説明

長手農作物の洗浄装置

【課題】 本発明の目的は、簡単な構造で長手農作物を洗浄しながら整列させることのできる長手農作物の洗浄装置を提供することである。
【解決手段】 長手農作物の洗浄装置は、液体収容部と、第1搬送手段と、第2搬送手段とを含み、第1搬送手段に備えられる複数のローラは、液体収容部に収容された液体の液面に沿って、軸線が互いに平行で、かつ長手農作物の外径よりも大きな予め定める間隔をあけて設けられ、各ローラの少なくとも一部を液体に浸漬させた状態で長手農作物の搬送方向に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手形状を有する農作物を洗浄しながら整列させて搬送する長手農作物の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術に係る長手農作物の洗浄装置である移載装置が特許文献1に開示されている。この移載装置は、6対の吸着パッドと、吸着パッドを直交する2軸まわりで回動自在に支持する姿勢制御手段とを含んで構成される。移載装置は、茄子を吸着パッドで吸着して保持した状態で、吸着パッドを変位させて茄子を移動させ、吸着を解除することによって、茄子を移載する。従来、茄子を洗浄した後、ベルトコンベアに移載する手法としても、吸着パッドを含む装置によって移載する手法が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−59324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に係る長手農作物の洗浄装置では、茄子を吸着する複数の吸着パッドと、茄子を2軸まわりに回動自在に支持する姿勢制御手段とを備えるため、構造が複雑であり、また吸着パッドでは、長手農作物を確実に捕捉することが難しいという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、簡単な構成で長手農作物を洗浄しながら整列させて搬送することのできる長手農作物の洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、長手農作物が浮遊可能な液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部に収容された液体の液面に沿って、軸線が互いに平行で、かつ前記長手農作物の外径よりも大きな予め定める間隔をあけて設けられる複数のローラを備え、各ローラが、各ローラの少なくとも一部を前記液体に浸漬させた状態で搬送方向に移動して、前記長手農作物を搬送する第1搬送手段と、
前記第1搬送手段によって前記搬送方向下流側に搬送された前記長手農作物が載置され、前記液体収容部内の液体の液面よりも上方に前記長手農作物を搬送する第2搬送手段とを含むことを特徴とする長手農作物の洗浄装置である。
【0007】
本発明に従えば、洗浄装置の液体収容部に投入され長手方向が不揃いの状態で液面を浮遊する長手農作物は、第1搬送手段において、隣接する各ローラの間に捕捉されて液面に浮遊し、液面に沿ってローラが移動することに伴って、搬送方向に搬送される。各ローラはローラの間隔が長手農作物の外径よりも大きな間隔をあけるように設けられているので、各ローラの間に捕捉された長手農作物は、長手農作物の長手方向と各ローラの軸線方向とが略平行となるような姿勢で、各ローラの間に捕捉される。したがって、長手農作物を液体によって洗浄しながら搬送する際に、その長手方向が揃うように整列させることができる。さらに、第2搬送手段は、第1搬送手段によって搬送された長手農作物を液面よりも上方に搬送するので、洗浄された長手農作物を洗浄に用いられた液体から取り出すことができる。
【0008】
また本発明は、前記液体に少なくとも一部が浸漬する前記各ローラは、各軸線まわりに回転駆動されることを特徴とする。
【0009】
