説明

長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法

【課題】樹脂ペレットの色調、含浸性、長期特性及び成形品外観の全てに優れた長繊維強化ポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】溶融したポリアミド樹脂を強化繊維ロ−ビングに含浸させて得られるストランドをペレタイズして第1の樹脂ペレットを得る第1の工程と、前記第1の樹脂ペレットを前記ポリアミド樹脂の融点以下の温度で加熱し固相重合により高分子量化して第2の樹脂ペレットを得る第2の工程と、を有し、前記ポリアミド樹脂の硫酸相対粘度(ηr)が1.80〜2.40であり、前記第1の樹脂ペレットの末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度が共に50ミリ当量/kg以上であり、前記第2の樹脂ペレットの硫酸相対粘度(ηr)が2.60〜5.00である、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に短繊維強化ポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂とチョップドストランド等の短繊維を押出機で混練する方法で製造されている。しかしながら、この方法では押出機での混練中にガラス繊維が折損し、高度な機械的特性の要求に応えることはできないという問題がある。
【0003】
これに対し、近年、繊維状強化材(強化繊維)が本来有する性能を充分に引き出すために、その強化繊維を長くすることが検討されている。例えば、長繊維強化ポリアミド樹脂は、強化繊維ロービングを用い、強化繊維を集束した繊維束を引き取りながらポリアミド樹脂を強化繊維ロービングに含浸させてポリアミド樹脂ストランドを得るプルトルージョン法により得られる。この方法で得られた長繊維強化ポリアミド樹脂組成物は、上記短繊維強化ポリアミド樹脂と比較して、機械的強度に優れている(例えば特許文献1、2参照)。
【0004】
一方、高分子量のポリアミド樹脂を用いて、含浸性の高い樹脂ペレットを得る方法として、例えば特許文献3に記載の方法が提案されている。特許文献3によると、ガラス繊維ロービングにポリアミド樹脂を含浸させる際のポリアミド樹脂の溶融粘度を規定し、その樹脂を含浸させたガラス繊維ストランドに撚りを与えながら引き取る。これにより、高分子量のポリアミド樹脂でも樹脂の含浸性に優れ、機械的強度及び色調に優れた成形品を得ることができるとされている。
【0005】
また、高分子量のポリアミド樹脂を用いる方法として、まず、テルペンフェノール重合体のような低分子量重合体で繊維を被膜し、その後、高分子量のポリアミド樹脂を被膜させる方法が提案されている(例えば特許文献4、5参照)。これにより、ガス焼けやモールドデポジッドなどの成形不良が少ない長繊維強化熱可塑性樹脂材料を、高い生産性で得られるとされている。
【0006】
さらに、強化繊維を複数本束ねた繊維束を、熱溶融したポリアミド樹脂と共に、貫通孔が形成されたダイスの当該貫通孔に通して引き抜くことによって得られる、ポリアミド樹脂が付着した繊維束を切断してペレットを得るペレット作製工程と、前記ペレットを、低酸素条件下において、融点未満の温度で加熱する加熱工程と、からなる製造方法が提案されている(例えば特許文献6参照)。この製造方法により、ポリアミド樹脂ガラス繊維の接着力を改良し、機械的強度に優れた繊維強化ポリアミド樹脂組成物が得られる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭46−4545号公報
【特許文献2】特開2006−16463号公報
【特許文献3】国際公開第2007/105497号
【特許文献4】特許3774959号公報
【特許文献5】特開2009−155363号公報
【特許文献6】特開2008−291192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、2に記載の方法において、ガラス繊維ロ−ビングに樹脂を十分に含浸させるためには、製造時のポリアミド樹脂の溶融粘度をかなり低くする必要がある。そのため、含浸性の高い樹脂ペレットを得るには、低分子量のポリアミド樹脂を用いなければならず、その結果、振動疲労特性などの長期特性が不十分となる。また、高分子量のポリアミド樹脂を用いた場合、樹脂の含浸性が不十分であったり、ポリアミド樹脂の溶融粘度を下げるためにポリアミド樹脂の分解温度以上に加熱したりする必要があるため、機械的強度が不十分であったり、ペレットの色調が悪化したりするという問題がある。
【0009】
また、特許文献3に記載の方法では、ガラス繊維ストランドに撚りを与えながら引き取るため、その樹脂ペレットを射出成形して得られる成形品は、繊維の分散が不十分で、成形品の外観不良の問題が生じる。さらに、特許文献4、5に記載の方法においては、組成物中に低分子量の重合体を含有するため、高分子量のポリアミド樹脂の性能を発揮させるのに十分ではない。
【0010】
そして、特許文献6に記載の方法においては、ポリアミド樹脂の融点未満の温度で加熱することにより、ペレットの含浸性を改良して機械的強度を改良することが示唆されているが、ポリアミド樹脂の高分子量化に関しては一切、検討がなされていない。
【0011】
したがって、従来、樹脂ペレットの色調、含浸性、長期特性及び成形品外観の全てに優れた長繊維強化ポリアミド樹脂組成物を製造することが求められている。
【0012】
本発明は、上記事情にかんがみてなされたものであり、樹脂ペレットの色調、含浸性、長期特性及び成形品外観の全てに優れた長繊維強化ポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の硫酸相対粘度を有するポリアミド樹脂を用い、溶融したポリアミド樹脂を繊維ロ−ビングに含浸させて得たストランドをペレタイズして樹脂ペレットを得る工程と、上記工程で得られた特定の末端基濃度を有する樹脂ペレットをポリアミド樹脂の融点以下の温度で加熱し固相重合することで高分子量化する工程とを有する製造方法が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
[1]溶融したポリアミド樹脂を強化繊維ロ−ビングに含浸させて得られるストランドをペレタイズして第1の樹脂ペレットを得る第1の工程と、前記第1の樹脂ペレットを前記ポリアミド樹脂の融点以下の温度で加熱し固相重合により高分子量化して第2の樹脂ペレットを得る第2の工程と、を有し、前記ポリアミド樹脂の硫酸相対粘度(ηr)が1.80〜2.40であり、前記第1の樹脂ペレットの末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度が共に50ミリ当量/kg以上であり、前記第2の樹脂ペレットの硫酸相対粘度(ηr)が2.60〜5.00である、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
[2]前記第2の樹脂ペレットの前記硫酸相対粘度(ηr)が2.60〜3.20である、[1]の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
[3]前記第1の樹脂ペレットの水分率が0.08〜3.00質量%である、[1]又は[2]の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
[4]前記第1の樹脂ペレットの直径が2.00〜2.60mmである、[1]〜[3]のいずれか一つの長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
