説明

閉合力を加えるための減圧医療用品アッセンブリ

患者の線状創傷を治療するシステムに使用する閉合医療用品補助枕及びアッセンブリであって、柔軟な閉合補助枕材でできており閉合部材(52、54)を有する補助枕本体(46)を具える。閉合部材は、閉合医療用品補助枕が減圧下に置かれたときに内側向の閉合力を発現するように動作可能である。一の形態では、閉合医療用品補助枕が減圧下にあるときに、このシステム、医療用品、あるいはアッセンブリが線状創傷で認識される内側向の力と圧縮力を発現する。芯材ホルダ(236)と芯材(238)を用いても良い。この部材の成分がシースルーであり、医療用品を取り外すことなく創傷を視覚的に検査することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本発明は、2008年5月30日提出の米国暫定特許出願整理番号61/057,807「Reduced-pressure Surgical Wound Treatment System」、2008年5月30日提出の米国暫定特許出願整理番号61/057,798「Dressing Assembly For Subcutaneous Wound treatment Using Reduce Pressure」、2008年5月30日提出の米国暫定特許出願整理番号61/057,808「See-Through, Reduced-Pressure Dressing」、2008年5月30日提出の米国暫定特許出願整理番号61/057,802「Reduced-Pressure Dressing Assembly For Use in Applying a Closing Force」、2008年5月30日提出の米国暫定特許出願整理番号61/057,803「Reduced-Pressure, Linear-Wound Treatment System」、2008年5月30日提出の米国暫定特許出願整理番号61/057,800「Reduced-Pressure, Compression System and Apparatus for use on a Curved Body Part」、2008年5月30日提出の米国暫定特許出願整理番号61/057,797「Reduced-Pressure, Compression System and Apparatus for use on Breast Tissue」、2008年5月30日提出の米国暫定特許出願整理番号61/057,805「Super-Absorbent, Reduced-Pressure Wound Dressing and System」、2008年5月30日提出の米国暫定特許出願整理番号61/057,810「Reduced-Pressure, Compression System and Apparatus for use on a Joint」、2008年12月10日提出の米国暫定特許出願整理番号61/121,362「Reduced-Pressure Wound treatment System Employing an Anisotropic Drape」、および2009年1月12日提出の米国暫定特許出願整理番号61/144,067「Reduced-Pressure, Compression System and Apparatus for use on a Joint」の35USC119条(e)の利益を主張する。これらの暫定出願はいずれもすべての目的において参照により本書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は一般的には医療システムに関し、特に、手術創傷などの線状創傷に好適に用いられる減圧創傷治療システムに関する。
【0003】
外科医は、世界中で毎年何百万もの外科手術を行っている。これらの手術の多くは観血手術として行われており、関節鏡手術、腹腔鏡手術、内視鏡手術などの低侵襲手術法を用いて行う手術が増えている。一例として、米国美容外科学会(American Society for Aesthetic Plastic Surgery)は、2007年に米国において450,000件以上の脂肪吸引手術があった旨を報告している。
【0004】
外科手術では、皮膚と関連する組織に、例えば、切開創あるいは線状創傷といった鋭角的な創傷が生じる。手術創傷の他にも、外傷によっても線状の創傷は生じる。多くの場合、線状の創傷は、ステープル、縫合糸、接着剤などの機械的装置を用いて閉合され、この創傷は単に、乾いた消毒済みの包帯で覆うだけである。傷を見て、創傷の進行具合をモニタし、感染又はその他の問題をチェックするためにこの包帯はしばしば取り外さなければならない。特に記載がない限り、ここで使用しているように、「又は」は相互排他性を必要としない。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ここに様々な実施例に示して説明するように、線状創傷治療態様における欠点に取り組んでいる。「線状創傷」とは、一般的に、一列であるかどうかにかかわらず、裂傷または切開創を意味する。一の実施例によれば、患者の線状創傷を治療するシステムに用いる閉合医療用品補助枕は、柔軟な閉合補助枕剤からできており、中央部分を有する補助枕本体を具える。この補助枕本体は、スペースを開けて連結されている上側壁と底側壁を具える。底側壁は、中央部分の一方の側部に第1の外側部を、中央部分の他方の側部に第2の外側部を有する。第1の閉合部材が第1の外側部に形成されており、第2の閉合部材が第2の外側部に形成されている。第1の閉合部材と第2の閉合部材を操作して、閉合医療用品補助枕を減圧下においたときに、方向性のある力を生じさせることができる。
【0006】
別の実施例によれば、患者の線状創傷を治療するシステムに使用する閉合医療用品補助枕は、柔軟な閉合補助枕材でできた補助枕本体を具える。この閉合補助枕本体は、補助枕本体の第2の面に形成した第1の閉合部材を具える。第1の閉合部材は、第1の斜壁を具える。閉合補助枕本体は、補助枕本体の第2の面に形成した第2の閉合部材を具える。第2の閉合部材は、第2の斜壁を具える。この補助枕本体は、更に、補助枕本体に連結された芯材ホルダと、この芯材補助枕ホルダに取り付けた芯材を具える。この芯材は流体を取り除くための流体経路を有する。第1の閉合部材と第2の閉合部材は、閉合部材補助枕が減圧下にあるときに、内側に向かう力を生じるように操作することができる。
【0007】
別の実施例によれば、患者の線状創傷を治療するシステムに使用する閉合医療用品補助枕は、柔軟な閉合補助枕材で形成された補助枕本体と、第1の閉合部材と、第2の閉合部材を具える。第1の閉合部材は、補助枕本体の第2の表面上に形成されている。第1の閉合部材は、中央領域の第1の側面に形成されている。第2の閉合部材は、補助枕本体の第2表面に形成されている。第2の閉合部材は、中央領域の第2側面に形成されている。第1の閉合部材と第2の閉合部材は、減圧下におかれたときに互いに向かって移動するように操作することができる。補助枕本体は、光を十分に通過させて、閉合医療用品補助枕の外側位置から色を検出できるように操作可能である。
【0008】