本発明に従えば、各ローラの間に捕捉されずに、浮力によってローラの下部に接触している状態の長手農作物は、その接点において回転方向に沿う力をローラから受ける。このように作用する力によって、ローラの下部に接触している長手農作物の姿勢を効率的に変化させることができる。したがって、その姿勢の変化において、長手農作物の長手方向が各ローラの軸線と略平行な姿勢となった場合に、その長手農作物に作用する浮力によって各ローラの間に捕捉することができる。
【0010】
また本発明は、回転駆動される前記各ローラは、ローラの下方の表面部が軸線まわりに前記搬送方向上流側に変位する回転方向に回転することを特徴とする。
【0011】
本発明に従えば、各ローラの間に捕捉されずに、浮力によってローラの下部に接触している長手農作物は、その接点において少なくとも搬送方向とは反対方向に作用する力をローラから受ける。したがって、ローラの下部に接触している長手農作物は、搬送方向に移動するローラに対し、相対的に搬送方向とは反対方向に移動しながら、その姿勢を変化させ、長手農作物の長手方向が各ローラの軸線と略平行な姿勢となった場合に、その長手農作物に作用する浮力によって各ローラの間に捕捉することができる。さらに、すでに長手農作物が捕捉されている2本のローラの間にさらに長手農作物が捕捉された場合、後から捕捉されて液面に浮遊せずにローラの下部に接触している長手農作物に対し、搬送方向とは反対方向の力が作用することで、接触しているローラに対し相対的に搬送方向とは反対側に移動させることができる。これにより、各ローラの間に複数の長手農作物が捕捉される割合を低減することができる。
【0012】
また本発明は、前記第1搬送手段よりも前記搬送方向上流側に配置され、少なくとも一部を前記液体に浸漬させた状態で、前記搬送方向に沿う回転方向に回転駆動され、複数の隔壁が周方向に間隔をあけて設けられる仕切り回転体を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明に従えば、洗浄装置の液体収容部に投入され液面を浮遊する複数の長手農作物は、仕切り回転体に設けられる各隔壁の間に少量ずつ捕捉されて、搬送方向下流側にある第1搬送手段へ搬送される。このように少量ずつ第1搬送手段へ長手農作物を搬送することによって、液体収容部に大量の長手農作物を投入した場合であっても、第1搬送手段の各ローラの間に複数の長手農作物が捕捉される割合を低減することができる。
【0014】
また本発明は、前記第1搬送手段近傍に配置され、前記液体に少なくとも一部が浸漬する前記各ローラが移動する領域に向かって、各ローラの軸線方向と略平行な方向に液体を噴射する液体噴射手段と、
前記第2搬送手段近傍に配置され、前記第2搬送手段に載置された長手農作物に向けて送風する送風手段とを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明に従えば、各ローラの間に捕捉されている長手農作物は、液体噴射手段によって噴射される液体によって各ローラの軸線方向一方側に寄せることができる。軸線方向一方側に寄った状態で第1搬送手段によって搬送された長手農作物は、前記一方側に寄った状態を維持して第2搬送手段に載置され、第2搬送手段によって搬送されながら送風手段によって送風される。これによって、長手農作物に付着した液滴を除去することができる。さらに、長手農作物が第2搬送装置において一方側に寄った状態で搬送されることで、送風手段によって送風する領域を限定することができるため、送風手段を複数設ける必要がなくなるので、装置全体のコストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡単な構成によって、洗浄が必要な長手農作物をまとめて洗浄装置の液体収容部に投入した場合にも、長手農作物を洗浄するとともに長手方向が揃うように整列させた状態で搬送することができ、洗浄した長手農作物を整列させた状態で液体から取り出すことができる。また、液体収容部から取り出され第2搬送装置に載置されている長手農作物は、その長手方向が揃った状態で整列して搬送されるので、次の処理工程がある場合に、処理をし易くすることができる。
【0017】