[5]前記ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度が共に50ミリ当量/kg以上である、[1]〜[4]のいずれか一つの長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
[6]前記長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の全量に対する前記強化繊維の濃度が30〜80質量%である、[1]〜[5]のいずれか一つの長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、樹脂ペレットの色調、含浸性、長期特性及び成形品外観の全てに優れた長繊維強化ポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳しく説明する。
【0017】
[製造方法]
本実施形態のガラス長繊維強化ポリアミド樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう。)を製造する方法は、溶融したポリアミド樹脂を強化繊維ロ−ビングに含浸させて得られるストランドをペレタイズして第1の樹脂ペレットを得る第1の工程と、第1の樹脂ペレットをポリアミド樹脂の融点以下の温度で加熱し固相重合により高分子量化して第2の樹脂ペレットを得る第2の工程とを有する。
【0018】
以下、具体的に樹脂組成物の製造方法を説明する。
【0019】
第1の工程では、まず、通常用いられる単軸又は二軸押出機を用いて、ポリアミド樹脂を溶融混練する。溶融混練する方法は公知の方法であればよい。また、そのポリアミド樹脂には、後述の種々の添加剤が配合されていてもよい。次いで、溶融混練後に溶融状態にあるポリアミド樹脂に、好ましくはプルトルージョン法により、強化繊維ロービングを含浸してストランドを得る。
【0020】
プルトルージョン法は、例えば、連続した強化繊維ロービングに溶融した熱可塑性樹脂を含浸させる公知のプルトルージョン法であれば特に制限されない。
また、溶融状態にあるポリアミド樹脂に強化繊維ロービングを含浸して、その強化繊維ストランドに撚りを与えながら引き取ってもよい。これにより、ポリアミド樹脂の含浸性に優れたストランドが得られる。
【0021】
次に、必要に応じて冷却した上記ストランドをペレタイズして第1の樹脂ペレットを得る。ペレタイズする方法としては、特に限定されず、例えば、ストランドを公知の切断機により、ストランドの長さ方向に対して交差する方向に切断する方法が挙げられる。
【0022】
得られる第1の樹脂ペレットの水分率は、後述の固相重合中におけるペレットの変色を防止し、高分子量化をできるだけ短時間で行うという観点から、後述の第2の樹脂ペレットより水分率を高めに設定する必要がある。その水分率の好ましい範囲は0.08〜3.00質量%で、より好ましい範囲は0.10〜2.00質量%、更に好ましい範囲は0.20〜1.00質量%である。水分率が0.08質量%以上であることにより、上記ペレットの変色防止を効率的に実現することができる。また、水分率が3.00質量%以下であることにより、高分子量化の短時間化という効果が奏される。なお、水分率は、後述の実施例に記載の方法に準じて測定され、第1の樹脂ペレットの全体量を基準とするものである。
【0023】
水分率を上記範囲に制御する方法としては、特に制限されるものではないが、第1の工程において、ストランドを冷却水で冷却し、その際の冷却水の温度及びストランドの冷却水への接触時間を調整することにより、水分量を制御することが簡便で好ましい。
【0024】
また、第1の樹脂ペレットの末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度は、固相重合後に高分子量の組成物を得るという観点から、共に50ミリ当量/kg以上である。それらの濃度は、より好ましくはそれぞれ55ミリ当量/kg以上であり、更に好ましくはそれぞれ60ミリ当量/kg以上である。それらの濃度は、後述の実施例に記載の方法に準じて測定され、第1の樹脂ペレットに含まれるポリアミド樹脂量を基準とするものである。
【0025】
上記末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度を上記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、第1の工程に用いるポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度を高く設定する方法、及び/又は、第1の工程における含浸の際のポリアミド樹脂の熱滞留時間を短くして末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度の低下を抑える方法が挙げられる。
【0026】
ここで、「熱滞留時間」とは、強化繊維ロービングにポリアミド樹脂を含浸させる際の、含浸ダイにおけるポリアミド樹脂の滞留時間を意味し、式(a)/(b)で表されるものである。ここで、式中、(a)は1ストランドあたりの含浸ダイの容積(単位:cc)を示し、(b)は1ストランドあたりのポリアミド樹脂の引き取り速度(単位:cc/分)を示す。(b)は、ストランドの引き取り線速度とストランドの単位長さに含まれるポリアミド樹脂の体積割合とから算出することができる。
【0027】
また、第1の樹脂ペレットの直径は、第1の樹脂ペレットの生産性の観点から2.00mm以上であると好ましく、第2の工程における固相重合を効率的に行う観点から2.60mm以下であると好ましい。より好ましい直径は2.10〜2.50mmであり、更に好ましい直径は、2.20〜2.40mmである。
【0028】
第2の工程では、上述のようにして得られた第1の樹脂ペレットをポリアミド樹脂の融点以下の温度で加熱し固相重合するが、その固相重合は、一般に使用されている装置を用いて実施することができる。すなわち、コーン型タンブラーでバッチ式に行うこともでき、流動乾燥炉で連続式に行うこともできる。第1の樹脂ペレットをポリアミド樹脂の融点以下の温度に加熱して、例えば、窒素等の不活性ガスを流通して不活性ガス雰囲気下にしたり、あるいは、減圧状態に保持したりすることにより、固相重合を行い、第1のペレットに含まれるポリアミド樹脂の高分子量化を行う。
【0029】
固相重合の際の好ましい加熱温度の範囲は、ポリアミド樹脂のガラス転移温度(Tg)+10℃から、ポリアミド樹脂の融点(Tm)−10℃の範囲である。より好ましい加熱温度の範囲は、Tg+20℃からTm−20℃の範囲である。加熱温度が上記下限値以上であることにより、固相重合を円滑に進行することができる。
【0030】
本実施形態に係る樹脂組成物は、上述のようにして第1の樹脂ペレットを固相重合により高分子化して、第2の樹脂ペレットとして得られるものである。
【0031】
本実施形態に係る樹脂組成物の硫酸相対粘度(ηr)は、機械的強度と長期特性との観点から、2.60〜5.00である。その硫酸相対粘度(ηr)は、より好ましくは2.60〜4.00、更に好ましくは2.60〜3.20である。本明細書において、硫酸相対粘度(ηr)は、オストワルド粘度計を用いて、サンプル溶液を25℃で測定して、下記式から求められる。
硫酸相対粘度(ηr)=(サンプル溶液の滴下秒数)/(硫酸溶液滴下秒数)
【0032】