別の実施例によれば、患者の線状創傷を治療するシステムに用いる医療用品アッセンブリは、柔軟な閉合補助枕材料でできた補助枕本体を具える。この補助枕本体は第1表面と、組織に対向する第2の面とを具える。補助枕本体は、補助枕本体の中央創傷領域の第1の側面にある第1の閉合部材と、補助枕本体の中央創傷領域の第2の側面にある第2の閉合部材を具える。第1の閉合部材と第2の閉合部材は、閉合医療用品補助枕が減圧下にあるときに、互いに向かって移動して圧縮力を生じるように操作することができる。この医療用品アッセンブリは、補助枕本体の第1表面近傍に配置した、補助枕本体の上にシールを形成するように動作するオーバードレープも具える。
【0009】
別の実施例によれば、患者の線状創傷を治療するシステムに用いる閉合医療用品補助枕を製造する方法は、柔軟な閉合補助枕材料で補助枕本体を形成するステップを具える。この補助枕本体を形成するステップは、第1の側面と第2の側面を持つ補助枕本体を形成するステップを具える。補助枕本体は、中央領域を具え、この中央領域の一方の側に第1の側部があり、中央領域の他方の側に第2の側部がある。補助枕本体を形成するステップは更に、中央領域の第1の側面の補助枕本体上に第1の閉合部材を形成し、中央領域の第2の側面の補助枕本体上に第2の閉合部材を形成するステップを具える。第1の閉合部材と第2の閉合部材は、閉合医療用品補助枕が減圧下に置かれるときに、内側に向けて閉合する力を発現する。
【0010】
これらの実施例のその他の特徴と利点は、図面と以下の詳細な説明を参照にして明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の方法と装置は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を参照することによってより完全に理解される。
【図1】図1は、患者の線状創傷治療用システムの実施例を示す、断面部分付斜視図である。
【図2】図2は、患者の線状創傷治療用に使用される閉合医療用品補助枕の実施例を示す斜視図である。
【図3】図3Aは、患者の線状創傷治療用システムの実施例の概略断面図である。図3Bは、図3Aの詳細を示す概略断面図である。図3Cは、図3Aの詳細を示す概略断面図である。
【図4】図4Aは、患者の線状創傷治療に用いる閉合医療用品補助枕の実施例の概略断面図である。図4Bは、図4Aの閉合医療用品補助枕を部分的に分解して示す斜視図であり、管コネクタの一実施例を示す。図4Cは、図4Aに示す閉合医療用品補助枕の断面図である。図4Dは、図4Cに示す閉合医療用品補助枕の詳細を示す図である。
【図5】図5は、患者の線状創傷治療用の閉合医療用品補助枕の一実施例を示す概略断面図である。
【図6】図6は、患者の線状創傷治療用システムの実施例の一部を示す概略断面図である。
【図7】図7は、患者の線状創傷治療用システムの実施例を示す概略断面図である。
【図8】図8は、創傷をシステム外の位置から見ることができる損傷を受けた皮下組織治療システムの一実施例を部分的に断面で示す、概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい実施例の以下の詳細な説明において、その一部を形成する添付図面を参照し、本発明を実施することができる特定の好ましい実施例によって本発明を示す。これらの実施例は、当業者が本発明を実施するのに十分詳細に記載されており、その他の実施例を利用することができ、本発明の精神又は範囲から外れることなく、論理的、構造的、機械的、電気的及び化学的変更を行うことができると理解される。当業者が本発明を実施するのに不要な詳細を省くために、この説明は当業者に公知の所定の情報を省くことができる。従って、以下の詳細な説明は、限定する意味と考えるべきではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0013】
図1−3を参照すると、裂傷、より典型的には、切開創14といった、線状創傷12を治療するための減圧システム10の実施例が示されている。減圧システム10は、切開創周囲組織(peri−incisional tissue)を保持又は支持しており、切開創14の引っ張り強度を強化し、皮下組織20を圧迫し、浮腫を減らすあるいはなくすように間質液を取り除き、感染源から線状創傷12を隔離する。減圧システム10は、特に、例えば肥満患者、糖尿病患者、喫煙者など、危険な状態にある患者に好適に使用することができる。
【0014】
線状創傷12は異なる深さで伸びているが、この例では切開創14が上皮16、真皮18を通って、皮下組織20まで伸びている。損傷を受けた皮下組織22は、この図では、皮下ボイド24又は死孔を含む。この実施例には示していないが、線状創傷12は、例えば、機械的な閉合デバイス(縫合糸、ステープル、クランプ、他)、接着剤、結合材、その他など、線状創傷に使用する閉合デバイスをいくつ有していても良い。この創傷は、移植片であってもよく、あるいは移植片を含むものであっても良い。
【0015】
減圧システム10は、線状創傷12の上に配置して減圧を用いて、圧縮力42または閉合力44(又は医療用品アッセンブリの外側エッジに対する内側向の力)を含む方向性のある力を供給する医療用品アッセンブリ40を具えていても良い。医療用品アッセンブリ40は、減圧下で、例えば圧縮力42または閉合力44である方向性のある力を発現する閉合医療用品補助枕46を具えていても良い。閉合医療用品補助枕46には、補助枕本体50が形成されている。閉合医療用品補助枕46は、好ましくは、柔軟である閉合力を送達するのに十分に硬質な材料でできている。
【0016】
補助枕本体50は、第1の閉合部材52と第2の閉合部材54を具えている。部材56、58、60及び62などの追加の閉合部材を具えていても良い。シーリングサブシステム70と減圧サブシステム90が閉合医療用品補助枕46と協働して、例えば閉合力44または圧縮力42などの、方向性のある力を発現する。
【0017】
閉合医療用品補助枕46は、線状創傷12に減圧を配し、圧縮力42を提供し、例えば閉合部材56などの閉合部材を介して、閉合力44、好ましくは実質的に上皮16の面内にある力を提供する。更に、閉合医療用品補助枕46の材料は、好ましくは半透明であり、又は、光が通過する延在部を見通すことができ、減圧システム10外の位置から補助枕材料を介して線状創傷12を見ることができる。閉合医療用品補助枕46を形成している材料について以下に更に述べる。
【0018】
上述した通り、減圧システム10では、創傷の色、色影、創傷のエッジ、あるいはその他の特徴を、減圧システム10の外にある位置から視覚的に把握できる。色、色影、創傷エッジの特徴、あるいはその他の特徴は、医療用品アッセンブリ40を取り外す必要なくヘルスケア提供者によって決定することができ、これによって、合併症のリスクの増加や、医療用品交換時の痛みを防ぐことができる。医療用品アッセンブリ40あるいはその部分のその他の費用も防ぐことができる。減圧システム10は、また、線状創傷12に圧縮力42を提供し、この圧縮力は線状創傷12、皮下組織22または皮下ボイド24を治癒させ、線状創傷12をせん断力に対して安定させる。減圧システム10は、また、線状創傷12からの滲出{しんしゅつ}液を除去し、ボイド24を閉じる働きもする。
【0019】