また本発明によれば、各ローラの間に捕捉されずにローラの下部に接触している状態の長手農作物がある場合でも、その長手農作物の姿勢を変化させて各ローラの間に長手農作物を捕捉して搬送することができる。
【0018】
また本発明によれば、各ローラの間に捕捉されずにローラの下部に接触している状態の長手農作物がある場合でも、各ローラの間に複数の長手農作物が捕捉されることを防止することができ、1つずつ長手方向が揃うように整列させた状態で搬送することができる。
【0019】
また本発明によれば、洗浄装置の液体収容部に投入され液面を浮遊する複数の長手農作物を第1搬送装置に少量ずつ搬送することができるので、第1搬送装置の各ローラの間に複数の長手農作物が捕捉される割合を低減することができる。
【0020】
また本発明によれば、長手農作物が第2搬送装置において軸線方向の一方側に寄った状態で載置することができるので、液体から取り出されて表面に液滴が付着している長手農作物に向けて送風する送風手段を複数設ける必要がなくなり、装置全体のコストを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明の実施の形態の長手農作物の洗浄装置1の概略を示す側面図である。図示の洗浄装置1は、収穫された茄子を洗浄すると共に、茄子の長手方向を揃えて整列させて搬送方向であるA方向に沿って搬送する装置である。なお、茄子を適用した例を挙げて説明するが、液体収容部2に収容される液体に浮遊することができる長手農作物であれば、たとえば胡瓜等種々の野菜類や果物類に適用することも可能である。
【0022】
本実施の形態の洗浄装置1は、液体収容部2と、第1搬送手段3と、第2搬送手段4と、複数(本実施の形態では3)の仕切り回転体5と、液体噴射手段6と、送風手段7と、基台9とを含んで構成される。基台9は、水平な床面に設置され、液体収容部2は、基台9に対して固定して設けられる。また、液体収容部2には茄子を洗浄するための液体が収容される。
【0023】
液体収容部2に収容される液体は、一般的に使用されている水であってもよいが、本実施の形態では濃度が0.1ppm以下のオゾン水8が用いられる。以下、オゾン水8を適用して説明する。オゾン水8によって茄子を洗浄することで、茄子に付着しているサルモネラ菌および黄色ブドウ球菌などの食中毒菌を殺菌洗浄して死滅させることができるので、洗浄効果を増大させることができる。また、オゾン水8に投入された茄子は、オゾン水8の水面に浮遊する。
【0024】
図2は、本実施の形態の洗浄装置1に備えられる第1搬送手段3の構成を簡略化して示す側面図である。第1搬送手段3は、基台9に固定して設けられる第1電動機11と、第1電動機11によって第1軸線J1まわりに回転駆動される第1駆動軸18と、第1駆動軸18に連結される一対の第1駆動側スプロケットホイール12と、第1軸線J1に平行な第2軸線J2に沿って延びる第1従動軸19と、第1従動軸19に連結される一対の第1従動側スプロケットホイール13と、第1駆動側スプロケットホイール12と第1従動側スプロケットホイール13との間にわたって巻き掛けられ張架される一対の第1チェーン14と、A方向に沿って予め定める間隔ΔLをあけて前記一対の第1チェーン14に支持される複数(本実施の形態では14)のローラ15とを含む。
【0025】
図3は、第1チェーン14の下張架領域において支持されているローラ15の構成を示す正面図である。各ローラ15は、ともに円柱状に形成される主ローラ部15aおよび補助ローラ部15bを含み、主ローラ部15aおよび補助ローラ部15bは、第3軸線J3に沿って一体的に形成される。複数のローラ15は、各ローラ15の軸線J3が互いに平行になるように、かつ、第1チェーン14よりも外周側を移動するように配置される。さらに、第1チェーン14の下張架領域に支持されている各ローラ15は、少なくとも主ローラ部15aの一部がオゾン水8に浸漬するように配置されている。本実施の形態では、主ローラ部15aの直径に対し、直径の60〜80%程度がオゾン水8に浸漬するように設けられている。また、ローラ15は、前記一対の第1チェーン14にわたって連結される支持部材16aに、ブラケット16bを介して、軸線J3まわりに回転自在に支持されて設けられる。