ここで用いるサンプル溶液は、96%硫酸溶液中に0.01g/mLの濃度となるように測定対象となるもの(ここでは、第2の樹脂ペレット)を溶解させて得られる。また、第2の樹脂ペレットの硫酸相対粘度は、そこから強化繊維を除いたものの硫酸相対粘度である。この硫酸相対粘度は、第2の工程における固相重合の温度及び/又は時間を調整することで制御できる。
【0033】
以下、本実施形態の製造方法に用いられる原料であるポリアミド樹脂及び強化繊維ロービングなどについて詳述する。
【0034】
[ポリアミド樹脂]
本実施形態に係るポリアミド樹脂としては、公知のポリアミドを用いることができる。そのようなポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミドMXD6、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸とを重合してなるポリアミド(ポリアミド6I)、イソフタル酸とビス(3−メチル−4アミノシクロヘキシル)メタンとを重合してなるポリアミド(ポリアミドPACMI)などのホモポリマ−、アジピン酸とイソフタル酸とへキサメチレンジアミンとを重合してなるポリアミド(ポリアミド66/6I共重合体)、アジピン酸とテレフタル酸とへキサメチレンジアミンとを重合してなるポリアミド(ポリアミド66/6T共重合体)、イソフタル酸とテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとを重合してなるポリアミド(ポリアミド6I/6T共重合体)、アジピン酸とイソフタル酸とテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとを重合してなるポリアミド(ポリアミド66/6I/6T共重合体)、テレフタル酸と2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンと2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンとを重合してなるポリアミド(ポリアミドTMDT共重合体)、テレフタル酸とノナンジアミンとを重合してなるポリアミド(ポリアミド9T)、イソフタル酸とテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとビス(3−メチル−4アミノシクロヘキシル)メタンとを重合してなる共重合ポリアミド、並びに、イソフタル酸とテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとビス(3−メチル−4アミノシクロヘキシル)メタンとを重合してなる共重合ポリアミドとポリアミド6との混合物、ポリアミドMXD6とポリアミド66との混合物が挙げられる。
【0035】
それらの中でも、ポリアミド樹脂としてポリアミド66を用いることが、長期特性及び成形品外観のバランスから好ましい。
【0036】
第1の工程に用いるポリアミド樹脂の硫酸相対粘度(ηr)は、公知のプルトルージョン法によりガラス繊維ロ−ビングへの樹脂の十分な含浸性を得るために、1.80〜2.40である。その硫酸相対粘度(ηr)の好ましい範囲は1.90〜2.30であり、更に好ましい範囲は2.00〜2.20である。
【0037】
第1の工程に用いるポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度は、第2の工程における固相重合により高重合度化、高分子量化を達成するために、共に50ミリ当量/kg以上であることが好ましい。それらの濃度は、より好ましくはそれぞれ55ミリ当量/kg以上であり、更に好ましくはそれぞれ60ミリ当量/kg以上である。それらの濃度は、後述の実施例に記載の方法に準じて測定され、ポリアミド樹脂の全体量を基準とするものである。
【0038】
[強化繊維ロービング]
本実施形態に係る強化繊維ロービングは、強化繊維の連続した単繊維を集束したロービングであれば特に限定されるものではないが、強化繊維とポリアミド樹脂との接着性を向上するために、強化繊維はカップリング剤等の表面処理が施されていることが好ましい。強化繊維としては、通常の樹脂の補強用して用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維及び有機繊維を使用することが可能であるが、ガラス繊維が最も広範に用いられる。強化繊維中のガラス繊維の含有割合が50質量%以上であると好ましく、80質量%以上であるとより好ましく、90質量%以上であると更に好ましく、100質量%であると特に好ましい。
【0039】
本実施形態の樹脂組成物における強化繊維の配合量は、機械的強度の観点から、樹脂組成物の全量に対して30〜80質量%以上が好ましい。その強化繊維の配合量は、より好ましくは35〜75質量%、更に好ましくは40〜70質量%である。
【0040】
本実施形態において好適に用いられるポリアミド樹脂用の強化繊維は、ポリアミド樹脂用の集束剤で表面処理されているものである。ここでの集束剤は、いわゆるサイジングを目的とした集束成分とポリアミド樹脂との接着性を目的とした表面処理成分を含んでもよい。集束剤の構成成分は、特に限定されるものではない。例えば、好ましい集束剤は、機械的特性向上の観点から、無水マレイン酸と不飽和単量体との共重合体とシラン系カップリング剤とを主たる構成成分、すなわち50質量%以上含むものであり、それらの構成成分からなることがより好ましい。
【0041】
集束剤を構成する無水マレイン酸と不飽和単量体との共重合体として、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、1,3−ペンタジエン及びシクロオクタジエン等の不飽和単量体と無水マレイン酸との共重合体が挙げられる。それらの中でも、ブタジエン又はスチレンと無水マレイン酸との共重合体が特に好ましい。更にこれらの単量体は2種以上を1つの共重合体の単量体として用いてもよい。あるいは、例えば、無水マレイン酸とブタジエンとの共重合体と無水マレイン酸とスチレンとの共重合体とを混合して使用する等、混合物として用いてもよい。上記無水マレイン酸と不飽和単量体との共重合体は、重量平均分子量が2000以上であることが好ましい。また、無水マレイン酸と不飽和単量体との割合は特に制限されない。更に、集束剤として、その共重合体に加えて、アクリル酸系共重合体やウレタン系ポリマーを併用してもよい。
【0042】
集束剤を構成するもう一つの好適な成分であるシラン系カップリング剤としては、通常、ガラス繊維の表面処理に用いられるシラン系カップリング剤が好ましく、アミノ基含有シランカップリング剤がより好ましい。シラン系カップリング剤の具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン系カップリング剤;γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン系カップリング剤;γ−メタクリロキプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキプロピルトリエトキシシラン等のメタクロキシ基含有シラン系カップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン等のビニル基含有シラン系カップリング剤が挙げられる。これらのシラン系カップリング剤は1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0043】