シーリングサブシステム70は、シーリング部材72を具えている。シーリング部材72は、第1の側部74と第2の内側向側部76を具える。シーリング部材72の一部は、閉合医療用品補助枕46、例えばエッジ48を超えて、延在しており、フラップあるいは第1の側部78と第2の内側向側部79を有するドレープエクステンション77を形成している。シーリング部材72は、流体シールを提供して、減圧を保持できるものであればどのような材料であっても良い。シーリング部材は、例えば、不浸透性あるいは半浸透性のエラストマー性材料であっても良い。「エラストマー性」とは、エラストマーの特性を有することを意味する。一般的には、ゴム状特性を有するポリマー材料を意味する。より具体的には、ほとんどのエラストマ−は、100%以上の伸長速度と、相当量の復元力を有する。材料の復元力とは、弾性変形からの材料の回復力を意味する。エラストマーの例には、限定するものではないが、天然ゴム、ポリイソピレン、スチレンブタジエンゴム、クロロピレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、ポリウレタン、EVAフィルム、コポリエステル及びシリコーンが含まれる。シーリング部材材料の特定の例には、シリコーンドレープ、3M Tegaderm(登録商標)ドレープ、アクリリックドレープ(Avery Dennison社から入手可能なものなど)、あるいはインサイズドレープが含まれる。
【0020】
シーリング装置80、あるいは取り付け装置を用いて、ドレープエクステンション77と患者の上皮16との間に流体シールを提供することができる。本実施例では、シーリング装置80が接着剤82であり、フラップエクステンション77の第2の内側向側部79にこれを塗布して上皮16に対してシールを提供する。シーリング装置80を用いて、患者の上皮16、あるいはガスケットや追加のシーリング部材などの別の層に対してシーリング部材72を保持することができる。シーリング装置80は様々な形状を取ることができる。例えば、シーリング装置80は、シーリング部材72の周辺付近に延在する、医学的に受け入れ可能な感圧接着剤であっても良い。
【0021】
減圧サブシステム90は、減圧源92または治療ユニットを具える。減圧源92は、減圧を提供する。減圧源92は、真空ポンプ、壁面吸いこみ、あるいはその他の源など、減圧を供給するものであればどのような装置でもよい。組織に適用する減圧の量と性質は、アプリケーションによって異なるが、通常、−5mmHg乃至−500mmHg、より典型的には−100mmHg乃至−300mmHgの減圧である。一実施例では、減圧が約−200mmHgに保持される。減圧源92は、便宜上及び移動の目的で、連続減圧及び間欠減圧を提供できる電池式ユニットであっても良い。減圧源92または治療ユニットは、キャニスタ94、あるいはリザーバを具えていても良く、窓96を設けて患者あるいはヘルスケア提供者がキャニスタ94の全状態を見ることができるようにしても良い。減圧システム90は更に、減圧送達管98あるいは医療チューブを具えており、これはポート102などの減圧インターフェース100に流体連結されている。減圧送達管98と減圧インターフェース100によって、減圧をシーリングサブシステム70に送達することができる。
【0022】
ここで用いられているように、「減圧」は一般的に、治療を行っている線状創傷12、組織部位、あるいは治療部位における周囲圧より低い圧力を意味する。ほとんどの場合、この減圧は患者が位置しているところの大気圧より低いであろう。代替的に、減圧は組織部位における静水圧より低くても良い。特に表示がない限り、ここに述べる圧力値はゲージ圧である。送達された減圧は一定であっても良く、変化(パターンであるいはランダムに)するものであっても良い。また、連続的にあるいは間欠的に送達される。用語「真空」と「負圧」は組織部位にかかる圧力を記載するのに使用することができるが、組織部位にかかる実際の圧力は、完全真空に通常用いられる圧力より大きい。ここでの使用に相応して、減圧あるいは真空圧の増加は、通常、絶対圧力における相対的現象を意味する。
【0023】
閉合医療用品補助枕46は、ポリマーでできていても良く、好ましくはソフトポリマーである。一の実施例では、閉合医療用品補助枕46は、50ショアAデュロメータの材料であるが、別の材料と特徴も可能である。閉合医療用品補助枕46と補助枕本体50は、シーリング部材72と同様に、線状創傷12の色、色影、創傷エッジ、あるいはその他の特徴を減圧システム10外の位置から見ることができるように、シースルー材料でできていても良い(図6参照)。線状創傷12の色の変化あるいは色影の変化は、感染あるいはその他の問題の開始を意味しており、このような視覚的キューは、ヘルスケア提供者に有益な情報を提供する。補助枕本体50は、例えば、ソフトポリマ、医療グレードシリコーン、あるいはその他の好適な材料といった、柔軟な閉合補助枕材料でできている。閉合医療用品補助枕46は、押し出し成型、金型モールド、射出成型、ブロー成形、またはその他の製造技術によって形成することができる。「柔軟」とは、内側向閉合力を発生するのに十分に移動できることを意味する。
【0024】
主として図2を参照すると、閉合医療用品補助枕46は、補助枕本体50の第2の壁55あるいは底壁の第2の内側向側部または表面49の上に形成された複数の開口64と共に示されている。開口64は、中央部分66の下、特に、補助枕本体50の中心線68近傍に形成されている。一の開口64の詳細が図3Cに示されている。第1の壁53または上側壁と、第2の壁55はスペースを開けて連結されており、中空領域または中央コンパートメント57を形成している。主として図2を参照すると、開口64が補助枕本体50による線状創傷12への減圧の送達を容易にしている。様々なパターンの更なる開口を補助枕本体50に設けて、患者の上皮16、及び、特に線状創傷12への減圧の連通を容易にすることができる。開口65などの一またはそれ以上の開口を、補助枕本体50の第1の壁53の第1の側部47上に形成することができる。閉合部材52、54、56、58、60及び62は、第2の内側向側部49に示されている。閉合部材52、56及び58は中央部分66の第1の側面上に、閉合部材54、60及び62は、中央部分66の第2の側面上にある。
【0025】
図3A及び3Bに明確に示すように、斜面69は縦方向(図2に示す方向に対して縦方向)に延在する仮想平面に対して角度を成している。面63の反対側にある斜面69は、斜面69の頂点に形成された基準縦面59に対して角度61を形成して示されている。
【0026】
動作中は、治療が必要な時は、閉合医療用品補助枕46は線状創傷12の上に配置され、中央部分66は中央創傷領域45の近位側の線状創傷12の上にある。閉合医療用品補助枕46が、第1の側部47に取り付けたシーリング部材72と共に予め製造されていない場合は、シーリング部材72を閉合医療用品補助枕46の第1の側部47上に閉合医療用品補助枕46の上に設けて、フラップエクステンションあるいはドレープエクステンション77を形成する。ドレープエクステンション77は、徐々に小さくなるか、あるいは接着剤82を塗布してシーリング部材72と患者の上皮16との間に流体シールを設けても良い。「流体シール」または「シール」は、特別な減圧サブシステムがあることを前提として、所望の部位において減圧を保持するのに適したシールを意味する。
【0027】