【0026】
前記第1電動機11は、第1チェーン14の下張架領域に支持されている各ローラ15がA方向に沿って移動するように、第1駆動軸18を介して、一対の第1駆動側スプロケットホイール12を第1軸線J1まわりにB方向に回転駆動させる。基台9には、弾性部材17が固定して設けられ、下張架領域を移動する各ローラ15は、補助ローラ部15bの下方の表面部が弾性部材17を押圧しながら、A方向に沿って移動する。このとき、補助ローラ部15bは、前記下方の表面部と弾性部材17との接触面において発生する摩擦力によって、第3軸線J3まわりにC方向に回転する。補助ローラ部15bは、主ローラ部15aと一体に形成されているので、前述する補助ローラ部15bの回転に伴って、主ローラ部15aは、主ローラ部15aの下方の表面部がローラ15の軸線J3まわりにA方向上流側に変位する方向、すなわちC方向に回転する。前述する弾性部材17は、ウレタンによって形成されてもよい。
【0027】
また、各ローラ15の間隔ΔLは、搬送される長手農作物の外径によって定められる。本実施の形態の洗浄装置1が対象としている茄子は、直径が40〜65mm程度であり、長手方向の長さは120〜150mm程度である。第1搬送装置3は、茄子を各ローラ15の間に、ローラ15の軸線J3方向と茄子の長手方向とが略平行となるような姿勢でオゾン水8に浮遊させながら移動させるので、A方向に沿って予め定める間隔ΔLは、前記直径よりも長く、かつ、前記長手方向の長さよりも短い70〜80mmとするのが好ましく、本実施の形態では、ΔLは77mmに設定されている。
【0028】
次に、第2搬送手段4について詳細に説明する。第2搬送手段4は、基台9に固定して設けられる第2電動機21と、第2電動機21によって第4軸線J4まわりに回転駆動される第2駆動軸28と、第2駆動軸28に連結される一対の第2駆動側スプロケットホイール22と、第4軸線J4に平行な第5軸線J5に沿って延びる第2従動軸29と、第2従動軸29に連結される一対の第2従動側スプロケットホイール23と、第2駆動側スプロケットホイール22と第2従動側スプロケットホイール23との間にわたって巻き掛けられ張架される一対の第2チェーン24と、前記一対の第2チェーン24に連結して設けられる載置部25とを含み、第1搬送手段3に対しA方向下流側に設けられる。
【0029】
図4は、本実施の形態の洗浄装置1に備えられる第2搬送手段4の上張架領域の一部を拡大して示す平面図である。また図5は、本実施の形態の洗浄装置1に備えられる第2搬送手段4の上張架領域の一部を拡大して示す側面図である。載置部25は、一対の第2チェーン24の周方向に沿って、適度に間隔をあけて一対の第2チェーン24に連結される円柱状の複数の第1載置部材25aと、第2チェーン24よりも外周側に配置され、一対の第2チェーン24の周方向に沿って、第1載置部材25aが配置される間隔よりも大きな間隔をあけて設けられる円柱状の複数の第2載置部材25bと、第2載置部材25bを支持するために第1載置部材25aに連結して設けられる支持片25cとを含んで構成される。各第1載置部材25aおよび各第2載置部材25bは、各軸線方向が互いに平行となるように配置される。また、基台9には、一対の板状の壁部材26が固定して設けられる。壁部材26は、第2搬送手段4の上張架領域において第1載置部材25aの上方にA方向に沿って設けられ、第2載置部材25bは、一対の壁部材26に対しわずかに間隔をあけて、一対の壁部材26の間を移動する。なお、図5において、誤解を避けるため壁部材26を仮想線で示している。
【0030】
各第1載置部材25aの間隔は、軸線方向と略平行な姿勢の茄子を確実に保持することが可能な程度の間隔、すなわち前述する茄子の直径よりも小さな間隔に設定され、また、各第2載置部材25bの間隔は、前述する茄子の直径よりも大きな間隔となるように設定される。
【0031】