これらの中で、特にポリアミド樹脂との親和性の観点から、アミノ基含有シラン系カップリング剤が特に好ましく、更にその中でも、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン及びN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。上記無水マレイン酸共重合体とシラン系カップリング剤との使用割合は、比較的良好な物性バランスを与える観点から、前者100質量部に対して後者0.01〜20質量部の割合が好ましい。通常、無水マレイン酸共重合体とシラン系カップリング剤とは、水溶媒中で混和して集束剤として用いられる。その集束剤には、更に必要に応じて、界面活性剤、滑剤、柔軟剤、帯電防止剤などを加えてもよい。
【0044】
また、強化繊維のモノフィラメントの直径(平均繊維直径)は特に限定されるものではない。ただし、含浸性の高い樹脂ペレットを得るという観点から、その直径は5μm以上であると好ましく、機械的性質の向上の観点から20μm以下であると好ましい。その直径が10〜18μmであると、樹脂組成物の機械的性質向上の観点からより好ましい。
【0045】
また、本実施形態の第1及び第2の樹脂ペレットにおける強化繊維の繊維長は、重量平均繊維長で、機械的強度及び長期特性のバランスの観点から、5mm以上であると好ましく、成形流動性の観点から15mm以下であると好ましい。その繊維長は、より好ましくは、6〜14mm、更に好ましくは7〜13mmである。また、第1及び第2の樹脂ペレットにおける強化繊維の繊維長は、ペレット長以上の長さである。ここで、「ペレット長」とは、ストランドの径方向に対応する樹脂ペレットの径方向に対して直交する方向でのペレットの端部間の距離を意味し、後述のように切断機(ペレタイザー)による切断によりペレタイズする場合、その切断面間の距離を意味する。
【0046】
なお、重量平均繊維長の測定は下記のようにして行われる。すなわち、まず、樹脂ペレットを加熱して、ポリアミド樹脂等の有機成分を燃焼させる。その後、残存した強化繊維をスライドガラス上に移し、光学顕微鏡下で観察し、画像解析装置を用いて、任意に選んだ強化繊維400本の長さを測定した値から、下記式により重量平均繊維長を求める。
重量平均繊維長=Σ(L(GF)i2)/ΣL(GF)i
ここで、繊維一本一本の長さをそれぞれL(GF)1、L(GF)2、…、L(GF)400とする。
【0047】
また、1本のストランドを得るのに用いるロービングのTEX数も特に限定されるものではないが、生産性の観点から、500〜8000TEXであると好ましく、より好ましくは1000〜7000TEX、更に好ましくは1500〜6000TEXである。
【0048】
また、本実施形態の樹脂組成物には、所望に応じて種々の添加剤を配合することが可能である。添加剤の具体例としては、銅化合物及びリン化合物等のポリアミド用熱安定剤、ヒンダードフェノール及びヒンダードアミン等の酸化劣化防止剤、マンガン化合物等の光安定剤、タルク、ボロンナイトライド等の核剤、ステアリン酸金属塩に代表される高級脂肪酸金属塩等の滑剤、炭酸カルシウム、ウオラストナイト、カオリン、焼成カオリン及びマイカ等のミネラルフィラ−、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、染料、顔料、ポリアミド以外の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0049】
樹脂組成物は、ペレットの態様で得られるが、そのペレットを用途に応じて更に加工したものであってもよい。
【0050】
本実施形態の樹脂組成物は各種の成形品の原料として好適に用いられる。その樹脂組成物から成形品を製造する方法は、公知の樹脂ペレットから成形品を製造する方法と同様であればよい。本実施形態に係る成形品としては、例えば、フロントエンドモジュール、エンジンカバー、ラジエータータンク、カーヒータータンク、ウォーターバルブ、ウォーターポンプ、ラジエーターパイプ、インテークマニホールド、タイミングチェーンカバー、オイルパン、防振ブッシュ等の自動車部品や電気・電子部品等が挙げられる。
【0051】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例及び比較例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例に用いた原材料及び測定方法を以下に示す。
【0053】
[原材料]
1.ポリアミド樹脂(A)
a−1:ポリアミド66樹脂(硫酸相対粘度(ηr):2.10、末端アミノ基濃度:65ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度:130ミリ当量/kg、融点(Tm):260℃、ガラス転移温度(Tg):66℃)
a−2:ポリアミド66樹脂(硫酸相対粘度(ηr):2.10、末端アミノ基濃度:20ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度:175ミリ当量/kg、融点(Tm):260℃、ガラス転移温度(Tg):66℃)
a−3:ポリアミド66樹脂(製品名「レオナ(登録商標)1300S」、旭化成ケミカルズ製、硫酸相対粘度(ηr):2.64、末端アミノ基濃度:40ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度:80ミリ当量/kg、融点:260℃、ガラス転移温度(Tg):66℃)
a−4:ポリアミド66樹脂、硫酸相対粘度(ηr):2.40、末端アミノ基濃度:55ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度:90ミリ当量/kg、融点(Tm):260℃、ガラス転移温度(Tg):66℃)
a−5:ポリアミド66樹脂、硫酸相対粘度(ηr):1.80、末端アミノ基濃度:90ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度:180ミリ当量/kg、融点(Tm):260℃、ガラス転移温度(Tg):66℃)
a−6:ポリアミド66樹脂、硫酸相対粘度(ηr):2.10、末端アミノ基濃度:98ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度:98ミリ当量/kg、融点(Tm):260℃、ガラス転移温度(Tg):66℃)
a−7:ポリアミド66樹脂、硫酸相対粘度(ηr):2.10、末端アミノ基濃度:130ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度:65ミリ当量/kg、融点(Tm):260℃、ガラス転移温度(Tg):66℃)
【0054】
2.強化繊維(b)
b−1:ガラス繊維ロービング(製品名「ER4301H」、重慶国際複合材料有限公司製、繊維径:17μm、ロービングのTEX数:1200TEX)
【0055】
[樹脂組成物の硫酸相対粘度(ηr)の測定]
得られた第2の樹脂ペレットについて、そこからガラス繊維を除いた残りの成分を、96%硫酸水溶液中に0.01g/mLの濃度となるように溶解させて得られた溶液を用いて、硫酸相対粘度(ηr)を測定し、樹脂組成物の硫酸相対粘度(ηr)とした。
【0056】
[末端カルボキシル基濃度[COOH]の測定]
試料を、170±5℃のベンジルアルコールに溶解し、0.1Nの苛性ソーダで滴定して末端カルボキシル基濃度を測定した。指示薬として、フェノールフタレインを使用した。
【0057】
[末端アミノ基濃度[NH2]の測定]
試料をフェノールに溶解し、0.02N塩酸で電位差滴定を行い末端アミノ基濃度を測定した。
【0058】
[第1の樹脂ペレットの水分率の測定]