減圧サブシステム90は、減圧インターフェース100を介してシーリングサブシステム70に流体連結されている。減圧源92が作動して減圧を発現し、減圧送達管98を介して減圧インターフェース100に送達する。減圧源92が作動すると、シーリングサブシステム70に減圧を送達して、この減圧が医療用品補助枕46に圧縮力42を発現させる。閉合医療用品補助枕46の幾何学的構造が、中央部分66周辺に曲げモーメントを発現させ、これによって閉合部材52、54、56、58、60及び62に下側及び内側(図に示す方向において)に合成力を発現する。この動作が、例えば圧縮力42や閉合力44といった、方向性のある力を造る。これらの力は、線状創傷12に、あるいはその近傍に生じる。
【0028】
主に図2を参照して、閉合力あるいは圧縮力の発現についてより詳細に述べる。隣接する閉合部材、58と56、56と52、52と54、54と60及び60と62間の各斜面69は三角形の頂部の一部を形成しており、各々が第1頂点67、第2頂点71、中央頂点75、第3頂点83及び第4頂点85である頂点を有する。減圧が開口65に入ると、頂点67、71、75、83及び85のいくつかあるいはすべてが第1の壁53にぶつかるまで、中央コンパートメント57がしぼむ。減圧は中央コンパートメント57から開口64を通っても送達され、前記頂点をより高いところへ押圧する、あるいは各頂点についての角度をより小さくするような力を提供することができる。これらの一またはそれ以上の動作が生じる結果、閉合部材52、54、56、58、60及び62は中心線68に向けて押圧され、閉合部材52、54、56、58、60及び62から患者の上皮に対する摩擦を介して閉合力が患者の上皮に発現する。第1の壁53と第2の壁55が減圧によって患者側に、あるいは第1の壁53から第2の壁55へ向かう方向において引っ張られると、圧縮力が発現する。
【0029】
ここで、主に図4A、4B、4C及び4Dを参照すると、閉合医療用品補助枕146の別の実施例が記載されている。閉合医療用品補助枕146は、第1の閉合部材152と第2の閉合部材154で形成された補助枕本体150を具える。第3の閉合部材156と第4の閉合部材158も示されている。閉合部材152と156は、中央面168又は中央部分の一方の側にある第1の側部あるいは第1部分153上に形成されており、閉合医療用品補助枕146の縦方向長さに延在している。閉合部材154と158は、中央面168の他方の側にある第2部分あるいは側部155上に形成されている。
【0030】
中央谷領域157によって、減圧下で曲げモーメントが発現すると、この領域において補助枕本体50が柔軟になる。この曲げモーメントによって、閉合部材152、154、156及び158を患者の上皮内に押し当て、例えば、中央創傷領域(例えば、図1における領域45に向けた方向性のある)圧縮力と閉合力といった、方向性のある力を提供することができる。この図に示す実施例においては、補助枕本体50の形状は、強度と、例えばシリコーンなどの材料から押し出す際の容易さのため、及び、例えば圧縮力又は閉合力などの方向性のある力を発現するための望ましい方法で補助枕本体50がつぶれるあるいは移動するように選択されている。閉合医療用品補助枕146は、シースルーあるいは少なくとも部分的に透明な材料でできており、閉合医療用品補助枕146が、閉合医療用品補助枕146の下の線状創傷の色、色影、創傷エッジあるいはその他の特徴を、閉合医療用品補助枕146を用いるシステム外の位置から見られるようにしている。
【0031】
図4A及び4Bに示すように、配管コネクタ199を用いて、閉合医療用品補助枕に減圧を提供することができる。配管コネクタ199は、閉合医療用品補助枕146の中央谷領域157に螺合する大きさと形状を有する。配管コネクタ199は減圧送達管198に流体連結されており、これによって減圧が閉合医療用品補助枕146に送達される。開口151によって減圧を閉合医療用品補助枕146の内部に連通させる。図4Cに明確に示されているように、閉合医療用品補助枕146の一部に開口164を形成して、下の線状創傷に減圧を連通させることができる。
【0032】
ここで、主に図4C乃至4Dを参照して、閉合力または圧縮力の発現についてより詳細に述べる。この実施例では、補助枕本体150が中央コンパートメント123と複数のコンパートメントによって押し出されている。複数のコンパートメントのうちの6のコンパートメント111、113、115、117、119及び121は、第1の部分153の上に形成されている。中央コンパートメント123は、中央谷部分157のほぼ近傍に形成されている。複数のコンパートメントのうちの6のコンパートメント125、127、129、131、133、135及び137は、第2の部分155の上に形成されている。この実施例では、中央コンパートメント123のみが減圧を受けており、開口151を介して減圧を受ける。
【0033】
例えば、コンパートメント111、113、115,117、119、121、125、127、129、131、133、135及び137といった、複数のコンパートメントは、第1の壁139(または上側壁)、第2の壁141(または底壁)及び複数のウエブ部材143を用いて形成されている。これらの複数のコンパートメントは、中央谷部分157の下側部分145が中央コンパートメント123のシェルフ部分161に対して減圧下で崩れることを除いて、第1の壁139が第2の壁141に対してつぶれないように維持する力を提供する。なお、第1の閉合部材152と第2の閉合部材154は、スペースを開けて配置されており、治療用谷部分163を提供する大きさと形状をしている。治療用谷部分163は、ドーム状切り欠き165と斜壁167を有していても良い。第1の閉合部材152は、中央平面168に対する第1の外側部に形成されており、第2の閉合部材154は、中央平面168に対する第2の外側部に形成されている。
【0034】
減圧が開口151に送達されると、減圧が中央コンパートメント123に入り、開口164を介して治療用谷部分163に送達される。減圧によって中央谷部分157の下側部分145をつぶして、中央コンパートメント123のシェルフ部分161に触れさせる。更に、治療用谷部分163内の減圧が斜壁169を互いに対して引っ張る。これらの動作の一またはそれ以上によって、補助枕本体150が中央平面164付近で柔軟になり、あるいは曲がり、これによって、閉合部材を中央平面164に対して押圧する。複数のコンパートメントは、好ましくはつぶれることなく強度を提供し続ける。更に、減圧が閉合医療用品補助枕146を内側、すなわち、第1の壁139から第2の壁141に向かう方向に引くと、圧縮力が発現する。
【0035】
主に図5を参照して、閉合医療用品補助枕246の別の実施例を説明する。閉合医療用品補助枕246は、第1の側部253または第1の側面上の第1の閉合部材252、及び第2の側部255又は第2の側面上の第2の閉合部材254と共に形成した、補助枕本体250を具える。第1及び第2の閉合部材252は芯材ホルダ236に対して上向きに角度がついた(図に示す方向)斜壁を有する。中央部分268に対して、オーバーレイ片265またはオーバーレイは、閉合部材252と254を覆った状態で保持している。閉合部材252と254間のギャップは、芯材238を保持する芯材ホルダ236を形成している。芯238の形状と芯材238の物質は、下にある線状創傷(例えば、図1における線状創傷12)を乾いた清潔な状態に保つように動作可能である。
【0036】
芯材238に使用できる材料には、疎水性材料、親水性材料及び以下に述べる成形した医療用品補助枕材532に用いることができる他でリストに挙げた材料全部(図8を参照)が含まれる。オーバーレイ片265及び閉合部材252と254は、シースルー材料で作って、閉合医療用品補助枕材246をシステムと共に使用できるようにして、閉合医療用品補助枕材246の外(例えば、図6参照)及びシステム外の位置から閉合医療用品補助枕材246の下にある線状創傷の色、色影、創傷エッジあるいはその他の特徴をヘルスケア提供者が見ることができるようにしても良い。