前記第2電動機21は、第2チェーン24の上張架領域の位置する載置部25がA方向に沿って移動するように、第2駆動軸28を介して、第2駆動側スプロケットホイール22を第4軸線J4まわりにE方向に回転駆動させる。第2搬送手段4は、A方向上流側の端部が、第1搬送手段3のA方向下流側の端部の近傍で第1搬送手段3よりも下方にオゾン水8に浸漬して設けられ、A方向下流側に向かうにつれて、上方に向かうように傾斜し、さらにA方向下流側では、水平となるように構成される。
【0032】
図6は、本実施の形態の洗浄装置1に備えられる仕切り回転体5付近を拡大して示す平面図である。本実施の形態では、3つの仕切り回転体5が設けられ、A方向上流側から下流側に向かって5a,5b,5cの順に並んでいるものとする。なお、第2および第3仕切り回転体5b,5cは、第1仕切り回転体5aよりも大きさが小さいことを除いて第1仕切り回転体5aと同様に構成されるため、対応する部分には同一の数字に添字bまたはcを付し、重複を避けて説明は省略する。第1仕切り回転体5aは、2枚の円板片31aと、その2枚の円板片31aの間に周方向に沿って等間隔に配置される複数(本実施の形態では、いずれも8枚の隔壁)の隔壁32aとによって構成される。また、各隔壁32aは、一端部が円柱状に形成されている矩形状の平板であり、一端部から他端部までの長さが円板片31aの半径よりも短くなるように形成されている。このような隔壁が、一端部を円板片31aの外周側に、他端部が円板片31aの中心に向くように、2枚の円板片31aに溶接して固定される。
【0033】
図7は、本実施の形態の洗浄装置1に備えられる仕切り回転体5および第1搬送手段3のA方向上流側の一部の構成を簡略化して示す平面図である。図7において、第1チェーン14、第3チェーン37、および第4チェーン38は、仮想線で表されるものとする。3つの仕切り回転体のうち、A方向下流側にある第2仕切り回転体5bおよび第3仕切り回転体5cは、第1搬送手段3と連動して回転駆動するように構成される。第1駆動軸18には、第1電動機11によって第1軸線J1まわりに回転駆動される第3駆動側スプロケットホイール33が、さらに連結されている。そして、第3仕切り回転体5cに連結して設けられ、第6軸線J6に沿って延びる第3回転軸39には、第3従動側スプロケットホイール34が連結され、第3駆動側スプロケットホイール33と第3従動側スプロケットホイール34との間には第3チェーン37が巻き掛けられ張架される。また、前記第3回転軸39には、さらに第4駆動側スプロケットホイール35が連結されている。そして、第2仕切り回転体5bに連結して設けられ、第7軸線J7に沿って延びる第2回転軸40には、第4従動側スプロケットホイール36が連結され、第4駆動側スプロケットホイール35と第4従動側スプロケットホイールとの間には第4チェーン38が巻き掛けられ張架される。このように構成されることによって、第2および第3仕切り回転体5b,5cは、第1搬送手段3と連動して、それぞれ第6軸線J6および第7軸線まわりにE方向に回転駆動される。
【0034】
また、第1仕切り回転体5aは、第8軸線J8に沿って延びる第1回転軸42に連結され、第3電動機41によって回転駆動される第1回転軸42を介して、第8軸線まわりにE方向に回転駆動される。このとき、第1仕切り回転体5aの回転速度よりも第2仕切り回転体5bの回転速度が大きく、さらに第2仕切り回転体5bの回転速度よりも第3仕切り回転体5cの回転速度が大きくなるように構成される。本実施の形態では、第3仕切り回転体5cの回転速度が第2仕切り回転体5bの回転速度の2倍となるように構成されている。
【0035】
第1搬送装置3近傍には、第1チェーン14の下張架領域において支持されているローラ15の移動する領域に向かって、ローラ15の第3軸線J3方向と略平行な一方向に液体を噴射する液体噴射手段6が設けられる。液体噴射手段6は、液体噴射用送水管6aと液体噴射用送水管6aの先端に取り付けられる液体噴射用ノズル6bとを含み、第1搬送手段3の下方から上方に向けて液体を噴射するように設けられる。本実施の形態では、後述するオゾン水循環用送水管52から分岐するように液体噴射用送水管6aが取り付けられ、液体噴射用ノズル6bから高圧のオゾン水8が噴射される。