第1の樹脂ペレットの水分量を、水分計(製品名「CA−06型」、カールフィッシャー法、三菱化学(株)製)を用いて、JIS K 7251に準じて測定し、その水分率を求めた。
【0059】
[曲げ弾性率、曲げ強度の測定]
射出成形機(製品名「FN−3000」、スクリュー径40mm、日精樹脂工業(株)製)を用いて、シリンダー温度295℃、金型温度80℃、射出圧力50MPa、射出時間5秒、冷却時間25秒、スクリュー回転数200rpmという成形条件にて、樹脂ペレットを平板状に射出成形して平板プレート(15cm×15cm、厚さ4mm)を得た。その平板プレートを、射出成形時の流動方向での曲げ弾性率及び曲げ強度を測定できるよう切り出すことによって、長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片を得た。次いで、ISO 178に準じて、その試験片について、オートグラフ(島津製作所製、製品名「AG−5000D」)により、クロスヘッドスピード5mm/分、スパン64mmの条件下で曲げ弾性率及び曲げ強度の測定を行った。
【0060】
[成形品外観の測定]
上記[曲げ弾性率、曲げ強度の測定]で得られた平板プレート10枚を目視にて観察し、その表面にガラス繊維の塊が観察されなかった場合を「○」、ガラス繊維の塊が1箇所でも観察された場合を「×」と評価した。
【0061】
[耐振動疲労性]
射出成形機(製品名「FN−3000」、スクリュー径40mm、日精樹脂工業(株)製)を用いて、シリンダー温度295℃、金型温度80℃、射出圧力65MPa、射出時間5秒、冷却時間25秒、スクリュー回転数200rpmという成形条件にて、樹脂ペレットを平板状に射出成形して平板プレート(15cm×15cm、厚さ3mm)を得た。その平板プレートから射出成形時の流動方向に直交する方向にASTM1号試験片を切り出した。得られた試験片について、JIS K7118に準じて油圧サ−ボ疲労試験機(製品名「EHF−50−10−3」、株式会社鷺宮製作所製)を用い、120℃の環境下、周波数20Hzの正弦波にて引張荷重を負荷し、100万回荷重を負荷して破壊する応力を求めた。破壊する応力の高い方が耐振動疲労性に優れる。
【0062】
[含浸性の測定]
樹脂ペレット(長さ10mm)の一端(ストランドの切断面)を呈色指示薬であるメチルレッドのプロパノール溶液(メチルレッドのプロパノール飽和溶液50mLに塩酸1mLを添加してpHを調整し、メチルレッドの発色性を向上させたもの)に30分浸漬した。その後、樹脂ペレットの長さ方向における呈色指示薬の浸透状況を観察した。任意に選んだ10個の樹脂ペレットについて観察した。樹脂ペレットの長さ方向に2mm以上の呈色指示薬の浸透が見られる樹脂ペレットの個数を数え、0個の場合を「○」、1〜5個の場合を「△」、6〜10個の場合を「×」と評価した。ガラス繊維ロービングに樹脂が十分含浸していれば、メチルレッドのプロパノール溶液は樹脂ペレットに浸透しない。2mm以上の浸透が見られるペレットの個数が少ないほど、ガラス繊維ロービングへの樹脂の含浸が良好であることを意味する。
【0063】
[色調の測定]
樹脂ペレットの色調をJIS K 7105に準じて測定した。色調は、色差計(製品名「ND−300A」、日本電色(株)製、投光レンズ直径30mm)を用いて、直径30mmの測定面積で、標準白色プレ−トに対する色調を評価した。YI値は黄色味を示し、数値が小さい方が白く良好であることを意味する。
なお、樹脂ペレットの色調は、ガラス製の専用ホルダーにペレットを充填して測定した。
【0064】
[実施例1]
(第1の工程)
二軸押出機(製品名「ZSK25」、Coperion社製)を用い、溶融温度280℃、スクリュー回転数300rpmでポリアミド樹脂(a−1)を溶融し、長繊維強化樹脂製造装置(製品名「KOSLFP−212」、(株)神戸製鋼所製)の樹脂含浸用ローラーを備えた含浸ダイ(容積:375cc)に供給した。一方、3本のガラス繊維ロ−ビング(b−1)の束を、ロ−ビング台から、溶融ポリアミド樹脂が充填された含浸ダイに導入した。含浸ダイ内でポリアミド樹脂を含浸したガラス繊維ロ−ビングの束を、含浸ダイのノズル(ノズル直径:2.4mm)から連続的に引き抜いて、1本のストランドを得た。続いて、そのストランドを水冷バス(浸漬長:40cm)中で冷却固化した後、ペレタイザーで切断して第1の樹脂ペレット(c−1)を得た。得られた第1の樹脂ペレット(c−1)(長さ10mm、直径2.4mm)において、ガラス繊維濃度(配合量)は50質量%、ガラス繊維の繊維長は10mmであった。なお、この時のストランドの引き取り速度は60m/分であり、含浸ダイにおけるポリアミド樹脂の熱滞留時間は約2分であった。ここで、「浸漬長」とは、水冷バス中の冷却水に浸漬されているストランドの長さを意味する。
【0065】
第1の樹脂ペレット(c−1)の水分率は0.20質量%、硫酸相対粘度は2.10、末端アミノ基濃度は63ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度は130ミリ当量/kgであった。
【0066】
(第2の工程)
この第1の樹脂ペレット(c−1)10kgを内容積20リットルのコーン型タンブラー装置に充填し、窒素気流下、180℃で8時間固相重合を行い、硫酸相対粘度2.64の第2の樹脂ペレット(樹脂組成物)(d−1)を得た。
第2の樹脂ペレット(d−1)の評価結果を表1に示す。
【0067】
[実施例2]
(第1の工程)
導入するガラス繊維ロービング(b−1)の束を3本から1本に変更し、含浸ダイのノズル直径を2.4mmから1.4mmに変更した以外は実施例1と同様にして、第1の樹脂ペレット(c−2)を得た。得られた第1の樹脂ペレット(c−2)(長さ10mm、直径1.4mm)において、ガラス繊維濃度(配合量)は50質量%、ガラス繊維の繊維長は10mmであった。なお、この時のストランドの引き取り速度は60m/分であり、含浸ダイにおけるポリアミド樹脂の熱滞留時間は約6分であった。
第1の樹脂ペレット(c−2)の水分率は0.55質量%、硫酸相対粘度は2.10、末端アミノ基濃度は55ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度は130ミリ当量/kgであった。
【0068】
(第2の工程)
第1の樹脂ペレット(c−2)に対して、実施例1と同様にして固相重合を行い、硫酸相対粘度2.64の第2の樹脂ペレット(樹脂組成物)(d−2)を得た。
第2の樹脂ペレット(d−2)の評価結果を表1に示す。
【0069】
[実施例3]
(第1の工程)
導入するガラス繊維ロービング(b−1)の束を3本から2本に変更し、含浸ダイのノズル直径を2.4mmから2.0mmに変更した以外は実施例1と同様にして、第1の樹脂ペレット(c−3)を得た。得られた第1の樹脂ペレット(c−3)(長さ10mm、直径2.0mm)において、ガラス繊維濃度(配合量)は50質量%、ガラス繊維の繊維長は10mmであった。なお、この時のストランドの引き取り速度は60m/分であり、含浸ダイにおけるポリアミド樹脂の熱滞留時間は約3分であった。
第1の樹脂ペレット(c−3)の水分率は0.45質量%、硫酸相対粘度は2.10、末端アミノ基濃度は57ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度は130ミリ当量/kgであった。
【0070】
(第2の工程)
第1の樹脂ペレット(c−3)に対して、実施例1と同様にして固相重合を行い、硫酸相対粘度2.64の第2の樹脂ペレット(樹脂組成物)(d−3)を得た。
第2の樹脂ペレット(d−3)の評価結果を表1に示す。
【0071】