【0037】
動作中は、閉合医療用品補助枕材246は減圧下で曲げモーメントを発現して、第1の閉合部材252と第2の閉合部材254の下側部分を患者の上皮の下側(図に示す方向)及び内側に押して、圧縮力あるいは閉合力の双方を線状創傷に向けるようにすることができる。芯材ホルダ236へ送達された減圧は、第1の閉合部材252と第2の閉合部材254を互いに近づけるように移動させ、これによって閉合力を提供する。閉合医療用品補助枕材246は、芯238が線状創傷に接触して、線状創傷から発することができる流体を取り除く役割をするような大きさと構造を有する。このような流体は、減圧インターフェースに送達され、次いで、減圧源の影響の下、減圧管によってキャニスタに送達される。
【0038】
上述した閉合医療用品補助枕材46、146及び246は、閉合医療用品補助枕材の外の位置から創傷の色、色影、創傷エッジあるいはその他の特徴の視覚測定を提供することができる。この特徴は、以下に述べるように、その他のタイプの医療用品にも当てはまる。図6を参照すると、減圧治療システム310の一部が示されている。減圧治療システム310は、補助枕本体350を有するシースルー医療用品アッセンブリ340を具える。補助枕本体350は、補助枕材メッシュや、補助枕材フォームなどのいくつかの材料でできており、フォーム(不透明でないフォーム)の上の、あるいは材料の構造的エレメント間のポア間隔によって、十分な光が材料を通過して、線状創傷312の色、色影、創傷エッジあるいはその他の特徴が減圧治療システム310外の位置から見えるようになっている。例えば、符号384で示す目に付く場所のラインに見ることができる。例えば、補助枕本体350は、テキサス州サンアントニオのKinetic Concepts,Inc.社から入手可能なGranuFoam(登録商標)材などのシリコーン又はポーラスフォームで形成することができる。ポアサイズ及び密度を変えて、シースルー特性を提供することができる。
【0039】
代替の実施例では、シースルーシリコーンでできた窓などの窓386を、補助枕材の一部の上に配置して、減圧が補助枕本体350に提供され窓386が補助枕材上で更に圧縮されると、線状創傷312を窓386を通して、補助枕本体350及びシステム310外の位置から見られるようにすることができる。例えば、患者またはヘルスケア提供者は、視線388上で線状創傷312を見ることができる。
【0040】
別の代替の実施例では、クリアビーズを補助枕本体350として用いる、あるいは補助枕本体350内に含めている。このビーズは、補助枕材本体内に配置され、負圧の下でビーズが創傷の上で互いに集まって、患者あるいはヘルスケア提供者が補助枕本体350及びシステム310外の位置から創傷を見ることができるようにしている。補助枕本体350は、減圧下でビーズが互いに集まるときにビーズが変位するメッシュ材料であっても良い。
【0041】
別の実施例では、補助枕本体350から減圧が除去されると、バイアスを受けた部分が横に移動して線状創傷312を見ることができるような窓を作っても良い。例えば、減圧が補助枕本体350の二つの部分を圧縮するとこの二つの部分が重なるが、減圧が除去されると、これらの部分が離れて線状創傷をはっきり見ることができる。このように、多くの目視検査装置を用いて、創傷の色やその他の特徴を視覚的に検出できることは自明である。目視検査装置は、シースルー補助枕とシースルーシーリング材、窓386、適切に光を通過させる補助枕材、複数のクリアビーズ、あるいは減圧下にない時に目視検査を可能とする補助枕材の移動可能な部分であってもよい。
【0042】
補助枕本体350は、補助枕本体350の上、例えばエッジ348の上に延在し、ドレープエクステンション377を形成するシーリング部材372で覆われた状態で示されている。ドレープエクステンション377をシールして、シーリング部材372と患者の上皮314との間に、ドレープテープ383あるいはその他のシーリング装置などのシーリング装置380を用いて流体シールを形成することができる。
【0043】
ここで、主に図7を参照すると、線状創傷412を治療するシステム410の一部が記載されている。システム410は、医療用品アセンブリ440を具える。医療用品アセンブリ440は、医療用品補助枕446を具え、これは医療用品補助枕本体450を有する。医療用品本体450は、第1の側部あるいは第1の外側部453と、第2の側部あるいは第2の外側部455の二つの部分でできている。第1の部分453と第2の部分455は一体的に連結されていても良く、あるいは二つの別部品であってもよい。第1の部分453は、閉合部材452と456と共に形成されている。第2の部分455は、閉合部材454と460と共に形成されている。減圧下で、閉合部材452、454、456、及び460は線状創傷412に向けて圧縮力と閉合力とを発現する。医療用品本体450は、シール装置480でシールされたシーリング部材472で覆われた状態で示されており、患者の上皮416に対してシールを提供している。
【0044】
第1の部分453の上の第1の壁437と、第2の部分455の上の第2の壁439は、芯材438を保持する芯材ホルダ436を形成している。芯材438は、線状創傷412に対して保持されており、医療用品アセンブリ440が減圧下に置かれたときに、例えば滲出液などの流体を除去する働きをする。
【0045】
主として図8を参照すると、シースルー創傷治療システム510が示されており、これによってヘルスケア提供者は、例えば線状創傷512、面創傷、無傷の上皮514の一部、その他といった治療部位を見ることができ、圧縮力を提供できる。シースルー創傷治療システム510は、上皮が損傷した組織の治療を提供し、治療部位をシースルー創傷治療システム510外の位置から見ることができる。
【0046】
シースルー創傷治療システム510は、上皮514、真皮516、及び皮下組織(hypodermis)又は皮下組織(subcutaneous tissue)518に届く、線状創傷512の周囲の切開創の周辺部位(peri−incisional region)内に示されている。皮下組織518は脂肪組織や筋肉といった、様々な組織型を含む。損傷を受けた皮下組織部位520は、線状創傷512から延出して示されており、この場合、皮下の欠陥、死腔、あるいは空隙522を含む。損傷を受けた皮下組織部位520は、脂肪吸引術などの外科手術により生じたものでもよい。損傷を受けた皮下組織部位520には、空隙522などの空隙、開スペース、及び浮腫が原因となる液体貯留など、多くの理由によって問題となりうる様々な欠陥が含まれる。
【0047】
線状創傷512は、ステープル、縫合糸、接着剤、などいずれかの閉合デバイスまたは技術を用いて閉じることができるが、本実施例では、ステープル513を用いたものが示されている。シースルー創傷治療システム510を一領域の治療に用いる、特に、皮下組織部位520と皮下組織部位520周辺の組織の治療に用いることができるが、シースルー創傷治療システム510は、線状創傷512のより限定した領域の治療に用いることもできる。
【0048】