【0036】
第2搬送装置4の上張架領域の上方には、上張架領域の載置部25に向けて上方から気体を送風する送風手段7が設けられる。送風手段7は、基台9に取り付けられる送風機7aと、送風機7aによって圧縮された気体を通過させ、複数(本実施の形態では4)の分岐管に分岐させて送風する送風管7bと、送風管7bの分岐管の先端に取り付けられる送風ノズル7cとを含む。本実施の形態では、載置部25が移動する領域のうち、A方向に向かって左右方向の一方側の領域に向けて送風するように、送風手段7が設けられる。この一方側は、前記液体噴射手段6が液体を噴射する方向である第3軸線J3方向の一方側と同一となるように設定される。
【0037】
液体収容部2は、茄子の搬送および洗浄に用いられ、かつ、第1搬送装置3、第2搬送装置4、および仕切り回転体5が設けられる第1収容部2aと、A方向下流側において第1収容部2aの下方に設けられる第2収容部2bとを含む。A方向に沿って流れるオゾン水8は、その下流側において第1収容部に設けられている壁部61を超えて溢れた分が、第1収容部2aの最下流に設けられているストレーナ62を通過して下方、すなわちF方向に落下する。ストレーナ62の下方には第2収容部2bが設けられ、ストレーナ62を通過したオゾン水8は、第2収容部2bに収容される。
【0038】
第2収容部2bには、オゾン水循環用ポンプ51にオゾン水8を送水するための管が設けられており、オゾン水循環用ポンプ5に取り込まれたオゾン水8は、高圧の状態でオゾン水循環用送水管52に送られる。オゾン水循環用送水管52に送られたオゾン水8は、複数に分岐されて第1収容部2aに戻される。オゾン水循環用送水管52のうち一の分岐管の先端は、第1収容部2aの最上流の投入部63においてオゾン水8に浸漬させて設けられる噴射部53aに連結される。噴射部53aからは、A方向にオゾン水8が噴射され、これによってオゾン水8は、第1収容部2a内をA方向に沿って流れる。また、他の分岐管の先端は、A方向に沿ってオゾン水8の上方から液面に向けてオゾン水8を噴射するように設けられる噴射部53b〜53dに連結される。本実施の形態では、噴射部53b〜53dは、それぞれ後述するゲート54、第1仕切り回転体5a、第2仕切り回転体5bの直前に設けられている。また、第1収容部2aの投入部63の下流には、上下方向すなわちG方向に変位可能なゲート54が設けられている。本実施の形態では、ゲート54の変位駆動は、空気圧シリンダによって実現されている。
【0039】
なお、本実施の形態の搬送装置1は、茄子を一方向に沿って搬送する装置であり、前記第1軸線J1〜第8軸線J8は、すべて略平行である。
【0040】
以上のように構成される洗浄装置1に、複数の茄子を投入した場合について以下に詳細に説明する。収穫された茄子は、コンテナに複数の茄子が収容された状態で、洗浄のために洗浄装置1まで運搬されてくる。この複数の茄子は、オゾン水8が収容された第1収容部2aのA方向の最上流の投入部63に投入され、オゾン水8に浮遊する。そして、噴射部53aからオゾン水8が噴射されることによって発生するA方向への流れに沿って浮遊した状態で移動する。投入部63と第1仕切り回転体5aとの間はゲート54が設けられており、ゲート54を駆動することによって、投入部63から第1仕切り回転体5aに向かって移動する茄子の数を制限している。
【0041】
ゲート54を通過した複数の茄子は、まずE方向に回転駆動される第1仕切り回転体5aの各隔壁32aの間に少量ずつ捕捉されて、A方向に搬送される。さらに、E方向に回転駆動される第2仕切り回転体5bおよび第3仕切り回転体5cの各隔壁32bおよび32cによって少量ずつ捕捉されながらA方向に搬送される。前述するように、仕切り回転体5は、上流側の仕切り回転体よりも下流側の仕切り回転体の方が回転速度が速くなるように構成されているので、仕切り回転体5の各隔壁の間に捕捉される茄子の数は、上流側の仕切り回転体よりも下流側の仕切り回転体の方が少なくなる。これにより、ゲート54を通過し一塊となって移動する複数の茄子を少量ずつ第1搬送手段3に搬送することができるので、第1搬送装置3の各主ローラ部15aの間に複数の茄子が捕捉されてしまうということを防止することができる。このとき、仕切り回転体5に設けられる各隔壁32は、その外周側が円柱状に形成されているので、仕切り回転体5の回転駆動によって各隔壁32の間に茄子を捕捉する際に、茄子を傷つけることを防止することができる。
