圧機構
710 鎮圧バネ
750 鎮圧バネ用アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌本体にリフトアームを介して昇降可能に連結され且つ耕耘リヤカバーが耕耘上面カバーに対して回動可能とされた耕耘機に適用される鎮圧機構であって、
前記耕耘リヤカバーが外力によって耕耘爪軸から離間する開方向へ回動されるに従って該耕耘リヤカバーを前記耕耘爪軸に近接する閉方向へ向けて付勢する鎮圧力が大きくなるように配設された鎮圧バネと、前記耕耘リヤカバーに開方向への外力が付与されていない際の前記鎮圧バネの初期鎮圧力を変更可能な鎮圧バネ用アクチュエータとを備えていることを特徴とする鎮圧機構。
【請求項2】
前記鎮圧バネ用アクチュエータはバネ力設定ダイヤルの設定値に応じて作動制御されることを特徴とする請求項1に記載の鎮圧機構。
【請求項3】
前記耕耘機が接地位置よりも上方に位置する際には、前記鎮圧バネの初期鎮圧力が基準初期鎮圧力よりも大きくなるように前記鎮圧バネ用アクチュエータが作動制御されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鎮圧機構。
【請求項4】
前記耕耘機が最上げ位置に位置する際には、前記鎮圧バネの初期鎮圧力が基準初期鎮圧力よりも大きくなるように前記鎮圧バネ用アクチュエータが作動制御されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鎮圧機構。
【請求項5】
前記耕耘機を非耕耘状態位置から設定耕深位置へ向けて自動高さ制御において下降させる際に、リヤカバーが接地に至るまでの間において該耕耘機が所定高さに到達するまでは、前記鎮圧バネの初期鎮圧力が基準初期鎮圧力よりも大きくなるように前記鎮圧バネ用アクチュエータが作動制御されることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の鎮圧機構。
【請求項6】
自動耕深制御中において、前記リフトアームの回動角度が所定の閾値よりも高い場合には、前記鎮圧バネの初期鎮圧力が基準初期鎮圧力よりも小さくなるように前記鎮圧バネ用アクチュエータが作動制御されることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の鎮圧機構。
【請求項7】
自動耕深制御の開始から一定時間又は一定区間においては、前記鎮圧バネの初期鎮圧力が基準初期鎮圧力よりも大きくなるように前記鎮圧バネ用アクチュエータが作動制御されることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の鎮圧機構。
【請求項8】
前記リフトアームの回動角度が所定の閾値よりも高い場合には、前記一定時間又は前記一定区間内であっても、前記鎮圧バネの初期鎮圧力が前記基準初期鎮圧力以下となるように前記鎮圧バネ用アクチュエータが作動制御されることを特徴とする請求項7に記載の鎮圧機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−135531(P2007−135531A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337057(P2005−337057)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】