[実施例4]
(第1の工程)
導入するガラス繊維ロービング(b−1)の束を3本から4本に変更し、含浸ダイのノズル直径を2.4mmから2.9mmに変更した以外は実施例1と同様にして、第1の樹脂ペレット(c−4)を得た。得られた第1の樹脂ペレット(c−4)(長さ10mm、直径2.9mm)において、ガラス繊維濃度(配合量)は50質量%、ガラス繊維の繊維長は10mmであった。なお、この時のストランドの引き取り速度は30m/分であり、含浸ダイにおけるポリアミド樹脂の熱滞留時間は約3分であった。
第1の樹脂ペレット(c−4)の水分率は0.35質量%、硫酸相対粘度は2.10、末端アミノ基濃度は57ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度は130ミリ当量/kgであった。
【0072】
(第2の工程)
固相重合の時間を8時間から15時間に変更した以外は実施例1と同様にして、第1の樹脂ペレット(c−4)に対して固相重合を行い、硫酸相対粘度2.64の第2の樹脂ペレット(樹脂組成物)(d−4)を得た。
第2の樹脂ペレット(d−4)の評価結果を表1に示す。
【0073】
[実施例5]
(第1の工程)
水冷バスにおける浸漬長を40cmから15cmに変更した以外は実施例1と同様にして、第1の樹脂ペレット(c−5)を得た。得られた第1の樹脂ペレット(c−5)(長さ10mm、直径2.4mm)において、ガラス繊維濃度(配合量)は50質量%、ガラス繊維の繊維長は10mmであった。なお、この時のストランドの引き取り速度は60m/分であり、含浸ダイにおけるポリアミド樹脂の熱滞留時間は約2分であった。
第1の樹脂ペレット(c−5)の水分率は0.08質量%、硫酸相対粘度は2.10、末端アミノ基濃度は63ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度は130ミリ当量/kgであった。
【0074】
(第2の工程)
第1の樹脂ペレット(c−5)に対して、実施例1と同様にして固相重合を行い、硫酸相対粘度2.64の第2の樹脂ペレット(樹脂組成物)(d−5)を得た。
第2の樹脂ペレット(d−5)の評価結果を表1に示す。
【0075】
[実施例6]
(第1の工程)
水冷バスの上記距離を40cmから10cmに変更した以外は実施例1と同様にして、第1の樹脂ペレット(c−6)を得た。得られた第1の樹脂ペレット(c−6)(長さ10mm、直径2.4mm)において、ガラス繊維濃度(配合量)は50質量%、ガラス繊維の繊維長は10mmであった。なお、この時のストランドの引き取り速度は60m/分であり、含浸ダイにおけるポリアミド樹脂の熱滞留時間は約2分であった。
第1の樹脂ペレット(c−6)の水分率は0.05質量%、硫酸相対粘度は2.10、末端アミノ基濃度は63ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度は130ミリ当量/kgであった。
【0076】
(第2の工程)
第1の樹脂ペレット(c−6)に対して、実施例1と同様にして固相重合を行い、硫酸相対粘度2.64の第2の樹脂ペレット(樹脂組成物)(d−6)を得た。
第2の樹脂ペレット(d−6)の評価結果を表1に示す。
【0077】
[実施例7]
(第1の工程)
水冷バスにおける浸漬長を40cmから500cmに変更した以外は実施例1と同様にして、第1の樹脂ペレット(c−7)を得た。得られた第1の樹脂ペレット(c−7)(長さ10mm、直径2.4mm)において、ガラス繊維濃度(配合量)は50質量%、ガラス繊維の繊維長は10mmであった。なお、この時のストランドの引き取り速度は60m/分であり、含浸ダイにおけるポリアミド樹脂の熱滞留時間は約2分であった。
第1の樹脂ペレット(c−7)の水分率は2.80質量%、硫酸相対粘度は2.10、末端アミノ基濃度は63ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度は130ミリ当量/kgであった。
【0078】
(第2の工程)
固相重合の時間を8時間から25時間に変更した以外は実施例1と同様にして、第1の樹脂ペレット(c−7)に対して固相重合を行い、硫酸相対粘度2.80の第2の樹脂ペレット(樹脂組成物)(d−7)を得た。
第2の樹脂ペレット(d−7)の評価結果を表1に示す。
【0079】
[実施例8]
(第1の工程)
実施例1と同様の第1の樹脂ペレット(c−1)を得た。
【0080】
(第2の工程)
固相重合の時間を8時間から20時間に変更した以外は実施例1と同様にして、第1の樹脂ペレット(c−1)に対して固相重合を行い、硫酸相対粘度3.20の第2の樹脂ペレット(d−8)を得た。
第2の樹脂ペレット(d−8)の評価結果を表1に示す。
【0081】
[比較例1]
実施例1における第1の樹脂ペレット(c−1)を樹脂組成物とした。その評価結果を表1に示す。
この比較例の樹脂組成物は、実施例と比較して、振動疲労特性に劣る結果となった。
【0082】
[比較例2]
(第1の工程)
ポリアミド樹脂(a−1)をポリアミド樹脂(a−2)に変更した以外は実施例1の第1の工程と同様にして、樹脂ペレット(c−8)を得た。得られた樹脂ペレット(c−8)(長さ10mm、直径2.4mm)において、ガラス繊維濃度は50質量%、ガラス繊維の繊維長は10mmであった。なお、この時のストランドの引き取り速度は60m/分であり、含浸ダイにおけるポリアミド樹脂の熱滞留時間は約2分であった。
樹脂ペレット(c−8)の水分率は0.20質量%、硫酸相対粘度は2.10、末端アミノ基濃度は16ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度は175ミリ当量/kgであった。
【0083】
(第2の工程)
樹脂ペレット(c−8)に対して、実施例1と同様にして固相重合を行い、硫酸相対粘度2.32の樹脂ペレット(樹脂組成物)(d−9)を得た。その後、更に固相重合を行ったが、末端アミノ基が消費されたため、硫酸相対粘度は2.32から変化しなかった。
樹脂ペレット(d−9)の評価結果を表1に示す。
この比較例の樹脂組成物は、実施例と比較して、振動疲労特性に劣る結果となった。
【0084】
[比較例3]
(第1の工程)
二軸押出機(製品名「ZSK25」、Coperion社製)を用い、溶融温度290℃、スクリュー回転数300rpmでポリアミド樹脂(a−3)を溶融し、長繊維強化樹脂製造装置(製品名「KOSLFP−212」、(株)神戸製鋼所製)の樹脂含浸用ローラーを備えた含浸ダイ(容積:375cc)に供給した。一方、3本のガラス繊維ロ−ビング(b−1)の束を、ロ−ビング台から、溶融ポリアミド樹脂が充填された含浸ダイに導入した。含浸ダイ内でポリアミド樹脂を含浸したガラス繊維ロ−ビングの束を、含浸ダイのノズル(ノズル直径:2.4mm)から連続的に引き抜いて、1本のストランドを得た。続いて、そのストランドを、水冷バス(浸漬長:10cm)中で冷却固化した後、ペレタイザーで切断して樹脂ペレット(c−9)を得た。得られた樹脂ペレット(c−9)(長さ10mm、直径2.4mm)において、ガラス繊維濃度(配合量)は50質量%、ガラス繊維の繊維長は10mmであった。なお、この時のストランドの引き取り速度は10m/分であり、含浸ダイにおけるポリアミド樹脂の熱滞留時間は12分であった。
【0085】
樹脂ペレット(c−9)の水分率は0.65質量%、硫酸相対粘度は2.45、末端アミノ基濃度は40ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度は110ミリ当量/kgであった。
【0086】
(第2の工程)