【0042】
第1搬送手段3に搬送された茄子は、第1搬送手段3の上張架領域から下張架領域に向かって移動する主ローラ部15aとその主ローラ部15aの移動方向前方にある隣接する主ローラ部15aとの間に不規則な姿勢で捕捉される。各主ローラ部15aが設けられる間隔は、茄子の外径よりも大きく、かつ茄子の長手方向の長さよりも短くなるように設定されている。したがって、茄子がその長手方向とローラ15の軸線J3方向とが略平行であるような姿勢になった場合に、浮力によって主ローラ部15aの間を通過してその姿勢を維持してオゾン水8に浮遊させることができる。
【0043】
また、茄子が主ローラ部15aの間を通過することができない姿勢である場合には、茄子は茄子に作用する浮力によって主ローラ部15aの下部に接触した状態で、オゾン水8の内部を移動する。しかし、このような場合であっても、前述するように下張架領域において支持されている各ローラ15は、A方向に移動することに伴って主ローラ部15aがC方向に回転するので、主ローラ部15aに接触している状態の茄子は、この主ローラ部15aの回転によって、その姿勢に変化が与えられる。これによって、茄子の長手方向とローラ15の軸線J3方向とが略平行であるような姿勢になった場合に、主ローラ部15aの間を通過してその姿勢を維持してオゾン水8に浮遊させることができる。このとき、主ローラ部15aの間に浮遊する茄子が、補助ローラ部15bの方に移動して傷ついてしまうことを防止するために、主ローラ部15aと補助ローラ部15bとの間に、支持部材16aに立設させて板部材を設けてもよい。
【0044】
また、主ローラ部15aはC方向に回転駆動されるので、主ローラ部15aに接触して水中を移動している茄子には、茄子と主ローラ部15aとが接触する点における主ローラ部15aの回転方向の力が作用する。水中を移動している茄子は、主ローラ部15aの下部と接触しているので、少なくともA方向とは反対方向の力が与えられる。すなわち、茄子に対してA方向上流側に向かって移動するような力が与えられる。したがって、すでに茄子をその間に捕捉している隣接する主ローラ部15aの下方において、その主ローラ部15aに接触している茄子は、A方向下流側へ移動するローラ15に対し相対的にA方向上流側へ移動する。したがって、その隣接する主ローラ部15aの間にさらに茄子が捕捉されることを防止することができる。このようにして、第1搬送手段3によって、茄子の長手方向を揃えた状態で、1つずつ第2搬送手段4に茄子を搬送することができる。
【0045】
さらに、第1搬送手段3によって茄子が搬送される領域に向かって、液体噴射手段6によってオゾン水8が噴射される。これによって、各ローラ15間に捕捉されている茄子は、その長手方向とローラ15の軸線J3方向とが略平行であるような姿勢を維持して搬送されるとともに、軸線J3方向の一方側に寄った状態で搬送することができる。
【0046】
第1搬送手段3によってA方向に搬送された茄子は、第2搬送手段4の第2載置部材25bの間に捕捉され、載置部25に載置されて、オゾン水8から取り出され、A方向に沿って上方に搬送される。このとき、茄子は1つずつ長手方向が揃った状態で整列され、さらに、第2搬送手段4の載置部25において軸線J3方向一方側に寄った状態で整列されて搬送される。したがって、次の処理工程がある場合に、処理をし易くすることができる。
【0047】