シースルー創傷治療システム510は、医療用品アッセンブリ530を具えており、これは、成形した医療用品補助枕532と、シーリングサブシステム560と、減圧サブシステム580を有する。動作中は、シースルー創傷治療システム510は、符号524で示され、皮下組織520で作用する正味の圧縮力を含む、方向性のある力を発現する。以下に更に述べるように、成形した医療用品補助枕532は、この圧縮力524を患者の上皮514の上に均等に配分するように成形され、構成されている。別の方法では、上皮514のその他の領域に比べて実質的に力が強くなっている領域があれば、皮膚のかぶれを治すことができる。
【0049】
方向性のある力は、閉合力、あるいは内側向きの力、すなわち、医療用品アッセンブリ530の内側部分に向かう力を有する。閉合力は符号526で示されている。閉合力526は、実質的に上皮514の平面内に残る。換言すると、閉合力526は、主に上皮514内で作用する。更に、シースルー創傷治療システム510は、線状創傷512の治癒段階と特徴に応じて、線状創傷512を介して皮下ボイド522の高さで減圧が認識されて、その領域における組織が互いに近づくとともに、気体やその他の液体を除去するように、線状創傷512に減圧を送達するよう動作可能である。
【0050】
医療用品アッセンブリ530は、第1の側部534と、第2の内側向側部536を有する成形した医療用品補助枕532を具える。成形した医療用品補助枕532は、損傷を受けた皮下組織部位520のおよその面積にほぼ合致するサイズと形状をしているが、より大きいまたはより小さいサイズのものを異なるアプリケーションに用いるようにしても良い。成形した医療用品補助枕532は、エッジ538を有する。成形した医療用品補助枕532は、様々な医療用補助枕材、すなわち、医療アプリケーションに好適に使用できる材料であって、殺菌することができる材料でできていても良い。一の実施例では、成形した医療用品補助枕532は、マニホールド材である医療用補助枕材料でできている。一の実施例では、成形した医療用品補助枕532は、多孔性で透過性のフォーム状材料であり、特に、網目状で、減圧下にある間の創傷液体の透過性が良いオープンセルポリウレタンまたはポリエステルフォームである補助枕材でできている。使用されているこのようなフォーム状材料の一つは、テキサス州サンアントニオのKinetic Concepts,Inc.(KCI)社から入手可能なVAC(登録商標)GranuFoam(登録商標)である。補助枕材が減圧を送達する、あるいは、マニホールドするように操作可能である限り、どのような材料または材料の組み合わせを補助枕材に使用しても良い。
【0051】
ここで用いられている用語「マニホールド」は、一般的に、組織部位に減圧を適用し、液体を送達し、組織部位からの液体の除去を補助するように提供されている物質または構造を意味する。補助枕材は、材料を組み合わせたものまたは層状化したのもでもよい。例えば、疎水性フォームでできた第1の補助枕層を親水性フォームでできた第2の補助枕層近傍に配置して、補助枕材を形成することができる。ここで使用されている「流体」の用語は、一般的には気体又は液体を意味するが、ここでは、限定するものではないが、ゲル、コロイド、フォームを含む、その他の流動性を有するあらゆる物質を含む。
【0052】
典型的には約400ないし600ミクロンの、Granufoam(登録商標)材でできた編目状ポアは、マニホールド機能を実行するのに役立つが、その他の材料を使用しても良い。例えば、Granufoam(登録商標)材などの医療用補助枕材の密度は、典型的には、1.3lb/ft乃至1.6lb/ft(20.8kg/m乃至25.6kg/m)の範囲である。Granufoam(登録商標)材より密度が高い(ポアサイズはより小さい)材料が、いくつかの場合望ましい。例えば、Granufoam(登録商標)材、または、1.6lb/ft(25.6kg/m)より密度が高い同様の材料を使用することができる。別の実施例として、Granufoam(登録商標)材または、密度が2.0lb/ft(32kg/m)または5.0lb/ft(80.1kg/m)以上の同様の材料を使用することができる。この材料の密度が高いほど、所定の減圧でつくられる圧縮力が大きくなる。この組織部位における組織より低い密度のフォームを医療用補助枕材として用いれば、つり上げる力が発現する。
【0053】
補助枕材は、網状フォームであってもよく、これは元のフォーム厚さの約1/3の厚さのフェルト状になる。多くの使用し得る材料のうち、以下のものを用いることができる: GranuFoam(登録商標)材、又は、Foamex(登録商標)テクニカルフォーム(www.foamex.com参照)。いくつかの場合、マイクロボンディング工程においてイオン性銀を補助枕材に加える、あるいは抗菌剤などのその他の物質を補助枕材に加えることが好ましい。補助枕材は、減圧をかけている間に望まれる方向性がある力の正確な方向に応じて、等方性あるいは異方性であってもよい。補助枕材は、フィラメントを加える、部分的にフェルトにする、選択的に接着剤を加える、などによって異方性にすることができる。補助枕材は、生体吸収性材料であってもよい。
【0054】
シーリングサブシステム560は、シーリング部材562、又はシーリング部材72に類似するドレープを具える。シーリング部材562は、成形した医療用品補助枕532に連結されていても良い。例えば、シーリング部材562と成形した医療用品補助枕532は、アクリル接着剤、シリコーン接着剤、ヒドロゲル、ヒドロコロイド、その他の接着剤を用いて連結することができる。別の例として、シーリング部材562と成形した医療用品補助枕532は、熱ボンディング、超音波ボンディング、無線周波数ボンディング、その他によって接着することができる。連結は、パターンであるいは完全に行われる。この接着剤に構造体を加えて、シーリング部材562が所望の方向に異方性をもって動く、すなわち、異方性ドレープ材を作るようにすることができる。異方性ドレープ材によって、医療用品アッセンブリ530が主に所定の方向、すなわち、所定の軸または複数の軸の周りのみを移動するようにすることができる。
【0055】
図8に示す実施例では、シーリング部材562は、成形した医療用品補助枕532を超える、例えば先端533のエッジ538を超えて延在する大きさであり、ドレープエクステンション564あるいはエクステンションを形成している。ドレープエクステンション564は第1面566と、第2内側向面568を有する。シーリング部材562はシーリング装置569を用いて患者の上皮514に対してシールされており、治療部位においてシールを提供し、減圧サブシステム580によって減圧が維持できるようになっている。シーリング装置569は、接着剤570、シーリングテープ、またはドレープテープまたはストリップ、両面ドレープテープ、のり、親水コロイド、ヒドロゲル、またはその他のシーリングデバイス、などの様々な形状を取ることができる。テープを用いる場合は、予め貼り付けた感圧接着剤を有するシーリング部材562と同じ材料でテープを形成することができる。感圧接着剤570は、ドレープエクステンション564の第2内側向面568に適用してもよい。感圧接着剤570は、シーリング部材562と患者の上皮514の間にシーリングを提供する。シーリング部材562を患者に固定するよりむしろ、感圧接着剤570が取り外し可能なストリップまたは感圧接着剤570を覆う裏張りを有していても良い。
【0056】