固相重合の時間を8時間から2.5時間に変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂ペレット(c−9)に対して固相重合を行い、硫酸相対粘度2.64の樹脂ペレット(樹脂組成物)(d−10)を得た。
樹脂ペレット(d−10)の評価結果を表1に示す。
この比較例の樹脂組成物は、実施例と比較して、ペレットの含浸性及び色調に劣る結果となった。
【0087】
[比較例4]
比較例3の第1の工程で得られた樹脂ペレット(c−9)を除湿乾燥機により乾燥して、水分率を0.05質量%に低減した樹脂ペレット(樹脂組成物)(c−9’)を得た。樹脂ペレット(c−9’)の評価結果を表1に示す。
この比較例の樹脂組成物は、実施例と比較して、ペレットの色調及び含浸性に劣るだけでなく、振動疲労特性に劣る結果となった。
【0088】
[比較例5]
二軸押出機(製品名「ZSK25」、Coperion社製)を用い、溶融温度290℃、スクリュー回転数300rpmでポリアミド樹脂(a−1)を溶融し、長繊維強化樹脂製造装置(製品名「KOSLFP−212」、(株)神戸製鋼所製)の樹脂含浸用ローラーを備えた含浸ダイ(容積:375cc)に供給した。一方、3本のガラス繊維ロ−ビング(b−1)の束を、ロ−ビング台から、溶融ポリアミド樹脂が充填された含浸ダイに導入した。含浸ダイ内でポリアミド樹脂を含浸したガラス繊維ロ−ビングの束を、含浸ダイのノズル(ノズル直径:2.4mm)から連続的に引き抜いて、1本のストランドを得た。続いて、そのストランドを、水冷バス(浸漬長:5cm)中で冷却固化した後、ペレタイザーで切断して樹脂ペレット(樹脂組成物)(c−10)を得た。得られた樹脂ペレット(c−10)(長さ10mm、直径2.4mm)において、ガラス繊維濃度(配合量)は50質量%、ガラス繊維の繊維長は10.6mmであった。また、このストランドを引き取る一対のローラーについて、互いのローラー軸の角度をずらして対向させて配置されているローラー間を通過させることにより、ストランドに撚りを付与した。なお、この時のストランドの引き取り速度は60m/分であり、撚りのピッチは24mmであった。含浸ダイにおけるポリアミド樹脂の熱滞留時間は2分であった。
【0089】
樹脂ペレット(c−10)の水分率は0.08質量%、硫酸相対粘度は2.64であった。
樹脂ペレット(c−10)の評価結果を表1に示す。
この比較例の樹脂組成物は、実施例と比較して、成形品の外観に劣る結果となった。
【0090】
[実施例9]
(第1の工程)
二軸押出機(製品名「ZSK25」、Coperion社製)を用い、溶融温度310℃、スクリュー回転数300rpmでポリアミド樹脂(a−1)を溶融し、長繊維強化樹脂製造装置(製品名「KOSLFP−212」、(株)神戸製鋼所製)の樹脂含浸用ローラーを備えた含浸ダイ(容積:375cc)に供給した。一方、5本のガラス繊維ロ−ビング(b−1)の束を、ロ−ビング台から、溶融ポリアミド樹脂が充填された含浸ダイに導入した。含浸ダイ内でポリアミド樹脂を含浸したガラス繊維ロ−ビングの束を、含浸ダイのノズル(ノズル直径:2.6mm)から連続的に引き抜いて、1本のストランドを得た。続いて、そのストランドを、水冷バス(浸漬長:20cm)中で冷却固化した後、ペレタイザーで切断して樹脂ペレット(c−11)を得た。得られた樹脂ペレット(c−11)(長さ10mm、直径2.6mm)において、ガラス繊維濃度(配合量)は65質量%、ガラス繊維の繊維長は10mmであった。なお、この時のストランドの引き取り速度は60m/分であり、含浸ダイにおけるポリアミド樹脂の熱滞留時間は2.2分であった。
【0091】
樹脂ペレット(c−11)の水分率は0.20質量%、硫酸相対粘度は2.10、末端アミノ基濃度は63ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度は130ミリ当量/kgであった。
【0092】
(第2の工程)
実施例1と同様にして、樹脂ペレット(c−11)に対して固相重合を行い、硫酸相対粘度2.64の樹脂ペレット(樹脂組成物)(d−11)を得た。
樹脂ペレット(d−11)の評価結果を表2に示す。
【0093】
[比較例6]
実施例9における第1の樹脂ペレット(c−11)を樹脂組成物とした。その評価結果を表2に示す。
この比較例の樹脂組成物は、実施例と比較して、振動疲労特性に劣る結果となった。
【0094】
[実施例10]
(第1の工程)
二軸押出機(製品名「ZSK25」、Coperion社製)を用い、溶融温度310℃、スクリュー回転数300rpmでポリアミド樹脂(a−4)を溶融し、長繊維強化樹脂製造装置(製品名「KOSLFP−212」、(株)神戸製鋼所製)の樹脂含浸用ローラーを備えた含浸ダイ(容積:375cc)に供給した。一方、3本のガラス繊維ロ−ビング(b−1)の束を、ロ−ビング台から、溶融ポリアミド樹脂が充填された含浸ダイに導入した。含浸ダイ内でポリアミド樹脂を含浸したガラス繊維ロ−ビングの束を、含浸ダイのノズル(ノズル直径:2.4mm)から連続的に引き抜いて、1本のストランドを得た。続いて、そのストランドを、水冷バス(浸漬長:40cm)中で冷却固化した後、ペレタイザーで切断して樹脂ペレット(c−12)を得た。得られた樹脂ペレット(c−12)(長さ10mm、直径2.4mm)において、ガラス繊維濃度(配合量)は50質量%、ガラス繊維の繊維長は10mmであった。なお、この時のストランドの引き取り速度は40m/分であり、含浸ダイにおけるポリアミド樹脂の熱滞留時間は約3分であった。
樹脂ペレット(c−12)の水分率は0.13質量%、硫酸相対粘度は2.35、末端アミノ基濃度は52ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度は90ミリ当量/kgであった。
【0095】
(第2の工程)
固相重合の時間を8時間から4時間に変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂ペレット(c−12)に対して固相重合を行い、硫酸相対粘度2.67の樹脂ペレット(樹脂組成物)(d−12)を得た。
樹脂ペレット(d−12)の評価結果を表3に示す。
【0096】
[実施例11]
(第1の工程)
実施例10と同様にして第1の樹脂ペレット(c−12)を得た。
【0097】
(第2の工程)
固相重合の時間を4時間から32時間に変更した以外は実施例10と同様にして、第1の樹脂ペレット(c−12)に対して固相重合を行い、硫酸相対粘度4.56の第2の樹脂ペレット(d−13)を得た。
第2の樹脂ペレット(d−13)の評価結果を表3に示す。
【0098】
[実施例12]
(第1の工程)
二軸押出機(製品名「ZSK25」、Coperion社製)を用い、溶融温度310℃、スクリュー回転数300rpmでポリアミド樹脂(a−5)を溶融し、長繊維強化樹脂製造装置(製品名「KOSLFP−212」、(株)神戸製鋼所製)の樹脂含浸用ローラーを備えた含浸ダイ(容積:375cc)に供給した。一方、3本のガラス繊維ロ−ビング(b−1)の束を、ロ−ビング台から、溶融ポリアミド樹脂が充填された含浸ダイに導入した。含浸ダイ内でポリアミド樹脂を含浸したガラス繊維ロ−ビングの束を、含浸ダイのノズル(ノズル直径:2.4mm)から連続的に引き抜いて、1本のストランドを得た。続いて、そのストランドを、水冷バス(浸漬長:80cm)中で冷却固化した後、ペレタイザーで切断して樹脂ペレット(c−13)を得た。得られた樹脂ペレット(c−13)(長さ10mm、直径2.4mm)において、ガラス繊維濃度(配合量)は50質量%、ガラス繊維の繊維長は10mmであった。なお、この時のストランドの引き取り速度は80m/分であり、含浸ダイにおけるポリアミド樹脂の熱滞留時間は約1.5分であった。