さらに、第2搬送装置4の近傍には茄子に付着した液滴を除去するために送風手段7が配置され、送風機7aによって圧縮された空気が送風管7bを通って各送風ノズル7cに送られ、載置部25に載置されている茄子に向けて送風される。このとき、前述するように軸線J3方向一方側に寄った状態で整列されて搬送されるので、送風する領域を限定して、送風ノズル7cを設けることができる。これによって、送風手段7を複数設ける必要をなくし、洗浄装置1全体のコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態の長手農作物の洗浄装置1の概略を示す側面図である。
【図2】本実施の形態の洗浄装置1に備えられる第1搬送手段3の構成を簡略化して示す側面図である。
【図3】第1チェーン14の下張架領域において支持されているローラ15の構成を示す正面図である。
【図4】本実施の形態の洗浄装置1に備えられる第2搬送手段4の上張架領域の一部を拡大して示す平面図である。
【図5】本実施の形態の洗浄装置1に備えられる第2搬送手段4の上張架領域の一部を拡大して示す側面図である。
【図6】本実施の形態の洗浄装置1に備えられる仕切り回転体5付近を拡大して示す平面図である。
【図7】本実施の形態の洗浄装置1に備えられる仕切り回転体5および第1搬送手段3のA方向上流側の一部の構成を簡略化して示す平面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 洗浄装置
2 液体収容部
3 第1搬送手段
4 第2搬送手段
5 仕切り回転体
6 液体噴射手段
7 送風手段
8 オゾン水
9 基台
11 第1電動機
12 第1駆動側スプロケットホイール
13 第1従動側スプロケットホイール
14 第1チェーン
15 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手農作物が浮遊可能な液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部に収容された液体の液面に沿って、軸線が互いに平行で、かつ前記長手農作物の外径よりも大きな予め定める間隔をあけて設けられる複数のローラを備え、各ローラが、各ローラの少なくとも一部を前記液体に浸漬させた状態で搬送方向に移動して、前記長手農作物を搬送する第1搬送手段と、
前記第1搬送手段によって前記搬送方向下流側に搬送された前記長手農作物が載置され、前記液体収容部内の液体の液面よりも上方に前記長手農作物を搬送する第2搬送手段とを含むことを特徴とする長手農作物の洗浄装置。
【請求項2】
前記液体に少なくとも一部が浸漬する前記各ローラは、各軸線まわりに回転駆動されることを特徴とする請求項1記載の長手農作物の洗浄装置。
【請求項3】
回転駆動される前記各ローラは、ローラの下方の表面部が軸線まわりに前記搬送方向上流側に変位する回転方向に回転することを特徴とする請求項2記載の長手農作物の洗浄装置。
【請求項4】
前記第1搬送手段よりも前記搬送方向上流側に配置され、少なくとも一部を前記液体に浸漬させた状態で、前記搬送方向に沿う回転方向に回転駆動され、複数の隔壁が周方向に間隔をあけて設けられる仕切り回転体を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の長手農作物の洗浄装置。
【請求項5】
前記第1搬送手段近傍に配置され、前記液体に少なくとも一部が浸漬する前記各ローラが移動する領域に向かって、各ローラの軸線方向と略平行な方向に液体を噴射する液体噴射手段と、
前記第2搬送手段近傍に配置され、前記第2搬送手段に載置された長手農作物に向けて送風する送風手段とを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の長手農作物の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−183218(P2009−183218A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27047(P2008−27047)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(594092577)細田工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】