減圧サブシステム580は、減圧源582または、様々な形を取ることができる治療ユニットを具える。減圧源582は、シースルー創傷治療システム510の一部として減圧を提供する。減圧源582は、真空ポンプ、壁面吸い込み、あるいはその他の源など、減圧を供給できるものであればどのようなデバイスでもよい。組織に適用される減圧の量と性質は、通常、アプリケーションによって変わるが、通常は−5mmHg乃至−500mmHg 、及びより典型的には−100mmHg乃至−300mmHgである。患者の移動性と容易性を最大にするために、減圧源582は電池式で使い捨ての減圧発生器であってもよい。これは、手術室での適用を容易にし、リハビリテーション段階において患者に移動性と利便性を提供する。
【0057】
図8に示す実施例では、バッテリ室584と窓588付のキャニスタ領域586を有する減圧源582が示されており、キャニスタ領域586内に流体レベルの可視指示を与えている。疎水性または油分をはじくフィルタなどの介在膜フィルタが、減圧送達管、またはチューブ590、及び減圧源582間に組み込まれている。
【0058】
減圧源582によって発現した減圧は、減圧送達管590を通って減圧インターフェース592に送達される。このインターフェースはエルボーポート594であっても良い。一の実施例では、エルボーポート594はテキサス州サンアントニオのKCIから入手可能なTRAC(登録商標)テクノロジーポートである。減圧インターフェース592により、減圧がシーリングサブシステム560に送達され、シーリングサブシステム560の内側部内で実現する。この実施例では、エルボーポート594がシーリング部材562を通って、成形した医療用品補助枕532内へ延在している。
【0059】
動作中は、シースルー創傷治療システム510が線状創傷512に適用される。シースルー創傷治療システム510は患者の外科手術の後に手術室で線状創傷512に適用することができる。成形した医療用品補助枕532の第2の内側向側部536は、損傷を受けた皮下組織部位520の上に成形した医療用品補助枕532を載せ、線状創傷512の上に成形した医療用品補助枕532の一部を載せて、患者の上皮514に対向して配置される。医療用品アッセンブリ530は、ヘルスケア提供者によって行われる手順に入っている典型的なアプリケーションに合ったサイズであってもよい。医療用品アッセンブリ530は、腹部、胸部、腕、大腿、などの様々な生体構造アプリケーションと共に作用する大きさ、形状、及び構造となっている。
【0060】
シーリング部材562が連結されていない場合は、シーリング部材562を、成形した医療用品補助枕532を超えて延在する部分を有する成形した医療用品補助枕532の第1の側部534の上に配置して、ドレープエクステンション564を形成する。ドレープエクステンション564は、徐々に小さくなるものであっても良く、シーリング部材562と患者の上皮514との間にシールを形成するのに用いる接着剤570でもよい。このシールは、シースルー創傷治療システム510が所望の治療領域で減圧を維持するのに適したものであればよい。減圧インターフェース592と減圧源582は、減圧送達管590を用いて液体連結することもできる。次いで、減圧源582が活性化されて、成形した医療用品補助枕532に減圧を送達できる。
【0061】
成形した医療用品補助枕532内で圧力が減ると、成形した医療用品補助枕532がしぼんで、横方向に縮まり、半硬質物質を形成し、いくつもの有益な力と動作が生じる。更に、成形した医療用品補助枕532を通って、減圧が線状創傷512に送達される。治癒プロセスの少なくとも初期段階では、減圧も線状創傷512を介して、皮下組織部位520内において認識される。このように、減圧は、皮下ボイド522などの欠陥を閉合することができ、一般的に、その領域に安定性を提供する。また、成形した医療用品補助枕532に送達された減圧は圧縮力524を発現して、これも安定性と治療を提供する。圧縮力524は、上皮514の上部における力より少し大きい。圧縮力524は、より深く下に延在して、皮下組織部位520のレベルで経験するであろう。この圧縮力は、欠陥を閉合して、安定性を提供する。
【0062】
シースルー創傷治療システム510を手術室で適用して、適当な治癒が行われるまで患者の上にシースルー創傷治療システム510を残すことが望ましい。この点について、シーリング部材562、成形した医療用品補助枕532、及び、シースルー材料でできたその他の層を形成して、医療用品アッセンブリ530を取り除くことなく、線状創傷512と損傷を受けた皮下組織部位520の治癒に関する視覚的キューをヘルスケア提供者が得ることができることが望ましい。
【0063】
一の実施例によれば、患者の線状創傷を治療する減圧システムに使用するシースルー医療用品アッセンブリは、減圧下にあるときに閉合力を提供する閉合医療用品補助枕と、この閉合医療用品補助枕を覆い閉合医療用品補助枕にシールを提供するシーリング部材を具える。閉合医療用品補助枕とシーリング部材は、シースルー医療用品アッセンブリの外にあるポイントから色を認識するのに十分なシースルー材料で形成されている。閉合医療用品補助枕は、上側壁と底壁を具えていても良い。上側壁及び底壁は、スペースを開けて連結されている。底壁は中央部と、第1の外側部と、第2の外側部を具えている。第1の閉合部材が第1の外側部に形成されており、第2の閉合部分が第2の外側部に形成されている。減圧下におかれると、第1の閉合部材と第2の閉合部材が互いに向かって移動する。
【0064】
一の実施例によれば、減圧を用いて患者の創傷を治療し、治療の間に創傷を視覚的に観察できるシステムが、創傷の上の患者の上皮の一部に配置する医療用品補助枕を具える。この医療用品補助枕は、シースルー材料でできている。このシステムは更に、閉合補助枕と患者の上皮にシールを提供するシーリングサブシステムと、このシーリングサブシステムに減圧を送達する減圧サブシステムを具える。シーリングサブシステムと減圧サブシステムは、医療用品補助枕に減圧を送達するよう動作可能である。医療用品補助枕、シーリングサブシステム、及び減圧サブシステムは、方向性のある力を発現して、創傷に減圧を送達するように操作可能である。シーリングサブシステムは、シースルーシーリング部材を具える。医療用品補助枕とシーリングサブシステムは、光を通過させて創傷の色影をシステム外の位置から認識できるように動作可能である。医療用品補助枕は、第1の面と、第2の内側向面を有し、医療用品補助枕の一部を形成する斜めになった先端部を具える。医療用品補助枕は、密度が20kg/mより大きい医療補助枕材でできている。医療用品補助枕は、減圧下にあるときに、方向づけた力を均等に配分するという特徴を有する。
【0065】
本発明とその利点を、図に示す非限定的な実施例のコンテキストに開示したが、様々な変更、交換、置換、及び代替を、添付の特許請求の範囲に規定された発明の範囲から離れることなく行うことができる。いずれかの実施例に関連して述べた特徴は、他の実施例にも適用できることは自明である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の線状創傷治療システムに使用する閉合医療用品補助枕において、当該閉合医療用品補助枕が:
柔軟な閉合補助枕材から形成されており、中央部を有する補助枕本体を具え;
当該補助枕本体が:
上側壁と;