樹脂ペレット(c−13)の水分率は0.13質量%、硫酸相対粘度は1.80、末端アミノ基濃度は90ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度は180ミリ当量/kgであった。
【0099】
(第2の工程)
固相重合の時間を8時間から12時間に変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂ペレット(c−13)に対して固相重合を行い、硫酸相対粘度2.61の樹脂ペレット(樹脂組成物)(d−14)を得た。
樹脂ペレット(d−14)の評価結果を表3に示す。
【0100】
[比較例7]
(第1の工程)
実施例10と同様にして第1の樹脂ペレット(c−12)を得た。
【0101】
(第2の工程)
固相重合の時間を4時間から40時間に変更した以外は実施例10と同様にして、第1の樹脂ペレット(c−12)に対して固相重合を行い、硫酸相対粘度5.10の第2の樹脂ペレット(d−15)を得た。
第2の樹脂ペレット(d−15)の評価を試みたが、硫酸相対粘度が著しく高いため、射出成形して試験片を得ることが不可能で、諸特性の評価ができなかった。
【0102】
[比較例8]
実施例10における第1の樹脂ペレット(c−12)を樹脂組成物とした。その評価結果を表3に示す。
この比較例の樹脂組成物は、実施例と比較して、振動疲労特性に劣る結果となった。
【0103】
[比較例9]
実施例12における第1の樹脂ペレット(c−13)を樹脂組成物とした。その評価結果を表3に示す。
この比較例の樹脂組成物は、実施例と比較して、振動疲労特性に劣る結果となった。
【0104】
[実施例13]
(第1の工程)
二軸押出機(製品名「ZSK25」、Coperion社製)を用い、溶融温度280℃、スクリュー回転数300rpmでポリアミド樹脂(a−6)を溶融し、長繊維強化樹脂製造装置(製品名「KOSLFP−212」、(株)神戸製鋼所製)の樹脂含浸用ローラーを備えた含浸ダイ(容積:375cc)に供給した。一方、3本のガラス繊維ロ−ビング(b−1)の束を、ロ−ビング台から、溶融ポリアミド樹脂が充填された含浸ダイに導入した。含浸ダイ内でポリアミド樹脂を含浸したガラス繊維ロ−ビングの束を、含浸ダイのノズル(ノズル直径:2.4mm)から連続的に引き抜いて、1本のストランドを得た。続いて、そのストランドを、水冷バス(浸漬長:40cm)中で冷却固化した後、ペレタイザーで切断して樹脂ペレット(c−14)を得た。得られた樹脂ペレット(c−14)(長さ10mm、直径2.4mm)において、ガラス繊維濃度(配合量)は50質量%、ガラス繊維の繊維長は10mmであった。なお、この時のストランドの引き取り速度は60m/分であり、含浸ダイにおけるポリアミド樹脂の熱滞留時間は約2分であった。
樹脂ペレット(c−14)の水分率は0.20質量%、硫酸相対粘度は2.10、末端アミノ基濃度は95ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度は98ミリ当量/kgであった。
【0105】
(第2の工程)
実施例1と同様にして、樹脂ペレット(c−14)に対して固相重合を行い、硫酸相対粘度2.64の樹脂ペレット(樹脂組成物)(d−16)を得た。
樹脂ペレット(d−16)の評価結果を表4に示す。
【0106】
[実施例14]
(第1の工程)
二軸押出機(製品名「ZSK25」、Coperion社製)を用い、溶融温度280℃、スクリュー回転数300rpmでポリアミド樹脂(a−7)を溶融し、長繊維強化樹脂製造装置(製品名「KOSLFP−212」、(株)神戸製鋼所製)の樹脂含浸用ローラーを備えた含浸ダイ(容積:375cc)に供給した。一方、3本のガラス繊維ロ−ビング(b−1)の束を、ロ−ビング台から、溶融ポリアミド樹脂が充填された含浸ダイに導入した。含浸ダイ内でポリアミド樹脂を含浸したガラス繊維ロ−ビングの束を、含浸ダイのノズル(ノズル直径:2.4mm)から連続的に引き抜いて、1本のストランドを得た。続いて、そのストランドを、水冷バス(浸漬長:40cm)中で冷却固化した後、ペレタイザーで切断して樹脂ペレット(c−15)を得た。得られた樹脂ペレット(c−15)(長さ10mm、直径2.4mm)において、ガラス繊維濃度(配合量)は50質量%、ガラス繊維の繊維長は10mmであった。なお、この時のストランドの引き取り速度は60m/分であり、含浸ダイにおけるポリアミド樹脂の熱滞留時間は約2分であった。
樹脂ペレット(c−15)の水分率は0.13質量%、硫酸相対粘度は2.10、末端アミノ基濃度は127ミリ当量/kg、末端カルボキシル基濃度は65ミリ当量/kgであった。
【0107】
(第2の工程)
実施例1と同様にして、樹脂ペレット(c−15)に対して固相重合を行い、硫酸相対粘度2.64の樹脂ペレット(樹脂組成物)(d−17)を得た。
樹脂ペレット(d−17)の評価結果を表4に示す。
【0108】
【表1】

【0109】
【表2】

【0110】
【表3】

【0111】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融したポリアミド樹脂を強化繊維ロ−ビングに含浸させて得られるストランドをペレタイズして第1の樹脂ペレットを得る第1の工程と、前記第1の樹脂ペレットを前記ポリアミド樹脂の融点以下の温度で加熱し固相重合により高分子量化して第2の樹脂ペレットを得る第2の工程と、を有し、
前記ポリアミド樹脂の硫酸相対粘度(ηr)が1.80〜2.40であり、前記第1の樹脂ペレットの末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度が共に50ミリ当量/kg以上であり、前記第2の樹脂ペレットの硫酸相対粘度(ηr)が2.60〜5.00である、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
前記第2の樹脂ペレットの前記硫酸相対粘度(ηr)が2.60〜3.20である、請求項1記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
前記第1の樹脂ペレットの水分率が0.08〜3.00質量%である、請求項1又は2に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
前記第1の樹脂ペレットの直径が2.00〜2.60mmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
前記ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度が共に50ミリ当量/kg以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
前記長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の全量に対する前記強化繊維の濃度が30〜80質量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法。

【公開番号】特開2011−241296(P2011−241296A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114514(P2010−114514)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】