底壁であって、前記上側壁とスペースを開けて連結されており、前記中央部の一方の側部に第1の外側部を、及び、前記中央部の他方の側部に第2の外側部を有する底壁と;
前記第1の外側部上に形成した第1の閉合部材と;
前記第2の外側部上に形成した第2の閉合部材と;を具え、
前記第1の閉合部材と第2の閉合部材が、前記閉合医療用品補助枕が減圧下に置かれたときに方向性のある力を発現するように動作可能であることを特徴とする閉合医療用品補助枕。
【請求項2】
請求項1に記載の閉合医療用品補助枕において、前記補助枕本体がシースルー材料でできていることを特徴とする閉合医療用品補助枕。
【請求項3】
請求項1に記載の閉合医療用品補助枕において、前記補助枕本体がシリコーンでできていることを特徴とする閉合医療用品補助枕。
【請求項4】
請求項1に記載の閉合医療用品補助枕において、前記補助枕本体が更に、芯材ホルダを具え、前記閉合医療用品補助枕が更に、前記芯材ホルダに連結した芯材を具えることを特徴とする閉合医療用品補助枕。
【請求項5】
請求項1に記載の閉合医療用品補助枕において、前記方向性のある力が内側向の閉合力を含むことを特徴とする閉合医療用品補助枕。
【請求項6】
請求項1に記載の閉合医療用品補助枕において、前記方向性のある力が圧縮力を含むことを特徴とする閉合医療用品補助枕。
【請求項7】
請求項1に記載の閉合医療用品補助枕において、前記方向性のある力が内側閉合力と圧縮力を具えることを特徴とする閉合医療用品補助枕。
【請求項8】
患者の線状創傷を治療するシステムに用いる閉合医療用品補助枕において、当該閉合補助枕が:
柔軟な閉合補助枕材でできた補助枕本体とを具え;
前記閉合補助枕本体が:
前記補助枕本体の第2の面に形成されており、第1の斜壁を有する第1の閉合部材と;
前記補助枕本体の前記第2の面に形成され、第2の斜壁を有する第2の閉合部材と;
前記補助枕本体に連結した芯材ホルダと;
前記芯補助枕ホルダに取り付けた芯材であって、液体を除去するための液流通路を有する芯材と;を具え、
前記第1の閉合部材と第2の閉合部材が、前記閉合医療用品補助枕が減圧下にあるときに、内側向の力を発現するように動作可能であることを特徴とする閉合医療用品補助枕。
【請求項9】
請求項8に記載の閉合医療用品補助枕において、前記第1の閉合部材と第2の閉合部材が、前記閉合医療用品補助枕が減圧下にあるときに圧縮力を発現するように動作可能であることを特徴とする閉合医療用品補助枕。
【請求項10】
請求項8に記載の閉合医療用品補助枕において、前記補助枕本体がシースルー材料でできていることを特徴とする閉合医療用品補助枕。
【請求項11】
請求項8に記載の閉合医療用品補助枕において、前記補助枕本体がシリコーンでできていることを特徴とする閉合医療用品補助枕。
【請求項12】
患者の線状創傷を治療するシステムに使用する閉合医療用品補助枕において、当該閉合補助枕が:
柔軟な閉合補助枕材でできた補助枕本体と;
前記補助枕本体の第2の面に形成され、中央領域の第1の側面に形成された第1の閉合部材と;
前記補助枕本体の第2の面に形成され、中央領域の第2の側面に形成された第2の閉合部材と;を具え、
前記第1の閉合部材と第2の閉合部材が、減圧下に置かれたときに互いに向かって移動するように動作可能であり;
前記補助枕本体が、光が十分に通過して、前記閉合医療用品補助枕の外側位置から色が検出できるように動作可能であることを特徴とする閉合医療用品補助枕。
【請求項13】
請求項12に記載の閉合医療用品補助枕において、前記補助枕本体がシリコーンでできていることを特徴とする閉合医療用品補助枕。
【請求項14】
請求項12に記載の閉合医療用品補助枕が更に、前記補助枕本体に形成された芯材ホルダと、当該芯材ホルダに取り付けた芯材を具えることを特徴とする閉合医療用品補助枕。
【請求項15】
患者の線状創傷を治療するシステムに使用する医療用品アッセンブリにおいて、当該医療用品アッセンブリが:
柔軟な閉合補助枕材からできており、第1の面及び組織に対向する第2の面とを有する、補助枕本体を具え;
前記補助枕本体が:
当該補助枕本体の中央創傷領域の第1の側面上の第1の閉合部材と;
当該補助枕本体の中央創傷領域の第2の側面上の第2の閉合部材と;を具え、
前記第1の閉合部材と第2の閉合部材が、前記閉合医療用品補助枕が減圧下にあるときに、互いの方向に移動して圧縮力を発現するように動作可能であり;
補助枕本体の第1表面近傍に配置され、補助枕本体の上にシールを形成するように動作するオーバードレープを具えることを特徴とする医療用品アッセンブリ。
【請求項16】
請求項15に記載の医療用品アッセンブリにおいて、前記補助枕本体がシースルー材料でできていることを特徴とする医療用品アッセンブリ。
【請求項17】
請求項15に記載の医療用品アッセンブリにおいて、前記補助枕本体がシリコーンでできていることを特徴とする医療用品アッセンブリ。
【請求項18】
請求項15に記載の医療用品アッセンブリが更に、前記補助枕本体に形成された芯材ホルダと、当該芯材ホルダに取り付けた芯材とを具えることを特徴とする医療用品アッセンブリ。
【請求項19】
請求項15に記載の医療用品アッセンブリにおいて、前記補助枕本体がシースルー材料でできており、前記補助枕本体が、十分に光を透過して前記医療用品アッセンブリの外側位置から前記線状創傷の色を見ることができるように動作可能であることを特徴とする医療用品アッセンブリ。
【請求項20】
患者の線状創傷を治療するシステムに使用する閉合医療用品補助枕を製造する方法において、当該方法が:
柔軟な閉合補助枕材料から補助枕本体を形成するステップを具え;
当該補助枕本体形成ステップが、当該補助枕本体に第1の側面と第2の側面を形成するステップを具え、前記補助枕本体が中央領域を有し、この中央領域の一方の側部に前記第1の側面があり、他方の側部に前記第2の側面があり;
前記補助枕本体形成ステップが更に:
前記中央領域の前記第1の側面上の前記補助枕本体の上に第1の閉合部材を形成するステップと;
前記中央領域の前記第2の側面上の前記補助枕本体の上に第2の閉合部材を形成するステップと;を具え、
前記第1の閉合部材と第2の閉合部材が、前記閉合医療用品補助枕が減圧下にあるときに内側向の閉合力を発現することを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、前記補助枕本体を形成するステップが更に、前記補助枕本体を、減圧下に置かれたときに圧縮力を発現するように形成するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法において、前記補助枕本体を形成するステップが更に、芯材ホルダを形成するステップを具えることを特徴とする方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図4D】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2011−521738(P2011−521738A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511881(P2011−511881)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/045747
【国際公開番号】WO2009/158126
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】